(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】トレイ及び搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 17/34 20060101AFI20230613BHJP
B65G 63/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B65G17/34
B65G63/00 F
(21)【出願番号】P 2020144739
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 義彦
(72)【発明者】
【氏名】磯村 琢也
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109160251(CN,A)
【文献】国際公開第2004/026734(WO,A1)
【文献】特開2011-016604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012438(US,A1)
【文献】特開2015-093726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/34
B65G 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された本体部を備え、搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイであって、
前記搬送経路に沿う方向を前後方向とし、平面視で前記前後方向に交差する方向を幅方向として、
前記搬送経路には、平面視で曲線状に形成された曲線状経路部が含まれ、
前記搬送装置は、前記搬送経路の前記幅方向の両側縁に沿って配置されていると共に前記幅方向の内側を向く案内面を備えた案内壁を、少なくとも前記曲線状経路部に備え、
前記本体部の上面は、物品が載置される載置面として用いられ、
前記本体部は、中間部と、前記中間部に対して前記前後方向の前方側に隣接する前部と、前記中間部に対して前記前後方向の後方側に隣接する後部と、を備え、
前記中間部は、平面視で矩形状に形成され、
前記前部は、平面視で前記前方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、
前記後部は、平面視で前記後方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され
、
前記搬送経路には、水平面を基準とした搬送面の角度が変化する搬送面角度変化部が含まれ、
前記中間部の底面は、前記搬送面に沿う平面状に形成された基準平面部を備え、
前記前部の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記基準平面部に対して傾斜した前方傾斜面部を備え、
前記後部の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記基準平面部に対して傾斜した後方傾斜面部を備えている、トレイ。
【請求項2】
前記前方傾斜面部及び前記後方傾斜面部のそれぞれの前記基準平面部に対する傾斜角度は、前記搬送経路の中で前記搬送面の角度変化が最大である前記搬送面角度変化部での前記搬送面の交差角度に対応している、請求項
1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記前方傾斜面部及び前記後方傾斜面部のそれぞれにおける前記幅方向の中央部に、前記幅方向の両側の部分に対して下方側に突出する突部が形成され、
前記突部の底面は、前記基準平面部と同じ高さ又はそれより上方側に、前記基準平面部に沿うように配置されている、請求項
1又は
2に記載のトレイ。
【請求項4】
板状に形成された本体部を備え、搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイであって、
前記搬送経路に沿う方向を前後方向とし、平面視で前記前後方向に交差する方向を幅方向として、
前記搬送経路には、平面視で曲線状に形成された曲線状経路部が含まれ、
前記搬送装置は、前記搬送経路の前記幅方向の両側縁に沿って配置されていると共に前記幅方向の内側を向く案内面を備えた案内壁を、少なくとも前記曲線状経路部に備え、
前記本体部の上面は、物品が載置される載置面として用いられ、
前記本体部は、中間部と、前記中間部に対して前記前後方向の前方側に隣接する前部と、前記中間部に対して前記前後方向の後方側に隣接する後部と、を備え、
前記中間部は、平面視で矩形状に形成され、
前記前部は、平面視で前記前方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、
前記後部は、平面視で前記後方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され
、
前記中間部の前記前後方向の中央領域における前記幅方向の両側面に、前記前後方向の中心位置へ向かうに従って前記幅方向の中央部へ向かうように窪むくびれ部が形成されている、トレイ。
【請求項5】
前記本体部における前記前後方向の両端部に、前記載置面に対して上方側に突出する端部ストッパが形成されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載のトレイ。
【請求項6】
前記本体部の底面における前記端部ストッパの形成位置に対応する部分のそれぞれに、前記端部ストッパの上端部を嵌入させることが可能な形状の、上方側に窪む凹部が形成されている、請求項
5に記載のトレイ。
【請求項7】
前記載置面は、前記前後方向の中央部へ向かうに従って下方側へ向かうように傾斜している、請求項1から
6のいずれか一項に記載のトレイ。
【請求項8】
第1トレイと、搬送装置と、を備えた搬送設備であって、
前記第1トレイは、板状に形成された本体部を備え、
前記搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイであ
り、
前記搬送経路に沿う方向を前後方向とし、平面視で前記前後方向に交差する方向を幅方向として、
前記搬送経路には、平面視で曲線状に形成された曲線状経路部が含まれ、
前記搬送装置は、前記搬送経路の前記幅方向の両側縁に沿って配置されていると共に前記幅方向の内側を向く案内面を備えた案内壁を、少なくとも前記曲線状経路部に備え、
前記本体部の上面は、物品が載置される載置面として用いられ、
前記本体部は、中間部と、前記中間部に対して前記前後方向の前方側に隣接する前部と、前記中間部に対して前記前後方向の後方側に隣接する後部と、を備え、
前記中間部は、平面視で矩形状に形成され、
前記前部は、平面視で前記前方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、
前記後部は、平面視で前記後方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され
、
前記搬送装置によって前記搬送経路に沿って搬送される第2トレイを更に備え、
前記本体部を第1本体部として、前記第2トレイは、前記第1本体部より前記前後方向の長さが短い板状の第2本体部を備えている、搬送設備。
【請求項9】
前記第1本体部における前記前方側の端部の前記幅方向の寸法は、前記第2本体部における前記前方側の端部の前記幅方向の寸法より小さく、
前記第1本体部における前記後方側の端部の前記幅方向の寸法は、前記第2本体部における前記後方側の端部の前記幅方向の寸法より小さい、請求項
8に記載の搬送設備。
【請求項10】
前記中間部の底面は、前記搬送装置の搬送面に沿う平面状に形成された第1基準平面部を備え、
前記前部の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第1基準平面部に対して傾斜した第1前方傾斜面部を備え、
前記後部の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第1基準平面部に対して傾斜した第1後方傾斜面部を備え、
前記第2本体部における前記前後方向の中間部分の底面は、前記搬送面に沿う平面状に形成された第2基準平面部を備え、
前記第2本体部における前記前方側の部分の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第2基準平面部に対して傾斜した第2前方傾斜面部を備え、
前記第2本体部における前記後方側の部分の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第2基準平面部に対して傾斜した第2後方傾斜面部を備え、
前記第1前方傾斜面部の前記前後方向の長さは、前記第2前方傾斜面部の前記前後方向の長さより大きく、
前記第1後方傾斜面部の前記前後方向の長さは、前記第2後方傾斜面部の前記前後方向の長さより大きい、請求項
8又は
9に記載の搬送設備。
【請求項11】
前記中間部の前記前後方向の中央領域における前記幅方向の両側面に、前記前後方向の中心位置へ向かうに従って前記幅方向の中央部へ向かうように窪むくびれ部が形成され、
前記くびれ部が形成されている部分における前記中間部の前記幅方向の最小寸法が、前記第2本体部における前記前後方向の中央部の前記幅方向の寸法より短い、請求項
8から1
0のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項12】
前記載置面を第1載置面として、前記第1本体部における前記前後方向の両端部に、前記第1載置面に対して上方側に突出する第1端部ストッパが形成され、
前記第2本体部の上面は、物品が載置される第2載置面として用いられ、
前記第2本体部における前記前後方向の両端部に、前記第2載置面に対して上方側に突出する第2端部ストッパが形成され、
前記第1端部ストッパの前記第1載置面からの高さは、前記第2端部ストッパの前記第2載置面からの高さより大きい、請求項
8から1
1のいずれか一項に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状に形成された本体部を備え、搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイ、及び、そのようなトレイと搬送装置とを備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなトレイの一例が、特開2019-177981号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1には、搬送装置(100)によって搬送経路に沿って搬送されるトレイ(40)が開示されている。特許文献1の
図1に示されているように、この搬送装置(100)は、搬送経路における平面視で曲線状に形成された曲線状経路部において、外周側に配置された駆動ローラ(10)と内周側に配置された駆動ローラ(20)との双方を駆動してトレイ(40)を搬送するように構成されている。特許文献1によれば、搬送装置(10)をこのように構成することで、曲線状経路部においてトレイ(40)をスムースに搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の段落0005にも記載されているように、上記のようなトレイは、例えば、空港において手荷物を載せて搬送するために用いられる。手荷物等の物品をトレイに載せて搬送する場合、全長(搬送経路に沿う方向の長さ)の長いトレイを用いることで、ゴルフバッグ等の長尺状の物品も搬送しやすくなる。しかしながら、単にトレイの全長を長くすると、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅(移動軌跡の内径と外径との差)がそれに応じて大きくなる。これにより、曲線状経路部においてトレイを搬送する搬送装置が大型化するおそれがある。また、全長を長くしたトレイ(以下、「第1トレイ」という)を、第1トレイより全長の短いトレイ(以下、「第2トレイ」という)を搬送するための既存の設備に混流させて搬送することが考えられる。この場合、第2トレイを搬送するための搬送装置をそのまま或いは大きく変更することなく用いることができるように、第1トレイを、曲線状経路部において、第2トレイの移動軌跡にできるだけ近づけて搬送できることが望ましい。しかしながら、第1トレイの全長を長くすることによって曲線状経路部における第1トレイの移動軌跡の径方向幅が大きく拡大すると、第1トレイを第2トレイの移動軌跡に近づけて搬送することが困難となる。なお、特許文献1には、トレイの全長を長くすることや、その場合に生じ得る課題について、一切記載されていない。
【0005】
そこで、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅が大きくなる程度を低く抑えつつ、トレイの全長を長くすることが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るトレイは、板状に形成された本体部を備え、搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイであって、前記搬送経路に沿う方向を前後方向とし、平面視で前記前後方向に交差する方向を幅方向として、前記搬送経路には、平面視で曲線状に形成された曲線状経路部が含まれ、前記搬送装置は、前記搬送経路の前記幅方向の両側縁に沿って配置されていると共に前記幅方向の内側を向く案内面を備えた案内壁を、少なくとも前記曲線状経路部に備え、前記本体部の上面は、物品が載置される載置面として用いられ、前記本体部は、中間部と、前記中間部に対して前記前後方向の前方側に隣接する前部と、前記中間部に対して前記前後方向の後方側に隣接する後部と、を備え、前記中間部は、平面視で矩形状に形成され、前記前部は、平面視で前記前方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、前記後部は、平面視で前記後方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成されている。
そして、トレイの第1の態様では、前記搬送経路には、水平面を基準とした搬送面の角度が変化する搬送面角度変化部が含まれ、前記中間部の底面は、前記搬送面に沿う平面状に形成された基準平面部を備え、前記前部の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記基準平面部に対して傾斜した前方傾斜面部を備え、前記後部の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記基準平面部に対して傾斜した後方傾斜面部を備えている。
また、トレイの第2の態様では、前記中間部の前記前後方向の中央領域における前記幅方向の両側面に、前記前後方向の中心位置へ向かうに従って前記幅方向の中央部へ向かうように窪むくびれ部が形成されている。
【0007】
本構成によれば、中間部が、平面視で矩形状に形成されているため、物品を載置する載置面を適切に確保することができる。そして、本構成によれば、前部及び後部の双方が、平面視で前後方向の先端部側へ向かうに従って幅方向に小さくなる台形状に形成されているため、前部及び後部が平面視で矩形状に形成される場合に比べて、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることができる。これにより、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅が大きくなる程度を低く抑えつつ、トレイの全長を長くすることが可能となっている。なお、本構成では、搬送装置が備える案内壁によって曲線状経路部におけるトレイの移動を案内することができるが、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることで、案内壁の幅方向の間隔を小さく抑えて搬送装置の大型化を抑制することもできる。
下り傾斜での水平面を基準とした搬送面の角度が負となり、上り傾斜での水平面を基準とした搬送面の角度が正となるように、搬送面の角度を定義した場合、搬送面が水平面に沿う状態から上り傾斜した状態に変化する搬送面角度変化部や、搬送面が下り傾斜した状態から水平面に沿う状態に変化する搬送面角度変化部等において、搬送面の角度が大きくなる側に変化する。第1の態様のトレイによれば、このように搬送面の角度が大きくなる側に変化する搬送面角度変化部においてトレイの姿勢が変化する過程で、前方傾斜面部や後方傾斜面部の存在によって本体部の下面と搬送面との接触面積を適切に確保しやすくなる。よって、これらの前方傾斜面部や後方傾斜面部が設けられない場合に比べて、搬送面角度変化部においてトレイを安定的に搬送しやすくなる。なお、搬送面の角度が変化しない搬送面角度一定部においては、基準平面部と搬送面との接触により、本体部の下面と搬送面との接触面積を適切に確保することができる。
曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の内径は、中間部の前後方向の中央領域における幅方向の側面(具体的には、内側の側面)の移動軌跡に応じて定まる。第2の態様のトレイによれば、中間部の前後方向の中央領域における幅方向の両側面にくびれ部が形成されているため、このようなくびれ部が形成されていない場合に比べて、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることができる。よって、トレイの全長を長くする場合であっても、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えやすくなる。
本開示に係る搬送設備は、第1トレイと、搬送装置と、を備えた搬送設備であって、前記第1トレイは、板状に形成された本体部を備え、前記搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイであり、前記搬送経路に沿う方向を前後方向とし、平面視で前記前後方向に交差する方向を幅方向として、前記搬送経路には、平面視で曲線状に形成された曲線状経路部が含まれ、前記搬送装置は、前記搬送経路の前記幅方向の両側縁に沿って配置されていると共に前記幅方向の内側を向く案内面を備えた案内壁を、少なくとも前記曲線状経路部に備え、前記本体部の上面は、物品が載置される載置面として用いられ、前記本体部は、中間部と、前記中間部に対して前記前後方向の前方側に隣接する前部と、前記中間部に対して前記前後方向の後方側に隣接する後部と、を備え、前記中間部は、平面視で矩形状に形成され、前記前部は、平面視で前記前方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、前記後部は、平面視で前記後方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、前記搬送装置によって前記搬送経路に沿って搬送される第2トレイを更に備え、前記本体部を第1本体部として、前記第2トレイは、前記第1本体部より前記前後方向の長さが短い板状の第2本体部を備えている。
上述したように、本開示のトレイである第1トレイは、曲線状経路部における移動軌跡の径方向幅が大きくなる程度を低く抑えつつ、全長を長くすることができる。そのため、第1トレイを、曲線状経路部において、第1トレイより全長の短い第2トレイの移動軌跡に近づけて搬送することができ、本構成のように第1トレイと第2トレイとを混流させて搬送する搬送設備を構築しやすい。
【0008】
トレイの更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】搬送面角度変化部における第1トレイの側面図
【
図8】第1トレイと第2トレイとの平面視形状の比較図
【
図9】第1トレイと第2トレイとの側面視形状の比較図
【発明を実施するための形態】
【0010】
トレイ及び搬送設備の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、本開示に係るトレイである第1トレイを、第1トレイより全長の短い第2トレイを搬送するための搬送設備に混流させて搬送する場合を例として説明する。本実施形態では、第1トレイ1が「トレイ」に相当する。
【0011】
図2~
図4に示すように、第1トレイ1は、板状に形成された第1本体部10を備えている。第1本体部10の上面(上方側Z1を向く面)は、物品9(
図1参照)が載置される第1載置面11として用いられる。なお、上方側Z1は、上下方向Z(鉛直方向)の上方へ向かう側であり、後述する下方側Z2は、上下方向Zの下方へ向かう側である。
図8及び
図9に示すように、第2トレイ2は、第1本体部10より前後方向Xの長さが短い板状の第2本体部20を備えている。第2本体部20の上面は、物品9(
図1参照)が載置される第2載置面21として用いられる。
図1に示すように、第1トレイ1は、搬送装置3によって搬送経路4に沿って搬送され、第2トレイ2も、搬送装置3によって搬送経路4に沿って搬送される。第1トレイ1や第2トレイ2は、例えば、空港において手荷物等の物品9(例えば、スーツケース)を載せて搬送するために用いられる。第1トレイ1には、第2トレイ2に載せることができないような長尺状の物品9(例えば、ゴルフバッグ)が載せられる。本実施形態では、第1本体部10が「本体部」に相当し、第1載置面11が「載置面」に相当する。
【0012】
ここで、
図4に示すように、搬送経路4に沿う方向を前後方向Xとする。言い換えれば、第1トレイ1は、当該第1トレイ1の前後方向Xが搬送経路4に沿う向きで配置され、第2トレイ2は、当該第2トレイ2の前後方向Xが搬送経路4に沿う向きで配置される。
図1に示すように、搬送経路4には、平面視(上下方向Zに沿う方向視)で曲線状に形成された曲線状経路部42が含まれる。曲線状経路部42上の各点では、搬送経路4を曲線で表した場合の各点での平面視での接線に沿う方向が、搬送経路4に沿う方向(すなわち、前後方向X)となる。言い換えれば、
図5に示すように、第1トレイ1は、曲線状経路部42上の各点において、当該第1トレイ1の前後方向Xが曲線状経路部42上の各点における上記接線に沿う向きで配置され、第2トレイ2は、曲線状経路部42上の各点において、当該第2トレイ2の前後方向Xが曲線状経路部42上の各点における上記接線に沿う向きで配置される。また、
図4及び
図5に示すように、平面視で前後方向Xに交差する方向(具体的には、前後方向Xに直交する方向)を幅方向Yとする。搬送経路4が水平面Hに沿って延びる箇所においては、前後方向X及び幅方向Yは、いずれも水平面Hに沿う水平方向である。前後方向Xは、第1トレイ1や第2トレイ2の平面視での長手方向に相当し、幅方向Yは、第1トレイ1や第2トレイ2の平面視での短手方向に相当する。
【0013】
図1に示すように、搬送設備100は、第1トレイ1及び搬送装置3を備える設備であり、第1トレイ1を搬送装置3によって搬送経路4に沿って搬送する。本実施形態では、搬送設備100は、更に第2トレイ2を備える設備であり、第1トレイ1及び第2トレイ2を搬送装置3によって搬送経路4に沿って搬送する。このように第1トレイ1及び搬送装置3(本実施形態では、更に第2トレイ2)を備える搬送設備100も、本明細書に開示されている。
【0014】
図1及び
図5に示すように、搬送装置3は、案内壁30を少なくとも曲線状経路部42に備えている。案内壁30は、搬送経路4の幅方向Yの両側縁に沿って配置されていると共に幅方向Yの内側を向く案内面30a(
図4、
図5参照)を備えている。本実施形態では、搬送経路4には、平面視で直線状に形成された直線状経路部41が含まれており、
図1及び
図4に示すように、搬送装置3は、案内壁30を直線状経路部41にも備えている。案内壁30は、案内面30aが第1トレイ1や第2トレイ2の側面に接触する高さに設けられており、第1トレイ1や第2トレイ2は、幅方向Yの両側への移動を案内面30aにより規制された状態で、搬送経路4に沿って移動する。
図4に示すように、案内壁30の上方側Z1の端部は、第1載置面11より上方側Z1に配置されており、案内壁30は、第1載置面11に載せられた物品9が第1トレイ1から幅方向Yに滑り出ることを抑制する機能も有している。同様に、案内壁30の上方側Z1の端部は、第2載置面21より上方側Z1に配置されており、案内壁30は、第2載置面21に載せられた物品9が第2トレイ2から幅方向Yに滑り出ることを抑制する機能も有している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、搬送装置3は、第1搬送装置31及び第2搬送装置32を備えている。第1搬送装置31は、直線状経路部41において第1トレイ1(本実施形態では、更に第2トレイ2)を搬送する装置であり、第2搬送装置32は、曲線状経路部42において第1トレイ1(本実施形態では、更に第2トレイ2)を搬送する装置である。なお、
図5では第2搬送装置32を省略している。
【0016】
第1搬送装置31の構成はこれに限定されないが、
図1及び
図4に示すように、本例では、第1搬送装置31は、幅方向Yに間隔を空けて配置された2つのベルト31a(搬送機構の一例)を備えており、第1トレイ1や第2トレイ2は、これら2つのベルト31aによって幅方向Yの両側から支持された状態で搬送される。ベルト31aのそれぞれは、複数のプーリ31bに巻き掛けられており(
図6参照)、第1搬送装置31は、駆動用のプーリ31bを回転させて2つのベルト31aを駆動(循環駆動)することで、2つのベルト31aに載置された第1トレイ1や第2トレイ2を搬送する。本例では、2つのベルト31aのそれぞれの上面を含む平面が、第1搬送装置31の搬送面Tを構成している。
【0017】
第2搬送装置32の構成はこれに限定されないが、
図1に示すように、本例では、第2搬送装置32は、幅方向Yに間隔を空けて配置された内周側ローラ32a及び外周側ローラ32bを備えており、第1トレイ1や第2トレイ2は、これらの内周側ローラ32a及び外周側ローラ32bによって幅方向Yの両側から支持された状態で搬送される。内周側ローラ32aは、曲線状経路部42における幅方向Yの中心に対して内周側(旋回中心に近づく側)において、搬送方向に沿って複数並べて配置され、外周側ローラ32bは、曲線状経路部42における幅方向Yの中心に対して外周側(旋回中心から離れる側)において、搬送方向に沿って複数並べて配置されている。第2搬送装置32は、駆動用のローラ(内周側ローラ32a及び外周側ローラ32bの一方又は双方)を回転させることで、内周側ローラ32a及び外周側ローラ32bに載置された第1トレイ1や第2トレイ2を搬送する。本例では、複数の内周側ローラ32a及び複数の外周側ローラ32bのそれぞれの上端を含む平面が、第2搬送装置32の搬送面Tを構成している。
【0018】
図2に示すように、本実施形態では、第1本体部10の上面には、上方側Z1に突出すると共に幅方向Yに延びる突条部である第1突条部11aが、前後方向Xに間隔を空けて複数形成されている。そして、前後方向Xに並ぶ複数の第1突条部11aのそれぞれの上面の集合によって、第1載置面11が形成されている。また、
図9に示すように、本実施形態では、第2本体部20の上面には、上方側Z1に突出すると共に幅方向Yに延びる突条部である第2突条部21aが、前後方向Xに間隔を空けて複数形成されている。そして、前後方向Xに並ぶ複数の第2突条部21aのそれぞれの上面の集合によって、第2載置面21が形成されている。第1本体部10の上面に第1突条部11aを形成することで、第1載置面11に載せられた物品9が第1載置面11上を前後方向Xに移動することを抑制でき、第2本体部20の上面に第2突条部21aを形成することで、第2載置面21に載せられた物品9が第2載置面21上を前後方向Xに移動することを抑制できる。
【0019】
本実施形態では、第1載置面11は、前後方向Xの中央部へ向かうに従って下方側Z2へ向かうように傾斜している。
図4に示す第1トレイ1の側面図において、幅方向Yの中央部における第1本体部10の上面を破線で示すように、本例では、幅方向Yの少なくとも中央部において、第1載置面11が、前後方向Xの中央部へ向かうに従って下方側Z2へ向かうように傾斜している。また、本例では、第1載置面11は、前後方向Xの両側の部分を除く中間部分(中央部を含む部分)において高さが前後方向Xに沿って均一に形成されており、前後方向Xの両側の部分(両側の端部を含む部分)において、前後方向Xの中央部へ向かうに従って下方側Z2へ向かうように傾斜している。
図9に示すように、本実施形態では、第2載置面21は、前後方向Xの寸法が異なる点を除いて、第1載置面11と同様に上記のように傾斜している。第1載置面11を上記のように傾斜させることで、第1載置面11に載せられた物品9が第1載置面11上を前後方向Xに移動することを抑制でき、第2載置面21を上記のように傾斜させることで、第2載置面21に載せられた物品9が第2載置面21上を前後方向Xに移動することを抑制できる。
【0020】
本実施形態では、
図2に示すように、第1載置面11は、幅方向Yの中央部へ向かうに従って下方側Z2へ向かうように傾斜している。本例では、前後方向Xの全域において、第1載置面11が、幅方向Yの中央部へ向かうに従って下方側Z2へ向かうように傾斜している。また、本実施形態では、第2載置面21は、第1載置面11と同様に上記のように傾斜している。第1載置面11を上記のように傾斜させることで、第1載置面11に載せられた物品9が第1載置面11上を幅方向Yに移動することを抑制でき、第2載置面21を上記のように傾斜させることで、第2載置面21に載せられた物品9が第2載置面21上を幅方向Yに移動することを抑制できる。
【0021】
図2及び
図3に示すように、第1本体部10は、第1中間部12と、第1中間部12に対して前後方向Xの前方側X1に隣接する第1前部13と、第1中間部12に対して前後方向Xの後方側X2に隣接する第1後部14と、を備えている。なお、前方側X1は、前後方向Xの前方へ向かう側(すなわち、搬送経路4の下流側)であり、後方側X2は、前後方向Xの後方へ向かう側(すなわち、搬送経路4の上流側)である。これらの第1中間部12、第1前部13、及び第1後部14(本実施形態では、更に、後述する第1端部ストッパ15)は、一体成形技術(例えば、発泡ポリプロピレン等の発泡樹脂を加熱発泡させる成形技術)によって一体的に形成されている。本実施形態では、第1中間部12が「中間部」に相当し、第1前部13が「前部」に相当し、第1後部14が「後部」に相当する。
【0022】
図4に示すように、第1中間部12は、平面視で矩形状(正方形状を含む)に形成され、第1前部13は、平面視で前方側X1へ向かうに従って幅方向Yに小さくなる台形状に形成され、第1後部14は、平面視で後方側X2へ向かうに従って幅方向Yに小さくなる台形状に形成されている。平面視で矩形状とは、平面視における外形形状が、矩形であること又は全体としておよそ矩形であることを意味し、平面視で台形状とは、平面視における外形形状が、台形であること又は全体としておよそ台形であることを意味する。後述するように、本実施形態では、第1中間部12にくびれ部18aが形成されており、第1中間部12の平面視での外形形状は、およそ矩形となっている。また、本実施形態では、第1中間部12の前後方向Xの長さは、第1中間部12の幅方向Yの長さより大きく、第1中間部12は、平面視で長方形状に形成されている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、第1中間部12の底面(下方側Z2を向く面)は、搬送面Tに沿う平面状に形成された第1基準平面部12aを備え、第1前部13の底面は、前方側X1へ向かうに従って上方側Z1へ向かうように第1基準平面部12aに対して傾斜した第1前方傾斜面部13aを備え、第1後部14の底面は、後方側X2へ向かうに従って上方側Z1へ向かうように第1基準平面部12aに対して傾斜した第1後方傾斜面部14aを備えている。本例では、
図4に示すように、第1前部13の底面における後方側X2の部分、及び第1後部14の底面における前方側X1の部分は、搬送面Tに沿う平面状(第1基準平面部12aに連続する平面状)に形成されている。第1トレイ1は、後述する搬送面角度変化部40を除いて、第1基準平面部12aが搬送面Tに接触した状態で搬送装置3により搬送される(
図4参照)。本実施形態では、第1基準平面部12aが「基準平面部」に相当し、第1前方傾斜面部13aが「前方傾斜面部」に相当し、第1後方傾斜面部14aが「後方傾斜面部」に相当する。
【0024】
図2及び
図4に示すように、第1本体部10における前後方向Xの両端部に、第1載置面11に対して上方側Z1に突出する第1端部ストッパ15が形成されている。具体的には、第1前部13における前方側X1の端部と、第1後部14における後方側X2の端部とのそれぞれに、第1端部ストッパ15が形成されている。
図4に示すように、第1端部ストッパ15は、平面視で幅方向Yに沿って延びるように形成されている。そして、第1端部ストッパ15における幅方向Yの両端部は、第1端部ストッパ15における幅方向Yの中央部と、前後方向Xの同じ位置に配置されている。このような構成とは異なり、例えば、第1端部ストッパ15における幅方向Yの両側の部分が、幅方向Yの外側(第1トレイ1における幅方向Yの中心から離れる側)へ向かうに従って前後方向Xの内側(第1トレイ1における前後方向Xの中心へ向かう側)へ向かう形状に形成され、第1端部ストッパ15における幅方向Yの両端部が、第1端部ストッパ15における幅方向Yの中央部に対して、前後方向Xの内側に配置される構成とすることもできる。本実施形態では、第1端部ストッパ15が「端部ストッパ」に相当する。
【0025】
図3に示すように、本実施形態では、第1本体部10の底面における第1端部ストッパ15の形成位置に対応する部分のそれぞれに、第1端部ストッパ15の上端部15aを嵌入させることが可能な形状の、上方側Z1に窪む凹部16が形成されている。具体的には、第1前部13の底面における前方側X1の端部と、第1後部14の底面における後方側X2の端部とのそれぞれに、凹部16が形成されている。これにより、
図7に示すように、下方側Z2の第1トレイ1に形成された2つの第1端部ストッパ15のそれぞれを、上方側Z1の第1トレイ1に形成された凹部16に嵌入させるようにして、第1トレイ1(具体的には、物品9が載せられていない状態の空の第1トレイ1)を段積みすることが可能となっている。なお、
図3に示すように、本実施形態では、第1本体部10の底面における四隅(具体的には、前後方向Xの両端部のそれぞれにおける幅方向Yの両端部)に、段積み装置により第1トレイ1をクランプするための凹部(被クランプ部19)が形成されており、段積み装置が備える4つのクランプ部(爪部)をそれぞれ対応する被クランプ部19に挿入することで、第1トレイ1の段積みや段ばらしを行うことが可能となっている。
【0026】
図8及び
図9に示すように、第2本体部20は、第2中間部22と、第2中間部22に対して前方側X1に隣接する第2前部23と、第2中間部22に対して後方側X2に隣接する第2後部24と、を備えている。これらの第2中間部22、第2前部23、及び第2後部24(本実施形態では、更に、後述する第2端部ストッパ25)は、一体成形技術(例えば、発泡ポリプロピレン等の発泡樹脂を加熱発泡させる成形技術)によって一体的に形成されている。
図4に示すように、第2中間部22は、平面視で矩形状に形成され、第2前部23は、平面視で前方側X1へ向かうに従って幅方向Yに小さくなる台形状に形成され、第2後部24は、平面視で後方側X2へ向かうに従って幅方向Yに小さくなる台形状に形成されている。
【0027】
図9に示すように、第2本体部20における前後方向Xの中間部分(具体的には、第2中間部22)の底面は、搬送面Tに沿う平面状に形成された第2基準平面部22aを備え、第2本体部20における前方側X1の部分(具体的には、第2前部23)の底面は、前方側X1へ向かうに従って上方側Z1へ向かうように第2基準平面部22aに対して傾斜した第2前方傾斜面部23aを備え、第2本体部20における後方側X2の部分(具体的には、第2後部24)の底面は、後方側X2へ向かうに従って上方側Z1へ向かうように第2基準平面部22aに対して傾斜した第2後方傾斜面部24aを備えている。第2トレイ2は、後述する搬送面角度変化部40を除いて、第2基準平面部22aが搬送面Tに接触した状態で搬送装置3により搬送される。
【0028】
図9に示すように、第2本体部20における前後方向Xの両端部に、第2載置面21に対して上方側Z1に突出する第2端部ストッパ25が形成されている。具体的には、第2前部23における前方側X1の端部と、第2後部24における後方側X2の端部とのそれぞれに、第2端部ストッパ25が形成されている。第1端部ストッパ15の第1載置面11からの高さを第1高さP1とし、第2端部ストッパ25の第2載置面21からの高さを第2高さP2として、第1高さP1は第2高さP2より大きい。本実施形態では、前後方向Xの両側に形成された第1端部ストッパ15は、第1載置面11からの高さが互いに等しく、前後方向Xの両側に形成された第2端部ストッパ25は、第2載置面21からの高さが互いに等しい。なお、
図9では、第1高さP1の基準となる第1載置面11の高さを、第1載置面11における前後方向X及び幅方向Yのそれぞれの中央部の高さとし、第2高さP2の基準となる第2載置面21の高さを、第2載置面21における前後方向X及び幅方向Yのそれぞれの中央部の高さとしている。本実施形態では、第1載置面11における前後方向X及び幅方向Yのそれぞれの中央部の高さは、第2載置面21における前後方向X及び幅方向Yのそれぞれの中央部の高さに等しい。
【0029】
本実施形態では、第1トレイ1は、前後方向Xの中心位置C(
図4参照)に対して前方側X1の部分と後方側X2の部分とが、当該中心位置Cにおいて前後方向Xに直交する面を対称面として、互いに鏡像対称となる形状に形成されている。第2トレイ2も同様に形成されている。そのため、後に参照する
図9において、第1長さL1は第3長さL3に等しく、第2長さL2は第4長さL4に等しく、第5長さL5は第7長さL7に等しく、第6長さL6は第8長さL8に等しく、第9長さL9は第11長さL11に等しく、第10長さL10は第12長さL12に等しい。また、本実施形態では、第1トレイ1は、幅方向Yの中心位置に対して幅方向Yの一方側の部分と幅方向Yの他方側の部分とが、当該中心位置において幅方向Yに直交する面を対称面として、互いに鏡像対称となる形状に形成されている。第2トレイ2も同様に形成されている。第1トレイ1及び第2トレイ2がこのように形成されているため、第1トレイ1や第2トレイ2は、前後方向Xの方向性がなく、前後方向Xのいずれの側も前方側X1とすることができる。
【0030】
図6に示すように、本実施形態では、搬送経路4(ここでは、直線状経路部41)には、水平面Hを基準とした搬送面Tの角度が変化する搬送面角度変化部40が含まれている。本明細書では、下り傾斜での水平面Hを基準とした搬送面Tの角度が負となり、上り傾斜での水平面Hを基準とした搬送面Tの角度が正となるように、水平面Hを基準とした搬送面Tの角度を定義する。
図6に示す搬送面角度変化部40は、搬送面Tの角度が大きくなる側に変化する(具体的には、0度から15度に変化する)搬送面角度変化部40である。すなわち、
図6に示す例では、搬送面角度変化部40での搬送面Tの交差角度A2は15度とされている。交差角度A2は、搬送面角度変化部40に対して上流側(後方側X2)の搬送面Tの角度(
図6に示す例では、0度)を基準とする、搬送面角度変化部40に対して下流側(前方側X1)の搬送面Tの角度(
図6に示す例では、15度)である。当然ながら、交差角度A2は15度以外であってもよく、例えば、20度以下の角度とすることができる。
【0031】
第1トレイ1が搬送面角度変化部40を通過する際には、第1トレイ1の姿勢は、搬送面角度変化部40に対して上流側の搬送面Tに第1基準平面部12aが接触する第1姿勢(
図6に示す第1トレイ1の姿勢)から、搬送面角度変化部40に対して下流側の搬送面Tに第1基準平面部12aが接触する第2姿勢に変化する。第1トレイ1の姿勢がこのように変化する過程で(具体的には、第1トレイ1の姿勢が第1姿勢から変化する前後において)、
図6に示すように、第1前方傾斜面部13a(具体的には、第1前方傾斜面部13aにおける幅方向Yの両側の部分)が搬送面角度変化部40に対して下流側の搬送面Tに接触する。また、図示は省略するが、第1トレイ1の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変化する過程で(具体的には、第1トレイ1の姿勢が第2姿勢に変化する前後において)、第1後方傾斜面部14a(具体的には、第1後方傾斜面部14aにおける幅方向Yの両側の部分)が搬送面角度変化部40に対して上流側の搬送面Tに接触する。このように第1前方傾斜面部13aや第1後方傾斜面部14aを搬送面T(ここでは、ベルト31aの上面)に接触させることで、第1トレイ1の姿勢が変化する過程で、第1本体部10の下面と搬送面Tとの接触面積を適切に確保しやすくなっている。
【0032】
本実施形態では、第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aは、第1基準平面部12aに対して互いに同じ角度傾斜している。そして、第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aのそれぞれの第1基準平面部12aに対する傾斜角度A1(
図7参照)は、搬送経路4の中で搬送面Tの角度変化(具体的には、搬送面Tの角度が大きくなる側への角度変化)が最大である搬送面角度変化部40での搬送面Tの交差角度A2に対応している。傾斜角度A1が交差角度A2に対応しているとは、傾斜角度A1が交差角度A2を基準として設定された角度であることを意味し、傾斜角度A1が交差角度A2に等しい場合と、傾斜角度A1が交差角度A2に対して設定角度異なる場合との双方を含む概念である。後者の場合の設定角度は、例えば、ベルト31aの張力等を考慮して設定される。
図6に示す搬送面角度変化部40は、搬送経路4の中で搬送面Tの角度変化が最大である搬送面角度変化部40であり、
図6に示す例では、傾斜角度A1(
図7参照)は、当該搬送面角度変化部40での搬送面Tの交差角度A2に等しい。
【0033】
図4の平面図に一例を示すように、搬送経路4には、第1トレイ1や第2トレイ2の位置(前後方向Xの位置)を検出するためのセンサ5が設けられている。このセンサ5は、幅方向Yに検出光5aを投射して第1トレイ1や第2トレイ2を検出するように構成されており、本例では、検出光5aの非存在により第1トレイ1や第2トレイ2を検出する遮光式の光電スイッチ(光電センサ)とされている。第1トレイ1の前方側X1の先端位置と第1トレイ1のセンサ5による被検出部との前後方向Xの位置関係から、第1トレイ1の先端部(前方側X1の端部)の到達をセンサ5により検出することができ、同様に、第2トレイ2の先端部の到達をセンサ5により検出することができる。本実施形態では、第1トレイ1や第2トレイ2の位置は、搬送装置3の搬送作動を制御する制御装置(具体的には、搬送装置3に設けられた機器コントローラに指令を出す上位コントローラ)によって管理されており、この制御装置は、センサ5により検出される、第1トレイ1や第2トレイ2の到達時点(具体的には、先端部の到達時点)の情報に基づき、管理している第1トレイ1や第2トレイ2の位置を補正するように構成されている。センサ5の検出情報は、例えば、第1トレイ1や第2トレイ2の停止位置の制御に用いられる。第1トレイ1の前方側X1の先端位置と第1トレイ1のセンサ5による被検出部との前後方向Xの位置関係を、第2トレイ2の前方側X1の先端位置と第2トレイ2のセンサ5による被検出部との前後方向Xの位置関係と同一或いは同程度とすることで、トレイを目標位置に先端部がはみ出さないように停止させるための制御構成及び制御ロジックの簡素化を図ることができる。具体的には、センサ5によりトレイの到達が検出されたタイミングで減速を開始してトレイを停止させる制御を行う場合に、停止させるトレイが第1トレイ1であるか第2トレイ2であるかによって減速時間を変更しなくても、トレイを目標位置に先端部がはみ出さないよう停止させることができる。
【0034】
本実施形態では、以下に説明するように第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aに被検出部としての突部17を形成することで、上記2つの位置関係を同一或いは同程度とすることを可能としている。
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aのそれぞれにおける幅方向Yの中央部に、幅方向Yの両側の部分に対して下方側Z2に突出する突部17が形成されている。突部17の底面は、第1基準平面部12aと同じ高さ又はそれより上方側Z1に(本実施形態では、第1基準平面部12aより上方側Z1に)、第1基準平面部12aに沿うように配置されている。なお、突部17の底面が、第1基準平面部12aに沿わないように(例えば、第1基準平面部12aに対して傾斜した面に沿って)配置されていてもよい。
【0035】
本実施形態では、第1前方傾斜面部13aに形成された突部17の前方側X1の端面は、下方側Z2へ向かうに従って後方側X2へ向かうように傾斜しており(
図4、
図7参照)、第1後方傾斜面部14aに形成された突部17の後方側X2の端面は、下方側Z2へ向かうに従って前方側X1へ向かうように傾斜している(
図4参照)。本実施形態では、上述したように、第1本体部10の底面における前後方向Xの両側に凹部16が形成されており、第1前方傾斜面部13aに形成された突部17は、前方側X1の凹部16に対して後方側X2に配置され(
図4及び
図7参照)、第1後方傾斜面部14aに形成された突部17は、後方側X2の凹部16に対して前方側X1に配置されている(
図4参照)。
【0036】
図示は省略するが、センサ5は、突部17が形成されている高さに検出光5aを投射するように構成されている。そのため、
図9に示すように、第1トレイ1の前方側X1の端部と第1前方傾斜面部13aに形成された突部17との間の前後方向Xに沿う長さ(離間距離)を第5長さL5として、第1トレイ1の前方側X1の先端位置に対して後方側X2に第5長さL5ずれた位置が、センサ5により検出される。なお、第1前方傾斜面部13aに形成された突部17の前方側X1の端面は、下方側Z2へ向かうに従って後方側X2へ向かうように傾斜しているため、センサ5により検出される位置は、第1トレイ1の前方側X1の先端位置に対して後方側X2に第5長さL5ずれた位置より、更に後方側X2に所定長さずれた位置となり得る。なお、
図9では、第1トレイ1の後方側X2の端部と第1後方傾斜面部14aに形成された突部17との間の前後方向Xに沿う長さを第7長さL7としている。
【0037】
一方、第2トレイ2(具体的には、第2前部23)の底面は、第2前方傾斜面部23aの前方側X1の端部から上方側Z1に延びる第1面(前方側X1を向く面)を、検出光5aが投射される高さに備えている。そのため、
図9に示すように、第2トレイ2の前方側X1の端部と上記第1面との間の前後方向Xに沿う長さを第6長さL6として、第2トレイ2の前方側X1の先端位置に対して後方側X2に第6長さL6ずれた位置が、センサ5により検出される。なお、第2トレイ2(具体的には、第2後部24)の底面は、第2後方傾斜面部24aの後方側X2の端部から上方側Z1に延びる第2面(後方側X2を向く面)を、検出光5aが投射される高さに備えており、
図9では、第2トレイ2の後方側X2の端部と上記第2面との間の前後方向Xに沿う長さを第8長さL8としている。
【0038】
本実施形態では、第5長さL5が第6長さL6と一致或いは概ね一致するように突部17を形成しており、これにより、上述したように、第1トレイ1の前方側X1の先端位置と第1トレイ1のセンサ5による被検出部との前後方向Xの位置関係が、第2トレイ2の前方側X1の先端位置と第2トレイ2のセンサ5による被検出部との前後方向Xの位置関係と同一或いは同程度となっている。なお、第1前方傾斜面部13aや第1後方傾斜面部14aに突部17を形成することで、
図6に示すように、搬送面角度変化部40を第1トレイ1が通過する際に突部17が搬送面Tに対して下方側Z2の部分に入り込むが、突部17は第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aのそれぞれにおける幅方向Yの中央部に形成されているため、突部17との干渉を避けるように搬送装置3(具体的には、プーリ31bを回転させるモータや減速機等)を設けることが容易となっている。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、第1中間部12の前後方向Xの中央領域(前後方向Xの中央部を含む領域)における幅方向Yの両側面に、前後方向Xの中心位置Cへ向かうに従って幅方向Yの中央部へ向かうように窪むくびれ部18aが形成されている。本例では、くびれ部18aは、第1中間部12におけるくびれ部18aが形成されている部分の側面形状が平面視で円弧状となるように形成されている。
図2~
図4に示すように、第1中間部12の幅方向Yの両側面におけるくびれ部18aに対して前方側X1及び後方側X2の部分は、幅方向Yに直交する平面状に形成されており、これらの部分は、案内面30aに接触案内される被案内部18bを構成している。詳細は省略するが、このようにくびれ部18aに対して前後方向Xの両側に被案内部18bを設けることで、第1トレイ1の姿勢を水平姿勢から傾斜姿勢(幅方向Yの一方側が幅方向Yの他方側に対して下方側Z2に位置する姿勢)に切り替えて、第1トレイ1に載せられた物品9を幅方向Yの一方側に滑動排出させる際に、くびれ部18aに対して前後方向Xの両側の被案内部18bを下方側Z2から支持することで、第1トレイ1を傾斜姿勢に適切に維持することができる。
【0040】
図8に示すように、くびれ部18aが形成されている部分における第1中間部12(中間部)の幅方向Yの最小寸法を第1寸法D1とし、第2本体部20における前後方向Xの中央部の幅方向Yの寸法を第2寸法D2として、本実施形態では、第1寸法D1は第2寸法D2より短い。本実施形態では、第2中間部22は、幅方向Yの寸法が前後方向Xに沿って均一に形成されており、第2寸法D2は、第2中間部22の幅方向Yの寸法に等しい。また、本実施形態では、被案内部18bが形成されている部分における第1中間部12の幅方向Yの寸法は、第2寸法D2に等しい。すなわち、本実施形態では、第1トレイ1の幅方向Yの最大寸法(本例では、被案内部18bが形成されている部分における第1中間部12の幅方向Yの寸法)は、第2トレイ2の幅方向Yの最大寸法(本例では、第2中間部22の幅方向Yの寸法)に等しい。
【0041】
上述したように、第1トレイ1の第1前部13は、平面視で前方側X1へ向かうに従って幅方向Yに小さくなる台形状に形成され、第1トレイ1の第1後部14は、平面視で後方側X2へ向かうに従って幅方向Yに小さくなる台形状に形成されている。そのため、曲線状経路部42における第1トレイ1の移動軌跡の径方向幅(移動軌跡の内径と外径との差)を小さく抑えることができ、
図5に示すように、曲線状経路部42における第1トレイ1の移動軌跡を当該曲線状経路部42における第2トレイ2の移動軌跡に近づけることが可能となっている。なお、第1トレイ1の移動軌跡は、第1トレイ1が移動する空間(すなわち、第1トレイ1の各部の移動軌跡の集合)であり、第2トレイ2の移動軌跡は、第2トレイ2が移動する空間(すなわち、第2トレイ2の各部の移動軌跡の集合)である。本実施形態では、第1トレイ1の第1中間部12にくびれ部18aが形成されているため、曲線状経路部42における第1トレイ1の移動軌跡を当該曲線状経路部42における第2トレイ2の移動軌跡により一層近づけることが可能となっている。
図5に示すように、曲線状経路部42において、第1トレイ1は、第1中間部12の側面が内周側の案内壁30の案内面30aに接触案内されると共に、第1前部13及び第1後部14のそれぞれの側面が外周側の案内壁30の案内面30aに接触案内される状態で、曲線状経路部42に沿って移動する。
【0042】
図8に示すように、本実施形態では、第1本体部10における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法は、第2本体部20における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法より小さく、第1本体部10における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法は、第2本体部20における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法より小さい。本実施形態では、第1本体部10における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法は、第1本体部10における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法と等しく、
図8ではこの寸法を第3寸法D3としている。また、本実施形態では、第2本体部20における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法は、第2本体部20における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法に等しく、
図8ではこの寸法を第4寸法D4としている。
【0043】
台形における互いに平行な2辺(底辺)のうちの長さが短い方を上底として、ここでは、平面視で第1前部13の外形が形成する台形における上底の長さを、第1本体部10における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法とし、平面視で第1後部14の外形が形成する台形における上底の長さを、第1本体部10における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法としている。また、平面視で第2前部23の外形が形成する台形における上底の長さを、第2本体部20における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法とし、平面視で第2後部24の外形が形成する台形における上底の長さを、第2本体部20における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法としている。なお、平面視での外形形状が、全体としておよそ台形である場合には、上底とみなすことができる部分の長さ(幅方向Yに沿う長さ)を、台形における上底の長さとする。
図8に示す例では、第2前部23や第2後部24の平面視における外形形状は、全体としておよそ台形(具体的には、上底に相当する辺が2箇所で屈曲した台形)であり、上底とみなすことができる部分の長さを第4寸法D4としている。
【0044】
図8に示すように、本実施形態では、第1中間部12の前後方向Xの長さ(第13長さL13)は、第1前部13の前後方向Xの長さより大きく、且つ、第1後部14の前後方向Xの長さより大きい。そして、本実施形態では、第1中間部12の前後方向Xの長さは、第2中間部22の前後方向Xの長さ(第14長さL14)より大きく、本例では、第1中間部12の前後方向Xの長さは、第2トレイ2全体の前後方向Xの長さと一致或いは概ね一致している。また、
図8に示すように、本実施形態では、第1前部13の前後方向Xの長さは、第2前部23の前後方向Xの長さより大きく、第1後部14の前後方向Xの長さは、第2後部24の前後方向Xの長さより大きい。本実施形態では、第1前部13の前後方向Xの長さは、第1後部14の前後方向Xの長さと等しく、第2前部23の前後方向Xの長さは、第2後部24の前後方向Xの長さと等しい。台形における互いに平行な2辺(底辺)の距離を高さとして、ここでは、平面視で第1前部13の外形が形成する台形の高さを、第1前部13の前後方向Xの長さとし、平面視で第1後部14の外形が形成する台形の高さを、第1後部14の前後方向Xの長さとしている。また、平面視で第2前部23の外形が形成する台形の高さを、第2前部23の前後方向Xの長さとし、平面視で第2後部24の外形が形成する台形の高さを、第2後部24の前後方向Xの長さとしている。なお、平面視での外形形状が、全体としておよそ台形である場合には、互いに平行な2辺とみなすことができる部分同士の距離(前後方向Xに沿う距離)を、台形の高さとする。
【0045】
図9に示すように、第1前方傾斜面部13aの前後方向Xの長さを第1長さL1とし、第2前方傾斜面部23aの前後方向Xの長さを第2長さL2とし、第1後方傾斜面部14aの前後方向Xの長さを第3長さL3とし、第2後方傾斜面部24aの前後方向Xの長さを第4長さL4として、本実施形態では、第1長さL1は第2長さL2より大きく、第3長さL3は第4長さL4より大きい。
【0046】
図8に示すように、本実施形態では、第1トレイ1や第2トレイ2における幅方向Yの中央部に、識別情報保持部8が設けられている。
図9に示すように、識別情報保持部8は、第1載置面11や第2載置面21に対して下方側Z2に設けられている。第1トレイ1に設けられた識別情報保持部8には、第1トレイ1の識別情報を有するRF(Radio Frequency)タグ等の記憶媒体が収容されることで、第1トレイ1の識別情報が保持されている。また、第2トレイ2に設けられた識別情報保持部8には、第2トレイ2の識別情報を有するRFタグ等の記憶媒体が収容されることで、第2トレイ2の識別情報が保持されている。識別情報保持部8は、第1トレイ1においては、前後方向Xの中央部に対して前方側X1及び後方側X2のそれぞれに設けられ、第2トレイ2においては、前後方向Xの中央部に設けられている。
【0047】
図9に示すように、第1トレイ1の前方側X1の端部と、第1トレイ1における前後方向Xの中央部に対して前方側X1に設けられた識別情報保持部8との間の、前後方向Xに沿う長さを第9長さL9とし、第2トレイ2の前方側X1の端部と識別情報保持部8との間の前後方向Xに沿う長さを第10長さL10とし、第1トレイ1の後方側X2の端部と、第1トレイ1における前後方向Xの中央部に対して後方側X2に設けられた識別情報保持部8との間の、前後方向Xに沿う長さを第11長さL11とし、第2トレイ2の後方側X2の端部と識別情報保持部8との間の前後方向Xに沿う長さを第12長さL12として、本実施形態では、第9長さL9は第10長さL10と一致或いは概ね一致し、第11長さL11は第12長さL12と一致或いは概ね一致している。上述したように、第1トレイ1や第2トレイ2の前方側X1の先端位置は、センサ5を用いて検出することができるため、このように第9長さL9を第10長さL10と一致或いは概ね一致させることで、識別情報の読取対象のトレイが第1トレイ1であるか第2トレイ2であるかにかかわらず、センサ5によりトレイの到達が検出されてから同じタイミングで読み取り機による識別情報の読み取りを行うことができる。この結果、読み取りシステムへの負担の軽減を図ることができる。なお、
図9に示す例とは異なり、第9長さL9と第10長さL10とが異なり、第11長さL11と第12長さL12とが異なる構成とすることもできる。
【0048】
〔その他の実施形態〕
次に、トレイ及び搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0049】
(1)上記の実施形態では、くびれ部18aが形成されている部分における第1中間部12の幅方向Yの最小寸法である第1寸法D1が、第2本体部20における前後方向Xの中央部の幅方向Yの寸法である第2寸法D2より短い構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1寸法D1が第2寸法D2と同じ或いはそれより長い構成とすることもできる。この場合、被案内部18bが形成されている部分における第1中間部12の幅方向Yの寸法は、第2寸法D2より長くなる。
【0050】
(2)上記の実施形態では、第1中間部12にくびれ部18aが形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1中間部12にくびれ部18aが形成されない構成とすることもできる。
【0051】
(3)上記の実施形態では、第1端部ストッパ15の第1載置面11からの高さである第1高さP1が、第2端部ストッパ25の第2載置面21からの高さである第2高さP2より大きい構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1高さP1が第2高さP2に等しい構成とすることもできる。なお、第1端部ストッパ15や第2端部ストッパ25が設けられない構成とすることも可能である。
【0052】
(4)上記の実施形態では、第1本体部10の底面に凹部16が形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1本体部10の底面に凹部16が形成されない構成とすることもできる。
【0053】
(5)上記の実施形態では、第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aのそれぞれにおける幅方向Yの中央部に突部17が形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1前方傾斜面部13aや第1後方傾斜面部14aに突部17が形成されない構成とすることもできる。
【0054】
(6)上記の実施形態では、第1載置面11が、前後方向Xの中央部へ向かうに従って下方側Z2へ向かうように傾斜している構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1載置面11の高さが、前後方向Xの全域において、前後方向Xに沿って均一に形成される構成とすることもできる。
【0055】
(7)上記の実施形態では、第1本体部10における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法が、第2本体部20における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法より小さく、第1本体部10における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法が、第2本体部20における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法より小さい構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1本体部10における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法が、第2本体部20における前方側X1の端部の幅方向Yの寸法と同じ或いはそれより大きく、第1本体部10における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法が、第2本体部20における後方側X2の端部の幅方向Yの寸法と同じ或いはそれより大きい構成とすることもできる。
【0056】
(8)上記の実施形態では、第1前方傾斜面部13aの前後方向Xの長さである第1長さL1が、第2前方傾斜面部23aの前後方向Xの長さである第2長さL2より大きく、第1後方傾斜面部14aの前後方向Xの長さである第3長さL3が、第2後方傾斜面部24aの前後方向Xの長さである第4長さL4より大きい構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1長さL1が第2長さL2と同じ或いはそれより小さく、第3長さL3が第4長さL4と同じ或いはそれより小さい構成とすることもできる。
【0057】
(9)上記の実施形態では、第1前方傾斜面部13a及び第1後方傾斜面部14aのそれぞれの第1基準平面部12aに対する傾斜角度A1が、搬送経路4の中で搬送面Tの角度変化が最大である搬送面角度変化部40での搬送面Tの交差角度A2に対応している構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、傾斜角度A1が、搬送経路4の中で搬送面Tの角度変化が最大である搬送面角度変化部40での搬送面Tの交差角度A2に対応していない構成とすることもできる。例えば、傾斜角度A1が、搬送経路4の中で搬送面Tの角度変化が最大である搬送面角度変化部40での搬送面Tの交差角度A2より大きい構成とすることができる。
【0058】
(10)上記の実施形態では、搬送経路4に搬送面角度変化部40が含まれる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、搬送経路4に搬送面角度変化部40が含まれない構成とすることもできる。この場合、上記の実施形態とは異なり、第1前部13の底面が第1前方傾斜面部13aを備えず、第1後部14の底面が第1後方傾斜面部14aを備えない構成や、第2前部23の底面が第2前方傾斜面部23aを備えず、第2後部24の底面が第2後方傾斜面部24aを備えない構成とすることもできる。
【0059】
(11)上記の実施形態では、第1トレイ1及び第2トレイ2が搬送装置3によって搬送経路4に沿って搬送される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1トレイ1のみが搬送装置3によって搬送経路4に沿って搬送される構成とすることもできる。
【0060】
(12)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0061】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明したトレイ及び搬送設備の概要について説明する。
【0062】
板状に形成された本体部を備え、搬送装置によって搬送経路に沿って搬送されるトレイであって、前記搬送経路に沿う方向を前後方向とし、平面視で前記前後方向に交差する方向を幅方向として、前記搬送経路には、平面視で曲線状に形成された曲線状経路部が含まれ、前記搬送装置は、前記搬送経路の前記幅方向の両側縁に沿って配置されていると共に前記幅方向の内側を向く案内面を備えた案内壁を、少なくとも前記曲線状経路部に備え、前記本体部の上面は、物品が載置される載置面として用いられ、前記本体部は、中間部と、前記中間部に対して前記前後方向の前方側に隣接する前部と、前記中間部に対して前記前後方向の後方側に隣接する後部と、を備え、前記中間部は、平面視で矩形状に形成され、前記前部は、平面視で前記前方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成され、前記後部は、平面視で前記後方側へ向かうに従って前記幅方向に小さくなる台形状に形成されている。
【0063】
本構成によれば、中間部が、平面視で矩形状に形成されているため、物品を載置する載置面を適切に確保することができる。そして、本構成によれば、前部及び後部の双方が、平面視で前後方向の先端部側へ向かうに従って幅方向に小さくなる台形状に形成されているため、前部及び後部が平面視で矩形状に形成される場合に比べて、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることができる。これにより、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅が大きくなる程度を低く抑えつつ、トレイの全長を長くすることが可能となっている。なお、本構成では、搬送装置が備える案内壁によって曲線状経路部におけるトレイの移動を案内することができるが、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることで、案内壁の幅方向の間隔を小さく抑えて搬送装置の大型化を抑制することもできる。
【0064】
ここで、前記搬送経路には、水平面を基準とした搬送面の角度が変化する搬送面角度変化部が含まれ、前記中間部の底面は、前記搬送面に沿う平面状に形成された基準平面部を備え、前記前部の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記基準平面部に対して傾斜した前方傾斜面部を備え、前記後部の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記基準平面部に対して傾斜した後方傾斜面部を備えていると好適である。
【0065】
下り傾斜での水平面を基準とした搬送面の角度が負となり、上り傾斜での水平面を基準とした搬送面の角度が正となるように、搬送面の角度を定義した場合、搬送面が水平面に沿う状態から上り傾斜した状態に変化する搬送面角度変化部や、搬送面が下り傾斜した状態から水平面に沿う状態に変化する搬送面角度変化部等において、搬送面の角度が大きくなる側に変化する。本構成によれば、このように搬送面の角度が大きくなる側に変化する搬送面角度変化部においてトレイの姿勢が変化する過程で、前方傾斜面部や後方傾斜面部の存在によって本体部の下面と搬送面との接触面積を適切に確保しやすくなる。よって、これらの前方傾斜面部や後方傾斜面部が設けられない場合に比べて、搬送面角度変化部においてトレイを安定的に搬送しやすくなる。なお、搬送面の角度が変化しない搬送面角度一定部においては、基準平面部と搬送面との接触により、本体部の下面と搬送面との接触面積を適切に確保することができる。
【0066】
上記のように、前記前部の底面が前記前方傾斜面部を備え、前記後部の底面が前記後方傾斜面部を備える構成において、前記前方傾斜面部及び前記後方傾斜面部のそれぞれの前記基準平面部に対する傾斜角度は、前記搬送経路の中で前記搬送面の角度変化が最大である前記搬送面角度変化部での前記搬送面の交差角度に対応していると好適である。
【0067】
本開示のトレイでは、前部及び後部が、平面視で前後方向の先端部側へ向かうに従って幅方向に小さくなる台形状に形成されている。そのため、例えば搬送装置が幅方向の両側に分かれて配置された2つの搬送機構を備える場合には、搬送面の角度が大きくなる側に変化する搬送面角度変化部をトレイが通過する際に、トレイの前方側や後方側の先端部が、2つの搬送機構の間における搬送面に対して下側の部分に入り込む可能性がある。トレイの先端部が搬送面に対して下側の部分に大きく入り込むと、トレイの先端部が搬送面に対して下側に配置された装置(例えば、搬送装置が備えるモータや減速機等)と干渉するおそれがある。
【0068】
この点に関して、本構成によれば、前方傾斜面部及び後方傾斜面部のそれぞれの基準平面部に対する傾斜角度が、搬送経路の中で搬送面の角度変化が最大である搬送面角度変化部での搬送面の交差角度に対応している。そのため、搬送面の角度変化が最大である搬送面角度変化部や搬送面の角度変化がそれより小さい搬送面角度変化部をトレイが通過する際に、前方傾斜面部や後方傾斜面部を搬送面に接触させることで、トレイの先端部が搬送面に対して下側の部分に入り込まないようにすること(或いは、大きく入り込まないようにすること)ができる。
【0069】
また、前記前方傾斜面部及び前記後方傾斜面部のそれぞれにおける前記幅方向の中央部に、前記幅方向の両側の部分に対して下方側に突出する突部が形成され、前記突部の底面は、前記基準平面部と同じ高さ又はそれより上方側に、前記基準平面部に沿うように配置されていると好適である。
【0070】
本構成によれば、トレイの位置をセンサにより検出して搬送装置によるトレイの搬送作動を制御する場合(例えば、トレイの停止位置を制御する場合)に、突部をセンサによる被検出部として用いることができる。突部の前後方向の位置は、比較的自由に設定することができるため、例えば本開示のトレイ(以下、「第1トレイ」という)を第1トレイより全長の短いトレイ(以下、「第2トレイ」という)を搬送するための既存の設備に混流させて搬送する場合に、トレイの先端位置と被検出部との前後方向の位置関係が第1トレイと第2トレイとの間で同一或いは同程度となるように、突部を設けることができる。このように、トレイの先端位置と被検出部との前後方向の位置関係を、第1トレイと第2トレイとの間で同一或いは同程度とすることで、例えばトレイを目標位置に先端部がはみ出さないように停止させる場合に第1トレイと第2トレイとの間で減速時間(センサによりトレイが検出されてからトレイが停止するまでの時間)を共通にすることが可能となる等、搬送装置によるトレイの搬送作動の制御構成及び制御ロジックの簡素化を図ることができる。
【0071】
なお、本構成によれば、突部が、前方傾斜面部及び後方傾斜面部のそれぞれにおける幅方向の中央部に設けられる。そのため、例えば搬送装置が幅方向の両側に分かれて配置された2つの搬送機構を備える場合に、搬送面角度変化部をトレイが通過する際に突部が搬送面に対して下側の部分に入り込む構成としても、突部を2つの搬送機構のそれぞれから離間させて、各搬送機構を構成する装置に突部が干渉することを回避できる。
【0072】
上記の各構成のトレイにおいて、前記中間部の前記前後方向の中央領域における前記幅方向の両側面に、前記前後方向の中心位置へ向かうに従って前記幅方向の中央部へ向かうように窪むくびれ部が形成されていると好適である。
【0073】
曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の内径は、中間部の前後方向の中央領域における幅方向の側面(具体的には、内側の側面)の移動軌跡に応じて定まる。本構成によれば、中間部の前後方向の中央領域における幅方向の両側面にくびれ部が形成されているため、このようなくびれ部が形成されていない場合に比べて、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることができる。よって、トレイの全長を長くする場合であっても、曲線状経路部におけるトレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えやすくなる。
【0074】
また、前記本体部における前記前後方向の両端部に、前記載置面に対して上方側に突出する端部ストッパが形成されていると好適である。
【0075】
本構成によれば、トレイの搬送速度が変化する加減速時やトレイの姿勢が上下方向に変化する姿勢変化時において、トレイに載せられた物品がトレイから前後方向に滑り出ることを端部ストッパによって抑制できる。
【0076】
上記のように、前記本体部における前記前後方向の両端部に前記端部ストッパが形成されている構成において、前記本体部の底面における前記端部ストッパの形成位置に対応する部分のそれぞれに、前記端部ストッパの上端部を嵌入させることが可能な形状の、上方側に窪む凹部が形成されていると好適である。
【0077】
本構成によれば、下側のトレイに形成された2つの端部ストッパのそれぞれを、上側のトレイに形成された凹部に嵌入させるようにして、トレイ(例えば、物品が載せられていない状態の空のトレイ)を段積みすることができる。よって、複数のトレイを安定的に段積みすることができる。
【0078】
上記の各構成のトレイにおいて、前記載置面は、前記前後方向の中央部へ向かうに従って下方側へ向かうように傾斜していると好適である。
【0079】
本構成によれば、載置面に載せられた物品が載置面上を前後方向に移動することを抑制できる。よって、トレイの搬送速度が変化する加減速時やトレイの姿勢が上下方向に変化する姿勢変化時において、トレイに載せられた物品がトレイから前後方向に滑り出ることを抑制できる。
【0080】
前記トレイである第1トレイと、前記搬送装置と、を備えた搬送設備であって、前記搬送装置によって前記搬送経路に沿って搬送される第2トレイを更に備え、前記本体部を第1本体部として、前記第2トレイは、前記第1本体部より前記前後方向の長さが短い板状の第2本体部を備えている。
【0081】
上述したように、本開示のトレイである第1トレイは、曲線状経路部における移動軌跡の径方向幅が大きくなる程度を低く抑えつつ、全長を長くすることができる。そのため、第1トレイを、曲線状経路部において、第1トレイより全長の短い第2トレイの移動軌跡に近づけて搬送することができ、本構成のように第1トレイと第2トレイとを混流させて搬送する搬送設備を構築しやすい。
【0082】
ここで、前記第1本体部における前記前方側の端部の前記幅方向の寸法は、前記第2本体部における前記前方側の端部の前記幅方向の寸法より小さく、前記第1本体部における前記後方側の端部の前記幅方向の寸法は、前記第2本体部における前記後方側の端部の前記幅方向の寸法より小さいと好適である。
【0083】
本構成によれば、第1本体部における前方側の端部の幅方向の寸法が、第2本体部における前方側の端部の幅方向の寸法と同じ或いはそれより大きく、第1本体部における後方側の端部の幅方向の寸法が、第2本体部における後方側の端部の幅方向の寸法と同じ或いはそれより大きい場合に比べて、曲線状経路部における第1トレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることができる。よって、第1トレイを、曲線状経路部において、第2トレイの移動軌跡に近づけて搬送しやすい。
【0084】
また、前記中間部の底面は、前記搬送装置の搬送面に沿う平面状に形成された第1基準平面部を備え、前記前部の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第1基準平面部に対して傾斜した第1前方傾斜面部を備え、前記後部の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第1基準平面部に対して傾斜した第1後方傾斜面部を備え、前記第2本体部における前記前後方向の中間部分の底面は、前記搬送面に沿う平面状に形成された第2基準平面部を備え、前記第2本体部における前記前方側の部分の底面は、前記前方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第2基準平面部に対して傾斜した第2前方傾斜面部を備え、前記第2本体部における前記後方側の部分の底面は、前記後方側へ向かうに従って上方側へ向かうように前記第2基準平面部に対して傾斜した第2後方傾斜面部を備え、前記第1前方傾斜面部の前記前後方向の長さは、前記第2前方傾斜面部の前記前後方向の長さより大きく、前記第1後方傾斜面部の前記前後方向の長さは、前記第2後方傾斜面部の前記前後方向の長さより大きいと好適である。
【0085】
本構成によれば、第1前方傾斜面部の前後方向の長さが、第2前方傾斜面部の前後方向の長さより大きく、第1後方傾斜面部の前後方向の長さが、第2後方傾斜面部の前後方向の長さより大きいため、第1本体部を第2本体部より前後方向に長くしながらも、第1基準平面部が第2基準平面部に対して前後方向に大きくなり過ぎないようにすることができる。第1基準平面部及び第2基準平面部は、搬送面に接触して搬送装置から搬送力を付与される部分であるため、このように第1基準平面部が第2基準平面部に対して前後方向に大きくなり過ぎないようすることで、第1トレイと第2トレイとを、分岐部や合流部等においても共通の搬送装置によって搬送することが容易となる。この結果、これら2種類のトレイを混流させて搬送する搬送設備を構築しやすくなる。
【0086】
また、前記中間部の前記前後方向の中央領域における前記幅方向の両側面に、前記前後方向の中心位置へ向かうに従って前記幅方向の中央部へ向かうように窪むくびれ部が形成され、前記くびれ部が形成されている部分における前記中間部の前記幅方向の最小寸法が、前記第2本体部における前記前後方向の中央部の前記幅方向の寸法より短いと好適である。
【0087】
本構成によれば、くびれ部が形成されている部分における中間部の幅方向の最小寸法が、第2本体部における前後方向の中央部の幅方向の寸法と同じ或いはそれより長い場合に比べて、曲線状経路部における第1トレイの移動軌跡の径方向幅を小さく抑えることができる。よって、第1トレイを、曲線状経路部において、第2トレイの移動軌跡に近づけて搬送しやすい。
【0088】
また、前記載置面を第1載置面として、前記第1本体部における前記前後方向の両端部に、前記第1載置面に対して上方側に突出する第1端部ストッパが形成され、前記第2本体部の上面は、物品が載置される第2載置面として用いられ、前記第2本体部における前記前後方向の両端部に、前記第2載置面に対して上方側に突出する第2端部ストッパが形成され、前記第1端部ストッパの前記第1載置面からの高さは、前記第2端部ストッパの前記第2載置面からの高さより大きいと好適である。
【0089】
搬送面が上り傾斜した状態から水平面に沿う状態に変化する搬送面角度変化部や、搬送面が水平面に沿う状態から下り傾斜した状態に変化する搬送面角度変化部等の、搬送面の角度が小さくなる側に変化する搬送面角度変化部においては、トレイの姿勢が比較的急激に変化する。ここで、第1本体部は、第2本体部より前後方向に長いため、トレイの姿勢が変化する際のトレイにおける前後方向の端部の上下方向の移動量は、第1トレイの方が第2トレイより大きくなる。そのため、上記のような搬送面角度変化部においては、第1トレイに載せられた物品の方が、第2トレイに載せられた物品より上下方向に大きく移動しやすい。本構成によれば、第1本体部に形成される第1端部ストッパの高さが、第2本体部に形成される第2端部ストッパの高さより大きいため、第1本体部に形成される第1端部ストッパの高さが、第2本体部に形成される第2端部ストッパの高さ以下とされる場合に比べて、曲線状経路部において第1本体部に載せられた物品が第1本体部から前後方向に滑り出ることを抑制しやすい。
【0090】
本開示に係るトレイ及び搬送設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0091】
1:第1トレイ(トレイ)
2:第2トレイ
3:搬送装置
4:搬送経路
9:物品
10:第1本体部(本体部)
11:第1載置面(載置面)
12:第1中間部(中間部)
12a:第1基準平面部(基準平面部)
13:第1前部(前部)
13a:第1前方傾斜面部(前方傾斜面部)
14:第1後部(後部)
14a:第1後方傾斜面部(後方傾斜面部)
15:第1端部ストッパ(端部ストッパ)
15a:上端部
16:凹部
17:突部
18a:くびれ部
20:第2本体部
21:第2載置面
22a:第2基準平面部
23a:第2前方傾斜面部
24a:第2後方傾斜面部
25:第2端部ストッパ
30:案内壁
30a:案内面
40:搬送面角度変化部
42:曲線状経路部
100:搬送設備
A1:傾斜角度
A2:交差角度
C:中心位置
D1:第1寸法(くびれ部が形成されている部分における中間部の幅方向の最小寸法)
D2:第2寸法(第2本体部における前後方向の中央部の幅方向の寸法)
H:水平面
L1:第1長さ(第1前方傾斜面部の前後方向の長さ)
L2:第2長さ(第2前方傾斜面部の前後方向の長さ)
L3:第3長さ(第1後方傾斜面部の前後方向の長さ)
L4:第4長さ(第2後方傾斜面部の前後方向の長さ)
P1:第1高さ(第1端部ストッパの第1載置面からの高さ)
P2:第2高さ(第2端部ストッパの第2載置面からの高さ)
T:搬送面
X:前後方向
X1:前方側
X2:後方側
Y:幅方向
Z1:上方側
Z2:下方側