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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/06 20060101AFI20230613BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230613BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20230613BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B65G1/06 511A
B65G1/00 501C
B65G1/04 551Z
H01L21/68 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020209759
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096668
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高原 史雄
(72)【発明者】
【氏名】石井 里奈
(72)【発明者】
【氏名】東 慎一郎
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-530361(JP,A)
【文献】特開2013-129501(JP,A)
【文献】特開2004-296996(JP,A)
【文献】特開2001-353627(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0012121(KR,A)
【文献】特開2009-062153(JP,A)
【文献】特開2004-238191(JP,A)
【文献】特開2010-064833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/06
B65G 1/04
B65G 1/00
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に形成される搬送路に沿って物品を搬送する上方天井搬送車と、前記搬送路に沿って設けられ前記上方天井搬送車によって搬送される物品を保管する天井保管棚と、を備える物品搬送設備であって、
前記天井保管棚は、前記物品が載置される載置部を備え、
前記搬送路の下方に設けられる下方搬送路に沿って前記物品を搬送する下方天井搬送車を備え、
前記載置部は、前記上方天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置と、前記下方天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置と、の間で昇降移動が可能であること
を特徴とする物品搬送設備。
【請求項2】
天井側に形成される搬送路に沿って物品を搬送する天井搬送車と、前記搬送路に沿って設けられ前記天井搬送車によって搬送される物品を保管する天井保管棚と、を備える物品搬送設備であって、
前記天井保管棚は、前記物品が載置される載置部を備え、
前記載置部は、前記天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置を基準に昇降移動が可能であり、
前記天井保管棚は、
前記載置部を昇降移動させるための昇降部と、
前記昇降部に駆動力を伝達するための駆動力伝達部と、
を備え、
前記駆動力伝達部は、前記天井搬送車から供給される駆動力を前記昇降部に伝達すること
を特徴とする物品搬送設備。
【請求項3】
前記天井保管棚は、上下方向に複数の前記物品を載置可能な複数の載置部を備え、
前記複数の載置部は、前記天井搬送車との間、又は前記上方天井搬送車及び前記下方天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置を基準に昇降移動が可能であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記天井保管棚は、前記載置部を保持する保持部を備え、
前記保持部は、上下方向に伸縮可能に構成されること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記載置部は、エアシリンダ又はボールねじの駆動によって昇降移動すること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記載置部は、自重によって下降可能に構成されること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側に形成される搬送路に沿って物品を搬送する天井搬送車と、搬送路に沿って設けられ天井搬送車によって搬送される物品を保管する天井保管棚と、を備える物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品搬送設備としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の物品搬送設備は、建屋の天井に設けられるレールに沿って走行して物品を搬送する天井搬送車と、天井から吊り下げられて天井搬送車によって搬送される物品が一時的に置かれる天井吊下棚と、を備えるものである。
特許文献1の物品搬送設備は、天井吊下棚に固定棚及び可動棚が設けられたものであり、可動棚を横方向にスライドさせることで、天井搬送車と可動棚との間で物品の移載を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-66499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の物品搬送設備では、天井吊下棚の固定棚及び可動棚が天井より下方の所定の位置に据え置かれるため、天井より下方の位置に、天井吊下棚の固定棚及び可動棚を設置するための一定のスペースを確保する必要がある。特に、複数の固定棚或いは可動棚を上下方向に据え置く天井吊下棚の場合には、上下方向のスペースを多く確保する必要がある。このため、天井吊下棚の設置場所には一定の制約がある。
また、天井搬送車における物品の移載位置が固定されている場合(天井搬送車が物品を昇降させて移載を行わない場合)には、天井搬送車における物品の移載位置に合わせて天井吊下棚の固定棚及び可動棚を設ける必要がある。このため、天井吊下棚の設置場所が制約され、また、天井吊下棚自体が上下方向に大きくなる。
このようなことから、天井吊下棚の設置スペースに限りのある場所では、天井吊下棚を設置できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、天井吊下棚の設置スペースに限りのある場所においても天井吊下棚を設置可能な物品搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の物品搬送設備は、天井側に形成される搬送路に沿って物品を搬送する上方天井搬送車と、前記搬送路に沿って設けられ前記上方天井搬送車によって搬送される物品を保管する天井保管棚と、を備える物品搬送設備であって、前記天井保管棚は、前記物品が載置される載置部を備え、前記搬送路の下方に設けられる下方搬送路に沿って前記物品を搬送する下方天井搬送車を備え、前記載置部は、前記上方天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置と、前記下方天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置と、の間で昇降移動が可能なものである。
上記構成では、天井保管棚の載置部が、上方に位置する天井搬送車と、その下方に位置する下方天井搬送車と、の間で物品の移載を行うことができる。
本発明の第2の物品搬送設備は、天井側に形成される搬送路に沿って物品を搬送する天井搬送車と、前記搬送路に沿って設けられ前記天井搬送車によって搬送される物品を保管する天井保管棚と、を備える物品搬送設備であって、前記天井保管棚は、前記物品が載置される載置部を備え、前記載置部は、前記天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置を基準に昇降移動が可能であり、前記天井保管棚は、前記載置部を昇降移動させるための昇降部と、前記昇降部に駆動力を伝達するための駆動力伝達部と、を備え、前記駆動力伝達部は、前記天井搬送車から供給される駆動力を前記昇降部に伝達するものである。
上記構成では、天井保管棚の載置部が、天井搬送車から供給される駆動力によって、昇降移動を行うことができる。
【0007】
本発明の物品搬送設備は、前記天井保管棚が、上下方向に複数の前記物品を載置可能な複数の載置部を備え、前記複数の載置部は、前記天井搬送車との間で前記物品の移載が行われる位置を基準に昇降移動が可能なものである。
上記構成では、天井保管棚の複数の載置部が、天井搬送車における物品の移載位置に合わせて昇降移動を行うことができる。
【0008】
本発明の物品搬送設備は、前記天井保管棚が、前記載置部を保持する保持部を備え、前記保持部は、上下方向に伸縮可能に構成されるものである。
上記構成では、天井保管棚の載置部が、保持部の上下方向への伸縮によって、昇降移動を行うことができる。
【0009】
本発明の物品搬送設備は、前記載置部が、エアシリンダ又はボールねじの駆動によって昇降移動するものである。
上記構成では、天井保管棚の載置部が、エアシリンダ又はボールねじの駆動によって、昇降移動を行うことができる
【0010】
本発明の物品搬送設備は、前記載置部が、自重によって下降可能に構成されるものである。
上記構成では、天井保管棚の載置部が、駆動源によって駆動されることなく、自重によって、下降移動を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の物品搬送設備によれば、天井搬送車における物品の移載位置を基準に載置部の昇降移動を行うことができることから、載置部を上下方向に、天井搬送車における物品の移載位置に合わせて据え置く必要がない。そのため、載置部を設置するために一定のスペースを確保する必要がなく、また、天井吊下棚自体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本発明の実施の形態に係る物品搬送設備の正面図、(b)は、同物品搬送設備において載置部を下降移動させた場合の正面図である。
図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る物品搬送設備において載置部を保持する保持部をパンタグラフ機構とした場合の正面図、(b)は、同物品搬送設備において載置部を下降移動させた場合の正面図である。
図3】(a)は、本発明の実施の形態に係る物品搬送設備において天井搬送車の走行経路を上下方向に並列に設けた場合の正面図、(b)は、同物品搬送設備において載置部を下降移動させた場合の正面図である。
図4】(a)は、本発明の実施の形態に係る物品搬送設備において天井搬送車側に載置部を昇降移動させるための駆動源を設けた場合の正面図、(b)は、同物品搬送設備において載置部を下降移動させた場合の正面図である。
図5】(a)は、本発明の実施の形態に係る物品搬送設備において天井搬送車側に載置部を昇降移動させるための駆動源を設けた場合の正面図、(b)は、同物品搬送設備において載置部を下降移動させた場合の正面図である。
図6】(a)は、本発明の実施の形態に係る物品搬送設備において天井搬送車側に載置部を昇降移動させるための駆動源を設けた場合の正面図、(b)は、同物品搬送設備において載置部を上昇移動させた場合の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明に係る物品搬送設備10について説明する。
【0016】
物品搬送設備10は、例えば、半導体基板の製造工場内のクリーンルーム等に設けられ、半導体基板が収容されたフープ90(「物品」の一例)を、半導体基板に対して処理を行う複数の処理装置間で搬送するための設備である。図1に示すように、物品搬送設備10は、搬送路である走行レール11と、走行レール11に沿って走行する天井搬送車12と、走行レール11に沿って設けられる天井保管棚20と、を主に備えている。
【0017】
走行レール11は、上記複数の処理装置(図示せず)の上方であって天井95側に設けられ、天井95から吊り下げボルト96等により支持される。
天井搬送車12は、半導体基板を収納したフープ90を走行レール11に沿って搬送するものである。天井搬送車12は、走行レール11に対して吊下げられた状態で取り付けられ、走行レール11に沿って走行する。天井搬送車12は、フープ90を載置すべき天井保管棚20の前(フープ90の移載が行われる位置、以下、フープ90の移載位置Tと称す)で停止し、天井保管棚20に対してフープ90の移載を行う。
【0018】
天井保管棚20は、天井搬送車12によって搬送されるフープ90を一時的に保管するものである。天井保管棚20は、フープ90の移載位置Tにおいて、天井搬送車12との間でフープ90の移載を行う。物品搬送設備10では、複数の天井保管棚20が走行レール11に沿って並んで配置されている。図1に示すように、天井保管棚20は、走行レール11を挟んで互いに向かい合って走行レール11の左右両側の側方に設けられ、又は、走行レール11の左右どちらか一方の側方に設けられる。天井保管棚20は、天井95から吊り下げボルト96等によって吊り下げられた状態で保持される。
【0019】
図1に示すように、天井保管棚20は、フープ90が載置される複数の載置部21、22と、載置部21、22を上下方向に昇降移動させるためのLMガイドアクチュエータ23(「昇降部」、「駆動力伝達部」の一例)と、LMガイドアクチュエータ23を駆動するためのモータ24と、を備える。
【0020】
上段載置部21及び下段載置部22は、フープ90を載置可能な平板によって構成されている。上段載置部21及び下段載置部22は、上下方向に所定の間隔を有して配置され、2つのフープ90を上下2段に配置可能に構成されている。上段載置部21及び下段載置部22は、上下方向に延設される枠体25によって連結されている。
【0021】
天井保管棚20では、天井搬送車12が停止した位置、すなわち、フープ90の移載位置Tに、上段載置部21又は下段載置部22を移動させることで、天井搬送車12との間でのフープ90の移載を行う。そのため、天井保管棚20では、LMガイドアクチュエータ23によって、上段載置部21及び下段載置部22を、フープ90の移載位置T(天井搬送車12との間でフープ90の移載が行われる位置)を基準に上下方向に昇降移動する。
【0022】
LMガイドアクチュエータ23は、上段載置部21及び下段載置部22の一端側に上下方向に延設されている。LMガイドアクチュエータ23は、ボールねじ軸23Aと、ボールねじ軸23Aの回動によって移動するブロック23Bと、から主に構成されている。ボールねじ軸23Aは、上下方向に延設され、その下端に設けられるモータ24の駆動によって回動する。ブロック23Bは、ボールねじ軸23Aが回動することでボールねじ軸23A上を上下方向に移動する。ブロック23Bは、上段載置部21及び下段載置部22を保持する枠体25に連結されている。LMガイドアクチュエータ23では、ブロック23Bが上下方向に移動することで枠体25が昇降移動し、枠体25の移動によって上段載置部21及び下段載置部22が昇降移動する。
【0023】
また、天井保管棚20では、LMガイドアクチュエータ23の代わりに、エアシリンダによって、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させても構わない。この場合は、図示しないエアシリンダのピストンロッドを枠体25に連結し、当該ピストンロッドを伸縮させて枠体25を昇降移動させることで、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させる。
【0024】
さらに、LMガイドアクチュエータ23又はエアシリンダによって、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させる場合には、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tに到着する前段階で、上段載置部21又は下段載置部22をフープ90の移載位置Tまで移動させても構わない。天井搬送車12がフープ90の移載位置Tに到着する前段階で、上段載置部21又は下段載置部22をフープ90の移載位置Tまで移動させることで、天井搬送車12と天井保管棚20との間のフープ90の移載を効率良く行うことができる。
【0025】
さらに、天井保管棚20では、LMガイドアクチュエータ23又は図示しないエアシリンダによって上段載置部21及び下段載置部22を下降移動させることは可能であるが、LMガイドアクチュエータ23又は上記エアシリンダを用いずに、上段載置部21及び下段載置部22の自重によって、上段載置部21及び下段載置部22を下降移動させても構わない。この場合、上段載置部21及び下段載置部22の上昇移動は、LMガイドアクチュエータ23又は上記エアシリンダを作動させることによって行い、上段載置部21及び下段載置部22の下降移動は、モータ24を停止させてLMガイドアクチュエータ23のブロック23Bをフリー状態とし、又は上記エアシリンダへのエアーの供給を停止させてエアシリンダのピストンロッドをフリー状態として、上段載置部21及び下段載置部22が自重によって下降する状態とすることによって行う。
【0026】
さらに、天井保管棚20では、図2に示すように、上段載置部21及び下段載置部22を保持する保持部26を上下方向に伸縮可能なパンタグラフ機構によって構成することで、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させても構わない。保持部26は、中央交叉部が互いに同心状の中央支点軸27で枢着された2本のリンク28、29によって構成される。2本のリンク28、29は、天井95と枠体25の上部との間で上下方向に揺動自在に設けられる。保持部26によって保持される上段載置部21及び下段載置部22は、2本のリンク28、29が下方向に伸長することで下降移動をし、2本のリンク28、29が上方向に収縮することで上昇移動をする。
【0027】
さらに、物品搬送設備10では、図3に示すように、天井搬送車12の走行経路を上下方向に並列に設けても天井搬送車12を上下に並べて走行させても構わない。この場合、天井保管棚20の上段載置部21及び下段載置部22は、上方搬送路である上方走行レール11Aを走行する上方天井搬送車12Aにおけるフープ90の移載位置TAと、下方搬送路である下方走行レール11Bを走行する下方天井搬送車12Bにおけるフープ90の移載位置TBと、を基準に上下方向に移載移動する。
具体的には、図3(a)に示すように、上段載置部21及び下段載置部22は、上方天井搬送車12Aにおけるフープ90の移載位置TAにおいて、フープ90を上方天井搬送車12Aから受け取る。そして、図3(b)に示すように、上段載置部21及び下段載置部22は、LMガイドアクチュエータ23によって下方天井搬送車12Bにおけるフープ90の移載位置TBまで下降移動し、フープ90を下方天井搬送車12Bに対して引き渡す。さらに、図3(a)に示すように、上段載置部21及び下段載置部22は、LMガイドアクチュエータ23によって上方天井搬送車12Aにおけるフープ90の移載位置TAまで上昇移動し、フープ90を別の上方天井搬送車12Aから受け取る。このように、上段載置部21及び下段載置部22は、上方天井搬送車12Aにおけるフープ90の移載位置TAでは、フープ90の受け取り用の載置部として機能し、下方天井搬送車12Bにおけるフープ90の移載位置TBでは、フープ90の引き渡し用の載置部として機能する。
なお、上段載置部21及び下段載置部22が、上方天井搬送車12Aにおけるフープ90の移載位置TAにおいて、フープ90を上方天井搬送車12Aに対して引き渡すとともに、下方天井搬送車12Bにおけるフープ90の移載位置TBにおいて、フープ90を下方天井搬送車12Bから受け取るように構成しても構わない。
【0028】
さらに、物品搬送設備10では、天井保管棚20側に設けられたモータ24の駆動力によって上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させているが、図4に示すように、天井搬送車12側に設けられたモータ(図示せず)の駆動力によって上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させても構わない。すなわち、天井搬送車12側に上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源を設けても構わない。天井搬送車12側に上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源を設けることで、天井保管棚20側に駆動源を設けた場合と比べて天井保管棚20の保守を容易に行うことができる。特に、半導体基板の製造工場内のクリーンルーム内で駆動源の保守作業を行うことはパーティクルの発生等から好ましくなく、天井搬送車12側に駆動源を設けることで、クリーンルーム内での駆動源の保守作業を避けることができる。
【0029】
図4に示すように、天井搬送車12は、駆動側マグネットギア30と、駆動側マグネットギア30を回転駆動させるための駆動源であるモータ(図示せず)と、を有する。
一方、天井保管棚20は、従動側マグネットギア31と、従動側マグネットギア31に連結される駆動力伝達軸32と、駆動力伝達軸32に連結されるウォームギア33と、ウォームギア33によって駆動される駆動プーリ34と、駆動プーリ34に対応して設けられる従動プーリ35と、駆動プーリ34と従動プーリ35との間に架け渡されるタイミングベルト36、枠体25に接続されタイミングベルト36に設けられるブラケット37と、タイミングベルト36に設けられるカウンターウェイト38と、を有する。
【0030】
このように天井搬送車12側に上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源を設けた場合、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tに停止すると、天井搬送車12側の駆動側マグネットギア30が、天井保管棚20の従動側マグネットギア31と対向する位置となる。すなわち、駆動側マグネットギア30は、上記モータの駆動力を非接触で磁界によって従動側マグネットギア31に伝達できる位置に配置される。そして、駆動側マグネットギア30と従動側マグネットギア31の吸引反発作用によって、駆動側マグネットギア30の回転駆動力を従動側マグネットギア31に伝達される。従動側マグネットギア31に伝達された駆動力は、駆動力伝達軸32を介してウォームギア33に伝達され、さらには、駆動プーリ34に伝達される。駆動プーリ34に駆動力が伝達されることでタイミングベルト36に設けられるブラケット37が下降移動し、枠体25に保持される上段載置部21及び下段載置部22が下降移動する。
一方で、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tから離れて上記モータの駆動力の伝達がなくなると、カウンターウェイト38の自重によってタイミングベルト36に設けられるブラケット37が上昇移動し、枠体25に保持される上段載置部21及び下段載置部22が上昇移動する。
【0031】
さらに、物品搬送設備10では、図5に示すように、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源と、当該駆動源の駆動力を伝達する駆動力伝達部と、を天井搬送車12側に設けても構わない。図5に示すように、天井搬送車12は、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源であるモータ(図示せず)と、前記モータの駆動力を伝達する駆動力伝達部あり、前記モータの駆動によって水平方向に突出して移動する棒状の突出部材40と、を有する。
一方、天井保管棚20は、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための複数の従動プーリ35A及び従動プーリ35Aに架け渡されるタイミングベルト36Aと、タイミングベルト36Aに設けられるカウンターウェイト38Aと、タイミングベルト36Aに設けられて天井搬送車12の突出部材40を受ける受け部材41と、枠体25に接続されタイミングベルト36Aに設けられるブラケット37Aと、を有する。
【0032】
このように天井搬送車12側に上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源を設けた場合、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tに停止すると、天井搬送車12側の突出部材40の先端が、天井保管棚20の受け部材41と対向する位置となる。すなわち、突出部材40は、その先端が上記モータの駆動によって水平方向に突出して移動する際に受け部材41を押圧可能な位置に配置される。そして、突出部材40が上記モータの駆動によって水平方向に突出して移動することで、受け部材41が突出部材40を受けた状態で押圧される。さらに、受け部材41が突出部材40によって押圧されることで、受け部材41に連結されているタイミングベルト36Aが動き、タイミングベルト36Aに設けられるブラケット37Aが下降移動する。そして、ブラケット37Aが下降移動することで、ブラケット37Aに連結される枠体25が下降移動して、枠体25に保持される上段載置部21及び下段載置部22が下降移動する。
一方で、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tから離れて上記モータの駆動力の伝達がなくなると、カウンターウェイト38Aの自重によってタイミングベルト36Aに設けられるブラケット37Aが上昇移動する。そして、ブラケット37Aが上昇移動することで、ブラケット37Aに連結される枠体25が上昇移動して、枠体25に保持される上段載置部21及び下段載置部22が上昇移動する。
【0033】
さらに、物品搬送設備10では、図6に示すように、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源と、当該駆動源の駆動力を伝達する駆動力伝達部と、を天井搬送車12側に設けても構わない。図6に示すように、天井搬送車12は、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源であるモータ(図示せず)と、前記モータの駆動力を伝達する駆動力伝達部あり、前記モータの駆動によって水平方向にスライド移動する棒状の突出部材40と、を有する。
一方、天井保管棚20は、上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための複数の従動プーリ35B及び従動プーリ35Bに架け渡されるタイミングベルト36Bと、タイミングベルト36Bに設けられて天井搬送車12の突出部材40を受ける受け部材41Bと、枠体25に接続されタイミングベルト36Bに設けられるブラケット37Bと、を有する。受け部材41Bは、タイミングベルト36Bの一端部に設けられている。ブラケット37Bは、タイミングベルト36Bの他端部に設けられている。
【0034】
このように天井搬送車12側に上段載置部21及び下段載置部22を昇降移動させるための駆動源を設けた場合、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tに停止すると、天井搬送車12側の突出部材40の先端が、天井保管棚20の受け部材41Bと対向する位置となる。そして、突出部材40が上記モータの駆動によって水平方向に突出して移動することで、受け部材41Bが突出部材40を受けた状態で押圧される。さらに、受け部材41Bが突出部材40によって押圧されることで、受け部材41Bは、タイミングベルト36Bの一端部を水平方向に引っ張る。これによって、タイミングベルト36Bの他端部が上方向に引っ張られるとともにブラケット37Bが上昇移動し、枠体25に保持される上段載置部21及び下段載置部22が上昇移動する。
一方で、天井搬送車12がフープ90の移載位置Tから離れて上記モータの駆動力の伝達がなくなると、上段載置部21及び下段載置部22は、その自重によって下降移動する。この時、枠体25に連結されるブラケット37Bは、タイミングベルト36Bの他端部を下方向に引っ張りながら下降移動する。上段載置部21及び下段載置部22は、受け部材41Bがタイミングベルト36Bの一端部に設けられる従動プーリ35Bに引っ掛かって止まることで、下降移動を停止する。
【0035】
以上のように、物品搬送設備10においては、天井搬送車12におけるフープ90の移載位置Tを基準に上段載置部21及び下段載置部22の昇降移動を行うことができることから、上段載置部21及び下段載置部22を上下方向に、天井搬送車12におけるフープ90の移載位置に合わせて据え置く必要がない。そのため、上段載置部21及び下段載置部22を設置するために一定のスペースを確保する必要がなく、また、天井保管棚20自体を小型化することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、天井保管棚20を上下2段の載置部(上段載置部21及び下段載置部22)によって構成しているが、これに限定されるものではなく、天井保管棚20を上下3段以上の載置部又は1段の載置部によって構成しても構わない。
本実施の形態では、天井搬送車12によって搬送される物品をフープ90としているが、これに限定されるものではなく、天井搬送車12によって搬送可能であり、且つ天井保管棚20に保管可能な物品であれば良い。
本実施の形態では、上段載置部21及び下段載置部22を走行レール11の長手方向に対して1台のみ配置しているが、これに限定されるものではなく、上段載置部21及び下段載置部22が走行レール11の長手方向に対して複数台並ぶように配置されても構わない(例えば、上段載置部21及び下段載置部22を走行レール11の長手方向(横方向)に3台配置して、縦2段、横3列の天井保管棚20としても構わない。)。
本実施の形態では、突出部材40が、走行レール11の片側に設けられる天井保管棚20の受け部材41又は受け部材41Bに対して突出可能に構成されているが、これに限定されるものではなく、突出部材40を、走行レール11の両側に設けられる天井保管棚20の受け部材41又は受け部材41Bに対して突出可能に構成しても構わない。
本実施の形態では、天井保管棚20の上下2段の載置部(上段載置部21及び下段載置部22)を昇降移動させているが、これに限定されるものではなく、天井保管棚20の下段載置部22を固定(昇降移動不能と)して、上部載置部21のみが昇降移動できるように構成しても構わない。または、上段載置部21を固定(昇降移動不能と)して、下部載置部22のみが昇降移動できるように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0037】
10 物品搬送設備
12 天井搬送車
20 天井保管棚
21 上段載置部(載置部)
22 下段載置部(載置部)
90 フープ
95 天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6