IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】コネクタおよび基板
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20230613BHJP
【FI】
H01R12/79
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020516138
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2019013705
(87)【国際公開番号】W WO2019208091
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/017258
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 千明
(72)【発明者】
【氏名】松田 龍男
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-231063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0364846(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0101422(KR,A)
【文献】特開2011-198687(JP,A)
【文献】特開2008-027707(JP,A)
【文献】米国特許第05254010(US,A)
【文献】特開2011-146150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
H01B 1/00
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配列された信号線およびグランド線と、前記信号線および前記グランド線を覆う絶縁層と、該絶縁層の両面をそれぞれ覆う第1シールド層および第2シールド層とを備え、長手方向の端部で前記信号線と前記グランド線とを前記第1シールド層側および前記第2シールド層側で露出させた端子部が補強板上に形成され、前記端子部において前記補強板が前記信号線および前記グランド線の前記第2シールド層側に貼り付けられ、前記補強板の前記信号線および前記グランド線の貼り付けられていない側の上に前記第2シールド層と電気的に接続する第2シールド層接続部材が設けられたシールドフラットケーブルが装着され、筐体を備えたコネクタであって、
前記筐体は、前記第1シールド層または前記第2シールド層に対向する底部および頂部と、前記底部および前記頂部に連なる側壁部を有し、
前記シールドフラットケーブルが装着された際に、
前記端子部の前記信号線に接触する信号線用接点部を設けた信号線用コンタクト部材と、
前記端子部の前記グランド線に接触するグランド線用接点部を設けたグランド線用コンタクト部材と、
前記第1シールド層に接触する第1シールド層用接点部を設けた第1シールド層用コンタクト部材と、
前記第2シールド層に前記第2シールド層接続部材を介して電気的に接続する第2シールド層用接点部を設けた、前記第1シールド層用コンタクト部材とは別体の第2シールド層用コンタクト部材を備え、
前記第2シールド層用コンタクト部材が前記筐体を覆う金属シェル部材に一体に形成され、
前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材とが電気的に接続され、
前記グランド線用接点部、前記第1シールド層用接点部及び前記第2シールド層用接点部が、前記補強板の上方または下方に配置されているコネクタ。
【請求項2】
前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材が一体に形成された、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
一体に形成された前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材が、前記信号線用コンタクト部材よりも、前記シールドフラットケーブルの挿入方向に沿って長い、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シールドフラットケーブルの挿入方向入口側から、前記第1シールド層と前記第1シールド層用コンタクト部材との接触位置、前記第2シールド層と前記第2シールド層用コンタクト部材との接触位置、前記グランド線と前記グランド線用コンタクト部材との接触位置が順番に位置する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記グランド線用コンタクト部材と前記第2シールド層用コンタクト部材とが電気的に接続されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
隣接する2本の前記信号線用コンタクト部材の両側に、それぞれ前記グランド線用コンタクト部材が配置されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記金属シェル部材が、前記コネクタが実装される基板のグランド電位の配線パッドに接続される接続部を有している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記金属シェル部材が、前記グランド線用コンタクト部材のソルダーテールに接続される接続片を有している、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記金属シェル部材が、前記信号線用コンタクト部材と前記グランド線用コンタクト部材のソルダーテールを覆うカバー部材を有する、請求項から請求項のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記信号線用接点部及び前記第2シールド層用接点部が、前記補強板を上方または下方に配置されている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコネクタを実装した基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよび基板に関する。
本出願は、2018年4月27日出願の国際出願PCT/JP2018/017258号に基づく優先権を主張し、前記国際出願に記載されたすべての記載内奥を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
複数本の並列された導体を絶縁層で覆ったフレキシブルフラットケーブル(FFC)は、CDやDVDプレーヤ等のAV機器、コピー機やプリンタ等のOA機器、その他電子・情報機器の内部配線等の多くの分野で、省スペース化と簡便な接続を目的として用いられている。また、機器の使用周波数が高くなるとノイズの影響が大きくなることから、シールドされたシールドフラットケーブルが用いられる。シールドフラットケーブルのシールドは、例えば、FFCの外側にシールドフィルムからなるシールド層を設けることにより行われる(特許文献1参照)。
【0003】
また、シールドフラットケーブルを基板等に接続するためにコネクタが用いられる。そして、シールドフラットケーブルにおけるノイズの影響を避けるために、そのシールド層をコネクタの金属シェルに接触させることにより、シールド層の電位を、金属シェルを通じて基板のグランド電位に維持することが行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-198687号公報
【文献】特開2014-207162号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示に係るコネクタは、平行に配列された信号線およびグランド線と、前記信号線および前記グランド線を覆う絶縁層と、該絶縁層の両面をそれぞれ覆う第1シールド層および第2シールド層とを備え、長手方向の端部で前記信号線と前記グランド線とを前記第1シールド層側および前記第2シールド層側で露出させた端子部が補強板上に形成され、前記端子部において前記補強板が前記信号線および前記グランド線の前記第2シールド層側に貼り付けられ、前記補強板の前記信号線および前記グランド線の貼り付けられていない側の上に前記第2シールド層と電気的に接続する第2シールド層接続部材が設けられたシールドフラットケーブルが装着され、筐体を備えたコネクタであって、前記筐体は、前記第1シールド層または前記第2シールド層に対向する底部および頂部と、前記底部および前記頂部に連なる側壁部を有し、前記シールドフラットケーブルが装着された際に、前記端子部の前記信号線に接触する信号線用接点部を設けた信号線用コンタクト部材と、前記端子部の前記グランド線に接触するグランド線用接点部を設けたグランド線用コンタクト部材と、前記第1シールド層に接触する第1シールド層用接点部を設けた第1シールド層用コンタクト部材と、前記第2シールド層に前記第2シールド層接続部材を介して電気的に接続する第2シールド層用接点部を設けた、前記第1シールド層用コンタクト部材とは別体の第2シールド層用コンタクト部材を備え、前記第2シールド層用コンタクト部材が前記筐体を覆う金属シェル部材に一体に形成され、前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材とが電気的に接続され、前記グランド線用接点部、前記第1シールド層用接点部及び前記第2シールド層用接点部が、前記補強板の上方または下方に配置されている。
また、本開示に係る基板は、上述のコネクタを実装した基板である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の第1の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際の概略を示す上面図である。
図2A図1における線分IIA-IIAの断面を示す図であり、グランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図2B図1における線分IIB-IIBの断面を示す図であり、信号線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図3】本開示に係るコネクタに装着されるシールドフラットケーブルの一例を示す斜視図である。
図4図3に示すシールドフラットケーブルの導体の並びを説明するための図である。
図5】本開示の第2の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図6A】本開示の第3の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図6B】本開示の第3の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際の信号線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図7】本開示の第4の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図8】コネクタが金属シェルを有する際に、シールドフラットケーブルのシールド層が金属シェルを介してグランド電位に落とされた場合と、本開示の実施例による場合のNEXT(Near End Crosstalk:近端クロストーク)の特性を示す図である。
図9】コネクタが金属シェルを有する際に、シールドフラットケーブルのシールド層が金属シェルを介してグランド電位に落とされた場合と本開示の実施例による場合のFEXT(Far End Crosstalk:遠端クロストーク)の特性を示す図である。
図10】本開示の第5の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図11】本開示の第6の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図12A】本開示の第7の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図12B】本開示の第7の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際の信号線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図13】本開示の第7の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図14】本開示の第7の実施形態に係るコネクタのグランド線用コンタクト部材のソルダーテールと金属シェルとの接続部の例を示す図である。
図15】本開示の第8の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。
図16】本開示の第8の実施形態に係るコネクタの金属シェルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
高速信号伝送用のシールドフラットケーブルでは、複数の導体の並びは、2芯の信号線の両側にグランド線を設けるものが一般的である。このようなシールドフラットケーブルをコネクタに装着した場合、グランド線は基板側のグランド電位に落とされる。一方、シールド層をグランド電位に維持するためには、特許文献2のシールドフラットケーブルのようにシールド層を、金属シェルを介してグランド電位に落とす方法のほか、シールド層をグランド線とともにグランド電位に落とす方法が考えられる。発明者は、金属シェルを用いる前者の方法よりも、シールド層をグランド線に接続し、シールド層とグランド線を同時にグランド電位に落とす後者の方法が、より伝送特性が向上するということを見出した。
【0008】
本開示は、これらの知見に基づいてなされたものであり、高速信号伝送用のシールドフラットケーブルの加工を必要とせずに、コネクタの構造を工夫することによって、安価で伝送特性の良好なコネクタおよび基板を提供することをその目的とする。
【0009】
[本開示の効果]
本開示によれば、低周波数領域でのクロストークの大きさやばらつきが大幅に改善される。
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るコネクタは、平行に配列された信号線およびグランド線と、前記信号線および前記グランド線を覆う絶縁層と、該絶縁層の両面をそれぞれ覆う第1シールド層および第2シールド層とを備え、長手方向の端部で前記信号線と前記グランド線とを前記第1シールド層側および前記第2シールド層側で露出させた端子部が補強板上に形成され、前記端子部において前記補強板が前記信号線および前記グランド線の前記第2シールド層側に貼り付けられ、前記補強板の前記信号線および前記グランド線の貼り付けられていない側の上に前記第2シールド層と電気的に接続する第2シールド層接続部材が設けられたシールドフラットケーブルが装着され、筐体を備えたコネクタであって、前記筐体は、前記第1シールド層または前記第2シールド層に対向する底部および頂部と、前記底部および前記頂部に連なる側壁部を有し、前記シールドフラットケーブルが装着された際に、前記端子部の前記信号線に接触する信号線用接点部を設けた信号線用コンタクト部材と、前記端子部の前記グランド線に接触するグランド線用接点部を設けたグランド線用コンタクト部材と、前記第1シールド層に接触する第1シールド層用接点部を設けた第1シールド層用コンタクト部材と、前記第2シールド層に前記第2シールド層接続部材を介して電気的に接続する第2シールド層用接点部を設けた、前記第1シールド層用コンタクト部材とは別体の第2シールド層用コンタクト部材を備え、前記第2シールド層用コンタクト部材が前記筐体を覆う金属シェル部材に一体に形成され、前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材とが電気的に接続され、前記グランド線用接点部、前記第1シールド層用接点部及び前記第2シールド層用接点部が、前記補強板の上方または下方に配置されている。
【0011】
この構成により、シールドフラットケーブルの第1シールド層が、第1シールド層用コンタクト部材とコネクタのグランド線用コンタクト部材によって、シールドフラットケーブルのグランド線に電気的接続されるため、重要な伝送特性の1つである低周波数領域でのクロストークの大きさやばらつきが大幅に改善される。さらに、信号線用コンタクト部材やグランド線用コンタクト部材はプレス加工等によって簡単に大量生産が可能であるので、トータルコストを抑えることができる。さらに、コネクタの耐ノイズ性が高まる。
【0012】
(2)前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材が一体に形成されていてもよい。
この構成により、コネクタの部品点数を少なくすることができる。
【0013】
(3)一体に形成された前記グランド線用コンタクト部材と前記第1シールド層用コンタクト部材が、前記信号線用コンタクト部材よりも、前記シールドフラットケーブルの挿入方向に沿って長くすることが望ましい。
この構成により、コネクタにシールドフラットケーブルが装着された際に、シールドフラットケーブルのグランド線とシールド層をコネクタのグランド線用コンタクト部材と第1シールド層用コンタクト部材に、確実に接触させることができる。
【0014】
(4)前記シールドフラットケーブルの挿入方向入口側から、前記第1シールド層と前記第1シールド層用コンタクト部材との接触位置、前記第2シールド層と前記第2シールド層用コンタクト部材との接触位置、前記グランド線と前記グランド線用コンタクト部材との接触位置が順番に位置することが望ましい。
この構成により、シールドフラットケーブルをコネクタ内でバランスよく固定することができる。
【0015】
(5)前記グランド線用コンタクト部材と前記第2シールド層用コンタクト部材とが電気的に接続されていてもよい。
この構成により、シールドフラットケーブルの第2シールド層が第1シールド層と同様に、シールドフラットケーブルのグランド線に電気的接続されるため、低周波数領域でのクロストークの大きさやばらつきがさらに改善される。
【0016】
(16)隣接する2本の前記信号線用コンタクト部材の両側に、それぞれ前記グランド線用コンタクト部材が配置されていてもよい。
この構成により、隣接する2本の信号線の両側にそれぞれグランド線を配列した差動伝送タイプのシールドフラットケーブルに対応したコネクタを提供することができる。
【0018】
)前記金属シェル部材が、前記コネクタが実装される基板のグランド電位の配線パッドに接続される接続部を有していることが望ましい。
この構成により、シールドフラットケーブルの第2シールド層が基板のグランド電位に落とされるため、コネクタの耐ノイズ特性がさらに高まる。
【0019】
)前記金属シェル部材が、前記グランド線用コンタクト部材のソルダーテールに接続される接続片を有していることが望ましい。
この構成により、シールドフラットケーブルの第2シールド層が第1シールド層と同様に、シールドフラットケーブルのグランド線に電気的接続されるため、低周波数領域でのクロストークの大きさやばらつきがさらに改善される。
【0020】
)前記金属シェル部材が、前記信号線用コンタクト部材と前記グランド線用コンタクト部材のソルダーテールを覆うカバー部材を有していてもよい。
この構成により、コネクタの耐ノイズ特性がさらに高まる。
【0021】
10)前記信号線用接点部及び前記第2シールド層用接点部が、前記補強板を上方または下方に配置されていてもよい。
11)本開示の一態様に係る基板は、上記の(1)から(10)のいずれか1のコネクタを実装した基板である。
この構成により、シールドフラットケーブルとの間で、重要な伝送特性の1つであるクロストークが大幅に改善された信号の伝送が可能な基板を得ることができる。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しながら、本開示のシールドフラットケーブルに係る好適な実施形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。なお、本発明はこれらの実施形態での例示に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された事項の範囲内および均等の範囲内におけるすべての変更を含む。また、複数の実施形態について組み合わせが可能である限り、本発明は任意の実施形態を組み合わせたものを含む。なお、図面は、本開示に係る実施形態を模式的に説明するためのものであり、コネクタの寸法に比べてシールドフラットケーブルの寸法を大きく記載している。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際の概略を示す上面図である。また、図2Aは、図1における線分IIA-IIAの断面を示す図であり、グランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。図3は、図1における線分IIB-IIBの断面を示す図であり、信号線用コンタクト部材の個所における断面図である。
【0024】
本実施形態に係るコネクタ101は、図示しないプリント基板(PCB:Printed Circuit Board)の上に設置され、シールドフラットケーブル200とプリント配線基板との電気的接続を行うものである。コネクタ101の筐体110から突出した各ソルダーテール132、142は、それぞれプリント基板に形成した配線に接続されている。コネクタ101には、シールドフラットケーブル200の端子部が装着可能な空間が形成されており、コネクタ101にシールドフラットケーブル200が装着されると、シールドフラットケーブル200の所定の導体が、プリント基板の所定の配線と接続されるようになっている。
【0025】
ここで、本実施形態に係るコネクタ101に装着されるシールドフラットケーブル200について説明する。図3は、本開示に係るコネクタに装着されるシールドフラットケーブルの一例を示す斜視図であり、図4は、図3に示すシールドフラットケーブルの導体の並びを説明するための図である。
【0026】
シールドフラットケーブル200には、平形導体210の並列面(XY平面)と直交する方向(Z方向)の両面を絶縁層220a、220bにより挟んで一体の絶縁層220を形成したフラットケーブルが用いられる。シールドフラットケーブル200の少なくとも一方の端部では、本実施形態では、一方の絶縁層220aと他方の絶縁層220bが共に除去されて、平形導体210が露出したケーブル端子部211が形成されている。このケーブル端子部211が、シールドフラットケーブル200をコネクタ101に装着した際にコネクタ101の端子(コンタクト部材)と接触する。なお、平形導体210を露出させるためには、例えば、一方の絶縁層220aのみを除去し、他方の絶縁層220bを残すようにしてもよい。
【0027】
ケーブル端子部211の他方の絶縁層220b側には、補強板250が貼り付けられて補強される。なお、他方の絶縁層220bを残す場合は、補強板250は、ケーブル端子部211の箇所の他方の絶縁層220bに貼り付けられる。一方の絶縁層220aと他方の絶縁層220bからなる絶縁層220の上には、それぞれ誘電体層221a、221bが設けられ、さらに、その上に第1シールド層230aと第2シールド層230bとが貼り付けられる。第1シールド層230aのケーブル端子部211側は、後述する第1シールド層用コンタクト部材と接触する第1シールド層接続部として機能する。一方、補強板250の上には、第2シールド層230bと電気的に接続する第2シールド層接続部材260が設けられている。第2シールド層接続部材260は、後述するコネクタの第2シールド層用コンタクト部材と電気的に接続される。
【0028】
平形導体210は、例えば、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の金属からなり、厚さが12μm~100μm、幅が0.2~0.8mm程度であり、ピッチPが0.4~1.5mmの適宜の間隔で配列される。この平形導体210の配列状態は、絶縁層220a、220bにより挟まれて保持される。平形導体210は信号伝送用として用いられるが、所定の平形導体210は、プリント基板側のコネクタの端子に接続された際に、グランド電位に落とされる。例えば、平形導体210は、信号を伝送する平形導体210を信号線Sn(nは正の整数)、グランド電位に落とされる平形導体210をグランド線Gm(mは正の整数)とした場合、図4に示すように、並列方向(Y軸方向)に、G1-S1-S2-G2-S3-S4-G3-S5-S6-G4のように、2本の信号線Sと1本のグランド線Gとが繰り返されるように配列される。ここで、隣接する2本の信号線Sは差動伝送に用いられる。なお、差動伝送の2本の信号線の両側に設けたグランド線をシールド層と一緒にグランド電位に落とすことによって、伝送特性に著しい改善がみられる。
【0029】
なお、上記の配列の他に、G1-G2-S1-S2-G3-G4-S3-S4-G5-G6-S5-S6-G7-G8のように、2本の信号線Sと2本のグランド線Gとが繰り返されるように配列してもよい。この場合、後述するグランド線用コンタクト部材と信号線用コンタクト部材の配列は、シールドフラットケーブルのグランド線Gと信号線Sの配列に整合させればよい。
【0030】
絶縁層220a、220bは、例えば、絶縁フィルムの内面に接着層を有する2層構造のものが用いられる。絶縁フィルムには、厚さ9μm~300μm程度の、柔軟性に優れた一般的な樹脂フィルム、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられる。また、接着層としては、厚さ10μm~150μmの適宜の厚さで、例えば、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂に難燃剤を添加した樹脂材料からなる接着剤などが用いられる。なお、絶縁層220a、220bは、絶縁フィルムを用いずに、例えば、ポリエチレン単層の樹脂等で形成してもよい。第1シールド層230aはと第2シールド層230bは、全体の厚みが30μm程度で、接着層やさらに樹脂層を設けたアルミニウム箔や銅箔等が用いられる。
【0031】
誘電体層221a、221bは、シールドフラットケーブル200の特性インピーダンスの調整のために設けられるものであるが、必ずしも設ける必要はない。また、第1シールド層230a、第2シールド層230bの上には、保護層を設けてもよい。保護層を設ける場合は、第1シールド層230aおよび第2シールド層接続部材260の端部側を除いてシールドフラットケーブル200の全周にわたって設けることができる。
【0032】
図3から図2A図2Bに戻り、コネクタ101について説明する。本実施形態に係るコネクタ101は、NON-ZIF(Non-Zero Interpose Force)コネクタの一例であり、電気絶縁性の樹脂からなる筐体110を備えている。筐体110は、底部111、側壁部112、および、頂部113を備えており、筐体110内には、4種類のコンタクト部材が固着されている。
【0033】
4種類のコンタクト部材の1つ目は、シールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触するグランド線用コンタクト部材130Aであり、2つ目はシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する第1シールド層用コンタクト部材130Bである。また、3つ目は、信号線Sに接触する信号線用コンタクト部材140であり、4つ目は、第2シールド層接続部材260に接触する第2シールド層用コンタクト部材180である。本実施形態では、グランド線用コンタクト部材130Aと第1シールド層用コンタクト部材130Bとが一体に形成されている。一体で形成されたグランド線用コンタクト部材130Aと第1シールド層用コンタクト部材130Bとを、以下、一体型グランド線用コンタクト部材130と呼ぶ。一体型グランド線用コンタクト部材130は、グランド線用コンタクト部材130Aと第1シールド層用コンタクト部材130Bとを電気的に接続するための1つの形態である。
【0034】
一体型グランド線用コンタクト部材130と信号線用コンタクト部材140の配列は、装着されるシールドフラットケーブル200のグランド線Gと信号線Sにそれぞれ対応するように配列されている。例えば、シールドフラットケーブル200の平形導体210が、図4に示すように、2本の信号線Sと1本のグランド線Gとが繰り返されるように配列されている場合、隣接する2本の信号線用コンタクト部材140の両側に、それぞれ一体型グランド線用コンタクト部材130が配置される。
【0035】
図2Aは、コネクタ101にシールドフラットケーブル200を装着した際にグランド線Gの中心を通るX-Z平面での断面図を示しており、シールドフラットケーブル200は、ケーブル端子部211の平形導体210の露出面がコネクタ101の頂部113側を向くように、コネクタ101に挿入される。
【0036】
図2Aに示すように、一体型グランド線用コンタクト部材130は、アーム部131とソルダーテール132を有しており、アーム部131の基部からソルダーテール132の基部までの部分で側壁部112に固着されている。一体型グランド線用コンタクト部材130には、導電性があり、バネ性が良い金属材料、例えば、黄銅、リン青銅などが用いられる。一体型グランド線用コンタクト部材130のアーム部131は、基部側(側壁部112側)に、底部111側に向けて突出するグランド線用コンタクト部材130Aとしてのグランド線用接点部133と、先端部側(側壁部112側と反対側)に、底部111側に向けて突出する第1シールド層用コンタクト部材130Bとしての第1シールド層用接点部134とを一体に有している。本実施形態では、グランド線用接点部133および第1シールド層用接点部134は、それぞれ弾性を有する突起として構成されていてもよい。
【0037】
また、シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と対向する位置には、第2シールド層用コンタクト部材180が設けられている。第2シールド層用コンタクト部材180は、筐体110の底部111に設けられており、シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と接触する第2シールド層用接点部181と基板のグランド電位の配線に接続されるグランド電位接続部182を有している。なお、コネクタ101が金属製のシェルを有する場合は、グランド電位接続部182は、金属製のシェルを介して基板のグランド電位に落とされてもよい。第2シールド層用コンタクト部材180の材料は、グランド線用コンタクト部材130Aと同様に、導電性があり、バネ性が良い金属材料、例えば、黄銅、リン青銅などが用いられる。
【0038】
コネクタ101にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、グランド線用コンタクト部材130Aのグランド線用接点部133がシールドフラットケーブル200のグランド線Gと接触し、第1シールド層用接点部134がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと接触し、さらに、第2シールド層用コンタクト部材180の第2シールド層用接点部181が第2シールド層接続部材260と接触する。シールドフラットケーブル200と各コンタクト部材の寸法は、適当な接触圧が得られるように調整されている。また、シールドフラットケーブル200の挿入方向入口側から、第1シールド層用接点部134、第2シールド層用接点部181、および、グランド線用接点部133が順番に位置している。一方、ソルダーテール132は、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされた配線のパッドに半田等を用いて接続される。
【0039】
これにより、シールドフラットケーブル200のグランド線Gと第1シールド層230aは、一体型グランド線用コンタクト部材130を介して、プリント基板のグランド電位に落とされ、かつ、シールドフラットケーブル200の第2シールド層230bも、第2シールド層接続部材260、第2シールド層用コンタクト部材180を介して、プリント基板のグランド電位に落とされる。
【0040】
図2Bに示すように、信号線用コンタクト部材140は、アーム部141とソルダーテール142を有しており、アーム部141の基部からソルダーテール142の基部までの部分で側壁部112に固着されている。信号線用コンタクト部材140の材料は、グランド線用コンタクト部材130Aと同様に、導電性があり、バネ性が良い金属材料、例えば、黄銅、リン青銅などが用いられる。信号線用コンタクト部材140のアーム部141は、基部側(側壁部112側)に、底部111側に向けて突出する信号線用接点部143を一体に有している。本実施形態では、信号線用コンタクト部材140が、一体型グランド線用コンタクト部材130よりも、シールドフラットケーブルの挿入方向に沿って短く形成されている。
【0041】
また、シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と対向する位置には、図2Aで示す第2シールド層用コンタクト部材180と同様の第2シールド層用コンタクト部材180が設けられていてもよい。なお、第2シールド層用コンタクト部材180は、平面状に設けられたシールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260に接触すれば、第2シールド層230bと電気接続が可能なため、図2A図2Bで示す位置に限らず、任意の位置に設けることができる。本実施形態では、第2シールド層用コンタクト部材180が図示の位置にあるものとして説明する。
【0042】
コネクタ101にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、信号線用コンタクト部材140の信号線用接点部143がシールドフラットケーブル200の信号線Sと接触し、さらに、第2シールド層用コンタクト部材180の第2シールド層用接点部181が第2シールド層接続部材260と接触するように、各部の寸法が調整されている。一方、ソルダーテール142は、図示しないプリント基板の信号用の配線のパッドに半田等を用いて接続される。これにより、シールドフラットケーブル200の信号線Sは、信号線用コンタクト部材140を介して、プリント基板の信号用の配線に接続されるとともに、シールドフラットケーブル200の第2シールド層230bも、第2シールド層接続部材260、第2シールド層用コンタクト部材180を介して、プリント基板のグランド電位に落とされる。
【0043】
本実施形態に係るコネクタ101は、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと第2シールド層230bが、電気的に接続されている場合も有効であるが、絶縁層220a、220bの上にそれぞれ独立して形成されている場合、すなわち、上下面に設けた第1シールド層230aと第2シールド層230bが電気的に接続されていない場合に特に有効である。この場合、コネクタ101は、シールドフラットケーブル200の一方の面の第1シールド層230aについては一体型グランド線用コンタクト部材130を介して、また、他方の面の第2シールド層230bについては第2シールド層用コンタクト部材180を介して、基板のグランド電位に落とすことが可能となる。
【0044】
シールドフラットケーブル200をコネクタ101に装着する方法は、シールドフラットケーブル200を筐体110の側壁部112とは反対側の開口から挿入し、シールドフラットケーブル200の先端が所定位置、例えば、側壁部112に当接する位置まで押し込めばよい。また、コネクタ101からシールドフラットケーブル200を取り外す場合は、コネクタ101からシールドフラットケーブル200を引き抜けばよい。
【0045】
(第2の実施形態)
図5は、本開示の第2の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。本実施形態において、信号線用コンタクト部材の個所における断面と構成は、第1の実施形態と同じであるため、図示と説明を省略する。
【0046】
図2Aに示す第1の実施形態におけるコネクタ101では、グランド線用コンタクト部材130Aと第1シールド層用コンタクト部材130Bとが一体に形成されているが、本実施形態のコネクタ102では、グランド線用コンタクト部材130Aと第1シールド層用コンタクト部材130Bとが別体に構成されている。グランド線用コンタクト部材130Aは、筐体110の側壁部112に固着されており、底部111側に向けて突出するグランド線用接点部133と、ソルダーテール132を有している。また、第1シールド層用コンタクト部材130Bは、例えば、筐体110の頂部113に固着されており、底部111側に向けて突出する第1シールド層用接点部134を有している。また、グランド線用コンタクト部材130Aには接続片135が設けられており、第1シールド層用コンタクト部材130Bには接続片135と接触可能な接続片136が設けられている。
【0047】
本実施形態のコネクタ102にシールドフラットケーブル200を装着した場合、グランド線用コンタクト部材130Aのグランド線用接点部133がシールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触し、第1シールド層用コンタクト部材130Bの第1シールド層用接点部134がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する。同時に、グランド線用コンタクト部材130Aに設けた接続片135と第1シールド層用コンタクト部材130Bに設けた接続片136とが接触する。これにより、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aは、第1シールド層用コンタクト部材130B、グランド線用コンタクト部材130Aを介して、グランド線Gとともに、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。他の構成については、第1の実施形態のコネクタ101と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、グランド線用コンタクト部材130Aと第1シールド層用コンタクト部材130Bとが別体に構成されているため、それぞれのコンタクト部材がシールドフラットケーブル200と接触する際の押圧力を個別に調整することが可能となる。
【0049】
(第3の実施形態)
図6Aは、本開示の第3の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図であり、図6Bは、本開示の第3の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際の信号線用コンタクト部材の個所における断面図である。
【0050】
本実施形態に係るコネクタ103は、ZIF(Zero Interpose Force:無挿入力)コネクタの他の例であり、電気絶縁性の樹脂からなる筐体150を備えている。この筐体150は、底部151、側壁部152、および、頂部153を備えている。また、頂部153の先端側にはヒンジ部154が設けられており、ヒンジ部154を介してフリップロック部材120が回転可能に取り付けられている。
【0051】
本実施形態では、シールドフラットケーブル200は、ケーブル端子部211の平形導体210の露出面がコネクタ103の底部151側を向くように、コネクタ103に挿入される。本実施形態は、第1の実施形態と同様に、筐体110内には、4種類のコンタクト部材が固着されている。4種類のコンタクト部材の1つ目は、シールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触するグランド線用コンタクト部材160Aであり、2つ目はシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する第1シールド層用コンタクト部材160Bである。また、3つ目は、信号線Sに接触する信号線用コンタクト部材170であり、4つ目は、第2シールド層接続部材260に接触する第2シールド層用コンタクト部材190である。
【0052】
図6Aに示すように、本実施形態では、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとが一体に形成されている。一体型グランド線用コンタクト部材160は、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとを電気的に接続するための1つの形態である。一体で形成されたグランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとを、以下、一体型グランド線用コンタクト部材160と呼ぶ。このため、筐体150の底部151および側壁部152には、一体型グランド線用コンタクト部材160と信号線用コンタクト部材170の2種類のコンタクト部材が設けられている。さらに、頂部153には、第2シールド層用コンタクト部材190が設けられている。一体型グランド線用コンタクト部材160と信号線用コンタクト部材170の配列は、装着されるシールドフラットケーブル200のグランド線Gと信号線Sにそれぞれ対応するように配列されている。
【0053】
図6Aに示すように、一体型グランド線用コンタクト部材160は、アーム部161とソルダーテール162を有しており、一体型グランド線用コンタクト部材160は、筐体150の底部151および側壁部152とともに、例えばインサート成形により一体に作製される。一体型グランド線用コンタクト部材160には、導電性があり、バネ性が良い金属材料、例えば、黄銅、リン青銅などが用いられる。一体型グランド線用コンタクト部材160のアーム部161は、基部側(側壁部152側)に、頂部153側に向けて突出する一体型グランド線用コンタクト部材160としてのグランド線用接点部163と、先端部側(側壁部152側と反対側)に、頂部153側に向けて突出する第1シールド層用コンタクト部材160Bとしての第1シールド層用接点部164とを有している。また、側壁部152から突出する部分に設けられたソルダーテール162は、図示しないプリント基板のグランド電位の配線のパッドに半田等を用いて接続される。
【0054】
シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と対向する位置には、第2シールド層用コンタクト部材190が設けられている。第2シールド層用コンタクト部材190は、筐体150の頂部153に設けられており、シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と接触する第2シールド層用接点部191とグランド電位接続部192を有している。グランド電位接続部192は、基板のグランド電位に落とされた金属シェルに接続される。第2シールド層用コンタクト部材190の材料は、一体型グランド線用コンタクト部材160と同様に、導電性があり、バネ性が良い金属材料、例えば、黄銅、リン青銅などが用いられる。
【0055】
コネクタ103にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、一体型グランド線用コンタクト部材160のグランド線用接点部163がシールドフラットケーブル200のグランド線Gと接触するとともに、第1シールド層用接点部164がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと接触し、さらに、第2シールド層用コンタクト部材190の第2シールド層用接点部191が第2シールド層接続部材260と接触するように、各部の寸法が調整されている。一方、ソルダーテール162は、図示しないプリント基板の信号用の配線のパッドに半田等を用いて接続される。
【0056】
そして、フリップロック部材120を矢印方向に回転させることにより、グランド線用接点部163とシールドフラットケーブル200のグランド線Gとの接触、および、第1シールド層用接点部164とシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aとの接触を確実にし、図示しない機構によって、シールドフラットケーブル200がコネクタ102から離脱するのを防止している。これにより、シールドフラットケーブル200のグランド線Gと第1シールド層230aは、一体型グランド線用コンタクト部材160を介して、プリント基板のグランド電位に落とされ、また、シールドフラットケーブル200の第2シールド層230bも、第2シールド層接続部材260、第2シールド層用コンタクト部材190、コネクタ103の金属シェルを介して、プリント基板のグランド電位に確実に落とされる。
【0057】
図6Bに示すように、信号線用コンタクト部材170は、アーム部171とソルダーテール172を有しており、信号線用コンタクト部材170は、筐体150の底部151および側壁部152とともに、例えばインサート成形により一体に作製される。信号線用コンタクト部材170の材料は、一体型グランド線用コンタクト部材160と同様に、導電性があり、バネ性が良い金属材料、例えば、黄銅、リン青銅などが用いられる。信号線用コンタクト部材170のアーム部171は、基部側(側壁部152側)に、頂部153側に向けて突出する信号線用接点部173を一体に有している。本実施形態では、信号線用コンタクト部材170が、一体型グランド線用コンタクト部材160よりも、シールドフラットケーブルの挿入方向に沿って短く形成されている。
【0058】
シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と対向する位置には、図6Aで示す第2シールド層用コンタクト部材190と同様の第2シールド層用コンタクト部材190が設けられている。なお、第2シールド層用コンタクト部材190は、平面状に設けられたシールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260に接触すれば、第2シールド層230bと電気接続が可能なため、図6A図6Bで示す位置に限らず、任意の位置に設けることができる、本実施形態では、シールド層用コンタクト部材が、図示の位置にあるものとして説明する。
【0059】
コネクタ103にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、信号線用コンタクト部材170の信号線用接点部173がシールドフラットケーブル200の信号線Sと接触し、さらに、第2シールド層用コンタクト部材190の第2シールド層用接点部191が第2シールド層接続部材260と接触するように、各部の寸法が調整されている。一方、ソルダーテール172は、図示しないプリント基板の信号用の配線のパッドに半田等を用いて接続される。そして、フリップロック部材120を矢印方向に回転させることにより、信号線用接点部173がシールドフラットケーブル200の信号線Sと確実に接触するとともに、シールドフラットケーブル200がコネクタ102から離脱するのが防止される。
【0060】
これにより、シールドフラットケーブル200の信号線Sは、信号線用コンタクト部材170を介して、プリント基板の信号用の配線に接続されるとともに、シールドフラットケーブル200の第2シールド層230bも、第2シールド層接続部材260、第2シールド層用コンタクト部材190、コネクタ104の金属シェルを介して、プリント基板のグランド電位に落とされる。
【0061】
本実施形態に係るコネクタ103は、第1の実施形態に係るコネクタ101と同様に、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと第2シールド層230bが、電気的に接続されている場合も有効であるが、絶縁層220a、220bの上にそれぞれ独立して形成されている場合、すなわち、上下面に設けたシールド層230が電気的に接続されていない場合に特に有効である。この場合、コネクタ103は、シールドフラットケーブル200の一方の面の第1シールド層230aについては一体型グランド線用コンタクト部材160を介して、また、他方の面の第2シールド層230bについては第2シールド層用コンタクト部材190を介して、基板のグランド電位に落とすことが可能となる。
【0062】
シールドフラットケーブル200をコネクタ103に装着する方法は、フリップロック部材120を矢印方向とは反対の方向(反時計回り方向)に回動した状態で、シールドフラットケーブル200を筐体150の側壁部152とは反対に位置する開口から挿入する。シールドフラットケーブル200の先端が所定位置、例えば、側壁部152に当接する位置まで挿入する。そして、フリップロック部材120を矢印方向(時計回り方向)に回動する。また、コネクタ102からシールドフラットケーブル200を外す場合は、フリップロック部材120を矢印方向とは反対方向に回動し、コネクタ102からシールドフラットケーブル200を引き抜く。
【0063】
(第4の実施形態)
図7は、本開示の第4の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。本実施形態において、信号線用コンタクト部材の個所における断面と構成は、図6Bに示した第3の実施形態と同じであるため、図示と説明を省略する。
【0064】
図6Aに示す第3実施形態におけるコネクタ103では、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとが一体に形成されているが、本実施形態のコネクタ104では、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとが別体に構成されている。グランド線用コンタクト部材160Aは、筐体110の側壁部112と底部151に固着されており、頂部153側に向けて突出するグランド線用接点部163と、ソルダーテール162を有している。また、第1シールド層用コンタクト部材160Bは、例えば、筐体110の底部151に固着されており、頂部153側に向けて突出する第1シールド層用接点部164を有している。また、グランド線用コンタクト部材130Aには接続片165が設けられ、第1シールド層用コンタクト部材160Bには接続片165と接触可能な接続片166が設けられている。
【0065】
本実施形態のコネクタ104にシールドフラットケーブル200を装着した場合、グランド線用コンタクト部材160Aのグランド線用接点部163がシールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触し、第1シールド層用コンタクト部材160Bの第1シールド層用接点部164がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する。同時に、グランド線用コンタクト部材160Aに設けた接続片165と第1シールド層用コンタクト部材160Bに設けた接続片166とが接触する。これにより、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aは、第1シールド層用コンタクト部材160B、グランド線用コンタクト部材160Aのソルダーテール162を介して、グランド線Gとともに、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。他の構成については、第3の実施形態のコネクタ103と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとが別体に構成されているため、それぞれのコンタクト部材がシールドフラットケーブル200と接触する際の押圧力を個別に調整することが可能となる。
【0067】
(伝送特性)
次に、本開示に係るコネクタの伝送特性について説明する。図8は、コネクタが金属シェルを有する際に、シールドフラットケーブルのシールド層が金属シェルを介してグランド電位に落とされた場合と本開示の実施例による場合のNEXT(Near End Crosstalk:近端クロストーク)の特性を示す図であり、図9は、コネクタが金属シェルを有する際に、シールドフラットケーブルのシールド層が金属シェルを介してグランド電位に落とされた場合と本開示の実施例による場合のFEXT(Far End Crosstalk:遠端クロストーク)の特性を示す図である。両者とも、周波数に対する信号の減衰量を示しており、本開示の実施例の場合を特性1の実線で、また、金属シェルを用いた従来の場合を特性2の破線で示している。
【0068】
図8に示すように、近端クロストークについて、ほぼ4GHz以下の周波数帯域でのクロストークは、金属シェルを用いた場合よりも本開示の実施例の場合の方が著しく低下しており、ばらつきも軽減されている。また、ほぼ4GHz以上の周波数帯域でのクロストークは、金属シェルを用いた場合よりも本開示の実施例の場合の方が若干大きいものの、-30bB以下であるので、問題とはならない。
【0069】
図9に示すように、遠端クロストークについて、ほぼ5GHz以下の周波数帯域でのクロストークは、金属シェルを用いた場合よりも本開示の実施例の場合の方が著しく低下しており、ばらつきの軽減も著しい。また、ほぼ5GHzからほぼ12GHzの周波数帯域でのクロストークは、金属シェルを用いた場合よりも本開示の実施例の場合の方が若干大きいものの、ほぼ12GHz以上の周波数帯域では、金属シェルを用いた場合よりも本開示の実施例の場合の方が著しく低下している。
【0070】
これらのことから、金属シェルを有するコネクタの場合であっても、NEXTとFEXTの伝送特性は、特性2のようにシールドフラットケーブルのシールド層をコネクタの金属シェルを用いてグランド電位に落とす場合よりも、本開示の実施形態に係るコネクタを用いて、シールド層とグランド線Gとをコンタクト部材によって共にグランド電位に落とす方が良好であることが分かる。
【0071】
(第5の実施形態)
図10は、本開示の第5の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。本実施形態において、信号線用コンタクト部材の個所における断面と構成は、図6Bに示し第3の実施形態と同じであるため、図示と説明を省略する。
【0072】
本実施形態のコネクタ105では、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとが別体に構成されている。グランド線用コンタクト部材160Aは、筐体110の側壁部112と底部151に固着されており、頂部153側に向けて突出するグランド線用接点部163と、ソルダーテール162を有している。また、第1シールド層用コンタクト部材160Bは、例えば、筐体110の底部151に固着されており、頂部153側に向けて突出する第1シールド層用接点部164と、同じく頂部153側に向けて突出するグランド線用接点部167を有している。さらに、第1シールド層用コンタクト部材160Bは、グランド電位接続部168を有しているが、このグランド電位接続部168は設けなくても構わない。
【0073】
本実施形態のコネクタ105にシールドフラットケーブル200を装着した場合、グランド線用コンタクト部材160Aのグランド線用接点部163がシールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触し、第1シールド層用コンタクト部材160Bの第1シールド層用接点部164がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する。同時に、第1シールド層用コンタクト部材160Bのグランド線用接点部167がシールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触する。これにより、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aは、第1シールド層用コンタクト部材160B、グランド線G、第1シールド層用コンタクト部材160Bのソルダーテール162を介して、グランド線Gとともに、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。
【0074】
また、第1シールド層用コンタクト部材160Bにグランド電位接続部168を設けた場合は、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aとグランド線Gは、さらにグランド電位接続部168を通して、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。本実施形態は、シールドフラットケーブル200のグランド線Gを利用して、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bを電気的に接続する一例である。他の構成については、第3の実施形態のコネクタ103と同様であるので、その説明を省略する。
【0075】
(第6の実施形態)
図11は、本開示の第6の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図である。本実施形態のコネクタ106は、図6Aに示した第3の実施形態と同様に、シールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触するグランド線用コンタクト部材160Aと、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する第1シールド層用コンタクト部材160Bとが一体に形成された、一体型グランド線用コンタクト部材160を有している。また、コネクタ106は、シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と対向する位置には、第2シールド層用コンタクト部材190’が設けられている。第2シールド層用コンタクト部材190’は、シールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260と接触する第2シールド層用接点部191と、グランド線用コンタクト部材160Aに延びる接続片193を備えている。
【0076】
コネクタ106にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、一体型グランド線用コンタクト部材160のグランド線用接点部163がシールドフラットケーブル200のグランド線Gと接触するとともに、第1シールド層用接点部164がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと接触する。さらに、第2シールド層用コンタクト部材190’の第2シールド層用接点部191が第2シールド層接続部材260と接触する。これにより、シールドフラットケーブル200のグランド線Gと第1シールド層230aと第2シールド層230bは、共通のソルダーテール162を介して、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。
【0077】
図11に示す例では、第2シールド層用コンタクト部材190’が筐体150の頂部153に固着されているが、第2シールド層用コンタクト部材190’は側壁部152に固着されていてもよい。また、接続片193は筐体150の外部でグランド線用コンタクト部材160Aに電気的に接続されているが、接続片193は筐体150内の空間でグランド線用コンタクト部材160Aに接続されていてもよい。さらに、一体型グランド線用コンタクト部材160と第2シールド層用コンタクト部材190’とが一体に形成されていてもよい。
【0078】
(第7の実施形態)
図12Aは、本開示の第7の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図であり、図12Bは、本開示の第7の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際の信号線用コンタクト部材の個所における断面図である。また、図13は、本開示の第7の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【0079】
本実施形態に係るコネクタ101は、NON-ZIFコネクタの一例であり、電気絶縁性の樹脂からなる筐体150と金属シェル300を備えている。筐体150は、底部151、側壁部152、および、頂部153を備えており、筐体150内には、3種類のコンタクト部材が固着されている。3種類のコンタクト部材の1つ目は、シールドフラットケーブル200のグランド線Gに接触するグランド線用コンタクト部材160Aであり、2つ目はシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aに接触する第1シールド層用コンタクト部材160Bである。また、3つ目は、信号線Sに接触する信号線用コンタクト部材170である。
【0080】
本実施形態では、コネクタ107は、グランド線用コンタクト部材160Aと第1シールド層用コンタクト部材160Bとが一体に形成された一体型グランド線用コンタクト部材160を有している。また、一体型グランド線用コンタクト部材160のソルダーテール162’には、後述する金属シェル300の接触片305を受ける凹部162Cが上面側に設けられている。また、信号線用コンタクト部材170は、アーム部171とソルダーテール172を有しており、信号線用コンタクト部材170の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0081】
金属シェル300は、筐体150の頂部153を覆う上面部301と、筐体150の側壁部152を覆う側面部302を有している。金属シェル300には、さらに、側面部302とは反対側に、上面部301から延びて筐体150の頂部153を超える箇所に、第2シールド層用コンタクト部材303が一体に設けられている。第2シールド層用コンタクト部材303は、筐体150の底部151側に突出した突出片である第2シールド層用接点部304を有しており、この第2シールド層用接点部304が第2シールド層接続部材260に接触する。金属シェル300の側面部302には、一体型グランド線用コンタクト部材160のソルダーテール162’に対向する位置に、ソルダーテール162’側に延びてソルダーテール162’の凹部162Cに弾性的に接触する接触片305が設けられている。本実施形態では、接触片305は、先端が湾曲した突出部として構成されている。
【0082】
本実施形態のコネクタ107にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、一体型グランド線用コンタクト部材160のグランド線用接点部163がシールドフラットケーブル200のグランド線Gと接触し、第1シールド層用接点部164がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと接触する。また、信号線用コンタクト部材170の信号線用接点部173がシールドフラットケーブル200の信号線Sと接触する。さらに、金属シェル300の第2シールド層用接点部304がシールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260に接触する。これにより、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230aは、第1シールド層用コンタクト部材160B、グランド線用コンタクト部材160Aのソルダーテール162’を介して、グランド線Gとともに、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。また、シールドフラットケーブル200の第2シールド層230bについても、金属シェル300と、グランド線用コンタクト部材160Aのソルダーテール162’を介して、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。
【0083】
上記の実施形態では、ソルダーテール162’に形成した凹部162Cに金属シェル300に設けた接触片305を弾性的に接触させて、ソルダーテール162’と金属シェル300とを電気的に接続しているが、他の構成であってもよい。図14は、本開示の第7の実施形態に係るコネクタのグランド線用コンタクト部材のソルダーテールと金属シェルとの接続部の例を示す図である。図14に示す例では、一体型グランド線用コンタクト部材160のソルダーテール162”に切欠部162Dを設け、金属シェル300の接触片306の側部に設けた凸部306Dを嵌合させることによって、ソルダーテール162”と金属シェル300とを電気的に接続している。
【0084】
本実施形態では、金属シェル300をグランド線用コンタクト部材160Aのソルダーテール162’または162”を介して、グランド電位に落としているが、金属シェル300を直接、図示しないプリント基板のグランド電位に落としてもよい。例えば、シールドフラットケーブル200の平形導体210の並列方向(図3のY軸方向)の両側を覆う側面部を金属シェル300に一体に設け、この側面部を直接プリント基板のグランド電位の配線パッドに接続してもよい。以上、本実施形態では、金属シェル300が筐体150を覆うため、コネクタ107の耐ノイズ性が高まる。
【0085】
(第8の実施形態)
図15は、本開示の第8の実施形態に係るコネクタにシールドフラットケーブルを装着した際のグランド線用コンタクト部材の個所における断面図であり、図16は、本開示の第8の実施形態に係るコネクタの金属シェルを示す図である。本実施形態のコネクタ108は、金属シェル300を有する点は、第7の実施形態と同様であるが、金属シェル300がソルダーテール162を覆うカバー部307を有している点で異なる。また、金属シェル300とグランド線用コンタクト部材160Aのソルダーテール162との電気的な接続は、カバー部307に設けた接続片308をソルダーテール162に接触させることによって行っている。接続片308は、図16に示すように、カバー部307の一部を切り起こすことによって形成しているが、他の構成でもよい。
【0086】
本実施形態のコネクタ108にシールドフラットケーブル200を装着した状態では、一体型グランド線用コンタクト部材160のグランド線用接点部163がシールドフラットケーブル200のグランド線Gと接触し、第1シールド層用接点部164がシールドフラットケーブル200の第1シールド層230aと接触する。また、図示しない信号線用コンタクト部材170の信号線用接点部173がシールドフラットケーブル200の信号線Sと接触する。さらに、金属シェル300の第2シールド層用接点部304がシールドフラットケーブル200の第2シールド層接続部材260に接触する。これにより、シールドフラットケーブル200の第1シールド層230a、グランド線G、および、第2シールド層230bは、グランド線用コンタクト部材160Aのソルダーテール162を介して、図示しないプリント基板のグランド電位に落とされる。
【0087】
以上、本開示の実施形態について説明したが、各実施形態とも、シールドフラットケーブルにとっては、シールド層をグランド線に接続するための特別な加工、例えば、くし歯形導体を張り付けたり、ワイヤボンディングを行ったりすることを必要としない。また、NON-ZIFコネクタを採用する場合は、コネクタの低背化が可能である。なお、本発明は、グランド線とシールド層を有するシールドフラットケーブルが装着されるコネクタであって、コネクタのコンタクト部材がグランド線とシールド層とに接触可能な形態であれば、各実施形態の構成に限られない。また、本発明のコネクタが実装された基板であれば、その種類を問わない。さらに、複数の実施形態について説明したが、申述したように、これらの実施形態の組み合わせが可能である限り、本発明は任意の実施形態を組み合わせたものを含む。
【符号の説明】
【0088】
101,102,103,104,105,106,107,108…コネクタ、
110…筐体、
111…底部、
112…側壁部、
113…頂部、
120…フリップロック部材、
130…一体型グランド線用コンタクト部材、
130A…グランド線用コンタクト部材、
130B…第1シールド層用コンタクト部材、
131…アーム部、
132…ソルダーテール、
133…グランド線用接点部、
134…第1シールド層用接点部、
135…接続片、
136…接続片、
140…信号線用コンタクト部材、
141…アーム部、
142…ソルダーテール、
143…信号線用接点部、
150…筐体、
151…底部、
152…側壁部、
153…頂部、
154…ヒンジ部、
160…一体型グランド線用コンタクト部材、
160A…グランド線用コンタクト部材、
160B…第1シールド層用コンタクト部材、
161…アーム部、
162…ソルダーテール、
162’…ソルダーテール、
162C…凹部、
162D…切欠部、
163…グランド線用接点部、
164…第1シールド層用接点部、
165…接続片、
166…接続片、
167…グランド線用接点部、
168…グランド電位接続部、
170…信号線用コンタクト部材、
171…アーム部、
172…ソルダーテール、
173…信号線用接点部、
180…第2シールド層用コンタクト部材、
181…第2シールド層用接点部、
182…グランド電位接続部、
190…第2シールド層用コンタクト部材、
190’…第2シールド層用コンタクト部材、
191…第2シールド層用接点部、
192…グランド電位接続部、
193…接続片、
200…シールドフラットケーブル、
210…平形導体、
211…ケーブル端子部、
220…絶縁層、
220a…絶縁層、
220b…絶縁層、
221a…誘電体層、
221b…誘電体層、
230…シールド層、
230a…第1シールド層、
230b…第2シールド層、
250…補強板、
260…第2シールド層接続部材、
300…金属シェル、
301…上面部、
302…側面部、
303…第2シールド層用コンタクト部材、
304…第2シールド層用接点部、
305,306…接触片、
306D…凸部、
307…カバー部、
308…接続片。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16