(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】地図表示制御装置、地図表示装置、地図表示制御方法および地図表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230613BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230613BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230613BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
G08G1/09 F
G09B29/00 F
(21)【出願番号】P 2021183227
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2017170454の分割
【原出願日】2017-09-05
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 勘一
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 和夫
(72)【発明者】
【氏名】岩路 博文
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隆司
(72)【発明者】
【氏名】竹内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松村 明徳
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-285732(JP,A)
【文献】特開2004-171459(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072030(WO,A1)
【文献】特開2012-043260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行方向における信号機情報を取得する信号機情報取得部と、
前記車両の走行方向を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記信号機情報に基づいて、前記車両の走行方向に存在する信号機の状態を、
表示部に表示された地図上において前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路に表示する表示制御部と、
を備え、
前記信号機情報は信号機の現在の灯火色の状態を含んでおり、
前記表示制御部は、前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路を、設定ルートの有無に応じた前記車両の経路情報に基づいて抽出し、抽出した前記道路を前記車両の走行方向に存在する直近の前記信号機の現在の灯火色
に基づいて重畳表示
し、
前記重畳表示する前記道路の領域は、前記信号機がある交差点から先の規制される道路を対象とすることを特徴と
する地図表示制御装置。
【請求項2】
前記信号機情報は信号機の灯火色が変わるまでの時間情報を含んでおり、
前記表示制御部は、前記信号機の状態の表示を前記時間情報に応じて変化させ、灯火色が変わる時点で前記信号機側に収束して消去されるように表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記車両の経路情報に基づいて、経路上に存在する複数の信号機の状態を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示制御装置。
【請求項4】
車両の走行方向における信号機情報を取得する信号機情報取得ステップと、
前記車両の走行方向を含む地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
前記信号機情報に基づいて、前記車両の走行方向に存在する信号機の状態を、
表示部に表示された地図上において前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路に表示する表示制御ステップと、
を備え、
前記信号機情報は信号機の現在の灯火色の状態を含んでおり、
前記表示制御ステップは、前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路を、設定ルートの有無に応じた前記車両の経路情報に基づいて抽出するステップと、抽出した前記道路を前記車両の走行方向に存在する直近の前記信号機の現在の灯火色
に基づいて重畳表示
し、
前記重畳表示する前記道路の領域は、前記信号機がある交差点から先の規制される道路を対象として、コンピュータが実行することを特徴とする地図表示制御方法。
【請求項5】
車両の走行方向における信号機情報を取得する信号機情報取得ステップと、
前記車両の走行方向を含む地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
前記信号機情報に基づいて、前記車両の走行方向に存在する信号機の状態を、
表示部に表示された地図上において前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路に表示する表示制御ステップと、
前記信号機情報は信号機の現在の灯火色の状態を含んでおり、
前記表示制御ステップは、前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路を、設定ルートの有無に応じた前記車両の経路情報に基づいて抽出するステップと、抽出した前記道路を前記車両の走行方向に存在する直近の前記信号機の現在の灯火色
に基づいて重畳表示
し、
前記重畳表示する前記道路の領域は、前記信号機がある交差点から先の規制される道路を対象として、
コンピュータに実行させることを特徴とする地図表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示制御装置、地図表示装置、地図表示制御方法および地図表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体に搭載されるカーナビゲーション装置等の地図表示装置は、地図情報を表示部に表示するとともに、表示した地図の中に含まれる信号機、公共施設および店舗等の各種情報を表示して、ユーザに周辺地域の情報を提供する。また、運転者の視野内に虚像を表示するHUD(Head-Up Display)は、速度等の車両情報を表示することによって情報を提供し、利便性を向上する。
【0003】
例えば特許文献1に記載の車両用虚像表示システムは、通信部、画像解析部およびコントローラを備え、HUDに灯火色虚像を表示する。通信部は自車両が通過する予定の信号機の灯火色状態を無線によって受信し、画像解析部はカメラで撮像された自車両の進行方向の実景画像を解析し、実景画像に信号機が存在するかを判定する。コントローラは、信号機が実景画像に存在しない場合に、通信部から入力した信号機の灯火色状態に基づき、信号機の灯火色状態を示す灯火色虚像をHUDに表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車両用虚像表示システムでは、灯火色虚像が地図情報とともに表示されていないため、どこに位置する信号機の情報であるのか直観的に認識し難くい。また複数の信号機が道路上に連続しており、これに対応して複数の表示をした場合、いずれの信号機に対する情報であるのか不明瞭になることも生じ得る。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、信号機の状態を地図上に表示して認識性を高めることができる地図表示制御装置、地図表示装置、地図表示制御方法および地図表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の地図表示制御装置は、車両の走行方向における信号機情報を取得する信号機情報取得部と、前記車両の走行方向を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、前記信号機情報に基づいて、前記車両の走行方向に存在する信号機の状態を、前記地図情報における前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路に表示する表示制御部と、を備え、前記信号機情報は信号機の現在の灯火色の状態を含んでおり、 前記表示制御部は、前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路を、設定ルートの有無に応じた前記車両の経路情報に基づいて抽出し、抽出した前記道路を前記車両の走行方向に存在する直近の前記信号機の現在の灯火色で表示する。
【0008】
また本発明の別の態様は地図表示制御方法である。この地図表示制御方法は、車両の走行方向における信号機情報を取得する信号機情報取得ステップと、前記車両の走行方向を含む地図情報を取得する地図情報取得ステップと、前記信号機情報に基づいて、前記車両の走行方向に存在する信号機の状態を、前記地図情報における前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路に表示する表示制御ステップと、を備え、前記信号機情報は信号機の現在の灯火色の状態を含んでおり、前記表示制御ステップは、前記信号機によって規制される前記車両の走行方向における道路を、設定ルートの有無に応じた前記車両の経路情報に基づいて抽出するステップと、抽出した前記道路を前記車両の走行方向に存在する直近の前記信号機の現在の灯火色で表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信号機の状態を地図上に表示して認識性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る地図表示制御装置を含む地図表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】ルートが設定されていない場合の表示例を示す模式図である。
【
図3】ルートが設定されている場合の表示例を示す模式図である。
【
図4】信号機の状態表示処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態2におけるルートが設定されていない場合の表示例を示す模式図である。
【
図6】実施形態2におけるルートが設定されている場合の表示例を示す模式図である。
【
図7】実施形態2における信号機の状態表示処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態3における表示例を示す模式図である。
【
図9】実施形態3における表示例を示す模式図である。
【
図10】実施形態3における信号機の状態表示パターン処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに
図1から
図10を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る地図表示制御装置20を含む地図表示装置100の構成を示すブロック図である。地図表示装置100は、地図情報および自車両の現在位置を表示するとともに、取得した信号機情報に基づいて信号機の状態、即ち、信号機の灯火色、灯火色が変わるまでの時間を表示する。地図表示装置100は、例えば車両等の移動体に搭載されるカーナビゲーション装置または車両内で用いる可搬型の装置である。地図表示装置100は、GPS受信機11、記憶部12、信号機情報受信部13、表示部14、入力部15および地図表示制御装置20を備える。また、地図表示装置100は、音声によってユーザに案内等を行うための音声出力部を有していてもよい。
【0013】
GPS受信機11は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号を地図表示制御装置20へ出力する。記憶部12は、例えばSSD(Solid State Drive)、ハードディスク、CD-ROM、DVD等によって構成される記憶装置であり、地図データ(地図情報に相当する。)を記憶している。地図データには、道路や交差点における信号機の存在位置の情報も含まれている。地図データおよび道路や交差点における信号機の存在位置の情報等は、記憶部12に記憶されて地図表示制御装置20へ出力されるほか、通信装置を用いて情報提供サーバ(図示略)と通信し、該情報提供サーバから取得するものであってもよい。
【0014】
信号機情報受信部13は、道路上に設置されている信号機情報送信装置6から無線通信によって信号機の状態を含む信号機情報を取得する。信号機情報には、少なくとも1つの信号機の灯火色、信号機の灯火色が変わるまでの時間等の情報が含まれる。信号機情報送信装置6は、付近の少なくとも1つの信号機の状態を含む信号機情報を送信するが、周囲の複数の信号機の状態を送信するものであってもよい。信号機情報受信部13は、車両の走行方向における少なくとも1つまたは複数の信号機の状態を含む信号機情報を取得する。また、信号機情報受信部13は、地図表示装置100が利用可能な撮像装置の撮像画像から画像解析して取得される信号機の状態、即ち信号機の灯火色を該撮像装置から有線または無線により受信するようにしてもよい。撮像装置の撮像画像内に複数の信号機が写っている場合には、複数の信号機の状態を含む信号機情報が得られる。ここで言う撮像装置とは、例えば車両の車体または車室内に前方を向いて備えられ、地図表示装置100が撮像画像を取得可能なカメラ、または地図表示装置100に一体的に備えられているカメラなどである。
【0015】
表示部14は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等で構成されている。表示部14は、地図情報、自車両の現在位置、走行ルートなどの情報、および地図表示制御装置20からの指示に基づく操作に関する情報等を表示する。また、表示部14は、HUDであっても良く、地図情報と信号機の状態を虚像としてHUD上に表示するようにする。
【0016】
入力部15は、操作キー、十字キー、タッチパネル等のスイッチから構成されており、ユーザによる操作入力を受け付ける。入力部15は、例えば、表示部14が液晶等のディスプレイである場合に、該ディスプレイに組み込まれたタッチパネルであってもよい。また、入力部15は音声による音声入力操作の受付、撮像部または光学センサを用いたジェスチャ入力操作を受け付けることとしてもよい。
【0017】
地図表示制御装置20は、現在位置情報取得部21、地図情報取得部22、経路設定部23、信号機情報取得部24および表示制御部25を有する。地図表示制御装置20は、例えばCPUなどによって構成され、不揮発性メモリ(図示略)に格納されたコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムに用いる各種情報に従って、上述の各部による処理を実行する。
【0018】
地図表示制御装置20において現在位置情報取得部21は、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機11から取得した信号に基づき、自車両の現在位置(緯度、経度)を演算し、地図情報取得部22へ出力する。地図情報取得部22は、記憶部12から地図データを取得する。地図情報取得部22は、記憶部12から取得した地図データと、現在位置情報取得部21から取得した自車両の現在位置とを、表示制御部25へ出力する。
【0019】
経路設定部23は、地図データおよび自車両の現在位置情報を地図情報取得部22から取得する。また経路設定部23は、ユーザが入力した目的地、経路設定条件等を含む経路設定情報を入力部15から取得する。経路設定部23は、例えば、現在位置と目的地を結び、経路設定条件に当てはまるルートの候補を地図データに基づいて作成する。経路設定条件は、例えば移動時間が短い、距離が短い等の条件である。経路設定部23は、作成したルート候補の中からユーザが選択した設定ルートを含む経路情報として表示制御部25へ出力する。
【0020】
信号機情報取得部24は、信号機情報受信部13を介して車両の走行方向における少なくとも1つまたは複数の信号機の状態を含む信号機情報を取得し、表示制御部25へ出力する。信号機情報は、車両が走行する道路に対する信号機の状態を含むものである。
【0021】
表示制御部25は、地図情報取得部22から地図データおよび現在位置を取得し、表示部14に地図、現在位置および走行方向を表示させる。表示制御部25は、例えば現在位置の変化に基づいて走行方向を算出するものとする。表示制御部25は、経路設定部23から設定ルートを含む経路情報を取得し、該経路情報を表示部14に表示する。表示制御部25は、ユーザが設定する縮尺により地図を表示し、東西南北へのスクロール操作などを入力部15で受け付けて、適宜地図表示を変更する。また、表示制御部25は、設定ルートが表示部14に表示される地図上で識別できるように、設定ルート上の道路を所定の色で塗りつぶした画像を表示部14に表示させる。
【0022】
表示制御部25は、信号機情報を信号機情報取得部24から取得し、走行方向に存在する直近の信号機の状態を、表示部14で表示している地図上の信号機の周辺に表示する。表示制御部25は、信号機の状態をリアルタイムで表示部14に表示させる。表示制御部25は、表示部14に表示された地図上において、信号機によって規制される車両の走行方向における道路を現在の灯火色によって、例えば塗りつぶすようにして表示部14に表示させる。また、表示制御部25は、信号機によって規制される車両の走行方向における道路を含む領域(例えば扇状等の領域)を信号機の灯火色で半透明に塗りつぶし、より大きい画像として認識性を高めるようにしてもよい。
【0023】
図2はルートが設定されていない場合の表示例を示す模式図であり、
図3はルートが設定されている場合の表示例を示す模式図である。
図2に示す表示例では、直近の信号機がある交差点において、車両が走行している道路に対する信号機の灯火色が例えば赤色である。表示制御部25は、車両の走行方向における信号機によって規制される道路、即ち交差点を含み、交差点から先の直進先道路、左折先道路および右折先道路を信号機の灯火色によって塗りつぶすようにして、表示部14に表示させる。
図2に示すように、信号機の灯火色によって遠方側で淡くなるグラデーションを付けることで、地図が見易くなるが、グラデーションを付けずに表示してもよい。
【0024】
図3では、設定ルート上の道路が、例えば橙色等で塗りつぶされて表示部14に表示されている。表示制御部25は、設定ルートにおいて信号機によって規制される道路(
図3では直進道路)を信号機の灯火色によって塗りつぶすようにして、表示部14に表示させる。尚、
図2および
図3において、信号機によって規制される道路は、信号機の灯火色が青色であれば青色で、灯火色が黄色であれば黄色で塗りつぶされて表示部14に表示される。
【0025】
次に、実施形態1における地図表示制御装置20の動作を信号機の状態表示処理に基づいて説明する。
図4は、信号機の状態表示処理の手順を示すフローチャートである。地図表示制御装置20の表示制御部25は、走行している道路において走行方向に存在する直近の信号機を地図データに基づいて抽出する(S1)。
【0026】
表示制御部25は、設定ルートがあるか否かを判定し(S2)、設定ルートがなく否と判定した場合(S2:NO)、直近の信号機が位置する交差点において該信号機によって規制される道路を限定することなく抽出する(S3)。例えば、
図2に示す例では、直進先道路、左折先道路および右折先道路が抽出される。言い換えると、直近の交差点で行くことができる全ての方向の道路が抽出される。ステップS2において、設定ルートがあると判定した場合(S2:YES)、直近の信号機によって規制される設定ルート上の道路を抽出する(S4)。例えば、
図3に示す例では、直進先道路が抽出される。言い換えると、直近の交差点で設定ルートに従った方向の道路が抽出される。ステップS3およびステップS4の後、表示制御部25は、信号機情報取得部24を介して、直近の信号機の信号機情報を取得する(S5)。表示制御部25は、直近の信号機によって規制される、抽出した道路を直近の信号機の灯火色で塗りつぶして表示部14に表示させる(S6)。
【0027】
表示制御部25は、直近の信号機を自車両が通過したか否かを判定し(S7)、通過したと判定した場合(S7:YES)、処理を終了する。ステップS7において否と判定した場合(S7:NO)、表示制御部25は、ステップS5に戻って処理を継続する。
【0028】
地図表示制御装置20は、走行中の道路において走行方向に存在する直近の信号機の状態、即ち該信号機の灯火色を表示部14に表示される地図上に表示する。これによって、地図表示制御装置20は、直近の信号機の位置およびその灯火色がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0029】
(実施形態2)
実施形態1では、地図表示制御装置20は直近の信号機の状態を表示部14に表示したが、直近の信号機を含む複数の信号機の状態を表示するようにしてもよい。
図5は実施形態2におけるルートが設定されていない場合の表示例を示す模式図であり、
図6は実施形態2におけるルートが設定されている場合の表示例を示す模式図である。実施形態2における地図表示制御装置20は、表示制御部25が複数の信号機の状態を表示することに対応しており、表示制御部25以外の各部の構成は実施形態1と同様である。
【0030】
表示制御部25は、信号機情報を信号機情報取得部24から取得し、走行方向に存在する直近の信号機を含む複数の信号機の状態を、表示部14で表示している地図上の信号機の周辺にリアルタイムで表示する。表示制御部25は、表示部14に表示された地図上において、複数の信号機によって規制される車両の走行方向における道路を、各信号機の現在の灯火色によって、例えば塗りつぶすようにして表示部14に表示させる。また、表示制御部25は、信号機によって規制される車両の走行方向における道路を含む領域(例えば扇状等の領域)を信号機の灯火色で半透明に塗りつぶし、より大きい画像として認識性を高めるようにしてもよい。
【0031】
図5に示す表示例では、直近の信号機A1がある交差点において、車両が走行している道路に対する信号機の灯火色が赤色である。直近の信号機を1つ目とし、その先に2つ目の信号機として、直進先道路に信号機A2、左折先道路に信号機A3、および右折先道路に信号機A4が存在している。直近の信号機A1がある交差点の直進先道路、左折先道路および右折先道路に対して、信号機A2が青色、信号機A3が赤色、信号機A4が黄色となっている。表示制御部25は、車両の走行方向における各信号機A1~A4によって規制される道路、即ち交差点を含み、交差点から先の直進先道路、左折先道路および右折先道路を信号機の灯火色によって塗りつぶすようにして、表示部14に表示させる。2つ目の信号機の先にある3つ目以降の信号機が存在する交差点に進入する道路が1つである場合には、3つ目以降の信号機に対しても信号機の状態を表示部14に表示させることができるが、進入する道路が2つ以上である場合、表示しないようにする。
【0032】
図6では、設定ルート上の道路が、例えば橙色等で塗りつぶされて表示部14に表示されている。表示制御部25は、設定ルートにおける直近の信号機を含む複数の信号機によって規制される道路を信号機の灯火色によって塗りつぶすようにして、表示部14に表示させる。
【0033】
次に、実施形態2における地図表示制御装置20の動作を信号機の状態表示処理に基いて説明する。
図7は、実施形態2における信号機の状態表示処理の手順を示すフローチャートである。地図表示制御装置20の表示制御部25は、走行している道路において走行方向に存在する直近の信号機を含む複数の信号機を地図データに基づいて抽出する(S11)。
【0034】
表示制御部25は、設定ルートがあるか否かを判定し(S12)、設定ルートがなく否と判定した場合(S12:NO)、複数の信号機が位置する交差点において各信号機によって規制される道路を限定することなく抽出する(S13)。例えば、
図5に示す例では、信号機A1について直進先道路、左折先道路および右折先道路を、信号機A2について直進先道路、左折先道路および右折先道路を、信号機A3について左折先道路および右折先道路を抽出する。ステップS12において、設定ルートがあると判定した場合(S12:YES)、各信号機によって規制される設定ルート上の道路を抽出する(S14)。例えば、
図6に示す例では、信号機B1について直進先道路を、信号機B2について左折先道路を、信号機B3について直進先道路を、信号機B4について右折先道路を抽出する。ステップS13およびステップS14の後、表示制御部25は、信号機情報取得部24を介して、複数の信号機の信号機情報を取得する(S15)。表示制御部25は、複数の信号機によって規制される、抽出した道路を対応する各信号機の灯火色で塗りつぶして表示部14に表示させる(S16)。
【0035】
表示制御部25は、直近の信号機を自車両が通過したか否かを判定し(S17)、通過したと判定した場合(S17:YES)、処理を終了する。ステップS17において否と判定した場合(S17:NO)、表示制御部25は、ステップS15に戻って処理を継続する。
【0036】
地図表示制御装置20は、走行中の道路において走行方向に存在する複数の信号機の状態、即ち各信号機の灯火色を表示部14に表示される地図上に表示する。これによって、地図表示制御装置20は、直近の信号機を含めて複数の信号機の位置およびそれらの灯火色がユーザにとって把握し易く、各信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0037】
(実施形態3)
実施形態3では、実施形態1および実施形態2において表示部14に表示される信号機の状態に、更に信号機が変わるまでの時間の要素を加えた表示を行うようにする。
図8(a)、
図8(b)、
図9(a)および
図9(b)は実施形態3における表示例を示す模式図である。実施形態3における地図表示制御装置20は、表示制御部25において信号機が変わるまでの時間の要素を加えた表示に対応しており、表示制御部25以外の各部の構成は実施形態1および実施形態2と同様である。
【0038】
表示制御部25は、現在の灯火色が変わるまでの時間情報を含む信号機情報を信号機情報取得部24から取得し、走行方向に存在する直近の信号機の状態を、表示部14で表示している地図上の信号機の周辺にリアルタイムで表示する。表示制御部25は、表示部14に表示された地図上において、信号機によって規制される車両の走行方向において、信号機の状態の表示パターンを時間情報に応じて変化させる。表示制御部25は、信号機の灯火色が変わるまでの時間が短くなるにつれて、表示パターンを信号機側に徐々に収束させていき、灯火色が変わる時点で、信号機側に収束して消去するように表示する。
【0039】
例えば、表示制御部25は、信号機の状態を表示する領域を信号機に近い側で濃く、遠い側で薄いグラデーションを付けた表示パターンで表示部14に表示させてもよい。この場合、信号機の灯火色が変わるまでの時間が長い場合は、信号機の状態を表示する領域における信号機に近い側から遠い側までの寸法を大きくする。表示制御部25は、信号機の灯火色が変わるまでの時間が短くなるにつれて、信号機の状態を表示する領域における信号機に近い側に収束するように該領域の寸法を減じていく。表示制御部25は、灯火色が変わる時点で、信号機の状態を表示する領域を信号機側に収束して消去させる。尚、信号機の状態を表示する領域は、道路、または道路を含む範囲(例えば、扇状等の範囲)とすればよい。
【0040】
図8(a)は、信号機の灯火色が赤色から青色に変わるまでの時間が例えば2秒より長く、灯火色の表示領域を大きく表示している。
図8(b)は、信号機の灯火色が赤色から青色に変わるまでの時間が2秒以下となった状態であり、灯火色の表示領域を中間程度の大きさで表示している。
図9(a)は、信号機の灯火色が赤色から青色に変わるまでの時間が1秒以下となった状態であり、灯火色の表示領域を小さく表示している。
図9(b)は、信号機の灯火色が赤色から青色に変わる時点であり、信号機側に赤色の表示領域が収束して消去され、次の灯火色である青色の表示領域を表示したものである。
【0041】
次に、実施形態3における地図表示制御装置20の動作を信号機の状態表示パターン処理に基づいて説明する。
図10は、実施形態3における信号機の状態表示パターン処理の手順を示すフローチャートである。地図表示制御装置20の表示制御部25は、走行している道路において走行方向に存在する直近の信号機の灯火色が変わるまでの時間を含む信号機情報を取得し(S21)、灯火色が変わるまでの時間のカウントダウンを開始する(S22)。表示制御部25は、灯火色の表示領域が大きいパターンで表示部14に表示させる(S23)。ステップS23における表示パターンは、例えば
図8(a)に示す表示となる。
【0042】
表示制御部25は、カウントダウン値が2秒以下になったか否かを判定し(S24)、否と判定した場合(S24:NO)、ステップS24の判定を繰り返す。ステップS24において2秒以下になったと判定した場合(S24:YES)、表示制御部25は、灯火色の表示領域の大きさが中間程度のパターンで表示部14に表示させる(S25)。ステップS25における表示パターンは、例えば
図8(b)に示す表示となる。
【0043】
表示制御部25は、カウントダウン値が1秒以下になったか否かを判定し(S26)、否と判定した場合(S26:NO)、ステップS26の判定を繰り返す。ステップS26において1秒以下になったと判定した場合(S26:YES)、表示制御部25は、灯火色の表示領域が小さいパターンで表示部14に表示させる(S27)。ステップS27における表示パターンは、例えば
図9(a)に示す表示となる。
【0044】
表示制御部25は、カウントダウン値が0秒になったか否かを判定し(S28)、否と判定した場合(S28:NO)、ステップS28の判定を繰り返す。ステップS28において0秒になったと判定した場合(S28:YES)、表示制御部25は、現在の灯火色の表示領域を信号機側に収束して消去し、次の灯火色によって表示する状態とし(S29)、処理を終了する。ステップS29における表示部14の表示は、信号機の状態表示が消滅し、次の灯火色によって表示された
図9(b)の状態となる。表示制御部25は、灯火色の表示領域を、カウントダウン値に応じて断続的に変化させてもよく、また連続的に変化させてもよい。
【0045】
地図表示制御装置20は、走行中の道路において走行方向に存在する信号機の状態、即ち信号機の灯火色の表示を、灯火色が変化するまでの時間情報に基づいて変化させ、表示部14に表示される地図上に表示する。これにより、地図表示制御装置20は、信号機の灯火色、および灯火色が変化するまでの時間がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0046】
次に、実施形態1から3に係る地図表示制御装置20、地図表示装置100、地図表示制御方法、および地図表示制御プログラムの特徴を説明する。
地図表示制御装置20は、信号機情報取得部24、地図情報取得部22および表示制御部25を備える。信号機情報取得部24は、車両の走行方向における信号機情報を取得する。地図情報取得部22は、車両の走行方向を含む地図情報を取得する。表示制御部25は、信号機情報に基づいて、車両の走行方向に存在する信号機の状態を、地図情報における信号機から車両の走行方向における道路に表示する。これにより、地図表示制御装置20は、信号機の位置およびその状態がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0047】
また信号機情報は信号機の灯火色を含んでおり、表示制御部25は、信号機から車両の走行方向における道路を、信号機の灯火色で表示する。は、それぞれの信号の搬送波対雑音比または信号対雑音比である。これにより、地図表示制御装置20は、信号機の位置およびその灯火色がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0048】
また信号機情報は信号機の灯火色が変わるまでの時間情報を含んでおり、表示制御部25は、信号機の状態の表示を時間情報に応じて変化させ、灯火色が変わる時点で信号機側に収束して消去されるように表示する。これにより、地図表示制御装置20は、信号機の灯火色、および灯火色が変化するまでの時間がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0049】
また表示制御部25は、車両の走行方向に存在する複数の信号機の状態を表示する。これにより、地図表示制御装置20は、直近の信号機を含めて複数の信号機の位置およびそれらの灯火色がユーザにとって把握し易く、各信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0050】
また表示制御部25は、車両の経路情報に基づいて、経路(即ち設定ルート)上に存在する複数の信号機の状態を表示する。これにより、地図表示制御装置20は、経路上の複数の信号機の位置およびその状態がユーザにとって把握し易く、各信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0051】
地図表示装置100は、上述の地図表示制御装置20、および車両の現在位置を計測するGPS受信機を備える。地図表示装置100は、地図表示制御装置20による表示とともに、車両の現在位置を表示する。これにより、地図表示装置100は、信号機の位置およびその状態がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0052】
地図表示制御方法は、信号機情報取得ステップ、地図情報取得ステップおよび表示制御ステップを備える。信号機情報取得ステップは、車両の走行方向における信号機情報を取得する。地図情報取得ステップは、車両の走行方向を含む地図情報を取得する。表示制御ステップは、信号機情報に基づいて、車両の走行方向に存在する信号機の状態を、地図情報における信号機から車両の走行方向における道路に表示する。この地図表示制御方法によれば、信号機の位置およびその状態がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0053】
地図表示制御プログラムは、信号機情報取得ステップ、地図情報取得ステップおよび表示制御ステップをコンピュータに実行させる。信号機情報取得ステップは、車両の走行方向における信号機情報を取得する。地図情報取得ステップは、車両の走行方向を含む地図情報を取得する。表示制御ステップは、信号機情報に基づいて、車両の走行方向に存在する信号機の状態を、地図情報における信号機から前記車両の走行方向における道路に表示する。この地図表示制御プログラムによれば、信号機の位置およびその状態がユーザにとって把握し易く、信号機の状態についての認識性を高めることができる。
【0054】
上述の実施形態1から3において、信号機が直進および左折を禁止し、右折を可能とする表示となっている場合、表示部14に表示される地図上において、直進先道路および左折先道路を赤色で、左折先道路を青色で表示すればよい。この場合と同様に、地図表示制御装置20は、信号機の状態に基づく種々の規制状態に対応し、表示部14に表示される地図上において、信号機の状態を表示することができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0056】
11 GPS受信機、 20 地図表示制御装置、 22 地図情報取得部、
24 信号機情報取得部、 25 表示制御部、 100 地図表示装置。