(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】多重電力変換システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/493 20070101AFI20230613BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230613BHJP
【FI】
H02M7/493
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2021534459
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2019028871
(87)【国際公開番号】W WO2021014574
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 一誠
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅博
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/095241(WO,A1)
【文献】特開2004-15923(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006400(WO,A1)
【文献】特開平1-122370(JP,A)
【文献】特開平4-322173(JP,A)
【文献】特開平6-319263(JP,A)
【文献】特開2005-185003(JP,A)
【文献】特開2014-236530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相または単相で構成され、直流側が共通に接続されるとともに交流側が共通に接続されることで互いに並列に接続され、互いの直流正側が接続され、互いの直流負側が接続され、前記直流正側と前記直流負側との間に2個の直流コンデンサの直列回路が設けられ、前記2個の直流コンデンサの接続点である直流中性点が互いに接続された複数の単位電力変換器と、
前記複数の単位電力変換器の前記
直流中性点にそれぞれ流れる電流
を各単位電力変換器の前記直流中性点の間で検出し、前記複数の単位電力変換器にそれぞれ設けられた複数の電流センサと、
を備えた多重電力変換システム。
【請求項2】
前記複数の電流センサの検出結果に基づいて前記複数の単位電力変換器の保護動作を行う制御装置、
を備えた請求項1に記載の多重電力変換システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の電流センサの検出結果に基づいて前記複数の単位電力変換器の少なくとも1台の電力変換器が有する少なくとも1相分のスイッチング素子をオフにする請求項2に記載の多重電力変換システム。
【請求項4】
前記複数の単位電力変換器の各々において、直流正側と直流負側と直流中性点とのうちの少なくとも2つに設けられた複数のスイッチ、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の電流センサの検出値に基づいて、故障した単位電力変換器において前記複数のスイッチを切り離す請求項2または請求項3に記載の多重電力変換システム。
【請求項5】
前記複数の単位電力変換器の各々に対して同一のゲート信号または同一の電圧指令値から生成されたゲート信号を送信する制御装置、
を備えた請求項1に記載の多重電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多重電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数台の3レベル電力変換器を備える多重電力変換システムを開示する。当該多重電力変換システムによれば、直流平滑コンデンサの温度上昇の予防および直流母線の電位の安定性を図り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の多重電力変換システムにおいては、複数の電力変換器の間で循環電流が流れることがある。循環電流を検出する方法として、複数の電力変換器の交流側の各相に電流センサを設けることが考えられる。この場合、電流センサの数が多くなる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、少ない電流センサで循環電流を検出することができる多重電力変換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの発明に係る多重電力変換システムは、三相または単相で構成され、直流側が共通に接続されるとともに交流側が共通に接続されることで互いに並列に接続され、互いの直流正側が接続され、互いの直流負側が接続され、前記直流正側と前記直流負側との間に2個の直流コンデンサの直列回路が設けられ、前記2個の直流コンデンサの接続点である直流中性点が互いに接続された複数の単位電力変換器と、前記複数の単位電力変換器の前記直流中性点にそれぞれ流れる電流を各単位電力変換器の前記直流中性点の間で検出し、前記複数の単位電力変換器にそれぞれ設けられた複数の電流センサと、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明によれば、循環電流は、直流側に設けられた電流センサの検出結果に基づいて検出される。このため、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における多重電力変換システムの構成図である。
【
図2】実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の第1例の構成図である。
【
図3】実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の第2例の構成図である。
【
図4】実施の形態1における多重電力変換システムの循環電流の抑制方法を説明するためのブロック図である。
【
図5】実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器1の保護方法を説明するためのブロック図である。
【
図6】実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の要部の構成図である。
【
図7】実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の短絡故障のモードを示す図である。
【
図8】実施の形態1における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【
図9】実施の形態1における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【
図10】実施の形態1における多重電力変換システムの制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施の形態1における多重電力変換システムの制御装置のハードウェア構成図である。
【
図12】実施の形態2における多重電力変換システムの構成図である。
【
図13】実施の形態2における多重電力変換システムの単位電力変換器の要部の構成図である。
【
図14】実施の形態2における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【
図15】実施の形態2における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【
図16】実施の形態3における多重電力変換システムの構成図である。
【
図17】実施の形態3における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【
図18】実施の形態4における多重電力変換システムの構成図である。
【
図19】実施の形態4における多重電力変換システムの単位電力変換器の第1例の構成図である。
【
図20】実施の形態4における多重電力変換システムの単位電力変換器の第2例の構成図である。
【
図21】実施の形態5における多重電力変換システムの構成図である。
【
図22】実施の形態6における多重電力変換システムの構成図である。
【
図23】実施の形態7における多重電力変換システムの構成図である。
【
図24】実施の形態8における多重電力変換システムの構成図である。
【
図25】実施の形態9における多重電力変換システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における多重電力変換システムの構成図である。
【0012】
図1に示されるように、多重電力変換システムは、複数の単位電力変換器1を備える。例えば、複数の単位電力変換器1の各々において、直流側は、図示されない直流電源に接続される。例えば、複数の単位電力変換器1の各々において、交流側は、交流負荷に接続される。
【0013】
複数の単位電力変換器1の各々は、スイッチング素子群2と正側直流コンデンサ3と負側直流コンデンサ4と複数のリアクトル5とを備える。
【0014】
スイッチング素子群2は、図示されない複数のスイッチング素子を備える。
【0015】
正側直流コンデンサ3は、単位電力変換器1の直流正側Pと直流中性点Mとの間に接続される。負側直流コンデンサ4は、単位電力変換器1の直流負側Nと直流中性点Mとの間に接続される。
【0016】
図1においては、複数のリアクトル5のうちの一つだけが図示される。複数のリアクトル5の各々は、交流側の各相に直列に接続される。
【0017】
複数の単位電力変換器1において、互いの直流正側Pは、互いに接続される。互いの直流負側Nは、互いに接続される。互いの直流中性点Mは、互いに接続されない。
【0018】
例えば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pのそれぞれに設けられる。複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pのそれぞれに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0019】
例えば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流負側Nのそれぞれに設けられることもある。この場合、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流負側Nのそれぞれに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0020】
例えば、制御装置7は、複数の単位電力変換器1の各々に対して同一のゲート信号を送信する。例えば、制御装置7は、複数の単位電力変換器1の各々に対して同一電圧指令値と異なるキャリア波とから生成されたゲート信号を送信する。
【0021】
制御装置7は、複数の直流側電流センサ6の検出結果に基づいて複数の単位電力変換器1の各々に流れる電流の不均一量を演算する。
【0022】
例えば、制御装置7は、多重電力変換システムを構成するn台の単位電力変換器1の各々において、電流の不均一量を検出する。具体的には、例えば、制御装置7は、n台のうち第iの単位電力変換器1に流れる電流をiiとして、次の(1)式を用いて各々の単位電力変換器1に流れる電流の不均一量を演算する。
【0023】
【0024】
制御装置7は、電流の不均一量の演算結果に基づいて複数の単位電力変換器1のスイッチング素子群2の動作を制御する。
【0025】
次に、
図2を用いて、単位電力変換器1の第1例を説明する。
図2は実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の第1例の構成図である。
【0026】
図2は、自励式半導体素子とダイオードを用いた三相3レベルの単位電力変換器1の一構成例である。当該単位電力変換器1においては、直流端子間に正側直流コンデンサ3と負側直流コンデンサ4とが直列接続され、その中間点には、直流中性点が存在する。単位電力変換器1の内部の自励式半導体素子の各々のゲートにオン、オフ信号を与えることで、それらの信号に応じて直流正側P、直流中性点M、直流負側Nのいずれかの電位が各相の交流端子に出力される。
【0027】
次に、
図3を用いて、単位電力変換器1の第2例を説明する。
図3は実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の第2例の構成図である。
【0028】
図3は、自励式半導体素子とダイオードを用いた三相3レベルの単位電力変換器1の一構成例である。当該単位電力変換器1においても、
図2の単位電力変換器1と同様に、単位電力変換器1の内部の自励式半導体素子の各々のゲートにオン、オフ信号を与えることで、それらの信号に応じて直流正側P、直流中性点M、直流負側Nのいずれかの電位が各相交流端子に出力される。
【0029】
ここでは、三相3レベルの単位電力変換器1の2つの構成が示されたが、単位電力変換器1の構成はこれら2つの構成に限定されない。また、ここでは例として三相の単位電力変換器1の例が示されたが、相数は三相に限定されず、何相でもよい。また、ここでは例として3レベルの単位電力変換器1の例が示されたが、レベル数は3に限定されず、3レベル以上の何レベルの単位電力変換器1でもよい。
【0030】
次に、
図4を用いて、循環電流の抑制方法を説明する。
図4は実施の形態1における多重電力変換システムの循環電流の抑制方法を説明するためのブロック図である。
【0031】
図4において、G(s)は、ローパスフィルタおよびフィードバックゲインである。単位電力変換器1の交流側には、零相の循環電流(不均一量Δi
i0)を抑制する方向に零相電圧(不均一量Δv
i0)が出力される。
【0032】
制御装置7は、複数の単位電力変換器1について零相電圧の不均一量の目標値Δvi0
*を演算する。制御装置7は、電流の不均一量ΔiiPjを検出して電圧vi0を操作することで電流の不均一量Δii0を制御する。
【0033】
次に、
図5を用いて、単位電力変換器1の保護方法を説明する。
図5は実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器1の保護方法を説明するためのブロック図である。
【0034】
図5において、制御装置7は、各々の単位電力変換器1に流れる電流の不均一量Δi
iPjを演算し、当該演算値が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する。各々の単位電力変換器1に流れる電流の不均一量Δi
iPjが予め設定された閾値よりも大きかった場合、制御装置7は、保護動作を行う。具体的には、制御装置7は、複数のスイッチング素子群2をオフにするゲートブロック信号GBを送信する。
【0035】
次に、
図6と
図7とを用いて、短絡故障の検出原理を説明する。
図6は実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の要部の構成図である。
図7は実施の形態1における多重電力変換システムの単位電力変換器の短絡故障のモードを示す図である。
【0036】
図6と
図7とに示されるように物理量が定義される場合、制御装置7は、直流側電流センサ6の検出値に基づいて短絡故障を検出する。
図7は、短絡故障が発生した際の電流が流れる経路を示しており、短絡故障の箇所によってモードAからモードDの場合がある。
【0037】
図8と
図9とは実施の形態1における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【0038】
添え字iが付いた物理量は短絡故障が発生した単位電力変換器における物理量で、添え字jが付いた物理量は短絡故障が発生した単位電力変換器以外における物理量である。短絡故障が発生した電力変換器において、直流P側の電流不均一量はΔiiP1、直流N側の電流不均一量はΔiiN1である。短絡故障が発生した電力変換器以外の電力変換器において、直流P側の電流不均一量はΔijP1、直流N側の電流不均一量はΔijN1である。
【0039】
モードAの短絡故障が発生した場合、短絡故障が発生した単位電力変換器iにおける不均一量の理論値は、新(1)式または新(2)式のようになる。ここで、新(1)式は直流側電流センサ6を直流正側Pに設けた場合の検出値の不均一量で、新(2)式は直流側電流センサ6を直流負側Nに設けた場合の検出値の不均一量である。
【0040】
モードBの短絡故障が発生した場合、短絡故障が発生した単位電力変換器iにおける不均一量の理論値は、新(3)式または新(4)式のようになる。ここで、新(3)式は直流側電流センサ6を直流正側Pに設けた場合の検出値の不均一量で、新(4)式は直流側電流センサ6を直流負側Nに設けた場合の検出値の不均一量である。
【0041】
モードCの短絡故障が発生した場合、短絡故障が発生した単位電力変換器iにおける不均一量の理論値は、新(5)式または新(6)式のようになる。ここで、新(5)式は直流側電流センサ6を直流正側Pに設けた場合の検出値の不均一量で、新(6)式は直流側電流センサ6を直流負側Nに設けた場合の検出値の不均一量である。
【0042】
モードDの短絡故障が発生した場合、短絡故障が発生した単位電力変換器iにおける不均一量の理論値は、新(7)式または新(8)式のようになる。ここで、新(7)式は直流側電流センサ6を直流正側Pに設けた場合の検出値の不均一量で、新(8)式は直流側電流センサ6を直流負側Nに設けた場合の検出値の不均一量である。
【0043】
したがって、新(1)式から(8)式の不均一量よりも大きさが小さい値を、不均一量と比較する閾値として設定することで、単位電力変換器の短絡故障を検出できる。
【0044】
なお、単位電力変換器の台数nが3以上の場合、短絡故障が発生した単位電力変換器(添え字i)の値の方が、それ以外の単位電力変換器(添え字j)の値よりも、大きさが大きくなるので、制御装置で検出した各単位電力変換器の不均一量を比較し、最も大きさが大きいものを、故障が発生した単位電力変換器であると特定することが出来る。(1-1/n)>1/nとなるためである。
【0045】
次に、
図10を用いて、制御装置7の動作の概要を説明する。
図10は実施の形態1における多重電力変換システムの制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0046】
ステップS1では、制御装置7は、各々の単位電力変換器1に流れる電流の不均一量を演算し、当該演算値が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0047】
ステップS1で各々の単位電力変換器1に流れる電流の不均一量が予め設定された閾値よりも大きくなかった場合、制御装置7は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、制御装置7は、電圧指令値に基づいて、複数のスイッチング素子群2に対するゲート信号を送信する。その後、制御装置7は、ステップS1の動作を行う。
【0048】
ステップS1で各々の単位電力変換器1に流れる電流の不均一量が予め設定された閾値よりも大きかった場合、制御装置7は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、制御装置7は、複数のスイッチング素子群2をオフにするゲート信号を送信する。その後、制御装置7は、動作を終了する。
【0049】
以上で説明した実施の形態1によれば、循環電流は、直流側電流センサ6の検出結果に基づいて検出される。このため、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0050】
なお、単位電力変換器1の数よりも1つ少ない直流側電流センサ6の検出結果に基づいて循環電流を検出してもよい。この場合、より少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0051】
また、複数の単位電力変換器1は、直流側電流センサ6の検出結果に基づいて制御される。このため、少ない電流センサで循環電流を抑制することができる。
【0052】
また、制御装置7は、複数の直流側電流センサ6の検出結果に基づいて複数の単位電力変換器1のゲート信号を送信し、循環電流の零相成分を抑制できる。重畳考慮した部品(主に交流リアクトル)定格の定格電流の余裕を小さめに取ることができ、余分なコストを抑えることができる。
【0053】
また、制御装置7は、複数の直流側電流センサ6の検出結果に基づいて複数の単位電力変換器1の少なくとも一つのスイッチング素子をオフにする。このため、正側直流コンデンサ3または負側直流コンデンサ4の短絡故障、容量の異常減少、漏れ電流の異常増加の検出時において、正側直流コンデンサ3または負側直流コンデンサ4の過熱、破裂、液漏れを防ぐことができる。
【0054】
スイッチング素子の短絡故障が発生した場合の故障検出原理を説明したが、スイッチング素子の短絡故障に限らず、正側直流コンデンサまたは負側直流コンデンサの短絡故障、容量減少、漏れ電流増加、さらに交流リアクトルの層間短絡故障などによるインダクタンスの異常低下などの異常発生も検出できる。なぜならば、これら異常が発生した場合にも、直流側電流センサ6の検出値の不均一量がある程度の大きさを持つようになるので、その大きさよりも検出閾値を低く設定しておけば、異常と判定できるためである。
【0055】
なお、ある箇所の電流の検出値がしきい値を超えた場合に、スイッチング素子の短絡故障、直流コンデンサの短絡故障、スイッチング素子の開放故障(オン不良)、直流コンデンサの容量の異常低下、交流リアクトルの層間短絡などによるインダクタンスの異常低下のいずれかの異常が発生していると判定してもよい。例えば、日本特開2017-22816号公報に記載された方法と同様の方法により異常判定を行ってもよい。
【0056】
また、複数の単位電力変換器1の各々において、直流正側と直流負側とのうちの少なくとも一方にスイッチを設けてもよい。この際、複数の電流センサの検出値に基づいて、故障した単位電力変換器1においてスイッチを切り離し、健全な単位電力変換器1のみで、運転をしてもよい。
【0057】
次に、
図11を用いて、制御装置7の例を説明する。
図11は実施の形態1における多重電力変換システムの制御装置のハードウェア構成図である。
【0058】
制御装置7の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ8aと少なくとも1つのメモリ8bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア9を備える。
【0059】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ8aと少なくとも1つのメモリ8bとを備える場合、制御装置7の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ8bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ8aは、少なくとも1つのメモリ8bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置7の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ8aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ8bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0060】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア9を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置7の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置7の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0061】
制御装置7の各機能について、一部を専用のハードウェア9で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、ゲート信号を送信する機能については専用のハードウェア9としての処理回路で実現し、ゲート信号を送信する機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ8aが少なくとも1つのメモリ8bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0062】
このように、処理回路は、ハードウェア9、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置7の各機能を実現する。
【0063】
実施の形態2.
図12は実施の形態2における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0064】
実施の形態1の複数の単位電力変換器1において、互いの直流中性点Mは、互いに接続されない。これに対し、実施の形態2の複数の単位電力変換器1において、互いの直流中性点Mは、互いに接続される。
【0065】
例えば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流中性点Mのそれぞれに設けられる。複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流中性点Mのそれぞれに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0066】
例えば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1のうちのひとつを除いた単位電力変換器1の直流中性点Mのそれぞれに設けられることもある。この場合、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1のうちのひとつを除いた単位電力変換器1の直流中性点Mのそれぞれに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0067】
直流側統合電流センサ10は、直流正側Pに設けられる。直流側統合電流センサ10は、直流正側Pに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0068】
制御装置7は、複数の直流側電流センサ6の検出結果に基づいて複数の単位電力変換器1の各々に流れる電流の不均一量を演算する。
【0069】
制御装置7は、電流の不均一量の演算結果に基づいて複数の単位電力変換器1のスイッチング素子群2の動作を制御する。
【0070】
次に、
図13を用いて、短絡故障の検出原理を説明する。
図13は実施の形態2における多重電力変換システムの単位電力変換器の要部の構成図である。
【0071】
図13に示されるように物理量が定義される場合、制御装置7は、直流側電流センサ6と直流側統合電流センサ10との検出値に基づいて短絡故障を検出する。
【0072】
図14と
図15とは実施の形態2における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【0073】
添え字iが付いた物理量は短絡故障が発生した単位電力変換器における物理量で、添え字jが付いた物理量は短絡故障が発生した単位電力変換器以外における物理量である。短絡故障が発生した電力変換器において、直流P側の電流不均一量はΔiiP1、直流M側の電流不均一量はΔiiM1、直流N側の電流不均一量はΔiiN1である。短絡故障が発生した電力変換器以外の電力変換器において、直流P側の電流不均一量はΔijP1、直流M側の電流不均一量はΔijM1、直流N側の電流不均一量はΔijN1である。
【0074】
図14と
図15とに示したΔi
iP1またはΔi
iN1またはΔi
iM1よりも大きさが小さい値を、不均一量と比較する閾値として設定することで、単位電力変換器の短絡故障を検出できる。
【0075】
なお、単位電力変換器の台数nが3以上の場合、短絡故障が発生した単位電力変換器(添え字i)の値の方が、それ以外の単位電力変換器(添え字j)の値よりも、大きさが大きくなるので、制御装置で検出した各単位電力変換器の不均一量を比較し、最も大きさが大きいものを、故障が発生した単位電力変換器であると特定することが出来る。(1-1/n)>1/nとなるためである。
【0076】
以上で説明した実施の形態2によれば、循環電流は、直流側電流センサ6と直流側統合電流センサ10との検出結果に基づいて検出される。このため、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0077】
また、複数の単位電力変換器1は、直流側電流センサ6と直流側統合電流センサ10との検出結果に基づいて制御される。このため、少ない電流センサで循環電流を抑制することができる。
【0078】
また、直流側電流センサ6は、直流中性点Mに流れる電流を検出する。当該電流は、直流正側Pと直流負側Nとに流れる電流と比較して小さい。このため、直流側電流センサ6の定格を小さくすることができる。この場合、導体を細くしてもよい。このため、直流側電流センサ6を設けることが容易となる。その結果、直流側電流センサ6の実装の自由度を高くすることができる。
【0079】
複数の直流側電流センサ6を直流中性点Mの部分に設けた場合について述べたが、
図14と
図15とから分かるように、直流中性点Mの部分ではなく、複数の直流電流センサ6を直流P側と、複数の直流電流センサ6´を直流N側にそれぞれ設けることでも、P側とN側のそれぞれで不均一量Δi
iP1、Δi
iN1を演算し、しきい値と比較することで、短絡故障を検出できる。
【0080】
実施の形態3.
図16は実施の形態3における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0081】
実施の形態3において、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1にそれぞれ設けられる。複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pと直流負側Nとにそれぞれ流れる電流の差分を一括で検出し得るように設けられる。
【0082】
図17は実施の形態3における多重電力変換システムでの短絡発生時の不均一量の理論値を示す図である。
【0083】
添え字iが付いた物理量は短絡故障が発生した単位電力変換器における物理量で、添え字jが付いた物理量は短絡故障が発生した単位電力変換器以外における物理量である。短絡故障が発生した電力変換器において、直流P側の電流不均一量はΔiiP1、直流N側の電流不均一量はΔiiN1である。短絡故障が発生した電力変換器以外の電力変換器において、直流P側の電流不均一量はΔijP1、直流N側の電流不均一量はΔijN1である。
【0084】
図17に示したΔi
iP1またはΔi
iN1よりも大きさが小さい値を、不均一量と比較する閾値として設定することで、単位電力変換器の短絡故障を検出できる。
【0085】
なお、単位電力変換器の台数nが3以上の場合、短絡故障が発生した単位電力変換器(添え字i)の値の方が、それ以外の単位電力変換器(添え字j)の値よりも、大きさが大きくなるので、制御装置で検出した各単位電力変換器の不均一量を比較し、最も大きさが大きいものを、故障が発生した単位電力変換器であると特定することが出来る。(1-1/n)>1/nとなるためである。
【0086】
以上で説明した実施の形態3によれば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pと直流負側Nとにそれぞれ流れる電流の差分を一括で検出する。このため、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0087】
また、制御装置は、複数の直流側電流センサ6の検出結果に基づいて、モードAからモードDの全ての短絡故障を検出することができる。
【0088】
実施の形態4.
図18は実施の形態4における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0089】
実施の形態4の単位電力変換器1は、2レベルの電力変換器である。
【0090】
次に、
図19を用いて、単位電力変換器1の第1例を説明する。
図19は実施の形態4における多重電力変換システムの単位電力変換器の第1例の構成図である。
【0091】
図19は、直流電力を交流電力に変換する2レベルの単位電力変換器1の一構成例である。
【0092】
次に、
図20を用いて、単位電力変換器1の第2例を説明する。
図20は実施の形態4における多重電力変換システムの単位電力変換器の第2例の構成図である。
【0093】
図20は、直流電力を直流電力に変換する2レベルの単位電力変換器1の一構成例である。
【0094】
以上で説明した実施の形態4によれば、直流側電流センサ6は、2レベルの単位電力変換器1に設けられる。この場合でも、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0095】
実施の形態5.
図21は実施の形態5における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0096】
実施の形態5においては、複数のリアクトル11は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pと直流負側Nとにそれぞれ設けられる。
【0097】
以上で説明した実施の形態5によれば、複数のリアクトル11は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pに設けられる。この場合も、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0098】
なお、直流中性点Mにリアクトル11を設けてもよい。この場合も、少ない電流センサで循環電流を検出することができる。
【0099】
実施の形態6.
図22は実施の形態6における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0100】
実施の形態6において、複数の単位電力変換器1の各々の出力側は、単相の多重巻線トランスに接続される。複数の単位電力変換器1の各々は、1相分の単位電力変換器1である。
【0101】
交流側電流センサ12は、複数の単位電力変換器1のうちのいずれか1つの出力の側に設けられる。
【0102】
以上で説明した実施の形態6によれば、入力側の不均一量ΔiUiM1と不均一量ΔiViM1との抑制の結果、出力側の不均一量ΔiUiと不均一量ΔiViとも抑制される。このため、交流側電流センサ12を1つにすることができる。
【0103】
実施の形態7.
図23は実施の形態7における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態6の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0104】
実施の形態7において、複数の単位電力変換器1の各々の出力側は、三相の多重巻線トランスに接続される。
【0105】
複数の交流側電流センサ12は、複数の単位電力変換器1のうちの2つの相にそれぞれ対応した単位電力変換器1の出力の側に設けられる。
【0106】
以上で説明した実施の形態7によれば、複数の交流側電流センサ12は、複数の単位電力変換器1のうちの2つの相にそれぞれ対応した単位電力変換器1の出力の側に設けられる。この場合も、循環電流を抑制することができ、電流センサの個数を少なくすることが出来る。
【0107】
普通、
図23のような主回路構成の場合、交流側の電流センサは、U1-U2-U3間の循環電流、V1-V2-V3間の循環電流、W1-W2-W3間の循環電流を検出して抑制するため、または故障検出のために、例えばU1、U2、U3、V1、V2、V3に電流センサを設ける。W相はキルヒホッフの電流則で演算できるので不要である。これが、本実施形態のように、単位電力変換器の中性点間のそれぞれに電流センサ6を設置すると、これらセンサによって循環電流を抑制、または実施の形態2のように故障検出することで、U1、U2、U3、V1、V2、V3すべての電流値を用いる必要がなくなるので、交流側のセンサを例えばU1、V1の2ヶ所に省略できる。U1、V1の電流センサを残す理由は、交流側の電流の合計値を認識するためである。循環電流が流れていない、すなわち各相に設けられた電流センサ6に不均一量が存在しない条件においては、U1、U2、U3の電流値は等しく、V1、V2、V3の電流値は等しく、W1、W2、W3の電流値は等しくなる。このことと、キルヒホッフの電流則を用いることで、U1、U2、U3、V1、V2、V3、W1、W2、W3すべての電流値を推定することができる。それにより、交流側の電流の合計値を推定することができる。
【0108】
実施の形態8.
図24は実施の形態8における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態6の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0109】
実施の形態8において、複数のリアクトル13は、複数の単位電力変換器1の出力の側にそれぞれ設けられる。
【0110】
以上で説明した実施の形態8によれば、複数のリアクトル13は、複数の単位電力変換器1の出力の側にそれぞれ設けられる。この場合も、循環電流を抑制することができ、電流センサの個数を少なくすることが出来る。
【0111】
普通、
図24のような主回路構成の場合、交流側の電流センサは、U1-U2-U3間の循環電流を検出して抑制するため、または故障検出のために、例えばU1、U2、U3に電流センサを設ける。V相はキルヒホッフの電流則で演算できるので不要である。これが、本実施形態のように、単位電力変換器の中性点間のそれぞれに電流センサ6を設置すると、これらセンサによって循環電流を抑制、または実施の形態2のように故障検出することで、U1、U2、U3すべての電流値を用いる必要がなくなるので、交流側のセンサを例えばU1の1ヶ所に省略できるという効果がある。U1の電流センサを残す理由は、交流側の電流の合計値を認識するためである。循環電流が流れていない、すなわち各相に設けられた電流センサ6に不均一量が存在しない条件においては、U1、U2、U3の電流値は等しく、V1、V2、V3の電流値は等しくなる。このことと、キルヒホッフの電流則を用いることで、U1、U2、U3、V1、V2、V3すべての電流値を推定することができる。それにより、交流側の電流の合計値を推定することができる。
【0112】
実施の形態9.
図25は実施の形態9における多重電力変換システムの構成図である。なお、実施の形態6の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0113】
実施の形態9において、複数の単位電力変換器1は、互いに異なる相に対応した組に分けられる。各組の単位電力変換器1において、互いの直流中性点Mは、接続される。異なる組の単位電力変換器1において、互いの直流中性点Mは、接続されない。
【0114】
この場合、例えば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pのそれぞれに設けられる。複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流正側Pのそれぞれに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0115】
例えば、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流負側Nのそれぞれに設けられることもある。この場合、複数の直流側電流センサ6は、複数の単位電力変換器1の直流負側Nのそれぞれに流れる電流を検出し得るように設けられる。
【0116】
以上で説明した実施の形態9によれば、各組の単位電力変換器1において、互いの直流中性点Mは、接続される。異なる組の単位電力変換器1において、互いの直流中性点Mは、接続されない。
【0117】
普通、
図25のような主回路構成の場合、交流側の電流センサは、U1-U2-U3間の循環電流、V1-V2-V3間の循環電流を検出して抑制するため、または故障検出のために、例えばU1、U2、U3に電流センサを設ける。V相はキルヒホッフの電流則で演算できるので不要である。これが、本実施形態のように、単位電力変換器の直流側に電流センサ6を設置すると、これらセンサによって循環電流を抑制、または実施の形態2のように故障検出することで、U1、U2、U3すべての電流値を用いる必要がなくなるので、交流側のセンサを例えばU1の1ヶ所に省略できる。U1の電流センサを残す理由は、交流側の電流の合計値を認識するためである。循環電流が流れていない、すなわち各相に設けられた電流センサ6に不均一量が存在しない条件においては、U1、U2、U3の電流値は等しく、V1、V2、V3の電流値は等しくなる。このことと、キルヒホッフの電流則を用いることで、U1、U2、U3、V1、V2、V3すべての電流値を推定することができる。それにより、交流側の電流の合計値を推定することができる。
【0118】
交流側のU1、U2、U3に電流センサを設けるよりも、交流側はU1のみにして、実施形態のように直流側に電流センサを設けた方が、故障検出が高速に行える。交流側よりも直流側の方が、故障発生時の電流の変化が急峻であるためである。
【0119】
なお、複数の単位電力変換器1の各々において、直流正側Pと直流負側Nと直流中性点Mとのうちの少なくとも2つに設けられた複数のスイッチを設けてもよい。この場合、複数の直流側電流センサ6の検出値に基づいて、故障した単位電力変換器1において複数のスイッチを切り離せばよい。その結果、故障していない単位電力変換器1を残して多重電力変換システムの運転を維持することができる。このことは、実施の形態1から実施の形態9すべてに対して有効である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、この発明に係る多重電力変換システムは、少ない電流センサで循環電流を検出するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 単位電力変換器、 2 スイッチング素子群、 3 正側直流コンデンサ、 4 負側直流コンデンサ、 5 リアクトル、 6 直流側電流センサ、 7 制御装置、 8a プロセッサ、 8b メモリ、 9 ハードウェア、 10 直流側統合電流センサ、 11 リアクトル、 12 交流側電流センサ、 13 リアクトル