(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】基地局装置、端末装置及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20230613BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20230613BHJP
H04W 36/38 20090101ALI20230613BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20230613BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20230613BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W36/30
H04W36/38
H04W74/08
H04W92/20
(21)【出願番号】P 2021561088
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2019046676
(87)【国際公開番号】W WO2021106170
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-525626(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215117(US,A1)
【文献】国際公開第2013/024574(WO,A1)
【文献】Lenovo, Motorola Mobility,Conditional handover in NR system[online],3GPP TSG RAN WG2 #105 R2-1901069,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_105/Docs/R2-1901069.zip>,2019年03月01日,pp.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信相手の端末装置によって決定されたハンドオーバ先基地局装置の識別情報と、前記端末装置が前記ハンドオーバ先基地局装置へ送信するプリアンブルの識別情報とを含むハンドオーバ先通知を前記端末装置から受信する無線通信部と、
前記端末装置の識別情報と、前記プリアンブルの識別情報とを含む予告通知を前記ハンドオーバ先基地局装置へ送信する送信部と
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
自装置及び自装置周辺の基地局装置と前記端末装置との間の無線品質に基づいて、前記端末装置にハンドオーバさせるか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記無線通信部は、
前記判定部によって判定に用いられる無線品質を報告する報告情報を前記端末装置から受信し、
前記送信部は、
前記判定部によって前記端末装置にハンドオーバさせると判定された場合に、無線品質が所定の条件を満たすハンドオーバ先候補の基地局装置に対して、前記端末装置のハンドオーバを受け入れ可能か否かを問い合わせるハンドオーバ要求を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、
前記プリアンブルの送信に用いられる無線リソースを特定する無線リソース特定情報をさらに含むハンドオーバ先通知を受信し、
前記送信部は、
前記無線リソース特定情報をさらに含む予告通知を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
基地局装置において、
端末装置の識別情報と、
当該端末装置によって前記基地局装置がランダムアクセスに使用する共有プリアンブルの中から選択されたプリアンブルの識別情報とを含む
ハンドオーバ時のランダムアクセスの予告通知を他の基地局装置から受信する受信部と、
前記予告通知に含まれる識別情報に対応するプリアンブルを受信する無線通信部と、
前記無線通信部によって受信されたプリアンブルの送信元が、前記予告通知に含まれる識別情報に対応する前記端末装置であると特定するランダムアクセス処理部と
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
前記受信部は、
前記プリアンブルの送信に用いられる無線リソースを特定する無線リソース特定情報をさらに含む予告通知を受信する
ことを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項6】
ハンドオーバを実行する際に、ハンドオーバ先基地局装置を決定する決定部と、
前記ハンドオーバ先基地局装置へ送信するプリアンブルを選択する選択部と、
前記ハンドオーバ先基地局装置の識別情報と、前記選択部によって選択されたプリアンブルの識別情報とを含むハンドオーバ先通知を無線通信相手の基地局装置へ送信する無線通信部とを有し、
前記無線通信部は、
前記ハンドオーバ先通知を送信した後、前記選択部によって選択されたプリアンブルを前記ハンドオーバ先基地局装置へ送信する
ことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
前記決定部は、
前記無線通信相手の基地局装置によって指示されるハンドオーバ先候補の基地局装置から前記ハンドオーバ先基地局装置を決定する
ことを特徴とする請求項6記載の端末装置。
【請求項8】
前記選択部は、
前記ハンドオーバ先基地局装置が使用可能な複数のプリアンブルの中から1つのプリアンブルを選択する
ことを特徴とする請求項6記載の端末装置。
【請求項9】
端末装置と、前記端末装置と無線通信中の第1の基地局装置と、前記第1の基地局装置の周辺に位置する第2の基地局装置とを有する無線通信システムであって、
前記端末装置は、
前記第2の基地局装置をハンドオーバ先に決定する決定部と、
前記第2の基地局装置へ送信するプリアンブルを選択する選択部と、
前記第2の基地局装置の識別情報と、前記選択部によって選択されたプリアンブルの識別情報とを含むハンドオーバ先通知を前記第1の基地局装置へ送信し、前記選択部によって選択されたプリアンブルを前記第2の基地局装置へ送信する無線通信部とを有し、
前記第1の基地局装置は、
前記ハンドオーバ先通知を前記端末装置から受信する無線通信部と、
前記端末装置の識別情報と、前記プリアンブルの識別情報とを含む予告通知を前記第2の基地局装置へ送信する送信部とを有し、
前記第2の基地局装置は、
前記予告通知を前記第1の基地局装置から受信する受信部と、
前記予告通知に含まれる識別情報に対応するプリアンブルを受信する無線通信部と、
受信された前記プリアンブルの送信元が、前記予告通知に含まれる識別情報に対応する前記端末装置であると特定するランダムアクセス処理部とを有する
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、端末装置及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークにおいては、モバイル端末(スマートフォンやフィーチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使用するトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of Things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開に合わせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5G又は、NR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~13)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められており、2017年の末に標準規格書の初版が出されている(非特許文献14~34)。
【0004】
5Gの無線通信システムでは、条件付きハンドオーバ(CHO:Conditional HandOver)を導入することが検討されている。CHOでは、端末装置は、ハンドオーバ元の基地局装置からハンドオーバ開始の指示を受信してもすぐにはハンドオーバを開始せず、指定された条件が満たされた場合に、ハンドオーバを開始する。指定された条件とは、例えば、ハンドオーバ元の基地局装置からの受信電力とハンドオーバ先の基地局装置からの受信電力との差が所定値以上であり、かつ、ハンドオーバ先の基地局装置からの受信電力が所定値以上であることなどである。CHOによれば、端末装置がハンドオーバするのに適した無線環境であることを確認した上でハンドオーバを開始するため、例えば端末装置の移動によって無線環境が変化する場合でも、ハンドオーバの成功確率を向上することができる。
【0005】
また、CHOでは、ハンドオーバ元の基地局装置は、複数のハンドオーバ先候補の基地局装置を端末装置へ通知しても良く、端末装置は、複数のハンドオーバ先候補の中からハンドオーバ先の基地局装置を決定しても良い。複数のハンドオーバ先候補があるため、上述したハンドオーバを開始するための条件が満たされやすくなり、ハンドオーバ開始が指示されてから条件が満たされるまでの時間が短くなる可能性がある。さらに、1つのハンドオーバ先候補へのハンドオーバが失敗した場合でも、新たな処理をすることなく他のハンドオーバ先候補へのハンドオーバを試行することが可能となり、ハンドオーバに要する時間を短縮するとともに、信頼性の高いハンドオーバを実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.133 V16.0.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.214 V15.3.0(2018-09)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.3.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.5.1(2019-04)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.324 V15.1.0(2018-09)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.5.1(2019-04)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.3.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.3.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TR 23.501 V16.1.0(2019-06)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.889 V16.0.0(2018-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
端末装置がハンドオーバ先の基地局装置へハンドオーバする際には、まずランダムアクセス処理が行われる。具体的には、端末装置は、ハンドオーバ先の基地局装置に対して、プリアンブルを送信する。通常、ハンドオーバ時のランダムアクセス処理では、端末装置に対して排他的に割り当てられたプリアンブルをハンドオーバ先の基地局装置へ送信する非衝突型(contention-free)ランダムアクセスが行われる。すなわち、ハンドオーバする端末装置には、あらかじめハンドオーバ先の基地局装置によってランダムアクセス処理に用いるプリアンブルが割り当てられ、このプリアンブルがハンドオーバ元の基地局装置を介して端末装置へ通知される。このため、ハンドオーバ先の基地局装置は、端末装置から送信されたプリアンブルを受信すると、プリアンブルの送信元の端末装置を即座に特定することができ、以降のハンドオーバ処理を短時間で完了することができる。
【0009】
ただし、基地局装置が端末装置に対して排他的に割り当てることができるプリアンブルの数には限りがあるため、非衝突型ランダムアクセスに使用可能なプリアンブルが不足する場合には、衝突型(contention-based)ランダムアクセスが行われることがある。衝突型ランダムアクセスでは、端末装置は、基地局装置が使用可能な複数のプリアンブルの中から任意のプリアンブルを選択し、基地局装置へ送信する。非衝突型ランダムアクセスに用いられるプリアンブルは「個別プリアンブル」と呼ばれることがあり、衝突型ランダムアクセスに用いられるプリアンブルは「共有プリアンブル」と呼ばれることがある。
【0010】
しかしながら、CHO時のランダムアクセス処理においては、プリアンブルの利用効率が悪く、ハンドオーバに要する時間が十分に短縮されないことがあるという問題がある。具体的には、CHOにおいて非衝突型ランダムアクセスが行われる場合、複数のハンドオーバ先候補の基地局装置は、それぞれ1つの端末装置に対して個別プリアンブルを割り当てる。端末装置は、1つのハンドオーバ先候補を選択して、このハンドオーバ先候補の基地局装置によって割り当てられた個別プリアンブルを用いるため、他のハンドオーバ先候補が端末装置に割り当てた個別プリアンブルは使用されない。つまり、ハンドオーバ先の基地局装置として選択されなかった基地局装置は、結果的に使用されない個別プリアンブルを端末装置に割り当てるため、プリアンブルの利用効率が低下する。
【0011】
そして、プリアンブルの利用効率が低下する結果、個別プリアンブルが不足してCHOする端末装置に対して個別プリアンブルを割り当てることが困難となり、衝突型ランダムアクセスが行われることがある。CHOにおいて衝突型ランダムアクセスが行われる場合、端末装置は、ハンドオーバ先の基地局装置が使用する複数の共有プリアンブルの中から任意のプリアンブルを選択して送信する。しかし、端末装置が送信するプリアンブルは、ハンドオーバ先の基地局装置が割り当てたものではないため、ハンドオーバ先の基地局装置は、プリアンブルを受信した際に、このプリアンブルの送信元の端末装置を即座に特定することは困難である。したがって、衝突型ランダムアクセスが行われる場合には、ハンドオーバ先の基地局装置がプリアンブルの送信元の端末装置を特定するまでに時間がかかり、ハンドオーバが完了するまでの時間が長くなる。結果として、CHOが本来有するメリットが失われる。
【0012】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、プリアンブルの利用効率を向上し、ハンドオーバ時間を短縮することができる基地局装置、端末装置及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願が開示する基地局装置は、1つの態様において、無線通信相手の端末装置によって決定されたハンドオーバ先基地局装置の識別情報と、前記端末装置が前記ハンドオーバ先基地局装置へ送信するプリアンブルの識別情報とを含むハンドオーバ先通知を前記端末装置から受信する無線通信部と、前記端末装置の識別情報と、前記プリアンブルの識別情報とを含む予告通知を前記ハンドオーバ先基地局装置へ送信する送信部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本願が開示する基地局装置、端末装置及び無線通信システムの1つの態様によれば、プリアンブルの利用効率を向上し、ハンドオーバ時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係るハンドオーバ元の基地局装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態に係るハンドオーバ先の基地局装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態に係るハンドオーバ方法を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、端末装置の動作を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、ハンドオーバ元の基地局装置の動作を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、ハンドオーバ先の基地局装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願が開示する基地局装置、端末装置及び無線通信システムの一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、一実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。無線通信システムは、端末装置100と、基地局装置200、300-1、300-2とを有する。基地局装置200、300-1、300-2は、互いに有線接続されており通信可能である。なお、基地局装置200、300-1、300-2は、
図1に示したように直接有線接続されていても良いし、図示しない上位装置を介して有線接続されていても良い。
【0018】
端末装置100は、基地局装置200と無線通信中であり、基地局装置200から送信される参照信号を用いて端末装置100と基地局装置200との間の無線品質を測定する。また、端末装置100は、基地局装置200の周辺に位置する基地局装置300-1、300-2から送信される参照信号を用いて、端末装置100と基地局装置300-1、300-2それぞれとの間の無線品質を測定する。そして、端末装置100は、測定した無線品質を定期的に基地局装置200へ報告し、報告の結果、基地局装置200からハンドオーバの指示をされた場合には、ハンドオーバ先を決定してハンドオーバを実行する。
【0019】
端末装置100は、基地局装置200からハンドオーバの指示をされると、ハンドオーバをするための条件が満たされるか否かを判定し、条件が満たされる場合には、ハンドオーバ先候補からハンドオーバ先を決定する。すなわち、基地局装置200からのハンドオーバ指示においては、例えば基地局装置300-1、300-2がハンドオーバ先候補として指定されているため、端末装置100は、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2からハンドオーバ先を決定する。
【0020】
そして、端末装置100は、ハンドオーバ先の基地局装置が使用可能な複数の共有プリアンブルから任意のプリアンブルを選択し、選択したプリアンブルの識別情報とハンドオーバ先の基地局装置の識別情報とを通知するハンドオーバ先通知(以下「HO先通知」という)をハンドオーバ元の基地局装置200へ送信する。端末装置100が複数の共有プリアンブルから任意のプリアンブルを選択するため、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2は、端末装置100のために個別プリアンブルを確保する必要がなく、プリアンブルの利用効率の低下を抑制することができる。HO先通知を送信した後、端末装置100は、選択したプリアンブルをハンドオーバ先の基地局装置へ送信する。その後、端末装置100は、ハンドオーバ先の基地局装置との間でランダムアクセス処理を継続し、ハンドオーバを完了する。
【0021】
基地局装置200は、端末装置100と無線通信中であり、端末装置100がハンドオーバする際には、ハンドオーバ元の基地局装置となる。基地局装置200は、端末装置100から無線品質の報告を受け、端末装置100のハンドオーバが必要であるか否かを判定する。ハンドオーバが必要である場合には、基地局装置200は、ハンドオーバ先候補となる基地局装置300-1、300-2を指定するハンドオーバ指示を端末装置100へ送信する。
【0022】
そして、基地局装置200は、端末装置100からHO先通知を受信すると、ハンドオーバ先として選択された基地局装置に対して、端末装置100の識別情報と端末装置100が選択したプリアンブルに関する情報とを含むランダムアクセス予告通知(以下「RA予告通知」という)を送信する。すなわち、基地局装置200は、端末装置100がプリアンブルを送信するハンドオーバ先の基地局装置に対して、あらかじめ端末装置100の識別情報と端末装置100が送信するプリアンブルとを通知する。このため、ハンドオーバ先の基地局装置は、端末装置100からプリアンブルを受信すると、即座に端末装置100を特定することができ、端末装置100のハンドオーバが完了するまでの時間を短縮することができる。
【0023】
基地局装置300-1、300-2は、基地局装置200の周辺に位置する基地局装置であり、端末装置100のハンドオーバ先候補の基地局装置となる。すなわち、基地局装置300-1、300-2が送信する参照信号は、端末装置100において受信可能であり、端末装置100と基地局装置300-1、300-2それぞれとの間の無線品質が端末装置100によって測定される。
【0024】
基地局装置300-1、300-2は、端末装置100がハンドオーバする際に基地局装置200からのハンドオーバ要求に応じて、端末装置100の自装置へのハンドオーバの可否を判定し、判定結果を基地局装置200へ通知する。そして、基地局装置300-1、300-2は、自装置がハンドオーバ先に決定された場合には、基地局装置200からRA予告通知を受信し、続いて端末装置100からプリアンブルを受信する。RA予告通知には、端末装置100の識別情報と端末装置100が送信するプリアンブルに関する情報とが含まれるため、ハンドオーバ先の基地局装置300-1、300-2は、プリアンブルを受信すると即座に端末装置100を特定する。そして、ハンドオーバ先の基地局装置300-1、300-2は、端末装置100のハンドオーバを完了させる。
【0025】
図2は、一実施の形態に係る端末装置100の構成を示すブロック図である。
図2に示す端末装置100は、無線通信部110、プロセッサ120及びメモリ130を有する。
【0026】
無線通信部110は、無線通信相手の基地局装置200との間で信号を送受信する。具体的には、無線通信部110は、送信信号に対して所定の無線送信処理を施し、アンテナを介して基地局装置200へ無線送信する。また、無線通信部110は、アンテナを介して基地局装置200から信号を無線受信し、受信信号に対して所定の無線受信処理を施す。
【0027】
さらに、無線通信部110は、基地局装置200の周辺の基地局装置300-1、300-2から送信される参照信号を無線受信する。そして、端末装置100が基地局装置300-1、300-2のいずれかにハンドオーバする場合には、無線通信部110は、ハンドオーバ先の基地局装置300-1、300-2との間で信号を送受信する。
【0028】
プロセッサ120は、例えば例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備え、端末装置100の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ120は、復調・復号部121、無線品質測定部122、報告情報生成部123、ハンドオーバ先決定部(以下「HO先決定部」と略記する)124、プリアンブル選択部125、HO先通知生成部126、プリアンブル生成部127及び符号化・変調部128を有する。
【0029】
復調・復号部121は、無線通信部110によって受信された受信信号を復調及び復号する。具体的には、復調・復号部121は、基地局装置200、300-1、300-2それぞれから受信された参照信号を復調及び復号する。また、復調・復号部121は、基地局装置200から受信されたハンドオーバ指示(以下「HO指示」という)を復調及び復号する。
【0030】
無線品質測定部122は、基地局装置200、300-1、300-2それぞれから受信された参照信号を用いて、端末装置100と基地局装置200、300-1、300-2それぞれとの間の無線品質を測定する。そして、無線品質測定部122は、各基地局装置200、300-1、300-2に関する無線品質を報告情報生成部123へ通知する。また、無線品質測定部122は、基地局装置200からHO指示が受信された場合に、ハンドオーバ元の基地局装置200に関する無線品質と、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質とをHO先決定部124へ通知する。
【0031】
報告情報生成部123は、無線品質測定部122によって測定された基地局装置200、300-1、300-2に関する無線品質を報告する報告情報を生成する。すなわち、報告情報生成部123は、端末装置100と各基地局装置200、300-1、300-2との間の無線品質を基地局装置200へ報告するための報告情報を生成する。報告情報生成部123は、例えば所定の周期で定期的に又は必要に応じて、報告情報を生成する。
【0032】
HO先決定部124は、基地局装置200からHO指示が受信された場合に、ハンドオーバ元の基地局装置200に関する無線品質と、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質とに基づいて、ハンドオーバを実行する条件が満たされるか否かを判定する。具体的には、HO先決定部124は、例えば、ハンドオーバ元の基地局装置200に関する無線品質とハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質との差が所定値以上であり、かつ、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質が所定値以上であるか否かを判定する。そして、HO先決定部124は、条件を満たすハンドオーバ先候補の基地局装置をハンドオーバ先の基地局装置と決定する。すなわち、HO先決定部124は、例えば、基地局装置200に関する無線品質と基地局装置300-1に関する無線品質との差が所定値以上であり、かつ、基地局装置300-1に関する無線品質が所定値以上である場合に、基地局装置300-1をハンドオーバ先に決定する。
【0033】
プリアンブル選択部125は、HO先決定部124によってハンドオーバ先の基地局装置が決定されると、この基地局装置が使用可能な共有プリアンブルの中から1つのプリアンブルを選択する。すなわち、プリアンブル選択部125は、例えばハンドオーバ先に決定された基地局装置300-1が使用可能な複数の共有プリアンブルの中から1つのプリアンブルを任意に選択する。共有プリアンブルは、衝突型ランダムアクセスに用いられるプリアンブルであり、特定の端末装置のために確保されていない。このため、プリアンブル選択部125は、他の端末装置が選択したプリアンブルと同一のプリアンブルを選択する可能性がある。一方で、プリアンブル選択部125が共有プリアンブルの中から任意にプリアンブルを選択するため、ハンドオーバ先の基地局装置300-1は、端末装置100のために個別プリアンブルを確保する必要がない。
【0034】
HO先通知生成部126は、HO先決定部124によって決定されたハンドオーバ先の基地局装置と、プリアンブル選択部125によって選択されたプリアンブルとを基地局装置200へ通知するためのHO先通知を生成する。すなわち、HO先通知生成部126は、例えばハンドオーバ先に決定された基地局装置300-1の識別情報と、選択されたプリアンブルの識別情報とを含むHO先通知を生成する。HO先通知は、端末装置100のハンドオーバ先をハンドオーバ元の基地局装置200へ通知するものである。
【0035】
プリアンブル生成部127は、プリアンブル選択部125によって選択されたプリアンブルを生成する。すなわち、プリアンブル生成部127は、ハンドオーバ先の基地局装置300-1が使用可能な複数の共有プリアンブルのうち、選択された1つのプリアンブルを生成する。
【0036】
符号化・変調部128は、送信データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。具体的には、符号化・変調部128は、報告情報生成部123によって生成された報告情報を符号化及び変調し、基地局装置200へ送信される送信信号を生成する。また、符号化・変調部128は、HO先通知生成部126によって生成されたHO先通知を符号化及び変調し、基地局装置200へ送信される送信信号を生成する。さらに、符号化・変調部128は、プリアンブル生成部127によって生成されたプリアンブルを符号化及び変調し、ハンドオーバ先の基地局装置300-1へ送信される送信信号を生成する。符号化・変調部128が生成する各送信信号は、無線通信部110によって所定の無線送信処理が施された上で、基地局装置200又はハンドオーバ先の基地局装置300-1へ送信される。
【0037】
メモリ130は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを備え、プロセッサ120による処理に用いられる情報を記憶する。
【0038】
図3は、一実施の形態に係るハンドオーバ元の基地局装置200の構成を示すブロック図である。
図3に示す基地局装置200は、無線通信部210、プロセッサ220、有線インタフェース部(以下「有線I/F部」と略記する)230及びメモリ240を有する。
【0039】
無線通信部210は、無線通信相手の端末装置100との間で信号を送受信する。具体的には、無線通信部210は、送信信号に対して所定の無線送信処理を施し、アンテナを介して端末装置100へ無線送信する。また、無線通信部210は、アンテナを介して端末装置100から信号を無線受信し、受信信号に対して所定の無線受信処理を施す。
【0040】
プロセッサ220は、例えば例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、基地局装置200の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ220は、復調・復号部221、ハンドオーバ判定部(以下「HO判定部」と略記する)222、ハンドオーバ要求生成部(以下「HO要求生成部」と略記する)223、HO指示生成部224、符号化・変調部225、HO先通知取得部226及びRA予告通知生成部227を有する。
【0041】
復調・復号部221は、無線通信部210によって受信された受信信号を復調及び復号する。具体的には、復調・復号部221は、端末装置100から受信された報告情報及びHO先通知を復調及び復号する。
【0042】
HO判定部222は、端末装置100からの報告情報に基づいて、端末装置100をハンドオーバさせるか否かを判定する。具体的には、HO判定部222は、端末装置100と基地局装置200の間の無線品質が所定基準よりも低く、かつ、周辺の基地局装置300-1、300-2の中に端末装置100との間の無線品質が所定基準よりも高い基地局装置がある場合に、端末装置100をハンドオーバさせると判定する。そして、HO判定部222は、端末装置100との間の無線品質が所定基準よりも高い基地局装置をハンドオーバ先候補として選択し、選択したハンドオーバ先候補をHO要求生成部223へ通知する。ここでは、ハンドオーバ先候補の基地局装置が基地局装置300-1、300-2であるものとして説明を続ける。
【0043】
HO要求生成部223は、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に対して、端末装置100のハンドオーバを受け入れ可能か否かを問い合わせるハンドオーバ要求(以下「HO要求」という)を生成する。このとき、HO要求生成部223は、例えば端末装置100の識別情報を含むHO要求を生成する。そして、HO要求生成部223は、有線I/F部230を介して、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2へHO要求を送信する。
【0044】
HO指示生成部224は、有線I/F部230を介して、HO要求に対する応答を取得する。すなわち、HO指示生成部224は、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2それぞれから、端末装置100のハンドオーバの受け入れ可否の通知を取得する。そして、HO指示生成部224は、ハンドオーバを許可する基地局装置をハンドオーバ先候補として、ハンドオーバを実行するように指示するHO指示を生成する。ここでは、基地局装置300-1、300-2がいずれも端末装置100のハンドオーバを許可し、ハンドオーバ先候補であるものとして説明を続ける。
【0045】
符号化・変調部225は、送信データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。具体的には、符号化・変調部225は、HO指示生成部224によって生成されたHO指示を符号化及び変調し、端末装置100へ送信される送信信号を生成する。
【0046】
HO先通知取得部226は、端末装置100から受信されたHO先通知を取得し、端末装置100が選択したハンドオーバ先の基地局装置と、この基地局装置へ送信されるプリアンブルとを特定する。すなわち、HO先通知には、例えばハンドオーバ先に決定された基地局装置300-1の識別情報と、選択されたプリアンブルの識別情報とが含まれるため、HO先通知取得部226は、これらの識別情報から基地局装置300-1とプリアンブルを特定する。
【0047】
RA予告通知生成部227は、HO先通知取得部226によって特定されたハンドオーバ先の基地局装置300-1に対して、端末装置100によるランダムアクセス処理が行われることを予告するRA予告通知を生成する。すなわち、RA予告通知生成部227は、端末装置100から基地局装置300-1へプリアンブルが送信されることを予告するRA予告通知を生成する。具体的には、RA予告通知生成部227は、端末装置100の識別情報と、端末装置100から基地局装置300-1へ送信されるプリアンブルの識別情報とを含むRA予告通知を生成する。そして、RA予告通知生成部227は、有線I/F部230を介して、ハンドオーバ先の基地局装置300-1へRA予告通知を送信する。
【0048】
有線I/F部230は、基地局装置300-1、300-2を含む他の基地局装置と有線接続し、通信可能なインタフェースである。有線I/F部230は、直接他の基地局装置と有線接続しても良いし、複数の基地局装置に接続する上位装置を介して他の基地局装置と有線接続しても良い。
【0049】
メモリ240は、例えばRAM又はROMなどを備え、プロセッサ220による処理に用いられる情報を記憶する。
【0050】
図4は、一実施の形態に係るハンドオーバ先の基地局装置300の構成を示すブロック図である。
図4に示す基地局装置300は、基地局装置300-1、300-2と同様の構成を有しており、有線I/F部310、プロセッサ320、無線通信部330及びメモリ340を有する。
【0051】
有線I/F部310は、基地局装置200を含む他の基地局装置と有線接続し、通信可能なインタフェースである。有線I/F部310は、直接他の基地局装置と有線接続しても良いし、複数の基地局装置に接続する上位装置を介して他の基地局装置と有線接続しても良い。
【0052】
プロセッサ320は、例えば例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、基地局装置300の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ320は、HO要求取得部321、可否判定部322、HO可否通知部323、RA予告通知取得部324、復調・復号部325、ランダムアクセス処理部(以下「RA処理部」と略記する)326及び符号化・変調部327を有する。
【0053】
HO要求取得部321は、有線I/F部310を介して、ハンドオーバ元の基地局装置200から受信されたHO要求を取得する。すなわち、HO要求取得部321は、例えば端末装置100の識別情報を含むHO要求を取得する。
【0054】
可否判定部322は、HO要求取得部321によってHO要求が取得されると、端末装置100のハンドオーバを受け入れ可能か否かを判定する。このとき、可否判定部322は、例えば既に基地局装置300と無線通信中の端末装置の数や、プロセッサ320の処理負荷などに基づいて、端末装置100のハンドオーバを受け入れ可能か否かを判定する。
【0055】
HO可否通知部323は、有線I/F部310を介して、可否判定部322による判定結果を基地局装置200へ通知する。すなわち、HO可否通知部323は、端末装置100のハンドオーバを受け入れるか否かを、ハンドオーバ元の基地局装置200へ通知する。
【0056】
RA予告通知取得部324は、基地局装置300が端末装置100のハンドオーバ先となった場合に、有線I/F部310を介して、ハンドオーバ元の基地局装置200から受信されたRA予告通知を取得する。すなわち、RA予告通知取得部324は、端末装置100の識別情報と、端末装置100から送信されるプリアンブルの識別情報とを含むRA予告通知を取得する。そして、RA予告通知取得部324は、端末装置100の識別情報とプリアンブルの識別情報とをRA処理部326へ通知する。
【0057】
復調・復号部325は、無線通信部330によって受信された受信信号を復調及び復号する。具体的には、復調・復号部325は、端末装置100から受信されたプリアンブルを復調及び復号する。
【0058】
RA処理部326は、復調・復号部325によって復調及び復号されたプリアンブルを用いて、ランダムアクセス処理を実行する。このとき、RA処理部326は、復調・復号部325によって復調及び復号されたプリアンブルが、RA予告通知取得部324から識別情報を通知されたプリアンブルである場合には、プリアンブルの送信元が端末装置100であると特定する。そして、RA処理部326は、プリアンブルに対する応答信号を生成する。この応答信号は、プリアンブルの送信元を特定するための応答信号ではなく、特定済みの端末装置100との接続を確立するための応答信号である。したがって、RA処理部326は、端末装置100に固有のスクランブル処理が施された応答信号を生成する。
【0059】
符号化・変調部327は、送信データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。具体的には、符号化・変調部327は、RA処理部326によって生成された応答信号を符号化及び変調し、端末装置100へ送信される送信信号を生成する。
【0060】
無線通信部330は、基地局装置300をハンドオーバ先として選択した端末装置100との間で信号を送受信する。具体的には、無線通信部330は、送信信号に対して所定の無線送信処理を施し、アンテナを介して端末装置100へ無線送信する。また、無線通信部330は、アンテナを介して端末装置100から信号を無線受信し、受信信号に対して所定の無線受信処理を施す。
【0061】
メモリ340は、例えばRAM又はROMなどを備え、プロセッサ320による処理に用いられる情報を記憶する。
【0062】
次いで、上記のように構成された無線通信システムにおけるハンドオーバ方法について、
図5に示すシーケンス図を参照して説明する。以下においては、端末装置100が基地局装置200から基地局装置300-1へハンドオーバする場合について説明する。
【0063】
基地局装置200、300-1、300-2は、周期的に参照信号を送信しており、参照信号は、端末装置100の無線通信部110によって受信される。そして、無線品質測定部122によって参照信号が用いられ、端末装置100と基地局装置200、300-1、300-2それぞれとの間の無線品質が測定される。測定された無線品質を報告するための報告情報が報告情報生成部123によって生成され、無線通信部110から基地局装置200へ送信される(ステップS101)。
【0064】
報告情報は、基地局装置200の無線通信部210によって受信され、HO判定部222によって、端末装置100をハンドオーバさせるか否かが判定される。ここでは、端末装置100と基地局装置200の間の無線品質が所定基準よりも低く、かつ、端末装置100と基地局装置300-1、300-2との間の無線品質が所定基準よりも高く、端末装置100にハンドオーバを実行させることが決定されるものとする(ステップS102)。端末装置100と基地局装置300-1、300-2との間の無線品質が所定基準よりも高いため、基地局装置300-1、300-2がハンドオーバ先候補となる。そこで、HO要求生成部223によって、端末装置100の識別情報を含むHO要求が生成され、有線I/F部230を介して基地局装置300-1、300-2へ送信される(ステップS103)。
【0065】
HO要求は、基地局装置300-1、300-2それぞれの有線I/F部310によって受信され、HO要求取得部321によって取得される。そして、基地局装置300-1、300-2それぞれの可否判定部322によって、端末装置100のハンドオーバを受け入れるか否かが判定され、HO可否通知部323から有線I/F部310を介して、判定結果が基地局装置200へ通知される(ステップS104)。ここでは、基地局装置300-1、300-2のいずれにおいても、端末装置100のハンドオーバを許可すると判定されたものとして説明を続ける。ハンドオーバを許可する旨の通知には、例えばハンドオーバ後に基地局装置300-1、300-2それぞれが形成するセル内で端末装置100に割り当てられる識別情報(例えばC-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)や、ハンドオーバ時のランダムアクセス処理に使用する無線リソースの情報(例えば、プリアンブルの送信に用いられるスロットの時間領域及び周波数領域における位置、又はプリアンブルを生成するための符号列を示す式のパラメータの値等)などが含まれても良い。
【0066】
ハンドオーバの許可通知は、基地局装置200の有線I/F部230によって受信され、HO指示生成部224によって、ハンドオーバ先候補の基地局装置を指定するHO指示が生成される(ステップS105)。すなわち、ここでは基地局装置300-1、300-2をハンドオーバ先候補として指定するHO指示が生成される。HO指示は、無線通信部210を介して端末装置100へ送信される(ステップS106)。HO指示には、それぞれのハンドオーバ先候補から指定されたランダムアクセス処理に使用する無線リソースの情報などが含まれても良い。
【0067】
そして、HO指示は、端末装置100の無線通信部110によって受信され、HO先決定部124によって、ハンドオーバを実行する条件が満たされるか否かが判定される。すなわち、例えばハンドオーバ元の基地局装置200に関する無線品質とハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質との差が所定値以上であり、かつ、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質が所定値以上であるか否かが判定される。そして、HO先決定部124によって、条件を満たすハンドオーバ先候補の基地局装置がハンドオーバ先に決定される(ステップS107)。ここでは、基地局装置300-1がハンドオーバ先に決定されたものとして説明を続ける。
【0068】
ハンドオーバ先が決定されると、プリアンブル選択部125によって、ハンドオーバ先の基地局装置300-1へ送信するプリアンブルが選択される。すなわち、基地局装置300-1が使用可能な共有プリアンブルから1つのプリアンブルが選択される。各基地局装置300-1、300-2が使用可能な共有プリアンブルは、あらかじめ報知されている。そして、HO先通知生成部126によって、ハンドオーバ先に決定された基地局装置300-1の識別情報と、選択されたプリアンブルの識別情報とを含むHO先通知が生成され、無線通信部110を介して基地局装置200へ送信される(ステップS108)。なお、HO先通知は、ハンドオーバ先の基地局装置300-1から指定されたランダムアクセス処理に使用する無線リソースのうち、プリアンブルの送信に用いられるスロットを特定する情報を含んでいても良い。すなわち、基地局装置300-1に対して端末装置100からプリアンブルが送信されるタイミングの情報がHO先通知に含まれても良い。
【0069】
HO先通知は、基地局装置200の無線通信部210によって受信され、HO先通知取得部226によって取得される。そして、RA予告通知生成部227によって、端末装置100の識別情報と、端末装置100から基地局装置300-1へ送信されるプリアンブルの識別情報とを含むRA予告通知が生成される。RA予告通知は、有線I/F部230を介して基地局装置300-1へ送信される(ステップS109)。なお、RA予告通知は、端末装置100から通知された、プリアンブルの送信に用いられるスロットを特定する情報を含んでいても良い。
【0070】
RA予告通知は、基地局装置300-1の有線I/F部310によって受信され、RA予告通知取得部324によって取得される。そして、端末装置100の識別情報とプリアンブルの識別情報とがRA処理部326へ通知される。これにより、RA処理部326には、これからハンドオーバする端末装置100の識別情報(例えばC-RNTI)とハンドオーバ時に端末装置100が送信するプリアンブルの識別情報とを対応付けて記憶しておくことができる。
【0071】
ところで、HO先通知が端末装置100から基地局装置200へ送信された後、端末装置100からは、プリアンブル生成部127によって生成されたプリアンブルが無線通信部110を介して基地局装置300-1へ送信される(ステップS110)。すなわち、端末装置100とハンドオーバ先の基地局装置300-1との間でランダムアクセス処理が開始される。プリアンブルは、HO先通知及びRA予告通知によって基地局装置200を介して基地局装置300-1へ通知されたスロットで送信される。したがって、基地局装置300-1は、RA予告通知によって予告されたプリアンブルが受信されるスロットをあらかじめ把握している。
【0072】
プリアンブルは、基地局装置300-1の無線通信部330によって受信される。そして、RA処理部326によって、受信されたプリアンブルがRA予告通知によって予告されたプリアンブルである場合には、このプリアンブルの識別情報と対応付けられた端末装置100が特定される(ステップS111)。すなわち、RA処理部326においては、RA予告通知によってあらかじめ端末装置100と端末装置100が送信するプリアンブルとが対応付けられているため、プリアンブルの送信元の端末装置を改めて特定する必要がない。
【0073】
そして、RA処理部326によって、プリアンブルに対する応答信号が生成され、無線通信部330を介して端末装置100へ送信される(ステップS112)。すなわち、プリアンブルの送信元が端末装置100と特定されているため、RA処理部326によって、端末装置100に固有のスクランブル処理が施された応答信号が生成され、端末装置100へ送信される。ここで、端末装置100が送信するプリアンブルは、共有プリアンブルの1つであるため、端末装置100以外の端末装置が同じタイミングで同一のプリアンブルを送信する可能性がある。しかしながら、プリアンブルに対する応答信号には、端末装置100に固有のスクランブル処理が施されているため、端末装置100以外の端末装置では応答信号が正しく復号されない。したがって、応答信号は、端末装置100のみによって正しく復号され、端末装置100と基地局装置300-1との接続が確立されてハンドオーバが完了する。
【0074】
このように、端末装置100は、ハンドオーバ先を決定するとプリアンブルを選択し、ハンドオーバ元の基地局装置200へHO先通知を送信する。基地局装置200は、ハンドオーバ先の基地局装置300-1へRA予告通知を送信し、端末装置100の識別情報と送信されるプリアンブルの識別情報とを予告する。このため、端末装置100から基地局装置300-1へプリアンブルが送信された際、基地局装置300-1は、プリアンブルの送信元の端末装置を特定する必要がなく、ハンドオーバ時のランダムアクセス処理に要する時間を短縮することができる。また、端末装置100が共有プリアンブルから1つのプリアンブルを選択するため、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2は、いずれも端末装置100に個別プリアンブルを割り当てる必要がない。このため、基地局装置300-1、300-2が端末装置100のためにプリアンブルを確保する必要がなく、プリアンブルの利用効率を向上することができる。
【0075】
次に、端末装置100の動作について、
図6に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0076】
基地局装置200、300-1、300-2から周期的に送信される参照信号が無線通信部110によって受信され、無線品質測定部122によって、参照信号が用いられることにより各基地局装置200、300-1、300-2との間の無線品質が測定される(ステップS201)。無線品質は、例えばSIR(Signal to Interference Ratio)又はSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)などであっても良いし、参照信号の受信電力であっても良い。
【0077】
測定された無線品質は、報告情報生成部123へ通知され、無線品質の測定結果を含む報告情報が生成される。報告情報は、符号化・変調部128によって符号化及び変調され、無線通信部110からハンドオーバ元の基地局装置200へ送信される(ステップS202)。報告情報が送信されると基地局装置200からのHO指示が待機され(ステップS203)、HO指示が受信されない間は(ステップS203No)、報告情報の送信が定期的に繰り返される。
【0078】
基地局装置200からHO指示が受信されると(ステップS203Yes)、無線品質測定部122によって、ハンドオーバ元の基地局装置200及びハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2に関する無線品質が測定される(ステップS204)。そして、HO先決定部124によって、無線品質に基づいて、ハンドオーバを実行する条件が成立するか否かが判定される(ステップS205)。この判定の結果、条件が成立しない場合には(ステップS205No)、無線品質の測定が繰り返されて条件の成立が待機される。
【0079】
ハンドオーバを実行する条件が成立する場合には(ステップS205Yes)、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2からハンドオーバ先の基地局装置が決定される(ステップS206)。すなわち、HO先決定部124によって、例えば基地局装置300-1がハンドオーバ先に決定される。そして、プリアンブル選択部125によって、ハンドオーバ先の基地局装置300-1が使用可能な共有プリアンブルの中から1つのプリアンブルが任意に選択される(ステップS207)。
【0080】
ハンドオーバ先の基地局装置300-1及び選択されたプリアンブルは、HO先通知生成部126へ通知され、基地局装置300-1の識別情報と、選択されたプリアンブルの識別情報とを含むHO先通知が生成される。このとき、選択されたプリアンブルを基地局装置300-1へ送信するのに用いられるスロットの情報がHO先通知に含められても良い。HO先通知は、符号化・変調部128によって符号化及び変調され、無線通信部110からハンドオーバ元の基地局装置200へ送信される(ステップS208)。
【0081】
また、プリアンブル生成部127によって、プリアンブル選択部125によって選択されたプリアンブルが生成される。プリアンブルは、符号化・変調部128によって符号化及び変調され、無線通信部110からハンドオーバ先の基地局装置300-1へ送信される(ステップS209)。プリアンブルの送信は、HO先通知によって予告したスロットを用いて行われるようにしても良い。
【0082】
プリアンブルが送信されると、基地局装置300-1からプリアンブルに対する応答信号が受信される(ステップS210)。すなわち、プリアンブルの送信後、プリアンブルの送信元を基地局装置300-1に特定させる処理を省略して、基地局装置300-1との間の接続を確立することができる。これは、HO先通知がハンドオーバ元の基地局装置200へ送信されることにより、端末装置100の識別情報と送信されるプリアンブルとが基地局装置200を介して基地局装置300-1へ予告されるからである。
【0083】
このように、プリアンブルの送信元を基地局装置300-1に特定させる処理を省略することができるため、端末装置100は、ハンドオーバに要する時間を短縮することができる。
【0084】
次に、ハンドオーバ元の基地局装置200の動作について、
図7に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0085】
端末装置100から送信される報告情報は、無線通信部210によって受信され(ステップS301)、復調・復号部221によって復調及び復号される。そして、HO判定部222によって、基地局装置200、300-1、300-2の無線品質に基づいて、端末装置100のハンドオーバが必要か否かが判定される(ステップS302)。この判定の結果、例えば端末装置100と基地局装置200の間の無線品質が所定基準よりも高く、ハンドオーバが不要である場合には(ステップS302No)、次の報告情報が待機される。
【0086】
一方、例えば端末装置100と基地局装置200の間の無線品質が所定基準よりも低く、かつ、周辺の基地局装置300-1、300-2の中に端末装置100との間の無線品質が所定基準よりも高い基地局装置がある場合には、ハンドオーバが必要であると判定される(ステップS302Yes)。そして、HO判定部222によって、端末装置100との間の無線品質が所定基準よりも高い基地局装置300-1、300-2がハンドオーバ先候補として選択される。ハンドオーバが必要である場合には、HO要求生成部223によってHO要求が生成され、有線I/F部230を介してハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2へ送信される(ステップS303)。HO要求には、例えば端末装置100の識別情報が含まれる。
【0087】
HO要求の送信後、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2から送信されたHO可否の通知が有線I/F部230によって受信される(ステップS304)。この通知は、基地局装置300-1、300-2がそれぞれ端末装置100のハンドオーバを許可するか拒否するかを示している。そこで、HO指示生成部224によって、ハンドオーバを許可する基地局装置をハンドオーバ先候補としてハンドオーバを実行するように指示するHO指示が生成される。HO指示には、ハンドオーバ先候補の基地局装置300-1、300-2を特定する情報や、基地局装置300-1、300-2との間でランダムアクセス処理を実行する場合に使用される無線リソースの情報などが含まれる。そして、HO指示は、符号化・変調部225によって符号化及び変調され、無線通信部210を介して端末装置100へ送信される(ステップS305)。
【0088】
HO指示を受信した端末装置100がハンドオーバを実行する(開始する)と決定した場合には、HO先通知が無線通信部210によって受信される(ステップS306)。HO先通知には、端末装置100が決定したハンドオーバ先の基地局装置300-1の識別情報と、端末装置100が選択したプリアンブルの識別情報とが含まれる。これらの識別情報は、HO先通知取得部226からRA予告通知生成部227へ通知され、RA予告通知生成部227によって、端末装置100によるランダムアクセス処理の実行を予告するRA予告通知が生成される(ステップS307)。すなわち、端末装置100の識別情報と、端末装置100から送信されるプリアンブルの識別情報とを含むRA予告通知が生成され、有線I/F部230を介してハンドオーバ先の基地局装置300-1へ送信される(ステップS308)。RA予告通知に含まれる端末装置100の識別情報は、HO要求時に基地局装置300-1が端末装置100に割り当てた識別情報(例えばC-RNTI)であっても良い。
【0089】
このように、基地局装置200は、端末装置100がハンドオーバ先の基地局装置300-1とハンドオーバ先へ送信するプリアンブルとを決定した場合に、端末装置100の識別情報とプリアンブルの識別情報とを基地局装置300-1へ予告する。このため、ハンドオーバ先の基地局装置300-1は、端末装置100からプリアンブルを受信した場合に、端末装置100を特定する処理を省略することができる。この結果、端末装置100のハンドオーバに要する時間を短縮することができる。
【0090】
次に、ハンドオーバ先の基地局装置300-1の動作について、
図8に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0091】
ハンドオーバ元の基地局装置200から送信されるHO要求は、有線I/F部310によって受信され(ステップS401)、HO要求取得部321によって取得される。そして、可否判定部322によって、新たに端末装置のハンドオーバを受け入れ可能であるか否かが判定される(ステップS402)。ここでの判定は、例えば既に基地局装置300-1と無線通信中の端末装置の数や、プロセッサ320の処理負荷などに基づいて行われる。
【0092】
判定の結果、新たな端末装置のハンドオーバを受け入れないと判定された場合には(ステップS402No)、HO可否通知部323によって、ハンドオーバを拒否する旨の通知が有線I/F部310を介して基地局装置200へ送信される(ステップS403)。一方、新たな端末装置のハンドオーバを受け入れると判定された場合には(ステップS402Yes)、HO可否通知部323によって、ハンドオーバを許可する旨の通知が有線I/F部310を介して基地局装置200へ送信される(ステップS404)。ハンドオーバが許可される場合には、基地局装置300-1が管轄するセル内で新たな端末装置に付与される識別情報(例えばC-RNTI)や、ハンドオーバ時のランダムアクセス処理で用いられる無線リソースの情報などが基地局装置200へ通知されても良い。
【0093】
ハンドオーバを許可した後、端末装置100によって基地局装置300-1がハンドオーバ先に決定された場合には、有線I/F部310によって、基地局装置200からRA予告通知が受信される(ステップS405)。RA予告通知は、RA予告通知取得部324によって取得され、ハンドオーバする端末装置100の識別情報と、端末装置100から送信されるプリアンブルの識別情報とがRA処理部326へ通知される。そして、RA処理部326によって、端末装置100からのプリアンブル受信のタイムアウトを判断するためのタイマが開始される(ステップS406)。
【0094】
タイマ開始後、無線通信部330及び復調・復号部325によって、ランダムアクセス処理用のスロットに対する受信処理が実行され(ステップS407)、RA処理部326によって、スロット内にプリアンブルが含まれるか否かが判定される(ステップS408)。スロット内にプリアンブルが含まれない場合は(ステップS408No)、タイマが満了したか否かが判断され(ステップS409)、タイマが満了すれば(ステップS409Yes)、端末装置100からのプリアンブル受信のタイムアウトが発生する。すなわち、RA予告通知によって予告されたプリアンブルが時間内に受信されなかったため、端末装置100がハンドオーバしなかったものとして処理が終了する。
【0095】
ランダムアクセス用のスロット内にプリアンブルが含まれている場合は(ステップS408Yes)、このプリアンブルがRA予告通知によって予告されたプリアンブルであるか否かが判定される(ステップS410)。この判定の結果、予告されたプリアンブルでない場合には(ステップS410No)、端末装置100とは異なる端末装置からプリアンブルが受信されたと判断され、RA処理部326によって通常のランダムアクセス処理が実行される(ステップS411)。具体的には、プリアンブルに対する応答信号が送信され、プリアンブルの送信元の端末装置を特定する処理が実行される。
【0096】
これに対して、RA予告通知によって予告されたプリアンブルが受信された場合には(ステップS410Yes)、プリアンブルの送信元がRA予告通知によって通知された端末装置100であることが特定される(ステップS412)。すなわち、プリアンブルの送信元との間で信号の送受信が行われることなく、短時間でプリアンブルの送信元の端末装置100が特定される。そして、RA処理部326によって、端末装置100への応答信号が生成され、符号化・変調部327及び無線通信部330を介して、応答信号が端末装置100へ送信される(ステップS413)。この応答信号は、基地局装置300-1との接続を確立するための情報を含む信号であり、端末装置100に固有のスクランブル処理が施される。このため、たとえ端末装置100からのプリアンブルと同じプリアンブルが他の端末装置から同時に受信された場合でも、応答信号が端末装置100以外の他の端末装置によって復号されることはない。結果として、ハンドオーバする端末装置100が基地局装置300-1との間で接続を確立し、確実にハンドオーバを完了することができる。
【0097】
以上のように、本実施の形態によれば、端末装置がハンドオーバ先を決定すると、ハンドオーバ先へ送信するプリアンブルを共有プリアンブルの中から選択し、選択したプリアンブルの情報をハンドオーバ元へ送信する。そして、ハンドオーバ元の基地局装置は、ハンドオーバする端末装置及びプリアンブルの情報をハンドオーバ先の基地局装置へ予告する。このため、ハンドオーバ先の基地局装置は、ハンドオーバする端末装置からのプリアンブルを受信すると、端末装置との間で信号を送受信することなくプリアンブルの送信元の端末装置を特定することができる。すなわち、端末装置のために個別プリアンブルを確保しないことでプリアンブルの利用効率を向上し、プリアンブルの送信元を特定する処理を省略することでハンドオーバ時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0098】
110、210、330 無線通信部
120、220、320 プロセッサ
121、221、325 復調・復号部
122 無線品質測定部
123 報告情報生成部
124 HO先決定部
125 プリアンブル選択部
126 HO先通知生成部
127 プリアンブル生成部
128、225、327 符号化・変調部
130、240、340 メモリ
222 HO判定部
223 HO要求生成部
224 HO指示生成部
226 HO先通知取得部
227 RA予告通知生成部
230、310 有線I/F部
321 HO要求取得部
322 可否判定部
323 HO可否通知部
324 RA予告通知取得部
326 RA処理部