(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230613BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022056288
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 高明
(72)【発明者】
【氏名】奥山 伸
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕章
(72)【発明者】
【氏名】図師 博昭
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-007518(JP,A)
【文献】特開2012-079176(JP,A)
【文献】特開2009-070200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を記憶する第1記憶部と、
前記組合せごとに運用実績を記憶する第2記憶部と、
前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出する抽出部と、
前記運用実績に基づいて、抽出された前記組合せを出力する出力部と、
出力された前記組合せのうち、利用者が選択した前記組合せに含まれる前記制御機器の設定ファイルとして、前記プラントにおける前記プラント機器または前記制御機器が行う通信、演算、および表示のうち少なくとも1つを実行可能とする情報を含む前記設定ファイルを生成する生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を記憶する第1記憶部と、
前記組合せごとに運用実績を記憶する第2記憶部と、
前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出する抽出部と、
前記運用実績として、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、および各機器の納入元に関する実績のうち少なくとも1つを用いて、抽出された前記組合せのスコア値を算出し、前記スコア値が所定値以上の前記組合せを出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項3】
前記設計条件として、前記プラントの種類および前記操作の種類のうち少なくとも1つを利用者から受け付ける受付部、
をさらに備える請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設計条件として、前記プラントの種類および前記操作の種類を利用者から受け付ける受付部、
をさらに備える請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プラント機器または前記制御機器の納入元のウェブサイト、パンフレットまたは仕様書から前記設計情報を収集し、前記第1記憶部に格納する収集部、
をさらに備え、
前記抽出部は、
前記第1記憶部が記憶する前記設計情報から前記設計条件を満たす前記組合せを抽出する、
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、
抽出された前記組合せを、前記運用実績の多い順、前記運用実績の古い順、または前記運用実績の評価が高い順に出力する、
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、
前記組合せごとに運用実績を保持し、
前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出し、
前記運用実績に基づいて、抽出した前記組合せを出力
し、
出力した前記組合せのうち、利用者が選択した前記組合せに含まれる前記制御機器の設定ファイルとして、前記プラントにおける前記プラント機器または前記制御機器が行う通信、演算、および表示のうち少なくとも1つを実行可能とする情報を含む前記設定ファイルを生成する、
処理を実行する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータが、
プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、
前記組合せごとに運用実績を保持し、
前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出し、
前記運用実績として、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、および各機器の納入元に関する実績のうち少なくとも1つを用いて、抽出した前記組合せのスコア値を算出し、前記スコア値が所定値以上の前記組合せを出力する、
処理を実行する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、
前記組合せごとに運用実績を保持し、
前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出し、
前記運用実績に基づいて、抽出した前記組合せを出力
し、
出力した前記組合せのうち、利用者が選択した前記組合せに含まれる前記制御機器の設定ファイルとして、前記プラントにおける前記プラント機器または前記制御機器が行う通信、演算、および表示のうち少なくとも1つを実行可能とする情報を含む前記設定ファイルを生成する、
処理を実行させる情報処理プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、
前記組合せごとに運用実績を保持し、
前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出し、
前記運用実績として、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、および各機器の納入元に関する実績のうち少なくとも1つを用いて、抽出した前記組合せのスコア値を算出し、前記スコア値が所定値以上の前記組合せを出力する、
処理を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントの各プロセスを制御するシステム(適宜、「プロセス制御システム」)において、設計段階での制御ロジックの迅速なテストと改善を行ったり、プロセス制御システムの開発、修正、トラブルシューティングを容易にしたりする技術が存在する。また、プロセス制御システムにおいて、対象システムまたは対象機器で使用されるプログラムやパラメータを自動選定し、人的作業ミスを削減する技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-060993号公報
【文献】特開2021-051735号公報
【文献】特開2019-185641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のプラントでは、プラントにおける操作を実行する機器(適宜、「プラント機器」)やプラント機器を制御する機器(適宜、「制御機器」)等の多くの機器が用いられる。さらに、これらの機器を製造するメーカも複数存在し、機器の用途や最適な動作環境も多岐にわたる。しかしながら、上記の従来技術では、安全性を担保し、プラントに用いる機器の最適な組合せを短時間で選択することは困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラントに用いる機器を容易に選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を記憶する第1記憶部と、前記組合せごとに運用実績を記憶する第2記憶部と、前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出する抽出部と、前記運用実績に基づいて、抽出された前記組合せを出力する出力部と、を備える情報処理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、コンピュータが、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、前記組合せごとに運用実績を保持し、前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出し、前記運用実績に基づいて、抽出した前記組合せを出力する、処理を実行する情報処理方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、前記複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、前記組合せごとに運用実績を保持し、前記設計情報に基づいて、前記プラントの設計条件を満たす前記組合せを抽出し、前記運用実績に基づいて、抽出した前記組合せを出力する、処理を実行させる情報処理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラントに用いる機器を容易に選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る設計情報データベースの一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る表示画面の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る情報処理システムの構成、情報処理装置等の構成、各処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0013】
〔1.情報処理システム100の構成〕
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システム100の構成を詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システム100の構成例を示す図である。以下では、情報処理システム100全体の構成例、情報処理システム100の処理、情報処理システム100の効果の順に説明する。
【0014】
(1-1.情報処理システム100全体の構成例)
情報処理システム100は、情報処理装置10、利用者端末20、設計情報提供元30(ウェブサイト30A、パンフレット30B、仕様書30C)、設計情報データベース40および制御機器50を有する。ここで、情報処理装置10と利用者端末20と設計情報提供元30と設計情報データベース40と制御機器50とは、図示しない所定の通信網(ネットワーク)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。
【0015】
図1に示した情報処理システム100には、複数台の情報処理装置10、複数台の利用者端末20または複数台の設計情報データベース40が含まれてもよい。また、情報処理装置10は、設計情報データベース40と統合された構成であってもよい。
【0016】
(1-2.情報処理システム100全体の処理)
上記の情報処理システム100全体の処理について説明する。なお、下記のステップS1~S9は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS1~S9のうち、省略される処理があってもよい。
【0017】
(1-2-1.ステップS1の処理)
第1に、情報処理装置10は、設計情報提供元30であるウェブサイト30A、パンフレット30B、仕様書30C等から設計情報を収集する(ステップS1)。ここで、設計情報とは、プラントの設計に関する情報であって、プラント機器と制御機器との組合せに関する情報である。プラント機器は、プラントにおける操作(適宜、「プラント操作」)の実行を目的とした機器であって、各メーカのタンク、配管等である。制御機器は、プラント制御システムを構成し、プラント機器の制御機能を有する機器であって、各メーカのコントローラ、PC(Personal Computer)、信号変換器、制御機構付きセンサ等である。
【0018】
(1-2-2.ステップS2の処理)
第2に、情報処理装置10は、収集した設計情報を設計情報データベース40に格納する(ステップS2)。例えば、情報処理装置10は、収集した設計情報を「石油精製プラント」、「薬品精製プラント」等のプラントの種類ごとに各メーカの設計情報を格納する。
【0019】
(1-2-3.ステップS3の処理)
第3に、情報処理装置10は、利用者Uの利用者端末20から利用者Uの目的を受け付ける(ステップS3)。ここで、情報処理装置10が受け付ける目的は、利用者Uがプラント機器や制御機器を購入する際に所望する目的であって、プラント操作を実行する目的である。例えば、情報処理装置10は、利用者端末20からプラントの種類(例:石油精製、ナフサ分解、液化天然ガス、製鉄、紙パルプ、セメント、上下水処理、火力発電、銅精錬)や、プラントのパーツである操作の種類(例:分離、蒸留、抽出、ガス吸収、吸着、膜分離、乾燥、加熱)等のプラントの設計条件を受け付ける。このとき、情報処理装置10は、利用者端末20からプラントの新設、増設、保守等のプラントの設計条件を受け付けてもよい。
【0020】
(1-2-4.ステップS4の処理)
第4に、情報処理装置10は、設計情報データベース40から設計情報を取得する(ステップS4)。例えば、情報処理装置10は、利用者端末20から利用者Uの目的として「石油精製」を受け付けた場合には、石油精製プラントに関する各メーカの設計情報を取得する。
【0021】
(1-2-5.ステップS5の処理)
第5に、情報処理装置10は、取得した設計情報から利用者Uの目的に適した機器の組合せを抽出する(ステップS5)。例えば、情報処理装置10は、利用者端末20から利用者Uの目的として「石油精製」を受け付けた場合には、石油精製プラントに関するプラント機器と制御機器との組合せを抽出する。
【0022】
(1-2-6.ステップS6の処理)
第6に、情報処理装置10は、抽出した機器の組合せのうち、運用実績がある組合せを利用者Uに提示する(ステップS6)。ここで、運用実績とは、プラント操作に対する過去に設計された各機器や各プラントの実績であって、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、各機器の納入元に関する実績等である。各機器の納入先に関する実績は、各機器の納入量、納入期間、納入場所(地域、国数)、顧客、規模、工期・金額、規格、オプション(特殊技術、特殊サービス)等である。各プラントの稼働に関する実績は、各プラントの稼働数、稼働期間、メインテナンスの回数・期間・金額、故障数・事故数・緊急対応回数・回復期間等である。各機器の納入元に関する実績は、各機器の納入元の経営状況、トラブル履歴等である。
【0023】
このとき、情報処理装置10は、利用者Uの利用者端末20の表示画面に、所定の運用実績を満たすプラント機器と制御機器との組合せを複数表示する。また、情報処理装置10は、表示条件として、「運用実績が多い順」等の運用実績に関する条件が指定されている場合には、当該指定に適合するように複数の機器の組合せを提示する。なお、情報処理装置10が提示する表示画面の具体例については後述する。
【0024】
(1-2-7.ステップS7の処理)
第7に、情報処理装置10は、利用者端末20から利用者Uの選択を受け付ける(ステップS7)。例えば、情報処理装置10は、利用者Uの利用者端末20の表示画面に表示した複数の機器の組合せのうち、利用者Uが利用者端末20上で選択した機器の組合せを受け付ける。
【0025】
(1-2-8.ステップS8の処理)
第8に、情報処理装置10は、利用者Uが選択した機器の組合せの制御機器50の設定ファイル(コンフィグレーションファイル)を生成する(ステップS8)。ここで、設定ファイルとは、プラント制御システムを構成する制御機能を有するコントローラ等にインストールするファイルであって、プラントにおける各機器間の通信処理、各機器の演算処理、各機器の表示処理を実行可能とするために必要な情報を含むファイルである。設定ファイルに含まれる情報は、通信アドレス、通信方式(ドライバ)、信号種別、通信データ、異常診断、異常時動作、メッセージ生成基準、制御方式、制御変数、画面構成、画面展開、色彩、言語等である。例えば、情報処理装置10は、制御機器50のネットワーク接続設定(IP(Internet Protocol)アドレス設定、ドメイン設定、セキュリティ設定、プロトコル設定等)をするための設定ファイルを生成する。
【0026】
(1-2-9.ステップS9の処理)
第9に、情報処理装置10は、生成した設定ファイルを制御機器50にプリインストールする(ステップS9)。このとき、情報処理装置10は、生成した設定ファイルを制御機器50のメーカの管理者端末(不図示)に送信してもよい。また、情報処理装置10は、上記の制御機器50のメーカの管理者端末に、利用者Uに対して制御機器50やプラント機器を配送するように指示してもよい。
【0027】
(1-3.情報処理システム100の効果)
以下では、プラント制御システムの設定に関する参考技術1~3の問題点を説明した上で、情報処理システム100の効果について説明する。
【0028】
(1-3-1.参考技術1の問題点)
参考技術1は、設計段階での制御ロジックの迅速なテストと改善する技術であり、制御モジュールの設計機能とシミュレーション機能とを備えたUI(User Interface)デバイスを有する(例えば、特許文献1参照)。参考技術1は、制御ロジックを構成データベースまたはプロセスコントローラにダウンロードする前に、設計、テスト、およびプレビューできる。また、参考技術1は、コントローラ構成のロジック態様と非ロジック態様(リソース使用量や実行時間等)のテストを分離し、構成をコントローラにダウンロードする前に制御ロジックの設計を完了できる。一方、参考技術1は、設計、データベースへのダウンロード、ライブコントローラへの伝播、および物理コントローラでのテストという時間のかかる反復プロセスが必要になるという問題点がある。
【0029】
(1-3-2.参考技術2の問題点)
参考技術2は、プロセス制御システムの開発、修正、トラブルシューティングを容易にする技術である(例えば、特許文献2参照)。参考技術2は、サービスのカプセル化による分離性や移植性を確保することができる。また、参考技術2は、外部エンジン用機能ブロックの組み込みによる同期性を確保することができる。一方、参考技術2は、以下のような問題点がある。
【0030】
まず、プロセス制御システムは複雑で多数のソフトウェア構成要素を含んでいるが、時間の経過とともに、これらのソフトウェア構成要素は相互依存性が高くなる傾向がある。ここで、参考技術2は、他の多数のソフトウェア構成要素を考慮しなければ、構成要素を独立して変更することができない。
【0031】
また、参考技術2は、制御システムプラットフォーム内に実装できないカスタム計算やアルゴリズムの実行エンジンの結合を、外部インターフェースプロトコル(Modbus、Modbus/TCP(Transmission Control Protocol)、EtherNet(登録商標)/IP、OPC(Open Platform Communications)、OPC-UA(Unified Architecture)、IEC(International Electrotechnical Commission)61850等)に依存しているが、これは複雑さと不安定さを伴う。
【0032】
(1-3-3.参考技術3の問題点)
参考技術3は、プロセス制御システムは1機種で多種多様なプラントを制御するために、膨大なプログラムおよびパラメータを選択し設定する必要があるという背景に基づいて、対象システムまたは対象機器で使用されるプログラムとパラメータとを自動選定し、人的作業ミスを削減する技術である(例えば、特許文献3参照)。一方、参考技術3は、以下のような問題点がある。
【0033】
まず、参考技術3は、自動選択に利用される情報の一部を明らかにしたのみであって、プログラムやパラメータの内容が不明確で、自動選択のロジックは記載されていない。
【0034】
また、参考技術3は、プロセス制御システム情報や機器情報だけで自動選択できるプログラムやパラメータは限定的で、人的作業ミスの削減効果はあまり期待できない。
【0035】
(1-3-4.概要)
上記の参考技術を踏まえた上で、実施形態に係る情報処理システム100の概要について説明する。プラント制御システムは、1社で1システムを納入していたが、近年はマルチベンダシステムが加速している。しかしながら、マルチベンダシステムのネットワーク接続等の設定は、メーカごとに方式や仕様が異なるので非効率である。
【0036】
情報処理システム100では、複数のプラント機器と制御機器との組合せに関する設計情報を保持し、機器の組合せごとに運用実績を保持し、設計条件としてプラントの種類および操作の種類のうち少なくとも1つを利用者から受け付け、設計情報に基づいてプラントの設計条件を満たす機器の組合せを抽出し、運用実績に基づいて抽出した機器の組合せを出力する。また、情報処理システム100では、出力した機器の組合せのうち、利用者Uが選択した機器の組合せに含まれる制御機器50の設定ファイルを生成する。
【0037】
(1-3-5.効果)
したがって、情報処理システム100では、マルチベンダで運用実績のあるプラント機器と制御機器との組合せを抽出して、その組合せの制御機器に対して、ネットワーク接続設定をするためのコンフィグレーションファイルを生成してプリインストールしてから制御機器の配送を手配するEC(Electronic Commerce)サイトを実現することができる。
【0038】
プラントにおける制御機器やプラント機器は数万台とあるのが通常であるが、上記のECサイトでは、利用者Uが1つ1つ制御機器やプラント機器を選択することなく容易に購入することが可能となる。
【0039】
このとき、上記のECサイトでは、抽出した組合せを運用実績の多い順番に表示して、当該組合せの中から、利用者Uが所望する組合せを選択させて購入を受け付けることもできるし、利用者Uが所望する観点(運用実績の多い順、運用実績の古い順、評価の高い順等)で、抽出したものを並び替えられるソート機能を利用することもできる。すなわち、情報処理システム100では、運用実績や利用者Uの目的に応じて抽出処理や出力処理を実行することができ、膨大な制御機器やプラント機器から適切な組合せを選択し、利用者Uに対して高速で提示することができる。
【0040】
また、上記のECサイトでは、利用者Uにメーカも選択させて、当該メーカのプラント機器と制御機器の運用実績のある組合せを抽出することもできるし、要件(防爆、船級、通信規格等)も選択させて、当該要件に適したメーカのプラント機器と制御機器の運用実績のある組合せを抽出することもできる。すなわち、情報処理システム100では、利用者Uに対して高速で機器の組合せを提示するだけではなく、より利用者Uの希望するプラントに対応する機器の組合せを提示することができる。
【0041】
さらに、上記のECサイトでは、利用者Uが選択した組合せに対して作業実績のある作業員も手配することもできる。また、上記のECサイトでは、利用者Uが購入した組合せに対して利用者Uに評価を付けさせて、他の利用者に当該評価を見せる評価機能を利用することもできる。また、上記のECサイトでは、データ設定(プラントのどの値をモニタするのか? モニタ周期は? アラート閾値等の設定等)をするためのコンフィグレーションファイルも生成して、プリインストールすることもできる。すなわち、情報処理システム100では、利用者Uに対して機器の組合せを提示するだけではなく、機器の購入後のサポートも効果的に実現することができる。
【0042】
上述してきたように、情報処理システム100では、プラント機器と制御機器との組合せの運用実績を担保しつつ、制御機器のネットワーク接続設定等の制御機器の設定を容易に実行することができる。
【0043】
〔2.情報処理装置10の構成〕
図2~
図4を用いて、
図1に示した情報処理システム100が有する各装置の機能構成について説明する。以下では、実施形態に係る情報処理装置10の構成例、設計情報データベース40の具体例、実施形態に係る表示画面の具体例を詳細に説明する。
【0044】
(2-1.情報処理装置10の構成例)
まず、
図2を用いて、
図1に示した情報処理装置10の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。情報処理装置10は、入力部11、表示部12、通信部13、記憶部14および制御部15を有する。
【0045】
(2-1-1.入力部11)
入力部11は、当該情報処理装置10への各種情報の入力を司る。例えば、入力部11は、マウスやキーボード等で実現され、当該情報処理装置10への設定情報等の入力を受け付ける。
【0046】
(2-1-2.表示部12)
表示部12は、当該情報処理装置10からの各種情報の表示を司る。例えば、表示部12は、ディスプレイ等で実現され、当該情報処理装置10に記憶された設定情報等を表示する。
【0047】
(2-1-3.通信部13)
通信部13は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部13は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部13は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0048】
(2-1-4.記憶部14)
記憶部14は、制御部15が動作する際に参照する各種情報や、制御部15が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部14は、設計条件記憶部14a、運用実績記憶部14bおよび設定ファイル記憶部14cを有する。ここで、記憶部14は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、
図2の例では、記憶部14は、情報処理装置10の内部に設置されているが、情報処理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0049】
(2-1-4-1.設計条件記憶部14a)
設計条件記憶部14aは、利用者Uに提示するプラントの設計条件(プラントの種類や操作の種類等)や、利用者Uが選択したプラントの設計条件(利用者Uの目的)を記憶する。例えば、設計条件記憶部14aは、プラントの種類として、「石油精製」、「ナフサ分解」、「LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)」、「製鉄」、「紙パルプ」、「セメント」、「上下水処理」、「火力発電」、「銅精錬」等を記憶する。また、設計条件記憶部14aは、操作の種類として、「分離」、「蒸留」、「抽出」、「ガス吸収」、「吸着」、「膜分離」、「乾燥」、「加熱」等を記憶する。
【0050】
(2-1-4-2.運用実績記憶部14b)
運用実績記憶部14bは、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、当該プラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せごとに運用実績を記憶する。例えば、運用実績記憶部14bは、プラント操作に対する過去に設計された各機器や各プラントの実績であって、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、各機器の納入元に関する実績等を記憶する。このとき、運用実績記憶部14bは、各機器の納入先に関する実績として、各機器の納入量、納入期間、納入場所(地域、国数)、顧客、規模、工期・金額、規格、オプション(特殊技術、特殊サービス)等を記憶する。また、運用実績記憶部14bは、各プラントの稼働に関する実績として、各プラントの稼働数、稼働期間、メインテナンスの回数・期間・金額、故障数・事故数・緊急対応回数・回復期間等を記憶する。また、運用実績記憶部14bは、各機器の納入元に関する実績として、各機器の納入元の経営状況、トラブル履歴等を記憶する。
【0051】
(2-1-4-3.設定ファイル記憶部14c)
設定ファイル記憶部14cは、後述する制御部15の生成部15eによって生成された制御機器50の設定ファイルを記憶する。例えば、設定ファイル記憶部14cは、プラントにおける各機器間の通信処理、各機器の演算処理、各機器の表示処理を実行可能とするために必要な情報を含む設定ファイルを記憶する。このとき、設定ファイル記憶部14cは、プラントにおける各機器間の通信処理を実行可能とするために必要な情報として、通信アドレス、通信方式(ドライバ)、信号種別、通信データ等を記憶する。また、設定ファイル記憶部14cは、プラントにおける各機器の演算処理を実行可能とするために必要な情報として、異常診断、異常時動作、メッセージ生成基準、制御方式、制御変数等を記憶する。また、設定ファイル記憶部14cは、プラントにおける各機器の表示処理を実行可能とするために必要な情報として、画面構成、画面展開、色彩、言語等を記憶する。
【0052】
(2-1-5.制御部15)
制御部15は、当該情報処理装置10全体の制御を司る。制御部15は、収集部15a、受付部15b、抽出部15c、出力部15dおよび生成部15eを有する。ここで、制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0053】
(2-1-5-1.収集部15a)
収集部15aは、プラント機器または制御機器の納入元のウェブサイト、パンフレットまたは仕様書から設計情報を収集し、設計情報データベース40に格納する。例えば、収集部15aは、プラント機器または制御機器の各メーカのウェブサイトから、「石油精製プラント」や「薬品精製プラント」において納入される制御機器に対するプラント機器の組合せを収集する。
【0054】
このとき、収集部15aは、タンク、配管、反応器、蒸留塔、加熱炉、熱交換器等のプラント機器と、コントローラ、通信装置、操作監視装置、各種センサ等の制御機器との組合せを収集する。また、収集部15aは、プラント機器と制御機器との組合せに関する設計情報だけではなく、各機器の運用実績を収集してもよい。例えば、収集部15aは、各機器の納入量、納入期間、納入場所(地域、国数)等の運用実績を収集することもできる。
【0055】
(2-1-5-2.受付部15b)
受付部15bは、設計条件として、プラントの種類および操作の種類のうち少なくとも1つを利用者から受け付ける。また、受付部15bは、設計条件として、プラントの種類および操作の種類を利用者から受け付ける。例えば、受付部15bは、プラントの種類として、「石油精製」、「ナフサ分解」、「LNG」、「製鉄」、「紙パルプ」、「セメント」、「上下水処理」、「火力発電」、「銅精錬」等を利用者から受け付ける。また、受付部15bは、操作の種類として、「分離」、「蒸留」、「抽出」、「ガス吸収」、「吸着」、「膜分離」、「乾燥」、「加熱」等を利用者から受け付ける。
【0056】
また、受付部15bは、出力部15dによって利用者端末20に出力された表示画面に対する利用者Uの指定を受け付ける。例えば、受付部15bは、表示条件として、「運用実績の多い順」、「運用実績の古い順」、「評価の高い順」等の表示結果の表示順を選択する利用者Uの指定を受け付ける。また、受付部15bは、表示画面に表示した機器の組合せの候補のうち、利用者Uが購入する機器の組合せの指定を受け付ける。
【0057】
(2-1-5-3.抽出部15c)
抽出部15cは、設計情報に基づき、プラントの設計条件を満たすプラント機器と制御機器との組合せを抽出する。例えば、抽出部15cは、設計情報データベース40が記憶する設計情報から設計条件を満たすプラント機器と制御機器との組合せを抽出する。具体的な例を用いて説明すると、抽出部15cは、利用者Uが設計条件として、プラントの種類「石油精製」、操作の種類「蒸留」を指定した場合には、制御機器「コントローラD」、プラント機器「蒸留塔d1、タンクd2、配管d3、・・・」等の機器の組合せを抽出する。
【0058】
(2-1-5-4.出力部15d)
出力部15dは、運用実績に基づいて、抽出されたプラント機器と制御機器との組合せを出力する。例えば、出力部15dは、運用実績として、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、および各機器の納入元に関する実績のうち少なくとも1つを用いて、抽出されたプラント機器と制御機器との組合せのスコア値を算出し、当該スコア値が所定値以上の組合せを出力する。
【0059】
このとき、出力部15dは、各機器の納入先に関する実績として、各機器の納入量、納入期間、納入場所(地域、国数)、顧客、規模、工期・金額、規格、オプション(特殊技術、特殊サービス)等を用いて、各項目のスコア値を算出し、所定のスコア値以上の機器の組合せを出力する。また、出力部15dは、各プラントの稼働に関する実績として、各プラントの稼働数、稼働期間、メインテナンスの回数・期間・金額、故障数・事故数・緊急対応回数・回復期間等を用いて、各項目のスコア値を算出し、所定のスコア値以上の機器の組合せを出力する。また、出力部15dは、各機器の納入元に関する実績として、各機器の納入元の経営状況、トラブル履歴等を用いて、各項目のスコア値を算出し、所定のスコア値以上の機器の組合せを出力する。
【0060】
具体的な例を用いて説明すると、出力部15dは、石油精製プラントに用いるコントローラの納入量の多い順に、1位「コントローラA」、2位「コントローラB」、3位「コントローラC」、・・・の上位10位までのコントローラを抽出し、「コントローラA」のスコア値を「10」、「コントローラB」のスコア値を「9」、「コントローラC」のスコア値を「8」、・・・のように順位に対応したスコア値を算出する。また、出力部15dは、石油精製プラントの故障数・事故数の少ない順に、1位「プラントA」、2位「プラントB」、3位「プラントC」、・・・の上位10位までのプラントを抽出し、「プラントA」のスコア値を「10」、「プラントB」のスコア値を「9」、「プラントC」のスコア値を「8」、・・・のように順位に対応したスコア値を算出する。
【0061】
なお、出力部15dは、所定の運用実績の区分(例:納入先、稼働、納入元)ごとにスコア値の平均値を算出してもよいし、項目ごとに重み付けをしてスコア値を算出してもよい。また、利用者Uが指定する運用実績の区分や項目ごとにスコア値を算出してもよい。また、出力部15dは、運用実績を運用実績記憶部14bから取得する。
【0062】
出力部15dは、抽出されたプラント機器と制御機器との組合せを、運用実績の多い順、運用実績の古い順、または運用実績の評価が高い順に組合せを出力する。例えば、出力部15dは、利用者Uが表示条件として「運用実績の多い順」を指定した場合には、納入量が多い機器の組合せや、プラントの稼働数が多い機器の組合せの順に利用者端末20の表示画面に出力する。また、出力部15dは、利用者Uが表示条件として「運用実績の古い順」を指定した場合には、納入期間が長い機器の組合せや、プラントの稼働期間が長い機器の組合せの順に利用者端末20の表示画面に出力する。また、出力部15dは、利用者Uが表示条件として「評価が高い順」を指定した場合には、購入した利用者により評価値を付与された機器の組合せのうち、評価値が高い機器の組合せの順に利用者端末20の表示画面に出力する。
【0063】
(2-1-5-5.生成部15e)
生成部15eは、出力されたプラント機器と制御機器との組合せのうち、利用者が選択した組合せに含まれる制御機器の設定ファイルとして、プラントにおけるプラント機器または制御機器が行う通信、演算、および表示のうち少なくとも1つを実行可能とする情報を含む設定ファイルを生成する。例えば、生成部15eは、プラントにおける各機器間の通信処理を実行可能とするために必要な情報として、通信アドレス、通信方式(ドライバ)、信号種別、通信データ等を生成する。また、生成部15eは、プラントにおける各機器の演算処理を実行可能とするために必要な情報として、異常診断、異常時動作、メッセージ生成基準、制御方式、制御変数等を生成する。また、生成部15eは、プラントにおける各機器の表示処理を実行可能とするために必要な情報として、画面構成、画面展開、色彩、言語等を生成する。
【0064】
また、生成部15eは、生成した設定ファイルを利用者Uが選択した制御機器50に配送前に設定(プレインストール)してもよい。このとき、生成部15eは、生成した設定ファイルを、図示しない制御機器50のメーカの管理者端末に送信してもよい。また、生成部15eは、図示しない制御機器50のメーカの管理者端末に、利用者Uに対して制御機器50やプラント機器を配送するように指示してもよい。なお、生成部15eは、生成した設定ファイルを設定ファイル記憶部14cに格納する。
【0065】
(2-2.設計情報データベース40の具体例)
図3を用いて、
図1に示した設計情報データベース40の一例について説明する。
図3は、実施形態に係る設計情報データベース40の一例を示す図である。設計情報データベース40は、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、当該複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を記憶する。例えば、設計情報データベース40は、「プラントの種類」、「操作の種類」、「制御機器」、「プラント機器」等の項目ごとに設計情報を記憶する。このとき、設計情報データベース40は、制御機器やプラント機器のメーカごとに設計情報を記憶してもよい。以下では、
図3に示す項目ごとに設計情報の具体例について説明する。
【0066】
(2-2-1.プラントの種類)
設計情報データベース40は、「プラントの種類」ごとに設計情報を記憶する。例えば、
図3に示すように、設計情報データベース40は、「プラントの種類」として、「石油精製」ごとに設計情報を記憶する。さらに、設計情報データベース40は、「プラントの種類」として、「ナフサ分解」、「LNG」、「製鉄」、「紙パルプ」、「セメント」、「上下水処理」、「火力発電」、「銅精錬」等の項目ごとに設計情報を記憶してもよい。
【0067】
(2-2-2.操作の種類)
設計情報データベース40は、「プラントの種類」に対応する「操作の種類」ごとに設計情報を記憶する。例えば、
図3に示すように、設計情報データベース40は、「操作の種類」として、「分離」、「蒸留」ごとに設計情報を記憶する。さらに、設計情報データベース40は、「操作の種類」として、「抽出」、「ガス吸収」、「吸着」、「膜分離」、「乾燥」、「加熱」等の項目ごとに設計情報を記憶してもよい。
【0068】
(2-2-3.制御機器)
設計情報データベース40は、「操作の種類」に対応する「制御機器」ごとに設計情報を記憶する。例えば、
図3に示すように、設計情報データベース40は、「分離」に対応する「制御機器」として、「コントローラA」、「コントローラB」、「コントローラC」ごとに設計情報を記憶する。また、設計情報データベース40は、「蒸留」に対応する「制御機器」として、「コントローラD」、「コントローラE」、「コントローラF」ごとに設計情報を記憶する。
【0069】
(2-2-4.プラント機器)
設計情報データベース40は、「制御機器」に対応する「プラント機器」の設計情報を記憶する。例えば、
図3に示すように、設計情報データベース40は、「コントローラA」に対応する「プラント機器」として、「タンクa1、配管a2、配管a3、・・・」、「コントローラB」に対応する「プラント機器」として、「タンクb1、配管b2、配管b3、・・・」、「コントローラC」に対応する「プラント機器」として、「タンクc1、配管c2、配管c3、・・・」の設計情報を記憶する。また、設計情報データベース40は、「コントローラD」に対応する「プラント機器」として、「蒸留塔d1、タンクd2、配管d3、・・・」、「コントローラE」に対応する「プラント機器」として、「蒸留塔e1、タンクe2、配管e3、・・・」、「コントローラF」に対応する「プラント機器」として、「蒸留塔f1、タンクf2、配管f3、・・・」の設計情報を記憶する。
【0070】
(2-3.表示画面の具体例)
図4を用いて、情報処理装置10の出力部15dが利用者端末20に出力する表示画面の具体例について説明する。
図4は、実施形態に係る表示画面の具体例を示す図である。以下では、プラントの種類、操作の種類、表示条件、表示結果の順に説明する。
【0071】
(2-3-1.プラントの種類)
図4(1)を用いて、利用者Uが選択する設計条件(目的)であるプラントの種類の表示画面について説明する。例えば、プラントの種類の表示画面では、「選択してください」等の表示とともに、「石油精製」、「ナフサ分解」、「LNG」等のプラントの種類の選択候補を示したドロップダウンリストを表示する。
図4(1)の例では、利用者Uの操作によって、「石油精製」(斜線部)が選択されている。
【0072】
(2-3-2.操作の種類)
図4(2)を用いて、利用者Uが選択する設計条件(目的)である操作の種類の表示画面について説明する。例えば、操作の種類の表示画面では、「選択してください」等の表示とともに、「分離」、「蒸留」、「抽出」等の操作の種類の選択候補を示したドロップダウンリストを表示する。
図4(2)の例では、利用者Uの操作によって、「蒸留」(斜線部)が選択されている。このとき、操作の種類の表示画面では、利用者Uが選択したプラントの種類に対応する操作の種類のみを表示してもよい。
【0073】
(2-3-3.表示条件)
図4(3)を用いて、利用者Uに提示する表示結果を並び替え(ソート)するための表示条件の表示画面について説明する。例えば、表示条件の表示画面では、「運用実績の多い順」、「運用実績の古い順」、「評価の高い順」の表示とともに、表示条件を選択可能なラジオボタンを表示する。
図4(3)の例では、利用者Uの操作によって、「運用実績の多い順」が選択されている。
【0074】
(2-3-4.表示結果)
図4(4)を用いて、利用者Uに提示する機器の組合せの候補である表示結果の表示画面について説明する。例えば、表示結果の表示画面では、「コントローラD:蒸留塔d1、タンクd2、配管d3、・・・」、「コントローラE:蒸留塔e1、タンクe2、配管e3、・・・」、「コントローラF:蒸留塔f1、タンクf2、配管f3、・・・」等のプラント機器と制御機器との組合せを表示する。
図4(4)の例では、プラントの種類「石油精製」、操作の種類「蒸留」、表示条件「運用実績の多い順」の条件を満たす候補が表示されている。
【0075】
〔3.情報処理システム100の処理の流れ〕
図5を用いて、実施形態に係る情報処理システム100の処理の流れについて説明する。
図5は、実施形態に係る提供処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS101~S108の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S108の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0076】
(3-1.ステップS101の処理)
第1に、情報処理装置10は、設計情報を収集する(ステップS101)。例えば、情報処理装置10は、設計情報提供元30であるウェブサイト30A、パンフレット30B、仕様書30C等から設計情報を収集する。
【0077】
(3-2.ステップS102の処理)
第2に、情報処理装置10は、設計情報をデータベースに格納する(ステップS102)。例えば、情報処理装置10は、収集した設計情報を設計情報データベース40に格納する。
【0078】
(3-3.ステップS103の処理)
第3に、情報処理装置10は、利用者Uの目的を受け付ける(ステップS103)。例えば、情報処理装置10は、利用者Uの利用者端末20から利用者Uの目的を受け付ける。
【0079】
(3-4.ステップS104の処理)
第4に、情報処理装置10は、機器の組合せを抽出する(ステップS104)。例えば、情報処理装置10は、設計情報データベース40から設計情報を取得し、取得した設計情報から利用者Uの目的に適した機器の組合せを抽出し、抽出した機器の組合せのうち、運用実績がある組合せを利用者Uに提示する。
【0080】
(3-5.ステップS105の処理)
第5に、情報処理装置10は、利用者Uの選択を受け付ける(ステップS105)。例えば、情報処理装置10は、利用者Uの利用者端末20の表示画面に表示した複数の機器の組合せのうち、利用者Uが利用者端末20上で選択した機器の組合せを受け付ける。
【0081】
(3-6.ステップS106の処理)
第6に、情報処理装置10は、設定ファイルを生成する(ステップS106)。例えば、情報処理装置10は、利用者Uが選択した機器の組合せの制御機器50のネットワーク接続の設定ファイルを生成する。
【0082】
(3-7.ステップS107の処理)
第7に、情報処理装置10は、設定ファイルをプリインストールする(ステップS107)。例えば、情報処理装置10は、利用者Uが選択した機器の組合せの制御機器50のネットワーク接続の設定ファイルをプリインストールする。
【0083】
(3-8.ステップS108の処理)
第8に、情報処理装置10は、利用者Uに配送手配を行う(ステップS108)。例えば、情報処理装置10は、設定ファイルをプリインストールした制御機器50と、制御機器50によって制御されるプラント機器とを利用者Uに配送手配を行う。
【0084】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~6について説明する。
【0085】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、プラント機器の制御を実行する制御機器との組合せに関する設計情報を保持し、プラント機器と制御機器との組合せごとに運用実績を保持し、設計情報に基づいて、プラントの設計条件を満たすプラント機器と制御機器との組合せを抽出し、運用実績に基づいて、抽出されたプラント機器と制御機器との組合せを出力する。このため、実施形態に係る処理では、プラントにおける制御機器の設定を容易に選択することができる。
【0086】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、設計条件として、プラントの種類および操作の種類のうち少なくとも1つを利用者Uから受け付ける。また、上述した実施形態に係る処理では、設計条件として、プラントの種類および操作の種類を利用者Uから受け付ける。このため、実施形態に係る処理では、利用者Uの目的に応じて、プラントにおける制御機器の設定を容易に選択することができる。
【0087】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、プラント機器または制御機器の納入元のウェブサイト30A、パンフレット30Bまたは仕様書30Cから設計情報を収集して保持し、保持した設計情報から設計条件を満たすプラント機器と制御機器との組合せを抽出する。このため、実施形態に係る処理では、各機器の納入元の情報を収集することによって、プラントにおける制御機器の設定を容易に選択することができる。
【0088】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、出力されたプラント機器と制御機器との組合せのうち、利用者Uが選択したプラント機器と制御機器との組合せに含まれる制御機器50の設定ファイルとして、プラントにおける各機器間の通信、各機器の演算、および各機器の表示のうち少なくとも1つを実行可能とする情報を含むファイルを生成する。このため、実施形態に係る処理では、利用者Uが選択した制御機器の設定ファイルを生成することによって、プラントにおける制御機器の設定を容易に実行することができる。
【0089】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、運用実績として、各機器の納入先に関する実績、各プラントの稼働に関する実績、および各機器の納入元に関する実績のうち少なくとも1つを用いて、抽出したプラント機器と制御機器との組合せのスコア値を算出し、抽出したプラント機器と制御機器との組合せをスコア値が高い順に出力する。このため、実施形態に係る処理では、より効果的に運用実績を評価することによって、プラントにおける制御機器の設定を容易に実行することができる。
【0090】
(4-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、抽出したプラント機器と制御機器との組合せを、運用実績の多い順、運用実績の古い順、または運用実績の評価が高い順に出力する。このため、実施形態に係る処理では、より効果的に利用者Uの所望する条件を反映することによって、プラントにおける制御機器の設定を容易に実行することができる。
【0091】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0092】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0093】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0094】
〔ハードウェア〕
次に、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する。
図6は、ハードウェア構成例を説明する図である。
図6に示すように、情報処理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図6に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0095】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、
図2に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0096】
プロセッサ10dは、
図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、
図2等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、情報処理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、収集部15a、受付部15b、抽出部15c、出力部15d、生成部15e等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、収集部15a、受付部15b、抽出部15c、出力部15d、生成部15e等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0097】
このように、情報処理装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0098】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【符号の説明】
【0099】
10 情報処理装置
11 入力部
12 表示部
13 通信部
14 記憶部
14a 設計条件記憶部
14b 運用実績記憶部
14c 設定ファイル記憶部
15 制御部
15a 収集部
15b 受付部
15c 抽出部
15d 出力部
15e 生成部
20 利用者端末
30 設計情報提供元
30A ウェブサイト
30B パンフレット
30C 仕様書
40 設計情報データベース
50 制御機器
100 情報処理システム
【要約】
【課題】プラントに用いる機器を容易に選択すること。
【解決手段】情報処理装置10は、プラントにおける操作を実行する複数のプラント機器と、複数のプラント機器の各々の制御を実行する少なくとも1つの制御機器との組合せに関する複数の設計情報を保持し、複数のプラント機器と制御機器との組合せごとに運用実績を保持し、設計情報に基づき、プラントの設計条件を満たす複数のプラント機器と制御機器との組合せを抽出し、運用実績に基づいて、抽出した複数のプラント機器と制御機器との組合せを出力する。
【選択図】
図2