(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】蓄電素子の監視装置、蓄電装置および蓄電素子の監視方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230613BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20230613BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230613BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20230613BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
H02J7/00 A
H02H7/18
H01M10/48 P
H01M10/42 P
B60R16/04 W
(21)【出願番号】P 2022072571
(22)【出願日】2022-04-26
(62)【分割の表示】P 2020184545の分割
【原出願日】2016-03-09
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2015061922
(32)【優先日】2015-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】松原 瞭
(72)【発明者】
【氏名】白石 剛之
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/115035(WO,A1)
【文献】特開2007-255185(JP,A)
【文献】特開2014-052296(JP,A)
【文献】特開2014-096975(JP,A)
【文献】特開2008-118841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
H01M 10/48
H01M 10/42
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられ、前記移動体の負荷にスイッチを介して電気的に接続される蓄電素子の監視装置であって、
前記蓄電素子から電力が供給される監視部を備え、
前記監視部は、
前記蓄電素子の電圧が放電電圧閾値以下になったことを条件に、前記スイッチをクローズ状態からオープン状態にし、前記スイッチが前記オープン状態であるときに前記蓄電素子が所定の放電復帰条件を満たしたことを条件に、前記スイッチを前記オープン状態から前記クローズ状態にする監視動作を実行し、
前記スイッチが前記オープン状態である期間において、前記移動体が停車中または駐車状態であり、かつ、前記蓄電素子の電圧が、前記放電電圧閾値よりも低い低電圧閾値以下になった場合には、前記蓄電素子の電圧が前記低電圧閾値よりも大きい場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を長くすることで消費電力を少なくする、
蓄電素子の監視装置。
【請求項2】
前記蓄電素子は、さらに、前記移動体のエンジンによって発電する充電器に前記スイッチを介して電気的に接続され、
前記監視動作には、さらに、前記蓄電素子の電圧が、前記放電電圧閾値よりも大きい充電電圧閾値以上になったことを条件に、前記スイッチをクローズ状態からオープン状態にし、前記スイッチが前記オープン状態であるときに前記蓄電素子が所定の充電復帰条件を満たしたことを条件に、前記スイッチを前記オープン状態から前記クローズ状態にする動作が含まれ、
前記監視部は、
前記
移動体が停車中または駐車状態である期間において、前記蓄電素子の電圧が前記充電電圧閾値以上になったことにより前記スイッチが前記オープン状態となった場合には、前記蓄電素子の電圧が前記放電電圧閾値以下になったことにより前記スイッチが前記オープン状態となった場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする、
請求項1に記載の蓄電素子の監視装置。
【請求項3】
前記
移動体が停車中または駐車状態である期間において、前記蓄電素子の電圧が前記充電電圧閾値以上になったことにより前記スイッチが前記オープン状態となった場合には、前記スイッチが前記クローズ状態である場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする、
請求項2に記載の蓄電素子の監視装置。
【請求項4】
蓄電素子と、
請求項1から請求項
3までのいずれか一項に記載の蓄電素子の監視装置と、を備える、
蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電装置は、さらに、
移動体の負荷と前記蓄電素子との間に配置されるスイッチを備える、
請求項
4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
移動体に備えられ、前記移動体の負荷にスイッチを介して電気的に接続される蓄電素子の監視装置が行う蓄電素子の監視方法であって、
前記蓄電素子の電圧が放電電圧閾値以下になったことを条件に、前記スイッチをクローズ状態からオープン状態にし、前記スイッチが前記オープン状態であるときに前記蓄電素子が所定の放電復帰条件を満たしたことを条件に、前記スイッチを前記オープン状態から前記クローズ状態にする監視動作を実行し、
前記スイッチが前記オープン状態である期間において、前記移動体が停車中または駐車状態であり、かつ、前記蓄電素子の電圧が、前記放電電圧閾値よりも低い低電圧閾値以下になった場合には、前記蓄電素子の電圧が前記低電圧閾値よりも大きい場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を長くすることで消費電力を少なくする、
蓄電素子の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、蓄電素子の監視装置、蓄電装置および蓄電素子の監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に、スイッチを介して電気的に接続される蓄電素子(二次電池)の監視装置がある(例えば、特許文献1参照)。この監視装置は、二次電池から電力が供給されることにより、二次電池の電圧を取得し、取得された二次電池の電圧値が予め定められた下限電圧値を下回った場合にスイッチをクローズ状態(閉状態)からオープン状態(開状態)にし、その後、二次電池の電圧値が下限電圧値を上回った場合にスイッチをオープン状態からクローズ状態にする監視動作を繰り返し実行する。また、この監視装置は、二次電池の電圧値が下限電圧値に近づいたら、監視動作の実行間隔を短くすることにより、二次電池の状態が過放電状態になったことを早期に検出し、スイッチをオープン状態にして二次電池を保護できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の蓄電素子の監視装置では、スイッチがオープン状態になった後に、監視動作の実行間隔をどうするかについて十分に検討されていないため、蓄電素子の電圧が低下してしまう虞があるという課題がある。
【0005】
本明細書では、上記課題を解決するために、蓄電素子の電圧低下を抑制することができる蓄電素子の監視装置、蓄電装置および蓄電素子の監視方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書に開示される蓄電素子の監視装置は、移動体に備えられ、前記移動体の負荷にスイッチを介して電気的に接続される蓄電素子の監視装置であって、前記蓄電素子から電力が供給される監視部を備え、前記監視部は、前記蓄電素子の電圧が放電電圧閾値以下になったことを条件に、前記スイッチをクローズ状態からオープン状態にし、前記スイッチが前記オープン状態であるときに前記蓄電素子が所定の放電復帰条件を満たしたことを条件に、前記スイッチを前記オープン状態から前記クローズ状態にする監視動作を実行し、前記スイッチが前記オープン状態である期間において、前記負荷が停止中である場合には、前記負荷が動作中である場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を長くすることで消費電力を少なくする。
【0007】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、蓄電素子の監視装置または方法、その装置と蓄電素子とを備える蓄電装置、その装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラムや集積回路、そのコンピュータプログラムを記録したCD-ROM等の非一時的な記録媒体およびインターネット等の伝送媒体等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電池パックの構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る二次電池の監視処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係るオープン時処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記従来の監視装置では、スイッチがオープン状態になった後に、監視動作の実行間隔をどうするかについて十分に検討されていない。仮に、スイッチがオープン状態になった後も、監視動作の実行間隔を短くすれば、二次電池の状態が過放電状態でなくなった場合、スイッチをクローズ状態にして二次電池から負荷に電力が供給される状態に迅速に復帰させることができる。しかし、その一方で、監視動作の実行間隔を短くするには、少なくとも、その短い実行間隔ごとに、二次電池からの電力を監視装置に供給する必要がある分だけ、監視装置の消費電力量が増大する。そうすると、二次電池の電圧がさらに低下し、例えば監視装置の最低動作電圧を下回り、その結果、監視装置が動作できなくなる場合がある。また、二次電池の電圧が低下し続けることにより、二次電池を再利用することができなくなる場合がある。なお、このような問題は二次電池に限らず、キャパシタなどの他の蓄電素子の監視装置でも同様に生じ得る。
【0010】
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
【0011】
(1)本明細書に開示される蓄電素子の監視装置は、移動体に備えられ、前記移動体の負荷にスイッチを介して電気的に接続される蓄電素子の監視装置であって、前記蓄電素子から電力が供給される監視部を備え、前記監視部は、前記蓄電素子の電圧が放電電圧閾値以下になったことを条件に、前記スイッチをクローズ状態からオープン状態にし、前記スイッチが前記オープン状態であるときに前記蓄電素子が所定の放電復帰条件を満たしたことを条件に、前記スイッチを前記オープン状態から前記クローズ状態にする監視動作を実行し、前記スイッチが前記オープン状態である期間において、前記負荷が停止中である場合には、前記負荷が動作中である場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を長くすることで消費電力を少なくする。スイッチがオープン状態である期間では、負荷が動作中である場合、負荷への電力供給を早期に再開させる必要性は高い。しかし、負荷が停止中である場合には、負荷が動作中である場合に比べて、負荷への電力供給を早期に再開させる必要性は高くない。そこで、この蓄電素子の監視装置によれば、スイッチがオープン状態である期間では、負荷が停止中である場合には、負荷が動作中である場合に比べて、実行間隔が長く、かつ、前記蓄電素子からの電力の消費量が少ない状態で監視動作が実行される。これにより、スイッチがオープン状態である期間において、負荷が動作中である場合、蓄電素子が放電復帰条件を満たしたときに負荷への電力供給状態の再開が遅れることを抑制しつつ、負荷への電力供給の再開の必要性が比較的に低い負荷の停止中において監視部の電力消費による蓄電素子の電圧低下を抑制することができる。
【0012】
(2)上記蓄電素子の監視装置において、前記蓄電素子は、さらに、前記移動体のエンジンによって発電する充電器に前記スイッチを介して電気的に接続され、前記監視動作には、さらに、前記蓄電素子の電圧が、前記放電電圧閾値よりも大きい充電電圧閾値以上になったことを条件に、前記スイッチをクローズ状態からオープン状態にし、前記スイッチが前記オープン状態であるときに前記蓄電素子が所定の充電復帰条件を満たしたことを条件に、前記スイッチを前記オープン状態から前記クローズ状態にする動作が含まれ、前記監視部は、前記負荷が停止中である期間において、前記蓄電素子の電圧が前記充電電圧閾値以上になったことにより前記スイッチが前記オープン状態となった場合には、前記蓄電素子の電圧が前記放電電圧閾値以下になったことにより前記スイッチが前記オープン状態となった場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする、構成としてもよい。蓄電素子の電圧が充電電圧閾値以上になったことによりスイッチがオープン状態となった場合、蓄電素子を放電させて電圧を低下させた方がよい。そこで、この蓄電素子の監視装置によれば、負荷が停止中である期間では、蓄電素子の電圧が充電電圧閾値以上になったことによりスイッチが前記オープン状態となった場合には、蓄電素子の電圧が放電電圧閾値以下になったことによりスイッチがオープン状態となった場合に比べて、実行間隔が短く、かつ、蓄電素子からの電力の消費量が多い状態で監視動作が実行される。これにより、負荷が停止中である期間において、蓄電素子の電圧が充電電圧閾値以上になったことによりスイッチがオープン状態となった場合、早期に、蓄電素子の電圧を低下させて蓄電素子の電圧が充電電圧閾値以上になった状態を解消することができる。
【0013】
(3)上記蓄電素子の監視装置において、前記負荷が停止中である期間において、前記蓄電素子の電圧が前記充電電圧閾値以上になったことにより前記スイッチが前記オープン状態となった場合には、前記スイッチが前記クローズ状態である場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする、構成としてもよい。この蓄電素子の監視装置によれば、負荷が停止中である期間において、蓄電素子の電圧が充電電圧閾値以上になったことによりスイッチがオープン状態となった場合、負荷の動作の開始時において負荷への電力供給を早期に再開させることができる。
【0014】
(4)上記蓄電素子の監視装置において、前記監視部は、さらに、前記スイッチが前記オープン状態である期間において、前記蓄電素子の電圧が、前記放電電圧閾値よりも低い低電圧閾値以下になった場合には、前記蓄電素子の電圧が前記低電圧閾値よりも大きい場合に比べて、前記監視動作の実行間隔を長くすることで消費電力を少なくする、構成としてもよい。この蓄電素子の監視装置によれば、例えばスイッチがオープン状態である期間が長い場合に、蓄電素子の電圧がさらに低下することを抑制することができる。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る蓄電素子の監視装置について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、方法におけるステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0016】
A.実施形態:
A-1.電池パックの構成:
図1は、本実施形態の電池パック100の構成を概略的に示す説明図である。電池パック100は、例えばハイブリッド自動車(HV)など、駆動源としてエンジン(図示せず)が搭載された自動車のような車両などの移動体に備えられ、そのエンジンを始動させるためのスタータ400用のバッテリである。また、電池パック100は、例えばオルタネータ等の移動体のエンジンによって駆動(発電)する発電機200によって充電される。さらに、電池パック100は、自動車の電装品等の負荷500に電力を供給する。つまり、当該移動体は、電池パック100の他に、エンジンと、発電機200と、スタータ400と、負荷500とを有している。電池パック100は、蓄電装置の一例であり、発電機200は、充電器の一例である。なお、上記移動体としては、自動車の他に、自動二輪車、原動機付自転車、電動自転車、または鉄道車両など、移動可能な様々なものが含まれる。つまり、上記負荷とは、搭乗者等のユーザが移動体を使用するために、移動体において消費される電力負荷である。
【0017】
電池パック100は、二次電池112と、監視装置130と、電流センサ140と、温度センサ150と、リレー160とを備える。
【0018】
二次電池112は、リレー160を介して、発電機200と、エンジンを始動するためのスタータ400と、移動体の負荷500とに電気的に接続されている。このため、リレー160がクローズ状態である場合、二次電池112からスタータ400や負荷500への電力供給が可能であり、また、発電機200によって二次電池112を充電することが可能な充放電可能状態になる。一方、リレー160がオープン状態である場合、二次電池112からスタータ400や負荷500への電力供給ができず、また、発電機200によって二次電池112を充電することができない充放電不可状態になる。リレー160は、スイッチの一例である。
【0019】
二次電池112は、直列接続された複数のセル(図示せず)を有する。各セルは、例えばリチウムイオン二次電池である。二次電池112は、予め定められた上限電圧値VT1と下限電圧値VT2との間の電圧範囲で使用可能である。二次電池112は、蓄電素子の一例である。
【0020】
電流センサ140は、発電機200による二次電池112への充電電流、または、二次電池112から負荷500への放電電流(以下、まとめて「充放電電流」という)に応じた検出信号を出力する。温度センサ150は、例えばサーミスタにより構成されており、二次電池112の温度に応じた検出信号を出力する。
【0021】
監視装置130は、信号線を介して二次電池112に電気的に接続されており、二次電池112から電力が供給されることにより動作可能状態になる。監視装置130は、電圧センサ122と、CPU132と、メモリ134と、通信インターフェース(I/F)136とを備える。
【0022】
電圧センサ122は、二次電池112の端子電圧値V1と、二次電池112およびリレー160の合計電圧V2とに応じた検出信号を出力する。メモリ134は、例えばRAMやROMにより構成されており、各種のプログラム等を記憶する。CPU132は、メモリ134から読み出したプログラムに従って、各センサからの情報を参照しつつ、電池パック100の各部の動作を制御する。例えば、CPU132は、リレー160にオープン指令信号を与えることによりリレー160をオープン状態にし、クローズ指令信号を与えることによりリレー160をクローズ状態にする。
【0023】
また、CPU132は、電圧センサ122からの検出信号に基づき二次電池112の端子電圧値V1(またはV2)を取得し、電流センサ140からの検出信号に基づき充放電電流の電流量を取得し、温度センサ150からの検出信号に基づき二次電池112の温度を取得する。なお、監視装置130が動作可能な最低動作電圧値VT4は、二次電池112の上記下限電圧値VT2よりも低いものとする。通信インターフェース136は、エンジンコントロールユニット(以下、ECUという)600などの外部装置と通信するための装置である。CPU132は監視部の一例である。
【0024】
発電機200は、図示しないAC/DCコンバータやDC/DCコンバータを備え、電池パック100を充電するための電力を出力する。
【0025】
A-2.二次電池112の監視処理:
監視装置130は、二次電池112から上記最低動作電圧値VT4以上の電力が供給されることを条件に、二次電池112の監視処理を実行する。
図2は、二次電池の監視処理の流れを示すフローチャートである。この監視処理は、二次電池112の状態を監視して、二次電池112の状態が異常状態になることを抑制するための処理である。なお、監視処理の実行当初は、リレー160はクローズ状態であるものとする。
【0026】
始めに、監視装置130のCPU132は、負荷500が動作中であるか否かを判断する(S110)。CPU132は、例えばイグニッションの状態を示す信号をECU600から受信し、その受信した信号に基づき、イグニッションがオン状態であれば負荷500は動作中であると判断し、イグニッションがオフ状態であれば負荷500は停止中であると判断する。なお、負荷500が動作中であるとは、移動体が有する負荷500に電力を供給中、または、当該電力の供給によって移動体が動作中であると言い換えることができる。また、負荷500が停止中であるとは、移動体が有する負荷500に電力の供給を停止中、または、当該電力の供給停止によって移動体が停止中であると言い換えることができる。
【0027】
なお、本電池パック100がアイドリングストップ車に搭載されている場合、CPU132は、イグニッションの状態を示す信号とエンジンが動作中であるか否かを示す信号をECU600から受信する。そして、CPU132は、その受信した信号に基づき、イグニッションがオン状態であり、且つ、エンジンが停止中であることを条件に、アイドリングストップ中、即ち、負荷500が動作中であると判断する。また、本実施形態では、CPU132は、移動体(車両)が停車中である場合も、アイドリングストップ中と同様に、すぐに走行可能な状態にあるため、負荷500が動作中であると判断する。
【0028】
つまり、負荷500が動作中であるとは、車両などの移動体が走行中、高速走行中、アイドリングストップ中または停車中であることをいう。また、負荷500が停止中であるとは、車両などの移動体が駐車中または長期駐車中であることをいう。
【0029】
CPU132は、負荷500が動作中であると判断した場合(S110:YES)、第1基準動作処理を実行し(S120~S150)、負荷500が動作中でない、即ち、停止中であると判断した場合(S110:NO)、第1低消費電力処理を実行する(S160~S190)。
【0030】
A-2-1.第1基準動作処理:
第1基準動作処理は、リレー160がクローズ状態である期間において、例えば監視装置130のCPU132は、常時、起動状態であり、二次電池112から電力を消費しており、基準周期ΔT1(例えば数十msec~数百msec)で二次電池112の監視動作(S130~S150)を繰り返し実行する処理である。この第1基準動作処理は、エンジンや負荷500の動作中など、二次電池112の充放電が頻繁に行われるために、頻繁に二次電池112の監視動作を実行する必要性が比較的に高い場合に実行される。基準周期ΔT1は、監視動作の実行間隔の一例である。
【0031】
具体的には、CPU132は、前回の監視動作の実行時から、基準周期ΔT1だけ経過したか否かを判断する(S120)。なお、監視処理の開始当初では、監視処理の開始時から基準周期ΔT1に相当する時間だけ経過したか否かが判断される。
【0032】
CPU132は、前回の監視動作の実行時から基準周期ΔT1だけ経過していないと判断した場合(S120:NO)には待機し、前回の監視動作の実行時から基準周期ΔT1だけ経過したと判断した場合(S120:YES)、監視動作を実行する。具体的には、CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vと、充放電電流の電流量と、温度とを取得し(S130)、それらの取得結果に基づき、二次電池112の状態が異常状態になっているか否かを判断する(S140)。
【0033】
本実施形態では、二次電池112の状態が、過放電状態、過充電状態、過電流状態、温度異常状態のいずれかの異常状態になっているか否かが判断される。過放電状態は、二次電池112の端子電圧値Vが上記下限電圧値VT2以下である状態であり、過充電状態は、二次電池112の端子電圧値Vが上記上限電圧値VT1以上である状態である。過電流状態は、二次電池112の単位時間あたりの充放電電流の電流量が規定量以上である状態であり、温度異常状態は、二次電池112の温度が規定温度以上である状態である。このとき、下限電圧値VT2は、放電電圧閾値の一例であり、上限電圧値VT1は、充電電圧閾値の一例である。
【0034】
CPU132は、二次電池112の状態が異常状態になっていると判断した場合(S140:YES)、リレー160を、クローズ状態からオープン状態にする(S150)。これにより、二次電池112が充放電不可状態になり、スタータ400や負荷500への放電による二次電池112の電圧低下を抑制することができる。換言すれば、二次電池112の状態が異常状態になることや異常状態がさらに進行することが抑制され、二次電池112が保護される。但し、二次電池112から監視装置130への電力供給により、二次電池112の電圧低下が生じ得る。CPU132は、リレー160をオープン状態にした後、S110に戻る。
【0035】
一方、CPU132は、二次電池112の状態が異常状態になっていないと判断した場合(S140:NO)、リレー160をクローズ状態に維持したままS110に戻る。即ち、第1基準動作処理では、リレー160がオープン状態であるかクローズ状態であるかに関係なく、基準周期ΔT1で二次電池112の監視動作が実行される。これにより、例えば、リレー160がオープン状態である場合でも、発電機200の出力が高くなった場合に早期に二次電池112の充電を開始でき、車両の電源システムを正常な状態に戻すことができる。なお、上述したように、アイドリングストップ中や停車中でも、S110で負荷500が動作中であると判断されるため(S110:YES)、第1基準動作処理が実行される。アイドリングストップ中や停車中では、エンジンは停止しているものの、ドライバーは、運転席に乗っており、二次電池112が過放電になったことに気づき、比較的短時間のうちに充電作業を実施することが予想されるからである。
【0036】
A-2-2.第1低消費電力処理:
第1低消費電力処理は、リレー160がクローズ状態である期間において、基準周期ΔT1よりも長い第1低電力周期ΔT2(>ΔT1、例えば十数sec)で、監視装置130のCPU132は、停止状態から一時的に起動状態となって二次電池112からの電力を消費して二次電池112の監視動作(S170~S190)を行うことを、繰り返し実行する処理である。この第1低消費電力処理は、後述するように、負荷500が停止され車両が駐車中であるなど、二次電池112の放電電流量が暗電流量程度であるために、二次電池112の監視動作を頻繁に行う必要性が比較的に低い場合に実行される。つまり、監視装置130のCPU132は、監視動作の実行間隔を長くすることで、消費電力を少なくする。第1低電力周期ΔT2は、監視動作の実行間隔の一例である。
【0037】
具体的には、CPU132は、前回の監視動作の実行時から、第1低電力周期ΔT2だけ経過したか否かを判断する(S160)。なお、監視処理の開始当初では、監視処理の開始時から第1低電力周期ΔT2に相当する時間だけ経過したか否かが判断される。
【0038】
CPU132は、前回の監視動作の実行時から第1低電力周期ΔT2だけ経過していないと判断した場合(S160:NO)には待機し、前回の監視動作の実行時から第1低電力周期ΔT2だけ経過したと判断した場合(S160:YES)、監視動作を実行する。具体的には、CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vと、充放電電流の電流量と、温度とを取得し(S170)、それらの取得結果に基づき、二次電池112の状態が異常状態になっているか否かを判断する(S180)。なお、この異常状態は、上記S140の処理と同じである。ただし、異常状態は、少なくとも過放電状態を含んでいれば、その他の異常状態は、S140の処理と異なってもよい。
【0039】
CPU132は、二次電池112の状態が異常状態になっていないと判断した場合(S180:NO)、リレー160をクローズ状態に維持したままS110に戻る。その一方で、CPU132は、二次電池112の状態が異常状態になっていると判断した場合(S180:YES)、リレー160を、クローズ状態からオープン状態にして(S190)、
図3に示すオープン時処理を実行する(S200)。
【0040】
A-2-3.オープン時処理:
オープン時処理は、リレー160がオープン状態になっているときにおける二次電池112の監視動作に関する処理である。CPU132は、二次電池112の状態が過放電状態であるか否かを判断する(S320)。なお、このS320の処理において、CPU132は、
図2の180の処理で判断された異常状態が過放電状態であるか否かを判断してもよい。二次電池112の状態が、過充電状態など、過放電状態以外の異常状態である場合、CPU132は、二次電池112の状態が過放電状態でないと判断し(S320:NO)、第2基準動作処理(S380~S410)を実行する。これに対して、二次電池112の状態が過放電状態である場合、CPU132は、二次電池112の状態が過放電状態であると判断し(S320:YES)、第2低消費電力動作処理(S330~S350、S410)を実行する。
【0041】
A-2-4.第2基準動作処理:
第2基準動作処理は、リレー160がオープン状態である期間において、例えば監視装置130のCPU132は、常時、起動状態であり、二次電池112から電力を消費しており、上記基準周期ΔT1で二次電池112の監視動作(S390~S410)を繰り返し実行する処理である。具体的には、CPU132は、前回の監視動作(S130~S150、S170~S190を含む)の実行時から、基準周期ΔT1だけ経過したか否かを判断する(S380)。CPU132は、前回の監視動作の実行時から基準周期ΔT1だけ経過していないと判断した場合(S380:NO)には待機し、前回の監視動作の実行時から基準周期ΔT1だけ経過したと判断した場合(S380:YES)、監視動作を実行する。具体的には、CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vと、充放電電流の電流量と、温度とを取得し(S390)、それらの取得結果に基づき、二次電池112の異常状態が解消されたか否か、換言すれば、二次電池112の状態が上述した異常状態のいずれにもなっていない正常状態であるか否かを判断する(S400)。なお、本実施形態では、二次電池112に現在の二次電池112の電圧以上の電圧が印加されておらず、二次電池112の端子電圧が、上述の上限電圧値VT1よりも小さい充電復帰電圧(上述の下限電圧値VT2よりも大きい)以下になったことを条件に、二次電池112の過充電状態が解消されたと判断する。この条件は、所定の充電復帰条件の一例である。
【0042】
CPU132は、二次電池112の異常状態が解消されたと判断した場合(S400:YES)、リレー160を、オープン状態からクローズ状態にして(S410)、
図2のS110に戻る。一方、CPU132は、二次電池112の異常状態が解消されていないと判断した場合(S400:NO)、リレー160をオープン状態にしたまま、S320に戻る。
【0043】
第2基準動作処理の実行により次のような効果を得ることができる。上述したように、リレー160がオープン状態である場合、充放電不可状態になるため、イグニッションのオン操作がされても、二次電池112からエンジンのスタータ400や負荷500に電力が供給されないため、スタータ400や負荷500を起動できない。ここで、仮に、リレー160がオープン状態である場合において、比較的に長い動作周期で上記監視動作を実行すると、二次電池112の状態が正常状態になっても、リレー160がクローズ状態になるまでに時間がかかってしまう。
【0044】
これに対して、上記第2基準動作処理では、比較的に短い動作周期で二次電池112の監視動作が実行される。このため、二次電池112が正常状態になった場合には、迅速にリレー160がクローズ状態に復帰して充放電可能状態になる。従って、イグニッションのオン操作など、スタータ400や負荷500を起動するための指令に対して迅速に対応することができる。即ち、リレー160がオープン状態である期間では、二次電池112の状態が例えば過充電状態である場合、比較的に短い基準周期ΔT1で監視動作を行うことで、スタータ400や負荷500の起動指令に対する迅速な対応が可能になる。但し、動作周期が短いほど監視装置130の消費電力が多くなるため、その分だけ二次電池112の端子電圧値Vが低下する。しかし、特に二次電池112が過充電状態である場合には、動作周期が短いほど、早期に過充電状態を解消することができる。このように、監視装置130のCPU132は、監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする。
【0045】
A-2-5.第2低消費電力処理:
第2低消費電力処理は、リレー160がオープン状態である期間において、上記基準周期ΔT1よりも長い第1低電力周期ΔT2で、監視装置130のCPU132は、停止状態から一時的に起動状態となって二次電池112からの電力を消費して二次電池112の監視動作(S340~350、S410)を行うことを、繰り返し実行する処理である。具体的には、CPU132は、前回の監視動作(S130~S150、S170~S190を含む)の実行時から、第1低電力周期ΔT2だけ経過したか否かを判断する(S330)。
【0046】
CPU132は、前回の監視動作の実行時から第1低電力周期ΔT2だけ経過していないと判断した場合(S330:NO)には待機し、前回の監視動作の実行時から第1低電力周期ΔT2だけ経過したと判断した場合(S330:YES)、監視動作を実行する。具体的には、CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vを取得し(S340)、その取得結果に基づき、二次電池112の過放電状態が解消されたか否かを判断する(S350)。なお、本実施形態では、二次電池112に所定電圧以上の電圧が印加されたり、二次電池112の端子電圧が、上述の下限電圧値VT2よりも大きい放電復帰電圧(上述の上限電圧値VT1未満)以上になったりしたことを条件に、CPU132は、二次電池112の過放電状態が解消されたと判断する。この条件は、所定の放電復帰条件の一例である。
【0047】
第2低消費電力動作処理の実行により次のような効果を得ることができる。上述したように、リレー160がオープン状態である場合、充放電不可状態になるため、スタータ400や負荷500への放電による二次電池112の電圧低下は抑制することができる。しかし、監視装置130の電力消費により二次電池112の端子電圧値Vが低下し過放電状態がさらに悪化し得る。これに対して、第2低消費電力動作処理では、第2基準動作処理に比べて、長い動作周期で二次電池112の監視動作が実行される。このため、監視装置130の電力消費による二次電池112の電圧低下を抑制することができる。要するに、過放電状態によりリレー160がオープン状態になった場合、スタータ400や負荷500の起動指令に対する迅速な対応よりも、過放電に対する二次電池112の保護を優先することにより、例えば二次電池112の端子電圧値Vが監視装置130の最低動作電圧値VT4を下回り、監視装置130が動作不能になったり、二次電池112の再利用が不能になったりすることを抑制することができる。
【0048】
CPU132は、二次電池112の過放電状態が解消されたと判断した場合(S3500:YES)、リレー160を、オープン状態からクローズ状態にして(S410)、
図2のS110に戻る。一方、CPU132は、二次電池112の過放電状態が解消されていないと判断した場合(S350:NO)、リレー160をオープン状態にしたまま、上記S340の取得結果に基づき、二次電池112の端子電圧値Vが低電圧閾値VT3以下であるか否かを判断する(S360)。低電圧閾値VT3は、下限電圧値VT2よりも低く、かつ、最低動作電圧値VT4よりも高い値である。
【0049】
CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vが低電圧閾値VT3以下でないと判断した場合(S360:NO)、二次電池112の端子電圧値Vが最低動作電圧値VT4以下になる可能性がまだ低いため、動作周期を第1低電力周期ΔT2のまま変えずに、S320に戻る。一方、CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vが低電圧閾値VT3以下であると判断した場合(S360:YES)、二次電池112の端子電圧値Vが最低動作電圧値VT4以下になる可能性が高いため、動作周期を第1低電力周期ΔT2から、それよりもさらに長い第2低電力周期ΔT3に変更して、S320に戻る。つまり、監視装置130のCPU132は、監視動作の実行間隔を長くすることで、消費電力を少なくする。これにより、この後、さらに長い動作周期で二次電池112の監視動作が実行されるため、監視装置130の電力消費による二次電池112の電圧低下を、より効果的に抑制することができる。
【0050】
A-3.本実施形態の効果:
リレー160がオープン状態である期間では、負荷500が動作中(つまり、車両などの移動体が走行中、高速走行中、アイドリングストップ中または停車中)である場合、負荷500への電力供給を早期に再開させる必要性は高い。例えば、車両が走行中または高速走行中の場合には、オルタネータ等の発電機200が動作中であり、電源喪失による車両の制御不可を避けるため、充電可能状態に戻れば即時リレー160を復帰させたいからである。また、車両がアイドリングストップ中または停車中の場合には、オルタネータ等の発電機200は停止しているものの、搭乗者が車両に乗車している状況であり、過放電に気づき充電作業が可能(または、数時間以内に充電作業が可能)なため、監視装置130が動作不能状態まで放電されることはないからである。
【0051】
しかし、負荷500が停止中(つまり、車両などの移動体が駐車中または長期駐車中)である場合には、負荷500が動作中である場合に比べて、負荷500への電力供給を早期に再開させる必要性は高くない。例えば、車両が駐車中の場合には、駐車場などの安全な場所に駐車されているため、リレー160のオープン後に即時復帰させる必要はなく、可能な限り低消費電力として放置可能期間を延長したいからである。また、車両が長期駐車中の場合には、長期で車両が使用されておらず、二次電池112が再使用不可能な電圧に低下するまでの期間を可能な限り延長したいからである。なお、車両が長期間使用されていないことは、リレー160のオープン後に所定の電圧を下回ったことで検出することができる。
【0052】
そこで、本実施形態によれば、リレー160がオープン状態である期間では、負荷500が停止中である場合には、負荷500が動作中である場合に比べて、実行間隔が長く、かつ、二次電池112からの電力の単位時間当たりの消費量が少ない状態で監視動作が実行される。
【0053】
具体的には、
図3のオープン時処理における第2低消費電力処理(S330~S350、S410)では、
図2のS150の実行によりリレー160がオープン状態になった後の第1基準動作処理(S120~S150)よりも、実行間隔が長く、かつ、二次電池112からの電力の単位時間当たりの消費量が少ない。つまり、監視装置130のCPU132は、監視動作の実行間隔を長くすることで、消費電力を少なくする。これにより、リレー160がオープン状態である期間において、負荷500が動作中である場合、二次電池112の状態が過放電状態でなくなったときに負荷500への電力供給状態の再開が遅れることを抑制しつつ、負荷500への電力供給の再開の必要性が比較的に低い負荷500の停止中における監視動作の実行間隔を長くすることにより、二次電池112の電圧低下を抑制することができる。
【0054】
二次電池112が過充電状態になったことによりリレー160がオープン状態となった場合、二次電池112を放電させて電圧を低下させた方がよい。つまり、過充電時は、二次電池112をできる限り早く正常な電圧範囲内に復帰させたいため、放電を促進するのが望ましい。そこで、本実施形態によれば、負荷500が停止中である期間では、二次電池112が過充電状態になったことによりリレー160がオープン状態となった場合には(
図3のS320:NO)、二次電池112が過放電状態になったことによりリレー160がオープン状態となった場合(S320:YES)に比べて、実行間隔が短く、かつ、二次電池112からの電力の単位時間当たりの消費量が多い状態で監視動作が実行される。つまり、監視装置130のCPU132は、監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする。これにより、負荷500が停止中である期間において、二次電池112が過充電状態になったことによりリレー160がオープン状態となった場合における監視動作の実行間隔を、二次電池112が過放電状態になった場合と同じにする場合に比べて、早期に、二次電池112の端子電圧値Vを低下させて二次電池112の過充電状態を解消することができる。
【0055】
本実施形態によれば、負荷500が停止中である期間において、二次電池112が過充電状態になったことによりリレー160がオープン状態となった場合における監視動作の実行間隔(
図3のS380~S410参照)は、リレー160がクローズ状態である場合における監視動作の実行間隔(
図2のS160~S190参照)よりも短い。つまり、監視装置130のCPU132は、監視動作の実行間隔を短くすることで消費電力を多くする。これにより、二次電池112が過充電状態になったことによりリレー160がオープン状態となった場合における監視動作の実行間隔が、リレー160がクローズ状態である場合における監視動作の実行間隔以上である場合に比べて、負荷500の動作の開始時において負荷500への電力供給を早期に再開させることができる。
【0056】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、監視装置130は、1つのCPU132を有する構成であるが、監視装置130の構成はこれに限らず、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成、ハード回路およびCPUの両方を備える構成でもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、電池パック100は、1つの監視装置130を備えるが、複数の監視装置130を備えてもよい。
【0059】
負荷は、電装品に限らず、例えば電気自動車(EV)を駆動するモータ、その他の電気機器や、産業機械の駆動源(モータ等)でもよい。充電器は、オルタネータに限らず、自動車の外部の充電スタンドに設定された充電器でもよい。
【0060】
上記実施形態では、スイッチの一例として、リレー160を例に挙げたが、機械式に限らず、半導体スイッチなどでもよい。また、スイッチは、電池パック100に内蔵されたものに限らず、電池パック100の外部に設けられたものでもよい。さらに、スイッチは、互いに並列に接続された複数のリレー等でもよい。
【0061】
上記実施形態では、蓄電素子の一例として、リチウムイオン二次電池を例に挙げたが、これに限らず、他の二次電池でもよく、さらに、一次電池やキャパシタでもよい。また、蓄電素子は、複数のセルを有する組電池に限らず、1つのセルを有する単電池でもよい。
【0062】
図2のS140で判断される異常状態は、少なくとも過放電状態が含まれていればよい。異常状態は、過充電状態、過電流状態、温度異常状態に限らず、例えば蓄電素子の内部抵抗、OCV(Open Circuit Voltage)やSOCに関する異常状態でもよい。また、S140の処理では、二次電池112の状態が異常状態になるおそれがあるか否かを判断してもよい。例えば、CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vが、上記下限電圧値VT2よりもやや高い放電電圧閾値以下であるか否かを判断してもよい。CPU132は、二次電池112の端子電圧値Vが、上記上限電圧値VT1よりもやや低い充電電圧閾値以上であるか否かを判断してもよい。
【0063】
オープン時処理において、CPU132は、S320の処理をせずに、異常状態に種類に関係なく、第2低消費電力処理(S330~S350、S410)を実行してもよい。また、オープン時処理において、CPU132は、過放電状態が解消されないと判断した場合(S350:NO)、S360、S370の処理を実行せずに、S320に戻ってもよい。
【0064】
また、オープン時処理において、CPU132は、二次電池112の状態が、過放電状態以外に、例えば過電流状態や温度異常状態である場合も、第2低消費電力動作処理を実行してもよい。車両が駐車中や長期駐車中の場合には、駐車場などの安全な場所に駐車されていたり長期で車両が使用されないため、リレー160のオープン後に即時復帰させる必要はなく、二次電池112が再使用不可能な電圧に低下するまでの期間を可能な限り延長したいからである。
【0065】
第1基準動作処理と第2基準動作処理とで、監視動作の動作周期や電力消費量が異なってもよい。また、第1低消費電力動作処理と第2低消費電力動作処理とで、監視動作の動作周期や電力消費量が異なってもよい。
【0066】
車両などの移動体がアイドリングストップ中または停車中である場合には、負荷500が停止中であると定義してもよい。つまり、移動体が走行中または高速走行中である場合に、負荷500が動作中であるとし、移動体がアイドリングストップ中、停車中、駐車中または長期駐車中である場合に、負荷500が停止中であるとしてもよい。
【0067】
CPU132は、移動体が駐車する期間が長いほど、監視動作の実行間隔(第1低電力周期ΔT2または第2低電力周期ΔT3)が長くなるように、監視処理を実行することにしてもよい。つまり、CPU132は、移動体が長期駐車中である場合に、移動体が短期駐車中である場合よりも、監視動作の実行間隔が長くなるように、監視処理を実行することにしてもよい。
【0068】
ここで、上記で説明した電圧値および監視動作の実行間隔の関係を、以下の表1にまとめて示す。ここで、VT1は、予め定められた上限の電圧値であり、VT2は、予め定められた下限の電圧値であり、VT4は、監視装置130が動作可能な最低動作電圧値であり、VT3は、VT2よりも低くVT4よりも高い低電圧閾値であり、VT1>VT2>VT3>VT4の関係を満たす。また、ΔT1は基準周期であり、ΔT2は第1低電力周期であり、ΔT3は第2低電力周期であり、ΔT1<ΔT2<ΔT3の関係を満たす。
【0069】
【0070】
なお、V=VT1の場合に、監視動作の実行間隔をΔT2にしてもよいし、V=VT3の場合に、当該実行間隔をΔT2にしてもよい。また、VがVT4以下の場合は、監視装置130が動作不能であるため、表1からは除外している。
【符号の説明】
【0071】
100:電池パック
112:二次電池
122:電圧センサ
130:監視装置
132:CPU
134:メモリ
136:通信インターフェース
140:電流センサ
150:温度センサ
160:リレー
200:発電機
400:スタータ
500:負荷
600:ECU
ΔT1:基準周期
ΔT2:第1低電力周期
ΔT3:第2低電力周期
V:端子電圧値
VT1:上限電圧値
VT2:下限電圧値
VT3:低電圧閾値
VT4:最低動作電圧値