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特許7294558乗客コンベアの複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を点検する点検装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】乗客コンベアの複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を点検する点検装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/06 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
B66B29/06 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023500140
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005672
(87)【国際公開番号】W WO2022176012
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-03-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩章
(72)【発明者】
【氏名】堀 淳二
(72)【発明者】
【氏名】川合 ユミコ
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-507739(JP,A)
【文献】特開2006-27790(JP,A)
【文献】特開2021-001054(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229794(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029841(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10223393(DE,A1)
【文献】特開2014-080267(JP,A)
【文献】特開2018-087066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクシ歯の表面の凹凸形状と複数のクリートの表面の凹凸形状とが反映された表面データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部に取得された表面データから前記複数のクシ歯の形状を表す多次元ベクトルデータであるクシ形状データと前記複数のクリートの形状を表す多次元ベクトルデータであるクリート形状データとを抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部に抽出されたクシ形状データとクリート形状データとの相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、
前記相互相関関数算出部に算出された相互相関関数に基づいて前記複数のクシ歯と前記複数のクリートとの相対関係を評価する相対関係評価部と、
前記相対関係評価部に評価された相対関係に基づいて前記複数のクシ歯と前記複数のクリートとの位置関係の状態を判定する状態判定部と、
を備えた乗客コンベアの点検装置。
【請求項2】
前記データ抽出部は、前記データ取得部に取得された表面データの色情報に基づいて前記クシ形状データと前記クリート形状データとを分離する請求項1に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項3】
前記データ抽出部は、前記データ取得部に取得された表面データの位置情報に基づいて前記クシ形状データと前記クリート形状データとを分離する請求項1に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項4】
相対関係評価部は、前記相互相関関数算出部に算出された相互相関関数の全ての要素が予め設定された閾値よりも小さい場合に前記複数のクシ歯と前記複数のクリートとの相対関係の評価結果を無効とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項5】
前記状態判定部は、前記複数のクシ歯に対し、前記複数のクリートがそれぞれ接近するステップを特定する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項6】
ステップの端部が前記クシ歯の直下を通過中であるか否かを判定する通過判定部、
を備え、
前記状態判定部は、前記通過判定部の判定結果に基づいて複数のステップの各々を識別する請求項5に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項7】
前記通過判定部は、前記クシ形状データまたは前記クリート形状データに対し、周期探索法を用いて、予め設定された周期探索範囲において有意な周期が存在するか否かを判定し、当該周期探索範囲において有意な周期が存在する場合に、当該周期に基づいてステップの端部が前記複数のクシ歯の直下を通過中であると判定する請求項6に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項8】
前記通過判定部は、前記クシ形状データまたは前記クリート形状データの分散または平均が予め設定された閾値よりも大きい場合にステップの端部が前記複数のクシ歯の直下を通過中であると判定する請求項6に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項9】
前記データ抽出部は、複数のクシ歯がクリートの凹部と同系色である場合、複数のクシ歯およびクリートの凹部とは異なる色をもつステップのデマコムが複数のクシ歯の直下を通過するタイミングのデータでクシ形状データを抽出し、当該タイミングとは異なるタイミングの表面データからクリート形状データを抽出する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項10】
前記状態判定部は、ステップが複数のクシ歯の直下を通過することに伴う特徴量における時系列の変動パターンのデータと正常パターンのデータとの比較結果に基づいてステップの切り替わるタイミングを判定する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の乗客コンベアの点検装置。
【請求項11】
前記状態判定部は、ステップが複数のクシ歯の直下を通過することに伴う特徴量における時系列の変動パターンのデータと正常パターンのデータとの比較結果に基づいて複数のクリートの形状の異常を判定する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の乗客コンベアの点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗客コンベアの複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を点検する点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、乗客コンベアの点検装置を開示する。当該点検装置によれば、乗客コンベアのクシにおいて周期的に配置される複数のクシ歯のいずれかがステップにおいて周期的に配置される複数のクリートのいずれかと衝突して破損した場合に、当該クシ歯の破損を検出し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2006-27790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の点検装置は、複数のクシ歯の状態を判定するだけである。このため、クシ歯とクリートとが衝突する前に複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を判定することができない。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、クシ歯とクリートとが衝突する前に複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を判定することができる乗客コンベアの点検装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗客コンベアの点検装置は、複数のクシ歯の表面の凹凸形状と複数のクリートの表面の凹凸形状とが反映された表面データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部に取得された表面データから前記複数のクシ歯の形状を表す多次元ベクトルデータであるクシ形状データと前記複数のクリートの形状を表す多次元ベクトルデータであるクリート形状データとを抽出するデータ抽出部と、前記データ抽出部に抽出されたクシ形状データとクリート形状データとの相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、前記相互相関関数算出部に算出された相互相関関数に基づいて前記複数のクシ歯と前記複数のクリートとの相対関係を評価する相対関係評価部と、前記相対関係評価部に評価された相対関係に基づいて前記複数のクシ歯と前記複数のクリートとの位置関係の状態を判定する状態判定部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、点検装置は、クシ形状データとクリート形状データとの相互相関関数に基づいて複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を判定する。このため、クシ歯とクリートとが衝突する前に複数のクシ歯と複数のクリートとの位置関係の状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエレベーターの監視装置が適用されるエレベーターシステムの構成図である。
図2】実施の形態1における乗客コンベアの点検装置による乗客コンベアの点検を説明するための図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーターの保守作業支援システムのブロック図である。
図4】実施の形態1における乗客コンベアの点検装置に利用される表面データを示す図である。
図5】実施の形態1における乗客コンベアの点検装置に抽出されたクシ形状データとクリート形状データとを示す図である。
図6】実施の形態1における乗客コンベアの点検装置によるクシ形状データとクリート形状データとを抽出する方法を説明するための図である。
図7】実施の形態1における乗客コンベアの点検装置による相互相関関数を算出する方法を説明するための図である。
図8】実施の形態1における乗客コンベアの点検装置のハードウェア構成図である。
図9】実施の形態2における乗客コンベアの点検装置による乗客コンベアの点検を説明するための図である。
図10】実施の形態3における乗客コンベアの点検装置によるクシ形状データとクリート形状データとを抽出する方法を説明するための図である。
図11】実施の形態3における乗客コンベアの点検装置のブロック図である。
図12】実施の形態3における乗客コンベアの点検装置によるステップの端部が複数のクシの直下を通過するタイミングを判定する方法を説明するための図である。
図13】実施の形態3における乗客コンベアの点検装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図14】実施の形態4における乗客コンベアの点検装置のブロック図である。
図15】実施の形態4における乗客コンベアの点検装置による複数のクリートの形状の異常を判定する方法を説明するための図である。
図16】実施の形態4における乗客コンベアの点検装置による複数のクリートの形状の異常を判定する方法を説明するための図である。
図17】実施の形態4における乗客コンベアの点検装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターの監視装置が適用されるエレベーターシステムの構成図である。
【0011】
図1のエスカレーターにおいて、下部乗降口1は、乗客コンベアの下部に設けられる。下部乗降口1は、隣接階の下方階に設けられる。上部乗降口2は、乗客コンベアの上部に設けられる。上部乗降口2は、隣接階の上方階に設けられる。
【0012】
下部機械室3は、下部乗降口1の下方に設けられる。上部機械室4は、上部乗降口2の下方に設けられる。
【0013】
複数のステップ5は、下部乗降口1と上部乗降口2との間に設けられる。複数のステップ5は、無端状に設けられる。
【0014】
一対のスカートガード6の一方は、複数のステップ5の一側の外側に設けられる。一対のスカートガード6の他方は、複数のステップ5の他側の外側に設けられる。一対のスカートガード6の各々は、乗客コンベアの長手方向に沿う。
【0015】
一対の欄干パネル7の一方は、一対のスカートガード6の一方に設けられる。一対の欄干パネル7の他方は、一対のスカートガード6の他方に設けられる。一対の欄干パネル7の各々は、乗客コンベアの長手方向に沿う。
【0016】
一対の手摺8の一方は、一対の欄干パネル7の一方に設けられる。一対の手摺8の他方は、一対の欄干パネル7の他方に設けられる。一対の手摺8の各々は、無端状に設けられる。
【0017】
エスカレーターの運転中において、複数のステップ5は、循環移動する。一対の手摺8は、複数のステップ5と同期して循環移動する。
【0018】
次に、図2を用いて、乗客コンベアの点検を説明する。
図2は実施の形態1における乗客コンベアの点検装置による乗客コンベアの点検を説明するための図である。
【0019】
図2の(a)に示されるように、複数のクシ歯9は、下部乗降口1の端部に設けられる。図示されないが、複数のクシ歯9は、上部乗降口2の端部にも設けられる。複数のクリート10は、ステップ5の上面に設けられる。ステップ5が下部乗降口1の端部に位置する場合、複数のクリート10は、複数のクシ歯9とかみ合う。ステップ5が上部乗降口2の端部に位置する場合、複数のクリート10は、複数のクシ歯9と互いにかみ合う。
【0020】
図2の(b)に示されるように、センサ11は、下部乗降口1の上方に一時的に配置される。例えば、センサ11は、エリアカメラである。センサ11において、検出エリアは、複数のクシ歯9と複数のクリート10とが全体的に検出されるエリアを含むように設定される。
【0021】
図2の(c)に示されるように、センサ11の検出エリアのうち、注視エリアは、複数のクシ歯9と複数のクリート10とが乗客コンベアの幅方向に交互に現れるエリアに設定される。
【0022】
センサ11は、注視エリアにおいて、複数のクシ歯9の表面の凹凸形状と複数のクリート10の表面の凹凸形状とを検出する。
【0023】
点検装置12は、複数のクシ歯9の表面の凹凸形状と複数のクリート10の表面の凹凸形状とが反映された表面データに基づいて複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を点検する。
【0024】
次に、図3を用いて、点検装置12を説明する。
図3は実施の形態1におけるエレベーターの保守作業支援システムのブロック図である。
【0025】
図3に示されるように、点検装置12は、データ取得部12aとデータ抽出部12bと相互相関関数算出部12cと相対関係評価部12dと状態判定部12eとを備える。
【0026】
データ取得部12aは、センサ11から表面データを取得する。
【0027】
データ抽出部12bは、データ取得部12aに取得された表面データを色情報で分離することによりクシ形状データとクリート形状データとを抽出する。例えば、データ抽出部12bは、クシ形状データとして複数のクシ歯9の形状を表す多次元ベクトルデータを抽出する。例えば、データ抽出部12bは、クリート形状データとして複数のクリート10の形状を表す多次元ベクトルデータを抽出する。
【0028】
相互相関関数算出部12cは、データ抽出部12bに抽出されたクシ形状データとクリート形状データとの相互相関関数を算出する。
【0029】
相対関係評価部12dは、相互相関関数算出部12cに算出された相互相関関数に基づいて複数のクシ歯9と複数のクリート10との相対関係を評価する。
【0030】
状態判定部12eは、相対関係評価部12dに評価された相対関係に基づいて複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定する。
【0031】
次に、図4を用いて、表面データを説明する。
図4は実施の形態1における乗客コンベアの点検装置に利用される表面データを示す図である。
【0032】
図4に示されるように、表面データにおいて、クシ歯9の色は、クリート10の色と異なる。具体的には、クシ歯9の色は、クリート10の凸部と凹部の色と異なる。
【0033】
次に、図5を用いて、クシ形状データとクリート形状データとを説明する。
図5は実施の形態1における乗客コンベアの点検装置に抽出されたクシ形状データとクリート形状データとを示す図である。
【0034】
図5に示されるように、クシ形状データとクリート形状データとは、色情報により分離される。具体的には、クシ形状データとクリート形状データとは、画素値により分離される。その結果、クシ形状データとクリート形状データとは、水平位置において交互に現れる。
【0035】
次に、図6を用いて、クシ形状データとクリート形状データとを抽出する方法を説明する。
図6は実施の形態1における乗客コンベアの点検装置によるクシ形状データとクリート形状データとを抽出する方法を説明するための図である。
【0036】
図6の(a)に示されるように、点検装置は、表面データを画素行列のデータとして抽出する。その後、図6の(b)に示されるように、点検装置は、当該画素行列のデータを2値化する。例えば、この際の閾値は、「40」に設定される。
【0037】
その後、図6の(c)に示されるように、点検装置は、2値化されたデータを垂直方向に畳み込む。具体的には、点検装置は、2値化されたデータにおいて鉛直方向に並んだ値を積算する。その後、図6の(d)に示されるように、点検装置は、2値化されたデータにおいて鉛直方向に並んだ値を積算した値をグラフ化した波形データをクシ形状データまたはクリート形状データとする。
【0038】
次に、図7を用いて、相互相関関数を算出する方法を説明する。
図7は実施の形態1における乗客コンベアの点検装置による相互相関関数を算出する方法を説明するための図である。
【0039】
点検装置12は、クシ形状データとクリート形状データとのうちの一方をw(x)とする。点検装置12は、クシ形状データとクリート形状データとのうちの他方をw(x)とする。点検装置12は、相互相関関数ICC(τ)として次の(1)式を算出する。
【0040】
【数1】
【0041】
(1)式において、τは、w(x)に対するw(x)に対する相対的な遅れ量である。
点検装置12は、w(x)とw(x)との相対的な位相のずれφを次の(2)式を用いて算出する。
【0042】
【数2】
【0043】
(2)式において、τは、相互相関最初に相互相関が極大となる遅れ量である。τは、相互相関が次に極大となる遅れ量である。
【0044】
wa(x)とwb(x)との相対的な位相のずれφがπに近い場合、点検装置12は、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態が正常であると判定する。
【0045】
以上で説明した実施の形態1によれば、点検装置12は、クシ形状データとクリート形状データとの相互相関関数に基づいて複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定する。このため、クシ歯9とクリート10とが衝突する前に複数のクシ歯9と複数のクリート10との相対的な位置関係の状態を定量的に判定することができる。その結果、クシ歯9とクリート10との接近を検知することができる。
【0046】
この際、複数のクシ歯9と複数のクリート10との周期的な形状が利用される。このため、センサ11の設置位置の影響を小さくすることができる。
【0047】
なお、正規化相互相関関数を用いてもよい。具体的には、次の(3)式を用いて評価してもよい。
【0048】
【数3】
【0049】
(3)式において、wa_aveは、wの平均である。wb_aveは、wの平均である。
【0050】
この場合、計測系が異なっていても、判定の際の閾値を共通にすることができる。
【0051】
また、点検装置12は、表面データの色情報に基づいてクシ形状データとクリート形状データとを分離する。このため、センサ11として簡易なエリアカメラを採用することができる。さらに、センサ11の向きの影響を抑制することができる。
【0052】
なお、複数のクシ歯9が黒色である場合、ステップ5の黄色のデマコムが複数の直下を通過するタイミングの表面データからクシ形状データを抽出すればよい。この場合、当該タイミングとは異なるタイミングの表面データからクリート形状データを抽出すればよい。この場合、複数のクシ歯9が黒色である場合でも、複数のクシ歯9と複数のクリート10との相対的な位置関係の状態を精度よく判定することができる。
【0053】
次に、図8を用いて、点検装置12の例を説明する。
図8は実施の形態1における乗客コンベアの点検装置のハードウェア構成図である。
【0054】
点検装置12の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0055】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、点検装置12の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、点検装置12の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレクシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0056】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、点検装置12の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、点検装置12の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0057】
点検装置12の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、状態判定部12eの機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、状態判定部12eの機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0058】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで点検装置12の各機能を実現する。
【0059】
実施の形態2.
図9は実施の形態2における乗客コンベアの点検装置による乗客コンベアの点検を説明するための図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0060】
図9の(a)は、センサ11の配置の例である。図9の(a)に示されるように、センサ11は、複数のクシ歯9の上方に一時的に設けられる。センサ11において、検出エリアは、複数のクシ歯9と複数のクリート10とが全体的に検出されるエリアを含むように設定される。
【0061】
図9の(b)は、第1センサ11aと第2センサ11bとの配置の例である。図9の(b)に示されるように、第1センサ11aは、複数のクシ歯9の上方に一時的に設けられる。第1センサ11aにおいて、検出エリアは、複数のクシ歯9と複数のクリート10とが検出されるように設定される。第2センサ11bは、第1センサ11aよりも乗客コンベアの中央の側に一時的に配置される。第2センサ11bにおいて、検出エリアは、複数のクシ歯9が検出されずに複数のクリート10が検出されるように設定される。
【0062】
図9の(c)に示されるように、第1注視エリアは、複数のクシ歯9と複数のクリート10とが乗客コンベアの幅方向に交互に現れるエリアに設定される。第2注視エリアは、複数のクシ歯9が現れずに複数のクリート10が乗客コンベアの幅方向に並んで現れるエリアに設定される。
【0063】
図9の(a)のセンサ11が用いられる場合、センサ11は、第1注視エリアにおいて、複数のクシ歯9の表面の凹凸形状と複数のクリート10の表面の凹凸形状とを検出する。センサ11は、第2注視エリアにおいて、複数のクリート10の表面の凹凸形状を検出する。
【0064】
図9の(b)の第1センサ11aと第2センサ11bとが用いられる場合、第1センサ11aは、第1注視エリアにおいて、複数のクシ歯9の表面の凹凸形状と複数のクリート10の表面の凹凸形状とを検出する。第2センサ11bは、第2注視エリアにおいて、複数のクリート10の表面の凹凸形状を検出する。
【0065】
点検装置12は、第1注視エリアのうちの第2注視エリアに対してステップ5の進行方向にシフトした位置における位置情報を複数のクシ歯9の位置情報として認識する。点検装置12は、第2注視エリアの位置情報を複数のクリート10の位置情報として認識する。点検装置12は、複数のクシ歯9の位置情報と複数のクリート10の位置情報とに基づいて複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定する。
【0066】
次に、図10を用いて、クシ形状データとクリート形状データとを抽出する方法を説明する。
図10は実施の形態3における乗客コンベアの点検装置によるクシ形状データとクリート形状データとを抽出する方法を説明するための図である。
【0067】
図10の(a)は、第1注視エリアにおける深さ方向の距離のデータと第2注視エリアにおける深さ方向の距離のデータとを示す。
【0068】
図10の(b)は、第1注視エリアにおける深さ方向の距離のデータに対応した第1波形データと第2注視エリアにおける深さ方向の距離のデータに対応した第2波形データとを示す。
【0069】
点検装置は、第2波形データをクリート形状データとする。点検装置は、第1波形データと第2波形データとの差分をクシ形状データとする。
【0070】
以上で説明した実施の形態2によれば、点検装置12は、第1注視エリアのうちの第2注視エリアに対してステップ5の進行方向にシフトした位置における位置情報を複数のクシ歯9の位置情報として認識する。点検装置12は、第2注視エリアの位置情報を複数のクリート10の位置情報として認識する。点検装置12は、表面データの位置情報に基づいてクシ形状データとクリート形状データとを分離する。このため、クシ歯9とクリート10との色の差異がない場合でも、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を精度よく判定することができる。
【0071】
実施の形態3.
図11は実施の形態3における乗客コンベアの点検装置のブロック図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0072】
図11に示されるように、点検装置12は、通過判定部12fを備える。
【0073】
通過判定部12fは、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であるか否かを判定する。
【0074】
状態判定部12eは、通過判定部12fの判定結果に基づいて複数のステップ5の各々を識別する。
【0075】
次に、図12を用いて、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過するタイミングを判定する方法を説明する。
図12は実施の形態3における乗客コンベアの点検装置によるステップの端部が複数のクシ歯の直下を通過するタイミングを判定する方法を説明するための図である。
【0076】
図12の(a)は、クシ形状データを示す図である。図12の(b)は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過するタイミングを判定する方法の第1例を説明するための図である。
【0077】
図12の(a)に示されるように、クシ形状データとクリート形状データとの分離が成功した場合、クシ形状データは、9mm前後の正しい周期性を持つ。この際、クシ形状データの全体的な分散は大きくなる。これに対し、ステップ5のデマコムがクシ歯9と同系色でかつクシ歯9の直下を通過中である場合、クシ形状データとクリート形状データとの分離は失敗する。この場合、クシ形状データは、9mm前後の正しい周期性を持たない。この際、クシ形状データの全体的な分散は小さくなる。点検装置12は、クシ形状データまたはクリート形状データの少なくとも一方の周期性または分散の違いに基づいてステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であるか否かを判定する。
【0078】
第1例において、点検装置12は、クシ形状データまたはクリート形状データに対し、ピリオドグラム法等公知の周期探索法を用いて、予め設定された周期探索範囲において有意な周期が存在するか否かを判定する。当該周期探索範囲において有意な周期が存在する場合、点検装置12は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であると判定する。
【0079】
第2例において、点検装置12は、クシ形状データまたはクリート形状データの平均または分散が予め設定された値よりも大きいか否かを判定する。クシ形状データまたはクリート形状データの平均または分散が予め設定された値よりも大きい場合、点検装置12は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であると判定する。
【0080】
次に、図13を用いて、点検装置12の動作を説明する。
図13は実施の形態3における乗客コンベアの点検装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0081】
ステップS1では、点検装置12は、表面データを取得する。その後、点検装置12は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、点検装置12は、クシ形状データとクリート形状データとを抽出する。その後、点検装置12は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、点検装置12は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であるか否かを判定する。
【0082】
ステップS3でステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中でない場合、点検装置12は、ステップS4の動作を行う。ステップS4では、点検装置12は、相互相関関数を算出する。その後、点検装置12は、ステップS5の動作を行う。ステップS5では、点検装置12は、相対関係を評価する。その後、点検装置12は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、点検装置12は、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定する。その後、点検装置12は、ステップS7の動作を行う。ステップS7では、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態の結果のデータを当該ステップ5の番号のデータと対応付けて記憶する。その後、点検装置12は、ステップS1の動作を行う。
【0083】
ステップS3でステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中である場合、点検装置12は、ステップS8の動作を行う。ステップS8では、点検装置12は、予め設定された期間内においてステップ5の番号が更新されたか否かを判定する。
【0084】
ステップS8で予め設定された期間内においてステップ5の番号が更新されていない場合、点検装置12は、ステップS9の動作を行う。ステップS9では、点検装置12は、ステップ5の番号を更新する。
【0085】
ステップS8で予め設定された期間内においてステップ5の番号が更新された場合またはステップS9の後、点検装置12は、ステップS1の動作を行う。
【0086】
以上で説明した実施の形態3によれば、点検装置12は、複数のクシ歯9に対し、複数のクリート10がそれぞれ接近するステップ5を特定する。このため、ステップ5の保守作業を効率的に行うことができる。
【0087】
また、点検装置12は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過しているか否かの判定結果に基づいて複数のステップ5の各々を識別する。このため、新たなセンサを要することなく、複数のステップ5の各々を識別することができる。
【0088】
なお、点検装置12は、クシ形状データまたはクリート形状データに対し、周期探索法を用いて、予め設定された周期探索範囲において有意な周期が存在するか否かを判定する。当該周期探索範囲において有意な周期が存在する場合、点検装置12は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であると判定する。このため、予め設定された周期探索範囲を探索するだけで、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であると判定することができる。
【0089】
また、点検装置12は、クシ形状データまたはクリート形状データの平均または分散が予め設定された値よりも大きいか否かを判定する。クシ形状データまたはクリート形状データの平均または分散が予め設定された値よりも大きい場合、点検装置12は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であると判定する。このため、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過中であると容易に判定することができる。
【0090】
実施の形態4.
図14は実施の形態4における乗客コンベアの点検装置のブロック図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0091】
図14に示されるように、状態判定部12jは、正常パターンデータ記憶部12gと切り替わり判定部12hと異常判定部12iとを備える。
【0092】
正常パターンデータ記憶部12gは、ステップ5が複数のクシ歯9の直下を通過する際の特徴量における時系列の正常パターンのデータを記憶する。
【0093】
切り替わり判定部12hは、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過するタイミングを判定する。例えば、切り替わり判定部12hは、特徴量の変化に基づいてステップ5の端部がステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過するタイミングであると判定する。切り替わり判定部12hは、特徴量の変化に基づいてステップ5の切り替わりを判定する。
【0094】
異常判定部12iは、切り替わり判定部12hの判定結果に基づいて複数のステップ5を区別して特徴量における時系列パターンのデータを抽出する。異常判定部12iは、当該時系列パターンと正常パターンデータ記憶部12gに記憶されている正常パターンとを比較する。当該時系列パターンと正常パターンとの差異が大きい場合、異常判定部12iは、当該変動パターンと正常パターンの差異が大きい箇所に対応したステップ5における複数のクリート10の形状が異常であると判定する。
【0095】
状態判定部12eは、切り替わり判定部12hの判定結果に基づいて複数のステップ5を区別して複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定する。例えば、相互相関関数の全要素が予め設定された閾値よりも小さい場合、状態判定部12eは、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態の判定結果を無効とする。状態判定部12eは、複数のクシ歯9に対し、複数のクリート10がそれぞれ接近するステップ5を特定する。
【0096】
次に、図15図16とを用いて、複数のクリート10の形状の異常を判定する方法を説明する。
図15図16とは実施の形態4における乗客コンベアの点検装置による複数のクリートの形状の異常を判定する方法を説明するための図である。
【0097】
図15は、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係との状態が正常である場合の特徴量としてのクリート形状データの平均を示す。
【0098】
図15に示されるように、ステップ5の速度が一定である場合、特徴量は、ステップ5の端部が複数のクシ歯9の直下を通過するタイミングで小さくなる。その結果、特徴量は、一定間隔で小さくなる。さらに、滑り止めの溝がステップ5の上面に設けられる場合、特徴量は、当該溝が複数のクシ歯9の直下を通過するタイミングで小さくなる。点検装置12は、特徴量の変化の大きさに基づいてステップ5が切り替わるタイミングを判定する。
【0099】
点検装置12は、ステップ5が切り替わってから次にステップ5が切り替わるまでの特徴量のデータを1つのステップ5が通過する際の正常パターンのデータとして記憶する。
【0100】
点検装置12は、1つのステップ5が通過する際の特徴量の変動パターンのデータと正常パターンのデータとのマッチングスコアに基づいて複数のクリート10の形状の異常を判定する。
【0101】
図16の(a)は、全てのステップ5において複数のクリート10の形状が正常である場合の特徴量を示す。図16の(b)は、複数のクリート10の形状が正常である場合の特徴量のマッチングスコアである。
【0102】
図16の(c)は、特定のステップ5における複数のクリート10の形状が異常である場合の特徴量を示す。図16の(d)は、特定のステップ5における複数のクリート10の形状が正常である場合の特徴量のマッチングスコアである。
【0103】
図16の(a)に示されるように、全てのステップ5において複数のクリート10の形状が正常である場合、全てのステップ5において、特徴量は、同じパターンで変動する。この場合、図16の(b)に示されるように、全てのステップ5において、マッチングスコアは、予め設定された閾値よりも大きくなる。
【0104】
図16の(a)に示されるように、特定のステップ5において複数のクリート10の形状が異常である場合、特定のステップ5において、特徴量は、異なるパターンで変動する。この場合、図16の(b)に示されるように、特定のステップ5において、マッチングスコアは、予め設定された閾値よりも小さくなる。
【0105】
点検装置12は、マッチングスコアが予め設定された閾値よりも小さいステップ5において複数のクリート10の形状が異常であると判定する。
【0106】
次に、図17を用いて、点検装置12の動作を説明する。
図17は実施の形態4における乗客コンベアの点検装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0107】
ステップS11では、点検装置12は、表面データを取得する。その後、点検装置12は、ステップS12の動作を行う。ステップS12では、点検装置12は、クシ形状データとクリート形状データとを抽出する。その後、点検装置12は、ステップS13の動作を行う。ステップS13では、点検装置12は、相互相関関数を算出する。その後、点検装置12は、ステップS14の動作を行う。ステップS14では、点検装置12は、相関関係を評価する。
【0108】
その後、点検装置12は、ステップS15の動作を行う。ステップS15では、点検装置12は、ステップ5の通過に伴う特徴量を算出する。その後、点検装置12は、ステップS16の動作を行う。ステップS16では、点検装置12は、特徴量の時系列パターンのデータが正常パターンのデータと一致するか否かを判定する。
【0109】
ステップS16で特徴量の時系列パターンのデータが正常パターンのデータと一致する場合、点検装置12は、ステップS17の動作を行う。ステップS17では、点検装置12は、現タイミングにおいてステップ5が切り替わるか否かを判定する。
【0110】
ステップS17で現タイミングにおいてステップ5が切り替わらない場合、点検装置12は、ステップS18の動作を行う。ステップS18では、点検装置12は、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定する。その後、点検装置12は、ステップS19の動作を行う。ステップS19では、点検装置12は、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態の結果のデータを当該ステップ5の番号のデータと対応付けて記憶する。その後、点検装置12は、ステップS11の動作を行う。
【0111】
ステップS17で現タイミングにおいてステップ5が切り替わる場合、点検装置12は、ステップS20の動作を行う。ステップS20では、点検装置12は、ステップ5の番号を更新する。その後、点検装置12は、ステップS11の動作を行う。
【0112】
ステップS16で特徴量の時系列パターンのデータが正常パターンのデータと一致しない場合、点検装置12は、ステップS21の動作を行う。ステップS21では、点検装置12は、複数のクリート10の形状が異常であると判定する。その後、点検装置12は、ステップS22の動作を行う。ステップS22では、点検装置12は、異常であることを示すデータと当該ステップ5の番号のデータとを対応付けて記憶する。その後、点検装置12は、ステップS11の動作を行う。
【0113】
以上で説明した実施の形態4によれば、点検装置12は、相互相関関数の全ての要素が予め設定された閾値よりも小さい場合に複数のクシ歯9と複数のクリート10との相対関係の評価結果を無効とする。このため、複数のクシ歯9と複数のクリート10との位置関係の状態を判定において、ノイズによる誤差を抑制することができる。
【0114】
また、点検装置12は、特徴量の時系列パターンのデータと正常パターンのデータとの比較結果に基づいてステップ5の切り替わるタイミングを判定する。このため、滑り止めの溝がステップ5の上面に設けられる場合でも、ステップ5が切り替わるタイミングを精度よく検出することができる。
【0115】
なお、実施の形態3における周期探索範囲において有意な周期が存在する情報を特徴量として、ステップ5が切り替わるタイミングとして判定してもよい。
【0116】
また、実施の形態3におけるクシ形状データまたはクリート形状データの平均または分散の情報を特徴量として、ステップ5が切り替わるタイミングとして判定してもよい。
【0117】
また、点検装置12は、1つのステップ5が通過する際の特徴量の時系列パターンのデータと正常パターンのデータとのマッチングスコアに基づいて複数のクリート10の形状の異常を判定する。このため、滑り止めの溝がステップ5の上面に設けられる場合でも、複数のクリート10の形状の異常を判定することができる。
【0118】
なお、上部乗降口2の側において、実施の形態1から実施の形態4の点検装置12による点検を行ってもよい。
【0119】
また、動く歩道において、実施の形態1から実施の形態4の点検装置12による点検を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本開示の乗客コンベアの点検装置は、乗客コンベアに利用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 下部乗降口、 2 上部乗降口、 3 下部機械室、 4 上部機械室、 5 ステップ、 6 スカートガード、 7 欄干パネル、 8 手摺、 9 クシ歯、 10 クリート、 11 センサ、 11a 第1センサ、 11b 第2センサ、 12 点検装置、 12a データ取得部、 12b データ抽出部、 12c 相互相関関数算出部、 12d 相対関係評価部、 12e 状態判定部、 12f 通過判定部、 12g 正常パターンデータ記憶部、 12h 切り替わり判定部、 12i 異常判定部 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17