(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】製本構造
(51)【国際特許分類】
B42D 1/00 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
B42D1/00 A
(21)【出願番号】P 2023520012
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2022035577
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523114349
【氏名又は名称】グムコープ ピーティーワイ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】GUMU CORP PTY LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】505305363
【氏名又は名称】長谷川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 泰司
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-153222(JP,A)
【文献】特開2001-150832(JP,A)
【文献】実開昭51-133527(JP,U)
【文献】登録実用新案第3124411(JP,U)
【文献】米国特許第5794980(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00 - 9/06
B42C 1/00 - 99/00
B42D 1/00 - 24/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
谷折り線(11)に沿って谷折りされることで谷折りの内側に相隣接するページ面(P(n)、P(n+1))が形成されるシート(10)を有する製本構造であって、
前記シート(10)は、
該シート(10)における相隣接するページ面(P(n)、P(n+1))のうちの一方のページ面(P(n))に、前記谷折り線(11)と平行な山折り線(12)を介して連接され、山折り可能な差し込み片(13)と、
該シート(10)における相隣接するページ面(P(n)、P(n+1))のうちの他方のページ面(P(n+1))の、前記谷折り線(11)と直交する2つの辺において、それぞれ前記谷折り線(11)と直交する山折り線(14)を介して連接され、前記他方のページ面P(n+1)の背面側に山折りされることで、該シート(10)に隣接して配置される他のシート(10)において山折りされた差し込み片(13)が差し込可能な差し込み受け部(16)を形成する受け部形成片(15)と、
を備えていることを特徴とする製本構造。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
少なくとも一対の表紙を備え、
一方の表紙(21)には、該表紙に隣接するシート(10)の差し込み片(13)が差し込まれる差し込み受け部(26)を形成する受け部形成片(25)が設けられ、
他方の表紙(22)には、該他方の表紙に隣接するシート(10)の差し込み受け部(16)に差し込まれる差し込み片(24)が設けられていることを特徴とする製本構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の製本構造として、印刷物等を、糸、ホッチキス、のりなどで綴じる構造が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、従来、例えば特許文献2に見られるように、長尺の帖紙を2つ折りにしたB4又はA4サイズ構造の折帖の山折線背側をそれぞれ表紙の背側内面に接着した製本構造も知られている。
【0004】
しかし上述した従来の製本構造では、製本するための知識や技術がないと、面倒で時間もかかり、容易に製本することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3080553号公報
【文献】実用新案登録第3029417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、簡単に製本することができる製本構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の製本構造は、
谷折り線に沿って谷折りされることで谷折りの内側に相隣接するページ面が形成されるシートを複数枚有する製本構造であって、
前記シートは、
該シートにおける相隣接するページ面のうちの一方のページ面に、前記谷折り線と平行な山折り線を介して連接され、山折り可能な差し込み片と、
該シートにおける相隣接するページ面のうちの他方のページ面の、前記谷折り線と直交する2つの辺において、それぞれ前記谷折り線と直交する山折り線を介して連接され、前記他方のページ面の背面側に山折りされることで、該シートに隣接して配置される他のシートにおいて山折りされた差し込み片が差し込まれる差し込み受け部を形成する受け部形成片と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
この製本構造は上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
上記構成のシートを複数枚用意し、各シートを、
谷折り線に沿って谷折りすることで谷折りの内側に相隣接するページ面を形成するとともに、
該シートにおける相隣接するページ面のうちの一方のページ面に連接された差し込み片を前記谷折り線と平行な山折り線で山折し、
該シートにおける相隣接するページ面のうちの他方のページ面の、前記谷折り線と直交する2つの辺において、それぞれ前記谷折り線と直交する山折り線を介して連接された受け部形成片を、前記他方のページ面の背面側に山折りすることで、差し込み受け部を形成する。
そして、用意した複数枚のシートの差し込み片を、それぞれ隣接するシートにおける差し込み受け部に差し込んで相隣接するシート同士を連結する。
これによって、本のように連続したページ面を形成することができる。すなわち製本することができる。
【0009】
以上のように、本発明の製本構造によれば、上記各部を谷折りまたは山折りし、差し込み片を、隣接するシートにおける差し込み受け部に差し込むだけで、簡単に製本することができる。
しかも、差し込み片を隣接するシートにおける差し込み受け部に差し込む構造であるから、ページの入れ替えも増減も簡単に行うことができる。
【0010】
この製本構造においては、さらに、
少なくとも一対の表紙を備え、
一方の表紙には、前記複数のシートのうち、該表紙に隣接するシートの差し込み片が差し込まれる差し込み受け部を形成する受け部形成片が設けられ、
他方の表紙には、前記複数のシートのうち、該他方の表紙に隣接するシートの差し込み受け部に差し込まれる差し込み片が設けられている構成とすることができる。
【0011】
このように構成すると、
一方の表紙に設けられ差し込み受け部に、前記複数のシートのうち、該表紙に隣接するシートの差し込み片を差し込み、
他方の表紙(例えば裏表紙)に設けられた差し込み片を、前記複数のシートのうち、該他方の表紙に隣接するシートの差し込み受け部に差し込むことにより、容易に表紙を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る製本構造の実施の形態を示す図で、(a)は要部の分解斜視図、(b)表紙の構造例を示す斜視図。
【
図3】(a)は図(b)におけるa部の拡大図、(b)は開いた状態を示す斜視図。
【
図4】(a)はシートの作成例を示す平面図、(b)はシートの一例を示す展開平面図。
【
図6】(a)は表紙の一例の斜視図、(b)は表紙用シートの一例の展開図平面。
【
図7】(a)は表紙の他の例の斜視図、(b)は表紙用シートの他の例の展開図平面。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る製本構造の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0014】
図1~3(主として
図1(a))に示す実施の形態の製本構造は、
谷折り線11に沿って谷折りされることで谷折りの内側に相隣接するページ面P(例えば
図1におけるP1とP2、P3とP4等)が形成されるシート10を複数枚有する製本構造である。
図1(a)では4枚のシート10を代表させて描いてあるが、シート10の枚数は任意の枚数を採用し得る。
【0015】
図4(b)にも示すように、シート10は、
該シート10における相隣接するページ面P(n)、P(n+1)のうちの一方のページ面P(n)に、前記谷折り線11と平行な山折り線12を介して連接され、山折り可能な差し込み片13と、
該シート10における相隣接するページ面P(n)、P(n+1)のうちの他方のページ面P(n+1)の、前記谷折り線11と直交する2つの辺において、それぞれ前記谷折り線11と直交する山折り線14,14を介して連接され、前記他方のページ面P(n+1)の背面側に山折りされることで、
図1(a)に示すように該シート10に隣接して配置される他のシート10において山折りされた差し込み片13が差し込まれる差し込み受け部16を形成する受け部形成片15,15と、
を備えている。なお、nは1以上の整数である。
【0016】
この製本構造は上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
例えば
図4(b)に示したようなシート10を複数枚用意し、各シート10を、
図5にも示すように、
谷折り線11に沿って谷折りすることで谷折りの内側に相隣接するページ面P(n)、P(n+1)を形成するとともに、
該シート10における相隣接するページ面P(n)、P(n+1)のうちの一方のページ面P(n)に連接された差し込み片13を前記谷折り線11と平行な山折り線12で山折し、
該シート10における相隣接するページ面P(n)、P(n+1)のうちの他方のページ面P(n+1)の、前記谷折り線11と直交する2つの辺において、それぞれ前記谷折り線11と直交する山折り線14,14を介して連接された受け部形成片15,15を、前記他方のページ面P(n+1)の背面側に山折りすることで、差し込み受け部16を形成する。
【0017】
そして、例えば
図1(a)に示すように、用意した複数枚のシート10の差し込み片13を、それぞれ隣接するシート10における差し込み受け部16に差し込んで相隣接するシート10同士を連結する。
【0018】
これによって、本のように連続したページ面を形成することができる(
図3参照)。すなわち製本することができる。
【0019】
以上のように、この実施の形態の製本構造によれば、上記各部を谷折りまたは山折りし、差し込み片13を、隣接するシート10における差し込み受け部16に差し込むだけで、簡単に製本することができる。
【0020】
しかも、差し込み片13を隣接するシート10における差し込み受け部16に差し込む構造であるから、ページの入れ替えも増減も簡単に行うことができる(
図2参照)。
図2において10’は入れ替えまたは増減しようとするシートを示している。
【0021】
図1~
図3に示すように、この実施の形態の製本構造は、少なくとも一対の表紙21,22を備えている。23は背であるが、背23は必ずしも設けなくても良い。
【0022】
一方の表紙21には、前述した複数のシート10のうち、該表紙21に隣接するシート10(例えば
図1(a)における10(A))の差し込み片13が差し込まれる差し込み受け部26を形成する受け部形成片25が設けられ、
他方の表紙(裏表紙)22には、前述した複数のシート10のうち、該他方の表紙22に隣接するシート10(例えば
図1(a)における10(B))の差し込み受け部16に差し込まれる差し込み片24が設けられている。
【0023】
このように構成すると、
一方の表紙21に設けられ差し込み受け部26に、複数のシート10のうち、該表紙に隣接するシート10(
図1の例では10(A))の差し込み片13を差し込み、
他方の表紙(裏表紙)21に設けられた差し込み片24を、複数のシート10のうち、該他方の表紙22に隣接するシート10(
図1の例では10(B))の差し込み受け部16に差し込むことにより、容易に表紙21,22を設けることができる。
【0024】
表紙21における差し込み受け部26、および他方の表紙22における差し込み片24は、シート10とほぼ同じような構成の表紙用シート20を用いて構成することができる。
【0025】
例えば、
図6に示すように、表紙21に貼付される表紙対応部21cと、この表紙対応部21cに谷折り線23vを介して連接され、背23に対応する背対応部23cと、この背対応部23cに谷折り線23vを介して連接され、裏表紙22に貼付される裏表紙対応部22cと、この裏表紙対応部22cに谷折り線24vを介して連接された差し込み片24と、前記表紙対応部21cに谷折り線25v、25vを介して連接された受け部形成片25、25とを有する表紙用シート20を用い、上記各部を谷折りするとともに、表紙対応部21cを表紙21に貼り付け、裏表紙対応部22cを裏表紙22に貼り付けることで、上記の構成の表紙を構成することができる。背対応部23cは背23に対して貼り付けてもよいし、貼り付けなくてもよい。
なお、このような構成の表紙用シート20は、この表紙用シート20自体で表紙を構成することも可能である。
【0026】
表紙21における差し込み受け部26、および他方の表紙22における差し込み片24は、例えば、
図7(b)に示すように、背対応部23cを設けることなく、表紙対応部21cと裏表紙対応部22cとに分断した表紙用シート20’によっても構成することができる。
【0027】
表紙対応部21cは表紙21に貼り付けられ、裏表紙対応部22cは裏表紙22に貼り付けられる。
【0028】
以上のような製本構造をなす各部材は、いずれも適宜の公知の材質、例えば、紙や合成樹脂シートを用いて構成することができる。
【0029】
シート10は、例えば
図4(a)に示す矩形シートSの不要部分S1を切り捨てることによって作製可能である。
【0030】
図1等において、17および17bは、必要に応じて利用される接着部である。接着部17と17bとは接着剤(のり)または両面テープで接着される。これら接着部17,17bはページを固定するときに利用されるものであり、通常は利用されず、シート10同士は分離自在である。
同様の接着部17は、表紙21にも設けられている。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0032】
10: シート
11: 谷折り線
12: 山折り線
13: 差し込み片
14: 山折り線
15: 受け部形成片
16: 差し込み受け部
20: 表紙用シート
21: 一方の表紙
22: 他方の表紙(裏表紙)
24: 差し込み片
25: 受け部形成片
26: 差し込み受け部
【要約】
簡単に製本することができる製本構造を提供する。谷折り線11に沿って谷折りされることで谷折りの内側に相隣接するページ面P(n)、P(n+1)が形成されるシート10を有する製本構造であり、シート10は、シート10における相隣接するページ面P(n)、P(n+1)のうちの一方のページ面に、谷折り線11と平行な山折り線12を介して連接され、山折り可能な差し込み片13と、シート10における相隣接するページ面P(n)、P(n+1)のうちの他方のページ面P(n+1)の、谷折り線11と直交する2つの辺において、それぞれ谷折り線11と直交する山折り線14を介して連接され、他方のページ面P(n+1)の背面側に山折りされることで、シート10に隣接して配置される他のシート10において山折りされた差し込み片13が差し込可能な差し込み受け部16を形成する受け部形成片15とを備えている。