(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】偏光子ナノインプリントリソグラフィ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2020539284
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 US2019025637
(87)【国際公開番号】W WO2019199548
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-20
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501218636
【氏名又は名称】モックステック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ブラッドリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ニールソン、アール. スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ディワン、アナブハフ
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】オグデン、シャウン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト、ボブ
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/011047(WO,A1)
【文献】特表2008-523422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0297052(US,A1)
【文献】国際公開第2016/160786(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/160784(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/160795(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/160766(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0062500(US,A1)
【文献】特開2008-216864(JP,A)
【文献】特開2007-33559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子の作成方法であって、
基板上に配置される偏光構造を提供する段階であって、前記偏光構造は偏光のためのパターンで配置される、段階と、
前記偏光構造の上に未硬化の充填層を設け、且つ、前記偏光構造間のチャネルに延在させる段階であって、前記未硬化の充填層は溶媒内の分子を含む溶液であり、前記溶媒は水及び有機液体を含み、前記分子は反応基に結合された金属原子を含み、前記未硬化の充填層の化合物及び前記偏光構造の表面の化合物は互いに誘引性である、段階と、
前記分子を反応させて、互いに相互接続された前記金属原子の固体を形成して、硬化充填層を画定する段階と、を備え
ており、
前記金属原子はアルミニウム、チタン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項2】
各反応基は、独立に、-Cl、-OR
2、-OCOR
2、又は-N(R
2)
2であり、R
2はアルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は第1基板であり、前記方法はさらに、前記未硬化の充填層を前記硬化充填層へと形成する前に、第2基板を前記未硬化の充填層上に配置する段階を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記硬化充填層は、1.3以下の屈折率を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記未硬化の充填層内の固体無機ナノ粒子の99%以上が、2nm以下の直径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記偏光構造の表面の表面エネルギーは、前記未硬化の充填層の表面張力より大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面エネルギーは、前記未硬化の充填層の前記表面張力より5倍大きい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法はさらに、前記分子を反応させて前記固体を形成する前に、前記未硬化の充填層に構造のパターンをインプリントする段階であって、前記構造は入射光の反射を減らす、前記偏光子からの熱伝導を増大させる、またはその両方を行うようにサイズ決めおよび形作られる、段階を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記未硬化の充填層を設ける段階及び前記分子を反応させて前記固体を形成する段階は、以下の段階を以下の順で含み、すなわち、
前記偏光構造上に前記未硬化の充填層の一部をスピンコーティングして第1スピンコーティングを画定する段階と、
前記偏光子をベーキングして第1ベーキングを画定する段階と、
前記偏光構造上に前記未硬化の充填層の一部をスピンコーティングして第2スピンコーティングを画定する段階と、次いで
前記偏光子をベーキングして第2ベーキングを画定する段階と、である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1スピンコーティングは1000rpm以上及び4000rpm以下のスピードで実行され、前記第1ベーキングは50
oC以上及び300
oC以下の温度で実行され、前記第2スピンコーティングは1000rpm以上及び4000rpm以下のスピードで実行され、前記第2ベーキングは50
oC以上及び300
oC以下の温度で実行される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して偏光子に関連する。
【背景技術】
【0002】
偏光子は、光を2つの異なる偏光状態に分割することができる。一方の偏光状態は、偏光子を通過することができ、他方は吸収又は反射されることができる。偏光子の有効性又は性能は、一方の偏光の非常に高いパーセント透過率(例えば、Tp)及び反対の偏光の最小透過率(例えば、Ts)に基づく。高いコントラスト(例えば、Tp/Ts)を有することも有益であり得る。コントラストは、主として透過される偏波の透過率を増大すること(例えば、Tpを増大すること)により及び反対の偏光の透過率を低下すること(例えば、Tsを低下すること)により、改善されることができる。
【0003】
偏光子は、例えばプロジェクタのような、高温のアプリケーション内で使用され得る。利用者の要求に起因して、プロジェクタはサイズを減少し輝度を増大するにつれ、高温環境に耐えることができる偏光子のニーズも増大している。選択的吸収型偏光子は、入射光の大部分を吸収するため、特に高光強度プロジェクタにおいて損傷を受けやすい。そのような偏光子は、概して、反射部分(例えば、アルミニウム)及び吸収部分(例えば、シリコン)を含むワイヤを有する。吸収部分は、光の一方の偏光の約80%、従って光の総量の約40%を吸収することができる。この吸収された光の熱の多くは、融解できるワイヤの反射部分に伝わり、従って偏光子を破壊する。従って、選択的吸収型偏光子の高温耐久性を改善することが考慮され得る。
【0004】
偏光子のリブ又はワイヤは、特に可視又は紫外光の偏光に対して、ナノメートルサイズのピッチ、ワイヤ幅、及びワイヤ高さの小さくて精巧なリブを有することができる。偏光子は、高性能を必要とするシステム(例えば、プロジェクタ、半導体検査ツールなど)において使用される。破壊されたリブのような偏光子内の小さい欠陥は、システム性能を大幅に低下し得る(例えば、プロジェクタからのイメージを歪ませる)。従って、接触によるような物理的損傷からリブを保護すること、過剰な熱によりリブが溶融するのを回避することが考慮され得る。
【0005】
偏光子の製造は、リブの小さいサイズに起因して、困難で高価であり得る。いくつかの材料は、偏光子の他の材料より、パターニング及びエッチングするのがより困難である。製造可能性及び製造コスト減少が考慮され得る。
【0006】
光学特性は、偏光子の薄膜の表面の表面粗さを減少することにより改善されることができる。そのような表面粗さを減少することは、偏光子の製造の考慮事項になり得る。
【発明の概要】
【0007】
高いコントラスト(例えば、Tp/Ts)を有し、一方の偏光の高いパーセント透過率を有し、高温に耐えることができ、物理的損傷への耐性を有する偏光子を提供することが有利であろうことは認識されている。そのような偏光子の製造可能性を改善すること及び製造コストを減少することが有利であろうことも認識されている。偏光子の薄膜の表面の表面粗さを減少することが役立つことができることも認識されている。本発明は、これらのニーズを満たす偏光子を作成する様々な方法に関する。各実施形態は、これらのニーズの1つ、いくつか、又はすべてを満たしてよい。
【0008】
方法は、(i)基板上に未硬化のインプリント可能層を適用する段階と、(ii)未硬化のインプリント可能層内に偏光構造のパターンをインプリントする段階であり、偏光構造のいくつかの長手方向の寸法は、第1方向に延在し、偏光構造の他の長手方向の寸法は、第2方向に延在し、第1方向及び第2方向は、基板の第1側面に平行であり、第1方向は、第2方向と異なる方向である、段階と、(iii)未硬化のインプリント可能層を固体硬化プリント層に硬化する段階と、を備えることができる。
【0009】
一実施形態では、未硬化のインプリント可能層は、連続相全体に亘って分散された固体無機ナノ粒子を有する液体であることができ、硬化プリント層は、無機ナノ粒子の固体相互接続ネットワークを含むことができる。別の実施形態では、未硬化のインプリント可能層は、分散相及び連続相を含むコロイド懸濁液であることができ、未硬化のインプリント可能層を硬化することは、連続相を除去して固体硬化プリント層を形成することを含むことができる。別の実施形態では、未硬化のインプリント可能層は、溶媒内の分子を含む溶液であることができ、溶媒は、水及び有機液体を含み、分子は、反応基に結合された金属原子を含み、各反応基は、独立に-Cl、-OR2、-OCOR2、又は-N(R2)2を含み、R2はアルキル基であり、硬化することは、分子を反応させて互いに、相互接続されて硬化プリント層を画定する金属原子の固体を形成することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面はスケールどおりに描かれていない場合がある。)
【0011】
【
図1】偏光子の作成方法におけるステップ10であり、本発明の一実施形態に従う、基板11上の偏光デバイス15及び基板11から最も遠い偏光デバイス15の表面15
s上のオーバーコート層14の概略側断面図を含む。
【0012】
【
図2】本発明の一実施形態に従う、基板11上のワイヤのアレイであることができる偏光構造12を有する偏光子20の概略斜視図である。
【0013】
【
図3】ステップ10に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ30であり、本発明の一実施形態に従う、偏光デバイス15から最も遠いオーバーコート層14の表面14
s上の未硬化のカバー層34の概略側断面図を含む。
【0014】
【
図4】ステップ30に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ40であり、本発明の一実施形態に従う、硬化カバー層44に形成される未硬化のカバー層34の概略側断面図を含む。
【0015】
【
図5】ステップ30に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ50であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化のカバー層34上の第2基板11
bの概略側断面図を含む。
【0016】
【
図6】ステップ50に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ60であり、本発明の一実施形態に従う、硬化カバー層44に形成される未硬化のカバー層34の概略側断面図を含む。
【0017】
【
図7】ステップ30に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ70及び80であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化のカバー層34内に構造84のパターンをインプリントするところの概略側断面図を含む。
【
図8】ステップ30に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ70及び80であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化のカバー層34内に構造84のパターンをインプリントするところの概略側断面図を含む。
【0018】
【
図9】ステップ80に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ90であり、本発明の一実施形態に従う、硬化カバー層44に形成される未硬化のカバー層34の概略側断面図を含む。
【0019】
【
図10a】偏光子の作成方法におけるステップ100aであり、本発明の一実施形態に従う、基板11上の偏光構造12の概略側断面図を含む。
【0020】
【
図10b】本発明の一実施形態に従う、基板11上の偏光構造12の概略側断面図を含む偏光子100bの概略斜視図であり、偏光構造12は、ワイヤのアレイを含むことができ、各ワイヤは、反射性ワイヤ102及び吸収性リブ101を含むことを示す。
【0021】
【
図11a】ステップ100aに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ110であり、本発明の一実施形態に従う、偏光構造12の上部上で、偏光構造12間のチャネル13に延在する未硬化の充填層134の概略側断面図を含む。
【0022】
【
図11b】ステップ100aに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ110であり、本発明の一実施形態に従う、偏光構造12間のチャネル13内にあり、しかし偏光構造12の上部上にはない未硬化の充填層134の概略側断面図を含む。
【0023】
【
図12a】ステップ110aに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ120aであり、本発明の一実施形態に従う、硬化充填層144に形成される未硬化の充填層134の概略側断面図を含む。
【0024】
【
図12b】ステップ110bに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ120bであり、本発明の一実施形態に従う、硬化充填層144に形成される未硬化の充填層134の概略側断面図を含む。
【0025】
【
図13】ステップ110aに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ130及び140であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化の充填層134内の構造84のパターンをインプリントするところの概略側断面図を含む。
【
図14】ステップ110aに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ130及び140であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化の充填層134内の構造84のパターンをインプリントするところの概略側断面図を含む。
【0026】
【
図15】ステップ140に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ150であり、本発明の一実施形態に従う、硬化充填層144に形成される未硬化の充填層134の概略側断面図を含む。
【0027】
【
図16】ステップ110aに続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ160であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化の充填層134上の第2基板11
bの概略側断面図を含む。
【0028】
【
図17】ステップ160に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ170であり、本発明の一実施形態に従う、硬化充填層144に形成される未硬化の充填層134の概略側断面図を含む。
【0029】
【
図18】偏光子の作成方法におけるステップ180及び190であり、本発明の一実施形態に従う、基板11上の未硬化のインプリント可能層184及び未硬化のインプリント可能層184内に偏光構造12のパターンをインプリントするところの概略側断面図を含む。
【
図19】偏光子の作成方法におけるステップ180及び190であり、本発明の一実施形態に従う、基板11上の未硬化のインプリント可能層184及び未硬化のインプリント可能層184内に偏光構造12のパターンをインプリントするところの概略側断面図を含む。
【0030】
【
図20】ステップ190に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ200であり、本発明の一実施形態に従う、硬化プリント層204に形成される未硬化のインプリント可能層184の概略側断面図を含む。
【0031】
【0032】
【
図22】偏光子の作成方法におけるステップ220及び230であり、本発明の一実施形態に従う、基板11の第1側面11
f上に配置された偏光デバイス15、基板11の反対の第2側面11
s上の未硬化の裏側層234、及び未硬化の裏側層234内に構造84のパターンをインプリントするところの概略側断面図を示す。
【
図23】偏光子の作成方法におけるステップ220及び230であり、本発明の一実施形態に従う、基板11の第1側面11
f上に配置された偏光デバイス15、基板11の反対の第2側面11
s上の未硬化の裏側層234、及び未硬化の裏側層234内に構造84のパターンをインプリントするところの概略側断面図を示す。
【0033】
【
図24】ステップ230に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ240であり、本発明の一実施形態に従う、硬化裏側層244に形成される未硬化の裏側層234を示す概略側断面図を含む。
【0034】
【
図25】偏光子の作成方法におけるステップ250であり、本発明の一実施形態に従う、基板11上に未硬化の下薄膜251
Lを適用するところを示す概略側断面図を含む。
【0035】
【
図26】ステップ250に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ260であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化の下薄膜251
Lを硬化下薄膜261
Lに硬化するところを示す概略側断面図を含む。
【0036】
【
図27】ステップ260に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ270であり、本発明の一実施形態に従う、硬化下薄膜261
L上に反射性薄膜272を適用するところを示す概略側断面図を含む。
【0037】
【
図28a】ステップ270に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ280aであり、本発明の一実施形態に従う、反射性薄膜272をエッチングして偏光構造12を形成するところを示す概略側断面図を含む。
【0038】
【
図28b】ステップ270に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ280bであり、本発明の一実施形態に従う、反射性薄膜272及び硬化下薄膜261
Lをエッチングして偏光構造12を形成するところを示す概略側断面図を含む。
【0039】
【
図29】ステップ270に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ290であり、本発明の一実施形態に従う、反射性薄膜272上に未硬化の上薄膜251
Uを適用するところを示す概略側断面図を含む。
【0040】
【
図30】ステップ290に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ300であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化の上薄膜251
Uを硬化上薄膜261
Uに硬化するところを示す概略側断面図を含む。
【0041】
【
図31】ステップ300に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ310であり、本発明の一実施形態に従う、硬化上薄膜261
U及び反射性薄膜272をエッチングして偏光構造12を形成するところを示す概略側断面図を含む。
【0042】
【
図32】ステップ300に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ320であり、本発明の一実施形態に従う、硬化上薄膜261
U、反射性薄膜272、及び硬化下薄膜261
Lをエッチングして偏光構造12を形成するところを示す概略側断面図を含む。
【0043】
【
図33】偏光子の作成方法におけるステップ330であり、本発明の一実施形態に従う、基板11上に反射性薄膜272を適用し、反射性薄膜272上に未硬化の下薄膜251
Lを適用するところを示す概略側断面図を含む。
【0044】
【
図34】ステップ330に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ340であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化の上薄膜251
Uを硬化上薄膜261
Uに硬化するところを示す概略側断面図を含む。
【0045】
【
図35】ステップ340に続くことができる偏光子の作成方法におけるステップ350であり、本発明の一実施形態に従う、硬化上薄膜261
U及び反射性薄膜272をエッチングして偏光構造12を形成するところを示す概略側断面図を含む。
【0046】
【
図36】偏光子の作成方法におけるステップ360であり、本発明の一実施形態に従う分離ピクセルをインプリントすることを含む。
【0047】
【
図37】偏光子の作成方法におけるステップ370であり、本発明の一実施形態に従う、未硬化層374上への薄膜375のスパッタ堆積を含む。
【0048】
【
図38】偏光子の作成方法におけるステップ380であり、本発明の一実施形態に従う、硬化充填層384上への薄膜375のスパッタ堆積を含む。
【0049】
[定義] 本明細書で使用される場合、用語「コントラスト(contrast)」は、主に透過された偏光のWGPの透過の分率(例えば、Tp)を反対の偏光のWGPの透過の分率(例えば、Ts)により割ったものを意味する。例えば、コントラストはTp/Tsである。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「長手方向の寸法(longitudinal dimension)」は、基板11の第1側面11fに平行な偏光構造12の最長寸法を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「金属原子(metal atoms)」は、真の金属ならびに例えばシリコン及びゲルマニウムのような半金属の両方を含む。本明細書で使用される場合、用語「ナノメートルサイズ(nanometer-sized)」は、1000nm以下の寸法を意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「ナノ粒子(nanoparticles)」は、1000nm以下の幅又は直径を有する粒子を意味する。特許請求の範囲において明示的に記載されている場合、ナノ粒子は、500nm以下、100nm以下、50nm以下、又は10nm以下の幅又は直径を有することができる。特許請求の範囲において明示的に記載されている場合、前述の幅又は直径は、すべてのナノ粒子の最大の幅又は直径であることができる。特許請求の範囲において明示的に記載されている場合、ナノ粒子は、0.1nm以上、1nm以上、又は5nm以上の幅又は直径を有することもできる。特許請求の範囲において明示的に記載されている場合、前述の幅又は直径は、すべてのナノ粒子の最小の幅又は直径であることができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「nm」は、ナノメートル(複数可)を意味し、用語「mm」は、ミリメートル(複数可)を意味する。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「上(on)」、「上に配置(located on)」、「に配置(located at)」、及び「上に配置(located over)」は、直接上に配置されること又はいくつかの他の固体材料を間に入れてその上に配置されることを意味する。用語「直接上に配置(located directly on)」、「隣接(adjoin)」、「隣接(adjoins)」、及び「隣接(adjoining)」は、直接且つ直ちに他の固体材料間に接触しないことを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「直交(perpendicular)」は、厳密に直交又は厳密に直交の20度内を意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「ピクセル(pixels)」は、意図的に異なる光学特性を有する光学デバイスの異なる領域を意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「平行(parallel)」は、厳密な平行、標準的な製造公差内の平行、又はほぼ平行を意味し、それにより、厳密な平行からのあらゆるずれは、デバイスの通常の使用に対して無視可能な効果しか及ぼさないであろう。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「rpm」は、毎分の回転数を意味する。
【0059】
光学構造に使用される材料は、ある程度の光を吸収し、ある程度の光を反射し、またある程度の光を透過することができる。以下の定義は、主に吸収性、主に反射性、又は主に透過性である材料の間を区別する。各材料は、特定の波長範囲(例えば、紫外線、可視、又は赤外線スペクトル)において吸収性、反射性、又は透過性であると考えることができ、異なる波長範囲において異なる特性を有することができる。 従って、材料は、吸収性、反射性、又は透過性であるか否かは、使用する予定の波長範囲に依存する。材料は、反射率R、屈折率nの実部、屈折率の虚部/吸光係数kに基づいて、吸収性、反射性、及び透過性に分類されます。式1は、標準的な入射での空気と材料の一様なスラブとの間のインタフェースの反射率Rを決定するのに使用される。
【数1】
【0060】
本明細書で別段の明示的な特定がない限り、特定の波長範囲内でk≦0.1を有する材料は「透過性(transparent)」な材料であり、特定の波長範囲でk>0.1及びR≦0.6を有する材料は「吸収性(absorptive)」材料であり、特定の波長範囲でk>0.1及びR>0.6の材料は、「反射性(reflective)」材料である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
第1の方法-オーバーコート層14上のカバー層34/44
図1~
図9に例示されるように、第1の偏光子の作成方法は、次の順で実行されることができる次のステップのいくつか又はすべてを備えることができる。以下に説明されていない、追加のステップもあり得る。これらの追加のステップは、説明されているそれらの前、合間、または後であり得る。
【0062】
図1に例示されるように、第1の方法における1つのステップ10は、基板11上に偏光デバイス15を提供することを含むことができる。基板11は、透過性であることができる。偏光デバイス15は、光の偏光に対するパターンに配置される物体又は材料を含むことができる。例えば、偏光デバイス15は、
図2に示されるような偏光構造12のような平行ワイヤのアレイで、偏光構造12は
図19~
図21に示されるような異なる方向に延在するもの、又はフィルム偏光子であることができる。
【0063】
オーバーコート層14は、基板11から最も遠い偏光デバイス15の表面15s上に適用される又は配置されることができる。オーバーコート層14は、単一材料の単一層であることができ、又は異なる材料の複数層であることができる。オーバーコート層14は、偏光デバイス15上へスパッタされる、原子層堆積又は他の方法により適用されることができる。オーバーコート層14は、特許公開米国特許第2010/0103517号明細書において説明されるように適用されることができる。
【0064】
偏光デバイス15が隣接するワイヤ間のチャネル13を有するワイヤのアレイを含む場合、オーバーコート層14は、チャネル13内に延在することができ、チャネル13を充填することができる。代替的に、チャネル13は、オーバーコート層14を含まないことができる。チャネル13は、例えば10%以上の充填、25%以上の充填、又は40%以上の充填且つ60%以下の充填、80%以下の充填、又は90%以下の充填のようにオーバーコート層14を部分的に充填されることができる。
【0065】
図2に、本発明の一実施形態に従う、基板11上の細長のワイヤを有する偏光子20の概略斜視図が、例示される。本明細書に説明される様々な実施形態の偏光構造12は、同様に細長であることができる。本明細書で使用される場合、用語「細長い(elongated)」は、ワイヤの長さL
12がワイヤ幅W
12又はワイヤ厚さTh
12より実質的により大きいことを意味する(例えば、L
12は、ワイヤ幅W
12及び/又はワイヤ厚さTh
12の10倍以上、100倍以上、1000倍以上、又は10,000以上大きくなることができる)。例えば、L
12は1mm以上又は10mm以上であることができ、W
12は200nm以下又は100nm以下であることができ、及びTh
12は500nm以下又は1000nm以下であることができる。
【0066】
図3に例示されるように、第1の方法における別のステップ30は、未硬化のカバー層34を、偏光デバイス15から最も遠いオーバーコート層14の外表面14
sに適用することができる。ステップ30は、ステップ10に続くことができる。
【0067】
図5に例示されるように、基板11は、第1基板11
aであることができる。第1の方法は、さらに、未硬化のカバー層34上へ第2基板11
bを配置するステップ50を備えることができる。ステップ50は、ステップ30に続くことができる。
【0068】
図7~
図8に例示されるように、第1の方法における他のステップ70及び80は、未硬化のカバー層34内に構造84のパターンをインプリントすることを含むことができる。スタンプ55は、未硬化のカバー層34内に構造84をインプリントすることができる。構造84は、入射光の反射を減らす、偏光子から離れて熱伝導を増やす、又はそれらの両方をするようにサイズ決め及び形作られることができる。例えば、構造84は、熱伝導のための表面積を増大するため、反射を減少するため、又はそれらの両方のためにリブ又はピラーのように形作られることができる。ステップ70及び80は、ステップ30に続くことができる。
【0069】
図4、
図6、及び
図9に例示されるように、第1の方法におけるステップ40、60、及び90のそれぞれは、未硬化のカバー層34を硬化して(すなわち、その中で化学反応させて)硬化カバー層44を形成することを含むことができる。未硬化のカバー層34の特性、硬化カバー層44の特性、及び硬化は、以下の「すべての方法に適用可能な追加機能」の章において説明される。ステップ40は、ステップ30に続くことができ、ステップ60は、ステップ50に続くことができ、ステップ90は、ステップ80に続くことができる。
【0070】
偏光デバイス15が隣接する偏光構造12間のチャネル13を含む場合、未硬化のカバー層34、従って硬化カバー層44もチャネル13の外部に保持するのに十分なインテグリティを有するオーバーコート層14を製造することは困難であり得る。未硬化のカバー層34がチャネル13のいくつかのみに入る場合、未硬化のカバー層34内、硬化カバー層44内、又はそれらの両方の引張力が、偏光構造12を倒れさせ、従って偏光を損傷し得る。また、偏光は、硬化カバー層44がチャネル13のいくつかのみにある場合、偏光子に亘って一様にならないであろう。
【0071】
未硬化のカバー層34をチャネル13の外部に保持する1つの方法は、オーバーコート層14のすべて又は少なくともその外表面14sの化合物に関して忌避性である未硬化のカバー層34の化合物を選択することである。オーバーコート層14又はオーバーコート層14の外表面14sの材料は、比較的低い表面エネルギーを有することができ、未硬化のカバー層34の溶媒は、比較的高い表面張力を有することができる。未硬化のカバー層34の表面張力は、オーバーコート層14の外表面14sの表面エネルギーより大きくすることができる。例えば、未硬化のカバー層34が溶媒として水を含む場合、次いで、オーバーコート層14の外表面14sは、疎水性コーティングを含むことができる。未硬化のカバー層34をチャネル13の外部に保持する別の方法は、より大きなナノ粒子を使用することである。
【0072】
未硬化のカバー層34及び外表面14sの化合物、及び大きなナノ粒子のサイズの適切な選択は、未硬化のカバー層34を含まない且つ硬化カバー層44を含まない、又は未硬化のカバー層34及び硬化カバー層44をほぼ含まない隣接する偏光構造12間のチャネル13をもたらすことができる。例えば、チャネル13の総体積の98%以上、99%以上、又は99.9%以上は、未硬化のカバー層34及び硬化カバー層44を含まないことができる。
【0073】
第1の方法で作成される偏光子は、以下の特性のいくつか又はすべてを有することができる。高いコントラスト(例えば、Tp/Ts)、高温に耐える能力、物理的損傷への耐性、及び製造の比較的容易さ。
【0074】
第2の方法-チャネル13内の充填層134/144
図10a~
図17に例示されるように、第2の偏光子の作成方法は、次の順で実行されることができる次のステップのいくつか又はすべてを備えることができる。以下に説明されていない、追加のステップもあり得る。これらの追加のステップは、説明されているそれらの前、合間、または後であり得る。
【0075】
図10aに例示されるように、第2の方法における1つのステップ10は、偏光子を提供することであることができる。偏光子は、基板11上の偏光構造12を含むことができる。基板11は、透過性であることができる。偏光構造12は、光の偏光のためのパターンに配置されることができる。例えば、偏光構造12は、隣接するワイヤ間のチャネル13と平行な細長いワイヤのアレイであることができる。代替的に、偏光構造12は、以下に説明され、
図19~
図21に示されるように、異なる方向に延在することができる。偏光構造12は、基板11に近い近位端12
p及び基板11より遠い遠位端12
dを有することができる。偏光構造12は、光の偏光のための材料を含むことができる。
【0076】
図10bに例示されるように、偏光子100bは、ワイヤのアレイを備える偏光構造12を用いて示される。各ワイヤは、反射性ワイヤ102及び吸収性リブ101を含む。偏光子100b上で、反射性ワイヤ102は、吸収性リブ101及び基板11の間に挟まれる。反射性ワイヤ102及び基板11の間に挟まれる吸収性リブ101の反対の順序は、本明細書の本発明の範囲内である。本明細書に説明される方法のいずれかの偏光構造12は、反射性ワイヤ102及び吸収性リブ101を含むことができ、しかしながら、この実施形態は、硬化カバー層44がヒートシンクとして又は偏光構造12から離れる熱の熱伝導のために使用される場合、第2の方法に特に好適である場合がある。
【0077】
図11aに例示されるように、第2の方法における別のステップ110aは、偏光構造12の上部に未硬化の充填層134を適用し、偏光構造12間のチャネル13に延在させることであることができる。ステップ110aは、ステップ100aに続くことができる。ステップ110aは、偏光子100bを使用することができる。
【0078】
図11bに例示されるように、第2の方法における別のステップ110bは、偏光構造12間のチャネル13内に未硬化の充填層134を適用し、しかし偏光構造12の上部に設けないことであることができる。ステップ110bは、ステップ100aに続くことができる。ステップ110bは、偏光子100bを使用することができる。
【0079】
図14~
図15に例示されるように、第2の方法における他のステップ140及び150は、未硬化の充填層134内に構造84のパターンをインプリントすることを含むことができる。スタンプ55は、構造84をインプリントするのに使用されることができる。構造84は、入射光の反射を減らす、偏光子から離れて熱伝導を増やす、又はそれらの両方をするようにサイズ決め及び形作られることができる。例えば、構造84は、熱伝導のための表面積を増大するため、反射を減少するため、又はそれらの両方のためにリブ又はピラーのように形作られることができる。ステップ140及び150は、ステップ110に続くことができる。
【0080】
図16に例示されるように、基板11は、第1基板11
aであることができる。第2の方法は、さらに、未硬化の充填層134上へ第2基板11
bを配置するステップ160を備えることができる。ステップ160は、ステップ110に続くことができる。
【0081】
図12a、
図12b、
図15、及び
図17に例示されるように、第2の方法におけるステップ120a、120b、150、及び170のそれぞれは、未硬化の充填層134を硬化して(すなわち、その中で化学反応させて)硬化充填層144を形成することを含むことができる。未硬化の充填層134の特性、硬化充填層144の特性、及び硬化は、以下の「すべての方法に適用可能な追加機能」の章において説明される。ステップ120aは、ステップ110aに続くことができ、ステップ120bは、ステップ110bに続くことができ、ステップ150は、ステップ140に続くことができ、ステップ170は、ステップ160に続くことができる。
【0082】
第2の方法では、チャネル13を硬化充填層144で完全に又はほぼ完全に充填することは、偏光子の光学特性を考慮することができ、偏光構造12の構造的支持を考慮することができる。例えば、硬化充填層144は、チャネル13の75%以上、90%以上、95%以上、又は98%以上を充填することができる。
【0083】
チャネルを未硬化の充填層134で充填することは、チャネルを硬化充填層144で充填することを容易にする。チャネル13の充填に役立つ1つの方法は、偏光構造12の外表面の化合物に関して誘引性である未硬化の充填層134の化合物を選択することである。例えば、未硬化の充填層134は、主に水溶液であることができ、偏光構造12の外表面は、酸化物のような親水性であることができる。偏光構造12の外表面の材料は、比較的高い表面エネルギーを有することができ、未硬化の充填層134の溶媒は、比較的低い表面張力を有することができる。偏光構造12の外表面の表面エネルギーは、未硬化の充填層134の表面張力より大きくすることができる。例えば、偏光構造12の表面の表面エネルギーは、未硬化の充填層134の表面張力より2倍大きい、5倍大きい、又は10倍大きくすることができる。例えば、未硬化の充填層134が溶媒として水を含む場合、次いで、偏光構造12の外表面は、親水性コーティングを含むことができる。チャネル13を未硬化の充填層134で充填するのに役立つ別の方法は、より小さいナノ粒子を使用することである。
【0084】
第2の方法で作成される偏光子は、以下の特性のいくつか又はすべてを有することができる。高いコントラスト(例えば、Tp/Ts)、高温に耐える能力、物理的損傷への耐性、及び製造の比較的容易さ。この実施形態は、チャネル13内の硬化充填層144に起因する高温耐性に特に役立つことができる。硬化充填層144は、偏光構造12から熱を引き離すのに効果的なヒートシンク又は熱伝導パスであることができる。
【0085】
第3の方法-インプリント可能層184及びプリント層204
図18~
図21に例示されるように、第3の偏光子の作成方法は、次の順で実行されることができる次のステップのいくつか又はすべてを備えることができる。以下に説明されていない、追加のステップもあり得る。これらの追加のステップは、説明されているそれらの前、合間、または後であり得る。
【0086】
図18に例示されるように、第3の方法における1つのステップ180は、透過性である基板11を提供することを含むことができる。未硬化のインプリント可能層184は、基板11の第1側面11
fに適用されることができる。
図18~
図19に例示されるように、第3の方法におけるステップ180及び190は、未硬化のインプリント可能層184内に偏光構造12のパターンをインプリントすることを含むことができる。
【0087】
図20に例示されるように、方法における別のステップ200は、未硬化のインプリント可能層184を硬化して(すなわち、その中で化学反応させて)硬化プリント層204を形成することを含むことができる。未硬化のインプリント可能層184の特性、硬化プリント層204の特性、及び硬化は、以下の「すべての方法に適用可能な追加機能」の章において説明される。ステップ200は、ステップ190に続くことができる。
【0088】
偏光構造12の特性は、
図19~
図21に示され、以下を含むことができる。偏光構造12のいくつかの長手方向の寸法Lは、第1方向D
1に延在することができる。偏光構造12の他の長手方向の寸法Lは、第2方向D
2に延在することができる。第1方向D
1及び第2方向D
2は、基板11の第1側面11
fに平行であることができる。第1方向D
1は、第2方向D
2と異なる方向であることができる。第1方向D
1は、第2方向D
2に直交することができる。偏光構造12のいくつかの長手方向の寸法Lは、少なくとも3つの異なる方向又は少なくとも4つの異なる方向に延在することができる。
【0089】
偏光構造12は、長手方向の寸法Lに直交し、基板11の第1側面11fに平行な幅Wを有することができる。第1方向D1に延在する偏光構造12の少なくともいくつかの幅W及び第2方向D2に延在する偏光構造12の少なくともいくつかの幅Wは、100nm以下、500nm以下、又は1000nm以下であることができる。
【0090】
偏光構造12は、複数の異なる厚さThを有することができる。厚さThは、基板11の第1側面11fに直交する寸法である。例えば、偏光構造は、2以上、3以上、4以上、又は5以上の異なる厚さThを有することができる。これらの異なる厚さThのそれぞれは、例えば5nm以上、10nm以上、20nm以上、又は40nm以上だけ及び/又は60nm以下、120以下、又は500nm以下だけのように、互いから異なることができる。
【0091】
基板11及び偏光構造12は、同じ材料から作られることができる。例えば、基板11及び偏光構造12は、両方とも誘電体であることができる。基板11及び偏光構造12の材料組成は、ガラスであることができる又はそれを含むことができる。
【0092】
第3の方法の偏光子の1つの別個の特性は、入射した非偏光の50%以上を単一偏光として透過する能力である。例えば、この偏光子は、入射光の50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上を単一偏光として透過することができる。
【0093】
第3の方法の偏光子の消光比の例は、2以上、3以上、5以上、又は10以上であることができる。消光比は、主として透過される偏波として透過する入射光量を反対の偏光として透過する入射光量により割ったものを意味する。
【0094】
第3の方法から作成される偏光子は、一方の偏光の高いパーセント透過率を有することができ、比較的容易に製造することができる。
【0095】
第4の方法-裏側層234/244
図22~
図24に例示されるように、第4の偏光子の作成方法は、次の順で実行されることができる次のステップのいくつか又はすべてを備えることができる。以下に説明されていない、追加のステップもあり得る。これらの追加のステップは、説明されているそれらの前、合間、または後であり得る。
【0096】
図22に例示されるように、第4の方法における1つのステップ220は、第1側面11
f及び第1側面11
fと反対の第2側面11
sを有する基板11を用いて偏光子を提供することを含むことができる。基板11は、透過性であることができる。偏光デバイス15は、基板11の第1側面11
f上に配置されることができる。偏光デバイス15は、光の偏光に対するパターンに配置される物体又は材料を含むことができる。偏光デバイス15は、本明細書に説明されるいずれか又は偏光子の他のタイプであることができる。
【0097】
図22~
図23に例示されるように、第4の方法内のステップ220及び230は、基板11の第2側面11
sに未硬化の裏側層234を適用すること、及び未硬化の裏側層234内に構造84のパターンをインプリントすることを含むことができる。スタンプ55は、構造84をインプリントするのに使用されることができる。構造84は、入射光の反射を減らす、偏光子から離れて熱伝導を増やす、又はそれらの両方をするようにサイズ決め及び形作られることができる。例えば、構造84は、熱伝導のための表面積を増大するため、反射を減少するため、又はそれらの両方のためにリブ又はピラーのように形作られることができる。
【0098】
図24に例示されるように、第4の方法における別のステップ240は、未硬化の裏側層234を硬化して(すなわち、その中で化学反応させて)硬化裏側層244を形成することを含むことができる。未硬化の裏側層234の特性、硬化裏側層244の特性、及び硬化は、以下の「すべての方法に適用可能な追加機能」の章において説明される。ステップ240は、ステップ230に続くことができる。
【0099】
第4の方法で作成される偏光子は、以下の特性のいくつか又はすべてを有することができる。一方の偏光の高いパーセント透過率、インプリント構造84に起因する高温に耐える能力、及び製造の比較的容易さ。
【0100】
第5の方法-薄膜251/261
図25~
図35に例示されるように、第5の偏光子の作成方法は、次の順で実行されることができる次のステップのいくつか又はすべてを備えることができる。以下に説明されていない、追加のステップもあり得る。これらの追加のステップは、説明されているそれらの前、合間、または後であり得る。
【0101】
図25、
図29、及び
図33に例示されるように、方法は、さらに、基板11上に未硬化の薄膜251を適用することを備えることができる。
図26、30、及び34に例示されるように、第5の方法における別のステップは、未硬化の薄膜251を硬化して(すなわち、その中で化学反応させて)硬化薄膜261を形成することを含むことができる。未硬化の薄膜251の特性、硬化薄膜261の特性、及び硬化は、以下の「すべての方法に適用可能な追加機能」の章において説明される。
【0102】
図27及び
図33に例示されるように、方法は、さらに、基板11上に反射性薄膜272を適用することを備えることができる。
図28a、
図28b、
図31、
図32、及び
図35に例示されるように、方法は、偏光構造12を形成するために、反射性薄膜をエッチングすることを含むこともでき、いくつかの実施形態では硬化薄膜(複数可)261をエッチングすることも含むこともできる。
【0103】
図25に例示されるように、未硬化の薄膜251は、反射性薄膜272を適用する前に基板11に適用される下の未硬化の薄膜251
Lであることができる。
図26に例示されるように、下の未硬化の薄膜251
Lは、下の硬化薄膜261
Lを形成するよう硬化されることができる。
図27に例示されるように、反射性薄膜272は、下の硬化薄膜261
L上に適用されることができる。
図28aに例示されるように、反射性薄膜272は、反射性薄膜の偏光構造282から成ることができる偏光構造12を形成するようエッチングされることができる。
【0104】
図28bに例示されるように、下の硬化薄膜261
L及び反射性薄膜272は、反射性薄膜の偏光構造282及び下の硬化薄膜の偏光構造281
Lを含む偏光構造12を形成するようエッチングされることができる。下の硬化薄膜の偏光構造281
Lは、反射性薄膜の偏光構造282及び基板11の間に挟まれることができる。それぞれの下の硬化薄膜の偏光構造281
Lは、対応する反射性薄膜の偏光構造282と整列されることができる。
【0105】
図29に例示されるように、ステップ290はステップ270に続くことができ、上の未硬化の薄膜251
Uは、反射性薄膜272上に適用されることができる。
図30に例示されるように、上の未硬化の薄膜251
Uは、上の硬化薄膜261
Uを形成するために硬化されることができる。
図31に例示されるように、上の硬化薄膜261
U及び反射性薄膜272は、エッチングされて、上の硬化薄膜の偏光構造281
U及び反射性薄膜の偏光構造282を含む偏光構造12を形成することができる。
図32に例示されるように、上の硬化薄膜261
U、反射性薄膜272、及び下の硬化薄膜261
Lは、エッチングされて、上の硬化薄膜の偏光構造281
U、反射性薄膜の偏光構造282、及び下の硬化薄膜の偏光構造281
Lを含む偏光構造12を形成することができる。反射性薄膜の偏光構造282は、上の硬化薄膜の偏光構造281
U及び下の硬化薄膜の偏光構造281
Lの間に挟まれることができる。下の硬化薄膜の偏光構造281
L、反射性薄膜の偏光構造282、及び上の硬化薄膜の偏光構造281
Uのそれぞれは、ともに整列されることができる。
【0106】
図33に例示されるように、未硬化の薄膜251は、上の未硬化の薄膜251
Uであることができ、反射性薄膜272は、上の未硬化の薄膜251
Uを適用する前に基板11に適用されることができる。
図34に例示されるように、上の未硬化の薄膜251
Uは、上の硬化薄膜261
Uを形成するために硬化されることができる。
図35に例示されるように、上の硬化薄膜261
U及び反射性薄膜272は、エッチングされて、上の硬化薄膜の偏光構造281
U及び反射性薄膜の偏光構造282を含む偏光構造12を形成することができる。反射性薄膜の偏光構造282は、上の硬化薄膜の偏光構造281
U及び基板11の間に挟まれることができる。それぞれの上の硬化薄膜の偏光構造281
Uは、対応する反射性薄膜の偏光構造282と整列されることができる。
【0107】
すべての方法に適用可能な追加機能 以下の説明では、未硬化のカバー層34、未硬化の充填層134、未硬化のインプリント可能層184、未硬化の裏側層234、及び未硬化の薄膜(複数可)251は、未硬化層と呼ばれるであろう。以下の説明では、硬化カバー層44、硬化充填層144、硬化プリント層204、硬化裏側層244、及び硬化薄膜(複数可)261は、硬化層と呼ばれるであろう。
【0108】
1つの態様では、未硬化層は、連続相全体に亘って分散された固体無機ナノ粒子を有する液体であることができる。未硬化層を硬化すること又はその中で化学反応させることは、未硬化層を、硬化層を画定する無機ナノ粒子の固体相互接続ネットワークに形成することを含むことができる。
【0109】
別の態様では、未硬化層は、分散相及び連続相を含むコロイド懸濁液であることができる。コロイド懸濁液を硬化すること又はその中で化学反応させることは、連続相を除去して硬化層を画定する固体を形成することを含むことができる。固体は、無機であることができる。
【0110】
無機ナノ粒子、分散相、又はそれらの両方は、有機部分に結合したいくつかの金属原子を含むことができる。1つの態様では、各金属原子は、1以下の有機部分に結合されることができる。有機部分の例は、-CH3及び-CH2CH3を含む。その結果として、硬化層は、埋め込まれた有機部分を含むことができる。これらの埋め込まれた有機部分は、その光学特性及び硬度を変化させるなど、硬化層の特性を変化させるのに有用であることができる。
【0111】
別の実施形態では、未硬化層は、溶媒内の分子を含む溶液であることができる。溶媒は、水及び有機液体を含むことができる。分子は、反応基R1と結合する金属原子を含むことができる。各反応基は、独立に、-Cl、-OR2、-OCOR2、又は-N(R2)2であることができ、R2はアルキル基である。アルキル基は、少なくとも1つの炭素原子を有することができるが、例えば2以下の炭素原子、3以下の炭素原子、5以下の炭素原子、又は10以下の炭素原子のように小さいことができる。例えば、アルキル基は、-CH3又は-CH2CH3であることができる。上で呼ばれる固体無機ナノ粒子は、この段落で説明される金属原子を含むことができる。
【0112】
特定の実施形態では、金属原子のそれぞれのすべての接合又は接合のうちの1つを除くすべては、これら反応基に対するものであることができる。例えば、これらの分子は、(CH3)Si(R1)3、Si(R1)4、Al(R1)3、(CH3)Al(R1)2、(CH3)Ti(R1)3、Ti(R1)4又はそれらの組み合わせであることができる。溶液を硬化すること又はその中で化学反応させることは、分子を反応させて、互いに相互接続される金属原子を有する硬化層を画定する固体を形成することを含むことができる。固体は、無機であることができる。一実施形態では、分子は、例えば70g/mol以上、80g/mol以上、90g/mol以上、100g/mol以上、又は110g/mol以上及び125g/mol以下、150g/mol以下、175g/mol以下、又は200g/mol以下のような比較的小さい分子量を有することができる。
【0113】
未硬化層を硬化層に形成することは、少なくともいくつかの液体を蒸発することを含むことができる。一実施形態では、最初に未硬化層のすべての液体は、反応して、固体(硬化層)を形成する又は蒸発される。未硬化層を硬化層へと形成することは、紫外光、熱、又はそれらの両方の使用を含むことができる。硬化層のインテグリティは、例えば30oC以上、50oC以上、又は100oC以上、及び150oC以下、200oC以下、250oC以下、又は300oC以下のような比較的低い温度での硬化により改善されることができる。
【0114】
未硬化層、硬化層、又はそれらの両方は、改善された光学性能のために低い屈折率を有することができる。これは、特に、偏光構造12の間のチャネル13内に硬化層を有する実施形態に対して有益であることができる。例えば、未硬化層、硬化層、又はそれらの両方の屈折率は、1.1以下、1.2以下、1.3以下、又は1.4以下であることができる。一実施形態では、未硬化層、硬化層、又はそれらの両方の屈折率は、1.0以上であることができる。
【0115】
この低い屈折率を実現する1つの方法は、硬化層に小さいボイド又はキャビティを含めることである。空気が充填されたこれらの小さいボイドは、硬化層の全体的な屈折率を下げる。例えば、硬化層は、約1.4~1.5の屈折率を有する二酸化シリコンを含むことができるが、ボイドを有する場合、全体的な屈折率は1.4以下であることができる。これらのボイドは、大きな分子を有する未硬化層内で溶媒を使用することにより形成されることができる。例えば、未硬化層内の溶媒は、70g/mol以上、80g/mol以上、90g/mol以上、100g/mol以上、又は110g/mol以上の分子量を有することができる。別の例として、この溶媒内の化学物質は、例えば15以上の原子、20以上の原子、又は25以上の原子のような大きな数の原子を有することができる。この溶媒は、十分に揮発性であることができるように、過度に高い分子量を有さないことを考慮することができる。従って、この溶媒は、125g/mol以下、150g/mol以下、175g/mol以下、200g/mol以下、又は300g/mol以下の分子量を有することができる。この溶媒は、30以下の原子、50以下の原子、又は75以下の原子を有することもできる。さらに、この溶媒は、アリール分子、そうでなければ二重結合を有する分子のような、大きな空間を占める構造を有することができる。例えば、未硬化層は、ベンゼン又はキシレンを含むことができる。
【0116】
無機ナノ粒子、連続相を除去した結果として生じる固体、及び上述の金属原子は、アルミニウム、チタン、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛、ジルコニウム、それらの組み合わせを備えることができる。硬化層は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化鉛、酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを含むことができる。酸化アルミニウムは、硬化層の主要な機能が偏光構造12から離れる熱伝導である場合、特に有用であることができる。二酸化シリコンは、その低い屈折率に起因して特に有用であることができる。二酸化チタンは、その高い屈折率に起因して特に有用であることができる。
【0117】
無機ナノ粒子は、これらをチャネル13の外部に保持するためにサイズ決めされることができる。例えば、無機ナノ粒子の90%以上、95%以上、又は99%以上は、1nm以上、10nm以上、又は50nm以上の直径を有することができる。代替的に、無機ナノ粒子は、チャネル13を最適に充填するためにサイズ決めされることができる。例えば、無機ナノ粒子の90%以上、95%以上、又は99%以上は、2nm以下、1nm以下、又は0.5nm以下の直径を有することができる。
【0118】
図7~
図9、
図13~
図15、
図18~
図20、及び
図22~
図24に例示されるように、また上述のように、方法は、構造のパターンをインプリントすることを含むことができる。
図36に例示されるように、そのようなインプリントすることは、分離ピクセルをインプリントするステップ360を含むこともできる。
図36は相互に異なるワイヤ方向とともに異なるピクセルを示すが、ピクセルは、相互に他の方法で異なることができる。
【0119】
図37~
図38に例示されるように、上述の方法のいずれかは、さらに、符号374及び384によりそれぞれ表される未硬化層、硬化層、又はそれらの両方上への薄膜375のスパッタ堆積を含むことができる。薄膜375は、所望の光学特性、偏光子の保護特性、又はそれらの両方を有する任意の材料であることができる。薄膜265は、誘電体であることができる。薄膜375のスパッタ堆積は、未硬化層374、硬化層384、又はそれらの両方内のボイドを減少することができる。従って、このスパッタ堆積ステップは、特に、チャネル13を充填する未硬化層374及び硬化層384に対して望ましい実施形態に対して有用である。
【0120】
以下は、上述の方法のいずれかにおいて、未硬化層を適用すること、及び硬化層内に未硬化層を形成することを改善するために使用されることができる。次のステップは、次の順で実行されることができる。偏光デバイス又は基板11上へ未硬化層をスピンコーティングして第1スピンコーティングを画定すること、偏光子又はコーティングされた基板11をベーキングして第1ベーキングを画定すること、第1スピンコーティング上へ未硬化層をスピンコーティングして第2スピンコーティングを画定すること、次いで偏光子又はコーティングされた基板11をベーキングして第2ベーキングを画定すること。スピンコーティング及びベーキングステップは、3回、4回、又はより多くの回数繰り返されることができる。硬化層の均一性は、これらのスピンコーティング及びベーキングステップの複数の繰り返しにより改善されることができるが、繰り返す毎にコストも増大する。従って、均一性の仕様は、もしあれば、繰り返しの数を判定することにおけるコストに対して比較されることができる。
【0121】
各スピンコートの時間は、所望の厚さ及びスピンコータに依存する。例示的な時間は、各スピンコートについて2秒以上、4秒以上、又は6秒以上及び10秒以下、20秒以下、又は30秒以下を含む。
【0122】
第1スピンコーティング、第2スピンコーティング、又は追加のスピンコーティングのスピードの例は、100rpm以上、500rpm以上、1000rpm以上、又は1500rpm以上及び2500rpm以下、3000rpm以下、4000rpm以下、又は8000rpm以下を含む。第1ベーキング、第2ベーキング、又は他のベーキングの温度の例は、30oC以上、50oC以上、100oC以上、又は150oC以上及び250oC以下、300oC以下、又は400oC以下を含む。
【0123】
未硬化層、硬化層、又はそれらの両方は、本明細書に説明される化合物及びアプリケーションの方法により、比較的厚くすることができる。例えば、層の平均厚さTh、層の最小厚さThmin、層の最大厚さThmaxは、特許請求の範囲において特定されるような以下の値を有することができる。10nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上及び300nm以下、600nm以下、又は1000nm以下。
【0124】
方法は、組み合わされることができる。例えば、
図10a~
図15又は
図18~
図35に示され且つ上述のように、オーバーコート層14及び硬化カバー層44は、偏光子上に適用されることができる。
図18~
図21及び
図25~
図35に示され且つ上述のように、硬化充填層144は、偏光構造12の上部に形成され、偏光構造12間のチャネル13に延在することができる。硬化裏側層244は、
図22~
図24に示され且つ上述のように本明細書に説明された偏光子のいずれかの基板11の第2側面11
s上に形成されることができる。硬化薄膜(複数可)251、硬化薄膜偏光構造281、又はそれらの両方は、図面に示され本明細書に説明された偏光子のいずれかを用いて使用されることができる。