(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
B32B 5/28 20060101AFI20230613BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230613BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B32B5/28 Z
B32B27/30 Z
B32B27/00 101
B32B27/30 D
(21)【出願番号】P 2019034722
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武内 信貴
(72)【発明者】
【氏名】堀越 裕樹
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-210712(JP,A)
【文献】特開2017-100341(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012238(WO,A1)
【文献】特開2019-151102(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088751(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
E04C 2/00- 2/54
D06M 13/00- 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガラス繊維布と、
前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第1樹脂層と、
ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第2樹脂層と、
フッ素樹脂を含む第3樹脂層と、を含むシートであって、
前記第2樹脂層における臭素及びケイ素の合計濃度が30質量%以上であり、
前記第1樹脂層の臭素及びケイ素の合計濃度が前記第2樹脂層の臭素及びケイ素の合計濃度より低く、
前記第3樹脂層が前記シートの少なくとも一方の表面に含まれ、
全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下である、
シート。
【請求項2】
厚さが400μm以上である、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記ガラス繊維布を構成するガラス繊維の屈折率が1.53~1.58である、請求項1又は2に記載のシート。
【請求項4】
前記シート中のガラス繊維布の総質量が150~250g/m
2である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維布とフッ素樹脂とを含むシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、膜材料、例えば、建築物の屋根材、テント倉庫材等に用いられるシートとして、ガラス繊維布と樹脂を含むシートが知られている。中でも、ガラス繊維布とフッ素樹脂を含むシートは、防汚性、柔軟性等に優れることが知られている。該シートは、建築物の屋根材、テント倉庫材等に用いられる場合、屋外から屋内へ採光できることが求められることがあり、優れた透光性も求められる。
【0003】
ガラス繊維布とフッ素樹脂とを含むシートとして、フッ素原子を有しない樹脂を含むマトリックスと、前記マトリックスに埋設された、開口率が20%以下であるガラス繊維布とからなる繊維強化樹脂シートの層、および、前記繊維強化樹脂シートの層の少なくとも一方の表面に設けられた、紫外線吸収剤を含む含フッ素樹脂層とを有する積層シートが知られている(例えば特許文献1参照。)。該シートによれば、防炎性および透明性を有し、耐候性に優れるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、膜材料は、多数の人々が利用する機会の多い商業施設や公共施設等の建築物の建築材料として用いる場合、建築基準法及び建築基準法施行令で定められる不燃性を求められることがある。また、膜材料は、取扱い性等の観点から、その厚さを大きくすることが求められることがある。
【0006】
上記不燃性としては、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m2以下とすることが挙げられる。
【0007】
特許文献1で実施例として具体的に開示されているシートは、厚さが最も大きいものでも186μmであり、取扱い性等に優れるとはいえないものであった。
【0008】
一方、本発明者等が検討したところ、特許文献1の実施例として具体的に開示されているシートの厚さを大きくする目的で、含フッ素樹脂を構成するフッ素樹脂の量又はフッ素原子を有しない樹脂を含むマトリックスの量を大きくすれば、上記総発熱量が8MJ/m2以下とすることが困難となる問題があることが判明した。また、本発明者等が検討したところ、上記シートの厚さを大きくする目的で、ガラス繊維布の質量を大きくすれば、シートの透明性が低下する場合があるという問題があることが判明した。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ガラス繊維布とフッ素樹脂を含むシートにおいて、シートの厚さを大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることを可能とする、シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明者等が検討したところ、総発熱量を低いものとするには、シートを構成する樹脂に、臭素又はケイ素を含有させることが効果的であることが判明した。
【0011】
しかしながら、本発明者等は、特許文献1に開示されているシートにおける、フッ素原子を有しない樹脂を含むマトリックス中に、高濃度の臭素を含有させると、透明性を向上させることが困難となる場合があることを知得した。すなわち、臭素元素が置換基として含まれる樹脂等、臭素を含有する樹脂は、ハロゲン元素が高屈折率置換基であり、当該樹脂の屈折率が例えば1.6を超えることがある。そして、本発明者等は、例えばガラス繊維を汎用的なEガラス等とした場合は、樹脂中の臭素の濃度を高くしてしまうと該樹脂の屈折率がガラス繊維布の屈折率よりも相当高くなることがあり、シートの透明性を向上させることが困難となることを知得した。
【0012】
また、本発明者等は、特許文献1に開示されているシートにおける、フッ素原子を有しない樹脂を含むマトリックスとしてシリコーン樹脂とし高濃度のケイ素を含有させると、透明性を向上させることが困難となる場合があることを知得した。すなわち、本発明者等は、シリコーン樹脂等は屈折率が1.4前後と低屈折率であり、例えばガラス繊維を汎用的なEガラス等とした場合はシリコーン樹脂の屈折率がガラス繊維布の屈折率よりも相当低くなり、シートの透明性を向上させることが困難となることを知得した。
【0013】
一方、本発明者は、透明性を向上すべく、特許文献1に開示されているシートにおける、フッ素原子を有しない樹脂を含むマトリックス中に、臭素又はケイ素を透明性を損なわない程度に低い濃度として含有させた場合は、得られるシートは総発熱量が高くなる傾向にあり、樹脂量が制限され、シートの厚さを大きくしながら総発熱量を低いものとすることが困難となることを知得した。すなわち、ガラス繊維布とフッ素樹脂を含むシートにおいて、シートの厚さを大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることは、トレードオフの関係である。
【0014】
そして、本発明者等がさらに検討を重ね、少なくとも1つのガラス繊維布と、該ガラス繊維布に含浸された状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第1樹脂層と、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第2樹脂層と、表面層としてのフッ素樹脂を含む第3樹脂層と、を含むシートとし、ガラス繊維布が含浸されない状態で含まれる第2樹脂層において臭素及びケイ素の合計濃度を高くすれば、臭素及びケイ素の合計濃度を薄める必要がなく、臭素又はケイ素を含む樹脂の持つ低発熱特性を一層活かすことが可能となることを知得した。すなわち、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層には臭素及びケイ素の合計濃度が低い樹脂(後述の通り、臭素及びケイ素を含まない樹脂も含む)を用いることによりガラス繊維布との屈折率差を容易に小さくすることができ、かつ、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層とは別に、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を積層し、該第2樹脂層として臭素及びケイ素濃度の高い樹脂を用いることにより、臭素又はケイ素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより好適に図ることが可能となることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0015】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.少なくとも1つのガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第1樹脂層と、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第2樹脂層と、フッ素樹脂を含む第3樹脂層と、を含むシートであって、前記第2樹脂層における臭素及びケイ素の合計濃度が30質量%以上であり、前記第3樹脂層が前記シートの少なくとも一方の表面に含まれ、全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下である、シート。
項2.厚さが400μm以上である、項1に記載のシート。
項3.前記ガラス繊維布を構成するガラス繊維の屈折率が1.53~1.58である、項1又は2に記載のシート。
項4.前記シート中のガラス繊維布の総質量が150~250g/m2である、項1~3のいずれか1項に記載のシート。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシートによれば、少なくとも1つのガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第1樹脂層と、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第2樹脂層と、フッ素樹脂を含む第3樹脂層と、を含むシートであって、前記第2樹脂層における臭素及びケイ素の合計濃度が30質量%以上であり、前記第3樹脂層が前記シートの少なくとも一方の表面に含まれ、全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下であることから、ガラス繊維布とフッ素樹脂を含むシートにおいて、シートの厚さを大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることとが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のシートの一態様を説明する横断面模式図である。
【
図2】本発明のシートの一態様を説明する横断面模式図である。
【
図3】本発明のシートの一態様を説明する横断面模式図である。
【
図4】一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置の概略を示す図である。
【
図5】一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図である。
図5中に示す数値(寸法)の単位はmmである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のシートは、少なくとも1つのガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第1樹脂層と、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第2樹脂層と、フッ素樹脂を含む第3樹脂層と、を含むシートであって、前記第2樹脂層における臭素及びケイ素の合計濃度が30質量%以上であり、前記第3樹脂層が前記シートの少なくとも一方の表面に含まれ、全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下である。
【0019】
例えば
図1~
図3に示すように、本発明のシート1は、ガラス繊維布2と、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第1樹脂層3と、ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む第2樹脂層4と、フッ素樹脂を含む第3樹脂層5とを含み、第2樹脂層4における臭素及びケイ素の合計濃度が30質量%以上であり、前記第3樹脂層5がシート1の少なくとも一方の表面に含まれる。
【0020】
本発明のシート1において、ガラス繊維布2は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。また、
図1~
図3に示されるように、本発明のシート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2を構成しているガラス繊維の隙間を埋めており、第1樹脂層3の一方の表面側部分と、他方の表面側部分とは、当該隙間を介して通じている。
図1及び
図3に示されるように、本発明のシート1は、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3を複数層含むようにすることができる。また、
図1~
図3には示していないが、1層の第1樹脂層3に複数枚のガラス繊維布2が含まれるようにすることもできる。
【0021】
本発明のシート1において、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4は、例えば
図1に示されるように、1層としてもよいし、
図2及び
図3に示されるように、複数層としてもよい。第2樹脂層4が複数層である場合、2~5層であることが好ましく、2~3層であることがより好ましい。
【0022】
例えば、
図1及び
図3に示すシート1においては、第2樹脂層4の両面側に、それぞれ、第1樹脂層3が積層された積層構造を備えている。また、
図2及び
図3に示すシート1においては、第1樹脂層3の両面側に、それぞれ、第2樹脂層4が積層された積層構造を備えている。本発明のシート1において、第1樹脂層3と第2樹脂層4の積層構造の具体例としては、
図1に示すような第1樹脂層3/第2樹脂層4/第1樹脂層3がこの順に積層された積層構造;
図2に示すような第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4がこの順に積層された積層構造;
図3に示すような第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4がこの順に積層された積層構造が挙げられる。
【0023】
本発明のシート1において、第3樹脂層5は、シート1の少なくとも一方の表面に含まれ、シート1の両表面に含まれることが好ましい。本発明のシート1において、第1樹脂層3と第2樹脂層4と第3樹脂層5の積層構造の具体例としては、
図1に示すような第3樹脂層5/第1樹脂層3/第2樹脂層4/第1樹脂層3/第3樹脂層5がこの順に積層された積層構造;
図2に示すような第3樹脂層5/第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4/第3樹脂層5がこの順に積層された積層構造;
図3に示すような第3樹脂層5/第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4/第3樹脂層5がこの順に積層された積層構造が挙げられる。以下、本発明のシート1を構成する各層について詳述する。
【0024】
[ガラス繊維布2]
本発明のシート1において、ガラス繊維布2は、後述する第1樹脂層3が含浸された状態で含まれる。本発明のシート1において、ガラス繊維布2は、該シートの不燃性の向上に寄与する。そして、ガラス繊維布2の屈折率は、後述する第1樹脂層3の屈折率と近似するように設定され、これにより、後述する本発明のシート1の全光線透過率80%以上、ヘーズ20%以下という構成にすることができる。換言すれば、上記本発明のシート1の全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と後述する第1樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。
【0025】
本発明のシート1において、ガラス繊維布2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布を形成している。ガラス繊維布2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。
【0026】
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。また、透明性を向上させる観点から、後述する、第1樹脂層3の屈折率と近似するガラス材料を選択することが好ましい。
【0027】
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維布2を形成できれば、特定のものに制限されない。ガラス繊維の番手としては、透明性をより一層向上するという観点から、好ましくは30tex以下が挙げられる。透明性をより一層向上させつつ、後述する第1樹脂層3の樹脂重量を減少させてシート1の不燃性をより向上させる観点から、上記ガラス繊維の番手は、3~30texが好ましく、10~30texがより好ましく、15~30texがさらに好ましい。
【0028】
シート1において、ガラス繊維布2の総質量(g/m2)と後述の第1樹脂層3の総質量(g/m2、ガラス繊維布2は除く。)との合計量(g/m2)に対する、シート1中のガラス繊維布2の総質量の割合(質量%)は、シート中の樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点から、20~60質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。また、シート1の全質量(g/m2)に対するシート1中のガラス繊維布2の総質量(g/m2)の割合(質量%)としては、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点から、10~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましく、20~35質量%がさらに好ましく、25~33質量%が特に好ましい。ガラス繊維布2の1枚あたりの質量(g/m2)は、特に制限されないが、10~150(g/m2)が好ましく、40~120(g/m2)がより好ましく、80~120(g/m2)がさらに好ましい。また、シート1中のガラス繊維布2の総質量(g/m2)としては、シート1の不燃性を向上させつつシート1の透明性をより一層向上させる観点から10~500(g/m2)が好ましく、100~300(g/m2)がより好ましく、150~250(g/m2)が特に好ましい。また、シート1中のガラス繊維布の合計枚数としては、1~6枚が挙げられ、優れた透明性と不燃性を維持しながら、取扱い性をより向上させる観点から、2~5枚が好ましく挙げられる。また、後述の第1樹脂層3の1層あたりに含まれるガラス繊維布2の枚数としては、1~3枚が挙げられ、1又は2枚が好ましく挙げられる。
【0029】
ガラス繊維布2と後述の第1樹脂層3の屈折率の差としては、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下が挙げられる。ガラス繊維布2の屈折率としては、好ましくは1.50~1.58程度、より好ましくは1.53~1.58程度、さらに好ましくは1.54~1.57程度が挙げられる。
【0030】
ガラス繊維布2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維布を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、後述する第1樹脂層3、及び第2樹脂層4の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、第1樹脂層3、又は第2樹脂層4を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
【0031】
ガラス繊維布2と第1樹脂層3とのアッベ数の差としては、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。ガラス繊維布2のアッベ数としては、30~80が好ましく、40~70がより好ましく、50~65がさらに好ましい。なお、第1樹脂層3及びガラス繊維布2のアッベ数は、それぞれ、次のように測定する。
【0032】
(第1樹脂層3のアッベ数)
第1樹脂層3を構成する樹脂を用いて、ガラス繊維布2が含まれていないシートを、ガラス繊維布2を含む場合と同じ条件で同じ厚みとして作製して試験片とする。試験片を幅8mm、長さ20mmとして表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(波長589nmの屈折率-1)/分散値 (I)
【0033】
(ガラス繊維布2のアッベ数)
ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚み5mmのガラスシートを作製し、表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、上記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
【0034】
ガラス繊維布2の1枚あたりの厚さとしては、シート1の不燃性を向上させつつシート1の透明性をより一層向上させる観点から、例えば10~150μm程度が挙げられ、40~120μmが好ましく挙げられ、80~100μm程度がより好ましく挙げられる。また、ガラス繊維布2は、第1樹脂層3によって効率的に含浸されやすくし、第1樹脂層に用いる樹脂重量を減少させる観点から、下記式(II)にて算出されるガラス体積率が30%以上であることが好ましく、40~60%がより好ましい。ガラス体積率は、例えば、ガラス繊維布に開繊処理を施すこと等により調整することができる。
【0035】
ガラス体積率(%)=(A/(B×C))×100 (II)
A:ガラス繊維布の質量(g/m2)
B:ガラス繊維布を構成するガラス材料の比重(g/m3)
C:ガラス繊維布の厚み(m)
【0036】
また、ガラス繊維2がガラス繊維織物として存在する場合、シート1の不燃性をより向上させる観点から、該ガラス繊維織物中の隣接する経糸の間の隙間が0.5mm以下及び/又は該ガラス繊維織物中の隣接する緯糸の間の隙間が0.5mm以下とすることが好ましい。なお、ガラス繊維織物中の隣接する経糸の間の隙間及び隣接する緯糸の間の隙間は、以下のように測定、算出する。
【0037】
<隣接する経糸の間の隙間及び隣接する緯糸の間の隙間の測定方法>
ガラス繊維織物を平面方向からマイクロスコープで観察し、隣接する経糸の間の隙間の間隔を任意に20ヶ所測定する。そして、当該20ヶ所の、隣接する経糸の間の隙間の間隔の平均値を、隣接する経糸の間の隙間の間隔(mm)とする。隣接する緯糸の間の隙間の間隔も同様におこない、得られた平均値を隣接する緯糸の間の隙間の間隔(mm)とする。
【0038】
また、ガラス繊維布2をガラス繊維織物とする場合、当該ガラス繊維織物の開口率としては、特に制限されないが、例えば40%以下が挙げられ、シート1の透明性と不燃性をより一層両立させる観点から、3~30%が好ましく挙げられる。また、開口率を15%以上30%以下とすること、20%を超え、27%以下とすることもできる。なお、開口率は、下記式(III)にて算出する。
【0039】
開口率(%)=(隣接する経糸の間の隙間の間隔(mm)×隣接する緯糸の間の隙間の間隔(mm))/[(25÷経糸密度(本/25mm))×(25÷緯糸密度(本/25mm))]×100 ・・・(III)
【0040】
(第1樹脂層3)
本発明のシート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2に含浸されており、フッ素樹脂以外の樹脂を含む樹脂組成物が硬化又は固化されて得られるものにより形成されている。また、後述の通り、第2樹脂層4は、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる。従って、少なくとも、第1樹脂層3と第2樹脂層4とが接面している場合には、第1樹脂層3の表面にはガラス繊維布2が露出しておらず、ガラス繊維布2は第1樹脂層3中に含まれている。前述のように、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2の屈折率と近似するように選択、設定され、これによりガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、後述する全光線透過率80%以上、ヘーズ20%以下という構成とすることができる。
【0041】
第1樹脂層3は、硬化樹脂組成物層又は熱可塑性樹脂組成物層とすることができる。硬化樹脂組成物層とする場合、硬化性樹脂を含む樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって樹脂組成物が硬化した硬化物(光硬化された樹脂組成物又は熱硬化された樹脂組成物)とすることができる。熱可塑性樹脂組成物層とする場合、熱可塑性樹脂組成物が乾燥、固化されることにより得られる、硬化物とすることができる。
【0042】
本発明のシート1は、第1樹脂層3の臭素及びケイ素の合計濃度が後述する第2樹脂層4の臭素及びケイ素の合計濃度より低いことが好ましい。これにより第1樹脂層3とガラス繊維布2の屈折率差をより小さくすることができ、かつ、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4を積層し、該第2樹脂層4として臭素及びケイ素の合計濃度が高い樹脂を用いることにより臭素及びケイ素の合計濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図ることが可能となる。
【0043】
本発明のシート1のヘーズをより一層低いものとする観点からは、第1樹脂層3中
の臭素及びケイ素の合計濃度としては、例えば、29質量%以下が挙げられ、28質量%以下が好ましく挙げられ、20質量%以下がより好ましく挙げられ、16.7質量%以下がさらに好ましく挙げられる。第1樹脂層3中の臭素濃度の下限としては、0質量%が挙げられる。すなわち、第1樹脂層3には臭素及びケイ素が含まれていなくてもよい。
【0044】
本発明において、上記臭素及びケイ素の濃度は、EDS分析により測定されるものである。具体的には、
図1~
図3に例示するような、シート1の厚さ方向の切断面を測定面とし、試料厚さ(すなわち、シート1の縦方向または横方向の長さ)が1cmとなるようにしたものを測定試料とし、装置として日本電子株式会社製商品名JSM-6390Aにて、測定する層の厚さ方向の中心付近にて任意に1点測定し、臭素濃度とケイ素濃度の値を測定する。
【0045】
本発明のシート1において、第1樹脂層3の臭素及びケイ素の合計濃度(質量%)と後述する第2樹脂層4の臭素及びケイ素の合計濃度(質量%)との差(=第2樹脂層4の該合計濃度-第1樹脂層3の該合計濃度)は、例えば、3質量%以上が挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点からは、3~50質量%が好ましく挙げられ、30~50質量%がさらに好ましく挙げられ、40~50質量%が特に好ましく挙げられる。
【0046】
第1樹脂層3の形成に用いられる硬化性樹脂としては、シート1の透明性をより一層向上させる観点から、第1樹脂層3と前述したガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。硬化性樹脂としては、硬化性樹脂組成物が光硬化性となるものが好ましく、例えば、ビニルエステル樹脂、臭素化ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、第3樹脂層5との接着性をより向上させるという観点から、硬化性アクリル樹脂がより好ましく、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものが特に好ましい。本発明において、アクリルシラップとは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの(メタ)アクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチルなどのアクリル単量体に溶解した重合性液状混合物をいう。上記アクリルシラップの中でも、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、及びメタクリル酸メチル/アクリル酸ノルマルブチル共重合体からなる群より選ばれる1種以上のアクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチル単量体に溶解したアクリルシラップが特に好ましい。このように、第1樹脂層3を、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものとする場合、フィルム層5との密着性がより向上するため、シート1の透明性がより一層向上するので好ましい。
【0047】
第1樹脂層3の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、シート1の透明性をより一層向上させる観点から、第1樹脂層3とガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。好ましい熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。例えば、ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としてEガラスを用いた場合、より一層両者の屈折率を近似させる観点からは、これらの中でもポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂などが好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、用いるガラス繊維の屈折率に近似させることなどを目的として、屈折率の異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明のシート1において、第1樹脂層3を熱可塑性樹脂組成物層とする場合、第1樹脂層3は、ゾル状または溶媒に溶解した熱可塑性樹脂組成物を含浸、固化(加熱による固化や、乾燥による固化)させたものであることが好ましい。
【0048】
第1樹脂層3を構成する樹脂組成物は、加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2をより越えないものとする観点から、リンを含有するものとすることができる。リンの含有形態としては、例えば、上記した樹脂のうち、置換基としてリン原子を導入した樹脂からなる樹脂組成物、又は上記した樹脂に公知のリン系難燃剤を添加した樹脂組成物とすることができる。リン系難燃剤としては、例えば、非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物、含ハロゲン縮合リン酸エステル化合物などの縮合型リン酸エステル化合物を含むものとすることが挙げられ、屈折率調整の観点から、非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物を含むことがより好ましい。また、リン酸エステル化合物のブリードアウトを一層抑制する観点から、分子量が420以上の縮合リン酸エステル化合物を含むものとすることがより好ましい。非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物としては、例えば1,3-フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)[RDP、分子量574.46]、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)[BDP、分子量692.64]、1,3-フェニレン ビス(ジキシレニル)ホスフェート[分子量686.67]、ビスフェノールAビス((ビスジメチルフェニル)ホスフェート)[分子量804.86]などが挙げられる。また、含ハロゲン縮合リン酸エステル化合物としては、例えば2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2クロロエチル)ホスフェート)[分子量582.99]などが挙げられる。これらのリン酸エステル化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
また、第1樹脂層3を構成する樹脂組成物は、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤を含有することができる。
【0050】
また、第1樹脂層3を構成する樹脂組成物は、硬化促進剤、紫外線吸収剤、充填剤、光重合開始剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6,-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。中でも、第1樹脂層3として硬化性アクリル樹脂を用いる場合は、透明性向上の観点から、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンが好ましい。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第1樹脂層3が添加物を含有する場合、その含有量としては、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.1~3質量%が挙げられる。
【0051】
本発明のシート1において、第1樹脂層3の樹脂組成物の総質量(ガラス繊維布2
を除く質量)としては、例えば、20~300g/m2が挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、不燃性がより優れたものとすることとの両立をより一層図る観点から、100~300g/m2が好ましく挙げられ、150~250g/m2がより好ましく挙げられ、170~220g/m2が特に好ましく挙げられる。また、第1樹脂層3の1層あたりの厚さ(ガラス繊維布2を含む状態の厚さ)としては、例えば、50~200μmが挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、不燃性がより優れたものとすることとの両立をより一層図る観点から、80~170μmが好ましく挙げられ、80~135μmがより好ましく挙げられる。
【0052】
本発明のシート1において、第1樹脂層3の屈折率としては、好ましくは1.50~1.58程度、より好ましくは1.53~1.58程度、さらに好ましくは1.54~1.57程度が挙げられる。
【0053】
(第2樹脂層4)
本発明のシート1において、第2樹脂層4は、ガラス繊維布2に含浸されない状態
で含まれ、フッ素樹脂以外の樹脂を含む。そして、第2樹脂層4における臭素及びケイ素の合計濃度が30質量%以上である。本発明のシート1においては、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3と、これとは別にガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4とを積層し、該ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4として、臭素及びケイ素の合計濃度の高い樹脂を用いる。これにより、本発明のシート1は、臭素及びケイ素の合計濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができる。
【0054】
本発明のシート1の、第2樹脂層4中の臭素及びケイ素の合計濃度としては、総発熱量をより一層抑制しつつ樹脂重量をより一層大きいものとする観点から、例えば、31質量%以上が好ましく、35質量%が好ましく挙げられる。上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下、又は55質量%以下が挙げられる。また、第2樹脂層4中の臭素濃度としては、総発熱量をより一層抑制しつつ樹脂重量をより一層大きいものとする観点から、例えば、31質量%以上が好ましく、35質量%が好ましく挙げられる。上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下、又は55質量%以下が挙げられる。また、第2樹脂層4中のケイ素濃度としては、総発熱量をより一層抑制しつつ樹脂重量をより一層大きいものとする観点から、例えば、31質量%以上が好ましく、35質量%が好ましく挙げられる。上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下、又は55質量%以下が挙げられる。別の観点として、本発明のシートは、第2樹脂層中の臭素濃度又はケイ素濃度が30%以上とすることができ、35質量%が好ましく挙げられる。第2樹脂層中の臭素濃度又はケイ素濃度の上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下、又は55質量%以下が挙げられる。
【0055】
第2樹脂層4に臭素を含ませる方法としては、例えば、第2樹脂層4を構成する樹脂を置換基として臭素原子を含有する樹脂とする方法、臭素原子を含む難燃剤を硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂中に添加した樹脂組成物とする方法等が挙げられる。
【0056】
上記置換基として臭素原子を含有する樹脂としては、置換基として臭素原子を含有する硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。置換基として臭素原子を含有する硬化性樹脂としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ビニルエステル樹脂、臭素化不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、置換基として臭素原子を含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリウレタン樹脂、臭素化ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0057】
上記臭素原子を含む難燃剤としては、例えば、デカブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイドなどのフェニルオキサイド系難燃剤等が挙げられる。上記難燃剤を含有させる樹脂としては、置換基として臭素原子を含有する樹脂や、上記第1樹脂層3で例示した硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0058】
第2樹脂層4にケイ素を含ませる方法としては、例えば、第2樹脂層4を構成する樹脂を主鎖又は置換基としてケイ素原子を含有する樹脂とする方法、ケイ素原子を含む難燃剤を硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂中に添加した樹脂組成物とする方法等が挙げられる。
【0059】
主鎖又は置換基としてケイ素原子を含有する樹脂としては、透明なシリコーン樹脂が挙げられる。また、ケイ素原子を含む難燃剤としては、例えば、RSiOを含む化合物が挙げられ、Rは例えば、フェニル基、キシリル基等のアリール基、メチル基、プロピル基等のアルキル基、また、アルケニル基等がある。一般的に、ポリオルガノシロキサン類として知られている。
【0060】
本発明のシート1において、第2樹脂層4の総質量としては、例えば、100~300g/m2が挙げられ、160~250g/m2が好ましく挙げられる。また、第2樹脂層4の1層あたりの厚さとしては、例えば、50~200μmが挙げられ、120~150μmが好ましく挙げられる。
【0061】
本発明のシート1において、ガラス繊維布2と第2樹脂層4との屈折率差としては、0.03以上が挙げられ、0.03~0.2が挙げられる。また、第1樹脂層3と第2樹脂層との屈折率さとしては、0.03以上が挙げられ、0.03~0.2が挙げられる。
【0062】
また、本発明のシート1の透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図りつつ、さらには、シート1の樹脂重量を高めて、機械的強度を効果的に高める観点から、第1樹脂層3及び第2樹脂層4を構成している樹脂の合計含有量(シート1に含まれる全ての第1樹脂層3(ガラス繊維布2の質量は除く。)と第2樹脂層4における合計)としては、好ましくは200g/m2以上、より好ましくは300g/m2以上、さらに好ましくは350g/m2以上が挙げられる。なお、当該合計含有量の上限としては、例えば、600g/m2以下、好ましくは500g/m2以下、より好ましくは420g/m2以下が挙げられる。
【0063】
本発明のシート1の透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図りつつ、さらには、シート1の樹脂重量をより高めて、機械的強度をより効果的に高める観点から、第1樹脂層4の総質量(ガラス繊維布2の質量は除く。)と第2樹脂層4の総質量との比(第1樹脂層の総質量/第2樹脂層の総質量)は、0.5~3が好ましく挙げられ、0.8~1.3がより好ましく挙げられる。
【0064】
[第3樹脂層5]
本発明のシート1は、フッ素樹脂を含む第3樹脂層5を一方の表面に含む。これにより、シート1に耐候性を付与することができる。
【0065】
本発明において、フッ素樹脂とは、少なくとも1種の含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体(単独重合体又は共重合体)であり、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組わせて使用してもよい。これらのフッ素樹脂の中でも、本発明のシート1により一層優れた透明性を備えさせるという観点から、PCTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDFからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含むことが好ましく、耐候性や柔軟性の観点からはETFE及びPVDFがより好ましい。
【0066】
第3樹脂層5と第1樹脂層3又は第2樹脂層4との接着性を向上させる観点から、第3樹脂層5は、PVDFとアクリル樹脂を含むものであることが好ましい。該アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂等を挙げることができる。中でも、光硬化性樹脂層3との接着性をより一層向上させるという観点から、PMMAが好ましい。
【0067】
PVDFによる耐候性と、アクリル樹脂による光硬化性樹脂層3との接着性とをより一層発揮する観点から、第3樹脂層5は、PVDFリッチ面(すなわち、PVDF含有量が51質量%以上)とアクリル樹脂リッチ面(すなわち、アクリル樹脂含有量が51質量%以上)とを含み、かつ、光硬化性樹脂層3との接着する面が前記アクリル樹脂リッチ面である、ことが好ましい。上記PVDFリッチ面におけるPVDFとアクリル樹脂の質量比(PVDF:アクリル樹脂)としては、例えば、51:49~95:5が好ましく挙げられ、60:40~90:10がより好ましく挙げられる。また、上記アクリル樹脂リッチ面におけるPVDFとアクリル樹脂の質量比(PVDF:アクリル樹脂)としては、例えば、5:95~49:51が好ましく挙げられ、10:90~40:60がより好ましく挙げられる。上記のように、第3樹脂層5を、PVDFリッチ面(すなわち、PVDF含有量が51質量%以上)とアクリル樹脂リッチ面(すなわち、アクリル樹脂含有量が51質量%以上)とを含むものとする方法としては、例えば、PVDFとアクリル樹脂とのアロイであって、PVDFの含有量が51質量%以上であるシートAと、アクリル樹脂の含有量が51質量%以上であるシートBとを用意し、該シートAと該シートBとを接合させる方法が挙げられる。
【0068】
第3樹脂層5は、分光光度計により測定される波長380nmの透過率が30%以下が好ましく、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。これにより、第1樹脂層3又は第2樹脂層4の紫外線による変色等変質を防ぎ、長期間屋外で使用した場合の透明性の維持を図ることができる。該透過率は、具体的には、分光光度計 株式会社日立ハイテクサイエンス製商品名U-4000を使用し、測定されるものである。
【0069】
第3樹脂層5を、上記透過率とするには、第3樹脂層5を構成する樹脂組成物に紫外線遮蔽剤を含有させることが挙げられる。なお、該紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤も含まれる。
【0070】
紫外線遮蔽剤としては、前述した紫外線遮蔽剤に加え、例えば、金属系紫外線遮蔽剤、金属酸化物系紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤等が挙げられ、透明性をより向上するという観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤が好ましい。第3樹脂層5における紫外線遮蔽剤の含有量(質量%)としては特に制限されないが、例えば、1~10質量%が挙げられ、3~8質量%が挙げられる。これら紫外線遮蔽剤は、第3樹脂層5中に練り込んでもよいし、第3樹脂層5の表面に塗布してもよい。
【0071】
第3樹脂層5の1層あたりの質量としては、特に制限されるものではないが、透明性及び強度をより両立させるという観点から、例えば、22~200g/m2が好ましく、30~100g/m2がより好ましく、50~90g/m2がさらに好ましい。また、第3樹脂層5の1層あたりの厚さとしては、特に制限されるものではないが、例えば、15~150μmが好ましく、22.5~75μmがより好ましく、35~70μmがさらに好ましい。
【0072】
また、第3樹脂層5の1層あたりの全光線透過率としては、85%以上が好ましく挙げられ、85~98%がより好ましく挙げられ、90~96%がさらに好ましく挙げられる。また、第3樹脂層5の1層あたりのヘーズとしては、15%以下が好ましく挙げられ、1~10%がより好ましく挙げられ、2~8%がさらに好ましく挙げられる。なお、上記第3樹脂層5の全光線透過率は JIS K7361-1:1997、ヘーズは、JIS K7136:2000に準じて測定し得られる値である。
【0073】
(シート1の物性)
本発明のシート1は、全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下である。前述のように、上記本発明のシート1の全光線透過率が80%以上、ヘーズが20%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。上記全光線透過率としては、好ましくは90%以上が挙げられる。また、上記ヘーズとしては、10%以下が好ましく挙げられる。シート1の、全光線透過率はJIS K7361-1 1997、ヘーズはJIS K 7136:2000に準じて測定して得られる値である。
【0074】
本発明のシート1の厚さとしては、300~800μm、好ましくは450~600μmが挙げられる。また、本発明のシート1の質量としては、500~1000g/m2が挙げられ、600~900g/m2が好ましく挙げられる。また、シート1中の樹脂の総質量は、例えば、300~700g/m2が挙げられ、400~700g/m2が好ましく挙げられ、450~600g/m2がより好ましく挙げられる。
【0075】
本発明のシート1は、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。さらに、本発明のシート1は、上記発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないことが好ましい。
【0076】
なお、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」については、具体的には、以下に示す試験体、試験装置及び試験条件に記載の内容に従って行われる。
【0077】
(1)試験体(シート)の個数は3個とする。
(2)試験体の形状及び寸法は、1辺の大きさが99mm±1mmの正方形とする。
[試験装置]
(1)使用する試験装置の概略図を
図4に示す。試験装置は、円錐状に形作られた輻射電気ヒーター、点火用プラグ、輻射熱遮蔽板、試験体ホルダー、ガス濃度分析装置及びガス流量の測定のできる排気システム、熱流計等で構成される。
(2)輻射電気ヒーターは、50kW/m
2の輻射熱を試験体表面に均一な照射が安定してできるものとする。
(3)輻射熱遮蔽板は、試験開始前の輻射熱から試験体を保護できるものとする。
(4)試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図を
図5に示す。試験体ホルダーは、外寸で1辺106mm±1mmの正方形で、深さが25mm±1mmの大きさで、厚さが2.15mm±0.25mmのステンレス鋼製で、上部には1辺94.0mm±0.5mmの正方形の開口を中央部に設けるものとする。押さえ枠は、内寸で1辺111mm±1mmの正方形で、深さが54mm±1mmのステンレス鋼製とする。
(5)排気システムは、試験温度で有効に機能する遠心式排気ファン、フード、通風口、排気ダクト、オリフィスプレート流量メータ等を備えているものとする。フード下端部と試験体表面との距離は、210mm±50mmとし、その状態での排気システムの排気装置は、標準温度と標準圧力に換算した流量が0.024m
3/s以上であることとする。排気流量の測定のために、内径57mm±3mmのオリフィスをフードとダクトの間に設ける。排気ガス採取を目的として、12個の直径2.2mm±0.1mmの穴のあるリングサンプラーをフードから685mm±15mmの位置に、穴が流れと反対の方向に向くように取り付ける。又、排気ガスの温度を、オリフィスから上流100mm±5mmの位置の排気ダクトの中心部で測定する。オリフィスは、流量の測定に影響を及ぼさない位置に設置する。
(6)ガス分析装置は、排気ガス中の酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の濃度を連続的に正確に測定できるものとする。
(7)点火用プラグは、10kVの変圧器あるいは誘導式コイルシステム等から電力を供給できるものとする。スパークの電極間距離は、3mm±0.5mmとし、電極の位置を原則として試験体の中心軸上13mm±2mmとする。
(8)熱流計は、100kW/m
2±10kW/m
2まで測定可能なシュミット・ボルダー型を用いる。熱流計の熱感知部は、直径12.5mmの円形で、表面の輻射率は0.95±0.05であるものとする。
[試験条件]
(1) 試験時間は、試験体表面に輻射熱が照射され、同時に電気スパークが作動してから、20分とする。ただし、明らかに燃焼が持続しなくなった時には、測定を終了することができるものとする。
(2) 試験体は、側面と裏面を厚さ0.025mm以上、0.04mm以下のアルミニウムはくで包んで押さえ枠に入れ、さらに裏面側に無機繊維(公称厚さ13mm、密度65kg/m
3)を充填してから、試験体ホルダーに押し込むものとする。
(3) 試験中は、輻射電気ヒーターから試験体の表面に50kW/m
2の輻射熱を照射する。
(4) 排気ガス流量を0.024m
3/s±0.002m
3/sに調節する。
(5) 試験開始までは、輻射熱遮蔽板によって、試験体が輻射熱を受けないようにする。
(6) 輻射熱遮蔽板を移動する前に、点火用プラグを所定の位置に設定する。
[測定]
(1) 酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素の濃度を5秒以内の間隔で測定する。
(2) 以下に示す手法で、単位面積当たりの発熱速度(kW/m
2)を算出し、更に単位面積当たりの総発熱量(MJ/m
2)を加熱開始から終了までの時間の発熱速度を累積することにより算出する。
【0078】
発熱速度(q)は、次の式に従って算出する。
【0079】
【0080】
ここで、
V298=C(Δp・Te)1/2/350(:25℃におけるダクト内流量)
E=17.2×103kJ/m3
X0
O2:1分間のベースライン測定による酸素濃度の平均値
XO2:酸素濃度の実測値
単位面積当たりの発熱速度(q”)は、
q”=q/As
ここで、
As:試験体の初期の暴露面積(0.0088m2)。
C(オリフィス係数)は、規定の排気流速の下で、本測定で発熱速度がqb=5kW±0.5kWに相当する流量のメタンを燃焼させた際の酸素濃度(XO2)及び差圧(△p)から次の式で計算する。
C=qb/(△hc/ro×1.10)(Te/△p)1/2(1.105-1.5XO2)/(0.2095-XO2)
ここで、
qb:供給されるメタンの発熱速度
△hc/ro:メタンの場合は12.54×103kJ/kg
Te:排気ダクト内のガス温度(2方向ピトー管の付近で計測した値)
【0081】
(本発明のシート1の製造方法)
本発明のシート1の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維
布2に第1樹脂層3が含浸された状態で含まれる中間体1を調製する第1工程、前記中間体1に第2樹脂層4を積層して中間体2を調製する第2工程、前記中間体2に第3樹脂層5を積層する第3工程、を含むものとすることができる。以下、
図1に示
す積層構造とする場合の一例について説明する。
【0082】
前記第1工程について、第1樹脂層3を構成する樹脂が硬化性樹脂である場合を挙げて説明する。前記第1工程では、先ず、ガラス繊維布2と、第1樹脂層3とする未硬化の硬化性樹脂組成物を準備する。該未硬化の硬化性樹脂組成物を工程フィルム(例えばPETフィルム等)に塗布し、該塗布した未硬化の硬化性樹脂組成物の上にガラス繊維布2を載せ、ガラス繊維布2に未硬化の硬化性樹脂組成物を含浸させる。次いで、もう1枚工程フィルム(例えばPETフィルム等)を該ガラス繊維布2に含浸された未硬化の硬化性樹脂組成物の上に載せ、該工程フィルムBの上からローラで加圧し第1樹脂層3の質量を調整する。その後、工程PETフィルムBを透して第1樹脂層3とする未硬化の硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプを用いて光照射して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程フィルムのいずれか一方(本例では便宜上工程フィルムA)を剥離して、工程フィルムB/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3の積層構造である中間体1を得ることができる。該中間体1は2枚準備する。
【0083】
前記第2工程について、第2樹脂層4を構成する樹脂が硬化性樹脂である場合を挙げて説明する。前記第2工程では、第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂を準備し、該未硬化の硬化性樹脂を、前記第1工程で得られた中間体1の第1樹脂層3面側に塗布する。次に、該第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂の上に、前記得られた中間体1のもう一方を、第1樹脂層3側が該第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂側となるように載せ、該もう一方の中間体1の上からローラで加圧し第2樹脂層4の質量を調整する。その後、該もう一方の中間体1を透して第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプを用いて光照射して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第2樹脂層4を形成、積層する。そして、第2樹脂層4の両表面にある工程フィルムBを剥離することにより、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である、中間体2を得ることができる。
【0084】
前記第3工程について、前記第2工程で得られた中間体の両面に第3樹脂層5とするフッ素樹脂フィルムを積層し、加熱プレス機で、加熱加圧することによって接着し、第3樹脂層5/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/第3樹脂層5、の積層構造である、シート1を得ることができる。
【0085】
(本発明のシート1の用途)
本発明のシート1は、透明性及び不燃性に優れているため、建築物の屋根材、膜材料、膜天井、照明カバー等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0086】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0087】
ガラス繊維布2に含浸させる、第1樹脂層3を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、アクリルシラップ(株式会社菱晃製商品名「アクリシラップXD-8005」(屈折率1.550))、非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物であるRDP(株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブPFR」)及び光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物(質量比(アクリルシラップ:非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物:光重合開始剤)=70:30:3)、臭素化ビニルエステル(日本ユピカ株式会社製商品名ネオポール8197)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本ユピカ株式会社製、分子量212)及び光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物(質量比(臭素化ビニルエステル:ネオペンチルグリコールジアクリレート:光重合開始剤)=67:33:3)を使用した。ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる、第2樹脂層4を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、臭素化ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製商品名ネオポール8197)及び光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物、両面に離形PETフィルムが積層されたシリコーン樹脂粘着材(ニッパ株式会社製商品名NSH-50厚さ50μm)を使用した。光重合開始剤の量は、臭素化ビニルエステル樹脂100質量部に対して3質量部とした。第3樹脂層5としては、PVDFとアクリル樹脂とを含むシート(PVDFとPMMAとのアロイであって、PVDFの含有量が80質量%、PMMAの含有量が20質量%であるシートAと、PVDFの含有量が20質量%、PMMAの含有量が80質量%であるシートBとが接合されてなるシート(デンカ株式会社製、商品名「デンカDXフィルム DX-14S0250」、厚さ50μm、質量68g/m2、波長380nmでの透過率10%、全光線透過率(JIS K 7105:1981)92%、ヘーズ(JIS K 7105:1981)5%)を使用した。
【0088】
<実施例1>
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECE225 1/0 1Z」(平均フィラメント径7.0μm、平均フィラメント本数200本、撚り数1.0Z、番手22.5tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が60本/25mm、緯糸密度が57本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を施し、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度60本/25mm、緯糸密度57本/25mm、厚さ90μm、質量105g/m2、屈折率1.561であった。ガラス繊維織物中の隣接する経糸の間の隙間及びガラス繊維織物中の隣接する緯糸の間の隙間は0.5mm以下であった。当該ガラス繊維織物は2枚準備した。
【0089】
(第1樹脂層3の形成)
工程フィルムとして使用されるPETフィルムの一方の面上に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を1枚載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、工程フィルムとして使用されるPETフィルムをもう1枚該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が105g/m2となるように加圧した。その後、工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、中間体1を得た。得られた中間体1において、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該中間体1は2枚準備した。
【0090】
(第2樹脂層4の積層)
上記得られた中間体1のうち1枚の一方の面に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた中間体1のうち、もう一方を載せ、当該もう一方の中間体1の上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が184g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の中間体1を透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である、中間体2を得た。
【0091】
(第3樹脂層5の積層)
次に、得られた中間体2を前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも中間体2と接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、中間体2と、PVDFとアクリル樹脂とを含むシートと、を接着させることにより、第3樹脂層5/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/第3樹脂層5の積層構造である、本発明のシートを得た。
【0092】
<実施例2>
(ガラス繊維布の準備)
実施例1で準備したガラス繊維織物と同一のガラス繊維織物を2枚準備した。
【0093】
(第1樹脂層3の形成)
工程フィルムとして使用されるPETフィルムの一方の面上に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を2枚載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、工程フィルムとして使用されるPETフィルムをもう1枚該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が180g/m2となるように加圧した。その後、工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、中間体1を得た。得られた中間体1において、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。
【0094】
(第2樹脂層4の積層)
前述のシリコーン樹脂粘着材の離形フィルムを両面剥離し、上記得られた中間体12枚で挟み、プレス機でプレス厚10kgf/cm2、時間1分の条件でプレスし、ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4、の積層構造である、中間体2を得た。
【0095】
(第3樹脂層5の積層)
次に、得られた中間体2を前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも中間体2と接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、中間体2と、PVDFとアクリル樹脂とを含むシートと、を接着させることにより、第3樹脂層5/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/第3樹脂層5、の積層構造である、本発明のシートを得た。
【0096】
<実施例3>
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「D450 1/0 1Z」(平均フィラメント径5.0μm、平均フィラメント本数200本、撚り数1Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が59本/25mm、緯糸密度が47本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、ガラス繊維2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、厚さ60μm、質量50g/m2、屈折率1.561であった。ガラス繊維織物中の隣接する経糸の間の隙間及びガラス繊維織物中の隣接する緯糸の間の隙間は0.5mm以下であった。当該ガラス繊維織物は4枚準備した。
【0097】
(第1樹脂層3の形成)
工程フィルムとして使用されるPETフィルムの一方の面上に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を2枚載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、工程フィルムとして使用されるPETフィルムをもう1枚該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が120g/m2となるように加圧した。その後、工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、中間体1を得た。得られた中間体1において、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該中間体1は2枚準備した。
【0098】
(第2樹脂層4の積層)
上記得られた中間体1のうち1枚の一方の面に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた中間体1のうち、もう一方を載せ、当該もう一方の中間体1の上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が136g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の中間体1を透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である、中間体2を得た。
【0099】
(第3樹脂層5の積層)
次に、得られた中間体2を前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも中間体2と接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、中間体2と、PVDFとアクリル樹脂とを含むシートと、を接着させることにより、第3樹脂層5/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/第3樹脂層5の積層構造である、本発明のシートを得た。
【0100】
<実施例4>
(ガラス繊維布の準備)
実施例1で準備したガラス繊維織物と同一のガラス繊維織物を2枚準備した。
【0101】
(第1樹脂層3の形成)
工程フィルムとして使用されるPETフィルムの一方の面上に、第1樹脂層3とする表1に記載の臭素化ビニルエステルからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を2枚載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の臭素化ビニルエステルからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、工程フィルムとして使用されるPETフィルムをもう1枚該臭素化ビニルエステルからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が200g/m2となるように加圧した。その後、工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とする臭素化ビニルエステルからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、中間体1を得た。得られた中間体1において、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、臭素化ビニルエステルからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。
【0102】
(第2樹脂層4の積層)
前述のシリコーン樹脂粘着材の離形フィルムを両面剥離し、上記得られた中間体12枚で挟み、プレス機でプレス厚10kgf/cm2、時間1分の条件でプレスし、ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4、の積層構造である、中間体2を得た。
【0103】
(第3樹脂層5の積層)
次に、得られた中間体2をPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも中間体2と接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、中間体2と、PVDFとアクリル樹脂とを含むシートと、を接着させることにより、第3樹脂層5/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/第3樹脂層5、の積層構造である、本発明のシートを得た。
【0104】
なお、実施例及び比較例において、ガラス繊維布の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維布の厚みは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維布の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。ガラス繊維布2、第1樹脂層3、第2樹脂層4の屈折率は、前述の方法で測定及び算出した。ガラス繊維布2及び第1樹脂層3のアッベ数は、上記の方法で測定及び算出した。以下の評価は、シート1の製造後、1週間室内で放置してから行った。
【0105】
臭素濃度及びケイ素濃度は、前述した方法にて測定した。
【0106】
シート1の全光線透過率及びヘーズ、並びに、シート1の、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験における、総発熱量(MJ/m2)及び発熱速度200kW/m2を超える時間(S)は、前述の方法にて測定、算出した。また、貫通孔の有無は、上記「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従い、加熱開始後20分間後のシートについて判定した。
【0107】
各評価結果を表1に示す。
【0108】