(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ウェアラブルカメラシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230613BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230613BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230613BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20230613BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20230613BHJP
【FI】
H04N23/60 300
G08B25/00 510M
H04N7/18 D
H04N23/65 100
H04N23/66
(21)【出願番号】P 2019152757
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 準一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037964(JP,A)
【文献】特開2019-021996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
G08B 25/00
H04N 7/18
H04N 23/65
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警官により装着されるウェアラブルカメラと、警察署により管理される警察署サーバとが通信可能に接続されるウェアラブルカメラシステムであって、
前記ウェアラブルカメラは、
外部記憶装置あるいは警察署により管理される警察署サーバとの間で広域通信網を用いた広域無線通信を実行可能であり、
前記警官により所持される携帯端末との間で近距離無線通信を行い、
前記警官の前方の被写体の撮像映像データに映る特徴的オブジェクトのメタデータを抽出し、
所定のタイミングに、前記広域無線通信の使用を許可し、前記被写体の撮像映像データと対応する前記メタデータとを外部記憶装置に送信し、
前記警察署サーバは、
前記撮像映像データと前記メタデータとを前記外部記憶装置から取得し、前記メタデータに基づいて、前記広域無線通信の使用指示を、前記携帯端末を介して前記ウェアラブルカメラに送信し、
前記ウェアラブルカメラは、
前記警察署サーバから、前記携帯端末を介して送られた前記広域無線通信の使用指示に応じて、前記広域無線通信の使用を許可し、前記被写体の撮像映像データを前記広域無線通信により前記警察署サーバに送信する、
ウェアラブルカメラシステム。
【請求項2】
前記広域無線通信は、LTE(Long Term Evolution)通信である、
請求項1に記載のウェアラブルカメラシステム。
【請求項3】
前記
ウェアラブルカメラは、前記撮像映像データの送信後に、前記広域無線通信の使用を不許可する、
請求項1
又は2に記載のウェアラブルカメラシステム。
【請求項4】
前記近距離無線通信は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信である、
請求項
1~3のうちいずれか一項に記載のウェアラブルカメラシステム。
【請求項5】
前記ウェアラブルカメラは、
前記被写体の撮像映像データと対応する前記メタデータの蓄積完了応答を前記外部記憶装置から受信すると、前記外部記憶装置との間の前記広域無線通信を不許可に設定し、
前記警察署サーバから前記広域無線通信の使用指示を受信すると、前記広域無線通信の不許可を許可に設定する、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載のウェアラブルカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブルカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが出先でスマートフォン等の多機能型携帯端末装置を通じて、被監視拠点のそれぞれのセキュリティ端末機器の状態を確認しながら、セキュリティ端末機器の設定変更および威嚇制御を行う技術が開示されている。具体的には、被監視拠点に、セキュリティ端末機器としてパッシブセンサ、シャッターセンサ、赤外線センサ、出入管理機器、威嚇霧噴射装置、威嚇ライト、マイク付Webカメラ、威嚇スピーカがルータに接続され、インターネット網および携帯電話網を介して多機能型携帯端末装置に接続される。この多機能型携帯端末装置は、パッシブセンサ、シャッターセンサ、赤外線センサからの検出信号をモニタし、不法侵入等の異常が検出された場合、対応する出入管理機器、威嚇霧噴射装置、威嚇ライト、マイク付Webカメラ、威嚇スピーカを作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、警官あるいは警備員の業務を効率的に支援するために、定常的なパトロール時または緊急事態(例えば事件現場に急行する時)には警官にウェアラブルカメラを装着させる運用が推進されている。以下、説明を分かり易くするために、警官の業務を例示して説明するが、警官ではなく警備員等のユーザの業務に適用しても構わない。ウェアラブルカメラは、電源としてのバッテリを内蔵するが、使用中(例えばパトロール中あるいは緊急時)には被写体の撮像を常に行う。このため、途中でバッテリが切れて撮像ができなくなるという事態が生じないように、バッテリの消費電力が必要以上に大きくならないように技術的に配慮する必要があった。特許文献1では前述した技術的配慮に関する開示はなされていない。
【0005】
一方で、ウェアラブルカメラにより撮像された映像(以下、「撮像映像」という)によれば、警官の位置の周辺状況の早期把握が可能となるため、ウェアラブルカメラの撮像映像は警察署の事件等の解析官にとって貴重な情報源となっている。このような撮像映像はできるだけいち早くウェアラブルカメラから警察署に配信されることが望まれる。したがって、バッテリの消費電力が必要以上にならないように配慮しながらも、ウェアラブルカメラの撮像映像を効果的に配信することが求められるという点において、従来技術には改善の余地があると考えられる。
【0006】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、内蔵されるバッテリの消費電力の増大を抑制し、警官の業務に関するイベントの発生に応じてウェアラブルカメラの撮像映像データを警察署に適応的に配信するウェアラブルカメラシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
また、本開示は、警官により装着されるウェアラブルカメラと、警察署により管理される警察署サーバとが通信可能に接続されるウェアラブルカメラシステムであって、前記ウェアラブルカメラは、外部記憶装置あるいは警察署により管理される警察署サーバとの間で広域通信網を用いた広域無線通信を実行可能であり、前記警官により所持される携帯端末との間で近距離無線通信を行い、前記警官の前方の被写体の撮像映像データに映る特徴的オブジェクトのメタデータを抽出し、所定のタイミングに、前記広域無線通信の使用を許可し、前記被写体の撮像映像データと対応する前記メタデータとを外部記憶装置に送信し、前記警察署サーバは、前記撮像映像データと前記メタデータとを前記外部記憶装置から取得し、前記メタデータに基づいて、前記広域無線通信の使用指示を、前記携帯端末を介して前記ウェアラブルカメラに送信し、前記ウェアラブルカメラは、前記警察署サーバから、前記携帯端末を介して送られた前記広域無線通信の使用指示に応じて、前記広域無線通信の使用を許可し、前記被写体の撮像映像データを前記広域無線通信により前記警察署サーバに送信する、ウェアラブルカメラシステムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、内蔵されるバッテリの消費電力の増大を抑制でき、警官の業務に関するイベントの発生に応じてウェアラブルカメラの撮像映像データを警察署に適応的に配信できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステムのシステム構成例を示す概要説明図
【
図2】ウェアラブルカメラのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図3】車載PCおよびクライアントPCのそれぞれのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図4】コモントリガーボックスのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図5】本部サーバのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図6】実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステムの撮像映像データの配信に関する第1動作例を時系列に示すシーケンス図
【
図7】実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステムの撮像映像データの配信に関する第2動作例を時系列に示すシーケンス図
【
図8】実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステムの撮像映像データの配信に関する第3動作例を時系列に示すシーケンス図
【
図9】クライアントPCでの再生表示画面例を示す図
【
図10】実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステムの撮像映像データの配信に関する第4動作例を時系列に示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るウェアラブルカメラ、ウェアラブルカメラシステムおよび映像配信方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0020】
図1は、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1のシステム構成例を示す概要説明図である。ウェアラブルカメラシステム1は、現場(Field)で使用される各種の機器と、警察署(Police Station)内に配置される各種の機器とがネットワークNW1を介して通信可能に接続された構成である。また、ウェアラブルカメラシステム1は、オンラインストレージOST1を更に含む構成としてもよい。ネットワークNW1は、無線通信網であり、例えばインターネット網、イントラネット網、あるいは携帯電話網等の広域無線通信網である。但し、ネットワークNW1は、有線通信網であっても構わない。
【0021】
現場で使用される各種の機器は、
図1に示すように、現場に到着した警官(ユーザの一例)が装着するウェアラブルカメラ10と、警官が警察署との連絡用に所持するスマートフォン40(携帯端末の一例)と、現場に到着したパトロールカー等の警察車両VC1内に搭載される車載カメラシステム50とを含む。
【0022】
ウェアラブルカメラ10は、警官の制服に装着され、警官の前方の状況(例えば現場の状況)を被写体として撮像する。ウェアラブルカメラ10は、BWC(Body Worn Camera)と称されることがある。現場は、例えば事件が発生した地点、あるいは被疑者が存在するあるいは立てこもっている地点である。ウェアラブルカメラ10は、プレ録画(つまり、一定時間分(例えば3分)の撮像映像データをバッファリング)するとともに、撮像映像データを記憶部15(
図2参照)に記録(つまり録画)する。また、ウェアラブルカメラ10は、詳細は後述するが、広域無線通信(例えばLTE(Long Term Evolution)通信)を実行可能であり、必要なタイミングにLTE通信により撮像映像データを、ネットワークNW1を介して本部サーバに送信する。
【0023】
また、ウェアラブルカメラ10は、スマートフォン40との間で近距離無線通信を実行可能である。ここで、近距離無線通信は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Enery)通信、あるいはWifi(登録商標)等の無線LAN通信である。BLE通信および無線LAN通信は、LTE通信に比べてウェアラブルカメラ10の消費電力量が少ないので、近距離内に位置するウェアラブルカメラ10、スマートフォン40間の無線通信には好適である。なお、ウェアラブルカメラ10の被写体は、単に人物だけではなく、周囲の車両、事件の現場の様子、現場の近くに群がる群衆(いわゆる野次馬)を含んでよい。
【0024】
スマートフォン40は、電話機能および無線通信機能(例えばLTE等の広域無線通信を用いた本部サーバとの通信)を有し、例えば警察署からの緊急連絡あるいは警察署への緊急連絡時に使用される。また、スマートフォン40は、ウェアラブルカメラ10との間で近距離無線通信(上述参照)を実行可能である。スマートフォン40は、警官の操作に従って、ウェアラブルカメラ10あるいは車載カメラ51から送られた撮像映像データを表示して再生したり、その撮像映像データに属性情報を付与する等の編集をしたりする。属性情報は、例えば、撮像映像の内容を直接的あるいは間接的に示唆する事件種別であってよい。なお、スマートフォン40は、テザリング機能を有してもよく、このテザリング機能を用いて、ウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のそれぞれから送られた撮像映像データを、ネットワークNW1を介して広域無線通信(例えばLTE通信)により本部サーバに送信してもよい。
【0025】
車載カメラシステム50は、ICV(In Car Video)システムとも称され、1以上の車載カメラ51と車載PC52と車載レコーダ53とを有する。車載カメラシステム50は、警察車両VC1が到着した現場の状況を車載カメラ51により撮像し、撮像映像データを車載レコーダ53に記録(つまり録画)する。車載カメラ51と車載PC52と車載レコーダ53とは、それぞれ通信が可能に有線で接続されるが、無線で接続されても構わない。また、車載カメラシステム50(例えば車載レコーダ53)とウェアラブルカメラ10とは、通信可能に有線(例えばUSB(Universal Seial Bus)対応のUSBケーブル)で接続されてもよい。また、車載カメラシステム50は、警察車両VC1に搭載されるコモントリガーボックス54を更に含む構成としてもよい。
【0026】
車載カメラ51は、例えば警察車両VC1の前方を撮像可能に取り付けられた前方カメラ、警察車両VC1の側面方向を撮像可能に取り付けられた側方カメラ、警察車両VC1の後方を撮像可能に取り付けられた後方カメラ、のうち少なくとも1つであってよい。車載カメラ51は撮像映像データを車載レコーダ53に送る。この撮像映像データは、車載レコーダ53に記録される。
【0027】
車載PC52は、警官の操作に応じて、車載カメラ51および車載レコーダ53のそれぞれの動作を制御する。また、車載PC52は、警官の操作により、1以上のウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のそれぞれにより撮像された撮像映像データを車載レコーダ53から読み出して表示して再生してよい。これにより、車載PC52を使用する警官は、例えば同一時間帯に1以上のウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のそれぞれで撮像された現場の撮像映像を簡易に視聴でき、広域に現場等の状況を確認できる等、自身の業務効率を向上できる。
【0028】
車載レコーダ53は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記録装置を有し、1以上のウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のそれぞれにより撮像された撮像映像データを記録装置に記録する。車載PC52は、警官の操作により、ウェアラブルカメラ10により撮像された撮像映像データを車載レコーダ53から読み出し、車載PC52内にインストールされている既定のアプリケーションにおいてウェアラブルカメラ10の撮像映像を単独で再生したり、そのアプリケーションにおいて撮像映像の属性情報を付与したりしてもよい。同様に、車載PC52は、警官の操作により、車載カメラ51により撮像された撮像映像データを車載レコーダ53から読み出し、車載PC52内にインストールされている既定のアプリケーションにおいて車載カメラ51の撮像映像を単独で再生したり、そのアプリケーションにおいて撮像映像の属性情報を付与したりしてもよい。
【0029】
コモントリガーボックス54は、車載カメラシステム50を含む警察車両VC1内に搭載される各種の機器に対する電源を供給する。コモントリガーボックス54は、警察車両VC1に搭載される各種の機器(例えば、回転警告灯(図示略)、加速度センサ(図示略)、サイレン(図示略)、車載カメラシステム50(例えば車載レコーダ53))との間でそれぞれ有線(例えばGPIO(物理ケーブル)あるいはLANケーブル)あるいは無線によって接続され、これらの機器の動作を制御する。また、コモントリガーボックス54は、ウェアラブルカメラ10との間では近距離無線通信(例えばBLE通信あるいは無線LAN通信)を行う。また、コモントリガーボックス54は、警察署内に配置される本部サーバ(後述参照)との間で、ネットワークNW1を介して無線通信(例えばLTE通信等の広域無線通信)を行う。
【0030】
コモントリガーボックス54は、例えば回転警告灯あるいはサイレンからの動作開始信号を取得すると、コモントリガーボックス54に接続されたウェアラブルカメラ10および車載カメラシステム50の少なくとも一方に、録画開始あるいは録画停止の制御信号を送ってもよい。これにより、ウェアラブルカメラ10および車載カメラシステム30の少なくとも一方は、コモントリガーボックス54からの制御信号に応じた動作として、例えば回転警告灯の回転開始あるいはサイレンの音声出力に伴って、撮像映像データの録画を開始したり停止したりできる。
【0031】
警察署内に配置される各種の機器は、
図1に示すように、通信機器RT1と、本部サーバ(警察署サーバの一例)と、データセンターコンソールCC1と、クライアントPC90とを含む。通信機器RT1と、本部サーバと、データセンターコンソールCC1と、クライアントPC90とは、互いに通信が可能となるように有線あるいは無線により接続される。
【0032】
通信機器RT1は、警察署内ネットワークのゲートウェイ機能を有し、ネットワークNW1との間で通信(例えば広域無線通信)を行う。例えば、通信機器RT1は、ネットワークNW1を介して、ウェアラブルカメラ10、スマートフォン40あるいはコモントリガーボックス54との間で広域無線通信を行う。
【0033】
本部サーバは、ディスパッチサーバ60と、メタインフォサーバ80と、コンテンツサーバ70とを含む。なお、本部サーバは、これらのサーバ以外に、警察署内に配置される他のサーバ(図示略)を更に含んでもよい。
【0034】
ディスパッチサーバ60は、警官の現場(例えば事件が発生した場所)へのディスパッチ、警官のパトロールのスケジューリング等、警官の配備の指示、配備計画の作成、配備業務の支援を行う。ディスパッチサーバ60は、警官の識別情報、警察車両VC1の識別情報、管轄エリア内の地図データを予め登録して保存しており、警官および警察車両VC1のそれぞれの位置情報を取得して、警官の配備のための処理を実行する。例えば、ディスパッチサーバ60は、パトロール等に出動中の1人以上の警官のそれぞれが装着するウェアラブルカメラ10の位置情報を取得して管轄エリア内の地図データ上に重畳してプロットした警官配備画面(図示略)を生成する。データセンターコンソールCC1あるいは個別のクライアントPC90は、ディスパッチサーバ60により生成された警官配備画面(上述参照)を表示可能である。
【0035】
メタインフォサーバ80は、複数の警官のそれぞれにより装着される異なるウェアラブルカメラ10により解析された撮像映像データに映る特徴的オブジェクト(後述参照)のメタデータを取得する。メタインフォサーバ80は、特徴的オブジェクトのメタデータと対応する撮像映像データとをセットにして取得してもよい。メタインフォサーバ80は、このメタデータを解析し、事件等の被疑者を特定する処理を実行する。例えば事件等の被疑者の容姿に関する情報、あるいは被疑者が逃走用に乗車した車両に関する情報を含む被疑者情報が事前に把握されている場合に、メタインフォサーバ80は、ウェアラブルカメラ10からのメタデータと被疑者情報とを照合し、被疑者情報とマッチするメタデータに基づいて、被疑者を特定する。メタインフォサーバ80は、被疑者を特定すると、それぞれのウェアラブルカメラ10に、LTE通信を用いた撮像映像データの送信をウェアラブルカメラ10に指示するためのLTE許可通知を生成して送信する。
【0036】
コンテンツサーバ70は、複数の警官のそれぞれにより装着される異なるウェアラブルカメラ10により撮像された撮像映像データをウェアラブルカメラ10の識別情報と対応付けて蓄積する。なお、撮像映像データには、撮像映像データの生成日時(言い換えると、撮像された日時)が属性情報として設けられる。なお、コンテンツサーバ70はメタインフォサーバ80と一体化したサーバとして構成されても構わない。
【0037】
データセンターコンソールCC1(表示デバイスの一例)は、例えば大画面ディスプレイ、あるいは複数のディスプレイを用いて構成される。データセンターコンソールCC1は、警察署内に配置される指令本部(例えば警官のディスパッチ等の配備業務を行う部門)に設けられた表示装置であり、例えば管轄エリア内において収集された各種の情報、上述した警官配備画面(図示略)を表示する。
【0038】
クライアントPC90(表示デバイスの一例)は、データセンターコンソールCC1に接続された端末コンピュータであり、警察署内の現場周辺の状況を解析する解析官(警官)により使用される。クライアントPC90は、例えば現場状況の確認、撮像映像データのモニタリング、通報の受信および指令の送信等を行う。
【0039】
外部記憶装置の一例としてのオンラインストレージOST1は、ネットワークNW1に接続されたストレージ(記録装置)であり、例えば複数の警官のそれぞれにより装着される異なるウェアラブルカメラ10により解析された撮像映像データに映る特徴的オブジェクト(後述参照)のメタデータを記録する。また、オンラインストレージOST1は、特徴的オブジェクトのメタデータと対応する撮像映像データとをセットにして記録してもよい。
【0040】
図2は、ウェアラブルカメラ10のハードウェア構成例を示すブロック図である。ウェアラブルカメラ10は、撮像部11と、GPIO12(General Purpose Input/Output)と、RAM13(Random Access Memory)と、ROM14(Read Only Memory)と、記憶部15とを含む。ウェアラブルカメラ10は、EEPROM16(Electrically Erasable Programmable ROM)と、RTC17(Real Time Clock)と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部18とを含む。ウェアラブルカメラ10は、MCU19(Micro Contoller Unit)と、BLE通信部21Aと、WLAN通信部21Bと、LTE通信部21Cと、USBインターフェース22と、コンタクトターミナル23と、電源部24と、バッテリ25とを含む。なお、添付図面においてインターフェースを「I/F」と略記している。
【0041】
ウェアラブルカメラ10は、録画スイッチSW1と、スナップショットスイッチSW2と、通信モードスイッチSW3と、属性情報付与スイッチSW4と、無線登録スイッチSW5とを含む。
【0042】
ウェアラブルカメラ10は、3個のLED26a,26b,26c(Light Emission Diode)と、バイブレータ27と、音声出力部28と、マイク29A(
図2のマイク117参照)と、スピーカ29Bと、イヤホン端子29Cとを含む。LED26a,26b,26c、バイブレータ27、音声出力部28は、ユーザに報知する報知部の一例として機能する。
【0043】
撮像部11は、撮像レンズと、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサによる固体撮像素子とを有する。撮像部11は、撮像により得られた被写体の撮像映像のデータをMCU19に出力する。
【0044】
コンタクトターミナル23の検知端子23Tは、ウェアラブルカメラ10が充電台(図示略)に載置された場合、あるいは充電台(図示略)から取り外された場合に電圧変化が生じる端子である。コンタクトターミナル23の検知端子23Tは、ADコンバータCVに接続される。検知端子23Tの電圧変化を示す信号は、ADコンバータCVにおいてデジタル信号に変換され、そのデジタル信号がI2C20を介してMCU19に入力される。
【0045】
GPIO12は、パラレルインターフェースである。GPIO12には、録画スイッチSW1、スナップショットスイッチSW2、通信モードスイッチSW3、属性情報付与スイッチSW4、無線登録スイッチSW5、LED26a,26b,26c、バイブレータ27、音声出力部28、マイク29A、スピーカ29Bおよびイヤホン端子29Cのそれぞれが接続される。GPIO12は、これらの各種電子部品とMCU19との間で信号を入出力する。
【0046】
マイク29A(
図2のマイク117参照)は、ウェアラブルカメラ10の周囲の音声を収音し、収音された音声の音声データを、GPIO12を介してMCU19に出力する。なお、マイク29Aは、ウェアラブルカメラ10の筐体に収容された内蔵マイクであってもよいし、ウェアラブルカメラ10と無線接続されたワイヤレスマイクであってもよい。ワイヤレスマイクの場合、警官が任意の箇所に取り付けることで、収音性を高めることができる。
【0047】
音声出力部28は、MCU19の指示の下で、ウェアラブルカメラ10の動作に関する音声信号を出力する。音声出力部28は、予めROM14などに記憶された既定のメッセージの音声を有する音声データを読み出し、この音声データに基づく音声信号をスピーカ29Bから音声出力する。イヤホン端子29Cは、イヤホン端子29Cに接続されたイヤホンに対し、音声出力部28より出力される音声信号を出力する。スピーカ29Bは、音声出力部28より出力される音声信号を入力して音声出力する。
【0048】
また、ADコンバータCVは、I2C20(Inter-Integrated Circuit)などの通信インターフェースを介してMCU19に接続される。なお、コンタクトターミナル23の検知端子23Tを、ADコンバータCVを介さずにGPIO12へ接続することでも類似の効果を得ることが可能である。
【0049】
RAM13は、例えばMCU19の動作において使用されるワークメモリである。ROM14は、例えばMCU19の動作(処理)の実行を制御するためのプログラムおよびデータを予め記憶する。
【0050】
記憶部15は、例えばメモリカード等の記憶媒体により構成され、例えば警官の操作に基づく録画開始の指示、あるいは車載カメラシステム50からの録画開始の指示に基づき、撮像部11で撮像された撮像映像のデータ記録(つまり録画)を開始する。記憶部15は、撮像部11で撮像された所定時間(例えば30秒)の撮像映像のデータを常時プリバッファリングして保持し、現在時刻より所定時間(例えば30秒)前までの撮像映像のデータを常に蓄積し続ける。記憶部15は、録画開始の指示を受けると、撮像映像のデータの記録を開始し、録画停止の指示を受けるまでの撮像映像のデータの記録を継続する。また、記憶部15がメモリカードで構成される場合、ウェアラブルカメラ10の筐体に挿抜自在に装着される。
【0051】
EEPROM16は、例えばウェアラブルカメラ10を識別する識別情報(例えばカメラIDとしてのシリアル番号)、及び各種設定情報を記憶する。RTC17は、現在の時刻情報をカウントしてMCU19に出力する。
【0052】
GNSS受信部18は、複数(例えば4機)の航法衛星から送信される、各自の信号送信時刻および位置座標を含む衛星信号を受信してMCU19に出力する。MCU19は、複数の衛星信号を用いて、現在のウェアラブルカメラ10の位置座標および衛星信号の受信時刻を算出する。なお、この算出は、MCU19ではなくGNSS受信部18により実行されてもよい。この受信時刻の情報は、ウェアラブルカメラ10のシステム時刻(つまり、RTC17の出力)の補正のためにも使用されてもよい。システム時刻は、撮像された画像(静止画、動画を含む)の撮像時刻の記録等に利用される。
【0053】
MCU19は、ウェアラブルカメラ10の制御部としての機能を有し、例えばウェアラブルカメラ10の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、ウェアラブルカメラ10の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。MCU19は、ROM14に記憶された各種のプログラムおよびデータに従って動作する。MCU19は、動作時、RAM13を使用し、RTC17より現在の時刻情報を得るとともに、GNSS受信部18から現在の位置情報を得るかあるいはGNSS受信部18からの出力を用いて現在の位置情報を算出する。
【0054】
ウェアラブルカメラ10において、BLE通信あるいはWifi(登録商標)等の無線LAN通信の実行時の消費電力量に比べると、広域通信網(例えばネットワークNW1)を用いるLTE通信の実行時の消費電力量は大きくなる。一方で、ウェアラブルカメラ10は警官がパトロール中等に常に装着して使用されるため、LTE通信の時間が多くなり過ぎるとバッテリ25(
図2参照)の消費電力量が多くなる。最悪の場合、装着中にバッテリ25が切れてしまい、ウェアラブルカメラ10が被写体の撮像をできなくなってしまう。このような事態を避けるため、ウェアラブルカメラ10において、制御部の一例としてのMCU19は、通常時にはBLE通信および無線LAN通信のそれぞれを実行可能に設定しているが、LTE通信の使用を不許可とするように設定している。そして、MCU19は、所定のタイミングあるいは所定の期間に限り、LTE通信の使用を許可するように設定する。所定のタイミングおよび所定の期間の詳細については、後述する第1動作例(
図6参照)、第2動作例(
図7参照)、第3動作例(
図8参照)および第4動作例(
図10参照)のそれぞれを参照して説明する。
【0055】
近距離通信部の一例としてのBLE通信部21Aは、近距離無線通信の通信規格であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信を用いて、スマートフォンあるいはコモントリガーボックス54等との間で無線通信を行う。BLEは、Bluetooth(登録商標)のバージョン4.0の呼称である。BLEでは、低消費電力で通信可能あるが、その通信速度は100kbps程度と低速である。
【0056】
近距離通信部の一例としてのWLAN通信部21Bは、テザリング機能を用いた無線LANアクセスポイントとしてのスマートフォン、あるいは警察署内に設けられた無線LANアクセスポイント等と無線LAN(つまりWLAN)で接続され、接続先と無線通信を行う。無線LANは、BLEと比べ、通信速度が数十~数百Mbpsと高速通信可能であるが、無線LANアクセスポイントと常時接続されるので、消費電力が多くなる。
【0057】
なお、ウェアラブルカメラ10は、BLE通信あるいはWLAN通信の他、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信、を有してもよい。
【0058】
広域通信部の一例としてのLTE通信部21Cは、携帯回線網等の広域通信網(例えばネットワークNW1)を用いた広域無線通信(例えばLTE通信)を行う。ウェアラブルカメラ10では、LTE通信部21Cは、MCU19により使用の許可が設定された時に限り、LTE通信を行うことができる。
【0059】
USBインターフェース22は、シリアルバスであり、例えば車載PC52あるいは警察署内のクライアントPC90との接続を可能とする。
【0060】
コンタクトターミナル23は、充電台55と電気的に接続するための端子であり、USBインターフェース22を介してMCU19に接続されるとともに、電源部24と接続される。電源部24は、コンタクトターミナル23における充電台55との接続検知に応じて、バッテリ25を充電する。コンタクトターミナル23は、充電台55との接続に応じて、MCU19が記憶部15から読み出した映像のデータを、充電台55を介して接続された外部機器(例えばコモントリガーボックス54)に通信可能である。
【0061】
コンタクトターミナル23には、例えば「充電端子V+」(図示略)、「検知端子23T」、「データ端子D-,D+」(図示略)および「グランド端子」(図示略)が設けられる。検知端子23Tは、電圧および電圧変化を検出するための端子である。データ端子D-,D+は、例えばUSBコネクタ端子を介して、車載PC52に対してウェアラブルカメラ10で撮像した映像のデータを転送するための端子である。コンタクトターミナル23の検知端子23Tは、ADコンバータCVを介してI2C20等の通信インターフェースに接続され、コンタクトターミナル23の検知電圧値がMCU19に入力される。
【0062】
コンタクトターミナル23と、充電台55のコネクタとが接続されることにより、ウェアラブルカメラ10と外部機器(例えばコモントリガーボックス54)との間でデータ通信が可能となる。
【0063】
電源部24は、例えばコンタクトターミナル23を介して、充電台55に接続される外部電源(例えばコモントリガーボックス54、警察車両VC1内のシガーチャージャ(図示略)、警察車両VC1内のアクセサリ)より供給される充電電流をバッテリ25に給電することで、バッテリ25を充電する。
【0064】
バッテリ25は、例えば充電可能な2次電池により構成され、ウェアラブルカメラ10の各部に電源電力を供給する。
【0065】
録画スイッチSW1は、例えば警官の押下操作による録画(動画の撮像)の開始/停止の操作指示を入力する押しボタンスイッチである。また、MCU19は、例えば録画スイッチSW1が短押しされたことで録画(動画の撮像)を開始し、録画スイッチSW1が長押しされたことで録画を終了してもよい。また、MCU19は、例えば録画スイッチSW1が奇数回押下されることで録画(動画の撮像)を開始し、録画スイッチSW1が偶数回押下されることで録画を終了してもよい。
【0066】
スナップショットスイッチSW2は、例えば警官の押下操作による静止画の撮像の操作指示を入力する押しボタンスイッチである。スナップショットスイッチSW2は、例えば押下される度に、MCU19によって押下時の静止画の撮像が実行される。
【0067】
通信モードスイッチSW3は、例えばウェアラブルカメラ10と外部機器との間の通信モードを設定するための操作指示を入力するスライドスイッチである。通信モードは、例えばアクセスポイントモード、ステーションモード、OFFモードを含む。
【0068】
アクセスポイントモードは、ウェアラブルカメラ10が無線LANのアクセスポイントとして動作し、例えば警官が所持するスマートフォンと無線接続して、ウェアラブルカメラ10とスマートフォンとの間で通信を行うモードである。アクセスポイントモードにおいて、スマートフォンは、ウェアラブルカメラ10と接続することにより、ウェアラブルカメラ10による現在のライブ画像の表示、録画された画像の再生、撮像された静止画の表示等を行うことができる。
【0069】
ステーションモードは、無線LANを用いて外部機器と接続する場合に、外部機器をアクセスポイントとして通信するモードである。例えばスマートフォンのテザリング機能を利用し、外部機器としてスマートフォンを設定してもよい。ステーションモードにおいて、ウェアラブルカメラ10は、各種設定、ウェアラブルカメラ10が保持する録画された画像の転送(アップロード)等を車載カメラシステム50に行うことができる。
【0070】
OFFモードは、無線LANの通信動作をオフし、無線LANを未使用とするモードである。
【0071】
また、通信モードスイッチSW3(入力部の一例)は、警官の操作により、緊急イベントの発生を示す入力操作(例えば通信モードスイッチSW3の長押し操作)を受け付けてよい。緊急イベントは、警官の業務において発生する緊急性の高いイベント(出来事)であり、例えば事件が発生したこと、追跡中の被疑者の目撃情報があったこと、警官の近くに被疑者が存在していること等が該当する。なお、緊急イベントの発生を示す入力操作は、通信モードスイッチSW3の長押し操作に限定されず、他のスイッチ(例えば録画スイッチSW1、スナップショットスイッチSW2、属性情報付与スイッチSW4、無線登録スイッチSW5)の操作であってもよい。
【0072】
属性情報付与スイッチSW4は、映像データに属性情報を付与するために操作される押しボタンスイッチである。属性情報は、ウェアラブルカメラ10により撮像された映像の内容(例えば事件の種別、殺人、強盗、災害等)を示す。
【0073】
無線登録スイッチSW5は、ウェアラブルカメラ10が無線通信(例えばBLEまたは無線LANを用いた無線通信)する相手の外部機器(例えばスマートフォン、コモントリガーボックス54)を通信相手として登録して設定する(以下「通信設定処理」とも称する場合がある)際に操作される押しボタンスイッチである。以下、例えばBLEを用いた無線通信において、通信相手となる機器を登録して設定する処理を「ペアリング」と称する場合がある。
【0074】
LED26aは、例えばウェアラブルカメラ10の電源投入状態(オンオフ状態)およびバッテリ25の状態を示す表示部である。
【0075】
LED26bは、例えばウェアラブルカメラ10の撮像動作の状態(録画状態)を示す表示部である。
【0076】
LED26cは、例えばウェアラブルカメラ10の通信モードの状態を示す表示部である。また、3個のLED26a~26cは、ウェアラブルカメラ10が車載カメラシステム50(例えば車載PC52)から通知データを受信すると、MCU19からの指示に従い、点滅動作を行う。この時、MCU19は、通知データに含まれる、音源に関する情報に応じて、MCU19は、LED26a~26cの点滅パターンを可変させる。
【0077】
MCU19は、録画スイッチSW1、スナップショットスイッチSW2、通信モードスイッチSW3、属性情報付与スイッチSW4および無線登録スイッチSW5の各スイッチの入力検出を行い、操作があったスイッチ入力に対する処理を行う。
【0078】
MCU19は、録画スイッチSW1の操作入力を検出した場合、撮像部11における撮像動作の開始または停止を制御し、撮像部11から得られた画像を、動画像として記憶部15に保存する。
【0079】
MCU19は、スナップショットスイッチSW2の操作入力を検出した場合、スナップショットスイッチSW2が操作されたときの撮像部11による画像を、静止画像として記憶部15に保存する。
【0080】
MCU19は、通信モードスイッチSW3の状態を検出し、通信モードスイッチSW3の設定に応じた通信モードによって通信部21を動作させる。
【0081】
MCU19は、属性情報付与スイッチSW4が押下された場合、撮像部11によって撮像された映像のデータに対応する属性情報を、その映像に対応付けて付与する。
【0082】
MCU19は、無線登録スイッチSW5が押下された場合、ウェアラブルカメラ10の通信相手となり得る周囲の外部機器(例えばコモントリガーボックス54)に対し、通信設定処理(例えばペアリング)において行われるべき既定の処理を実行する。ここで、既定の処理は、ペアリングを例示すると、無線通信の通信相手としての登録要求情報の生成並びにBLE通信部21Aへの出力、接続先である通信相手を特定するための接続情報の生成ならびにBLE通信部21Aへの出力、通信相手から送信された接続情報の記憶部15への保存である。但し、無線LANの通信設定に関する既定の処理は、上述したペアリングを例示した時の既定の処理と同様であることは言うまでもない。
【0083】
図3は、車載PC52およびクライアントPC90のそれぞれのハードウェア構成例を示すブロック図である。車載PC52およびクライアントPC90は、例えばPC(Personal Computer)を用いて構成され、それぞれ同一のハードウェア構成を有する。車載PC52およびクライアントPC90のそれぞれは、CPU201と、I/O(Input/Output)制御部202と、通信部203と、メモリ204と、入力部205と、表示部206と、スピーカ207と、HDD208とを含む構成である。車載PC52は、ウェアラブルカメラ10および車載レコーダ53のそれぞれとの間で通信可能であり、コモントリガーボックス54を介して警察署内の本部サーバ(例えばディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80、コンテンツサーバ70)とも通信可能である。一方、クライアントPC90は、データセンターコンソールCC1、ディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80、コンテンツサーバ70と通信可能である。
【0084】
CPU201は、例えば、車載PC52およびクライアントPC90のそれぞれの各部の動作を全体的に統括するための制御処理、他の各部との間のデータのI/O制御部202を介した入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。
【0085】
CPU201は、例えば、表示部206に表示された車載カメラシステム50あるいは警察署内システム(図示略)へのログイン画面に対する警官の入力操作により、警官の車載カメラシステム50あるいは警察署内システム(図示略)へのログインの可否を認証する。警官の入力操作は、例えば、Officer IDとパスワード等を入力する操作である。ログインが許可される対象となる警官に関する各種情報は、例えばメモリ204に予め保存されており、CPU201は、メモリ204に予め保存されているログインの許可対象の情報を用いて、警官の車載カメラシステム50あるいは警察署内システム(図示略)へのログインの可否を判定する。なお、このログインは、車載PC52を介した車載カメラシステム50あるいはクライアントPC90を介した警察署内システム(図示略)へのログインでもよいし、車載PC52あるいはクライアントPC90にインストールされた既定のアプリケーションへのログインでもよい。
【0086】
I/O制御部202は、CPU201と車載PC52あるいはクライアントPC90の各部(例えば通信部203、入力部205、表示部206、スピーカ207)との間でデータの入出力に関する制御を行い、CPU201からのデータおよびCPU201へのデータの中継を行う。なお、I/O制御部202は、CPU201と一体的に構成されてもよい。
【0087】
通信部203は、例えば、車載カメラ51あるいは車載レコーダ53との間または警官が装着可能なウェアラブルカメラ10との間で、有線または無線による通信を行う。また、通信部203は、例えば、データセンターコンソールCC1、ディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80、コンテンツサーバ70のうちいずれかとの間で、有線または無線による通信を行う。また、通信部203は、広域通信網を用いた広域無線通信(例えばLTE通信)を実行可能な通信回路(例えばUSIM(Universal Subscriber Identity Module)カードに実装された通信回路)を有してもよく、この場合には、ネットワークNW1を介して警察署内の本部サーバとの間でLTE通信を実行してよい。言い換えると、車載PC52およびクライアントPC90のそれぞれは、広域通信網を用いたLTE通信を実行可能である。また、通信部203は、コモントリガーボックス54との間で有線または無線による通信を行う。
【0088】
メモリ204は、例えばRAM、ROM、不揮発性あるいは揮発性の半導体メモリを用いて構成され、CPU201の動作時のワークメモリとして機能し、CPU201を動作させるための所定のプログラムおよびデータを保存している。メモリ204は、例えば、車載カメラシステム50あるいは警察署内システム(図示略)へのログインが許可される警官に関するログイン情報を保存する。
【0089】
入力部205は、警官の入力操作を受け付け、I/O制御部202を介してCPU201に通知するためのUI(User Interface)であり、例えばマウス、キーボード等のポインティングデバイスである。入力部205は、例えば表示部206の画面に対応して配置され、警官の指あるいはスタイラスペンによって操作が可能なタッチパネルもしくはタッチパッドを用いて構成されても良い。 入力部205は、例えば、車載カメラシステム50へログインするためのログイン情報を入力する。
【0090】
表示部206は、例えばLCDあるいは有機ELを用いて構成され、各種情報を表示する。また、表示部206は、例えば警官の入力操作に応じて、ウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のそれぞれにより撮像された撮像映像に含まれる映像部分のデータを、CPU201の指示の下で同一画面上に表示する(
図9参照)。
【0091】
スピーカ207は、例えば警官の入力操作に応じて、ウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のそれぞれにより撮像された撮像映像に含まれる音声部分のデータを、CPU201の指示の下で出力する。なお、表示部206およびスピーカ207は、車載PC52およびクライアントPC90のそれぞれとは別々の構成としてもよい。
【0092】
HDD208は、例えば、各種データ、ソフトウェア(ソフトウェアプログラム)を記憶する。具体的には、HDD208は、例えば、車載カメラ51および車載レコーダ53のそれぞれの制御および設定を行うためのソフトウェア、ウェアラブルカメラ10の制御や設定を行うためのソフトウェア、を保存する。また、HDD208は、例えば、ウェアラブルカメラ10により撮像された撮像映像のデータ、車載カメラ51により撮像された撮像映像のデータを保存してよい。
【0093】
図4は、コモントリガーボックス54のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4に示すコモントリガーボックス54は、プロセッサ301と、メモリ302と、通信部303と、LANコネクタ304と、LANインターフェース部305と、USBコネクタ306と、USBインターフェース部307と、LED308と、スイッチ309とを含む構成である。コモントリガーボックス54は、例えば警察車両VC1のトランクルーム内に配備される。
【0094】
プロセッサ301は、例えばCPU、MPU、DSPあるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、コモントリガーボックス54の制御部としての機能を有する。プロセッサ301は、例えばコモントリガーボックス54の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、コモントリガーボックス54の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ301は、フラッシュメモリ3022に記憶された各種のプログラムおよびデータに従って動作する。
【0095】
メモリ302は、ワークメモリ3021とフラッシュメモリ3022とを含む。ワークメモリ3021は、例えばRAMを用いて構成され、プロセッサ301の動作時に使用される。フラッシュメモリ3022は、プロセッサ301の動作(処理)の実行を制御するためのプログラムおよびデータを予め保持したり、プロセッサ301の動作(処理)によって生成された各種のデータあるいは外部装置(例えばウェアラブルカメラ10、車載カメラシステム50)から送信された各種のデータを記憶したりする。
【0096】
通信部303は、有線通信(例えばLAN通信)を行うための有線通信回路部(図示略)と、無線通信(例えばBLE通信、無線LAN通信、LTE通信)を行うための無線通信回路部(図示略)とを有する。通信部303は、コモントリガーボックス54と有線で接続された外部装置(例えば車載カメラシステム50、回転警告灯(図示略)、加速度センサ(図示略)、サイレン(図示略))との間で有線を用いたデータ送受信を行う。なお、コモントリガーボックス54は車載PC52と有線あるいは無線で接続されても構わない。この場合には、通信部303は、車載PC52との間で有線を用いたデータ送受信を行う。また、通信部303は、コモントリガーボックス54と無線で接続された外部装置(例えばウェアラブルカメラ10)との間で無線(例えばBLE通信あるいは無線LAN通信)を用いたデータ送受信を行う。また、通信部303は、ウェアラブルカメラ10および車載カメラ51のうち少なくとも一方により撮像された撮像映像データを、ネットワークNW1および通信機器RT1を介して警察署の本部サーバに送信する。この送信ではLTE通信が行われる。
【0097】
LANコネクタ304は、コモントリガーボックス54とLANケーブル(図示略、例えばクロスケーブルあるいはストレートケーブル)を介して接続された外部装置(例えば車載カメラシステム50、回転警告灯(図示略)、加速度センサ(図示略)、サイレン(図示略))との間でLAN通信を行う際に使用される既定のコネクタである。なお、加速度センサ(図示略)はコモントリガーボックス54内に設けられてもよい。LANインターフェース部305は、LANコネクタ304とプロセッサ301との間の通信インターフェースであり、LANコネクタ304とプロセッサ301との間のデータの入出力を行う。なお、LANインターフェース部305は、LANケーブル(例えばクロスケーブル)の信号端子の出力が入力されるGPIOを有してよい。
【0098】
USBコネクタ306は、コモントリガーボックス54とUSBケーブル(図示略)を介して接続された外部装置(例えば車載カメラシステム50、回転警告灯(図示略)、加速度センサ(図示略)、サイレン(図示略))との間でUSB通信を行う際に使用される既定のコネクタである。USBインターフェース部307は、USBコネクタ306とプロセッサ301との間の通信インターフェースであり、USBコネクタ306とプロセッサ301との間のデータの入出力を行う。
【0099】
LED308は、例えば複数のLEDを用いて構成される。LED308は、プロセッサ301からの制御信号に応じて、コモントリガーボックス54の電源がONしているか否かを点灯あるいは消灯して報知する。LED308は、プロセッサ301からの制御信号に応じて、BLE通信を行っている状態であるか否かを点灯あるいは消灯して報知する。LED308は、プロセッサ301からの制御信号に応じて、無線LAN通信を行っている状態であるか否かを点灯あるいは消灯して報知したりする。LED308は、プロセッサ301からの制御信号に応じて、LTE通信を行っている状態であるか否かを点灯あるいは消灯して報知したりする。
【0100】
スイッチ309は、コモントリガーボックス54が無線通信(例えばBLE通信、無線LAN通信、あるいはLTE通信)する相手の外部機器を通信相手として登録して設定する(つまり、通信設定処理の際)際に操作される押しボタンスイッチである。スイッチ309が押下された旨の信号はプロセッサ301に入力される。
【0101】
図5は、本部サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。本部サーバは、
図1を参照して説明したように、例えばディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80、コンテンツサーバ70により構成される。ディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80、コンテンツサーバ70は、いずれも高性能なサーバ型コンピュータを用いて構成され、それぞれ同一のハードウェア構成を有する。ディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80およびコンテンツサーバ70のそれぞれは、CPU401と、I/O制御部402と、通信部403と、メモリ404と、入力部405と、HDD406とを含む構成である。本部サーバは、通信機器RT1との間で通信可能であるとともに、データセンターコンソールCC1およびクライアントPC90のそれぞれとの間でも通信可能である。
【0102】
CPU401は、例えば、ディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80およびコンテンツサーバ70のそれぞれの各部の動作を全体的に統括するための制御処理、他の各部との間のデータのI/O制御部402を介した入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。
【0103】
I/O制御部402は、CPU401とディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80およびコンテンツサーバ70のそれぞれの各部(例えば通信部403、入力部405)との間でデータの入出力に関する制御を行い、CPU401からのデータおよびCPU401へのデータの中継を行う。なお、I/O制御部402は、CPU401と一体的に構成されてもよい。
【0104】
通信部403は、例えば、通信機器RT1、データセンターコンソールCC1およびクライアントPC90のそれぞれとの間で、有線または無線による通信を行う。通信部403は、ウェアラブルカメラ10あるいはコモントリガーボックス54から送られた撮像映像データ(後述するメタデータも含む)を、通信機器RT1を介して受信してCPU401に出力する。
【0105】
メモリ404は、例えばRAM、ROM、不揮発性あるいは揮発性の半導体メモリを用いて構成され、CPU401の動作時のワークメモリとして機能し、CPU401を動作させるための所定のプログラムおよびデータを保存している。メモリ404は、例えばディスパッチサーバ60においては、警官の現場(例えば事件が発生した場所)へのディスパッチ、警官のパトロールのスケジューリングデータ、警官の配備計画データ等を保存する。また、メモリ404は、例えばメタインフォサーバ80においては、ウェアラブルカメラ10あるいはコモントリガーボックス54から送信された撮像映像データと対応するメタデータを保存する。また、メモリ404は、例えばコンテンツサーバ70においては、ウェアラブルカメラ10あるいはコモントリガーボックス54から送信された撮像映像データを保存する。なお、コモントリガーボックス54から送信された撮像映像データは、ウェアラブルカメラ10により撮像された撮像映像データでもよいし、車載カメラ51により撮像された撮像映像データでもよいし、両者により撮像された撮像映像データでもよい。
【0106】
入力部405は、例えばクライアントPC90を使用する警官の入力操作を受け付け、I/O制御部402を介してCPU401に通知するためのUI(User Interface)であり、例えばマウス、キーボード等のポインティングデバイスである。入力部405は、例えば、警察署内システム(図示略)へログインするためのログイン情報を入力する。
【0107】
HDD408は、例えば、各種データ、ソフトウェア(ソフトウェアプログラム)を記憶する。具体的には、HDD408は、例えば、ディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80およびコンテンツサーバ70のそれぞれの制御および設定を行うためのソフトウェアを保存する。また、HDD408は、例えば、ウェアラブルカメラ10あるいは車載カメラ51により撮像された撮像映像のデータを保存してよい。
【0108】
次に、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の第1動作例~第4動作例について、
図6~
図10を参照して説明する。
【0109】
(第1動作例)
図6は、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の撮像映像データの配信に関する第1動作例を時系列に示すシーケンス図である。第1動作例では、ウェアラブルカメラ10は、緊急イベントの発生を示す入力操作を受け付けた際に、LTE通信の使用を許可し、その後に撮像映像データをLTE通信により警察署内の本部サーバに配信する。なお、
図6では説明を簡易にするためにウェアラブルカメラ10は1台のみ示されているが、複数台であっても構わない。また、
図6、
図7、
図8および
図10の説明において、本部サーバは、ウェアラブルカメラ10からLTE通信により送信された各種のデータを、通信機器RT1を介して受け取る。
【0110】
図6において、ウェアラブルカメラ10は、通常時の動作としてプレ録画(つまり、一定時間分(例えば3分)の撮像映像データをバッファリング)しており、消費電力量の増大を抑制するためにLTE通信の使用を不許可となるよう設定している。言い換えると、ウェアラブルカメラ10において、LTE通信はスタンバイ状態(つまり、待ち受け状態)あるいはOFF状態(言い換えると、使用不可状態)となっている。
【0111】
ここで、事件発生の連絡をスマートフォン40あるいは警察車両VC1に搭載された警察無線(図示略)によって受けた警官の操作により、ウェアラブルカメラ10は、緊急ボタンのON入力(例えば通信モードスイッチSW3の長押し操作)を検知する(St1)。ウェアラブルカメラ10は、ステップSt1の検知に応じて、上述したプレ録画を停止し、撮像部11により撮像されている被写体の撮像映像データの記憶部15への記録(録画)を開始する(St2)。ウェアラブルカメラ10は、ステップSt2と並行してLTE通信をON(つまり、LTE通信の使用を許可)するように設定する(St3)。これにより、ウェアラブルカメラ10は、警察署内の本部サーバとの間で一時的にLTE通信を実行できる。
【0112】
ウェアラブルカメラ10は、ステップSt3の後、LTE通信による撮像映像データの配信開始トリガー通知(つまり、LTE通信によって撮像映像データの配信を開始する旨を知らせるための通知)を生成し、配信開始トリガー通知をLTE通信により本部サーバ(例えばディスパッチサーバ60、メタインフォサーバ80およびコンテンツサーバ70のうちいずれか。
図6の説明において以下同様。)に送信する(St4)。
【0113】
本部サーバは、配信開始トリガー通知を受け取った旨の配信開始トリガー応答を生成し、配信開始トリガー応答をLTE通信によりウェアラブルカメラ10に送信する(St5)。続けて、本部サーバは、ウェアラブルカメラ10の撮像映像データの配信先のサーバ情報(例えばコンテンツサーバ70の宛先に関する情報)をLTE通信によりウェアラブルカメラ10に送信する(St6)。
【0114】
ウェアラブルカメラ10は、本部サーバより送られた配信先のサーバ(例えばコンテンツサーバ70)に撮像映像データをLTE通信で配信することを開始する旨の通知を生成し、その通知をLTE通信で本部サーバに送る(St7)。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えば警官のパトロール中で緊急性の高い状況にあるときに、警官の操作に基づいて、LTE通信の使用を一時的に許可して消費電力量の増大を抑制しながらも、緊迫したような重要なシーンの撮像映像データ(映像および音声を含む)を警察署内の本部サーバに適応的に送信できる(St8)。本部サーバは、ウェアラブルカメラ10からLTE通信により送信された撮像映像データを受信してコンテンツサーバ70等に記録する(St9)。なお、
図6では図示していないが、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データをLTE通信により送信し終えた時に、通常時のようにLTE通信の使用を不許可に設定を切り替えてもよい。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0115】
このように、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の第1動作例では、ウェアラブルカメラ10は、警官の前方の被写体を撮像し、緊急イベントの発生を示す入力操作を受け付けると、その入力操作に応じて、警察署により管理される本部サーバとの間で広域通信網を用いた広域無線通信(例えばLTE通信)の使用を許可する。ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可するように設定した後、被写体の撮像映像データを広域無線通信により警察署内の本部サーバに送信する。
【0116】
つまり、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信を常に行うのではなく緊急性の高いイベント(例えば事件)が発生した際の警官の操作により一時的にLTE通信の使用を許可する。これにより、ウェアラブルカメラ10は、ウェアラブルカメラ10に内蔵されるバッテリ25の消費電力の増大を抑制できながらも、警官の業務に関するイベント(例えば事件)の発生に応じてウェアラブルカメラ10が撮像した重要なシーンの撮像映像データを警察署に適応的かつタイムリーに配信できる。
【0117】
また、広域無線通信は、LTE通信である。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えば3G(第3世代移動通信方式)よりも伝送レートが高い4G通信(言い換えると、LTE通信)を実行できるので、高画質な撮像映像データを高速に本部サーバに伝送できる。
【0118】
また、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データの送信後に、広域無線通信の使用を不許可する。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0119】
(第2動作例)
図7は、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステムの撮像映像データの配信に関する第2動作例を時系列に示すシーケンス図である。第2動作例では、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可する前にはスマートフォン40を中継して警察署内の本部サーバと通信するが、本部サーバからのLTE通信の使用指示に基づいてLTE通信の使用を許可し、その後に撮像映像データをLTE通信により本部サーバに配信する。なお、
図7では説明を簡易にするためにウェアラブルカメラ10は1台のみ示されているが、複数台であっても構わない。
【0120】
図7において、本部サーバ(例えばディスパッチサーバ60。
図7の説明において以下同様。)は、例えばデータセンターコンソールCC1に表示された警官配備画面を見た警察署内の警官(例えば現場の解析官)のクライアントPC90の操作により、現場の周囲に位置する警官(例えばパトロール中の警官)のウェアラブルカメラ10のLTE通信の使用を許可するためのLTE通信ON通知を生成する。本部サーバは、LTE通信ON通知(広域無線通信の使用指示の一例)をLTE通信によりスマートフォン40に送信する(St11)。スマートフォン40は、本部サーバから送られたLTE通信ON通知をBLE通信によりウェアラブルカメラ10に転送する(St12)。
【0121】
ウェアラブルカメラ10は、スマートフォン40から転送されたLTE通信ON通知を受信して取得すると、このLTE通信ON通知に基づいて、LTE通信をON(つまり、LTE通信の使用を許可)するように設定する(St13)。これにより、ウェアラブルカメラ10は、スマートフォン40を介することなく、警察署内の本部サーバとの間で一時的にLTE通信を直接に実行できる。なお、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可しても、スマートフォン40との間で近距離無線通信(例えばBLE通信あるいは無線LAN通信)を行うことはできる。
【0122】
ウェアラブルカメラ10は、ステップSt13の設定によりLTE通信の使用を許可した旨のLTE通信ON応答を生成し、BLE通信によりそのLTE通信ON応答をスマートフォン40に送る(St14)。スマートフォン40は、ウェアラブルカメラ10から送られたLTE通信ON応答をLTE通信により本部サーバに転送する(St15)。
【0123】
本部サーバは、LTE通信ON応答を受信した後、そのLTE通信ON応答に対応するウェアラブルカメラ10に、BWCデータ配信要求(つまり、ウェアラブルカメラ10への撮像映像データの配信要求)をLTE通信により直接にウェアラブルカメラ10に送信する(St16)。ウェアラブルカメラ10は、本部サーバから送られたBWCデータ配信要求を受信すると、映像および音声を含む撮像映像データを配信する旨のBWCデータ配信応答をLTE通信により本部サーバに送る(St17)。ウェアラブルカメラ10は、ステップSt17の後、BWCデータ(つまり、ウェアラブルカメラ10により撮像された映像と収音された音声とを含む撮像映像データ)をLTE通信により本部サーバに配信する(St18)。本部サーバは、ウェアラブルカメラ10からLTE通信により送信された撮像映像データを受信してコンテンツサーバ70等に記録する(St19)。なお、
図7では図示していないが、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データをLTE通信により送信し終えた時に、通常時のようにLTE通信の使用を不許可に設定を切り替えてもよい。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0124】
このように、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の第2動作例では、ウェアラブルカメラ10は、警官の前方の被写体を撮像し、警官により所持されるスマートフォン40との間で近距離無線通信を行い、本部サーバからスマートフォン40を介して送られたLTE通信ON通知に応じて、本部サーバとの間で広域通信網を用いた広域無線通信(例えばLTE通信)の使用を許可する。ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可するように設定した後、被写体の撮像映像データをLTE通信により本部サーバに送信する。
【0125】
つまり、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信を常に行うのではなく警察署内の本部サーバからの指令(例えば事件等の緊急性の高いイベントが発生した際に警官に送られる指令)があった等の緊急時に、警官の操作が入力されること無く、一時的にLTE通信の使用を許可する。また、LTE通信の使用が許可されるまではウェアラブルカメラ10と本部サーバとの間はスマートフォン40が中継し、スマートフォン40とウェアラブルカメラ10との間の通信は消費電力量の低いBLE通信により行われる。これにより、ウェアラブルカメラ10は、ウェアラブルカメラ10に内蔵されるバッテリ25の消費電力の増大を抑制できながらも、例えば事件の現場に派遣(ディスパッチ)させるような緊急事態に、ウェアラブルカメラ10が撮像した重要なシーンの撮像映像データを警察署に適応的かつタイムリーに配信できる。
【0126】
また、近距離無線通信は、BLE通信である。これにより、ウェアラブルカメラ10がLTE通信の使用を許可する前の状態ではスマートフォン40との間で消費電力量の少ないBLE通信を行うので、ウェアラブルカメラ10の消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0127】
また、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データの送信後に、広域無線通信の使用を不許可する。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0128】
(第3動作例)
図8は、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の撮像映像データの配信に関する第3動作例を時系列に示すシーケンス図である。
図9は、クライアントPC90での再生表示画面例を示す図である。第3動作例では、複数のウェアラブルカメラ10のそれぞれは、第2動作例と同様に本部サーバからのLTE通信の使用指示に基づいてLTE通信の使用を許可し、その後に撮像映像データをLTE通信により本部サーバに配信する。更に、本部サーバに接続されたクライアントPC90は、複数のウェアラブルカメラ10のそれぞれからLTE通信により送られた撮像映像データを再生表示する。なお、
図9の再生表示画面は、クライアントPC90で再生表示されることに限定されず、他のコンピュータ装置(例えば車載PC52)においても再生表示されて構わない。
【0129】
図8において、本部サーバ(例えばディスパッチサーバ60。
図8の説明において以下同様。)は、例えばデータセンターコンソールCC1に表示された警官配備画面を見た警察署内の警官(例えば現場の解析官)のクライアントPC90の操作により、現場の周囲に位置する複数の警官(例えばパトロール中の警官)のウェアラブルカメラ10のそれぞれのLTE通信の使用を許可するためのLTE通信ON通知を生成する。本部サーバは、LTE通信ON通知(広域無線通信の使用指示の一例)をLTE通信により車載PC52に送信する(St21)。車載PC52は、本部サーバから送られたLTE通信ON通知を例えば有線通信によりコモントリガーボックス54に転送する(St22)。
【0130】
コモントリガーボックス54は、車載PC52から転送されたLTE通信ON通知をBLE通信あるいは無線LAN通信により、複数の警官のウェアラブルカメラ10のそれぞれに送信する(St23-1~St23-n)。なお、
図8の説明において、ウェアラブルカメラ10の台数はn(2以上の整数)としている。それぞれのウェアラブルカメラ10は、コモントリガーボックス54から転送されたLTE通信ON通知を受信して取得すると、このLTE通信ON通知に基づいて、LTE通信をON(つまり、LTE通信の使用を許可)するように設定する(St24-1~St24-n)。これにより、それぞれのウェアラブルカメラ10は、コモントリガーボックス54および車載PC52を介することなく、警察署内の本部サーバとの間で一時的にLTE通信を直接に実行できる。なお、それぞれのウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可しても、コモントリガーボックス54との間で近距離無線通信(例えばBLE通信あるいは無線LAN通信)を行うことはできる。
【0131】
それぞれのウェアラブルカメラ10は、ステップSt24-1~St24-nの設定によりLTE通信の使用を許可した旨のLTE通信ON応答を生成し、BLE通信によりそのLTE通信ON応答を車載PC52に送る(St25-1~St25-n)。なお、それぞれのウェアラブルカメラ10は、LTE通信ON応答を、コモントリガーボックス54を介して車載PC52に送ってもよい。車載PC52は、それぞれのウェアラブルカメラ10から送られたLTE通信ON応答をLTE通信により本部サーバに転送する(St26-1~St26-n)。
【0132】
本部サーバは、それぞれのウェアラブルカメラ10からのLTE通信ON応答を受信した後、そのLTE通信ON応答に対応するウェアラブルカメラ10に、BWCデータ配信要求(つまり、ウェアラブルカメラ10への撮像映像データの配信要求)をLTE通信により直接にそれぞれのウェアラブルカメラ10に送信する(St27-1~St27-n)。それぞれのウェアラブルカメラ10は、本部サーバから送られたBWCデータ配信要求を受信すると、映像および音声を含む撮像映像データを配信する旨のBWCデータ配信応答をLTE通信により本部サーバに送る(St28-1~St28-n)。それぞれのウェアラブルカメラ10は、ステップSt28-1~St28-nのうち対応する処理の後、BWCデータ(つまり、ウェアラブルカメラ10により撮像された映像と収音された音声とを含む撮像映像データ)をLTE通信により本部サーバに配信する(St29-1~St29-n)。本部サーバは、それぞれのウェアラブルカメラ10からLTE通信により送信された撮像映像データを受信してコンテンツサーバ70等に記録し、更に、データセンターコンソールCC1あるいはクライアントPC90に再生して表示してよい(St30)。なお、
図8では図示していないが、それぞれのウェアラブルカメラ10は、撮像映像データをLTE通信により送信し終えた時に、通常時のようにLTE通信の使用を不許可に設定を切り替えてもよい。これにより、それぞれのウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0133】
クライアントPC90は、例えば
図9に示すように、それぞれのウェアラブルカメラ10(例えば9台のウェアラブルカメラ10)により撮像された撮像映像データMV1,MV2,MV3,MV4,MV5,MV6,MV7,MV8,MV9を同一画面上に表示して再生する。これにより、データセンターコンソールCC1あるいはクライアントPC90を操作する警官は、それぞれのウェアラブルカメラ10を装着する警官の周囲の状況を網羅的に視聴確認できるので、それぞれの現場の状況確認を簡易に行えて業務効率を的確に向上できる。例えば、撮像映像データMV2,MV4によれば、それぞれの警官が拳銃を構えている手首の一部が映し出されており、現場の緊迫した状況が事細かく伺える。また、撮像映像データMV3によれば、別の地点において、警官が例えば駐車違反した人物に聞き取りを行っている様子が容易に判別可能となる。また、撮像映像データMV6によれば、別の地点において、被疑者が家に立てこもっており警官がその家に侵入する様子が容易に判別可能となる。また、撮像映像データMV7によれば、別の地点において、2人の人物が喧嘩をしている様子が容易に判別可能となる。
【0134】
なお、クライアントPC90は、それぞれの撮像映像データMV1~MV9を表示部206に表示する時に、それぞれの撮像映像データMV1~MV9の撮像日時および撮像地点(位置情報)の詳細情報DTL1,DTL2,DTL3,DTL4,DTL5,DTL6,DTL7,DTL8,DTL9を追加して表示してもよい。これにより、視聴者である警官は、撮像映像の内容に関わる現場の撮像日時および位置情報も的確に把握できる。
【0135】
また、クライアントPC90は、撮像映像データMV1~MV9を表示する際に、管理ツリーLGT1を表示してよい。管理ツリーLGT1は、それぞれの表示されている撮像映像データに対応するアイコンic1,ic2,ic3,ic4,…,ic7,ic8,…を有し、視聴者である警官のアイコンに対する操作により、対応する撮像映像データを拡大表示したり、非表示したり、対応する撮像映像データの表示枠を注目可能に点滅等の態様で表示したりしてよい。これにより、視聴者である警官は、自分が特に視聴したい撮像映像データを目立つように視聴でき、業務の効率化を推進できる。
【0136】
このように、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の第3動作例では、複数のウェアラブルカメラ10のそれぞれは、対応する警官の前方の被写体を撮像し、警察車両VC1内に配置される中継機器(例えば車載PC52、コモントリガーボックス54)との間で近距離無線通信(例えばBLE通信あるいは無線LAN通信)を行う。本部サーバは、中継機器との間で広域通信網を用いた広域無線通信(例えばLTE通信)を実行可能であり、それぞれのウェアラブルカメラ10へのLTE通信の使用指示(例えばLTE通信ON通知)を中継機器に送る。それぞれのウェアラブルカメラ10は、広域無線通信の使用指示を、中継機器を介して近距離無線通信により受信し、広域無線通信の使用指示に応じて、広域無線通信の使用を許可する。それぞれのウェアラブルカメラ10は、被写体の撮像映像データをLTE通信により本部サーバに送信する。
【0137】
つまり、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信を常に行うのではなく警察署内の本部サーバからの指令(例えば事件等の緊急性の高いイベントが発生した際に警官に送られる指令)があった等の緊急時に、警官の操作が入力されること無く、一時的にLTE通信の使用を許可する。また、LTE通信の使用が許可されるまではウェアラブルカメラ10と本部サーバとの間は車載PC52およびコモントリガーボックス54のそれぞれが中継し、車載PC52およびコモントリガーボックス54のそれぞれとウェアラブルカメラ10との間の通信は消費電力量の低いBLE通信あるいは無線LAN通信により行われる。これにより、ウェアラブルカメラ10は、ウェアラブルカメラ10に内蔵されるバッテリ25の消費電力の増大を抑制できながらも、例えば事件の現場に派遣(ディスパッチ)させるような緊急事態に、ウェアラブルカメラ10が撮像した重要なシーンの撮像映像データを警察署に適応的かつタイムリーに配信できる。
【0138】
また、近距離無線通信は、BLE通信または無線LAN通信である。これにより、それぞれのウェアラブルカメラ10がLTE通信の使用を許可する前の状態では車載PC52およびコモントリガーボックス54との間で消費電力量の少ないBLE通信あるいは無線LAN通信を行うので、ウェアラブルカメラ10の消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0139】
また、それぞれのウェアラブルカメラ10は、撮像映像データの送信後に、広域無線通信の使用を不許可する。これにより、それぞれのウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0140】
また、本部サーバは、複数の警官のそれぞれに対応するウェアラブルカメラ10から送信された異なる撮像映像データを再生して表示デバイス(例えばデータセンターコンソールCC1あるいはクライアントPC90)に表示する。これにより、データセンターコンソールCC1あるいはクライアントPC90を操作する警官は、それぞれのウェアラブルカメラ10を装着する警官の周囲の状況を網羅的に視聴確認できるので、それぞれの現場の状況確認を簡易に行えて業務効率を的確に向上できる。
【0141】
(第4動作例)
図10は、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の撮像映像データの配信に関する第4動作例を時系列に示すシーケンス図である。第4動作例では、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データを解析して特徴的オブジェクト(例えば人物あるいは車両)のメタデータを抽出し、所定期間に限りLTE通信の使用を許可してメタデータと撮像映像データとをセットにしてオンラインストレージOST1に送る。また、ウェアラブルカメラ10は、メタデータと撮像映像データとを受信した本部サーバからのLTE通信の使用指示に基づいてLTE通信の使用を許可し、その後に撮像映像データをLTE通信により本部サーバに配信する。
【0142】
図10において、ウェアラブルカメラ10(例えば解析部の一例としてのMCU19)は、被写体の撮像映像データを解析することで、その撮像映像データに映る特徴的オブジェクトのメタデータを抽出する。ここで、特徴的オブジェクトは、事件等の犯罪に関わる人物(言い換えると、被疑者)、その被疑者の顔、その被疑者の容姿に関する外見的特徴、その被疑者が逃走用に使用した逃走車両の形状およびナンバープレートのうち少なくとも1つを含む。メタデータの抽出方法としては、例えばウェアラブルカメラ10に既に機械学習等の処理を経て生成されたAI(Artificial Intelligents)エンジン等の学習済みモデルを用いることで実現可能である。ウェアラブルカメラ10は、特徴的オブジェクトのメタデータの抽出結果を記憶部15に蓄積(記録)する(St31)。
【0143】
ウェアラブルカメラ10は、ステップSt31の処理後のタイミング(所定のタイミングの一例)から所定期間中(例えばオンラインストレージOST1から送られる蓄積完了応答を受信するまでの期間)において一時的にLTE通信の使用を許可する(St32)。ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データとメタデータとをセットにしてオンラインストレージOST1にLTE通信により送信する(St33)。オンラインストレージOST1は、ウェアラブルカメラ10から送られた撮像映像データおよびメタデータを対応付けて蓄積し、蓄積が完了した旨を示す蓄積完了応答(例えばAck)を生成してウェアラブルカメラ10に送信する(St34)。ウェアラブルカメラ10は、オンラインストレージOST1から送られる蓄積完了応答を受信すると、LTE通信の使用を不許可とするように設定する。なお、ウェアラブルカメラ10は、ステップSt31の処理後のタイミング(所定のタイミングの一例)から所定期間中(上述参照)の一時的なLTE通信の使用の許可を繰り返し行ってよい。
【0144】
オンラインストレージOST1は、蓄積された撮像映像データとメタデータとをセットにして警察署内の本部サーバにLTE通信で送る(St35)。本部サーバ(例えばメタインフォサーバ80)は、オンラインストレージOST1から送信された撮像映像データおよびメタデータに基づいて、メタデータを解析し、事件等の犯罪に関わる人物(言い換えると、被疑者)を特定する(St36)。
【0145】
本部サーバ(例えばディスパッチサーバ60。以下の
図10の説明において以下同様。)は、警察署内の警官(例えば現場の解析官)のクライアントPC90の操作により、被疑者が発見された地点(例えば被疑者が映る撮像映像データを得たウェアラブルカメラ10の位置)の周囲に位置する警官(例えばパトロール中の警官)のウェアラブルカメラ10のLTE通信の使用を許可するためのLTE通信ON通知を生成する。本部サーバは、LTE通信ON通知(広域無線通信の使用指示の一例)をLTE通信によりスマートフォン40に送信する(St37)。スマートフォン40は、本部サーバから送られたLTE通信ON通知をBLE通信によりウェアラブルカメラ10に転送する(St38)。
【0146】
ウェアラブルカメラ10は、スマートフォン40から転送されたLTE通信ON通知を受信して取得すると、このLTE通信ON通知に基づいて、LTE通信をON(つまり、LTE通信の使用を許可)するように設定する。これにより、ウェアラブルカメラ10は、スマートフォン40を介することなく、警察署内の本部サーバとの間で一時的にLTE通信を直接に実行できる。なお、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可しても、スマートフォン40との間で近距離無線通信(例えばBLE通信あるいは無線LAN通信)を行うことはできる。
【0147】
ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用を許可した旨のLTE通信ON応答を生成し、BLE通信によりそのLTE通信ON応答をスマートフォン40に送る(St39)。スマートフォン40は、ウェアラブルカメラ10から送られたLTE通信ON応答をLTE通信により本部サーバに転送する(St40)。
【0148】
本部サーバは、LTE通信ON応答を受信した後、そのLTE通信ON応答に対応するウェアラブルカメラ10に、BWCデータ配信要求(つまり、ウェアラブルカメラ10への撮像映像データの配信要求)をLTE通信により直接にウェアラブルカメラ10に送信する(St41)。ウェアラブルカメラ10は、本部サーバから送られたBWCデータ配信要求を受信すると、映像および音声を含む撮像映像データを配信する旨のBWCデータ配信応答をLTE通信により本部サーバに送る(St42)。ウェアラブルカメラ10は、ステップSt42の後、BWCデータ(つまり、ウェアラブルカメラ10により撮像された映像と収音された音声とを含む撮像映像データ)をLTE通信により本部サーバに配信する(St43)。本部サーバは、ウェアラブルカメラ10からLTE通信により送信された撮像映像データを受信してコンテンツサーバ70等に記録する。なお、本部サーバは、警察署内の解析官等の警官からの指示内容(例えば「xxx地点に向かえ」)等の音声データをパケット化し、LTE通信によりウェアラブルカメラ10に直接に送信してもよい(St44)。これにより、ウェアラブルカメラ10を装着している警官は、ウェアラブルカメラ10を警察無線(例えばトランシーバ)のように扱え、業務効率を図ることができる。なお、
図10では図示していないが、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データをLTE通信により送信し終えた時に、通常時のようにLTE通信の使用を不許可に設定を切り替えてもよい。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0149】
このように、実施の形態1に係るウェアラブルカメラシステム1の第4動作例では、ウェアラブルカメラ10は、オンラインストレージOST1あるいは本部サーバとの間で広域通信網を用いた広域無線通信を実行可能である。ウェアラブルカメラ10は、警官により所持されるスマートフォン40との間で近距離無線通信を行い、警官の前方の被写体の撮像映像データに映る特徴的オブジェクトのメタデータを抽出する。ウェアラブルカメラ10は、所定のタイミングに、広域無線通信(例えばLTE通信)の使用を一時的に許可し、被写体の撮像映像データと対応するメタデータとをセットにしてオンラインストレージOST1に送信する。本部サーバは、撮像映像データとメタデータとをオンラインストレージOST1から取得し、メタデータに基づいて、LTE通信の使用指示を、スマートフォン40を介してウェアラブルカメラ10に送信する。ウェアラブルカメラ10は、本部サーバから、スマートフォン40を介して送られた広域無線通信の使用指示に応じて、広域無線通信の使用を許可し、被写体の撮像映像データをLTE通信により本部サーバに送信する。
【0150】
つまり、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信を常に行うのではなく、警察署内の本部サーバからの指令(例えばメタデータの解析により被疑者を特定した際にその被疑者の周囲に位置する警官に送られる指令)があった等の緊急時に、警官の操作が入力されること無く、一時的にLTE通信の使用を許可する。また、LTE通信の使用が許可されるまではウェアラブルカメラ10と本部サーバとの間はスマートフォン40が中継し、スマートフォン40とウェアラブルカメラ10との間の通信は消費電力量の低いBLE通信により行われる。これにより、ウェアラブルカメラ10は、ウェアラブルカメラ10に内蔵されるバッテリ25の消費電力の増大を抑制できながらも、例えば事件の被疑者の特定が完了して被疑者の確保に適した位置に警官を派遣(ディスパッチ)させるような緊急事態に、ウェアラブルカメラ10が撮像した重要なシーンの撮像映像データを警察署に適応的かつタイムリーに配信できる。
【0151】
また、特徴的オブジェクトは、事件等に関する被疑者の顔、被疑者の容姿に関する外見的特徴、被疑者が乗車する逃走車両の形状および逃走車両のナンバープレートのうち少なくとも1つを含む。これにより、本部サーバは、事件等の犯罪に関わる被疑者を具体的かつ早期に特定し易くでき、その被疑者の周囲に位置する警官のディスパッチとともにウェアラブルカメラ10からの映像配信を効果的に促すことができる。
【0152】
また、ウェアラブルカメラ10は、所定のタイミングから所定期間中において広域無線通信の使用を定期的に許可する。これにより、ウェアラブルカメラ10は、LTE通信の使用可能期間の増大を抑制して被疑者の特定の手がかりとなるメタデータを早急に本部サーバに送ることができる。
【0153】
また、ウェアラブルカメラ10は、撮像映像データの送信後に、広域無線通信の使用を不許可する。これにより、ウェアラブルカメラ10は、例えばLTE通信を行う必要が無い時にまで徒にLTE通信の使用許可期間を長くならないように短縮することで、LTE通信による消費電力量の増大を効果的に抑制できる。
【0154】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本開示は、内蔵されるバッテリの消費電力の増大を抑制し、警官の業務に関するイベントの発生に応じてウェアラブルカメラの撮像映像データを警察署に安定的に配信するウェアラブルカメラシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0156】
1 ウェアラブルカメラシステム
10 ウェアラブルカメラ
50 車載カメラシステム
51 車載カメラ
52 車載PC
53 車載レコーダ
54 コモントリガーボックス
60 ディスパッチサーバ
70 コンテンツサーバ
80 メタインフォサーバ
90 クライアントPC
CC1 データセンターコンソール
NW1 ネットワーク
OST1 オンラインストレージ
VC1 警察車両