(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】正面カバーを備える縦型製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 59/00 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
B65B59/00
(21)【出願番号】P 2019155111
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-08-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 FOOMA JAPAN 2019 国際食品工業展 開催日 令和1年7月9日~令和1年7月12日 開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-001541(JP,A)
【文献】特開2018-184193(JP,A)
【文献】国際公開第2018/136983(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に走行する帯状包装材から袋を形成しながら当該袋内に製品を充填し当該製品を収容した袋を封鎖して袋包装体を製造する包装機本体、
当該包装機本体に横付け状態で付設されていて前記包装機本体の動作部分の制御装置
や電源を含む電装品を収容する電気ボックス、及び
前記包装機本体の正面手前側に配置されており前記包装機本体の正面を開閉可能に覆う正面カバーを備えている縦型製袋充填包装機であって、
前記正面カバーは前記電気ボックスに近い側の第1カバー部と前記電気ボックスから遠い側の第2カバー部とから成っており、前記第1カバー部と前記第2カバー部とは隣り合う側縁部同士が旋回用の縦支軸を介して互いに旋回可能に接合されており、
前記電気ボックスの正面壁には、縦方向に延びている回動軸と、当該回動軸よりも前記包装機本体側の位置において前記回動軸と平行に延びている旋回軸とが配設されており、 前記正面カバーの第1カバー部は、その前記電気ボックス側の側端縁部が前記回動軸に連係されていることで前記回動軸を中心として回動可能であり、
前記正面カバーの第2カバー部は、前記旋回軸に対して旋回可能に連結された旋回アームに回動連結されていること
から成る正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項2】
前記第1カバー部と前記第2カバー部の裏面側にそれぞれ対応して延びる第1アームと第2アームとから成るリンクアームが配設されており、
前記第1アームは、前記第1カバー部に取り付けられているとともに、一端部において前記回動軸に回動自在に連結され且つ他端部において前記縦支軸に回動自在に連結されており、
前記第2アームは、前記第2カバー部に取り付けられているとともに、一端部において前記縦支軸に回動自在に連結されている
ことから成る請求項1に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項3】
前記正面カバーは、前記包装機本体の正面を覆う閉じ状態において、前記包装機本体の正面に対して手前側にオフセットした位置に配置されており、
前記正面カバーの前記閉じ状態において、前記リンクアーム及び前記旋回アームは、当該オフセットによって生じている前記正面カバーの裏面と前記包装機本体の正面との間の隙間内に配置されている
ことから成る請求項2に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項4】
前記回動軸は、前記電気ボックスの前記正面壁の幅方向中央付近に配置されており、
前記旋回軸は、前記電気ボックスの前記正面壁において、前記包装機本体に隣接した側縁端付近で且つ前記回動軸よりも下方の位置に配置されている
ことから成る請求項3に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項5】
前記旋回アームの先端は、前記リンクアームの前記第2アームに対して回動可能に連結されている
ことから成る請求項3又は4に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項6】
前記第1カバー部には、前記正面カバー
の前記閉じ状態において、前記包装機本体の枠体に当接することで前記第1カバー部の閉じ方向の行き過ぎを防止するストッパが設けられている
ことから成る請求項
3~5のいずれか一項に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項7】
前記第1カバー部の横幅は前記回動軸から前記包装機本体と前記電気ボックスとの境界までの距離と同等であり、前記第1カバー部の横幅と前記第2カバー部の横幅は約1対3の割合である
ことから成る請求項1~6のいずれか一項に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【請求項8】
前記第2カバー部の下辺に前記第1カバー部から遠い側の側縁部まで切り開いた切欠き部が形成されており、
前記包装機本体の前記第1カバー部から遠い側の側面カバーは、前記正面カバーの閉じ状態で前記切欠き部に入り込む配置となる折曲げ部を備えており、
前記折曲げ部によって一部が塞がれた前記切欠き部は、前記正面カバーの下辺中央において、前記包装機本体によって製造された袋包装体を前記正面カバーの外側に搬出する袋包装体搬出装置の通過用の開口部となっている
ことから成る請求項1~7のいずれか一項に記載の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦ピロー包装機のような縦型製袋充填包装機であって、包装機本体の正面を覆うための正面カバーを備える縦型製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装機として、長手方向を縦方向に配した状態で送られる帯状包装材に縦シールを施して筒状包装材に成形し、当該筒状包装材に包装すべき製品を投入・充填し、当該筒状包装材に横シールを施すことで形成される袋に当該製品を収容・包装して袋包装体を製造する縦型製袋充填包装機が多用されている。
【0003】
図7は、従来の一般的な縦型製袋充填包装機の一例を示す図である。
図7に示される縦型製袋充填包装機50において、縦方向に配置された充填筒52の側方には包装材送りベルト53a,53bを備える包装材送り装置53が配設されており、充填筒52に巻き付けられた状態にある帯状包装材Fwは、包装材送り装置53によって充填筒52に沿って下流方向に送られる。引き下ろされる帯状包装材Fwは、製筒器(セーラ)51により帯状包装材Fwを充填筒52の後方から巻き付けて湾曲成形され、充填筒52の前側で帯状包装材Fwの幅方向の両端部を縦シーラバー54a,54bから成る縦シール装置54により貼り合せて縦シール(センタシール)Scを施すことで筒状包装材Ftに成形される。筒状包装材Ftは、縦型製袋充填包装機50の前後方向に作動する横シーラブロック55a,55bから成る横シール装置55により、横切る方向に横シール(エンドシール)Seが施されて袋が形成される。包装されるべき製品は、充填筒52の上方からホッパ(図示せず)内に投入され、筒状包装材Ftへの製品の充填と袋の形成とを繰り返すことで、袋包装体Bpが連続して製造される。横シールSeの中間で切断することで得られる個々の袋包装体Bpは、ガイドシュート56に案内され、登り傾斜するベルトコンベアのような袋包装体搬出装置57に受け渡され、更に検査装置や箱詰め装置が配設されている下流部へと搬送される(特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来の縦型製袋充填包装機の一例を示す図であり、
図6(a)は当該縦型製袋充填包装機の正面図、
図6(b)はその側面図、
図6(c)はその平面図である。
図6に示す縦型製袋充填包装機1aは、帯状包装材から袋の形成とその袋内への製品の充填・封鎖とを行って袋包装体を連続して製造可能な包装機本体2と、包装機本体2の動作部分の制御装置等の電装品を収容する箱状設備としての電気ボックス3とを備えている。電気ボックス3は、当該包装機本体2の一方の側方に対して実質的に隙間なく横付けされる態様で設置されている。また、近年、包装動作の自動化・高度化が進んでおり、包装機本体2の各部の動作を画面で確認することができるように、また包装機本体2の各部の動作を容易に設定することができるように、操作や表示のための薄型モニタ58を備えることが標準仕様となっている。
【0005】
薄型モニタ58は、電気ボックス3の天壁3aを利用して設けられている。縦型製袋充填包装機1aにおいては、電気ボックス3に収容されている電源やコントローラからの配線の引き回しが有利である等のことから、薄型モニタ58は、電気ボックス3の天壁3aの平坦な上面に載置する態様で、当該上面上に取付け具59を介するなどして取り付けられている。薄型モニタ58は、液晶画面を備えるタイプのものが安価に提供されるようになったことに加えて、画面に多くの情報量を表示することができるように、昨今では、大型の薄型モニタが採用されることが多い。なお、薄型モニタ58の横幅W1は電気ボックス3の横幅Wbと同等であるので、薄型モニタ58は電気ボックス3の横方に張り出すものとはなっていない。
【0006】
縦型製袋充填包装機1aのような製袋充填包装機においては、異物が包装機内、とりわけシール装置や筒状包装材や袋内に入り込むことがないように、またオペレータが誤って動作部分に触れることがないように、衛生面や安全性を考慮して、包装機本体2が正面カバーで60覆われている。正面カバー60は、通常、外から包装機本体を確認できるように、透明パネルから製作されている。
【0007】
従来の包装機本体2の正面カバー60としては、通常、包装機本体2の正面中央で2枚割りに分割された観音開き式のカバーが用いられている。観音開き式の正面カバー60は同じ大きさの左カバー部61と右カバー部62に分割されており、両カバー部61,62は、その外側端縁部が包装機本体2の枠部或いは包装機本体2の側面カバーに対して縦軸や金具を用いて回動可能に取り付けられることで、観音式に開閉可能となっている。両カバー部61,62が閉じ合わした状態の正面カバー60の下部は、袋包装体搬出装置57が通過するための切欠き部63となっている。
【0008】
包装機本体2には、例えば、切欠き部63の直上方の高さ位置において、正面カバー60を閉じる際に当接して、その閉じ過ぎ防止用のストッパとなるステー64が横渡しされる態様で設けられている。正面カバー60を閉じるときに左右のカバー部61,62がそれぞれステー64に当接することで、それ以上の閉じ方向の動きが規制されるとともに、当該閉じ位置を維持できるようになっている。オペレータが包装機本体2の各動作部について点検や修理・交換等のメンテナンス作業をする際には、正面カバー60を開いて、包装機本体2の正面側から内部にアクセスすることになるが、閉じ過ぎ防止用のストッパとしてのステー64は、オペレータによる作業の邪魔になり得るものであり、作業効率の低下を招くおそれがある。
【0009】
正面カバー60の袋包装体搬出装置57を通過させるための切欠き部63は包装機本体2と外部とを繋ぐ開口部であるから、衛生面や安全性の観点からすれば、開口部の広さを極力狭いものにしなければならない。しかしながら、観音開き式の正面カバー60は、左右のカバー部61,62がそれぞれ外側端縁部を回動中心とする旋回によって開閉する方式のカバーであるので、開く際には両カバー部61,62の包装機本体2の前方への振れ回りが大きくなり(
図6(b)及び(c)の想像線で示す開き状態を参照)、両カバー部61,62の下部先端が袋包装体搬出装置57と干渉する可能性がある。このような干渉を従来の延長線上の対策で回避するには、切欠き部63の開き高さを上方に高くすることになるが、特に袋包装体搬出装置57が登り傾斜型の場合には切欠き部63の開き高さが高くなる傾向にあり、カバー本来の設置目的の達成が疎かになるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、包装機本体の正面を覆い且つ左右に分割された2枚割りのカバー部から成る正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、電気ボックスの存在を利用しつつ関連構成に工夫を凝らすことで、左右のカバー部の包装機本体前方への振れ回り挙動を小さくして、正面カバーを開閉可能にする点で解決すべき課題がある。
【0012】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、包装機本体の正面を覆う正面カバーを折り畳み形式に構成し、その開閉状態に関わらず電気ボックスへの支持を確実にするとともに、正面カバーの開閉の際に包装機本体前方への振れ回りを小さくすることができる正面カバーを備える縦型製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明による正面カバーを備える縦型製袋充填包装機は、縦方向に走行する帯状包装材から袋を形成しながら当該袋内に製品を充填し当該製品を収容した袋を封鎖して袋包装体を製造する包装機本体、
当該包装機本体に横付け状態で付設されていて前記包装機本体の動作部分の制御装置や電源を含む電装品を収容する電気ボックス、及び
前記包装機本体の正面手前側に配置されており前記包装機本体の正面を開閉可能に覆う正面カバーを備えている縦型製袋充填包装機であって、
前記正面カバーは前記電気ボックスに近い側の第1カバー部と前記電気ボックスから遠い側の第2カバー部とから成っており、前記第1カバー部と前記第2カバー部とは隣り合う側縁部同士が旋回用の縦支軸を介して互いに旋回可能に接合されており、
前記電気ボックスの正面壁には、縦方向に延びている回動軸と、当該回動軸よりも前記包装機本体側の位置において前記回動軸と平行に延びている旋回軸とが配設されており、 前記正面カバーの第1カバー部は、その前記電気ボックス側の側端縁部が前記回動軸に連係されていることで前記回動軸を中心として回動可能であり、
前記正面カバーの第2カバー部は、前記旋回軸に対して旋回可能に連結された旋回アームに回動連結されていること
から成っている。
【0014】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機によれば、縦型製袋充填包装機は包装機本体及び電気ボックスを備えており、正面カバーは電気ボックスに近い側の第1カバー部と電気ボックスから遠い側の第2カバー部とから成っており、両カバー部はその互いに隣り合う側縁部同士において旋回用の縦支軸を介して互いに旋回可能に接合されている。電気ボックスの正面壁には、正面カバーを包装機本体の正面を覆う閉じ状態と正面を開く開き状態との間で開閉するための回動軸と旋回軸が縦方向に延びる態様で配設されている。第1カバー部はその電気ボックス側の側端縁部が回動軸に連係されており、第2カバー部は、第1カバー部との旋回可能な接合に加えて、電気ボックスの正面壁に配設された旋回軸に対して旋回アームを介して連結されているので、第2カバー部は正面カバーの開閉状態にかかわらず確実に支持される。正面カバーについては、第1カバー部と第2カバー部が共に電気ボックスの正面壁に対して集約された状態で支持され、包装機本体に対してはその正面を覆うように配置されるだけの関係となるので、正面カバーの設置・取り外し及びメンテナンス作業に有利である。
【0015】
正面カバーを開閉するときには、正面カバーを電気ボックス側に押す又は電気ボックス側から引くと、第1カバー部は回動軸を中心として回動し、第2カバー部は、第1カバー部とは縦支軸を介して旋回可能に接合されているので第1カバー部の回動と連動する動作をする。第2カバー部は旋回軸に連結された旋回アームの旋回動作にも規制された動作をするので、第2カバー部は、包装機本体に対して正面前後の方向の動作と包装機本体と電気ボックスが並ぶ横方向の動作との複合動作をする。即ち、電気ボックスの正面壁、第1カバー部、第2カバー部及び旋回アームは、互いに隣り合う同士が回動(旋回)可能に連結された四辺リンク機構様の働きをするので、第1カバー部は回動軸を中心として正に回動動作をするが、第2カバー部はそれ自体の回動動作は少なく、当初の包装機本体の正面を覆う姿勢と略平行な姿勢を保って小さな振れ回りで移動する。
【0016】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、第1カバー部と前記第2カバー部の裏面側にそれぞれ対応して延びる第1アームと第2アームとから成るリンクアームを配設し、前記第1アームを、前記第1カバー部に取り付けるとともに、一端部において前記回動軸に回動自在に連結し且つ他端部において前記縦支軸に回動自在に連結し、前記第2アームを、前記第2カバー部に取り付けるとともに、一端部において前記縦支軸に回動自在に連結することができる。
こうしたリンクアームを配設することにより、第1アームが取り付けられる第1カバー部は、第1アームを介して回動軸に回動自在に連係され、第1カバー部と第2カバー部は、第1アームと第2アームを介して縦支軸に回動自在に支持されることで、互いに隣り合う側縁部同士が縦支軸を介して互いに旋回可能に接合される。リンクアームという簡素な構造で、第1カバー部の回動軸に対する回動自在な連係構造と、第1カバー部と第2カバー部との互いに旋回可能な構造が得られる。リンクアームは、1本又は縦方向に離間して配置された複数本とすることができるが、開閉状態及び開閉動作の安定性や構造の簡素性の観点から上下2本とするのがこの好ましい。
【0017】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、前記正面カバーを、前記包装機本体の正面を覆う閉じ状態において、前記包装機本体の正面に対して手前側にオフセットした位置に配置し、前記正面カバーの前記閉じ状態において、前記リンクアーム及び前記旋回アームを、当該オフセットによって生じている前記正面カバーの裏面と前記包装機本体の正面との間の隙間内に配置することができる。
正面カバーの包装機本体の正面を覆う閉じ状態において、正面カバーを包装機本体の正面に対して手前側に隙間を生じるようにオフセットした位置に配置し、正面カバーの裏面側に取り付けられるリンクアームと旋回軸から延びる旋回アームを当該隙間内に配置することで、閉じ状態にある正面カバーを包装機本体の正面に対して可及的に接近させるとともに外部に開く広さを小さくした状態で配置することができる。
【0018】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、前記回動軸を、前記電気ボックスの前記正面壁の幅方向中央付近に配置し、前記旋回軸を、前記電気ボックスの前記正面壁において、前記包装機本体に隣接した側縁端付近で且つ前記回動軸よりも下方の位置に配置することができる。
電気ボックスの正面壁上での回動軸と旋回軸のこうした配置により、電気ボックスの正面壁を効率良く利用して正面カバーを支持することができるとともに、回動軸に連結されるリンクアームと旋回軸に連結される旋回アームを互いに干渉することなく回動動作させることができる。
【0019】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、前記旋回アームの先端を、前記リンクアームの前記第2アームにおいて回動可能に連結することができる。
旋回アームを第2アームにおいて回動可能に連結することで、第2カバー部は、板状のカバーでありながら、第2アームを介して旋回アームに対して回動連結される構造を得ることができる。
【0020】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、前記第1カバー部には、前記正面カバーの前記閉じ状態において、前記包装機本体の枠体に当接することで前記第1カバー部の閉じ方向の行き過ぎを防止するストッパを設けることができる。
第1カバー部に設けられたストッパは、正面カバーの閉じ状態において、包装機本体の枠部に当接してストッパとして機能し、第1カバー部のみならず第2カバー部を含めた正面カバー全体の閉じ方向の行き過ぎを防止する。ストッパは、包装機本体側に設けられるものではなく、正面カバー側の構造である。包装機本体は、既存の枠体がストッパの当接対象とされるだけであり、ストッパを設けるに際しても包装機本体の構造には特別の変更を要しない。
【0021】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、前記第1カバー部の横幅を前記回動軸から前記包装機本体と前記電気ボックスとの境界までの距離と同等とし、前記第1カバー部の横幅と前記第2カバー部の横幅を約1対3の割合とすることができる。
第1カバー部の横幅と第2カバー部の横幅をこのように設定することで、正面カバーを折り畳んで開き状態としたときには、回動軸の回りに半回転した第1カバー部は回動軸から第1カバー部の横幅に相当する距離だけ離れた位置から反転した姿勢で延びており、第1カバー部に対して縦支軸を介して旋回可能に接合されている第2カバー部は反転した姿勢にある第1カバー部の横幅、第1カバー部と回動軸との間の距離(第1カバー部の横幅に等しい)及び回動軸から包装機本体と電気ボックスとの境界までの距離(第1カバー部の横幅に等しい)の合計の横幅(第1カバー部の横幅の3倍)で広がっている。したがって、第2カバー部は、包装機本体の正面から丁度、離脱して包装機本体の正面を最も効率的に開き状態にすることができる。開き状態で第2カバー部が包装機本体の正面を一部でも覆うことなく完全に開くためには、第2カバー部の横幅については、第1カバー部に対する当該割合より小さいものであればよい。
【0022】
この正面カバーを備える縦型製袋充填包装機において、前記第2カバー部の下辺に前記第1カバー部から遠い側の側縁部まで切り開いた切欠き部を形成し、前記包装機本体の前記第1カバー部から遠い側の側面カバーは、前記正面カバーの閉じ状態で前記切欠き部に入り込む配置となる折曲げ部を備えており、前記折曲げ部によって一部が塞がれた前記切欠き部を、前記正面カバーの下辺中央において、前記包装機本体によって製造された袋包装体を前記正面カバーの外側に搬出する袋包装体搬出装置の通過用の開口部とすることができる。
第2カバー部の下辺に形成した切欠き部の一部を、その切り開いた側から包装機本体の側面カバーから延びる折曲げ部によって塞ぎ、切欠き部に残った開口部を袋包装体搬出装置の通過用の開口部としているので、開口部の広さを最低限度の必要な広さに抑えることができ、包装に関して安全性と衛生性の両方を満たすことができる。また、正面カバーを開く際には、第2カバー部は、第1カバー部の回動動作との複合動作によって、主として第1カバー部に引きずられる横方向移動をする。したがって、第2カバー部は袋包装体搬出装置と干渉することなく開き動作をすることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明による正面カバーを備える縦型製袋充填包装機は、上記のように構成されているので、第1カバー部はその電気ボックス側の側端縁部が回動軸に連係されており、第2カバー部は、第1カバー部との旋回可能な接合に加えて、電気ボックスの正面壁に配設された旋回軸に対して旋回アームを介して回動可能に連結されているので、正面カバーの開閉状態にかかわらず第2カバー部を第1カバー部と旋回アームを介して電気ボックスに対して確実に支持することができる。正面カバーについては、第1カバー部と第2カバー部が共に電気ボックスの正面壁に対して集約された状態で支持されるので、正面カバーの設置・取り外し及びメンテナンス作業に有利である。
正面カバーを開閉しようとするとき、第1カバー部は回動軸を中心とした回動動作をする。第2カバー部は、第1カバー部とは縦支軸を介して旋回可能に接合されているので第1カバー部の回動と連動する動作をする。第2カバー部は、更に旋回軸に連結された旋回アームの旋回動作にも規制された動作をするので、第2カバー部は、第1カバー部の回動動作と旋回アームの旋回動作の両方に整合した複合的な動作をする。即ち、電気ボックスの正面壁、第1カバー部、第2カバー部及び旋回アームは、互いに隣り合う同士が回動(旋回)可能に連結された四辺リンク機構様の働きをするので、第2カバーはそれ自体の回動動作は少なく当初の包装機本体の正面を覆う姿勢と略平行な姿勢を保って移動する。
このように、包装機本体の正面を覆う正面カバーについて、折り畳み形式に構成し、開閉状態に関わらず電気ボックスへの支持を確実にするとともに、正面カバーの開閉の際に包装機本体前方への振れ回りを小さくすることができる。
また、正面カバーを閉じるときに正面カバーの閉じ方向への行き過ぎを防止するストッパを配設する場合には、ストッパの役目を果たすステーを包装機本体に設置する必要を無くして、当該ステーが正面カバーの開き状態での包装機本体のメンテナンス作業の邪魔になるのを未然に回避することができる。袋包装体搬出装置を配設する場合には、正面カバーの開閉の際に、包装機本体前方への振れ回りを小さくして、左右カバー部の先端下端が袋包装体搬出装置との干渉が無くなり、袋包装体搬出のための開口部を可及的に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、この発明による正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の一実施例を、当該正面カバーを閉じた状態で示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の実施例の一部を拡大し、又は当該正面カバーを開いた状態で示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の正面カバー開き状態を示す部分斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の正面カバー閉じ状態を示す部分斜視図である。
【
図5】
図5は、この発明による正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の正面カバーの折り畳み動作の変遷を示す概略図である。
【
図6】
図6は、従来の正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の例を示す図である。
【
図7】
図7は、従来の縦型製袋充填包装機の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の実施例を説明する。
図1はこの発明による正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の一実施例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図であって、いずれも正面カバーが閉じた状態を示す図である。
図2において、(a)は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の実施例の一部を拡大して示す平面図であり、(b)は当該正面カバーを開いた状態で示す平面図である。
図3、
図4は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機の正面カバーが閉じ状態と開き状態にあるところをそれぞれ拡大して示す斜視図である。
図1、
図2には当該縦型製袋充填包装機の概要が示されており、
図3及び
図4には包装機本体、電気ボックス、正面カバー及び薄型モニタの配置関係の詳細が示されている。
【0026】
図1~
図4に示す実施例において、正面カバーを備える縦型製袋充填包装機1は、縦方向に走行する帯状包装材から袋を形成しつつ袋の中に製品を充填し当該製品を収容した袋を封鎖して袋包装体を製造する包装機本体2と、包装機本体2の片側、図示の例では左側に横付け状態に隣接して配置されており内部に包装機本体の動作部分の制御装置
や電源を含む電装品を収容する電気ボックス3とから構成されている。
【0027】
縦型製袋充填包装機1において、包装機本体2の正面は正面カバー14によって開閉可能に覆われる。正面カバー14は、左右のカバー部が折り畳み式に開閉するカバーである。この実施例においては、電気ボックス3に近い左側のカバー部が第1カバー部15であり、電気ボックス3から遠い右側のカバー部が第2カバー部16である。正面カバー14のうち第2カバー部16は包装機本体2の高さと同等の高さを備えているが、第1カバー部15は薄型モニタ(以下、単に「モニタ」と称する)11との干渉を回避するため包装機本体2の高さのみならず電気ボックス3の高さより低い高さを有している。なお、包装機本体2の正面と電気ボックス3の正面は面一となるように整列している。
【0028】
正面カバー14は、閉じ状態において、包装機本体2の正面よりオフセット距離Sだけ手前側に位置している(
図1(b)、(c))。正面カバー14を開閉するのに用いられる回動軸17は、電気ボックス3の正面壁3b上において、その幅方向中央付近に縦方向に延びる態様で設置されている回動軸である。回動軸17は、上側の保持具17aと下側の保持具17bとによって電気ボックス3の正面壁3b上に回動自在に保持されている。
【0029】
モニタ11は、特に
図3に示すように、回動軸17の上端部17cに対して、径方向に延びる態様で取り付けられたモニタアーム12とその先端に設けられている支持具13を介して支持されている。モニタ11に対して支持具13が取り付けられる位置はモニタ11の横幅方向中心位置Cwとされているので、モニタ11自体はモニタアーム12に対して横幅方向にバランス良く保持される。モニタ11が回動するときの回転中心軸は回動軸17と整列した縦軸である。正面カバー14の閉じ状態に対応してモニタ11が通常位置を占めている状態で見ると、当該縦軸は横幅方向中心位置Cwから距離Dだけ反包装機本体側に横ずれした位置にあり、モニタ11の位置も正面カバー14と同様に包装機本体2の正面から手前側にオフセットした位置にあり、通常位置を占めているモニタ11の包装機本体側部分(図で右側部分)は正面側から見て包装機本体2の一部と重なっている。支持具13には上下方向に首振りをするチルト機構(それ自体は公知のものであってよい)を備えることができるので、モニタ11をオペレータが見やすいように上下の仰角(伏角)を調節することができる。
【0030】
回動軸17と第1カバー部15及び第2カバー部16とは、リンク機構18によって連係されている。リンク機構18は、第1カバー部15と第2カバー部16の内面側に沿って取り付けられていて折れ曲り可能に構成されている上側のリンクアーム19と下側のリンクアーム20を備えている。各リンクアーム19,20は、それぞれ、基端が回動軸17に回動自在に連結されており且つ第1カバー部15の裏面に取り付けられた第1アーム19a,20aと、第1アーム19a,20aの先端に回動自在に連結されており且つ第2カバー部16の裏面に取り付けられた第2アーム19b,20bを備えている。リンクアーム19,20という簡素な構造で、第1カバー部15の回動軸17に対する回動自在な連係構造と、第1カバー部15と第2カバー部16との互いに旋回自在な構造が得られる。リンクアームについては、1本又は縦方向に離間して配置された複数本とすることができるが、図示のように、開閉状態及び開閉動作の安定性や構造の簡素性の観点から上下2本とするのが好ましい。
【0031】
第1カバー部15は、その電気ボックス3側の側端縁部が第1アーム19a,20aを介して回動軸17に連係されていることで、回動軸17を中心として回動可能である。即ち、回動軸17は、直接的には、第1カバー部15を電気ボックス3に対してその回動中心となって回動可能に支える軸となっている。上側のリンクアーム19のアーム19aとアーム19b、及び下側のリンクアーム20のアーム20aとアーム20bが、共通の縦支軸21によって回動自在に連係されており、この連係構造によって、第1カバー部15と第2カバー部16とは、隣り合う側縁部同士において縦支軸21を介して互いに旋回可能に接合されている。上下のリンクアーム19,20が縦支軸21の回りに同時に折れ曲ることにより、正面カバー14の第1カバー部15と第2カバー部16とが折り畳まれ或いは折り畳みが展開される。
【0032】
電気ボックス3から遠い側の第2カバー部16は、電気ボックス3に対して、別のリンクアーム22によって直接に連係されている。リンクアーム22は、電気ボックス3の正面壁3b上に取り付けられたブラケット24に旋回軸26によって回動自在に支持された旋回アーム23を備えており、旋回アーム23の先端が短軸25を介してリンクアーム20のアーム20bに対して回動自在に連結されている。アーム20bは第2カバー部16の裏面に取り付けられているので、旋回アーム23は、その先端において、短軸25を介して第2カバー部16に回動可能に連結される構造が得られる。ブラケット24は、電気ボックス3の正面壁3b上において、回動軸17よりも包装機本体2側、即ち、包装機本体2に隣接した側縁端付近で、且つ回動軸17よりも下方の位置に配置されており、旋回軸26は、ブラケット24において回動軸17と平行に延びる態様で配設されている。回動軸17と旋回軸26を電気ボックス3の正面壁3b上でこのように配置することにより、正面カバー14の支持のために電気ボックス3の正面壁3bが効率良く利用されるとともに、回動軸17に連結されるリンクアーム19,20と旋回軸26に連結される旋回アーム23とが互いに干渉することなく回動動作可能に配置される。
【0033】
第1カバー部15はその電気ボックス3側の側端縁部が回動軸17に連係されており、第2カバー部16は、縦支軸21による第1カバー部15との旋回可能な接合に加えて、電気ボックス3の正面壁3bに配設された旋回軸26に対して旋回アーム23を介して回動可能に連結されている。したがって、正面カバー14の開閉状態にかかわらず第2カバー部16を電気ボックス3に対して確実に支持することができる。正面カバー14は、第1カバー部15と第2カバー部16が共に電気ボックス3の正面壁3bに対して集約された状態で支持され、包装機本体2に対してはその正面を覆うように配置されるだけの関係となっている。したがって、正面カバー14の設置・取り外し及びメンテナンス作業としては、電気ボックス3に対してのみ行えばよく、包装機本体2に対しては設置時の相対位置に注意を払うだけで済む。
【0034】
正面カバー14は、包装機本体2の正面を覆う閉じ状態において、包装機本体2の正面に対して手前側に距離Sだけオフセットした位置に配置されているので、正面カバー14の閉じ状態においては、当該オフセットによって正面カバー14の裏面と包装機本体2の正面との間に距離Sに相当する隙間Gが生じている(
図1(b)、(c))。回動軸17に連結され且つ正面カバー14の裏面側に取り付けられるリンクアーム19,20及び旋回軸26に連結される旋回アーム23は当該隙間G内に配置されるので、正面カバー14は、閉じ状態にあるとき、包装機本体2の正面に対して可及的に接近した状態で配置することができる。したがって、正面カバー14と包装機本体2との間を通して外部と連なる開口広さを小さくすることができる。
【0035】
正面カバー14を開閉しようとするとき、例えば、第2カバー部16に設けられている取っ手16c等を握って電気ボックス3側に押す又は電気ボックス3側から引くと、その操作力は第2カバー部16から縦支軸21を経て第1カバー部15に作用して、第1カバー部15は回動軸17を中心とする回動動作をし、第2カバー部16は第1カバー部15の回動動作と連動動作をする。第1カバー部15及び第2カバー部16は共通の縦支軸21によって互いに回動自在であるが、それだけでは第2カバー部16は第1カバー部15に対して煽られて、縦支軸21の回りに振れ回る動きをする可能性がある。
【0036】
正面カバー14の第2カバー部16が電気ボックス3に設けられた旋回軸26に対して旋回可能に連結された旋回アーム23の先端に回動連結されていることで、第2カバー部16の動きは旋回動作をするリンクアーム22によっても規制される。第2カバー部16は、包装機本体2に対して正面前後の方向の動作と包装機本体2と電気ボックス3が並ぶ横方向の動作との複合動作をする。即ち、電気ボックス3の正面壁3b、第1カバー部15、第2カバー部16及び旋回アーム23は、互いに隣り合う同士が回動(旋回)可能に連結された四辺リンク機構様の働きをする。したがって、正面カバー14が折り畳まれ又は展開されるときに、第1カバー部15は回動軸17を中心とした回動動作をするが、第2カバー16は、それ自体の回動動作は少なく当初の包装機本体2の正面を覆う姿勢と略平行な姿勢を保ったまま移動し、第1カバー部15に対して煽られて振れ回ることなくスムーズな動作をする。
【0037】
図3は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機1の正面カバー14が閉じ状態にあるところを示す斜視図である。リンクアーム19,20は折れ曲ることなく隙間G(
図1(b)、(c))内でストレートな状態であるので、正面カバー14の第1カバー部15及び第2カバー部16は折り畳まれることなく、包装機本体2の正面を覆っている。
【0038】
正面カバー14が閉じた状態にあるとき、回動軸17が略半回転の角度で回動されることによって第1カバー部15が電気ボックス3の外側へと回動されて反転されると、第1及び第2のカバー部15,16の内面側に沿って取り付けられているリンクアーム19,20が互いに折れ曲ることで、第2カバー部16が反転状態にある第1カバー部15に対して折り畳まれる。第2カバー部16の右側端16aは、正面カバー14が閉じた状態では包装機本体2の右側端2a(又は包装機本体2の右側の側面カバー2c)と整列しているが、第1及び第2のカバー部15,16が折り畳まれて正面カバー14が開いた状態では包装機本体2の左側端2b(又は電気ボックス3の右側端縁)に対応した位置を占めるので、包装機本体2の正面が開かれる。第2カバー部16の左側端16bは、電気ボックス3を越えた側方の位置に至る。
【0039】
図4は、
図1に示す正面カバーを備える縦型製袋充填包装機1の正面カバー14が開き状態にあるところを示す斜視図である。リンクアーム19,20は共通の縦支軸21のところで折れ曲っており、それに応じて、正面カバー14の第1及び第2のカバー部15,16が折り畳まれていて、包装機本体2の正面を開いている。リンクアーム22が、リンクアーム19,20による第2カバー部16の動きを規制しているので、第2カバー部16は煽られることなく、スムーズな開閉動作をする。正面カバー14は、開き状態では電気ボックス3側に寄った位置でコンパクトな折り畳み状態となるので、包装機本体の前方周囲に大きく広がってオペレータの作業に邪魔になるようなことがない。
【0040】
図2(a)に示すように、第1カバー部15には、正面カバー14を閉じた状態において、包装機本体2の周囲枠体に当接することで第1カバー部15の閉じ方向の行き過ぎを防止するストッパ27が設けられている。第1カバー部15に設けられたストッパ27は、正面カバー14の閉じ状態において、包装機本体2の枠部に当接して第1カバー部15の行き過ぎを防止する手段として機能する。第1カバー部15の行き過ぎを防止することで、第2カバー部16を含めた正面カバー14全体の閉じ方向の行き過ぎが防止される。ストッパ27は、包装機本体2側に設けられる構造ではなく、正面カバー14側の構造である。包装機本体2については既存の枠体がストッパ27の当接対象とされるだけであり、ストッパ27に関して包装機本体2の構造には何ら変更を要しない。正面カバー14が折り畳まれたとき(開き状態)、第1カバー部15に設けられているストッパ27が第2カバー部16と干渉しないように、ストッパ27は第1カバー部15の下辺部であって、折り畳まれた状態にある第2カバー部16の切欠き部28(詳細については後述する)と対応する位置に設けられる。第1カバー部15の裏面に設けられたストッパ27は、正面カバー14を折り畳むときの第1カバー部15の反転動作時に、第2カバー部16と干渉することなく、第2カバー部16の切欠き部28を通して表側に出る。
【0041】
第1カバー部15の横幅と第2カバー部16の横幅との関係については、
図3に示すように、第1カバー部15の横幅Wc1を回動軸17から包装機本体2と電気ボックス3との境界までの距離Laと同等とし、第1カバー部15の横幅Wc1と第2カバー部16の横幅Wc2を約1対3の割合とすることが好ましい。第1カバー部15の横幅Wc1と第2カバー部16の横幅Wc2をこのように設定することで、正面カバー14を折り畳んで開き状態としたときには、回動軸17の回りに半回転した第1カバー部15は回動軸17から距離La(第1カバー部15の横幅Wc1に相当する。即ち、La=Wc1)だけ離れた位置から反転した姿勢で延びており、第1カバー部15に対して縦支軸21を介して旋回可能に接合されている第2カバー部16は反転した第1カバー部15と重なり、更に第1カバー部15を越えて広がっている。
【0042】
正面カバー14が開き状態にあるとき、縦支軸21から横に広がる第2カバー部16の横幅Wc2(縦支軸21から右側端16aまでの距離であって、第1カバー部15の横幅Wc1の3倍の横幅)は、
図4に示すように、反転した姿勢にある第1カバー部15の横幅Wc1、第1カバー部15と回動軸17との間の距離La及び回動軸17から包装機本体2と電気ボックス3との境界までの距離Laの合計の横幅(Wc1+2×La=3×Wc1)でもあるので、第2カバー部16は、電気ボックス3の正面壁3bの手前とその外側に移動して、右側端16aの位置が包装機本体2と電気ボックス3と境界位置まで広がっている。即ち、第2カバー部16は、包装機本体2の正面から完全に且つ丁度離脱して、包装機本体2の正面を最も効率的に開き状態にしている。開き状態で第2カバー部16が包装機本体2の正面を一部でも覆わないためには、第2カバー部16の横幅Wc2はこの割合より小さいものであればよい(この場合、当然ながら、包装機本体2の横幅は第2カバー部16の横幅Wc2に併せて幅狭となる)。
【0043】
図3に示すように、第2カバー部16の下辺に第1カバー部15から遠い側の側縁部まで切り開いた切欠き部28を形成し、包装機本体2の側面カバー2cのうち第1カバー部15から遠い側の側枠部から延びて切欠き部28に入り込む折曲げ部29を設け、折曲げ部29によって切欠き部28の一部が塞がれて残された開口の部分を、正面カバー14の下辺中央において、包装機本体2によって製造された包装体を正面カバー14の外側に搬出する袋包装体搬出装置57の通過用の開口部63としている。こうした構造によって開口部63の広さを最低限度の必要な広さに抑えることができ、包装に関して安全面と衛生面の両方の観点から求められる要求を満たすことができる。また、正面カバー14を開く際には、第2カバー部16は、第1カバー部15の回動動作との複合動作によって、主として第1カバー部に引きずられる横方向移動をする。したがって、第2カバー部16は袋包装体搬出装置57と干渉することなく開き動作をすることができる。
【0044】
モニタ11について説明をすると、通常位置にあるモニタ11が回動する縦軸としての回動軸17は横幅方向中心位置Cwから距離Dだけ反包装機本体側にオフセットした位置にある。
図3に正面カバー14の閉じ状態を示すように、モニタ11の回動軸17(その縦軸線)から外側を占める部分の横寸法L1は、回動軸17(その縦軸線)から包装機本体2に至る距離L2よりも短く設定されている。正面カバーを開くため回動軸17が略半回転の角度で回動されるとき、正面カバー14の開きに合わせてモニタ11も一緒に回動軸17の回りに連動回転される。この回動の初期段階においては、包装機本体2と正面手前側で重なっていて回動軸17から遠い振れ回り半径の大きい右側部分は包装機本体2の正面側で手前側に更に遠ざかる方向に回動する。その後、モニタ11が正面カバー14の開きに対応して更に回転する間も、モニタ11の当該部分は包装機本体2と干渉することがない。振れ回り半径の小さい側(横寸法L1)の部分は、回動軸17の回転に伴って、電気ボックス3の天壁3a上を旋回し包装機本体2側に回動移動する。回動軸17と包装機本体2との間の距離L2が上記のように設定されているので、当該部分は半回転しても包装機本体2と干渉することはない。その結果、モニタ11は、正面カバー14が開いた状態に至るまで、包装機本体2や電気ボックス3と干渉することなく略半回転する。
【0045】
図4に示す正面カバー14が開いた状態では、モニタ11は回動軸17の回りに半回転してその裏面側が正面を向いた状態となっている。モニタ11については上記の横寸法L1と距離L2(L1<L2)の関係があることから、モニタ11の裏面側の右端(正面側の左端、即ち、正面カバー14が閉じ状態にあったときに包装機本体2から遠い側に位置していた横幅方向一端部)は包装機本体2の左側端2bに衝突することなく旋回して当該左側端2bに対応した位置を占める。また、モニタ11の裏面側の左端(正面側の右端、即ち、正面カバー14が閉じ状態にあったときに包装機本体2の一部と重なっていた側の横幅方向一端部)は電気ボックス3の左外方へ張り出しているが、反転した左カバー部15の横幅内に納まる位置に留まっている。モニタ11は、正面側から見ると、折れ曲った右のカバー部16で覆われる状態となる。
【0046】
このように、正面カバー14の開閉にかかわらず、モニタ11は包装機本体2の内部に張り出すことはなく、回動中も包装機本体2と干渉することがない。オペレータはモニタ11による邪魔が無く、包装機本体2の内部、例えば、
図7に示す縦型製袋充填包装機50で言えば、製筒器(セーラ)51、充填筒52、包装材送り装置53、縦シール装置54及び横シール装置55等へのアクセスが容易になる。また、正面カバー14を開いた状態では、モニタ11は折り畳み状態となっている正面カバー14のうち特に第2カバー部16の横幅範囲内に納まっているので、包装機の周囲を通るオペレータは、第1及び第2のカバー部15,16に衝突しなければモニタ11にも衝突することはなく、モニタ11の破損や故障を防止することができる。なお、略半回転したモニタ11の画面側は隠されてはいないので、画面の表示を見る又は操作することは可能である。
【0047】
図5は、正面カバー14が折り畳み式のカバーであるときに、開き状態にある第1及び第2のカバー部15,16が閉じ状態に移行する経過を概略的に示す図である。図の簡略化のため、構造は概略のみを示す。リンクアーム22(
図2、
図3)が設けられているために、第1カバー部15が旋回するとき、第1カバー部15に対して共通の縦支軸21の回りに回動自在な第2カバー部16は勝手に煽られることがない。第2カバー部16は、リンクアーム22によって、大きく振れ回ることのない抑制された動きをしつつ、反転した第1カバー部15に次第に重なるように、折り畳まれる。
図4では、第2カバー部16の右側端16aの辿る曲線様の軌跡の一例が概略的に示されている。第1及び第2のカバー部15,16やリンクアーム22について長さや配置のパラメータを適宜選択することで、右側端16aの軌跡をより平らな曲線にすることも可能である。
【0048】
薄型モニタ11は、回動軸17との連動を解除して、単独で縦軸の回りに回動するものであってもよい。上記の各実施例では包装機本体2の左側に電気ボックス3と薄型モニタ11を配置したが、両者を包装機本体2の右側に配置してもよい。また、正面カバー14の回動角度は正確に半回転でなく、実質的に半回転であればよく、また、正面カバー14を閉じた状態では、モニタ11の外側端は電気ボックス3の外側壁と一致又はそれより内側にあるのが好ましいが、オペレータの移動に差し障りがなければ、電気ボックス3の外側壁よりも実質的に外側に張り出していなければモニタの外側端については柔軟に配置して構わない。
なお、明細書にて「回動可能に連結する」としていた事項は、回動する軸(周囲に回転自在に支持されている)に対して固定的に設けられている構造であっても、また、固定の軸に対して回転自在に設けられている構造であってもよいことは明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1,1a 正面カバー付き縦型製袋充填包装機
2 包装機本体
2a 右側端 2b 左側端 2c 側面カバー
3 電気ボックス 3a 天壁 3b 正面壁
11 薄型モニタ
12 モニタアーム 13 支持具
14 正面カバー 15,16 左右のカバー部
16a 右側端 16b 左側端 16c 取っ手
17 回動軸 17a,17b 保持具 17c 上端部
18 リンク機構 19,20 リンクアーム
19a,19b アーム 20a,20b アーム
21 共通の縦支軸 22 リンクアーム
23 旋回アーム 24 ブラケット
25 短軸 26 旋回軸
27 ストッパ 28 切欠き部
29 折曲げ部
50 縦型製袋充填包装機 51 製筒器(セーラ)
52 充填筒
53 包装材送り装置 53a,53b 包装材送りベルト
54 縦シール装置 54a,54b 縦シーラバー
55 横シール装置 55a,55b 横シーラブロック
56 ガイドシュート 57 袋包装体搬出装置
58 薄型モニタ 59 取付け具
60 正面カバー 61,62 左右のカバー部
63 切欠き部 64 ステー
Wc1 第1カバー部15の横幅 Wc2 第2カバー部16の横幅
S オフセット距離 G 隙間
L1 モニタの一部分の横寸法 L2 回動軸から包装機本体に至る距離
La 回動軸17から包装機本体2と電気ボックス3の境界までの距離
W1 薄型モニタの横幅 Wb 電気ボックスの横幅
Cw モニタの幅方向中心線 D 回動軸17と中心線Cw間の距離
Fw 帯状包装材 Ft 筒状包装材
Sc 縦シール Se 横シール
Bp 袋包装