(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20230613BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20230613BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H1/14 C
F28F1/32 W
(21)【出願番号】P 2019178189
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱口 真伍
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-106544(JP,U)
【文献】特開2016-114354(JP,A)
【文献】特開2007-298266(JP,A)
【文献】特開2017-096525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0116228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 1/14
F28F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ及び前記バーナを取り囲むバーナケースを有する燃焼装置と、
複数の伝熱管と、複数の前記伝熱管を収容する缶体と、を備えるとともに、前記燃焼装置の上方に配置され、前記燃焼装置から燃焼排気が送り込まれる熱交換装置と、
前記熱交換装置の上方に配置され、前記熱交換装置内を流れた燃焼排気を流す流路となる排気フードと、
を備え、
前記熱交換装置は、複数の前記伝熱管が横方向に一列に並ぶ単段構成で配列され、複数の前記伝熱管が蛇行状に繋がる構成をなし、
前記缶体において下端側に設けられた缶体側第1固定部と、前記バーナケースにおいて上端側に設けられたケース側固定部とがカシメによって固定され、
前記排気フードにおいて下端側に設けられたフード側固定部と前記缶体において上端側に設けられた缶体側第2固定部とがカシメによって固定され、
複数の前記伝熱管は、前記缶体の上下方向の中心部に配列されている
給湯器。
【請求項2】
前記缶体内に配置されるとともに前記缶体内の空間を左右に仕切る仕切部と、
複数の前記伝熱管のうち前記仕切部に最も近接して配置された近接伝熱管の端部に接続され、前記缶体の外側において前記仕切部から離れる方向に延びる接続管と、
を備え、
前記缶体側第1固定部は、前記缶体の下端部において外側に張り出した構成をなす鍔部を有し、
前記ケース側固定部は、前記バーナケースの上端部において外側に張り出した構成をなすとともに前記鍔部を下方から受けるフランジ部と、前記フランジ部の周縁部に連なって形成されるとともに上方に立ち上がる立壁部と、前記立壁部の上端部に連なって形成されるとともに内側に折り曲げられて前記鍔部をカシメ固定する複数のカシメ部と、を有し、
前記接続管は、前記近接伝熱管の端部に連なるとともに下方に延びる下降管部と、前記下降管部における前記近接伝熱管側とは反対側の端部に連なるとともに前記鍔部よりも低い位置で水平方向に沿って延びる水平管部と、を有し、
少なくともいずれかの前記カシメ部は、前記水平管部の上端よりも上位置且つ前記水平管部に対し内側に位置する
請求項1記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯側及び風呂側の大小2個の顕熱回収用熱交換器を共用の缶体内に仕切壁を介して横並びに配してなる熱交換装置を備えた給湯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。各熱交換器は、互いに平行に単段配列される複数の伝熱管を備えている。これら伝熱管は、所定の隣接関係にある端部同士が、缶体の外側でU字管により接続されて、一連の蛇行状に延びる管体部を形成するように構成される。また、熱交換装置の下側にはバーナ装置が配置される。熱交換装置の上側には、排気口や二次熱交換装置に繋がる排気フード等が配置される。これらバーナ装置、排気フード等と熱交換装置との固定方法としては、例えば、カシメが挙げられる。
【0003】
また、熱交換装置は、熱伝導率を考慮して、銅材を用いた構成が採用される場合が多い。銅材は、金属材料としては比較柔らかい材料である。このため、カシメにより固定する場合においては、銅材よりも硬い金属材料を用いることができるバーナ装置や排気フード側の複数箇所にカシメ片を設けておき、これらカシメ片をカシメ器で折り曲げるように塑性変形させるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
缶体内に伝熱管を単段で配列するように熱交換装置を構成すると、缶体内に伝熱管を複数段設ける構成と比較して缶体の上下方向のサイズを抑えやすくなる。しかし、缶体の上下方向のサイズを抑えると、カシメの際の応力が缶体においてカシメ対象部分以外の領域に伝わりやすくなり、このような応力伝搬に起因する悪影響(例えば、缶体と伝熱管との接合部分等にカシメ時の応力が伝わることによる缶体の損傷等)が懸念される。
【0006】
また、熱交換装置の缶体の外周部に配管(U字管や熱交換器内の伝熱管に湯水を導入又は導出させるための接続管など)が設けられる場合、配管とカシメ対象部分との距離が短いと、カシメを行うための器具を配置するためのスペースを十分に確保できなくなる懸念があり、必要スペースを十分に確保できないと、より工数を要する固定方法(例えば、ビス締めなど)を採用しなければならない。
【0007】
そこで、上述した課題の少なくとも一つを解決するために、熱交換装置の上下方向のサイズが抑えられやすく、且つ、熱交換装置の上下方向のサイズが抑えられたとしても熱交換装置が良好にカシメ固定され得る給湯器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の給湯器は、
バーナ及び前記バーナを取り囲むバーナケースを有する燃焼装置と、
複数の伝熱管と、複数の前記伝熱管を収容する缶体と、を備えるとともに、前記燃焼装置の上方に配置され、前記燃焼装置から燃焼排気が送り込まれる熱交換装置と、
前記熱交換装置の上方に配置され、前記熱交換装置内を流れた燃焼排気を流す流路となる排気フードと、
を備え、
前記熱交換装置は、複数の前記伝熱管が横方向に一列に並ぶ単段構成で配列され、複数の前記伝熱管が蛇行状に繋がる構成をなし、
前記缶体において下端側に設けられた缶体側第1固定部と、前記バーナケースにおいて上端側に設けられたケース側固定部とがカシメによって固定され、
前記排気フードにおいて下端側に設けられたフード側固定部と前記缶体において上端側に設けられた缶体側第2固定部とがカシメによって固定され、
複数の前記伝熱管は、前記缶体の上下方向の中心部に配列されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る給湯器は、熱交換装置の上下方向のサイズが抑えられやすく、且つ、熱交換装置の上下方向のサイズが抑えられたとしても熱交換装置が良好にカシメ固定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る給湯器の内部構造を概略的に例示した正面図である。
【
図2】
図2は、給湯器の構成を概念的に例示した説明図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る給湯器の内部構造を概略的に例示した部分拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る給湯器の内部構造を概略的に例示した部分拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のA-A線における部分拡大断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のB-B線における部分拡大断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る一次熱交換装置の要部を示す部分拡大断面図である。
【
図8】
図8は、
図5のC-C線における部分拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る一次熱交換装置、バーナ装置、及び排気フードを示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る排気フードを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る排気フードを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を列記して例示する。
【0012】
本開示の給湯器において、複数の前記伝熱管が横方向に一列に並ぶ単段構成で缶体の上下方向の中心部に配列されていれば、伝熱管が複数段設けられている構成と比較して缶体の上下方向の大きさが抑えられやすくなり、且つ、缶体において上端側及び下端側に設けられる各固定部(缶体側第1固定部、缶体側第2固定部)と伝熱管との距離がより確保されやすくなる。従って、カシメ時の応力が伝熱管近傍に伝わりにくくなり、カシメ時の応力の影響が伝熱管近傍に及ぶことに起因する不具合が生じにくくなる。よって、この給湯器は、熱交換装置の上下方向のサイズが抑えられやすく、且つ、熱交換装置の上下方向のサイズが抑えられたとしても熱交換装置が良好にカシメ固定され得る。
【0013】
本開示の給湯器は、缶体内に配置されるとともに缶体内の空間を左右に仕切る仕切部と、複数の伝熱管のうち仕切部に最も近接して配置された近接伝熱管の端部に接続され、缶体の外側において仕切部から離れる方向に延びる接続管と、を備えていてもよい。缶体側第1固定部は、缶体の下端部において外側に張り出した構成をなす鍔部を有していていもよい。ケース側固定部は、バーナケースの上端部において外側に張り出した構成をなすとともに鍔部を下方から受けるフランジ部と、フランジ部の周縁部に連なって形成されるとともに上方に立ち上がる立壁部と、立壁部の上端部に連なって形成されるとともに内側に折り曲げられて鍔部をカシメ固定する複数のカシメ部と、を有していてもよい。接続管は、近接伝熱管の端部に連なるとともに下方に延びる下降管部と、下降管部における近接伝熱管側とは反対側の端部に連なるとともに鍔部よりも低い位置で水平方向に沿って延びる水平管部と、を有していてもよい。少なくともいずれかのカシメ部は、水平管部の上端よりも上位置且つ水平管部に対し内側に位置していてもよい。
【0014】
この給湯器は、水平方向に沿うように接続管を配置することを可能としつつ、水平部分(水平管部)が存在しても、このような水平部分に対する干渉を避けてカシメ部をより確実にかしめることができるようになる。
【0015】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1~
図5に示すように、給湯器1は、一次熱交換装置100、二次熱交換装置200、バーナ装置300、及び排気フード400を備えている。一次熱交換装置100は、熱交換装置の一例に相当する。バーナ装置300は、燃焼装置の一例に相当する。
【0016】
一次熱交換装置100は、給湯用一次熱交換器110、及び風呂用一次熱交換器120、の2つの熱交換器を備えている。
【0017】
二次熱交換装置200は一次熱交換装置100の上方に配置されている。二次熱交換装置200は、給湯用一次熱交換器110の上流側に連なる給湯用二次熱交換器210と、風呂用一次熱交換器120の上流側に連なる風呂用二次熱交換器220と、の2つの熱交換器を備えている。
【0018】
バーナ装置300は一次熱交換装置100の下部に接続されている。バーナ装置300は、給湯用バーナ群310及び風呂用バーナ群320の2つのバーナ群と、バーナケース330とを備えている。給湯用バーナ群310及び風呂用バーナ群320は、バーナの一例に相当する。給湯用バーナ群310は、給湯用一次熱交換器110及び給湯用二次熱交換器210に送る燃焼排気を発生させる。風呂用バーナ群320は、風呂用一次熱交換器120及び風呂用二次熱交換器220に送る燃焼排気を発生させる。
【0019】
排気フード400は、下端部が一次熱交換装置100に接続され、上端部が二次熱交換装置200に接続されている。排気フード400は、下端部が下方に向かって開口して一次熱交換装置100内の空間に連通している。また、排気フード400は、上端部が前方に向かって開口して二次熱交換装置200内の空間に連通している。
【0020】
給湯器1は、バーナ装置300の各バーナ群310,320で発生させた燃焼排気をバーナ装置300の上方の一次熱交換装置100に流通させる。一次熱交換装置100では、給湯用一次熱交換器110及び風呂用一次熱交換器120内の通水と燃焼排気とを熱交換させる。給湯器1は、一次熱交換装置100によって燃焼排気の顕熱を回収するように機能する。
【0021】
図5に示すように、給湯器1は、バーナ装置300の燃焼排気が一次熱交換装置100から排気フード400を経て二次熱交換装置200に導かれる。一次熱交換装置100を通過した燃焼排気は、排気フード400を経て二次熱交換装置200に後方から進入する。二次熱交換装置200では、給湯用二次熱交換器210及び風呂用二次熱交換器220の通水と燃焼排気とを熱交換させる。給湯器1は、二次熱交換装置200によって燃焼排気の潜熱を回収するように機能する。
【0022】
図2に示すように、給湯器1は、回路構成的には、給湯回路10及び風呂回路20の2つの回路を備えて構成されている。
【0023】
給湯回路10は、水道等からの水を加熱して湯として流出させる回路である。
図1及び
図2に示すように、給湯回路10は、水道等の給水源に接続された入水口11から入水管12に水を流入し、給湯用二次熱交換器210、給湯用一次熱交換器110の順に通水させつつ給湯用バーナ群310の燃焼排気と熱交換して水を加熱し、出湯管13を流通させて出湯口14から湯を流出する。出湯管13は、接続管の一例に相当する。
【0024】
風呂回路20は、浴槽B内の湯を循環加熱する回路である。風呂回路20は、浴槽B内の開口に連通する湯入口21から循環ポンプPによって浴槽B内の湯を戻り管22に吸い込み、風呂用二次熱交換器220、風呂用一次熱交換器120の順に通水させつつ風呂用バーナ群320の燃焼排気と熱交換して湯を再加熱し、より高温となった湯を、往き管23を経由して湯出口24から浴槽Bに吐出する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、給湯器1はドレンホース31及び中和器32を備える。ドレンホース31は、上流側が二次熱交換装置200の後述するドレン排出口238(
図5参照)に接続されており、下流側が中和器32に接続されている。二次熱交換装置200において潜熱の回収によって生じたドレンは、ドレン排出口238を介して二次熱交換装置200の外部に排出され、ドレンホース31を通じて中和器32に送られる。
【0026】
図1に示すように、給湯器1は、制御装置としてのコントローラ33を備える。コントローラ33は、例えば、公知のマイクロコンピュータ等として構成されており、給湯器1に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成されており、給湯器1に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る構成となっている。例えば、給湯器1は、図示しない通水センサによって入水管12内の通水を検知した場合に、給湯用バーナ群310を動作させて湯を生成することを行う。別の例として、給湯器1は、図示しない通水センサによって戻り管22内の通水を検知した場合に、風呂用バーナ群320を動作させて風呂の追い炊き等を行う。
【0027】
次に、一次熱交換装置100の構成について説明する。
一次熱交換装置100は顕熱回収型熱交換装置である。一次熱交換装置100は、
図3~
図8に示すように、缶体130と、給湯用一次熱交換器110と、風呂用一次熱交換器120とを有して構成されている。これら缶体130、給湯用一次熱交換器110、風呂用一次熱交換器120は、例えば、熱伝導性に優れた銅製が採用され得る。
【0028】
図6に示すように、缶体130は、左右方向に長い平面視略矩形状をなすとともに、上下に貫通した筒状に形成されている。缶体130は、仕切部131によって内部が左右に仕切られている。給湯用一次熱交換器110及び風呂用一次熱交換器120は、この仕切部131を介して、缶体130内に左右方向に横並びに配列されている。換言すると、給湯用一次熱交換器110は、缶体130内の仕切部131により仕切られた右側の空間に収納されており、風呂用一次熱交換器120は、缶体130内の仕切部131により仕切られた左側の空間に収納されている。
【0029】
図6に示すように、缶体130は、前壁部132、後壁部133、左壁部134、及び右壁部135を有する角筒状をなしている。
図7、
図9に示すように、缶体130の上下方向両側の開口端には、外方に鍔状に延びて形成された鍔部136A,136Bが設けられている。鍔部136Aは、缶体側第1固定部の一例に相当する。鍔部136Bは、缶体側第2固定部の一例に相当する。
【0030】
図7に示すように、一次熱交換装置100は、上下の鍔部136B,136Aが排気フード400及びバーナケース330に設けられたカシメ部334,404によってカシメられて上下方向で固定されている。
図6に示すように、缶体130は、左右方向の中心よりも左寄りの位置において、前壁部132と後壁部133の間に仕切部131が架け渡され、仕切部131の前後方向の両端が前壁部132及び後壁部133にそれぞれ連結されている。すなわち、仕切部131によって仕切られた左右の空間は、左側のほうが大きく、右側のほうが小さい。
【0031】
図5~
図8に示すように、給湯用一次熱交換器110は、複数の伝熱管111と、これらを接続する複数の接続管112とを備えている。
【0032】
伝熱管111は断面円形状のストレート管である。伝熱管111は、複数(本実施形態の場合、奇数本であり、7本)備えられている。各伝熱管111は、両端が缶体130の前壁部132及び後壁部133を貫通する形態で、前後に延びて配置されている。各伝熱管111は、缶体130の貫通部位にロウ付け等によって固定される。各伝熱管111は缶体130の上下方向の中心部に配置されている。伝熱管111は、仕切部131から右壁部135に向かって、左右方向に沿って単段に配列されている。複数の伝熱管111は、仕切部131に最も近い伝熱管111の後端とその右側に隣接する伝熱管111の後端とが接続管112によって接続され、仕切部131に最も近い伝熱管111の右側に隣接する伝熱管111の前端とその右側に隣接する伝熱管111の前端とが接続管112によって接続され、という形態で、仕切部131に最も遠い伝熱管111まで、蛇行状に一連に繋がっている。
図6に示すように、各伝熱管111の内周面には金属線111Aがらせん状に長手方向に延びて配索されている。また、
図2に示すように、各伝熱管111の外周面には伝熱フィン113が取り付けられている。
【0033】
給湯用一次熱交換器110は、仕切部131に最も遠い伝熱管111の後端の開口が、給湯用二次熱交換器210からの水が流入する給湯用入口開口114であり、仕切部131に最も近い伝熱管111の前端の開口が、加熱された水が流出する給湯用出口開口115である。すなわち、給湯用一次熱交換器110は、後面側から流入した水が蛇行しつつ仕切部131に近づく方向に流通し、前面側に流出する。給湯用入口開口114には給湯用中継管15の一端が接続されている。給湯用中継管15の他端は、後述する給湯用二次熱交換器210の出口と連通している。給湯用出口開口115には出湯管13が接続されている。すなわち、出湯管13は、複数の伝熱管111のうち仕切部131に最も近接して配置された伝熱管111(近接伝熱管111X)の前端部である給湯用出口開口115に接続されている。出湯管13は、仕切部131から離れるように、給湯用出口開口115から側方に延びている。出湯管13は、下降管部13A及び水平管部13Bを有して構成されている。下降管部13Aは、一端が給湯用出口開口115に連なって右方斜め下方に延びている。水平管部13Bは、一端が下降管部13Aの他端に連なるとともに、缶体130の下端側の鍔部136Aよりも低い位置で右方に略水平に延びている。なお、水平管部13Bの他端には、右方斜め下方に延びるとともに、正面視においてバーナケース330の右側端縁を越えた位置で下方に延びる管部13Cが更に設けられている(
図1参照)。
【0034】
図6に示すように、風呂用一次熱交換器120は、給湯用一次熱交換器110の伝熱管111及び接続管112と同様の複数の伝熱管121及び複数の接続管122を備えている。風呂用一次熱交換器120は、給湯用一次熱交換器110の伝熱管111よりも少ない本数の伝熱管121で構成されている。すなわち、風呂用一次熱交換器120は、給湯用一次熱交換器110よりもの熱交換経路の長さが短い。風呂用一次熱交換器120は、伝熱管121の本数が複数(本実施形態の場合、奇数本であり、3本)である点は給湯用一次熱交換器110と同じである。複数の伝熱管121は、前後方向に沿って配置され、両端が缶体130の前壁部132及び後壁部133にそれぞれ固定されている。各伝熱管121は、缶体130の上下方向の略中心に、仕切部131の左側から左壁部134に向かって、左右方向に沿って単段に配列されている。複数の伝熱管121は、仕切部131に最も近い伝熱管121の後端とその左側に隣接する伝熱管121の後端とが接続管122によって接続され、仕切部131に最も近い伝熱管121の左側に隣接する伝熱管121の前端とその右側に隣接する伝熱管121の前端とが接続管122によって接続され、…という形態で、仕切部131に最も遠い伝熱管121まで、蛇行状に一連に繋げられている。
図6に示すように、各伝熱管121の内周面には金属線121Aがらせん状に長手方向に延びて配索されている。また、
図2に示すように、各伝熱管121の外周面には伝熱フィン123が取り付けられている。
【0035】
風呂用一次熱交換器120は、仕切部131に最も近い伝熱管121の前端の開口が、風呂用二次熱交換器220からの水が流入する風呂用入口開口124であり、仕切部131に最も遠い伝熱管121の後端の開口が、加熱された水が流出する風呂用出口開口125である。すなわち、風呂用一次熱交換器120は、前面側から流入した水が蛇行しつつ仕切部131から離れる方向に流通し、後面側に流出する。風呂用入口開口124には風呂用中継管40の一端が接続されている。風呂用中継管40の他端は、後述する風呂用二次熱交換器220の出口と連通している。風呂用出口開口125には往き管23が接続されている。往き管23は、風呂用出口開口125から左方に屈曲したのち、下向きに無理なく延びている。
【0036】
本構成では、複数の伝熱管111,121が横方向に一列に並ぶような単段構成で配列されている。例えば、複数の伝熱管111は、仕切部131から右壁部135に向かって横方向に一列に並ぶような単段構成で配列されている。そして、複数の伝熱管111,121は、いずれもが缶体130の上下方向の中心部に配置されている。
図7では、缶体130の上端の高さと下端の高さの中心(中心高さ)を一点鎖線Hcで示しており、横方向に並ぶ全ての伝熱管111,121が、この中心高さに位置する。具体的には、伝熱管111,121のいずれも、上端が上記中心高さ(一点鎖線Hc)よりも上位置にあり、下端が上記中心高さ(一点鎖線Hc)よりも下位置にある。換言すれば、上下方向と直交する仮想的な平面であって且つ上記中心高さ(一点鎖線Hc)を通る仮想平面が、横方向に並ぶ全ての伝熱管111,121を通る位置関係となっている。より望ましくは、円筒状に構成された伝熱管111,121の中心軸(円筒の中心)が上記中心高さ(一点鎖線Hc)に位置する。即ち、上記仮想平面の位置に全ての伝熱管111,121の中心軸(円筒の中心)が位置することが望ましい。なお、缶体130の上端と上記仮想平面との間の上下方向の距離は、缶体130の下端と上記仮想平面との間の上下方向の距離と等しい。
【0037】
次に、二次熱交換装置200の構成について説明する。
二次熱交換装置200は潜熱回収型熱交換装置である。
図3~
図5、及び
図8に示すように、二次熱交換装置200は一次熱交換装置100の上方に配置されている。二次熱交換装置200と一次熱交換装置100とは、一次熱交換装置100を通過した燃焼排気を二次熱交換装置200に導入するための後述する排気フード400によって連結されている。
【0038】
図8に示すように、二次熱交換装置200は、左右方向及び上下方向において、一次熱交換装置100よりも大きく設けられている。また、
図5に示すように、二次熱交換装置200は、底面が前方に向かって下り傾斜する形態で配置されている。更に、二次熱交換装置200の前端部は、一次熱交換装置100の缶体130の前面よりも前方にオーバーハングして設けられている。このオーバーハング部分の下面にはドレン排出口238が設けられており、ドレン排出口238にはドレンホース31が接続されている。
【0039】
二次熱交換装置200は、
図5及び
図8に示すように、筐体230と、給湯用二次熱交換器210と、風呂用二次熱交換器220とを有して構成されている。これら筐体230、給湯用二次熱交換器210及び風呂用二次熱交換器220は、耐食性に優れたステンレス製が採用され得る。
【0040】
筐体230は、左右方向に長い箱状に形成されている。筐体230は、仕切部231によって内部が左右に仕切られている。給湯用二次熱交換器210及び風呂用二次熱交換器220は、この仕切部231を介して、筐体230内に左右方向に横並びに配列されている。詳細には、給湯用二次熱交換器210は筐体230内の仕切部231により仕切られた右側の空間に収納されており、風呂用二次熱交換器220は筐体230内の仕切部231により仕切られた左側の空間に収納されている。また、
図8に示すように、仕切部231は、一次熱交換装置100の仕切部131と比較して、給湯器1の中心よりも、より左寄りの位置に配置されている。
【0041】
図3~
図5に示すように、筐体230には、流入口232、流出口233、給湯用入口部234、給湯用出口部235、風呂用入口部236、風呂用出口部237、及びドレン排出口238が形成されている。
【0042】
流入口232及び流出口233は、二次熱交換装置200に燃焼排気を出入りさせるための開口である。具体的には、
図5に示すように、流入口232は筐体230の後壁に開口して形成されており、流出口233は筐体230の前壁に開口して形成されている。すなわち、二次熱交換装置200は、燃焼排気が筐体230内を後方から前方に流通する。
【0043】
給湯用入口部234及び給湯用出口部235は、給湯用二次熱交換器210に水を出入りさせるための開口である。
図4に示すように、給湯用入口部234及び給湯用出口部235は筐体230の右側の側面にそれぞれ形成されている。給湯用入口部234は、筐体230の右側面の前側下寄りの位置に右方向に開口する形態で形成されている。給湯用入口部234は給湯用二次熱交換器210の入口に連通している。給湯用入口部234には、入水管12の下流端が着脱自在に接続される。給湯用出口部235は、筐体230の右側面の後側上寄りの位置に右方向に開口する形態で形成されている。給湯用出口部235は給湯用二次熱交換器210の出口に連通している。給湯用出口部235には、給湯用中継管15の上流端が着脱自在に接続される。給湯用中継管15の下流端は、一次熱交換装置100の給湯用一次熱交換器110の後端部開口である給湯用入口開口114に連通している。
【0044】
図8に示すように、給湯用二次熱交換器210は複数の蛇行管211を有して構成されている。複数の蛇行管211は上下方向に重ねられて筐体230内に収納されている。各蛇行管211は、両端が給湯用入口部234及び給湯用出口部235にそれぞれ連通する形態で配置されている。給湯用二次熱交換器210は、各蛇行管211に並列に通水されて熱交換を行う。
【0045】
風呂用入口部236及び風呂用出口部237は、風呂用二次熱交換器220に水を出入りさせるための開口である。
図3に示すように、風呂用入口部236及び風呂用出口部237は、筐体230の左側の側面にそれぞれ形成されている。風呂用入口部236は、筐体230の左側面の前側下寄りの位置に左方向に開口する形態で形成されている。風呂用入口部236は風呂用二次熱交換器220の入口に連通している。風呂用入口部236には、戻り管22の下流端が着脱自在に接続される。風呂用出口部237は、筐体230の左側面の後側上寄りの位置に左方向に開口する形態で形成されている。風呂用出口部237は風呂用二次熱交換器220の出口に連通している。風呂用出口部237には、風呂用中継管40の上流端が着脱自在に接続される。風呂用中継管40の下流端は、一次熱交換装置100の風呂用一次熱交換器120の前端部開口である風呂用入口開口124に連通している。
【0046】
図8に示すように、風呂用二次熱交換器220は複数の蛇行管221を有して構成されている。複数の蛇行管221は上下方向に重ねられて筐体230内に収納されている。各蛇行管221は、両端が風呂用入口部236及び風呂用出口部237にそれぞれ連通する形態で配置されている。風呂用二次熱交換器220は、各蛇行管221に並列に通水されて熱交換を行う。
【0047】
風呂用中継管40は、上述のように、二次熱交換装置200の風呂用出口部237と、風呂用一次熱交換器120の風呂用入口開口124とを接続し、風呂用二次熱交換器220からの湯水を風呂用入口開口124から風呂用一次熱交換器120内に導入する。
図3に示すように、風呂用中継管40は、下流側管部41及び上流側管部42を有している。
【0048】
図3に示すように、下流側管部41は、下流端が風呂用入口開口124に連通して固定されている。下流側管部41の上流端は上流側管部42と着脱自在に連結される連結部41Aとされている。連結部41Aは、風呂用出口部237の開口方向と同じ方向である右方向に開口して形成されている。下流側管部41は、斜行部41B及び水平部41Cを有して構成されている。斜行部41Bは、下流端が風呂用入口開口124に接続されて前方に延び、風呂用入口開口124の前方で屈曲して左斜め上方向に延びて形成されている。水平部41Cは、下流端が斜行部41Bの上流端に連続しており、缶体130の上端を越えてから略水平に左方向に延びる形態で設けられている。水平部41Cの上流端は連結部41Aである。
【0049】
上流側管部42は、上流端が二次熱交換装置200の風呂用出口部237に着脱自在に接続され、下流端が下流側管部41の上流端である連結部41Aに着脱自在に接続される。上流側管部42は、その両端が同じ方向を向いて開口する形態で形成されている。
図3に示すように、上流側管部42は、接続部42A、斜行部42B、下降部42C、及び連結部42Dを有している。接続部42Aは上流側管部42の上流端であり、風呂用出口部237と接続される部分である。斜行部42Bは、接続部42Aが風呂用出口部237に接続された状態において、上流端から左方に延びて風呂用出口部237の左方で屈曲して前方斜め下方に延びて形成されている。下降部42Cは、斜行部42Bの下流端に連続しており、風呂用入口部236を越えた位置で下方に延びるとともに、その下端が右方向に屈曲している。連結部42Dは下降部42Cの下流端に設けられており、下流側管部41の上流端である連結部41Aに着脱自在に接続されている。
【0050】
図5に示すように、ドレン排出口238は、筐体230の前端部下側に形成されている。上述のように、筐体230は前傾して配置されるため、潜熱回収された燃焼排気から発生するドレンは筐体230の前方に向かって流れ、ドレン排出口238から好適に排出される。また、
図8に示すように、本実施形態のドレン排出口238は、左右方向における一次熱交換装置100の仕切部131に対応する位置に形成されている。したがって、ドレン排出口238に接続されたドレンホース31は、仕切部131の前方を下方に延びる形態で設けられる。
【0051】
バーナ装置300は、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させる。
図8に示すように、バーナ装置300は、バーナケース330、給湯用バーナ群310、及び風呂用バーナ群320を備える。バーナケース330は一次熱交換装置100の缶体130の下方に設けられている。バーナケース330は、左右方向に長い平面視略矩形状をなすとともに上端部が開口して設けられている。バーナケース330は缶体130と同様の角筒状をなしている。バーナケース330は、仕切部331によって内部が左右に仕切られている。
【0052】
図8に示すように、給湯用バーナ群310及び風呂用バーナ群320は、仕切部331を介して、バーナケース330内に左右方向に横並びに配列されている。換言すると、給湯用バーナ群310は、バーナケース330内の仕切部331により仕切られた右側の空間に収納されており、風呂用バーナ群320は、バーナケース330内の仕切部331により仕切られた左側の空間に収納されている。これにより、給湯用バーナ群310は給湯用一次熱交換器110の下方に配置されて給湯回路10に燃焼排気を供給する。風呂用バーナ群320は風呂用一次熱交換器120の下方に配置されて風呂回路20に燃焼排気を供給する。
図8に示すように、仕切部331は、一次熱交換装置100の仕切部131の下端に連結されている。これにより、バーナケース330内の左右の空間は一次熱交換装置100の缶体130内の左右の空間にそれぞれ連なる形態で仕切られている。
【0053】
図1及び
図2に示すように、給湯用バーナ群310の上方の空間には点火プラグ311及びフレームロッド312が配置されている。同様に、風呂用バーナ群320の上方には、点火プラグ321及びフレームロッド322が配置されている。これら点火プラグ311,321、及びフレームロッド312,322は、バーナケース330の前面からバーナケース330内に差し込まれている。点火プラグ311,321、及びフレームロッド312,322の後端は、バーナケース330の前面から前方にそれぞれ突出している。点火プラグ311,321、及びフレームロッド312,322の後端には図示しない配線がそれぞれ接続されている。
【0054】
バーナ装置300と一次熱交換装置100とはカシメによって接続固定されている。具体的には、
図7~
図9に示すように、バーナケース330の上端側の所定部位(具体的には、上端部)には一次熱交換装置100に固定される部分であるケース側固定部330Aが設けられている。ケース側固定部330Aは、フランジ部332と複数の立壁部333と複数のカシメ部334とを備える。
【0055】
フランジ部332は、バーナケース330の上端部において外側に張り出した構成をなすとともに缶体130の鍔部136Aを下方からパッキン50を介して受けるように機能する部分である。フランジ部332はバーナケース330の上端から外側方向にフランジ状に延びて形成されている。
【0056】
複数の立壁部333は、フランジ部332の周縁部(先端部)に連なって形成されるとともに上方に立ち上がる形態をなす部分である。
【0057】
複数のカシメ部334は、立壁部333の上端部に連なって形成されるとともに内側に折り曲げられて鍔部136Aをカシメ固定する部分である。複数のカシメ部334は、バーナケース330の周方向に沿うように間隔をあけて並んでおいる。ケース側固定部330Aは、複数のカシメ部334が内側に折り曲げられるように塑性変形することにより複数のカシメ部334が鍔部136Aの上面を下方側に押圧した状態で位置決めされるようにカシメ固定される。
【0058】
図9において、バーナケース330の前面側におけるカシメ部334は、カシメ加工後の折り曲げられた状態を示し、バーナケース330におけるその他の部位(側面側及び後面側)のカシメ部334は、カシメ加工前の状態(折り曲げる前の状態)を示している。このようにして、バーナ装置300のケース側固定部330Aと一次熱交換装置100の鍔部136A(缶体側第1固定部)とが互いに固定された状態で接続される。なお、
図1等では、カシメ加工後(折り曲げられた状態)のカシメ部334をそれぞれ示している。
【0059】
図1に示すように、バーナケース330の前面側の上端部には、出湯管13の水平管部13Bに対応する位置にカシメ部334Aが設けられている。本実施形態の場合、水平管部13Bに対応する位置には1つのカシメ部334が設けられている。
【0060】
図1及び
図9に示すように、バーナケース330の前面側における複数のカシメ部334のうち、出湯管13に対応する位置の複数のカシメ部334Aは、出湯管13の下降管部13Aに対応する位置を避けるように左右方向に不等間隔に設けられている。上述のように、下降管部13Aは、給湯用出口開口115から右方斜め下方に、缶体130の下側の鍔部136Aを越えて延びている。このような下降管部13Aに対応する位置にカシメ部334が設けられていると、カシメ用の工具をセットすることが困難でカシメ加工を行うことができない。そこで、本実施形態では、出湯管13の水平管部13Bに対応する位置にカシメ部334Aを設けている。水平管部13Bは、下降管部13Aに連なって缶体130の下端側の鍔部136Aよりも低い位置で右方に略水平に延びている。この水平管部13Bに対応する位置にカシメ部334Aを設けることにより、出湯管13に干渉させることなくカシメ部334のカシメ加工を行うことを可能としている。なお、バーナケース330の前面側における複数のカシメ部334のうち、左端のカシメ部334Bはドレンホース31の背後に位置しているが(
図1参照)、ドレンホース31はカシメ部334のカシメ加工後に取り付けられるため別段問題はない。
【0061】
図5及び
図8に示すように、排気フード400は、一次熱交換装置100と二次熱交換装置200の間に配置されている。排気フード400は、一次熱交換装置100の缶体130の上端開口と、二次熱交換装置200の筐体230の後壁の流入口232とを連通して燃焼排気の通路を形成している。排気フード400は、仕切部401によって内部が左右に仕切られている。仕切部401は、一次熱交換装置100の仕切部131の上端と、二次熱交換装置200の仕切部231の後端とを接続する形態で、給湯回路10及び風呂回路20のそれぞれに対応した空間を形成している。
【0062】
また、
図7~
図10に示すように、排気フード400の下端側の所定部位には、缶体に固定される部位であるフード側固定部400Aが設けられている。フード側固定部400Aは、鍔部136B(缶体側第2固定部)に固定される部位であり、フランジ部402、立壁部403、及び複数のカシメ部404を備える。具体的には、排気フード400の下端部周縁に、フランジ部402、立壁部403、及び複数のカシメ部404が設けられており、複数のカシメ部404の塑性変形によって一次熱交換装置100の上端部とカシメによって接続固定されている。
【0063】
フランジ部402は、排気フード400の下端から外側方向にフランジ状に延びて形成されており、缶体130上端部の鍔部136Bを上方からパッキン50を介して受ける。立壁部403は、フランジ部402の先端から下方に立ち下がる形態で設けられている。複数のカシメ部404は、立壁部403の下端に周方向に沿って設けられている。これら複数のカシメ部404が内側に折り曲げられることにより一次熱交換装置100の鍔部136Bがカシメ固定され、排気フード400と一次熱交換装置100とが接続されている。なお、
図9~
図11では、排気フード400のカシメ部404は、カシメ加工前の状態(折り曲げる前の状態)を示しており、
図1等では、カシメ加工後(折り曲げた後)のカシメ部404を示している。
【0064】
図8~
図11に示すように、排気フード400は、本体部410及び後部420を有して構成されている。
【0065】
本体部410は、前後方向において、前端部から後方に向かって徐々に高くなる形態で、上方に膨出して形成されている。また、本体部410は、左右方向において、断面略台形状に上方に膨出して形成されている。本体部410の後端は後方に開口している。本体部410の後端開口の周縁には板状の取付部411が設けられている。後部420は、後方に膨出する角皿状に形成されている。後部420は、その下側の部分が本体部410の後部開口を塞ぐように本体部410の取付部411に取り付けられている。本体部410の前端部及び左右側端部と、後部420の下端部には、上述のフランジ部402、立壁部403、及び複数のカシメ部404がそれぞれ設けられている。排気フード400は、下端部周縁に設けられたこれら前後左右のカシメ部404がカシメ固定されることによって、缶体130の上端縁に接続される。排気フード400は、後部420の上側の部分が二次熱交換装置200の筐体230の流入口231周縁にビス止めされることによって、筐体230後壁に接続される(
図5参照)。
【0066】
排気フード400の前端側の下端部において、複数のカシメ部404は左右方向に不等間隔に設けられている。これにより、風呂用中継管40の下流側管部41の斜行部41Bに対応する位置を避けている。カシメ部404は、排気フード400の前端側の下端部において、下流側管部41の水平部41Cに対応する位置に設けられている。
【0067】
上述のように、下流側管部41は、斜行部41B及び水平部41Cを有して構成されている。斜行部41Bは、下流端が風呂用入口開口124に接続されて前方に延び、風呂用入口開口124から左方斜め上方に、缶体130の上側の鍔部136Bを越えて延びている。このような斜行部41Bに対応する位置にカシメ部404が設けられていると、カシメ用の工具をセットすることが困難でカシメ加工を行うことができない。そこで、本実施形態では、風呂用中継管40の水平部41Cに対応する位置にカシメ部404を設けている。水平部41Cは、斜行部41Bに連なって缶体130の上端側の鍔部136Bよりも高い位置で左方に略水平に延びている。この水平部41Cに対応する位置にカシメ部404を設けることにより、風呂用中継管40に干渉させることなくカシメ部404のカシメ加工を行うことを可能としている。
【0068】
次に、本実施形態に係る給湯器1の作用効果について説明する。
上述した給湯器1は、複数の伝熱管111,121が横方向に一列に並ぶ単段構成で缶体130の上下方向の中心部に配列されている。従って、給湯器1は、伝熱管が複数段設けられている構成と比較して缶体130の上下方向の大きさが抑えられやすく、且つ、缶体130において上端側及び下端側に設けられる各固定部(缶体側第1固定部、缶体側第2固定部)と伝熱管111,121との距離がより確保されやすくなる。ゆえに、給湯器1を製造する製造過程でのカシメ時の応力が伝熱管111,121近傍に伝わりにくくなり、製造後には、カシメ時の応力の影響が伝熱管111,121近傍に及ぶことに起因する不具合が生じにくくなる。
【0069】
よって、給湯器1は、一次熱交換装置100(熱交換装置)の上下方向のサイズが抑えられやすく、且つ、一次熱交換装置100の上下方向のサイズが抑えられたとしても一次熱交換装置100が良好にカシメ固定され得る。
【0070】
給湯器1は、缶体130内に配置されるとともに缶体130内の空間を左右に仕切る仕切部131と、複数の伝熱管111のうち仕切部131に最も近接して配置された近接伝熱管111Xの端部に接続される出湯管13(接続管)と、を備える。出湯管13(接続管)は、缶体130の外側において仕切部131から離れる方向に延びる構成をなす。そして、缶体側第1固定部は、缶体130の下端部において外側に張り出した構成をなす鍔部136Aを有する。ケース側固定部330Aは、フランジ部332と立壁部333と複数のカシメ部334とを有する。フランジ部332は、バーナケース330の上端部において外側に張り出した構成をなす。立壁部333は、フランジ部332の周縁部に連なって形成されるとともに上方に立ち上がる構成をなす。複数のカシメ部334は、立壁部333の上端部に連なって形成されるとともに内側に折り曲げられて鍔部136Aをカシメ固定する構成をなす。出湯管13(接続管)は、近接伝熱管111Xの端部に連なるとともに下方に延びる下降管部13Aと、下降管部13Aにおける近接伝熱管111X側とは反対側の端部に連なるとともに鍔部136Aよりも低い位置で水平方向に沿って延びる水平管部13Bと、を有する。そして、少なくともいずれかのカシメ部334は、水平管部13Bの上端よりも上位置且つ水平管部13Bに対し内側(具体的には、水平管部13Bの後方)に位置する。
【0071】
この給湯器1は、水平方向に沿うように出湯管13(接続管)を配置することを可能としつつ、水平部分(水平管部13B)が存在しても、このような水平部分に対する干渉を避けてカシメ部334をより確実にかしめることができるようになる。
【0072】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
【0073】
第1実施形態では、一次熱交換装置及び二次熱交換装置の2つの熱交換装置を備えた形態を例示したが、給湯器は、熱交換装置を1つのみ備えた形態であってもよい。この場合、排気フードは、熱交換装置を通過した燃焼排気を単に大気放出するものであることができる。
【0074】
第1実施形態では、給湯回路及び風呂回路の2つの回路が構成された給湯器を例示したが、本発明に係る給湯器は、1つの回路のみが構成された給湯器であってもよい。
【0075】
第1実施形態では、熱交換装置の一例として給湯に用いられる熱交換装置を例示したが、風呂やセントラルヒーティング等の循環用等、他の用途の熱交換装置であってもよい。
【0076】
第1実施形態では、接続管の一例として、熱交換装置にて加熱された湯が流通する出湯管を例示したが、熱交換装置に加熱される水が流通する入水管等の管が接続された形態であってもよい。例えば、第1実施形態に係る風呂用中継管は、仕切部に最も近接して配置された伝熱管の端部に連なって上方(側方斜め上方)に延びる上昇管部と、この上昇管部の先端に連なるとともに缶体上端部側の鍔部よりも高い位置で水平に延びる水平管部と、を有して構成された接続管であるといえる。この場合も、カシメ部を水平方向における水平管部に対応する位置の排気フードの下端部に配置することで、カシメ部の確実なカシメを実現することができる。
【0077】
第1実施形態では、下降管部の一例として、斜め下方に延びる出湯管の斜行部を例示したが、下降管部は、下方に真っ直ぐに延びた形態であってもよい。或いは、接続管は、下降管部に替えて上昇管部を有していてもよい。
【0078】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1…給湯器
13…出湯管(接続管)
13A…下降管部
13B…水平管部
100…一次熱交換装置(熱交換装置)
111…伝熱管
111X…近接伝熱管
130…缶体
131…仕切部
136A…鍔部(缶体側第1固定部)
136B…鍔部(缶体側第2固定部)
300…バーナ装置(燃焼装置)
310…給湯用バーナ群(バーナ)
330…バーナケース
330A…ケース側固定部
332…フランジ部
333…立壁部
334…カシメ部
400…排気フード
400A…フード側固定部