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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】パンの保管システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/00 20060101AFI20230613BHJP
   A21D 15/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A23L3/00 101Z
A21D15/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021104914
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003686
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2022-07-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598028349
【氏名又は名称】株式会社サタコ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】青沼 三郎
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-334050(JP,A)
【文献】実開昭52-130548(JP,U)
【文献】特表2016-512952(JP,A)
【文献】中国実用新案第211933732(CN,U)
【文献】特開平04-346774(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1721792(CN,A)
【文献】特開昭51-128461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A21D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンを保管する保管部と、前記保管部の内部の環境を制御する制御部と、を備え、
前記保管部は、前記保管部の内部に空気を取り入れる空気供給部と、前記空気供給部よりも上部に設けられて前記保管部の内部の空気を排出する空気排出部と、を有し、
前記制御部は、上面に前記保管部を積み重ねて置く容器に格納され、前記保管部の内部の空気の流れを制御する空気制御部を有し、
前記保管部は、パンを収容可能な収容槽が多段に積み重なって設けられ、
前記収容槽の側面では空気の供給が遮断され、前記収容槽の底面には、空気の流通を遮蔽する遮蔽部と、前記空気供給部として空気を取り入れる挿通部と、が設けられており、
前記空気供給部と、前記空気排出部と、は、前記制御部を介して接続されているパンの保管システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記保管部の内部の気温を制御する温度制御部と、前記保管部の内部の気温を取得する温度センサーを有し、
前記制御部は、前記温度センサーの測定結果をもとに制御される請求項1に記載のパンの保管システム。
【請求項3】
パンを保管する保管部と、前記保管部の内部の環境を制御する制御部と、を備え、
前記保管部は、前記保管部の内部に空気を取り入れる空気供給部と、前記空気供給部よりも上部に設けられて前記保管部の内部の空気を排出する空気排出部と、を有し、
前記制御部は、上面に前記保管部を積み重ねて置く容器に格納され、前記保管部の内部の空気の流れを制御する空気制御部を有し、
前記保管部は、複数の収容槽を含み、
前記収容槽の側面では空気の供給が遮蔽され、前記収容槽の底面には、前記空気供給部として空気を取り入れる挿通部とが設けられており、
前記空気供給部と、前記空気排出部と、は、前記制御部を介して接続されているパンの保管システムにおいて、
前記挿通部の一部に空気の流通を遮蔽する遮蔽部を載置する工程と、
前記収容槽を、前記制御部の上に多段に積み重ねて設ける工程と、
を含むパンの保管システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パン等の常温で保存するパンを、風味を保った状態で衛生的に保管するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食パン等の常温で保存するパンを一時保存するためには、一般的にばんじゅうと呼ばれる容器に食品を収容していた。
【0003】
一方、表面に水分を有する食品をパンで放置すると、パンの表面に大腸菌等の細菌が急激に増加するため、食中毒のリスクが増大することが問題となっていた。このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、内部の湿度を調整することのできるばんじゅうが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実登3103500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の考案に記載されているばんじゅうは、内側が吸湿性の被膜で覆われることによって、ばんじゅう内部の食品の水分を吸収できる構成となっている。一方、上記の構成によると、水分と共に内部に収容されているパンの風味を吸収してしまうため、保管によって味が落ちる恐れがあり、ここに改良点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、簡便な取り扱いで、パンの風味を保ち、衛生的に保管するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、パンを保管する保管部と、前記保管部の内部の環境を制御する制御部と、を備え、前記保管部は、前記保管部の内部に空気を取り入れる空気供給部と、前記空気供給部よりも上部に設けられて、前記保管部の内部の空気を排出する空気排出部と、を有し、前記制御部は、前記食品保管部の内部の空気の流れを制御する空気制御部を有し、前記空気供給部と、前記空気排出部と、は、前記制御部を介して接続されているパンの保管システムである。
このような構成によって、前記保管部の内部で空気の流れが発生することで、局所的な湿度の高まりや乾燥、温度変化の発生を防ぎ、パンを好適な環境で保管することができる。また、前記食品保管部の内部で空気が循環することで、前記食品保管部から食品の香りが発散することを抑制することができる。
さらに、食品が持つ熱や前記温度制御部によって温められた空気は上方へ向かうため、前記空気排出部が前記空気供給部よりも上部に設けられることによって、前記空気供給部から前記空気排出部への空気の移動を効率的に行うことができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、前記保管部の内部の気温を制御する温度制御部と、前記保管部内部の気温を取得する温度センサーを有し、前記制御部は、前記温度センサーの測定結果をもとに制御される。
このような構成によって、前記保管部内部の温度を食品に好適になるように調整し、細菌の増殖を抑制し、衛生性を高めることができる。
また、温度センサーを有することによって、実測値をもとにした前記保管部の内部環境の制御が可能となり、前記保管部の内部温度を常に一定に保つことができるようになる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記保管部は、パンを収容可能な収容槽が多段に積み重なって設けられている。
このような構成によって、パンを複数の前記食品載置部のそれぞれに載置し、それらを積み重ねることで、小スペースで多量のパンを収容することができる。
また、前記収容槽ごとに分けてパンを保管することができるため、食品の管理を容易にすることができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によって、簡便な取り扱いで、パンの風味を保ち、衛生的に保管するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、パン保管システムの概略を表す図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、保管部の説明を行う斜視図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、保管部の変更例の説明を行う斜視図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る、情報の流れに係る説明図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係る、保管部の拡大断面図でる。
図6】本発明の第二実施形態に係る、パン保管システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る食品保管システムについて説明する。説明は、まず実施形態の構成について、次に実施の方法について、最後に他の実施例について詳述することにより行う。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0013】
《第一の実施形態》
以下、図1ないしは図4を用いて本発明の第一の実施形態に係る発明について説明を行う。本実施形態における符号Xは、保管システムを表す。なお、図1において太線矢印は、空気の流れを表している。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る保管システムXは、パンを保管する保管部1と、保管部1の内部環境の制御及び調整を行う制御部2と、保管部1と制御部2とを接続する接続部3と、によって構成されている。また、図示していないが、保管システムXの全体は断熱性を有するカバーによって覆われている。
【0015】
図1に示すように、保管部1は、制御部2から空気が供給される空気供給部11と、保管部1の内部の空気を排出する空気排出部12とを有する。
また、保管部1は、パンを複数収容することができる収容槽13の段が積み重ねられることによって構成されており、本実施形態においては2段の収容槽13と最上段のバッファー槽14をもって1つの保管部1を形成している。バッファー槽14は、温度の調整及び空気のろ過を行う。
【0016】
空気供給部11は、保管部1と制御部2との間に設けられている、空気が流出入可能な挿通部分である。本実施形態において空気供給部11は、収容槽13の底面のうち、断熱材QおよびパンFに遮蔽されない格子状の空隙部分として設けられている。
なお、制御部2から保管部1への一方向に空気を流入できるようにするために、空気供給部11には逆止弁が設けられていてもよい。さらに、保管部1に均一に空気が供給されるように、空気供給部11を整流板で覆う構成にしてもよい。
【0017】
空気排出部12は、保管部1と接続部3との間に設けられている、空気が流出入可能な挿通部分である。本実施形態においては、バッファー槽14と接続部3とを接続する部位が空気排出部12として働く。
なお、保管部1から接続部3への一方向に向けて空気を流出できるようにするために、空気排出部12には逆止弁が設けられていてもよい。
【0018】
収容槽13は、上面が開放され、底面が格子状に形成されている平面視で長方形状の略箱型形状の部材である。図1に示すように、収容槽13の上面と底面は、内部にパンを収容する空間を確保した状態で篏合できるように構成されている。
【0019】
図2に示すように、収容槽13の底面は複数の空隙部分がパターン状に配置されることで格子状となっている。また、収容槽13の底面は、複数のパンFが載置されることで、格子状に設けられた空隙部分が遮蔽されている。これにより、収容槽13の底面に、空気の挿通が遮蔽される遮蔽部131と、空気の挿通が可能である挿通部132が形成される。なお、図2及び図3においては、挿通部132は格子線で表現されている。
【0020】
好ましくは、収容槽13の底面積は、収容するパンFの底面積の定数倍と一致しないように設ける。これにより、パンFが隙間なく配置されることが妨げられるため、遮蔽部131と挿通部132の両方を確実に形成することができる。
【0021】
さらに好ましくは、パンFは略直方体形状であり、パンFを幅方向で複数並べた長さは、収容槽13の底面の長さ及び/又は幅と一致する。これにより、収容槽13にパンFを適切に載置した際に、挿通部132以外の隙間が形成されにくくなり、後述する空気の制御を容易に行うことができる。
【0022】
本実施形態におけるパンFは、一般的なサイズである長さ約25cm、幅約12.5cm、高さ約12.5cmの食パンを想定している。すなわち、パンFの長さはパンFの幅の約2倍となる。
例えば、図2及び図3では、収容槽13の底面の長さはパンFの幅5つ分であり、幅はパンFの幅3つ分となるように構成されている。これによって、図2図3のようにパンFを7つ配置することで、パンFの底面積よりも小さい挿通部132を形成することができる。
【0023】
図2及び図3に示すように、挿通部132は、それぞれ収容槽13の底部の角に近接して設けられている。ここで、接続される2つの収容槽13において、挿通部132は、平面視で対向位置に設けられている。これにより、後述する空気の流れが収容槽13内部のパン全体に行き渡る。
【0024】
また、収容槽13の底面には、パンFを適切な位置で配置することを補助するために、突起状のガイドや目印が設けられていてもよい。
【0025】
バッファー槽14は、保管部1の最上段に設けられ、収容槽13と略同様の外形であり、収容槽13と同様の機構で収容槽13に接続される。バッファー槽14は、空気をろ過するフィルター141と、上部を覆う蓋部分142を有し、蓋部分142を含めて断熱材Qで覆われて設けられている。
【0026】
フィルター141は、バッファー槽14の幅方向断面に設けられる目の細かい平面部材であって、バッファー槽14の断面チリやほこりなどの不純物が保管部1内を循環することを防ぐが、なくともよい。
【0027】
断熱材Qは、発泡スチロールや発泡ポリウレタンなどの板状あるいは箱状の断熱素材であって、内部からの熱の放射及び結露の発生を防ぐ。断熱材Qは、各々の収容槽13にも取り付けられることが好ましいが、とりわけ保管部1の最上段には熱がこもりやすいため取り付けることが好ましい。
また、本実施形態においては、断熱材Qの一部を切り取ることによって、収容槽13と、バッファー槽14との間の空気を挿通する挿通部132を形成する。
【0028】
制御部2は、保管部1内部の空気の流れ・温度・湿度の調整機能をもつ部分であって、保管部1に接続されて設けられる。本実施形態において制御部2は、収容槽13と略同一の外形をもって保管部1の下部に設けられている。
制御部2は、保管部1に送り込まれる空気の流量を制御する空気制御部21と、保管部1の内部の温度を制御する温度制御部22と、温度センサーSの情報を処理して、空気制御部21及び温度制御部22を適切に動作させる処理部23と、を有し、図4に示すように情報が移動する。また、制御部2の内周面は、略全周が断熱材Qに覆われており、隣接する収容槽13への過度の熱供給を防ぐとともに温度の制御を容易にする。
【0029】
空気制御部21は、保管システムXの内部に空気の流れを発生させることで、保管部1内の空気を攪拌する作用を持つ。
本実施形態において、空気制御部21は、制御部2の内部において、空気供給部11の方向へ向けて設置されるサーキュレータとして設けられている。
【0030】
保管システムXにおいて、保管部1と、制御部2と、接続部3とは、一体となって閉ループ状の流路を構成しているため、空気制御部21において発生した空気の流れは、保管システムXの全体に行きわたる。
詳述すると、図1に示すように、空気制御部21で発生する空気の流れは、空気供給部11を通って収容槽13へ流入し、その一段上の収容槽13が有する挿通部132を通って一段上の収容槽13へ流入し、さらにその一段上のバッファー槽14が有する挿通部132を通って一段上のバッファー槽14へ流入し、その後、空気排出部12を通って接続部3へ流入し、空気供給部11へ再帰する。
これにより、密閉構造の空気流路が構成され、温度制御された空気流が効率的に保管システムXに行き渡る。
【0031】
温度制御部22は、後述する温度センサーSから得られる温度情報をもとにして、保管システムXの内部の温度を調整し、保管部1内の温度をパンFに至適となるように調整する。
本実施形態において温度制御部22は、制御部2の内部において、空気制御部21が起こす流れの後方に設置されるヒーターとして設けられており、中空に設置されることによって表面と裏面から空気を温める。
【0032】
例えばパンFが食パンであった場合、周辺環境の気温が30℃以上になると食中毒の原因となる大腸菌が繁殖しやすくなるため、温度制御部22によって保管部1内部の気温が30℃未満となるように調整する。
本実施形態において、保管部1内の温度は、15~45℃に調整できるように構成されており、好ましくは25~36℃に調整できるように構成されている。
【0033】
温度センサーSは、保管システムXの外部に設置されて外気温を測定する外温度センサーS1と、制御部2と接続部3との接続部分に設置される吸入温度センサーS2と、制御部2と保管部1との接続部分に設置される供給温度センサーS3と、最下段の収容槽13の温度を測定する収容槽温度センサーS4と、バッファー槽14の温度を測定するバッファー温度センサーS5と、によって構成されている。
なお、収容槽13のそれぞれに温度センサーSが設けれられていてもよい。
【0034】
温度センサーSを利用することによれば、保管システムXに係る種々の情報を得ることができる。
例えば、外温度センサーS1の温度と保管システムXの内部の温度を比較することによれば、パン保管システムXから放射される熱量を推定することができる。
また、吸入温度センサーS2で測定された温度と供給温度センサーS3で測定された温度の差を取ることによれば、空気供給部11及び温度制御部22による加熱の効果を推定することができる。
また、収容槽温度センサーS4とバッファー温度センサーS5との比較によれば、保管部1の最上段にまで熱空気流が到達しているかを推定することができる。
【0035】
なお、温度センサーSは、別に露点温度を測定する機能や風速を測定する機能を備え、湿度や空気流量を測定・推定できるようにしてもよい。
また、保管システムXの断熱性が高ければ、位置が近い吸入温度センサーS2とバッファー温度センサーS5は、どちらか一つが設けられる構成でもよく、同様の理由で、供給温度センサーS3と収容槽温度センサーS4のどちらか一つが設けられる構成としてもよい。
【0036】
処理部23は、温度センサーSによって得られたデータを処理することによって、空気制御部21及び温度制御部22の制御を行う。
好ましくは、処理部23は、収容槽温度センサーS4及びバッファー温度センサーS5で観測される温度が、予め設定した温度と略同一となるようにフィードバック制御を行うことが好ましい。
【0037】
接続部3は、保管部1の最上段の収容槽13と、制御部2とを接続する部材である。本実施形態においては周囲を断熱材で覆ったパイプとして構成されている。また、保管部1が有する収容槽13の数の変更に対応できるように、接続部3を伸縮自在に構成することや、フランジによって長さを拡張・縮小ができるように構成することが好ましい。
【0038】
また、好ましくは、制御部2の底部には、任意の方向へ回転可能な車輪を設けてもよい。これによって、収容槽13を積み重ねた状態においても、保管システムXの移動を容易に行うことができる。
なお、車輪を設けずとも、保管システムXの全体を台車に載置した状態で移動可能に設けてもよい。
【0039】
以下、本実施形態に係る保管システムXの実施方法について詳述する。本発明は、パンFの保管を行う使用者によって実施される。なお、実施の方法はここで述べるものに限られず、その順番は前後してもよい。
【0040】
まず、使用者は、収容槽13に食品を適切に配置し、遮蔽部131と挿通部132を形成する。パンFは、収容槽13の高さより低いことが好ましい。
【0041】
次に、使用者は、制御部2の上に、挿通部132の位置が互い違いとなるように収容槽13及びバッファー槽14を積み重ね、保管部1とする。その後、保管部1の最上部と制御部2とを接続する接続部3を取付ける。
【0042】
最後に、使用者は、制御部2を起動する。使用者は、保管部1の空気流及び温度を、パンFの至適な状態となるように設定し、制御部2を稼働する。
【0043】
上記構成と使用方法によって、簡便な取り扱いで、パンFの風味を保ち、衛生的に保管するシステムを提供することができる。
【0044】
好ましくは、保管システムXを構成する槽の数は、保管部1と制御部2を構成する槽を併せて偶数とする。これにより、空気の流路を長くとった状態で、さらに接続部3を短く構成することできる。なお、バッファー槽14は設けなくともよい。
【0045】
《第二の実施形態》
以下、図5及び図6によって、本発明の第二の実施形態に係る保管システムXについて詳述する。なお、本実施形態において第一の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、本実施形態においては、収容槽13の底面の一部に流体の流れを遮蔽する遮蔽板15が配置されることにより空気の流出入を遮断する遮蔽部131となり、収容槽13の底部の一部領域が、空気の流出入が可能な挿通部132となる。本実施形態において使用者は、収容槽13のそれぞれに清潔な遮蔽板15を取付け、遮蔽板15にパンFを載置する。
【0047】
本実施形態において遮蔽板15は、収容槽13の内側の幅と略同一幅で、内側の長さより短くなるように構成され、収容槽13の底面において、長さ方向の一端部において一部を除く全面を覆うように設けられている。好ましくは、収容槽13に、遮蔽板15を設ける位置を決定するためのガイドが設けられている。
【0048】
なお、本実施形態において、遮蔽板15は、収容槽13の底面から取り外し可能に載置されるようにして設置されているが、接着剤等で底面に接合される構成や、ネジやボルトなどの固定部材を介して取り付けられる構成にしてもよく、また、収容槽13の下側に貼り付けるようにして設けられていてもよい。
【0049】
また、本実施形態において遮蔽板15は、プラスチック板によって形成されていることが想定されるが、空気の流出入を遮られればゴム板や紙製であってもよい。特に、遮蔽板15が紙製であった場合は、容易に使い捨てて利用することができる。
【0050】
また、挿通部132は、複数ある収容槽13のそれぞれに設けられており、積み重ねた際に隣接する収容槽13において、挿通部132は、水平方向に離間した位置に設けられている。なお、空気供給部11と挿通部132、空気排出部12と挿通部132も、それぞれ水平方向に離間した位置に設けられていることが好ましい。
【0051】
なお、収容槽13には、図6に示すように、前記収容槽13が互い違いに篏合し、隣接する挿通部132の位置が水平方向に離間するように、収容槽13同士が篏合する方向を制限する制限手段Lが設けられていてもよい。本実施形態においては、制限手段Lは収容槽13の上面に設けられている上面切込み部材L1と、収容槽13の底面に設けられ、上面切込み部材L1に対して上下方向に対称な底面切込み部材L2と、によって構成されている。上記構成により、同一の構成を持つ収容槽13を、上下方向を軸に半回転させることで上面切込み部材L1と底面切込み部材L2とを篏合させることができるようになる。
これにより、保管システムXを初めて利用する者であっても、挿通部132の位置を適切な状態にして設置することができるようになる。
【0052】
また、収容槽13の底面を格子状にせず、底板が平滑な箱状のばんじゅうの底面に穴を設けることによって挿通部132としてもよい。このような構成にした場合、ばんじゅうが汚れた際の清掃を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 保管部
11 空気供給部
12 空気排出部
13 収容槽
131 遮蔽部
132 挿通部
14 バッファー槽
141 フィルター
142 蓋部分
15 遮蔽板
2 制御部
21 空気制御部
22 温度制御部
23 処理部
3 接続部
X 保管システム
S 温度センサー
S1 外温度センサー
S2 吸入温度センサー
S3 供給温度センサー
S4 収容槽温度センサー
S5 バッファー温度センサー
L 制限手段
L1 上面切込み部材
L2 底面切込み部材
F パン
Q 断熱材
図1
図2
図3
図4
図5
図6