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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20230613BHJP
   B60K 23/00 20060101ALI20230613BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230613BHJP
【FI】
B60K20/02 E
B60K20/02 G
B60K23/00 H
B60W50/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021197828
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2020201834の分割
【原出願日】2017-06-27
(65)【公開番号】P2022060195
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中西 謙二
(72)【発明者】
【氏名】稲村 友峰
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501937(JP,A)
【文献】特開2011-152826(JP,A)
【文献】特開2002-139143(JP,A)
【文献】特表2013-525201(JP,A)
【文献】特開2017-074840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
B60K 23/00
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシフト位置に移動可能にされ、シフト位置に対応するシフトレンジに変速機のシフトレンジが変更されるシフト体と、
前記シフト体が特定シフト位置としての「P」位置又は「N」位置に配置された状態で車両の運転支援モードが動作することにより前記変速機のシフトレンジが変更される際に、変速機のシフトレンジを表示する表示部と、
前記運転支援モードが動作する際に、前記シフト体の前記特定シフト位置からの移動を規制する規制部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記表示部は、さらに、前記運転支援モードが動作していることを表示する請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
操作されて前記運転支援モードの動作が開始される開始部を備える請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記運転支援モードの動作開始時及び終了時に、前記変速機のシフトレンジが前記特定シフト位置に対応する車両の走行停止状態にされている請求項1から請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項5】
前記表示部が前記運転支援モードの動作終了を表示する請求項1から請求項4の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されて変速機のシフトレンジが変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両では、セレクトレバーが複数のレンジに移動可能にされており、自動変速機のレンジ位置がセレクトレバーのレンジに対応するレンジ位置に変更される。
【0003】
ここで、この車両には、運転支援システムが設けられており、運転支援システムが動作することにより、セレクトレバーが特定レンジに移動された状態で、自動変速機のレンジ位置が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-88572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、車両の運転支援モードが動作している際に乗員に混乱が生じるのを抑制できるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のシフト装置は、複数のシフト位置に移動可能にされ、シフト位置に対応するシフトレンジに変速機のシフトレンジが変更されるシフト体と、車両の運転支援モードが動作することにより前記シフト体が特定シフト位置としての「P」位置又は「N」位置に配置された状態で前記シフトレンジが変更される際に、前記変速機のシフトレンジを表示する表示部と、前記運転支援モードが動作する際に、前記シフト体の前記特定シフト位置からの移動を規制する規制部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様のシフト装置は、第1の態様において、前記表示部は、さらに、前記運転支援モードが動作していることを表示する。
【0008】
本発明の第3の態様のシフト装置は、第1又は第2の態様において、操作されて前記運転支援モードの動作が開始される開始部を備える。
【0009】
本発明の第4の態様のシフト装置は、第1から第3の何れか1の態様において、前記運転支援モードの動作開始時及び終了時に、前記変速機のシフトレンジが前記特定シフト位置に対応する車両の走行停止状態にされる。
【0010】
本発明の第5の態様のシフト装置は、第1から第4の何れか1の態様において、前記表示部が前記運転支援モードの動作終了を表示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様では、シフト体が複数のシフト位置に移動可能にされており、変速機のシフトレンジがシフト体のシフト位置に対応するシフトレンジに変更される。また、車両の運転支援モードが動作することにより、シフト体が特定シフト位置としての「P」位置又は「N」位置に配置された状態で、変速機のシフトレンジが変更される際に、表示部が変速機のシフトレンジを表示する。
【0012】
ここで、シフト装置が表示部を備えており、車両の運転支援モードが動作することにより、表示部が変速機のシフトレンジを表示する。このため、車両の運転支援モードが動作することにより、シフト体が特定シフト位置に配置された状態で、変速機のシフトレンジが変更される際に、乗員がシフト装置を目視しても、乗員が表示部によって変速機のシフトレンジを認識でき、乗員に混乱が生じるのを抑制できる。
【0013】
本発明の第2の態様では、車両の運転支援モードが動作していることを表示部が表示する。このため、乗員がシフト装置を目視した際に、車両の運転支援モードが動作していることを乗員が認識できる。
【0014】
本発明の第3の態様では、開始部が操作されて、車両の運転支援モードの動作が開始される。
ここで、シフト装置が開始部を備える。このため、乗員がシフト装置によって車両の運転支援モードの動作状況を認識できる。
【0015】
本発明の第4の態様では、車両の運転支援モードの動作の開始時及び終了時に、変速機のシフトレンジが特定シフト位置に対応する車両の走行停止状態となる特定シフトレンジにされる。このため、車両の運転支援モードの動作の開始時及び終了時に、車両を走行停止状態にできる。
【0016】
本発明の第1の態様では、車両の運転支援モードが動作する際に、シフト体の特定シフト位置からの移動を規制部が規制する。このため、車両の運転支援モードが動作する際に、シフト体の特定シフト位置からの移動を規制できる。
【0017】
本発明の第5の態様では、表示部が車両の運転支援モードの動作終了を表示する。このため、乗員がシフト装置を目視した際に、乗員が車両の運転支援モードの動作終了を認識できる。
【0018】
本発明の一態様では、シフト体が所定回転角度回転されて、シフト体のシフト位置が変更される。また、シフト体の回転周方向全体において、シフト体の所定回転角度ごとの外観形状が一定にされる。このため、乗員がシフト体の目視によるシフト体のシフト位置の認識を困難にされる。これにより、乗員がシフト装置を目視した際に、乗員に混乱が生じるのを抑制できる。
【0019】
本発明の一態様では、表示部がシフト体以外に設置される。このため、表示部を容易に設置できる。
【0020】
本発明の一態様では、シフト体が軸線周りに回転される円環状にされており、表示部がシフト体の径方向内側に設置される。このため、表示部の複数の表示部位を接近させて配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係るシフト装置を示す平面図である。
図2】シフト装置の主要部を示す斜視図である。
図3】シフト装置のインジケータ等の概略を示す構成図である。
図4】自動駐車モードにおけるシフト装置の表示制御を示す流れ図である。
図5】(A)~(F)は、自動駐車モードにおける車両の移動の概略を示す平面図である。
図6】(A)~(G)は、自動駐車モードにおけるインジケータの表示変化を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1には、本発明の実施の形態に係るシフト装置10が平面図にて示されており、図2には、シフト装置10の主要部が左斜め前側から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の上方が矢印UPで示され、シフト装置10の前方が矢印FRで示され、シフト装置10の右方が矢印RHにて示されている。
【0023】
本実施の形態に係るシフト装置10は、所謂バイワイヤ式のものにされている。シフト装置10は、車両(自動車)のコンソール14において、車両の運転席(図示省略)の車両前側かつ車幅方向内側に配置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられている。
【0024】
図2に示すように、シフト装置10には、シフト体としての略円筒状(外形円形かつ環状)のノブ16が設けられており、ノブ16の下端は、図示しない筐体に回転(移動)可能に支持されると共に、該筐体はコンソール14内(車体側)に固定されている。ノブ16の軸方向は、上下方向に平行にされている。ノブ16は、一方向(図1の矢印A方向)及び他方向(図1の矢印B方向)に所定範囲(所定角度範囲)で回転可能にされている。ノブ16の上側部分は、コンソール14から車室内に突出されており(図1参照)、ノブ16は、車両の乗員(運転席に着座する運転者)によって回転操作可能にされている。
【0025】
ノブ16は、他方向(矢印B方向)に回転操作されることで、シフト位置(特定シフト位置)としての「P」位置(パーキング位置)に配置可能にされている。また、ノブ16は、「P」位置に配置された状態から一方向(矢印A方向)に回転操作されることで、シフト位置としての「R」位置(リバース位置)、「N」位置(ニュートラル位置)、及び「D」位置(ドライブ位置)に配置可能にされている。ノブ16は、所定回転角度ずつ回転されてシフト位置が変更される。この際、ノブ16の車室内への露出部分は、回転周方向全体において同様にされて、所定回転角度ごとの外観形状(見た目の形状)が同様にされている。
【0026】
図2に示すように、ノブ16の下端部の一部には、レバー係合凹部16Aが形成されており、レバー係合凹部16Aは、径方向外側に開放されている。なお、ノブ16の下端部においてレバー係合凹部16Aが形成された部分に対して他方向側(矢印B方向側)に形成されたレバー係合凹部16Bは、ノブ16のシフト位置を「N」位置に固定するために用いられる。
【0027】
ノブ16の下側には、環状に形成された移動部材としてのロータカム18が配置されており、ロータカム18は、ノブ16に同軸上に配置にされている。ロータカム18の外周部には、外歯18Aが形成されており、外歯18Aは、ロータカム18の周方向の所定範囲に形成されている。また、ロータカム18の外周部において外歯18Aが形成されていない部位には、係合部としての係合突起18Bが形成されており、係合突起18Bは、ロータカム18の径方向外側に向けて突出されている。
【0028】
シフト装置10には、規制部及び規制解除部としてのシフトロック機構24が設けられている。シフトロック機構24は、駆動手段としてのモータ26、及び伝達機構28を含んで構成されている。
【0029】
伝達機構28は、ロータカム18と、モータ26の回転軸に設けられたウォームギア(図示省略)と、ロータカム18の外歯18Aと噛合う第1中間ギア32及びウォームギアと噛合うと共に第1中間ギア32と一体に回転する第2中間ギア34を有する中間ギア36と、を含んで構成されている。
【0030】
シフトロック機構24は、規制体としての第1レバー38及び第2レバー40と、第2レバー40を付勢するリターンスプリング42と、を含んで構成されている。
【0031】
第1レバー38は、略棒状に形成されており、第1レバー38の長手方向一方側の端部は、被係合部38Aとされている。また、第1レバー38の長手方向他方側の端部は、押圧部38Bとされている。そして、第1レバー38は、長手方向他方側にスライド可能(変位可能)にされて図示しない筐体に支持されている。
【0032】
第2レバー40は、上方側から見て略L字状に形成されており、第2レバー40の長手方向の中間部における第1レバー38側には、上下方向を軸方向とする円柱状に形成された傾動軸部40Aが設けられている。第2レバー40の傾動軸部40Aは、筐体に支持されており、第2レバー40は、傾動軸部40Aを中心として傾動可能にされている。また、第2レバー40における第1レバー38側の端部は、被押圧部40Bとされている。さらに、第2レバー40における被押圧部40Bとは反対側の端部は、規制突部40Cとされており、規制突部40Cは、ノブ16側に向けて突出する。
【0033】
リターンスプリング42は、板状の鋼板材等が折曲げられることにより形成されており、リターンスプリング42の一部は、筐体に当接されている。また、リターンスプリング42の他の一部は、第2レバー40の被押圧部40Bにおける第1レバー38とは反対側の面に当接されている。そして、リターンスプリング42の付勢力によって、第2レバー40が矢印D方向へ傾動される方向に付勢されている。
【0034】
シフト装置10のノブ16の径方向内側には、表示部としてのインジケータ44が設けられており、インジケータ44は、円板状のインジケータパネル46を有している。インジケータパネル46の外径は、ノブ16の内径よりも小径にされており、インジケータパネル46は、ノブ16に対し同軸上に配置されている。また、インジケータパネル46は、筐体に支持されており、ノブ16は、インジケータパネル46に対し相対回転可能にされている。
【0035】
インジケータパネル46の中心部分には、開始部としてのAP(オートパーキング)スイッチ48が設けられている。APスイッチ48は、押圧操作されている間だけ接点を閉じる(又は開く)モーメンタリー式にされている。なお、本実施の形態では、APスイッチ48としているが、AD(オートドライブ)スイッチ等であっても良い。
【0036】
また、インジケータパネル46には、表示手段(表示部位)としての複数のランプ(LED)50が配置されている。本実施の形態では、5個のランプ50A~50Eが用いられており、ランプ50Eは、インジケータパネル46においてAPスイッチ48の後側近傍に配置されて、APスイッチ48に対応されている。また、ランプ50A~50Dは、インジケータパネル46の周方向において一方向に向けて順に配置されており、ランプ50B及びランプ50Cが前側に配置されている。これにより、ランプ50A、50B、50C、50Dの各々は、順に「P」位置、「R」位置、「N」位置、「D」位置に対応されている。インジケータ44は、ランプ50A~50Dのうちで、変速機のシフトレンジに対応するランプ50が点灯されて、変速機のシフトレンジが表示される。なお、インジケータ44は、下記通常モードにおいては、ノブ16のシフト位置が表示され、下記自動駐車モードにおいては、変速機のシフトレンジが表示されても良い。
【0037】
図3には、インジケータ44等の構成がブロック図にて示されている。制御部としてのコントローラ52は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ(EEPROM)などがバスによって接続された一般的マイクロコンピュータ(又はASICでも良い)を含んで構成されている。コントローラ52には、インジケータ44のランプ50A~50Eの各々及びAPスイッチ48が電気的に接続されており、コントローラ52は、ランプ50A~50Eの通電を制御することで、ランプ50A~50Eの点灯を制御する。また、コントローラ52は、APスイッチ48が操作された際には、APスイッチ48が操作されたことを検出する。
【0038】
また、シフト装置10には、ノブ16の回転位置(シフト位置)を検出する検出手段としてのシフトセンサ(回転位置センサ)54が設けられており、シフトセンサ54がコントローラ52に電気的に接続されている。シフトセンサ54は、ノブ16又はノブ16を支持する筐体に取付けられて、ノブ16の回転位置(移動位置)に応じた電気信号を出力し、コントローラ52がシフトセンサ54の電気信号からノブ16のシフト位置を検出する。
【0039】
また、コントローラ52には、モータ26が電気的に接続されており、コントローラ52は、モータ26への通電を制御することで、シフトロック機構24の作動を制御する。
【0040】
一方、車両には、運転支援装置を構成する制御装置(走行制御装置)56が設けられており、制御装置56は、運転支援モードとしての自動駐車モードで動作可能にされていると共に、通常モードで動作可能にされている。
【0041】
制御装置56は、相互に通信(データの送受信)可能にされてコントローラ52に接続されている(コントローラ52に電気的に接続されている)。また、制御装置56には、車両の走行駆動源としてのエンジン58(又は走行モータでも良い)及び自動変速機(変速機)60が接続されており、制御装置56は、エンジン58の駆動制御(エンジン制御)及び自動変速機60のシフトレンジの制御(シフト制御)を行う。
【0042】
制御装置56は、通常モードで動作される際、コントローラ52により検出されるノブ16のシフト位置が変更されることで、自動変速機60のシフトレンジをノブ16のシフト位置に対応するシフトレンジに変更する。また、コントローラ52は、自動変速機60のシフトレンジに対応するランプ50(50A~50D)を点灯する。このため、ノブ16のシフト位置が「P」位置、「R」位置、「N」位置及び「D」位置に変更されると、それぞれ自動変速機60のシフトレンジが、特定シフトレンジとしての「P」レンジ(パーキングレンジ)、「R」レンジ(リバースレンジ)、「N」レンジ(ニュートラルレンジ)及び「D」レンジ(ドライブレンジ)に変更されて、「P」レンジに対応されたランプ50A、「R」レンジに対応されたランプ50B、「N」レンジに対応されたランプ50C及び「D」レンジに対応されたランプ50Dが点灯される。
【0043】
制御装置56には、車両のブレーキの作動を制御する制動装置、車両のステアリングを操作する操舵装置、及び撮像装置などを用いて車両の周囲を監視する監視装置等が接続されている(何れも図示省略)。制御装置56は、自動駐車モードで動作する際には、撮像装置によって車両の周囲の対象物を把握し、把握した対象物との距離を検出しつつ、自動変速機60のシフト制御、操舵制御、車速制御及び制動制御を行う。
【0044】
制御装置56は、自動変速機60のシフトレンジが「P」レンジにされた状態でシフト装置10のAPスイッチ48が操作されることで、自動駐車モードで動作される。制御装置56は、自動駐車モードで動作される際、撮像装置により撮像される車両の周囲の撮影画像から車両の駐車可能な空間(駐車スペース)を判断し、車両の周囲を監視しつつシフト制御、操作制御、車速制御及び制動制御等を行うことで、車両を駐車スペースへ移動(誘導)する。また、制御装置56は、車両の駐車スペースへの駐車が完了した場合、或いは、自動駐車モードの実行中に、運転者によりブレーキ操作されて車両が停止されたなどの場合に、自動変速機60を「P」レンジにして自動駐車モードを終了する。
【0045】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
シフト装置10では、ノブ16が「P」位置に配置された場合(ノブ16のシフト位置が「P」位置であることをシフトセンサ54により検出された場合)で、かつ、ブレーキが操作されない際には、シフトロック機構24において、コントローラ52の制御により、モータ26が逆駆動されて、ロータカム18がウォームギア及び中間ギア36を介して矢印A方向へ回転される。
【0046】
ロータカム18が矢印A方向へ回転されると、ロータカム18の係合突起18Bが、第1レバー38の被係合部38Aに係合すると共に第1レバー38を第2レバー40側に向けて移動して、第1レバー38の押圧部38Bが第2レバー40の被押圧部40Bを押圧する。その結果、第2レバー40がリターンスプリング42の付勢力に抗して矢印C方向側へ傾動されて、当該第2レバー40の規制突部40Cが、ノブ16のレバー係合凹部16Aに挿入される。これにより、「P」位置においてノブ16の回転がロック(規制)されて、ノブ16の「P」位置から「R」位置、「N」位置及び「D」位置への回転がロック(規制)される。なお、第2レバー40の規制突部40Cがノブ16のレバー係合凹部16Aに挿入される位置までロータカム18が回転されたことが図示しないロックセンサによって検出された際には、コントローラ52の制御により、モータ26の逆駆動が停止される。
【0047】
一方、ノブ16が「P」位置に配置された場合に、ブレーキが操作された際には、シフトロック機構24において、コントローラ52の制御により、モータ26が正駆動されて、ロータカム18がウォームギア及び中間ギア36を介して矢印B方向へ回転される。このため、ロータカム18の係合突起18Bが、第1レバー38の被係合部38Aと離間して、第2レバー40がリターンスプリング42の付勢力によって矢印D方向側へ傾動される。その結果、第2レバー40の規制突部40Cが、ノブ16のレバー係合凹部16A内から離脱される。これにより、ノブ16の回転のロックが解除されて、ノブ16が「P」位置から「R」位置、「N」位置及び「D」位置に回転可能にされる。なお、第2レバー40の規制突部40Cがノブ16のレバー係合凹部16A内から離脱される位置までロータカム18が回転されたことが図示しないロックセンサによって検出された際には、コントローラ52の制御により、モータ26の正駆動が停止される。
【0048】
次に、図4図6を参照しながら、制御装置56の自動駐車モードにおけるインジケータ44の表示を説明する。図4には、コントローラ52により実行されるインジケータ44の点灯制御(点灯処理)の流れが示されている。また、図5(A)~図5(F)には、自動駐車モードにおける車両(自車両)66の位置が平面図にて示されており、図6(A)~図6(G)には、ランプ50(50A~50E)の点灯状態がインジケータ44の平面図にて示されている。図5(A)~図5(F)に示すように、本実施の形態では、車両(自車両)66を、車両68Aと車両68Bとの間の駐車スペース70に駐車させる横列駐車を例に説明する。
【0049】
図5(A)に示すように、自動駐車モードを実行する際には、乗員(運転者)が駐車スペース70を把握できる位置に車両66を停止させ、シフト装置10のノブ16を「P」位置に回転して、自動変速機60のシフトレンジを「P」レンジにする。これにより、図6(A)に示すように、インジケータ44では、ランプ50Aが点灯されて、自動変速機60のシフトレンジが「P」レンジであることが表示される。この状態で、シフト装置10のAPスイッチ48が操作されることで、制御装置56が自動駐車モードの動作を開始する。なお、図5(A)では、車両68Aの前方に車両66を停止させているが、車両68Bの前方に車両66を停止させても良い。また、ノブ16が「P」位置以外のシフト位置にされた状態でAPスイッチ48が操作された場合には、APスイッチ48の操作が無効にされて、自動駐車モードの動作が開始されない。
【0050】
図4に示すフローチャートは、制御装置56が自動駐車モードでの動作を開始すると実行されて、最初のステップ100において、「P」レンジを示すランプ50Aと共に、ランプ50Eを点灯させる。これにより、図6(B)に示すように、インジケータ44では、「P」レンジを示すランプ50Aと共に、自動駐車モードであることを示すランプ50Eが点灯されて、自動駐車モードでの動作が開始されたことが表示される。
【0051】
制御装置56は、自動駐車モードでの動作を開始すると、自動変速機60のシフトレンジを「D」レンジに変更して、車両66の前部を駐車スペース70の側方まで前進させ(図5(B)参照)、監視装置により駐車スペース70を認識する(駐車スペース70の位置及び広さ等を確認する)。この後、車両66を車両68Bの前方まで前進させると共に、ステアリング操作を行うことで、可能な範囲で車両66後側を駐車スペース70へ向ける(図5(C)参照)。
【0052】
この後、自動変速機60のシフトレンジを「R」レンジに変更して、ステアリング操作を行いながら、車両66を駐車スペース70へ向けて後進させ(図5(D)参照)、車両66を所定位置(後進可能位置)まで後進させると、自動変速機60のシフトレンジを「D」レンジに変更して、ステアリング操作を行いながら、車両66を前進させる(図5(E)参照)。このように、制御装置56は、ステアリングを操作しつつ車両66を後進及び前進させる切返しを行う。
【0053】
一方、図4に示すように、コントローラ52は、ステップ102において自動変速機60のシフトレンジが変更されたか否かを確認し、ステップ104において自動駐車モードが終了したか否かを確認する。
【0054】
ここで、車両66を前進させるために、自動変速機60のシフトレンジが「P」レンジから「D」レンジに変更されると、ステップ102において肯定判定されて、ステップ106へ移行する。このステップ106では、変更されたシフトレンジに対応するランプ50(50D)を点灯させる(図6(C)参照)。この際、シフトレンジが「P」レンジから「R」レンジ、「N」レンジを経て「D」レンジに変更されると、コントローラ52は、ランプ50A、50B、50C、50Dの順に切替えながら点灯させる。自動駐車モードにおいて、車両66の切返しが行われることで、インジケータ44では、シフトレンジが「D」レンジから「N」レンジを経て「R」レンジに変更されることによって、ランプ50D、ランプ50C、ランプ50Bの順での点灯切替えの後、シフトレンジが「R」レンジから「N」レンジを経て「D」レンジに変更されることによって、ランプ50B、50C、ランプ50Dの順での点灯切替えが行われる(図6の(D)及び(C)参照)。
【0055】
制御装置56は、車両66を後進させて駐車スペース70に駐車(誘導)可能になると、自動変速機60のシフトレンジを「R」レンジに変更して、車両66を後進させつつステアリングを操作して、車両66を駐車スペース70に移動させた後、所定位置(車両66の後輪が車止めに接する位置等)に車両66を停止(停車)させる(図5の(E)及び(F)参照)。この際、コントローラ52は、シフトレンジが「D」レンジから「N」レンジを経て「R」レンジへ変更されることにより、インジケータ44において、ランプ50D、50C、50Bの順で点灯の切替えを行う(図6(E)参照)。この後、制御装置56は、自動変速機60のシフトレンジを「P」レンジに変更して、自動駐車モードでの動作を終了する。自動駐車モードを終了する際には、エンジン58を停止させても良い。
【0056】
図4のフローチャートでは、自動駐車モードが終了されると、ステップ104において肯定判定される。これにより、ステップ108へ移行する。このステップ108では、自動駐車モードの動作が終了したことを表示するように設定されたパターン(点灯態様)でランプ50A~50Eの各々が点灯(又は点滅でも良い)する。この後、ステップ110において自動駐車モードで動作されていたことを示すランプ50Eを消灯状態にすると共に、ステップ112において自動変速機60のシフトレンジに対応するランプ50(ランプ50A)を点灯させて、自動駐車モードに対応する表示を終了して、通常モードに対応する表示処理に移行する。
【0057】
コントローラ52は、自動駐車モードが終了した際に、ランプ50A~50Eの全点灯(図6(E)参照)と、ランプ50A~50Eの全消灯(図6の(F)参照)とを所定回数繰返す。この後、コントローラ52は、ランプ50Eを点灯させずに、自動駐車モードの終了時のシフトレンジである「P」レンジに対応されたランプ50Aを点灯させる(図6(G)参照)。
【0058】
ここで、シフト装置10にインジケータ44が設けられており、インジケータ44が自動変速機60のシフトレンジを表示する。このため、制御装置56が自動駐車モードで動作することにより、ノブ16が「P」位置に配置された状態で、自動変速機60のシフトレンジが「P」レンジ以外(「D」レンジや「R」レンジ)に変更される際に、乗員がシフト装置10を目視しても、乗員がインジケータ44によって自動変速機60のシフトレンジを認識できる。これにより、乗員がシフト装置10を目視した際に、ノブ16のシフト位置が自動変速機60のシフトレンジに対応しなくても、乗員が自動変速機60のシフトレンジを認識でき、乗員に混乱が生じるのを抑制できる。
【0059】
さらに、ノブ16が外形円形にされており、ノブ16が中心軸線周りに回転されて、ノブ16のシフト位置が変更される。この際、ノブ16は、所定回転角度ずつ回転されてシフト位置が変更される。また、ノブ16の車室内への露出部分は、回転周方向全体において同様にされて、所定回転角度ごとの外観形状(見た目の形状)が同様にされており、ノブ16が「P」位置に配置された状態と、ノブ16が「P」位置以外のシフト位置に配置された状態とで外観(見た目)が同様にされている。このため、ノブ16のシフト位置が変更されても、ノブ16の外観が変位されないことで、乗員がノブ16の目視によるノブ16のシフト位置の認識を困難にされる。これにより、乗員がシフト装置10を目視した際に、ノブ16のシフト位置が自動変速機60のシフトレンジに対応しなくても、乗員がノブ16のシフト位置の認識を困難にされた状態でインジケータ44により自動変速機60のシフトレンジを認識でき、乗員に混乱が生じるのを一層抑制できる。
【0060】
また、シフト装置10のインジケータ44にAPスイッチ48が設けられており、乗員がAPスイッチ48を操作することで、制御装置56が自動駐車モードでの動作を開始する。このため、乗員がシフト装置10を目視してAPスイッチ48を操作することで、制御装置56の自動駐車モードでの動作を開始でき、乗員がシフト装置10の目視により制御装置56の自動駐車モードでの動作状況を認識できる。
【0061】
さらに、シフト装置10のインジケータ44にランプ50Eが設けられており、ランプ50Eが点灯されて、制御装置56が自動駐車モードで動作していることが表示される。このため、乗員がシフト装置10を目視することで、制御装置56が自動駐車モードで動作していることを乗員が認識できる。
【0062】
また、制御装置56が自動駐車モードでの動作を開始及び終了した際には、自動変速機60のシフトレンジが「P」レンジにされて、車両が走行停止状態にされる。このため、制御装置56の自動駐車モードでの動作における車両の安全性を向上できる。
【0063】
さらに、制御装置56が自動駐車モードで動作されている際には、シフトロック機構24が作動されて、ノブ16の「P」位置からの回転がロックされる。このため、制御装置56が自動駐車モードで動作されている際に、ノブ16のシフト位置の変更が規制されて、乗員による自動変速機60のシフトレンジの変更を規制でき、車両66の走行安全性を向上できる。
【0064】
また、シフト装置10のインジケータ44にランプ50A~50Eが設けられており、制御装置56が自動駐車モードでの動作を終了した際には、ランプ50A~50Eの全点灯(図6(E)参照)とランプ50A~50Eの全消灯(図6(F)参照)とが所定回数繰返されて、制御装置56の自動駐車モードでの動作が終了したことが表示される。このため、乗員がシフト装置10を目視することで、制御装置56の自動駐車モードでの動作が終了したことを乗員が認識できる。
【0065】
さらに、インジケータ44がシフト装置10のノブ16以外の部分に設置されている。このため、インジケータ44をシフト装置10に容易に設置できる。しかも、インジケータ44がノブ16の径方向内側に設置されて、インジケータ44のランプ50A~50E及びAPスイッチ48が接近されて配置されている。このため、乗員がシフト装置10を目視した際に、乗員がランプ50A~50E及びAPスイッチ48を容易に認識できる。
【0066】
なお、以上説明した本実施の形態では、表示部としてのインジケータ44をノブ16の径方向内側に設けたが、表示部の位置はこれに限るものではない。表示部は、シフト装置10のノブ16の径方向内側以外の部分(ノブ16又は筐体)に設けても良く、乗員が表示部(インジケータ44)を目視できれば良い。
【0067】
また、インジケータ44に設けられるランプ50は、自動変速機60のシフトレンジに対応して点灯されるランプ50A~50Dと、制御装置56が自動駐車モードで動作される際に点灯されるランプ50Eとの間で、点灯色が異なっても良く、これにより、制御装置56が自動駐車モードで動作されていることをより明確に表示できる。
【0068】
さらに、本実施の形態では、制御装置56の自動駐車モードの終了時にランプ50A~50Eの全点灯と全消灯とを繰返すようにしている。しかしながら、制御装置56の自動駐車モードの終了を表示できる点灯状態であれば、これに限るものではない。例えば、ランプ50A~50Eの点滅を繰返す際、点灯時ごと又はランプ50ごとに発光色を異ならせても良く、また、ランプ50A~50Eの点灯を切替えながら、複数回点灯させるようにしても良い。
【0069】
また、本実施の形態では、自動変速機60の特定シフトレンジを「P」レンジにして、ノブ16の特定シフト位置を「P」位置としたが、自動変速機60の特定シフトレンジは、「P」レンジに限らず、他のシフトレンジ(例えば車両が走行停止状態にされる「N」レンジ)であっても良く、ノブ16の特定シフト位置を他のシフト位置にすれば良い。ノブ16の特定シフト位置を「N」位置とする場合、ノブ16が「N」位置に配置された際(ノブ16のシフト位置が「N」位置であることをシフトセンサ54により検出された際)又は図示しないロックスイッチが操作された際に、第2レバー40の規制突部40Cをレバー係合凹部16Bに挿入させることにより、ノブ16の「N」位置からの回転がロックされるように構成すればよい。
【0070】
また、本実施の形態では、開始部としてモーメンタリー式のAPスイッチ48をインジケータパネル46に設けたが、開始部及び開始部を設ける位置はこれに限るものではない。開始部は、運転支援モードの終了時に、運転支援モード開始前の状態に復帰する復帰機能を備えた構成であれば良く、開始部の位置は、シフト装置10のインジケータパネル46以外の部分(ノブ16又は筐体)に設けても良く、乗員が開始部を目視できる位置であれば良い。
【0071】
さらに、本実施の形態では、運転支援モードとしての自動駐車モードについて、横列駐車を例に説明した。しかしながら、自動駐車モードは、縦列駐車であっても良く、車庫入れであっても良い。また、運転支援モード(オートドライブモード)は、自動駐車モードに限らず、車両を自動で運転(走行)する自動運転モードであっても良く、運転支援モードは、運転支援装置が乗員に変わって変速機のシフトレンジを変更する構成を適用できる。
【0072】
また、本実施の形態では、シフト体をノブ16にして、ノブ16が軸線周りに回転される。しかしながら、シフト体をレバーにして、レバーが回動又はスライドされてもよい。
さらに、本実施の形態では、シフト装置10をコンソールに設置した。しかしながら、シフト装置10をインストルメントパネル、コラムカバー又は車室のフロアに設置しても良い。
【符号の説明】
【0073】
10 シフト装置
16 ノブ(シフト体)
24 シフトロック機構(規制部)
44 インジケータ(表示部)
48 APスイッチ(開始部)
50(50A~50E) ランプ
60 自動変速機(変速機)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6