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特許7294712複数の層を熱的に接続するための方法、装置、及びアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】複数の層を熱的に接続するための方法、装置、及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/373 20060101AFI20230613BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H01L23/36 M
H01L23/36 D
H01L23/36 Z
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022035986
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2021029728の分割
【原出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022091794
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】62/983,133
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/930,519
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521084390
【氏名又は名称】アリーカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Arieca Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネービッド カゼム
(72)【発明者】
【氏名】カーメル マジディ
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特許第4551074(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/373
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイと、
上部層と、
前記ダイ及び前記上部層に対して接触して配置された熱界面材料と、
を備えており、
前記熱界面材料は、ポリマーと、前記ポリマー全体にわたって分散した液体金属液滴とを含んでおり、
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が150ミクロンを超えず、
前記液体金属液滴が少なくとも摂氏-19度~摂氏30度の範囲の温度において液相であ
前記液体金属液滴は2より大きいアスペクト比を有しており、前記液体金属液滴の幅は前記熱界面材料の長手方向平面に対して実質的に整合している、集積回路アセンブリ。
【請求項2】
前記液体金属液滴は、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、スズ、スズ合金、水銀、水銀合金、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項3】
前記熱界面材料は、30(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項4】
前記ポリマーは熱硬化性ポリマーを含む、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項5】
前記ポリマーは熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項6】
前記液体金属液滴は概して楕円形状である、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項7】
前記ダイはプロセッサを備える、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項8】
前記上部層は、ヒートシンク、一体型ヒートスプレッダ、又はパッケージングを備える、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項9】
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が100ミクロンを超えない、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項10】
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が70ミクロンを超えない、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項11】
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が15ミクロン~90ミクロンの範囲である、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項12】
前記熱界面材料は、10(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項13】
前記液体金属液滴は単峰性の多分散性を備える、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項14】
前記液体金属液滴は多峰性の多分散性を備える、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項15】
前記液体金属液滴は1より大きいアスペクト比を有する、請求項1に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項16】
熱界面材料を集積回路のダイ上に適用することであって、これにより前記熱界面材料が前記ダイと回路アセンブリの上部層との間になり、前記ダイ上に適用された前記熱界面材料が、液体金属液滴と未硬化ポリマーとのエマルジョンを含む、適用することと、
前記回路アセンブリを圧縮し、それによって前記液体金属液滴を変形させることと、
前記熱界面材料を硬化させ、それによって硬化したアセンブリを形成することと、
を含んでおり、
適用前の前記熱界面材料内の前記液体金属液滴の平均粒子サイズは、前記硬化したアセンブリ内で前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離より大きく、
前記液体金属液滴が少なくとも摂氏-19度~摂氏30度の範囲の温度において液相である、方法。
【請求項17】
前記上部層は、ヒートシンク、一体型ヒートスプレッダ、又はパッケージングを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が150ミクロンを超えない、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
堆積前の前記熱界面材料内の前記液体金属液滴の平均サイズが、1%~100%の範囲内で前記硬化したアセンブリ内で前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離より大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記液体金属液滴は、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、スズ、スズ合金、水銀、水銀合金、又はそれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記熱界面材料は、30(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記エマルジョンは、硬化前に、250,000cP未満の粘度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記液体金属液滴は、堆積前には概して球状であり、かつ前記液体金属液滴が、前記アセンブリの圧縮後には概して楕円形状である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
ダイと、
上部層と、
前記ダイ及び前記上部層に対して接触して配置された熱界面材料と、
を備えており、
前記熱界面材料は、ポリマーと、前記ポリマー全体にわたって分散した液体金属液滴とを含んでおり、
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が150ミクロンを超えず
前記液体金属液滴が少なくとも摂氏-19度~摂氏30度の範囲の温度において液相であり
前記ポリマーは熱可塑性ポリマーを含む、集積回路アセンブリ。
【請求項25】
ダイと、
上部層と、
前記ダイ及び前記上部層に対して接触して配置された熱界面材料と、
を備えており、
前記熱界面材料は、ポリマーと、前記ポリマー全体にわたって分散した液体金属液滴とを含んでおり、
前記ダイと前記上部層との間に形成される接合ライン距離が150ミクロンを超えず
前記液体金属液滴が少なくとも摂氏-19度~摂氏30度の範囲の温度において液相であり
前記液体金属液滴は多峰性の多分散性を備える、集積回路アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、上記と同じ題名及び発明者を有する、2020年2月28日付けで出願された米国仮特許出願シリアル番号第62/983,133号明細書に基づく優先権を主張するものであり、この仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、2つの層を熱的に接続するための方法、装置、及びアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
2つ以上の層をともに熱的に接続するために、熱界面材料(TIM)を使用することができる。例えば、TIMは、CPUダイを、CPUパッケージの一体型ヒートスプレッダ(IHS)に対して熱的に接続するために、CPUパッケージにおいてしばしば使用される。使用され得る様々なタイプのTIMが存在する。しかしながら、現在のTIMsには課題がある。
【発明の概要】
【0004】
1つの一般的な態様では、本発明は、ダイと上部層を熱的に接続するための方法に関する。本方法は、熱界面材料が、ダイと回路アセンブリの上部層との間に位置するように、熱界面材料を、集積回路のダイ上に適用することを含む。様々な実施例では、集積回路は、プロセッサ、ASIC、又はシステムオンチップ(SOC)、とすることができる。ある特定の例では、上部層は、一体型ヒートスプレッダ、ヒートシンク、又はパッケージング、とすることができる。ダイに対して適用される熱界面材料は、液体金属液滴と未硬化ポリマーとのエマルジョンを含む。本方法は、回路アセンブリを圧縮し、それによって液体金属液滴を変形させることと、熱界面材料を硬化させ、それによって回路アセンブリを形成することと、を含む。
【0005】
他の一般的な態様では、本発明は、ダイと、上部層と、ダイ層及び上部層に対して接触して配置された熱的界面材料と、を含む集積回路アセンブリに関する。熱的界面材料は、ポリマーと、ポリマー全体にわたって分散した液体金属液滴と、を含む。ダイと上部層との間に形成される接合ライン距離は、150ミクロンを超えないものである。
【0006】
他の一般的な態様では、本発明は、ダイと上部層とを熱的に接続するための装置であって、キャビティを規定する容器と、キャビティ内に配置されたエマルジョンと、を含む装置に関する。エマルジョンは、液体金属液滴と未硬化ポリマーとを含み、容器は、集積回路のダイ上へとエマルジョンを適用することを可能にするように構成されている。
【0007】
別の一般的な態様では、本発明は、2つ以上の層を熱的に接続するための方法に関する。本方法は、熱界面材料がアセンブリの第1層と第2層との間に位置するように、熱界面材料を、第1層の上に適用することを含む。熱界面材料は、液体金属液滴と未硬化ポリマーとのエマルジョンを含む。本方法は、アセンブリを圧縮し、それによって液体金属液滴を変形させることと、熱界面材料を硬化させ、それによってアセンブリを形成することと、を含む。
【0008】
本発明は、材料界面における低い接触抵抗と、材料を通した低い熱抵抗と、の両方を提供することができる。低い接触抵抗は、未硬化状態にあるポリマーを適用することによって可能とすることができ、そのため、ポリマー及び液体金属液滴は、所望の接触抵抗が得られるように、層の表面に対して適合することができる。材料を通した低い熱抵抗は、液体金属液滴のサイズ及び/又は形状を含めて、液体金属液滴によって可能とすることができる。加えて、本明細書において説明する方法は、未硬化状態でポリマーを適用することのために、他の方法と比較して、設置に際して高い圧力を必要としない場合がある。さらに、ポリマーを硬化させることは、液体金属液滴の排出を阻止することができる。本発明の様々な実施形態から実現可能なこれらの利点及び他の利点は、以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面に関連させながら、実施例の以下の説明を参照することにより、本発明の様々な実施例の特徴点及び利点、並びに、それらを達成する様式が、より明瞭となり、かつ実施例が、よりよく理解されるであろう。
【0010】
図1図1は、本開示によるTIMエマルジョンを含む容器を示す概略図である。
【0011】
図2A図2Aは、本開示によるTIMを含む回路アセンブリを示す側断面図である。
【0012】
図2B図2Bは、本開示によるTIMを含む回路アセンブリを示す側断面図である。
【0013】
図3A図3Aは、回路アセンブリを圧縮する前の時点で、図2の回路アセンブリにおける領域3Aを示す詳細図である。
【0014】
図3B図3Bは、回路アセンブリを圧縮した後の時点での、図3Aの回路アセンブリである。
【0015】
図4図4は、本開示による未硬化アセンブリに対して印加された圧力に対しての、接合ライン厚さ(BLT)を図示するグラフである。
【0016】
図5図5は、本開示による硬化したアセンブリの接触熱抵抗に対しての、BLTを図示するグラフである。
【0017】
対応する参照符号は、複数の図面にわたって対応する部分を示している。本明細書において記載している例示は、一形態での特定の実施例を例示するものであり、そのような例示は、いかなる様式でも実施例の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明のある特定の例示的な態様について、本明細書において開示する組成物及び方法に関しての、組成、機能、製造、及び使用に関する原理の全体的な理解を提供するために、説明する。これらの態様に関する1つ又は複数の実施例は、添付図面に図示されている。当業者であれば、本明細書において具体的に説明し、かつ添付図面において図示する、組成物、物品、及び方法が、非限定的な例示的態様であって、本発明の様々な実施例の範囲が、特許請求の範囲のみによって規定されることを、理解するであろう。1つの例示的態様に関連して図示される、または説明される特徴は、他の態様の特徴と組み合わせられてもよい。そのような改変及び変形は、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0019】
材料がダイと一体型ヒートスプレッダ(IHS)との間に位置するように、その材料を、集積回路のダイに対して適用することは、材料を通した熱抵抗と材料界面における接触抵抗とのバランスをとることを必要とする可能性がある。例えば、ポリマー材料は、材料界面における接触抵抗は低いものの、材料を通した熱抵抗が高い場合がある。固体金属は、材料を通した熱抵抗は低いものの、材料界面における接触抵抗が高い場合がある。加えて、いくつかの固体材料(ポリマー又は金属)は、所望の接触抵抗を得るために、設置時に大きい圧力を必要とする場合がある。よって、本発明は、様々な実施形態において、熱界面材料(TIM)、2つの層を熱的に接続するためのアセンブリ、及び材料界面における低い接触抵抗と材料を通した低い熱抵抗との両方を提供することができる回路アセンブリを提供する。加えて、TIMは、他の固体材料と比較して、設置するために高い圧力を必要としない場合がある。例えば、TIMは、設置(例えば、圧縮)するために、1平方インチあたり50ポンド以下の圧力しか必要としない場合がある。本開示によるTIMは、ポリマー全体にわたって分散した液体金属液滴を有するポリマーを含むことができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」及び「ポリマーの」という用語は、プレポリマー、オリゴマー、並びにホモポリマー及びコポリマーの両方、を意味する。本明細書で使用される場合、「プレポリマー」は、より大きい分子量又は架橋状態を形成するために、1つ又は複数の反応性基によってさらなる反応又は重合が可能なポリマー前駆体を意味する。
【0021】
ポリマーは、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、又はこれらの組合せ、とすることができる。本明細書で使用される場合、「熱硬化性」という用語は、例えば熱又は放射線によってしばしば誘導される、ポリマー組成物のポリマー鎖が共有結合によって互いに結合された硬化又は架橋時に、不可逆的に「硬化」するポリマーを指す。様々な実施例では、硬化又は架橋反応は、周囲条件下で実施することができる。硬化又は架橋すると、熱硬化性ポリマーは、熱を加えられても溶融しない場合があり、従来の溶媒に対して不溶性とすることができる。本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、構成ポリマー鎖が共有結合によって結合していない(例えば、架橋していない)ポリマー成分を含むポリマーを指し、そしてそれによって加熱時には液状流動を受ける可能性があり、また従来の溶媒中で可溶性である。ある特定の実施形態では、ポリマーは、弾性的(例えば、ゴム状、軟質、伸縮性)とすることができ、又は硬質(例えば、ガラス状)とすることができる。例えば、ポリマーは、弾性的とすることができる。
【0022】
熱硬化性ポリマーは、例えば、アミノプラスト、ポリイソシアネート(ブロックイソシアネートを含む)、ポリエポキシド、ベータ-ヒドロキシアルキルアミド、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、又はこれらの組合せ、を含んでもよい架橋剤を含んでもよい。ポリマーは、架橋剤に対して反応性である官能基を有してもよい。
【0023】
本明細書において説明するTIM内のポリマーは、当該技術分野において周知の様々なポリマーのうちのいずれかから選択されてもよい。例えば、熱硬化性ポリマーは、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン)、フルオロポリマー、ポリイソプレンポリマー(例えば、ゴム)、これらのコポリマー(例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)、又はこれらの組合せ、を含んでもよい。熱硬化性ポリマー上の官能基は、例えば、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、水酸基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロックイソシアネート基を含む)、メルカプタン基、及びこれらの組合せ、を含む様々な反応性官能基のうちのいずれかから選択されてもよい。
【0024】
熱可塑性ポリマーは、プロピレン-エチレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、又はこれらの組合せ、を含むことができる。ポリマーは、例えば、少なくとも摂氏120度、少なくとも摂氏150度、又は少なくとも摂氏200度などの、少なくとも摂氏100度の融点を有することができる。
【0025】
TIMのための液体金属は、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、スズ、スズ合金、水銀、水銀合金、又はこれらの組合せ、を含むことができる。液体金属は、例えば、少なくとも摂氏-19度、少なくとも摂氏-10度、少なくとも摂氏0度、少なくとも摂氏5度、少なくとも摂氏10度、少なくとも摂氏15度、少なくとも摂氏20度、又は少なくとも摂氏25度などの、少なくとも摂氏-20度の温度において液相とすることができる(例えば、そのバルク形態では、摂氏-20度未満の融点を有することができる)。液体金属は、例えば、摂氏25度を超えない、摂氏20度を超えない、摂氏15度を超えない、摂氏10度を超えない、摂氏5度を超えない、摂氏0度を超えない、又は摂氏-10度を超えないなど、少なくとも摂氏30度を超えない温度においては、液相とすることができる(例えば、そのバルク形態では摂氏、30度未満の融点を有することができる)。液体金属は、例えば、摂氏-19度~摂氏30度、摂氏-19度~摂氏25度、又は摂氏-19度~摂氏20度など、少なくとも摂氏-20度~摂氏30度の範囲の温度においては、液相とすることができる(例えば、そのバルク形態では、摂氏-20度~摂氏30度の範囲の温度未満の融点を有することができる)。それぞれの温度において液相が達成されるかどうかの決定は、1気圧(絶対圧力)において行うことができる。ある特定の実施形態では、TIMは、ガリウムインジウムスズ(ガリンスタン)を含むことができ、融点は、摂氏-19度である。
【0026】
TIMは、液体金属液滴がポリマー全体にわたって実質的に分散するように、ポリマーと液体金属とのエマルジョンを形成することによって、作り出すことができる。例えば、ポリマーと液体金属液滴とを、高剪断ミキサ、遠心ミキサを用いて、容器内での振盪、乳鉢及び乳棒、超音波処理、若しくはこれらの組合せによってともに混合することができる。エマルジョンを形成するための例示的な方法に関するさらなる詳細は、(1)「Method of Synthesizing a Thermally Conductive and Stretchable Polymer Composite」と題するPCT国際公開第2019/136252号パンフレット、及び(2)「Polymer Composite with Liquid Phase Metal Inclusions」と題する米国特許公開第2017/0218167号明細書、に記載されており、これらの両方は、カーネギーメロン大学に対して譲渡されており、これらの両方は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。組成物及び/又は混合技法は、未硬化状態のTIMエマルジョンの粘度が、例えば、200,0000cP未満、150,000cP未満、100,000cP未満、50,000cP未満、15,000cP未満、14,000cP未満、13,000cP未満、12,000cP未満、11,000cP未満、又は10,000cP未満など、250,000cP(センチポイズ)未満になるように、選択することができる。TIMエマルジョンの粘度は、室温で、回転式粘度計又はコーンプレート粘度計を使用して、測定することができる。粘度測定は、静的粘度を得るのに適した選択周波数において行うことができる(例えば、材料が非ニュートン流体であるため)。
【0027】
TIMは、例えば、すべて液体金属液滴の総体積に基づいて、少なくとも5%の液体金属液滴、少なくとも10%の液体金属液滴、少なくとも20%の液体金属液滴、少なくとも30%の液体金属液滴、少なくとも40%の液体金属液滴、少なくとも50%の液体金属液滴、又は少なくとも60%の液体金属液滴など、TIMの総体積に対して少なくとも1%の液体金属液滴を含むことができる。TIMは、例えば、すべてTIMの総体積に基づいて、60%を超えない液体金属液滴、50%を超えない液体金属液滴、40%を超えない液体金属液滴、30%を超えない液体金属液滴、20%を超えない液体金属液滴、又は10%を超えない液体金属液滴など、TIMの総体積に対して90%を超えない液体金属液滴を含むことができる。TIMは、例えば、すべてTIMの総体積に基づいて、5%~50%の液体金属液滴、40%~60%の液体金属液滴、5%~90%の液体金属液滴、又は30%~50%の液体金属液滴など、TIMの総体積に対して1%~90%の範囲の液体金属液滴を含むことができる。
【0028】
組成物及び/又は混合技法は、TIM内の液体金属液滴の所望の平均粒子サイズが得られるように、選択することができる。液体金属液滴の平均粒子サイズは、例えば、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも35ミクロン、少なくとも40ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも60ミクロン、少なくとも70ミクロン、少なくとも80ミクロン、少なくとも90ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも120ミクロン、又は少なくとも150ミクロンなど、少なくとも1ミクロンとすることができる。液体金属液滴の平均粒子サイズは、例えば、150ミクロンを超えない、120ミクロンを超えない、100ミクロンを超えない、90ミクロンを超えない、80ミクロンを超えない、70ミクロンを超えない、60ミクロンを超えない、50ミクロンを超えない、40ミクロンを超えない、35ミクロンを超えない、30ミクロンを超えない、20ミクロンを超えない、10ミクロンを超えない、又は5ミクロンを超えないなど、200ミクロンを超えないものとすることができる。例えば、液体金属液滴の平均粒子サイズは、例えば、5ミクロン~150ミクロン、35ミクロン~150ミクロン、35ミクロン~70ミクロン、又は5ミクロン~100ミクロンなど、1ミクロン~200ミクロンの範囲とすることができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「平均粒子サイズ」は、顕微鏡(例えば、光学顕微鏡又は電子顕微鏡)を使用して測定された平均サイズを指す。サイズは、球状粒子の直径とすることができ、又は楕円形状若しくはそうでなければ不規則な形状の粒子の場合には、最大寸法に沿った長さとすることができる。
【0030】
液体金属液滴の多分散性は、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性、三峰性)とすることができる。多峰性の多分散性を利用することにより、TIM内における液体金属液滴の充填密度を増大させることができる。多分散性が単峰性である特定の実施形態では、ポリマー内における液体金属液滴の多分散性は、0.3~0.4の範囲とすることができる。
【0031】
TIMは、使用前には、図1に図示するような容器100内に貯蔵することができる。例えば、容器は、キャビティを規定する壁102を備えることができ、またTIMエマルジョン104は、そのキャビティ内に貯蔵することができる。TIM104は、容器100内では、未硬化状態とすることができる。容器100内にTIMを貯蔵することにより、TIM104の硬化を阻止することができる。容器100は、ピローパック、注射器、ビーカー、ジャー、ボトル、ドラム、又はこれらの組合せ、とすることができる。様々な実施例では、容器100は、例えばピローパック又は注射器のような、すぐに使用できる分配デバイスとすることができる。他の実施例では、TIM104は、貯蔵されない場合があり、エマルジョンを作り出した後、貯蔵することなく使用することができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「硬化する」及び「硬化」という用語は、基材上に適用されたエマルジョン又は材料内の成分の化学的架橋、あるいは基材上に適用されたエマルジョン又は材料内の成分の粘度増加を指す。したがって、「硬化する」及び「硬化」という用語は、溶媒又はキャリアの蒸発を介したエマルジョン又は材料の物理的乾燥のみを包含するものではない。これに関して、熱硬化性ポリマーを含む実施例において本明細書で使用される場合、「硬化した」という用語は、エマルジョン又は材料の成分が化学的に反応してエマルジョン又は材料内に新たな共有結合(例えば、バインダ樹脂と硬化剤との間に形成された新たな共有結合)を形成した、エマルジョン又は材料の状態を指す。熱可塑性ポリマーを含む実施例において本明細書で使用される場合、「硬化した」という用語は、熱可塑性ポリマーの温度がその熱可塑性ポリマーの融点未満にまで低下し、それによりエマルジョン又は材料の粘度が増大した、エマルジョン又は材料の状態を指す。熱硬化性ポリマー及び熱可塑性ポリマーの両方を含む実施例では、「硬化した」という用語は、本明細書において説明するようなポリマーの硬化の一方又は両方を指す。
【0033】
熱硬化性ポリマーの硬化は、TIM104に対して、例えば、少なくとも摂氏10度、少なくとも摂氏50度、少なくとも摂氏100度、又は少なくとも摂氏150度など、少なくとも摂氏-20度の温度を適用することによって達成することができる。硬化は、TIM104に対して、例えば、摂氏250度を超えない、摂氏200度を超えない、摂氏150度を超えない、摂氏100度を超えない、又は50度を超えないなど、摂氏300度を超えない温度を適用することによって達成することができる。硬化は、TIM104に対して、例えば、摂氏10度~摂氏200度、又は摂氏50度~摂氏150度など、摂氏-20度~摂氏300度の範囲の温度を適用することによって達成することができる。例えば、硬化は、TIMを熱的に焼くことを含むことができる。温度は、例えば、5分間超、30分間超、1時間超、又は2時間超など、1分間超という時間期間にわたって適用することができる。
【0034】
TIM104は、容器100から分配し、かつ未硬化の状態で層に対して適用することができる。その後、TIM104を硬化させて、硬化したTIM104を形成することができる。TIM104を硬化させることは、TIM104を加熱すること(例えば、熱硬化性ポリマーを使用した実施例において)、TIM104に触媒を添加すること、TIM104を空気に対して曝すこと、TIM104を冷却すること(例えば、熱可塑性ポリマーを使用した実施例において)、TIM104に対して圧力を印加すること、又はこれらの組合せ、を含むことができる。TIM104の硬化により、TIMエマルジョンの粘度を、例えば、20,000cP超、30,000cP超、50,000cP超、100,000cP超、150,000cP超、200,000cP超、又は250,000cP超など、15,000cP超へと増大させることができる。例えば、TIM104内のポリマーは、硬化することができる。様々な実施例では、TIM104は、接着剤とすることができる。TIM104内のポリマーは、硬化時におけるTIM104からのガス放出を低減するように選択することができる。
【0035】
本開示によるTIMは、第1層に対して適用することができ、これによりTIMは、第1層と第2層とを含むアセンブリの2つの層の間になる。第1層は、発熱性電子部品(例えば、集積回路)とすることができ、第2層は、熱伝導性とすることができる上部層とすることができる。例えば、上部層は、ヒートスプレッダ、ヒートシンク、又はパッケージング、とすることができる。その後、アセンブリを圧縮することができ、それによってTIM内の液体金属液滴を変形させることができ、またTIMを硬化させてアセンブリを形成することができる。未硬化状態でTIM104を適用することにより、所望の接触抵抗を得ることができ、かつアセンブリを圧縮する際に、より低い圧力を使用することを可能とする。TIMは、様々な層及びデバイスに対して適用することができ、またこれについて、回路アセンブリを参照して図2A図2Bを参照して以下に説明するが、回路アセンブリのみに限定されるものではない。
【0036】
図2Aを参照すると、TIM204は、TIM204を集積回路208のダイ206と回路アセンブリ200の上部層210との間とすることができるように、ダイ206に対して適用することができる。ダイ206に対するTIM204の適用は、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、フィルムコーティング、ブラシコーティング、押出、分配、又はこれらの組合せ、を含むことができる。TIM204は、TIMが、ダイ206の表面と上部層210の表面とに対して適合可能であり、それによりそれらの間の所望のレベルの表面接触を達成することができるように、未硬化状態で適用することができる。様々な実施例では、TIM204を、ダイ206に対して直接的に適用することができ、その後上部層210を、TIM204に対して直接的に適用することができる。様々な他の実施例では、TIM204を、上部層210に対して直接的に適用することができ、そしてその後、ダイ206を、TIM204に対して直接的に適用することができる。様々な実施例では、TIM204の適用後、TIM204は、ダイ206及び上部層210との直接的な接触状態とすることができる。ある特定の実施形態では、TIM204の適用は、TIM204を効率的に使用することができるように、ダイ206の表面に限定されてもよい。
【0037】
特に、層、フィルム、又は材料に関連して、本明細書で使用される場合、「上に」、「上へと」、「上方に」、及びそれらの変形(例えば、「上に適用された」、「上に形成された」、「上に堆積された」、「上に提供された」、「上に配置された」、及び同種のもの)という用語は、基材の表面の上側に、適用された、形成された、堆積された、提供された、又は他の態様で配置されたことを意味するが、必ずしも基材の表面に対して接触しているわけではない。例えば、基材「上に適用された」TIMは、適用されたTIMと基材との間に位置した同一組成又は異なる組成の別の層又は他の層の存在を排除するものではない。同様に、第1層「上に適用された」第2層は、適用された第2層と適用されたTIMとの間に位置した同一組成又は異なる組成の別の層又は他の層の存在を排除するものではない。
【0038】
回路アセンブリ200を、圧縮することができる。例えば、図3A図3Bの詳細図を参照すると、ダイ206及び上部層210は、第1距離dが、第2接合ライン距離dblまで減少するように、互いに付勢することができる。適用プロセス及び/又は圧縮プロセスの前の時点における、TIM204内の液体金属液滴312の平均粒子サイズは、ダイ206と上部層210との間に形成される所望の接合ライン距離dblよりも大きなものとなるように選択することができる。例えば、適用プロセス及び/又は圧縮プロセスの前の時点における、液体金属液滴312の平均粒子サイズは、例えば、接合ライン距離dblより1%大きいもの、接合ライン距離dblより2%大きいもの、接合ライン距離dblより5%大きいもの、接合ライン距離dblより10%大きいもの、接合ライン距離dblより15%大きいもの、接合ライン距離dblより20%大きいもの、接合ライン距離dblより30%大きいもの、接合ライン距離dblより40%大きいもの、接合ライン距離dblより50%大きいもの、又は接合ライン距離dblより75%大きいものなど、接合ライン距離dblより大きいものとすることができる。適用プロセス及び/又は圧縮プロセスの前の液体金属液滴312の平均粒子サイズは、例えば、接合ライン距離dblより75%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより50%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより40%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより30%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより20%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより15%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより10%を超えて大きくないもの、接合ライン距離dblより5%を超えて大きくないもの、又は接合ライン距離dblより2%を超えて大きくないものなど、接合ライン距離dblより100%を超えて大きくないものとすることができる。適用プロセス及び/又は圧縮プロセスの前の液体金属液滴312の平均粒子サイズは、例えば、接合ライン距離dblより1%~50%の範囲内でより大きいもの、接合ライン距離dblより1%~30%の範囲内でより大きいもの、接合ライン距離dblより2%~30%の範囲内でより大きいもの、又は接合ライン距離dblより5%~20%の範囲内でより大きいものなど、接合ライン距離dblより1%~100%の範囲内でより大きいものとすることができる。
【0039】
回路アセンブリ200を圧縮することにより、TIM204に対して力を印加することができ、そしてTIM204のポリマー314内に分散した液体金属液滴312を変形させることができる。TIM204が未硬化状態であることのために、ポリマーは、まだ適合可能かつ移動可能であり、これにより、圧縮力は、液体金属液滴312を変形させることができる。液体金属液滴312は、変形時には液相とすることができ、これにより、圧縮のためにはより低い圧力しか必要とされず、そして所望の変形を達成することができる。
【0040】
液体金属液滴312は、図3Aに示すように概して球形状とすることができ、その後、図3Bに示すように概して楕円形状とすることができる。様々な実施例では、圧縮前には液体金属液滴312は、第1平均アスペクト比を有することができ、圧縮後には液体金属液滴312は、第2平均アスペクト比を有することができる。第2平均アスペクト比は、第1平均アスペクト比とは異なるものとすることができる。例えば、第2平均アスペクト比は、第1平均アスペクト比よりも大きなものとすることができる。平均アスペクト比は、液体金属液滴312の幅と液体金属液滴312の高さとの平均比とすることができる。様々な実施例では、第1アスペクト比は、1とすることができ、第2アスペクト比は、1より大きくすることができる。ある特定の実施形態では、第1アスペクト比は、1~1.5の範囲とすることができる。ある特定の実施形態では、第2アスペクト比は、例えば、第1アスペクト比より少なくとも1だけより大きく、第1アスペクト比より少なくとも2だけより大きく、又は第1アスペクト比より少なくとも5だけより大きいなど、第1アスペクト比より少なくとも0.5だけより大きくすることができる。液体金属液滴312の幅は、回路アセンブリ200内におけるTIM204の長手方向平面に対して実質的に整合させることができ、液体金属液滴312の高さは、TIM204の厚さ(例えば、距離d)に対して実質的に整合させることができる。液体金属液滴312の幅は、回路アセンブリ200の圧縮時には、増大することができる。例えば、ある特定の実施形態では、圧縮前における球形状液体金属液滴の半径は、100μm(例えば、第1アスペクト比が1)とすることができ、20μmの接合ライン厚さへと圧縮した後には、液体金属液滴は、幅が316μm(例えば、第2アスペクト比が15.6)の楕円形状へと変形することができる。
【0041】
特定の実施例では、液体金属液滴312は、圧縮後には、図3Bに示すように、実質的に単層で整列することができる。単層は、液体金属液滴312の平均粒子サイズを選択することにより、及び接合ライン距離dblを選択することにより達成することができる。液体金属液滴312を単層に構成することにより、TIM204の熱抵抗を減少させることができる。
【0042】
TIM204を硬化させることができ、それによって回路アセンブリ200を形成することができる。TIM204の硬化により、ポリマー316の粘度を増加させることができ、かつポリマー316を硬化させることができる。例えば、ポリマー316を、固体にすることができる。様々な実施例では、硬化後のポリマー314は、弾性的である。ポリマー314の硬化により、回路アセンブリ200の熱サイクル中における液体金属液滴312の排出を阻止することができ、かつダイ206と上部層210との間の機械的結合を提供することができる。
【0043】
アセンブリ200は、硬化したアセンブリにおいてダイ206と上部層210との間に形成される接合ライン距離dblを備えることができ、これは、例えば、145ミクロンを超えない、140ミクロンを超えない、120ミクロンを超えない、100ミクロンを超えない、80ミクロンを超えない、70ミクロンを超えない、50ミクロンを超えない、40ミクロンを超えない、35ミクロンを超えない、又は30ミクロンを超えないなど、150ミクロンを超えない。アセンブリ200は、硬化したアセンブリにおいてダイ206と上部層210との間に形成される接合ライン距離dblを備えることができ、これは、例えば、少なくとも30ミクロン、少なくとも35ミクロン、少なくとも40ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも70ミクロン、少なくとも80ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも120ミクロン、少なくとも140ミクロン、又は少なくとも145ミクロンなど、少なくとも15ミクロンである。アセンブリ200は、硬化したアセンブリにおいてダイ206と上部層210との間に形成される接合ライン距離dblを備えることができ、これは、例えば、15ミクロン~90ミクロン、15ミクロン~70ミクロン、30ミクロン~70ミクロン、35ミクロン~70ミクロン、又は15ミクロン~100ミクロンなど、15ミクロン~150ミクロンの範囲である。
【0044】
硬化は、第1時間期間の間に生じさせることができ、圧縮は、第2時間期間の間に生じさせることができる。第1時間期間は、第2時間期間の後とすることができ、又は第2時間期間と少なくとも部分的に重なることができる。例えば、液体金属液滴312は、ポリマー314の実質的な硬化の前に変形されてもよく、これにより液体金属液滴312を変形させるためにより低い圧縮圧力が使用されてもよい。
【0045】
液体金属液滴312の平均粒子サイズ及び変形は、TIM204の熱抵抗値を改善することができる。例えば、硬化後のTIM204は、例えば、20(°K*mm)/Wを超えない、15(°K*mm)/Wを超えない、10(°K*mm)/Wを超えない、9(°K*mm)/Wを超えない、8(°K*mm)/Wを超えない、7(°K*mm)/Wを超えない、又は5(°K*mm)/Wを超えないなど、30(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を有することができる。硬化後のTIM204は、例えば、少なくとも1(°K*mm)/W、少なくとも2(°K*mm)/W、少なくとも3(°K*mm)/W、少なくとも5(°K*mm)/W、又は少なくとも10(°K*mm)/Wなど、少なくとも0.5(°K*mm)/Wという熱抵抗値を備えることができる。硬化後のTIM204は、例えば、0.5(°K*mm)/W~20(°K*mm)/W、0.5(°K*mm)/W~15(°K*mm)/W、1(°K*mm)/W~10(°K*mm)/W、2(°K*mm)/W~10(°K*mm)/W、又は2(°K*mm)/W~8(°K*mm)/Wなど、0.5(°K*mm)/W~30(°K*mm)/Wの範囲内の熱抵抗値を備えることができる。熱抵抗値は、Siemens社(ドイツ、ミュンヘン)から入手可能なDynTIM-S測定器、NanoTest社(ドイツ)からのTIMA測定器、及び/又は、LongWin LW9389(台湾)を使用して測定することができる。
【0046】
ダイ206は、例えば、プロセッサ又はASICなどの集積回路、又はシステムオンチップ(SOC)、を含むことができる。上部層210は、一体型ヒートスプレッダとすることができる。TIM204は、プロセッサと一体型ヒートスプレッダとの間に直接的に適用することができる。例えば、TIM204は、TIM1、TIM1.5、又はこれらの組合せとすることができる。TIM1は、蓋付きパッケージ内で、ダイと一体型ヒートスプレッダとを熱的に接続するために使用することができる。TIM1.5は、ベアダイパッケージ内で、ヒートシンクに対してダイを熱的に接続するために使用することができる。
【0047】
様々な他の実施例では、図2Bを参照すると、TIM216を、上部層210(例えば、一体型ヒートスプレッダ)と別の上部層218との間に、適用することができる。上部層218は、ヒートシンクを備えることができる。例えば、TIM216は、TIM2とすることができる。
【0048】
様々な他の実施例では、本開示によるTIMは、パッケージ上のシステムにおいて使用することができる。例えば、単一の水平方向TIM層は、一方の側の上では、複数のダイと接触することができ(例えば、集積回路は、複数のダイを備えることができ、又は複数の集積回路は、TIMの同じ側で接触することができ)、また異なる側の上では、1つ又は複数の上部層と接触することができる。
【0049】
<実施例>
【0050】
ガリウム、インジウム、及びスズの共晶合金(ガリンスタン)(溶融温度、T=19℃)を、剪断混合を使用してエラストマー内に分散させて、30ミクロンという平均粒子サイズを有した液体金属液滴の未硬化TIMエマルジョンを調製した。ガリンスタンの導入量は、未硬化TIMエマルジョンの50容量%であった。未硬化TIMエマルジョンを、発熱デバイス(例えば、ダイ)上へと適用し、そして所望の接合ライン厚さ(BLT)が得られるまで未硬化状態でヒートシンクとダイとの間で圧縮して、未硬化アセンブリを形成した。ヒートシンクとダイとの間で未硬化のTIMを圧縮している間に、圧縮のために使用している圧力を、それぞれの接合ライン厚さにおいて測定し、結果を図4に示した。図示したように、圧縮のための圧力は、様々なパッケージング機器に対して適用可能な80ミクロンから29ミクロンのBLTの圧縮中、50ポンド/平方インチゲージ(psig)を超えなかった。
【0051】
ガリンスタンは、圧縮中、液相のままであるので、非近接場の機械的変形は、未硬化TIMエマルジョン内の液体金属液滴を変形させることができ、これは、TIMの方向性のある熱放散特性を増強することができる。例えば、未硬化TIMエマルジョンの熱伝導率は、歪みの方向において、50倍に増大することができる。
【0052】
追加的な未硬化アセンブリを、29ミクロン~200ミクロンの範囲のBLTを用いて、上記の方法に従って調製した。未硬化アセンブリの接触熱抵抗を、Siemens T3Ster測定器を使用して測定し、結果を図5に示す。図5に示すように、接触熱抵抗は、驚くべきことに80ミクロンにおいて変化し、29ミクロンに対するBLTでは効果的にゼロの接触抵抗に近づき、BLTがTIMエマルジョン内の液体金属液滴の平均粒子サイズより大きくない時に、未硬化アセンブリ内の熱界面が増強されていることを示している。TIMエマルジョンを硬化させた後は、接触熱抵抗の変化は、たとえあったとしても、最小限であると考えられる。加えて、本開示による他の発明的アセンブリにおいては、BLTが、それぞれの発明的実施例で使用されているTIMエマルジョン内の液体金属液滴の平均粒子サイズよりも大きくない場合に、増強された熱界面を得ることができると考えられる。
【0053】
29ミクロンのBLTを含む未硬化アセンブリ内の未硬化TIMエマルジョンを通した接触熱抵抗を含む総熱抵抗は、30K*mm/Wであると測定された。本開示による他の発明的アセンブリは、増強された熱抵抗特性を得ることができると考えられる。
【0054】
当業者であれば、本明細書において説明する、組成物、物品、方法、及びそれらに付随する考察が、概念的な明確性のために実施例として使用されていること、また様々な構成上の修正が想定されることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、記載された特定の実施例、並びに付随する考察は、それらのより一般的なクラスに関する代表例であることが意図されている。一般に、任意の特定の実施例の使用は、そのクラスを代表することが意図されており、また特定の構成要素(例えば、操作)、デバイス、及び対象物を含まないことを、限定的と見なすべきではない。
【0055】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに列挙された操作が、一般的に任意の順序で実行されてもよいことを理解するであろう。また、様々な操作の流れはある順序で示されているが、様々な操作は、例示されたものとは別の順序で実行されてもよいこと、あるいは同時的に実行されてもよいことが理解されよう。そのような代替可能な順序付けの例としては、文脈が別段に指示しない限り、重複、インターリーブ、中断、再順序付け、増分、準備、補足、同時、逆順、又は他の変形の順序付けが挙げられ得る。さらに、「に応答した」とか「に関連した」のような用語、あるいは、他の過去時制の形容詞のような用語は、文脈が別段に指示しない限り、一般に、そのような変形を除外することを意図していない。
【0056】
様々な実施例が本明細書において説明されているが、それらの実施例に関する多くの修正、変形、置換、変更、及び同等物が実施されてもよく、また当業者であれば想起するであろう。また、ある特定の構成要素について材料が開示されている場合に、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明及び添付の特許請求の範囲が、開示された実施例の範囲内に収まるすべてのそのような改変及び変形をカバーすることを意図していることが理解されよう。以下の特許請求の範囲は、すべてのそのような修正及び変形をカバーすることを意図している。
【0057】
本開示による本発明の様々な態様は、以下の番号を付した条項に記載された態様を含むが、これらに限定されるものではない。
【0058】
条項1.熱界面材料を、集積回路のダイ上に適用することであって、それにより熱界面材料が、ダイと回路アセンブリの上部層との間になり、ダイに対して適用された熱界面材料が、液体金属液滴と未硬化ポリマーとのエマルジョンを含む、適用することと、回路アセンブリを圧縮し、それによって液体金属液滴を変形させることと、熱界面材料を硬化させ、それによって、硬化したアセンブリを形成することと、を含む、方法。
【0059】
条項2.ダイが、プロセッサを備える、条項1に記載の方法。
【0060】
条項3.上部層が、プロセッサの一体型ヒートスプレッダを備える、条項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
条項4.上部層が、ヒートシンク、一体型ヒートスプレッダ、又はパッケージング、を備える、条項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
条項5.硬化したアセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、150ミクロンを超えない、条項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
条項6.硬化したアセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、100ミクロンを超えない、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
条項7.硬化したアセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、70ミクロンを超えないものとする、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
条項8.硬化したアセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、15ミクロン~90ミクロンの範囲内である、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
条項9.適用前の熱界面材料内の液体金属液滴の平均粒子サイズが、硬化したアセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離より大きい、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
条項10.堆積前の熱界面材料内の液体金属液滴の平均粒子サイズが、1%~100%の範囲で硬化したアセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離より大きい、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
条項11.液体金属液滴が、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、スズ、スズ合金、水銀、水銀合金、又はこれらの組合せを含む、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
条項12.液体金属液滴が、少なくとも摂氏-19℃~摂氏30度の範囲の温度において液相である、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
条項13.硬化後の熱界面材料が、30(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
条項14.硬化後の熱界面材料が、10(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
条項15.液体金属液滴が、単峰性の多分散性を備える、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
条項16.液体金属液滴が、多峰性の多分散性を備える、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
条項17.ポリマーが、熱硬化性ポリマーを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
条項18.ポリマーが、熱可塑性ポリマーを含む、条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
条項19.エマルジョンが、硬化前に250,000cP未満の粘度を有する、条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
条項20.液体金属液滴が、堆積前は概して球状であり、かつ液体金属液滴が、アセンブリを圧縮した後は概して楕円形状である、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
条項21.第1時間期間の間硬化が生じ、第2時間期間の間圧縮が生じ、第1時間期間が、第2時間期間の後である、又は第2時間期間と少なくとも部分的に重なる、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
条項22.条項1~21のいずれか一項に記載の方法によって製造される集積回路アセンブリ。
【0080】
条項23.ダイと、上部層と、ダイ層と上部層とに対して接触して配置された熱的界面材料と、を含む集積回路アセンブリであって、上部材料が、ポリマーと、ポリマー全体にわたって分散した液体金属液滴と、を含み、ダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、150ミクロンを超えない、集積回路アセンブリ。
【0081】
条項24.ダイが、プロセッサを含む、条項23に記載のアセンブリ。
【0082】
条項25.上部層が、ヒートシンク、一体型ヒートスプレッダ、又はパッケージング、を含む、条項23又は24に記載のアセンブリ。
【0083】
条項26.アセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、100ミクロンを超えない、条項23~25のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0084】
条項27.アセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、70ミクロンを超えない、条項23~26のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0085】
条項28.アセンブリ内でダイと上部層との間に形成される接合ライン距離が、15ミクロン~90ミクロンの範囲である、条項23~27のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0086】
条項29.液体金属液滴が、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、スズ、スズ合金、水銀、水銀合金、又はこれらの組合せを含む、条項23~28のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0087】
条項30.液体金属液滴が、少なくとも摂氏-19度~摂氏30度の範囲の温度において液相である、条項23~29のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0088】
条項31.熱界面材料が、30(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、条項23~30のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0089】
条項32.熱界面材料が、10(°K*mm)/Wを超えない熱抵抗値を備える、条項23~31のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0090】
条項33.液体金属液滴が、単峰性の多分散性を備える、条項23~32のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0091】
条項34.液体金属液滴が、多峰性の多分散性を備える、条項23~32のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0092】
条項35.ポリマーが、熱硬化性ポリマーを含む、条項23~34のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0093】
条項36.ポリマーが、熱可塑性ポリマーを含む、条項23~35のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0094】
条項37.液体金属液滴が、概して楕円形状である、条項23~36のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【0095】
条項38.ダイと上部層とを熱的に接続するための装置であって、キャビティを規定する容器と、キャビティ内に配置されたエマルジョンと、を備え、エマルジョンが、液体金属液滴と、未硬化ポリマーと、を含み、容器が、集積回路のダイの上へのエマルジョンの適用を可能にするように構成されている、装置。
【0096】
条項39.容器が、注射器である、条項38に記載の装置。
【0097】
条項40.容器が、ピローパックである、条項38に記載の装置。
【0098】
条項41.ダイが、プロセッサを備える、条項38~40のいずれか一項に記載の装置。
【0099】
条項42.上部層が、ヒートシンク、一体型ヒートスプレッダ、又はパッケージング、を備える、条項38~41のいずれか一項に記載の装置。
【0100】
条項43.エマルジョン内の液体金属液滴の平均粒子サイズが、集積回路のダイと上部層との間に形成される接合ライン距離より大きい、条項38~42のいずれか一項に記載の装置。
【0101】
条項44.液体金属液滴が、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、スズ、スズ合金、水銀、水銀合金、又はこれらの組合せを含む、条項38~43のいずれか一項に記載の装置。
【0102】
条項45.液体金属液滴が、少なくとも摂氏-19度~摂氏30度の範囲内の温度において液相である、条項38~44のいずれか一項に記載の装置。
【0103】
条項46.液体金属液滴が、単峰性の多分散性を備える、条項38~45のいずれか一項に記載の装置。
【0104】
条項47.液体金属液滴が、多峰性の多分散性を備える、条項38~45のいずれか一項に記載の装置。
【0105】
条項48.ポリマーが、熱硬化性ポリマーを含む、条項38~47のいずれか一項に記載の装置。
【0106】
条項49.エマルジョンが、硬化前に、250,000cP未満の粘度を有している、条項38~48のいずれか一項に記載の装置。
【0107】
条項50.液体金属液滴が、概して球状である、条項38~49のいずれか一項に記載の装置。
【0108】
条項51.熱界面材料を、第1層上に適用することであって、これにより熱界面材料がアセンブリの第1層と第2層との間になり、熱界面材料が液体金属液滴と未硬化ポリマーとのエマルジョンを含む、適用することと、アセンブリを圧縮することであって、それによって液体金属液滴を変形させることと、熱界面材料を硬化させることであって、それによって硬化したアセンブリを形成することと、を含む、方法。
【0109】
様々な特徴及び特性が、開示される組成物、コーティング、及び方法を含む本発明の組成物、構造、製造、機能、及び/又は操作に関する理解を提供するために、本明細書において説明される。本明細書において説明される本発明の様々な特徴及び特性を、そのような特徴及び特性が本明細書において明示的に組み合わせて説明されているかどうかにかかわらず、任意の好適な様式で組み合わせることができることが理解されよう。本発明者及び本出願人は、特徴及び特性のそのような組合せが、本明細書において説明する本発明の範囲内に含まれることを、明示的に意図している。そのため、特許請求の範囲は、本明細書において明示的に又は本質的に説明している、あるいは別の方法で本明細書によって明示的に又は本質的に支持されている任意の特徴及び特性を、任意の組合せで、記載するように修正することができる。さらに、本出願人は、先行技術に存在している場合がある特徴及び特性を、それらの特徴及び特性が本明細書において明示的に説明されていなくても、肯定的に否認するように特許請求の範囲を補正する権利を留保している。したがって、そのような補正は、明細書又は特許請求の範囲に対して新規事項を追加するものではなく、書面による記載、記載の充足性、及び追加事項の要件に適合するものである。
【0110】
本明細書において記載したあらゆる数値範囲は、記載した範囲内に含まれる同じ数値精度(すなわち、同じ数の指定された桁数を有する)のすべての部分範囲を記述している。例えば、「1.0~10.0」という記載された範囲は、記載された最小値1.0と、記載された最大値10.0との間(および、その値を含む)のすべての部分範囲を記述するものであり、例えば、「2.4~7.6」という範囲が明細書の文中に明示的に記載されていなくても、「2.4~7.6」という部分範囲を記述するものである。したがって、本出願人は、特許請求の範囲を含む本明細書を補正して、本明細書において明示的に記載された範囲内に包含される同一の数値精度の任意の部分範囲を明示的に記載する権利を留保している。すべてのそのような範囲は、本明細書内に本質的に記載されており、任意のそのような部分範囲を明示的に記載するように補正することは、書面による記述、記述の充足性、及び追加事項の要件に適合することになる。
【0111】
また、明示的に指定されていない限り、または文脈によって別途要求されない限り、本明細書において記載されるすべての数値パラメータ(値、範囲、量、パーセンテージ、及び同種のもの、を表すものなど)は、たとえ「約」という言葉が数字の前に明示的に記載されていなくても、「約」という言葉によって前置きされているかのように読まれてもよい。加えて、本明細書において説明する数値パラメータは、報告された有効桁数、数値精度、及び通常の丸め技法を適用すること、を考慮して解釈されるべきである。また、本明細書において説明される数値パラメータが、パラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技法に関する固有の変動特性を必然的に有していることも理解されよう。
【0112】
本発明の広範な範囲を表記する数値範囲及びパラメータは、概算であるにもかかわらず、特定の実施例において表記された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、どのような数値であっても、それぞれの試験測定において見出される標準的なばらつきから必然的にもたらされる一定の誤差を本質的に含有している。
【0113】
本明細書の全体を通して、「様々な実施例」、「いくつかの実施例」、「1つの実施例」、「一実施例」、あるいは同種のもの、への言及は、その実施例に関連して説明した特定の特徴点、構造、又は特性が実施例内に含まれていることを意味する。よって、本明細書を通して所々における、「様々な実施例では」、「いくつかの実施例では」、「1つの実施例では」、「一実施例では」という語句、あるいは同種のもの、の出現は、必ずしもすべてが同じ実施例を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施例において、任意の適切な様式で組み合わせられてもよい。よって、ある実施例に関連して図示または説明した特定の特徴、構造、又は特性は、全体的に又は部分的に、別の実施例又は他の実施例の特徴、構造、又は特性と、制限を有することなく組み合わされてもよい。そのような修正及び変形は、本実施例の範囲内に含まれることが意図されている。
【0114】
本明細書において特定する任意の特許、出版物、又は他の文書は、別段の記載がない限り、参照によりその全体が本明細書に援用されるが、それは、援用された内容が、本明細書において明示的に記載された既存の説明、規定、記述、図示、又は他の開示内容と矛盾しない範囲においてのみである。そのように、そして必要な範囲で、本明細書に記載された明示的な開示は、参照により援用されるあらゆる矛盾した内容に取って代わる。参照により本明細書に援用されているが、本明細書に記載された既存の規定、記述、又は他の開示内容と矛盾したあらゆる内容又はその一部は、援用された内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲でのみ、援用される。本出願人は、参照により援用された任意の主題又はその一部を明示的に記載するために、本明細書を補正する権利を留保している。そのような援用された主題を追加するための本明細書の補正は、書面による記述、記述の充足性、及び追加事項、に関する要件に適合するものである。
【0115】
本発明の特定の実施例が、例示の目的で上記において説明されてきたが、本発明の細部に関する多数の変形を、添付の特許請求の範囲に規定された本発明から逸脱することなく行ってもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0116】
本開示は、本開示の様々な態様及び/又はその潜在的な応用を例示する目的で、様々な特定の態様に関する説明を提供するが、当業者であれば変形及び修正を想起するであろうことは、理解されよう。したがって、本明細書において説明する1つ又は複数の発明は、少なくともそれらが特許請求されているように広範なものであり、本明細書において提供された特定の例示的態様によってより狭義に規定されるものではないことが、理解されるべきである。
【0117】
本明細書において説明する本発明が、発明の概要又は発明を実施するための形態において要約された実施例に限定されないことは、理解されよう。様々な他の態様が、本明細書において説明されて例示されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5