(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】円周分割カムウェーブジェネレータ
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
F16H1/32 B
(21)【出願番号】P 2022045468
(22)【出願日】2022-03-22
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521261142
【氏名又は名称】シー アンド エム ロボティクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チュ、サン ワン
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-121550(JP,U)
【文献】実開昭59-152243(JP,U)
【文献】特開平5-26305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーモニック減速機用ウェーブジェネレータにおいて、
複数の長径側分割カム及びこれと同数の短径側分割カムが円周方向に沿って交互に突き合せられて一つのカムを形成し、
前記長径側分割カムの外周面は小さい半径の一定の円周面を有し、
前記短径側分割カムの外周面は大きい半径の一定の円周面を有し、
前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面とが互いに接する地点では共通接線を有する
ことを特徴とするウェーブジェネレータ。
【請求項2】
前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面にはV溝が円周方向に互いに連結されるように形成されることにより、一つの軌道を成し、
前記軌道に沿って多数のボールが装着される
請求項1に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項3】
前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面上には多数のローラーが転がり接触する
請求項1に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項4】
前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面には、両側に前記ローラーが軌道を離脱しないようにガイドする隔壁が円周方向に互いに連結されるように形成されることにより、一つの軌道を成し、
前記多数のローラーは、前記軌道に沿って装着される
請求項3に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項5】
前記複数の長径側分割カムの円周面と前記複数の短径側分割カムの円周面上には、一つのフレキシブル軸受内輪が結合し、
前記フレキシブル軸受内輪上には、多数のボール又はローラーが装着される
請求項1に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項6】
前記多数のボール又はローラー上には、一つのフレキシブル軸受外輪が結合する
請求項5に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項7】
前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの内側には、中心軸が設置され、
前記複数の長径側分割カム及び短径側分割カムの内周面と前記中心軸の外周面との間には、軸方向に傾いたテーパー溝が円周方向に延設され、
前記テーパー溝に多数のボールが挿入され、
前記中心軸の外周面に結合するロックナットを介して前記多数のボールを前記軸方向に加圧することにより、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの位置を外側に微調整する
請求項1に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項8】
前記長径側分割カムは、
前記長径側分割カムの円周面に隣接して円周方向に延設される長孔を有し、前記軸方向に加圧される多数のボールによって前記長孔の幅が狭くなる弾性変形を介して半径方向に加圧力を発揮する
請求項7に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項9】
前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの内側には、中心軸が設置され、
前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの内周面には、それぞれ軸方向に傾いたテーパー溝が設けられ、
前記テーパー溝にボールが挿入され、
前記中心軸の外周面に結合するロックナットを介して前記ボールを前記軸方向に加圧することにより、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの位置を外側に微調整する
請求項1に記載のウェーブジェネレータ。
【請求項10】
前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムを軸方向に支持するフランジが、前記中心軸の一端部から半径方向に延設され、
前記フランジは、前記ボールによって加圧される前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムによって前記軸方向に弾性変形することにより、過剰な力が前記複数の長径側分割カムと短径分割カムを介して半径方向に伝達されることを防止する
請求項7に記載のウェーブジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に産業用ロボットの関節に適用されるハーモニック減速機の一構成要素であるウェーブジェネレータに係り、より詳細には、バックラッシュが発生したり摩擦トルクが低下したりする現象を防止することができるように改善されたウェーブジェネレータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業用ロボットに適用されるハーモニック減速機10は、サーボモーターの高速回転を1:30~1:320の高い減速比で出力軸に伝達するが、減速の核心は、
図1に示すように、楕円形ウェーブジェネレータ11が回転するにつれて、これを取り囲んだフレックススプライン12が外側のサーキュラスプライン13に噛み合う地点が円周方向に沿って移動しながら、その歯数差だけ逆方向に回転するようにすることにある。
【0003】
ところが、このような原理のハーモニック減速機によれば、歯型の設計及び加工誤差、軸受などの部品の摩耗による歯型間空間のためバックラッシュが発生するという問題点があった。
【0004】
特に、ウェーブジェネレータ11が楕円形のカム形状であるため、外形の精密加工がかなり困難であるので、量産が難しく、生産コストも高いという問題点があった。また、ウェーブジェネレータ11のカム形状に対する精密測定にもかなり高価の装備が必要であるという問題点があった。さらに、フレックススプライン12が弾性変形した状態で前記ウェーブジェネレータ11に組み立てられなければならないので、熟練技術が必要であり、生産性が低いという問題点があった。
【0005】
一方、かかる問題点を解決するために、出願人は、特許文献1:韓国特許第10-2303050号(公告日:2021年9月16日)、特許文献2:韓国特許第10-2345641号(公告日:2021年12月31日)及び特許文献3:韓国特許公開第10-2021-0155587号(公開日:2021年12月23日)に開示されている発明を提案したことがある。
【0006】
その核心は、
図2に示すように、フレックススプライン22とサーキュラスプライン23との結合を面対面摩擦構造に転換することにより、歯型の設計及びこれによるバックラッシュ問題を解決することにある。
【0007】
しかし、この場合でも、カム型ウェーブジェネレータ21に対する加工の困難さは、依然として存在した。特に、加工誤差、摩擦面の摩耗、軸受の摩耗などにより、ウェーブジェネレータ21による垂直面圧Vがフレックススプライン22側に十分伝達されない場合、サーキュラスプライン23との摩擦力fが低下して十分な摩擦トルクが発生しないので、減速機としての性能を保障することができなくなるという指摘が提起されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許第10-2303050号(公告日:2021年9月16日)
【文献】韓国特許第10-2345641号(公告日:2021年12月31日)
【文献】韓国特許公開第10-2021-0155587号(公開日:2021年12月23日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、形状加工が容易となるように改善されたウェーブジェネレータを提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、歯型減速機の場合にバックラッシュが発生しないようにし、無歯型減速機の場合には伝達される垂直面圧が低下しないようにすることができるウェーブジェネレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、ハーモニック減速機用ウェーブジェネレータにおいて、複数の長径側分割カム及びこれと同数の短径側分割カムが円周方向に沿って交互に突き合せられて一つのカムを形成し、前記長径側分割カムの外周面は小さい半径の一定の円周面を有し、前記短径側分割カムの外周面は大きい半径の一定の円周面を有し、前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面とが互いに接する地点では共通接線を有することを特徴とする、ウェーブジェネレータを提供する。
【0012】
ここで、前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面にはV溝が円周方向に互いに連結されるように形成されることにより、一つの軌道を成し、前記軌道に沿って多数のボールが装着されてもよい。
又は、前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面上には多数のローラーが転がり接触してもよい。
【0013】
このとき、前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面には、両側に前記ローラーが軌道を離脱しないようにガイドする隔壁が円周方向に互いに連結されるように形成されることにより、一つの軌道を成し、前記多数のローラーは、前記軌道に沿って装着されてもよい。
【0014】
又は、前記複数の長径側分割カムの円周面と前記複数の短径側分割カムの円周面上には、一つのフレキシブル軸受内輪が結合し、前記フレキシブル軸受内輪上には、多数のボール又はローラーが装着されてもよい。
このとき、前記多数のボール又はローラー上には、一つのフレキシブル軸受外輪が結合してもよい。
【0015】
一方、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの内側には、中心軸が設置され、前記複数の長径側分割カム及び短径側分割カムの内周面と前記中心軸の外周面との間には、軸方向に傾いたテーパー溝が円周方向に延設され、前記テーパー溝に多数のボールが挿入され、前記中心軸の外周面に結合するロックナットを介して前記多数のボールを前記軸方向に加圧することにより、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの位置を外側に微調整することもできる。
【0016】
このとき、前記長径側分割カムは、前記長径側分割カムの円周面に隣接して円周方向に延設される長孔を有し、前記軸方向に加圧される多数のボールによって前記長孔の幅が狭くなる弾性変形を介して半径方向に加圧力を発揮することもできる。
【0017】
又は、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの内側には、中心軸が設置され、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの内周面には、それぞれ軸方向に傾いたテーパー溝が設けられ、前記テーパー溝にボールが挿入され、前記中心軸の外周面に結合するロックナットを介して前記ボールを前記軸方向に加圧することにより、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムの位置を外側に微調整することもできる。
【0018】
このとき、前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムを軸方向に支持するフランジが、前記中心軸の一端部から半径方向に延設され、前記フランジは、前記ボールによって加圧される前記複数の長径側分割カムと短径側分割カムによって前記軸方向に弾性変形することにより、過剰な力が前記複数の長径側分割カムと短径分割カムを介して半径方向に伝達されることを防止することもできる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係るウェーブジェネレータによれば、長径側分割カムと短径側分割カムの各外周面がいずれも一定の半径の円周面を有するので、単純回転による旋盤加工又は研削加工によって容易かつ迅速かつ正確に分割カムの外周面を精密加工することができるという利点がある。
【0020】
また、分割カムと中心軸との間のテーパー溝にボールを挿入してロックナットで加圧する構成から、前記分割カムを外側に微調整することにより、外側に結合するフレックススプラインとサーキュラスプラインとの間を密着させることができるので、歯型結合の場合にはバックラッシュが発生しないようにし、無歯型結合の場合には伝達される垂直面圧の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術による歯型ハーモニック減速機の正面図及び詳細図である。
【
図2】従来技術による無歯型ハーモニック減速機の正面図及び詳細図である。
【
図3】本発明の実施形態によるウェーブジェネレータの正面図である。
【
図4】
図3のウェーブジェネレータの変形例を示す正面図である。
【
図5】
図3のウェーブジェネレータの左側面図である。
【
図6】
図5のウェーブジェネレータの変形例を示す左側面図である。
【
図7】
図5のウェーブジェネレータの変形例を示す左側面図である。
【
図8】
図5のウェーブジェネレータの変形例を示す左側面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態によるウェーブジェネレータの正面図である。
【
図13】
図12の長径側分割カムの弾性部を説明するための正面図である。
【
図14】
図12のウェーブジェネレータの切断された様子を示す斜視図である。
【
図15】
図3のウェーブジェネレータが適用された無歯型ハーモニック減速機の正面図及び断面図である。
【
図16】
図12のウェーブジェネレータが適用された歯型ハーモニック減速機の正面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態によるウェーブジェネレータ100は、
図3に示すように、2つの長径側分割カム111と2つの短径側分割カム112が円周方向に交互に突き合せられて一つのカム110を形成する。
【0023】
長径側分割カム111と短径側分割カム112はそれぞれ一定の半径の円周面111a、112a、すなわち正円の円周面を有するので、長径側分割カム111は小さい半径r1の円周面111aを有し、短径側分割カム112は大きい半径r2の円周面112aを有する。
【0024】
このとき、長径側分割カム111と短径側分割カム112は、互いに異なる中心O1、O2を有し、各円周面111aと円周面112aとが接する地点Pで互いに共通接線Lを持つようにして円周面111a、112a間を滑らかに連結させる。こうすることにより、4つの分割カム111、112からなる一つのカムの外周面を実現することができる。
【0025】
このように分割カムの組み合わせを用いたカムは、
図4に示すように、6つの分割カム、すなわち3つの長径側分割カム111′と3つの短径側分割カム112′との組み合わせによっても実現することができ、同じ原理で8つの分割カムなどから適用することもできる。
【0026】
また、全ての分割カムの組み合わせにおいて、長径側分割カム111、111′の円周面111a、111a′が外側のフレックススプライン(
図1の12参照)又はサーキュラスプライン13に対する作用面となる。
【0027】
長径側分割カム111と短径側分割カム112の円周面111a、112aに沿って多数のボール120が転がり接触する。このために、前記円周面111a、112aには、
図5に示すように、V溝111b、112bが円周方向に連結されるように形成されることにより、ボール120がその軌道に沿って装着されるようにすることができる。
【0028】
又は、
図6に示すように、円周面111a、112a上にフレキシブル軸受内輪130が結合してボール120がその上に装着される構成を取ってもよく、
図7に示すように、フレキシブル軸受外輪140がさらに結合する構成を取ってもよい。一方、
図6及び
図7において、ボール120とフレキシブル軸受内外輪130、140は、ローラー(図示せず)及びそれに合ったフレキシブル軸受内外輪(図示せず)に置き換えられることができる。
【0029】
他の変形例として、
図8に示すように、長径側分割カム111と短径側分割カム112の円周面111a、112a上に多数のローラー150が転がり接触する構成を取ってもよい。このために、前記円周面111a、112aには、ローラー150の円滑な軌道循環のために一定の幅の隔壁111cが円周方向に連結されるように形成され、前記ローラー150が円周面111a、112a上の軌道を離脱せずに装着されるようにすることもできる。
【0030】
一方、ウェーブジェネレータ100の加工誤差、減速機への設置誤差、使用による摩耗発生などを考慮して、分割カム111、112とその中心軸160との間には
図9に示すようにボール170が介在することにより、分割カム111、112の半径方向の位置を微調整することができるように構成される。
【0031】
具体的には、中心軸160の外周面が傾いたテーパー面161をなすことにより、分割カム111、112の内周面111dとの間にテーパー溝Hが設けられるようにして、前記ボール170が挿入されるようにする。そして、中心軸160の外周面にはロックナット180が螺合されて座金181を介してボール170をテーパー溝Hの内側に加圧するようにする。これにより、テーパー溝Hの内側に挿入されようとするボール170によって、分割カム111、112が外側、すなわち半径方向に位置調整されることができる。
【0032】
上述したテーパー溝Hは、
図10に示すように、中心軸160′の外周面を一定の半径の円周面に形成し、分割カム111、112の内周面111eがテーパー面をなすようにことにより形成されることもできる。
【0033】
又は、
図11に示すように、分割カム111、112の内周面に軸方向に傾いたテーパー溝111f、112fが形成されて各テーパー溝111f、112fにボール170′が挿入されるようにすることにより、ロックナット(
図10の180′を参照)で加圧する構成を取ってもよい。
【0034】
一方、
図3において、分割カム111、112の円周面111a、112a上で循環回転するボール120又はローラー及びその軸受の摩耗により、及び/又はウェーブジェネレータ100の外側に結合するフレックススプライン(
図1の12を参照)又はサーキュラースプライン(13を参照)の摩耗により、垂直面圧が低下したりバックラッシュが発生したりする場合に、これを自動的に補償することができる構成として、
図12~
図14に示すように、長径側分割カム111の円周面111aに隣接した内側の地点に、円周方向に延設される長孔111gを備えることができる。
【0035】
図14において、ロックナット180により加圧されるボール170によって外側に力を受ける分割カム111は、長孔111gの幅が狭くなる弾性変形を介して円周面111a上のボール120に加圧力を発揮する。これにより、ボール120が外側のフレックススプライン(
図1の12を参照)とサーキュラスプライン13にさらに密着することにより、伝達される垂直面圧の低下やバックラッシュの発生を防止することができる。
【0036】
このとき、分割カム111、112を支持するために中心軸160の一端部から半径方向に延設されるフランジ162には、その基端部にノッチ162aが形成されることにより、ロックナット180によってボール170が加圧される力が過剰な場合にフランジ162が軸方向(
図14では、左方向)に弾性変形するようにして、過剰な力がそのまま分割カム111、112に伝達されることを防止することができる。
【0037】
本実施形態では、フランジ162の軸方向弾性変形のためにノッチ162aが形成される構成を取ったが、本発明は、このような構成に限定されず、フランジ162の厚さを薄くして弾性変形がより容易に行われるようにする方法など、様々な他の方案を適用して前記構成を代替することができる。
そして、このようにフランジ160が弾性変形する構成は、分割カム111に長孔111gが設けられていない、
図10に示すような構造にも適用可能である。
【0038】
図15は、
図3及び
図10のウェーブジェネレータ100が適用された無歯型ハーモニック減速機200であって、分割カム111、112の外側のボール120による垂直面圧でフレックススプライン210がサーキュラスプライン220の内周面上で転がり運動しながらその直径差による逆回転を行うことにより、駆動軸(すなわち、中心軸160)に比べて大きい減速比で被動軸230を回転させる。
【0039】
図16は、
図12及び
図14のウェーブジェネレータが適用された歯型ハーモニック減速機300であって、やはり分割カム111、112の外側のボール120の加圧によってフレックススプライン310がサーキュラスプライン320に密着するように噛み合った状態で、その噛み合い地点が円周方向に沿って移動しながら歯数差だけ逆回転することにより、大きい減速比で被動軸330を回転させる。
【0040】
一方、上述したウェーブジェネレータは、本発明の理解を助けるための一実施形態に過ぎないので、後述する請求の範囲によって定義される本発明の権利範囲乃至技術的範囲は、上述したところに限定されない。
【符号の説明】
【0041】
100 ウェーブジェネレータ
110 カム
111 長径側分割カム
111a 円周面
111b V溝
111c 隔壁
111d 内周面
111e 内周面(テーパー面)
111f テーパー溝
111g 長孔
112 短径側分割カム
112a 円周面
112b V溝
112f テーパー溝
120 ボール
130 フレキシブル軸受内輪
140 フレキシブル軸受外輪
150 ローラー
160 中心軸
161 テーパー面
162 フランジ
162a ノッチ
170 ボール
180 ロックナット
【要約】
【課題】バックラッシュが発生したり摩擦トルクが低下したりする現象を防止することができるように改善されたウェーブジェネレータを提供すること。
【解決手段】ハーモニック減速機用ウェーブジェネレータにおいて、複数の長径側分割カム及びこれと同数の短径側分割カムが円周方向に沿って交互に突き合せられて一つのカムを形成し、前記長径側分割カムの外周面は小さい半径の一定の円周面を有し、前記短径側分割カムの外周面は大きい半径の一定の円周面を有し、前記長径側分割カムの円周面と前記短径側分割カムの円周面とが互いに接する地点では共通接線を有する。これにより、ウェーブジェネレータのカム面に対する形状加工が容易である。
【選択図】
図3