IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋システム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】バッテリーのリースシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20230613BHJP
【FI】
G06Q30/0645
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022551848
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2021032824
(87)【国際公開番号】W WO2022065024
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020158723
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595098011
【氏名又は名称】東洋システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄司 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】猪狩 謙二
(72)【発明者】
【氏名】下山田 美咲
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-084199(JP,A)
【文献】特開2020-038522(JP,A)
【文献】特開2011-091026(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131825(WO,A1)
【文献】特開2006-197765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力受付部と、劣化推定部と、リース料決定部と、記憶部と、バッテリー情報取得部と、劣化状態判定部と、リース料再決定部と、使用履歴記録部と、使用履歴取得部と、劣化原因推定部と、を備え、
前記入力受付部が、リースの対象となるバッテリーの予定リース期間を含む、該予定リース期間の満了時の該バッテリーの劣化状態の推定に必要な推定基礎情報と、リースの対象の該予定リース期間における予定放電量を示す情報からなる予定使用方法情報と、の入力を受け付け、
前記劣化推定部が、前記推定基礎情報に基づいて、前記バッテリーの前記予定リース期間の満了時の推定劣化状態を推定し、
前記リース料決定部が、前記推定劣化状態に基づいて、該バッテリーのリース料を決定し、
前記入力受付部が、前記バッテリーのリースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けて該入力された情報を前記記憶部に記憶するとともに、前記推定劣化状態及び前記予定使用方法情報を前記記憶部に記憶し、
前記使用履歴記録部が、前記バッテリーの前記リースが行われている間に、リース中の該バッテリーの使用履歴情報を記録し、
前記使用履歴取得部が、前記使用履歴記録部が記録した前記使用履歴情報を取得し、
前記バッテリー情報取得部が、リース中の前記バッテリーの劣化状態の判定に必要なバッテリー情報を取得し、
前記劣化状態判定部が、前記バッテリー情報に基づいて、リース中の前記バッテリーの劣化状態を判定し、
前記劣化原因推定部が、前記劣化状態判定部により判定された前記バッテリーの劣化状態が前記推定劣化状態に比して異常であるか否かを判定し、該劣化状態が異常であると判定した場合に、前記予定使用方法情報と、前記使用履歴情報とに基づいて、異常な劣化状態となった原因を推定し、
前記リース料再決定部は、前記劣化原因推定部により推定された前記原因が前記バッテリーの使用者が該バッテリーを前記予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものである場合に、前記使用履歴情報と、前記劣化状態判定部により判定された前記バッテリーの劣化状態と、に基づいて前記リース料を再決定する
ことを特徴とするバッテリーのリースシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリーのリースシステムにおいて、
前記劣化原因推定部により推定された前記原因が前記バッテリーの使用者が該バッテリーを前記予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものでない場合に、該バッテリーの交換を推奨する情報を生成する交換推奨部を備える
ことを特徴とするバッテリーのリースシステム。
【請求項3】
入力受付部と、劣化推定部と、リース料決定部と、記憶部と、バッテリー情報取得部と、劣化状態判定部と、リユース用途決定部と、使用履歴記録部と、使用履歴取得部と、劣化傾向取得部と、を備え、
前記入力受付部が、リースの対象となるバッテリーの予定リース期間を含む、該予定リース期間の満了時の該バッテリーの劣化状態の推定に必要な推定基礎情報の入力を受け付け、
前記劣化推定部が、前記推定基礎情報に基づいて、前記バッテリーの前記予定リース期間の満了時の推定劣化状態を推定し、
前記リース料決定部が、前記推定劣化状態に基づいて、該バッテリーのリース料を決定し、
前記入力受付部が、前記バッテリーのリースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けて該入力された情報を前記記憶部に記憶し、
前記使用履歴記録部が、前記バッテリーの前記リースが行われている間に、リース中の該バッテリーの使用履歴情報を記録し、
前記バッテリー情報取得部が、前記バッテリーの前記リースが終了して返却された該バッテリーの劣化状態の判定に必要なバッテリー情報を取得し、
前記劣化状態判定部が、前記バッテリー情報に基づいて、返却された前記バッテリーの劣化状態を判定し、
前記使用履歴取得部が、前記バッテリーの前記リースが終了して返却された該バッテリーにかかる、前記使用履歴情報を取得し、
前記劣化傾向取得部が、前記使用履歴情報に基づいて、該バッテリーの劣化傾向を取得し、
前記リユース用途決定部が、前記返却された前記バッテリーの劣化状態に基づいて、該バッテリーの次の用途であるリユース用途を決定するとともに、前記リース料決定部は該バッテリーの該リユース用途及び該劣化傾向に基づいて、該バッテリーの該リユース用途でのリースにおけるリース料を決定し、又は、
前記リユース用途決定部が、前記返却された前記バッテリーの前記劣化状態及び前記劣化傾向に基づいて該バッテリーの前記リユース用途を決定するとともに、前記リース料決定部が、該リユース用途に基づいて、該バッテリーの該リユース用途での前記リース料を決定する
ことを特徴とするバッテリーのリースシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリーのリースシステムにおいて、
前記劣化傾向取得部は、前記バッテリーの使用履歴情報を入力とし、該バッテリーの劣化傾向を出力とする劣化傾向判定モデルを有し、
前記劣化傾向取得部が、前記バッテリーの使用履歴情報及び該使用履歴情報が示す使用を経た後の該バッテリーの劣化状態を教師データとして学習して前記劣化傾向判定モデルを定期的に又は不定期的に更新し、
前記劣化傾向取得部は、前記使用履歴情報と前記劣化傾向判定モデルとを用いて該バッテリーの劣化傾向を取得する
ことを特徴とするバッテリーのリースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーのリースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリーのリースシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-286006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムによれば、ユーザーは、電気自動車は購入し、駆動用のバッテリーは貸し出しを受けて使用することができる。
【0005】
ところで、電気自動車及びハイブリッド車はガソリン車に比して環境にやさしい移動体として、普及が望まれているところであるが、駆動用のバッテリーは高額であり、電気自動車及びハイブリッド車はガソリン車に比して一般的に高額であるため、自動車の購入を検討する人にとって電気自動車及びハイブリッド車を購入する際の障壁となっている。
【0006】
また、電動バイク、スローモビリティー(電動車椅子、歩行弱者向けのモビリティー)などのその他の移動体、あるいは家庭用、事業所用の蓄電池システム(いわゆるESS)などに関しても同様の課題がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、電気自動車の購入時の負担を軽減することができるにとどまり、バッテリーの貸し出しを受けて使用している間の費用が合理的な額であることを自動車の購入を検討する人に示すことまでは考慮されていないので、自動車の購入を検討する人が電気自動車を購入する際の障壁を取り除くことができる効果は不十分である。
【0008】
そこで本発明は、バッテリーの使用時の使用者の負担を合理化し、電気自動車、電動バイク、スローモビリティー、蓄電池など(以下、電気自動車等という)の購入を効果的に促すことができるバッテリーのリースシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバッテリーのリースシステムは、
入力受付部と、劣化推定部と、リース料決定部と、記憶部と、バッテリー情報取得部と、劣化状態判定部と、リース料再決定部と、使用履歴記録部と、使用履歴取得部と、劣化原因推定部と、を備え、
前記入力受付部が、リースの対象となるバッテリーの予定リース期間を含む、該予定リース期間の満了時の該バッテリーの劣化状態の推定に必要な推定基礎情報と、リースの対象の該予定リース期間における予定放電量を示す情報からなる予定使用方法情報と、の入力を受け付け、
前記劣化推定部が、前記推定基礎情報に基づいて、前記バッテリーの前記予定リース期間の満了時の推定劣化状態を推定し、
前記リース料決定部が、前記推定劣化状態に基づいて、該バッテリーのリース料を決定し、
前記入力受付部が、前記バッテリーのリースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けて該入力された情報を前記記憶部に記憶するとともに、前記推定劣化状態及び前記予定使用方法情報を前記記憶部に記憶し、
前記使用履歴記録部が、前記バッテリーの前記リースが行われている間に、リース中の該バッテリーの使用履歴情報を記録し、
前記使用履歴取得部が、前記使用履歴記録部が記録した前記使用履歴情報を取得し、
前記バッテリー情報取得部が、リース中の前記バッテリーの劣化状態の判定に必要なバッテリー情報を取得し、
前記劣化状態判定部が、前記バッテリー情報に基づいて、リース中の前記バッテリーの劣化状態を判定し、
前記劣化原因推定部が、前記劣化状態判定部により判定された前記バッテリーの劣化状態が前記推定劣化状態に比して異常であるか否かを判定し、該劣化状態が異常であると判定した場合に、前記予定使用方法情報と、前記使用履歴情報とに基づいて、異常な劣化状態となった原因を推定し、
前記リース料再決定部は、前記劣化原因推定部により推定された前記原因が前記バッテリーの使用者が該バッテリーを前記予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものである場合に、前記使用履歴情報と、前記劣化状態判定部により判定された前記バッテリーの劣化状態と、に基づいて前記リース料を再決定する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、劣化推定部により、バッテリーの予定リース期間の満了時の推定劣化状態が推定されて、リース料決定部により、推定劣化状態に基づいてバッテリーのリース料が決定される。
【0011】
これにより、バッテリーのリース(第1リース)を受ける使用者は、リース期間中にバッテリーが劣化すると推定される分に応じた合理的なリース料を知ることができる。
【0012】
そのため、電気自動車等の購入を検討する人は合理的なリース料を知ったうえで、電気自動車等の購入を決断することができる。
【0034】
バッテリーの劣化状態の進み具合が異常であり、その原因が使用者の使用方法にあるならば、応分の負担を使用者に負わせることが合理的である。
【0035】
本発明によれば、入力受付部により予定放電量を示す情報からなる予定使用方法情報の入力が受け付けられて、リース開始時に推定劣化状態とともに記憶部に記憶される。
【0036】
また、使用履歴記録部によりリース中の該バッテリーの使用履歴情報が記録される。
【0037】
その後、劣化原因推定部によりバッテリーの劣化状態が推定劣化状態に比して異常であると判定された場合には、異常な劣化状態となった原因が推定される。
【0038】
そして、異常な劣化状態となった原因がバッテリーの使用者がバッテリーを予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものである場合には、リース料再決定部により、使用履歴情報とバッテリーの劣化状態とに基づいてリース料が再決定される。
【0039】
これにより、バッテリーの劣化状態の進み具合が異常であり、その原因が使用者の使用方法にある場合に、応分の負担を使用者に負わせることができるので合理的である。
【0040】
また、そのことを知っているバッテリーの使用者は、予定使用方法を逸脱しない使用を心掛けるものと考えられ、推定されたとおりの劣化状態のバッテリーが返却される確実性も高まることが期待できる。
【0041】
このように本発明によれば、異常な劣化状態となった原因も考慮してバッテリーの使用時の使用者の負担を合理化し、効果的に電気自動車等の購入を促すことができる。
【0042】
本発明のバッテリーのリースシステムにおいて、
前記劣化原因推定部により推定された前記原因が前記バッテリーの使用者が該バッテリーを前記予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものでない場合に、該バッテリーの交換を推奨する情報を生成する交換推奨部を備える
ことが好ましい。
【0043】
バッテリーの劣化状態の進み具合が異常であり、その原因が使用者の使用方法にないならば、バッテリーが不良品であることが考えられるので、バッテリーを交換するべきである。
【0044】
本発明によれば、異常な劣化状態となった原因がバッテリーの使用者がバッテリーを予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものでない場合には、交換推奨部により、バッテリーの交換を推奨する情報が生成される。
【0045】
これにより、バッテリーの劣化状態の進み具合が異常であり、その原因が使用者の使用方法にない場合に、タイムリーにバッテリーを交換することができるのでバッテリーの使用者に安心感を与えることができる。
【0046】
このように本発明によれば、バッテリーの使用者に安心感を与えながら、バッテリーの使用時の使用者の負担を合理化し、効果的に電気自動車等の購入を促すことができる。
【0047】
あるいは本発明のバッテリーのリースシステムは、
入力受付部と、劣化推定部と、リース料決定部と、記憶部と、バッテリー情報取得部と、劣化状態判定部と、リユース用途決定部と、使用履歴記録部と、使用履歴取得部と、劣化傾向取得部と、を備え、
前記入力受付部が、リースの対象となるバッテリーの予定リース期間を含む、該予定リース期間の満了時の該バッテリーの劣化状態の推定に必要な推定基礎情報の入力を受け付け、
前記劣化推定部が、前記推定基礎情報に基づいて、前記バッテリーの前記予定リース期間の満了時の推定劣化状態を推定し、
前記リース料決定部が、前記推定劣化状態に基づいて、該バッテリーのリース料を決定し、
前記入力受付部が、前記バッテリーのリースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けて該入力された情報を前記記憶部に記憶し、
前記使用履歴記録部が、前記バッテリーの前記リースが行われている間に、リース中の該バッテリーの使用履歴情報を記録し、
前記バッテリー情報取得部が、前記バッテリーの前記リースが終了して返却された該バッテリーの劣化状態の判定に必要なバッテリー情報を取得し、
前記劣化状態判定部が、前記バッテリー情報に基づいて、返却された前記バッテリーの劣化状態を判定し、
前記使用履歴取得部が、前記バッテリーの前記リースが終了して返却された該バッテリーにかかる、前記使用履歴情報を取得し、
前記劣化傾向取得部が、前記使用履歴情報に基づいて、該バッテリーの劣化傾向を取得し、
前記リユース用途決定部が、前記返却された前記バッテリーの劣化状態に基づいて、該バッテリーの次の用途であるリユース用途を決定するとともに、前記リース料決定部は該バッテリーの該リユース用途及び該劣化傾向に基づいて、該バッテリーの該リユース用途でのリースにおけるリース料を決定し、又は、
前記リユース用途決定部が、前記返却された前記バッテリーの前記劣化状態及び前記劣化傾向に基づいて該バッテリーの前記リユース用途を決定するとともに、前記リース料決定部が、該リユース用途に基づいて、該バッテリーの該リユース用途での前記リース料を決定する
ことを特徴とする。
【0048】
リユースの用途によってバッテリーのリース料の価格帯は異なるので、リユース用途のリース料を決定する際には、バッテリーの劣化状態だけでなく、リユースの用途に応じたリース料を決定する必要がある。リユース用途のリース料金の価格帯から外れたリース料を決定してしまうと、結果的に当該バッテリーはリユースされずに残ってしまうためである。
【0049】
本発明によれば、劣化状態判定部により、リースが終了して返却されたバッテリーの劣化状態が判定されて、劣化状態判定部によりリースが終了して返却されたバッテリーの劣化状態が判定されて、リユース用途決定部により劣化状態に基づいてバッテリーのリユース用途が決定されて、リース料決定部によりリユース用途に基づいてバッテリーのリースにおけるリース料が決定される。その後、リユース用途でのリースが行われる。
【0050】
これにより、バッテリーのリース事業者は、電気自動車等のバッテリーとしてリース(第1リース)した際の収益だけでなく、リユース用途でのリース(第2リース)を通じた収益からも、バッテリーの調達費用を回収することができる。
【0051】
そのため、電気自動車等のバッテリーとしてのみリースする場合に比して、第1リースのリース料を安く設定できる可能性が高まる。すなわち、使用者にとっての負担軽減と、リース事業者の収益確保とを両立することができる確実性が高まる。また、リユースの用途に基づいてリユース用途でのリースのリース料が決定されるので、リユース用途のリース料金の価格帯から外れたリース料を決定してしまい、リユースされずに残ってしまう可能性も軽減できる。結果として、リユース用途でのリースを通じた収益を得られる可能性が高まる。
【0052】
このように本発明によれば、バッテリーの使用時の使用者の負担を合理化できる確実性を高めて、効果的に電気自動車等の購入を促すことができる。
【0053】
本発明のバッテリーのリースシステムにおいて、
劣化傾向取得部は、前記バッテリーの使用履歴情報を入力とし、該バッテリーの劣化傾向を出力とする劣化傾向判定モデルを有し、
前記劣化傾向取得部が、前記バッテリーの使用履歴情報及び該使用履歴情報が示す使用を経た後の該バッテリーの劣化状態を教師データとして学習して前記劣化傾向判定モデルを定期的に又は不定期的に更新し、
前記劣化傾向取得部は、前記使用履歴情報と前記劣化傾向判定モデルとを用いて該バッテリーの劣化傾向を取得する
ことが好ましい。
【0054】
本発明によれば、劣化傾向取得部はバッテリーの使用履歴情報を入力とし、バッテリーの劣化傾向を出力とする劣化傾向判定モデルを有しており、劣化傾向取得部によりバッテリーの使用履歴情報及び使用履歴情報が示す使用を経た後のバッテリーの劣化状態が教師データとして学習されて劣化傾向判定モデルが定期的に又は不定期的に更新される。
【0055】
そして、劣化傾向取得部により使用履歴情報と劣化傾向判定モデルとを用いてバッテリーの劣化傾向が取得される。
【0056】
これにより、適宜更新されたバッテリーの劣化傾向の判定モデルを用いてバッテリーの劣化傾向が取得されるので、劣化傾向の判定精度が高まる。結果として、リユース用途でのリース(第2リース)を通じた収益を得られる可能性が高まる。
【0057】
このように本発明によれば、バッテリーの使用時の使用者の負担を合理化できる確実性を高めて、効果的に電気自動車等の購入を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】本発明のバッテリーのリースシステムの全体像を示すブロック図。
図2A】本発明のバッテリーのリースシステムが処理に用いるデータの内容を示す図。
図2B】本発明のバッテリーのリースシステムが処理に用いるデータの内容を示す図。
図3A】本発明のバッテリーのリースシステムの処理内容を示す表。
図3B】本発明のバッテリーのリースシステムの処理内容を示す表。
図4A】本発明のバッテリーのリースシステムの処理内容を示すフローチャート。
図4B】本発明のバッテリーのリースシステムの処理内容を示すフローチャート。
図4C】本発明のバッテリーのリースシステムの処理内容を示すフローチャート。
図5】本発明のバッテリーのリースシステムの処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0069】
<バッテリーのリースシステムの構成>
まず図1を用いて、本実施形態のバッテリーのリースシステムの構成について説明する。なお同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0070】
本実施形態のバッテリーのリースシステムは、例えば電気自動車又はハイブリッド車の駆動用バッテリー710(あるいは電気自動車又はハイブリッド車の駆動用バッテリー710であったリユースバッテリー)のリースシステムであり、リースシステムのサーバー10と、必要に応じてリース管理装置30と、カーディーラー管理装置50を含んで構成される。サーバー10、リース管理装置30、カーディーラー管理装置50は、いずれも1台であっても複数台であってもよい。
【0071】
サーバー10とリース管理装置30との間及びサーバー10とカーディーラー管理装置50との間は通信ネットワーク90を介して相互に通信可能に接続されている。
【0072】
サーバー10は、サーバー制御部110と、サーバー記憶部150と、を含んで構成される例えばコンピュータである。
【0073】
サーバー制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されている。サーバー制御部110は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより例えば入力受付部111と、劣化推定部113と、第1リース料決定部115と、バッテリー情報取得部117と、劣化状態判定部119と、第1リース料再決定部121として、あるいはさらにリユース用途決定部123と、第2リース料決定部125と、使用履歴取得部127と、劣化原因推定部129と、として機能する。
【0074】
入力受付部111は、リースの対象となる前記バッテリーの予定リース期間を含む、予定リース期間の満了時のバッテリーの劣化状態の推定に必要な推定基礎情報の入力を受け付ける。また入力受付部111は、バッテリーの第1リースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けてサーバー記憶部150に記憶する。
【0075】
劣化推定部113は、推定基礎情報に基づいて、バッテリーの予定リース期間の満了時の推定劣化状態を推定する。
【0076】
第1リース料決定部115は、推定劣化状態に基づいて、バッテリーの第1リース料を決定する。
【0077】
バッテリー情報取得部117は、バッテリーの第1リースが終了して返却されたバッテリーの劣化状態の判定に必要なバッテリー情報を取得する。
【0078】
劣化状態判定部119は、バッテリー情報に基づいて、返却されたバッテリーの劣化状態を判定する。
【0079】
第1リース料再決定部121は、推定劣化状態と返却されたバッテリーの劣化状態とに基づいて前記第1リース料を再決定する。
【0080】
リユース用途決定部123は、返却された前記バッテリーの劣化状態に基づいて、バッテリーの次の用途であるリユース用途を決定する。
【0081】
第2リース料決定部125は、リユース用途に基づいてバッテリーの第2リースにおける第2リース料を決定する。
【0082】
使用履歴取得部127は、例えば自動車70の使用履歴記録部730が記録した使用履歴情報を取得する。
【0083】
劣化原因推定部129は、劣化状態判定部119により判定されたバッテリーの劣化状態が推定劣化状態に比して異常であるか否かを判定し、劣化状態が異常であると判定した場合に、予定使用方法情報と、使用履歴情報とに基づいて、異常な劣化状態となった原因を推定する。
【0084】
交換推奨部131は、劣化原因推定部129により推定された原因がバッテリーの使用者がバッテリーを予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものでない場合に、バッテリーの交換を推奨する情報を生成する。
【0085】
劣化傾向取得部133は、使用履歴情報に基づいて、バッテリーの劣化傾向を取得する。
【0086】
サーバー記憶部150は、記憶部 は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されている。サーバー記憶部150は、例えばバッテリー管理DB(データベース)151、モデルDB153、用途DB155の他、リースシステムによる処理に必要な情報、及び処理結果を記憶しており、本実施形態における記憶部として機能する。
【0087】
バッテリー管理DB151は、バッテリーの管理のための情報を格納するデータベースであり、例えば図2Aに示すように、リースの対象となるバッテリーを特定するバッテリーID、予定リース期間、推定劣化状態、バッテリー価値、予定使用方法情報、バッテリー型番(メーカー名、製品名など)、第1リース料のほか、リース先を特定するリース先ID、第1リースが開始されたことを示す第1リースフラグ、第1リース期間中に支払いを受けた第1リース料の総合計である総受領済額、第1リース終了フラグ、現在劣化状態、返却時劣化状態、劣化傾向、リユース用途、第2リース料、使用履歴情報などの、リースシステムによる処理に必要な情報が格納される。
【0088】
モデルDB153は、バッテリーの使用履歴情報を入力とし、バッテリーの劣化傾向を出力とする劣化傾向判定モデルを例えばバッテリーの型番ごとに格納している。なお劣化傾向判定モデルは、劣化傾向取得部133により、バッテリーの使用履歴情報及び使用履歴情報が示す使用を経た後のバッテリーの劣化状態が教師データとして学習されて、定期的に又は不定期的に更新される。
【0089】
用途DB155は、例えば図2Bに示すように、用途を特定する用途ID、用途名、当該用途で用いることができるバッテリーの劣化状態、当該用途でリユースすることにより得られると推定される推定リユース利益、再リユース用途がある場合の再リユース用途の用途IDのほか、リースシステムの処理に必要な情報が格納される。
【0090】
リース管理装置30は、リース管理装置制御部310と、出力部330とを含んで構成される、例えばリース事業者の担当者が用いるパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。
【0091】
リース管理装置制御部310は、CPU等の演算処理装置、メモリ、及びI/Oデバイスなどにより構成されている。リース管理装置制御部310は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより例えば出力制御部311として機能する。
【0092】
出力制御部311は、バッテリーの劣化状態に基づいて、第1リース中又は第2リース中のバッテリーの劣化状態を示す情報を生成してリース管理装置30の例えば出力部330に出力する。
【0093】
出力部330は、例えばディスプレイ、プリンターである。
【0094】
カーディーラー管理装置50は、カーディーラーの担当者が用いる例えばコンピュータであって、自動車70に接続されて駆動用バッテリー710の使用履歴情報を取得する際などに用いられる。
【0095】
自動車70は、駆動用バッテリー710と、使用履歴記録部730と、を含んで構成される、例えば電気自動車、ハイブリッド車などの、電気のその駆動力の全部又は一部とする自動車である。
【0096】
自動車70は、通信ネットワーク90を介してサーバー10と継続的に又は断続的に相互に通信可能に接続されている。あるいは自動車70は、カーディーラー管理装置50を介してサーバー10と断続的に相互に通信可能に接続されている。
【0097】
駆動用バッテリー710は、例えばリチウムイオン電池であるが、ニッケルニカド電池、鉛電池、燃料電池などの、充放電を繰り返すことにより電源として反復的に利用できるあらゆる電池(いわゆる二次電池)であってよい。
【0098】
使用履歴記録部730は、例えばROM、RAM、HDD等の記憶装置により構成されている。使用履歴記録部730は、例えば自動車70の制御機構の処理に応じて、バッテリーの第1リースが行われている間に、第1リース中のバッテリーの使用履歴情報を記録している。
【0099】
使用履歴記録部730は、使用履歴記録情報として例えば走行距離、放電した電力量、通常充電又は急速充電の回数、充電時間、充電した電力の量、その際の電圧値、電池の残容量、駆動用バッテリー710の温度、気温、天候、エアコン私用の有無、エアコンの温度設定、車体の傾き、速度、位置情報、使用者の特性情報、などの予定使用方法情報との比較を行うことができる情報を時系列的に記録する。
【0100】
<処理の概要>
次に、本実施形態のバッテリーのリースシステムの処理内容について説明する。まず図3A及び図3Bを参照して、バッテリーのリースシステムによる一連の工程について説明する。なお各工程の詳細については後述する。
【0101】
本実施形態のバッテリーのリースシステムは、まずバッテリーの第1リースを行うための準備の工程として、第1入力受付工程(図3A/S110)、劣化状態推定工程(図3A/S130)、第1リース料決定工程(図3A/S150)を実行する。
【0102】
その後、第1リース開始工程(図3A/S170)を経て第1リースが開始され、第1リース中には第1使用履歴記録工程(図3A/S190)が実行される。なおその間並行して、第1リース料の再決定のための、第1バッテリー情報取得工程(図3A/S210)、第1劣化状態判定工程(図3A/S230)、第1使用履歴取得工程(図3A/S250)、異常原因推定工程(図3A/S270)、第1リース料再決定工程(図3A/S290)が実行される。あるいは第1リース料再決定工程に加えて又は代えて交換推奨工程(図3A/S310)が実行されてもよい。
【0103】
第1リースされていたバッテリーが返却され、第2リースが開始されるまでの間には、第2リースを行うための準備の工程として、返却時バッテリー情報取得工程(図3B/S410)、返却時劣化状態判定工程(図3B/S430)、返却時使用履歴取得工程(図3B/S450)、劣化傾向取得工程(図3B/S470)、リユース用途決定工程(図3B/S490)、第2リース料決定工程(図3B/S510)が実行される。また、バッテリーの劣化傾向を判定するモデルを更新する劣化傾向判定モデル更新工程(図3A図3B/S330)は、第1使用履歴取得工程(図3A/S250)から劣化傾向取得工程(図3B/S470)までの間の任意のタイミングで行われてよい。
【0104】
その後、第2リース開始工程(図3B/S530)を経て第2リースが開始され、第2リース中には、第2バッテリー情報取得工程(図3B/S550)、第2劣化状態判定工程(図3/S570)、リサイクル推奨工程(図3B/S590)が実行されて、一連の工程は終了する。
【0105】
なお、バッテリーの劣化状態を出力する劣化状態出力工程(図3A図3B/S350)は、第1使用履歴取得工程(図3A/S250)からリサイクル推奨工程(図3B/S590)までの間の任意のタイミングで行われてよい。
【0106】
続いて、図4A~C及び図5を参照して個々の工程の詳細について説明する。
【0107】
<第1入力受付工程>
第1入力受付工程は、例えばカーディーラーの担当者が、予定リース期間の満了時のバッテリーの劣化状態の推定に必要な情報を入力する(図4A/S100)ことにより開始される。
【0108】
ここで入力受付部111は、リースの対象となる駆動用バッテリー710の予定リース期間を含む、予定リース期間の満了時の駆動用バッテリー710の劣化状態の推定に必要な推定基礎情報の入力を受け付ける(図4A/S110)。
【0109】
推定基礎情報には、予定リース期間のほか、例えば電池の種類(メーカ、型番等)、性能(電池容量、電流・電圧の特性等)などの駆動用バッテリー710の特性を示す情報、リース期間中の予定走行距離、自動車70の車種、使用者の特性(年齢、性別、職業、事故歴、家族構成、自宅・勤務先住所等)などを含む予定使用方法情報、駆動用バッテリー710の現在の価値を示す情報、が含まれる。なお、リース期間中の予定走行距離の情報が、本実施形態における、「予定リース期間における予定放電量を示す情報」に該当する。
【0110】
<劣化状態推定工程>
その後、劣化推定部113が、推定基礎情報に基づいて、駆動用バッテリー710の予定リース期間の満了時の推定劣化状態を推定する(図4A/S130)。
【0111】
劣化推定部113が推定劣化状態を推定する手法としては種々の手法が採用されうる。劣化推定部113は、例えば推定基礎情報を入力として、推定劣化状態を出力とする関数、識別器などを用いて推定劣化状態を推定する。
【0112】
<第1リース料決定工程>
そして、第1リース料決定部115が、推定劣化状態に基づいて、駆動用バッテリー710の第1リース料を決定する(図4A/S150)。
【0113】
第1リース料決定部115は、例えば推定劣化状態に基づいて駆動用バッテリー710の予定リース期間の満了時の予測価値を予測し、駆動用バッテリー710の現在の価値から予測価値を差し引いた予測低下価値に所定のリース料率を掛け合わせて得られた値を、当該駆動用バッテリー710の第1リース料として決定する。
【0114】
なお、第1リース料決定部115が予定リース期間の満了時の予測価値を予測する手法としては種々の手法が採用されうる。第1リース料決定部115は、例えば用途DBを参照して予定リース期間の満了後のリユース用途を推定し、再リユース用途がある場合は再リユース用途も推定して、所定のアルゴリズムにて推定されたそれぞれの推定リユース利益を合算し、当該利益の額に所定の期待値を掛け合わせた値を、当該駆動用バッテリー710の予定リース期間の満了時の予測価値とする。
【0115】
<第1リース開始工程>
その後、例えばカーディーラーの担当者によって、自動車70に搭載された状態の駆動用バッテリー710のリースが開始されたことを示す情報が入力されたとき(図4A/S160)に第1リース開始工程が実行される。
【0116】
第1リース開始工程において入力受付部111は、駆動用バッテリー710の第1リースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けてサーバー記憶部150に記憶する(図4A/S170)。
【0117】
<第1使用履歴記録工程>
図3Aで説明した第1使用履歴記録工程(図3A/S190)は、駆動用バッテリー710の第1リースが行われている間に実行される。第1使用履歴記録工程において使用履歴記録部730は、第1リース中の駆動用バッテリー710の使用履歴情報を記録する。
【0118】
またその間並行して、第1リース料の再決定のための一連の工程(図4A/S200、図5/S210~S310、図4A/S400)が実行されるが、これらの工程については後述する。
【0119】
<返却時バッテリー情報取得工程>
その後、例えばカーディーラーの担当者によって、自動車70に搭載された状態の駆動用バッテリー710が返却されたことを示す情報が入力(図4B/S401)されて、入力受付部111が当該情報を受け付けた(図4B/S403)ときに返却時バッテリー情報取得工程が実行される。
【0120】
返却時バッテリー情報取得工程においては、バッテリー情報取得部117が、返却された駆動用バッテリー710の劣化状態の判定に必要なバッテリー情報を取得する(図4B/S410)。
【0121】
より具体的には、例えばカーディーラー管理装置50は駆動用バッテリー710又は自動車70の情報出力機構と接続する端子を有しており、当該端子が駆動用バッテリー710又は自動車70の情報出力機構に接続されて、カーディーラー管理装置50が駆動用バッテリー710に充放電を行わせるなどして得られた電力値、電圧値、温度などの情報を劣化状態の判定に必要なバッテリー情報として、バッテリー情報取得部117はカーディーラー管理装置50を介して取得する。
【0122】
<返却時劣化状態判定工程>
その後、劣化状態判定部119は、バッテリー情報に基づいて返却された駆動用バッテリー710の劣化状態を判定する(図4B/S430)。
【0123】
例えば劣化状態判定部119は、返却時バッテリー情報取得工程にて取得された電力値、電圧値、温度などの情報から駆動用バッテリー710のSOH(State Of Health)を駆動用バッテリー710の劣化状態として判定する。あるいは例えば劣化状態判定部119は、これらの情報から駆動用バッテリー710の余寿命を判定してもよい。
【0124】
<返却時使用履歴取得工程>
そして使用履歴取得部127が、第1リースが終了して返却された駆動用バッテリー710にかかる、使用履歴情報を取得する(図4B/S450)。
【0125】
より具体的には、例えばカーディーラー管理装置50は駆動用バッテリー710又は自動車70の情報出力機構と接続する端子を有しており、当該端子が駆動用バッテリー710又は自動車70の情報出力機構に接続されて、使用履歴取得部127が駆動用バッテリー710の使用履歴記録部730から使用履歴情報を取得する。あるいは使用履歴取得部127は、無線通信、記録媒体その他の媒体を介して使用履歴記録部730から使用履歴情報を取得してもよい。
【0126】
その後、第1リース料の再決定・精算が必要に応じて行われる(図4B/S460)が、当該工程の詳細については後述する。
【0127】
<劣化傾向取得工程>
続いて劣化傾向取得部133が、使用履歴情報に基づいて、駆動用バッテリー710の劣化傾向を取得する(図4B/S470)。
【0128】
より具体的には例えば劣化傾向取得部133は、駆動用バッテリー710の使用履歴情報を入力とし、駆動用バッテリー710の劣化傾向を出力とする劣化傾向判定モデルを有しており、使用履歴情報と劣化傾向判定モデルとを用いて駆動用バッテリー710の劣化傾向を取得する。
【0129】
この場合、例えば劣化傾向取得部133は、駆動用バッテリー710の使用履歴情報及び使用履歴情報が示す使用を経た後の駆動用バッテリー710の劣化状態を教師データとして学習して劣化傾向判定モデルを定期的に又は不定期的に更新する(図3A図3B/S330)ように構成される。
【0130】
<リユース用途決定工程>
そして、リユース用途決定部123は、返却された駆動用バッテリー710の劣化状態に応じたリユース用途がある場合(図4B/S480:Yes)には、駆動用バッテリー710のリユース用途を決定する(図4B/S490)。
【0131】
すなわち例えばリユース用途決定部123は、用途DB155を参照して、返却された駆動用バッテリー710の劣化状態に応じたリユース用途を決定する。
【0132】
<第2リース料決定工程>
そして第2リース料決定部125は、リユース用途に基づいて返却された駆動用バッテリー710の第2リースにおける第2リース料を決定する(図4B/S510)。
【0133】
すなわち例えば第2リース料決定部125は、リユース用途と第2リース料との対応テーブルを予めサーバー記憶部150などに記憶しておき、当該対応テーブルを参照して、返却された駆動用バッテリー710のリユース用途に応じた第2リース料を決定する。
【0134】
<第2リース開始工程>
そして、例えばリース会社の担当者によって、リユース用途でのバッテリーのリースが開始されたことを示す情報が入力されたとき(図4B/S520)に第2リース開始工程が実行される。
【0135】
第2リース開始工程において入力受付部111は、リユース用途でのバッテリーのリースが開始されたことを示す情報の入力を受け付けてサーバー記憶部150に記憶する(図4B/S530)。
【0136】
<第2バッテリー情報取得工程>
その後、バッテリー情報取得部117が、リユース用途でリース中のバッテリーの劣化状態の判定に必要な情報をバッテリーから取得する(図4C/S550)。
【0137】
より具体的には、例えばバッテリー情報取得部117は、リユース用途でリース中のバッテリーが搭載されている装置と通信して、バッテリーの電力値、電圧値、温度などの情報を劣化状態の判定に必要なバッテリー情報として取得する。
【0138】
<第2劣化状態判定工程>
そして劣化状態判定部119は、劣化状態の判定に必要なバッテリー情報に基づいて、第2リース中のバッテリーの劣化状態を判定する(図4C/S570)。判定の手法は、例えば返却時劣化状態判定工程(図3B図4B/S430)と同様である。
【0139】
このとき、現在の用途に用いることができる劣化状態を下回った場合には(図4C/S580:Yes)、例えば劣化状態判定部119は、その旨を知らせる情報を生成してリース管理装置に送信して(図4C/S587)、サーバー記憶部150に記憶し、入力受付部111は、バッテリーが返却されたことを示す情報の入力(図4B/S401)を待つ状態となる。リース管理装置30の出力制御部311は、当該情報を受信してディスプレイ等に出力する。
【0140】
そして本実施形態のリースシステムは、ここまでの一連の工程を、当該バッテリーの第2リースの満了時期が来るまで(図4C/S585)定期的に、又は不定期的に繰り返し実行する。
【0141】
<リサイクル推奨工程>
リサイクル推奨工程は、返却されたバッテリーの劣化状態に応じた、リユース用途がないと判定された場合(図4B/S480:No)に実行される。
【0142】
リユース用途決定部123は、劣化状態判定部119により判定された返却された駆動用バッテリー710又はリユース後のバッテリーの劣化状態に対応するリユース用途がない場合には、バッテリーのリサイクルを推奨する情報を生成してリース管理装置30に送信する(図4C/S590)。
【0143】
<第1リース料の再決定のための工程>
図4A図5を参照して、第1リース料の再決定のための一連の工程について説明する。当該工程は、例えば第1リース料の再決定時期が来たとき(図4A/S200:Yes)に実行される。第1リース料の再決定時期とは、例えば自動車の定期点検の時期などである。
【0144】
工程を開始すると、まずバッテリー情報取得部117は第1リース中の駆動用バッテリー710のバッテリー情報を取得して(図5/S210)、劣化状態判定部119はバッテリー情報に基づいて、第1リース中の駆動用バッテリー710の劣化状態を判定する(図5/S230)。
【0145】
そして、使用履歴取得部127は、駆動用バッテリー710の使用履歴情報を取得する(図5/S250)。
【0146】
そして駆動用バッテリー710の劣化状態が推定劣化状態に比して異常である場合(図5/S260:Yes)に、劣化原因推定部129は、異常な劣化状態となった原因を推定する(図5/S270)。
【0147】
なお劣化原因推定部129は、駆動用バッテリー710の劣化状態が推定劣化状態に比して異常であるか否かを、例えば当該駆動用バッテリー710が予定使用方法で使用された場合の劣化状態の変化をシミュレーションし、シミュレーション上の劣化状態と、駆動用バッテリー710の劣化状態とを比較して、その差異が所定以上であるか否かにより判定する。
【0148】
そして異常な劣化状態となった原因が、駆動用バッテリー710の使用者が駆動用バッテリー710を予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものである場合には(図5/S280:Yes)、第1リース料再決定部121は、第1リース中の駆動用バッテリー710の劣化状態に基づいて、第1リース料を再決定してサーバー記憶部150に記憶する。
【0149】
第1リース料再決定部121が第1リース料を再決定する手法としては種々の手法を採用しうる。例えば第1リース料再決定部121は、駆動用バッテリー710の劣化状態に基づいて駆動用バッテリー710の予定リース期間の満了時の予測価値を再予測し、駆動用バッテリー710の現在の価値から予測価値を差し引いた予測低下価値に所定のリース料率を掛け合わせて得られた値を、当該駆動用バッテリー710の第1リース料として再決定する。
【0150】
また、第1リース料再決定部121が予定リース期間の満了時の予測価値を再予測する手法としては種々の手法が採用されうる。第1リース料再決定部121は、例えば用途DB155を参照して、第1リース中の駆動用バッテリー710の劣化状態に基づいて予定リース期間の満了後のリユース用途を推定し、所定のアルゴリズムにて当該リユース用途でリユースすることにより得られる利益の額を推定し、当該利益の額に所定の期待値を掛け合わせた値を、当該駆動用バッテリー710の予定リース期間の満了時の予測価値として再予測する。
【0151】
一方、異常な劣化状態となった原因が、駆動用バッテリー710の使用者が駆動用バッテリー710を予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものでない場合には(図5/S280:No)、交換推奨部131は、バッテリーの交換を推奨する情報を生成して(図5/S310)、例えばカーディーラー管理装置50に送信する。
【0152】
本実施形態のリースシステムは、これらの一連の工程を、例えば予定リース期間の満了時期が来るまで(図4A/S400:Yes)繰り返し実行する。
【0153】
なお劣化原因推定部129は、異常な劣化状態となった原因が、駆動用バッテリー710の使用者が駆動用バッテリー710を予定使用方法情報と異なる方法で使用したことにより生じたものであるか否かを、例えば予定使用方法の内容を所定のアルゴリズムでポイント化し、駆動用バッテリー710の使用履歴情報を同様の手法でポイント化し、双方を比較して、その差異が所定以上であるか否かにより判定する。
【0154】
<第1リース料の再決定・精算のための工程>
返却時の第1リース料の再決定及びその精算のための工程について説明する。
【0155】
第1リース料再決定部121は、推定劣化状態と返却されたバッテリーの劣化状態とに基づいて第1リース料を再決定する。
【0156】
第1リース料再決定部121が第1リース料を再決定する手法としては種々の手法を採用しうる。例えば第1リース料再決定部121は、用途DB155を参照して、返却された駆動用バッテリー710の劣化状態に基づいて駆動用バッテリー710のリユース用途を認識し、当該リユース用途でリースをすることによる利益の額を予測して、駆動用バッテリー710の第1リース前の価値から当該予測値を差し引いた金額を、当該駆動用バッテリー710の第1リース料として再決定する。
【0157】
そして、第1リース期間中に支払いを受けた第1リース料の総合計である総受領済額と、再決定された第1リース料の総合計である総請求額とを比較して、総請求額が総受領済額よりも大きい場合はその差額を使用者に請求し、総請求額が総受領済額よりも小さい場合はその差額を使用者に返還等することで、第1リース料再決定部121は、第1リース料の精算を行う。
【0158】
以上、説明してきたように、本発明によれば、バッテリーの使用時の使用者の負担を合理化し、効果的に電気自動車等の購入を促すことができるバッテリーのリースシステムを提供することができる。
【0159】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0160】
例えばリユース用途決定部123は返却された駆動用バッテリー710の劣化状態及び劣化傾向に基づいて駆動用バッテリー710のリユース用途を決定するように構成されていてもよく、あるいは第2リース料決定部125は駆動用バッテリー710のリユース用途及び劣化傾向に基づいて第2リース料を決定してもよい。
【0161】
この場合、リユース用途決定部123、第2リース料決定部125がそれぞれリユース用途、第2リース料を決定する手法としては既知の種々の手法が用いられてよい。
【0162】
あるいは例えばバッテリー情報取得部117が、駆動用バッテリー710の第1リースが行われている間に、定期的又は不定期的に、第1リース中の駆動用バッテリー710のバッテリー情報を取得し、劣化状態判定部119が、バッテリー情報に基づいて、第1リース中の駆動用バッテリー710の劣化状態を判定し、リース管理装置30の出力制御部が、駆動用バッテリー710の劣化状態に基づいて、第1リース中の駆動用バッテリー710の劣化状態を示す情報をリース管理装置に出力するように構成されていてもよい。
【0163】
あるいは例えば、本システムの効果を損なわない範囲において一部の構成、工程が省略されてもよい。また上記においてサーバー10が備えるとした構成の一部または全部は、例えばリース管理装置30、カーディーラー管理装置50に備えられていてもよく、あるいはリース管理装置30、カーディーラー管理装置50が備えるとした構成の一部又は全部が、サーバー10に備えられていてもよい。
【0164】
また上記においては、例えば電気自動車又はハイブリッド車の駆動用バッテリー710(あるいは電気自動車又はハイブリッド車の駆動用バッテリー710であったリユースバッテリー)のリースシステムである実施形態について説明したが、これに限定されない。
【0165】
すなわち例えば、バッテリーが搭載される装置は電気自動車又はハイブリッド車に限定されず、電動バイク、スローモビリティー(電動車椅子、歩行弱者向けのモビリティー)などのその他の移動体、あるいは家庭用、事業所用の蓄電池システム(いわゆるESS)であってよい。
【0166】
この場合、例えばカーディーラー管理装置50にかえて、電動バイク、スローモビリティー、蓄電池システムの取扱事業者の管理装置が備えられる。またこの場合、予定使用方法情報には、例えばリース期間中の予定運転時間、予定稼働時間、装置の種類などが含まれ、特に蓄電池システムの場合には、家や事業所の大きさ、家族構成、従業員数などが含まれる。
【0167】
さらに、リース中のバッテリーが、バッテリー交換式の電気自動車、蓄電池システムなどに搭載されていることも想定される。したがって、交換式のバッテリーを、利用者に貸し出すバッテリーステーションと呼ばれるような仕組みにおいて、利用者にバッテリーをリースする際に、前回リースしたバッテリーの残量用などに応じてバッテリーのリース料を決定するシステムにも応用可能である。
【符号の説明】
【0168】
10…サーバー、30…リース管理装置、70…自動車、111…入力受付部、113…劣化推定部、115…第1リース料決定部、117…バッテリー情報取得部、119…劣化状態判定部、121…第1リース料再決定部、123…リユース用途決定部、125…第2リース料決定部、127…使用履歴取得部、129…劣化原因推定部、131…交換推奨部、133…劣化傾向取得部、150…サーバー記憶部、311…出力制御部、710…駆動用バッテリー、730…使用履歴記録部。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5