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  • 特許-汚泥掻寄せ機のチェーンリンク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】汚泥掻寄せ機のチェーンリンク
(51)【国際特許分類】
   B65G 19/00 20060101AFI20230613BHJP
   B65G 19/20 20060101ALI20230613BHJP
   B01D 21/18 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B65G19/00 A
B65G19/20 A
B01D21/18 A
B01D21/18 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019069674
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020169064
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100139516
【弁理士】
【氏名又は名称】藤浪 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝之
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087009(JP,A)
【文献】特開2010-104867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/00-19/30
B01D 21/00-21/34
B65G 17/00-17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側の第1連結部と他端側の第2連結部とにかけて形成される基板部および一対の側板部を備え、前記側板部には、スプロケットホイールのピンに係合するノッチが設けられた汚泥掻寄せ機のチェーンリンクであって、
前記基板部に、
チェーンの移動方向に延び前記第1連結部と前記第2連結部とを繋ぐ幹状リブと、
前記幹状リブの両側から前記一対の側板部までにかけてチェーンの移動方向に対し斜めに延びる少なくとも一対の枝状リブと、を備え
前記一対の側板部は、一端側から他端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びる側板傾斜部を備え、
前記幹状リブは、前記第1連結部から一定の幅で直線状に延びる主幹部と、前記主幹部の他端側から両側に延びたうえで前記第2連結部まで延びる略コ字形の拡幅部と、を備え、
前記枝状リブは、前記主幹部と前記側板傾斜部との間で延びる一対の第1枝状リブと、前記拡幅部と前記側板傾斜部との間で延びる一対の第2枝状リブと、を備え、
前記一対の第1枝状リブ及び前記一対の第2枝状リブは、いずれも前記幹状リブと前記側板傾斜部との間で、他端側から一端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びていることを備えていることを特徴とする汚泥掻寄せ機のチェーンリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥掻寄せ機のチェーンリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥掻寄せ機で使用されるチェーンリンクの従来例として特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、ノッチ式チェーンリンクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6273527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チェーンリンクにはチェーンの移動方向に引張力が作用するため、チェーンリンクが変形しやすいという問題がある。汚泥掻寄せ機では、チェーンリンクは水中で使用されるために防錆の点から樹脂製であることが殆どであり、金属製に比べ引張強度が低くなりやすい。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、引張強度に優れた汚泥掻寄せ機のチェーンリンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、一端側の第1連結部と他端側の第2連結部とにかけて形成される基板部および一対の側板部を備え、前記側板部には、スプロケットホイールのピンに係合するノッチが設けられた汚泥掻寄せ機のチェーンリンクであって、前記基板部に、チェーンの移動方向に延び前記第1連結部と前記第2連結部とを繋ぐ幹状リブと、前記幹状リブの両側から前記一対の側板部までにかけてチェーンの移動方向に対し斜めに延びる少なくとも一対の枝状リブと、を備え、前記一対の側板部は、一端側から他端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びる側板傾斜部を備え、前記幹状リブは、前記第1連結部から一定の幅で直線状に延びる主幹部と、前記主幹部の他端側から両側に延びたうえで前記第2連結部まで延びる略コ字形の拡幅部と、を備え、前記枝状リブは、前記主幹部と前記側板傾斜部との間で延びる一対の第1枝状リブと、前記拡幅部と前記側板傾斜部との間で延びる一対の第2枝状リブと、を備え、前記一対の第1枝状リブ及び前記一対の第2枝状リブは、いずれも前記幹状リブと前記側板傾斜部との間で、他端側から一端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びていることを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、一対の枝状リブがチェーンの移動方向に対し斜めに延びることから、チェーンの移動方向に働く引張力に対し、チェーンリンクの引張強度が高まる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引張強度に優れた汚泥掻寄せ機のチェーンリンクとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スプロケットホイールに係合した状態の無端チェーンの側面図である。
図2】汚泥掻寄せ機の構成図である。
図3】本実施形態に係るチェーンリンクの平面図である。
図4図3におけるIV-IV断面図である。
図5】本実施形態に係るチェーンリンクの側面図である。
図6】本実施形態に係るチェーンリンクの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図2において、本発明のチェーンリンク1は汚泥掻寄せ機30に使用される。汚泥掻寄せ機30は、図2に示すように、処理槽31の底部に沈澱する汚泥をスクレーパ32により排出ピット33に掻き寄せる。スクレーパ32は、複数のスプロケットホイール34に掛け回された無端チェーン35に間隔をあけて複数装着されている。
【0011】
無端チェーン35は水中で使用されるため、無端チェーン35を構成するチェーンリンク1は樹脂製のノッチ式チェーンリンクで構成されている。図1に示すように、スプロケットホイール34には円周方向に間隔をあけて複数のピン36が設けられている。無端チェーン35は、チェーンリンク1のノッチ8がピン36に係合することで、スプロケットホイール34に係合し循環移動する。
【0012】
図3ないし図6を参照してチェーンリンク1について詳細に説明する。チェーンリンク1は、一端側の第1連結部2と他端側の第2連結部3とにかけて形成される基板部4および一対の側板部5A,5Bを備えている。第1連結部2は、図4に示すように、チェーンリンク1の幅方向(これを左右方向とする)から見て略円形を呈しており、連結ピン40(図3)を通すピン孔6が左右方向に貫通するように設けられている。第2連結部3も、左右方向から見て略円形を呈しており、連結ピン40を通すピン孔7が左右方向に貫通するように設けられている。
【0013】
図3に示すように、第2連結部3は、隣りのチェーンリンク1(仮想線にて示す)の第1連結部2を挟むように左右一対で構成されている。これにより、基板部4は、第1連結部2から第2連結部3に向けて末広がり状に延びている。一対の側板部5A,5Bは基板部4の左右の縁に、基板部4と直交するように形成されている。図5に示すように、側板部5A,5Bには、スプロケットホイール34のピン36に係合するノッチ8が形成されている。図3において、基板部4は末広がり状に延びているため、一対の側板部5A,5Bには、一端側から他端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びる側板傾斜部9A,9Bが形成されている。
【0014】
基板部4の一面には、幹状リブ10および枝状リブ20が突設されている。幹状リブ10は、第1連結部2と第2連結部3とを繋ぐように無端チェーン35の移動方向に延びている。基板部4からの幹状リブ10の高さは、側板部5A,5Bの高さと同程度である。幹状リブ10は、第1連結部2の左右方向中心部から直線状に延び、枝状リブ20の厚みよりも厚い板状の主幹部11と、主幹部11の他端側から左右両側に延びたうえで左右一対の第2連結部まで延び、図3から判るように略コ字形を呈した拡幅部12と、を備えている。
【0015】
枝状リブ20は、幹状リブ10の両側から一対の側板部5A,5Bまでにかけて無端チェーン35の移動方向に対し斜めに延びている。つまり枝状リブ20は少なくとも左右一対として形成されている。本実施形態では、枝状リブ20は、主幹部11と側板傾斜部9A,9Bとの間で延びる左右一対の第1枝状リブ20A,20Bと、拡幅部12と側板傾斜部9A,9Bとの間で延びる左右一対の第2枝状リブ20C,20Dとの2対組みで構成されている。場合により、第1枝状リブ20A,20Bのみ、或いは第2枝状リブ20C,20Dのみを設けてもよい。また、枝状リブ20を3対組み以上設けてもよい。
【0016】
第1枝状リブ20A,20Bは、側板傾斜部9A,9Bの傾斜方向とは逆に、つまり他端側から一端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びている。第2枝状リブ20C,20Dも、他端側から一端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びている。なお、基板部4からの第1枝状リブ20A,20B、第2枝状リブ20C,20Dの高さは、側板部5A,5Bおよび幹状リブ10の高さよりも若干低い程度である。無端チェーン35の移動方向に対する各枝状リブ20の傾斜角度θは、例えば10~45度程度であり、30度程度とすることが好ましい。
【0017】
以上のように、基板部4に、チェーンの移動方向に延び第1連結部2と第2連結部3とを繋ぐ幹状リブ10と、幹状リブ10の両側から一対の側板部5A,5Bまでにかけてチェーンの移動方向に対し斜めに延びる少なくとも一対の枝状リブ20と、を備えることにより以下の効果が奏される。一対の枝状リブ20は、チェーンの移動方向に対し斜めに延びることから、チェーンの移動方向に働く引張力に対し、チェーンリンク1の引張強度が高まる。これは、枝状リブ20が幹状リブ10と側板部5A,5B(側板傾斜部9A,9B)の間に斜めに設けられていることから、直交方向に設けられたものより、チェーンの移動方向に延びる力が作用することによるものである。
【0018】
さらに、一対の側板部5A,5Bが、一端側から他端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びる側板傾斜部9A,9Bを備えている場合、一対の枝状リブ20は、幹状リブ10と側板傾斜部9A,9Bとの間で、他端側から一端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びるようにすれば以下の効果が奏される。チェーンの移動方向に働く引張力により、側板傾斜部9A,9Bには、他端側の間隔を狭めようとする力が作用する。この力に対し、一対の枝状リブ20は他端側から一端側に向かうに連れ互いに離間するように斜めに延びているので、高い支持強度で力を受け止め、側板傾斜部9A,9Bの変形を抑制できる。
【0019】
幹状リブ10が、第1連結部2から直線状に延びる主幹部11と、主幹部11の他端側から両側に延びたうえで第2連結部3まで延びる略コ字形の拡幅部12とを備える場合、枝状リブ20は、主幹部11と側板傾斜部9A,9Bとの間で延びる一対の第1枝状リブ20A,20Bと、拡幅部12と側板傾斜部9A,9Bとの間で延びる一対の第2枝状リブ20C,20Dとを備えるようにすれば、側板傾斜部9A,9Bの変形を一層抑制できる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。幹状リブ10および枝状リブ20の形状やレイアウトは図示したものに限定されずに実施可能である。また、幹状リブ10および枝状リブ20は基板部4の他面側にも突設してもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 チェーンリンク
2 第1連結部
3 第2連結部
4 基板部
5A,5B 側板部
9A,9B 側板傾斜部
10 幹状リブ
11 主幹部
12 拡幅部
20 枝状リブ
20A,20B 第1枝状リブ
20C,20D 第2枝状リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6