(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素及びそれ用のマウスピース
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20230613BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20230613BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20230613BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24D3/17
(21)【出願番号】P 2020571706
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(86)【国際出願番号】 GB2019051802
(87)【国際公開番号】W WO2020002910
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヘプワース, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス, パブロ ハビエル バレステロス
(72)【発明者】
【氏名】ブラントン, ピーター, ジェームズ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538863(JP,A)
【文献】特開平03-112477(JP,A)
【文献】特表2012-502658(JP,A)
【文献】国際公開第2010/110226(WO,A1)
【文献】特表2017-536850(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130500(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/047389(WO,A1)
【文献】特表2016-509852(JP,A)
【文献】特表2013-523094(JP,A)
【文献】特開平02-190171(JP,A)
【文献】特開2009-148233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24D 1/02
A24D 3/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素であって、前記エアロゾル生成構成要素が、
エアロゾル生成材料と、
前記エアロゾル生成材料の下流のマウスピースと、
前記マウスピースを前記エアロゾル生成材料に接続する接続ラッパと、
第1のシート材料を含み前記エアロゾル生成材料の少なくとも一部を取り囲むと共に前記エアロゾル生成材料の前記少なくとも一部に直接に接触した第1のラッパと、
第2のシート材料を含み前記マウスピースの少なくとも一部を取り囲む第2のラッパと、を備え、
前記第1のシート材料の熱伝導率が、前記第2のシート材料の熱伝導率よりも高
く、
前記第1のシート材料は、紙であり、
前記第1のシート材料の密度が、前記第2のシート材料の密度よりも高い、エアロゾル生成構成要素。
【請求項2】
前記第1のシート材料の熱伝導率が、0.06Wm
-1K
-1よりも大きい、請求項1に記載のエアロゾル生成構成要素。
【請求項3】
前記第2のシート材料の熱伝導率が、0.06Wm
-1K
-1よりも小さい、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成構成要素。
【請求項4】
前記第2のラッパが、前記第1のラッパよりも厚い厚さを有する、請求項1、2
又は3に記載のエアロゾル生成構成要素。
【請求項5】
前記エアロゾル生成材料が、タバコ材料を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成構成要素。
【請求項6】
前記構成要素が、実質的にシリンダ状の形状であり、16mm~19mmの範囲の円周を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成構成要素。
【請求項7】
タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素を製造する方法であって、前記方法が、任意の順序で、
エアロゾル生成材料を、第1のシート材料を含む第1のラッパ内に、前記第1のラッパが前記エアロゾル生成材料の少なくとも一部を取り囲むと共に前記エアロゾル生成材料の前記少なくとも一部に直接に接触するように、包むことと、
マウスピースを前記エアロゾル生成材料の下流に配置することと、
前記マウスピースを前記エアロゾル生成材料に接続する接続ラッパを提供することと、
前記マウスピースを、第2のシート材料を含む第2のラッパ内に、前記第2のラッパが前記マウスピースの少なくとも一部を取り囲むように、包むことと、を含み、
前記第1のシート材料の熱伝導率が、前記第2のシート材料の熱伝導率よりも高
く、
前記第1のシート材料は、紙であり、
前記第1のシート材料の密度が、前記第2のシート材料の密度よりも高い、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素、それ用のマウスピース、並びに、エアロゾル生成構成要素及びマウスピースを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
或る種のタバコ産業製品は、使用中にエアロゾルを生じさせ、使用者によってそれが吸引される。例えば、タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃やしてタバコの煙を作り出す。タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル生成材料を加熱し、材料を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。そういったタバコ産業製品は、一般にマウスピースを含んでおり、エアロゾルは、それを通過して使用者の口に達する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明される幾つかの実施形態に従って、第1の態様では、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素が提供され、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル生成材料と、エアロゾル生成材料の下流のマウスピースと、第1のシート材料を含みエアロゾル生成材料の少なくとも一部を取り囲む第1のラッパと、第2のシート材料を含みマウスピースの少なくとも一部を取り囲む第2のラッパと、を備え、第1のシート材料の熱伝導率は、第2のシート材料の熱伝導率よりも高い。
【0004】
第1のシート材料の熱伝導率は、0.06Wm-1K-1よりも大きくできる。
【0005】
第2のシート材料の熱伝導率は、0.06Wm-1K-1よりも小さくできる。
【0006】
第1のシート材料の密度は、第2のシート材料の密度よりも高くできる。
【0007】
第2のラッパは、第1のラッパよりも厚い厚さを有することができる。
【0008】
本明細書で説明される幾つかの実施形態に従って、第2の態様では、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素のためのマウスピースが提供され、マウスピースは、1つ又は複数のラッパを備え、1つ又は複数のラッパのうちの少なくとも1つは、0.2g/cm3~0.45g/cm3の範囲の密度を有するシート材料を備える。
【0009】
第2の態様に係る1つ又は複数のラッパのうちの少なくとも1つは、0.30g/cm3~0.45g/cm3の範囲の密度を有するシート材料を備えることができる。
【0010】
第2の態様に係る1つ又は複数のラッパは、或いは1つ又は複数のラッパの各々は、20μm~100μmの範囲の厚さを有することができる。第2の態様に係る1つ又は複数のラッパは、或いは1つ又は複数のラッパの各々は、30μm~70μmの範囲の厚さを有することができる。
【0011】
第2の態様に係るマウスピースは、複数のラッパを備えることができ、ラッパの少なくとも1つは、多孔性材料を含む。
【0012】
第2の態様に係るマウスピースは、フィルター材料の本体を備えることができ、ラッパの少なくとも1つは、フィルター材料の本体を部分的に取り囲み、フィルター材料の本体を部分的に取り囲むラッパの少なくとも1つは、0.2g/cm3~0.45g/cm3の範囲の密度を有する材料を含む。
【0013】
第2の態様に係るマウスピースは、フィルター材料の本体の内部に配設された香味変更添加物をさらに備えることができる。
【0014】
香味変更添加物は、破断可能なカプセルの内部に包含できる。
【0015】
第2の態様に係るマウスピースは、ラッパに形成された換気穴をさらに含むことができる。
【0016】
本明細書で説明される幾つかの実施形態に従って、第3の態様では、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素が提供され、エアロゾル生成構成要素は、上で記載された第2の態様に係るマウスピースを含む。
【0017】
第3の態様に係るエアロゾル生成構成要素は、エアロゾル生成材料をさらに備えることができる。エアロゾル生成材料は、タバコ材料を含むことができる。
【0018】
上の第1及び第2の態様の構成要素は、実質的に上シリンダ状の形状であることができ、16mm~19mmの範囲の円周を有することができる。
【0019】
本明細書で説明される幾つかの実施形態に従って、第4の態様では、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素を製造する方法が提供され、方法は、任意の順序で、
エアロゾル生成材料を、第1のシート材料を含む第1のラッパ内に、第1のラッパがエアロゾル生成材料の少なくとも一部を取り囲むように、包むことと、
マウスピースをエアロゾル生成材料の下流に配置することと、
マウスピースを、第2のシート材料を含む第2のラッパ内に、第2のラッパがマウスピースの少なくとも一部を取り囲むように、包むことと、を含み、
第1のシート材料の熱伝導率は、第2のシート材料の熱伝導率よりも高い。
【0020】
本明細書で説明される幾つかの実施形態に従って、第5の態様では、上で記載された第2の態様に係るマウスピースを製造する方法が提供され、方法は、フィルター材料の本体を用意することと、0.2g/cm3~0.45g/cm3の範囲の密度を有するシート材料をフィルター材料の本体に巻き付けることと、を含む。
【0021】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、単なる一例として、今から説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】マウスピースを含むタバコ産業製品の側面からの断面図である。
【
図2】マウスピースを含む更なるタバコ産業製品の側面からの断面図である。
【
図3】
図2に示されたマウスピースの断面図である。
【
図4】タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素を製造する方法を例証するフロー図である。
【
図5】マウスピースを製造する方法を例証するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「タバコ産業製品」は、喫煙品を含むことが意図されており、可燃性の喫煙品及びそれらの構成要素、例えば、シガレット、シガリロ、シガー、パイプ用又は手巻き用のタバコ、(タバコ、タバコ誘導体、発泡タバコ、再生タバコ、タバコ代用物又は他の喫煙材に基づくか否かにかかわらず)、電子喫煙品及びそれらの構成要素、例えば、eシガレット、燃焼せずに基質材料から化合物を放出する加熱デバイス(基質材料は、タバコ、タバコ誘導体、発泡タバコ、再生タバコ、タバコ代用物又は他の喫煙材にできる)、それらの構成要素、例えば、タバコ加熱製品及びエアロゾル生成構成要素やそういった構成要素のためのマウスピースを含むタバコ加熱製品の構成要素、基質材料の組合せからエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステム、例えば、液体又はゲル又は固体基板を含むハイブリッドシステム;並びに、エアロゾルを含まないニコチン送達品及びそれらの構成要素、例えば、通気性粉末を含む物品を含む。上記物品の構成要素は、喫煙品などの製品に使用するための消耗喫煙品構成要素、マウスピース、フィルターユニット、フィルタープラグ、フィルターインサート及びチューブを含む。
【0024】
本明細書で説明されるタバコ産業製品は、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素などの加熱デバイスで使用するための消耗品構成要素にできる。代替的に、本明細書で説明されるタバコ産業製品は、シガレット、シガリロ及びシガーからなる群から選択される燃焼用の喫煙品にできる。
【0025】
消耗品構成要素や喫煙品などのタバコ産業製品は、多くの場合、製品の長さに応じて名前付けされる。「レギュラ」(通常68~75mmの範囲、例えば、約68mm~約72mm)、「ショート」又は「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(通常75~91mmの範囲、例えば、約79mm~約88mm)、「ロング」又は「スーパーキング」(通常91~105mmの範囲、例えば、約94mm~約101mm)、及び、「ウルトラロング」(通常、約110mm~約121mmの範囲)。
【0026】
また、それらは製品の円周に応じて名前付けされる。「レギュラ」(約23~25mm)、「ワイド」(25mm超)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、及び、「マイクロスリム」(約16mm未満)。
【0027】
したがって、キングサイズでスーパースリムの構成のシガレットは、例えば、約83mmの長さ、及び、約17mmの円周を有するであろう。レギュラでキングサイズの構成のシガレットは、多数の顧客に好まれており、言い換えれば、23~25mmの円周と75~91mmの全長を備えている。
【0028】
各構成は、異なった長さのマウスピースと合わせて製造でき、より小さなマウスピースは、より小さな長さと円周の構成で一般に使用される。通常、マウスピースの長さは、ショートでレギュラの構成に関連する約15mmからウルトラロングでスーパースリムの構成に関連する30mmになるであろう。チップペーパーは、チップペーパーが、マウスピースをタバコロッドに接続するために、マウスピースをカバーしてタバコロッドに重なるように、マウスピースよりも長く、例えば、3~10mm長くなるであろう。
【0029】
本明細書で説明される喫煙品及びそれらの構成要素、エアロゾル生成構成要素及びマウスピースを含むタバコ産業製品は、上記構成のいずれかで、それらに限定はされないが、作製できる。
【0030】
本明細書で使用される用語「上流」及び「下流」は、使用中のタバコ産業製品や構成要素を通して引かれる主流エアロゾル(例えば、煙)の方向に関連して定義される相対語である。
【0031】
本明細書で説明されるフィルター材料は、酢酸セルロース繊維トウを含むことができる。フィルター材料は、繊維を形成するために使用される他の材料を使用して同じく形成でき、例えば、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1-4ブタンジオールサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-コテレフタレート)(PBAT)、澱粉ベースの材料、紙、綿、脂肪族ポリエステル材料及び多糖ポリマ或いはそれらの組合せである。フィルター材料は、フィルター材料が酢酸セルローストウであるトリアセチンなどのフィルター材料に適した可塑剤で可塑化でき、或いは、可塑化しないことができる。トウは、「Y」形状又は他の断面を有する繊維、2.5~15デニール/フィラメント、例えば、8.0~11.0デニール/フィラメントのフィラメントデニール値、及び、5,000~50,000、例えば、10,000~20,000の総繊度値など、任意の適切な仕様を有することができる。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「タバコ材料」は、タバコ又はその誘導体若しくは代用物を含む任意の材料を指す。用語「タバコ材料」は、タバコ、タバコ誘導体、発泡タバコ、再生タバコ、又は、タバコ代用物のうちの1つ又は複数を含むことができる。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、再生タバコ、及び/又は、タバコ抽出物、のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「香料」及び「香味料」は、地域の規制が許す場合に、成人消費者向けの製品に所望の味又は香りを作り出すために使用できる材料を指す。それらは、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、日本ミント、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、桃、林檎、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキ、スペアミント、ペパーミント、ラベンダ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、生姜、アニス、コリアンダ、コーヒー、又は、メンタ属の任意の種に由来するミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤又は刺激剤、砂糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又は、マンニトール)、並びに、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は、息清涼剤などの他の添加物、を含むことがある。それらは、模造品、合成成分若しくは天然成分、又は、それらの混合物であることがある。それらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、又は、粉末であることがある。
【0034】
本明細書で説明される図では、同様の参照番号は、同等の特徴、物品又は構成要素を例証するために使用される。
【0035】
図1は、タバコ産業製品、本ケースでは、加熱デバイスで使用するための消耗品構成要素100の側面からの断面図である。
【0036】
消耗品構成要素100は、マウスピース10と、エアロゾル生成材料50のシリンダ状ロッド、本ケースでは、マウスピース10に接続されたタバコ材料と、を備える。本例では、消耗品構成要素100は、約17mmの外周(すなわち、スーパースリム構成)を有する。
【0037】
他の例では、タバコ産業製品は、本明細書で説明される構成のいずれかのシガレットなどの喫煙品であることがある。そういった例では、マウスピースは、喫煙品によって生成された煙をフィルター濾過するためのフィルターを備えることがある。
【0038】
エアロゾル生成材料50のロッドは、第1のラッパ60がエアロゾル生成材料50のロッドの側面を取り囲むように、第1のラッパ60で包まれる。本ケースでは、第1のラッパ60は、ペーパーから形成される。第1のラッパ60は、エアロゾル生成材料50のロッドに直接接触する。第1のラッパ60は、本例では、0.60g/cm3の密度を有しており、40μmの厚さと24g/m2の坪量を有する材料から形成される。代替の例では、第1のラッパ60は、0.5~1.0g/cm3、例えば、0.50~0.70g/cm3の範囲の密度を有することができる。エアロゾル生成材料50のロッドは、長さが42mmであるが、20mm~80mm、例えば、30mm~60mm、又は、35mm~55mmの任意の長さにすることができる。接続ラッパ70は、本ケースでは、ペーパーから形成されており、第1のラッパ60の上に重なって、マウスピース10をエアロゾル生成材料50のロッドに接続する。
【0039】
消耗品構成要素10は、1つ又は複数の第2のラッパ、本ケースでは、内側ラッパ15a及び外側ラッパ15bを含み、個々がマウスピース10を少なくとも部分的に取り囲む。内側ラッパ15a及び外側ラッパ15bの個々は、シート材料、本ケースでは、ペーパーから形成される。本例では、外側の第2のラッパ15bの密度は、0.38g/cm3である。外側の第2のラッパ15bは、60μmの厚さと23g/m2の坪量を有する。内側及び外側の第2のラッパ15a、15bのうちの少なくとも一方は、0.2~0.45g/cm3の範囲の密度を有するシート材料を含むことができる。内側及び外側の第2のラッパ15a、15bのうちの少なくとも一方を形成するシート材料は、0.30g/cm3~0.45g/cm3、又は、0.35g/cm3~0.45g/cm3の範囲の密度を有することができる。
【0040】
第1のラッパ60を形成するシート材料は、第2のラッパ15a、15bのうちの一方又は個々を形成するシート材料のそれよりも高い熱伝導率を有する。これは、第1及び第2のラッパ60、15a、15bの密度のために適切な値を選択することによって達成できる。第1のラッパ60を形成するシート材料の熱伝導率は、0.07Wm-1K-1である。他の例では、第1のラッパ60を形成するシート材料の熱伝導率は、0.06Wm-1K-1よりも大きくできる。第1のラッパ60を形成するシート材料の熱伝導率は、例えば、0.06Wm-1K-1~1.2Wm-1K-1の間、例えば、0.08~1.1Wm-1K-1の間にすることができる。本明細書に記載される熱伝導率は、ラッパの厚さに関係なく、関連するシートラッパを形成する材料の熱伝導率である。
【0041】
外側の第2のラッパ15bを形成するシート材料の熱伝導率は、0.04Wm-1K-1であり、内側の第2のラッパ15aを形成するシート材料の熱伝導率は、0.07Wm-1K-1である。他の例では、内側及び外側の第2のラッパ15a、15bの一方又は双方を形成するシート材料の熱伝導率は、0.06Wm-1K-1未満、例えば、0.02Wm-1K-1~0.06Wm-1K-1の間である。
【0042】
熱伝導率は、米国カリフォルニア州デルマーのInternational Thermal Instrument Company、Inc.,から入手可能なモデルC-2500-HTS熱伝導率システムを使用するなど、知られている技術を使用して測定できる。装置の較正及び試験の特性は、現在のASTMのC177規格に従うことができる。
【0043】
本例では、マウスピース10は、2つの第2のラッパ15a、15bを含むように説明されているが、第2のラッパの数は、それに限定されない。マウスピース10は、3つ以上の第2のラッパを含むことができるか、或いは、代替的に、それが内側の第2のラッパ15aであろうと外側の第2のラッパ15bであろうと、単一の第2のラッパを含むことができる。3つの第2のラッパが存在するケースでは、追加の中間のラッパは、内側及び外側の第2のラッパ15a、15bの間に設けることができる。少なくとも3つの第2のラッパ15bの最も外側は、本明細書で定義される低密度及び/又は低熱伝導率の特徴を有するように配置できる。
【0044】
接続ラッパ70は、代替的に第2のラッパであることがあり、或いは、複数の第2のラッパのうちの1つであることがある。特に、接続ラッパ70を形成する材料の密度は、0.38g/cm3にすることができる。接続ラッパ70は、約60μmの厚さと約23g/m2の坪量を有することができる。代替的に、接続ラッパ70を形成する材料の密度は、0.2~0.45g/cm3の範囲、例えば、0.30g/cm3~0.45g/cm3、又は、0.35g/cm3~0.45g/cm3の範囲にすることができる。接続ラッパ70を形成するシート材料の熱伝導率は、0.04Wm-1K-1にすることができる。他の例では、接続ラッパ70の熱伝導率は、0.06Wm-1K-1未満、例えば、0.02Wm-1K-1と0.06Wm-1K-1の間である。
【0045】
使用中、構成要素100は、マウスピース10の少なくとも一部が加熱デバイスから突出して使用者の口の中に挿入できるように、加熱デバイス(図示せず)の中に挿入できる。エアロゾルは、加熱デバイスを使用してエアロゾル生成材料50を加熱することによって生成される。エアロゾル発生材料50によって生成されるエアロゾルは、マウスピース10を通って使用者の口に移る。
【0046】
第1のラッパ60を形成するシート材料が、第2のラッパ15a、15bの一方又は双方を形成するシート材料のそれよりも高い熱伝導率を有するという理由で、構成要素100の中へ、外へ、及び、内部での熱伝達は、構成要素の設計と比較して改善でき、同様の熱伝導率が第1及び第2のラッパによって提示される。本明細書で説明される構成要素の構成体は、熱をもたらし、マウスピース10を少なくとも部分的に取り囲む第2のラッパ(複数可)の各単位厚さを通してよりも、第1のラッパ60の各単位厚さを通してエアロゾル生成材料50の中により多く伝導される。この構成体は、エアロゾルの生成を容易にするために、使用中にエアロゾル生成材料50のロッドの中への良好な熱伝導を可能にし、同時に、第2のラッパ15a、15bの一方又は双方を通した熱伝導を低減し、使用者の口や指に接触する構成要素の温度を低下させる。
【0047】
第2のラッパ15a、15bの一方又は双方は、第1のラッパ60よりも厚い厚さを有することができる。例えば、第2のラッパ15a、15bの一方又は双方の厚さは、42μm~80μmの間、例えば、42μm~70μmの間、又は、50μm~70μmの間にすることができる。第1のラッパ60の厚さは、20~50μmの間、例えば、30~45μmの間にすることができる。
【0048】
代替的に又は加えて、第1のラッパ60を形成するシート材料の密度は、第2のラッパ15a、15bの一方又は双方を形成するシート材料の密度より高くてもよい。再び、これは、第2のラッパ15a、15bの一方又は双方を介した熱伝導と比較して、第1のラッパ60を介した熱伝導を手助けする。
【0049】
一例として、0.2g/cm3~0.45g/cm3の範囲の密度を有するシート材料を含む第2のラッパを提供することは、ラッパを介した熱伝導の減少を提供する。第1のラッパ60を形成するシート材料は、0.50g/cm3~0.70g/cm3の密度を有することができる。
【0050】
幾つかの例では、第2のラッパ15a、15bの一方又は双方は、20μm~100μmの範囲、又は、30μm~70μmの範囲の厚さを有することができる。例えば、第2のラッパ15a、15bの一方又は個々は、約60μmの厚さを有することができる。例えば、外側の第2のラッパは、約60μmの厚さを有することができる。内側の第2のラッパは、約40μmの厚さを有することができる。
【0051】
本明細書で説明されるような第2のラッパ15a、15bの一方又は双方(又は、適用できる場合に単一の第2のラッパ)は、多孔性シート材料を含むことができる。この文脈での多孔性材料は、200コレスタ単位よりも大きな通気度を有する材料を意味する。第2のラッパ(複数可)の多孔性シート材料は、500、1000、1500、又は2000コレスタ単位(CU)よりも大きな通気度を有することができる。第2のラッパ(複数可)の多孔性シート材料は、2000~8000CUの通気度を有することができる。第2のラッパ(複数可)の多孔性シート材料は、2500CUよりも大きな多孔性(ポロシティ)を有することが好ましい。ペーパーは、そういったシート材料として使用できる。代替的に、本明細書で説明されるような第2のラッパ15a、15bの一方又は双方(又は、適用できる場合に単一の第2のラッパ)は、200CU未満の通気度を有する非多孔性シート材料を含むことができる。このケースでは、材料へのバリアコーティング又は同様の変更は、例えば、所望の密度及び/又は熱伝導率の値を保持しながら、正しいレベルの通気度を提供するために使用できる。
【0052】
本明細書で説明されるような第1のラッパ60は、非多孔性のシート材料を含むことができる。この文脈における非多孔性の材料とは、200CU未満の通気度を有する材料を意味する。第1のラッパの非多孔性のシート材料は、150、125、又は100CU未満の通気度を有することができる。第1のラッパのシート材料は、例えば、75CUの通気度を有することができる。
【0053】
以下の表1及び表2は、本明細書で説明される消耗品構成要素において使用できるラッパ構成の様々な例、並びに、ラッパの関連する密度(表1)及び熱伝導率(表2)設定している。
【表1】
【表2】
【0054】
マウスピース10は、フィルター材料12のシリンダ状本体、本例では、酢酸セルローストウをさらに含む。フィルター材料12の本体は、長さが約8mm~14mmであることがある。本例では、フィルター材料12の本体は、長さが10mmである。トウは、9.5のデニール/フィラメント(d.p.f.)、12,000の総繊度を有する。第2のラッパ15a、15bは、フィルター材料12の本体を部分的に取り囲んでいる。
【0055】
マウスピース10は、第1の管セグメント16及び第2の管セグメント17をさらに備える。第1の管セグメント16は、フィルター材料12の本体の上流に配設され、他方、第2の管セグメント17は、フィルター材料12の本体の下流に配設される。第2の管セグメント17は、マウスピース10の口端に凹所を形成する。外側の第2のラッパ15bは、内側の第2のラッパ15aを第1の管セグメント16及び第2の管セグメント17に接続する。本例では、第1の管セグメント16は、長さが25mmであり、第2の管セグメント17は、長さが6mmである。他の例では、管セグメントの一方又は双方は、省略されることがある。
【0056】
本例では、第1及び第2の管セグメント16、17は、硬質ペーパーの1つ又は複数の層から形成される。他の例では、管セグメントの一方又は双方は、フィルター材料、例えば、酢酸セルロースから形成できる。
【0057】
本例では、換気穴(図示せず)は、チップ材料70、外側の第2のラッパ15b及び第1の管セグメント16に形成される。この構成体は、フィルター材料12の本体の上流の位置でマウスピース10の中に換気を提供する。換気穴は、レーザ穿孔又は機械式穿孔によって上記構成要素に形成できる。
【0058】
換気穴は、消耗品100の口端から約17mm~約25mmの間に配置できる。本例では、換気穴は、消耗品100の口端から約18mmに配置される。他の例では、換気穴は、フィルター材料12の本体の下流の位置でマウスピースの中に換気を提供するように、チップ材料70、外側の第2のラッパ15b、及び、第2の管セグメント17に形成されることがある。
【0059】
図2は、更なるタバコ産業製品の側面からの断面図である。更なるタバコ産業製品は、
図1に関して上で説明された消耗品構成要素100と実質上同じである修正型の消耗品構成要素100’である。差異は、下で説明される。
【0060】
修正型の消耗品構成要素100’は、マウスピース10’を含む。マウスピース10’は、フィルター材料12の本体の内部に配設される香味変更添加物を含む。本例では、香味変更添加物は、破断可能なカプセル20の内部に包含される。他の例では、香味変更添加物は、香料を担持するスレッドとして提供でき、或いは、他のエアロゾル修飾剤は、フィルター材料12の本体の内部に配設できる。
【0061】
この例では、単一のカプセル20が使用される。カプセル20は、フィルター材料12の内部に完全に埋め込まれる。換言すると、カプセル20は、フィルター材料12によって完全に取り囲まれる。他の例では、複数の破断可能なカプセル、例えば、2、3又はそれより多くの破断可能なカプセルは、フィルター材料12の内部に配設できる。複数のカプセルが使用される例では、個別カプセルは、互いに同じであってもよく、或いは、サイズ及び/又はカプセルペイロードの観点から互いに異なっていてもよい。
【0062】
カプセル20は、コアシェル構造を有する。換言すると、カプセル20は、液体香味料をカプセル化するシェルを含み、それは本明細書で説明される香味料のいずれか1つにすることができる。カプセルのシェルは、香味料をフィルター材料12の中に放出するために使用者によって破裂できる。非多孔性材料から第2のラッパ15a、15bのうちの少なくとも1つを形成することは、カプセル20が壊れたときに、液体香味料がラッパを通って漏出するのを防止するために作用できる。例えば、内側の第2のラッパ15aは、材料を液体香味料に対して実質的に不浸透性にするためのバリアコーティングを含むことができる。代替的に又は加えて、外側の第2のラッパ15bは、材料を液体香味料に対して実質的に不浸透性にするためのバリアコーティングを含むことができる。
【0063】
使用中に、使用者は、カプセル20を壊すために、使用途中の加熱デバイスから消耗品構成要素を除去できる。上で説明されたように、低減された熱伝導を提供する第2のラッパ15a、15bを使用することは、消耗品構成要素を除去するため及びカプセル20を壊すためにラッパを把持する際の熱に対する使用者の曝露を低減する。
【0064】
本明細書で説明される範囲の密度でマウスピースを取り囲む第2のラッパを設けることは、使用者がカプセルを壊すために押さなければならないより軟質の表面ももたらす。
【0065】
本例では、カプセル20は、球形であり、約3mmの直径を有する。他の例では、他の形状及びサイズのカプセルが使用できる。カプセルの総重量は、約10mg~約50mgの範囲にあることがある。
【0066】
本例では、カプセル20は、フィルター材料12の本体の内部の長手方向の中央位置に配置される。すなわち、カプセル20は、その中心がフィルター材料12の本体の各端部から5mmであるように配置される。他の例では、カプセル20は、フィルター材料の本体における長手方向中央位置以外の位置に、すなわち、フィルター材料の本体の上流端部よりも下流端部に近いか又はフィルター材料の本体の下流端部よりも上流端部に近い位置に配置できる。マウスピース10’は、カプセル20及び換気穴がマウスピース10’において互いに長手方向にオフセットされるように構成することが好ましい。
【0067】
マウスピース10’の断面は、
図3に示される。この図は、カプセル20、フィルター材料12の本体、及び、ラッパ15a、15bを示す。本例では、カプセル20は、マウスピース10’の長手方向軸線(図示せず)に中心決めされる。ラッパ15a、15bは、フィルター材料12のシリンダ状本体のまわりに同心円状に配置される。
【0068】
上で説明された例では、フィルター材料の本体は、消耗品の口端に向けて配設される。代替的又は追加的に、フィルター材料の本体は、消耗品の反対側(遠位)端部に配設されることがある。
【0069】
上で説明された例では、マウスピースは、フィルター材料の単一の本体を含む。他の例では、マウスピースは、フィルター材料の複数の本体を含むことがある。マウスピースは、フィルター材料の本体間の空洞を備えていてもよい。
【0070】
同じく本明細書で提供されるのは、タバコ加熱デバイス用のエアロゾル生成構成要素を製造する方法である。方法は、
図4に示されており、任意の順序で、エアロゾル生成材料を第1のシートラッパ内に、第1のシートラッパがエアロゾル生成材料の少なくとも一部を取り囲むように、包むこと(S101)と、マウスピースをエアロゾル生成材料の下流に配置すること(S102)と、マウスピースを第2のシートラッパ内に、第2のシートラッパがマウスピースの少なくとも一部を取り囲むように、包むことと、を含み、第1のシートラッパの熱伝導率は、第2のシートラッパの単位厚さあたりの熱伝導率よりも高い(S103)。S102及びS103は、マウスピースがエアロゾル生成材料の下流に配置される前に第2のシートラッパで包まれるように、逆の順序で代替的に実行できる。
【0071】
同じく本明細書に提示されるのは、マウスピースを製造する方法である。方法は、
図5に示されており、フィルター材料の本体を用意すること(S201)、及び、0.2g/cm
3~0.45g/cm
3の範囲の密度を有するシート材料をフィルター材料の本体に巻き付けること(S202)、を含む。
【0072】
様々な問題に対処して技術を進歩させる目的で、本開示の全体は、例証として様々な実施形態を示しており、権利請求された発明(複数可)は、実施できて優れたエアロゾル生成構成要素を提供できる。本開示の利点及び特徴は、単なる実施形態の代表的なサンプルのそれであって、網羅的及び/又は排他的ではない。それらが提示されるのは、権利請求された特徴の理解補助のためとその教示のためである。理解されるべきことは、本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は、他の態様が、特許請求の範囲によって定義されるような開示に対する制限、又は、特許請求の範囲と等価なものに対する制限と考えるべきではないこと、しかも、他の実施形態が利用でき、変更が実行でき、本開示の範囲及び/又は精神から逸脱しないということである。様々な実施形態は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段等々の様々な組合せを適切に含む、構成する、又は、本質的に構成することができる。加えて、本開示は、現在権利請求されていないが将来権利請求され得る他の発明を含む。