(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20230613BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20230613BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230613BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H01L23/46 C
H01L23/36 D
H01L23/36 Z
G06F1/20 C
(21)【出願番号】P 2019046070
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 宏敏
(72)【発明者】
【氏名】長葭 友之
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-068375(JP,A)
【文献】特開平03-070196(JP,A)
【文献】特開平05-327249(JP,A)
【文献】特開2016-058484(JP,A)
【文献】実開昭58-158446(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0006028(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250517(US,A1)
【文献】実開平04-013982(JP,U)
【文献】特開2017-157686(JP,A)
【文献】特開2017-152671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/34-23/473
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
回路基板と
、を備える電子機器であって、
前記回路基板の一表面には、電子部品を有するモジュール
が実装されており、
前記モジュールに
は、複数のフィン構造を有する放熱部品
が取り付けられており、
両端に取り付け部を有する流路構成部品をさらに含み、前記流路構成部品は、前記取り付け部の一端が前記回路基板
の前記一表面に取り付けられるとともに前記取り付け部の他端が前記放熱部品に取り付けられ
ることで前記モジュールの周囲を
覆っており、
前記流路構成部品は金属からなり、当該金属は、少なくとも前記回路基板に実装された前記電子部品と近接する部分で、その表面を絶縁材料で被覆されて
おり、
前記モジュール、前記放熱部品、および前記流路構成部品が搭載された前記回路基板が、前記筐体の1つの面に沿って配置されて前記筐体に収容される、電子機器。
【請求項2】
前記絶縁材料は、樹脂材料からなる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記樹脂材料は、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、及びPEEK樹脂のうちの、少なくとも1つを含む、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記絶縁材料は、セラミック材料からなる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記絶縁材料は、空気よりも高い絶縁性を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記流路構成部品
の前記取り付け部の金属部分が、前記放熱部品と
接するように固定部品により機械的に取り付けられる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記筐体は、排気装置に覆われた排気口と、前記排気口の反対側に設けられた吸気口と、を含み、前記吸気口から外気が導入され、前記筐体内で前記外気が暖められ、前記排気装置が、前記暖められた外気を前記排気口から前記筐体の外に排気する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体、前記回路基板、及び前記流路構成部品で囲まれた部分が、前記吸気口から前記排気口へ流れる気体の流路を構成し、前記放熱部品は前記流路内に突出して配設されている、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記流路構成部品は、前記放熱部品の前記フィン構造の間を通過する前記気体の流速を速くする、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記流路構成部品を構成する前記金属は、前記回路基板及び前記放熱部品のそれぞれとの取り付け部分を除いて、その表面を前記絶縁材料で覆われている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路構造を備える電子機器に関し、特に、絶縁材料で被覆された流路構成部品により構成された流路構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電子部品を搭載する電子機器は、動作時に熱を発生する発熱素子を多数含み、これらを冷却するために、発熱素子に取り付けられた放熱部品、及び強制排気装置を用いた空冷機構を備えている。しかしながら、電子部品の実装の高密度化に伴い機器の小型化が進展し、電子機器内部における発熱密度は高くなる一方である。このことから、高密度実装された発熱素子を十分に冷却するために、更に、効率のよい冷却構造が求められている。
【0003】
この種の効率化された冷却構造としては、強制排気装置により生じる冷却空気の流れに沿って放熱部品及び発熱素子を配置する技術がある(引用文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の冷却技術では、排気装置による空気の流れに沿って、発熱素子及び放熱部品を整列して配置することが求められ、筐体内に収納される電子部品やモジュールを設置する位置に制約が生じ、電子機器の更なる小型化には不向きである。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子部品が高密度実装されて発熱密度が高い電子機器において、薄い肉厚でも十分な機械的強度を有し、且つ隣接する電子部品との高い電気的絶縁性を実現する部品を用いて、その電子機器のより効率的な冷却を実現するための、冷却空気の流れを制御する流路構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の電子機器は、筐体と、筐体に収納され、回路基板に実装された電子部品を有するモジュールと、モジュールに取り付けられ、複数のフィン構造を有する放熱部品と、回路基板及び放熱部品のそれぞれに取り付けられ、モジュールの周囲を覆う流路構成部品と、を備え、流路構成部品は金属からなり、当該金属は、少なくとも回路基板に実装された電子部品と近接する部分で、その表面を絶縁材料で被覆されている。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様において、絶縁材料は、樹脂材料からなる。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、上記第2の態様において、樹脂材料は、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、及びPEEK樹脂のうちの、少なくとも1つを含む。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、上記第1の態様において、絶縁材料は、セラミック材料からなる。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第4の態様のいずれか1つにおいて、絶縁材料は、空気よりも高い絶縁性を有する。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第5の態様のいずれか1つにおいて、流路構成部品は、前記放熱部品と機械的に取り付けられる。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第6の態様のいずれか1つにおいて、筐体は、排気装置に覆われた排気口と、排気口の反対側に設けられた吸気口と、を含み、吸気口から外気が導入され、筐体内で外気が暖められ、排気装置が、暖められた外気を排気口から筐体の外に排気する。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、上記第7の態様において、筐体、回路基板、及び流路構成部品で囲まれた部分が、吸気口から排気口へ流れる気体の流路を構成し、放熱部品は流路内に突出して配設されている。
【0015】
本発明の第9の態様によれば、上記第8の態様において、流路構成部品は、放熱部品のフィン構造の間を通過する気体の流速を速くする。
【0016】
本発明の第10の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第9の態様のいずれか1つにおいて、流路構成部品を構成する金属は、回路基板及び放熱部品のそれぞれとの取り付け部分を除いて、その表面が絶縁材料で覆われている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電子機器によれば、電子部品が高密度実装されて発熱密度が高い電子機器において、薄い肉厚でも十分な機械的強度を有し、且つ隣接する電子部品との高い電気的絶縁性を実現する部品を用いて、その電子機器のより効率的な冷却を実現するための、冷却空気の流れを制御する流路構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の電子機器の一実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明の電子機器の一実施形態の斜視図である。
【
図3】本発明の電子機器の一実施形態の排気装置が設置された側面図である。
【
図4】本発明の電子機器の一実施形態の吸気口が配置された側面図である。
【
図5】本発明の電子機器の一実施形態の内部の斜視図である。
【
図6】本発明の電子機器の一実施形態の内部の斜視図である。
【
図7】本発明の電子機器の一実施形態の側方から見た内部構造を示す図である。
【
図8】本発明の電子機器の一実施形態に含まれるモジュールの拡大図である。
【
図9】本発明の電子機器の一実施形態の冷却風の流路を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1及び
図2は、本発明の電子機器の一実施形態の斜視図である。電子機器1は、直方体形状の筐体2を有し、その1つの側面には2つの排気口が設置され、それらの排気口のそれぞれを覆う2つの排気装置3が設置されている(
図1)。そして、当該1つの側面と対向して反対側に位置する、別の側面には吸気口5が設置されている(
図2)。
【0021】
排気装置3が設置された側面図を
図3に示す。この側面の左側に2つの排気装置3が上下に並べて設置されている。これらの排気装置3は、例えば電動ファンであり、筐体2に開口された2つの排気口を通して、筐体2の内部の空気を排気することができる。
【0022】
排気装置3に覆われた排気口4に対向する位置に、吸気口5が設置されている(
図4)。排気装置3が稼働して筐体2の内部の空気を排気口4から排気すると、筐体2に生じる圧力傾斜により反対側にある吸気口5から外気が筐体2の内部に導入される。この外気は筐体2の内部全体を通って排気口4から筐体2の外部へ排気される。このように排気装置3を稼働させることにより、吸気口5から排気口4への空気の流れを発生させることができる。
【0023】
図5~
図7には筐体2の内部の構造を示す。
図5及び
図6はそれぞれ、
図1及び
図2と同じ方向から見た斜視図であり、
図7は、内部の構造を真横から見た図である。
【0024】
筐体2の内部には、筐体2の底面に沿って配置された第1の回路基板11と、筐体2の上面に沿って配置された第2の回路基板12が配置され、第1の回路基板11及び第2の回路基板12のそれぞれに設置された電子部品やモジュールが収納されている。筐体2の底面には、更に、内部ケース10が設置されている。
【0025】
第1の回路基板11には、排気口4側に第1のモジュール21が設置され、内部ケース10に隣接して第2のモジュール22設置されている。また、第1のモジュール21と第2のモジュール22の間には、電子部品14が設置されている。
【0026】
第1のモジュール21及び第2のモジュール22は発熱素子を含み、第1のモジュール21には第1の放熱部品26が、第2のモジュール22には第2の放熱部品27が取り付けられ、各モジュールからの発熱は、各放熱部品に伝導され放熱される。第1の放熱部品26及び第2の放熱部品27は、例えば、フィン構造を多数備え、熱伝導性が良好な金属材料により構成することができる。
【0027】
第2の回路基板12には、吸気口5側に第3のモジュール23が設置され、排気口4側に第4のモジュール24及び電子部品25が配置されている。また、第3のモジュール23と第4のモジュール24の間には、3つの電子部品15、16、17が設置されている。これら、2つのモジュール及び3つの電子部品はいずれも、筐体2の上面に沿って設置されている第2の回路基板12から、筐体2の内部の中央に向かって突出して設置されている。
【0028】
第3のモジュール23及び第4のモジュール24は発熱素子を含み、第3のモジュール23に第3の放熱部品28が、第4のモジュール24に第4の放熱部品29が取り付けられ、それぞれのモジュールからの発熱は各放熱部品に伝導され放熱される。第3の放熱部品28及び第4の放熱部品29は、例えばフィン構造を多数備え、熱伝導性が良好な金属材料により構成することができる。
【0029】
第1のモジュール21の、排気口4側に面する側面を、第1の放熱部品26から第1の回路基板11に亘って延在するように取り付けられた第1の流路構成部品31により覆う。そして、第1のモジュール21の他の側面を覆うように、第2の流路構成部品32の両端のそれぞれが、第1の放熱部品26及び第1の回路基板11に取り付けられている。第1のモジュール21の側面は、その全体を、第1の流路構成部品31及び第2の流路構成部品32で覆われて、第1の放熱部品26だけが筐体2の内部に露出した構造となっている。
【0030】
又、第2のモジュール22と内部ケース10との間は、第2の放熱部品27から内部ケース10に亘って延在するように取り付けられた第3の流路構成部品33で覆っている。そして、第2のモジュール22の他の側面は、第2の放熱部品27及び第1の回路基板11に、その両端を取り付けられた第4の流路構成部品34で覆われている。これらにより、第2のモジュール22は、その側面の全体を、第3の流路構成部品33及び第4の流路構成部品34で覆われて、第2の放熱部品27だけが筐体2の内部に露出した構造となっている。
【0031】
更に、第3のモジュール23の吸気口5側に面した側面を、第3の放熱部品28及び第2の回路基板12に、その両端を取り付けられた第5の流路構成部品35により覆う。そして、第3のモジュール23の他の側面を覆うように、第6の流路構成部品36の両端が、それぞれ第3の放熱部品28及び第2の回路基板12に取り付けられている。第3のモジュール23の側面は、その全体を、第5の流路構成部品35及び第6の流路構成部品36で覆われて、第3の放熱部品28だけが筐体2の内部に露出した構造となっている。
【0032】
更に、第4のモジュール24の排気口4側に面した側面を、第4の放熱部品29及び第2の回路基板12に、その両端を取り付けられた第7の流路構成部品37により覆う。そして、第4のモジュール24の他の側面を覆うように、第8の流路構成部品38の両端が第4の放熱部品29及び第2の回路基板12に取り付けられている。第4のモジュール24の側面は、その全体を、第7の流路構成部品37及び第8の流路構成部品38で覆われて、第4の放熱部品29だけが筐体2の内部に露出した構造となっている。
【0033】
一方、第1の回路基板11に設置された電子部品14、及び第2の回路基板12に設置された3つの電子部品15、16、17のそれぞれは、その全体が筐体2の内部に露出している。これらは、発熱量が少なく、放熱部品を取り付けなくても加熱することはない部品である。
【0034】
図8は、第4のモジュール24の拡大図である。第2の回路基板12に第4のモジュール24が設置され、第4のモジュール24には第4の放熱部品29が取り付けられている。第4のモジュール24の側面を覆う第8の流路構成部品38は、この図では省略されている。
【0035】
第7の流路構成部品37はその両端に、第4の放熱部品29に取り付けるための取り付け部321及び第2の回路基板12に取り付けるための取り付け部322を有し、第4の放熱部品29及び第2の回路基板12のそれぞれには、固定部品40、例えば螺子により固定されている。第7の流路構成部品37は、第4の放熱部品29に効率よく冷却風をあてるために、側方整流部323を有してもよい。
【0036】
高密度実装がなされた電子機器において、冷却風を整流するための流路構成部品は、狭隘な部分に設置できなければならない。従って、形状加工性に優れ、厚さが薄くても機械的な強度が強く、螺子やボルトなどの汎用的な固定部品を用いて取り付け及び取り外しが容易にでき、且つ放熱部品と接することから熱伝導性が高いことが求められる。例えば、流路構成部品を金属で作成することにより、これらの要件を満たすことができる。
【0037】
但し、金属などの導電材料からなる流路構成部品を設置する場合、近接して配置される電子部品との間(
図8の第7の流路構成部品37と電子部品25)で、例えば放電により、絶縁破壊を生じる可能性がある。これを防止するためには、流路構成部品と電子部品との間の電位差に対して相応の絶縁距離が必要となる。このことは、電子部品をより高密度で実装して電子機器を小型化したい要求とは相反するため好ましくない。
【0038】
そのため、金属からなる流路構成部品を用いる場合は、その表面を、取り付け部を除いて絶縁材料で被覆することが好ましい。このことにより、流路構成部品と電子部品との間の絶縁距離は非常に小さくすることができ、更に、被覆する絶縁材料の絶縁性に対して流路構成部品と電子部品との間の電位差が十分に小さければ、接触するように設置されてもよい。
【0039】
このような絶縁材料として、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、及びPEEK樹脂のような樹脂材料を用いることができる。又、セラミック材料を用いてもよい。いずれにしても、空気よりも絶縁破壊電圧が高く、且つ金属を被覆することができる材料であれば使用することができる。
【0040】
図9には、排気装置3の稼働により、吸気口5から外気51が吸入され、筐体2の内部を流れて、排気口4から外部に排気される冷却風の流路を示す。排気装置3を稼働することにより、矢印50に示すように筐体2の内部の暖気が排気され、そのときに生じる圧力傾斜により吸気口5から外気51が筐体2の内部に導入される。
【0041】
導入された外気51は、第3の放熱部品28の中を流れる冷却風71となる。第5の流路構成部品35により外気51は第3のモジュール23の周囲に回り込むことなく、第3の放熱部品28に流れ込むように整流(矢印61)される。又、外気51の一部は、内部ケース10と第3の放熱部品28との間を通過する冷却風52となる。
【0042】
図5及び
図6に示されたとおり、第3の放熱部品28は、吸気口5から排気口4に向かって流れる冷却風の流れに対して平行な複数のフィン構造を有する。冷却風71は、これらの複数のフィン構造の間を流れて第3の放熱部品28を効率よく冷却する。同様に、第1の放熱部品26、第2の放熱部品27、及び第4の放熱部品29のそれぞれも、吸気口5から排気口4に向かって流れる冷却風の流れに対して平行な複数のフィン構造を有する。
【0043】
冷却風52の多くは、第2の放熱部品27の中を流れる冷却風72となる。第3の流路構成部品33により第2のモジュール22と内部ケース10との間が塞がれているので、その間に冷却風が回り込むことはなく(矢印62)、その全てが第2の放熱部品27に流入する。そして、冷却風72は第2の放熱部品27の中を通過してそれを冷却した後、第1の放熱部品26に向かう。
【0044】
その冷却風72の一部は、第1の回路基板11の方向に矢印64に示したように回り込んで電子部品14を冷却する。但し、第1のモジュール21は第2の流路構成部品32で、その側面の周囲を覆われ、第2のモジュール22は第4の流路構成部品34で、その側面の周囲を覆われているので、それらのモジュールの周囲に冷却風が流れ込むことなく第1の回路基板11の表面近傍まで回り込んだ流れ(矢印64)も第1の放熱部品26に向かう。
【0045】
一方、冷却風52の一部及び冷却風71は、筐体2の中央を流れる冷却風53となり、3つの電子部品15、16、17を冷却する。その一部は、第2の回路基板12の方向へ回り込む(矢印63)が、第3のモジュール23及び第4のモジュール24のそれぞれの周囲は第6の流路構成部品36及び第8の流路構成部品38で覆われているので、冷却風がモジュールの周囲に流れ込むことはない。
【0046】
排気口4側では、排気装置3の稼働により冷却風が筐体2の外部へ排気されている。ここで、第1のモジュール21の排気口4側の側面は第1の流路構成部品31で覆われ、第4のモジュール24の排気口4側の側面は第7の流路構成部品37で覆われている。従って、筐体2の内部の空気は、第1の放熱部品26を流れる冷却風74、第4の放熱部品29を流れる冷却風73、及び第1の放熱部品26と第4の放熱部品29の間を流れる冷却風54のいずれかとなって排気口4から排気される。
【0047】
このように、吸気口5から導入された外気は、筐体2内の各々の放熱部品及び各々の電子部品を冷却することにより暖められ暖気となり、その暖気は排気口4を通って、排気装置3により、筐体2の外部へ排気される。
【0048】
又、吸気口5から排気口4に流れる気体(冷却風)が流れる経路(流路)は、筐体2の側壁、第1の回路基板11及び第2の回路基板12、並びに第1の流路構成部品31~第8の流路構成部品38のそれぞれで囲まれた領域である。そして、その流路内には、各々の放熱部品が突出して配設され、放熱部品はそれぞれ冷却風の流れに平行な複数のフィン構造を有する。
【0049】
更に、排気口4は、筐体2の底面近傍の第1の回路基板11から、上面近傍の第2の回路基板12の間全体に亘って排気できる大きさで開口されているが、冷却風の流れは、第1の流路構成部品31及び第7の流路構成部品37により整流され、第1の放熱部品26と第4の放熱部品29、及びその間からなる、狭い流路に規制される。これにより、第1の放熱部品26と第4の放熱部品29の中を通過する冷却風の流速が速くなり、冷却能力を向上している。吸気口5側の第5の流路構成部品35も同様に、吸気口5から導入される外気を整流して、第3の放熱部品28の中を通過する冷却風の流速を速くしている。
【0050】
以上説明したとおり、本発明の電子機器によれば、電子部品が高密度実装されて発熱密度が高い電子機器において、薄い肉厚でも十分な機械的強度を有し、且つ隣接する電子部品との高い電気的絶縁性を実現する部品を用いて、その電子機器のより効率的な冷却を実現するための、冷却空気の流れを制御する流路構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子機器
2 筐体
3 排気装置
4 排気口
5 吸気口
8 コネクタ
10 内部ケース
11 第1の回路基板
12 第2の回路基板
14、15、16、17、25 電子部品
21、22、23、24 モジュール
26、27、28、29 放熱部品
31、32、33、34、35、36、37、38 流路構成部品
321、322 取り付け部
323 側方整流部
40 固定部品
50-53、61-66、71-74 冷却気体の流れ