IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリクセルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】携帯用デジタル放射線カセッテ
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230613BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20230613BHJP
   G03B 42/04 20210101ALI20230613BHJP
   G01N 23/04 20180101ALN20230613BHJP
【FI】
A61B6/00 300W
G01T7/00 A
G03B42/04 A
G01N23/04
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018229920
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2019103805
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】1762131
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515004577
【氏名又は名称】トリクセル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ル・ベシャンネック
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・テュアイヨン
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0167900(US,A1)
【文献】米国特許第05185776(US,A)
【文献】特開2012-042646(JP,A)
【文献】特開2014-032044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0169714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0293771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
G01T 1/00-1/16、1/167-7/12
G03B 42/00-42/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(20)をパッケージングするための方法であって、前記ハウジングは、第1の大きい方の面(21)および第2の大きい方の面(22)を含む主面と、側面(23、24、25、26)であって、前記ハウジングの角によって対をなして隔てられている前記側面と、によって画定された実質的に平行六面体形状を有するとともに、平面パネル形態の電離放射線のデジタル検出器(5)を収容し、
前記方法は、前記第1の大きい方の面(21)を超えて延びるとともに、隣接した側面(23、24、25、26)を被覆するように、互いに独立して折り重ねることが可能なフラップ(R1、R2、R3、R4)を含む第1のフィルム(F1)で、前記ハウジング(20)の前記第1の大きい方の面(21)を被覆する第1のステップ(100)を含む、いくつかのフィルムで前記ハウジングを被覆する主ステップを含み、
前記被覆する主ステップが、第2のフィルム(F2)で前記第2の大きい方の面(22)を被覆するとともに、前記第2のフィルム(F2)が前記第2の大きい方の面(22)だけを被覆するステップを含み、
前記被覆する主ステップが、前記2つのフィルムが重なり合わないよう実行されるとともに、前記第1のフィルム(F1)と前記第2のフィルム(F2)との間の隙間を封止材(J)で封止するステップを含む方法。
【請求項2】
前記第1のフィルム(F1)が、前記第1の大きい面(21)を超えて延びる少なくとも3つのフラップ(R1、R2、R3)を含むとともに、前記ハウジング(20)の前記側面のうちの少なくとも3つ(23、24、25)を被覆するように互いに独立して折り重ねることが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フラップ(R1、R2、R3)が前記ハウジングの隣接した側面を被覆するように、前記フラップを折り重ねるステップ(110)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記フラップが隣接した側面を超えて延びるとともに、前記フラップの残余部分(r1、r2、r3、r4)が前記第2の大きい方の面を被覆するように、前記フラップを折り重ねるステップ(120)を含む方法。
【請求項5】
前記被覆する主ステップが、前記第2の大きい方の面(22)に対して所定の位置の第1の裁断線(l1)に沿って、前記第2の大きい面(22)を被覆する前記フラップの前記残余部分(r1、r2、r3、r4)の縁端部を裁断し、除去するステップと、前記第1の裁断線(l1)に対して所定の位置および形状の有端の第2の裁断線(l2)に沿って、前記第2のフィルム(F2)の縁端部を裁断し、除去するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
角保護材(P1、P2、P3、P4)で前記ハウジングの前記角を被覆するステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハウジングの角を含む前記ハウジングの角部分であって、前記ハウジングの角を取り囲む前記ハウジングの角部分を露出するように、前記ハウジングの角を取り囲む前記第1のフィルム(F1)の縁端部を裁断し、除去するステップを含むとともに、前記第1のフィルム(F1)を被覆せずに、前記角部分を被覆するために前記角保護材が配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各角保護材の厚さ、および各フィルムの厚さが、カセッテが平面支持体上に配置されたときに、前記角保護材だけが前記平面支持体と接触しているように選択される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのフィルムがプラスチックフィルムと、アセンブリ層と、前記プラスチックフィルムと前記アセンブリ層との間に挟まれた印刷層とを含み、前記アセンブリ層により、前記第1のフィルムを前記ハウジングに接着させることが可能になっている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
携帯用放射線カセッテであって、前記放射線カセッテは、ハウジング(20)であって、第1の大きい方の面(21)および第2の大きい方の面(22)を含む主面と、側面(23、24、25、26)であって、前記ハウジングの角によって対をなして隔てられている前記側面と、によって画定された実質的に平行六面体形状を有するハウジングを備え前記ハウジングは、平面パネル形態の電離放射線のデジタル検出器(5)を収容前記ハウジングは、前記第1の大きい面を被覆する第1のフィルムを含むいくつかのフィルムで被覆されており前記第1のフィルムは、前記第1の大きい方の面(21)を超えて延びるフラップであって、隣接した側面(23、24、25、26)を被覆するように、互いに独立して折り重ねられるフラップを含
前記放射線カセッテはさらに、前記第2の大きい方の面だけを被覆する第2のフィルムと、
前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの間の隙間を封止する封止材とを含む、放射線カセッテ。
【請求項11】
各フラップの残余部分が前記第2の大きい方の面を被覆する、請求項10に記載の放射線カセッテ。
【請求項12】
前記角を被覆する角保護材(P1、P2、P3、P4)を含む、請求項11に記載の放射線カセッテ。
【請求項13】
前記角保護材が前記フィルムを被覆しない、請求項12に記載の放射線カセッテ。
【請求項14】
各角保護材の厚さ、および各フィルムの厚さが、前記カセッテが平面支持体上に配置されたときに、前記角保護材だけが前記平面支持体と接触しているように選択される、請求項13に記載の放射線カセッテ。
【請求項15】
少なくとも1つのフィルムがプラスチックフィルムと、アセンブリ層と、を含み、前記アセンブリ層により、前記第1のフィルムを前記ハウジング、およびプラスチックフィルムと前記アセンブリ層との間に挟まれた印刷層に接着させることが可能になっている、請求項10~14のいずれか一項に記載の放射線カセッテ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放射線システムに装備することを意図した携帯用放射線カセッテに関する。カセッテは、受けた放射線の関数である画像の提供を可能にする電離放射線のデジタル検出器を備える。
【0002】
放射線システムは、例えば、X線管のような、X線放射線の生成を可能する電離放射線のソースと、X線管および検出器を同期させることを可能にし、かつ、例えば、輪郭強調処理動作によって、検出器に固有のすべての欠陥を修正して画質を向上させた画像をオペレータに提示するといったような、画像処理動作を実行することもまた可能にする情報処理システムを含む基地局と、をさらに備える。X線画像が得られることになる対象物が、ソースと検出器との間に配置される。このようなシステムは、例えば、医用放射線学および非破壊検査などの多くの用途で使用することができる。本発明は、他のタイプの放射線、特にガンマ線を検出するために実施することもまた可能である。
【背景技術】
【0003】
従来、放射線システムはかさが高く、動かせないものであった。所望の画像を得るためには、対象物をシステムに対して位置決めすることが必要であった。例えば、仏国特許出願公開第2 605 166号明細書に記載されているような固体検出器の出現により、検出器はそれほどかさの高いものではなくなり、固定されたままの対象物に対して検出器を移動させることが可能になっている。医用放射線学のために、移動型カセッテの形態でデジタル検出器が生み出され、現在では、患者の健康状態によって患者が放射線撮影用に指定された部屋へ移動できないときには、画像生成の対象になっている患者のすぐ近くに配置することが可能になっている。
【0004】
携帯用カセッテは、主として機械的に支持する機能、および落下した際に検出器を変形しないように保護する機能を確実に果たすハウジングを備える。ハウジングは、実質的に平行六面体形状を有する。検出される放射線は、その大きい方の面のいずれか1つを通ってハウジングを通過する。
【0005】
ハウジングの外側表面は未処理のままにしておくことも、あるいは、塗装することもできる。外側表面を未処理のままにしておくことは、見た目があまり美しくなく、医用放射線学においてカセッテを使用する場合には、頻繁に行わなければならない洗浄に適さない場合が多い。ハウジングの外側表面を塗装することにより、見た目を美しくすることが可能になるが、堅牢性は、衝撃、引っ掻き傷、またさらには、カセッテを繰り返し取り扱うことによる摩耗などの機械的酷使に直面するのでやはり制限されたままである。
【0006】
代替的な解決策は、プラスチックフィルム系のコーティングでハウジングを被覆して、液体および塵埃に対するカセッテの気密度を確保するというものである。
【0007】
このタイプのコーティングにより、カセッテの外側表面の引っ掻き傷や摩耗に対する機械抵抗もまた強化され、薬物濫用、特に洗浄剤および消毒剤からの薬物濫用に耐え得るようになる。放射線に曝露される面については、放射線の減衰は最小かつ一定である。
【0008】
それに加え、医用放射線学で使用する際には、カセッテを台車に、より一般的に言えば病院の備品に配置することが必要である。カセッテは、ある速度で配置されると直ちに停止し、一度配置されると、偶発的なストレス下であってもそのままの位置にとどまるだけの十分な摩擦係数を有していなければならない。これは、摩擦係数が適切であることを暗に示している。逆に、使用段階では、摩擦係数は、過度の労力を要さずに検出器が患者の下で摺動可能であるように十分に低いものでなければならない。フィルムは、塗装よりも機械的酷使に対してはるかに耐性があり、洗浄の適性に有害な粗度および保持ゾーンが最小であり、最終的には、フィルムの交換によってカセッテの外観を更新可能にすることができる。不純物がそこに蓄積する可能性がある引っ掻き傷が存在する状態では、交換は特に有用である。
【0009】
仏国特許出願公開第3000344号明細書に開示されている解決策は、ハウジングの大きい方の面をプラスチックフィルムでそれぞれ連続的に被覆し、ハウジングの3つの側面を被覆し、ハウジングの3つの側面の上にこれらのフィルムを重なり合わせておおよそ110℃の温度で熱成形することにより、ハウジングの表面に成形するというものである。熱成形を真空で行い、フィルムがハウジング上に確実に積層され、折り目が形成されないようにする。2つのフィルムは、ハウジングの側面上で重なり合っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】仏国特許出願公開第2 605 166号明細書
【文献】仏国特許出願公開第3000344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この方法はいくつかの短所を示している。
【0012】
熱成形段階において、各フィルムが引き伸ばされ、したがってフィルムは、特にハウジングの角の、ハウジングが強い機械的応力を受ける箇所で薄くなることでフィルムが脆化し、フィルムの早期経年劣化を招く。フィルムを引き伸ばすことにより、大きい方の面の周囲の接着剤の厚さが薄くなることで、フィルムによって得られる保護の堅牢性もまた制限される。フィルムに温度による応力がかかることで、フィルムは破損し易くなり、フィルムの早期経年劣化に結びつく。それに加え、従来、ハウジングは、フィルムが接着し難いアルミニウム部分を有する。事実、アルミニウムは良好な熱導体であるが、局所的に低すぎる温度に留まり、接着剤の硬化を阻む障害となっている。
【0013】
熱成形には高温での加熱が必要であるため、印刷によるカセッテのカスタマイズは、かなりの応力を受けるこのカスタマイズを脆化するフィルムへの接着段階の後にしか行うことができない。それに加え、この方法はコストがかかり、しかもかなり長い時間がかかり、特に真空状態を作るための重機が必要になる。
【0014】
本発明の目的の1つは、上述した短所のうち少なくとも1つを制限することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明の主題は、ハウジングであって、第1の大きい方の面および第2の大きい方の面を含む主面と、側面であって、ハウジングの角によって対をなして隔てられている側面と、によって画定された実質的に平行六面体形状を有するとともに、平面パネル形態の電離放射線のデジタル検出器を収容するハウジングをパッケージジングするための方法であって、第1の大きい方の面を超えて延びるとともに、隣接した側面を被覆するように、互いに独立して折り重ねることが可能なフラップを含むように第1の大きい方の面に対して構成され、位置決めされ、かつ、方向付けされた第1のフィルムで、ハウジングの第1の大きい方の面を被覆する第1のステップを含む、いくつかのフィルムでハウジングを被覆する主ステップを含む方法である。
【0016】
有利には、第1のフィルムが、第1の大きい面を超えて延びる少なくとも3つのフラップを含むとともに、ハウジングの側面のうちの少なくとも3つを被覆するように互いに独立して折り重ねることが可能である。
【0017】
有利には、方法は、フラップが、ハウジングの隣接した側面を被覆するように、フラップを折り重ねるステップを含む。
【0018】
有利には、フラップが隣接した側面を超えて延びるとともに、方法は、フラップの残余部分が第2の大きい方の面を被覆するように、フラップを折り重ねるステップを含む。
【0019】
有利には、被覆する主ステップが、第2のフィルムで第2の大きい方の面を被覆するとともに、第2のフィルムが第2の大きい方の面だけを被覆するステップを含む。
【0020】
有利には、被覆する主ステップが、2つのフィルムが重なり合わないように実行されるとともに、方法は、第1のフィルムと第2のフィルムとの間の隙間を封止材で封止するステップを含む。
【0021】
有利には、被覆する主ステップが、第2の大きい方の面に対して所定の位置の裁断線に沿って、第2の大きい方の面を被覆するフラップの残余部分の縁端部を裁断し、除去するステップと、第1の裁断線に対して所定の位置および形状の有端の第2の裁断線に沿って、第2のフィルムの縁端部を裁断し、除去するステップと、を含む。
【0022】
有利には、方法は、角保護材でハウジングの角を被覆するステップを含む。
【0023】
有利には、方法は、ハウジングの角を含み、かつ、取り囲むハウジングの空き部分を残すために、ハウジングの角を取り囲む第1のフィルムの縁端部を裁断し、除去するステップを含むとともに、第1のフィルムを被覆せずに、空き部分を被覆するために角保護材が配置されている。
【0024】
有利には、各角保護材の厚さ、および各フィルムの厚さが、カセッテが平面支持体上に配置されたときに、角保護材だけが平面支持体と接触しているように選択される。
【0025】
有利には、少なくとも1つのフィルムがプラスチックフィルムと、アセンブリ層と、を含み、アセンブリ層により、第1のフィルムをハウジング、および、プラスチックフィルムとアセンブリ層との間に挟まれた印刷層に接着させることが可能になっている。
【0026】
本発明は、ハウジングであって、第1の大きい方の面および第2の大きい方の面を含む主面と、側面であって、ハウジングの角によって対をなして隔てられている側面と、によって画定された実質的に平行六面体形状を有するとともに、平面パネル形態の電離放射線のデジタル検出器を収容するハウジングであり、第1の大きい面を被覆する第1のフィルムであって、第1の大きい方の面を超えて延び、隣接した側面を被覆するように、互いに独立して折り重ねられるフラップを含む第1のフィルムを含む、いくつかのフィルムで被覆されているハウジングを備える携帯用放射線カセッテにもまた関する。
【0027】
有利には、各フラップの残余部分が第2の大きい方の面を被覆する。
【0028】
有利には、カセットが第2の大きい方の面だけを被覆する第2のフィルムを含む。
【0029】
有利には、放射線カセットが、第1のフィルムと第2のフィルムとの間の隙間を封止する封止材を含む。
【0030】
有利には、放射線カセッテが、角を被覆する角保護材を含む。
【0031】
有利には、角保護材がフィルムを被覆しない。
【0032】
有利には、各角保護材の厚さ、および各フィルムの厚さが、カセッテが平面支持体上に配置されたときに、角保護材だけが平面支持体と接触しているように選択される。
【0033】
有利には、少なくとも1つのフィルムがプラスチックフィルムと、アセンブリ層と、を含み、アセンブリ層により、第1のフィルムをハウジング、および、プラスチックフィルムとアセンブリ層との間に挟まれた印刷層に接着させることが可能になっている。
【0034】
本発明は、例として示される実施形態の詳細な説明を読むことでよりよく理解され、かつ、他の利点が明らかになるであろう。なお、この説明は、添付の図面によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明を実施する放射線システムを表す。
図2】本発明によるカセッテのハウジングの全体像を表す。
図3a】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3b】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3c】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3d】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3e】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3f】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3g】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3h】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3i】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3j】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図3k】本発明による方法の様々なステップの後に得られたハウジングを、次いで中間製品、ならびに、ハウジングによって画定された平行六面体の第1の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3a、図3b)、およびハウジングによって画定された平行六面体の第2の大きい方の面に面して上から見たカセッテ(図3c~図3k)を表す。
図4図3iの中間製品の、切断面AAに沿った断面図を概略的に表す。
図5】第1のフィルムF1の断面図を概略的に表す。
図6図3kの切断面BBに沿ったカセッテの断面図を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
わかり易くするために、様々な図において同一の要素は同一の参照符号を有するものとする。
【0037】
図1は、医療用に意図された放射線システムを表す。システムは、固定基地局1、X線発生装置2、および携帯用カセッテ3の形態の放射線検出器を備える。カセッテは、発生装置2からのX線が通過する患者4の画像の取得を可能にする。カセッテ3は、平面パネル5によって得られた画像の読み取り、およびアナログ/デジタル変換器を通して画像のデジタル化を可能にする制御モジュール6に連結された、平面パネル5の形態で製造されたデジタル検出器を備える。移動型カセッテ3は、データ管理モジュール7、無線モジュール8、バッテリ9、およびバッテリ管理モジュール10もまた備える。
【0038】
基地局は、無線モジュール14、データ管理モジュール15、および電源16を備える。
【0039】
カセッテ3と基地局1との間の通信手段11は、カセッテ3と基地局1との間で画像などのデータの転送を可能にしている。データは、基地局1からカセッテ3に向けて、またはカセッテ3から基地局1に向けて循環することができる。カセッテ3に向けては、これは、例えば、平面パネル5からのコマンド情報に関するものであり、また、基地局1に向けては、データは、例えば、平面パネル5によって生成された画像を含む。
【0040】
通信手段は、取り外し可能な有線リンク12および/または無線リンク13を含むことができる。2つのリンク12および13は、いずれもデータの転送が可能である。2つの無線モジュール8および14は、基地局1とカセッテ3との間のデータ交換を可能にする。カセッテ3のデータ管理モジュール7は、制御モジュール6から受信したデータ、または発信されるデータを、リンク12または13のうちの1つに切り換えることを可能にする。同様に、基地局1において、データ管理モジュール15は、リンク12または13のうちの1つから受信したデータ、または発信されるデータを切り換えることを可能にする。電源16は、基地局1の、およびカセッテ3の様々なモジュールの動作に必要な電気エネルギーを供給する。
【0041】
カセッテ3の給電は、有線リンク12またはバッテリ9を介して行われる。有利には、システムはバッテリ9を再充電するための手段を備える。より具体的には、バッテリ管理モジュール10は、バッテリ9の充電量を測定し、必要に応じてバッテリを再充電させる。
【0042】
図2は、本発明による放射線カセッテ3のハウジング20を表す。ハウジング20は、実質的に平行六面体形状を有する。デジタル検出器5、制御モジュール6、データ管理モジュール7、無線モジュール8およびバッテリ管理モジュール10は、ハウジング20の内部に配置される。これら4つのモジュールは、電子回路基板上に配置される。モジュールは、単なる例として示されている。それらは本発明の実施に必須のものではない。交換の際にやり易くするように、バッテリ9はハウジング20の外部に配置される。
【0043】
ハウジング20は、実質的に平行六面体形状の境界を定める6つの主面21~26を有する。6つの面は平行な対をなしている。主面の大きい方の面21および22は、側面23~26によって対をなして隔てられたハウジングの角C1、C2、C3、C4によって互いに連結されている。検出器5は、平面パネル形態で、互いに平行な2つの大きい方の面21および22のものに近い放射線検出面を有する。その他の面23~26は、ハウジング20の小さい方の面である。図の実施形態では、平行六面体は実質的に長方形である。一変形例では、平行六面体の面は長方形ではない。
【0044】
バッテリ9は、ハウジング20によって形成された平行六面体の容積の内部に収容される。バッテリ9は、ハウジング20の外部の、面22に作られた凹部30の中に収容される。凹部30は、第2の大きい方の面22に穴を形成し、この穴がバッテリ9の形状を補完することで、配置されると、バッテリ9は面22から突き出ないようになっている。
【0045】
デジタル検出器5は、ハウジング20の内部の面21の側に配置される。面21は実質的に平面である。
【0046】
カセッテ3は、ハウジング20の壁を貫通して配置された少なくとも1つのコネクタ32を備える。
【0047】
図3a~図3kは、初期製品(図3a)を、次いで、本発明による放射線カセッテ3を得るために、本発明による方法の(矢印で表された)様々なステップにおいて得られた中間製品を表す。
【0048】
パッケージング方法は、ハウジングの上に積層されるコーティングでハウジングを被覆するというものである。
【0049】
これらの図面では、よりわかり易くするために、ハウジング20は凹部のない完全な直方体で表されている。
【0050】
本発明によるパッケージング方法は、いくつかのフィルムでハウジングを被覆するための主被覆ステップを含む。
【0051】
この主被覆ステップは、第1のフィルムF1で第1の大きい方の面21を被覆する第1のステップ100を含む。本発明による方法では、フィルムで平行六面体の主面を被覆するステップにおいて、フィルムを主面に接着させ、主面を覆う表面の全部分にわたってフィルムを主面上に積層する。
【0052】
第1のフィルムF1は、第1の大きい面21を超えて、すなわち第1の大きい面21の4つの辺CO1、CO2、CO3、CO4を超えて延びているフラップR1、R2、R3、R4を含むように構成されるだけでなく、第1の大きい面21に対して位置決めおよび方向付けされる。それは図3bおよび図3cに表された、被覆ステップ100の終了時に第1のフィルムで被覆されたハウジング20の、第1の大きい面21に面した図(図3b)、および第2の面22に面した図(図3c)の通りである。フィルムの構成とは、フィルムの寸法および形状を特に意味すると理解されたい。
【0053】
図3bおよび図3cでわかるように、フラップR1、R2、R3およびR4はそれぞれ、第1の大きい面21を超えて延び、他のフラップとは独立して折り重ねて、ハウジング20の側面23~26のうちの1つを被覆することができる。
【0054】
言いかえれば、第1のフィルムF1は一度第1の面21を被覆すると、この第1の面21の、上記で画定され、また図1に表された位置に固定され、取り付けられるので、各フラップR1、R2、R3、R4はそれぞれ、他のフラップを折り重ねずに、大きい面21の辺CO1、CO2、CO3、CO4のうちの1つに沿ってそれぞれ折り重ねることが可能である。このように、隣接したフラップが互いに隔てられていることで、これらのフラップがそれぞれ、第1の大きい方の面21を側面23、24、25または26のうちの1つから隔てているハウジングの1つの辺CO1、CO2、CO3またはCO4に沿ってそれぞれ折り重ねられるようになっている。2つの隣接したフラップは、ハウジングの表面全体にわたってハウジング上に積層されながら隣接する側面を被覆するように、方向が異なる縁端部に沿って折り重ねられる。この方法により、熱成形せずに、ハウジング20の異なる側面23~26を被覆することが可能になり、したがって、熱成形に関連した短所を避けることが可能になる。ハウジング上のフィルムの連続的な積層を確実にしながら折り重ねるだけで、ハウジングの各側面23~26を被覆することが可能である。
【0055】
このように、本発明によるパッケージング方法により、フィルム表面全体にわたって一定の厚さを保証し、熱成形フィルムのそれよりも大幅に優れたアルミニウム上の接着を保証し、表面全体にわたってハウジングに接着される粘着剤の一定の厚さを保証し、フィルムを早期経年劣化させないようにすることが可能になる。したがって、環境に対する検出器の堅牢性を高めるとともに、洗浄を容易にし、かつ改善することが可能になる。カセッテの製造コストを低減し、製造時間を短縮することもまた可能になる。ハウジング上に、フィルム表面全体にわたって積層するのに、真空状態で配置する必要はない。方法は、70℃~90℃の間の適度な温度に加熱するステップを含む場合があり、フィルムの折り重ねに好都合であるように、また、後続の収縮の問題を避けるために、加熱するステップの間に主被覆ステップが行われる。
【0056】
プラスチックフィルムが引き伸ばされた状態では、印刷(パターン、テキスト)をやむを得えず自然に変形させてしまう熱成形がないことにより、フィルムに印刷層を組み込むことが可能になり、したがって、以下に示すように確実な保護を可能にしながら、出来るだけ遅い時点にカセッテをカスタマイズすることが可能になる。
【0057】
第1のフィルムF1の全長LF1は、第1の面21の長さLBよりも大きく、また、第1のフィルムの全幅lF1は、第1の面21の幅lBよりも大きい。それに加え、フィルムは、その周辺部上に、4つのフラップR1~R4を形成することを意図した4つの部分を含む。これらの4つの部分は、第1のフィルムF1だけを表している図4で参照される切り欠き部分E1、E2、E3、E4によって隔てられ、フラップR1~R4を互いに独立して折り重ねることが可能になっている。4つのフラップR1~R4は、図3bにおいて点線によって境界が定められた、第1の面21を被覆する中心部分CENTを取り囲み、この中心部分に対してフラップR1~R4を互いに独立して折り重ねることができる。
【0058】
このように、図3bの非限定的な例では、第1のフィルムF1は、頂点のない実質的に長方形の形状を有する。第1のフィルムは、第1のフィルムによって実質的に形成された長方形の頂点を除去している切り欠き部分E1~E4を含む。
【0059】
図の実施形態では、切り欠き部分E1~E4は、実質的に長方形である。この形状は限定的なものではなく、例えば、4分の1の円形状の切り込み、または実質的に直線形状の切り込みを考慮することが可能である。
【0060】
図の非限定的な実施形態では、第1のフィルムF1の中心部分CENTは、それぞれ2つの隣接した辺CO1、CO2、CO3、CO4の実質的に交点に位置する頂点を被覆せずに、第1の面を実質的にすべて被覆することを意図している。一変形例として、第1のフィルムF1の中心部分CENTは、第1の面21をすべて被覆することを意図している。
【0061】
第1のフィルムF1で第1の大きい面21を被覆するステップ100の後に、第1のフィルムF1で4つの小さい面23~26を被覆するステップ110が続くが、第1のフィルムF1のフラップは、図3dの平面に対して直角の小さい面23~26に実質的に平行である。より具体的には、第1のフィルムF1で第1の大きい面21を被覆するステップ100の後に、4つの小さい面23~26のうちの1つを被覆するように、フラップR1~R4をそれぞれ折り重ねるステップが続く。フラップR1~R4がそれぞれ、有利には、カセッテ3のハウジングの4つの小さい面のうちの1つだけを被覆する。
【0062】
各フラップR1~R4の折り重ねは、第1のフィルムがこの辺の形状を成形するように、第1の大きい面21の辺CO1またはCO4に沿って行われる。
【0063】
有利には、各フラップR1~R4は、フラップが被覆する小さい面23~26を超えて延び、これにより、第2の大きい方の面22を被覆できるようになっている。言いかえれば、各フラップR1~R4の幅は、2つの大きい方の面に対して直角の方向に向いたハウジング20の厚さeよりも大きい。
【0064】
有利には、第1のフィルムF1で4つの小さい面23~26を被覆するステップ110の後に、フラップR1~R4で被覆された小さい面23~26を超えて延びている各フラップR1~R4の残余部分r1~r4を折り重ねるステップ120が続き、これにより、図3eでわかるように、フラップR1~R4の残余部分r1~r4が、第2の大きい面22の上に延びているようになっている。おそらくフィルムに穴が開くほどフィルムが薄くなってしまうことなしに、第1の大きい方の面21を被覆する第1のフィルムを、熱成形によって第2の大きい方の面22の上に延ばすことは困難であることに留意されたい。
【0065】
図の非限定的な例では、方法は、第2の大きい面22を被覆するフラップの残余部分r1、r2、r3、r4の縁端部B1、B2、B3、B4を、図3fに表された、第2の大きい面22に対して所定の位置の有端の裁断線l1に沿って裁断し、除去するステップ130を含む。この裁断線l1は有利には、図3fに表されるように、実質的に長方形である。このステップにより、フラップの残余部分r1、r2、r3、r4のサイズが小さくなり、フラップの残余部分の新たな自由縁端部b1、b2、b3、b4が残る。
【0066】
ステップ130の後に、図3gでわかるように、第2のフィルムF2で第2の大きい面22を被覆するステップ140が続き、これにより、第2のフィルムF2が第2の大きい面22の中心部分を被覆し、フラップの残余部分の上に延びるようになっていることで、フラップの残余部分r1、r2、r3、r4の新たな縁端部b1、b2、b3、b4を完全に被覆するようにする。
【0067】
有利には、小さい面がそれぞれ、フィルムF1およびF2のうちから得られた1枚のフィルムで被覆されている。
【0068】
有利には、第2のフィルムF2がカセッテ3の第2の面22だけを被覆し、フィルムF1とF2との間の接合個所が第2の大きい面22に位置することで、各辺で、すなわち、ハウジングの小さい面23~26でフィルムを接合することに比べて方法の工業的実施が容易になり、しかもこれは、外的酷使に対するコーティングの堅牢性に好都合であり、ハウジングの大きい面にかかる応力が小さくなる。
【0069】
一変形例として、2つのフィルムF1およびF2は、ハウジング20の小さい面、すなわち辺で重なり合っている。
【0070】
ステップ140の後に、図3hに見える第2の有端の裁断線l2に沿って、第2のフィルムF2の縁端部を裁断し、第1の裁断線l1に対して所定の位置および形状のこの縁端部を除去し、2つのフィルムが重なり合わないようにするステップ150が続く。フィルムが重なり合っていないことにより、パッケージングが破れる危険性を制限することが可能になる。この方法により、2つのフィルム間の間隔を調整することが可能になる。隙間Iは、第2のフィルムF2を完全に取り囲む閉ループ形状である。
【0071】
有利には、裁断線l2は、裁断線l1と実質的に同じ形状、実質的に同じ比率、および同一の中心を有する。フィルムF1とフィルムF2とがまったく重なり合わないように、裁断線l2は裁断線l1よりも小さい区域の境界を定めている。このように、2つのフィルムF1とフィルムF2との間の間隔は、裁断線l2の周囲全体にわたって実質的に固定されている。
【0072】
有利には、裁断線l1およびl2のサイズは、面22の平面の裁断線l1およびl2間の間隔が、実質的に空隙になっていることで、2つのフィルムの間に重なり合いが確実に存在しないようにすることが可能になっている。言いかえれば、フィルムは、両縁端部がちょうど合うように裁断されている。
【0073】
裁断ステップは、有利にはレーザ裁断ステップであり、レーザは、支持体に対して同一の固定された有端の線に沿って、装置によって支持体に対して位置が変えられ、2つの裁断ステップの間、ハウジングは、これら2つのステップの間の支持体に対して同一の位置および同一の向きを占める。このように、裁断線l1およびl2の間の距離は、ハウジングの面上のレーザスポットの直径に実質的に等しい。スポットの直径は、おおよそ100マイクロメートルである。この方法は、おおよそ10マイクロメートルの非常に高い裁断精度および位置合せ精度を示す。
【0074】
一変形例として、裁断ステップは、機械的な裁断ステップである。
【0075】
有利には、方法は、図3iに見える封止材Jを塗布して、ステップ140において第1のフィルムF1と第2のフィルムF2との間に形成された隙間Iを満たすことである、封止ステップ160を含む。このステップにより、塵埃や液体の溜まった区域の存在、したがって、細菌やバクテリアの溜まった区域の存在を制限しつつ、コーティングRの密封性を確保することで、カセッテの洗浄を容易にすることが可能になる。この構成により筐体の機械抵抗が確実に良好になる。なぜなら、この構成は、フィルムが重なり合い、その結果、フィルムのうちの1つの縁端部がその他のフィルム上に存在することでフィルムの形状が過剰に厚くなって破れ易くなる、ということを回避するからである。
【0076】
封止材Jは、2つのフィルムF1とF2との間に形成された隙間Iの周囲全体にわたって堆積される。
【0077】
図の実施形態では、封止材Jは、隙間Iを完全に満たしている。封止材Jは、第1のフィルムF1の自由表面、および第2のフィルムF2の自由表面と同じ高さにある。切断面A-Aに沿ったカセッテの断面を表す図4に表されているように、連続的な実質的に平坦な表面Sが、封止材の自由表面S3、ならびに、封止材の近傍にあるフィルムF1およびF2の自由表面S1およびS2によって形成されている。それによって、塵埃または液体の蓄積した区域の存在、したがって、細菌やバクテリアの蓄積した区域の存在を制限し、筐体の機械抵抗を高めることもまた可能になる。
【0078】
一変形例として、封止材Jは、隙間を部分的に満たしている。
【0079】
フィルムF1およびF2は、有利にはほぼ同じ厚さを有する。
【0080】
一変形例として、方法は、2つのフィルムの間の材料の連続性を確保することにより、塵埃およびバクテリアの蓄積した区域を制限するように、2つのフィルムF1およびF2の縁端部を融着するステップを含む。
【0081】
有利には、この場合、融着ステップの前に2つのフィルムを重ね合わせる。例えば、方法は、裁断ステップ130、および/または裁断ステップ150を含まない。一変形例として、方法は、裁断ステップ130および150を含む。
【0082】
図5は、第1のフィルムF1の例示的な実施形態を示す。第2のフィルムF2の構造は、表されていないが、有利にはフィルムF1の構造に類似している。
【0083】
フィルムF1は多層で、プラスチックフィルム70の層と、プラスチックフィルム70をハウジング20に接着させることを可能にするアセンブリ材料75の層と、を含む。言いかえれば、フィルムF1およびハウジング20は、直接接着によって組み立てられる。次に、フィルムF1がハウジング20に取り付けられる。フィルムは、被覆ステップにおいて、フィルムF1およびハウジング20を接着させるために、アセンブリ材料すなわち粘着性材料75の層が、プラスチックフィルム70と、フィルムで被覆された面との間に挟まれるように位置決めされる。
【0084】
プラスチックフィルムは、150μmから700μmの間の厚さ、例えば、200μmの厚さを有し、アセンブリ材料の層は、50μmから300μmの間の厚さ、例えば、130μmの厚さを有する。
【0085】
有利には、アセンブリ材料の層は、フィルム表面全体にわたって延びている。
【0086】
一変形例として、フィルムF1は、フィルムの2つの対向する面のそれぞれの上に、粘着性材料の層でコーティングされたテープを含む両面粘着テープの層を含み、フィルムの一方の面はプラスチックフィルム70に固定され、フィルムの第2の面はハウジング20に面することを意図している。有利には、テープは、可視スペクトルに対して不透明であり、X線に対して透明である。したがって、粘着剤が透明である場合、ハウジングの外観色は、テープの外観色である。
【0087】
有利には、アセンブリ材料75は、圧力の影響下で粘着剤を変形させてハウジング20にプラスチックフィルム70を接着させる柔らかい固体である。この解決策には、必ずしも加熱したり、迅速に行ったりすることが必要でない、という利点がある。
【0088】
方法は、プラスチックフィルムが安定して変形可能な温度範囲内の温度に加熱するステップを含むことができる。この温度は、例えば、70℃から90℃の間である。それにより、欠陥(気泡)を生じず、また、経時的な浮き上がりの危険性のない、プラスチックフィルム70の積層を得ることが可能になる。
【0089】
加熱ステップは、例えば、フィルムを順応させ、辺にフィルムを積層するのに好都合であるように、ステップ110の間に実施される。
【0090】
一変形例として、アセンブリ材料75は接着剤、例えば、熱硬化性樹脂接着剤である。それは、硬化によって、例えば、接着剤の架橋によってフィルムとハウジングとを接着させる。
【0091】
あるいは、方法は、フィルムでハウジングを被覆するステップに先立ち、粘着性材料、例えば接着剤を、ハウジング20の面上に塗布するステップを含む。この構成により、カセッテの表面全体にわたる厚さの調整は、さらに困難になる。そこで、表面が出来るだけ平滑であり、かつ、厚さが表面全体にわたって実質的に一定であるカセッテを得ることを目的とする。
【0092】
有利には、少なくとも1つのフィルムが、プラスチックフィルム70と、アセンブリ材料75の層との間に配置された少なくとも1つの印刷層76を含み、これにより、プラスチックフィルムによって印刷層を確実に保護することで、印刷の堅牢性を高めることが可能になる。この印刷層は、例えば、スクリーン印刷によって堆積されたインクの層である。印刷は、ハウジングをカスタマイズすることを意図している。印刷は、少なくとも1つのテキスト、および/または少なくとも1つのパターン、例えば図の例では、十文字形などを含むことができる。有利には、プラスチックフィルム70は、プラスチックフィルムがハウジング上に接着されるときに印刷が目に見えるように、可視スペクトルの少なくとも一部に対して透明である。この構成により、ハウジングのパッケージングの後に面ごとにカスタマイズ作業をせずに、ハウジングの異なる面上に様々なパターンおよび色でハウジングをカスタマイズする多数の可能性を考慮に入れることが可能になる。
【0093】
印刷層の全厚は、10μmから50μmの間である。印刷層は、例えば、10μmの厚さを形成する。
【0094】
フィルムF2は、コネクタ32を被覆しないように、凹部30で、特にコネクタ32で中断させることができる。さらに、凹部30の底部、すなわち面21に平行な底部は被覆する必要はない。実際、この底部は、バッテリ9で保護されているので、外側の面21および22と同じ機械的酷使にはさらされない。凹部30の底部は、未処理のまま残しておくか、または、塗装で被覆することができる。
【0095】
概して、少なくとも1つのフィルムは、フィルムでハウジングの面を被覆するステップの前に、例えば、有端の曲線によって境界を定められた少なくとも1つの開口部であって、例えば、コーティングによるパッケージング方法を実施しないことを意図したハウジングの区域に面して配置されることを意図した、開口部を含むことができる。この特徴により、これらの区域を空けておくために、ハウジングの被覆後にフィルムを裁断しなくてもすむようになる。これらの開口部分が予め存在していることは、真空成形では許されない。実際、真空成形には完璧な密封性が要求される。熱成形の場合には、プラスチックフィルムシートは封止に関与しており、そのため、穿孔される(穴または開口部分がある)と、真空状態を実現することができない。したがって、フィルムを予め裁断することは不可能である。
【0096】
フィルムF1およびF2は、有利にはねじ型またはナット型の固定手段Vをマスキングする。このマスキングにより、カセッテ3の使用時に固定手段内に不純物が蓄積しないようにすることが可能になる。これにより、カセッテ3の洗浄が容易になる。マスキングにより、無許可の人物がカセッテ3を開けることを制限することもまた可能になる。
【0097】
可能な場合、図3jでわかるように、方法は、角C1、C2、C3、C4を含み、かつ、取り囲むハウジングの空き部分Pa1~Pa4を残すために、ハウジングの角を取り囲む第1のフィルムの縁端部を裁断し、除去するステップ170を含む。
【0098】
次に、図3kでわかるように、方法は、角C1、C2、C3、C4、より具体的には、ハウジング20の部分Pa1~Pa4を、角保護材P1、P2、P3、P4で被覆し、放射線カセッテ3を得るようにするステップ180を含む。角保護材により、角を機械的に保護することが可能になる。角保護材は補強機能を有する。
【0099】
カセッテ3のハウジング20は、フィルムF1およびF2と、角保護材P1~P4と、封止材Jと、を含むコーティングRで被覆されている。
【0100】
有利には、角保護材は、プラスチックフィルムを被覆せずに、空き部分Pa1~Pa4を被覆する。それにより、標準化されたカセッテの全厚を制限し、かつ、角保護材が引っかかる危険性を制限し、したがって患者を負傷させる危険性を制限することが可能になる。
【0101】
方法は、封止材を堆積して、少なくとも1つのプラスチックフィルムと角保護材との間の空間を満たすステップを含むことができる。
【0102】
各角保護材P1、P2、P3、P4は、対応する角C1、C2、C3またはC4を被覆するように、ハウジング20の角C1、C2、C3またはC4に面するように構成され、配置される。各角保護材はまた、フィルムF1およびF2も部分的に被覆する。
【0103】
図3kおよび図6に表された例では、角保護材は、90°の角度を画定するように互いに連結された2つの突出部A1、A2を含む。2つの突出部はそれぞれ、U字型の区画を含む。言いかえれば、突出部はそれぞれ、背部Dによって連結された2つの脇部Fl1、Fl2を有する。突出部A1、A2はそれぞれ、角の近傍に位置する第1の大きい面21の一部を被覆する脇部Fl1と、同じ角の近傍に位置する第2の大きい面22の一部を被覆する別の脇部Fl2と、角によって連結された小さい面部分を被覆する背部Dと、を含む。背部Dはそれぞれ、小さい面のうちの1つだけを被覆する。各角保護材の2つの突出部は、角保護材が被覆する角に一致して対向している。
【0104】
角保護材はそれぞれ、例えば、金属層を含む。金属層は、最も応力がかかる部分であるハウジングの角に、より強固な機械的保護を付与し、形状が複雑で、厚さの薄い角保護材の製造を容易にする。一変形例として、角保護材は、例えば、プラスチック材料の層とすることができる。角保護材は、例えば、フィルムF1およびF2と同じ構造および組成を有することができる。角保護材は、有利には、アセンブリ材料の層を含む。
【0105】
有利には、各角保護材P1、P2、P3、P4は、プレートが平面支持体上に配置されたときに、角保護材のみによって平面支持体上に載っているように画定された厚さを有する。それにより、フィルムと支持体との接触を避けることにより、機械的酷使(摩擦)および/または薬物濫用(化学製品)へのフィルムの曝露を制限することが可能になる。角保護材の厚さは、300μmから400μmの間である。この厚さは、脇部Fl1およびFl2の厚さである。
【0106】
フィルムF1およびF2の厚さは、典型的には、200μmから1000μmの間である。厚さは、例えば、330μmである。
【0107】
角保護材で角を被覆するステップでは、角保護材がハウジングに固定されている。角保護材は、多層とすることができ、前述したようなアセンブリ層を含むことができ、あるいは、方法は、ハウジングで角を被覆するステップに先立って、角にアセンブリ層を塗布するステップを含むことができる。
【0108】
面21は、検出対象の電離放射線が通過することを意図している。面21は、検出器が放射線を受けることができるように、放射線に対して透明である。この面または少なくともその中心部分を被覆するフィルムF1は、検出対象の電離放射線に対してもまた透明である。
【0109】
ハウジング20は、2つの大きい方の面を含む実質的に平行六面体形状の5つの主面を形成する一体構造の機械部品内に生成された筐体と、実質的に平行六面体形状の第6の面を形成するためのプラグと、を備えることができる。この場合、第1のフィルムは、ハウジング20の側面のうちの1つを被覆するように他のフラップとは独立して折り重ねることが可能な3つのフラップだけを含むことができる。より一般的に言えば、熱成形を避けるために、方法は、ハウジング20の2つの隣接した側面を被覆するように互いに独立して折り重ねることが可能な少なくとも2つのフラップを含むように、第1のフィルムでハウジングの大きい面を被覆するステップを含む。
【0110】
図2の実施形態では、第1の面21が実質的に平面であり、第2の面22が凹部を含む。一変形例として、第2の面22が実質的に平面であり、第1の面が凹部30を含む。
【0111】
従来、医用放射線学は、銀塩フィルムを使用し、銀塩フィルムがカセッテ内で取り扱われていた。ISO規格4090は、銀塩フィルムを封入するカセッテの寸法を規定している。規格で規定されているカセッテの厚さEは、13mmから16mmの間である。有利には、本発明によるカセッテ3は、その寸法に関して、ISO規格4090の要件を満たしている。より詳細には、カセッテ3の全厚は、16mm未満である。これにより、銀塩のカセッテ保管手段を本発明によるデジタルカセッテ3のために使用することが可能になる。
【符号の説明】
【0112】
1 固定基地局
2 X線発生装置
3 カセッテ
4 患者
5 デジタル検出器
6 制御モジュール
7 データ管理モジュール
8 無線モジュール
9 バッテリ
10 バッテリ管理モジュール
11 通信手段
12 取り外し可能な有線リンク
13 無線リンク
14 無線モジュール
15 データ管理モジュール
16 電源
20 ハウジング
21 第1の大きい方の面
22 第2の大きい方の面
23~26 側面
30 凹部
32 コネクタ
70 プラスチックフィルム
75 アセンブリ材料
76 印刷層
100 ステップ
110 ステップ
120 ステップ
130 ステップ
140 ステップ
150 ステップ
160 ステップ
170 ステップ
180 ステップ
A1、A2 突出部
A-A 切断面
B1、B2、B3、B4 縁端部
b1、b2、b3、b4 新たな縁端部
C1、C2、C3、C4 ハウジングの角
CENT 中心部分
CO1、CO2、CO3、CO4 辺
D 背部
E カセッテの厚さ
e ハウジングの厚さ
E1、E2、E3、E4 切り欠き部分
F1 第1のフィルム
F2 第2のフィルム
Fl1、Fl2 脇部
I 隙間
J 封止材
l1 裁断線
l2 第2の裁断線
LB 第1の面の長さ
lB 第1の面の幅
LF1 第1のフィルムの全長
lF1 第1のフィルムの全幅
P1、P2、P3、P4 角保護材
Pa1~Pa4 空き部分
R コーティング
R1、R2、R3、R4 フラップ
r1、r2、r3、r4 フラップの残余部分
S 表面
S1、S2、S3 自由表面
V 固定手段
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3i
図3j
図3k
図4
図5
図6