IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テックインサイツ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7294806イメージング装置における歪み補正に関する方法、システム及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】イメージング装置における歪み補正に関する方法、システム及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2251 20180101AFI20230613BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20230613BHJP
   G01N 23/2255 20180101ALI20230613BHJP
   G01N 24/08 20060101ALI20230613BHJP
   G01R 33/565 20060101ALI20230613BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230613BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01N23/2251
G01N23/046
G01N23/2255
G01N24/08 520Y
G01R33/565
G06T1/00 305A
H01J37/22 501Z
H01J37/22 502H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018500832
(86)(22)【出願日】2016-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 CA2016050328
(87)【国際公開番号】W WO2016149817
(87)【国際公開日】2016-09-29
【審査請求日】2019-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】62/137,078
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517336522
【氏名又は名称】テックインサイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】パウロウィッチ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ソーキン,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マーティンチビッチ,ウラジミール
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】長井 真一
【審判官】樋口 宗彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/089911(WO,A1)
【文献】特開2000-149853(JP,A)
【文献】特表2010-539485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
H01J 37/00-37/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の少なくとも一つの層の少なくとも一部を画像化し、スキャンニング中に生じる画像キャプチャした想定位置と実際の位置との間の差に関するエラーに起因する画像の歪みを補正するイメージング装置であって、
該装置が、
基板上の一部の複数の想定位置で、基板の特徴を表す検出可能な信号を生成するように、基板の一部における複数の想定位置に向けてビームを指向させるビームエミッタと、
前記複数の想定位置の各々に対する前記検出可能な信号の画像化特徴を検出するための信号検出器と、
ビームを複数の想定位置に向けて指向し、かつ、複数の想定位置間で移動させるように、前記ビームの基板に対する方向を変更するための一つ又は複数のモチベータと、
を備え、
該イメージング装置が、各想定位置に対する前記画像化特徴を自動的に補正基板位置に関連付けし、各々所定の画像解像度を有する複数の歪み補正画像を生成し、ここで、前記補正基板位置は、前記想定位置と補正係数とから決められ、前記補正係数は、既知の寸法の較正サンプルを使用して予め決められた係数であり、かつ、前記想定位置の関数であり、
該イメージング装置が、複数の歪み補正画像から隣接する画像を隣り合わせで整列させて、前記基板の少なくとも一つの層の一部の組み合わせ画像を形成するように構成され、前記複数の歪み補正画像の少なくとも幾つかが、異なる画像解像度を有する
ことを特徴とするイメージング装置。
【請求項2】
前記画像化特徴が、前記検出可能な信号の強度を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項3】
前記補正係数が、前記イメージング装置の少なくとも一つの動作特性に対して予め決められている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイメージング装置。
【請求項4】
前記モチベータが、一つ又は複数の異なる想定基板位置で前記画像化特徴を検出するために、基板に対する前記ビームの方向を変更させるビームモチベータを有する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のイメージング装置。
【請求項5】
前記モチベータが、一つ又は複数の異なる想定基板位置に対する前記画像化特徴を検出するために、基板に対する前記信号検出器の位置を変更する検出器モチベータを有する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のイメージング装置。
【請求項6】
前記モチベータが、ビームエミッタ及び信号検出器に対して基板を保持するステージの位置を変更するステージモチベータを有する
ことを特徴とする請求項5に記載のイメージング装置。
【請求項7】
該イメージング装置が、FIB、SEM、TEM及びイオンビーム装置のグループから選択される
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載のイメージング装置。
【請求項8】
イメージング装置における画像歪みを補正する方法であって、
前記イメージング装置が、基板の少なくとも一つの層の少なくとも一部を画像化し、スキャンニング中に生じる画像キャプチャした想定位置と実際の位置との間の差に関するエラーに起因する画像の歪みを補正する装置であり、
前記イメージング装置が、
想定位置及び位置依存ビーム解像度で、基板の特徴を表す検出可能な信号を生成するように、基板の一部における複数の想定位置に向けてビームを指向させるビームエミッタと、想定位置の各々で前記検出可能な信号を表す画像化特徴値を決定するための信号検出器とを備え、
該方法が、
基板に衝突させるためのビームを生じさせ、
想定位置及び位置依存画像解像度に関連付けされた検出可能な信号の画像化特徴を測定し、
歪み補正画像を生成する時に使用するために、画像化特徴に関連付けされた補正基板位置を決定し、
想定位置と、既知の寸法の較正サンプルを使用して予め決められた、前記想定基板位置の関数として予め決められた補正係数とに基づいて補正基板位置を決定し、前記歪み補正画像の各々が、対応する位置依存ビーム解像度に関連付けされた画像解像度を有し、
前記測定した検出可能な信号の画像化特徴を、前記補正基板位置に関連付けし、
少なくとも一つの他の想定位置に対して、前記測定、決定及び関連付けステップを繰り返し、かつ、
複数の歪み補正画像から隣接する画像を隣り合わせて整列させて、前記基板の少なくとも一つの層の一部の組み合わせ画像を形成し、前記複数の歪み補正画像の少なくとも幾つかが、異なる画像解像度を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記画像化特徴が、前記検出可能な信号の強度を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記補正係数が、さらに、前記イメージング装置の所定の動作特性のセットに対して予め決められ、
前記所定の動作特性のセットが、オペレータによって設定されるイメージング装置の動作状態を含む
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
イメージング装置から基板の画像を生成する方法であって、前記イメージング装置が、基板の少なくとも一つの層の少なくとも一部を画像化し、スキャンニング中に生じる画像キャプチャした想定位置と実際の位置との間の差に関するエラーに起因する画像の歪みを補正する装置であり、
前記イメージング装置が、基板上の想定位置に、位置依存ビーム解像度を有するビームを指向するためのビーム源と、そのビームに関連付けした信号特徴値を決める信号検出器とを備え、
該方法が、
前記信号検出器によって複数の信号特徴値を収集し、前記信号特徴値の各々が、実際の位置で基板特徴を表し、前記信号特性値が、信号の波長、色、周波数、位相、スペクトル、強度、又はそれらの組み合わせのうちの一つを定量化するものであり、
所定の各信号特徴値に対して、補正係数を使用して前記想定位置を補正することによって、それに関連付けされた前記実際の位置を決め、前記補正係数が、既知の寸法を有する較正サンプルを使用して予め決められたものであり、かつ、前記想定位置の関数であり、
画像用の画像ピクセル値を生成し、所定のピクセル位置での所定の画像ピクセル値が、所定のピクセル位置に対する各位置依存ビーム解像度及び少なくとも一つの前記所定の信号特徴値の各比率に基づくものであり、その所定の信号特徴値の補正された基板位置が、前記所定の画像ピクセル値の一部に対応し、かつ、
前記信号検出器によって収集された、少なくとも二つの異なる位置依存ビーム解像度に起因する複数の前記画像ピクセル値から画像を生成する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
補正係数が、イメージング装置の少なくとも一つの動作特性に関連付けされている
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャンニング式イメージングシステム及び装置に関し、特に、スキャン画像の歪み補正に関する方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像スキャンニング装置は、典型的な画像歪みの問題を有し、それらの問題は広範囲のシステムに及び、それらは全て同様の問題を有し得る。このような問題は、スキャンニング中に生じる画像キャプチャした所望の位置と実際の位置との間の差に関するエラーに起因する画像歪の問題を招く可能性がある。電子ビームシステム(Electron Beam system)、集束イオンビームシステム(Focused Ion Beam systems)、レーザーイメージングシステム(Laser Imaging systems)、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)及び光学システムを含み得る多くのスキャンニング及び非スキャンニング装置が影響を受ける可能性がある。スキャンニングシステムは、画像キャプチャ機構がターゲット基板(substrate)上でスキャンされ、そして、このスキャン中に画像データ収集が収集されることを特徴としている。非スキャンニングシステムは、基板の一つ又はそれ以上の画像データ収集を形成し得る。どちらの場合も、画像データ収集の所望の位置と実際の位置との間の相違が、結果の画像に歪みを生じさせる可能性がある。
【0003】
画像表示されるべき基板のある部分、例えば、基板の表面や断面の特徴を表示する信号を収集する時に、基板上の分析されるべき実際の位置と、分析することを意図した位置との間に導入されるエラーの程度は、しばしば小さい。基板上の分析の位置は、少なくとも、ビームエミッタ、放射ビーム、信号検出器及び基板の一つ又は全ての現在の相対位置及び/又は相対的な向きに関係する。分析の実際の位置は、表面又は断面の特性を評価する時、例えば、適用可能な信号分析値を組み合わせて画像を形成する時に歪みを生じさせる分析のための意図された位置とは、しばしば異なる場合ある。実際の位置と意図された位置との間の差異は、イメージング装置に関連する複雑な様々なソース及びその相互作用からもたらされ得る。
【0004】
分析のための基板上の意図された位置と実際の位置との間の差異の原因になり得る様々な誤差源がある。これらの誤差は、予期しない電磁場の値、機械的及び制御システムの欠陥、レンズの欠陥、環境変化、スキャンニング速度(スキャンニング画像形成装置の場合)、無数の他の要因及びこれらの要因の間の相互のような要因によってもたらされる可能性がある。これら及び他の要因が、画像化される基板上のデータ収集のための意図された位置と実際の位置との間にオフセットをもたらし、このような推定位置は、ビームエミッタ、ビーム、信号検出器、及び基板自体の相対的な場所及び位置を含む多くの要因に基づくものになる。誤差発生源の数、それらの間の相互作用、及び異なる時間における異なる測定において測定サンプルの実際の位置を決める際に、全てのこのような誤差が原因となる複雑さのために、全ての状況、特に、高解像度及び/又は広い範囲の状況において、画像を生成する際に、これらの誤差を考慮することが困難であった。また、大きな画像を形成するために、このような複数の画像をモザイク処理する時、又は、モザイク処理された、又はされていない、このような複数の画像を、(例えば、3Dモデルのように)垂直に整列させる時、画像の歪みが、付加的な不確実性をもたらし得る。
【0005】
画像データコレクタをスキャンニングするための別の誤差源は、対応する画像領域に対する基板キャプチャ領域の相対的な大きさの違い、及び、基板上のそのような相違の不一致から生じ得る。これは、例えば、サンプリング速度に対するスキャンニング構造体の移動速度に変化をもたらす可能性がある。このように、第1の位置で取得されたサンプルは、表面又は断面の特定の領域に対応することができ、その位置でのピクセルに対応する画像データを生成するために使用され得るが、基板上の様々な位置における前述の誤差にある差異のために、別の位置での領域は異なる可能性がある。
【0006】
この背景技術の情報は、関連する可能性があると出願人が信じる情報を開示するために提供される。前述の情報のいずれかが先行技術を構成することを必ずしも意図するものではなく、また、そのように解釈すべきでもない。
【発明の概要】
【0007】
以下に、本発明の幾つかの特徴の基本的な理解を提供するために、本明細書に記載される一般的な発明の概念の簡略化した要約を示す。この要約は本発明の広範な概要ではない。 これは、本発明の重要な要件または重要な要素を制限することを意図するものではなく、又、以下の説明および請求項によって明示的または暗示的に記載されるものを超えて本発明の範囲を説明することを意図するものでもない。
【0008】
本発明の一つの特徴によれば、既知の技術の欠点のいくつかを克服するか、又は少なくともそれに有用な代替物を提供するイメージング装置の歪み補正に関する方法、システムおよび装置が提供される。例えば、幾つかの実施形態では、基板から画像データを取得する際の複雑なエラーを考慮した改善が提供される。例えば、幾つかの実施形態は、画像における解像度が上がること、及び/又はこのような解像度に対して画像表面が大きくなることのような複雑さを改善する。
【0009】
一実施形態では、基板を画像化するイメージング装置であって、該装置が、基板上の分析することを意図した想定位置(以下、「意図した位置」と称する)で、その基板を表す検出可能な信号を生成するように放射を基板に指向させるためのビームエミッタと、前記検出可能な信号の画像化特徴を検出するための信号検出器とを備え、該イメージング装置が、歪み補正画像を生成する時に使用するために、前記画像化特徴を自動的に補正基板位置に関連付けし、前記補正基板位置が、前記意図した位置と、前記意図した位置の関数である補正係数とから決められるように構成されていることを特徴とするイメージング装置が提供される。
【0010】
別の実施形態では、基板の画像関連データを収集する歪み補正イメージング装置が提供され、該装置は、基板上の意図された位置にビーム(以下、「放射」と称する。)を指向させるビームエミッタと、その放射に関連付けされた信号強度を決定するための信号検出器とを備え、ここでは、信号強度値は、補正された基板の位置と関連付けされ、前記補正された基板の位置は、前記意図された基板の位置と補正係数とから決定され、前記補正係数は、前記意図された基板の位置の関数である。
【0011】
別の実施形態では、イメージング装置における画像歪みを補正する方法であって、前記イメージング装置が、意図した位置で、基板を表す検出可能な信号を生成するように放射を基板に指向させるためのビームエミッタと、前記検出可能な信号を表す画像化特徴値を決定するための信号検出器とを備え、該方法が、基板に衝突させるための放射を生じさせ、意図された位置に関連付けされた検出可能な信号の画像化特徴を測定し、歪み補正画像を生成する時に使用するための画像化特徴に関連付けされた補正基板位置を決め、意図した位置と、前記意図した基板位置の関数として予め決められた補正係数とに基づいて補整基板位置を決定し、かつ、前記測定した強度を前記補正した位置に関連付けすることを特徴とする方法が提供される。
【0012】
別の実施形態では、イメージング装置に対する位置を基礎とした補正情報を決める方法であって、イメージング装置が、基板上の意図された位置で基板を表す検出可能な信号を生成するように、基板に放射を指向するビームエミッタと、前記検出可能な信号に関連付けられた画像特徴を決める信号検出器とを備え、該方法が、既知の表面特徴を有する基板をイメージング装置に配置し、イメージング装置の少なくとも一つの動作特性を一定に維持しながら、複数の意図された基板位置の各々に対する前記検知可能な信号の画像化特徴を検出することによって、前記表面特徴を表す表面特徴特性を測定し、前記画像化特性が各々、前記表面特徴特性を表すものであり、前記表面特徴の複数の測定した位置の各々と、前記表面特徴の対応する実際の位置との間の各差異に基づいて、各測定した位置と対応する実際の位置との間の関係を、前記測定した基板位置の関数として決めることを特徴とする方法が提供される。
【0013】
別の実施形態では、イメージング装置から基板の画像を生成する方法であって、前記イメージング装置が、基板上の意図した位置に放射を指向するためのビーム源と、そのビームに関連付けした信号特徴値を決める信号検出器とを備え、該方法が、前記信号検出器によって複数の信号特徴値を収集し、前記信号特徴値の各々が、実際の位置で基板特徴を表し、所定の各信号特徴値に対して、補正係数を使用して前記意図した基板位置を補正することによって、それに関連付けされた前記実際の位置を決め、前記補正係数は、前記意図した基板位置の関数であり、画像用の画像ピクセル値を生成し、所定のピクセル位置での所定の画像ピクセル値が、少なくとも一つの前記所定の信号特徴値の各比率に基づくものであり、その所定の信号特徴値の補正された基板位置が、前記所定の画像ピクセル値の一部に対応することを特徴とする方法が提供される。
【0014】
別の実施形態では、基板を画像化するイメージング装置であって、該装置が、基板の意図した領域を表す検出可能な信号を生成するように基板に放射を指向するビームエミッタと、前記各意図した領域に対する前記検出可能な信号の各画像化特徴を検出するための信号検出器と、歪み補正画像を生成する時に使用するために前記各画像化特徴を、補正された領域に自動的に関連付けするように各画像化特徴を処理するために動作可能なデジタルプロセッサとを備え、前記各補正された領域が、前記意図された領域と前記意図された領域に関連付けされた補正係数とに基づいて決められることを特徴とする装置が提供される。
【0015】
別の実施形態では、イメージング装置における画像歪みを補正する方法であって、イメージング装置が、基板の意図した領域を表す検出可能な信号を生成するように、放射を基板に指向するためのビームエミッタと、前記各意図した領域に対する前記検出可能な信号の各画像化特徴を検出するための信号検出器とを備え、該方法が、基板に衝突させる放射を生じさせ、意図された領域に関連付けされた各画像化特徴を測定し、各意図された領域に対して、前記意図された領域と、前記意図された領域に関連付けされた指定の補正係数とに基づいて補正された領域を画定し、前記測定された画像化特徴を前記補正された領域に関連付けし、前記測定した画像化特徴と前記補正された領域との関連付けに基づいて歪み補正画像を生成することを特徴とする方法が提供される。
【0016】
ビーム指向システムを含む多くのシステムは、一般に、基板上の放射衝突の位置、基板を横切るスイープ速度、及び結果として生じる検出信号の誤った特徴付けを調整するための補償電子回路を含み、収集された信号の主要因となる基板上の推定位置と実際の位置とに影響を及ぼす可能性がある多数の特徴が考慮される。これらは、ビーム方向を制御するために使用され得るビーム変更効果から生じる基本的な幾何学的非線形性を含むか、または結果として生じる可能性があり、画像の歪みを引き起こす可能性のある任意の他の要素に加えて、この全ての源を完全に正す実用的な方法は存在しない可能性がある。他の特徴は、信号測定オフセットに起因する画像歪みに寄与し得る。これらは、スキャンニング電子機器、非線形増幅、電気及び静電界変動、信号検出器(電子機器、レンズ及び他の信号収集・検出手段を含む)、非線形又は不正確な補正メカニズム及びアルゴリズム等によって生じるエラーを含む。各要因によってもたらされる歪みは、それ自体が複雑であるが、既知及び未知のこれらのような要因の組み合わせは、関連する歪みを考慮することを困難にし、その影響は超高解像度の画像化に関連する。さらに、そのような歪みは、基板上のすべての位置で、又、全ての時間で同じではない。高解像度画像化を用いる場合、これらの小さな未補正の歪みが望ましくないエラーを引き起こす可能性があり、画像化された特徴が小さくなるにつれて、望ましくないエラーが、結果として得られる画像により顕著な歪みを引き起こす。サブピクセルレベルでさえ歪みは、望ましくないエラーを生じさせる可能性がある。数多くの複雑な原因に起因するこの歪みに対する解決策を提供する方法、システム、及び装置が必要とされる。
【0017】
イメージング装置をスキャンニングすることによって収集された複数の画像を寄せ集めて隣接する画像を隣り合わせで整列させた組み合わせてモザイク化、即ち、組み合わせ画像化するか、または隣接する画像の特徴が何らかの方法で接続またはリンクされている場合に(例えば、回路の一つの線が、二つ以上の画像に跨っている場合に)、画像歪みに関する他の別の問題が生じる。歪みはしばしば一定であるので、基板の画像化された表面全体を同じ解像度の画像を使用して画像化し、かつ、基板の寸法が同じであれば、このようなモザイク化又は接続において完全性を維持することが可能であったかもしれない。これは、同じ解像度及び基板領域の画像のエッジにおける相対的な歪みが似ているため、あまりに多くの完全性を失うことなく、隣接する歪んだ画像の位置合わせを可能にする。しかし、幾つかの基板が、異なる領域で著しく異なる特性密度及びサイズを有すると仮定すると、モザイク画像(即ち、組み合わせ画像)は、基板の部分が、通常、このような画像を必要としない場合であっても、基板上の最も密な又は最小の特徴に対して十分な解像度及びサイズ有する画像を使用しなければならず、従って、層全体のモザイク画像を作成するのに必要な画像の数が大幅に増加する。この問題は、例えば、半導体の評価及び/又はリバースエンジニアリングを行う場合に必要とされ得る、又は、生物学的、地理的及び断面画像を使用してモデル化される他の三次元構造物の三次元モデル化を行う場合に必要とされる可能性があるように、基板を表す任意の層又は断面の画像(または画像のモザイク)を相互に垂直に整列させる時に、さらに悪化する可能性がある。画像の解像度及び画像化領域のサイズは、任意の層又は断面上の任意の位置にある最小又は最大密度の特徴に関連付けられ得る。異なる解像度の画像の正しい位置合わせを可能にするため、及び/又は画像化された基板の異なるサイズの領域をキャプチャするために、画像の歪みを補正する必要がある。
【0018】
他の実施態様、特徴及び/又は利点は、添付の図面を参照して、実施例としてのみ与えられる特定の実施形態の以下の非限定的な説明を読むことにより、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、画像キャプチャの実際の位置と画像キャプチャの意図された位置との間の相違の歪みの影響を説明するための、基板の一部と、同じ基板の画像とを図式的に表した図である。
図2図2は、本発明の構成要件の一実施形態に従って生成された所定の画像ピクセルの第1の行を示す図である。
図3図3は、本発明の構成要件の一実施形態に従ったイメージング装置の位置に基づく歪みをグラフを使って表した歪み曲線の一例を示している。
図4図4は本発明の構成要件の一実施形態に従って、補正されていない画像ピクセルの行に沿って示された、イメージング装置の位置に基づく歪みをグラフを使って表した歪み曲線の一例を示している。
図5図5は、イメージング装置の位置に基づく歪みをグラフを使って表す歪み曲線の一例を示しており、この図では、本発明の構成要件の一実施例に従って、補正されていない画像ピクセルに対応する位置補正後のキャプチャ画像データと補正されていない画像ピクセルの列とが並べて示されている。
図6図6は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、位置補正されたキャプチャ画像関連データに沿った、対応する画像ピクセル位置の例を図式的に示している。
図7図7は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、基板の第一層から取得した複数の画像から成るモザイクから得たある一つの画像の拡大部分を示している。
図8図8は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、図7に示される画像の拡大部分の位置に対応する、基板の第二の層から取得した複数の画像から成るモザイクから得たある一つの画像の拡大部分を示している。
図9図9は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、第一の層の複数の画像から成るモザイクのある一つの画像の歪み補正された拡大部分に、第二の層から取得した複数の画像から成るモザイクのある画像の歪み補正された拡大部分を重ねて表示している。
図10図10は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、第一の層の複数の画像から成るモザイクのある一つの画像の歪み補正されていない拡大部分に、第二の層から取得した複数の画像から成るモザイクのある画像の歪み補正されていない拡大部分を重ねて表示している。
図11図11は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、部分的に層除去された道のサンプルのある層を示すために、一緒にモザイク化された画像セットの画像の一例を示している。
図12図12は、本発明の構成要件の一実施形態に従って、図11に示したモザイク化された画像セットから取得した画像の一例を示している。
図13図13a及び図13bは、未知のサンプルの所定の層から取得した第一の画像セットから得た画像の拡大領域を示しており、それぞれ、画像化領域のエッジ付近及び前記画像化領域の中央付近を示している。
図14図14a及び図14bは、前記所定の層に垂直方向に隣接する未知のサンプルの別の層から取得した第二の画像セットから得た画像の拡大領域を示しており、それぞれ、画像化領域のエッジ付近及び前記画像化領域の中央付近を示している。
図15図15a及び図15bは、画像歪み補正が適用された、前記所定の層及び別の層の対応する領域を重ねあわせた画像を示しており、それぞれ、画像化領域のエッジ付近及び前記画像化領域の中央付近を示している。
図16図16a及び図16bは、画像歪み補正が適用されていない、前記所定の層及び別の層の対応する領域を重ねあわせた画像を示しており、それぞれ、画像化領域のエッジ付近及び前記画像化領域の中央付近を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の幾つかの実施例が、単なる例として、添付図面を参照して説明される。
【0021】
本発明は、本発明の代表的な実施形態が示されている添付の概略図及びグラフを参照して、より完全に説明される。しかし、本発明は、異なる形態で具体化され、適用され、また、使用されてもよく、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、当業者に本発明の真の範囲を伝えるために、本出願が例示的かつ簡単な説明で理解されるように提供される。
【0022】
一般に、イメージングシステムは、基板の少なくとも一部から画像関連データを取得し、次いで画像データ取得に関係する基板上又は基板内の位置に基づいてその情報を変換する。例えば、光、即ち、自然光又は照明源からの光が、ある表面で反射されると、次いで、一つ又は複数の光強度測定装置が、一つ又は複数の光強度値を、光が反射された位置と関連付ける。同様に、イオンビーム又は電子ビーム装置では、粒子ビームが基板に向かって放出され、反射粒子の強度が基板の特徴を示す。このような装置では、強度データは粒子が反射される領域に関連付けされる。透過型電子顕微鏡法では、放射粒子(即ち、光又は他の電磁放射線)が材料を通って導かれ、基板の反対側の検出された放射の強度が、放射粒子が通過する基板位置における基板の特徴を示す。各場合において、画像データのキャプチャが意図された位置と、その位置での画像のキャプチャが意図された領域の大きさと、基板上で又は基板を通過して、その放射線が真に衝突する位置と大きさとの間には、しばしば相違がある。画像データキャプチャに関連する値を、結果の画像上の位置に割り当てる時に、画像をキャプチャする領域の意図された位置と大きさと、画像キャプチャ領域の実際の位置及び大きさとの間の相違が、収集された画像データから得られる結果の画像に歪みを生じさせることになる。本明細書の実施形態は、放射源、放射線、基板、及び放射線検出器の様々な相対的配置に関する相違の特性を明らかにする。いくつかの場合において、その相違は、イメージングシステムの一つ又は複数の動作パラメータに関連して特徴付けられ得る。本明細書の実施形態は、特徴付けした相違に基づいて、各画像データ収集に関連する画像キャプチャ領域の位置及び/又は大きさを補正することができる。本明細書の実施形態は、基板に対するピクセル位置に少なくとも部分的に対応する補正された位置及び/又は大きさを有する一つ又は複数の画像データ収集に基づいて、画像ピクセル値を決定することによって、画像及びその一部分を生成することができる。
【0023】
意図した画像キャプチャ位置と、実際の画像キャプチャ位置との間には、多くの相違がある。
例えば、レンズの不完全性、電磁制御器の不規則性、ビームモチベータと衝突ポイントとの間の非線形関係、不完全な補正アルゴリズム及びメカニズム、環境の変化、又は多種多様な複雑性若しくは不明な誤差源が、このような相違をもたらし得る。多くの現代のイメージングシステムは、これらを考慮することを試みているが、解像度と倍率が上がるにつれて、わずかな相違でさえも歪みを生じさせる。スキャンニング装置では、画像キャプチャ機構が基板をスキャンニングする際に、その差異が、サンプリングレートと画像キャプチャ位置の変化率との間に、さらに、非線形性を生じさせる原因になることがある。
【0024】
いくつかの実施形態では、画像データのキャプチャの位置と、差異の大きさ及び方向との間に強い関係があることが観察された。一定の動作特性のセットに対しては、差異の性質は、基板とは関係なく、画像のキャプチャの同じ位置では一般に同じである。スキャンニング式及び非スキャンニング式のイメージング装置の両方について、画像データキャプチャの意図された位置に関連する補正係数が決められ、次いで、その補正係数が任意の与えられた画像データに関連する位置データに適用され得る。
【0025】
モザイク処理、ステッチング処理又は垂直又は水平方向への他の整列処理を行う時に、画像の歪みに関連する問題を軽減した、ある過去の観察は、同じ解像度の画像に対して同じ位置で歪みが同じであるため、画像が、それらが等しい大きさである程度に整列され得るものである。例えば、水平又は垂直の何れかの隣接する画像が等しい大きさである場合、対応する頂点及びエッジにおける歪みの程度は同じになる。このように、第1の画像から第2の画像へ渡る特性は、隣接する画像が同じサイズで適切に整列されていれば、整列されることになり、従って、同じ特性の部分と接続されるか、又は、形成するものとして画像化され、前記連結特性の歪はこれらの位置で同じになる。画像のサイズが異なる場合、画像が対応する位置で必ずしも整列しない場合があり、隣接する画像の接続特性は、(たとえ、基板上であっても)必ずしも接続せず、その結果、間違ったモザイク画像又は整列画像になることになる。この結果、装置の任意の場所で必要とされる最小解像度で基板の全表面又は断面を画像化する必要が生じる。画像の対応する寸法よりも著しく広い幅及び/又は長さの基板の場合、特に、相互に整列されるべき複数の層がある場合、このことは必要とされる画像キャプチャの数を大幅に増加させる可能性がある。複数の同じケースにおいて、基板が構造密度において大きく変化し、そのような密度の位置及び範囲が画像化前に未知である場合、基板のあらゆる位置及びあらゆる層で、はるかに広範囲に画像データを収集する必要があり得る。例えば、その特性が非常に小さく(<20nm)、従って、非常に高解像度の画像を必要とし、かつ、多くの異なる層にわたって接続されている高密度及び可変密度の集積回路をリバースエンジニアリングする場合、最小及び/又は最高密度の特性を有する領域に必要とされるのと同じ解像度で、各連続する層に対して全ての部分の画像化が要求される。このことは、例えば、必要とされない何千もの画像をキャプチャする結果となり、従って、他の場所でよりよく利用される可能性がある重要な時間、画像化及び処理リソースを消費することになる。
【0026】
スキャニングイメージングシステムは、以下のことの影響を受ける可能性がある。
(a)サンプルを横切ってスキャンニング、即ち、通過され、その結果、影響を受け、放出され又は反射された信号が検出される入射ビーム
(b)サンプルを横切ってスキャンニングされる検出器によって検出される、影響を受け、放出され又は反射された信号
(c)それらの組み合わせ
基板をスキャンニングせず、むしろ(基板内の)別々の位置で画像データの一つ又は複数の選択をキャプチャする画像システムは、意図された画像キャプチャ位置と実際の画像キャプチャ位置との間に相違を示し、本明細書で開示する画像歪み補正方法及びシステムを有し得る。非スキャンニング式画像形成システムにも影響が及ぶ可能性がある。キャプチャした画像関連データを位置に関連づけ、キャプチャした画像関連データに関連する意図された位置と、キャプチャした画像関連データに関連する実際の位置との間に差異がある可能性がある任意のシステムは、本明細書に開示した構成要素に従って解決又は軽減される差異が原因となる歪を有し得る。
【0027】
多くのビーム指向システムでは、歪みの具体的な原因は不明であり、実際には、製造業者によって適用された歪みに対する補正の存在及び程度による。スキャンニングビーム指向システムでは、サンプルを横切るビーム衝突の位置の変化率に関する画像データ収集に関連するサンプリング速度による可能性があり、さらに、これらは一般に線形に関連付けられていると仮定される。これは、特に解像度が上がるほど、一般的に間違った仮定といえる。従って、完全な画像化のためには相違が益々問題になり、補正が益々役立たなくなる。最終的な画像は、サブピクセルレベルで歪むことがあり、すなわちピクセル内でさえ、歪みが存在する。
【0028】
一つの例示的な実施形態では、二つのイメージングシステムが提供され、一方は第一の走査電子顕微鏡(SEM1)を備え、また、他方は走査電子顕微鏡(SEM2)を備える。各システムはまた、高解像度画像関連データキャプチャシステムと、適用可能なSEM及び該高解像度画像関連データキャプチャシステムに通信可能に接続された計算処理装置と、それらにロードされたソフトウェアを備え、前記ソフトウェアは、(1)本明細書で開示する方法に従って個々の画像に歪み補正を適用し、(2)隣接する画像を接触させて「画像綴じ」を行い、そして、(3)画像をモザイク処理、画像をオーバーレイ処理、及びナビゲート処理するものである。各システムは、少なくともナノメートルの精度を有する既知の寸法を有する一連のグリッド線を有する基板からなる較正サンプルと関連して動作し、画像化サンプル(例えば、集積回路サンプル)に使用される。動作中、システムは、各SEM上で、指定された動作条件で較正サンプルの表面の一連のSEM画像を取ることによって、所望の動作条件のセットについての適切な歪み補正を位置毎に決定する。様々な動作条件は、動作距離(概ね約8mmで、又は8mm程度で固定)、ピクセル滞留時間(概ね、ピクセル当たり0.20マイクロ秒で固定)、アパーチャサイズ(概ね、60μmで固定)、検出器信号増幅範囲(概ね「High」に固定))、画像ピクセル解像度(概して16000×16000で固定)、加速電圧(概ね8kv、9kv、10kvのそれぞれで固定)、及び視野、即ち、「FOV」(概ね50um、75um、100um 、150μmの各々で固定)を含む。較正サンプルを使用して、それをデバイスから得られる画像と比較することにより、SEMに対する上記パラメータの各配列及び組合せを表す基板の位置毎の補正値、即ち、歪み曲線が決定され得る。上記列挙されたものに限定されない任意の数のパラメータも、上述のシステムを含む任意のイメージング装置で使用されるパラメータの全動作範囲に対するより総合的な歪み曲線を与えるためにサンプル上で、そのために収集されたデータによって変化させることができる。全てのパラメータが同じ程度で歪みに影響を及ぼすわけではなく、使用されている機器によってはパラメータの単純化が可能である。実験計画法が、相互作用を含む各パラメータの効果をよりよく特
徴付けるために使用され得る。(同じベンダーからのものであっても、同じ動作パラメータで動作していても)各特定のSEMは、異なる感度と歪みを有し得、全FOV及び各画像についてパラメータ空間の全範囲を測定し、必要とされる最終的な精度に基づく決定をすることによってのみ、正しい歪み値を使用することができる。上記の例示的なシステムでは、シングルピクセル精度が必要であるが、場合によっては、サブピクセル精度又は、それを超えたピクセル精度が要求されることがある。
【0029】
特定の動作条件で所定のシステムに対して正しい歪み値が設定されると、最も適切なパラメータを用いて未知のサンプル(例えば、部分的に層が除去されたIC)を画像化することができる。一般に、最も基本的な要件は、最小の回路要素を識別するのに十分なピクセル解像度を有しながら、より高速な画像化(従って、比較的大きなFOV)を必要とする。そのような要素が、与えられたピクセル解像度での有用な画像化には小さすぎる場合、より高い解像度を有するより小さいFOVが必要とされることがある。これは、基板のその領域に対して画像化を繰り返すことを必要とするが、小さく、高密度な特性の一般的な位置及びそれに関連する必要な解像度を決定する最良の方法を提供することができる。
【0030】
上述のシステムに関して、以下の初期設定をSEMIにおいて使用することができる:
1000×1000μmの画像化領域;
100μm FOV(各画像は100x100μmの領域をキャプチャする)
10枚×10枚の画像のモザイク(合計100枚の画像、各画像(6.25nm /ピクセル)対して16,000×16,000ピクセルの画像キャプチャ)
10kVの加速電圧、
60μmの開口を有する画像キャプチャ装置、及び
「高」ゲイン信号増幅
位置に基づく補正歪み値を画像に適用して、16,000×16,000ピクセル画像の新しい歪みのないセットを作成し、その後、それらは画像のモザイク内で確実に整列され、サンプルの画像化された層の適用可能なFOVの歪みのない画像が提供され得る。図7は、単一の画像の拡大部分を示す。
【0031】
次に、サンプルを次の層(具体的には例えば、ICの場合、付加回路)を露出させつために、サンプルは部分的に層が除去され得、異なるSEM上で、(より小さい回路要素を持つ新たに露出された回路層にマッチさせるために)僅かに異なるパラメータを用いて画像化行程を繰り返す。例えば、以下の設定がある:1000×1000μmの画像化領域、50μmのFOV(各画像は50×50μm)、20×20画像(合計400画像)のモザイク、16,000×16,000ピクセル画像キャプチャ(3.125nm /ピクセル)、加速電圧8kV、60μmのアパーチャ、「高」ゲイン信号増幅。図8は、図7に示す画像に対するx座標及びy座標の両方に対応する位置における単一の画像の拡大部分を示す。
【0032】
各SEM及び各条件セットに適した位置に基づく歪み補正値を、両方のデータセットからの個々の画像に適用した。補正後、画像セットは、スティッチされ、整列され、配置されてモザイク化される。一つの画像セットは他の画像セットにオーバーレイされ、幾つかのピクセルのサイズの特徴に対して完全な位置合わせが示される。図9(モザイクから得た一つの単一画像の拡大部分)に示すように、歪み補正された画像を互いに重ねて表示することができ、各層の対応する特徴は、異なるSEMを使用しているにもかかわらず、異なる動作条件及び画像解像度で相互に整列する。図10に示すように、補正されていない画像をスティッチし、整列し、重ね合わせた結果は、特に、この場合は、異なるSEMで異なる解像度から得られた結果は、一つのデータセットから他のデータセットへの特性間の非整列の重要な例を示し得る。図10は、図9に示す画像に対応する単一画像の同じ拡大部分を、日積補正なしで重ねて示している。
【0033】
基板表面の典型的な画像キャプチャでは、光学的、電子的、イオン的、電磁気的などのビームは、その画像がキャプチャされている領域を通過する。多くの場合、基板は、表面、断面又はその一部から、より完全なデータ収集を得るために、ラスタパターンでスキャンされる。ラスタパターンは、一般に、第一の側から第二の側への第一の方向に沿って第一の通過をし、次いで、第一の通過の始点まで、第二の方向における直ぐ上又は下の位置で第一の側にクイックリターンし、その後、第1の通過に平行な経路に沿った第一の側から第二の側への第一の方向に沿って、さらに通過をさせ、そして、それを繰り返すことによって特徴付けられる。全てのラスタスキャンが平行線で行われるわけではなく、いくつかは、ジグザグ、星型、蛇行型、ランダムに配向された通過であり、又は他の形状である。基板表面又は断面の様々な部分が、一つ又は複数のサンプリング速度で収集された複数のサンプルを用いてスキャンニング軌道に沿って収集される必要はなく、ビーム/基板/収集装置の向きを任意の所望の位置に移動させ、ビームの放射及び検出を操作し、画像関連データを収集し、それを意図された位置に関連付けし、次いで意図された位置に基づいて補正係数を決定することによって、一つ又は複数の別々の画像キャプチャ位置が収集され得る。一つ又は複数の別々の画像キャプチャ位置は、画像化された表面、断面、又はその領域の特徴又は特性を特徴付けるために使用され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、適切な検出器が放射、反射又は影響を受けた信号を測定する間に、ビームが上記のパターンに沿って表面に向けられた時に、基板表面の一部の画像がキャプチャされる。測定信号は、所定のサンプリングレートで収集(又は記録)され得る。電子ベースのイメージングシステムの場合、電子は、反射(後方散乱)し、吸収され、又は(二次電子又はX線)の放出のトリガとなり得る。イオンビームシステムは、吸収及び反射に加えて、画像キャプチャ位置を特徴付けるために使用され得る二次電子を生成し得る。光(例えば、レーザ及び/又は可視光)は、基板画像捕獲特性決定のために光子放射を反射又は生成し得る。他のビーム指向性信号を使用することもできる。得られた測定値(すなわち、画像関連データ)は、幾つの電子が検出器に向けられるかに影響を及ぼす表面の形状及び特性、その構成及び構造に依存して変化することになる測定された信号の強度に基づいて画像を生成するために分析され、使用される。多くの電子イメージング装置では、検出器は、所望の予め決めた速度で、(ビームの方向又は二つ又はそれ以上のビームエミッタ、基板及びエミッション検出器の素体位置を変化させることによって)ビームモチベータがビーム衝突の位置を動かす時に一定の間隔でサンプルを測定し、又、記録するように構成されえちる。各サンプルは、単一のピクセル、ピクセルのグループ、ピクセルの一部分(例えば、複数のサンプルを組み合わせて単一のピクセルを形成することができる)、又は画像構成要素に対応する。
【0035】
電子イメージング装置における電子ビームの湾曲方向及び通過中のその変化率は、一般に、それらの間に電位差を有する一つ以上の対向する電極対を用いて電磁場の生成及び制御によって制御される。各電極における電圧の相対的強度を操作することによって、ビームの方向を制御することができる。多くの場合、各電極の電圧は、デジタル・アナログ変換器(すなわちDAC)及び各電圧増幅器によって制御され、それは非常に正確な電圧を生成するために典型的に高度に特殊化され正確であるが、結果として生じる電磁場の予期せぬゆらぎ、従って結像されるサンプル領域を横切るビームの移動速度及び最終的に任意の所定の時間におけるビームの位置のいくつかの変動が、予想される位置に対応しないことがある。例えば、画像キャプチャ位置の変化率は、(画像キャプチャ領域の中心に近い変化率に比べて)ビーム衝突位置が画像キャプチャ領域のエッジに近づくにつれて、わずかに速くなるか遅くなる。さらに、横方向の視野が増加するにつれて、ビームの速度がサンプルの端部に向かって変化する(これは正しいかもしれないし、正しくないかもしれず、電子機器はこれを考慮に入れて、レンズ効果もこれに影響を及ぼす)。電子検出器の規則的なサンプリング間隔と相まって、ビームの位置の非線形変化率のために、結果は歪んだ画像になる。なぜなら、電子イメージング装置は、与えられたパスの途中で、パスの開始又は終了により近い隣接ピクセルに関連付けられた位置よりも、より近づき得る(又はさらに離れ得る)位置から得られる所定の画像内のピクセルを識別するからである。さらに、この隣接ピクセル間の相対距離は、サンプル領域の中心に近いパススルーよりも上又は下に近いパスで異なることがある。
画像キャプチャ領域上の所定の場所における衝突の領域は、画像キャプチャ領域上の他の場所に対して変化してもよい。どのような場合でも、歪みは多くのコンポーネントの影響と相互作用から生じることもある。ビームが実際に線形速度で曲げられたとしても、システムの光学系及びレンズは、サンプル上のビームの最終位置に影響を及ぼす可能性がある。
【0036】
多くのアプリケーションにおいて、何れか一つのアプリケーションで結果として生じる歪みは、任意の画像内の隣接する特徴を認識する能力に影響を及ぼすほど十分に重要ではなく、隣接する画像を整列させることもない。しかしながら、ある表面(又は断面)上に高解像度で、ある表面を画像化することは、たとえどんなに、低解像度での歪みが最小限であっても、歪みを悪化させることになる。隣接する画像をモザイクに整列させることは、表面(又は断面)あたりに非常に多くの画像が存在する場合、特に、各画像キャプチャ領域の視野が大きい場合及び/又は画像化される表面が、画像キャプチャ領域のサイズ及び/又は特徴のサイズ及び/又は必要とされる解像度に対して、非常に大きい場合に、問題になる可能性がある。
【0037】
歪みは、一つの層から別の層への垂直方向の整列に使用される構造が、画像歪みのために整列しないことがあるので、複数のモザイク画像を垂直に整列する際に誤差を生じさせる。なぜなら、前記画像歪みが、整列の位置を特定することが不可能ではないにしても困難にし、さらに、隣接する構造を識別することができたとしても、隣接する二つの層の一つの領域又は位置における位置合わせが、互いに対して位置ずれを引き起こす可能性があるからである。ICのリバースエンジニアリングの例では、回路リード線の位置ずれが、所定の回路において切断を誤って識別することにつながる。いくつかの実施形態では、例えば、密度、材料分析及び/又は化学組成、ならびに表面又は断面にわたる他の特性又は特徴を含む、基板の様々な特性を評価するために、異なるタイプの検出及び画像化を使用することができる。例えば、システムは、ある画像では二次電子検出器(SE)を使用し、別の画像では後方散乱電子検出器(BDS)を使用し、第三の画像ではエネルギー分散X線分光法(EDS)を使用することができ、これらは、幾つかの場合には、全て異なる視野(倍率)である。歪みが補正されることを確実にすることによって、同じ基板の様々な画像を、特徴及び構造のミスアライメントを引き起こすことなく重ね合わせることができる。
【0038】
この問題は、サンプル領域のサイズを最小化し、全ての画像化された層のサンプル領域の同じサイズ及び垂直方向の整列を保証し、次いで全ての画像が相互に垂直方向に整列した頂点及び/又はエッジを有することを確実にすることによって、軽減され得る。それらが頂点に従って整列されていれば、垂直に配向された構造が、対応する垂直に整列した画像に現れる。残念なことに、任意の層の全ての領域及び実際には全ての層が、等しい密度又は類似の密度の構造を有するわけではない。サンプル領域の歪みを全てのオーバーレイ画像にわたって整列することを確実にし、モザイク層を適切に整列させるために、隣接するオーバーレイ層と完全に整列された最小及び等サイズのサンプル領域が、全ての層に亘って、層毎にキャプチャされなければならない。
【0039】
ある画像が取得される三次元構造を再現する実施例では、サンプルのイメージ化された部分が除去され、別の画像が取得され、次いで第一の画像と垂直に整列され、これらのステップが繰り返される。歪みは、たとえ一つの位置で適切に整列されていても(即ち、画像の中央で整列が正確であるが、縁で整列がずれていても)、層間の重大なミスアライメントを引き起こす可能性がある。以下は、層を画像化し、層を除去し、基板を特徴付けるために画像のモザイク化及び整列された積層の構築を繰り返す三つの例である。(1)FIB / SEM:画像又はモザイク画像をSEMで取得し、FIBがある層をスライスして取出し、次にSEMで別のモザイク画像を取得し、次いで、FIBでスライスし、次いで、SEMで画像を取得する。(2)ミクロトーム/ SEM:画像又はモザイク画像をSEMで取得し、ミクロトームがある層をスライスして取出し、SEMで表面画像を取得し、これらのステップを繰り返す。(3)集積回路の層除去:SEMが画像を取得し、次いで機械的又は化学的に層を除去するなどの他の方法により、ICからスライスを除去し、次に別のSEM画像を取得し、層除去とSEM画像の取得のステップを繰り返す。
これらの場合及び他の場合において、同じサンプル内の隣接する層の各画像は、所定のサンプル内に存在する構造を分析するために、整列され得る。幾つかの場合において、基板の、画像化された横断面の上及び下の任意の部分を物理的に除去することなく、基板の横断面に対する画像関連データを提供することができるいくつかのイメージング技術があるので、層の除去は必要ではない。断面画像化の非限定的な例は、以下の非限定的な例を含む。磁気共鳴画像法(MRI)、核磁気共鳴画像法(NMRI)、磁気共鳴断層撮影法、コンピュータ断層撮影法(限定するものではないが、X線CT、陽電子放出コンピュータ断層撮影及び単光子放出コンピュータ断層撮影を含む)、コンピュータ横断断層撮影(CATスキャン)、コンピュータ支援断層撮影、超音波検査、又は超音波検査。画像歪み補正方法及びシステムは、前述のタイプの断面画像化を含むことができる任意のシステムで実施することができる。
【0040】
本発明は、各サンプル領域内の歪みを補正し、任意の所定の層におけるサンプル領域の整列を容易にすることを可能にするだけでなく、所定の層内及び層毎に変化するサンプル領域サイズの使用を可能にする。これは、基板の全ての層を完全に画像化するのに必要なサンプル領域の数を大幅に減少させる。モザイク内の各画像を実際の表面をよりよく表すように補正することにより、画像及び/又は画像頂点の位置合わせがもはや必要なくなり、モザイク化に影響を与えることなく、様々な層、又は実際に様々な領域において、異なる倍率の画像化が使用され得る。いくつかの実施形態では、これは、テストサンプルの画像化された特徴を測定し、それらをそれらの特徴の実際の既知の位置と比較することによって、システムによって導入された非線形性を補正するために、得られた画像におけるサンプリングの座標を修正することによって行われる。これらは、電子イメージング装置の特性及び様々なチャンバ条件に依存する可能性がある。従って、画像内のピクセルの真の位置を表す画像データは、キャプチャされた画像関連データとの位置関係を補正することにより、任意のサンプルについて推定され得、かつ、位置を補正することができ、従って、歪みを除去又は大幅に減少させることができる。
【0041】
第1の実施形態では、本発明は、所定の条件でのサンプル上の特徴の実際の既知の位置と、結果の画像上の特徴とを比較し、次いで、その比較結果を意図した位置の関数として、関連するキャプチャ画像に適用する方法及びシステムに関する。別の実施形態では、本発明は、補正された値に対応する画像内のピクセルに前記画像関連データを適用する前に、各キャプチャした画像関連データに所定の画像補正係数を適用して、基板のキャプチャ領域に亘って画像歪みを補正する方法及びシステムに関する。別の実施形態では、本発明は、基板の所定の画像キャプチャ領域の解像度及び画像関連データキャプチャの所望の場所に依存する適切な所定の画像補正係数を動的に適用する方法及びシステムに関し、前記解像度は、実際の又は推定された特徴密度に依存して変化し得、また、該方法及びシステムは、垂直方向又は水平方向に隣接する画像キャプチャ領域に対応する一つ又は複数の歪み補正画像を用いて前記画像キャプチャ領域に対応する任意の歪み補正画像を整列する。
【0042】
図1を参照すると、イメージングシステムによって画像化される第一パターン100と、パターン100の結果として得られる画像110が示されている。画像110は、スキャニングイメージングシステムに関連する不完全の結果として、システムスキャンニング及びサンプル時間が非線形性であるために、不均一な垂直線ピッチを有る。垂直線変位は、特徴111及び101によって示されるように最初は0であり、特徴102及び112によって示されるように、画像の最後でも0である。パターン100から既知である特徴の実際の位置と画像特徴110との間の相違は、所望の位置の関数として歪み補正係数を決定するために使用され得る歪み曲線を決定するために使用することができる。
【0043】
図2を参照すると、所定の画像200の第一行のピクセルが示されている。いくつかのスキャンニングイ式メージングシステムでは、ビーム衝突点が基板上を通過するときに、画像関連データが所定の速度でサンプリングされる。各サンプルは、ピクセル値210aから210mを生成するために使用される。サンプリングレートとスキャンニングレートとの間に非線形性があるため、歪みが生じる。説明的な例を提供する目的で、同一の動作特性で動作する同一のイメージングシステムが、図1に示す既知の特徴100を有する基板の画像110を生成したと仮定する。画像110を既知の特徴100を有する基板と比較することによって、歪み曲線を生成することができる。このような比較結果を表す歪み曲線を、例えば図3に示すように、図表を用いて生成することができる。歪みグラフ300の歪み曲線310は、図4に示すように、図2に示したピクセル行の各ピクセルのエッジに適用されることになるピクセルシフトの程度を示す。図5は、適用結果を、図示されたデータ収集結果510a~510mの実際の位置を用いて示している。位置補正されたサンプル510a~510mは、歪み補正された画像関連データサンプルが収集される位置を表す。しかし、ピクセルサイズは実際には結果として得られる画像において固定されているので、収集されたサンプルは固定された画像ピクセルに補正されなければならない。これは、各サンプルが固定ピクセルに重なる量に比例する位置補正収集画像関連値のサンプルに基づいて補正ピクセル画像値を計算することによって達成される。単一の次元のみが考慮されるピクセル行に対して、以下の例示的な式を使用して、ピクセルの補正値が決められる。
式中、iは、ピクセル行における固定ピクセルインデックスであり、corrPx [i] =は、行内の固定ピクセルithに対する補正画像関連値である。jは、各位置補正されたサンプル及びその固定ピクセルと重なる部分のインデックスである。 nは、位置補正サンプル及びその固定ピクセルithと重なる部分の総数である。Px[j]は、各位置補正サンプル又はその固定ピクセルに重なる部分について収集された画像関連値であり、 [j']lengthは、各位置補正サンプル又はその固定ピクセルと重なる部分の長さであり、corr[i].lengthは固定ピクセルithの長さである。明瞭な例として、位置補正されたサンプルの一部のみが固定ピクセルと重なる場合、そこから補正された画像関連値への寄与は、(位置補正サンプルの全長ではなく)固定ピクセル長に亘って位置補正サンプルが重なる部分のみのフラクションを乗算したサンプル画像関連値である。
【0044】
図1図5は、ピクセル行に関連する実施形態、又は画像化領域の幅などの一次元にわたる歪み補正を例示しているが、同じ原理を二次元及び三次元にわたって適用することができる。歪み曲線は、画像領域の長さ及び幅にわたって歪みを補正して、サンプル上の全ての領域におけるサンプリングの意図された位置と実際の位置との間の差異を補償するために生成され得る。幾つかのアプリケーションやシステムでは、特定の解像度で、幅全体にわたる歪み補正だけで十分な補正が行われる場合がある。他のものでは、長さ及び幅に対する歪み補正が必要となることがある。上記の式は、次の二次元の式に変更することができる。
式中、値は上記式1と同じである。jは各位置補正されたサンプル及びその固定ピクセルと重なる部分のインデックスであり、この場合を除いて、補正画像関連値に使用される各画像関連値の割合は、各位置補正サンプル又はその一部の重なり合う領域に基づく。三次元の場合、基板の各断面に対して異なる二次元の歪み曲線を生成することができ、又、基板の全体積に亘って、歪み曲線の完全三次元表現を生成することができる。前者の場合、各層に対して3421の異なる二次元歪み曲線を使用して、全ての層に二次元式を適用することができる。代わりに、完全三次元歪み曲線を生成することができ、この場合、上記の式は、固定された三次元ピクセル内の各位置補正されたサンプル又はその一部の体積の割合に基づいて、固定された三次元ピクセルの体積まで計算されることになる。層の除去が不可能であるか又は望ましくない場合、画像化方法がこのような除去を要求しないば場合、断面解析のために三次元歪み曲線及び適用可能な歪み補正が使用されることになる。
【0045】
一実施形態では、基板を画像化するためのイメージング装置が提供され、この装置は、基板を表す検出可能な信号を生成するように基板上の意図された位置に放射を指向させるビームエミッタを備える。ビームエミッタは、装置と一体的な構成要素であってもよく、両方が、規定可能な動作特性(例えば、組成、強度等)を有する特定のビーム組成から成るビームを生成して指向する、他の場合には、ビームエミッタは、周囲光又は他の電磁放射を基板に指向させることができる。ビームは、以下の非限定的な例を含み得る:光、電子、イオン、X線、磁気エネルギー、電磁エネルギー。言い換えれば、イメージングシステムは、光学イメージングシステムであり得、様々タイプの粒子(例えば、電子、イオン等)をサンプルに衝突させることができ、又は様々な形態の電磁放射又はエネルギー(例えば、x線、磁気波等)をサンプルに衝突させることができる。ビームエミッタからの放射は、基板によって生成されるべき信号、基板上の特定の位置に関連する信号を発生させる。その検出可能な信号は、放出された散乱又は反射ビームを含むことができ、又、それは、二次電子又は他の励起を含むことができる。いずれにしても、放射の衝突は、基材上又は基材内の特定の位置からの検出可能な信号を生じさせる。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板上の意図された位置は基板の外面上にある。検出可能な信号は、画像を生成するために基板の表面を特徴付けるために、基板上の複数の意図された位置に関して収集又は測定され得る。いくつかの実施形態では、意図された位置は、基板の内部断面上にあり、そのような場合、検出可能な信号は、材料の断面に沿った位置で、又は内部特徴に沿って収集され得る。幾つかの場合、基板の三次元モデルを開発するために、複数の断面が画像化され、かつ、整列される。代わりに、三次元モデル又は画像は、基板の表面を画像化し、その表面から層を除去し、露出した表面を画像化し、それを繰り返すことによって、垂直に整列され得、結果として得られた画像は垂直に整列され得る。後者の方法は、層除去を繰り返すため、ほとんどの場合、基板を破壊する結果になる。
【0047】
さらに、この装置は、前記検出可能な信号の画像特徴を検出するための信号検出器を備える。以下の実施例において、検出可能なシグナルの検出された画像特徴は、一般的に、この信号の検出された強度に関連する。しかし、本発明の一般的な範囲及び本質から逸脱することなく、当業者には、特定の基板を画像化するために、信号波長、色、周波数、位相、スペクトル、強度等の様々な信号特性が、単独で又は組み合わせて測定及び/又は定量され得ることが認識され得る。
【0048】
幾つかの実施例では、検出可能な信号は、ビームエミッタからの放射出力(例えば、走査電子顕微鏡(SEM)における電子、集束イオンビーム装置(FIB)におけるイオン又は光学系における光)の反射又は後方散乱であり得る。他の場合、検出可能なシグナルは、サンプルを通過する放射(例えば、TEM)である。他の場合には、電子又はイオン化された粒子などの二次粒子が放出の衝突時に生成され得、信号検出器がそれに関連する強度を測定又は検出し得る。他の場合では、放射は、信号検出器によって検出され、意図された位置に関連付けされる他のタイプの励起(及び結果としての緩和)を引き起こし得る。
【0049】
イメージング装置は、歪み補正画像を生成する際に使用するために補正された基板位置と前記強度とを自動的に関連付けるように構成され、ここでは、前記補正された基板位置は前記意図された位置及び前記意図された位置の関数である補正係数から決定される。任意の所定のシステムに対しては、補正係数は、少なくとも一つの動作特性が一定値に維持されるときに、意図された位置に基づいて予め決定される。例えば、チャンバ圧力、温度及び雰囲気ガスは一定に維持され、ビーム強度及び組成は一定レベルに維持される一方で、ビームは既知の表面特徴を有する基板を通過又は指向される。得られた画像は、各サンプリング位置について補正係数を生成するために、既知の表面特徴と比較される。ほとんどのシステムは、サンプリングの意図された位置と実際の位置(その位置はサンプル領域のサイズを含む)との間の誤差を最小にしようとし、実際に多くのシステムもそのような誤差を補償しようと試みるが、ここで開示する構成要件は、少なくとも一つの一定の動作特性で動作するイメージングシステムの経験的データを用いて、そのような位置の関数として基板上の全ての意図された位置に正しい係数を生成する。このように、所定の動作状態にある全てのシステムを特徴付けることができるので、エラーの全ての原因、それらの間の複雑さ及び相互作用、及びそのための補償は重要ではなく、このような特徴付けは、歪みを補正するためにこのような動作状態での全ての将来的な使用に適用され得る。そして、その補正係数は、検出された信号が関係する実際のサイズ及び位置を決定するために適用され得、歪みの原因がどれほど複雑であっても、結果として生じる画像を任意の歪みに対して補正され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、システムは、基板上の異なる意図された位置に関連する信号強度を測定するために、ビームエミッタモチベータ、基板モチベータ、又は信号検出器モチベータの一つ又は組み合わせを使用するスキャンニングイ式メージングシステムである。
SEM及び/又はFIBを使用するシステムのような幾つかの実施形態では、基板上でビームを曲げるようなコイルの周りの電位降下を変化させることによってビーム放出の形状及び/又は方向を変えるために、電磁コイルが使用される。幾つかの実施形態では、機械的モチベータが、ビームエミッタ自体の向き及び位置を変えることができる。両方の場合において、基板及び信号検出器は静止したままである。他の場合には、放出されたビームは、基板及び/又は信号検出器の一方又は両方が移動されている間、同じ向き及び方向に維持される。幾つかの場合には、これらの構成要素の組み合わせを移動させたり、一定のままにしたりすることができる。何れの場合も、基板上の特定の位置に関連する信号は、所定の信号強度測定値と関連付けされているべきである。スキャンニング式イメージング装置の場合、ビームは所定の経路で基板上を通過し、サンプルは所定の速度で測定される。他のタイプの装置では、その装置が、予め定められた意図された位置でサンプルを収集し、生成された画像データにおける強度レベル及び(歪みに対して補正された)意図された位置を使用することができるので、サンプリング速度が適切である必要はない。
【0051】
幾つかの実施形態では、それぞれが基板上又は基板内の実際の位置に関連付けされた複数の信号強度値のサンプルが、画像ピクセルを生成するために使用される。基板の実際の位置が画像のピクセルと必ずしも一致しないので、それらを補正する必要がある。幾つかの実施形態では、これは、補正された強度値を各ピクセルに関連付けることによって達成され、前記ピクセルは前記ピクセルの色又はグレースケール値を決定するために使用され得るピクセル画像値でピクセルを取り込むために補正された強度値を使用する。画像ピクセル値及び画像ピクセルは各意図された基板位置に対応し、画像ピクセル値は、少なくとも1つの信号強度値のそれぞれの比率に基づくものであり、その補正された基板位置は、画像ピクセルの一部に対応する。各ピクセル画像値に対する補正された強度値は、そのピクセル位置に対応する補正された位置に関連する各強度値の比率を用いて決定され、前記比率は、ピクセルサイズに対する補正された位置のサイズの比率に等しい。例えば、ピクセル位置が所定の補正された位置と同じ位置に対応する場合(又は実際に補正された位置がピクセルより大きい場合)、ピクセルの補正された強度値は、補正された位置からの強度測定値と同じである。図6を参照すると、例示的な決定例が示されている。固定画像ピクセル600に対応する行におけるC1の強度(p [C1]としても参照される)は、C1に対応する補正された位置を有する全てのサンプル610の割合に等しい。この場合、C1はA1と正確に対応し、従って、p [C1] = p [A1]となる。 A6のみがC6に寄与するので、p [C6] = p [A6]となる。C5はA5及びA6の一部に対応し、C5の65%はA5の部分からのものであり、35%はA6の部分からのものであり、そのため、p [C5] = 0.65p [A5] + 0.35p [A6]になる。他の実施形態では、ピクセル画像値を決定する他の式及び方法を使用することができる一方で、概して、その寄与は、その基板の同じ位置に対応する幾つかの又は全てのピクセル画像値と一致する実際の位置検出に関連付けられた検出強度値に関連付けられることになる。
【0052】
幾つかの実施形態では、装置は、ビームエミッタ、基板ステージ及び信号検出器を一体的に備えている。他の場合には、装置は、前記構成要素の各々が非一体部分に維持されるシステムを含む。関連付け、測定、決定、及び訂正のステップは、その装置と一体的に関連付けられ得るか、又は、代わりに装置又はシステムと非一体的であるシステムとしての通信可能に接続されたコンピューティング装置によって達成され得る。前記コンピューティング装置は、当業者には理解されるように、処理、通信及びデータストレージ、及びメモリコンポーネントの様々な組み合わせを含むことができる。
【0053】
幾つかの実施形態では、イメージング装置又はイメージングシステムにおける画像歪みを補正する方法が提供される。イメージング装置又はシステムは、放射を基板に向けて、意図された位置に関連する基板を表す検出可能な信号を生成するビームエミッタと、前記検出可能な信号の強度値を決定する信号検出器とを備える。この方法は、放射を基板に当てて、意図された位置に関連する検出可能な信号を生成するステップを有し、前記意図された位置は、典型的に、画像化される基板上の領域の画像上のピクセル位置に対応する。検出可能な信号は、ビームエミッタからの放射の反射、散乱、又は非吸収部分であってもよいし、又は、放射の衝突によって引き起こされる二次信号であってもよい。検出可能な信号の強度は、信号検出器によって測定され、前記強度は最初に意図された測定位置に関連付けされたものであり、補正基板位置は、測定された強度に関連付けされ、前記強度は、補正された基板位置に関連付けされ、歪み補正された画像を生成する際に使用される。この方法において、補正された基板位置は、意図された位置と、該意図された基板位置の関数である補正係数とから計算される。(表面又はその断面上の)基板の領域の画像データを提供するために、十分な強度値が基板の一部分から測定されると、画像化されたピクセル位置に対応する補正された基板位置の全ての比率量と関連付けすることによって、補正された強度値が、各画像ピクセルに対して決められる。
【0054】
いくつかの実施形態では、一つ又は複数の一定の動作特性で所定のイメージングシステムの補正係数を決定する方法が提供される。この方法は、既知の表面特徴を有する基板上の表面特徴に関連付けられた信号強度を画像化するか、又は検出し、次いで、得られた画像(又は場合によっては、意図した測定位置に関連付けされた信号強度値であり得る)を既知の表面特徴と比較することを含む。その差異に基づいて、一つ又は複数の方向(又は寸法、即ち、長さ、幅、又は深さ)への変換が、意図した位置の関数として決められ得る。所定の基板における各意図された位置での方向又はベクトルとして表される補正係数は、一つ又は複数の歪み曲線又は歪み指数として表され得る。次いで、補正係数は、同じ動作条件で同じ装置において画像化される任意の基板の歪み補正を解決するために使用され得る。
【0055】
図11~図16に示すように、一実施形態からの例示的な画像化結果セットが説明される。これらは、同じ基板において、結果として得られる歪み補正された画像及び対応する補正されていない画像を含む。この歪み補正イメージングシステムの実施例は、第一の走査電子顕微鏡(SEM-A)、第二の走査電子顕微鏡(SEM-B)、高解像度画像キャプチャシステム、較正サンプル(ナノメータの正確さの一連の既知のグリットラインを有し、前記キャプチャシステムによって検知可能な特徴を有する基板)、集積回路サンプル、個々の画像に歪み補正プロセスを適用するためのソフトウェア、画像ステッチングソフトウェア、モザイクオーバーレイ及びナビゲーションソフトウェアを含む様々なソフトウェアアプリケーションを実行する関連データ処理装置(例えば、コンピュータ)を有する。
【0056】
上記のシステムにおける画像歪みを補正する一つ方法の例示的な実施形態は、以下のステップを含む。SEM-AとSEM-Bの両方を使用して、一連のSEM画像を異なる動作条件で較正サンプルから取得する。例示的な動作条件は、固定作動距離(8mm)、固定ピクセル滞留時間(0.20マイクロ秒/ピクセル)、固定開口(60μm)、固定検出器信号増幅範囲(高)、固定ピクセル分解能(16000×16000)、加速電圧(8kv、9kv、10kv)、FOV視野(50μm、75μm、100μm、150μm)を含み得る。上記のパラメータの各順列及び組み合わせに対する結果としての画像を較正サンプルの既知の特徴と比較することによって、各動作条件のセットに対する関係を、意図された位置の関数として決定することができる(ここで、意図された位置は、ビームが基板の表面上に入射する領域のサイズが、異なる意図された位置で異なり得るので、結果として得られるキャプチャ位置の位置に加えてサイズを含み得る。)。イメージング装置の所定の動作パラメータのセットで画像データを取り込むときに、意図された位置の所定の入力に対して、画像キャプチャの実際の領域及び位置のサイズ及び位置が戻される補正機能が開発され得る。
【0057】
最終的には、多くのパラメータが変更され得、FOVの範囲内の任意の所定の位置での歪みを特徴付けるための完全な動作範囲を与えるためにデータが収集され得る。全てのパラメータが同じ程度まで歪みに影響を及ぼすわけではなく、使用されている機器に応じて、パラメータの単純化が可能であることに注意するべきである。試験の回数を減らすために実験計画法が使用され得る。各特定のSEMは、(同じベンダーからのものでも)異なる感度を有し得、パラメータ空間の範囲を測定し、必要な最終的な精度に基づいて決定することによってのみ、正しいアルゴリズムが採用され得る。本実施形態では、単一のピクセル精度が要求された。
【0058】
一度、補正機能が確立されると、未知サンプル(層除去されるIC)が、画像セット#1を与えるために(以下の表に示されるパラメータ値のような)最も適切なパラメータを用いて画像化される。最も基本的な要件は、最小の回路要素を識別するのに十分なピクセル解像度を依然として有すると同時に、最も速い画像化(最大FOV)である。次の表に、各画像セットの画像化パラメータを示す。
【0059】
層全体に対する画像を収集した後、部分的に層除去されたICは、さらに回路の次の層を露出させるために部分的に層除去され、(新たに露出された回路層をより小さい回路要素と一致させるために)僅かに異なるパラメータで、異なるSEMを使用して画像化処理が繰り替えされる。これは、図11に示されるように、全体が画像化された層1100の画像を形成するために、一緒にモザイク化される画像セット#2を生成する。図11には、画像セット#2から得られる一つの個別画像が示されている。
【0060】
各SEM及びパラメータ値の各セットに適した歪み補正アルゴリズムが、両方のデータセットから得られる個々の画像に適用される。補正後、画像セットはスティッチされ、整列させ、モザイク状に配置される。図13は、画像セット#1における一つの画像から得られる二つの拡大領域を示している。図13aは画像の左端付近から取得した画像であり、図13bは中央付近から取得した画像である。図14a及び図14bは、画像セット#2の一つの画像から得られる二つの拡大された領域を示す。図14aは、画像セット#2の縁付近からの取得した画像を示し、図14bは、画像セット#2の中心付近から取得した画像を示している。図15a及び図15bには、補正画像セット#1の一つの画像から得られる二つの拡大領域が、補正画像セット#2の画像から得られる対応する拡大領域の上に示されている。図15a及び図15bは、完全な垂直アライメントを示しており、ここでは、画像セット#2の相互接続が画像セット#1の金属ラインと正確に整列している。これは、画像のエッジ付近及び中心付近で正しい。対照的に、図16a及び16bは、同じ領域を示しているが、画像は補正されていない。拡大された領域は、画像の縁で良好に整列しているが、画像の中心付近ではミスアライメントが生じている。
【0061】
本明細書は様々な例示的実施形態を記載しているが、本発明は、これらの実施形態に限定されない。それどころか、本発明は、本発明の一般的な範囲内に含まれる様々な変更及び均等な構成をカバーすることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b