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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】真空動力工具
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
B25J15/08 D
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019000214
(22)【出願日】2019-01-04
(65)【公開番号】P2019193969
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-12-29
(31)【優先権主張番号】18158788.2
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500258868
【氏名又は名称】ピアブ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヘルストレーム,ジョナス
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05263753(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0360358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ー 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空源に接続可能であり、物体係合位置において、真空動力工具内の負圧の結果として物体を係合および保持し、前記負圧がなくなると初期位置に弾性的に戻るように配置された、真空動力工具であって、
前記真空動力工具は物体取り扱い係合部品を備え、
前記真空動力工具は、第1末端において、前記真空動力工具の固定のために真空接続用具内に固定的に受容される取付具を有し、
前記真空動力工具の第2末端が、少なくとも1つの折り畳み式部品を有する少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状と気密接触して設けられており、この少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状上には、前記物体係合位置において、互いに反対方向に駆動される把持手段によって、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状を少なくとも部分的に潰す、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状内の前記負圧の結果として、前記物体を係合および保持し、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状内の前記負圧がなくなり、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状が本質的に球形となると前記初期位置に弾性的に戻るように、物体取り扱いおよび係合器具が提供および配置され、
前記真空動力工具は、第1支持体に気密的に実装されたベローズと第2導管を備え、前記第1支持体は前記第2導管を介した前記ベローズへの負圧を供給するための貫通チャネルを有し、前記ベローズはアタッチメント部品を有し、前記アタッチメント部品には前記物体取り扱いおよび係合器具が実装され、
前記ベローズは、前記ベローズ内の負圧により縦方向に圧縮され、前記負圧がなくなると元の長さに弾性的に戻るように配置され、それにより前記縦方向に垂直運動を提供する、真空動力工具。
【請求項2】
前記第2導管には、前記ベローズへの負圧をオンまたはオフにするための弁または弁手段が設けられている、請求項1に記載の真空動力工具。
【請求項3】
前記ベローズへの負圧をオンまたはオフにするための前記弁手段は、前記中空内部幾何形状にのみ負圧が印加される第1の物体把持シーケンスに続く第2の物体吊り上げシーケンスにおいて、前記第2導管内の負圧をオンにするために配置され、
前記アタッチメント部品は、第1導管を介した前記物体取り扱いおよび係合器具への負圧の供給のための貫通孔を有する、請求項に記載の真空動力工具。
【請求項4】
前記物体取り扱いおよび係合器具は、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状内の前記負圧がなくなって代わりに正圧が提供されると弾性的に前記初期位置に戻るように提供および配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項5】
前記物体取り扱いおよび係合器具は、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状の外側に、一端において縦線から内向き/外向きに旋回可能であり、前記折り畳み式部品を潰す前記負圧の結果として前記物体を係合および保持し、負圧が印加されていない結果として前記物体をそれぞれ解放するように配置された、複数の長尺の固定されたグリッパ手段を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項6】
前記真空動力工具の縦方向に延在する複数の長尺の前記グリッパ手段は、グリッパアームであり、グリッパ用具が設けられている、請求項に記載の真空動力工具。
【請求項7】
前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状は、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状の内側に設けられたストッパ要素によって部分的に潰れるために設けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項8】
前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状によって部分的に潰すために提供される、前記少なくとも部分的に可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状は、特定の負圧を超えても全壊しない十分に耐久性のある材料で作られる、請求項1からのいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項9】
前記ベローズの前記アタッチメント部品は、縦断面において、連続する歯状または正弦波状の外側を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項10】
前記ベローズの前記アタッチメント部品は、断面において、円形断面を有する前記ベローズの内側に適応する部分的に円形の外側を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項11】
前記ベローズの前記アタッチメント部品は、断面において、多角形断面を有する前記ベローズの内側に適応する直線的な外側を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の真空動力工具。
【請求項12】
前記ベローズは、鋳造によって一体に成形されたベローズインサートを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の真空動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に真空動力工具に関する。より正確には、本発明は、真空源に接続可能であり、把持位置において、工具内の負圧の結果として物体を保持し、負圧がなくなると元の位置に弾性的に戻るように配置された、真空動力グリッパ工具に関する。さらなる態様では、本発明は、さらなる垂直吊り上げ器具を有する真空動力物体保持および係合工具に関する。
【背景技術】
【0002】
真空動力工具には真空源から負圧が供給されるが、これは、グリッパ工具に隣接して配置されたエジェクタ、または物品およびパッケージの選別またはピッキングのためにしばしば採用されるいくつかの真空動力工具に役立つ中央に配置されたエジェクタまたはポンプであってもよい。真空動力グリッパなどの真空動力工具は、物体取り扱いおよび係合器具を介した吸引効果によって、真空動力工具によって取り扱われる物体との係合を生じるために、真空源に接続される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、真空源に接続可能であり、物体係合位置において、工具内の負圧の結果として物体を係合および保持し、負圧がなくなると初期位置に弾性的に戻るように配置された、真空動力工具が提供される。真空動力工具は物体取り扱い係合器具を備え、工具は、第1末端において、工具の固定のために真空接続用具内に固定的に受容される取付具を有する。工具の第2末端において、第2末端は、少なくとも部分的に可撓性で折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状と気密接触して形成されてこれが設けられており、少なくとも1つの折り畳み式部品を有するこの本質的に球形で少なくとも部分的に折り畳み式の中空内部幾何形状には、互いに反対方向に駆動される把持手段などによって、物体係合位置において、少なくとも部分的に潰れた可撓性で折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状内の負圧の結果として物体を係合および保持し、可撓性で折り畳み式の球形の中空内部幾何形状内の負圧がなくなると初期位置に弾性的に戻るように、物体取り扱いおよび係合手段が提供および配置される。
【0004】
可撓性で折り畳み式の球形の中空内部幾何形状は通常、可撓性で折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状の内側に設けられたストッパ要素によって部分的に潰れるように設けられるが、特定の実施形態では、通常はストッパ要素をまったく用いることなく、完全に潰れることが可能である。
【0005】
通常、本質的に球形の中空内部幾何形状の外側には、一端において縦線から内向き/外向きに旋回可能であり、折り畳み式部品を潰す負圧の結果として物体を係合および保持して負圧が印加されない結果として物体をそれぞれ解放するように配置された、固定されたグリッパ手段が設けられる。
【0006】
互いに反対方向に駆動される把持手段によって物体取り扱いおよび係合器具と共に配置された真空動力グリッパ工具は、物品およびパッケージの選別またはピッキングにしばしば採用される。
【0007】
第1の態様の特徴を含む、本発明の第2の態様によれば、垂直吊り上げ器具がさらに提供される。
【0008】
凹凸または傾斜した表面を有する物体の取り扱いのために採用される真空動力グリッパ工具では、垂直吊り上げ器具は、可撓性ベローズとして実現されることが可能である。可撓性ベローズの可撓性および圧縮能力は、物体とベローズに結合されたグリッパ手段との間で不可欠な傾斜が得られるように、物体の形状または位置への適応を可能にする。ベローズの可撓性はまた、繊細なまたは変形可能な表面および材料の取り扱いにおいても有利である。
【0009】
好適な実施形態では、ベローズは、ベローズの自由端から突起するグリッパアームを有する物体取り扱いおよび係合器具のためのアタッチメントを有して配置され、把持または締め付け用具はアームの自由端に配置される。前記用具には、取り扱われる物体に対する異なる作用に対して様々な設計が付与されてもよい。
【0010】
一例として、各グリッパアームが、その自由端において、物体の外側または内側に対する締め付けを含む用途で摩擦要素を支持する一実施形態が言及され得る。別の実施形態では、アームは、その自由端において、物体の捕捉または保持を含む用途で爪を支持してもよい。
【0011】
ベローズインサートは好ましくは、熱可塑性合成材料のようなキャスタブル材料で作られ、一体に成形される。
【0012】
解決策における詳細の上記の説明された実施形態は、様々な需要への既存の工具の適応のため、および取り扱われる物体に対する異なる作用のために、異なる相互組み合わせにおいて利用されることが可能である。
【0013】
本発明の実施形態の例が以下に詳細に説明され、添付の概略図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】取付具および支持体が外側からの図に示される、物体取り扱いおよび係合器具およびベローズを含む図1に示される実施形態による真空動力工具を示す図である。
図2】取付具および支持体が、線A-Aに沿って実装されたベローズインサートを有するベローズを通る断面を示す垂直線に沿った断面で示される、物体取り扱いおよび係合器具およびベローズを含む実施形態による真空動力工具を示す図である。
図3】物体取り扱いおよび係合器具が、取付具の支持体(「第1支持体」と称される)上に直接実装された、ベローズのない別の実施形態による真空動力工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および図2には、全体として参照番号1で指定される真空動力工具が示されている。
【0016】
真空動力工具1には真空源から負圧が供給されるが、これは真空動力工具1に隣接して配置されたエジェクタ、またはいくつかの真空動力工具に役立つ中央に配置されたエジェクタまたはポンプであってもよい。真空動力工具は、物品およびパッケージなどの物体の選別またはピッキングのためにしばしば採用される。
【0017】
本明細書では、真空動力グリッパなどの真空動力工具は、物体取り扱いおよび係合器具を介した吸引効果によって、真空動力工具によって取り扱われ係合される物体との係合を生じるために、真空源に接続される。
【0018】
図1および図2の工具1はそれぞれ、第1末端3において、工具1の固定のために真空接続用具内に固定的に受容される取付具4を有する。
【0019】
図1および図2の工具1は通常、工具1の固定のために取付具4によって担持される。取付具4には、真空源(図示せず)などの負圧が接続されることが可能であり、そこから、その中央部に貫通孔9aを有する、通常は本質的に円盤状の第1支持体9と、第2末端5に開口を有する、貫通孔9aを貫通するように配置された第1導管12とを通じて(ここでは中間ベローズ11を介して)、取付具4を介して工具1内に負圧が導入され得る。真空源は、工具1の外側に配置され、そこからパイプ(図示せず)を介して工具1に負圧が導かれる、ポンプまたはエジェクタであってもよい。
【0020】
第2末端5は、少なくとも1つの折り畳み式部品6を有する本質的に球形で少なくとも部分的に折り畳み式の中空内部幾何形状7と気密接触して形成されてこれが設けられており、この少なくとも部分的に球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7上には、物体取り扱いおよび係合器具8が、物体係合位置において、潰れた折り畳み式部品6を有する少なくとも部分的に球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7内の負圧の結果として物体を係合および保持し、少なくとも部分的に折り畳み式の球形部品6を有する少なくとも部分的に球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7内の負圧がなくなると弾性的に初期位置(太線)に戻るように、提供および配置され、中空内部幾何形状7が本質的に球形になるように折り畳み式の球形部品6は初期形状に戻る。
【0021】
物体取り扱いおよび係合器具8は、一端において折り畳み式の球形部品6上に配置および固定され、反対端の物体係合位置において、折り畳み式部品6を有する少なくとも部分的に球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7内の負圧の結果として物体を係合および保持し、負圧がなくなると初期位置に弾性的に戻るように配置され、折り畳み式部品6はその初期位置に戻る。
【0022】
通常、記載される実施形態に加えて、またはこれに代えて、物体取り扱いおよび係合手段8は、中空内部幾何形状7内の負圧がなくなって代わりに正圧が提供されると弾性的に初期位置に戻るように提供および配置されて、折り畳み式部品6がその元の形状に戻り、内部幾何形状7は再び本質的に球形となる。
【0023】
取付具4の自由端4aは、折り畳み式部品6を有する中空内部幾何形状7と(図1および図2に示されるように中間ベローズ11を介して)気密接触するための、第1支持体9を有して形成されてもよい。部品6を有する少なくとも部分的に折り畳み式の球形の中空内部幾何形状7には、物体係合位置(破線)において、中空内部幾何形状7内の負圧の結果として物体を係合および保持し、中空内部幾何形状7内の負圧がなくなると初期位置に弾性的に戻るために、物体取り扱いおよび係合器具8が設けられる。
【0024】
中空内部幾何形状7がもはや本質的に球形ではなくなるように、中空内部幾何形状7内に導入された負圧が、通常は本質的に球形の折り畳み式部品6の崩壊を生じる前の初期状態が、実線によって図2に示される(把持された物体は明確さのために除外されている)。
【0025】
中空内部幾何形状7はゴム化合物で作られることが可能であり、これは磁気的に検出可能な抗菌性添加剤を備える。これにより、小片および/または破片が崩れることで崩れた物体を汚染すること、ならびに細菌の両方に対する保護を提供する。
【0026】
本明細書では、用語「抗菌性」は、用語「抗細菌性」を含む。
【0027】
ここで、物体取り扱いおよび係合器具8およびベローズ11を含む実施形態による真空動力工具1を示す図2のみが参照されるが、第1の取付具4、ベローズ11を実装するための第1支持体9、このベローズ11の上に物体取り扱いおよび係合器具8が実装されることが可能であり、ベローズ11、ならびに部分的に物体取り扱いおよび係合器具8が、垂直縦線A-Aに沿った断面で示されている。
【0028】
ここで、物体取り扱いおよび係合器具8が、取付具4の支持体9(「第1支持体」と称される)上に直接実装された、ベローズのない別の実施形態による真空動力工具1を示す図3が参照される。
【0029】
あるいは、物体取り扱いおよび係合器具8は、第1支持体9上に直接実装されることが可能である(図3に示されるとおり)。
【0030】
ここで図1および図2に戻る。
【0031】
物体取り扱いおよび係合器具8の残部の位置において、中空内部幾何形状7が本質的に球形となり、正常圧(または均一な正圧)が中空内部幾何形状7の内側に広がるように、折り畳み式の球形部品6がその元の形状に膨張した初期状態(負圧なし)が示されている。
【0032】
実装位置において、物体取り扱いおよび係合器具8、たとえばグリッパは、工具1の縦方向A-Aに延在して互いに反対方向に駆動される、外側7aに固定された長尺のグリッパ手段20を有する(図2参照)。本明細書では、長尺のグリッパ手段20は、複数(一例として3つ)のグリッパアーム20の形態である。それぞれのアーム20の自由端20aにおいて、グリッパ用具21が担持され、その形状は、取り扱われる物体とどのタイプの係合が適切であるかに応じて異なってもよい。図1および図2の実施形態の例では、グリッパ用具21は、グリッパアーム20の自由端20aに固定され、グリッパアーム20がプレート21間での物体の締め付けのために互いに反対方向に駆動されたときに摩擦が増加してより良く把持するための刻み目を有するプレートの形態で、実現される。グリッパ用具は、締め付けまたは把持用具として、目的に合わせた適切な形状のリップ、スコップ、または爪を有して、形成されてもよい。
【0033】
少なくとも部分的に球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7が負圧、通常は真空を受けると、少なくとも部分的に球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7は、初期位置(太線)から崩壊位置(破線)に移行する。グリッパアームは本質的に球形で部分的に折り畳み式の中空内部幾何形状7の外側7aに固定されているので、締め付け運動で物体を締め付けて、球形で折り畳み式の中空内部幾何形状7がこれ以上垂直に潰れなくなるまで移動させるために、アーム20が作用する(破線参照)。この運動はストッパ要素9、15、たとえばベローズ11のない実施形態では支持体9、またはベローズ11がある実施形態では支持体15によって、制限されることが可能である。
【0034】
あるいは、可撓性で少なくとも部分的に折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状7によって部分的に潰すために提供された可撓性で折り畳み式の本質的に球形の中空内部幾何形状7は、特定の負圧を超えても全壊が提供されない十分に耐久性のある材料で作られる。真空圧を調整することにより、物体を把持するグリッパアーム20の締め付け力を調整することが可能である。これは図示されない。
【0035】
本質的に球形の中空内部幾何形状7およびグリッパアーム20は、ゴムなどの同じ材料で作られることが可能であり、同じ材料厚を有しても有さなくてもよい。
【0036】
物体の外側の係合についてグリッパアーム20が図示および説明されているとしても、グリッパアーム20が代わりに、中空の物体の内側を係合するために互いに離れる方向への運動でグリッパアーム20を駆動するように配置され得ることは、理解される。
【0037】
協働アームの他の実現可能な組み合わせのうち、3つのグリッパアーム20が120°の相互角度距離を有して三角形に配置された一実施形態が言及される(図示されるとおり)。3つのグリッパアーム20は、それらの取り付けられたグリッパ用具21を工具1の中心A-Aの外側または内側に向けるように配向されることが可能である。
【0038】
しかしながら、通常は「グリッパアーム」として形成されたグリッパなどの物体取り扱い器具によって把持されるのに、様々なタイプの物品およびパッケージが等しく適しているわけではない。したがって、硬いパッケージから柔らかいものへの変更によって必然的に、グリッパアームおよび/またはグリッパアーム20に設けられたグリッパアーム用具21が、挟持、締め付け、係止など、単に把持するのではない係合の別の形態を果たすグリッパ用具21に置き換えられなければならなくなる。
【0039】
第1の態様の特徴を含む第2の態様および実施形態によれば、垂直吊り上げ器具が提供される。
【0040】
この態様は、真空源に接続可能なベローズを備える、図1および図2に関連して図示および説明された真空動力工具1において実現されるが、このベローズは、ベローズ内の負圧の結果として縦方向に圧縮され、負圧がなくなると元の長さに弾性的に戻るように配置され、器具用のベローズの自由端に配置されたアタッチメントを有し、これにより、物体の垂直吊り上げなどの垂直運動を提供する。ベローズの圧縮能力は局所的に制限され、これにより、負圧のベローズは、制御された線形または非線形圧縮を強制的に受け、これによって物体係合器具内に係合された器具アタッチメント、ならびにもしあれば物体は、図1の両矢印によって示されるような垂直方向のストローク運動で駆動される。
【0041】
この解決策により、グリッパ器具によって垂直に吊り上げられるのに適していないような物体またはパッケージも取り扱うための真空動力工具が得られる。
【0042】
本明細書では、自身の真空源を有するベローズ11として実現される垂直吊り上げ器具は、第1ステップにおいて物体を把持するように工具が配置され、第2ステップにおいて把持された物体が垂直に吊り上げられるように、配置される。これは、第1ステップでは、本質的に球形の中空内部幾何形状7は真空圧を受けるがベローズ11は受けず、第2ステップではベローズ11も真空圧を受け、これによりベローズ11は圧縮され、こうして把持された物体を線A-Aに沿って垂直に吊り上げることにおいて提供される。第2ステップにおける真空圧は、通常、球形の中空内部幾何形状7に真空を供給する第1ステップの同じ真空源によって供給されるものではない。第2ステップは自動的には提供されず、ベローズ11内の真空圧は、本質的に球形の中空内部幾何形状7の内側の真空圧に影響を及ぼさない。
【0043】
これは、ベローズ11がエンドプレート真空チャネル12を通すエンドプレート15を備えることで提供され得る。
【0044】
凹凸または傾斜した表面を有する物体の取り扱いのために採用される、図1および図2に関連して図示および説明されるような真空動力グリッパ工具1では、垂直吊り上げ器具は可撓性ベローズ11として実現される。可撓性ベローズ11の可撓性および圧縮能力はまた、工具1とベローズ11に結合された物体との間で不可欠な傾斜(図示せず)が得られるように、物体の形状または位置への適応も可能にする。ベローズ11の可撓性はまた、繊細なまたは変形可能な表面および材料を有する物体の取り扱いにおいても有利である。
【0045】
ベローズ11は、たとえば従来のスナップ嵌め(参照番号なし)などを介して、第1支持体9に気密的に実装される。第2末端5はベローズ11の自由端であり、ベローズ11は実装されたベローズインサート14、本明細書ではベローズ11に負圧を供給するための第2導管14を有する。この第2導管14には、ベローズ11への負圧をオンまたはオフにするための弁手段14a(概略的にのみ示される)が設けられることが可能である。ベローズ11への負圧をオンまたはオフにするためのこの弁手段14aは通常、中空内部幾何形状7にのみ負圧が印加される第1の物体把持シーケンスに続く第2の物体吊り上げシーケンスにおいて、第2導管14内の負圧をオンにするために配置される。
【0046】
第2ステップにおける真空圧は、通常、球形の中空内部幾何形状7に真空を供給する第1ステップの同じ真空源によって供給されるものではない。第2ステップは自動的には提供されず、ベローズ11内の真空圧は、本質的に球形の中空内部幾何形状7の内側の真空圧に影響を及ぼさない。本質的に球形の中空内部幾何形状7に供給される真空は、ベローズ11を通じて貫通孔9aを通るように配置されるがベローズ11を貫通せず中空内部幾何形状7内で終端する、第1導管12から来る。第2導管14は、第1支持体9を通ってベローズ11の内側で終端する。
【0047】
好適な実施形態において、ベローズ11は、ベローズ11の自由端5から突起するグリッパアーム20を有する物体取り扱いおよび係合器具8のためのアタッチメント15を有して配置され、把持または締め付け用具21がアーム20の自由端に配置されている。前記用具には、取り扱われる物体に対する異なる作用に対して様々な設計が付与されてもよい。
【0048】
この目的のためのベローズは、ゴムまたは合成ゴム混合物から製造されることが可能であり、最も頻繁には円形断面を有するが、多角形断面を有することも可能であろう。通常、ベローズは、互いに積み重ねられた多数のプレート状のリングの外周によって作られた均一な直径サイズを有し、これらは図2に示されるような縦断面における歯状または正弦波状のプロファイルを形成する。ベローズ11は、それらの構造の結果として耐ねじれ性であり得るが、それ以外は一様に可撓性である。しかしながら、ベローズ11内の負圧の導入時に、ベローズは通常、本質的に直線的な軸圧縮を受けて、物体の垂直吊り上げを提供し、負圧がなくなると、ベローズ11をその元の長さに戻そうとする内在的なバネ力によってその元の形状に戻るようになっている。
【0049】
円形断面を有するベローズを利用することによって解決策が適用され、ベローズ11の一部または全てのプリーツ(図示せず)は、断面の角度間隔内で圧力に対して互いに固定される。
【0050】
解決策は、多角形断面を有するベローズを利用することによっても適用され、ベローズの一部または全てのプリーツは、ベローズの少なくとも片側での圧縮に対して互いに固定される。
【0051】
いずれの場合も、ベローズのプリーツは、ベローズ内に固定的に係止されるかまたは一体に形成されたベローズプリーツの充填物(図示せず)によって、ベローズの周囲の限られた領域内で圧縮に対抗して相互に固定されてもよい。
【0052】
前記充填物は、好ましくはベローズの内側に取り付けられるが、代わりにベローズの外側に取り付けられてもよい。
【0053】
あるいは、ベローズのプリーツは、ベローズ内に導入可能であって、ベローズを損傷することなく実装および取り外し可能に形成された別個のインサート(図示せず)によって、ベローズの周囲の限られた領域内で圧縮に対抗して相互に固定されてもよい。インサートは、ベローズの内側を補完する形状を有することができ、ベローズの内側のその実装位置においてベローズのプリーツを充填することができる。インサートは、好ましくはベローズの内側で回転可能に固定的に実装可能である。この解決策によれば、真空動力装置は、ベローズを装置から取り外す必要を伴わずに、代わりの動作モード向けに再調整されることが可能である。
【0054】
ベローズの自由端5内の器具アタッチメント15は、器具8の漏れ防止実装のために形成される。ベローズ11内の器具8のアタッチメントは、たとえば、器具8とベローズ11に密に接続する端壁との間のスナップイン接続を含んでもよい。
【0055】
当業者が本発明を理解するためには、最初に記載されたものを超えるベローズの構造のさらなる説明は必要とされない。
【0056】
充填物の有利な実施形態は、ベローズ内に導入可能であって、ベローズ内の追加手段を伴わずに実装および取り外し可能な、別個のインサートを含む。
【0057】
適切であれば、グリッパ器具8とグリッパ器具アタッチメント15との間に封止リング(図面には示さず)が取り付けられてもよい。フランジ内にベローズの自由端の内側に形成された周囲溝を有するそれは、気密的に受容される。適切であれば、グリッパ器具上に固定的に係止されるかまたは形成されたカラー(図示せず)が、ベローズの末端に当接し、器具とベローズとの間の接合の安定性を高めるように、配置されてもよい。
【0058】
本発明が、様々な需要に合わせて既存の設備の簡単な調整を可能にすることによって柔軟性を提供することは、理解されるだろう。また、添付請求項によって定義される本発明の基本的な解決策および一般的な概念から逸脱することなく、実施形態の例に含まれる要素の詳細な設計に関して本発明が修正されてもよいことも、理解されるべきである。
図1
図2
図3