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特許7294818基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法および基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230613BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230613BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230613BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
G03F7/20 501
H05K3/00 Q
H01L21/66 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019013393
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020122673
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】羅 勇
【審査官】柳澤 朱香
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-112912(JP,A)
【文献】特表2009-523228(JP,A)
【文献】特開平06-241744(JP,A)
【文献】特開2009-008468(JP,A)
【文献】特開2017-062252(JP,A)
【文献】特開2018-036235(JP,A)
【文献】米国特許第07623229(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
G06T 1/00
G06T 7/00-G06T 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板を保持する保持部と、
第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光を出射する投光部と、
前記投光部により出射された前記N個のライン光が前記保持部により保持された基板の表面の全体順次照射されるように、前記投光部と前記保持部とを前記第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動させる移動部と、
基板に照射された前記N個のライン光をそれぞれ受光し、受光量に対応する受光信号を出力するN個のラインセンサと、
前記N個のラインセンサから出力される受光信号に基づいて基板の画像を示す画像データを生成する画像データ生成部とを備え、
前記第1の方向における各ライン光の長さは基板の直径よりも大きく、
各ラインセンサは、前記第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域から受光量に対応する受光信号を出力し、
前記N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、前記第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して前記第1の方向にずれるように配置され、
各ラインセンサの各受光領域は、前記第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、前記第1の方向に直交する第3の方向視において、前記N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成され、
前記画像データ生成部は、前記N個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値を算出する、基板検査装置。
【請求項2】
前記第1の方向における前記他のラインセンサに対する前記少なくとも1つのラインセンサのずれ量は、前記第1の方向における1つの受光領域の長さよりも小さい、請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記N個のラインセンサは、前記第1の方向における1つの受光領域の長さのN分の1ずつ互いに前記第1の方向にずれるように配置される、請求項1または2記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記画像データ生成部は、異なる時点で基板の同じライン状領域または一定範囲内のライン状領域に照射されたときの前記N個のライン光に基づく前記N個のラインセンサからの受光信号に基づいて画像データを生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記画像データ生成部は、前記N個の受光領域の受光信号の値を平均することにより各画素値を算出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記画像データ生成部により生成された画像データに基づいて基板を検査する検査部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項7】
基板上に処理膜を形成する膜形成部と、
前記膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データを生成する請求項1~6のいずれか一項に記載の基板検査装置とを備える、基板処理装置。
【請求項8】
第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光を投光部により出射するステップと、
前記投光部により出射された前記N個のライン光が保持部により保持された検査対象の基板の表面の全体順次照射されるように、前記投光部と前記保持部とを移動部により前記第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動させるステップと、
基板に照射された前記N個のライン光をN個のラインセンサによりそれぞれ受光し、受光量に対応する受光信号を出力するステップと、
前記N個のラインセンサから出力される受光信号に基づいて基板の画像を示す画像データを生成するステップとを含み、
前記第1の方向における各ライン光の長さは基板の直径よりも大きく、
各ラインセンサは、前記第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域から受光量に対応する受光信号を出力し、
前記N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、前記第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して前記第1の方向にずれるように配置され、
各ラインセンサの各受光領域は、前記第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、前記第1の方向に直交する第3の方向視において、前記N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成され、
前記画像データを生成するステップは、前記N個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値を算出することを含む、基板検査方法。
【請求項9】
前記第1の方向における前記他のラインセンサに対する前記少なくとも1つのラインセンサのずれ量は、前記第1の方向における1つの受光領域の長さよりも小さい、請求項8記載の基板検査方法。
【請求項10】
前記N個のラインセンサは、前記第1の方向における1つの受光領域の長さのN分の1ずつ互いに前記第1の方向にずれるように配置される、請求項8または9記載の基板検査方法。
【請求項11】
前記画像データを生成するステップは、異なる時点で基板の同じライン状領域または一定範囲内のライン状領域に照射されたときの前記N個のライン光に基づく前記N個のラインセンサからの受光信号に基づいて画像データを生成することを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項12】
前記画像データを生成するステップは、前記N個の受光領域の受光信号の値を平均することにより各画素値を算出することを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項13】
生成された画像データに基づいて基板を検査するステップをさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項14】
膜形成部により基板上に処理膜を形成するステップと、
前記膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データを請求項8~13のいずれか一項に記載の基板検査方法により生成するステップとを含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の検査を行う基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対する種々の処理工程において、基板の検査が行われる。例えば、特許文献1には、表面検査処理ユニットを有する基板処理装置が記載されている。表面検査処理ユニットにおいては、基板上の半径領域に継続的に照明光が照射され、基板からの反射光がCCD(電荷結合素子)ラインセンサにより受光される。この状態で、基板が1回転することにより、基板の表面の全体に照明光が照射され、CCDラインセンサの受光量分布に基づいて、基板の表面全体での反射光の明るさの分布が表面画像データとして得られる。表面画像データに基づいて基板が検査される。
【0003】
特許文献2には、基板検査装置を有する基板処理装置が記載されている。基板検査装置においては、一方向において基板の直径よりも大きい帯状の光が投光部から下方に出射される。この状態で、検査対象の基板が、投光部の下方を通過するように、一方向に直交する他方向に移動される。これにより、帯状の光が基板の各部に順次照射される。その後、帯状の光は、基板の各部により順次反射され、CCDラインセンサにより受光される。CCDラインセンサの受光量に基づいて、基板の表面全体の画像を示す画像データが生成される。生成された画像データに基づいて、基板が検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-66049号公報
【文献】特開2018-36235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された表面検査処理ユニット(以下、回転式基板検査装置と呼ぶ。)においては、基板の中心付近の欠陥を検出できないことがある。これに対し、特許文献2の基板検査装置(以下、リニア式基板検査装置と呼ぶ。)によれば、基板の中心付近の欠陥も適切に検出することが可能である。
【0006】
しかしながら、回転式基板検査装置においては基板の半径分の領域が撮像されるのに対し、リニア式基板検査装置においては基板の直径分の領域が撮像される。したがって、同一のCCDラインセンサを用いて撮像を行う場合、リニア式基板検査装置における画像の解像度は、回転式基板検査装置における画像の解像度の半分程度となる。そのため、基板の欠陥の検出精度が低下する。
【0007】
本発明の目的は、基板の欠陥を高い精度で検出することが可能な基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板検査装置は、検査対象の基板を保持する保持部と、第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光を出射する投光部と、投光部により出射されたN個のライン光が保持部により保持された基板の表面の全体順次照射されるように、投光部と保持部とを第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動させる移動部と、基板に照射されたN個のライン光をそれぞれ受光し、受光量に対応する受光信号を出力するN個のラインセンサと、N個のラインセンサから出力される受光信号に基づいて基板の画像を示す画像データを生成する画像データ生成部とを備え、第1の方向における各ライン光の長さは基板の直径よりも大きく、各ラインセンサは、第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域から受光量に対応する受光信号を出力し、N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して第1の方向にずれるように配置され、各ラインセンサの各受光領域は、第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、第1の方向に直交する第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成され、画像データ生成部は、N個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値を算出する。
【0009】
この基板検査装置においては、第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光が投光部により出射される。投光部により出射されたN個のライン光が保持部により保持された検査対象の基板の表面に照射されるように、投光部と保持部とが移動部により第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動される。基板に照射されたN個のライン光がN個のラインセンサによりそれぞれ受光される。
【0010】
ここで、各ラインセンサは、第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有する。また、N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して第1の方向にずれるように配置される。
【0011】
各ラインセンサの各受光領域は、第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、各ラインセンサの各受光領域からは、受光量に対応する受光信号が出力される。第1の方向に直交する第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値が算出されることにより、基板の画像を示す画像データが生成される。
【0012】
この場合、第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成される。第1の方向において、少なくとも一部の画素の長さは、各ラインセンサの各受光領域の長さよりも小さい。そのため、基板検査装置により生成される画像データが示す画像の解像度は、いずれか1つのラインセンサからの受光信号に基づいて生成された場合の画像データが示す画像の解像度よりも高い。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
【0013】
(2)第1の方向における他のラインセンサに対する少なくとも1つのラインセンサのずれ量は、第1の方向における1つの受光領域の長さよりも小さくてもよい。この場合、各ラインセンサの全部の受光領域を用いて画像データを生成することができる。これにより、より高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。
【0014】
(3)N個のラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さのN分の1ずつ互いに第1の方向にずれるように配置されてもよい。この場合、第1の方向において、各画素の長さを、各ラインセンサの各受光領域の長さよりも容易に小さくすることができる。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを容易に生成することができる。
【0015】
(4)画像データ生成部は、異なる時点で基板の同じライン状領域または一定範囲内のライン状領域に照射されたときのN個のライン光に基づくN個のラインセンサからの受光信号に基づいて画像データを生成してもよい。この場合、簡単な構成でN個のライン光をN個のラインセンサにそれぞれ受光させることができる。
【0016】
(5)画像データ生成部は、N個の受光領域の受光信号の値を平均することにより各画素値を算出してもよい。この場合、各画素値を容易に算出することができる。
【0017】
(6)基板検査装置は、画像データ生成部により生成された画像データに基づいて基板を検査する検査部をさらに備えてもよい。この場合、画像データに基づいて基板に欠陥が存在するか否かを検査することができる。
【0018】
(7)第2の発明に係る基板処理装置は、基板上に処理膜を形成する膜形成部と、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データを生成する第1の発明に係る基板検査装置とを備える。
【0019】
この基板処理装置においては、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データが上記の基板検査装置により生成される。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
【0020】
(8)第3の発明に係る基板検査方法は、第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光を投光部により出射するステップと、投光部により出射されたN個のライン光が保持部により保持された検査対象の基板の表面の全体順次照射されるように、投光部と保持部とを移動部により第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動させるステップと、基板に照射されたN個のライン光をN個のラインセンサによりそれぞれ受光し、受光量に対応する受光信号を出力するステップと、N個のラインセンサから出力される受光信号に基づいて基板の画像を示す画像データを生成するステップとを含み、第1の方向における各ライン光の長さは基板の直径よりも大きく、各ラインセンサは、第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域から受光量に対応する受光信号を出力し、N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して第1の方向にずれるように配置され、各ラインセンサの各受光領域は、第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、第1の方向に直交する第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成され、画像データを生成するステップは、N個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値を算出することを含む。
【0021】
この方法によれば、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
【0022】
(9)第1の方向における他のラインセンサに対する少なくとも1つのラインセンサのずれ量は、第1の方向における1つの受光領域の長さよりも小さくてもよい。この場合、各ラインセンサの全部の受光領域を用いて画像データを生成することができる。これにより、より高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。
【0023】
(10)N個のラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さのN分の1ずつ互いに第1の方向にずれるように配置されてもよい。この場合、第1の方向において、各画素の長さを、各ラインセンサの各受光領域の長さよりも容易に小さくすることができる。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを容易に生成することができる。
【0024】
(11)画像データを生成するステップは、異なる時点で基板の同じライン状領域または一定範囲内のライン状領域に照射されたときのN個のライン光に基づくN個のラインセンサからの受光信号に基づいて画像データを生成することを含んでもよい。この場合、簡単な構成でN個のライン光をN個のラインセンサにそれぞれ受光させることができる。
【0025】
(12)画像データを生成するステップは、N個の受光領域の受光信号の値を平均することにより各画素値を算出することを含んでもよい。この場合、各画素値を容易に算出することができる。
【0026】
(13)基板検査方法は、生成された画像データに基づいて基板を検査するステップをさらに含んでもよい。この場合、画像データに基づいて基板に欠陥が存在するか否かを検査することができる。
【0027】
(14)第4の発明に係る基板処理方法は、膜形成部により基板上に処理膜を形成するステップと、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データを第3の発明に係る基板検査方法により生成するステップとを含む。
【0028】
この基板処理方法によれば、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データが上記の基板検査方法により生成される。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板の欠陥を高い精度で検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板検査装置の外観斜視図である。
図2図1の基板検査装置の内部の構成を示す模式的側面図である。
図3図2のラインセンサの配置を説明するための図である。
図4図2のラインセンサの配置を説明するための図である。
図5】制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図6】第1のケースにおける基板の移動の過程を示す図である。
図7】第2のケースにおける基板の移動の過程を示す図である。
図8】第3のケースにおける基板の移動の過程を示す図である。
図9】第4のケースにおける基板の移動の過程を示す図である。
図10図5の制御部により行われる検査処理を示すフローチャートである。
図11図1および図2の基板検査装置を備える基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。
図12】撮像部の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0032】
(1)基板検査装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板検査装置の外観斜視図である。図2は、図1の基板検査装置200の内部の構成を示す模式的側面図である。図1に示すように、基板検査装置200は、筐体部210、投光部220、反射部230、撮像部240、基板保持装置250、移動部260、方向検出部270および制御部280を含む。
【0033】
筐体部210の側部には、基板Wを搬入および搬出するためのスリット状の開口部211が形成される。投光部220、反射部230、撮像部240、基板保持装置250、移動部260および方向検出部270は、筐体部210内に収容される。制御部280は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、投光部220、撮像部240、基板保持装置250、移動部260および方向検出部270の動作を制御する。
【0034】
投光部220は、例えば1または複数の光源を含み、基板Wの直径よりも大きい帯状の複数個のライン光を出射面から斜め下方に出射する。図2に示すように、本実施の形態においては、投光部220は、所定のピッチだけ離間しかつ互いに平行な2個のライン光L1,L2を出射する。各ライン光L1,L2は、X方向に延びる長尺状の水平断面を有する。
【0035】
反射部230は、例えばミラーを含む。撮像部240は、複数のラインセンサ、および1以上の集光レンズを含む。本実施の形態においては、撮像部240は、互いにピッチだけ離間しかつ互いに平行な2個のラインセンサ241,242を含む。各ラインセンサ241,242は、X方向に線状に並ぶ複数の画素を有する。ラインセンサ241,242の配置の詳細については後述する。
【0036】
基板保持装置250は、例えばスピンチャックであり、駆動装置251および回転保持部252を含む。駆動装置251は、例えば電動モータであり、回転軸253を有する。回転保持部252は、駆動装置251の回転軸253の先端に取り付けられ、検査対象の基板Wを保持した状態で鉛直軸の周りで回転駆動される。
【0037】
移動部260は、一対のガイド部材261および移動保持部262を含む。一対のガイド部材261は、互いに平行にY方向に延びるように設けられる。Y方向は、水平面上でX方向と直交する。移動保持部262は、基板保持装置250を保持しつつ一対のガイド部材261に沿ってY方向に移動可能に構成される。基板保持装置250が基板Wを保持する状態で移動保持部262がY方向に移動することにより、基板Wが投光部220および反射部230の下方を通過する。
【0038】
方向検出部270は、例えば投光素子および受光素子を含む反射型光電センサであり、検査対象の基板Wが基板保持装置250により回転される状態で、基板Wの外周部に向けて光を出射するとともに基板Wからの反射光を受光する。方向検出部270は、基板Wからの反射光の受光量に基づいて基板Wのオリエーションフラットを検出する。方向検出部270として透過型光電センサが用いられてもよい。
【0039】
図1の基板検査装置200における基板Wの撮像動作について説明する。検査対象の基板Wは、後述する図11の搬送装置120により開口部211を通して筐体部210内に搬入され、基板保持装置250により保持される。続いて、基板保持装置250により基板Wが回転されつつ方向検出部270により基板Wの周縁部に光が出射され、その反射光が方向検出部270により受光される。これにより、基板Wのオリエーションフラットが検出され、基板Wの向きが判定される。その判定の結果に基づいて、基板保持装置250により基板Wのオリエーションフラットが一定の方向を向くように基板Wの回転位置が調整される。
【0040】
次に、投光部220から斜め下方にライン光L1,L2が出射されつつ移動部260により基板Wが投光部220の下方を通るように一方向に移動される。これにより、投光部220から基板Wの表面の全体にライン光L1が順次照射されるとともに、投光部220から基板Wの表面の全体にライン光L2が順次照射される。基板Wの表面で反射されたライン光L1,L2は反射部230によりさらに反射されて撮像部240に導かれる。
【0041】
撮像部240のラインセンサ241は、基板Wの表面から反射されるライン光L1を所定のスキャン周期でそれぞれ受光することにより、基板Wの表面を順次撮像する。同様に、撮像部240のラインセンサ242は、基板Wの表面から反射されるライン光L2を所定のスキャン周期でそれぞれ受光することにより、基板Wの表面を順次撮像する。ラインセンサ241,242は、各画素の受光量に対応する受光信号に基づいて画素値を示す画素データを出力する。
【0042】
撮像部240のラインセンサ241,242から出力される複数の画素データに基づいて、基板Wの表面上の全体の画像を示す画像データが制御部280により生成される。その後、移動部260により基板Wが所定の位置に戻され、後述する図11の搬送装置120により基板Wが開口部211を通して筐体部210の外部に搬出される。生成された画像データに基づいて基板Wが制御部280により検査される。
【0043】
(2)ラインセンサ
図3および図4は、図2のラインセンサ241,242の配置を説明するための図である。本実施の形態においては、ラインセンサ241,242は、例えばCCD(電荷結合素子)ラインセンサまたはCMOS(相補性金属酸化膜半導体)ラインセンサであり、同一の構成を有する。
【0044】
ラインセンサ241とラインセンサ242とは、ラインセンサ241の各画素の中心とラインセンサ242の各画素の中心とがX方向に直交する方向に所定のピッチだけ離間するように配置される。また、ラインセンサ241とラインセンサ242とは、X方向に直交する方向においてラインセンサ242の各画素(一方の端部の画素を除く。)がラインセンサ241の隣り合う2個の画素と重なるように、互いにX方向にずれた状態で配置される。
【0045】
本例では、各ラインセンサ241,242は、X方向に並ぶn個(nは2以上の整数)の画素を含む。ラインセンサ241のn個の画素をそれぞれ画素a~aと呼ぶ。ラインセンサ242のn個の画素をそれぞれ画素b~bと呼ぶ。ラインセンサ242は、ラインセンサ241に対してX方向における各画素a~a,b~bの長さの2分の1だけX方向にずれた状態で配置される。これにより、X方向に直交する方向において、画素aは画素b,bと重なり、画素aは画素b,bと重なり、画素aは画素bn-1,bと重なる。
【0046】
図4に示すように、各画素a,b(kは1~nの整数)は、X方向に並ぶ2個の部分領域に仮想的に分割される。各画素aのX方向における半分の領域を部分領域ak,1と呼び、各画素aのX方向における他の半分の領域を部分領域ak,2と呼ぶ。同様に、各画素bのX方向における半分の領域を部分領域bk,1と呼び、各画素bのX方向における他の半分の領域を部分領域bk,2と呼ぶ。
【0047】
各部分領域ak,1,ak,2,bk,1,bk,2から出力される画素値を用いた演算を行うことにより、1個の仮想的なラインセンサ(以下、仮想ラインセンサと呼ぶ。)LSを導入することができる。本例では、上記の演算は、X方向に直交する方向に重なる2個の部分領域からそれぞれ出力される2個の画素値を平均することを含む。
【0048】
具体的には、仮想ラインセンサLSは、X方向に並ぶ2n+1個の画素を含む。仮想ラインセンサLSの2n+1個の画素をそれぞれ画素x~x2n+1と呼ぶ。基板Wの所定のライン状領域にライン光L1が照射されたときに部分領域a1,1~an,2からそれぞれ出力される画素値をA1,1~An,2とする。また、基板Wの上記のライン状領域と同一のライン状領域またはその近傍のライン状領域にライン光L2が照射されたときに部分領域b1,1~bn,2からそれぞれ出力される画素値をB1,1~Bn,2とする。画素値Ak,1と画素値Ak,2とは互いに等しく、画素値Bk,1と画素値Bk,2とは互いに等しい。
【0049】
ここで、仮想ラインセンサLSの画素x~x2n+1からそれぞれ出力される画素値をX~X2n+1とする。この場合、部分領域a1,2および部分領域b1,1に重なる画素xから出力される画素値Xは、画素値A1,2と画素値B1,1との平均により算出される。部分領域a2,1および部分領域b1,2に重なる画素xから出力される画素値Xは、画素値A2,1と画素値B1,2との平均により算出される。部分領域a2,2および部分領域b2,1に重なる画素xから出力される画素値Xは、画素値A2,2と画素値B2,1との平均により算出される。
【0050】
同様にして、各画素xから出力される画素値X(mは1~2n+1の整数)は、下記式(1)により算出される。式(1)において、画素値Xを算出する際に、画素値B0,2として任意の値(例えばダミーの値)を用いてもよい。同様に、画素値X2n+1を算出する際に、画素値An+1,1として任意の値を用いてもよい。
【0051】
【数1】
【0052】
なお、ラインセンサ241,242のX方向における長さは基板Wの直径よりもわずかに大きい。そのため、通常、ラインセンサ241における端部の画素aには、基板Wにより反射されたライン光L1は入射せず、ラインセンサ242における端部の画素bには、基板Wにより反射されたライン光L2は入射しない。すなわち、端部の部分領域a1,1,bn,2は基板Wの検査には寄与せず、これらの部分領域にそれぞれ重なる仮想ラインセンサLSの両端の画素x,x2n+1も基板Wの検査には寄与しない。したがって、画素x,x2n+1からそれぞれ出力される画素値X,X2n+1は任意の値であってもよい。
【0053】
上記の構成によれば、仮想ラインセンサLSは、X方向において、ラインセンサ241またはラインセンサ242と略同一の長さを有する。これに対し、仮想ラインセンサLSの画素x~x2n+1の数は、ラインセンサ241の画素a~aの数またはラインセンサ242の画素b~bの数の約2倍である。そのため、仮想ラインセンサLSによる画像の解像度を、擬似的にラインセンサ241またはラインセンサ242による画像の解像度の約2倍にすることができる。これにより、高い解像度を有する画像を用いて基板Wの欠陥を高い精度で検出することができる。
【0054】
(3)制御部
図5は、制御部280の機能的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御部280は、機能部として、装置制御部1、画素データ取得部2,3、画像データ生成部4、サンプル画像データ取得部5および検査部6を含む。制御部280の機能部は、例えば制御部280のCPUがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部280の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0055】
装置制御部1は、ラインセンサ241,242が所定のスキャン周期Δtでライン光L1,L2をそれぞれ受光するように撮像部240の動作を制御する。また、装置制御部1は、基板Wが所定の速度vでY方向に移動するように移動部260の動作を制御する。さらに、装置制御部1は、図1の投光部220、基板保持装置250および方向検出部270の動作も制御する。画素データ取得部2は、ラインセンサ241から画素データを取得する。画素データ取得部3は、ラインセンサ242から画素データを取得する。
【0056】
画像データ生成部4は、画素データ取得部2により取得された画素値Ak,1,Ak,2および画素データ取得部3により取得された画素値Bk,1,Bk,2を上記式(1)に適用することにより、基板Wの画像を示す画像データを取得する。具体的には、所定の時点における画素値Ak,1,Ak,2と、他の時点における画素値Bk,1,Bk,2とを用いた演算が行われることにより、基板Wの所定のライン状領域の画像を示すライン画像データが生成される。X方向に平行な複数のライン画像データが合成されることにより画像データが生成される。
【0057】
ここで、各ライン画像データの生成に用いられる画素値Ak,1,Ak,2と画素値Bk,1,Bk,2との対応関係は、撮像部240のスキャン周期Δtおよび移動部260による基板の移動の速度vにより異なる。スキャン周期Δtおよび速度vに応じた画素値Ak,1,Ak,2と画素値Bk,1,Bk,2との対応関係については後述する。
【0058】
サンプル画像データ取得部5は、外観上の欠陥がないサンプル基板の画像を表すサンプル画像データを取得する。サンプル基板は、例えば予め高い精度で検査が行われ、その検査で欠陥がないと判定された基板Wであってもよい。サンプル画像データは、基板検査装置200において取得されてもよく、他の装置において取得されてもよい。また、サンプル画像データとして、予め生成された設計データが用いられてもよい。検査部6は、画像データ生成部4により生成された画像データとサンプル画像データ取得部5により取得されたサンプル画像データとを比較することにより基板Wに欠陥があるか否かを検査する。
【0059】
(4)画像データ生成部の動作
図2のラインセンサ241,242間のピッチp0に対応する基板Wのライン状領域間のY方向におけるピッチを画素ピッチp1と呼ぶ。なお、反射部230がラインセンサ241,242に向けて水平にライン光L1,L2を反射する場合、画素ピッチp1は、下記式(2)により算出される。式(2)において、θは基板Wへのライン光L1,L2の照射角度である。
【0060】
【数2】
【0061】
また、上記のように、図2の撮像部240は、スキャン周期Δtで動作し、基板Wは速度vでY方向に移動する。この場合、各スキャン周期ΔtにおけるY方向の基板Wの移動ピッチをp2とすると、移動ピッチp2は下記式(3)で与えられる。図5の画像データ生成部4の動作は、画素ピッチp1と移動ピッチp2との関係により異なる。以下、画素ピッチp1と移動ピッチp2との関係に対応した画像データ生成部4の動作を説明する。
【0062】
【数3】
【0063】
(a)第1のケース
図6は、第1のケースにおける基板Wの移動の過程を示す図である。第1のケースにおいては、画素ピッチp1と移動ピッチp2とが等しい。図6(a)に示すように、時点t1で、基板Wのライン状領域(以下、単に領域と呼ぶ。後述するライン状領域についても同様である。)R1にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0064】
図6(b)に示すように、時点t1のスキャン周期Δt後の時点t2で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向に移動する。この時点で、領域R2にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R3にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0065】
図6(c)に示すように、時点t2のスキャン周期Δt後の時点t3で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R4にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R5にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0066】
図6(d)に示すように、時点t3のスキャン周期Δt後の時点t4で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R6にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R7にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0067】
図6(e)に示すように、時点t4のスキャン周期Δt後の時点t5で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R8にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R9にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。同様の動作が繰り返されることにより、基板Wの表面の全体にライン光L1,L2が照射され、反射されたライン光L1,L2がそれぞれラインセンサ241,242により受光される。
【0068】
このケースにおいては、画素ピッチp1と移動ピッチp2とが等しいので、時点t1にライン光L1が照射された領域R1と、時点t2にライン光L2が照射された領域R2とは同一である。同様に、領域R3と領域R4とは同一であり、領域R5と領域R6とは同一であり、領域R7と領域R8とは同一である。
【0069】
すなわち、所定の時点にライン光L1が照射された領域と、その時点のスキャン周期Δt後の時点にライン光L2が照射された領域とが対応する。したがって、画像データ生成部4は、所定の時点に画素データ取得部2により取得された画素値Ak,1,Ak,2と、その時点のスキャン周期Δt後の時点に画素データ取得部3により取得された画素値Bk,1,Bk,2とに基づいて画像データを生成する。
【0070】
(b)第2のケース
図7は、第2のケースにおける基板Wの移動の過程を示す図である。第2のケースにおいては、移動ピッチp2が画素ピッチp1よりも大きい。図7(a)に示すように、時点t1で、領域R11にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0071】
図7(b)に示すように、時点t1のスキャン周期Δt後の時点t2で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向に移動する。この時点で、領域R12にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R13にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0072】
図7(c)に示すように、時点t2のスキャン周期Δt後の時点t3で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R14にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R15にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0073】
図7(d)に示すように、時点t3のスキャン周期Δt後の時点t4で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R16にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R17にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0074】
図7(e)に示すように、時点t4のスキャン周期Δt後の時点t5で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R18にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R19にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。同様の動作が繰り返されることにより、基板Wの表面の全体にライン光L1,L2が照射され、反射されたライン光L1,L2がそれぞれラインセンサ241,242により受光される。
【0075】
このケースにおいては、時点t2にライン光L2が照射された領域R12は、時点t1にライン光L1が照射された領域R11と同一ではないが、他の領域よりも領域R11に最も近い。同様に、領域R14は領域R13に最も近く、領域R16は領域R15に最も近く、領域R18は領域R17に最も近い。
【0076】
すなわち、所定の時点にライン光L1が照射された領域と、その時点のスキャン周期Δt後の時点にライン光L2が照射された領域とが対応する。したがって、画像データ生成部4は、所定の時点に画素データ取得部2により取得された画素値Ak,1,Ak,2と、その時点のスキャン周期Δt後の時点に画素データ取得部3により取得された画素値Bk,1,Bk,2とに基づいて画像データを生成する。
【0077】
(c)第3のケース
図8は、第3のケースにおける基板Wの移動の過程を示す図である。第3のケースにおいては、移動ピッチp2が画素ピッチp1よりも小さくかつ画素ピッチp1が移動ピッチp2のM倍(Mは2以上の整数)である。なお、図8の例では、倍率Mは2である。図8(a)に示すように、時点t1で、領域R21にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0078】
図8(b)に示すように、時点t1のスキャン周期Δt後の時点t2で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向に移動する。この時点で、領域R22にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R23にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0079】
図8(c)に示すように、時点t2のスキャン周期Δt後の時点t3で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R24にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R25にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0080】
図8(d)に示すように、時点t3のスキャン周期Δt後の時点t4で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R26にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R27にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0081】
図8(e)に示すように、時点t4のスキャン周期Δt後の時点t5で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R28にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R29にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。同様の動作が繰り返されることにより、基板Wの表面の全体にライン光L1,L2が照射され、反射されたライン光L1,L2がそれぞれラインセンサ241,242により受光される。
【0082】
このケースにおいては、画素ピッチp1が移動ピッチp2の2倍であるので、時点t1にライン光L1が照射された領域R21と、時点t3にライン光L2が照射された領域R24とは同一である。同様に、領域R23と領域R26とは同一であり、領域R25と領域R28とは同一である。
【0083】
すなわち、所定の時点にライン光L1が照射された領域と、その時点のMスキャン周期Δt(M×Δt)後の時点にライン光L2が照射された領域とが対応する。したがって、画像データ生成部4は、所定の時点に画素データ取得部2により取得された画素値Ak,1,Ak,2と、その時点のMスキャン周期Δt後の時点に画素データ取得部3により取得された画素値Bk,1,Bk,2とに基づいて画像データを生成する。
【0084】
(d)第4のケース
図9は、第4のケースにおける基板Wの移動の過程を示す図である。第4のケースにおいては、移動ピッチp2が画素ピッチp1よりも小さくかつ画素ピッチp1が移動ピッチp2のM倍(Mは1よりも大きい非整数)である。なお、図9の例では、倍率Mは1.2である。図9(a)に示すように、時点t1で、領域R31にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0085】
図9(b)に示すように、時点t1のスキャン周期Δt後の時点t2で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向に移動する。この時点で、領域R32にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R33にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0086】
図9(c)に示すように、時点t2のスキャン周期Δt後の時点t3で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R34にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R35にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0087】
図9(d)に示すように、時点t3のスキャン周期Δt後の時点t4で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R36にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R37にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。
【0088】
図9(e)に示すように、時点t4のスキャン周期Δt後の時点t5で、基板Wが移動ピッチp2だけY方向にさらに移動する。この時点で、領域R38にライン光L2が照射され、反射されたライン光L2がラインセンサ242により受光される。同時に、領域R39にライン光L1が照射され、反射されたライン光L1がラインセンサ241により受光される。同様の動作が繰り返されることにより、基板Wの表面の全体にライン光L1,L2が照射され、反射されたライン光L1,L2がそれぞれラインセンサ241,242により受光される。
【0089】
このケースにおいては、画素ピッチp1が移動ピッチp2の1.2倍(約1倍)であるので、時点t2にライン光L2が照射された領域R32は、時点t1にライン光L1が照射された領域R11と同一ではないが、他の領域よりも領域R11に最も近い。同様に、領域R34は領域R33に最も近く、領域R36は領域R35に最も近く、領域R38は領域R37に最も近い。
【0090】
すなわち、倍率Mを四捨五入した値をM’とした場合、所定の時点にライン光L1が照射された領域と、その時点のM’スキャン周期Δt(M’×Δt)後の時点にライン光L2が照射された領域とが対応する。したがって、画像データ生成部4は、所定の時点に画素データ取得部2により取得された画素値Ak,1,Ak,2と、その時点のM’スキャン周期Δt後の時点に画素データ取得部3により取得された画素値Bk,1,Bk,2とに基づいて画像データを生成する。
【0091】
(5)検査処理
図10は、図5の制御部280により行われる検査処理を示すフローチャートである。以下、図5および図10を用いて検査処理を説明する。まず、サンプル画像データ取得部5は、サンプル画像データを取得する(ステップS1)。なお、サンプル画像データ取得部5は、サンプル画像データを予め記憶していてもよいし、図示しない記憶装置等から取得してもよい。次に、装置制御部1は、基板検査装置200の各部の動作を制御する(ステップS2)。
【0092】
続いて、画素データ取得部2は、ラインセンサ241から画素値A1,1~An,2を取得する(ステップS3)。また、画素データ取得部3は、ラインセンサ242から画素値B1,1~Bn,2を取得する(ステップS4)。画像データ生成部4は、ステップS3,S4で取得された画素値A1,1~An,2,B1,1~Bn,2のうち、対応する画素値Ak,1,Ak,2と画素値Bk,1,Bk,2とに基づいて画像データを生成する(ステップS5)。
【0093】
その後、検査部6は、ステップS1で取得されたサンプル画像データとステップS5で生成された画像データとを比較する(ステップS6)。ここで、検査部6は、サンプル画像データと画像データとの間で、全ての画素の値の乖離が所定のしきい値以下であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0094】
全ての画素の値の乖離がしきい値以下である場合、検査部6は、画像により示される基板Wは正常であると判定し(ステップS8)、ステップS10に進む。一方、いずれかの画素の値の乖離がしきい値を超える場合、検査部6は、画像により示される基板Wは異常であると判定し(ステップS9)、ステップS10に進む。
【0095】
ステップS10で、検査部6は、全ての基板Wが検査されたか否かを判定する(ステップS10)。全ての基板Wが検査されていない場合、検査部6はステップS2に戻る。全ての基板Wが検査されるまでステップS2~S10が繰り返される。全ての基板Wが検査された場合、検査部6は検査処理を終了する。
【0096】
(6)基板処理装置
図11は、図1および図2の基板検査装置200を備える基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。図11に示すように、基板処理装置100は、露光装置300に隣接して設けられ、基板検査装置200を備えるとともに、制御装置110、搬送装置120、膜形成部130、現像部140および熱処理部150を備える。
【0097】
制御装置110は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、搬送装置120、膜形成部130、現像部140および熱処理部150の動作を制御する。また、制御装置110は、基板Wを検査するための指令を基板検査装置200の図1の制御部280に与える。
【0098】
搬送装置120は、基板Wを膜形成部130、現像部140、熱処理部150、基板検査装置200および露光装置300の間で搬送する。膜形成部130は、基板Wの表面にレジスト液を塗布することにより基板Wの表面上にレジスト膜を形成する(膜形成処理)。膜形成処理後の基板Wには、露光装置300において露光処理が行われる。現像部140は、露光装置300による露光処理後の基板Wに現像液を供給することにより、基板Wの現像処理を行う。熱処理部150は、膜形成部130による膜形成処理、現像部140による現像処理、および露光装置300による露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。
【0099】
基板検査装置200は、膜形成部130によりレジスト膜が形成された後の基板Wの検査処理を行う。例えば、基板検査装置200は、膜形成部130による膜形成処理後であって現像部140による現像処理後の基板Wの検査を行う。あるいは、基板検査装置200は、膜形成部130による膜形成処理後であって露光装置300による露光処理前の基板Wの検査を行ってもよい。また、基板検査装置200は、膜形成部130による膜形成処理後かつ露光装置300による露光処理後であって現像部140による現像処理前の基板Wの検査を行ってもよい。
【0100】
膜形成部130に、基板Wに反射防止膜を形成する処理ユニットが設けられてもよい。この場合、熱処理部150は、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行ってもよい。また、膜形成部130に、基板W上に形成されたレジスト膜を保護するためのレジストカバー膜を形成する処理ユニットが設けられてもよい。
【0101】
基板Wの表面に反射防止膜およびレジストカバー膜が形成される場合には、各膜の形成の後に基板検査装置200により基板Wの検査が行われてもよい。本実施の形態に係る基板処理装置100においては、レジスト膜、反射防止膜またはレジストカバー膜等の膜が形成された基板Wが基板検査装置200により高い信頼性で検査される。
【0102】
本例では、露光処理の前後に基板Wの処理を行う基板処理装置100に基板検査装置200が設けられるが、他の基板処理装置に基板検査装置200が設けられてもよい。例えば、基板Wに洗浄処理を行う基板処理装置に基板検査装置200が設けられてもよく、または基板Wのエッチング処理を行う基板処理装置に基板検査装置200が設けられてもよい。あるいは、基板検査装置200が単独で用いられてもよい。
【0103】
(7)効果
本実施の形態に係る基板検査装置200においては、X方向に平行でかつ互いに並行に延びる2個のライン光L1,L2が投光部220により出射される。投光部220により出射された2個のライン光L1,L2が基板保持装置250により保持された検査対象の基板Wの表面に照射されるように、基板保持装置250が移動部260によりY方向に移動される。基板Wに照射された2個のライン光L1,L2が2個のラインセンサ241,242によりそれぞれ受光される。
【0104】
ここで、各ラインセンサ241,242は、X方向に並ぶ複数の画素を有する。また、ラインセンサ241は、X方向における1つの画素の長さの2分の1だけラインセンサ242に対してX方向にずれるように配置される。2個のラインセンサ241,242により、1個の仮想ラインセンサLSが導入される。
【0105】
各ラインセンサ241,242の各画素は、X方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、各ラインセンサ241,242の各画素からは、受光量に対応する受光信号が出力される。X方向に直交する方向視において、2個のラインセンサ241,242の重なる2個の部分領域をそれぞれ含む2個の画素の受光信号に基づいて仮想ラインセンサLSの各画素値が算出されることにより、基板Wの画像を示す画像データが生成される。
【0106】
この場合、X方向に直交する方向視において、2個のラインセンサ241,242の重なる2個の部分領域により仮想ラインセンサLSの各画素が構成される。X方向において、仮想ラインセンサLSの各画素の長さは、各ラインセンサ241,242の各画素の長さよりも小さい。そのため、基板検査装置200により生成される画像データが示す画像の解像度は、ラインセンサ241またはラインセンサ242からの受光信号に基づいて生成された場合の画像データが示す画像の解像度よりも高い。したがって、高い解像度を有する基板Wの画像に基づいて、基板Wの欠陥を高い精度で検出することができる。
【0107】
また、X方向におけるラインセンサ241に対するラインセンサ242のずれ量は、X方向における1つの画素の長さよりも小さいので、各ラインセンサ241,242の全部の画素を用いて画像データを生成することができる。これにより、より高い解像度を有する基板Wの画像を示す画像データを生成することができる。
【0108】
(8)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、基板Wの検査として基板Wの外観検査が行われるが、本発明はこれに限定されない。基板Wの検査として他の検査が行われてもよい。例えば、画像データに基づいて、基板Wの外周部と基板W上に形成された膜の外周部との間の距離(エッジ幅)が適正であるか否かの検査が行われてもよい。この場合、画像データが用いられることにより、エッジ幅を適切に検出することができる。それにより、エッジ幅が適正であるか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0109】
また、この構成においては、検査処理時にサンプル画像データが用いられないので、制御部280はサンプル画像データ取得部5を含まない。さらに、検査処理時のステップS1,S7は実行されず、ステップS7においてエッジ幅が適正であるか否かが判定される。エッジ幅が適正である場合には基板Wは正常であると判定され、エッジ幅が適正でない場合には基板Wは異常であると判定される。
【0110】
(b)上記実施の形態において、制御部280は検査部6を含むが、本発明はこれに限定されない。基板検査装置200により生成された画像データに基づいて基板検査装置200の外部装置により基板Wの検査が行われる場合には、制御部280は検査部6を含まなくてもよい。
【0111】
(c)上記実施の形態において、仮想ラインセンサLSの各画素値として、X方向に直交する方向視においてラインセンサ241,242の重なる2個の部分領域の画素値の平均が算出されるが、本発明はこれに限定されない。仮想ラインセンサLSの各画素値として、上記の2個の部分領域の画素値の合計が算出されてもよい。あるいは、ライン光L1とライン光L2との強度が異なる場合には、ライン光L1,L2の強度に応じて、仮想ラインセンサLSの各画素値として、上記の2個の部分領域の画素値の重み付き合計が算出されてもよい。
【0112】
(d)上記実施の形態において、ラインセンサ242は、ラインセンサ241に対してX方向における各画素の長さの2分の1だけX方向にずれた状態で配置されるが、本発明はこれに限定されない。ラインセンサ242は、ラインセンサ241に対してX方向における各画素の長さの非整数倍だけX方向にずれた状態で配置されてもよい。
【0113】
例えば、ラインセンサ242は、ラインセンサ241に対してX方向における各画素の長さの1.5倍だけX方向にずれた状態で配置されてもよい。この場合、ラインセンサ241における端部の画素aは、画像データの生成に用いられなくてもよい。同様に、ラインセンサ242における端部の画素bは、画像データの生成に用いられなくてもよい。
【0114】
(e)上記実施の形態において、基板Wに2個のライン光L1,L2が照射され、撮像部240はライン光L1,L2にそれぞれ対応する2個のラインセンサ241,242を含むが、本発明はこれに限定されない。基板WにN個(Nは2以上の整数)のライン光が照射され、撮像部240はN個のライン光にそれぞれ対応するN個のラインセンサを含んでもよい。この場合、N個のラインセンサは、X方向における1つの画素の長さのN分の1ずつ互いにX方向にずれるように配置されることが好ましい。
【0115】
図12は、撮像部240の他の例を示す図である。図12の例においては、基板Wに3個のライン光が照射される。したがって、撮像部240は、3個のライン光にそれぞれ対応する3個のラインセンサ241~243を含む。ラインセンサ243は、ラインセンサ241,242と同一の構成を有する。ここで、図3(a),(b)の例のように、ラインセンサ241~243は、X方向における1つの画素の長さの3分の1ずつ互いにX方向にずれるように配置されることが好ましい。
【0116】
具体的には、図3(a)の撮像部240においては、ラインセンサ242は、ラインセンサ241に対してX方向における各画素の長さの3分の1だけX方向にずれた状態で配置される。ラインセンサ243は、ラインセンサ242に対してX方向における各画素の長さの3分の1だけX方向にずれた状態、すなわちラインセンサ241に対してX方向における各画素の長さの3分の2だけX方向にずれた状態で配置される。
【0117】
図3(b)の撮像部240は、X方向に直交する方向におけるラインセンサ241~243の並び順が異なる点を除き、図3(a)の撮像部240と同様の構成を有する。図3(a),(b)の例においては、X方向に直交する方向視においてラインセンサ241~243の重なる3個の部分領域の画素値の平均または合計を行うことにより、仮想ラインセンサLSの各画素値を算出することができる。
【0118】
一方で、ラインセンサ241~243の配置は、図3(a),(b)の例に限定されない。図3(c)の撮像部240においては、ラインセンサ241,242は、互いにX方向にずれることなく配置される。ラインセンサ243は、ラインセンサ241またはラインセンサ242に対してX方向における各画素の長さの2分の1だけX方向にずれた状態で配置される。
【0119】
図3(d)の撮像部240においては、ラインセンサ242は、ラインセンサ241に対してX方向における各画素の長さだけX方向にずれた状態で配置される。ラインセンサ243は、ラインセンサ241およびラインセンサ242に対してX方向における各画素の長さの2分の1だけX方向にずれた状態で配置される。
【0120】
図3(c),(d)の例においては、X方向に直交する方向視においてラインセンサ241~243の重なる3個の部分領域の画素値の重み付き合計を行うことにより、仮想ラインセンサLSの各画素値を算出することができる。なお、この場合においては、ラインセンサ241に対応する画素値の重みは例えば0.25であり、ラインセンサ242に対応する画素値の重みは例えば0.25であり、ラインセンサ243に対応する画素値の重みは例えば0.5である。
【0121】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0122】
上記の実施の形態では、基板Wが基板の例であり、基板保持装置250が保持部の例であり、X方向およびY方向がそれぞれ第1および第2の方向の例である。ライン光L1,L2がライン光の例であり、投光部220が投光部の例であり、移動部260が移動部の例であり、ラインセンサ241~243がラインセンサの例である。
【0123】
画像データ生成部4が画像データ生成部の例であり、画素a~a,b~bが受光領域の例であり、部分領域a1,1~an,2,b1,1~bn,2が部分領域の例であり、画素x~x2n+1が画素の例である。基板検査装置200が基板検査装置の例であり、検査部6が検査部の例であり、膜形成部130が膜形成部の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例である。
(10)参考形態
(10-1)第1の参考形態に係る基板検査装置は、検査対象の基板を保持する保持部と、第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光を出射する投光部と、投光部により出射されたN個のライン光が保持部により保持された基板の表面に照射されるように、投光部と保持部とを第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動させる移動部と、基板に照射されたN個のライン光をそれぞれ受光し、受光量に対応する受光信号を出力するN個のラインセンサと、N個のラインセンサから出力される受光信号に基づいて基板の画像を示す画像データを生成する画像データ生成部とを備え、各ラインセンサは、第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域から受光量に対応する受光信号を出力し、N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して第1の方向にずれるように配置され、各ラインセンサの各受光領域は、第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、第1の方向に直交する第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成され、画像データ生成部は、N個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値を算出する。
この基板検査装置においては、第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光が投光部により出射される。投光部により出射されたN個のライン光が保持部により保持された検査対象の基板の表面に照射されるように、投光部と保持部とが移動部により第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動される。基板に照射されたN個のライン光がN個のラインセンサによりそれぞれ受光される。
ここで、各ラインセンサは、第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有する。また、N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して第1の方向にずれるように配置される。
各ラインセンサの各受光領域は、第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、各ラインセンサの各受光領域からは、受光量に対応する受光信号が出力される。第1の方向に直交する第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値が算出されることにより、基板の画像を示す画像データが生成される。
この場合、第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成される。第1の方向において、少なくとも一部の画素の長さは、各ラインセンサの各受光領域の長さよりも小さい。そのため、基板検査装置により生成される画像データが示す画像の解像度は、いずれか1つのラインセンサからの受光信号に基づいて生成された場合の画像データが示す画像の解像度よりも高い。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
(10-2)第1の方向における他のラインセンサに対する少なくとも1つのラインセンサのずれ量は、第1の方向における1つの受光領域の長さよりも小さくてもよい。この場合、各ラインセンサの全部の受光領域を用いて画像データを生成することができる。これにより、より高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。
(10-3)N個のラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さのN分の1ずつ互いに第1の方向にずれるように配置されてもよい。この場合、第1の方向において、各画素の長さを、各ラインセンサの各受光領域の長さよりも容易に小さくすることができる。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを容易に生成することができる。
(10-4)画像データ生成部は、異なる時点で基板の同じライン状領域または一定範囲内のライン状領域に照射されたときのN個のライン光に基づくN個のラインセンサからの受光信号に基づいて画像データを生成してもよい。この場合、簡単な構成でN個のライン光をN個のラインセンサにそれぞれ受光させることができる。
(10-5)画像データ生成部は、N個の受光領域の受光信号の値を平均することにより各画素値を算出してもよい。この場合、各画素値を容易に算出することができる。
(10-6)基板検査装置は、画像データ生成部により生成された画像データに基づいて基板を検査する検査部をさらに備えてもよい。この場合、画像データに基づいて基板に欠陥が存在するか否かを検査することができる。
(10-7)第2の参考形態に係る基板処理装置は、基板上に処理膜を形成する膜形成部と、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データを生成する第1の参考形態に係る基板検査装置とを備える。
この基板処理装置においては、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データが上記の基板検査装置により生成される。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
(10-8)第3の参考形態に係る基板検査方法は、第1の方向に平行でかつ互いに並行に延びるN個(Nは2以上の整数)のライン光を投光部により出射するステップと、投光部により出射されたN個のライン光が保持部により保持された検査対象の基板の表面に照射されるように、投光部と保持部とを移動部により第1の方向に交差する第2の方向に相対的に移動させるステップと、基板に照射されたN個のライン光をN個のラインセンサによりそれぞれ受光し、受光量に対応する受光信号を出力するステップと、N個のラインセンサから出力される受光信号に基づいて基板の画像を示す画像データを生成するステップとを含み、各ラインセンサは、第1の方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域から受光量に対応する受光信号を出力し、N個のラインセンサのうち少なくとも1つのラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さの非整数倍だけ他のラインセンサに対して第1の方向にずれるように配置され、各ラインセンサの各受光領域は、第1の方向に並ぶ複数の部分領域に仮想的に分割され、第1の方向に直交する第3の方向視において、N個のラインセンサの重なるN個の部分領域により各画素が構成され、画像データを生成するステップは、N個の部分領域をそれぞれ含むN個の受光領域の受光信号に基づいて各画素値を算出することを含む。
この方法によれば、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
(10-9)第1の方向における他のラインセンサに対する少なくとも1つのラインセンサのずれ量は、第1の方向における1つの受光領域の長さよりも小さくてもよい。この場合、各ラインセンサの全部の受光領域を用いて画像データを生成することができる。これにより、より高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。
(10-10)N個のラインセンサは、第1の方向における1つの受光領域の長さのN分の1ずつ互いに第1の方向にずれるように配置されてもよい。この場合、第1の方向において、各画素の長さを、各ラインセンサの各受光領域の長さよりも容易に小さくすることができる。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを容易に生成することができる。
(10-11)画像データを生成するステップは、異なる時点で基板の同じライン状領域または一定範囲内のライン状領域に照射されたときのN個のライン光に基づくN個のラインセンサからの受光信号に基づいて画像データを生成することを含んでもよい。この場合、簡単な構成でN個のライン光をN個のラインセンサにそれぞれ受光させることができる。
(10-12)画像データを生成するステップは、N個の受光領域の受光信号の値を平均することにより各画素値を算出することを含んでもよい。この場合、各画素値を容易に算出することができる。
(10-13)基板検査方法は、生成された画像データに基づいて基板を検査するステップをさらに含んでもよい。この場合、画像データに基づいて基板に欠陥が存在するか否かを検査することができる。
(10-14)第4の参考形態に係る基板処理方法は、膜形成部により基板上に処理膜を形成するステップと、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データを第3の参考形態に係る基板検査方法により生成するステップとを含む。
この基板処理方法によれば、膜形成部による処理膜の形成後の基板の画像を示す画像データが上記の基板検査方法により生成される。これにより、高い解像度を有する基板の画像を示す画像データを生成することができる。したがって、高い解像度を有する基板の画像に基づいて、基板の欠陥を高い精度で検出することができる。
【符号の説明】
【0124】
1…装置制御部,2…画素データ取得部,3…画素データ取得部,4…画像データ生成部,5…サンプル画像データ取得部,6…検査部,100…基板処理装置,110…制御装置,120…搬送装置,130…膜形成部,140…現像部,150…熱処理部,200…基板検査装置,210…筐体部,211…開口部,220…投光部,230…反射部,240…撮像部,241~243,250…基板保持装置,251…駆動装置,252…回転保持部,253…回転軸,260…移動部,261…ガイド部材,262…移動保持部,270…方向検出部,280…制御部,300…露光装置,a~a,b~b,x~x2n+1…画素,a1,1~an,2,b1,1~bn,2…部分領域,p0…ピッチ,p1…画素ピッチ,p2…移動ピッチ,L1,L2…ライン光,LS…仮想ラインセンサ,R1~R9,R11~R19,R21~R29,R31~R39…領域,W…基板
図1
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