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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】後発泡性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/70 20060101AFI20230613BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230613BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230613BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230613BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230613BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230613BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61K8/70
A61K8/02
A61K8/36
A61Q19/00
A61Q19/10
C11D1/04
C11D3/43
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019089009
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020183361
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 琢己
(72)【発明者】
【氏名】福積 京子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英俊
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-135321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131395(US,A1)
【文献】特開2012-201850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/70
A61K 8/02
A61K 8/36
A61Q 19/00
A61Q 19/10
C11D 1/04
C11D 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、石鹸と、沸点が5~25℃であるハイドロフルオロオレフィンとを含み、
前記石鹸の含有量は、11~25質量%であり、
前記ハイドロフルオロオレフィンの含有量に対する前記石鹸の含有量の割合(石鹸/ハイドロフルオロオレフィン)(質量比)は、0.5~2.5であり、
前記ハイドロフルオロオレフィンは、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである、後発泡性組成物。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロオレフィンの含有量は、5~30質量%である、請求項記載の後発泡性組成物。
【請求項3】
前記石鹸は、脂肪酸石鹸であり、
前記脂肪酸石鹸のケン化度は、85~95%である、請求項1または2記載の後発泡性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後発泡性組成物に関する。より詳細には、本発明は、ゲル状に吐出することができ、吐出後に徐々に発泡し、塗布しやすい後発泡性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲル状に吐出した後に発泡し、フォームを形成する後発泡性組成物が知られている。特許文献1には、水中油型エマルションに、低沸点有機液体を含ませたゲル状後発泡性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-210065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、低沸点有機液体(発泡剤)としてイソペンタン等が使用され得る。しかしながら、イソペンタン等は、可燃性である。そこで、発泡性組成物の引火性を抑えるために、低沸点有機液体を、燃焼性の低いハイドロフルオロオレフィンに代替することが考えられる。しかしながら、ハイドロフルオロオレフィンは、イソペンタンよりも低沸点である。そのため、吐出物は、吐出と同時に発泡しやすく、ゲル状に吐出することが困難である。また、このような発泡しやすい発泡性組成物は、指や手のひらなどで塗り伸ばすと泡が潰れやすく塗布性に劣る。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、ゲル状に吐出することができ、吐出後に徐々に発泡し、塗布しやすい後発泡性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)水と、石鹸と、沸点が5~25℃であるハイドロフルオロオレフィンとを含み、前記石鹸の含有量は、11~25質量%であり、前記ハイドロフルオロオレフィンの含有量に対する前記石鹸の含有量の割合(石鹸/ハイドロフルオロオレフィン)(質量比)は、0.5~2.5である、後発泡性組成物。
【0008】
このような構成によれば、後発泡性組成物は、特定量の石鹸を含み、かつ、石鹸とハイドロフルオロオレフィンとが特定の含有比率となるよう含まれている。これにより、後発泡性組成物は、低沸点であるハイドロフルオロオレフィンを含んでいるにもかかわらず、ハイドロフルオロオレフィン以外の成分からなる水性原液にハイドロフルオロオレフィンが乳化されることによって増粘する。その結果、ハイドロフルオロオレフィンは、吐出物中に安定して保持されやすくなり、吐出直後の気化が抑えられる。したがって、後発泡性組成物は、ゲル状に吐出することができ、吐出後に徐々に発泡する。また、発泡した吐出物は、指や手のひらなどで対象物に塗り伸ばすと泡が潰れてクリームのようになり塗布しやすい。
【0009】
(2)前記ハイドロフルオロオレフィンは、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである、(1)記載の後発泡性組成物。
【0010】
このような構成によれば、後発泡性組成物は、より安定したゲル状に吐出することができ、吐出後に徐々に発泡し、塗布しやすい。
【0011】
(3)前記ハイドロフルオロオレフィンの含有量は、5~30質量%である、(1)または(2)記載の後発泡性組成物。
【0012】
このような構成によれば、後発泡性組成物は、水性原液が乳化されて適度に増粘しやすく、また後発泡性に優れ、泡を指先などで潰すとクリームのようになり、塗り伸ばしやすい。
【0013】
(4)前記石鹸は、脂肪酸石鹸であり、前記脂肪酸石鹸のケン化度は、85~95%である、(1)~(3)いずれかに記載の後発泡性組成物。
【0014】
このような構成によれば、後発泡性組成物は、適度に増粘しやすく、吐出直後のハイドロフルオロオレフィンの発泡が抑制されやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ゲル状に吐出することができ、吐出後に徐々に発泡し、塗布しやすい後発泡性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<発泡性組成物>
本発明の一実施形態の後発泡性組成物は、水と、石鹸と、沸点が5~25℃であるハイドロフルオロオレフィンとを含む。石鹸の含有量は、11~25質量%である。また、ハイドロフルオロオレフィンの含有量に対する石鹸の含有量の割合(石鹸/ハイドロフルオロオレフィン)(質量比)は、0.5~2.5である。以下、それぞれについて説明する。
【0017】
(水性原液)
水性原液は、水と石鹸とを含む。
【0018】
・水
水は、溶媒として用いられる。水が含まれることにより、後発泡性組成物は、吐出されるとフォームを形成することができ、顔、頭髪、腕、手、脚等の適用箇所において塗り拡げやすい。
【0019】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等である。
【0020】
水の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、水は、後発泡性組成物中、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましい。また、水は、後発泡性組成物中、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、優れた発泡性を示し、かつ、後述する石鹸やハイドロフルオロオレフィンを適切な量となるよう配合しやすい。
【0021】
・石鹸
石鹸は、ハイドロフルオロオレフィン(発泡剤)以外の混合物である水性原液中にハイドロフルオロオレフィンを乳化させて粘度を高くし、エアゾール容器などの気密容器内でハイドロフルオロオレフィンの分離を抑制してゲル状の均一相を維持するために配合される。また、石鹸は、後発泡性組成物が外部に吐出されたときに、ハイドロフルオロオレフィンの気化を抑制して吐出直後はゲルの状態を維持することができる。さらに、石鹸は、水性原液と乳化しているハイドロフルオロオレフィンをゆっくりと気化させ、水性原液を徐々に発泡させて増大するフォームを形成する、またこのフォームを指や手のひらなどで塗り伸ばすと、パサつきがなく、塗り伸ばしやすくする等の目的で配合される。
【0022】
石鹸は特に限定されない。一例を挙げると、石鹸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等を含む脂肪酸と、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどの有機アミンや水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリなどのアルカリとの鹸化物(脂肪酸石鹸)、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンなどのアシルアミノ酸塩;N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウムおよびN-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩;N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩;N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩などのアミノ酸石鹸などがあげられる。これらの中でも、石鹸は、吐出物からハイドロフルオレフィンの気化を抑制する効果が高く、ゲル状に吐出しやすい点から脂肪酸石鹸であることが好ましい。また、石鹸が脂肪酸石鹸である場合において、脂肪酸石鹸は、ケン化度が85~95%であることがより好ましい。ケン化度が85%よりも低い場合、水性原液がハイドロフルオロオレフィンと乳化しても粘度上昇が小さく、ハイドロフルオロオレフィンを吐出物中に保持する力が弱く、発泡した状態で吐出されやすい。また、ケン化度が95%よりも高い場合、後発泡性組成物は、発泡性が高くなり、吐出時に発泡しやすくなる。
【0023】
石鹸の含有量は、後発泡性組成物中、11質量%以上であり、12質量%以上であることが好ましい。また、石鹸の含有量は、後発泡性組成物中、25質量%以下であり、23質量%以下であることが好ましい。石鹸の含有量が11質量%未満である場合、ハイドロフルオロオレフィンが気化しやすく、後発泡性組成物は、発泡した状態で吐出されやすくなる。一方、石鹸の含有量が25質量%を超える場合、後発泡性組成物は、吐出後に指でかき混ぜても発泡しにくくなる。
【0024】
本実施形態の後発泡性組成物は、発泡性を調整するなどの目的で、石鹸に、他の界面活性剤を併用することができる。他の界面活性剤は、一例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン性界面活性剤;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどの非イオン性界面活性剤:(アクリル酸/イタコン酸ステアレス)コポリマー、(アクリル酸/イタコン酸セテス)コポリマー、アクリル酸/アミノアクリレート/C10-30アルキルPEG-20イタコン酸)コポリマーなどの会合型増粘剤;アルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの陽イオン型界面活性剤;アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインなどの両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;N-アシルグルタミン酸などのアミノ酸系界面活性剤等である。
【0025】
これらの中でも、他の界面活性剤は、指などで混合されたときに泡立ちやすく、べたつきが少ない点から、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることがより好ましい。
【0026】
他の界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、他の界面活性剤の含有量は、後発泡性組成物中、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、他の界面活性剤の含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。他の界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、後発泡性組成物は、指などで混合されることにより泡立ちやすく、かつ、べたつきにくく使用感がよい。
【0027】
(ハイドロフルオロオレフィン)
ハイドロフルオロオレフィンは、気密容器内に充填されている後発泡組成物中では微細な乳化粒子となって水性原液と乳化しており、外部に吐出されると気化して水性原液を発泡させる発泡剤として用いられる。
【0028】
ハイドロフルオロオレフィンは、沸点が5~25℃のものであればよく、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E)、沸点19℃)であることが好ましい。沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィンは、従来より使用されている発泡剤(イソペンタン、ノルマルペンタン)よりも沸点が低いため、外部に吐出されると気化しやすい。しかしながら、沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィンは、特定量の石鹸に対して、特定比率となるよう含まれることにより、吐出直後の気化が抑制される。その結果、後発泡性組成物は、ゲル状に吐出されやすくなると共に、ハイドロフルオロオレフィンがゆっくりと気化して徐々に泡が増大する。
【0029】
ハイドロフルオロオレフィンの含有量に対する石鹸の含有量の割合(石鹸/ハイドロフルオロオレフィン)(質量比)は、0.5以上であり、0.6以上であることが好ましい。また、石鹸/ハイドロフルオロオレフィン(質量比)は、2.5以下であり、2.2以下であることが好ましい。含有比率が上記範囲内であることにより、ハイドロフルオロオレフィンは、吐出直後の気化が抑制される。その結果、後発泡性組成物は、ゲル状に吐出されやすくなると共に、ハイドロフルオロオレフィンがゆっくりと気化して徐々に泡が増大する。
【0030】
沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量は、後発泡性組成物中、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。また、沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量は、後発泡性組成物中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量が5質量%未満である場合、吐出物は、発泡しにくい傾向がある。一方、沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量が30質量を超える場合、ハイドロフルオロオレフィンは、水性原液と分離しやすくなり、発泡した状態で吐出されやすくなる。
【0031】
本実施形態の後発泡性組成物は、発泡剤として、沸点が5~25℃のハイドロフルオロオレフィン以外に他の低沸点溶剤が併用されてもよい。このような低沸点溶剤としては、たとえば、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze、沸点-19℃)、トランス-2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234yf、沸点-29℃)などの沸点が5℃未満のハイドロフルオロオレフィン、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z)、沸点39℃)などの沸点が25℃以上のハイドロフルオロオレフィン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタンおよびこれらの混合物からなる炭素数3~5個の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物等の液化ガス等である。
【0032】
・任意成分
後発泡性組成物は、上記水、石鹸や他の界面活性剤、沸点が5~25℃であるハイドロフルオロオレフィンのほかに、適宜、有効成分、アルコール、単糖類、水溶性高分子、油剤、パウダー等の任意成分を含んでもよい。
【0033】
有効成分は、製品の用途や目的などに応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸アルキルアミド-アクリル酸ヒドロキシアルキル-メタクリル酸アルキルアミノアルキル共重合体などの両性型樹脂、およびたとえばアクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、アクリル酸アルキル-スチレン共重合体エマルジョン、ビニルピロリドン-スチレン共重合体エマルジョン、アクリル酸-アクリル酸ヒドロキシエステル共重合体エマルジョンなどのエマルジョン系樹脂などのスタイリング剤;l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;N,N-ジエチル-m-トルアミド(ディート)、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル-ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン(ピカリジン)、p-メンタン-3,8-ジオール、3-[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸1-メチルプロピルなどの害虫忌避剤;クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤等である。
【0034】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、後発泡性組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、後発泡性組成物中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、有効成分を配合することによる効果が得られやすくい。
【0035】
アルコールは、水に溶解しにくい有効成分の溶媒として好適に配合される。また、アルコールは、発泡性を調整する等の目的で好適に配合される。
【0036】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2~3個の1価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコールである。
【0037】
アルコールが配合される場合、アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコールの含有量は、後発泡性組成物中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、後発泡性組成物中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、アルコールを配合することによる効果が得られやすく、かつ、後発泡性組成物は、アルコールによって発泡性が低下しにくい。
【0038】
単糖類は、発泡性を調整する等の目的で好適に配合される。
【0039】
単糖類は特に限定されない。一例を挙げると、単糖類は、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、ガラクチトール、グルシトール、マルチトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール;エリトリトール、D-エリトロース、D-トレオースなどのテトロース類;D-アラビノース、L-アラビノース、D-キシロース、D-リキソース、L-リキソース、D-リボース、D-キシルロース、L-キシルロース、D-リブロース、L-リブロースなどのペントース類;D-アルトロース、L-アルトロース、D-ガラクトース、L-ガラクトース、D-グルコース、D-タロース、D-マンノース、L-ソルボース、D-タガトース、D-プシコース、D-フルクトース、D-マンノースなどのヘキソース類などである。
【0040】
単糖類が配合される場合、単糖類の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、単糖類の含有量は、後発泡性組成物中、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、単糖類の含有量は、後発泡性組成物中、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。単糖類の含有量が上記範囲内であることにより、単糖類を配合することによる効果が得られやすい。
【0041】
水溶性高分子は、後発泡性組成物の粘度を調整してハイドロフルオロオレフィンの保持力や発泡性を調整する目的や、フォームの保持力、硬さ、弾性、伸展性等を調整する等の目的で好適に配合される。
【0042】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)などのカチオン性ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子;キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガムなどのガム質;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等である。
【0043】
水溶性高分子が配合される場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、後発泡性組成物中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、後発泡性組成物中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲内であることにより、水溶性高分子を配合することによる効果が得られやすく、かつ、後発泡性組成物の粘度が高くなり過ぎず、発泡性が低下しにくい。
【0044】
油剤は、ハイドロフルオロオレフィンを保持しやすくして気化を抑制し、後発泡性を調整する等の目的で好適に配合される。
【0045】
油剤は特に限定されない。一例を挙げると、油剤は、セテアリルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、アルキル(C8~C16)グルコシド、アルキル(C12-20)グルコシド、アラキルグルコシド、ヤシ油グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等のアルキルグルコシド、ジメチコン、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素油;ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ-2-エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシルなどのエステル油;オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂;イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール等である。
【0046】
油剤が配合される場合、油剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油剤の含有量は、後発泡性組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、油剤の含有量は、後発泡性組成物中、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。油剤の含有量が上記範囲内であることにより、油剤を配合することによる効果が得られやすい。また、後発泡性組成物は、発泡性が低下しにくく、かつ、乾燥性が低下しにくく、べたつきを生じにくい。
【0047】
パウダーは、滑りを良くするなど、使用感を向上させるために好適に配合される。
【0048】
パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、ゼオライト、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等である。
【0049】
パウダーが配合される場合、パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの含有量は、後発泡性組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、後発泡性組成物中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が上記範囲内であることにより、パウダーを配合することによる効果が得られやすく、かつ、後発泡性組成物は、吐出される際に、吐出通路において詰まりを生じにくい。
【0050】
水性原液の調製方法は特に限定されない。水性原液は、従来公知の方法により調製することができる。たとえば、脂肪酸石鹸を含有する水性原液の場合は、脂肪酸、他の界面活性剤、任意成分を水や温水に添加して加温し、これにアルカリを添加して脂肪酸をケン化することにより調製することができる。
【0051】
また、水性原液は、ハイドロフルオロオレフィンと共にタンク内やパイプラインミキサーなどで混合して乳化させることにより後発泡性組成物を調製することができる。また、水性原液は、個々の容器にハイドロフルオロオレフィンと共に充填し、容器内で乳化させることにより調製されてもよい。
【0052】
(圧縮ガス)
圧縮ガスは、後発泡性組成物を吐出するための加圧剤として配合されてもよい。圧縮ガスは特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素等である。
【0053】
圧縮ガスが使用される場合、圧縮ガスは、25℃における容器内の圧力が0.2MPa以上となるよう充填されることが好ましく、0.3MPa以上となるよう充填されることがより好ましい。また、圧縮ガスは、25℃における容器内の圧力が0.8MPa以下となるよう充填されることが好ましく、0.7MPa以下となるよう充填されることがより好ましい。圧力が上記範囲内になるよう圧縮ガスが充填されることにより、気密容器内においてもハイドロフルオロオレフィンの気化が抑制されやすく、水性原液とハイドロフルオロオレフィンとの均一な乳化状態が維持されやすく、粘度が高い後発泡性組成物が最後まで均等に吐出されやすい。
【0054】
後発泡性組成物全体の説明に戻り、後発泡性組成物をエアゾール容器などの気密容器に充填する充填方法は特に限定されない。一例を挙げると、後発泡性組成物は、容器本体に充填され、さらに圧縮ガスを充填してから容器本体にバルブ機構を取り付けて密封することにより充填することができる。また、容器本体として内部容器を備えている二重容器を用いる場合は、後発泡性組成物は、内部容器に充填され、外部容器と内部容器の間に加圧剤を充填し、バルブ機構を取り付けて密封することにより充填することができる。さらに、後発泡性組成物は、外部容器と内部容器の間に加圧剤を充填し、バルブ機構を取り付けて密封し、内部容器内の空気を排出してからバルブ機構から充填されてもよい。
【0055】
<吐出製品>
本発明の一実施形態の吐出製品は、上記した後発泡性組成物が充填された吐出製品である。なお、本発明の吐出製品は、後発泡性組成物を加圧して吐出することのできる構成を備えていればよく、外部容器と外部容器内に充填される内部容器とを備える二重エアゾール製品であることが好ましい。本実施形態では、一例として、後発泡性組成物が充填された内部容器を備えている二重容器と二重容器本体に取り付けられたバルブ機構とを主に備える二重吐出製品について説明する。
【0056】
(容器本体)
容器本体は、後発泡性組成物が充填される容器であり、有底筒状の外部容器と、外部容器内に設けられる可撓性を有する内部容器と、外部容器の開口部に装着されるバルブ機構とから構成される。
【0057】
外部容器の材質は特に限定されない。一例を挙げると、外部容器の材質は、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等である。内部容器は特に限定されない。一例を挙げると、内部容器は、ポリエチレン、エバール、ナイロンなどの合成樹脂を袋状にブロー成形した内袋、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウムなどのシートを貼り合わせ、製造したパウチなど可撓性を有する容器等である。
【0058】
(バルブ機構)
バルブ機構は、容器本体の開口を閉止して密封するための部材である。また、バルブ機構は、ハウジングと、容器本体の内外を連通するステム孔が形成されたステムと、ステム孔の周囲に取り付けられ、ステム孔を閉止するためのステムラバーとを主に備える。ハウジングは、ステムを収容する。ステムは、略円筒状の部位であり、吐出時にハウジング内に取り込まれた後発泡性組成物が通過するステム内通路が形成されている。ステム内通路の下端近傍には、ハウジング内の空間とステム内通路とを連通するステム孔が形成されている。ステムの上端には、後発泡性組成物を吐出するための吐出部材が取り付けられる。ステムラバーは、ステム孔の周囲に取り付けられ、ハウジングの内部空間と外部とを適宜遮断するための部材である。ステムラバーは、円盤状の部材であり、非吐出時において、内周面をステムのステム孔が形成された外周面と密着させて、ステム孔を閉止する。
【0059】
(吐出部材)
吐出部材は、バルブ機構の開閉を操作して後発泡性組成物を吐出するための部材であり、ステムの上端に取り付けられる。吐出部材は、ノズル部と、使用者が指等により操作する操作部とを主に備える。ノズル部は、略円筒状の部位であり、後発泡性組成物が通過する吐出通路が形成されている。吐出通路の先端には開口(吐出孔)が形成されている。吐出孔からは、後発泡性組成物が吐出される。吐出孔の数および形状は特に限定されない。吐出孔は、複数であってもよい。また、吐出孔の形状は、略円形状、略角形状等であってもよい。
【0060】
本実施形態の吐出製品は、吐出部材が押し下げられると、バルブ機構のステムが下方に押し下げられる。これにより、ステムラバーが下方に撓み、ステム孔が開放される。その結果、容器本体(内部容器)内と外部とが連通する。容器本体内と外部とが連通すると、容器本体内の圧力と外部との圧力差によって、後発泡性組成物がハウジング内に取り込まれ、次いで、ステム孔、ステム内通路を通過し、吐出部材に送られ、その後、吐出孔から吐出される。
【0061】
本実施形態の吐出製品から吐出された後発泡性組成物は、低沸点であるハイドロフルオロオレフィンを含んでいるにもかかわらず、石鹸によって乳化され、吐出後の気化が抑えられる。その結果、後発泡性組成物は、ゲル状に吐出することができ、吐出後に徐々に発泡し、塗布しやすい。
【実施例
【0062】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0063】
(実施例1)
以下の処方(単位:質量%)に従って、ハイドロフルオロオレフィンを含まない水性原液1を調製し、162gの水性原液1と、18gのハイドロフルオロオレフィン(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、HFO-1233zd(E))とを混合して乳化させた後発泡性組成物を、二重容器の内袋に充填した。二重容器の内袋と外部容器の間に窒素ガスを充填し、エアゾールバルブを取り付け、吐出製品を製造した。容器内の圧力は、0.7MPa(25℃)であった。
【0064】
<水性原液1>
精製水 63.3
セテス-2(*1) 1.0
コカミドDEA(*2) 5.0
パルミチン酸(*3) 8.8
ミリスチン酸(*4) 1.3
グリセリン(*5) 10.0
ソルビトール/水(*6) 5.0
メチルパラベン(*7) 0.1
トリエタノールアミン(*8) 5.5
合計 100.0(質量%)
*1:BC-2(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*2:アミゾール CDE(商品名)、川研ファインケミカル(株)製
*3:ルナックP-95(商品名)、花王(株)製
*4:ルナックMY-98(商品名)、花王(株)製
*5:濃グリセリン(商品名)、花王(株)製
*6:ソルビトール花王(商品名)、花王(株)製
*7:メッキンスM(商品名)、上野製薬(株)製
*8:トリエタノールアミン-S(商品名)、(株)日本触媒製
【0065】
(実施例2~7、比較例1~3)
水性原液1およびハイドロフルオロオレフィンの配合比率を表1に記載の処方に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、後発泡組成物を調製し、容器本体に充填し、吐出製品を製造した。
【0066】
【表1】
【0067】
実施例1~7および比較例1~3において調製した後発泡性組成物を用いて、以下の評価方法により、吐出時の状態、発泡性の状態を評価した。結果を表2に示す。
【0068】
<吐出時の吐出物の状態>
吐出製品を25℃に調整された恒温水槽中に1時間浸漬し、後発泡性組成物を25℃に調整した。恒温水槽から吐出製品を取り出し、手のひら上に1g吐出した。吐出時の後発泡性組成物の状態を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:後発泡性組成物は、ゲル状で吐出された。
△:後発泡性組成物は、少し発泡したゲル状で吐出された。
×:後発泡性組成物は、泡状で吐出された。
【0069】
<後発泡性>
手のひらに吐出された後発泡性組成物を指でかき混ぜた。かき混ぜた後発泡性組成物の状態を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:後発泡性組成物は、ゆっくり発泡して徐々に大きくなった。
△:後発泡性組成物は、少し発泡した。
×:後発泡性組成物は、泡が潰れた。
【0070】
<塗り伸ばしやすさ>
手のひら上の泡をさらに指でかき混ぜて潰した時の状態を以下の評価基準に従って評価した。
〇:吐出物は、クリームのようになり、塗り伸ばしやすかった。
△:吐出物は、固いクリームのようになり、少し塗り伸ばせた。
×:吐出物は、パサパサになり、塗り伸ばしにくかった。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示されるように、実施例1~6の後発泡性組成物は、吐出時にゲル状に吐出され、実施例7の後発泡性組成物は吐出時に少し発泡したゲル状に吐出された。また、実施例1~3の後発泡性組成物は、指でかき混ぜてせん断を加えるとゆっくりと発泡して徐々に泡が大きくなり、実施例4~7の後発泡性組成物は、指でかき混ぜてせん断を加えると少し発泡して少しだけ泡が大きくなった。さらに、実施例1~4の後発泡性組成物は、泡を指でかき混ぜて泡を潰すとクリームのようになり、塗り広げやすく、実施例5~7の後発泡性組成物は、泡を指でかき混ぜて泡を潰すと固いクリームのようになり、少しだけ塗り伸ばせた。一方、石鹸の含有量が少ない比較例1の後発泡性組成物は、泡の状態で吐出され、ゲル状に吐出することはできなかった。また、ハイドロフルオロオレフィンの含有量に対する石鹸の含有量の割合が大きい比較例2の後発泡性組成物は、ゲル状で吐出できたが、せん断を加えても発泡しなかった。また、ハイドロフルオロオレフィンの含有量に対する石鹸の含有量の割合が大きく、かつ、石鹸の含有量が多い比較例3の後発泡性組成物は、少し発泡したゲル状で吐出されたものの、指で塗り伸ばしても泡立ちが悪く、塗り伸ばしにくかった。