(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】複合トウの接触を制御するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/54 20060101AFI20230613BHJP
B29C 70/38 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019109979
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ブライス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ, サヤタ
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ, タイラー エム.
(72)【発明者】
【氏名】タット, ホン ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージソン, ギャリー アーネスト
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0102070(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0191622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線カメラ(116)を、複合物レイングヘッド(102)の圧縮ローラ(112)の後部に向けることと、
前記圧縮ローラ(112)の前部に装着されたヒータ(114)によって、基板(106)に
熱を加えることと、
前記圧縮ローラ(112)によって前記基板(106)上に載置された複合トウ(104)の赤外線画像(120)を、捕捉することと、
前記赤外線画像(120)を使用して、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有しているか否かを
リアルタイムで判定すること
と、
を含む方法(600)であって、
前記リアルタイムで判定することが、
明度サンプル(144)を形成するために、前記複合トウ(104)の幅(142)全体にわたって明度(140)をサンプリングすることと、
前記明度サンプル(144)の範囲の値が閾値(146)を超えるか否かを判定することと
によって行われ、
前記閾値(146)は、前記複合トウ(104)を含む、結果として得られる複合部品の標準又は要件に基づいて選択され、
前記方法は、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有していないと判定された場合に、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を達するために、前記基板(106)に加えられる熱、圧縮スピード、又は圧縮圧力のうちの少なくとも1つを改変することを更に含む、
方法(600)。
【請求項2】
赤外線カメラ(116)を、複合物レイングヘッド(102)の圧縮ローラ(112)の後部に向けることと、
前記圧縮ローラ(112)の前部に装着されたヒータ(114)によって、基板(106)に熱を加えることと、
前記圧縮ローラ(112)によって前記基板(106)上に載置された複合トウ(104)の赤外線画像(120)を、捕捉することと、
前記赤外線画像(120)を使用して、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有しているか否かをリアルタイムで判定することと、
を含む方法(600)であって、
前記リアルタイムで判定することが、
明度サンプル(144)を形成するために、前記複合トウ(104)の幅(142)全体にわたって明度(140)をサンプリングすることと、
前記明度サンプル(144)のうちのいずれかが設定範囲(148)から外れているか否かを判定することと
によって行われ、
前記設定範囲(148)は、前記複合トウ(104)を含む、結果として得られる複合部品の標準又は要件に基づいて選択され、
前記方法は、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有していないと判定された場合に、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を達するために、前記基板(106)に加えられる熱、圧縮スピード、又は圧縮圧力のうちの少なくとも1つを改変することを更に含む、
方法(600)。
【請求項3】
前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有していな
い場合に、
前記熱を増強すること
を含む、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有しているかを判定する前に、前記赤外線画像(120)からトウ消失をフィルタ除去する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記赤外線画像(120)を使用して、前記複合トウ(104)が十分な接触(110)を有しているか否かを判定することが、
前記複合トウ(104)のうちの少なくとも1つについて、エッジ(150)を特定することを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記赤外線画像(120)の
前記明度
サンプル(
144)を使用して、前記複合トウ(104)と前記基板(106)との間
のタック(130)のレベルを判定する
ことを更に含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記タック(130)のレベルを判定することが、タック(130)と前記赤外線画像(120)の前記明度サンプル(144)とを関連付けるメトリック(151)を使用することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
判定された前記タック(130)のレベルに基づいて、前記基板(106)に加
えられる
前記熱、前記圧縮スピー
ド、又は前記圧縮圧
力のうちの少なくとも1つを改変することを更に含む、請求項
6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板(106)上にレイダウンされた前記複合トウ(104)の前記赤外線画像(120)を捕捉することが、前記圧縮ローラ(112)の後部に装着された前記赤外線カメラ(116)によって実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記結果として得られる複合部品の標準又は要件は、前記複合部品を硬化させた後の一定の強度を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
圧縮ローラ(112)を有する複合物レイングヘッド(102)と、
前記圧縮ローラ(112)の前部に装着されたヒータ(114)と、
前記圧縮ローラ(112)の後部に装着された赤外線カメラ(116)であって、前記圧縮ローラ(112)によって基板(106)上にレイダウンされた複合トウ(104)の赤外線画像(120)を捕捉するよう構成されている、赤外線カメラ(116)と、
前記赤外線画像(120)を使用して、前記複合トウ(104)が十分な接
触を有しているか否かを
リアルタイムで判定するよう構成された、複合物アナライザ(118)と
を備
えるシステム(108)であって、
前記リアルタイムで判定することが、
明度サンプル(144)を形成するために、前記複合トウ(104)の幅(142)全体にわたって明度(140)をサンプリングすることと、
前記明度サンプル(144)の範囲の値が閾値(146)を超えるか否かを判定すること、及び前記明度サンプル(144)のうちのいずれかが設定範囲から外れているか否かを判定すること、のうちの少なくとも1つと
によって行われ、
前記閾値(146)又は前記設定範囲はそれぞれ、前記複合トウ(104)を含む、結果として得られる複合部品の標準又は要件に基づいて選択され、
前記システム(108)は、前記複合トウ(104)が十分な接触を有していないと判定された場合に、前記複合トウ(104)が十分な接触を達するために、前記基板(106)に加えられる熱の量、前記複合物レイングヘッド(102)の圧縮スピード、又は前記複合物レイングヘッド(102)の圧縮圧力のうちの、少なくとも1つを改変するよう構成された、コントローラ(136)を更に備える、システム(108)。
【請求項12】
前記コントローラ(136)は、前記複合トウ(104)が十分な接触を有していない場合に、前記熱を増強するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複合物アナライザ(118)は、前記複合トウ(104)が十分な接触を有しているかを判定する前に、前記複合トウ(104)間の隙間をフィルタ除去するように構成されている、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記結果として得られる複合部品の標準又は要件は、前記複合部品を硬化させた後の一定の強度を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記複合物アナライザ(118)が、前記赤外線画像(120)
の明度サンプル(144)、又はタック(130)と前記赤外線画像(120)の明度
サンプル(
144)とを関連付けるメトリック(151
)を使用して、前記複合トウ(104)と前記基板(106)との間の前記タック(130)のレベルを判定するよう、更に構成されている、請求項11から
14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して複合物の製造に関し、より具体的には、複合構造物の製造品質を改善することに関する。更に具体的には、本開示は、複合トウの接触を制御するために複合トウの赤外線画像を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]航空機及び自動車といったプラットフォームの設計及び製造における、複合材料の割合はどんどん増している。複合材料は、航空機においては、航空機の重量を軽減させるために使用される。この軽量化により、ペイロード能力及び燃費効率といった性能特徴が改善される。更に、複合材料は、航空機における様々な構成要素の長寿命化をもたらす。
【0003】
[0003]しかし、製造プロセスにおける、複合材料品質のモニタリング及びプロセス制御は困難である。複合材料は、層状にレイアップされる。未硬化の複合材料の層同士の接合は、その後に得られる硬化済みの複合構造物の特性(強度など)に影響を与える。未硬化の複合層同士のかかる接合は、層同士の「密着(intimate contact)」による影響を受ける。未硬化の複合層同士の接合強度は、層の「タック(tack)」とも称されうる。未硬化の複合層同士の「密着」が低減することで、層間のタックも低減しうる。
【0004】
[0004]未硬化の複合層同士の接合に関する従来型の検査は、オペレータによる視認検査を含む。オペレータによる視認検査は、定量的というよりはむしろ定性的な措置である。オペレータによる視認検査は、望ましいほどに繊細なものではない。
【0005】
[0005]したがって、上述の問題のうちの少なくともいくつかのみならず、その他の生じうる問題も考慮した、方法及び装置を有することができれば、それが望ましい。例えば、未硬化の複合材料層同士の接触と接合強度の少なくとも一方を定量的に評価するための、方法と装置の少なくとも一方を有することができれば、それが望ましい。別の例としては、複合材料の未硬化の層同士の接触と接合強度の少なくとも一方について、より繊細な検査を提供するための、方法と装置の少なくとも一方を有することができれば、それが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の一実施例は、方法を提供する。赤外線カメラが、複合物レイングヘッド(composite laying head)の圧縮ローラの後部に向けられる。圧縮ローラの前部に装着されたヒータによって、基板に熱が加えられる。圧縮ローラによって基板上にレイダウンされた複合トウの赤外線画像が、捕捉される。この赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かが判定される。
【0007】
[0007]本開示の別の実施例は、方法を提供する。圧縮ローラと、圧縮ローラの前部に装着されたヒータとを有する、複合物レイングヘッドを使用して、複合トウがレイダウンされる。複合トウをレイダウンした後に、圧縮ローラの後部に装着された赤外線カメラを使用して、複合トウの赤外線画像が捕捉される。この赤外線画像を使用して、タックのレベルが判定される。
【0008】
[0008]本開示の更に別の実施例は、システムを提供する。このシステムは、圧縮ローラを有する複合物レイングヘッドと、圧縮ローラの前部に装着されたヒータと、圧縮ローラの後部に装着された赤外線カメラと、複合物アナライザとを、備える。赤外線カメラは、圧縮ローラによって基板上にレイダウンされた複合トウの赤外線画像を捕捉するよう構成される。複合物アナライザは、赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定するよう、構成される。
【0009】
[0009]これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態において個別に実現可能であるか、又は、下記の説明及び図面を参照して更なる詳細事項が理解されうる、更に別の実施形態において組み合わされうる。
【0010】
[0010]例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施形態だけでなく、かかる実施形態の好ましい使用モード、更なる目的、及び特徴が、添付図面と併せて、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細説明を読むことによって、最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]例示的な一実施形態による、複合トウがレイダウンされる製造環境のブロック図を示す。
【
図2】[0012]例示的な一実施形態による、複合物レイングヘッド及び取り付けられた赤外線カメラの側面図を示す。
【
図3】[0013]例示的な一実施形態による、複合トウの赤外線画像を示す。
【
図4】[0014]例示的な一実施形態による、複合トウの赤外線画像を示す。
【
図5】[0015]例示的な一実施形態による、複合トウの赤外線画像を示す。
【
図6】[0016]例示的な一実施形態による、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定するための方法のフロー図を示す。
【
図7】[0017]例示的な一実施形態による、タックのレベルを判定するための方法のフロー図を示す。
【
図8】[0018]例示的な一実施形態による、ブロック図の形態のデータ処理システムの図である。
【
図9】[0019]例示的な一実施形態による、ブロック図の形態の、航空機の製造及び保守方法の図である。
【
図10】[0020]ブロック図の形態の、例示的な一実施形態が実装されうる航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0021]例示的な実施形態では、一又は複数の異なる想定が認識され、考慮されている。例えば、例示的な実施形態では、自動繊維配置(AFP)は複合物製造プロセスであることが、認識され、考慮されている。例示的な実施形態では、自動繊維配置(AFP)は非常に繊細なプロセスであることが、認識され、考慮されている。例示的な実施形態では、許容誤差から外れた製造により、製造プロセスに望ましくないコスト及びフロー時間が付加されうることが、認識され、考慮されている。例示的な実施形態では、自動繊維配置(AFP)プロセスをモニタし、制御し、かつ改善するための手段が求められていることが、認識され、考慮されている。
【0013】
[0022]例示的な実施形態では、未硬化の複合物層同士の密着は、未硬化の複合物層同士の接合強度(「タック」とも称される)に影響を与えることが、認識され、考慮されている。例示的な実施形態では、従来型の視認検査は、タックについての定量的措置というよりはむしろ、タックについての定性的措置であることが、認識され、考慮されている。例示的な実施形態では、未硬化の複合トウは、種々のタックのレベルを有しうる(「タックされた」、「軽度にタックされた」、又は「タックされていない」と記載される)ことが、認識され、考慮されている。例示的な実施形態では、タックについての定量的措置が求められていることが、認識され、考慮されている。
【0014】
[0023]ここで
図1を参照するに、例示的な一実施形態による、複合トウがレイダウンされる製造環境のブロック図が示されている。製造環境100では、複合物レイングヘッド102により、基板106上に複合トウ104がレイダウンされる。システム108が、複合トウ104をレイダウンし、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定する。システム108は、圧縮ローラ112を有する複合物レイングヘッド102と、ヒータ114と、赤外線カメラ116と、複合物アナライザ118とを備える。ヒータ114は、基板106を加熱するために、圧縮ローラ112の前部に装着される。赤外線カメラ116は、圧縮ローラ112の後部に装着される。赤外線カメラ116は、圧縮ローラ112によって基板106上にレイダウンされた複合トウ104の赤外線画像120を、補足するよう構成される。複合物アナライザ118は、赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定するよう、構成される。
【0015】
[0024]この判定は、複合104の付着を制御するために使用されうる。一部の実施例では、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定した後に、この判定の結果を使用して、複合トウ104の付着が制御される。例えば、判定に基づいて、熱122、圧縮スピード124、圧縮圧力125のうちの少なくとも1つが変更されうる。
【0016】
[0025]ヒータ114は、基板106に熱122を加える。基板106は任意の望ましい形態をとる。一部の実施例では、基板106は、複合トウ104の先行層で形成された表面を備える。一部の実施例では、基板106はツール面を備える。
【0017】
[0026]複合物レイングヘッド102の圧縮ローラ112は、圧縮スピード124で、複合トウ104を基板106に付着させる。熱122、圧縮スピード124、及び圧縮圧力125は、十分な接触110を実現するために調整可能なパラメータ126である。
【0018】
[0027]タック130は、複合トウ104と基板106との間の接合強度の表現である。タック130は、基板106上にレイアップされる複合トウ104の温度による影響を受ける。タック130は、複合トウ104と基板106との間の接触による影響も受ける。タック130はニュートン単位で測定されうる。
【0019】
[0028]圧縮ローラ112の下の複合トウ104の温度が変化するにつれて、タック130も変化する。圧縮スピード124がどのようなものであっても、タック130は、圧縮ローラ112の下の複合トウ104の温度が変化するにつれて、連続的に変化する。圧縮スピード124がどのようなものであっても、タック130は最大値を有する。圧縮スピード124がどのようなものであっても、タック130は、圧縮ローラ112の下の複合トウ104の温度が上昇するにつれて、最大値まで増大する。タック130の最大値に到達した後には、圧縮ローラ112の下の複合トウ104の温度が上昇することで、タック130は減少する。一部の実施例では、温度に関連するタック130の挙動は、圧縮スピード124がどのようなものであっても、タック参照曲線によって表わされうる。
【0020】
[0029]圧縮ローラ112の下の複合トウ104の温度が変化するにつれて、密着度131も変化する。圧縮スピード124がどのようなものであっても、複合トウ104と基板106との間の密着度131は、圧縮ローラ112の下の複合トウ104の温度が上昇するにつれて、100%まで増大する。複合トウ104と基板106との間の密着度131が100%に到達すると、温度の上昇は、密着度131に影響を与えなくなる。
【0021】
[0030]一部の実施例では、複合トウ104と基板106との間の密着度131が100%に到達しても、タック130はその最大値にまだ到達していないことがある。かかる実施例では、タック130を増大させるために、圧縮ローラ112の下の温度が上昇させられうる。
【0022】
[0031]所与の圧縮スピード124の場合、処理温度が上昇するにつれて、密着度131が増大すると共に、タック130の値も増大する。タック130が最大値又はそれに近い値になる温度において、密着度131は100%になる。温度を上昇させ続けることで、タック130の値は低くなるが、密着度131は100%に保たれる。複合物アナライザ118では、密着度131とタック130の少なくとも一方を判定するために、密着度131を表わす赤外線画像120内の明度(intensities)の均一性と、温度を示す赤外線画像120内の明度値の、両方が考慮される。
【0023】
[0032]タック130は、複合材料の種類128、製造環境100の湿度132、及び製造環境100の温度134に応じて変動しうる。タック130は、複合トウ104の保管条件、複合トウ104の製造条件、及び複合トウ104のレイダウン時間により、影響を受けることもある。従来型のシステムは、タック130を定量化するものではない。
【0024】
[0033]従来型のシステムでは、オペレータは、密着度131を評価するために、複合物層を視覚的に検査する。タック130は、従来型のシステムでは定量化されない。
【0025】
[0034]パラメータ126は、複合材料の種類128に基づいて調整される。一部の実施例では、システム108を使用することで、パラメータ126が、十分な接触110を実現するよう調整される。一部の実施例では、システム108を使用することで、パラメータ126が、タック130を変化させるよう調整される。
【0026】
[0035]コントローラ136は、複合トウ104は十分な接触110を有していないと判定された場合に、基板106に加わる熱122、複合物レイングヘッド102の圧縮スピード124、複合物レイングヘッド102の圧縮圧力125のうちの、少なくとも1つを改変するよう、構成される。一部の実施例では、コントローラ136は更に、製造環境100内での複合物レイングヘッド102の操作を制御する。一部の実施例では、コントローラ136は、タック130を変化させるために、基板106に加わる熱122、複合物レイングヘッド102の圧縮スピード124、複合物レイングヘッド102の圧縮圧力125のうちの、少なくとも1つを改変するよう、構成される。
【0027】
[0036]一部の実施例では、複合物アナライザ118は、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを、リアルタイムで判定するよう構成される。一部の実施例では、複合物アナライザ118は、検査サンプリングプランの一部として、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定するよう、構成される。
【0028】
[0037]一部の実施例では、複合物アナライザ118は、複合トウ104が基板106上にレイダウンされる際に、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定するために、赤外線画像120の各々を解析する。一部の実施例では、複合物アナライザ118は、赤外線画像120の一部分だけを解析する。
【0029】
[0038]赤外線画像138は赤外線画像120のうちの1つである。赤外線画像138は、明度140を伴うピクセルを有する明度140は、赤外線画像138で視認可能な複合トウ104の複数の場所の各々の温度を表わすものである。
【0030】
[0039]複合トウ104が基板106上にレイダウンされる時に、複合トウ104の温度は、基板106よりも低くなる。一部の実施例では、複合トウ104が基板106上にレイダウンされる時に、複合トウ104の温度は、製造環境100の温度134よりも低くなる。
【0031】
[0040]赤外線カメラ116は、圧縮ローラ112の背後に位置付けられ、圧縮ローラ112の背後に向けられる。赤外線画像120における複合トウ104の温度は、圧縮ローラ112の下の、圧縮時点における温度よりも低くなる。赤外線カメラによって画像化された時の複合トウ104の温度と、圧縮ローラ112によって圧縮された時の複合トウ104の温度との間の差異は、データの処理時に考慮されうる。
【0032】
[0041]赤外線カメラ116によって提供される赤外線画像120により、密着度の評価、及びタック130の評価が可能になる。圧縮ローラ112の背後の複合トウ104における材料温度の均一性が、密着度を示す。赤外線画像120における複合トウ104の実際の温度が、タック130の実際の値を規定する。
【0033】
[0042]複合トウ104が基板106上にレイダウンされる時に、基板106は、基板106上の複合トウ104を加熱する。熱は、基板106から、基板106上にレイダウンされた複合トウ104に伝達される。
【0034】
[0043]明度140は、複合104に伝達された熱の量を示すものである。明度140は、複合トウ104と基板106との間の接触のレベルを示す。複合トウ104と基板106との間の接触量が増すことで、より大量の熱伝達が発生する。
【0035】
[0044]一部の実施例では、赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することは、明度サンプル(sampled intensities)144を形成するために、複合トウ104の幅142全体から明度140をサンプリングすることを含む。明度サンプル144は、明度サンプル144の最低明度から最高明度までの、範囲を有する。一部の実施例では、赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することは、明度サンプル144の範囲の値が閾値146を超えるか否かを、判定することを更に含む。一部の実施例では、明度サンプル144の範囲の値が閾値146を超えている場合、複合トウ104は十分な接触110を有していないと判定される。一部の実施例では、明度サンプル144の範囲の値が閾値146を超えている場合、赤外線画像138は更なる確認を要すると特定される。
【0036】
[0045]一部の実施例では、赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することは、明度サンプル144のうちのいずれかが設定範囲148から外れているか否かを、判定することを更に含む。一部の実施例では、明度サンプル144のうちのいずれかが設定範囲148を下回る場合、複合トウ104は十分な接触110を有していないと判定される。明度サンプル144のうちのいずれかが設定範囲148を下回る場合、熱122は増強されうる。明度サンプル144のうちのいずれかが設定範囲148を上回る場合、熱122は低減されうる。
【0037】
[0046]熱122の変更の程度を決定するために、複合トウ104をレイダウンするための、この時点での条件が考慮される。例えば、熱122の変更の程度を決定するために、複合トウ104に関する機械スピードと最大タック、複合物レイングヘッド102のパラメータ、及び、製造環境100の条件が、考慮される。一部の実施例では、熱122の変更の程度を決定するために、湿度132、温度134、複合物レイングヘッド102の圧縮圧力125、複合物レイングヘッド102におけるトウ張力、及び圧縮スピード124のうちの、少なくとも1つが考慮される。
【0038】
[0047]熱122の変更の程度を決定するために、履歴データ149が考慮される。履歴データ149は、製造環境湿度、製造環境温度、複合材料の種類、加わる熱、圧縮スピード、圧縮圧力、タック、及び、赤外線画像からの明度データのうちの、少なくとも1つを含む。
【0039】
[0048]閾値146及び設定範囲148は、任意の望ましい方法を使用して選択される。一部の実施例では、閾値146及び設定範囲148は、複合材料の種類128に合った既知の参照標準に基づいて選択される。既知の参照標準に関するデータは、レイアップ時の赤外線画像、超音波検査データ、視認検査データのうちの、少なくとも1つを含む。一部の実施例では、閾値146及び設定範囲148は、複合材料の種類128に合ったタック基準曲線に基づいて選択される。
【0040】
[0049]一部の実施例では、赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することは、複合トウ104のうちの少なくとも1つについて、エッジ150を特定することを含む。一部の実施例では、複合トウ104のうちの少なくとも1つについてエッジ150が視認可能である場合、十分な接触110は存在していない。一部の実施例では、複合トウ104のうちの少なくとも1つについてエッジ150が視認可能である場合、熱122が増強される。
【0041】
[0050]一部の実施例では、複合物アナライザ118により、複合トウ104と基板106との間の接触を定量化することなく、十分な接触110が存在しているか否かが判定される。一部の実施例では、複合物アナライザ118は、複合トウ104と基板106との間の密着度131を定量化する。一部の実施例では、複合物アナライザ118により、複合トウ104と基板106との間の判定された密着度131の値に基づいて、十分な接触110が存在しているか否かが判定される。一部の実施例では、複合物アナライザ118は、十分な接触110が存在しているか否かを判定した後に、複合トウ104と基板106との間の密着度131を定量化する。
【0042】
[0051]一部の実施例では、複合物アナライザ118は、タック130のレベルを判定するよう、更に構成される。一部の実施例では、複合物アナライザ118は、赤外線画像120を使用してタック130のレベルを判定するよう、構成される。一部の実施例では、複合物アナライザ118は、赤外線画像120、複合トウ104の密着度131、メトリック151のうちの少なくとも1つを使用して、タック130のレベルを判定するよう、更に構成される。一部の実施例では、複合物アナライザ118では、ヒータ114によって加えられる熱122の量、製造環境100における湿度132、複合材料の種類128、製造環境100における温度134のうちの少なくとも1つも、考慮されうる。
【0043】
[0052]本書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数のものの種々の組み合わせが使用されてよく、かつ、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされることもあることを、意味している。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ及び任意の数のアイテムが、列挙された中から使用されうることを意味するが、列挙されたアイテムのすべてが必要となるわけではないことを、意味している。アイテムとは、特定の物体、物品、又はカテゴリでありうる。
【0044】
[0053]この例は、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムC」、又は「アイテムB及びアイテムC」も含みうる。言うまでもなく、これらのアイテムの任意の組み合わせが存在しうる。他の例においては、「~のうちの少なくとも1つ」は、限定するわけではないが例としては、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、又は他の好適な組み合わせでありうる。
【0045】
[0054]一部の実施例では、赤外線画像138が更なる確認を要すると特定される時に、複合トウ104のタック130が判定される。一部の実施例では、赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かが判定された後に、複合トウ104のタック130が判定される。
【0046】
[0055]一部の実施例では、明度140は、メトリック151と比較されるか、又は、メトリック151に関連して解析される。メトリック151は、タック130と赤外線画像の明度とを関連付ける。赤外線画像の明度は、赤外線画像内の温度を表わすものである。メトリック151では、複合トウのレイダウンの履歴データ149が考慮される。一部の実施例では、メトリック151は、任意の数のタック基準カーブという形態をとる。
【0047】
[0056]メトリック151は、任意の望ましい解析に使用されうる。メトリック151は、他の望ましい任意のデータと組み合わされて使用されうる。一部の実施例では、メトリック151は、閾値146と設定範囲148の少なくとも一方を設定するために使用される。一部の実施例では、メトリック151は、熱122の変更の程度を決定するために使用される。一部の実施例では、メトリック151は、タック130を判定するために、熱122及び明度140と併せて使用される。一部の実施例では、メトリック151は、タック130を判定するために、複合トウ104の判定された密着度131、及び明度140と併せて使用される。
【0048】
[0057]一部の実施例では、基板106は製造基板である。かかる実施例では、製造において、複合トウ104により部品が作られる。
【0049】
[0058]他の実施例では、複合物レイングヘッド102は、複合トウ152を試験基板154上にレイダウンする。複合物レイングヘッド102が複合トウ152を試験基板154上にレイダウンする場合、複合物アナライザ118が複合トウ152について判定したタック130は、複合トウ152が試験基板154上に載置された後に、熱122、圧縮スピード124、及び圧縮圧力125を決定して、複合トウ104を基板106上にレイダウンするために、使用される。
【0050】
[0059]赤外線カメラ116は、基板106上にレイダウンされた後の複合トウ104を画像化するのに望ましい、任意の場所に位置付けられる。赤外線カメラ116を、基板106の表面に対して可能な限り直角に保持することが望ましい。複合物レイングヘッド102の構成要素の一部が、圧縮ローラ112のすぐ背後の複合トウ104の視認を妨害することがある。一部の実施例では、複合物レイングヘッド102の構成要素の一部は、圧縮ローラ112の背後約3インチの視野を妨害する。赤外線カメラ116は、妨害される視野と、赤外線カメラ116の直角度(normality)に対する要求とを考慮して、最も望ましい位置に位置付けられる。赤外線カメラ116は、複合トウ104の幅142を包含するよう位置付けられる。赤外線カメラ116は、望ましくは、幅142を包含すると共に、可能な限り最良の解像度を有するよう、位置付けられる。
【0051】
[0060]
図1の製造環境100の図は、一実施例が実装されうる様態に対して、物理的又は構造的な限定を課すことを意図するものではない。図示している構成要素に加えて、又はそれらに代えて、他の構成要素も使用されうる。一部の構成要素は不要でありうる。更に、いくつかの機能的構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。実施例において実装される場合、これらのブロックのうちの一又は複数は、組み合わされうるか、分割されうるか、又は、組み合わされて異なるブロックに分割されうる。
【0052】
[0061]例えば、図示しているように、履歴データ149、赤外線画像138、及び複合物アナライザ118は全て、コンピュータシステム156上に存在する。一部の実施例では、履歴データ149、赤外線画像138、複合物アナライザ118のうちの少なくとも1つは、別のコンピュータシステム上に存在しうる。別の例としては、コンピュータシステム156は、製造環境100内に図示されているが、任意の望ましい場所にあってよい。一部の実施例では、コンピュータシステム156は製造環境100の外部に存在している。
【0053】
[0062]更に別の例としては、十分な接触110について述べているが、システム108は、多種多様な異なる不整合を特定するために使用されうる。例えば、システム108は、トウ切断、くぼみ、間隙、トウ落下、トウ消失、シワ、又は他の任意の種類の不整合を特定するために、使用されうる。一部の実施例では、他の不整合は、複合トウ104は十分な接触110を有しているか否かを判定する前に、赤外線画像138からフィルタ除去され(filtered out)る。
【0054】
[0063]ここで
図2を参照するに、例示的な一実施形態による、複合物レイングヘッド及び取り付けられた赤外線カメラの側面図が示されている。複合物レイングヘッド200は、
図1の複合物レイングヘッド102を図示したものである。ヒータ202は、
図1のヒータ114を図示したものである。
【0055】
[0064]図示しているように、複合物レイングヘッド200は、複合トウ(図示せず)を基板206上にレイダウンするために、方向204に動く。複合物レイングヘッド200が方向204に動く際、複合トウが圧縮208によって基板206にレイダウンされる前に、ヒータ202は基板206を加熱する。
【0056】
[0065]赤外線カメラ210は、圧縮ローラ208の後部に装着される。赤外線カメラ210は、基板206上の場所212に向けられる。赤外線カメラ210は、圧縮ローラ208の背後に位置付けられ、圧縮ローラ208の背後に向けられる。赤外線カメラ210が撮った赤外線画像における複合トウの温度は、圧縮ローラ208の下の、圧縮時点における温度よりも低くなる。赤外線カメラ210によって画像化された時の複合トウの温度と、圧縮ローラ208によって圧縮された時の複合トウの温度との間の差異は、データの処理時に考慮されうる。
【0057】
[0066]赤外線カメラ210からの赤外線画像は、複合物レイングヘッド200によってレイダウンされた複合トウの密着度とタックの値の、少なくとも一方を評価し、定量化するために使用されうる。密着度とタックの値は両方とも、複合トウの温度による影響を受ける。赤外線カメラ210が撮った赤外線画像内の明度は、複合トウの温度を表わすものである。
【0058】
[0067]ここで
図3を参照するに、例示的な一実施形態による、複合トウの赤外線画像が示されている。赤外線画像300は、
図1の赤外線画像120のうちの1つの物理的実行形態である。赤外線画像300は、
図2の赤外線カメラ210によって生成された赤外線画像の物理的実行形態でありうる。
【0059】
[0068]赤外線画像300では、複合トウ302は十分な接触304を有している。赤外線画像300では、複合トウ302は、「タックされている」と表現されうる。一部の実施例では、赤外線画像300は、複合トウ302が十分な接触304を有しているか否かをリアルタイムで判定するために、使用される。かかる実施例では、この判定が、熱と圧縮スピードの少なくとも一方を含む、レイダウンプロセスのパラメータを制御するために使用される。複合トウ302が十分な接触304を有していれば、複合物レイングヘッドの熱及び圧縮スピードは維持される。
【0060】
[0069]一部の実施例では、赤外線画像300は、処理後検査として、複合トウ302が十分な接触304を有しているか否かを判定するために、使用される。かかる実施例では、この判定が、行われる可能性のある手直しに関する決定を知らせるために使用される。複合トウ302が十分な接触304を有していなければ、複合トウ302を包含する複合構造物の、赤外線画像300で視認可能な区域に、手直しが行われうる。
【0061】
[0070]一部の実施例では、複合トウ302が十分な接触304を有しているか否かを判定するために、複合物アナライザ(例えば、
図1の複合物アナライザ118)が、幅306における明度をサンプリングする。一部の実施例では、幅306内の全ての明度が選択される。一部の実施例では、幅306に沿って、設定された数量の明度が取得される。
【0062】
[0071]図示しているように、明度サンプル308は、幅306に沿って存在している。明度サンプル308は、明度310、明度312、明度314、明度316、明度318、及び明度320を含む。一部の実施例では、幅306の明度サンプル308を使用して、明度サンプルの範囲の値が閾値を超えるか否かが判定される。例えば、明度サンプル308の最高明度と最低明度との間の差異が、範囲の値となる。この範囲の値があまりに大きい場合、接触が不十分なエリアが存在しうる。
【0063】
[0072]一部の実施例では、幅306の明度サンプル308を使用して、明度サンプル308のうちのいずれかが設定範囲から外れているか否かが判定される。この設定範囲は、十分な接触のための、望ましい明度範囲でありうる。
【0064】
[0073]一部の実施例では、複合トウ302が十分な接触304を有しているか否かを判定するために、複合トウ302のうちの少なくとも1つについて、エッジが特定される。赤外線画像300においては、エッジは視認可能ではない。
【0065】
[0074]一部の実施例では、複合トウ302が十分な接触を有しているか否かを判定した後に、赤外線画像300を使用して、タックのレベルが判定される。一部の実施例では、赤外線画像300内の温度が判定される。一部の実施例では、タックのレベルを判定するために、判定された温度が、メトリック(タック基準カーブなど)と併せて使用される。一部の実施例では、タックのレベルは、赤外線画像300の明度、複合トウ302の判定された密着度、タックと赤外線画像の明度とを関連付けるメトリックのうちの、少なくとも1つを使用して判定される。
【0066】
[0075]一部の実施例では、タックのレベルは、赤外線画像300における密着度の判定に応じて、赤外線画像300を使用して判定される。一部の実施例では、タックのレベルは、その他のデータ(例えば基板に加わる熱、又は他の任意の望ましいデータ点)を考慮して判定される。
【0067】
[0076]ここで
図4を参照するに、例示的な一実施形態による、複合トウの赤外線画像が示されている。赤外線画像400は、
図1の赤外線画像120のうちの1つの物理的実行形態である。赤外線画像400は、
図2の赤外線カメラ210によって生成された赤外線画像の物理的実行形態でありうる。
【0068】
[0077]赤外線画像400では、複合トウ402は軽度にタックされているだけである。赤外線画像400における複合トウ402は、複合トウ402の従来型の視認検査を合格しうる。赤外線画像400では、複合トウ402が、一部の応用向けには十分な接触を有していないかもしれないことは、明白である。赤外線画像400における複合トウ402は、一部の応用及び一部の構造物向けには、十分な接触を有しうる。赤外線画像400では、明度が異なっている複数の区域は、オペレータに視認可能であり、画像解析によって検出可能である。
【0069】
[0078]一部の実施例では、赤外線画像400は、複合トウ402が十分な接触を有しているか否かをリアルタイムで判定するために、使用される。かかる実施例では、この判定が、熱と圧縮スピードの少なくとも一方を含む、レイダウンプロセスのパラメータを制御するために使用される。複合トウ402が十分な接触を有していない場合、複合物レイングヘッドの熱と圧縮スピードの少なくとも一方が変更されうる。一部の実施例では、複合トウの密着を向上させるために、熱が増強される。一部の実施例では、タックのレベルを改善するために、熱が増強される。
【0070】
[0079]一部の実施例では、赤外線画像400は、処理後検査として、複合トウ402が十分な接触を有しているか否かを判定するために、使用される。かかる実施例では、赤外線画像400が、複合トウ402の従来型の視認検査の代わりになりうる。かかる実施例では、検査ステップが存在しなくなることによって、総製造時間が短縮される。かかる実施例では、この判定が、行われる可能性のある手直しに関する決定を知らせるために使用される。複合トウ402が十分な接触を有していなければ、複合トウ402を包含する複合構造物の、赤外線画像400で視認可能な区域に、手直しが行われうる。
【0071】
[0080]一部の実施例では、複合トウ402が十分な接触を有しているか否かを判定するために、複合物アナライザ(例えば、
図1の複合物アナライザ118)が、幅404における明度をサンプリングする。一部の実施例では、幅404内の全ての明度が選択される。一部の実施例では、幅404に沿って、設定された数量の明度が取得される。
【0072】
[0081]図示しているように、明度サンプル406は、幅404に沿って存在している。明度サンプル406は、明度408、明度410、明度412、明度414、明度416、明度418、及び明度420を含む。一部の実施例では、幅404の明度サンプル406を使用して、明度サンプルの範囲の値が閾値を超えるか否かが判定される。例えば、明度サンプル406の最高明度と最低明度との間の差異が、範囲の値となる。この範囲の値があまりに大きい場合、接触が不十分なエリアが存在しうる。
【0073】
[0082]一部の実施例では、赤外線画像400における明度サンプル406の範囲の値が、望ましくないほどに大きくなる。一部の実施例では、赤外線画像400における明度サンプル406の範囲の値が、閾値以内になる。
【0074】
[0083]閾値は、任意の望ましい基準を使用して選択される。閾値は、既知の参照標準を使用して選択される。一部の実施例では、閾値は、結果として得られる部品の標準又は要件に基づいて選択される。
【0075】
[0084]一部の実施例では、幅404の明度サンプル406を使用して、明度サンプル406のうちのいずれかが設定範囲から外れているか否かが判定される。この設定範囲は、十分な接触のための、望ましい明度範囲でありうる。
【0076】
[0085]設定範囲は、既知の参照標準を使用して選択される。一部の実施例では、設定範囲は、結果として得られる部品の標準又は要件に基づいて選択される。
【0077】
[0086]一部の実施例では、設定範囲に応じて、赤外線画像400の明度408、明度410、明度412、明度414、明度416、明度418、及び明度420のうちの少なくとも1つが、十分な接触のための設定範囲を下回る。設定範囲に応じて、赤外線画像400の明度408、明度410、明度412、明度414、明度416、明度418、及び明度420各々は、十分な接触のための設定範囲内に収まる。
【0078】
[0087]一部の実施例では、複合トウ402が十分な接触を有しているか否かを判定するために、複合トウ402のうちの少なくとも1つについて、エッジが特定される。赤外線画像400においては、エッジは視認可能である。例えば、複合トウ424のエッジ422が視認可能である。赤外線画像400においては、複合トウ428のエッジ426も視認可能である。
【0079】
[0088]一部の実施例では、複合トウ402が十分な接触を有しているか否かを判定した後に、赤外線画像400を使用して、タックのレベルが判定される。一部の実施例では、赤外線画像400内の温度が判定される。一部の実施例では、タックのレベルを判定するために、判定された温度が、メトリック(タック基準カーブなど)と併せて使用される。一部の実施例では、タックのレベルは、赤外線画像400の明度、複合トウ402の判定された密着度、タックと赤外線画像の明度とを関連付けるメトリックのうちの、少なくとも1つを使用して判定される。
【0080】
[0089]一部の実施例では、タックのレベルは、赤外線画像400が更なる解析のためにフラグ付けされる(flagged)ことに応じて、赤外線画像400を使用して判定される。一部の実施例では、タックのレベルは、その他のデータ(例えば基板に加わる熱、又はその他の任意の望ましいデータ点)を考慮して判定される。
【0081】
[0090]ここで
図5を参照するに、例示的な一実施形態による、複合トウの赤外線画像が示されている。赤外線画像500は、
図1の赤外線画像120のうちの1つの物理的実行形態である。赤外線画像500は、
図2の赤外線カメラ210によって生成された赤外線画像の物理的実行形態でありうる。
【0082】
[0091]赤外線画像500では、複合トウ502は十分な密着を有していない。赤外線画像500における複合トウ502が、複合トウ502の従来型の視認検査で合格することはない。赤外線画像500における複合トウ502は、従来型の視認検査では、タックされていないトウとして検出される。赤外線画像500では、複合トウ502が十分な接触を有していないことが明白である。赤外線画像500の暗いエリアは、接触が不十分なエリアを表わしている。赤外線画像500の暗いエリアは、複合トウ502の温度が低いエリアである。
【0083】
[0092]一部の実施例では、赤外線画像500は、複合トウ502が十分な接触を有しているか否かをリアルタイムで判定するために使用される。かかる実施例では、この判定が、熱と圧縮スピードの少なくとも一方を含む、レイダウンプロセスのパラメータを制御するために使用される。複合トウ502が十分な接触を有していない場合、複合物レイングヘッドの熱と圧縮スピードの少なくとも一方が変更されうる。一部の実施例では、複合トウの密着を向上させるために、熱が増強される。一部の実施例では、タックのレベルを改善するために、熱が増強される。
【0084】
[0093]一部の実施例では、複合トウ502のレイダウンは、赤外線画像500に基づいて停止される。かかる実施例では、複合トウ502は除去されてよく、構造物のこのエリアに手直しが行われる。かかる実施例では、赤外線画像500を使用して、十分な接触が存在しているか否かを判定することで、製造時間が短縮されうる。例えば、赤外線画像500を使用して十分な接触が存在しているか否かを判定すること、及び、複合トウの層全体が完成する前に手直しを行うことで、除去されることになる複合トウをレイダウンする時間が存在しなくなりうる。
【0085】
[0094]一部の実施例では、赤外線画像500は、処理後検査として、複合トウ502が十分な接触を有しているか否かを判定するために、使用される。かかる実施例では、赤外線画像500が、複合トウ502の従来型の視認検査の代わりになりうる。かかる実施例では、検査ステップが存在しなくなることによって、総製造時間が短縮される。かかる実施例では、この判定が、行われる可能性のある手直しに関する決定を知らせるために使用される。複合トウ502が十分な接触を有していなければ、複合トウ502を包含する複合構造物の、赤外線画像500で視認可能な区域に、手直しが行われうる。
【0086】
[0095]一部の実施例では、複合トウ502が十分な接触を有しているか否かを判定するために、複合物アナライザ(例えば、
図1の複合物アナライザ118)が、幅504における明度をサンプリングする。一部の実施例では、幅504内の全ての明度が選択される。一部の実施例では、幅504に沿って、設定された数量の明度が取得される。
【0087】
[0096]図示しているように、明度サンプル506は、幅504に沿って存在している。明度サンプル506は、明度508、明度510、明度512、明度514、及び明度516を含む。一部の実施例では、幅504の明度サンプル506を使用して、明度サンプルの範囲の値が閾値を超えるか否かが判定される。例えば、明度サンプル506の最高明度と最低明度との間の差異が、範囲の値となる。この範囲の値があまりに大きければ、接触が不十分なエリアが存在しうる。赤外線画像500における明度サンプル506の範囲の値は、望ましくないほどに大きくなる。
【0088】
[0097]閾値は、任意の望ましい基準を使用して選択される。閾値は、既知の参照標準を使用して選択される。一部の実施例では、閾値は、結果として得られる部品の標準又は要件に基づいて選択される。
【0089】
[0098]一部の実施例では、幅504の明度サンプル506を使用して、明度サンプル506のうちのいずれかが設定範囲から外れているか否かが判定される。この設定範囲は、十分な接触のための、望ましい明度範囲でありうる。
【0090】
[0099]設定範囲は、既知の参照標準を使用して選択される。一部の実施例では、設定範囲は、結果として得られる部品の標準又は要件に基づいて選択される。図示しているように、赤外線画像500の明度508、明度510、明度512、明度514、明度516のうちの少なくとも1つは、十分な接触のための設定範囲を下回る。
【0091】
[00100]一部の実施例では、複合トウ502が十分な接触を有しているか否かを判定するために、複合トウ502のうちの少なくとも1つについて、エッジが特定される。赤外線画像500においては、エッジは視認可能である。例えば、複合トウ520のエッジ518は視認可能である。赤外線画像500においては、複合トウ524のエッジ522も視認可能である。
【0092】
[00101]ここで
図6を参照するに、例示的な一実施形態による、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定するための方法のフロー図が示されている。方法600は、複合トウ104が、
図1の十分な接触110を有しているか否かを判定しうる。方法600は、複合物レイングヘッド200によってレイダウンされた複合トウが、十分な接触を有しているか否かを判定しうる。方法600は、赤外線画像300、赤外線画像400、又は赤外線画像500を捕捉し、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定するのにそれら使用するために、使用されうる。
【0093】
[00102]方法600は、赤外線カメラを、複合物レイングヘッドの圧縮ローラの後部に向ける(工程602)。方法600は、圧縮ローラの前部に装着されたヒータによって、基板に熱を加える(工程604)。方法600は、圧縮ローラによって基板上にレイダウンされた複合トウの赤外線画像を捕捉する(工程606)。一部の実施例では、基板上にレイダウンされた複合トウの赤外線画像を捕捉することは、圧縮ローラの後部に装着された赤外線カメラによって実施される。方法600は、赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定する(工程608)。その後、方法600は終了する。
【0094】
[00103]一部の実施例では、赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定することは、リアルタイムで実施される(工程610)。判定がリアルタイムで実施される場合、この判定は、レイダウンプロセスのパラメータを改変して密着を改善するために使用されうる。
【0095】
[00104]一部の実施例では、赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定することは、明度サンプルを形成するために、複合トウの幅全体にわたり明度をサンプリングすること(工程612)を含む。一部の実施例では、方法600は、明度サンプルの範囲の値が閾値を超えるか否かを判定する(工程614)。閾値は、任意の望ましい基準に基づいて選択される。一部の実施例では、閾値は、既知の参照標準を使用して選択される。一部の実施例では、閾値は、複合トウを含む、結果として得られる部品の、標準又は要件に基づいて選択される。
【0096】
[00105]一部の実施例では、方法600は、明度サンプルのうちのいずれかが設定範囲から外れているか否かを判定する(工程616)。設定範囲は、任意の望ましい基準に基づいて選択される。一部の実施例では、設定範囲は、既知の参照標準を使用して選択される。一部の実施例では、設定範囲は、複合トウを含む、結果として得られる部品の、標準又は要件に基づいて選択される。
【0097】
[00106]一部の実施例では、赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定することは、複合トウのうちの少なくとも1つについて、エッジを特定すること(工程618)を含む。一部の実施例では、エッジが視認可能である場合、接触は不十分である。
【0098】
[00107]一部の実施例では、方法600は、赤外線画像、複合トウの判定された密着度、タックと赤外線画像の明度とを関連付けるメトリックのうちの少なくとも1つを使用して、複合トウと基板との間のタックのレベルを判定する(工程620)。一部の実施例では、方法600は、判定されたタックのレベルに基づいて、基板に加わる熱、圧縮スピード、圧縮圧力のうちの少なくとも1つを改変する(工程622)。
【0099】
[00108]一部の実施例では、方法600は、複合トウが十分な接触を有していないと判定された場合に、手直しのエリアを特定する(工程624)。一部の実施例では、方法600は、複合トウが十分な接触を有していないと判定された場合に、基板に加わる熱、圧縮スピード、圧縮圧力のうちの少なくとも1つを改変する(工程626)。
【0100】
[00109]一部の実施例では、方法600は、レイアップ時に複合トウの密着を制御することによって、結果として得られる複合部品の望ましい特性を増強する。一部の実施例では、方法600は、従来型の検査ステップを置換することによって、製造時間を短縮する。一部の実施例では、方法600は、複合トウの層全体を完成させる前に複合トウのレイアップを停止することによって、製造時間を短縮する。
【0101】
[00110]ここで
図7を参照するに、例示的な一実施形態による、タックのレベルを判定するための方法のフロー図が示されている。方法700は、複合トウ104が、
図1の十分な接触110を有しているか否かを判定しうる。方法700は、複合物レイングヘッド200によってレイダウンされた複合トウが、十分な接触を有しているか否かを判定しうる。方法700は、赤外線画像300、赤外線画像400、又は赤外線画像500を捕捉し、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定するのにそれらを使用するために、使用されうる。
【0102】
[00111]方法700は、圧縮ローラと、圧縮ローラの前部に装着されたヒータとを有する、複合物レイングヘッドを使用して、複合トウをレイダウンする(工程702)。方法700は、複合トウをレイダウンした後に、圧縮ローラの後部に装着された赤外線カメラを使用して、複合トウの赤外線画像を捕捉する(工程704)。方法700は、赤外線画像を使用してタックのレベルを判定する(工程706)。その後、方法700は終了する。
【0103】
[00112]一部の実施例では、複合トウをレイダウンすることは、複合トウを試験基板上にレイダウンすることを含む(工程708)。複合トウが試験基板上にレイダウンされる場合、このレイダウンのパラメータ(例えば、熱、圧縮スピード、及び圧縮圧力)が、同じ材料を用いて製造用レイアップをレイダウンするために使用されうる。
【0104】
[00113]一部の実施例では、方法700は、タックのレベルに基づいて選択されたパラメータであって、基板に加わる熱の量、圧縮スピード、圧縮圧力のうちの、少なくとも1つを含むパラメータを使用して、複合トウを基板上にレイダウンする(工程710)。一部の実施例では、方法700は更に、複合トウを基板上にレイダウンした後に、圧縮ローラの後部に装着された赤外線カメラを使用して、基板上の複合トウの赤外線画像を捕捉する(工程712)。一部の実施例では、方法700は更に、基板上の複合トウの赤外線画像を使用して、複合トウが十分な接触を有しているか否かを判定する(工程714)。
【0105】
[00114]一部の実施例では、方法700は、赤外線画像を使用して判定されたタックのレベルに基づいて、基板に加わる熱、圧縮スピード、圧縮圧力のうちの少なくとも1つを改変する(工程716)。一部の実施例では、方法700はタックのレベルを判定し、これは、赤外線画像、複合トウの判定された密着度、タックと赤外線画像の明度とを関連付けるメトリックのうちの少なくとも1つを使用して、タックのレベルを判定することを含む(工程718)。
【0106】
[00115]一部の実施例では、方法700は、レイアップ時に複合トウの密着を制御することによって、結果として得られる複合部品の望ましい特性を増強する。一部の実施例では、方法700は、従来型の検査ステップを置換することによって、製造時間を短縮する。一部の実施例では、方法700は、複合トウの層全体を完成させる前に複合トウのレイアップを停止することによって、製造時間を短縮する。
【0107】
[00116]図示している種々の例におけるフロー図及びブロック図は、実施例における、装置及び方法のいくつかの実行可能な実行形態のアーキテクチャ、機能、及び、動作を示している。そのため、フロー図又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、及び/又は、動作若しくはステップの一部分を、表わしうる。
【0108】
[00117]一実施例のいくつかの代替的な実行形態においては、ブロック内に記載された一又は複数の機能が、図中に記載された順序を逸脱して発生することがある。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックが、関連機能に応じて、実質的に同時に実行されること、また時には、逆順に実施されることがありうる。また、フロー図又はブロック図に示されているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。
【0109】
[00118]一部の実施例では、方法600又は方法700の全てのブロックが実施されるわけではない。例えば、
図6の工程610から工程626まではオプションでありうる。別の例としては、
図7の工程708から工程718まではオプションでありうる。
【0110】
[00119]ここで
図8を参照するに、例示的な一実施形態による、ブロック図の形態のデータ処理システムが示されている。データ処理システム800は、
図1の複合物アナライザ118を含むコンピュータシステム156を実装するために使用されうる。この実施例では、データ処理システム800は、プロセッサユニット804と、メモリ806と、固定記憶装置808と、通信ユニット810と、入出力(I/O)ユニット812と、ディスプレイ814との間の通信を行う、通信フレームワーク802を含む。この例では、通信フレームワーク802はバスシステムの形態をとりうる。
【0111】
[00120]プロセッサユニット804は、メモリ806にローディングされうるソフトウェアのための命令を実行するよう機能する。プロセッサユニット804は、特定の実行形態に応じて、任意の数のプロセッサ、1つのマルチプロセッサコア、又は他の何らかの種類のプロセッサでありうる。
【0112】
[00121]メモリ806及び固定記憶装置808は、記憶デバイス816の例である。記憶デバイスは、限定するわけではないが例としては、データ、機能的な形態のプログラムコード、その他の好適な情報のうちの少なくとも1つといった情報を、一時的に、永続的に、或いは一時的と永続的の両方で、記憶することが可能な、任意のハードウェアである。記憶デバイス816は、上記の実施例では、コンピュータ可読記憶デバイスとも称されうる。上記の例では、メモリ806は、例えばランダムアクセスメモリ、又は、他の任意の好適な揮発性若しくは不揮発性の記憶デバイスでありうる。固定記憶装置808は、特定の実行形態に応じて、様々な形態をとりうる。
【0113】
[00122]例えば、固定記憶装置808は、一又は複数の構成要素又はデバイスを包含しうる。例えば、固定記憶装置808は、ハードドライブ、固体状態ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え可能型光学ディスク、書換え可能型磁気テープ、又はこれらの何らかの組み合わせでありうる。固定記憶装置808によって使用される媒体は更に、取り外し可能でありうる。例えば、固定記憶装置808として、取り外し可能なハードドライブが使用されうる。
【0114】
[00123]上記の実施例では、通信ユニット810により、データ処理用の他のシステム又はデバイスとの通信が実現する。上記の実施例では、通信ユニット810はネットワークインタフェースカードである。
【0115】
[00124]入出力ユニット812は、データ処理システム800に接続されうる他のデバイスとの間の、データの入出力を可能にする。例えば、入出力ユニット812は、キーボード、マウス、又は他の何らかの好適な入力デバイスのうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力のための接続を提供しうる。更に、入出力ユニット812は、プリンタに出力を送りうる。ディスプレイ814は、ユーザに対して情報を表示するための機構を提供する。
【0116】
[00125]オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラムのうちの少なくとも1つのための命令が、通信フレームワーク802を通じてプロセッサユニット804と通信可能な、記憶デバイス816内に配置されうる。種々の例のプロセスは、メモリ(メモリ806など)内に配置されうるコンピュータ実装命令を使用して、プロセッサユニット804によって実施されうる。
【0117】
[00126]かかる命令は、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと称され、プロセッサユニット804内のプロセッサによって読み取られ、実行されうる、種々の例におけるプログラムコードは、種々の物理的記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体(メモリ806又は固定記憶装置808など)で具現化されうる。
【0118】
[00127]プログラムコード818は、選択的に取り外し可能なコンピュータ可読媒体820に機能的な形態で配置され、かつ、プロセッサユニット804による実行のために、データ処理システム800にローディングされうるか、又は送信されうる。プログラムコード818及びコンピュータ可読媒体820は、上記の実施例では、コンピュータプログラム製品822を形成する。この実施例では、コンピュータ可読媒体820はコンピュータ可読記憶媒体824である。
【0119】
[00128]上記の実施例では、コンピュータ可読記憶媒体824は、プログラムコード818を伝搬させる又は送信する媒体というよりはむしろ、プログラムコード818を記憶するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。
【0120】
[00129]あるいは、プログラムコード818は、コンピュータ可読信号媒体を使用して、データ処理システム800に送信されうる。コンピュータ可動信号媒体は、例えば、プログラムコード818を包含する被伝播データ信号でありうる。例えば、コンピュータ可読信号媒体は、電磁信号、光信号、他の任意の好適な種類の信号のうちの少なくとも1つでありうる。かかる信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、電線、又は他の任意の好適な種類の通信リンクといった通信リンクのうちの少なくとも1つを介して、送信されうる。
【0121】
[00130]データ処理システム800に関して例示されている種々の構成要素は、種々の例が実装されうる様態に構造的な限定をもたらすことを意図するものではない。種々の実施例は、データ処理システム800に関して例示されている構成要素に追加される、又はそれらに代わる構成要素を含む、データ処理システムで実装されうる。
図8に示しているその他の構成要素は、図示されている実施例とは異なる可能性がある。プログラムコード818を実行することが可能な任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して、種々の例が実装されうる。
【0122】
[00131]本開示は、例示的で非限定的な、以下に列挙している例を更に含むが、これらの例は特許請求されることも、されないこともある。
【0123】
[00132]1.
赤外線カメラ116を、複合物レイングヘッド102の圧縮ローラ112の後部に向けることと、
圧縮ローラ112の前部に装着されたヒータ114によって、基板106に熱122を加えることと、
圧縮ローラ112によって基板106上に載置された複合トウ104の赤外線画像120を、捕捉することと、
赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することとを含む、方法600。
【0124】
[00133]2.赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することが、リアルタイムで実施される、例1に記載の方法。
【0125】
[00134]3.
複合トウ104が十分な接触110を有していないと判定された場合に、基板106に加わる熱122、圧縮スピード124、圧縮圧力125のうちの少なくとも1つを改変することを更に含む、例2に記載の方法。
【0126】
[00135]4.赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することが、
明度サンプル144を形成するために、複合トウ104の幅142全体にわたって明度140をサンプリングすることと、
明度サンプル144の範囲の値が閾値146を超えるか否かを判定することとを含む、例1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
[00136]5.赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することが、
明度サンプル144を形成するために、複合トウ104の幅142全体にわたって明度140をサンプリングすることと、
明度サンプル144のうちのいずれかが設定範囲148から外れているか否かを判定することを含む、例1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
[00137]6.赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することが、
複合トウ104のうちの少なくとも1つについて、エッジ150を特定することを含む、例1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
[00138]7.
赤外線画像120、複合トウ104の判定された密着度131、タック130と赤外線画像120の明度140とを関連付けるメトリック151のうちの少なくとも1つを使用して、複合トウ104と基板106との間のタック130のレベルを判定することを更に含む、例1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
[00139]8.
判定されたタック130のレベルに基づいて、基板106に加わる熱122、圧縮スピード124、圧縮圧力125のうちの少なくとも1つを改変することを更に含む、例7に記載の方法。
【0131】
[00140]9.基板106上にレイダウンされた複合トウ104の赤外線画像120を捕捉することが、圧縮ローラ112の後部に装着された赤外線カメラ116によって実施される、例1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
[00141]10.
複合トウ104が十分な接触110を有していないと判定された場合、手直しのエリアを特定することを更に含む、例1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
[00142]11.
圧縮ローラ112と、圧縮ローラ112の前部に装着されたヒータ114とを有する、複合物レイングヘッド102を使用して、複合トウ104をレイダウンすることと、
複合トウ104をレイダウンした後に、圧縮ローラ112の後部に装着された赤外線カメラ116を使用して、複合トウ104の赤外線画像120を捕捉することと、
赤外線画像120を使用してタック130のレベルを判定することとを含む、方法700。
【0134】
[00143]12.複合トウ104をレイダウンすることが、複合トウ104を試験基板154上にレイダウンすることを含み、
タック130のレベルに基づいて選択されたパラメータであって、基板106に加わる熱122の量、圧縮スピード124、圧縮圧力125のうちの少なくとも1つを含むパラメータを使用して、複合トウ104を基板106上にレイダウンすることを更に含む、例11に記載の方法。
【0135】
[00144]13.
複合トウ104を基板106上にレイダウンした後に、圧縮ローラ112の後部に装着された赤外線カメラ116を使用して、基板106上の複合トウ104の赤外線画像120を捕捉することと、
基板106上の複合トウ104の赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定することとを更に含む、例12に記載の方法。
【0136】
[00145]14.
赤外線画像120を使用して判定されたタック130のレベルに基づいて、基板106に加わる熱122、圧縮スピード124、圧縮圧力125のうちの少なくとも1つを改変することを更に含む、例12又は13に記載の方法。
【0137】
[00146]15.タック130のレベルを判定することが、赤外線画像120、複合トウ104の判定された密着度131、又はタック130と赤外線画像120の明度140とを関連付けるメトリック151を使用して、タック130のレベルを判定することを含む、例11から14のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
[00147]16.
圧縮ローラ112を有する複合物レイングヘッド102と、
圧縮ローラ112の前部に装着されたヒータ114と、
圧縮ローラ112の後部に装着された赤外線カメラ116であって、圧縮ローラ112によって基板106上にレイダウンされた複合トウ104の赤外線画像120を捕捉するよう構成されている、赤外線カメラ116と、
赤外線画像120を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かを判定するよう構成された、複合物アナライザ118とを備える、システム108。
【0139】
[00148]17.
複合トウ104が十分な接触110を有していないと判定された場合、基板106に加わる熱122の量、複合物レイングヘッド102の圧縮スピード124、複合物レイングヘッド102の圧縮圧力125のうちの、少なくとも1つを改変するよう構成された、コントローラ136を更に備える、例16に記載のシステム。
【0140】
[00149]18.複合物アナライザ118は、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かをリアルタイムで判定するよう構成されている、例17に記載のシステム。
【0141】
[00150]19.複合物アナライザ118が、赤外線画像120、複合トウ104の判定された密着度131、タック130と赤外線画像120の明度140とを関連付けるメトリック151のうちの少なくとも1つを使用して、複合トウ104と基板106との間のタック130のレベルを判定するよう、更に構成されている、例16から18のいずれか1つに記載のシステム。
【0142】
[00151]本開示の実施例は、
図9に示している航空機の製造及び保守方法900と
図10に示している航空機1000に照らして説明されうる。まず
図9を参照するに、一実施例による、航空機の製造及び保守方法の図が示されている。製造前段階では、航空機の製造及び保守方法900は、
図10の航空機1000の仕様及び設計902、及び材料の調達904を含みうる。
【0143】
[00152]製造段階では、航空機1000の構成要素及びサブアセンブリの製造906と、システムインテグレーション908とが行われる。その後、航空機1000は、認可及び納品910を経て、運航912に供されうる。顧客による運航912の期間中、航空機1000には、整備及び保守914(改変、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含みうる)が予定される。
【0144】
[00153]航空機の製造及び保守方法900の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実施されうるか、又は実行されうる。かかる例では、オペレータは顧客でありうる。この明細書においては、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるが、それらに限定されるわけではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるが、それらに限定されるわけではなく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関等でありうる。
【0145】
[00154]ここで
図10を参照するに、例示的な実施形態が実装されうる航空機の図が示されている。この例では、航空機1000は、
図9の航空機の製造及び保守方法900によって製造されており、複数のシステム1004及び内装1006を有する機体1002を含みうる。システム1004の例は、推進システム1008、電気システム1010、液圧システム1012、及び環境システム1014のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステムも含まれうる。
【0146】
[00155]例示的な実施形態に関する実施例が、航空機に関連して説明されているが、例示的な実施形態は、その他の種類のプラットフォームにも適用されうる。このプラットフォームは、例えば、可動プラットフォーム、静止プラットフォーム、陸系構造物、水系構造物、及び宇宙系構造物でありうる。より具体的には、プラットフォームは、水上艦、戦車、人員運搬体、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造施設、建造物、及び、その他の好適なプラットフォームでありうる。
【0147】
[00156]本書で具体的に表現されている装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法900の少なくとも1つの段階において用いられうる。一又は複数の実施例は、
図9の構成要素及びサブアセンブリの製造906、システムインテグレーション908、又は整備及び保守914において使用されうる。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造906において複合構造物を形成する際に、
図1のシステム108を使用して、複合トウ104が十分な接触110を有しているか否かが判定されうる。別の例としては、複合トウ104をレイアップすることで、
図9の整備及び保守914における交換部品となる複合構造物が形成され、この複合構造物は、十分な接触110について、
図1のシステム108を使用して評価されうる。
【0148】
[00157]本書で具体的に表現されている装置及び方法は、航空機1000の少なくとも1つの構成要素の製造時に用いられうる。例えば、複合物レイングヘッド102を含むシステム108を使用して形成される複合構造物は、機体1002と内装1006の一方の構成要素となりうる。
【0149】
[00158]実施例は、配置不整合(間隙、垂下物、プライ落下、プライ配置、トウ消失、トウブリッジ、一定性のレベル、及び、タックと相関する密着など)についての、リアルタイムの赤外線(IR)測定を提供する。赤外線(IR)カメラは、レイアップ中にレイアップ不整合があればそれを捕捉する能力も有しており、手作業検査が最小化される。かかる不整合は、タックされていないトウ、ブリッジ、剥離、包有物、シワ、折曲、及びくぼみを含む。実施例は、複合物のタックと基板上の複合材料の赤外線画像内の判定された温度とを結びつけることにより、自動繊維配置(AFP)における材料処理条件の取得も支援する。実施例は、レイアッププロセスのパラメータ(加熱、圧縮圧力、及び圧縮スピードなど)を制御することによって、複合材料の統合を制御する。望ましい温度で部品を流すことで、自動繊維配置(AFP)レイアップにおける、タックされていないトウ、ブリッジ、シワ、及びくぼみなどの不整合が最小化される。
【0150】
[00159]実施例は、取得した赤外線画像、及びこの赤外線画像を使用した判定に基づいて、フィードバック制御を提供する。一部の実施例では、フィードバック制御は、変更、又は即時変更のための命令を提供しうる。例えば、実施例は、複合トウ付着プロセスを制御するための、熱、圧縮スピード、又は圧縮圧力の変更をもたらしうる。不整合が検出され、ただちに処理されることが必要な場合には、フィードバック制御により「通過後停止(stop after pass)」が実現する。
【0151】
[00160]一部の実施例では、フィードバック制御は、後続ステップ(例えば、更なる複合物の付着時に、剥離した又はタックされていない複合物を有するエリアに更なる圧力を印加するステップ)に関する変更をもたらしうる。実施例により、長期のプロセスモニタリング/傾向解析が実現する。実施例により、プロセス理解を向上させるための、赤外線(IR)画像化と光学画像化との相関、及び、レーザ線走査などの非接触測定が実現する。
【0152】
[00161]検出/測定、追跡、飛行中意思決定、又は不整合の傾向に、自動検出認識(ADR)が適用されうる。実施例は、IRデータを使用する、自動繊維配置(AFP)/自動テープ配置(ATP)システムによる定量化をもたらす。
【0153】
[00162]実施例は、不整合の種類、形状、場所についてのリアルタイム情報だけでなく、解析、フィードバック制御、及びプロセス改善に関するリッチデータも提供することにより、自動繊維配置プロセス又は自動テープ配置プロセスのコスト及びフロー時間を減少させうる。実施例により、各層における不整合に関する手作業検査が減少し、層同士の不整合の手直しに関連するダウンタイムも減少しうる。
【0154】
[00163]種々の例示的な実施形態についての説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることも、実施形態を開示されている形態に限定することも、意図するものではない。当業者には、多くの改変例及び変形例が自明となろう。更に、種々の例示的な実施形態は、それ以外の例示的な実施形態と比較して、異なる特徴を提供しうる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理と実際の応用を最もよく説明するため、及び、他の当業者が、様々な改変例を伴う様々な実施形態の開示内容は想定される特定の用途に適すると理解することを可能にするために、選ばれ、かつ説明されている。