(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】加工制御装置及び工作機械
(51)【国際特許分類】
G05B 19/416 20060101AFI20230613BHJP
G05B 19/409 20060101ALI20230613BHJP
B23Q 5/22 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G05B19/416 E
G05B19/409 C
B23Q5/22 530J
(21)【出願番号】P 2019112704
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】財間 紀彦
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-296214(JP,A)
【文献】特開平11-129141(JP,A)
【文献】特開2011-039708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/416
G05B 19/4093
B23Q 15/00
B23Q 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムを解析して、工具の送り速度を変更可能な複数の加工工程を抽出する加工工程抽出部と、
前記加工工程抽出部が抽出した前記加工工程に優先順位を設定する優先順位設定部と、
前記加工プログラムに基づいて、前記加工工程ごとに加工時間を算出する加工時間算出部と、
前記加工時間算出部が算出した加工時間の合計値を目標値に近付けるよう、前記優先順位設定部が設定した優先順位が高いものから順に前記工具の送り速度の設定値を変更する設定値変更部と、
前記工具ごとに設定可能な送り速度の最小値及び最大値を記憶する工具情報記憶部と、
を備え
、
前記設定値変更部は、前記加工時間算出部が算出した前記加工工程ごとの加工時間の合計値をユーザに対して提示するとともに、前記工具ごとに設定可能な送り速度の最小値及び最大値を表示し、前記ユーザが表示された前記最小値及び最大値の一方を選択することにより、前記ユーザの入力に従って前記工具の送り速度を変更するよう構成される加工制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の加工制御装置と、
前記加工制御装置により制御される加工装置と、
を備える工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工制御装置及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械は、数値制御装置等の加工制御装置によって制御され、加工プログラムに従って、1又は複数のワークを加工する複数の加工工程を順番に、自動的に実行する。このような工作機械に多数の工程を含む加工プログラムを実行させる場合、加工が終了する時刻を容易に予測することができない。
【0003】
例えば、夜間に工作機械に無人で加工を実行させる場合、朝、オペレータが出勤する時刻には新たな加工を行い得る状態となっていることが望ましい。朝までに余裕をもって終了できるような加工を選択して実行させると、朝に新たな加工を開始するまでに工作機械の各部の温度が低下してしまう。加工を開始してから工作機械の温度が上昇すると熱変位によって加工誤差が生じるため、工作機械の温度が低下している場合、加工を行う前に工作機械の温度を上昇させる暖機運転を行うことが望まれる。夜間の加工が終了する時刻をオペレータが出勤する時刻の直前に設定することができれば、暖機運転を省略して稼働率を向上することができる。このため、加工時間を容易に調整することができる工作機械が望まれる。
【0004】
加工時間を調整する技術として、特許文献1には、「工具軌跡を作成し、決定された加工条件と作成された工具軌跡とから加工時間を算出する加工時間算出部と、算出された加工時間が目標値を満たすように、各決定部および加工時間算出部により決定された各加工情報の少なくとも一つを自動修正して該当決定部または加工時間算出部にフィードバックするフィードバック処理部とを備えたことを特徴とする加工情報自動作成評価装置」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される装置は、加工時間を算出し、算出した加工時間が目標加工時間を満たすよう、加工速度を推奨加工速度から最高加工速度までの範囲内で変更すると共に、工具の送り速度を推奨送り速度から最高送り速度までの範囲内で変更する。特許文献1には、加工速度及び工具の送り速度を大きくすることによって工具寿命が短くなることが記載されている。しかしながら、加工速度及び工具の送り速度を大きくすることで、加工精度も低下するおそれがある。複数の加工工程が存在する場合、加工速度及び工具の送り速度による加工精度の低下が問題となりやすい加工工程と、加工精度の低下が問題となりにくい加工工程とがある。特許文献1に記載されるように、そのような事情を考慮せずに加工条件を変更すると、得られる製品の精度が不十分となるおそれがある。そこで、加工精度の低下を抑制しながら加工時間を調節することができる加工制御装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る加工制御装置は、加工プログラムを解析して、工具の送り速度を変更可能な複数の加工工程を抽出する加工工程抽出部と、前記加工工程抽出部が抽出した前記加工工程に優先順位を設定する優先順位設定部と、前記加工プログラムに基づいて、前記加工工程ごとに加工時間を算出する加工時間算出部と、前記加工時間算出部が算出した加工時間の合計値を目標値に近付けるよう、前記優先順位設定部が設定した優先順位が高いものから順に前記工具の送り速度の設定値を変更する設定値変更部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る加工装置によれば、加工精度の低下を抑制しながら加工時間を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る工作機械の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の加工制御装置の設定値変更部が表示する画面を例示する図である。
【
図3】
図1の加工制御装置の設定値変更部による加工時間調節の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のフローチャートの加工時間算出工程の詳細な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る工作機械100の構成を示す模式図である。工作機械100は、加工装置1と、加工装置1を制御する加工制御装置2と、を備える。加工制御装置2は、本開示に係る加工制御装置の一実施形態である。
【0011】
加工装置1は、例えばテーブルB上に保持されるワークWを、加工ヘッドHに保持される工具Tによって切削加工する装置とすることができる。加工装置は、テーブルBと加工ヘッドHとを相対移動させる複数の駆動軸と、加工ヘッドHに保持される工具Tを交換する工具交換装置Cとを備える構成とすることができる。加工装置1における複数の駆動軸の具体的な軸構成としては、特に限定されないが、例として、加工ヘッドH(工具T)を回転する主軸と、加工ヘッドHをテーブルBに対して相対移動させる3つの直交軸と、主軸を傾斜させる複数の回転軸とを有する構成とすることができる。
【0012】
加工制御装置2は、加工プログラムに従って、加工装置1の各駆動軸の動作を制御する。この加工制御装置2は、典型的には、加工装置1に付設される数値制御装置によって構成することができる。また、加工制御装置2は、その一部又は全部が加工制御装置2の数値制御装置から分離して設けられ、1又は複数の数値制御装置を管理する管理サーバ等によって構成されてもよい。さらに、加工制御装置2は、その一部又は全部が複数の工作機械に共用されてもよい。
【0013】
加工制御装置2は、制御部3と、表示部4と、入力部5と、を備える構成とすることができる。制御部3は、CPU、メモリ等を有するコンピュータ装置に適切な制御プログラムを導入することによって実現することができる。表示部4は、例えば液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等によって構成することができる。入力部5は、例えばキーボード、マウス、タッチセンサ等によって構成することができる。また、表示部4及び入力部5は、例えばタッチパネルのように一体に構成されてもよい。
【0014】
制御部3は、加工プログラムを解析して、工具Tの送り速度を変更可能な複数の加工工程を抽出する加工工程抽出部31と、工具Tごとに設定可能な送り速度の最小値及び最大値を記憶する工具情報記憶部32と、加工プログラムに基づいて、加工工程ごとに加工時間を算出する加工時間算出部33と、加工工程抽出部31が抽出した加工工程に優先順位を設定する優先順位設定部34と、加工時間算出部33が算出した加工時間の合計値を目標値に近付けるよう、優先順位設定部34が設定した優先順位が高いものから順に工具Tの送り速度の設定値を変更する設定値変更部35と、設定値変更部35により変更された送り速度で工具Tを移動させるよう加工装置1の駆動軸に指令を与える動作指令部36と、を備える。加工工程抽出部31、工具情報記憶部32、加工時間算出部33、優先順位設定部34、設定値変更部35及び動作指令部36は、機能的に区別されるものであって、機械的構造及びプログラム構造において明確に区分できる必要はない。
【0015】
加工工程抽出部31は、加工プログラムを解析し、独立して工具の送り速度を変更することができる加工工程を抽出する。具体的には、加工工程抽出部31は、加工プログラム中の工具交換命令をそれぞれ始点とするよう加工プログラムを複数の加工工程に分割してもよい。加工工程抽出部31は、工具交換命令に加えて、Mコード等の補助命令、ブレイクポイント等の命令文も加工工程の始点として加工プログラムを分割して加工工程を抽出してもよい。また、加工プログラムがサブプログラムを含む場合、サブプログラムは1又は複数の加工工程からなるものとして取り扱われてもよい。
【0016】
工具情報記憶部32は、工具Tごとに設定可能な送り速度の最小値及び最大値を記憶する。工具情報記憶部32が記憶する工具Tの送り速度の最小値及び最大値は、工具Tのカタログ値とすることができる。
【0017】
また、工具情報記憶部32は、工具Tごとに設定される送り速度変更の優先順位を記憶する。工具Tの優先順位は、全ての工具Tに対して異なる順位を割り当ててもよいが、複数の工具Tを優先順位が異なる2以上のグループに分別することが現実的である。具体例として、工具情報記憶部32は、複数の工具Tを、荒加工に用いられる優先順位が高いものと、中仕上げ加工に用いられる優先順位が次に高いものと、仕上げ加工に用いられる優先順位が低いものと、の3つに分別するよう構成されてもよい。このように、荒加工の優先順位を高くすることによって、送り速度の変更が最終的に得られる製品の加工精度に与える影響を抑制することができる。このため、工具情報記憶部32は、それぞれの工具Tについて、優先順位を示す数値や、優先順位が異なる複数のグループのいずれかに割り当てるパラメータを記憶するよう構成され得る。
【0018】
加工時間算出部33は、それぞれの加工工程の加工時間を加工プログラムに基づいて個別に算出する。具体的には、加工時間算出部33は、加工プログラムを分割した加工工程内の複数のブロックについて、工具Tの移動距離を算出し、移動距離を工具Tの送り速度で除することによって、それぞれの加工時間を算出する。
【0019】
また、加工時間算出部33は、それぞれの加工工程において工具Tの送り速度を工具情報記憶部32に記憶される最小値とした場合及び最大値とした場合の加工時間を同様の手順で算出する。
【0020】
優先順位設定部34は、加工工程抽出部31が抽出した加工工程に、それぞれ優先順位を設定する。この優先順位は、加工工程で使用される工具Tに応じて設定することができる。つまり、工具情報記憶部32に記憶される工具Tの優先順位に従って、加工工程に優先順位を設定するよう構成され得る。
【0021】
設定値変更部35は、優先順位が高い加工工程から順に工具Tの送り速度を変更することにより、加工時間の合計値を目標値に近付ける。目標値は、加工プログラムに記述されてもよく、入力部5を用いてユーザが入力してもよい。また、目標値は、加工終了時刻として与えられてもよい。この場合、加工時間と、加工終了時刻とは、制御部3の内部時計を参照して相互に変換することができる。
【0022】
設定値変更部35は、工具Tの送り速度を工具情報記憶部32に記憶される最小値及び最大値の範囲内で任意の値を選択してもよいが、工具Tの送り速度を最小値又は最大値に変更することで加工時間の合計値を目標値に近付けてもよい。このように設定値変更部35を最小値又は最大値を選択するように構成することで、制御部3の演算負荷を軽減することができる。
【0023】
設定値変更部35は、自動的に、工具Tの送り速度を変更して加工時間の合計値を調節するよう構成されてもよいが、
図2に例示するように、加工時間算出部33が算出した加工工程ごとの加工時間及び加工時間の合計値を、表示部4を用いてユーザに対して提示するとともに、入力部5を用いたユーザの入力に従って工具Tの送り速度を変更する構成とされてもよい。ユーザが工具Tの送り速度を指定することで、ユーザの経験を反映して加工精度に対する影響がより小さい適切な送り速度の設定を行うことが可能となる。
【0024】
ユーザによる送り速度の変更は、表示された最小値及び最大値の一方を選択することにより行われるようにしてもよい。これにより、ユーザが容易に送り速度を変更して加工時間を調節することができる。
図2の例では、送り速度の設定に関する項目が、加工工程ごとに優先順位に従う順番でスクロール可能に表示されている。この表示例では、それぞれの加工工程について、加工工程の番号、当該加工工程で使用される工具の番号、工具情報記憶部32に記憶された送り速度の最大値、及び工具情報記憶部32に記憶された送り速度の最小値が表示されている。この表示において、送り速度の最大値及び最小値は、それぞれユーザが選択可能なボタンとして表示されている。
【0025】
設定値変更部35は、加工工程ごとに送り速度の最小値及び最大値に対応する加工時間の最大値及び最小値を表示してもよい。また、設定値変更部35は、ユーザが入力する加工時間の最大値と最小値との間の任意の数値から対応する送り速度を算出するようにしてもよい。このように、送り速度を加工時間に換算して取り扱うことによって、ユーザがより容易に加工時間を調節することができる。
【0026】
設定値変更部35は、送り速度の変更に加えて、加工プログラムにより指定された工具と互換性を有する工具の情報を提示して、加工プログラムに指定された工具を他の工具に変更することができるよう構成されてもよい。これにより、加工時間の調整幅を広げることができる。
【0027】
設定値変更部35は、ユーザが工具Tの送り速度を変更した場合に、即座に変更を反映した加工時間の合計値を、表示部4を用いて表示することによりユーザが結果を確認できるようにすることが好ましい。なお、ユーザが工具Tの送り速度を変更する場合、設定値変更部35は、ユーザに対して、優先順位が高い加工工程から順番に速度の変更を促すが、ユーザが提示された優先順位が高い加工工程の送り速度を変更せずに、次の優先順位の加工工程の送り速度を変更することを許容してもよい。この場合も、設定値変更部35は、優先順位が高いものから順に工具Tの送り速度を変更する処理を行ったものと解釈される。つまり、送り速度を変更するとは、実際に数値が変更されることを要件とせず、変更に係る処理を行うこととを意味する。
【0028】
動作指令部36は、加工プログラムに設定値変更部35が変更した工具Tの送り速度を反映した条件で加工装置1の各駆動軸を動作させる駆動指令を生成する。動作指令部36の構成は、従来の数値制御装置において駆動指令を生成するための構成と同様とすることができる。
【0029】
図3に、加工制御装置2における加工時間調節の手順を示す。加工制御装置2による加工時間の調節は、加工プログラムを解析して、工具Tの送り速度を変更可能な複数の加工工程を抽出する工程(ステップS11:加工工程抽出工程)と、工具情報記憶部32から工具Tの送り速度の最小値及び最大値を含む工具情報を取得する工程(ステップS12:工具情報取得工程)と、加工プログラムに基づいて、加工工程ごとに加工時間を算出する工程(ステップS13:加工時間算出工程)と、加工工程に優先順位を設定する工程(ステップS14:優先順位設定工程)と、優先順位が高い加工工程から順に工具Tの送り速度を変更する工程(ステップS15:設定値変更工程)と、を備える。
【0030】
(加工工程抽出工程)
ステップS11の加工工程抽出工程では、加工工程抽出部31により、加工プログラムから複数の加工工程を抽出する。
【0031】
(工具情報取得工程)
ステップS12の工具情報取得工程では、加工時間算出部33が、工具情報記憶部32から、加工工程で使用される工具Tの送り速度の最小値及び最大値を取得する。
【0032】
(加工時間算出工程)
ステップS13の加工時間算出工程では、加工時間算出部33が、加工プログラムに基づいて、工具Tの送り速度を加工プログラムに記述された速度とした場合、工具情報記憶部32から取得した最小値とした場合、及び最大値とした場合の加工時間を算出する。
【0033】
図4に、加工時間算出工程における加工時間の算出手順を詳細に示す。加工時間算出工程は、算出対象の加工工程を順番に設定し、複数の加工工程について繰り返し行う繰り返し処理の起点となる工程(ステップS21)と、当該加工工程における送り速度の最小値及び最大値を取得する工程(ステップS22)と、複数のブロックについて繰り返し行う繰り返し処理の起点となる工程であって、加工工程内の処理対象とするプログラムブロックを順番に設定する工程(ステップS23)と、加工プログラムに記述された当該ブロックにおける送り速度の初期値を取得する工程(ステップS22)と、当該ブロックにおける工具Tの移動距離を算出する工程(ステップS25)と、当該ブロックにおける工具Tの移動時間を算出する工程(ステップS26)と、算出した移動時間を積算する工程(ステップS27)と、複数のブロック対する繰り返し処理の終点となる工程であって、最後のブロックの処理を完了するまでステップS23に戻る判断を行う工程(ステップS28)と、複数の加工工程に対する繰り返し処理の終点となる工程であって、最後の加工工程の処理を完了するまでステップS21に戻る判断を行う工程(ステップS29)と、を備える。
【0034】
(優先順位設定工程)
ステップS14の優先順位設定工程では、優先順位設定部34により、各加工工程に優先順位を設定する。
【0035】
(設定値変更工程)
ステップS15の設定値変更工程では、設定値変更部35により、優先順位が高い加工工程から順に工具Tの送り速度を変更する。
【0036】
加工制御装置2は、設定値変更部35により、優先順位が高い加工工程から順に工具Tの送り速度を変更することで、加工精度の低下を抑制しながら、加工プログラムに記述された全ての加工を完了するまでに要する数加工時間の合計値を目標値に近付けることができる。
【0037】
特に、設定値変更部35が、ユーザに加工時間の合計値を提示して、ユーザに優先順位が高い加工工程から順に工具の送り速度を変更させることで、ユーザの経験を加味して加工精度の低下をさらに抑制することができる。
【0038】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0039】
本開示に係る加工制御装置は、加工時間の合計値を目標値に一致させるよう構成されてもよく、加工時間合計値を目標値を基準とする一定の範囲内(例えば目標値以下で目標値との差が所定の値以下となる範囲内)に調整するよう構成されてもよい。
【0040】
本開示に係る加工制御装置の設定値変更部は、優先順位が同じ加工工程の送り速度を一括して最大値又は最小値に変更したり、最小値と最大値との間の等しい割合の値に変更するよう構成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 加工装置
2 加工制御装置
3 制御部
4 表示部
5 入力部
31 加工工程抽出部
32 工具情報記憶部
33 加工時間算出部
34 優先順位設定部
35 設定値変更部
100 工作機械