(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ロータおよびモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20230613BHJP
【FI】
H02K1/276
(21)【出願番号】P 2019117963
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】神谷 洋平
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-159196(JP,A)
【文献】特開2007-049805(JP,A)
【文献】特開2013-78164(JP,A)
【文献】特開2004-289904(JP,A)
【文献】特開2015-6124(JP,A)
【文献】特開2016-5419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
H02K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアと、
前記ロータコアの径方向に対して交差する方向に一対の磁極面が位置する状態で、前記ロータコアに設けられた板状の複数極のマグネットと、
前記ロータコアに形成され、複数極の前記マグネットの各々における前記ロータコアの中心軸に近い側の前記磁極面
である内側磁極面に接する複数の空隙と、
を備え
、
前記内側磁極面が前記ロータコアから前記空隙に突出する突起に接触して前記マグネットが前記ロータコアに支持されており、
前記空隙は、前記内側磁極面のうち、前記突起が接触する領域以外に接しており、
前記一対の磁極面の間における前記マグネットの端部の側面は、前記ロータコアと非接触である、ロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータであって、
複数の前記空隙の各々は、前記ロータコアの中心軸に近い側の前記磁極面のうち、支持部材が接する領域以外の全体に接する、ロータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロータであって、
前記ロータコアの中心軸の軸方向から前記ロータコアを見た場合に、1つの極の前記マグネットにおいて前記ロータコアの中心軸に近い側で互いに最も離れた2つの頂点の各々と、前記ロータコアの中心とを結ぶ2つの直線間の角度は、複数極の前記マグネットのいずれも、前記マグネットの極数で360°を除算した値よりも小さい、ロータ。
【請求項4】
請求項3に記載のロータであって、
前記角度は、複数極の前記マグネットのいずれも、61.28°以下である、ロータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のロータであって、
複数極の前記マグネットの各々は、前記ロータコアの径方向に対する磁極の向きが同じとなる一対のマグネット片に分割され、
複数の前記空隙は、分割された前記マグネット片の各々における前記ロータコアの中心軸に近い側の前記磁極面に接する、ロータ。
【請求項6】
請求項5に記載のロータであって、
一対の前記マグネット片は、前記中心軸の軸方向から前記ロータコアを見た場合に、前記ロータコアの外周に向かうほど互いの間隔が広がるようにV字状に配置される、ロータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のロータと、ステータと、を備えるモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータおよびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータとして、ロータコアの内部にマグネットが埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnet)式のモータが知られている。
【0003】
下記の特許文献1には、割断されたマグネット片の割断面同士が噛み合わされた状態で、割断されたマグネット片をロータコアに組み付けるようにしたロータの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、IPM式のモータでは、ステータ(ステータコア)とロータ(ロータコア)との間の隙間が広げられた場合、ステータおよびロータの磁束密度が低くなるため、低負荷時における鉄損を抑えることができる。しかし、ステータコアとロータコアとの間の隙間が広がると、モータのインダクタンスの絶対値が下がって、マグネットトルクおよびリラクタンストルクの双方が低下し、トルク定数が下がってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ステータとロータとの間の隙間を広げることなく、トルク定数の低下を極力抑えながら、鉄損を低減させ得るロータおよびモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、
ロータコアと、
前記ロータコアの径方向に対して交差する方向に一対の磁極面が位置する状態で、前記ロータコアに設けられた板状の複数極のマグネットと、
前記ロータコアに形成され、複数極の前記マグネットの各々における前記ロータコアの中心軸に近い側の前記磁極面に接する複数の空隙と、
を備えるロータである。
【0008】
本発明の第2の態様は、
上記のロータと、ステータと、を備えるモータである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステータとロータとの間の隙間を広げることなく、トルク定数の低下を極力抑えながら鉄損を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態のモータの一部を示す模式図である。
【
図3】
図1のモータに関するシミュレーション結果(1)を示すグラフである。
【
図4】
図1のモータに関するシミュレーション結果(2)を示すグラフである。
【
図5】変形例1のロータを
図2と同じ視点で示す模式図である。
【
図6】変形例2のロータを
図2と同じ視点で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
〔実施の形態〕
図1は、本実施の形態のモータ10の一部を示す模式図である。なお、
図1では、モータシャフトの軸方向からモータ10を見た場合が示されている。モータ10は、ステータ12とロータ14とを有する。
【0013】
ステータ12は、ロータ14を回転させるための力を発生させるものであり、ロータ14と隙間を隔ててロータ14の外周側に配置される。ステータ12は、ステータコア20と、複数のコイル22とを有する。
【0014】
ステータコア20は、管状に形成されたコア本体20Aと、コア本体20Aの周方向に間隔をあけてコア本体20Aの内周面からコア本体20Aの中心軸側に向かって突出する複数のティース部20Bとを有する。なお、コア本体20Aは、複数の分割コア片を周方向に接合することで管状に形成されてもよい。複数のコイル22の各々は、1つまたは2つ以上のティース部20Bに設けられる。
【0015】
ロータ14は、ステータ12で発生する力を用いて回転するものであり、ステータコア20の複数のティース部20Bの各々と隙間を隔ててステータ12の内周側に配置される。ロータ14は、ロータコア30と、複数極のマグネット32とを有する。本実施の形態では、ロータ14の極数は4極とする。
【0016】
ロータコア30は、モータシャフトが挿通する貫通孔30Hを有する管状に形成される。なお、ロータコア30は、電磁鋼などの複数の板材を積層することで管状に形成されてもよい。ロータコア30の中心軸AXは、ステータコア20におけるコア本体20Aの中心軸およびモータシャフトの中心軸と一致する。
【0017】
複数極のマグネット32の各々は、ロータコア30に設けられる。複数極のマグネット32の各々は、概ね同形および同大であり、ロータコア30の周方向に間隔をあけてロータコア30の内部に対称に設けられる。複数極のマグネット32の各々は、管状のロータコア30の一端面から他端面にわたって延びている。
【0018】
上記のモータ10では、ステータ12における複数のコイル22に電流が流れることでステータ12に発生する磁界と、ロータ14における複数極のマグネット32が発生する磁界との相互作用によりロータ14が回転する。ロータ14が回転すると、ロータ14の貫通孔30Hに挿通されたモータシャフトがロータ14の回転に連動して回転する。
【0019】
次に、
図2を用いて、ロータ14に関してさらに詳しく説明する。
図2は、
図1のロータ14を示す模式図である。
図2では、ロータコア30の中心軸AXの軸方向から見たロータ14が示されている。
【0020】
本実施の形態では、複数極のマグネット32の各々は、ロータコア30の径方向に対する磁極の向きが同じとなる一対のマグネット片32A、32Bに分割される。分割されたマグネット片32A、32Bの各々は、概ね同形および同大であり、一対の磁極面F1、F2を有する。一対の磁極面F1、F2の各々は、ロータコア30の径方向に対して交差する方向に位置する。本実施の形態では、一対の磁極面F1、F2のうち、ロータコア30の外周側に向く磁極面F1と、ロータコア30の内周側に向く磁極面F2とは略平行である。なお、一対の磁極面F1、F2の各々は、S極またはN極の磁極を有する部分の先端に位置する面であり、本実施の形態では板状のマグネット片32A、32Bのうち最も広い面に相当する。
【0021】
ロータコア30には、トルク定数の低下を極力抑えながら鉄損を低減させるための複数の空隙34が形成される。複数の空隙34は、分割されたマグネット片32A、32Bの各々に対して設けられる。つまり、空隙数は、1つの極のマグネット32を分割した分割数に極数を乗算した数である。
【0022】
複数の空隙34の各々は、ロータコア30の中心軸AXの軸方向からロータ14を見た場合、ロータコア30とマグネット片32Aまたは32Bとに囲まれる閉空間である。なお、
図1および
図2に示す例では、複数の空隙34の各々の形状は、ロータコア30の中心軸AXの軸方向からロータ14を見た場合に、マグネット片32Aまたは32Bの外形と概ね同じであるが、マグネット32の外形と異なっていてもよい。
【0023】
複数の空隙34の各々は、ロータコア30の内周側に向く磁極面F2に接する。換言すると、複数の空隙34の各々は、ロータコア30の中心軸AXに近い側の磁極面F2に接する。この磁極面F2側には支持部材30Sが設けられる。本実施の形態では、支持部材30Sは、空隙34を挟んでロータコア30から空隙34側に突出する一対の突起であり、分割されたマグネット片32A、32Bの各々を支持する。
【0024】
複数の空隙34の各々は、磁極面F2のうち、支持部材30S(一対の突起の各々)が接する領域以外の全体に接する。ロータコア30の中心軸AXの軸方向からロータ14を見た場合、複数の空隙34の各々は、板状のマグネット片32Aまたは32Bにおけるロータコア30の中心軸AXに近い側の長辺のうち、支持部材30Sが接する領域以外の全体に接する。
【0025】
なお、ロータコア30には、マグネット32から生じる磁束の漏れを抑えるための複数のフラックスバリア36が形成される。複数のフラックスバリア36の各々は、複数極のマグネット32の各々における幅方向の端部の両脇に配置され、当該端部に接する空隙である。本実施の形態では、複数極のマグネット32の各々は一対のマグネット片32A、32Bに分割される。このため、1つの極のマグネット32の両脇のフラックスバリア36は、一方のマグネット片32Aにおいて他方のマグネット片32Bから遠い側の幅方向の端部の脇と、他方のマグネット片32Bにおいて一方のマグネット片32Aから遠い側の幅方向の端部の脇とに配置される。
【0026】
次に、
図2を用いて、ロータコア30の中心軸AXの軸方向からロータ14を見た場合に、ロータ14の中心を基準とする複数極のマグネット32の各々の角度に関してさらに詳しく説明する。ただし、ロータ14の中心を基準とする複数極のマグネット32の各々の角度は同じであるため、ここでは、ロータ14の中心を基準とする1つの極のマグネット32の角度に関して説明する。
【0027】
本実施の形態では、ロータコア30の中心軸AXの軸方向からロータ14を見た場合に、1つの極のマグネット32における2つの頂点P1、P2の各々と、ロータコア30の中心とを結ぶ2つの直線間の角度(以下、マグネット角と称する)θは、マグネット32の極数で360°を除算した値よりも小さい。
【0028】
上記の2つの頂点P1、P2は、具体的には、1つの極のマグネット32を構成する一対のマグネット片32A、32Bにおいて、ロータコア30の中心軸AXに近い側で互いに最も離れた頂点である。つまり、頂点P1は、一方のマグネット片32Aにおけるロータコア30の内周側の2つの頂点のうち、他方のマグネット片32Bから遠い側にある頂点であり、頂点P2は、他方のマグネット片32Bにおけるロータコア30の内周側の2つの頂点のうち、一方のマグネット片32Aから遠い側にある頂点である。
【0029】
本実施の形態では、ロータ14の極数が4極であるため、上記のマグネット角θは、90°よりも小さい。換言すると、マグネット角θが90°よりも小さくなるように、1つの極のマグネット32を構成する分割されたマグネット片32A、32Bがロータコア30の内部に設けられる。
【0030】
ここで、マグネット角θに関するモータ10のシミュレーション結果を示すグラフを
図3および
図4に示す。
図3は、マグネット角θが82.73°である場合の鉄損低下率およびトルク低下率の変化を示すグラフである。
図4は、マグネット角θが61.28°である場合の鉄損低下率およびトルク低下率の変化を示すグラフである。なお、鉄損低下率は、無負荷時におけるロータコア30の鉄損の低下率である。トルク低下率は、モータ10に発生する最大の総トルクの低下率である。
【0031】
図3および
図4のグラフ中の
破線は、磁極面F2に対する空隙34の接触面積を一定とし、ステータコア20とロータコア30との隙間の間隔を大きくしていった場合の鉄損低下率およびトルク低下率を示している。なお、紙面の右側から左側に向かうほど、ステータコア20とロータコア30との隙間の間隔が大きくなる。
【0032】
図3および
図4のグラフ中の
実線は、ステータコア20とロータコア30との間の隙間を一定とし、磁極面F2に対する空隙34の接触面積を大きくしていった場合の鉄損低下率およびトルク低下率を示している。なお、紙面の右側から左側に向かうほど、磁極面F2に対する空隙34の接触面積が大きくなる。
【0033】
マグネット角θが82.73°の条件下では(
図3)、磁極面F2に対する空隙34の接触面積を大きくする場合(グラフ中の実線)よりも、ステータコア20とロータコア30との間の隙間を大きくする場合(グラフ中の破線)の方が、トルク低下率に対して鉄損低下率が大きくなる。
【0034】
これに対し、マグネット角θが61.28°の条件下では(
図4)、ステータコア20とロータコア30との間の隙間を大きくする場合(グラフ中の破線)よりも、磁極面F2に対する空隙34の接触面積を大きくする場合(グラフ中の実線)の方が、トルク低下率に対して鉄損低下率が大きくなる。
【0035】
つまり、マグネット角θが61.28°である場合、ステータコア20とロータコア30との間の隙間を広げることなく、モータ10に発生する最大の総トルクの低下率に比べて、鉄損の低下率を大きくする効果が得られる。
【0036】
図示しないが、マグネット角θが61.28°以下であれば、マグネット32(マグネット片32A、32B)の形状、および、磁極面F2に対する空隙34の接触面積の大きさにかかわらず上記の効果を得ることができることが分かった。一方、図示しないが、マグネット角θが61.28°を超えると、マグネット32(マグネット片32A、32B)の形状、または、磁極面F2に対する空隙34の接触面積の大きさによっては、鉄損の低下率が総トルクの低下率以下になる場合があることが分かった。したがって、マグネット角θが61.28°以下であることが好ましい。
【0037】
〔変形例〕
(変形例1)
図5は、変形例1のロータ14を
図2と同じ視点で示す模式図である。
図5では、上記の実施の形態において説明した構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0038】
本変形例では、一対のマグネット片32A、32Bは、ロータコア30の中心軸AXの方向からロータコア30を見た場合に、ロータコア30の外周に向かうほど互いの間隔が広がるようにV字状に配置される。マグネット片32Aの一対の磁極面F1、F2と、マグネット片32Bの一対の磁極面F1、F2とは非平行であり、当該磁極面F1、F2の各々は、ロータコア30の周方向に向かうほど、ロータコア30の外周側に近づくように傾斜する。
【0039】
このように一対のマグネット片32A、32BがV字状に配置されることで、一対のマグネット片32A、32Bの各々の磁極面F1、F2が平行である場合に比べてより一段と鉄損を低減させることができる。
【0040】
(変形例2)
図6は、変形例2のロータ14を
図2と同じ視点で示す模式図である。
図6では、上記の実施の形態において説明した構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0041】
上記の実施の形態では、複数極のマグネット32の各々が分割されたが、本変形例のように非分割であってもよい。複数極のマグネット32の各々が非分割の場合、当該マグネット32の各々が、ロータコア30の径方向に対して交差する方向に位置する一対の磁極面F1、F2を有する。この場合、複数の空隙34は、複数極のマグネット32の各々に対して設けられる。つまり、空隙数は極数であり、複数の空隙34の各々は、ロータコア30とマグネット32とに囲まれる。
【0042】
複数の空隙34の各々は、ロータコア30の中心軸AXに近い側の磁極面F2のうち、支持部材30Sが接する領域以外の全体に接する。支持部材30Sは、空隙34を挟んでロータコア30から空隙34側に突出する一対の突起であり、複数極のマグネット32の各々を支持する。
【0043】
このように複数極のマグネット32の各々が非分割であっても、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。なお、本変形例では、一対の磁極面F1、F2が曲面であるが、平面であってもよい。つまり、複数極のマグネット32の各々が板状であれば、その具体的な形状は特に限定されない。マグネット片32A、32Bの各々の形状についても同様である。
【0044】
〔実施の形態から得られる発明〕
上記の実施の形態および変形例から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0045】
(第1の発明)
第1の発明は、
ロータコア(30)と、
ロータコア(30)の径方向に対して交差する方向に一対の磁極面(F1、F2)が位置する状態で、ロータコア(30)に設けられた板状の複数極のマグネット(32)と、
ロータコア(30)に形成され、複数極のマグネット(32)の各々におけるロータコア(30)の中心軸(AX)に近い側の磁極面(F2)に接する複数の空隙(34)と、
を備えるロータ(14)である。
【0046】
これにより、ステータ(12)とロータ(14)との間の隙間を広げることなく、トルク定数の低下を極力抑えながら鉄損を低減させることができる。
【0047】
複数の空隙(34)の各々は、ロータコア(30)の中心軸(AX)に近い側の磁極面(F2)のうち、支持部材(30S)が接する領域以外の全体に接してもよい。これにより、支持部材(30S)が接する領域以外の全体に接していない場合に比べてより一段と鉄損を低減させることができる。
【0048】
ロータコア(30)の中心軸(AX)の軸方向からロータコア(30)を見た場合に、1つの極のマグネット(32)においてロータコア(30)の中心軸(AX)に近い側で互いに最も離れた2つの頂点(P1、P2)の各々と、ロータコア(30)の中心とを結ぶ2つの直線間の角度(θ)は、複数極のマグネット(32)のいずれも、マグネット(32)の極数で360°を除算した値よりも小さくてもよい。これにより、トルク定数の低下率に比べて鉄損の低下率を大きくし易くなる。
【0049】
上記の角度(θ)は、複数極のマグネット(32)のいずれも、61.28°以下であってもよい。これにより、磁極面(F2)に対する空隙(34)の接触面積の大きさにかかわらず、トルク定数の低下率に比べて鉄損の低下率を大きくすることができる。
【0050】
複数極のマグネット(32)の各々は、ロータコア(30)の径方向に対する磁極の向きが同じとなる一対のマグネット片(32A、32B)に分割され、複数の空隙(34)は、分割されたマグネット片(32A、32B)の各々におけるロータコア(30)の中心軸(AX)に近い側の磁極面(F2)に接してもよい。これにより、複数極のマグネット(32)の各々が非分割である場合に比べてより一段と鉄損を低減させることができる。
【0051】
一対のマグネット片(32A、32B)は、中心軸(AX)の軸方向からロータコア(30)を見た場合に、ロータコア(30)の外周に向かうほど互いの間隔が広がるようにV字状に配置されてもよい。これにより、一対のマグネット片(32A、32B)の各々の磁極面(F1、F2)が平行である場合に比べてより一段と鉄損を低減させることができる。
【0052】
(第2の発明)
第2の発明は、上記のロータ(14)と、ステータ(12)と、を備えるモータ(10)である。このモータ(10)では、上記のロータ(14)が含まれるため、ステータ(12)とロータ(14)との間の隙間を広げることなく、トルク定数の低下を極力抑えながら鉄損を低減させることができる。
【符号の説明】
【0053】
10…モータ 12…ステータ
14…ロータ 20…ステータコア
22…コイル 30…ロータコア
32…マグネット 34…空隙