(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20230101AFI20230613BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G06Q10/083
B65G61/00 528
(21)【出願番号】P 2019125053
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100203699
【氏名又は名称】鈴木 健司
(72)【発明者】
【氏名】石井 真
(72)【発明者】
【氏名】藤井 利明
(72)【発明者】
【氏名】相馬 三希菜
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028545(JP,A)
【文献】特開2014-121827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を配送する配送サービスにおいてユーザが包装材を再利用して新たに物品を発送する場合における情報管理方法であって、
前記ユーザが使用するユーザ端末(70)が、再利用される前記包装材に付された該包装材を一意に特定可能な包装材識別情報を読み取る識別情報読取工程(S313)と、
前記ユーザ端末(70)が、新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報の設定を受け付ける受付工程(S314,S401,S402,S404,S406,S407,S409)と、
前記ユーザ端末(70)が、前記受付工程(S314,S401,S402,S404,S406,S407,S409)において設定された前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を、前記識別情報読取工程(S313)で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけて、前記配送サービスを提供する配送業者のデータベース(61)に登録する登録工程(S314,S403,S405,S408,S410)と、
前記データベース(61)にアクセス可能な前記配送業者の端末(30)が、前記包装材を再利用して物品を包装した物品包装体から前記包装材識別情報を読み取り、該包装材識別情報をもとに前記データベース(61)から前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を取得する個人情報取得工程(S316)を含
み、
前記受付工程(S314,S401,S402,S404,S406,S407,S409)において、前記ユーザ端末(70)が、前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を設定するためのユーザインタフェース画面(500,510,520,530)を表示し、
前記受付工程(S314,S401,S402,S404)において、前記ユーザ端末(70)が、前記識別情報読取工程で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけられて前記データベース(61)に登録されている前回の受取人の個人情報を取得し、取得した前記前回の受取人の個人情報を前記ユーザインタフェース画面(500)に表示し、さらに、表示中の前記前回の受取人の個人情報を前記新たな発送人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄を前記ユーザインタフェース画面(500)に表示することを特徴とする情報管理方法。
【請求項2】
物品を配送する配送サービスにおいてユーザが包装材を再利用して新たに物品を発送する場合における情報管理方法であって、
前記ユーザが使用するユーザ端末(70)が、再利用される前記包装材に付された該包装材を一意に特定可能な包装材識別情報を読み取る識別情報読取工程(S313)と、
前記ユーザ端末(70)が、新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報の設定を受け付ける受付工程(S314,S401,S402,S404,S406,S407,S409)と、
前記ユーザ端末(70)が、前記受付工程(S314,S401,S402,S404,S406,S407,S409)において設定された前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を、前記識別情報読取工程(S313)で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけて、前記配送サービスを提供する配送業者のデータベース(61)に登録する登録工程(S314,S403,S405,S408,S410)と、
前記データベース(61)にアクセス可能な前記配送業者の端末(30)が、前記包装材を再利用して物品を包装した物品包装体から前記包装材識別情報を読み取り、該包装材識別情報をもとに前記データベース(61)から前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を取得する個人情報取得工程(S316)を含み、
前記受付工程(S314,S401,S402,S404,S406,S407,S409)において、前記ユーザ端末(70)が、前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を設定するためのユーザインタフェース画面(500,510,520,530)を表示し、
前記受付工程(S314,S406,S407,S409)において、前記ユーザ端末(70)が、前記識別情報読取工程で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけられて前記データベース(61)に登録されている前回の発送人の個人情報を取得し、取得した前記前回の発送人の個人情報を前記ユーザインタフェース画面(520)に表示し、さらに、表示中の前記前回の発送人の個人情報を前記新たな受取人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄を前記ユーザインタフェース画面(520)に表示することを特徴とする情報管理方法。
【請求項3】
前記受付工程(S314,S406,S407,S409)において、前記ユーザ端末(70)が、前記識別情報読取工程で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけられて前記データベース(61)に登録されている前回の発送人の個人情報を取得し、取得した前記前回の発送人の個人情報を前記ユーザインタフェース画面(520)に表示し、さらに、表示中の前記前回の発送人の個人情報を前記新たな受取人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄を前記ユーザインタフェース画面(520)に表示することを特徴とする請求項
1に記載の情報管理方法。
【請求項4】
前記包装材が、中芯にライナを貼り合わせて製造される段ボールシートまたは該段ボールシートから製造される段ボール箱であり、
前記包装材識別情報が、前記ライナに印刷されることを特徴とする請求項1から請求項
3のうちのいずれか1項に記載の情報管理方法。
【請求項5】
前記包装材識別情報が、前記包装材に貼り付けられるラベルに印刷されていることを特徴とする請求項1から請求項
3のうちのいずれか1項に記載の情報管理方法。
【請求項6】
前記物品包装体が、再利用される前記包装材の一部を、新たな包装材で物品を包装した新たな物品包装体に貼り付けることで作成され、
再利用される前記包装材の一部には、前記包装材識別情報が含まれる
ことを特徴とする請求項1から請求項
5のうちのいずれか1項に記載の情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の配送サービスにおける情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の配送サービスでは、受取人と発送人との情報が記された配送伝票が配送物に付され、配送伝票に従って配送業者により配送が行われる。しかし、配送伝票を用いる配送方法では、配送物に付された配送伝票を介して発送人及び受取人の個人情報が相手側や第三者に漏洩するおそれがある。
【0003】
このような問題に対応するため、近年、個人情報が記されていない配送伝票を用いて配送物を配送する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、サーバに記録された個人情報と紐づけられた2次元コードを配送物に貼付することで個人情報の漏洩を防止している。
【0004】
ところで、配送物に使用される段ボールシート等の包装材は、ユーザによって再利用される場合がある。例えば、通販業者から商品を購入したユーザが商品を返品する場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記技術においては、包装材の再利用について考慮されていないため、再利用された包装材に貼付されている2次元コードについては管理の対象外となる。したがって、包装材を再利用して新たな配送物を発送する場合には、2次元コードを生成し直さなければならず、さらには、その2次元コードを印刷して新たな配送物に貼付しなければならなかった。
【0007】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、配送サービスにおいて、包装材を再利用して新たな配送物を配送する場合の利便性を向上させることが可能な情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、物品を配送する配送サービスにおいてユーザが包装材を再利用して新たに物品を発送する場合における情報管理方法であって、前記ユーザが使用するユーザ端末が、再利用される前記包装材に付された該包装材を一意に特定可能な包装材識別情報を読み取る識別情報読取工程と、前記ユーザ端末が、新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報の設定を受け付ける受付工程と、前記ユーザ端末が、前記受付工程において設定された前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を、前記識別情報読取工程で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけて、前記配送サービスを提供する配送業者のデータベースに登録する登録工程と、前記データベースにアクセス可能な前記配送業者の端末が、前記包装材を再利用して物品を包装した物品包装体から前記包装材識別情報を読み取り、該包装材識別情報をもとに前記データベースから前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を取得する個人情報取得工程を含むことを特徴とする。
【0009】
この場合、前記受付工程において、前記ユーザ端末が、前記新たな発送人の個人情報及び前記新たな受取人の個人情報を設定するためのユーザインタフェース画面を表示することが好ましい。
【0010】
この場合、前記受付工程において、前記ユーザ端末が、前記識別情報読取工程で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけられて前記データベースに登録されている前回の受取人の個人情報を取得し、取得した前記前回の受取人の個人情報を前記ユーザインタフェース画面に表示し、さらに、表示中の前記前回の受取人の個人情報を前記新たな発送人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄を前記ユーザインタフェース画面に表示することが好ましい。
【0011】
この場合、前記受付工程において、前記ユーザ端末が、前記識別情報読取工程で読み取られた前記包装材識別情報に対応づけられて前記データベースに登録されている前回の発送人の個人情報を取得し、取得した前記前回の発送人の個人情報を前記ユーザインタフェース画面に表示し、さらに、表示中の前記前回の発送人の個人情報を前記新たな受取人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄を前記ユーザインタフェース画面に表示することが好ましい。
【0012】
この場合、包装材が、中芯にライナを貼り合わせて製造される段ボールシートまたは該段ボールシートから製造される段ボール箱であり、包装材識別情報がライナに印刷されることが好ましい。
【0013】
この場合、前記包装材識別情報が、前記包装材に貼り付けられるラベルに印刷されていることが好ましい。
【0014】
この場合、前記物品包装体が、再利用される前記包装材の一部を、新たな包装材で物品を包装した新たな物品包装体に貼り付けることで作成され、再利用される前記包装材の一部には、前記包装材識別情報が含まれる
ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配送サービスにおいて、包装材を再利用して新たな配送物を配送する場合の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2A】包装材情報テーブルの一例を示す図である。
【
図3】情報管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】配送情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5B】発送人設定画面のサブ画面の一例を示す図である。
【
図5D】受取人設定画面のサブ画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(情報管理システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの構成の一例を示す図である。本実施形態に係る情報管理システム1は、発送人から預かった物品を受取人に配送する配送サービスに関する情報を管理する。
図1に示すように、情報管理システム1は、包装材製造装置10と、包装装置20と、配送業者が使用する端末(以下、配送業者端末と呼ぶ)30と、ユーザが使用する端末(以下、ユーザ端末と呼ぶ)70とを備える。また、情報管理システム1は、包装材情報管理サーバ40と、顧客情報管理サーバ50と、配送情報管理サーバ60とを備える。これらの装置、端末及びサーバは、ネットワーク2に接続されていて、必要に応じて互いに通信を行う。ネットワーク2は、例えばインターネット等のコンピューターネットワークである。
【0018】
なお、包装材製造装置10及び包装材情報管理サーバ40は、段ボールシート等の包装材を製造する包装材製造業者により管理されているものとする。また、包装材製造装置10は、包装材として、中芯にライナを貼り合わせた段ボールシートを製造するものとする。また、包装材製造装置10は、包装材として、上記段ボールシートを必要に応じて箱に加工して段ボール箱を製造するものとする。また、包装装置20は、物品の包装サービスを提供する包装業者(包装センターと呼ぶ)により管理されているものとする。また、顧客情報管理サーバ50は、物品の取引サービスを提供する通販業者により管理されているものとする。通販業者とは、通信販売をおこなう業者および該業者から物流業務の委託を受けた業者を含むものとする。さらに、配送業者端末30及び配送情報管理サーバ60は、配送サービスを提供する配送業者により管理されているものとする。
【0019】
なお、
図1に示す情報管理システム1の構成は一例であり、情報管理システム1には、ユーザ端末70や配送業者端末30がいくつ含まれていてもよい。また、包装装置20が、通販業者により管理されていてもよい。つまり、通販業者に包装センターが含まれていてもよい。包装材情報管理サーバ40、顧客情報管理サーバ50、配送情報管理サーバ60は上記各業者から委託を受けた情報管理業者により管理されていてもよい。
【0020】
包装材製造装置10は、印刷部11と、貼合部12と、加工部13とを有する。印刷部11は、包装材に該包装材を一意に特定可能な包装材識別情報を印刷する。本実施形態では、印刷部11は、段ボールシートのライナに包装材識別情報を印刷する。貼合部12は、包装材識別情報が印刷されたライナを中芯に貼り合わせて、所定の段ボールシートを製造する。加工部13は、段ボールシートを必要に応じて箱に加工する。
【0021】
なお、包装材は、封筒など段ボールシート以外であってもよい。また、貼合部12がライナを中芯に貼り合わせて段ボールシートを製造してから、印刷部11がライナに包装材識別情報を印刷してもよい。段ボールシートは中芯の片面にライナを貼り合せた片面段ボールシートでも、中芯の両面にライナを貼り合せた両面段ボールシートでもよい。
【0022】
包装装置20は、通販業者から商品の包装指示を受け付ける。その際、包装装置20は通販業者から、商品の包装指示とともに商品と伝票とを受け取る。包装装置20は、個人情報読取部21と、登録部22と、包装部23とを有する。個人情報読取部21は、商品(物品)に付随する伝票から、物品の配送元である発送人の個人情報と物品の配送先である受取人の個人情報とを読み取る。ここでいう伝票とは、通販業者により作成される書面やシール等であり、商品の情報や商品の配送先に関する情報など、取引の内容を示す情報および/または、これらの情報にアクセスするための、後述するコードが記載されている。登録部22は、包装材製造装置10により包装材に印刷された包装材識別情報と、個人情報読取部21で読み取られた発送人及び受取人の個人情報とを対応づけて、配送情報管理サーバ60のデータベース(
図1に示す配送情報テーブル61)に登録する。包装部23は、包装材識別情報が印刷されている包装材で物品を包装して物品包装体を作成する。作成された物品包装体は、通販業者から配送業者へ引き渡される。
【0023】
配送業者端末30は、配送業者の配送ドライバ等が使用する端末であり、個人情報取得部31を有する。個人情報取得部31は、包装装置20から引き渡された物品包装体から包装材識別情報を読み取る。そして、個人情報取得部31は、読み取った包装材識別情報をもとに、配送情報管理サーバ60のデータベースから受取人の個人情報を取得する。
【0024】
包装材情報管理サーバ40は、識別情報生成部41と、包装材情報テーブル42とを有する。識別情報生成部41は、包装材製造装置10が製造する包装材に割り当てる包装材識別情報を生成する。包装材識別情報は、上述したように、包装材製造装置10が製造する包装材のそれぞれを一意に特定可能な情報であり、例えばQRコード(登録商標)のような2次元コードである。包装材情報テーブル42は、包装材製造装置10によって製造された包装材を管理するためのデータベースである。識別情報生成部41によって包装材識別情報が生成されると、該包装材識別情報とともに包装材の製造日や材質などを示す情報が包装材情報テーブル42に格納される。
図2Aは、包装材情報テーブル42の一例を示す図である。
【0025】
顧客情報管理サーバ50は、顧客情報テーブル51を有する。顧客情報テーブル51は、通販業者が提供する取引サービスを利用する顧客の情報を管理するためのデータベースである。顧客情報テーブル51には、顧客を一意に特定可能なコードである顧客IDとともに顧客の氏名や住所、生年月日など顧客の個人情報が顧客ごとに格納されている。
図2Bは、顧客情報テーブル51の一例を示す図である。
【0026】
配送情報管理サーバ60は、配送情報を格納する配送情報テーブル61を有する。
図2Cは、配送情報テーブル61の一例を示す図である。
図2Cに示すように、配送情報テーブル61には、物品包装体に印刷されている包装材識別情報とともに、物品の配送先である受取人及び配送元である発送人の個人情報(本実施形態では、住所及び氏名)が格納されている。なお、受取人及び発送人の個人情報には、電話番号などその他の情報が含まれていてもよい。
【0027】
ユーザ端末70は、通販業者の顧客など、配送業者の配送サービスを受ける各ユーザが使用する端末である。ユーザ端末70は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末である。ユーザ端末70は、識別情報読取部71と、受付部72と、更新部73とを有する。識別情報読取部71は、物品包装体に付された包装材識別情報を読み取る。受付部72は、ユーザインタフェース画面を介して入力されるユーザ操作を受け付ける。受付部72は、例えばタッチパネルであり、表示部としても機能する。本実施形態では、受付部72は、受取人の個人情報や発送人の個人情報を設定させるためのユーザインタフェース画面を表示する。更新部73は、識別情報読取部71で読み取られた包装材識別情報に対応づけられて配送情報テーブル61に登録されている情報(受取人の個人情報や発送人の個人)を、上記ユーザインタフェース画面を介して設定された情報で更新する。
【0028】
(情報管理システムの動作)
次いで、情報管理システム1の動作について説明する。
図3は、情報管理システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。包装材製造業者Dは、包装材製造装置10を用いて、包装材識別情報が印刷された包装材(ここでは段ボールシート)を製造する(ステップS301)。そして、包装材製造業者Dは、ステップS301で製造した包装材を包装センターCに納入する(ステップS302)。通販業者Bの顧客であるユーザAがユーザ端末70から商品を注文すると(ステップS303)、通販業者Bが、包装センターCに、注文を受けた商品の包装を指示する(ステップS304)。その際、通販業者Bは、注文を受けた商品とともに、取引の内容が記載された伝票を包装センターCに送付する。
【0029】
包装センターCの包装装置20は、商品に付随する伝票から受取人(ここではユーザA)及び発送人(ここでは通販業者B)の個人情報を取得する(ステップS305)。このとき、包装装置20は、伝票に記載されているコードをスキャンする。そして、包装装置20は、通販業者Bのデータベース(顧客情報テーブル51)にアクセスして、スキャンして得られたコードに対応する顧客情報を取得する。これにより、受取人及び発送人の個人情報が取得される。なお、伝票に顧客情報が直接記載されている場合には、OCR等で伝票に記載されている文字を読み込んで、顧客情報を取得するようにしてもよい。
【0030】
包装装置20は、包装材に印刷された包装材識別情報を読み取り、該包装材識別情報と、ステップS305で読み取った受取人及び発送人の個人情報とを対応づけて配送業者Eのデータベース(配送情報テーブル61)に登録する(ステップS306)。本実施形態では、包装材識別情報としてQRコードが包装材に印刷されているものとする。また本実施形態では、包装装置20はカメラ(不図示)を備えていて、該カメラを用いて包装材に印刷されたQRコードを撮影(スキャン)して読み取るものとする。
【0031】
包装装置20は、ステップS305で包装材識別情報を読み取った包装材で商品を包装して、物品包装体を作成する(ステップS307)。そして、包装センターCは、配送業者Eに対して商品の配送依頼を行う(ステップS308)。このとき、包装センターCは、ステップS307で作成された物品包装体を配送業者Eに引き渡す。配送業者Eは、配送業者端末30を操作して、包装センターCから受け取った物品包装体から包装材識別情報(QRコード)を読み取る。そして、配送業者Eは、読み取った包装材識別情報をもとに、配送情報テーブル61から受取人(ここではユーザA)の個人情報を取得する(ステップS309)。そして、配送業者Eは、ステップS309で取得したユーザAの個人情報に基づき、包装センターCから受け取った物品包装体をユーザAに配送する(ステップS310)。ユーザAは、物品包装体を受け取ると、物品包装体から商品を取り出す(ステップS311)。
【0032】
ここで、物品包装体を受け取った受取人(ユーザA)が、物品包装体の包装材を再利用して新たに物品を発送する場合の情報管理方法について説明する。以下、再利用される包装材を再利用包装材と呼ぶ。
【0033】
ユーザAは、再利用包装材で物品を包装して新たな物品包装体を作成する(ステップS312)。なお、このとき包装される物品は、ステップS311で物品包装体から取り出された商品であってもよいし、該商品とは別の物品であってもよい。例えば、ユーザAが、ステップS303で注文した商品を返品する場合には、ステップS312で包装される物品は、ステップS311で物品包装体から取り出された商品となる。また、包装材の一部のみが再利用されてもよい。例えば、商品が取り出された物品包装体の包装材(段ボールシート)から上記包装材識別情報が印刷されている部分のみを切り取って再利用してもよい。そして、切り取った部分を新たな段ボールシートまたは段ボール箱のライナに貼り付けて、その段ボールシートまたは段ボール箱で物品を包装してもよい。
【0034】
ユーザAは、ユーザ端末70を操作して、ステップS312で作成した新たな物品包装体から包装材識別情報を読み取る(ステップS313)。本実施形態では、ユーザAは、ユーザ端末70のカメラ(不図示)で、ステップS312で作成した新たな物品包装体に印刷されている包装材識別情報(ここではQRコード)を撮影して読み取る。なお、このとき読み取られる包装材識別情報は、ステップS305で読み取られた包装材識別情報と同一である。包装材識別情報の読み取りが終了すると、ユーザ端末70は、配送情報の更新処理を行う(ステップS314)。
【0035】
ここで、
図4を用いて配送情報の更新処理について説明する。
図4は、ユーザ端末70において行われる配送情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、ユーザ端末70の受付部72は、新たな発送人の個人情報を設定するためのユーザインタフェース画面(以下、発送人設定画面と呼ぶ)500を表示する(ステップS401)。このとき、受付部72は、ステップS313で読み取った包装材識別情報に対応する受取人及び発送人の個人情報を、配送業者Eのデータベース(配送情報テーブル61)から取得する。
【0036】
図5Aは、発送人設定画面の一例を示す図である。
図5Aに示すように、発送人設定画面500は、個人情報表示領域501と、選択領域502とを含む。個人情報表示領域501には、ステップS401で配送情報テーブル61から取得された受取人の個人情報、すなわち前回の受取人であるユーザAの個人情報が表示される。選択領域502には、個人情報表示領域501に表示中の受取人の個人情報を新たな発送人の個人情報として登録するか否かを選択させるためのボタンが配置されている。例えば、ステップS303で注文した商品を返品する場合には、前回の受取人であるユーザAが今回の発送人となる。したがって、その場合には、ユーザAは、ユーザ端末70を操作して選択領域502の「Yes」ボタンを押下する。選択領域502の「Yes」ボタンが押下されると(ステップS402:Yes)、更新部73は、個人情報表示領域501に表示中の受取人の個人情報を新たな発送人の個人情報として配送情報テーブル61に登録する(ステップS403)。このとき、新たな発送人の個人情報は、ステップS313で読み取った包装材識別情報に対応づけられて配送情報テーブル61に登録される。そして、ユーザ端末70は、発送人設定画面500を閉じる。
【0037】
なお、再利用包装材をユーザA以外のユーザが使用する場合がある。例えば、ユーザA以外のユーザであるユーザFが再利用包装材をユーザAから譲り受けた場合である。その場合には、ユーザFは、ユーザ端末(ここではユーザFが使用する携帯端末)70を操作して、発送人設定画面500の選択領域502において「No」ボタンを押下する。選択領域502の「No」ボタンが押下されると(ステップS402:No)、受付部72は、新たな発送人(ここではユーザF)の個人情報を入力させるためのサブ画面(
図5Bに示す画面510)を表示する(ステップS404)。サブ画面510は、個人情報入力領域511と、「登録」ボタン512と、「キャンセル」ボタン513とを含む。「登録」ボタン512が押下されると、更新部73は、個人情報入力領域511に入力された住所及び氏名を新たな発送人の個人情報として、ステップS313で読み取った包装材識別情報に対応づけて配送情報テーブル61に登録する(ステップS405)。そして、受付部72は、サブ画面510を閉じる。「キャンセル」ボタン513が押下された場合には、ユーザ端末70は、新たな発送人の個人情報の登録を行わずに、サブ画面510を閉じる。
【0038】
次いで、受付部72は、新たな受取人の個人情報を設定するためのユーザインタフェース画面(以下、受取人設定画面と呼ぶ)520を表示する(ステップS406)。受取人設定画面520は、個人情報表示領域521と選択領域522とを含む。個人情報表示領域521には、ステップS401で配送情報テーブル61から取得された発送人の個人情報、すなわち前回の発送人である通販業者Bの個人情報が表示される。選択領域522には、個人情報表示領域521に表示中の発送人の個人情報を新たな受取人の個人情報として登録するか否かを選択させるためのボタンが配置されている。なお、受取人設定画面520の構成は、発送人設定画面500の構成と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0039】
例えば、ステップS303で注文した商品を返品する場合には、前回の発送人である通販業者Bが今回の受取人となる。したがって、その場合には、ユーザAは、ユーザ端末70を操作して、選択領域522の「Yes」ボタンを押下する。選択領域522の「Yes」ボタンが押下されると(ステップS407:Yes)、更新部73は、個人情報表示領域521に表示中の発送人の個人情報を新たな受取人の個人情報として配送情報テーブル61に登録する(ステップS408)。このとき、新たな受取人の個人情報は、ステップS313で読み取った包装材識別情報に対応づけられて配送情報テーブル61に登録される。
【0040】
選択領域522の「No」ボタンが押下された場合には(ステップS407:No)、受付部72は、新たな受取人の個人情報を入力させるためのサブ画面(
図5Dに示す画面530)を表示する(ステップS409)。なお、サブ画面530の構成は、サブ画面510の構成と同様であるため詳細な説明を省略する。更新部73は、サブ画面530にて入力された住所及び氏名を新たな受取人の個人情報として、ステップS313で読み取った包装材識別情報に対応づけて配送情報テーブル61に登録する(ステップS410)。
【0041】
図3の説明に戻る。ステップS314の後、ユーザAは、ステップS312で新たに作成された物品包装体を、配送業者Eに引き渡すとともに、配送業者Eに対して商品の配送依頼を行う(ステップS315)。配送業者Eは、配送業者端末30を操作して、ユーザAから受け取った物品包装体から包装材識別情報(QRコード)を読み取る。そして、配送業者Eは、配送業者端末30を操作して配送情報管理サーバ60にアクセスして、読み取った包装材識別情報をもとに、配送情報テーブル61から新たな受取人の個人情報を取得する(ステップS316)。このとき、ステップS408またはステップS410で登録された新たな受取人の個人情報が取得される。そして、配送業者Eは、ユーザAから受け取った物品包装体を新たな受取人に配送する(ステップS317)。
【0042】
なお、
図3の説明では、段ボールシートが事前に包装センターCに納入されている場合を例にした。しかし、包装センターCが通販業者Bから商品の包装指示(ステップS304)を受けた後に、包装材製造業者Dから包装センターCに段ボールシートが納入されてもよいし、その他のタイミングで段ボールシートが納入されてもよい。
【0043】
また、
図5A~
図5Dに示す画面の構成は一例である。したがって、受取人の個人情報や発送人の個人情報を入力させるためのユーザインタフェース画面として、その他の画面が表示されてもよい。例えば、画面500,510,520,530の内容を1つの画面に収めて表示するようにしてもよい。そのような態様によれば、画面の遷移回数を減らすことができ画面操作を簡略化することができる。また例えば、ユーザ端末70は、ステップS401の処理を行う前に、S303で注文した商品を返品するか否かをユーザに確認する画面を表示するようにしてもよい。そしてユーザが商品を返品する場合には、ユーザ端末70は、ステップS401~S410の処理を行う代わりに、前回の受取人の個人情報を今回の発送人の個人情報として登録し、前回の発送人の個人情報を今回の受取人の個人情報として登録すればよい。そのような態様によれば、配送情報の更新処理を簡略化でき、ユーザの利便性を向上させることができる。また、ユーザ端末70の処理負荷を低減することができる。
【0044】
また、本実施形態では、包装材識別情報が物品包装体に直接印刷されている場合を例にした。しかし、包装材識別情報を物品包装体に直接印刷せずに、包装材識別情報を印刷したラベルを物品包装体に貼り付けて商品を配送するようなサービス形態にも本実施形態を適用可能であることは勿論である。
【0045】
また、ステップS304で通販業者Bから包装センターCに送付される伝票から受取人の性別や年齢などの情報が取得できる場合には、それらの情報をもとにして付加サービスを行うようにしてもよい。例えば、包装センターCが、受取人の性別、年齢、居住地域に応じたチラシを作成し、作成したチラシをステップS307で作成される物品包装体に同梱するようにしてもよい。また例えば、包装センターCが、受取人の性別、年齢、居住地域に応じた広告などをメールで受取人に送信するようにしてもよい。
【0046】
さらに、包装材に印刷された包装材識別情報に基づき懸賞を行ったり、ノベルティ等の送付を行ったりしてもよい。例えば、ユーザがユーザ端末70のカメラで包装材に印刷されている包装材識別情報を読み取ったときに、ユーザ端末70が、読み取った包装材識別情報を用いて、包装材製造業者Dが運営するサイトに懸賞の当選結果の問い合わせをするようにしてもよい。そして、その当選結果をユーザ端末70に表示するようにしてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の情報管理システム1では、識別情報読取工程(ステップS313に相当)において、ユーザが使用するユーザ端末70が、再利用される包装材に付された、該包装材を一意に特定可能な包装材識別情報を読み取る。そして、受付工程(ステップS401,S402,S404,S406,S407,S409に相当)において、ユーザ端末70が、新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報の設定を受け付ける。そして、登録工程(ステップS403,S405,S408,S410に相当)において、ユーザ端末70が、上記受付工程において設定された新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報を、上記識別情報読取工程で読み取られた包装材識別情報に対応づけて、配送サービスを提供する配送業者のデータベース(配送情報テーブル)61に登録する。さらに、個人情報取得工程(ステップS316に相当)において、データベース61にアクセス可能な配送業者の端末(配送業者端末)30が、包装材を再利用して物品を包装した物品包装体から包装材識別情報を読み取り、該包装材識別情報をもとにデータベース61から新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報を取得する。
【0048】
以上のような工程を含む情報管理方法によれば、配送物(物品包装体)に使用されている包装材を再利用して新たな配送物を配送する場合において、包装材に付された包装材識別情報も再利用することが可能となる。したがって、包装材を再利用した場合に、包装材識別情報を生成し直したり、包装材識別情報を印刷し直したりすることなく、包装材識別情報による配送情報の管理を継続させることができる。よって、包装材を再利用して新たな配送物を発送する場合の利便性を向上させることができる。またそれにより、物流の効率化を図ることができる。
【0049】
また、従来は、包装材を再利用する場合、前回の配送で使用した包装材識別情報(伝票)を除去し、新たな包装材識別情報(伝票)を貼り替えるという手間がかかった。しかし、上記の情報管理方法によれば、そのような包装材を簡易に再利用することが可能となる。
【0050】
また、包装材識別情報を再利用することで、例えば、再利用された包装材に不良が発生した場合に、包装材製造業者等は、その包装材が製造された工場やラインを特定することが可能となる。さらに、包装材製造業者等は、包装材識別情報と包装材情報テーブルと照らし合わせることで、その包装体がいつ製造されたかやその包装材がどのような材料で製造されたかを特定することができる。よって、上記の情報管理方法によれば、再利用された包装材についても、トレーサビリティや製造条件のフィードバックなどを行うことが可能となる。
【0051】
また、上記の情報管理方法では、上記受付工程において、ユーザ端末70が、新たな発送人の個人情報及び新たな受取人の個人情報を設定するためのユーザインタフェース画面(発送人設定画面500とそのサブ画面510、及び、受取人設定画面520とそのサブ画面530)を表示する。
【0052】
これにより、スマートフォンなどの携帯端末の画面から、新たな発送人及び新たな受取人の個人情報の設定を行うことが可能となる。よって、包装材を再利用する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0053】
また、上記の情報管理方法では、上記受付工程において、上記識別情報読取工程で読み取られた包装材識別情報に対応づけられてデータベース61に登録されている前回の受取人の個人情報を取得し、取得した前回の受取人の個人情報をユーザインタフェース画面(発送人設定画面500)に表示する。さらに、表示中の前回の受取人の個人情報を新たな発送人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄をユーザインタフェース画面(発送人設定画面500)に表示する。
【0054】
これにより、物品包装体の包装材を再利用して新たに物品を発送する場合など、商品の受取人が新たな発送人となる場面において、発送人の個人情報の登録を簡略化することができる。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。また、物流の更なる効率化を図ることが可能となる。
【0055】
また、上記の情報管理方法では、上記受付工程において、ユーザ端末70が、上記取工程で読み取られた包装材識別情報に対応づけられてデータベース61に登録されている前回の発送人の個人情報を取得し、取得した前回の発送人の個人情報をユーザインタフェース画面(受取人設定画面520)に表示し、さらに、表示中の前回の発送人の個人情報を新たな受取人の個人情報として登録するか否かを選択させるための欄をユーザインタフェース画面(受取人設定画面520)に表示する。
【0056】
これにより、例えば、通販業者から商品を購入したユーザ(商品の受取人)がその商品を返品する場合など、商品の発送人が新たな受取人となる場面において、受取人の個人情報の登録を簡略化することができる。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。また、物流の更なる効率化を図ることが可能となる。
【0057】
また、上記の情報管理方法では、包装材が、中芯にライナを貼り合わせて製造される段ボールシートまたは該段ボールシートから製造される段ボール箱であり、包装材識別情報がライナに印刷される。
【0058】
このような態様によれば、配送物の配送に使用された段ボールシートや段ボール箱を再利用して新たな配送物を発送する際の利便性を向上させることができる。
【0059】
また、上記の情報管理方法では、包装材識別情報が、包装材に貼り付けられるラベルに印刷されている。
【0060】
これにより、包装材識別情報を印刷したラベルを物品包装体に貼り付けて商品を配送するようなサービス形態において包装材を再利用した場合にも、包装材識別情報による配送情報の管理を継続させることが可能となる。
【0061】
また、上記の情報管理方法では 、物品包装体が、再利用される包装材の一部を、新たな包装材で物品を包装した新たな物品包装体に貼り付けることで作成され、再利用される包装材の一部には、包装材識別情報が含まれる。
【0062】
これにより、再利用包装材の一部(包装材識別情報が印刷された部分)を切り取って新たな物品包装体に貼り付けることで、その物品包装体の配送について、包装材識別情報による管理を行うことが可能となる。また、再利用包装材に貼付されているラベル(包装材識別情報が印刷されたラベル)を剥がして新たな物品包装体に貼り付けることで、その物品包装体の配送について、包装材識別情報による管理を行うことが可能となる。
【0063】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報管理方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 情報管理システム
10 包装材製造装置
11 印刷部
20 包装装置
21 個人情報読取部
22 登録部
23 包装部
30 配送業者端末
31 個人情報取得部
61 データベース(配送情報テーブル)
70 ユーザ端末