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特許7294935距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法
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  • 特許-距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法 図1
  • 特許-距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20230613BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
E04G23/02 D
E04B9/00 G
E04B9/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019142459
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021025257
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591184046
【氏名又は名称】株式会社アドイン研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 恵子
(72)【発明者】
【氏名】池田 隼人
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149119(JP,A)
【文献】特開2018-024502(JP,A)
【文献】特開2015-139820(JP,A)
【文献】特開2017-181359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00- 9/36
E04G 23/02
G01B 1/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備部材が配置される空間において、該設備部材からなる被情報検出部材の距離情報を検出するための三次元計測を用いた距離情報検出システムであって、
三次元レーザー計測により所定振り角の計測範囲にある前記被情報検出部材における多数の被計測点までの距離データを計測する距離計測部と、
前記距離データを三次元の座標系に特定した光学的な点群データを検出し、該点群データを描画して三次元マップを作成する三次元マップ作成部と、
前記三次元マップを任意の断面で切断した平面表示された断層画像を生成する画像生成部と、
前記断層画像における任意の2点同士の距離を算出する距離算出部と、
を備え、
前記距離算出部で算出した距離から前記被情報検出部材の距離情報が検出されることを特徴とする距離情報検出システム。
【請求項2】
前記三次元マップの前記点群データから前記被情報検出部材の材質を識別する材質検出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の距離情報検出システム。
【請求項3】
前記三次元マップは、複数の異なる位置に配置された距離計測部で計測した距離データに基づいて得られた複数の三次元マップを組み合わせて作成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離情報検出システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の距離情報検出システムで検出された前記距離情報を使用して前記空間の前記被情報検出部材の空間内配置図を作成するための配置図作成システムであって、
前記空間の位置情報と、前記画像生成部で生成した前記断層画像と、前記距離算出部で算出された距離と、を組み合わせて空間内配置図を作成する配置図作成部を備えていることを特徴とする配置図作成システム。
【請求項5】
設備部材が配置される空間において、該設備部材からなる被情報検出部材における空間内配置図を作成するための三次元計測を用いた配置図作成方法であって、
三次元レーザー計測により所定振り角の計測範囲にある前記被情報検出部材における多数の被計測点までの距離データを計測する距離計測工程と、
前記距離データを三次元の座標系に特定した光学的な点群データを検出し、該点群データを描画して三次元マップを作成する三次元マップ作成工程と、
前記三次元マップを任意の断面で切断した平面表示された断層画像を生成する画像生成工程と、
前記断層画像における任意の2点同士の距離を算出する距離算出工程と、
前記空間の位置情報と、前記画像生成工程で生成した前記断層画像と、前記距離算出工程で算出された距離と、を組み合わせて空間内配置図を作成する配置図作成工程と、
を有することを特徴とする配置図作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の天井裏において、設備・電気関連の機器やそれに付属する配管や電気ケーブル等の設備の経路を変更するといった改修工事(例えば、特許文献1参照)や、大規模地震に対応するために例えば吊天井と吊ボルトとをワイヤー部材によって連結するといった補強工事(例えば、特許文献2参照)が知られている。このような改修工事や補強工事の場合には、先ず天井裏の既設の設備の状況や構造体、配管、配線の状態を調査することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-108752号公報
【文献】特開2013-217152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、築年数が古い建物等の場合には、構造に関わる設計図や天井裏における配管等の配置図が残っていないケースがある。天井裏の場合には、設備状態を把握するために、暗く且つ狭い天井裏の空間において、設備や構造体の位置をメジャー等の測定具を使用して測定し、現設備の配置状態を把握するという手間のかかる作業が発生し、測定により確認された設備配置や構造部材の配置に基づいて前述した落下防止設備を検討することになる。そのため、このような暗く且つ狭い空間であっても容易に設備配置や構造部材の配置状態を把握できる方法が求められていた。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、暗く、狭い空間内の設備部材の配置状態を容易に且つ短時間で把握することができる距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る三次元計測を用いた距離情報検出システムは、設備部材が配置される空間において、該設備部材からなる被情報検出部材の距離情報を検出するための三次元計測を用いた距離情報検出システムであって、三次元レーザー計測により所定振り角の計測範囲にある前記被情報検出部材における多数の被計測点までの距離データを計測する距離計測部と、前記距離データを三次元の座標系に特定した光学的な点群データを検出し、該点群データを描画して三次元マップを作成する三次元マップ作成部と、前記三次元マップを任意の断面で切断した平面表示された断層画像を生成する画像生成部と、前記断層画像における任意の2点同士の距離を算出する距離算出部と、を備え、前記距離算出部で算出した距離から前記被情報検出部材の距離情報が検出されることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、距離計測部において三次元レーザー計測による簡単な方法により空間の設備部材からなる被情報検出部材における多数の被計測点までの距離データを取得することができ、三次元マップ作成部において、取得した距離データを使用して点群データを検出し、点群データに基づいて描画した三次元マップを作成することができる。さらに、画像生成部において、作成した三次元マップの任意の断面で切断した断層画像を得ることができ、距離算出部において、断層画像の任意の2点間の距離を容易に算出することができる。これにより、被情報検出部材の距離情報が検出され空間内の設備部材の配置状況を簡単な方法により確認することができる。
このように空間において人が実施する作業が距離計測部で距離データを計測する作業のみとなり、距離算出部で距離を算出するまでの工程を実施する三次元マップ作成部、画像生成部、及び距離算出部は、処理装置における処理工程となる。そのため、空間が例えば天井裏や床下等の狭い建物内の空間であっても、容易に空間の設備部材を把握することができる。
また、本発明では、距離計測部において三次元レーザー計測を用いることから、空間に明かりが少なく暗闇の状態であっても、測定が可能となる利点がある。
【0008】
また、本発明に係る距離情報検出システムは、前記三次元マップの前記点群データから前記被情報検出部材の材質を識別する材質検出部が設けられていることが好ましい。
【0009】
この場合には、材質検出部で点群データの材質を識別することができるので、三次元マップ作成部において、測定した設備において特定の材質のみを抽出した三次元マップを作成することができる。
【0010】
また、本発明に係る距離情報検出システムは、前記三次元マップは、複数の異なる位置に配置された距離計測部で計測した距離データに基づいて得られた複数の三次元マップを組み合わせて作成されていることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、距離計測部によって複数箇所で計測した距離データを使用し、複数の点群データから1つの三次元マップを作成することが可能となる。そのため、空間の大きさや形状に関わらず、三次元マップを作成することができる。
【0012】
また、本発明に係る三次元計測を用いた配置図作成システムは、上述した距離情報検出システムで検出された前記距離情報を使用して前記空間の前記被情報検出部材の空間内配置図を作成するための配置図作成システムであって、前記空間の位置情報と、前記画像生成部で生成した前記断層画像と、前記距離算出部で算出された距離と、を組み合わせて空間内配置図を作成する配置図作成部を備えていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る配置図作成方法は、設備部材が配置される空間において、該設備部材からなる被情報検出部材における空間内配置図を作成するための三次元計測を用いた配置図作成方法であって、三次元レーザー計測により所定振り角の計測範囲にある前記被情報検出部材における多数の被計測点までの距離データを計測する距離計測工程と、前記距離データを三次元の座標系に特定した光学的な点群データを検出し、該点群データを描画して三次元マップを作成する三次元マップ作成工程と、前記三次元マップを任意の断面で切断した平面表示された断層画像を生成する画像生成工程と、前記断層画像における任意の2点同士の距離を算出する距離算出工程と、前記空間の位置情報と、前記画像生成工程で生成した前記断層画像と、前記距離算出工程で算出された距離と、を組み合わせて空間内配置図を作成する配置図作成工程と、を有することを特徴としている。
【0014】
本発明では、上述した距離情報検出システムを使用し、空間の位置情報と、画像生成部で生成した断層画像と、前記距離算出部で算出された距離と、を組み合わせて空間内配置図を容易に作成することができる。これにより、被情報検出部材の距離情報が検出され空間内の設備部材の配置状況を簡単な方法により確認することができる。
このように空間において人が実施する作業が距離計測部で距離データを計測する作業のみとなり、空間内配置図を作成するまでの工程を実施する三次元マップ作成部、画像生成部、距離算出部、及び配置図作成部は、処理装置における処理工程となる。そのため、空間が例えば天井裏や床下等の狭い建物内の空間であっても、容易に空間の設備部材を把握することができる。
また、本発明では、距離計測部において三次元レーザー計測を用いることから、建物空間に明かりが少なく暗闇の状態であっても、測定が可能となる利点がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法によれば、三次元計測によって簡単な方法により、暗く、狭い空間内の設備部材の配置状態を容易に且つ短時間で把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態による配置図作成システムの概要を示すブロック図である。
図2】距離計測部を配置した建物空間の状態を示す平面図である。
図3図2に示す紙面下側から見た建物空間の斜視図である。
図4】三次元マップ作成部で作成した三次元マップを示す図である。
図5】配置図作成システムを用いて建物内配置図を作成するフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法について説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の三次元計測を用いた配置図作成システム1は、図2に示す建物空間2(空間)に配置されている設備3(被情報検出部材)の建物内配置図81(空間内配置図)を作成するための三次元計測を用いたシステムである。
【0019】
図1及び図2に示すように、配置図作成システム1は、三次元レーザー計測により所定振り角の計測範囲にある建物空間2の設備3における多数の被計測点P(図2の符号Pは多数の被計測点のうち2点のみを表示している)までの距離データ41を計測する距離計測部4と、距離データ41を三次元の座標系に特定した光学的な点群データ51(図4参照)を検出し、この点群データ51を描画して三次元マップ52(図4参照)を作成する三次元マップ作成部5と、三次元マップ52を任意の断面で切断した平面(XY平面)表示された断層画像61を生成する画像生成部6と、断層画像61における任意の2点の被計測点P1、P2同士の距離Lを算出する距離算出部7と、建物空間2の位置情報21と、画像生成部6で生成した断層画像61と、距離算出部7で算出された距離Lと、を組み合わせて建物内配置図81を作成する配置図作成部8と、を備えている。
そして、距離算出部7で算出した距離から設備3の距離情報が検出されることになる。
【0020】
ここで、本実施の形態の建物空間2は、図2及び図3に示すように、既設の建物における所定階の天井裏を対象としている。建物空間2には、空調用の配管31と、天井板22を支持する縦横に延在する支持材32と、建物の躯体である梁材23(図示省略)と支持材32とを連結する吊ボルト33と、からなる既設の設備3が配置されている。吊ボルト33は、縦方向と横方向に延在する支持材32同士が交差する部分に配置されている。
【0021】
距離計測部4は、持ち運びが容易な公知の走査型の三次元レーザー計測器を用いることができ、例えば「森林3次元計測システムOWL(アウル)」(アドイン研究所社製)を採用することができる。距離計測部4は、図3に示すように、水平に設置した状態で鉛直方向を回転軸とした振り角が360°であり、計測範囲が360°となる。つまり、距離計測部4でレーザーを照射しつつ、そのレーザー照射部の振り角を変えて建物空間2の設備3を走査することで、当該設備3までの距離データ41(図1参照)を得ることができる。
なお、1箇所の建物空間2において、図2に示すように、複数の地点(建物空間2の4辺)に距離計測部4を設置して距離データ41を取得することができる。
【0022】
図1に示すように、三次元マップ作成部5、画像生成部6、距離算出部7、及び配置図作成部8は、処理装置11に組み込まれている。そして、処理装置11には、建物空間2の位置情報21や距離計測部4の計測位置(基準点)を示す座標データ42等の入力データが入力されるようになっている。
位置情報21は、建物空間2の設計図や写真であって、建物空間2の広さ、柱の位置等を示す平面図や側面図に相当する情報である。
また、座標データ42は、建物空間2における距離計測部4の絶対位置を示す座標である。
【0023】
三次元マップ作成部5では、建物空間2に設定された4地点から距離計測部4によって距離データ41が測定されるので、4方向から得られた点群データ51に基づいて多数のドットにより描画された図4に示すような三次元マップ52が作成されることになる。
【0024】
なお、三次元マップ52の点群データ51から設備3の材質を識別する材質検出部(図示省略)が設けられていてもよい。このような材質検出部を設けることで、点群データ51から金属、樹脂、或いは木材などの材質を識別することができ、三次元マップ作成部5において、例えば金属製の配管材の点群データ51のみを抽出して三次元マップ52を作成することも可能となり、金属でない例えばゴム材等の材質の電気ケール等を三次元マップ52で非表示にすることができ、必要なデータのみを表示することができる。
【0025】
また、画像生成部6では、作成された三次元マップ52において、任意に選定された断面で切断した断層画像61が生成される。なお、生成される断層画像61の断面選定方法は、予め設定しておいてもよいし、三次元マップ52を画面等に表示させておき、その表示された画面上で任意の断面を指定することによる方法であってもよい。
【0026】
距離算出部7は、断層画像61上の任意の2点を抽出し、それら2点間の距離を算出する処理が行われる。具体的に2点の抽出方法としては、例えば断層画像61を画面等に表示させておき、その表示された画面上で任意の2点を指定することによる方法であってもよい。
【0027】
配置図作成部8では、建物空間2の位置情報21、建物空間2の設計図に断層画像61で表示される設備3と、距離算出部7で算出された距離とを合成する処理工程が行われ、建物内配置図81を作成される。なお、設備3の位置(座標)、すなわち各被測定点Pは、入力部12の距離計測部4の座標データ42から求められる。そして、配置図作成部8で作成された建物内配置図81は、例えば紙や電子ファイルで出力可能となっている。
【0028】
次に、上述した建物内配置図81の作成方法について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
[距離計測工程]
先ず、図1図2及び図5に示すように、距離計測部4で三次元レーザー計測により所定振り角の計測範囲にある建物空間2内の設備3における多数の被計測点Pまでの距離データ41を計測する(ステップS1)。
距離計測部4として三次元レーザー計測器を予め設定した建物空間2の4地点の座標(座標データ42)に設置し、それぞれの計測箇所において建物空間2の設備3に対して上述した計測範囲で計測する。
【0030】
[三次元マップ作成工程]
次に、三次元マップ作成工程において、4地点の計測点のそれぞれから得られた距離データ41を三次元の座標系に特定した光学的な点群データ51を検出する(ステップS2)。その後、ステップS3において、図4に示すように、点群データ51を描画して三次元マップ52を作成する。
【0031】
[画像生成工程]
次に、ステップS4において、画像生成部6で三次元マップ52を任意の断面で切断した平面表示された断層画像61を生成する。例えば、高さ方向に5cm間隔で水平方向に切断した複数の断層画像61を生成することができる。
【0032】
[距離算出工程]
次に、ステップS5において、距離算出部7で断層画像61における任意の2点同士の距離を算出する。例えば、2本の吊ボルト33同士の距離を算出する場合には、距離算出部7において、複数の断層画像61のうち吊ボルト33を認識しやすい断層画像61を選択し、その断層画像61上の距離算出対象となる2本の吊ボルト33、33の位置を特定することで、その距離が自動的に算出される処理が行われる。距離算出対象は、断層画像61を目視した人が選択してもよいし、プログラムにより自動的に検出されてもよい。
【0033】
[配置図作成工程]
さらに、配置図作成部8において、建物空間2の位置情報21と、距離計測部4の測定時の建物空間2における座標データ42とからなる入力データ12と、距離算出部7で算出した距離とが配置図作成部8に入力され(ステップS6、ステップS7)、これら位置情報21と座標データ42を画像生成部6で生成された断層画像61に対して組み込む処理を行うことで建物内配置図81を作成する(ステップS8)。
【0034】
次に、上述した距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態では、図1及び図2に示すように、距離計測部4において三次元レーザー計測による簡単な方法により建物空間2の設備3における多数の被計測点Pまでの距離データ41を取得することができ、三次元マップ作成部5において、取得した距離データ41を使用して点群データ51を検出し、点群データ51に基づいて描画した図4に示す三次元マップ52を作成することができる。
【0035】
さらに、画像生成部6において、作成した三次元マップ52の任意の断面で切断した断層画像61を得ることができ、距離算出部7において、断層画像61の任意の2点の被計測点Pを抽出して、この2点間の距離を容易に算出することができる。これにより、設備3の距離情報が検出され建物空間2の設備3の配置状況を簡単な方法により確認することができる。
また、建物空間2の位置情報21と、画像生成部6で生成した断層画像61と、距離算出部7で算出した距離とを組み合わせて建物内配置図81を容易に作成することができる。これにより、建物空間2内の設備3の配置状況を簡単な方法により確認することができる。
【0036】
このように建物空間2内で人が実施する作業は距離計測部4で距離データ41を計測のみであり、2点の被計測点P同士の距離を算出するまでの工程を実施する三次元マップ作成部5、画像生成部6、距離算出部7、及び配置図作成部8は、処理装置11における処理工程となる。そのため、建物空間2が本実施の形態のような天井裏からなる建物空間2であっても、容易に内部の設備3を把握することができる。
また、本実施の形態では、距離計測部4において三次元レーザー計測を用いることから、建物空間2に明かりが少なく暗闇の状態であっても、測定が可能となる利点がある。
【0037】
また、本実施の形態では、距離計測部4によって複数箇所で計測した距離データ41を使用し、複数の点群データ51から1つの三次元マップ52を作成することが可能となる。そのため、建物空間2の大きさや形状に関わらず、三次元マップ52を作成することができる。
【0038】
上述のように本実施の形態による距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法では、三次元計測によって簡単な方法により、暗く、狭い建物空間2内の設備3の配置状態を容易に且つ短時間で把握することができる。
【0039】
以上、本発明による距離情報検出システム、配置図作成システム、及び配置図作成方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、適用対象となる空間として、天井裏を建物空間の対象としているが、天井裏であることに限定されることはない。例えば、建物空間であれば、床下空間やビルの設備・機械室等の空間にも適用することができる。さらに、建物空間のような閉空間のみではなく、公園等の緑化空間、ダムや擁壁等の土木構造物(設備部材)が構築される開空間であってもよい。
【0040】
また、被情報検出部材として、本実施の形態では設備3を対象としているが、これに限定されることはなく、建物自体の設備部材であってもよい。また、上記のように空間が公園等の緑化空間である場合には、公園に設置されるベンチや街路灯、柵、モニュメント等の構造物が設備部材となる。
【0041】
また、本実施の形態では、配置図作成システム1として、そのシステム構成に配置図作成部8を有する構成とし、建物内配置図81を出力することを目的とした構成となっているが、これに限定されることはない。
例えば配置図作成部8を省略することも可能である。この場合には、距離算出部7において、画像生成部6で生成された断層画像61を使用して、任意の2点の被計測点同士の距離を算出することを目的とした構成の距離情報検出システムとなる。
【0042】
さらに、本実施の形態では、建物空間2における4地点に距離計測部4を配置して、それぞれの地点による距離データ41を取得し、最終的に4つの点群データ51を組み合わせる合成処理を行って三次元マップ52を作成する方法としているが、距離計測部4による計測点の数量や位置は例えば建物空間の形状、広さ、設備の配置状態等に応じて適宜設定することができる。つまり、必ずしも複数の点群データ51が検出されるわけではないので、点群データ51が1つの場合には、合成処理を行わずに三次元マップ52が作成されることになる。
【0043】
また、本実施の形態では、配置図作成部8において建物内配置図81を作成する際に、建物空間2の位置情報21と距離計測部4を設置する位置の座標データ42を入力データ12として入力するシステム構成となっているが、入力データ12はこれら位置情報21と座標データ42であることに制限されることはない。
【0044】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 配置図作成システム
2 建物空間(空間)
3 設備(設備部材、被情報検出部材)
4 距離計測部
5 三次元マップ作成部
6 画像生成部
7 距離算出部
8 配置図作成部
11 処理装置
12 入力データ
21 位置情報
41 距離データ
42 座標データ
51 点群データ
52 三次元マップ
61 断層画像
81 建物内配置図(空間内配置図)
P 被計測点
図1
図2
図3
図4
図5