(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】埋め込み型半導体光素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/017 20060101AFI20230613BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20230613BHJP
H01S 5/227 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G02F1/017 503
H01S5/026 616
H01S5/227
(21)【出願番号】P 2019144888
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三瀧 雅俊
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002929(JP,A)
【文献】特開平08-111565(JP,A)
【文献】特開2013-197238(JP,A)
【文献】特開2014-206557(JP,A)
【文献】特開2020-021865(JP,A)
【文献】特開平03-038893(JP,A)
【文献】国際公開第2005/031829(WO,A1)
【文献】米国特許第04856017(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106785910(CN,A)
【文献】Sato et al.,“Highly reliable 1.3-μm InGaAlAs buried heterostructure laser diode for 10 GbE”,16th IPRM. 2004 International Conference on Indium Phosphide and Related Materials, 2004.,IEEE,2004年05月31日,FA3-1,P.731-733,DOI:10.1109/ICIPRM.2004.1442829
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02F 1/00-1/125
H01S 5/00-5/50,630
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる一対の溝を有し、前記一対の溝の間に前記第1方向にストライプ状に延びてメサストライプ構造の下端部を構成する凸部を有する半導体基板と、
前記メサストライプ構造の一部を構成するように、前記凸部の上で前記第1方向にストライプ状に延びる量子井戸層と、
埋め込みヘテロ構造を構成するように、前記第1方向に直交する第2方向に、前記メサストライプ構造の両側のそれぞれに隣接して、前記半導体基板に載る埋め込み層と、
前記メサストライプ構造の上面から前記埋め込み層の上に連続的に広がり、前記メサストライプ構造の前記上面に接触する電極と、
前記埋め込み層の上面の一部と前記電極との間に介在するパッシベーション膜と、
を有し、
前記埋め込み層の前記上面は、
前記メサストライプ構造に隣接し、前記一対の溝の対応する1つに重なって、前記メサストライプ構造から前記第2方向に高くなるように傾斜し、前記パッシベーション膜が形成されていない第1領域と、
前記一対の溝のいずれにも重ならず、平坦であり、前記第1領域以上の高さにあり、前記パッシベーション膜が形成されている第2領域と、
前記第2領域を超えない高さで、前記第1領域と前記第2領域の間にある接続領域と、
を含
み、
前記メサストライプ構造はクラッド層を有し、
前記クラッド層の高さは、前記第2領域の下方にあるダミークラッド層の高さよりも高いことを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項2】
請求項1に記載された埋め込み型半導体光素子であって、
前記埋め込み層は、半絶縁性半導体材料からなることを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項3】
請求項1に記載された埋め込み型半導体光素子であって、
前記第1領域の下端は、前記メサストライプ構造の前記上面と同じ高さにあることを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項4】
請求項1に記載された埋め込み型半導体光素子であって、
前記一対の溝との重なりを避けて、前記埋め込み層と前記半導体基板との間に介在し、前記量子井戸層と同じ材料からなり、前記量子井戸層と厚みにおいて均しいダミー量子井戸層をさらに有することを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項5】
請求項4に記載された埋め込み型半導体光素子であって、
前記クラッド層は、前記量子井戸層の上に
あり、
前記ダミークラッド層は、前記埋め込み層と前記ダミー量子井戸層との間に介在し、前記クラッド層と同じ材料からなり、前記クラッド層よりも厚みにおいて小さ
いことを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項6】
請求項1に記載された埋め込み型半導体光素子であって、
前記埋め込み層は、前記一対の溝で、前記半導体基板に直接的に接触していることを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項7】
請求項1に記載された埋め込み型半導体光素子であって、
前記メサストライプ構造は、レーザ用の第1メサストライプ構造及び変調器用の第2メサストライプ構造を含み、
前記量子井戸層は、前記レーザ用の第1量子井戸層及び前記変調器用の第2量子井戸層を含み、
前記電極は、前記レーザ用の第1電極及び前記変調器用の第2電極を含むことを特徴とする埋め込み型半導体光素子。
【請求項8】
第1方向に延びる一対の溝を有し、前記一対の溝の間に凸部を有し、前記凸部を下端部として前記第1方向にストライプ状に延びるメサストライプ構造を備え、前記メサストライプ構造は前記凸部の上で前記第1方向にストライプ状に延びる量子井戸層、クラッド層及びコンタクト層を含む半導体基板を用意する工程と、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記メサストライプ構造の両側のそれぞれに隣接して、前記半導体基板に載るように、結晶成長によって、埋め込みヘテロ構造を構成する埋め込み層を形成する工程と、
前記メサストライプ構造の上面を避けて、前記埋め込み層の上面の第1領域を避けて、前記埋め込み層の前記上面の第2領域に、パッシベーション膜を形成する工程と、
前記メサストライプ構造の前記上面に接触し、前記メサストライプ構造の前記上面から前記パッシベーション膜の上に連続的に広がるように、電極を形成する工程と、
を含み、
前記第1領域は、前記メサストライプ構造に隣接し、前記一対の溝の対応する1つに重なって、前記メサストライプ構造から前記第2方向に高くなるように傾斜し、
前記第2領域は、前記一対の溝のいずれにも重ならず、平坦であり、前記第1領域以上の高さにあり、
前記埋め込み層の前記上面は、前記第2領域を超えない高さで、前記第1領域と前記第2領域の間にある接続領域をさらに含
み、
前記クラッド層の高さは、前記第2領域の下方にあるダミークラッド層の高さよりも高いことを特徴とする埋め込み型半導体光素子の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、
前記半導体基板を用意する工程は、
前記半導体基板の上に、前記量子井戸層にされる部分を含む連続量子井戸層を形成する工程と、
前記連続量子井戸層の上に、前記クラッド層にされる部分を含む連続クラッド層を形成する工程と、
前記連続クラッド層の上に、前記コンタクト層にされる部分を含む連続コンタクト層を形成する工程と、
前記連続コンタクト層、前記連続クラッド層、前記連続量子井戸層及び前記半導体基板をエッチングする工程と、
を含むことを特徴とする埋め込み型半導体光素子の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、
前記エッチングする工程の前に、
前記連続コンタクト層の上に、前記一対の溝に対応する開口を有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記エッチングマスクを介して、前記半導体基板に至らないように、前記連続コンタクト層及び前記連続クラッド層に、前記一対の溝に対応する凹部を形成する工程と、
前記メサストライプ構造に対応する領域に、一部をメサマスク部として残して、前記エッチングマスクを除去する工程と、
をさらに含み、
前記エッチングする工程では、前記連続コンタクト層が前記メサマスク部に覆われた状態で、前記連続コンタクト層、前記連続クラッド層、前記連続量子井戸層及び前記半導体基板を、前記一対の溝が形成されるまでエッチングすることを特徴とする埋め込み型半導体光素子の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、
前記エッチングする工程の前に、
前記連続コンタクト層の上に、前記メサストライプ構造及び前記一対の溝に対応する領域を避けて、前記連続クラッド層と同じ材料からなる追加連続層を形成する工程と、
前記連続コンタクト層の上に、前記メサストライプ構造に対応する領域にメサマスク部を形成する工程と、
をさらに含み、
前記エッチングする工程では、前記連続コンタクト層が前記メサマスク部に覆われた状態で、前記追加連続層、前記連続コンタクト層、前記連続クラッド層、前記連続量子井戸層及び前記半導体基板を、前記一対の溝が形成されるまでエッチングすることを特徴とする埋め込み型半導体光素子の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、
前記エッチングする工程で、前記一対の溝に対応する領域を除いて、前記連続クラッド層の下層部分を残し、
前記結晶成長は、前記第1領域の下方では前記半導体基板の結晶が元になっており、
前記結晶成長は、前記第2領域の下方では前記連続クラッド層の結晶が元になっていることを特徴とする埋め込み型半導体光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型半導体光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット及びデータセンタでのトラフィック増大に伴い、100Gbps製品又は400Gbps製品が求められている。半導体光素子には、25Gbaud又は56Gbaudで動作可能な高速性が求められる。光通信用の変調器として、埋め込み型の半導体光素子、例えば電界吸収型変調器(以下、EA(Electro-Absorption)変調器という)が知られている。
【0003】
埋め込み型のEA変調器において、メサストライプ構造に電圧を印加するための電極(p電極)は、メサストライプ構造の直上だけではなく、埋め込み層も覆うように配置されている。また、導体基板の裏面にはn電極が形成されている。p電極とn電極に挟まれた半導体領域は寄生容量の原因となる。EA変調器の高速での応答性向上のためには、寄生容量の低減が要求される(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-271667号公報
【文献】特開2012-019053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、メサストライプ構造に隣接する埋め込み層が、メサストライプ構造に隣接する部分では、メサストライプ構造の上面と同じ高さの平坦領域を有している。これにより、p電極がn電極に近づくため、寄生容量低減効果が十分ではない場合がある。
【0006】
特許文献2は、埋め込み層を十分に厚くすることが開示されている。しかし、
図15に示すように、半導体の結晶成長によって形成される埋め込み層516には、メサストライプ構造514に隣接して「ラビットイヤー」と呼ばれる突起500ができる。突起500は、埋め込み層516を厚くするほど大きくなって、平坦領域502がメサストライプ構造514から離れる。そのため、平坦領域502に至る電極544が大きくなり、寄生容量が増加する場合がある。
【0007】
本発明は、寄生容量の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る埋め込み型半導体光素子は、第1方向に延びる一対の溝を有し、前記一対の溝の間に前記第1方向にストライプ状に延びてメサストライプ構造の下端部を構成する凸部を有する半導体基板と、前記メサストライプ構造の一部を構成するように、前記凸部の上で前記第1方向にストライプ状に延びる量子井戸層と、埋め込みヘテロ構造を構成するように、前記第1方向に直交する第2方向に、前記メサストライプ構造の両側のそれぞれに隣接して、前記半導体基板に載る埋め込み層と、前記メサストライプ構造の上面から前記埋め込み層の上に連続的に広がり、前記メサストライプ構造の前記上面に接触する電極と、前記埋め込み層の上面の一部と前記電極との間に介在するパッシベーション膜と、を有し、前記埋め込み層の前記上面は、前記メサストライプ構造に隣接し、前記一対の溝の対応する1つに重なって、前記メサストライプ構造から前記第2方向に高くなるように傾斜し、前記パッシベーション膜が形成されていない第1領域と、前記一対の溝のいずれにも重ならず、平坦であり、前記第1領域以上の高さにあり、前記パッシベーション膜が形成されている第2領域と、前記第2領域を超えない高さで、前記第1領域と前記第2領域の間にある接続領域と、を含むことを特徴とする。
【0009】
(2)(1)に記載された埋め込み型半導体光素子であって、前記埋め込み層は、半絶縁性半導体材料からなることを特徴としてもよい。
【0010】
(3)(1)に記載された埋め込み型半導体光素子であって、前記第1領域の下端は、前記メサストライプ構造の前記上面と同じ高さにあることを特徴としてもよい。
【0011】
(4)(1)に記載された埋め込み型半導体光素子であって、前記一対の溝との重なりを避けて、前記埋め込み層と前記半導体基板との間に介在し、前記量子井戸層と同じ材料からなり、前記量子井戸層と厚みにおいて均しいダミー量子井戸層をさらに有することを特徴としてもよい。
【0012】
(5)(4)に記載された埋め込み型半導体光素子であって、前記メサストライプ構造は、前記量子井戸層の上にクラッド層を有し、前記埋め込み層と前記ダミー量子井戸層との間に介在し、前記クラッド層と同じ材料からなり、前記クラッド層よりも厚みにおいて小さいダミークラッド層をさらに有することを特徴としてもよい。
【0013】
(6)(1)に記載された埋め込み型半導体光素子であって、前記埋め込み層は、前記一対の溝で、前記半導体基板に直接的に接触していることを特徴としてもよい。
【0014】
(7)(1)に記載された埋め込み型半導体光素子であって、前記メサストライプ構造は、レーザ用の第1メサストライプ構造及び変調器用の第2メサストライプ構造を含み、前記量子井戸層は、前記レーザ用の第1量子井戸層及び前記変調器用の第2量子井戸層を含み、前記電極は、前記レーザ用の第1電極及び前記変調器用の第2電極を含むことを特徴としてもよい。
【0015】
(8)本発明に係る埋め込み型半導体光素子の製造方法は、第1方向に延びる一対の溝を有し、前記一対の溝の間に凸部を有し、前記凸部を下端部として前記第1方向にストライプ状に延びるメサストライプ構造を備え、前記メサストライプ構造は前記凸部の上で前記第1方向にストライプ状に延びる量子井戸層、クラッド層及びコンタクト層を含む半導体基板を用意する工程と、前記第1方向に直交する第2方向に、前記メサストライプ構造の両側のそれぞれに隣接して、前記半導体基板に載るように、結晶成長によって、埋め込みヘテロ構造を構成する埋め込み層を形成する工程と、前記メサストライプ構造の上面を避けて、前記埋め込み層の上面の第1領域を避けて、前記埋め込み層の前記上面の第2領域に、パッシベーション膜を形成する工程と、前記メサストライプ構造の前記上面に接触し、前記メサストライプ構造の前記上面から前記パッシベーション膜の上に連続的に広がるように、電極を形成する工程と、を含み、前記第1領域は、前記メサストライプ構造に隣接し、前記一対の溝の対応する1つに重なって、前記メサストライプ構造から前記第2方向に高くなるように傾斜し、前記第2領域は、前記一対の溝のいずれにも重ならず、平坦であり、前記第1領域以上の高さにあり、前記埋め込み層の前記上面は、前記第2領域を超えない高さで、前記第1領域と前記第2領域の間にある接続領域をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
(9)(8)に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、前記半導体基板を用意する工程は、前記半導体基板の上に、前記量子井戸層にされる部分を含む連続量子井戸層を形成する工程と、前記連続量子井戸層の上に、前記クラッド層にされる部分を含む連続クラッド層を形成する工程と、前記連続クラッド層の上に、前記コンタクト層にされる部分を含む連続コンタクト層を形成する工程と、前記連続コンタクト層、前記連続クラッド層、前記連続量子井戸層及び前記半導体基板をエッチングする工程と、を含むことを特徴としてもよい。
【0017】
(10)(9)に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、前記エッチングする工程の前に、前記連続コンタクト層の上に、前記一対の溝に対応する開口を有するエッチングマスクを形成する工程と、前記エッチングマスクを介して、前記半導体基板に至らないように、前記連続コンタクト層及び前記連続クラッド層に、前記一対の溝に対応する凹部を形成する工程と、前記メサストライプ構造に対応する領域に、一部をメサマスク部として残して、前記エッチングマスクを除去する工程と、をさらに含み、前記エッチングする工程では、前記連続コンタクト層が前記メサマスク部に覆われた状態で、前記連続コンタクト層、前記連続クラッド層、前記連続量子井戸層及び前記半導体基板を、前記一対の溝が形成されるまでエッチングすることを特徴としてもよい。
【0018】
(11)(9)に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、前記エッチングする工程の前に、前記連続コンタクト層の上に、前記メサストライプ構造及び前記一対の溝に対応する領域を避けて、前記連続クラッド層と同じ材料からなる追加連続層を形成する工程と、前記連続コンタクト層の上に、前記メサストライプ構造に対応する領域にメサマスク部を形成する工程と、をさらに含み、前記エッチングする工程では、前記連続コンタクト層が前記メサマスク部に覆われた状態で、前記追加連続層、前記連続コンタクト層、前記連続クラッド層、前記連続量子井戸層及び前記半導体基板を、前記一対の溝が形成されるまでエッチングすることを特徴としてもよい。
【0019】
(12)(9)に記載された埋め込み型半導体光素子の製造方法であって、前記エッチングする工程で、前記一対の溝に対応する領域を除いて、前記連続クラッド層の下層部分を残し、前記結晶成長は、前記第1領域の下方では前記半導体基板の結晶が元になっており、前記結晶成長は、前記第2領域の下方では前記連続クラッド層の結晶が元になっていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは、第1の実施形態に係る埋め込み型半導体光素子の平面図である。
【
図2】
図2は、連続量子井戸層の形成プロセスを説明するための図である。
【
図3A】
図3Aは、第1連続量子井戸層のエッチングを説明するための図である。
【
図4A】
図4Aは、連続量子井戸層の形成プロセスを説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、連続クラッド層の形成プロセスを説明するための図である。
【
図8A】
図8Aは、埋め込み層の形成プロセスを説明するための図である。
【
図9A】
図9Aは、連続コンタクト層の分離プロセスを説明するための図である。
【
図10A】
図10Aは、連続パッシベーション膜の形成プロセスを説明するための図である。
【
図11A】
図11Aは、連続パッシベーション膜のエッチングを説明するための図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態における追加連続層の形成プロセスを説明するための図である。
【
図13A】
図13Aは、追加連続層をパターニングするプロセスを説明するための図である。
【
図14A】
図14Aは、メサマスク部を介するエッチングを説明するための図である。
【
図15】
図15は、関連技術に係る埋め込み型半導体光素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0022】
[第1の実施形態]
図1Aは、第1の実施形態に係る埋め込み型半導体光素子の平面図である。
図1Bは、
図1Aに示す埋め込み型半導体光素子のIB-IB線断面図である。
図1Cは、
図1Aに示す埋め込み型半導体光素子のIC-IC線断面図である。
図1Dは、
図1Aに示す埋め込み型半導体光素子のID-ID線断面図である。
【0023】
半導体光素子は、レーザ部10に駆動電流を注入することにより出射される連続光を変調器部12で変調して、信号光が出力されるようになっている。半導体光素子は、レーザ部10(例えば半導体レーザ)及び変調器部12がモノリシックに集積された変調器集積型半導体光素子(例えば変調器集積レーザ)である。レーザ部10は、分布帰還型半導体レーザ(Distributed Feedback Laser:DFBレーザ)である。変調器部12は、電界吸収型変調器(EA(Electro-Absorption)変調器)である。電界吸収型変調器は、チャープ(波動変調)が小さく、光信号のONレベルとOFFレベルの差である消光比が大きく、広域帯である、といった有利な特性を有することに加え、小型で低コストであることにより、幅広く用いられている。半導体光素子は、EA変調器集積型DFBレーザ素子である。
【0024】
半導体光素子は、埋め込みヘテロ構造(Buried Heterostructure:BH構造)を有している。BH構造とは、光導波路を有するメサストライプ構造14の両側に埋め込み層16を有する構造をいう。BH構造は、横方向に光を閉じ込める効果が強く、FFP(Far Field Pattern)がより円形となるので、光ファイバとの結合効率が高いという利点があり、さらに、放熱性に優れており、広く用いられている。
【0025】
[半導体基板]
半導体光素子は、半導体基板18(n型InP基板)を有する。半導体基板18は、第1方向D1に延びる一対の溝20を有する。一対の溝20の形成によって、「ラビットイヤー」が形成されなくなり、寄生容量の低減が可能になる。詳しくは、製造方法の説明で述べる。半導体基板18は、凸部22を有する。凸部22は、一対の溝20の間に第1方向D1にストライプ状に延びる。凸部22は、メサストライプ構造14の下端部を構成する。
【0026】
[メサストライプ構造]
メサストライプ構造14は、
図1Dに示すように、レーザ用の第1メサストライプ構造14Aを含む。第1メサストライプ構造14Aは、半導体基板18(凸部22)に近い側から順に、下光ガイド層(InGaAsP層)、第1量子井戸層24A(活性層)、上光ガイド層(InGaAsP層)、回折格子層、キャップ層(p-InP層)を含む。
【0027】
メサストライプ構造14は、
図1Cに示すように、変調器用の第2メサストライプ構造14Bを含む。第2メサストライプ構造14Bは、半導体基板18(凸部22)に近い側から順に、下光ガイド層(InGaAsP層)、第2量子井戸層24B(吸収層)、上光ガイド層(InGaAsP層)、キャップ層(p-InP層)を含む。
【0028】
[量子井戸層]
半導体光素子は、量子井戸層24を有する。量子井戸層24は、レーザ用の第1量子井戸層24A及び変調器用の第2量子井戸層24Bを含む。量子井戸層24は、p型又はn型の不純物が意図的にドープされていない真正半導体からなる。量子井戸層24は、メサストライプ構造14の一部を構成する。量子井戸層24は、凸部22の上で第1方向D1にストライプ状に延びる。
【0029】
量子井戸層24は、多重量子井戸(Multiple-Quantum Well:MQW)層である。MQW層に電界が印加されると、MQW層における光の吸収端が長波長側へシフトする量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confinement Stark Effect:QCSE)が得られる。EA変調器は、QCSEを利用して光を変調する。MQW層は、歪が導入された複数の量子井戸層24(InGaAsP)及び隣同士の量子井戸層24の間に介在する障壁層を含む。
【0030】
[クラッド層]
メサストライプ構造14は、量子井戸層24の上にクラッド層26を有する。クラッド層26は、第1方向D1にストライプ状に延びる。クラッド層26は、p型の不純物である亜鉛(Zn)がドープされた半導体(p型InP)からなる。
【0031】
[コンタクト層]
メサストライプ構造14は、コンタクト層28を含む。コンタクト層28は、p型InGaAsP層及びp型InGaAs層からなり、それぞれ、p型の不純物(Zn)がドープされている。
【0032】
[ダミー層]
半導体光素子は、ダミー量子井戸層30を有する。ダミー量子井戸層30は、一対の溝20との重なりを避けて、埋め込み層16と半導体基板18との間に介在する。ダミー量子井戸層30は、量子井戸層24と同じ材料からなり、量子井戸層24と厚みにおいて均しい。
【0033】
半導体光素子は、ダミークラッド層32を有する。ダミークラッド層32は、埋め込み層16とダミー量子井戸層30との間に介在する。ダミークラッド層32は、クラッド層26と同じ材料からなり、クラッド層26よりも厚みにおいて小さい。
【0034】
[埋め込み層]
半導体光素子は、埋め込み層16を有する。埋め込み層16は、半絶縁性半導体材料からなる。埋め込み層16は、鉄(Fe)やルテニウム(Ru)がドープされた半導体(例えばInP)からなる。埋め込み層16は、半導体基板18の上面に載る。
【0035】
埋め込み層16は、埋め込みヘテロ構造を構成する。埋め込み層16は、第2方向D2に、メサストライプ構造14の両側のそれぞれに隣接して、半導体基板18に載る。埋め込み層16は、一対の溝20で、半導体基板18に直接的に接触している。埋め込み層16は、ダミークラッド層32に直接的に接触している。
【0036】
埋め込み層16の上面は、第1領域34を含む。第1領域34は、メサストライプ構造14に隣接する。第1領域34は、一対の溝20の対応する1つに重なる。第1領域34は、メサストライプ構造14から第2方向D2に高くなるように傾斜する。第1領域34の下端は、メサストライプ構造14の上面(コンタクト層28の上面)と同じ高さにある。
【0037】
埋め込み層16の上面は、第2領域36を含む。第2領域36は、一対の溝20のいずれにも重ならない。第2領域36は、ダミークラッド層32に重なる。第2領域36は、平坦であり、第1領域34以上の高さにある。
【0038】
埋め込み層16の上面は、接続領域38を含む。接続領域38は、第1領域34と第2領域36の間にある。接続領域38は、第2領域36を超えない高さにある。接続領域38は、一対の溝20を形成することで、「ラビットイヤー」が形成されずにそれよりも低くなった領域である。言い換えると、第2領域36の下層側には一対の溝20より高い領域が形成されている(ダミー量子井戸層30やダミークラッド層32)。そのため、
図15で示すところの平坦領域がラビットイヤー頂点との高さHに相当する分だけ底上げされた状態となり、ラビットイヤーのような尖がった領域を形成させないことが可能となる。
【0039】
[パッシベーション膜]
半導体光素子は、パッシベーション膜40を有する。埋め込み層16は、パッシベーション膜40によって覆われている。パッシベーション膜40は、スルーホール42を有する。スルーホール42内には、メサストライプ構造14(コンタクト層28)の上面が露出し、これに隣接して埋め込み層16の上面の一部(第1領域34及び接続領域38)も露出する。本実施形態では、ラビットイヤーが形成されていないために、第2領域36の始点を
図15の状態と比べてメサストライプ構造14に近づけることが可能となる。そのため、スルーホール42の開口幅を狭くすることが可能となる。
【0040】
第1領域34にはパッシベーション膜40が形成されていない。接続領域38にはパッシベーション膜40が形成されていない。第2領域36にはパッシベーション膜40が形成されている。パッシベーション膜40は、埋め込み層16の上面の一部(第2領域36)と電極44との間に介在する。
【0041】
[電極]
半導体光素子は、電極44(p電極)を有する。電極44は、メサストライプ構造14の上面(コンタクト層28の上面)から埋め込み層16の上に連続的に広がる。電極44は、メサストライプ構造14の上面(コンタクト層28の上面)に接触する。電極44は、スルーホール42内でコンタクト層28と電気的に接続している。パッシベーション膜40の上に電極44が載っている。電極44は、レーザ用の第1電極44A及び変調器用の第2電極44Bを含む。本実施形態では、上述のようにラビットイヤーを形成しないことでスルーホール42の開口幅を狭くすることが可能となり、それに合わせて第2電極44Bの幅を狭くすることが可能となる。さらにラビットイヤーが大きく形成されるような厚い埋め込み層16を形成したとしてもスルーホール42幅は小さくできるために、埋め込み層16を厚くしつつ電極幅を低減するという構成を両立し、寄生容量を低減することが可能となる。
【0042】
半導体基板18の裏面には、他の電極46(n電極)が形成されている。電極46(n電極)は、第1電極44A及び第2電極44Bに共通して対向している。なお、半導体光素子は、光が出射する端面には反射防止膜(図示せず)を有し、反対側の端面には高反射膜(図示せず)を有する。なお、本実施形態では半導体基板18をn型、クラッド層26をp型の例で示したが、p型及びn型が反対であっても構わない。
【0043】
[製造方法]
次に、第1の実施形態に係る埋め込み型半導体光素子の製造方法を説明する。
【0044】
[事前準備]
半導体材料(例えばInP)は、(111)面方向に結晶成長が進む性質を有する。そのため、
図15に示すように、メサストライプ構造514の高さを超えると、その両側で約55度の角度で傾斜して結晶成長が進む。結晶成長がある程度進むと、頂点を境に傾斜が逆向きとなり、「ラビットイヤー」と呼ばれる突起500が埋め込み層516に形成される。突起500の隣に、埋め込み層516は平坦領域502を有する。
【0045】
事前準備として、「ラビットイヤー」ができる構造の埋め込み型半導体光素子(ダミー素子)を作成し、「ラビットイヤー」の高さ(平坦領域502からの高さH)及び位置(メサストライプ構造14から頂点までの水平方向の距離D)を測定しておく。ダミー素子は、位置確認用の素子であり、開発時に1回作成すればよく量産時には不要となる。
【0046】
[半導体基板の用意]
図2は、連続量子井戸層の形成プロセスを説明するための図である。半導体基板18(n型InP基板)の上に、量子井戸層24にされる部分を含む連続量子井戸層124を形成する。連続量子井戸層124は、レーザ用の第1連続量子井戸層124Aを含む。第1連続量子井戸層124Aは、図示しないレーザ用連続多層に含まれる。
【0047】
具体的には、半導体基板18の上に、レーザ用連続多層を、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)にて形成する。レーザ用連続多層は、半導体基板18側から順に、連続下光ガイド層(InGaAsP層)、第1連続量子井戸層124A(活性層)、連続上光ガイド層(InGaAsP層)、連続回折格子層、連続キャップ層(p-InP層)を含む。
【0048】
第1連続量子井戸層124Aは、InGaAsP系材料を用いて形成するが、InGaAlAs系材料を用いて形成してもよい。
【0049】
図3Aは、第1連続量子井戸層のエッチングを説明するための図である。
図3Bは、
図3Aに示す構造のIIIB-IIIB線断面図である。第1連続量子井戸層124Aを含むレーザ用連続多層に、レーザ用マスク148を形成する。レーザ用マスク148は、レーザ用の第1メサストライプ構造14Aを含む領域に形成する。レーザ用マスク148を介して、レーザ用連続多層(第1連続量子井戸層124A)をエッチングする。
【0050】
図4Aは、連続量子井戸層の形成プロセスを説明するための図である。
図4Bは、
図4Aに示す構造のIVB-IVB線断面図である。連続量子井戸層124は、変調器用の第2連続量子井戸層124Bを含む。第2連続量子井戸層124Bは、図示しない変調器用連続多層に含まれる。
【0051】
変調器用連続多層をMOCVD法にて形成する。レーザ用マスク148に覆われている領域は、多層成長されない。変調器用連続多層は、半導体基板18側から順に、連続下光ガイド層(InGaAsP層)、第2連続量子井戸層124B(吸収層)、連続上光ガイド層(InGaAsP層)、連続キャップ層(p-InP層)を含む。第2連続量子井戸層124Bには、InGaAlAs系材料を用いてもよい。
【0052】
そして、レーザ用マスク148を除去する。図示を省略するが、レーザ用連続多層のうち、レーザ用連続キャップ層を除去し、連続回折格子層をエッチングして、回折格子を形成する。
【0053】
図5Aは、連続クラッド層の形成プロセスを説明するための図である。
図5Bは、
図5Aに示す構造のVB-VB線断面図である。
【0054】
連続量子井戸層124の上に、クラッド層26にされる部分を含む連続クラッド層126を形成する。連続クラッド層126の上に、コンタクト層28にされる部分を含む連続コンタクト層128を形成する。連続クラッド層126(p-InP層)及び連続コンタクト層128(p-InGaAsP層及びp-InGaAs層)は、結晶成長によって形成する。なお、変調器用連続多層の最上層の変調器用連続キャップ層は、連続クラッド層126と実質的に一体化される。
【0055】
[エッチングマスクの形成/凹部の形成]
図6Aは、エッチングマスクを示す図である。
図6Bは、
図6Aに示す構造のVIB-VIB線断面図である。
図6Cは、
図6Aに示す構造のVIC-VIC線断面図である。
【0056】
連続コンタクト層128の上に、一対の溝20に対応する開口を有するエッチングマスク150を形成する。なお、一対の溝20の位置は、
図15に示す「ラビットイヤー」の位置から決定する。
【0057】
エッチングマスク150を介して、半導体基板18に至らないように、連続コンタクト層128及び連続クラッド層126に、一対の溝20に対応する凹部152を形成する。凹部152の深さは、後述する一対の溝20の深さと同等にする。なお、一対の溝20の深さは、
図15に示すダミー素子から得られた「ラビットイヤー」の高さHから決定する。
【0058】
続いて、メサストライプ構造14に対応する領域に、一部がメサマスク部154として残るように、エッチングマスク150を除去する(
図7A~
図7C参照)。
【0059】
[エッチング]
図7Aは、エッチングを説明するための図である。
図7Bは、
図7Aに示す構造のVIIB-VIIB線断面図である。
図7Cは、
図7Aに示す構造のVIIC-VIIC線断面図である。
【0060】
連続コンタクト層128、連続クラッド層126、連続量子井戸層124及び半導体基板18がエッチングされる。エッチングは、連続コンタクト層128がメサマスク部154に覆われた状態で行う。半導体基板18に一対の溝20が形成されるまでエッチングする。
【0061】
エッチングによって、第1方向D1に延びる一対の溝20が形成される。一対の溝20の間に凸部22が形成される。凸部22を下端部として第1方向D1にストライプ状に延びるメサストライプ構造14が形成される。メサストライプ構造14は、凸部22の上で第1方向D1にストライプ状に延びる量子井戸層24、クラッド層26及びコンタクト層28を含む。
【0062】
エッチングする工程で、一対の溝20に対応する領域を除いて、連続クラッド層126の下層部分をダミークラッド層32として残す。ダミークラッド層32の下にはダミー量子井戸層30がある。ここで一対の溝20の底部と連続量子井戸層124までの高さは事前準備で形成したダミー素子(
図15)と同じである。
【0063】
[埋め込み層の形成]
図8Aは、埋め込み層の形成プロセスを説明するための図である。
図8Bは、
図8Aに示す構造のVIIIB-VIIIB線断面図である。
図8Cは、
図8Aに示す構造のVIIIC-VIIIC線断面図である。
【0064】
結晶成長によって、埋め込みヘテロ構造を構成する埋め込み層16を形成する。埋め込み層16は、半導体基板18に載るように形成する。埋め込み層16は、第1方向D1に直交する第2方向D2に、メサストライプ構造14の両側のそれぞれに隣接するように形成する。
【0065】
埋め込み層16は、上面が第1領域34を含むように形成する。第1領域34は、メサストライプ構造14に隣接し、一対の溝20の対応する1つに重なって、メサストライプ構造14から第2方向D2に高くなるように傾斜する。結晶成長は、第1領域34の下方では半導体基板18の結晶が元になっている。
【0066】
埋め込み層16は、上面が第2領域36を含むように形成する。第2領域36は、一対の溝20のいずれにも重ならず、平坦であり、第1領域34以上の高さにある。結晶成長は、第2領域36の下方では連続クラッド層126の結晶が元になっている。
【0067】
埋め込み層16は、上面が接続領域38を含むように形成する。接続領域38は、第1領域34と第2領域36の間にある。
【0068】
埋め込み層16を厚く形成することで寄生容量は低減できる。しかしラビットイヤーが形成されることでスルーホールの開口の位置を平坦領域502に配置する必要がある。その結果、電極幅が広がり寄生容量が増加してしまう。しかし、本実施形態ではダミー素子と同じ厚さの埋め込み層16を形成した場合であっても、ラビットイヤーが形成されない。なぜなら、ラビットイヤーの頂点付近から外側に向かった領域にはダミー量子井戸層30、ダミークラッド層32等が形成されており、ラビッドイヤーの頂点から外側を底上げすることが可能となり、ラビットイヤーの頂点付近から第2領域36を形成することができる。その結果、平坦領域の始点をメサストライプ構造に近づけることが可能となり、電極幅の低減が可能となる。
【0069】
図9Aは、連続コンタクト層の分離プロセスを説明するための図である。
図9Bは、
図9Aに示す構造のIXB-IXB線断面である。
【0070】
メサマスク部154を除去し、変調器部12とレーザ部10の間に開口又は切れ目があるアイソレーションマスク156を形成する。アイソレーションマスク156を介して、連続コンタクト層128の一部(レーザ部10と変調器部12との間の部分)を除去する。これにより、連続コンタクト層128を、レーザ用のコンタクト層28Aと変調器用のコンタクト層28Bに分離する。その後、アイソレーションマスク156を除去する。
【0071】
[パッシベーション膜の形成]
図10Aは、連続パッシベーション膜の形成プロセスを説明するための図である。
図10Bは、
図10Aに示す構造のXB-XB線断面である。
図10Cは、
図10Aに示す構造のXC-XC線断面である。
図10Dは、
図10Aに示す構造のXD-XD線断面である。連続パッシベーション膜140を、コンタクト層28の上及び埋め込み層16の上に形成する。
【0072】
【0073】
連続パッシベーション膜140の上にスルーホールマスク158を形成する。スルーホールマスク158は、メサストライプ構造14(レーザ用の第1メサストライプ構造14A及び変調器用の第2メサストライプ構造14B)及び埋め込み層16の上面の第1領域34及び接続領域38の上に開口又は切れ目を有する。
【0074】
スルーホールマスク158を介して、連続パッシベーション膜140をエッチングする。こうしてパターニングされたパッシベーション膜40は、埋め込み層16の上面の第2領域36に残る。パッシベーション膜40は、メサストライプ構造14の上面を避けて形成される。パッシベーション膜40は、埋め込み層16の上面の第1領域34及び接続領域38を避けて形成される。その後、スルーホールマスク158を除去する。
【0075】
[電極の形成]
図1A~
図1Dに示すように、電極44(p電極)を形成する。電極44は、メサストライプ構造14の上面に接触するように形成する。電極44は、メサストライプ構造14の上面からパッシベーション膜40の上に連続的に広がるように形成する。また、半導体基板18の裏面には、他の電極46(n電極)を形成する。
【0076】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る埋め込み型半導体光素子の製造方法を説明する。本実施形態によって製造された埋め込み型半導体光素子は、
図1に示す埋め込み型半導体光素子と同じである。本実施形態は、
図5Bに示すプロセスまで、第1の実施形態と同じである。
【0077】
図12は、第2の実施形態における追加連続層の形成プロセスを説明するための図である。連続コンタクト層128の上に、連続クラッド層126と同じ材料からなる追加連続層260を形成する。
【0078】
図13Aは、追加連続層をパターニングするプロセスを説明するための図である。
図13Bは、
図13Aに示す構造のXIIIB-XIIIB線断面図である。
図13Cは、
図13Aに示す構造のXIIIC-XIIIC線断面図である。
【0079】
追加連続層260を、メサストライプ構造14及び一対の溝20に対応する領域を避けるようにパターニングする。パターニングは、追加マスク262を使用したエッチングによって行う。エッチングは、連続コンタクト層128を残すように行う。その後、追加マスク262を除去する。
【0080】
図14Aは、メサマスク部を介するエッチングを説明するための図である。
図14Bは、
図14Aに示す構造のXIVB-XIVB線断面図である。
図14Cは、
図14Aに示す構造のXIVC-XIVC線断面図である。連続コンタクト層128の上に、メサストライプ構造14に対応する領域にメサマスク部154を形成する。
【0081】
そして、追加連続層260、連続コンタクト層128、連続クラッド層126、連続量子井戸層124及び半導体基板18を、一対の溝20が形成されるまでエッチングする(
図7A、
図7B及び
図7C参照)。
【0082】
エッチングは、連続コンタクト層128がメサマスク部154に覆われた状態で行う。つまり、メサストライプ構造14が、エッチングされずに残る。連続コンタクト層128の一部(メサマスク部154に覆われるが追加連続層260から露出する部分)は、追加連続層260よりも低くなっているため、追加連続層260の下方よりも先に、エッチングが半導体基板18に至る。これにより、一対の溝20が半導体基板18に形成される。一方で、追加連続層260に覆われていた領域では、連続クラッド層126の下層部分(ダミークラッド層32になる部分)が残るように、エッチングを終わらせる。
【0083】
以上のプロセスによって、
図7A、
図7B及び
図7Cに示す構造が得られる。その後、
図8A及びそれ以降に示すプロセスを行うことで、埋め込み型半導体光素子を製造することができる。
【0084】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 レーザ部、12 変調器部、14 メサストライプ構造、14A 第1メサストライプ構造、14B 第2メサストライプ構造、16 埋め込み層、18 半導体基板、20 溝、22 凸部、24 量子井戸層、24A 第1量子井戸層、24B 第2量子井戸層、26 クラッド層、28 コンタクト層、30 ダミー量子井戸層、32 ダミークラッド層、34 第1領域、36 第2領域、38 接続領域、40 パッシベーション膜、42 スルーホール、44 電極、44A 第1電極、44B 第2電極、46 電極、124 連続量子井戸層、124A 第1連続量子井戸層、124B 第2連続量子井戸層、126 連続クラッド層、128 連続コンタクト層、128A 連続コンタクト層、128B 連続コンタクト層、140 連続パッシベーション膜、148 発振器用マスク、150 エッチングマスク、152 凹部、154 メサマスク部、156 アイソレーションマスク、158 スルーホールマスク、260 追加連続層、262 追加マスク、500 突起、502 平坦領域、514 メサストライプ構造、516 埋め込み層、544 電極、D1 第1方向、D2 第2方向。