(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】光ファイバ曲げメカニズム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/028 20060101AFI20230613BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20230613BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G02B6/028
G02B6/02 411
G02B6/00 Z
(21)【出願番号】P 2019565380
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 US2018024904
(87)【国際公開番号】W WO2018217298
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/034848
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518055899
【氏名又は名称】エヌライト,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】クライナー,ダブ・エイ.ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ファロー,ロジャー
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-295130(JP,A)
【文献】特開2013-101341(JP,A)
【文献】独国特許発明第04200587(DE,C1)
【文献】特表2009-523905(JP,A)
【文献】国際公開第2017/036695(WO,A1)
【文献】特表2010-534354(JP,A)
【文献】特表2006-506815(JP,A)
【文献】国際公開第2007/007388(WO,A1)
【文献】特開2014-228279(JP,A)
【文献】特開2016-201558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00-6/10
G02B 6/245-6/25
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、
入力光ビームを受けるように位置付けられた第1ファイバであって、第1屈折率分布を有する、第1ファイバと、
ファイバ整形面であって、少なくとも前記第1ファイバの一区間が付勢されて当該ファイバ整形面に一致するように位置付けられた、ファイバ整形面と、
前記ファイバ整形面に一致するように付勢される前記第1ファイバの区間の長さを選択する、または前記入力光ビームに摂動を起こし修正光ビームを生成するための前記ファイバ整形面の湾曲を選択するように位置付けられた曲げコントローラと、
前記第1ファイバに結合され、前記修正光ビームを受けるように位置付けられた第2ファイバであって、前記修正光ビームの少なくとも1つのビーム特性を維持するように選択された第2屈折率分布を有し、前記第2屈折率分布が、前記第1屈折率分布とは異なり、少なくとも2つのコアを定める、第2ファイバと、
を備える、機器。
【請求項2】
請求項1記載の機器において、前記ファイバ整形面が柔軟面である、機器。
【請求項3】
請求項2記載の機器において、前記ファイバ整形面が、柔軟板の主面である、機器。
【請求項4】
請求項3記載の機器において、前記柔軟板がイオン性ポリマー複合体を含む、機器。
【請求項5】
請求項4記載の機器において、前記柔軟板が、第1主面と第2主面とを含み、更に、第1電極と第2電極とを備え、前記イオン性ポリマーの少なくとも一部が前記第1電極と前記第2電極との間に位置付けられるように、前記第1電極および前記第2電極が位置付けられる、機器。
【請求項6】
請求項5記載の機器において、前記第1電極および前記第2電極が、前記第1主面および前記第2主面を実質的に覆う導電層である、機器。
【請求項7】
請求項6記載の機器において、前記曲げコントローラが電圧源である、機器。
【請求項8】
請求項7記載の機器であって、更に、
前記イオン性ポリマー付近に位置付けられた第2組の電極と、
前記柔軟板の変形を検出するために前記第2組の電極に結合されたセンサと、
を備え、前記曲げコントローラが前記センサに結合され、前記センサによって検出される電圧に基づいて、前記イオン性ポリマーに印加される電圧を確定する、機器。
【請求項9】
請求項2記載の機器において、前記第1ファイバが、前記ファイバ整形面の湾曲の方向に沿って延びるように位置付けられる、機器。
【請求項10】
請求項2記載の機器において、前記第1ファイバが、1つ以上の延長ループを含み、前記ファイバ整形面に一致する前記ファイバの前記区間が、前記ファイバ整形面の湾曲の方向に延びるように位置付けられた、前記ループの1つ以上の部分を含む、機器。
【請求項11】
請求項
3記載の機器であって、更に、前記柔軟板に結合され、前記ファイバ整形面の湾曲を変化させる変位部材を備える、機器。
【請求項12】
請求項11記載の機器において、前記変位部材が、前記柔軟板に押し付けるように結合される、機器。
【請求項13】
請求項11記載の機器であって、更に、前記変位部材に結合された圧電アクチュエータを備え、前記変位部材が、前記柔軟板を引っ張るように結合される、機器。
【請求項14】
請求項1記載の機器において、前記ファイバ整形面が複数のファイバ整形面を含み、前記複数のファイバ整形面の内少なくとも2つが異なる面曲率を有し、少なくとも前記第1ファイバの区間が付勢されて少なくとも2つのそれぞれのファイバ整形面に一致するように、前記複数のファイバ整形面の各々が位置付けられ、前記曲げコントローラが、前記複数のファイバ整形面の内対応するファイバ整形面に一致するように付勢される少なくとも前記第1ファイバの前記区間の長さを選択するように位置付けられる、機器。
【請求項15】
請求項11記載の機器において、前記柔軟板が、前記ファイバ整形面の湾曲の方向に沿って、それぞれの端部において固定される、機器。
【請求項16】
請求項1記載の機器において、前記ファイバ整形面が固定の湾曲を有する、機器。
【請求項17】
請求項1記載の機器において、前記ファイバ整形面が、円環の表面、または円環の一区間の表面である、機器。
【請求項18】
請求項1記載の機器において、前記ファイバ整形面が円筒の外面である、機器。
【請求項19】
請求項18記載の機器において、前記円筒が直円柱である、機器。
【請求項20】
請求項16記載の機器において、前記曲げコントローラが、前記ファイバ整形面に一致する前記第1ファイバの区間の長さを変化させるように位置付けられる、機器。
【請求項21】
請求項2記載の機器であって、更に、前記柔軟面に関して摺動可能に固定されたガイドを備え、前記ファイバ整形面に一致するように付勢される前記第1ファイバの前記区間の長さが、前記ファイバ整形面に沿った前記ガイドの移動に応答して、可変となるように、前記ガイドが前記
第1ファイバを係合するように位置付けられる、機器。
【請求項22】
請求項21記載の機器において、前記ガイドが、前記第1ファイバを係合する溝を含む、機器。
【請求項23】
請求項21記載の機器において、前記ファイバ整形面に一致する前記第1ファイバの前記区間の長さが、前記ファイバ整形面によって定められる円周よりも大きくなるように、前記ガイドが摺動可能である、機器。
【請求項24】
請求項21記載の機器であって、更に、回転軸に回転可能に固定され、前記軸を中心とする前記ガイドの回転が、前記ファイバ整形面に沿って前記ガイドを付勢するように、前記ガイドに固定された接続部材を備える、機器。
【請求項25】
請求項24記載の機器において、前記ファイバ整形面が、複数の円曲線を含む複合曲線を有し、前記回転軸が、前記複数の円曲線の内1つの湾曲中心に対応する、機器。
【請求項26】
請求項1記載の機器において、前記ファイバ整形面が、マンドレル面の一部によって定められ、前記曲げコントローラが、前記長さの第1ファイバを前記マンドレル面の一部に向けて付勢するように位置付けられたジョーを備える、機器。
【請求項27】
請求項26記載の機器において、前記長さの第1ファイバが、前記マンドレルの周囲に位置付けられたループの少なくとも一部を形成する、機器。
【請求項28】
請求項27記載の機器において、前記曲げコントローラが、前記マンドレルを前記長さの第1ファイバに向けて付勢するように位置付けられたステージを含む、機器。
【請求項29】
請求項28記載の機器において、前記第1ファイバおよび前記第2ファイバが、前記ループの少なくとも前記一部を形成し、更に、前記第1ファイバおよび前記第2ファイバを結合するスプライスを備え、前記ジョーが、前記長さの第1ファイバ、前記第2ファイバの一部、および前記スプライスを、前記マンドレル面の前記一部に向けて付勢するように位置付けられる、機器。
【請求項30】
請求項29記載の機器において、前記ジョーが、前記ステージの変位軸に関して対向して位置付けられた第1ジョーおよび第2ジョーを含み、前記第1ジョーおよび前記第2ジョーが、それぞれのジョー面を前記マンドレル面に向けて付勢するように各々位置付けられた第1弾性部材および第2弾性部材に結合される、機器。
【請求項31】
請求項30記載の機器において、前記ファイバ整形面に一致するように付勢される前記第1ファイバの前記区間と、前記ファイバ整形面に一致するように付勢される前記第2ファイバの区間と、前記ファイバ整形面、前記第1ジョー、または前記第2ジョーのいずれとも接触しない前記ループの少なくとも一部の湾曲とを選択するように、前記曲げコントローラが、前記マンドレルを前記第1ジョー面および前記第2ジョー面に向けて付勢するように構成される、機器。
【請求項32】
機器であって、
入力光ビームを受けるように位置付けられた第1ファイバであって、第1屈折率分布を有する、第1ファイバと、
前記入力光ビームに摂動を起こし、修正光ビームを生成するために、前記第1ファイバの少なくとも一区間の曲げを選択するように位置付けられた曲げコントローラと、
前記第1ファイバに結合され、前記修正光ビームを受けるように位置付けられた第2ファイバであって、前記修正光ビームの少なくとも1つのビーム特性を維持するように選択された第2屈折率分布を有し、前記第2屈折率分布が、前記第1屈折率分布とは異なり、少なくとも2つのコアを定める、第2ファイバと、
を備える、機器。
【請求項33】
請求項32記載の機器において、前記第1ファイバの前記区間が、ファイバ支持体から延びる、機器。
【請求項34】
請求項32記載の機器において、前記第1ファイバの前記区間が、第1ファイバ支持体と第2ファイバ支持体との間に位置付けられる、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,399号、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,410号、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,411号、および2017年5月26日に出願された特許協力機構出願第PCT/US2017/034848号の一部継続出願である。これらの全ては、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,650号の権利を主張する。これらの出願をここで引用したことにより、これら全ての開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
分野
本開示は、光ファイバにおけるビーム整形に関する。
【従来技術】
【0003】
高パワー・ファイバ結合レーザの使用は、材料処理、切断、溶接、および/または付加製造のような種々の用途において好評を博し続けている。これらのレーザには、例えば、ファイバ・レーザ、ディスク・レーザ、ダイオード・レーザ、ダイオード励起固体レーザ、およびランプ励起固体レーザが含まれる。これらのシステムでは、光パワーがレーザから作業片に光ファイバを通じて伝送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
種々のファイバ結合レーザ材料処理作業では、異なるビーム特性(例えば、空間プロファイルおよび/または発散プロファイル)が要求される。例えば、厚い金属を切断し溶接するには、通常、薄い金属を切断するよりも大きなスポット・サイズが必要となる。理想的なのは、これらの異なる作業に対して最適化された処理を可能にするように、レーザ・ビーム・プロパティが調節可能であることであろう。従来では、ユーザは次の2つの選択肢を有する。(1)異なる作業に使用することができるがこれらの殆どに対して最適でない固定ビーム特性を有するレーザ・システムを採用する(即ち、性能と柔軟性との間の妥協)、または、(2)可変ビーム特性を提供するが、著しいコスト、サイズ、重量、複雑さ、およびおそらくは性能低下(例えば、光損失)または信頼性低下(例えば、ロバスト性低下または稼働時間の短縮)が加わるレーザ・システムあるいは付属品を購入する。 現在入手可能で、ビーム特性を変化させることができるレーザ・システムは、ビーム特性を変化させるためには、自由空間光学素子(free-space optics)または他の複雑で高価な後付けメカニズム(例えば、ズーム・レンズ、ミラー、並進可能なレンズまたはモータ駆動レンズ、コンバイナ等)の使用を必要とする。コスト、複雑さ、性能、および/または信頼性に関して著しい不利が加わる自由空間光学素子あるいはその他の余分な部品の使用に対する依存を最小限に抑えるまたは解消し、ビーム特性において所望の調節可能性を提供する解決策は存在しない。必要とされているのは、可変ビーム特性に対応し、自由空間光学素子の使用を必要としないまたは最小限に抑え、著しいコスト、複雑さ、性能の妥協、および/または信頼性低下を回避することができる、ファイバ内機器(in-fiber apparatus)である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
機器は、入力光ビームを受けるように位置付けられた第1ファイバを備え、この第1ファイバは第1屈折率分布を有する。少なくとも第1ファイバの一区間が付勢されてファイバ整形面に一致するように、ファイバ整形面が位置付けられる。曲げコントローラが、ファイバ整形面に一致するように付勢された第1ファイバの区間の長さを選択するように位置付けられるか、または入力光ビームに摂動を起こし修正光ビームを生成するためのファイバ整形面の湾曲を選択するように位置付けられる。第2ファイバが、第1ファイバに結合され、修正光ビームを受けるように位置付けられる。第2ファイバは、修正光ビームの少なくとも1つのビーム特性を維持するように選択された第2屈折率分布を有する。ある例では、ファイバ整形面は柔軟板の主面であり、この柔軟板はイオン性ポリマー複合体を含む。他の代替物では、互いに接合された1つ以上の圧電板を含むことができるピエゾ-曲げアクチュエータ(piezo-bending actuator)が使用される。通例、イオン性ポリマーの少なくとも一部が第1電極と第2電極との間に位置付けられるように、第1電極および第2電極が位置付けられる。ある例では、第1電極および第2電極は、第1主面および第2主面を実質的に覆う導電層であり、曲げコントローラは電圧源である。更に他の例では、イオン性ポリマー付近に第2組の電極が位置付けられ、柔軟板の変形を検出するために、センサが第2組の電極に結合される。曲げコントローラはこのセンサに結合され、第2組の電極によって検出される電圧に基づいて、イオン性ポリマーに印加される電圧を確定する。
【0006】
ある例によれば、ファイバ整形面の湾曲の方向に沿って延びるように、第1ファイバが位置付けられる。他の例では、第1ファイバは、1つ以上の延長ループを含み、ファイバ整形面に一致するファイバの区間は、ファイバ整形面の湾曲の方向に延びるように位置付けられたループの延長部分を含む。他の実施形態では、柔軟板を押すまたは柔軟板を引くことによって、ファイバ整形面の湾曲を変化させるために、変位部材が柔軟板に結合される。典型的な例では、柔軟板は2ヵ所で固定され、変位部材はこれらの2ヵ所の間において、柔軟板に結合される。代表的な実施形態では、柔軟板は、ファイバ整形面の湾曲の方向に沿ってそれぞれの端部において固定される。ある例によれば、ファイバ整形面は固定湾曲を有し、円環の表面、円環の一部の表面、または直円柱のような円柱の外面である。
【0007】
ある例では、曲げコントローラは、ファイバ整形面に一致する第1ファイバの区間の長さを変化させるように位置付けられる。追加の例では、ガイドが柔軟面に関して摺動可能に固定され、ファイバ整形面に一致するように付勢された第1ファイバの区間の長さが、ファイバ整形面に沿ったガイドの移動に応答して可変となるように、ファイバを係合するように位置付けられる。ある例では、ガイドは第1ファイバを係合する溝を含む。更に他の実施形態では、接続部材が回転軸に回転可能に固定され、軸を中心としたガイドの回転がガイドをファイバ整形面に沿って付勢するように、ガイドに固定される。追加の例によれば、ファイバ整形面は、複数の円曲線(circular curvature)を含む複合湾曲を有し、回転軸は、複数の円曲線の内の1つの湾曲中心(center of curvature)に対応する。
【0008】
ある例によれば、ファイバ整形面は、マンドレル表面の一部によって定められ、曲げコントローラは、第1長のファイバをマンドレル表面の一部に向けて付勢するように位置付けられたジョー(jaw)を含み、第1ファイバは、マンドレル周囲に位置付けられたループの少なくとも一部を形成する。場合によっては、曲げコントローラは、マンドレルを第1長のファイバに向けて付勢するように位置付けられたステージを含む。追加の例では、第1ファイバおよび第2ファイバがループの少なくとも一部を形成する。スプライスが第1ファイバおよび第2ファイバを結合し、ジョーは、第1長のファイバ、第2ファイバの一部、およびスプライスをマンドレル表面の一部に向けて付勢するように位置付けられる。更に他の例では、ジョーは、ステージの変位軸に関して対向して位置付けられた第1ジョーおよび第2ジョーを含む。第1ジョーおよび第2ジョーは、第1弾性部材および第2弾性部材に結合され、各弾性部材は、それぞれのジョー表面をマンドレル表面に向けて付勢するように位置付けられる。他の例では、曲げコントローラは、ファイバ整形面に一致するように付勢される第1ファイバの区間、ファイバ整形面に一致するように付勢される第2ファイバの区間、およびファイバ曲げ面、第1ジョー、または第2ジョーのいずれとも接触しないループの少なくとも一部の湾曲を選択するように、マンドレルを第1ジョー面および第2ジョー面に付勢するように構成される。
【0009】
ある例では、ファイバ区間は1つまたは2つの終点において固定され、あるいは湾曲区間、ループ状区間、または直線区間に形成され、ピン、ロッド、または球体の表面のような1つ以上の表面がファイバ区間と接触し、応答してファイバが曲げられる。ある例では、ファイバ区間がこのような表面に向けて付勢され、または表面がファイバ区間に向けて付勢され、または双方が互いに向けて移動可能である。
【0010】
開示する技術の以上のおよびその他の目的、特徴、ならびに利点は、以下の詳細な説明から一層明らかとなろう。詳細な説明は、添付図面を参照しながら進められる。
【0011】
添付図面では、同様の参照番号は同様のエレメントを表し、添付図面は説明と共に本明細書に組み込まれその一部を構成し、ここで開示する技術の利点および原理を説明する。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、可変ビーム特性を有するレーザ・ビームを供給するためのファイバ構造の例を示す。
【
図2】
図2は、可変ビーム特性を有するビームを伝送するためのファイバ構造の例の断面図を示す。
【
図3】
図3は、可変ビーム特性を有するビームを供給するためのファイバ構造に摂動を起こす方法の例を示す。
【
図4】
図4は、異なるファイバ曲げ半径に対する第1長のファイバについて計算された最低次モード(LP
01)の空間プロファイルを示すグラフである。
【
図5】
図5は、ビーム特性を変化させるためのファイバがほぼ直線であるときの接合部における二次元強度分布の例を示す。
【
図6】
図6は、ビーム特性を変化させるためのファイバが折り曲げられ、第2長のファイバの特定の閉じ込め領域を優先的に励起させるように半径が選択されたときの接合部における二次元強度分布の例を示す。
【
図7】
図7は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図8】
図8は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図9】
図9は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図10】
図10は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図11】
図11は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図12】
図12は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図13】
図13は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図14】
図14は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図15】
図15は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図16】
図16は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図17】
図17は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図18】
図18は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図19】
図19は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図20】
図20は、可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームの発散角を変化させ、調節されたビームを閉じ込めるための第2長のファイバの例の断面図を示す。
【
図21】
図21は、可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームの発散角を変化させ、調節されたビームを閉じ込めるための第2長のファイバの例の断面図を示す。
【
図22A】
図22Aは、供給ファイバとプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図22B】
図22Bは、供給ファイバとプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図23】
図23は、供給ファイバと複数のプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図24】
図24は、本明細書において提示する種々の例にしたがって可変ビーム特性を提供するための種々の摂動アセンブリの例を示す。
【
図25】
図25は、光ファイバの修正特性を調節および維持するためのプロセスの例を示す。
【
図26】
図26は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図27】
図27は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図28】
図28は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図29】
図29Aは、選択可能な長さの光ファイバを円形断面を有するマンドレルに押し付けるように位置付けられたローラを有する光ファイバ曲げメカニズムを含む可変ビーム特性(VBC)機器を示す。
図29Bは、選択可能な長さの光ファイバを円形断面を有するマンドレルに押し付けるように位置付けられたローラを有する光ファイバ曲げメカニズムを含む可変ビーム特性(VBC)機器を示す。
図29Cは、選択可能な長さの光ファイバを円形断面を有するマンドレルに押し付けるように位置付けられたローラを有する光ファイバ曲げメカニズムを含む可変ビーム特性(VBC)機器を示す。
【
図30】
図30は、複数のファイバ・ループを収容することができるファイバ曲げメカニズムを示す。
【
図31】
図31は、選択可能な長さの光ファイバを、楕円形断面を有するマンドレルに押し付けるように位置付けられたローラを含むVBC機器を示す。
【
図33A】
図33Aは、ファイバ曲げメカニズムを含む他のビーム摂動デバイスを示す。
【
図33B】
図33Bは、ファイバ曲げメカニズムを含む他のビーム摂動デバイスを示す。
【
図34】
図34は、ディスクの一区間上にファイバ整形面を有するファイバ曲げメカニズムを含む他のビーム摂動デバイスを示す。
【
図35】
図35は、鉛管の一部上にファイバ整形面を有するファイバ曲げメカニズムを含む他のビーム摂動デバイスを示す。
【
図36】
図36は、光ファイバが固定される屈曲部(flexure)を含むVBC機器を示す。
【
図37A】
図37Aは、曲げられるファイバの長さを変化させるファイバ曲げメカニズムを示す。
【
図37B】
図37Bは、曲げられるファイバの長さを変化させるファイバ曲げメカニズムを示す。
【
図38A】
図38Aは、対向して位置付けられたジョーに接触するように、選択された長さの光ファイバを付勢する光ファイバ曲げメカニズムを含むVBC機器を示す。
【
図38B】
図38Bは、対向して位置付けられたジョーに接触するように、選択された長さの光ファイバを付勢する光ファイバ曲げメカニズムを含むVBC機器を示す。
【
図40】
図40は、対向して位置付けられ、ファイバに接触することができる複数組の円筒を含む他の代表的なVBC機器を示す。
【
図41】
図41は、対向して位置付けられた複数の円筒によって形成された代表的なファイバ整形面を示す。
【
図42】
図42は、光ファイバが固定される屈曲部を含む他のVBCファイバ・アセンブリ機器を示す。
【
図43A】
図43Aは、選択可能な長さのファイバの曲げを可能にするスプールを示す。
【
図43B】
図43Bは、選択可能な長さのファイバの曲げを可能にするスプールを示す。
【
図44A】
図44Aは、イオン性ポリマー複合体(IPC)を含むVBCデバイスを示す。
【
図44B】
図44Bは、イオン性ポリマー複合体(IPC)を含むVBCデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示および請求項において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに違うことを規定するのでないならば、複数形も含むものとする。加えて、「含む」(includes)という用語は「備える」(comprises)を意味する。更に、「結合された」(coupled)という用語は、結合された品目間における中間エレメントの存在を除外しない。また、「修正する」(modify)および「調節する」(adjust)という用語は、「変更する」(alter)を意味するように相互交換可能に使用される。
【0014】
本明細書において説明するシステム、機器、および方法は、限定として解釈しては決してならない。代わりに、本開示は、種々の開示する実施形態の態様が単独であっても、そして種々の組み合わせであっても、更に互いとのサブコンビネーションであっても、全て新規で非自明な特徴の達成に向けられる。開示するシステム、方法、および機器は、いずれの特定の態様にも、特徴にも、その組み合わせにも限定されず、更に開示するシステム、方法、および機器はいずれも、いずれか1つ以上の特定の利点が存在することも、問題が解決されることも求めない。あらゆる動作理論は、説明を容易にするためのものであるが、開示するシステム、方法、および機器はそのような動作理論に限定されるのではない。
【0015】
開示する方法のいくつかの動作は、利便性の良い表示のために特定の順序で説明されるが、下記に説明される特定の言語によって特定の順序が必要とされない限り、この説明の方法が並べ替えを包含することは理解されてしかるべきである。例えば、順番に記載される動作は、場合によっては、並べ替えるかまたは同時に実行してもよい。更に、簡略化のために、添付図面は、開示されたシステム、方法、及び機器を他のシステム、方法、及び機器と併用できる様々な方法を示さない場合がある。加えて、その説明はときとして、「生じさせる」および「提供する」等の用語を使用して、開示する方法を説明する。これらの用語は、実行される実際の動作の高度な抽象概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に応じて変化することになり、当業者によって容易に認識可能である。
【0016】
ある例では、値、手順、または機器が「最低」、「最良」、「最小」等と呼ばれることがある。このような説明は、多くの使用される機能的代用物から選択を行うことができ、このような選択は他の選択肢よりも必ずしも勝る、小さい、またそうでなければ好ましいという訳ではないことを示すという意図があることは認められよう。「上記の」(above)、「下記の」(below)、「上の」(upper)、「下の」(lower)等を示す方向を参照して、例について説明する。これらの用語は、説明の都合上使用されるのであって、特定の空間的な向きを暗示するのではない。
【0017】
定義
本明細書において使用する場合の単語および用語の定義
【0018】
1.「ビーム特性」(beam characteristics)という用語は、光ビームを記述するために使用される以下の用語の内1つ以上を指す。一般に、最も関心のあるビーム特性は、用途または光学システムの詳細次第で異なる。
【0019】
2.「ビーム径」(beam diameter)という用語は、放射照度(強度)が最大放射照度の1/e2に等しい軸に沿ったビームの中心を横切る距離として定義される。本明細書において開示する例は、一般に、方位角方向対称モードで伝搬するビームを使用するが、楕円形または他のビーム形状も使用することができ、ビーム径は異なる軸に沿って異なることもあり得る。円形ビームは1つのビーム径によって特徴付けられる。他のビーム形状は、異なる軸に沿って異なるビーム径を有する可能性がある。
【0020】
3.「スポット・サイズ」(spot size)という用語は、最大放射強度の中心点から1/e2点までの半径方向距離(半径)である。
【0021】
4.「ビーム発散分布」(beam divergence distribution)という用語は、パワー対最大円錐角である。この量は、「角度分布」(angular distribution)または「NA分布」(NA distribution)と呼ばれることもある。
【0022】
5.レーザ・ビームの「ビーム・パラメータ積」(beam parameter product)(BPP)という用語は、ビーム半径(ビームのくびれにおいて測定される)とビーム発散半角(遠場において測定される)との積として定義される。BPPの単位は通例mm-mradである。
【0023】
6.「閉じ込めファイバ」(confinement fiber)は、1つ以上の閉じ込め領域を保有するファイバであると定義される。ここで、閉じ込め領域は、屈折率が低い方の領域(クラッディング領域)によって包囲された屈折率が高い方の領域(コア領域)を含む。閉じ込めファイバのRIPは、屈折率が低い方の領域(クラッディング領域)によって包囲された1つ以上の屈折率が高い方の領域(コア領域)を含んでもよく、光は屈折率が高い方の領域内において誘導される。各閉じ込め領域および各クラッディング領域は、ステップ・インデックス型(step-index) およびグレーデッド・インデックス型(graded-index)を含むがこれらに限定されない、任意のRIPを有することができる。閉じ込め領域は、同心円状であってもなくてもよく、更に円形、環状、多角形、弓状、楕円形、または不規則形状等、あるいはこれらの組み合わせのような種々の形状であってもよい。特定の閉じ込めファイバにおける閉じ込め領域は、全て同じ形状であってもよく、または異なる形状であってもよい。更に、閉じ込め領域は同軸状であってもよく、または互いに対してずれた軸を有してもよい。閉じ込め領域は、長手方向の中心軸を中心に均一の厚さでもよく、または厚さは長手方向の中心軸を中心に変化してもよい。
【0024】
7.「強度分布」(intensity distribution)という用語は、線分(1Dプロファイル)に沿った位置または平面(2Dプロファイル)上における位置の関数としての光強度を指す。線分または平面は、光の伝搬方向に対して垂直に取られるのが普通である。これは定量的プロパティである。
【0025】
8.「輝度」(luminance)とは、所与の方向に進む光の単位面積当たりの光度の測光尺度である。
【0026】
9.「M2係数」(M2 factor)(「ビーム品質係数」または「ビーム伝搬係数」とも呼ぶ)は、レーザ・ビームのビーム品質を定量化するための、次元がないパラメータであり、M2=1の場合回折限界ビームであり、M2値が大きくなるに連れて低いビーム品質に対応する。M2はBPPをλ/πで除算した値に等しく、ここでλはミクロン単位のビームの波長である(BPPがmm-mrad単位で表される場合)。
【0027】
10.光学系の「開口数」(numerical aperture)または「NA」という用語は、その系が光を受け入れるまたは発することができる角度の範囲を特徴付ける、次元のない数値である。
【0028】
11.「光強度」(optical intensity)という用語は、正式な(SI)単位ではなく、表面上の単位面積当たりの入射パワーまたは平面を貫通する入射パワーを示すために使用される。
【0029】
12.「パワー密度」(power density)という用語は、単位面積当たりの光パワーを指すが、これは「光強度」(optical intensity)とも呼ばれる。
【0030】
13.「半径方向ビーム位置」(radial beam position)という用語は、ファイバ軸に対して垂直な方向におけるファイバ・コアの中心に関して測定されたファイバ内におけるビームの位置を指す。
【0031】
14.「放射輝度」(radiance)とは、光源(例えば、レーザ)の単位面積によって所与の方向に単位立体角当たり放出される放射光線(radiation)である。放射輝度は、ビーム強度分布および/またはビーム発散プロファイルもしくは分布を変化させることによって変更することができる。レーザ・ビームの放射輝度プロファイルを変化させる能力は、BPPを変化させる能力を暗示する。
【0032】
15.「屈折率分布」(refractive-index profile)または「RIP」は、ファイバ軸に対して垂直な線分(1D)に沿った位置、または平面(2D)における位置の関数とした屈折率を指す。多くのファイバは方位角方向に対称であり、この場合1D RIPはあらゆる方位角に対して同一となる。
【0033】
16.「ステップ・インデックス・ファイバ」(step-index fiber)は、ファイバ・コア内では平坦なRIPを有する(位置に関係ない屈折率)。
【0034】
17.「グレーデッド・インデックス・ファイバ」(graded-index fiber)は、半径方向位置が増大するに連れて(即ち、ファイバ・コアの中心からの距離が増大するに連れて)屈折率が減少するRIPを有する。
【0035】
18.「二乗分布型ファイバ」(parabolic-index fiber)は、グレーデッド・インデックス・ファイバの特異事例であり、ファイバ・コアの中心からの距離が増大するに連れて、屈折率が二次関数的に減少する。
【0036】
19.「自由空間伝搬」(free space propagation)または「無誘導伝搬」(unguided propagation)は、通例、ビーム・レイリー範囲よりも5倍、10倍、20倍、100倍またはそれ以上の光距離にわたって、1つ以上の導波路(光ファイバのような)に制約されることなく伝搬する光フビームを指すために使用される。このような伝搬は、ガラス、溶融シリカ、半導体、空中、結晶性材料、真空というような光媒体において可能である。
【0037】
20.「平行化ビーム」(collimated beam)は、一般に、ビームが平面波面を有する、有する場合がある(would have)、または有するように見える位置(ガウス・ビームの焦点におけるまたは光ファイバの出力におけるというな位置)からの視距離が、焦点距離fの焦点から焦点距離fの10%、5%、2%、1%、0.5%、0.1%未満となるように、レンズ、あるいは湾曲ミラー、フレネル・レンズ、またはホログラフ光学素子のような他の合焦素子を位置付けることによって生成される。
【0038】
ビーム特性を変化させるためのファイバ
本明細書において開示するのは、先に説明した従来の方法のコスト、複雑さ、光損失、またはその他の欠点を減らすことができ、可変ビーム特性(VBC)を有するレーザ・ビームを供給するように動作可能なファイバを提供するように構成された方法、システム、および機器である。このVBCファイバは、広範囲におよぶ多様な光ビーム特性を変化させるように構成される。このようなビーム特性は、VBCファイバを使用して制御することができ、つまり、ユーザが広く多様なレーザ処理用途の個々の要件に適するように、種々のビーム特性を調整する(tune)ことを可能にする。例えば、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、M2係数、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせを調整するために、VBCファイバを使用することができる。
【0039】
一般に、開示する技術は、レーザ・ビームをファイバ内に結合し、このファイバにおいて、種々の方法の内任意のもの(例えば、ファイバを折り曲げる、または1つ以上の他の摂動を導入する)によってレーザ・ビームに摂動を起こしおよび/または第1長のファイバに摂動を起こすことによってレーザ・ビームの特性を調節することができ、調節したビーム特性を完全にまたは部分的に第2長のファイバにおいて維持することを伴う。第2長のファイバは、調節したビーム特性を維持する、および/または更に修正するように特別に構成される。ある場合には、第2長のファイバは、レーザ・ビームのその最終的な使用(例えば、材料処理)への伝達の間中、調節したビーム特性を保存する。第1および第2長のファイバは、同じファイバまたは異なるファイバを含んでもよい。
【0040】
開示する技術は、レーザ・ファイバおよびファイバ結合レーザと適合する。ファイバ結合レーザは、通例、ステップ・インデックス型の屈折率分布(RIP)を有する伝送ファイバ、即ち、ファイバ・コア内の屈折率が平坦または一定である伝送ファイバを通じて出力を伝送する。実際には、伝送ファイバのRIPはファイバの設計によっては、完全に平坦ではない場合もある。重要なパラメータは、ファイバ・コア径(dcore)およびNAである。コア径は、通例、10~1000ミクロンの範囲内であり(しかし、他の値も可能である)、NAは、通例、0.06~0.22の範囲内である(しかし、他の値も可能であるx)。レーザからの伝送ファイバは、直接プロセス・ヘッドまたは作業片に導かれることもあり、あるいはファイバ間カプラ(FFC:fiber-to-fiber coupler)またはファイバ間スイッチ(FFS:fiber-to-fiber switch)に導かれることもあり、このカプラまたはスイッチが光を伝送ファイバからプロセス・ファイバに結合し、プロセス・ファイバがビームをプロセス・ヘッドまたは作業片に送信する。
【0041】
殆どの材料処理ツール、特に、高パワー(>1kW)のものは、多モード(MM:multimode)ファイバを採用するが、一部は、dcoreおよびNA範囲の下端にある単一モード(SM)ファイバを採用する。SMファイバからのビーム特性は、ファイバ・パラメータによって一意に決定される。しかしながら、MMファイバからのビーム特性は、ファイバに結合されているレーザ源(1つまたは複数)からのビーム特性、ファイバへの発射(launching)または繋ぎ(splicing)条件、ファイバのRIP、ファイバの静的および動的外形(曲げ、渦巻き、動き、マイクロベンディング等)に応じて、変動する可能性がある(単位毎、および/またはレーザ・パワーや時間の関数として)。SMおよびMM双方の伝送ファイバについては、所与の材料処理作業にとってビーム特性が最適にならない場合があり、広範囲の作業にとって最適になることはありそうにないので、特定の処理作業に合わせてこれらをカスタム化するまたは最適化するために、系統的にビーム特性を変化させることを可能にしたいという要望が高まっている。
【0042】
一例では、VBCファイバは第1長および第2長を有することができ、ビーム特性の所望の調節可能性を提供するために、伝送ファイバとプロセス・ファイバとの間におけるファイバ内デバイスとして介在させるように構成することができる。ビームの調節を可能にするために、摂動デバイスおよび/またはアセンブリをVBCファイバに近接して配置し、および/またはVBCファイバと結合し、ビーム特性がファイバの第1長において変更されるように、第1長においてビームに摂動を起こす役割を果たし、変更された特性は、ビームが第2長のファイバ内を伝搬する間保存されるか、または更に変更される。摂動を起こされたビームは、調節されたビーム特性を保存するように構成された第2長のVBCファイバ内に発射される。第1および第2長のファイバは、同じファイバでも異なるファイバでもよく、および/または第2長のファイバは閉じ込めファイバを構成することができる。第2長のVBCファイバによって保存されたビーム特性は、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、輝度、M2係数、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせの内任意のものを含むことができる。
【0043】
図1は、ビーム特性を変化させるために自由空間光学素子の使用を必要とせずに、可変ビーム特性を有するレーザ・ビームを提供するためのVBCファイバの例100を示す。VBCファイバ100は、第1長のファイバ104と第2長のファイバ108とを含む。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、同じファイバでも異なるファイバでもよく、同じRIPまたは異なるRIPを有してもよい。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、スプライスによって一緒に接合されてもよい。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、他の方法で結合されてもよく、離間されてもよく、あるいは他の長さのファイバ、自由空間光学素子、糊、屈折率整合材(index-matching material)等、またはこれらの組み合わせのような、介在部品を介して接続されてもよい。
【0044】
摂動デバイス110が、摂動領域106に近接して配置される、および/または摂動領域106を包み込む。摂動デバイス110は、デバイス、アセンブリ、ファイバ内構造、および/またはその他の機構(feature)でもよい。摂動デバイス110は、少なくとも、光ビーム102の1つ以上のビーム特性を調節するために、第1長のファイバ104または第2長のファイバ108、あるいはその組み合わせにおいて、光ビーム102に摂動を起こす。摂動デバイス110による摂動に応答するビーム102の調節は、第1長のファイバ104または第2長のファイバ、あるいはその組み合わせにおいて行われてもよい。摂動領域106は、種々の幅にわたって広がってもよく、更に第2長のファイバ108の一部に及んでも及ばなくてもよい。ビーム102がVBCファイバ100内を伝搬すると、摂動デバイス110は、ファイバに摂動を起こしビーム102の特性を調節するように、VBCファイバ100に物理的に作用することができる。あるいは、摂動デバイス110は、ビーム102のビーム特性を変更するために、直接ビーム102に作用してもよい。調節された後、摂動を起こされたビーム112はビーム102とは異なるビーム特性を有し、このビーム特性は第2長のファイバ108において完全にまたは部分的に保存される。他の例では、摂動デバイス110をスプライスに近接して配置する必要はない。更に、スプライスが全く不要となる場合もある。例えば、VBCファイバ100が1本のファイバである場合、第1長のファイバおよび第2長のファイバを離間させることができる場合、または小さな間隙をもって固定される場合である(空気で離間される、あるいは光セメントまたは屈折率整合材のような光材料で満たされる)。
【0045】
摂動を起こされたビーム112は、第2長のファイバ108内に発射され、この中で、摂動を起こされたビーム112の特性はほぼ維持されるか、または摂動を起こされたビーム112が伝搬するに連れて発達し続け、第2長のファイバ108の出力において、調節されたビーム特性が得られる。一例では、新たなビーム特性は調節された強度分布を含むのでもよい。一例では、変更されたビーム強度分布は、第2長のファイバ108の種々の構造的に制限された閉じ込め領域内に保存される。つまり、ビーム強度分布は、特定のレーザ処理作業に合わせて最適化された所望のビーム強度分布に調整することができる。一般に、摂動ビーム112の強度分布は、それが第2長のファイバ108内を伝搬するに連れて発達し、第1長のファイバ104内における条件および摂動デバイス110によって起こされた摂動に応答して、 摂動を起こされたビーム112が入射する閉じ込め領域(1つまたは複数)を満たす。加えて、ビームが第2ファイバ内を伝搬するに連れて、発射条件およびファイバ特性に応じて角度分布も発達することがある。一般に、ファイバは、入力発散分布をほぼ保存するが、入力発散分布が狭い場合、および/またはファイバが不規則性を有するもしくは発散分布に摂動を起こす意図的な構造を有する場合、この分布を広げることができる。種々の閉じ込め領域、摂動、および第2長のファイバ108のファイバ構造(fiber feature)については、以下で更に詳しく説明する。ビーム102および112は、可変ビーム特性を提供するために、ビームがどのようにVBCファイバ100を伝搬するとよいか例示することを意図した概念的な抽象化であり、特定の光ビームの挙動を詳しくモデル化することを意図するのではない。
【0046】
VBCファイバ100は、PCVD(プラズマ化学蒸着)、OVD(外部蒸着)、VAD(気相軸付け法)、MOCVD(金属有機化学蒸着)、および/またはDND(直接ナノ粒子堆積)を含む種々の方法によって製造することができる。VBCファイバ100は、種々の材料を含むことができる。例えば、VBCファイバ100は、SiO2、GeO2がドープされたSiO2、ゲルマノシリケート、五酸化りん、ホスホシリケート、Al2O3、アルミノケイ酸塩等、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。閉じ込め領域は、フッ素、硼素等またはその任意の組み合わせがドープされたクラッディングによって囲まれるとよい。アクティブ・ファイバには他のドーパントが添加されてもよく、Er3+(エルビウム)、Yb3+(イッテルビウム)、Nd3+(ネオジウム)、Tm3+(ツリウム)、Ho3+(ホルミウム)等、またはこれらの任意の組み合わせのような希土類イオンを含む。閉じ込め領域は、フッ素または硼素のドーピングによって、閉じ込め領域よりも低い屈折率を有するクラッディングによって囲まれるとよい。あるいは、VBCファイバ100はフォトニツク結晶ファイバまたは微細構造ファイバを含んでもよい。
【0047】
VBCファイバ100は、種々のファイバ、光ファイバ、またはファイバ・レーザ・デバイスの内任意のものにおける使用に適しており、連続波およびパルス状ファイバ・レーザ、ディスク・レーザ、固体レーザ、またはダイオード・レーザ(物理的制約による以外には、パルス・レートは制限を受けない)を含む。更に、単にファイバだけでなく、平面導波路または他の種類の導波路における実装も、特許請求する技術の範囲内に該当する。
【0048】
図2は、光ビームのビーム特性を調節するためのVBCファイバの例200の断面図を示す。一例では、VBCファイバ200はプロセス・ファイバとしてもよい。何故なら、これは材料処理のためにビームをプロセス・ヘッドに伝送することができるからである。VBCファイバ200は、接合部206において第2長のファイバ208に繋がれた第1長のファイバ204を含む。摂動アセンブリ210が、接合部206に近接して配置される。摂動アセンブリ210は、VBCファイバ200内を伝搬する光ビーム202のビーム特性の調節を可能にするように構成された種々のデバイスの内任意のものでよい。一例では、摂動アセンブリ210は、スプライス付近においてVBCファイバ200の曲げ半径および/または曲げ長を変化させる手段を提供することができるマンドレル(mandrel)および/または他のデバイスでもよい。摂動デバイスの他の例について、
図24に関して以下で論ずる。
【0049】
一例では、第1長のファイバ204は、左側のRIPグラフによって示されるように、二乗分布型屈折率RIP212を有する。ビーム202の強度分布の殆どは、ファイバ204が直線状またはほぼ直線状であるときは、ファイバ204の中央に集中する。第2長のファイバ208は、右側のRIPグラフに示すようなRIP214を有する閉じ込めファイバである。第2長のファイバ208は、閉じ込め領域216、218、および220を含む。閉じ込め領域216は、2つの環状(またはリング形状)閉じ込め領域218および220によって囲まれた中央コアである。層222および224は、閉じ込め領域(216、218、および220)間における、屈折率がもっと低い材料の構造的バリアであり、一般に「クラッディング」領域と呼ばれる。一例では、層222および224は、フルオロケイ酸塩のリングを構成してもよく、ある実施形態では、フルオロケイ酸塩のクラッディング層は比較的薄い。他の材料も同様に使用することができ、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0050】
一例では、ビーム202がVBCファイバ200に沿って伝搬すると、摂動アセンブリ210が物理的にファイバ208および/またはビーム202に作用して、そのビーム特性を調節し、調節されたビーム226を生成することができる。この例では、ビーム202の強度分布が摂動アセンブリ210によって修正される。ビーム202の調節後では、調節されたビーム226の強度分布は、外側の閉じ込め領域218および220に集中することができ、中央の閉じ込め領域216では比較的小さい強度となる。閉じ込め領域216、218、および/または220の各々はバリア層222および224において屈折率がもっと低い材料の薄い層によって分離されるので、第2長のファイバ208は、調節されたビーム226の調節された強度分布を実質的に維持することができる。ビームは、通例、所与の閉じ込め領域内で方位角方向に分散される(distribute)が、第2長のファイバ208に沿って伝搬する際に、閉じ込め領域間で(著しく)移行することはない。つまり、調節されたビーム226の調節されたビーム特性は、分離された閉じ込め領域216、218、および/または220内においてほぼ保存される。ある場合には、ビーム226のパワーが1つの領域に集中するのではなく、閉じ込め領域216、218、および/または220間で分割されることが望ましいこともあり、この条件は、しかるべく調節されたビーム226を生成することによって達成することができる。
【0051】
一例では、コア閉じ込め領域216ならびに環状閉じ込め領域218および220は、溶融シリカ・ガラスで構成されてもよく、閉じ込め領域を定めるクラッディング222および224は、フルオロケイ酸塩ガラスで構成されてもよい。種々の閉じ込め領域(216、218、および220)を形成するためには、他の材料を使用してもよく、ゲルマノケイ酸塩、りんケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等、またはこれらの組み合わせを含み、特許請求する主題がそれに限定されることはない。バリア・リング(222および224)を形成するには、溶融シリカ、ホウケイ酸等、またはこれらの組み合わせを含む他の材料を使用してもよく、特許請求する主題がそれらに限定されることはない。他の実施形態では、光ファイバまたは導波路は、種々のポリマー、またはプラスチック、または結晶材料を含む、またはこれらによって構成される。一般に、コア閉じ込め領域の屈折率は、隣接するバリア/クラッディング領域の屈折率よりも大きい。
【0052】
ある例では、ビーム・プロファイルを微調整するために、第2長のファイバにおける閉じ込め領域の数を増やして、ビーム変位に対するビーム制御の粒度を高めることが望ましい場合もある。例えば、閉じ込め領域は、段階的なビーム変位が得られるように構成されてもよい。
【0053】
図3は、光ビームの可変ビーム特性を提供するためにファイバ200に摂動を起こす方法の例を示す。ファイバの曲げ半径を変化させると、ファイバ内におけるビームの半径方向ビーム位置、発散角、および/または放射輝度プロファイルを変化させることができる。VBCファイバ200の曲げ半径は、ステップ型マンドレル(stepped mandrel)またはコアを摂動アセンブリ210として使用することによって、スプライス接合部206を中心として、第1曲げ半径R
1から第2曲げ半径R
2に減少させることができる。加えてまたは代わりに、マンドレル(1つまたは複数)またはコアの係合長も変化させることができる。VBCファイバ200を摂動アセンブリ210に係合させるために、ローラ250を採用してもよい。一例では、ローラ250のファイバ200との係合量は、固定のマンドレル半径を用いて、強度プロファイルの分布をファイバ200の外側の閉じ込め領域218および220に移すように示されている。ファイバ200の曲げ半径を変化させるには、クランプ・アセンブリ(clamping assembly)、フレキシブル・チューブ(flexible tubing)等、またはその組み合わせを使用するというように、種々の他の方法があり、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。他の例では、特定の曲げ半径に対して、VBCファイバ200が曲げられる長さも、制御され再現可能な方法で、ビーム特性を変化させることができる。例では、曲げ半径、および/または特定の曲げ半径においてファイバが曲げられる長さを変化させることによっても、1つ以上のモードをファイバ・コアの中心から半径方向に移すことができるように、ビームの強度分布を修正する。
【0054】
接合部206を跨ぐファイバの曲げ半径を維持することによって、光ビーム202の半径方向ビーム位置および放射輝度プロファイルのような調節されたビーム特性が、第2長のファイバ208に発射される前に、ビーム202の非摂動状態に戻らないことを確保する。更に、調節されたビーム226の位置、発散角、および/または強度分布を含む、調節された半径方向ビーム特性を、VBCファイバ200曲げ半径の減少度合いおよび/または曲げ長の度合いに基づいて変化させることができる。このように、この方法を使用すると、特定のビーム特性を得ることができる。
【0055】
現在の例では、第1RIP212を有する第1長のファイバ204は、接合部206において、第2RIP214を有する第2長のファイバ208に繋がれる。しかしながら、ビーム202のビーム特性の摂動を可能にする(例えば、マイクロベンディングによって)、更に調節されたビームの保存を可能にするように形成された1つのRIPを有する1本のファイバを使用することは可能である。このようなRIPは、
図17、
図18、および/または
図19に例示されるファイバにRIPと同様であってもよい。
【0056】
図7~
図10は、VBCファイバ200(
図2および
図3において示した)に対する実験結果を示し、更に、摂動アセンブリ210がVBCファイバ200に作用してファイバを曲げたときの、VBCファイバ200の摂動に対するビーム応答も示す。
図4~
図6はシミュレーションであり、
図7~
図10は、SM1050nm光源からのビームが、40ミクロンのコア径を有する入力ファイバ(図示せず)に発射されたときの実験結果である。入力ファイバは、第2長のファイバ204に繋がれている。
【0057】
図4は、異なるファイバ曲げ半径402に対する第1長のファイバ204について計算された最低次モード(LP
01)のプロファイルを示すグラフの例400であり、ここでは、摂動アセンブリ210はVBCファイバ200を曲げることを伴う。ファイバの曲げ半径が減少するに連れて、VBCファイバ200のコアの中心404(r=0ミクロン)からコア/クラッディング界面(この例ではr=100ミクロンに位置する)に向けて遠ざかるように、モードが半径方向に移るように、VBCファイバ200内を伝搬する光ビームが調節される。これよりも高次のモード(LP
in)も、曲げによって移る。つまり、直線状またはほぼ直線状のファイバ(曲げ半径が非常に大きい)では、LP
01の曲線406は、VBCファイバ200の中心または中心付近を中心とする。約6cmの曲げ半径では、LP
01の曲線408は、VBCファイバ200の中心406から約40μmの半径方向位置に移される。約5cmの曲げ半径では、LP
01の曲線410は、VBCファイバ200の中心406から約50μmの半径方向位置に移される。約4cmの曲げ半径では、LP
01の曲線412は、VBCファイバ200の中心406から約60μmの半径方向位置に移される。約3cmの曲げ半径では、LP
01の曲線414は、VBCファイバ200の中心406から約80μmの半径方向位置に移される。約2.5cmの曲げ半径では、LP
01の曲線416は、VBCファイバ200の中心406から約85μmの半径方向位置に移される。尚、このモードの形状は比較的一定のままであり(コアのエッジに近づくまで)、これは二乗分布型RIPの特異なプロパティであることを注記しておく。このプロパティは、ある状況では望ましい場合もあるが、VBC機能のために必須であるのではなく、他のRIPが採用されてもよい。
【0058】
一例では、VBCファイバ200を真っ直ぐにした場合、LP
01モードは、ファイバの中心に戻るように移る。つまり、第2長のファイバ208の目的は、ビームの調節された強度分布を、VBCファイバ200の中心から変位した閉じ込め領域に「捕獲する」または閉じ込めることである。ファイバ204および208間のスプライスは、曲げ領域に含まれ、このために、移されたモード・プロファイルは、リング形状の閉じ込め領域218および220の一方に優先的に発射され、そうでなければ閉じ込め領域間で分散されることになる。
図5および
図6はこの効果を示す。
【0059】
図5は、VBCファイバ200がほぼ直線状であるときの、第2長のファイバ208内の接合部206における二次元強度分布の例を示す。LP
01およびLP
inの大部分が、ファイバ208の閉じ込め領域216内にある。
図6は、VBCファイバ200が、第2長のファイバ208の閉じ込め領域220(最も外側の閉じ込め領域)を優先的に励起するように選択された半径で曲げられたときの、第2長のファイバ208内の接合部206における二次元強度分布を示す。LP
01およびLP
inの大部分が、ファイバ208の閉じ込め領域220内にある。
【0060】
一例では、第2長のファイバ208の閉じ込め領域216の直径は100ミクロンであり、閉じ込め領域218は、直径が120ミクロンと200ミクロンとの間であり、閉じ込め領域220は、直径が220ミクロンと300ミクロンの間である。閉じ込め領域216、218、および220は、厚さ10μmのフルオロケイ酸塩のリングによって分離されており、これらの閉じ込め領域に対して0.22のNAが得られる。閉じ込め領域の内径および外径、閉じ込め領域を分離するリングの厚さ、閉じ込め領域に対するNA値、ならびに閉じ込め領域の数は、他のものも採用することができる。
【0061】
再度
図5を参照して、先に記したパラメータを用いると、VBCファイバ200が直線状であるとき、パワーの約90%が中央の閉じ込め領域216内に収容され、パワーの約100%が閉じ込め領域216および218内に収容される。ここで
図6を参照すると、第2リング閉じ込め領域220を優先的に励起するようにファイバ200を曲げると、パワーのほぼ75%が閉じ込め領域220内に収容され、パワーの95%超が閉じ込め領域218および220内に収容される。これらの計算には、LP
01および2つのこれよりも高次のモードが含まれるが、これは2~4kWファイバ・レーザにおいては典型的である。
【0062】
図5および
図6から、摂動アセンブリ210がファイバを曲げるためにVBCファイバ200に作用する場合、曲げ半径が、第1長のファイバ204のモード強度分布の第2長のファイバ208の異なる誘導閉じ込め領域(216、218、および220)との空間的重複を決定することは明らかである。つまり、曲げ半径を変化させると、第2長のファイバ208の出力において強度分布を変化させることができ、これによってビームの直径またはスポット・サイズを変化させ、こうしてその放射輝度およびBPP値も変化させることができる。このスポット・サイズの調節は、全ファイバ構造において遂行することができ、自由空間光学素子を伴わず、結果的に、先に論じた自由空間光学素子の欠点を低減または解消することができる。また、このような調節は、曲げ半径、曲げ長、ファイバ張力、温度、または以下で論ずるその他の摂動を変更する他の摂動アセンブリによって行うこともできる。
【0063】
典型的な材料処理システム(例えば、切断または溶接ツール)では、プロセス・ファイバの出力が、プロセス・ヘッドによって、作業片においてまたはその近くで撮像される。つまり、
図5および
図6に示したように強度分布を変化させると、プロセスを所望通りに調整および/または最適化するために、作業片におけるビーム・プロファイルの変更(variation)が可能になる。以上の計算を目的にするためにのみ、2つのファイバに対して特定的なRIPを想定したが、他のRIPも可能であり、特許請求する主題がこれに関して限定されないことはない。
【0064】
図7~
図10は、
図2に示したVBCファイバ200の種々の曲げ半径に対する、更に他の出力ビームを例示するために、実験結果(測定された強度分布)を示す。
【0065】
図7において、VBCファイバ200が直線状であるとき、ビームはほぼ完全に閉じ込め領域216に閉じ込められる。曲げ半径が減少するに連れて、強度分布は大きな直径の方に移っていく(
図8~
図10)。
図8は、VBCファイバ200の曲げ半径が、閉じ込め領域218に優先的に強度分布を移すように選択されたときの強度分布を示す。
図9は、曲げ半径を更に減少させ、閉じ込め領域220および閉じ込め領域218に向かって外側に強度分布を移すように選択されたときの実験結果を示す。
図10において、最も小さい曲げ半径のとき、ビームはほぼ「ドーナツ・モード」となり、強度の殆どが最も外側の閉じ込め領域220に入っている。
【0066】
スプライス接合部206の一方側からの閉じ込め領域の励起にも拘わらず、強度分布は、ビームがVBCファイバ200内を伝搬するときの閉じ込め領域内部のスクランブリング(scrambling)のために、方位角方向にほぼ対称になる。ビームは、伝搬するときに、方位角方向にスクランブルするのが通例であるが、このプロセスを促進するために、種々の構造または摂動(例えば、コイル)を含ませることができる。
【0067】
図7~
図10に示した実験に使用されたファイバ・パラメータについて、複数の閉じ込め領域に何らかの強度が存在したので、特定の閉じ込め領域だけが排他的に励起されることはなかった。この特徴は、ビーム強度分布をより平坦化するまたは分散することによって材料処理用途に最適化し、有利に活用することができる。所与の閉じ込め領域の励起をもっと明確にしなければならない用途では、異なるファイバRIPを採用すれば、この特徴を活用することができる。
【0068】
図7~
図10に示す結果は、この実験において使用された特定のファイバに関するのであり、詳細は実施の詳細によって様々に変化する。具体的には、出力ビームの空間プロファイルおよび発散分布、ならびにそれらの曲げ半径に対する依存度は、採用される特定のRIP、スプライス・パラメータ、および第1ファイバに発射されるレーザ源の特性に依存する。
【0069】
図2に示したものとは異なるファイバ・パラメータも使用してもよく、特許請求する主題の範囲内に入ることに変わりはない。具体的には、異なる入力ビーム・プロファイルとの適合性を促進するため、そして異なる出力ビーム特性を可能にするために、異なるRIPならびにコア・サイズおよび形状を使用してもよい。第1長のファイバに対するRIPの例には、
図2に示した二乗分布型の屈折率分布に加えて、他のグレーデッド・インデックス型分布、ステップ・インデックス、ペデスタル設計(pedestal design)(即ち、ファイバの中心からの距離が大きくなるに連れて累進的に屈折率が低くなるネスト状コア)、および屈折率値は同じであるが、中央コアおよび周囲のリングに対して種々のNA値を用いるネスト状コアによる設計が含まれる。第2長のファイバに対するRIPの例には、
図2に示した分布に加えて、閉じ込め領域の数が異なる閉じ込めファイバ、非均一な閉じ込め領域の厚さ、閉じ込め領域を囲むリングの厚さに対する異なるおよび/または非均一な値、閉じ込め領域に対する異なるおよび/または非均一なNA値、RIPの高屈折率および低屈折率部分に対する異なる屈折率値、円形以外の閉じ込め領域(楕円形、長円形、多角形、正方形、矩形、またはこれらの組み合わせのような領域)、更に
図26~
図28に関して更に詳しく論ずるようなその他の設計が含まれる。更に、VBCファイバ200、および本明細書において説明するVBCファイバの他の例は、2本のファイバの使用に限定されるのではない。ある例では、実施態様が1本のファイバまたは2本よりも多いファイバの使用を含んでもよい。ある場合には、ファイバ(1本または複数本)は軸方向に均一でなくてもよい。例えば、これらは、ファイバ・ブラグ・グレーティングまたは長周期グレーティングを含むことができ、あるいは直径がファイバの長さに沿って変化することも可能である。加えて、ファイバは、方位角方向に対称である必要はなく、例えば、コア(1つまたは複数)が正方形または多角形の形状を有することも可能である。種々のファイバ・コーティング(バッファ)を採用してもよく、高屈折率または屈折率整合コーティング(ガラス-ポリマー界面において光を除去する(strip))、および低屈折率コーティング(ガラス-ポリマー界面において全内部反射によって光を誘導する)を含む。ある例では、VBCファイバ200上に複数のファイバ・コーティングを使用してもよい。
【0070】
図11~
図16は、第1長のファイバ内を伝搬する光ビームの摂動に応答して、VBCファイバにおけるビーム特性の調節を可能にするための、第1長のファイバの例の断面図を示す。第1長のファイバにおいて調節することができるビーム特性のいくつかの例には、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、輝度、M
2係数、NA、光強度プロファイル、パワー密度プロファイル、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせがある。
図11~
図16に示し以下で説明する第1長のファイバは、単なる例であり、VBCファイバ・アセンブリにおけるビーム特性の調節を可能にするために利用することができる種々の第1長のファイバの網羅的な列挙(recitation)を示すのではない。
図11~
図16に示す第1長のファイバに対する材料、適切なRIP、およびその他の変数の選択は、少なくとも、所望のビーム出力に依存する。多種多様なファイバ変数が考えられ、特許請求する主題の範囲内に入る。つまり、特許請求する主題がここで示される例によって限定されることはない。
【0071】
図11において、第1長のファイバ1100は、ステップ・インデックス型分布1102を含む。
図12は、「ペデスタルRIP」(即ち、ステップ・インデックス領域と、これを取り囲むもっと大きなステップ・インデックスの領域とを含むコア)1202を含む第1長のファイバ1200を示す。
図13は、多重ペデスタルRIP(multiple-pedestal RIP)1302を含む第1長のファイバ1300を示す。
【0072】
図14Aは、ドープ減少領域(down-doped region)1404によって囲まれたグレーデッド・インデックス型分布1418を含む第1長のファイバ1400を示す。ファイバ1400に摂動が起こされると、ファイバ1400においてモードが半径方向の外側に移る(例えば、ファイバ1400の曲げの間)として差し支えない。グレーデッド・インデックス型分布1402は、モード形状の維持または圧縮をも促進するように設計することができる。この設計は、ファイバの外周(即ち、ファイバ軸から変位したファイバ・コアの部分)に集中するビーム強度分布を有するビームを生成するように、ファイバ1400内を伝搬するビームの調節を促進することができる。先に説明したように、調節されたビームが、閉じ込め領域を有する第2長のファイバ内に結合されると、調節されたビームの強度分布を最も外側の閉じ込め領域内に捕獲し、ドーナツ形状の強度分布を得ることができる。ビーム・スポットが狭い外側閉じ込め領域を有すると、特定の材料処理作用を可能にするのに有用となる場合もある。
【0073】
図14Bは、ファイバ1400と同様に、 ドープ減少領域1408によって囲まれたグレーデッド・インデックス型分布1414を含む第1長のファイバ1406を示す。しかしながら、ファイバ1406は、分布1412において見ることができるように、発散構造1410(低屈折率領域)を含む。発散構造1410は、周囲のコアよりも低い屈折率を有する材料のエリアである。ビームが第1長のファイバ1406に発射されると、発散構造1410からの屈折が、第1長のファイバ1406においてビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームの発散構造1410との空間的重複量、および発散構造1410とコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。発散構造1410は、入力発散分布および所望の出力発散分布に応じて、種々の形状を有することができる。一例では、発散構造1410は、三角形またはグレーデッド・インデックス形状を有する。
【0074】
図15は、屈折率一定領域1504によって囲まれた二乗分布型屈折率の中央領域1502を含む第1長のファイバ1500を示し、屈折率一定領域1504は、それよりも屈折率が低い環状層1506によって囲まれている。低屈折率環帯1506は、ファイバ1500内を伝搬するビームを誘導するのを補助する。伝搬するビームが摂動を受けると、モードはファイバ1500において半径方向に外側に移る(例えば、ファイバ1500の曲げの間)。1つ以上のモードが半径方向の外側に移ると、二乗分布型屈折率領域1502はモード形状の保持を促進する。モードがRIP1510の屈折率一定領域に達すると、これらは低屈折率リング1506に衝突して(against)圧縮され、これによって、第2ファイバにおける最外側の閉じ込め領域の優先的励起が生ずる(
図14に示す第1ファイバRIPと比較して)。一実施態様では、このファイバ設計は、中央のステップ・インデックス・コアおよび1つの環状コアを有する閉じ込めファイバと相性がよい。RIPの二乗分布型屈折率部分1502は、閉じ込めファイバの中央のステップ・インデックス・コアと重複する。屈折率一定部分1504は、閉じ込めファイバの環状コアと重複する。第1ファイバの屈折率一定部分1504は、曲げによって、環状コアとの重複部分にビームを移動させやすくすることを意図している。このファイバ設計は、閉じ込めファイバの他の設計とも相性がよい。
【0075】
図16は、誘導領域1604、1606、1608、および1616と、これらを取り囲み、これらよりも屈折率が低い層1610、1612、および1614とを含む第1長のファイバ1600を示す。屈折率が低い方の層1610、1612、および1614は、ステップ型であり、更に一般的には、全てが同じ値を有していない。ステップ・インデックス層は、摂動アセンブリ210(
図2参照)がファイバ1600に作用したときに、ビーム強度を特定の誘導領域(1604、1606、1608、および1616)に拘束する役割を果たすことができる。このように、ある範囲の摂動作用にわたって(ある範囲の曲げ半径、ある範囲の曲げ長、ある範囲のマイクロベンディング圧力、および/またはある範囲の音響光学信号にわたってというように) 調節されたビーム光が誘導領域に捕獲され、ビーム強度分布がファイバ1600においてもっと離れた半径方向位置に移される前に、一定の度合いの摂動許容度を考慮に入れるようにしてもよい。つまり、ビーム特性の変化は、階段状に制御することができる。誘導領域1604、1606、1608、および1616の半径方向の幅は、用途によって要求されてもよいように、所望のリング幅を達成するために調節することができる。また、誘導領域は、所望であれば、到達するビーム・プロファイルからより多くの断片の捕獲をし易くするために、もっと厚い半径方向幅を有することができる。領域1606はこのような設計の一例である。
【0076】
図17~
図21は、第2長のファイバ(例えば、ファイバ208)において、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするように構成されたファイバの例を示す。これらのファイバ設計を「リング形状閉じ込めファイバ」と呼ぶ。何故なら、これらは、中央コアと、これを取り囲む環状またはリンク形状コアとを含むからである。これらの設計は単なる例に過ぎず、ファイバ内における、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするために使用することができる種々のファイバRIPの網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示す例に限定されることはない。更に、
図11~
図16に関して先に説明した第1長のファイバはいずれも、
図17~
図21において説明する第2長のファイバのいずれとでも組み合わせることができる。
【0077】
図17は、VBCファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビーム特性を維持するおよび/または閉じ込めるための第2長のファイバの一例の断面図を示す。摂動を受けたビームが第1長のファイバから第2長のファイバ1700に結合されると、第2長のファイバ1700は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性の内少なくとも一部を、閉じ込め領域1704、1706、および/または1708の内1つ以上の中に維持することができる。ファイバ1700はRIP1702を有する。閉じ込め領域1704、1706、および/または1708の各々は、それよりも屈折率が低い層1710および/または1712によって取り囲まれている。この設計によって、第2長のファイバ1700が、調節されたビーム特性を維持することが可能になる。その結果、ファイバ1700によるビーム出力は、第1長のファイバにおいて修正されたままに、調節されたビームを受けて実質的に維持し、処理作業または他の用途に合わせてカスタム化することができる調節ビーム特性(adjusted beam characteristics)を、出力ビームに与える。
【0078】
同様に、
図18は、VBCファイバ・アセンブリにおいて、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を維持するおよび/または閉じ込めるための第2長のファイバの例1800の断面図を示す。ファイバ1800はRIP1802を有する。しかしながら、閉じ込め領域1808、1810、および/または1812は、閉じ込め領域1704、1706、および1708とは異なる厚さを有する。閉じ込め領域1808、1810、および/または1812の各々は、それよりも屈折率が低い層1804および/または1806によって取り囲まれている。閉じ込め領域(および/またはバリア領域)の厚さを変化させることにより、調節されたビームを閉じ込めるようとする特定の半径方向位置を選択することによって、閉じ込められた調節放射輝度プロファイルの個別調整(tailoring)または最適化を可能にする。
【0079】
図19は、可変ビーム特性を提供するように構成されたVBCファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームを維持するおよび/または閉じ込めるための、RIP1902を有する第2長のファイバの例1900の断面図を示す。この例では、閉じ込め領域1904、1906、1908、および1910の数および厚さは、ファイバ1700および1800とは異なり、バリア層1912、1914、および1916も異なる厚さのものとなっている。更に、閉じ込め領域1904、1906、1908、および1910は異なる屈折率を有し、バリア層1912、1914、および1916も異なる屈折率を有する。この設計は、更に、ファイバ1900内部の特定の半径方向位置への調節されたビーム放射輝度の閉じ込めおよび/または維持の一層粒度の高いあるいは最適化された個別調整を可能にするとして差し支えない。摂動を起こされたビームが第1長のファイバから第2長のファイバ1900に発射されると、ビームの修正されたビーム特性(調節された強度分布、半径方向位置、および/または発散角等、あるいはこれらの組み合わせを有する)が第2長のファイバ1900の閉じ込め領域1904、1906、1908、および/または1910の内1つ以上によって、特定の半径に閉じ込められる。
【0080】
先に注記したように、ビームの発散角が保存されてもよく、または調節され次いで第2長のファイバにおいて保存されてもよい。ビームの発散角を変化させるには種々の方法がある。以下にあげるのは、ビーム特性を変化させるためのファイバ・アセンブリにおいて、第1長のファイバから第2長のファイバに伝搬するビームの発散角の調節を可能にするように構成されたファイバの例である。しかしながら、これらは単なる例に過ぎず、ビーム発散の調節を可能にするために使用することができる種々の方法の網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示される例に限定されることはない。
【0081】
図20は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるための、RIP2002を有する第2長のファイバの例の断面図を示す。この例では、第2長のファイバ2000は、以前に説明した第2長のファイバと同様であり、先に論じたように可変ビーム特性を伝えるためのVBCファイバ・アセンブリの一部を形成する。3つの閉じ込め領域2004、2006、および2008、ならびに3つのバリア層2010、2012、および2016がある。また、第2長のファイバ2000は、閉じ込め領域2006内に位置する発散構造2014も有する。発散構造2014は、周りの閉じ込め領域よりも低い屈折率を有する材料のエリアである。ビームが第2長のファイバ2000に発射されると、発散構造2014からの屈折が、第2長のファイバ2000においてビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームと発散構造2014との空間的重複量、および発散構造2014とコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。第2長のファイバ2000への発射点付近においてビームの半径方向位置を調節することによって、発散分布を変化させることができる。ビームの調節された発散は、ファイバ2000内に保存される。ファイバ2000は、調節されたビームをプロセス・ヘッド、他の光学系(例えば、ファイバ間カプラまたはファイバ間スイッチ)、作業片等、またはこれらの組み合わせに伝送するように構成される。一例では、発散構造2014は、周りの材料に関して約10
-5~3×10
-2の屈折率の低下(dip)を有するとよい。屈折率低下の他の値も、本開示の範囲内で採用することもでき、特許請求する主題がそのように限定されることはない。
【0082】
図21は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるための、RIP2102を有する第2長のファイバの例2100の断面図を示す。第2長のファイバ2100は、可変特性を有するビームを伝送するためのVBCファイバ・アセンブリの一部を形成する。この例では、3つの閉じ込め領域2104,2106、および2018、ならびに3つのバリア層2110、2112、および2116がある。また、第2長のファイバ2100は、複数の発散構造2114および2118も有する。発散構造2114および2118は、傾斜状に屈折率が低くなる材料のエリアである。ビームが第1長のファイバから第2長のファイバ2100に発射されると、発散構造2114および2118からの屈折が、ビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームと発散構造との空間的重複の量、ならびに、発散構造2114および/または2118とそれぞれの閉じ込め領域2106および2104の周りのコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。第2長のファイバ2100への発射点付近においてビームの半径方向位置を調節することによって、発散分布を変化させることができる。
図21に示す設計は、特定の閉じ込め領域と、この閉じ込め領域内における発散分布との双方を選択することによって、強度分布および発散分布をいくらか独立して変化させることを可能にする(各閉じ込め領域が発散構造を含んでもよいためである)。ビームの調節された発散は、ファイバ2100内に保存される。ファイバ2100は、調節されたビームをプロセス・ヘッド、他の光学系、または作業片に伝送するように構成される。発散構造2114および2118をグレーデッド・インデックス、即ち、一定でない屈折率によって形成することにより、ファイバ2100内を伝搬するビームの発散プロファイルの調整が可能になる。放射輝度プロファイルおよび/または発散プロファイルのような、調節されたビーム特性は、これが第2ファイバによってプロセス・ヘッドに伝送されるときに、保存することができる。あるいは、放射輝度プロファイルおよび/または発散プロファイルのような調節されたビーム特性は、これが第2ファイバによってファイバ間カプラ(FFC)および/またはファイバ間スイッチ(FFC)を介して、ビームをプロセス・ヘッドまたは作業片に伝送するプロセス・ファイバに導かれるときに、保存する、または更に調節することもできる。
【0083】
図26~
図28は、方位角方向に非対称的な第2長のファイバ内を伝搬するビームの調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするように構成されたファイバおよびファイバRIPの例を示す断面図であり、ビーム特性は、第2長のファイバに結合された第1長のファイバの摂動、および/または摂動デバイス110によるビームの摂動に応答して調節される。これらの方位角方向に非対称的な設計は、単なる例に過ぎず、方位角方向に非対称的なファイバ内における、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするために使用することができる種々のRIPの網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示す例に限定されることはない。更に、種々の第1長のファイバ(例えば、先に説明したもののようなファイバ)の内任意のものが、任意の方位角方向に非対称的な第2長のファイバ(例えば、
図26~
図28において説明するもののようなファイバ)と組み合わされてもよい。
【0084】
図26は、楕円状ファイバ2600を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。第1方位角2602において、ファイバ2600は第1RIP2604を有する。第1方位角2602から45°回転した第2方位角2606において、ファイバ2600は第2RIP2608を有する。第2方位角2606から更に45°回転した第3方位角2610において、ファイバ2600は第3RIP2612を有する。第1、第2、および第3RIP2604、2608、および2612は全て異なる。
【0085】
図27は、多重コア・ファイバ2700を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。第1方位角2702において、ファイバ2700は第1RIP2704を有する。第2方位角2706において、ファイバ2700は第2RIP2708を有する。第1および第2RIP2704および2708は異なる。一例では、摂動デバイス110は、調節されたビームを、方位角方向に非対称的な第2ファイバの異なる領域に発射するために複数の平面において作用することができる。
【0086】
図28は、少なくとも1つの三日月形状のコアを有するファイバ2800を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。ある場合には、三日月の角部を丸めても、平坦にしても、またはそれ以外の形状にしてもよく、こうすることによって光損失を最小限に抑えることができる。第1方位角2802において、ファイバ2800は第1RIP2804を有する。第2方位角2806において、ファイバ2800は第2RIP2808を有する。第1および第2RIP2804および2808は異なる。
【0087】
図22Aは、可変ビーム特性を提供するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含むレーザ・システムの例2200を示す。VBCファイバ・アセンブリ2202は、第1長のファイバ104、第2長のファイバ108、および摂動デバイス110を含む。VBCファイバ・アセンブリ2202は、供給ファイバ2212(即ち、レーザ源からの出力ファイバ)とVBC伝送ファイバ2240との間に配置される。VBC伝送ファイバ2240は、調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込める、第2長のファイバ108または第2長のファイバ108の延長部を含んでもよい。ビーム2210は、供給ファイバ2212を通じて、VBCファイバ・アセンブリ2202に結合される。ファイバ・アセンブリ2202は、以上で説明した種々の例にしたがって、ビーム2210の特性を変化させるように構成される。ファイバ・アセンブリ2202の出力は、調節されたビーム2214であり、VBC伝送ファイバ2240に結合される。VBC伝送ファイバ2240は、調節されたビーム2214を自由空間光学素子アセンブリ2208に伝送し、次いで、自由空間光学素子アセンブリ2208はビーム2214をプロセス・ファイバ2204に結合する。次いで、調節されたビーム2214は、プロセス・ファイバ2204によって、プロセス・ヘッド2206に伝送される。プロセス・ヘッドは、導波路光学素子(ファイバおよびファイバ・カプラのような素子)、レンズ、ミラー、光学フィルタ、回折格子のような自由空間光学素子、検流計スキャナ、ポリゴン・ミラー・スキャナ、またはビーム2214を整形し整形したビームを作業片に伝送するために使用される他のスキャン・システムのようなビーム・スキャン・アセンブリを含むことができる。
【0088】
レーザ・システム2200では、調節されたビーム2214の種々の光学的操作(
図22Aにおいてビーム2210とは異なる点線(dashing)で表される)を実行するために、アセンブリ2208の自由空間光学素子の内1つ以上がFFCまたは他のビーム・カプラ2216内に配置されてもよい。例えば、自由空間光学素子アセンブリ2208は、ビーム2214の調節されたビーム特性を保存することもできる。プロセス・ファイバ2204は、VBC伝送ファイバ2240と同じRIPを有してもよい。つまり、調節されたビーム2214の調節されたビーム特性は、プロセス・ヘッド2206に至る経路の全てで保存することができる。プロセス・ファイバ2204は、閉じ込め領域を含む前述の第2長のファイバの内任意のものと同様のRIPを含んでもよい。
【0089】
あるいは、
図22Bに示すように、自由空間光学素子アセンブリ2208は、例えば、ビーム2214の発散および/またはスポット・サイズを増大あるいは減少させることによって(例えば、ビーム2214を拡大または縮小することによって)、および/またはそれ以外で更に調節されたビーム2214を修正することによって、ビーム2214の調節されたビーム特性を変化させることもできる。更に、プロセス・ファイバ2204は、VBC伝送ファイバ2240とは異なるRIPを有してもよい。したがって、プロセス・ファイバ2204のRIPは、2回調節されたビーム2224(
図22Bにおいてビーム2214とは異なる点線で表される)を生成するために、アセンブリ2208の自由空間光学素子によって行われる、調節されたビーム2214の追加の調節を保存するように選択されてもよい。
【0090】
図23は、供給ファイバ2312とVBC伝送ファイバ2340との間に配置されたVBCファイバ・アセンブリ2302を含むレーザ・システムの例2300を示す。動作中、ビーム2310は、供給ファイバ2312を通じて、VBCファイバ・アセンブリ2302に結合される。ファイバ・アセンブリ2302は、第1長のファイバ104、第2長のファイバ108、および摂動デバイス110を含み、以上で説明した種々の例にしたがってビーム2310の特性を変化させるように構成される。ファイバ・アセンブリ2302は、調節されたビーム2314を生成し、VBC伝送ファイバ2340によって出力する。VBC伝送ファイバ2340は、以上で説明した種々の例にしたがって(例えば、
図17~
図21参照)ファイバ・アセンブリ2302において、調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるために第2長のファイバ108を含む。VBC伝送ファイバ2340は、調節されたビーム2314をビーム・スイッチ(FFS)2332に結合し、次いで、ビーム・スイッチ2332はその種々の出力ビームを、複数のプロセス・ファイバ2304、2320、および2322の内1つ以上に結合する。プロセス・ファイバ2304、2320、および2322は、調節されたビーム2314、2328、および2330を、それぞれのプロセス・ヘッド2306、2324、および2326に伝送する。
【0091】
一例では、ビーム・スイッチ2332は、調節されたビーム2314の種々の光学的操作を実行するように構成された1組以上の自由空間光学素子2308、2316、および2318を含む。自由空間光学素子2308、2316、および2318は、ビーム2314の調節されたビーム特性を保存するまたは変化させることができる。つまり、調節されたビーム2314は、自由空間光学素子によって維持される、または更に調節されることが可能である。プロセス・ファイバ2304、2320、および2322は、自由空間光学素子アセンブリ2308、2316、および2318からそれぞれのプロセス・ファイバ2304、2320、および2322に進むビームを保存することまたは更に修正することが望ましいか否かに応じて、VBC伝送ファイバ2340と同じRIPまたは異なるRIPを有することができる。他の例では、ビーム2310の1つ以上のビーム部分が、調節されずに、作業片に結合されるか、または複数のビーム特性に関連付けられたビーム部分が同時作業片処理のために供給できるように、異なるビーム部分がそれぞれのVBCファイバ・アセンブリに結合される。あるいは、ビーム2310を1組のVBCファイバ・アセンブリの内1つ以上に切り替えることができる。
【0092】
自由空間光学素子アセンブリ2208、2316、および2318の内任意のものを介して、調節されたビーム2314を導くことによって、種々の追加的に調節されたビームのプロセス・ヘッド2206、2324、および2326への伝送が可能になる。したがって、レーザ・システム2300は、ビームの特性を変化させる自由度を高め、更にプロセス・ヘッド間でビームを切り替える(「時分割」)、および/または複数のプロセス・ヘッドに同時にビームを伝送する(「パワー分割」)自由度も高める。
【0093】
例えば、ビーム・スイッチ2332における自由空間光学素子は、ビーム2314の調節された特性を保存するように構成された自由空間光学素子アセンブリ2316に、調節されたビーム2314を方向付ける(direct)ことができる。プロセス・ファイバ2304は、VBC伝送ファイバ2340と同じRIPを有してもよい。つまり、プロセス・ヘッド2306に伝送されるビームは、調節され保存されたビーム2314となる。
【0094】
他の例では、ビーム・スイッチ2332が、調節されたビーム2314の調節された特性を保存するように構成された自由空間光学素子アセンブリ2318に、調節されたビーム2314を方向付けることもできる。プロセス・ファイバ2320は、VBC伝送ファイバ2340とは異なるRIPを有してもよく、ビーム2314の発散分布に対して追加の調節を行うために、
図20および
図21に関して説明したような、発散変更構造が装備されても(configured with)よい。つまり、プロセス・ヘッド2324に伝送されるビームは、調節されたビーム2314とは異なるビーム発散プロファイルを有する、2回調節されたビーム2328となる。
【0095】
プロセス・ファイバ2304、2320、および/または2322は、以上で説明した第2長のファイバの内任意のものと同様のRIPを含んでも良く、閉じ込め領域または多種多様な他のRIPを含み、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0096】
更に他の例では、自由空間光学素子アセンブリ2332が、調節されたビーム2314のビーム特性を変化させるように構成された自由空間光学素子アセンブリ2308に、調節されたビーム2314を方向付けるのでもよい。プロセス・ファイバ2322は、VBC伝送ファイバ2340とは異なるRIPを有してもよく、ビーム2314の新たに更に調節された特性を保存する(または、代わりに、更に修正する)ように構成されてもよい。つまり、プロセス・ヘッド2326に伝送されるビームは、調節されたビーム2314とは異なるビーム特性を有する(調節された発散プロファイルおよび/または強度プロファイルのために)2回調節されたビーム2330となる。
【0097】
図22A、
図22B、および
図23では、FFCまたはFFSにおける光学素子は、ビーム2214がプロセス・ファイバ内に発射する前にビーム2214を拡大または縮小することによって、空間プロファイルおよび/または発散プロファイルを調節することができる。また、これらは、他の光学的変換(transformation)によって、空間プロファイルおよび/または発散プロファイルを調整することもできる。また、これらは、プロセス・ファイバへの発射位置を調節することもできる。これらの方法は、単独でも組み合わせても使用することができる。
【0098】
図22A、
図22B、および
図23は、調節されたビーム2214および2314を保存または修正するために、自由空間光学素子およびファイバRIPの種々の組み合わせを使用する、ビーム特性に対する調節の組み合わせの例を示すに過ぎない。以上であげた例は、網羅的ではなく、例示を目的にするに過ぎないことを意味する。つまり、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0099】
図24は、本明細書においてあげた種々の例にしたがって、VBCファイバ200、および/またはVBCファイバ200内を伝搬する光ビームに摂動を起こすための摂動デバイス、アセンブリ、または方法(簡単にするために、ここでは纏めて「摂動デバイス110」と呼ぶ)の種々の例を示す。摂動デバイス110は、VBCファイバ200内を伝搬するビームのビーム特性の調節を可能にするように構成された種々のデバイス、方法、および/またはアセンブリの内任意のものでよい。一例では、摂動デバイス110は、マンドレル2402、VBCファイバにおけるマイクロベンディング2404、フレキシブル・チュービング2406、音響光学変換器2408、熱デバイス(thermal device)2410、圧電デバイス2412、グレーティング2414、クランプ2416(または他の締結具)等、またはこれらの組み合わせでもよい。これらは、摂動デバイス100の例に過ぎず、摂動デバイス100の網羅的な列挙(listing)ではなく、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0100】
マンドレル2402は、VBCファイバ200を曲げることができる形状を与えることによって、VBCファイバ200に摂動を起こすために使用することができる。先に論じたように、VBCファイバ200の曲げ半径を小さくすると、ビームの強度分布が半径方向の外側に動く。ある例では、マンドレル2402は、離散曲げ半径レベルを得るために、ステップ型にしてもまたは円錐形状にしてもよい。あるいは、マンドレル2402は、曲げ半径を更に粒度高く制御するための連続曲げ半径が得られるように、段のない円錐形状を含んでもよい。マンドレル2402の曲率半径は、一定(例えば、円筒形状)であっても、一定でなくても(例えば、長円形状)よい。同様に、フレキシブル・チュービング2406、クランプ2416(または他の様々な締結具)、またはローラ250も、マンドレル2402の周りでVBCファイバ200の曲げを誘導および制御するために使用することができる。更に、特定の曲げ半径においてファイバを曲げる長さを変更することによって、ビームの強度分布を修正することができる。VBCファイバ200およびマンドレル2402は、第1ファイバ内における強度分布を予測可能に変化させるように構成することができる(例えば、ファイバを曲げる長さおよび/または曲げ半径に比例する)。ローラ250は、VBCファイバ200の曲げ半径を変化させるために、プラットフォーム2434上のトラック2442に沿って往復運動する(move up and down)ことができる。
【0101】
クランプ2416(または他の締結具)も、マンドレル2402を用いてまたは用いずに、VBCファイバ200の曲げを誘導および制御するために使用することができる。クランプ2416は、トラック2442またはプラットフォーム2446に沿って往復運動することができる。また、クランプ2416は、VBCファイバ200の曲げ半径、張力、または方向を変化させるために、旋回することもできる。コントローラ2448はクランプ2416の移動を制御することができる。
【0102】
他の例では、摂動デバイス110は、フレキシブル・チュービング2406であってもよく、マンドレル2402を用いてまたは用いずに、VBCファイバ200の曲げを誘導することができる。フレキシブル・チュービング2406は、VBCファイバ200を包み込む(encase)ことができる。チュービング2406は、種々の材料で作ることができ、コントローラ2444によって制御される圧電変換器を使用して操作することができる。他の例では、クランプまたは他の締結具を使用して、フレキシブル・チュービング2406を移動させてもよい。
【0103】
VBCファイバのマイクロベンディング2404は、ファイバに対する横方向の機械的応力によって生ずる局所的な摂動である。マイクロベンディングは、ファイバ内において1つの閉じ込め領域から他の閉じ込め領域へのモード結合および/または移行の原因となる可能性があり、VBCファイバ200内を伝搬するビームのビーム特性を変化させる結果となる。機械的応力は、コントローラ2440によって制御されるアクチュエータ2436によって加えられてもよい。しかしながら、これは、ファイバ200において機械的応力を誘発する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0104】
音波を使用してVBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、音響光学変換器(AOT:acousto-optic transducer)2408を使用することもできる。音波の発振する機械的圧力によるファイバの屈折率修正によって、摂動を生じさせる。音波の周期および強度は、音波の周波数および振幅に関係があり、音響摂動の動的な制御を可能にする。つまり、AOT2408を含む摂動アセンブリ110は、ファイバ内を伝搬するビームのビーム特性を変化させるように構成することができる。一例では、圧電変換器2418が音波を発生してもよく、コントローラまたはドライバ2420によって制御されてもよい。リアルタイムでVBC200内において光ビームのビーム特性を変化させるおよび/または制御するために、AOT2408において誘発された音波を変調することができる。しかしながら、これはAOT2408を発生し制御する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0105】
熱を使用してVBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、熱デバイス2410も使用することができる。熱によって誘発されるファイバのRIPの修正によって、摂動を生じさせる。ファイバに移転する熱の量、および熱が加えられる長さを制御することによって、摂動を動的に制御することができる。つまり、熱デバイス2410を含む摂動アセンブリ110は、ビーム特性の範囲を変化させるように構成することができる。熱デバイス2410は、コントローラ2450によって制御することができる。
【0106】
圧電作用を使用して、VBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、圧電変換器2412を使用することができる。ファイバに取り付けられた圧電材料によって誘発されるファイバのRIPの修正によって、摂動を生じさせる。裸のファイバを囲むジャケットの形態とした圧電材料が、ファイバに張力または圧縮力を加えて、結果的に生ずる密度変化によって、その屈折率を修正することができる。摂動は、圧電デバイス2412への電圧を制御することによって動的に制御することができる。このように、圧電変換器2412を含む摂動アセンブリ110は、特定の範囲にわたってビーム特性を変化させるように構成することができる。
【0107】
一例では、圧電変換器2412は、どのように圧電変換器2412がVBCファイバ200に取り付けられるか、圧電材料の分極方向、印加電圧等を含む種々の要素に応じて、種々の方向(例えば、軸方向、半径方向、および/または横方向)にVBCファイバ200を変位させるように構成することができる。加えて、圧電変換器2412を使用して、VBCファイバ200の曲げ加工も可能である。例えば、対向電極を含む複数のセグメントを有するある長さの圧電材料を駆動することによって、圧電変換器2412を横方向に曲げさせることができる。VBCファイバ200の変位を制御するために、電極2424によって圧電変換器2412に印加される電圧を、コントローラ2422によって制御することができる。リアルタイムでVBCファイバ200における光ビームのビーム特性を変化させるおよび/または制御するために、変位を変調することができる。しかしながら、これは、圧電変換器2412を使用してVBCファイバ200の変位を制御する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0108】
グレーティング2414は、VBCファイバ200内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、使用することができる。グレーティング2414は、屈折率の周期的変動をコア内に刻み込むことによって、ファイバ内に書き込むことができる。ファイバ・ブラグ・グレーティングのようなグレーティング2414は、光ファイバとしてまたは反射器として動作することができる。長周期グレーティングは、共伝搬ファイバ・モード間で遷移を誘発することができる。したがって、元のモードの1つ以上を、異なる放射輝度および/または発散プロファイルを有する1つ以上の異なるモードに結合するために、長周期グレーティングを使用して、1つ以上のモードで構成されるビームの放射輝度、強度プロファイル、および/または発散プロファイルを調節することができる。調節は、屈折率グレーティングの周期または振幅(amplitude)を変化させることによって行われる。このような調節のためには、ファイバ・ブラグ・グレーティングの温度、曲げ半径、および/または長さ(例えば、引き伸ばし)を変化させるというような方法を使用することができる。グレーティング2414を有するVBCファイバ200をステージ2426に結合することができる。ステージ2426は、種々の機能の内任意のものを実行するように構成することができ、コントローラ2428によって制御することができる。例えば、ステージ2426は、締結具2430によってVBCファイバ200に結合されてもよく、締結具2430を使用して、てこの作用でVBCファイバ200を引き延ばすおよび/または曲げるように構成することもできる。ステージ2426は、埋め込み熱デバイスを有してもよく、VBCファイバ200の温度を変化させることができる。
【0109】
図25は、ビーム特性を調節するために自由空間光学素子を使用せずに、ファイバ内においてビーム特性を調節および/または維持するためのプロセス例2500を示す。ブロック2502において、第1長のファイバおよび/または光ビームに摂動を起こし、1つ以上の光ビーム特性を調節する。プロセス2500はブロック2504に進み、ここで光ビームを第2長のファイバに発射する。プロセス2500はブロック2506に進み、ここで、調節されたビーム特性を有する光ビームを、第2長のファイバ内を伝搬させる。プロセス2500はブロック2508に進み、ここで、光ビームの1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を、第2長のファイバの1つ以上の閉じ込め領域内で維持する。第1および第2長のファイバは、同じファイバで構成されてもよく、またはこれらは異なるファイバであってもよい。
【0110】
図29A~
図29Cを参照すると、可変ビーム特性(VBC)機器2900は、ディスク2902を含む。ディスク2902は、ファイバ曲げ面またはファイバ整形面として機能する周面2904を定める円形、楕円形、または他の湾曲断面を有する摂動アセンブリである。ファイバ・ガイド2906、2908が、第1ファイバ2910の一区間を周面2904に向けて付勢するために、周面2904に位置付けられる。ファイバ・ガイド2906、2908は、これらのファイバ・ガイド2906、2908が軸2912を中心として回転可能になるのを許容するように接続されたスポーク2907、2909に固定される。周面2904に沿ったガイド2906、2908の分離は、周面2904に一致するように、または周面2904に接触するように付勢される第1ファイバ2910の区間の長さに関連付けられる角度θを定める。ガイド2906、2908の一方または双方の回転により、適した長さの選択が可能になる。ある例では、ファイバはガイド2908のようなガイドに固定され、ガイドの回転により、ファイバがファイバ曲げ面の回りに巻回され、これによって、ガイドの回転に基づいて曲げられるファイバの長さを選択する。このような例では、ファイバを解くためにガイドが回転するに連れてファイバがファイバ曲げ面から解けるように、張力メカニズムを設けることができる。
【0111】
ガイド2906、2908は、ファイバをファイバ曲げ面に向かって押圧する表面を含むことができる。例えば、ガイド2906、2908は、ゴム、発泡体、布、繊維、または他の材料の弾性部分で作るまたは含むことができ、ファイバを損傷する可能性がある鋭い表面不規則性に配慮し、ファイバの保全性を損なうことがないように、ファイバに対して付勢することができる。周面2904のようなファイバ曲げ面には、その表面全体に沿って、またはファイバを一致させる際に使用すると予測される部分のみに、同様の材料を設けることができる。あるいは、ガイド2906、2908は、溝2916のような溝を含むことができ、この溝は、ファイバを保持し、ファイバをファイバ曲げ面に対して押圧してもしなくてもよい。ガイドが回転可能である場合、ガイドが回転しファイバ曲げ面に沿って進むときにファイバが溝内に保持されるように、溝は周囲全体にわたって延長することもできる。
【0112】
第1ファイバ2910は、通例、融着スプライスのようなスプライス2918(
図29Aでは、可能な2つの位置において示す)によって、第2ファイバ2920に接続される。ある例では、1本のファイバを使用することができるが、一般的には、異なる屈折率分布を有する2本の異なるファイバが使用される。次いで、ガイド2906、2908は、第2ファイバの一区間を、周面2904に沿った曲げ経路内に付勢する(スプライス2918と共に)。ある例では、スポーク2907、2909は剛体であるが、他の例では、ガイド2906、2908が周面2904に向かって引き上げられるように、ばねのような弾力性部材を使用することができる(または、スポークが弾力部分を含むことができる)。多くの実用的な例では、1つのガイドだけが使用されるが、ファイバ曲げ面2904に一致させる1本以上のファイバの部分を選択するために、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のガイドを使用することができる。例えば、第1ファイバ2910および第2ファイバ2920の区間は、それぞれの対のガイドを使用して周面に向かって付勢されるように、独立して選択することができる。
【0113】
ガイド2906、2908の位置は、モータ2930を使用して制御することができる。モータ2930は、スポーク2907、2909に結合され、角度θを確定するように回転する。ガイド2906、2908をコンピュータまたはプロセッサ制御する、または相互に制御することができるように、コントローラ2932がモータ2930に結合される。ある例では、コントローラ2932は、角度θおよび関連するビーム特性が格納される較正表を含む非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含む。複数のガイドを有するシステムでは、これらを独立して移動させるように各々を配置することができ、1本以上のファイバの区間を選択することができる。
【0114】
図29A~
図29Cの例では、1つの曲げ半径がファイバ曲げ面に関連付けられるが、他の例では、一連の異なる曲げ半径を使用することができ、各半径は、例えば、円筒の一部として形成される対応する刻み(step)で定められるか、あるいは円錐またはその一部というようなテーパー面上で定められる。弓状または他の湾曲面も同様に使用することができる。ガイドは、特定の湾曲を有するファイバ曲げ面または成型面にファイバを導き、この湾曲の形状にするファイバの長さを選択するように位置付けることができる。ファイバ区間は、湾曲が関連付けられた複数の表面エリアにおいて曲げることができ、湾曲毎に区間の長さを変化させることができる。
図29A~
図29Cでは、円筒状湾曲が示されているが、球形または楕円湾曲というような、複数の方向に沿った湾曲を使用することができる。周面2904はディスク2902の外面であるが、他の例では、円環、中空円筒、または他の形状の内面を、ファイバ曲げまたは整形面として使用することができ、ガイドは、このような内面に関してファイバ形状を調節するように位置付けられる。
【0115】
開示する例では、融着接続されたある長さの第1光ファイバおよび第2光ファイバを含む光ファイバが、第1ファイバまたは第2ファイバにおいて生成される空間ビーム・プロファイルまたは他のビーム特性を変化させるように、融着スプライスまたはその近くにおいて曲げられる。通例、融着スプライスがファイバの曲げ部分に含まれると、一層効率的な空間ビーム・プロファイルの調節が行われる。しかしながら、融着スプライスを曲げ部分に十分近くに配置することができる。通例、融着スプライスは、いずれかのファイバのコア直径の約2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、または1000倍未満の長さ以内に位置付けられなければならない。十分なファイバ長は、ファイバの開口数にも依存する可能性がある。第1ファイバまたは第2ファイバのいずれかを曲げる有効性(utility)について、スプライス接合部2918である発射点(launch point)付近でファイバを曲げることにより、元のビーム形状に潰れる(collapsing to)前にある距離だけ伝搬する可変空間ビーム・プロファイルを生成できるという1つの説明を行うことができる。受ける側(第2)のファイバでは、スプライス付近における曲げは、発射側(第1)ファイバからの空間パワー分布に摂動を起こし、つまり受けたパワーを選択した空間パワー分布に可変的に結合することができる。本開示は、このような動作にしたがう動作に限定されるのではなく、この説明は、便宜上可能な説明の1つとして提示したに過ぎない。
【0116】
図29Aにおいて、摂動アセンブリ・ディスク2902は、スプライス接合2918に近接して配置されている。あるいは、摂動アセンブリをスプライス付近に配置しなくてもよい。更に、スプライスが全く必要とされない場合もあり、例えば、ファイバ2910が1本のファイバであってもよく、第1長のファイバおよび第2長のファイバを離間させることができ、または小さな間隙を入れて固定することができる(空気離間(air-spaced)させる、または光学接着剤または屈折率整合材料のような光学材料で充填する)。
【0117】
ある例では、摂動アセンブリにおいて段付きマンドレル(stepped mandrel)または円錐を使用することによって、ファイバの曲げ半径を第1曲げ半径R1から第2曲げ半径R2に変更する。異なる曲げ半径を有するファイバ部分を独立して選択することができる。ファイバの曲げ半径を変更すると、半径方向ビーム位置、発散角度、および/または放射輝度プロファイル、あるいはファイバ内におけるビームの他のビーム特性も変化するのはもっともである。
【0118】
図30において断面図に示す例では、ディスク3002が周面(ファイバ曲げ面)3004を定め、周面3004には溝3010、3011が彫られている。通例、ディスク3002は、回転可能な軸(図示せず)の挿入のために、中央孔3006を含む。ガイド3008は、ガイド3008が周面3004に沿って移動可能になるように、溝3010、3011に挿入することができる突起3016、3017を含む。ファイバ3014は、ガイド3008の溝3015内に位置付けられて示されている。他の例では、ディスクまたは他の支持体における対応する溝に収まるように、ガイドはありつぎ形状の突起(dovetail shaped protrusion)を有することができる。あるいは、使いやすくすることができるように、溝をガイド内に設ける、突起をディスク内に設ける、またはこれらの任意の組み合わせも可能である。
【0119】
図31を参照すると、VBC機器3100は、周面(ファイバ曲げ面)3104を有する楕円形ディスク3102を含む。ガイド3106、3107が、ファイバ曲げ面3104に一致するファイバ3108の長さを選択するために位置付けられる。図示のように、ガイド3106は周面3104に関して固定され、ガイド3107は、周面3104に沿って移動可能になるように構成されている。
図31の例では、ガイド3107は、軸3112を中心として回転可能になるように、弾性部材3110によって固定されている。周面3104は、楕円によって定められ、したがって、変化する曲率半径を有し、弾性部材3110は、ガイド3107が軸3112から周面3104までの可変距離に対処することができるように、選択される。
【0120】
図32は、基板3200上に形成された追加のファイバ曲げ面3202を示す。ファイバ曲げ面3202に対向する表面3206は、平面である、あるいは凸または凹曲面を有することができる。ガイド3208は、ファイバをファイバ曲げ面3202に付勢するように位置付けられ、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のこのようなガイドを使用することができる。先に論じたように、ガイド3208は、溝によって保持することができ、そして摺動可能であり、あるいはガイド3208をファイバ曲げ面3202に向けて付勢する弾性部材に結合することができる。ファイバ曲げ面3202は、種々の単一または複合曲面を有することができ、少なくともいくつかの部分において凸状、凹状、または平面とすることができる。ガイド3208は、球状または円筒状とすることができ、ファイバ曲げ面3204に沿って転がるように配置することができる。ある例では、ガイド3208は、ファイバ曲げ面3202と接触するようにファイバ3210を付勢する、ファイバ3210の曲げ角度を変更する、またはファイバ3210とガイド3208に近接するファイバ曲げ面3202との間にギャップ3212を残しつつ、ファイバ3210を曲げるように位置付けられる。
【0121】
図33A~
図33Bを参照すると、ファイバ3306をファイバ曲げ面3308に向けて付勢するように、ガイド3304が位置付けられる。ファイバ3306は、ファイバ曲げ面3308に関して、クリップ3310によって固定することができ、またそうでなければ、ファイバ曲げ面3208に一致させられるファイバの長さがガイド3304の一部によって決定されるように固定することができる。
図33Bの断面図に示すように、ファイバ3306はチャネル3312内に保持され、ガイド3304は、ファイバ曲げ面3308における溝3330、3331に対応する突起3320、3321を含む。
【0122】
図34を参照すると、ディスクの区間3402がファイバ曲げ面3404を定める。クランプ3406がファイバ3408をファイバ曲げ面3403に固定し、ガイド3410は、ファイバ曲げ面3404に向けて付勢されるファイバ長を制御するために、ファイバ曲げ面3404に沿って移動可能である。ガイド3410は、溝内で表面に沿って移動することができ、および/または回転を可能にする軸に固定することができる。
図35に示すように、円環の部分3502はファイバ曲げ面3504を定める。クランプ3506およびガイド3510は、ファイバ曲げ面3504に一致させられるファイバ長を調節するために設けられる。ガイド3510は、溝内でファイバ曲げ面3504に沿ってまたは他の方法で摺動可能であり、あるいは軸に沿って回転するようにスポークに結合することができる。ある例では、ファイバ曲げ面は、ファイバ曲げ面およびガイドに関して固定されたクランプの分離が調節可能になるように、回転可能であるか、またそうでなければ調節可能である。例えば、
図35に示すように、スポーク3512がファイバ曲げ面3504に沿ったガイド3510の移動を可能にすることができ、および/またはガイド3510に関して円環3502の回転を可能にするために、スポーク3514を結合することができる。ファイバ曲げ面のこのような回転または移動は、ディスク、円筒、またはファイバ曲げ面を定める他の形状の回転によって行うことができる。
【0123】
図36に示すように、VBC機器3600は柔軟板3602を含む。柔軟板3602は、ベアリング3610を柔軟板3602に向けて付勢するリニア・アクチュエータ3608によって、固定支持体3604、3606に接して曲げられるように位置付けられる。ファイバ3612は、柔軟板3602の屈曲(flexing)に応答して曲がる(bend)ように、柔軟板3602に固定されるか、またはそれ以外の方法で位置付けられる。
【0124】
図37A~
図37Bは、ファイバ3702の1つ以上のループを保持するように構成された溝またはチャネル3704を含むスプール3700を示す。スプール3700(またはスプール3700を中心とするファイバ)の回転により、ファイバ3702によって加えられるビーム摂動の調節が可能になる。基板上でファイバの巻回回数を変化させることを可能にする他の構成を設けることもでき、通例では、円筒の一区間で十分可能である。一般に、ステッパ・モータまたは他のモータを制御することによって巻回し(折り返し)回数を選択するためにコントローラが設けられるが、ある例では、折り返し回数を手作業で調節することができる。ファイバ3702が溝3704の半径方向に最も内側の部分に接触すれば好都合であろうが、これは必須ではない。
【0125】
図38A~
図38Bを参照すると、VBCデバイス3800は円筒3804を含む。円筒3804は、円筒3804に固定されたロッド3812の並進に応答して、ファイバ・ループ3802を第1ジョー3806および第2ジョー3808に向けて押圧するように位置付けられる。代表的なばね3810のような1つ以上のばねが、ジョー3806、3808の一方または両方をファイバ3802および円筒3804に向けて付勢するように位置付けられる。
図38Aは、図示し易くするために、変形のないファイバ・ループ3802を示す。
図38Bの構成により、ファイバ・ループ3802の相当な曲げが得られる。円筒形、球形、楕円形、弓形、または他の形状というように、ファイバ・ループ3802を押圧するためには種々の形状を使用することができるが、図示をし易くするために、円筒が示されている。
【0126】
図39A~
図39Dは、
図38A~
図38Bのメカニズムの種々の係合と共に、ファイバ形状を示す。
図39Aでは、ファイバは、曲げも変形もなく、ループ3900内に留まる。
図39B~
図39Cは、メカニズムの係合が増えるに連れて、ジョー3806、3808および円筒3804に接触するファイバ区間3902、3904、3906を示す。ループ3900の形状も変化する。
【0127】
図40は、 ビーム特性に摂動を起こすVBC機器4000を示す。VBC機器4000は、第1組4002および第2組4004の円筒、または互いに対向して位置付けられた他の適した形状を含む。第1組4002および第2組3004が互いに向かって付勢されるに連れて、ファイバ4008が曲げられるまたは変形されるように、第1組4002と第2組4004との間に位置付けられる。
図40では、同じ形状の円筒が示されているが、いずれの組の円筒も、その1つ以上が異なる直径を有することができ、各組の表面毎に異なる形状を使用することができる。
【0128】
図41に示すように、便利であれば、1つの基板上に複数のファイバ整形面を定めることができる。板4100は、ファイバ整形面となる(provide)楕円形または他の突起4101、4102、4103、4104を含む。円筒形、弓形、球形、放物線状、または他の形状を使用することができる。
【0129】
図42は、VBC機器4200を示す。これは、
図36と同様であるが、弾性または剛性カップリング4210によって柔軟板4202に結合されたリニア・アクチュエータ4208によって、柔軟板4202がストップ(stop)4204、4206に接して引っ張られる。ファイバ4212が、柔軟板4202の形状に一致するように位置付けられる。
【0130】
図43A~
図43Bに示す他の例では、ビーム摂動メカニズム4300は、駆動軸を収容することができる中央孔4306を有する円筒4304を含む。円筒4304の外面4305は、ファイバ整形面として機能する。
図43Bにおいて、ファイバ4302は、円筒4304の周囲に数回巻回されていることが示されている。円筒4304の回転は、選択したビーム摂動を、手動で、またはプロセッサ・ベースの制御システムによって付与するために使用することができる。プロセッサ・ベースの制御システムは、ビーム摂動特性を回転角度の関数として、1つ以上の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体に格納することができる。
【0131】
図44A~
図44Bは、少なくとも部分的にイオン性ポリマー複合体(IPC)で形成され、第1主面4404と第2主面4405とを有する基板4402を含むVBCデバイス4400を示す。電極4406、4408が、それぞれ、第1主面4404および第2主面4405上または第1主面4404および第2主面4405に位置付けられる。場合によっては、非導電層、保護層、あるいは製作または使用に必要とされる他の層というような、介在層があるが、このような層は示されていない。蛇行するファイバ・ループ4410が、第1主面4404に固定され、右側にある直交座標系4450のX軸に沿って延びる延長部分4411のような、延長部分を有する形状になっている。
図44Bの断面図に示すように、電極4406、4408に印加された電圧に応答して、基板4402に電界が加えられると、Z方向の変形が生じるので、第1主面4404は、表面4404Aのように撓められるまたは曲げられる。このような変形によって、ファイバ・ループ4410にビーム摂動が生ずる。他の方向への他の変形を生ずることもでき、真っ直ぐなファイバ長、円形ループ、部分的なループ、蛇行域(serpentine length)、およびその他のファイバ形状(arrangement)も、第1主面4404または第2主面4405上のいずれかで、X方向、Y方向に向けることができ、あるいは任意の方向に向けることができる。
【0132】
図45に示す他の例では、VBCデバイス450はIPC基板4502を含み、ファイバ蛇行ループ4504、4505(あるいは円形ループまたは他の形状に配されたファイバ)が、IPC基板4502の曲げ(flexing)を受けるように、IPC基板4502に固定される。電極4506のような電極が、IPC基板4502の端部に設けられるが、他の部分に位置付けることもでき、または基板4502を覆うこともできる。ファイバ端部4510、4511は、光ビームをビーム摂動デバイス4500に結合するため、およびビーム摂動デバイス4500から取り外す(out of)ために使用することができる。先に論じた他の例におけると同様、ファイバ蛇行ループ4504、4505は、1本のファイバ(第1ファイバ)、またはスプライスを有する第1ファイバおよび第2ファイバであることも可能である。
【0133】
図46は、VBCシステム4600を示す。VBCシステム4600は、1つ以上のビームをビーム摂動デバイス4602に結合する入力光学素子4601と、基板への伝送のため、または他の使用のために、1つ以上の摂動ビームを受ける出力光学素子4604とを含む。制御システム4608は、制御回路、マイクロプロセッサまたは他のプログラマブル・ロジック・デバイスのようなプロセッサ、ビーム摂動デバイス4602の制御のためのプロセッサ実行可能命令を格納するRAMまたはROMのようなメモリを含むことができる。例えば、メモリは、ビーム摂動デバイスの駆動レベルの関数としてビーム摂動を収容する1つ以上の較正表を含む。場合によっては、ビーム摂動デバイス4602は、リニア・モータまたはステッパ・モータ、圧電ステージ、圧電アクチュエータ、ピエゾベンディング・モータ(piezobending motor)、バイメタル細片(熱制御を伴う)、回転モータ、またはボイス・コイル・モータというような、1つ以上のアクチュエータまたはモータを含むことができる。あるいは、制御システムは、駆動レベルをビーム摂動デバイスに設定するためにディジタル/アナログ変換器(DAC)を含むことができる。例えば、IPC系ビーム摂動デバイスは、DACによって供給することができる印加電圧に応答する。通例では、ビーム摂動値を設定、調節、ならびに記録および格納するために、マウス、トラックパッド、キーボード、またはタッチスクリーンのような、1つ以上のコンピュータ入力デバイスまたはポインティング・デバイスを含むことができるユーザ・インターフェース(UI)4612が設けられる。場合によっては、制御は遠隔ネットワーク接続を介して行われ、制御システム4608は、有線またはワイヤレス・ネットワーク・インターフェースを含む。また、UI4612は、ビーム摂動デバイス4602を制御するときに使用するためのスイッチ、ポテンショメータ、およびその他のデバイスを含むこともできる。ある例では、ビーム摂動デバイス4602は制御システムを含む。
【0134】
ある例では、ビーム摂動デバイスのビーム摂動または条件を決定するために、センサ4610が位置付けられる。センサ4610は、ビーム摂動における誤差およびドリフトを補正するため、および/またはビーム摂動デバイスが意図する通りに動作していることを確認するために、制御システム4608に結合される。例えば、イオン性ポリマー層を含むVBC機器に、層の変形を示す信号を生成するために、増幅器または他の回路に結合される1つ以上の追加電極を設けることができる。この信号は、イオン性ポリマーの変形を安定化するために使用することができる。他のVBC機器では、摂動デバイスによって生成される摂動を検出し、選択された摂動を維持するように制御することができるように、位置、回転、距離、または他のセンサを含ませることができる。
【0135】
図47は、ファイバ4702が支持体4704、4706に固定される、または支持体4704、4706によって誘導される、VBC機器4700を示す。ファイバ4702の端部4703を撓ませるために、ファイバ偏向部材4708(例示の目的で、円形の断面を有するものとして示す)が位置付けられる。端部4703は、第1ファイバおよび第2ファイバが接続されるスプライス領域4704を含むことができる。ファイバ偏向部材4708は、ファイバ4702に押し当ててファイバ偏向を増大させるように、更にファイバを引いてファイバ偏向を減少させるように位置付けられるが、偏向を減少させるように押し付ける、および偏向を増大させるように引くように位置付けることもできる。
【0136】
図47Bに示す他の例では、VBC機器4720は、支持体4724と接触する、支持体4724に固定された、またはそれ以外で支持体4724によって制約されるファイバ4722を含む。ファイバ偏向部材4728は、第1ファイバ部分および第2ファイバ部分が互いに接続されるスプライス領域4730における位置、その付近の位置、またはその中の位置においてファイバ4722を撓ませるように位置付けられる。ファイバ偏向部材4708、4728は、種々の形状およびサイズを有することができ、圧電デバイス、リニア・モータ、または変位を付与する他のアクチュエータに結合することができる。
【0137】
図47Cに示す他の例では、VBC機器4750は、支持体4754、4756と接触する、支持体4754、4756に固定された、またはそれ以外で支持体4754、4756によって制約されるファイバ4752を含む。第1ファイバ部分および第2ファイバ部分が互いに接続されるスプライス領域4760における位置、その付近の位置、またはその中の位置において、ファイバ4752を撓ませるように、ファイバ偏向部材4758が位置付けられる。
【0138】
VBC機器4700、4720、4750は、ファイバ曲げ面を含まない。このような面は、以上で示したような一部の実施形態では便利であるが、必須ではない。
図47A~
図47Cの例では、ファイバの撓みを使用する。ファイバ偏向部材4708、4728、4758は、種々の形状およびサイズを有することができ、圧電デバイス、リニア・モータ、または変位を付与する他のアクチュエータに結合することができる。
【0139】
本明細書において開示した技術の実施例の概略的な原理および具体的な原理について説明および図示したが、このような原理から逸脱することなく、例示した実施形態の構成および詳細を修正できることは認められよう。以上の特定的な構成は、図示をし易くするために提示したに過ぎず、他の構成を使用することもできる。