(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】オピオイド管理システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230613BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20230613BHJP
G16H 20/17 20180101ALI20230613BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/24
G16H20/17
(21)【出願番号】P 2019569233
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 US2018037069
(87)【国際公開番号】W WO2018231801
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ダブリュー・バンダービーン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0032102(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0226447(US,A1)
【文献】国際公開第2010/058796(WO,A1)
【文献】特表2018-537751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
G16H 20/00
G16H 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのデータプロセッサと、
命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、
前記命令が前記少なくとも1つのデータプロセッサによって実行されるとき、
測位システムからの位置データに基づいて、特定の位置においてカートリッジの存否を判断することであって、前記カートリッジが物質を含んでいる、判断することと、
前記位置における計測器からの計測データに基づいて、前記カートリッジ内の前記物質の量を判断することと、
少なくとも、前記位置において前記カートリッジ内の前記物質の前記量が、他の位置において前記カートリッジ内の前記物質の量と一致していないことに基づいて、前記カートリッジに含まれた物質の転用を検出することと、
前記転用の検出に応じて、前記カートリッジを取り扱った個体の識別情報に基づいて、前記転用に責任を負う前記個体を識別することであって、前記個体は少なくとも、記録を含んだデータベースに問い合わせることによって識別され、前記記録は、(i)前記カートリッジが前記位置に到着した時間および/または前記位置から離れた時間、ならびに、(ii)前記カートリッジを前記位置に到着させた、および/または前記カートリッジを前記位置から離した前記個体を示す、識別することと、
を備える動作が生じる、
システム。
【請求項2】
前記量は、前記計測器を介して、前記カートリッジ内の液体の液量および/または前記液体内の前記物質の濃度を測量することによって判断される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記物質は規制物質および/またはオピオイド鎮痛剤を備える、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記動作は、
個体が前記カートリッジの取り扱いに許可されていないという判断に応じて、すでに前記個体によって取り扱われた前記カートリッジに基づいて前記転用を検出することであって、前記個体は、前記物質の処方を受けた患者と前記個体が関連していないことに基づいて許可されないと判断される、検出すること、をさらに備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記転用は、前記位置と他の位置との間の移動時間が予測移動時間を超えたことに基づいて検出される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記カートリッジから患者に前記物質を送達するためのポンプが前記位置において設けられており、前記カートリッジを保存するための配薬キャビネットが前記他の位置において設けられている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カートリッジの前記ポンプに挿入されるときに測量された第1量が、前記カートリッジの前記配薬キャビネットから取り出されるときに測量された第2量より少ないことに基づいて、前記転用が検出される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記カートリッジに残留した未使用物質を廃棄するための廃棄サイトが前記位置において設けられており、前記カートリッジから患者に前記物質を送達するためのポンプが前記他の位置において設けられており、前記廃棄サイトにおいて廃棄された前記物質の廃棄量が、前記カートリッジの前記ポンプから取り出されるときに前記カートリッジに残留した前記物質の未使用量より少ないことに基づいて、前記転用が検出される、
請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記位置が前記カートリッジの予測移動経路から出る迂回であることに基づいて、前記転用が検出される、
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
測位システムからの位置データに基づいて、特定の位置においてカートリッジの存否を判断することであって、前記カートリッジが物質を含んでいる、判断することと、
前記位置における計測器からの計測データに基づいて、前記カートリッジ内の前記物質の量を判断することと、
少なくとも、前記位置において前記カートリッジ内の前記物質の前記量が、他の位置において前記カートリッジ内の前記物質の量と一致していないことに基づいて、前記カートリッジに含まれた物質の転用を検出することと、
前記転用の検出に応じて、前記カートリッジを取り扱った個体の識別情報に基づいて、前記転用に責任を負う前記個体を識別することであって、前記個体は少なくとも、記録を含んだデータベースに問い合わせることによって識別され、前記記録は、(i)前記カートリッジが前記位置に到着した時間および/または前記位置から離れた時間、ならびに、(ii)前記カートリッジを前記位置に到着させた、および/または前記カートリッジを前記位置から離した前記個体を示す、識別することと、
を備える、
コンピュータによって実行される方法。
【請求項11】
前記量は、前記計測器を介して、前記カートリッジ内の液体の液量および/または前記液体内の前記物質の濃度を測量することによって判断される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記物質は規制物質および/またはオピオイド鎮痛剤を備える、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
個体が前記カートリッジの取り扱いに許可されていないという判断に応じて、すでに前記個体によって取り扱われた前記カートリッジに基づいて前記転用を検出することであって、前記個体は、前記物質の処方を受けた患者と前記個体が関連していないことに基づいて許可されないと判断される、検出すること、をさらに備える、
請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記転用は、前記位置と他の位置との間の移動時間が予測移動時間を超えたことに基づいて検出される、
請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記カートリッジから患者に前記物質を送達するためのポンプが前記位置において設けられており、前記カートリッジを保存するための配薬キャビネットが前記他の位置において設けられている、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カートリッジの前記ポンプに挿入されるときに測量された第1量が、前記カートリッジの前記配薬キャビネットから取り出されるときに測量された第2量より少ないことに基づいて、前記転用が検出される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記カートリッジに残留した未使用物質を廃棄するための廃棄サイトが前記位置において設けられており、前記カートリッジから患者に前記物質を送達するためのポンプが前記他の位置において設けられており、前記廃棄サイトにおいて廃棄された前記物質の廃棄量が、前記カートリッジの前記ポンプから取り出されるときに前記カートリッジに残留した前記物質の未使用量より少ないことに基づいて、前記転用が検出される、
請求項10~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記位置が前記カートリッジの予測移動経路から出る迂回であることに基づいて、前記転用が検出される、
請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのデータプロセッサによって実行されるとき、
測位システムからの位置データに基づいて、特定の位置においてカートリッジの存否を判断することであって、前記カートリッジが物質を含んでいる、判断することと、
前記位置における計測器からの計測データに基づいて、前記カートリッジ内の前記物質の量を判断することと、
少なくとも、前記位置において前記カートリッジ内の前記物質の前記量が、他の位置において前記カートリッジ内の前記物質の量と一致していないことに基づいて、前記カートリッジに含まれた物質の転用を検出することと、
前記転用の検出に応じて、前記カートリッジを取り扱った個体の識別情報に基づいて、前記転用に責任を負う前記個体を識別することであって、前記個体は少なくとも、記録を含んだデータベースに問い合わせることによって識別され、前記記録は、(i)前記カートリッジが前記位置に到着した時間および/または前記位置から離れた時間、ならびに、(ii)前記カートリッジを前記位置に到着させた、および/または前記カートリッジを前記位置から離した前記個体を示す、識別することと、
を備える動作が生じる、
プログラムコードを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
カートリッジにおける計測器によって、前記カートリッジ内に保存されている物質の量を判断することと、
カートリッジにおける位置追跡器によって、前記カートリッジの位置を判断することと、
前記物質の前記量および/または前記カートリッジの前記位置を転用制御器に送信すること
と、
前記転用制御器によって、前記物質の転用を検出することであって、前記物質の前記量および/または前記カートリッジの前記位置によって、前記転用制御器が前記物質の転用を検出可能であり、前記転用制御器は、前記転用の検出に応じて、前記カートリッジを取り扱った個体の識別情報に基づいて、前記転用に責任を負う前記個体を少なくとも識別し、前記個体は少なくとも、記録を含んだデータベースに問い合わせることによって識別され、前記記録は、(i)前記カートリッジが前記位置に到着した時間および/または前記位置から離れた時間、ならびに、(ii)前記カートリッジを前記位置に到着させた、および/または前記カートリッジを前記位置から離した前記個体を示す、
検出することと、を備える、
方法。
【請求項21】
測位システムからの位置データに基づいて、特定の位置においてカートリッジの存否を判断するための手段であって、前記カートリッジが物質を含んでいる、手段と、
前記位置における計測器からの計測データに基づいて、前記カートリッジ内の前記物質の量を判断するための手段と、
少なくとも、前記位置において前記カートリッジ内の前記物質の前記量が、他の位置において前記カートリッジ内の前記物質の量と一致していないことに基づいて、前記カートリッジに含まれた物質の転用を検出するための手段と、
前記転用の検出に応じて、前記カートリッジを取り扱った個体の識別情報に基づいて、前記転用に責任を負う前記個体を少なくとも識別する手段であって、前記個体は少なくとも、記録を含んだデータベースに問い合わせることによって識別され、前記記録は、(i)前記カートリッジが前記位置に到着した時間および/または前記位置から離れた時間、ならびに、(ii)前記カートリッジを前記位置に到着させた、および/または前記カートリッジを前記位置から離した前記個体を示す、識別する手段と、を備える、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年6月16日に出願され、「OPIOID MANAGEMENT SYSTEM」を題名とする米国特許出願第15/626,045号の優先権を主張する特許出願であり、上記特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ここで説明する保護対象は、一般的には医薬品の配薬(dispensation)に関し、さらに具体的には注射用オピオイドに関する。
【背景技術】
【0003】
モルヒネ、ヒドロモルホン、およびフェンタニルなどのオピオイド鎮痛剤は一般的には、単回の投与の形式で筋肉注射を介して医療専門家によって投与される。一方、自己調節鎮痛法ポンプ(patient-controlled analgesia pump、PCAポンプ)によって、患者はオピオイド鎮痛剤の送達を直接的に制御することができる。PCAポンプは、複数回の投与のオピオイド鎮痛剤を含む貯蔵器を収納するようにコンピュータ化されたポンプであり、患者の静脈に直接的に接続される。PCAポンプは定量のオピオイド鎮痛剤を患者に送達するように構成され得る。代替的におよび/または追加的に、PCAポンプによって、必要に応じて患者はオピオイド鎮痛剤の個別投与を自己投与することができる。
【発明の概要】
【0004】
オピオイド鎮痛剤の転用を検出するための、システム、方法、および製品が提供される。1つの実施態様において、システムが提供される。当該システムは少なくとも1つのデータプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む。当該少なくとも1つのメモリは、少なくとも1つのデータプロセッサによって実行されるときに動作が生じる命令を記憶する。動作は、測位システムからの位置データに基づいて、特定の位置においてカートリッジの存否を判断することであって、カートリッジが物質を含んでいる、判断することと、位置における計測器(content meter)からの計測データ(content data)に基づいて、カートリッジ内の物質の量を判断することと、位置において存在するカートリッジおよび/または量に基づいて、カートリッジに含まれた物質の転用(diversion)を検出することと、を含んでもよい。
【0005】
特定の変化例において、後述する特徴を含む、ここで説明する1つ以上の技術は、任意の実施可能な組み合わせで選択的に含まれ得る。前述した量は、計測器を介して、カートリッジ内の液体の液量および/または液体内の物質の濃度を測量することによって判断され得る。
【0006】
特定の変化例において、物質は規制物質および/またはオピオイド鎮痛剤であってもよい。
【0007】
特定の変化例において、転用は、個体(individual)がカートリッジの取り扱いに許可されていないという判断に応じて、すでに個体によって取り扱われたカートリッジに基づいて検出され得る。個体は、物質の処方を受けた患者と個体が関連していないことに基づいて、許可されないことがある。
【0008】
特定の変化例において、転用に責任を負う個体は、転用の検出に応じて識別され得る。当該個体は、識別情報に基づいて識別され得る。個体は少なくとも、記録を含んだデータベースに問い合わせることによって識別され得る。記録は、カートリッジが位置に到着した時間および/または位置から離れた時間を示してもよい。カートリッジを位置に到着させた、および/または前記カートリッジを位置から離した前記個体をさらに示してもよい。
【0009】
特定の変化例において、転用は、位置と他の位置との間の移動時間が予測移動時間を超えたことに基づいて検出され得る。位置においてはカートリッジから患者に物質を送達するためのポンプがあり得る。他の位置においてはカートリッジを保存するための配薬キャビネットがあり得る。カートリッジのポンプに挿入されるときに測量された第1量が、カートリッジの配薬キャビネットから取り出されるときに測量された第2量より少ないことに基づいて、転用が検出され得る。
【0010】
特定の変化例において、位置がカートリッジの予測移動経路から出る迂回であることに基づいて、転用が検出され得る。
【0011】
他の実施態様において、ポンプが提供される。ポンプは、ポンプに挿入されたカートリッジ内の物質の量を判断するように構成された計測器と、カートリッジをポンプに挿入した、および/またはカートリッジをポンプから取り出した個体の識別情報を判断するように構成されたリーダと、を含んでもよい。ポンプは、カートリッジから患者に物質を送達するように構成され得る。ポンプは、物質の量および/または個体の識別情報を転用制御器に送信するようにさらに構成され得る。物質の量および/または個体の識別情報によって、転用制御器が物質の転用を検出可能である。
【0012】
特定の変化例において、計測器は流量計、重力計、および/または屈折計を含んでもよい。ポンプは、PCAポンプであってもよい。
【0013】
他の実施態様において、方法が提供される。方法は、ポンプにおける計測器によって、ポンプに挿入されたカートリッジ内の物質の量を判断することと、ポンプにおけるリーダによって、カートリッジをポンプに挿入した、および/またはカートリッジをポンプから取り出した個体の識別情報を判断することと、物質の量および/または個体の識別情報を転用制御器に送信することであって、物質の量および/または個体の識別情報によって、転用制御器が物質の転用を検出可能である、送信することと、を含んでもよい。
【0014】
他の実施態様において、カートリッジが提供される。カートリッジは、カートリッジ内に保存されている物質の量を判断するように構成された計測器と、カートリッジの位置を判断するように構成された位置追跡器(position tracker)と、を含んでもよい。カートリッジは、物質の量および/またはカートリッジの位置を転用制御器に送信するようにさらに構成され得る。物質の量および/またはカートリッジの位置によって、転用制御器が物質の転用を検出可能である。
【0015】
特定の変化例において、装置は、カートリッジに対する識別子を含んでいる識別タグをさらに含んでもよい。装置の位置は、さらに一回以上の識別タグのスキャンに基づいて判断され得る。
【0016】
他の実施態様において、方法が提供される。方法は、カートリッジにおける計測器によって、カートリッジ内に保存されている物質の量を判断することと、カートリッジにおける位置追跡器によって、カートリッジの位置を判断することと、物質の量および/またはカートリッジの位置を転用制御器に送信することであって、物質の量および/またはカートリッジの位置によって、転用制御器が物質の転用を検出可能である、送信することと、を含んでもよい。
【0017】
現在の保護対象の実施例は、ここで提供された説明および文章と一致する方法を含んでもよいが、これらに限らなく、当該方法は、1つ以上の機械(例えば、コンピュータなど)に動作をさせるように動作可能な、明白に具体化された機械可読媒体を備え、当該動作は説明した特徴の1つ以上を実行する。同様に、コンピュータシステムも、1つ以上のプロセッサと、当該1つ以上のプロセッサに連結された1つ以上のメモリとを含んでもよいように説明される。メモリは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体または非一時的機械可読記憶媒体を含むことができ、1つ以上のプログラムを、含んでもよく、エンコードしてもよく、記憶してもよく、または他の処理をしてもよく、当該1つ以上のプログラムは、ここで説明する1つ以上の動作を1つ以上のプロセッサに行わせる。現在の保護対象の少なくとも1つの実施例と一致するコンピュータ実行方法(computer implemented method)は、単一のコンピュータシステムまたは複数のコンピュータシステムに属する1つ以上のデータプロセッサによって実行可能である。このような複数のコンピュータシステムは、接続され得て、1つ以上の接続を介してデータおよび/もしくは命令、または他の指令などを交換することができる。当該接続は、例えば、1つ以上の複数のコンピュータシステムの間の直接的接続を介して、ネットワーク(例えば、インターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、有線ネットワークなど)にわたって接続されたものなどである。
【0018】
ここで説明する保護対象の1つ以上の変化例の詳細は、添付図面および以下の記載によって説明される。ここで説明する保護対象の他の特徴および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から、明らかになる。現在説明する保護対象のいくつかの特徴は、ウェブアプリケーションユーザインタフェースに関連する例示的な目的のために説明されるが、意図的にこれらの特徴を制限することでないことをよく理解されるべきである。この説明に続く特許請求の範囲は保護対象の保護範囲を規制しようとする。
【0019】
説明に組み込まれて説明の一部を構築する添付図面は、説明とともに、ここで説明する保護対象のいくつかの実施態様を示し、説明する実施例に関連するいくつかの原則を説明することに役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】特定の例示的実施例に基づいた、オピオイド管理システムを示す系統図
【
図2】特定の例示的実施例に基づいた、保管チェイン(custody chain)を示すフローチャート
【
図3】特定の例示的実施例に基づいた、屋内測位システム(indoor positioning system、IPS)の展開を示すブロック図
【
図4】特定の例示的実施例に基づいた、オピオイド鎮痛剤の転用を検出するためのプロセスを示すフローチャート
【
図5】特定の例示的実施例に基づいた、コンピュータシステムを示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
実際に、同様な参照番号は同様な構造、特徴、または要素を示す。
【0022】
PCAポンプによって、筋肉注射を介してオピオイド鎮痛剤を投与するように医療専門家に頼まずに、患者はオピオイド鎮痛剤の送達を直接的に制御することができる。医療専門家によって投与される単回投与の筋肉注射と異なり、PCAポンプは、一般的には最終的に患者によって使用される投与回数よりも多いオピオイド鎮痛剤を収納するカートリッジを含む。余分なオピオイド鎮痛剤と、このようなカートリッジに対して十分な管理監視の欠如との可能性が高いことを考えると、PCAポンプを介して配薬されるオピオイド鎮痛剤は特に転用されやすい。この場合、転用はオピオイド鎮痛剤などの規制物質に対する、第三者への移転および/または移転しようとする試みを指してもよく、当該第三者は規制物質の譲受、所持および/または消費について適法的に許可されていない。例えば、第三者が、規制物質に対して有効な処方を有する患者でない可能性がある。オピオイド鎮痛剤の転用は、例えば、オピオイド鎮痛剤の配合(compounding)、配薬、投与および/または廃棄などにわたって任意の時点で起こり得る。
【0023】
よって、特定の例示的実施例において、オピオイド管理システムは、オピオイド鎮痛剤を収納するカートリッジに対して保管チェインを確立するように構成され得る。オピオイド鎮痛剤の転用はオピオイド鎮痛剤カートリッジに対する保管チェインに基づいて検出され得る。オピオイド鎮痛剤を収納するカートリッジに対するチェインの確立によって、転用の機会を減少するおよび/または排除することができる。
【0024】
特定の例示的実施例において、オピオイド管理システムはカートリッジの位置を追跡することによってオピオイド鎮痛剤のカートリッジに対して保管チェインを確立する。例えば、保管チェインは、例えば薬局、調剤薬局、病院などの施設におけるカートリッジの移動を示す位置データを含んでもよい。保管チェインは施設間のカートリッジの移動、例えば、カートリッジが調剤薬局から病院に運ばれるときの移動を示す位置データをさらに含んでもよい。代替的におよび/または追加的に、オピオイド管理システムはカートリッジの内容物を追跡することによって保管チェインを確立してもよい。例えば、保管チェインは、オピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって様々な時点でカートリッジ内のオピオイド鎮痛剤の液量および/または濃度などの量を示すデータを含んでもよい。また、オピオイド管理システムはカートリッジを取り扱う個体の識別を追跡することによって、カートリッジに対する保管チェインを確立してもよい。例えば、保管チェインは1つ以上の個体を識別する識別情報を含んでもよく、当該識別情報は例えば、生体データ、識別番号および/またはパスコードなどであり、当該個体はカートリッジ内のオピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/または廃棄をした者である。オピオイド管理システムは、カートリッジに対する保管チェインがカートリッジの移動、カートリッジの内容物、および/またはカートリッジを取り扱った個体に関する異常を示すときに、転用を検出することができる。
【0025】
明確性と正確性のために、本開示の様々な実施例はオピオイドおよび/またはオピオイド鎮痛剤に関して説明されている。しかしながら、本開示の様々な実施例は、オピオイドおよび/もしくはオピオイド鎮痛剤の代わりに他の物質に適用可能であり、ならびに/または、オピオイドおよび/もしくはオピオイド鎮痛剤に加えて他の物質にも適用可能であることが理解されるべきである。
【0026】
図1は、特定の例示的実施例に基づいた、オピオイド管理システム100を示す系統図を表す。オピオイド管理システム100は転用制御器110と、カートリッジ120と、ポンプ130と、配薬キャビネット140と、屋内測位システム150と、廃棄サイト160とを含む。転用制御器110、カートリッジ120、ポンプ130、配薬キャビネット140、屋内測位システム150、および/または廃棄サイト160はネットワーク170を介して通信可能に連結され得る。ネットワーク170はいかなる有線ネットワークおよび/または無線ネットワークであってもよく、例えば、公衆陸上移動体ネットワーク(public land mobile network、PLMN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネットなどであってもよい。
【0027】
カートリッジ120は、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニルなどのオピオイド鎮痛剤を含むように構成され得る。カートリッジ120はシリンジ、バイアル、静脈内(IV)バッグ、および/または任意の他の適切な形式のものであってもよいことが理解されるべきである。特定の例示的実施例において、カートリッジ120はポンプ130に挿入され得て、ポンプ130は、需要に応じてオピオイド鎮痛剤を患者の静脈への直接的接続を介して患者に送達するように構成されたPCAポンプであってもよい。ただし、カートリッジ120内のオピオイド鎮痛剤は、ポンプ130の代わりの異なる機構を介して、および/またはポンプ130に加えて異なる機構を介して送達され得る。
【0028】
ポンプ130は、定流量のオピオイド鎮痛剤を提供してもよく、および/または、患者にオピオイド鎮痛剤の個別の投与を自己投与させてもよい。前述したように、オピオイド鎮痛剤の転用は任意の時点で起こり得て、例えば、オピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって起こり得る。よって、特定の例示的実施例において、転用制御器110は、カートリッジ120に対する保管チェインを確立することによってオピオイド鎮痛剤の転用を検出するように構成され得る。転用制御器110は、カートリッジに対する保管チェインがカートリッジ120の移動、カートリッジ120の内容物、および/またはカートリッジ120を取り扱った個体に関する異常を示すときに、転用を検出することができる。
【0029】
図2は、特定の例示的実施例に基づいた保管チェイン200を示すフローチャートを表す。
図1および
図2を参照すると、転用制御器110は保管チェイン200を確立することによってカートリッジ200を追跡してもよい。保管チェイン200は、カートリッジ120の移動、カートリッジ120の内容物、ならびに/または、配合、配薬、投与および/もしくは廃棄にわたってカートリッジ120を取り扱った個体を示すデータを含んでもよい。
【0030】
図2に示されているように、カートリッジ120は、カートリッジ120がオピオイド鎮痛剤に満タンに充填される調剤施設210(例えば、調剤薬局)に置かれ得る。その後、カートリッジ120は調剤施設210から治療施設220(例えば、病院)に運ばれ得る。治療施設220において、カートリッジ120は最初には配薬キャビネット140に収納され得る。オピオイド鎮痛剤の配薬はカートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出すことを含んでもよい。そして、オピオイド鎮痛剤はカートリッジ120をポンプ130に挿入することによって患者に投与される。カートリッジ120は複数回(例えば、30回~150回)の投与分のオピオイド鎮痛剤を収納してもよいが、これらの投与分の一部のみがポンプ130を介して患者に送達してもよい。よって、カートリッジ120がポンプ130から取り出されるとき、カートリッジ120に残留したオピオイド鎮痛剤の投与分のすべては廃棄サイトで廃棄され得る。ここで説明するように、廃棄とは、オピオイド鎮痛剤などの規制物質を廃棄する手順と指す。例えば、廃棄のための手順は、州および/または連邦の、例えば証人の存在を必要とする規制の対象であってもよい。
【0031】
オピオイド鎮痛剤の転用は任意の時点で起こり得て、例えば、オピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって起こり得る。例えば、
図2を再び参照すると、オピオイド鎮痛剤の転用は、カートリッジ120が配薬キャビネット140から取り出されるときから、カートリッジ120がポンプ130に挿入されるときまでの間に起こり得る。ここで、オピオイド鎮痛剤の一部は、カートリッジ120から取り出され、目視では判別できない他の物質に変えられる可能性がある。代替的におよび/または追加的に、オピオイド鎮痛剤の転用はカートリッジ120がポンプ130から取り出された後に起こり得る。カートリッジ120に残留したオピオイド鎮痛剤の投与分は、廃棄サイト160において適切に廃棄されることなく転用され得る。よって、特定の例示的実施例によると、転用制御器110は保管チェイン200に基づいて転用を検出することができる。特に、転用制御器110は、保管チェインがカートリッジ120の移動、カートリッジ120の内容物、および/またはカートリッジ120を取り扱った個体に関するいかなる異常を含むときに、転用を検出することができる。
【0032】
前述したように、保管チェイン200は、カートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/もしくは廃棄にわたるカートリッジ120の移動を示すデータを含んでもよい。カートリッジ120は、カートリッジ120に含まれた識別タグ122を用いて追跡可能である。例えば、識別タグ122は、バーコード、クイックレスポンスコード(quick response code、QRコード(登録商標))、RFIDタグ(radio frequency identifier tag)などであってもよい。識別タグ122は、カートリッジ120を一意的に識別するデータを記憶してもよい。また、識別タグ122は患者を識別するデータを記憶してもよく、当該患者はカートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤について許可されている。特定の例示的実施例において、識別タグ122は、カートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/もしくは廃棄にわたって様々な場所でスキャンおよび/または追跡され得る。識別タグ122をスキャンすることによって、カートリッジ120に対する保管チェイン200の一部となるデジタル記録を生成することができる。例えば、この記録は、識別タグ122がいつにどこでスキャンされたかを示してもよい。記録は、例えば、カートリッジが特定の位置に到着したか否か、および/またはカートリッジが特定の位置から離れたか否かなどの、カートリッジ120に関して行われた1つ以上の行為を示してもよい。また、記録は、カートリッジ120に関して当該行為を行った個体を含んでもよい。これらの記録は2つ以上の位置にわたるカートリッジ120の移動を反映してもよい。転用制御器110はこれらの記録の少なくとも一部を転用制御器110に連結したデータベース115に記憶してもよいことが理解されるべきである。
【0033】
図をもって説明すると、識別タグ122は、カートリッジ120が配薬キャビネット140に入れられるとき、および/またはカートリッジ120が配薬キャビネット140から取り出されるときにスキャンされ得る。ここで、識別タグ122をスキャンすることによって、カートリッジ120が第1時間t1に配薬キャビネット140から離れたことを示す記録が生成される。識別タグ122はカートリッジ120がポンプ130に挿入されるときにもスキャンされ得る。ここで、識別タグ122をスキャンすることによって、カートリッジ120が第2時間t2にポンプ130に到着したことを示す異なる記録が生成される。同様に、識別タグ122はカートリッジ120がポンプ130から取り出されるときにスキャンされ得る。ここで、識別タグ122をスキャンすることによって、カートリッジ120が第3時間t3にポンプ130から離れたことを示す記録が生成される。また、識別タグ122は、残留した投与分のオピオイド鎮痛剤が廃棄サイト160において廃棄されるときにもスキャンされ得る。ここで、識別タグ122をスキャンすることによって、カートリッジ120が第4時間t4に廃棄サイト160に到着したことを示す記録が生成される。
【0034】
これらの記録は、第1時間t1、第2時間t2、第3時間t3、および/または第4時間t4のそれぞれにカートリッジ120を取り扱った1つ以上の個体に対する識別情報を含んでもよいことが理解されるべきである。この識別情報は、配薬キャビネット140、ポンプ130、および/もしくは廃棄サイト160に到着するときに、ならびに/またはこれらの場所から離れるときに、識別タグがスキャンされる際に提供され得る。例えば、識別タグ122のスキャンとともに、そのときにカートリッジ120を取り扱っている個体は、一意的に当該個体を識別する識別番号、パスコードおよび/または生体データを入力するように要求され得る。識別情報に基づいて、転用制御器110は、第1時間t1にカートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した、第2時間t2にカートリッジ120をポンプ130に挿入した、第3時間t3にカートリッジ120をポンプ130から取り出した、および/または第4時間t4に廃棄サイト160において残留投与分のオピオイド鎮痛剤を廃棄した1つ以上の個体を識別してもよい。
【0035】
代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120の移動は測位システムによるカートリッジ120の座標に基づいても追跡され得て、当該座標は、例えば、全地球測位システム(global positioning system、GPS)座標、および/または屋内測位座標である。識別タグ122に加えて、および/または識別タグ122の代わりに、カートリッジ120は位置追跡器124を含んでもよい。位置追跡器124は、カートリッジ120の1つ以上のGPS座標を判断するように構成され得る。これらのGPS座標は保管チェイン200の一部であってもよい。これらのGPS座標によって、転用制御器110はカートリッジ120の施設間移動を追跡することが可能であり、例えば、カートリッジ120が調剤施設210から治療施設220へ運ばれるときの移動を追跡することが可能である。カートリッジ120の屋内の移動(例えば、施設内の移動)はGPS座標に基づいて追跡されるのではないことが理解されるべきである。この場合、位置追跡器124は、屋内測位システム150と相互作用してカートリッジ120に対して屋内位置座標を生成するように構成され得る。屋内測位座標も保管チェイン200の一部であってもよい。屋内測位座標によっても、転用制御器110はカートリッジ120の施設内移動を追跡することが可能であり、例えば、調剤施設210内および/または治療施設220内の移動を追跡することが可能である。カートリッジ120の移動を追跡する少なくとも特定のGPS座標および/または屋内測位座標はデータベース115に記憶され得る。
【0036】
特定の例示的実施例において、屋内測位システム150は、調剤施設210および/または治療施設220などの施設の内部にわたって設けられた複数のセンサを含んでもよい。センサは、位置追跡器124によって放射された信号を検出するように構成され得る。位置追跡器124は、例えば、無線周波数識別(radio frequency identification、RFID)、近距離無線通信(near-field communication、NFC)、磁場、Wi-Fi(登録商標)、音響信号などを含む任意の無線技術を利用する屋内測位システム150と相互作用してもよいことが理解されるべきである。センサにおいて検出された信号の強度および/または方向によって、屋内測位システム150は、調剤施設210および/または治療施設220などの施設内のカートリッジ120の位置を示す1つ以上の屋内測位座標を生成することができる。
【0037】
さらに説明すると、
図3は、特定の例示的実施例に基づいた屋内測位システム150の展開を示すブロック図を表す。
図1~
図3を参照すると、屋内測位システム150は治療施設220に設けられ得る。例えば、
図3に示されているように、屋内測位システム150は複数のセンサを含んでもよく、例えば、第1センサS
1、第2センサS
2、第3センサS
3、第4センサS
4、第5センサS
5、および第6センサS
6を含んでもよい。
図3に示されているように、これらのセンサは治療施設220にわたって異なるエリアに設けられてもよく、例えば、配薬キャビネット140、ポンプ130および/または廃棄サイト160の近くに設けられてもよい。特定の例示的実施例において、位置追跡器124は、カートリッジ120に関連する一意的な識別子を含む周期的なポーリング信号を送信してもよい。同時に、センサは、カートリッジ120が治療施設220において移動しまわっているときにカートリッジ120によって放射されたポーリング信号を検出するように構成され得る。屋内測位システム150は、第1センサS
1、第2センサS
2、第3センサS
3、第4センサS
4、第5センサS
5、および/または第6センサS
6において検出された信号の強度および/または方向に基づいて、治療施設220内のカートリッジ120の位置を示す1つ以上の屋内測位座標を判断してもよい。
【0038】
識別タグ122および/または位置追跡器124に関連するデータによって、転用制御器110は、施設内の1つ以上の位置の間におけるカートリッジ120の移動を追跡することができる。例えば、このデータに基づいて、転用制御器110は、カートリッジ120がポンプ130に移動される前に配薬キャビネット140にあったことを判断することができる。カートリッジ120はその後でポンプ130から廃棄サイト160に移動され得る。前述したように、治療施設220におけるカートリッジ120の1つ以上の位置の間の移動は、カートリッジ120の保管チェイン200の一部であってもよい。転用制御器110は、この保管チェイン200にあるいかなる異常、例えば、2つ以上の位置にわたるカートリッジ120の移動に関する異常の存在に基づいて転用を検出することができる。
【0039】
カートリッジ120の移動時における異常の一例は、1つの位置から他の位置への異常に長い移動時間であってもよい。例えば、転用制御器110は、2つの位置の間の移動時間が予測移動時間を超えった場合に転用を検出することができる。施設(例えば、調剤施設210、治療施設220)内の異なる位置の間の予測移動時間を示すデータはデータベース115に記憶され得る。これらの予測移動時間は、異なる位置の間の平均移動時間に基づいて判断され得る。特定の例示的実施例において、2つの位置の間の移動時間は、カートリッジ120が1つの位置から離れたときからカートリッジ120が続いて次の位置に到着したときまで経過した時間量と対応してもよい。例えば、転用制御器110は、カートリッジ120の配薬キャビネット140から取り出されたときから、カートリッジ120のポンプ130に挿入されたときまで経過した時間量が閾値を超えた場合に、転用を検出することができる。すなわち、第1時間t1と第2時間t2との差が閾値を超えた場合、転用制御器110は転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、転用制御器110は、カートリッジ120のポンプ130から取り出されたときから、カートリッジ120の廃棄サイト160に到着したときまで経過した時間量が閾値を超えた場合に、転用を検出することができる。ここで、第3時間t3と第4時間t4との差が閾値を超えた場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0040】
カートリッジ120の移動時における異常のもう一例は、カートリッジ120の予想移動経路内の迂回であってもよい。特定の例示的実施例において、データベース115は、カートリッジ120の1つ以上の予想移動経路を示すデータを記憶してもよい。例えば、当該1つ以上の予想移動経路は、異なる位置間の最短経路、異なる位置間において最も頻繁に利用される経路、および/またはデータベース115に記憶された任意の他の経路に基づいて判断され得る。カートリッジ120がこれらの予想移動経路から出た迂回を有すると転用制御器110が判断した場合、転用制御器110は転用を検出することができる。例えば、カートリッジ120に対する予想移動経路は、配薬キャビネット140からポンプ130へ、そして廃棄サイト160への移動を含んでもよい。この予想移動経路から出る迂回は、カートリッジ120が予想移動経路の一部でない1つ以上の位置に存在することを含む。例えば、カートリッジ120が配薬キャビネット140からポンプ130へ直接的に移動せずに、あえて配薬キャビネット140からロッカールームおよび/またはオフィスへ移動した場合、転用制御器110は転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、予想移動経路から出る迂回は、予想移動経路によって示された順番と異なる順番でカートリッジ120が予想移動経路内の位置へ移動することを含む。図をもって説明すると、カートリッジ120が配薬キャビネット140からポンプ130へ移動せずに、あえて配薬キャビネット140から廃棄サイト160へ移動する場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0041】
カートリッジ120に関連する識別タグ122は、患者を識別するデータを提供してもよく、当該患者は、カートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤について許可されている。ポンプ130もこの特定の患者に関連してもよい。また、この患者は、例えば、医師および/または看護師を含む1人以上の特定の医療専門家の管理下にあってもよい。よって、カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した個体が、カートリッジ120と関連する患者に対して管理の指定された医療専門家でない場合、転用制御器110は転用を検出することができる。例えば、前述したように、この個体は、カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出すときに、生体データ、識別番号、および/またはパスコードなどの識別情報を入力するように要求され得る。カートリッジ120と関連する患者を看護するように割り当てられた医療専門家に関する識別情報と一致しない、個体によって提供される識別情報の転用を、転用制御器110は検出することができる。代替的におよび/または追加的に、患者と関連するポンプ130ではない異なるPCAポンプにカートリッジ120が挿入された場合、転用制御器110は転用を検出することができる。患者、カートリッジ、PCAポンプ、および/または医療専門家の間の関連を示すデータはデータベース115に記憶され得ることが理解されるべきである。このように、転用制御器110は、カートリッジ120が適切なPCAポンプに挿入されているか否か、および/または、カートリッジ120が適切な個体によって取り扱われているか否かについて判断するためにデータベース115に問い合わせてもよい。
【0042】
特定の例示的実施例において、保管チェイン200は、カートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤の配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって様々な時点でカートリッジ120の内容物を示すデータをさらに含んでもよい。よって、再び
図1を参照すると、オピオイド管理システム100は、例えば、第1計測器132、第2計測器162、および第3計測器126を含む複数の計測器を含んでもよい。第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126は、例えば、カートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤の量を含む、カートリッジ120の内容物を判断するように構成され得る。
図1に示されているように、第1計測器132はポンプ130に設けられ得て、第2計測器162は廃棄サイト160に設けられ得る。同時に、第3計測器126はカートリッジ120に組み込まれ得る。第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126は、ネットワーク170を介して転用制御器110と通信する能力を有するモノのインターネット(Internet-of-Things、IoT)装置であってもよいことが理解されるべきである。例えば、第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126は、様々な時点でカートリッジ120の内容物を示すデータを転用制御器110に送信してもよい。また、第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126などの計測器は、例えば、配薬キャビネット140と異なる位置に、および/または、配薬キャビネット140に加えて他の位置に設けられ得る。
【0043】
下記の「数1」によって表現されているように、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量(例えば、qグラム)は、カートリッジ120内に存在する液体の総量(例えば、vミリリットル)と、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の濃度(例えば、一ミリリットル当たりcグラム)との乗積であってもよい。
【0044】
【0045】
様々な時点でカートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量を判断するために、第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126は、カートリッジ120内に存在する液体の液量を測量するように構成された流量計および/または重力計を含んでもよい。また、第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126は、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の濃度を判断するように構成された屈折計も含んでもよい。カートリッジ120内に存在する液体の液量、およびカートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の濃度は、例えば、配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって任意の時点で、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量を判断するのに利用され得る。ただし、第1計測器132、第2計測器162、および/または第3計測器126は、カートリッジ120内のオピオイド鎮痛剤の量、液量、および/または濃度を判断するための異なる機構、および/または追加的な機構を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0046】
保管チェイン200がカートリッジ120の内容物に関して1つ以上の異常を示すとき、転用制御器110は転用を検出することができる。特に、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量が、特定の位置におけるオピオイド鎮痛剤の予想量と一致していない場合、転用制御器110は転用を検出することができる。例えば、第3計測器126は、カートリッジ120が配薬キャビネット140から取り出されたときに、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の第1量q1を判断してもよい。同時に、第1計測器132および/または第3計測器126も、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたときに、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の第2量q2を判断してもよい。第2量q2が第1量q1より少ない場合、転用制御器110は転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、第1計測器132および/または第3計測器126も、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたときに、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の第3量q3を判断してもよい。第2計測器162および/または第3計測器126は、廃棄サイト160においてカートリッジ120から廃棄されたオピオイド鎮痛剤の第4量q4を判断してもよい。ここで、第4量q4が第3量q3より少ない場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0047】
特定の例示的実施例において、保管チェイン200は、配合、配薬、投与および/または廃棄にわたってカートリッジ120を取り扱った個体を示すデータをさらに含んでもよい。カートリッジ120を取り扱った個体は様々な識別情報に基づいて識別され得て、これらの個体は、例えば、配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって様々な時点で、提供について要求され得る。例えば、前述したように、カートリッジ120を取り扱った個体は識別番号および/またはパスコードを提供するように要求され得る。識別番号および/またはパスコードはキーボードおよび/またはキーカードをスキャンすることによって入力され得え、キーカードは近距離無線通信、無線周波数識別、バーコード、QRコードなどを介してデータを提供する。代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120を取り扱った個体は生体データを提供するように要求され得る。
【0048】
再び
図1を参照すると、オピオイド管理システム100は、例えば、第1生体リーダ134、第2生体リーダ145、および第3生体リーダ164を含む1つ以上の生体リーダ(biometric reader)を含んでもよい。第1生体リーダ134、第2生体リーダ145、および/または第3生体リーダ164は、例えば、顔識別、指紋識別、虹彩スキャン、網膜スキャン、署名解析、音声解析などを含む任意種類の生体認証技術によって実施され得ることが理解されるべきである。
図1に示されているように、第1生体リーダ134はポンプ130に設けられ得て、第2生体リーダ145は配薬キャビネット140に設けられ得て、第3生体リーダ164は廃棄サイト160に設けられ得る。ただし、生体リーダは、例えば、カートリッジ120などの異なる位置または追加的な位置に設けられ得る。
【0049】
保管チェイン200がカートリッジ120を取り扱った個体に関して1つ以上の異常を示すとき、転用制御器110は転用を検出することができる。これらの異常は、2つの位置においてカートリッジ120を取り扱った個体の変更および/または不一致を含んでもよい。前述したように、データベース115は、例えば、配合、配薬、投与および/または廃棄にわたって様々な時点でカートリッジ120を取り扱った個体を示すデータを記憶してもよい。例えば、データベース115は、カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した、カートリッジ120をポンプ130に挿入した、カートリッジ120をポンプ130から取り出した、および/または廃棄サイト160において残留投与分のオピオイド鎮痛剤を廃棄した1つ以上の個体を示す記録を記憶してもよい。カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した個体がその後にカートリッジ120をポンプ130に挿入した個体と異なることをデータベース115内の記録が示す場合、転用制御器110はデータベース115に問い合わせて転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120をポンプ130から取り出した個体が廃棄サイト160においてカートリッジ120を廃棄した個体と異なる場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0050】
転用制御器110は、カートリッジ120内に収納されたオピオイド鎮痛剤の転用に責任を負う1つ以上の個体を識別するように、第1生体リーダ134、第2生体リーダ145、および/または第3生体リーダ164からの生体データをさらに利用してもよいことが理解されるべきである。前述したように、カートリッジ120の移動、カートリッジ120の内容物、および/またはカートリッジ120を取り扱った個体に対して1つ以上の異常が存在することに基づいて、転用制御器110は転用を検出することができる。転用の検出に応じて生体データに基づいて、転用制御器110は以前カートリッジ120を取り扱った1つ以上の個体を識別してもよい。
【0051】
図をもってさらに説明すると、カートリッジ120の移動および/またはカートリッジ120の内容物にある異常に基づいて、転用制御器110は転用を検出することができる。例えば、配薬キャビネット140から取り出された後に許可されていない位置(例えば、ロッカールーム310)に存在するカートリッジ120の検出に応じて、転用制御器110は転用を検出することができる。このように、配薬キャビネット140における第2生体リーダ145からの生体データに基づいて、転用制御器110は、転用について犯人の可能性がある者としてカートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した個体を識別してもよい。
【0052】
代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたとき、転用制御器110はカートリッジ120の内容物の不一致に基づいて転用を検出することができる。例えば、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたときにカートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量が、カートリッジ120が配薬キャビネット140から取り出されたときにカートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量より少ない場合、転用制御器110は転用を検出することができる。この転用の検出に応じて、転用制御器110はカートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した個体を識別してもよい。転用制御器110はカートリッジ120をポンプ130に挿入した個体をさらに識別してもよい。これらの個体は転用について犯人の可能性がある者として識別され得る。転用制御器110は識別情報(例えば、生体データ、識別番号、パスワードなど)に基づいてこれらの個体を識別してもよく、当該識別情報は、カートリッジ120が配薬キャビネット140から取り出されたときに、および/またはカートリッジ120がポンプ130に挿入されたときに入力されることが理解されるべきである。前述したように、この識別情報はデータベース115に記憶され得る。よって、転用制御器110は少なくともデータベース115に問い合わせることによってこれらの個体を識別することができる。
【0053】
特定の例示的実施例において、転用制御器110は識別情報を用いて経時的に様々な個体の行為を追跡してもよい。前述したように、識別情報は、1つ以上の個体がカートリッジ120に関して行動を行うときに、例えば、カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出す、カートリッジ120をポンプ130に挿入する、カートリッジ120をポンプ130から取り出す、および/または廃棄サイト160において残留投与分のオピオイド鎮痛剤をカートリッジ120から廃棄するときに、入力され得る。この識別情報は第1生体リーダ134、第2生体リーダ145、および/または第3生体リーダ164からの生体データを含んでもよい。代替的におよび/または追加的に、この識別情報はキーボードを介して、および/またはキーカードをスキャンすることによって、入力された識別番号および/またはパスワードを含んでもよい。転用制御器110は経時的にこの識別情報を用いて様々な個体の行為に対応するデータを区別してもよい。また、転用制御器110は、各単独の個体(例えば、治療センター220からの看護師A)の行為についての基準、および、1つ以上の個体グループ(例えば、治療センター220におけるすべての看護師)にわたる行為についての基準を識別してもよい。転用制御器110が1つ以上のこれらの基準から逸脱する行為を識別した場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0054】
様々な個体の行為を追跡することは、生体データに基づいて、オピオイド管理システム100によって収集された様々な種類のデータを相互に関係させることを含んでもよい。例えば、看護師Aの生体データに基づいて、管理システム100は、看護師Aがいつにカートリッジ120などのカートリッジを配薬キャビネット140から取り出したかという事実のすべてを追跡してもよい。管理システム100は、看護師Aの生体データに基づいて、看護師Aがその後、いつにカートリッジをポンプ130などのPCAポンプに挿入したかに関する事実のすべてを追跡してもよい。転用制御器110は、看護師Aが配薬キャビネット140からポンプ130などのPCAポンプに移動するのに必要な時間量(例えば、x分間)に対する基準を判断してもよい。代替的におよび/または追加的に、転用制御器110は、配薬キャビネット140からPCAポンプへの看護師Aの移動速度(例えば、毎分yメトル)に対する基準を判断してもよい。看護師Aの配薬キャビネット140とPCAポンプとの間の移動時間および/または移動速度が、看護師Aに対する基準を超えたとき、転用制御器110は転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、看護師Aの移動時間および/または移動速度が、治療センター220におけるすべての看護師に対する基準を超えた場合にも、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0055】
特定の例示的実施例において、データベース115は、転用が発生したか否かを判断するときに転用制御器110によって利用され得る複数の他のデータを記憶してもよい。例えば、データベース115は、調剤施設210および/または治療施設220などの施設内の1つ以上の個体の移動を追跡するデータを記憶してもよい。図をもってさらに説明すると、看護師Aの移動は、配薬キャビネット140、ポンプ130、廃棄サイト160、ロッカールーム310、および/またはオフィス320にわたる看護師Aの移動として追跡され得る。ここで、看護師Aに付けた位置追跡器によって放射される信号に基づいて、および/または、1つ以上の位置に行く度にキーカードをスキャンすることによって、看護師Aの移動は追跡され得る。配薬キャビネット140からポンプ130への移動、および/またはポンプ130から廃棄サイト160への移動の間、看護師Aがロッカールーム310および/またはオフィス320において時間をかけ過ぎたことを、データベースからのデータが示す場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0056】
代替的におよび/または追加的に、データベース115は、治療施設220における1つ以上のイベントの発生を示すイベントデータを記憶してもよく、当該治療施設220において、1つ以上の個体の行為について逸脱が生じ得る。例えば、データベース115は、治療施設220における救急医療の発生を示すイベントデータを記憶してもよく、当該救急医療の発生は看護師Aの、配薬キャビネット140とポンプ130との間の移動時間および/または移動速度を遅らせることがある。代替的におよび/または追加的に、データベース115は、様々な時点で治療施設22において配置される個体を示すスケージュールデータを記憶してもよい。スケージュールデータは、カートリッジ120を取り扱った個体についての矛盾に対して説明がつけ得るシフト変更を示してもよい。例えば、転用制御器110は、看護師Aがカートリッジ120をポンプ130から取り出したが、看護師Bが廃棄サイト160において残留投与分のオピオイド鎮痛剤をカートリッジ120から廃棄した場合がある。ここで、カートリッジ120を取り扱った個体についての矛盾、およびデータベース115からのスケージュールデータに基づいて、転用制御器110は転用を検出することができる。このように、看護師Bが看護師Aの代わりに残留投与分のオピオイド鎮痛剤を廃棄したが、データベース115からのスケージュールデータが看護師Aから看護師Bへのシフト変更を示す場合、転用制御器110は転用を検出しなくてもよい。一方、看護師Aが当番のままだとデータベース115からのスケージュールデータが示しながら、看護師Bが残留投与分のオピオイド鎮痛剤を廃棄した場合、転用制御器110は転用を検出してもよい。
【0057】
図4は、特定の例示的実施例に基づいた、オピオイド鎮痛剤の転用を検出するためのプロセス400を示すフローチャートを表す。
図4を参照すると、プロセス400はオピオイド管理システム100によって実行され得る。
【0058】
ステップ402において、は少なくとも測位システム150からの位置データに基づいて、オピオイド管理システム100は特定の位置におけるオピオイド鎮痛剤のカートリッジの存在を検出してもよい。特定の例示的実施例において、カートリッジ120は識別タグ122および/または位置追跡器124を含んでもよく、識別タグ122および/または位置追跡器124によって、転用制御器110は施設(例えば、調剤施設210、治療施設220)内および/または施設間におけるカートリッジ120の移動を追跡することができる。例えば、カートリッジ120が配薬キャビネット140、ポンプ130および/または廃棄サイト160などの位置に到着したおよび/またはこれらの位置から離れたとき、識別タグ122はスキャンされ得る。代替的におよび/または追加的に、位置追跡器124は屋内測位システム150と相互作用し、治療センター220内のカートリッジ120の位置を示す位置データを生成してもよく、例えば、配薬キャビネット140、ポンプ130、廃棄サイト160、ロッカールーム310、および/またはオフィス320という位置を示す位置データを生成してもよい。
【0059】
ステップ404において、少なくとも第1位置における計測器からの計測データに基づいて、オピオイド管理システム100はカートリッジ内のオピオイド鎮痛剤の量を判断してもよい。特定の例示的実施例において、オピオイド管理システム100は様々な位置に設けられた複数の計測器を含んでもよい。例えば、第1計測器132は、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたとき、および/またはポンプ130から取り出したときに、カートリッジ120内に存在する液体におけるオピオイド鎮痛剤の液体の液量および濃度を判断するように、ポンプ130などの1つの位置に設けられ得る。同時に、第2計測器162は、廃棄サイト160において廃棄された液体におけるオピオイド鎮痛剤の液体の液量および濃度を判断するように、廃棄サイト160などの他の位置に設けられ得る。また、第3計測器126は、カートリッジ120に含まれ得て、カートリッジ120内に存在する液体におけるオピオイド鎮痛剤の液体の液量および濃度を判断するように構成され得る。前述したように、カートリッジ120内に存在する液体におけるオピオイド鎮痛剤の液体の液量および濃度に基づいて、転用制御器110はカートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量を判断することができる。こうすれば、転用制御器110は、カートリッジ120が配薬キャビネット140からポンプ130へおよび廃棄サイト160へ移動されるとき、カートリッジ120内に存在するオピオイド鎮痛剤の量を追跡することができる。
【0060】
ステップ406において、第1位置において存在するカートリッジ、および/またはカートリッジ内のオピオイド鎮痛剤の量に基づいて、オピオイド管理システム100は転用を検出してもよい。例えば、転用制御器110はカートリッジ120の移動時における異常に基づいて転用を検出することができる。例えば、カートリッジ120がロッカールーム310および/またはオフィス320などの許可されていない位置に存在する場合、転用制御器110は転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120が2つ以上の許可された位置にわたって迂回する場合、転用制御器110は転用を検出することができる。例えば、配薬キャビネット140から取り出された後、カートリッジ120が廃棄サイト160などの許可された位置に迂回する場合がある。それでも、配薬キャビネット140から廃棄サイト160への直接的な移動は、配薬キャビネット140から取り出されたらポンプ130へ直接的に運ばれるというカートリッジ120に対する要件と一致しないため、当該迂回は異常を表す可能性がある。
【0061】
代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120の内容物が特定の位置におけるカートリッジの予想内容物と不一致である場合、転用制御器110は転用を検出することができる。例えば、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたときに、カートリッジ120が予想量より少ない量のオピオイド鎮痛剤を収納していることを、第1計測器132および/または第3計測器126からの計測データが示す場合、転用制御器110は転用を検出することができる。代替的におよび/または追加的に、カートリッジ120がポンプ130から取り出したときに、廃棄サイト160において廃棄されたオピオイド鎮痛剤の量が、カートリッジ120内に残留したオピオイド鎮痛剤の量より少ないことを、第2計測器162および/または第3計測器126からの計測データが示す場合、転用制御器110は転用を検出することができる。
【0062】
ステップ408において、オピオイド管理システム100は識別情報に基づいて、転用に責任を負う個体として、カートリッジ120を取り扱った少なくとも1つの個体を識別してもよい。特定の例示的実施例において、転用の検出に応じて、転用制御器110は識別情報に基づいて以前カートリッジ120を取り扱った1つ以上の個体を識別してもよい。前述したように、カートリッジ120の移動、カートリッジ120の内容物、および/またはカートリッジ120を取り扱った個体にある異常に基づいて、転用制御器110は転用を検出することができる。また、カートリッジ120は配薬キャビネット140から取り出された後に許可されていない位置(例えば、ロッカールーム310)に存在すると転用制御器110が判断した場合、転用制御器110は第2生体リーダ145からの生体データに基づいて、カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した個体を転用について犯人の可能性がある者として識別してもよい。代替的におよび/または追加的に、転用制御器110は、カートリッジ120がポンプ130に挿入されたときに、カートリッジ120の内容物に関する不一致があるため、転用を検出することができる。ここで、第1生体リーダ134および/または第2生体リーダ145からの生体データに基づいて、転用制御器110は、カートリッジ120を配薬キャビネット140から取り出した個体、および/またはカートリッジ120をポンプ130に挿入した個体を識別してもよい。代替的におよび/または追加的に、これらの個体は、キーパッドを介して、および/またはキーカードをスキャンすることによって入力された識別番号および/またはパスコードに基づいて識別され得る。
【0063】
図5は、現在の保護対象の実施例に適用されるコンピュータシステム500を示すブロック図を表す。
図1および
図5を参照すると、コンピュータシステム500は転用制御器110および/またはここで説明する任意の要素の実施に利用され得る。
【0064】
図5に示されているように、コンピュータシステム500は、プロセッサ510と、メモリ520と、記憶装置530と、入力/出力装置540と、を含んでもよい。プロセッサ510と、メモリ520と、記憶装置530と、入力/出力装置540とはシステムバス550を介して相互に接続され得る。プロセッサ510はコンピュータシステム500において実行のために命令を処理することができる。このような実行される命令は、例えば、転用制御器110の1つ以上の要素を実施してもよい。特定の例示的実施例において、プロセッサ510はシングルスレッドプロセッサであってもよい。代替的に、プロセッサ510はマルチスレッドプロセッサであってもよい。プロセッサ510は、メモリ520および/または記憶装置530に記憶された命令を処理し、入力/出力装置540を介して提供されるユーザインタフェースのためにグラフィカル情報を表示することができる。
【0065】
メモリ520は、コンピュータシステム500において情報を記憶する、揮発性または非揮発性のコンピュータ可読媒体であってもよい。メモリ520は、設定オブジェクトのデータベースなどを表すデータ構造を記憶してもよい。記憶装置530はコンピュータシステム500に対して持続的記憶を提供することができる。記憶装置530は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、テープ装置、またはその他の適切な持続的な記憶手段であってもよい。入力/出力装置540はコンピュータシステム500に対して入力/出力の動作を提供する。特定の例示的実施例において、入力/出力装置540はキーボードおよび/またはポインティング装置を含む。様々な実施例において、入力/出力装置540はグラフィカルユーザインタフェースを表示するための表示ユニットを含む。
【0066】
特定の例示的実施例において、入力/出力装置540はネットワーク装置に対して入力/出力の動作を提供する。例えば、入力/出力装置540は、1つ以上の有線ネットワークおよび/または無線ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット)と通信するように、イーサネット(登録商標)のポートまたは他のネットワークポートを含んでもよい。
【0067】
特定の例示的実施例において、コンピュータシステム500は、様々なフォマードのデータの編成(organization)、分析および/または記憶のために利用され得る様々な対話式コンピュータソフトウェアアプリケーションを実行するように、利用され得る。代替的に、コンピュータシステム500は任意種類のソフトウェアアプリケーションを実行するように利用され得る。これらのアプリケーションは、例えば、計画機能(例えば、表計算文書、ワード処理文書、および/または任意の他の対象の生成、管理、編集)、計算機能、通信機能などの様々な機能を実行するように利用され得る。アプリケーションは、アドイン機能を含んでもよく、または、スタンドアローン式で計算する製品および/または機能であってもよい。アプリケーション内の活動によって、これらの機能は、入力/出力装置540を介して提供されるユーザインタフェースの生成に利用され得る。ユーザインタフェースはコンピュータシステム500によって生成されて(例えば、コンピュータスクリーンモニタ上に)ユーザに提供され得る。
【0068】
ここで説明する保護対象の1つ以上の実施形態または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のコンピューターハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせによって実現され得る。これらの様々な実施形態または特徴は、プログラマブルシステムにおいて実行可能および/または解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムによる実行を含んでもよく、当該プログラマブルシステムは少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含む。プログラマブルプロセッサは、専用品であっても汎用品であってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置からデータと命令とを受信するように、および、データと命令とを当該記憶システムらに送信するように連結されている。プログラマブルシステムまたはコンピュータプログラムはクライアントとサーバとを含んでもよい。クライアントとサーバとは、一般的には相互に離れていて通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータにおいて行って相互にクライアント―サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって構築される。
【0069】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、要素、またはコードとしても呼ばれており、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、手続き型高級言語および/もしくはオブジェクト指向プログラミング言語、ならびに/またはアセンブリ言語/機械言語によって実施され得る。ここで説明するように、「機械可読媒体」という用語は、いかなるコンピュータプログラム製品、装置、および/または装置を指し、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、およびプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Devices、PLD)であってもよく、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するように利用され、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するように利用されるいかなる信号を指す。機械可読媒体は、このような機械命令を非一時的に記憶することができ、例えば、非一時的ソリッドステートメモリ、磁気ハードドライブ、またはいかなる均等の記憶媒体であってもよい。代替的にまたは追加的に、機械可読媒体は、このような機械命令を一時的な形式で記憶してもよく、例えば、1つ以上の物理プロセッサコアと関連するプロセッサキャッシュまたは他のランダムアクセスメモリであってもよい。
【0070】
ユーザとの相互作用を提供するために、ここで説明する保護対象の少なくとも1つの実施態様または特徴は表示装置とキーボードとポインティング装置とを有するコンピュータに実施され得る。表示装置は、例えば、ブラウン管(cathode ray tube 、CRT)、液晶ディスプレイ( liquid crystal display、LCD)または発光ダイオード(light emitting diode、LED)モニタなどであり、情報をユーザに表示するためのものである。ポインティング装置は、例えば、マウスまたはトラックボールなどであり、ユーザはポインティング装置によって入力をコンピュータに提供できる。他の種類の装置もユーザとの相互作用を提供するために利用できる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバックなどの感覚フィードバックであってもよい。ユーザからの入力は音響、音声、または触覚入力を含むいかなる形式で受信され得る。他の可能な入力装置は、タッチスクリーンまたは単点もしくは多点の抵抗式もしくは容量式のトラックパッドなどの他のタッチ感知式装置、音声識別ハードウェアおよびソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、デジタル画像取得装置、ならびに関連する解釈ソフトウェア(interpretation software)などを含む。
【0071】
前述した説明および特許請求の範囲の記載において、「少なくとも1つ」または「1つ以上」などの用語の後には要素または特徴の列挙が続くことがある。「および/または」という用語も2つ以上の要素または特徴の列挙にあり得る。用いられた記載によって暗黙的または明示的に矛盾しない限り、そのような用語は、いかなる個別に列挙された要素または特徴、または、他の記載された要素または特徴と組み合わせた、いかなる記載された要素または特徴と意味しようとする。例えば、「少なくとも1つのAおよびB」、「1つ以上のAおよびB」、「Aおよび/またはB」というそれぞれの用語は「Aのみ、Bのみ、またはAとBとも」と意味しようとする。同様な解釈は3つ以上の項目を含む列挙にも適用される。例えば、「少なくとも1つのA、B、およびC」、「1つ以上のA、B、おおびC」、「A、B、および/またはC」というそれぞれの用語は「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとも、AとCとも、BとCとも、またはAとBとCとも」と意味しようとする。前述した説明および特許請求の範囲の記載において、「〇〇に基づいて」という用語は「少なくとも、〇〇の一部に基づいて」と意味しようとするため、記載されていない特徴または要素も考えられる。
【0072】
ここで説明する保護対象は、望ましい構成に基づいて、システム、装置、方法、および/または製品に実施され得る。前述した記載において説明された実施例はここで説明する保護対象と一致する実施例のすべてを表していない。逆に、これらは単なる、ここで説明する保護対象に関する実施態様と一致する特定の例示的実施例に過ぎない。いくつの変化例については既に詳細に説明したため、他の変更例または追加例は可能である。特に、更なる特徴および/または変化例は、前述した内容に加えて提供され得る。例えば、前述した実施例は、開示した特徴の様々な組み合わせおよびサブコンビネーション、ならびに/または、上記の開示したいくつかの更なる特徴の組み合わせおよびサブコンビネーションを指し得る。また、添付図面および/または説明に記載されて論理フローは、望ましい結果を達成するのに、示された特定な順番または連続の順番で行う必要がない。他の実施例は以下の特許請求の範囲に含まれ得る。