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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】可撓性接続部を有するフローセル
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20230613BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019571646
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 US2019030186
(87)【国際公開番号】W WO2019221913
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-09-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】62/671,481
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2021147
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】シリル ドラットル
(72)【発明者】
【氏名】ミンソン リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー リウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー コックス-ムラナミ
(72)【発明者】
【氏名】ポール クリヴェッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー フォーリー
(72)【発明者】
【氏名】ダレン セーガレ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ テイラー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ヘイグ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ パイク
(72)【発明者】
【氏名】エリック アレゴレン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ヘルツォーク
(72)【発明者】
【氏名】アレックス モロズ-シミェタナ
(72)【発明者】
【氏名】シャオシャオ マ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 司
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン ウェスターバーグ
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】松本 隆彦
【審判官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242348(JP,A)
【文献】特開2005-305878(JP,A)
【文献】特開2004-101218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0166612(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0057787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器内に位置決めされるように操作可能な試薬管理システムであって、前記試薬管理システムは、複数の試薬ウェルを含み、各試薬ウェルは、試薬ウェルの中に位置決めされる複数の試薬のうち、1つ以上の試薬を収容するように操作可能であり、前記試薬管理システムは、前記複数の試薬ウェルのうちの1つから、試薬の流れを選択するように操作可能である、前記試薬管理システムと、
積層スタックから構成され、前記計器内に位置決めされるように操作可能な可撓性接続部であって、前記可撓性接続部は、前記試薬管理システムと流体連通する第1の可撓性チャネルを含み、前記第1の可撓性チャネルは、前記第1の可撓性チャネルを通る前記試薬の流れを送るように操作可能である、前記可撓性接続部と、
前記計器内に位置決めされるように操作可能なフローセルであって、前記フローセルは、前記第1の可撓性チャネルと流体連通する流路を含み、前記流路は、前記流路内に位置決めされる分析物上に前記試薬の流れを送るように操作可能である、前記フローセルと、
検出モジュールと、
を備える計器であって、
ここで、前記試薬管理システムと前記フローセルは、前記可撓性接続部によって相互に接続されており、かつ、
前記フローセルと前記可撓性接続部は、接着剤層で封止されており、かつ、
前記フローセルは、前記計器内の固定基準点に対して、そして、前記試薬管理システムに対して、前記フローセルの移動中に生ずる前記可撓性接続部の移動により、前記計器によって移動可能であり、
前記可撓性接続部は、
前記第1の可撓性チャネルの頂部を画定する頂部層と、
前記第1の可撓性チャネルの底部を画定する底部層と、
前記第1の可撓性チャネルの壁幅およびチャネル幅を画定する中間層と、を備え、
前記チャネル幅に対する前記壁幅の比は、2.5よりも大きい、
計器。
【請求項2】
前記フローセルは、前記検出モジュールが基準点に対して定常状態で保持されている間、前記計器内の前記固定基準点に対して移動可能である、請求項1に記載の計器。
【請求項3】
(a)前記試薬管理システムと、前記フローセルと、前記可撓性接続部と、を備えるカートリッジを備え、
前記カートリッジが前記計器と係合し、前記フローセルが前記カートリッジと係合するとき、前記試薬管理システムは、前記計器の基準点に対して固定される一方、前記フローセルは、前記計器の前記基準点に対して移動可能であり、
または、(b)試薬管理システムは、所定の第1の公差範囲内で前記基準点に対して位置決めされ、前記フローセルは、第2の所定の公差範囲内で前記基準点に対して位置決めされ、第1の公差範囲は、第2の公差範囲よりも少なくとも10倍大きく、
または、(c)前記可撓性接続部は、前記フローセルの前記流路と流体連通する第2の可撓性チャネルを備え、前記第2の可撓性チャネルは、前記試薬の流れが前記流路を通過した後に、前記試薬の流れを前記フローセルから前記試薬管理システムに送るように操作可能であり、
前記可撓性接続部は、前記第1の可撓性チャネルと前記第2の可撓性チャネルとの間に位置決めされるスリットを備える又は備えない、
請求項1に記載の計器。
【請求項4】
前記可撓性接続部は、波形状を含む、請求項1に記載の計器。
【請求項5】
前記中間層は、複数の副層であり、または、前記頂部層と中間層と底部層は、接着剤接着工程、熱結合工程、または直接レーザー接合工程のうちの1つを利用して、共に結合される、
請求項1に記載の計器。
【請求項6】
前記試薬の流れが前記流路を通って送られるとき、前記試薬の流れと前記分析物との間で化学反応が行われ、前記化学反応は前記分析物を誘導して、前記分析物に関連する検出可能な特性に影響を与え、
前記検出モジュールは、前記検出可能な特性を検出するように操作可能である、請求項1に記載の計器。
【請求項7】
前記可撓性接続部に固定的に連結される機械的張力緩和要素を備え、
ここで、前記機械的張力緩和要素は、例えばエポキシビーズ、トラフ、並びに固体片であり、前記固体片の上に接着される第1の接着剤および第2の接着剤を有する前記固体片、のうちの1つである、
請求項1に記載の計器。
【請求項8】
試薬管理システムに収容される複数の試薬のうちの1つから、試薬の流れを選択するように操作可能な前記試薬管理システムと、
積層スタックから形成され、前記試薬管理システムと流体連通する、第1の可撓性チャネルを通る前記試薬の流れを送るように操作可能な前記第1の可撓性チャネルを含む、可撓性接続部と、
前記第1の可撓性チャネルと流体連通する流路を含むフローセルであって、前記流路は、前記流路内に位置決めされる分析物上に前記試薬の流れを送るように操作可能である、前記フローセルと、を備え、
ここで、前記試薬管理システムと前記フローセルは、前記可撓性接続部によって相互に接続されており、かつ、
前記フローセルと前記可撓性接続部は、接着剤層で封止されており、かつ、
前記可撓性接続部は、前記フローセルの移動中に生ずる前記可撓性接続部の移動により、前記フローセルを前記試薬管理システムに対して移動させることを可能にし、
前記可撓性接続部は、
前記第1の可撓性チャネルの頂部を画定する頂部層と、
前記第1の可撓性チャネルの底部を画定する底部層と、
前記第1の可撓性チャネルの壁幅およびチャネル幅を画定する中間層と、を備え、
前記チャネル幅に対する前記壁幅の比は、2.5よりも大きい、
カートリッジ。
【請求項9】
前記可撓性接続部は、前記フローセルの前記流路と流体連通する第2の可撓性チャネルを含み、前記第2の可撓性チャネルは、前記試薬の流れが前記流路を通過した後に、前記試薬の流れを前記フローセルから前記試薬管理システムに送るように操作可能であり、
前記可撓性接続部は、前記第1の可撓性チャネルと前記第2の可撓性チャネルとの間に位置決めされるスリットを含む又は含まない、
請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記可撓性接続部は、波形状を含み、
または、さらに、前記可撓性接続部に固定的に連結される機械的張力緩和要素を備え、
前記機械的張力緩和要素は、例えば、エポキシビーズ、トラフ、並びに固体片であり、
前記固体片の上に接着される第1の接着剤および第2の接着剤を有する前記固体片、のうちの1つである、
請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項11】
積層スタックから形成され、第1のチャネル入口経路と、第1のチャネル出口経路と、前記第1のチャネル入口経路及び前記第1のチャネル出口経路の間で流体連通する第1の可撓性チャネルと、を含む可撓性接続部であって、前記第1のチャネル入口経路は、試薬管理システムの出口ポートに接続し、前記試薬管理システムの出口ポートを通る試薬の流れを可能にするように操作可能な流体シールを備える、前記可撓性接続部と、
入口ポートと、出口ポートと、前記入口ポート及び前記出口ポートの間に流体連通する流路と、を含むフローセルであって、前記入口ポートは、前記可撓性接続部の前記第1のチャネル出口経路と流体連通し、前記流路は、前記流路内に位置決めされる分析物上に前記試薬の流れを送るように操作可能である、フローセルと、
を備え、
ここで、前記フローセルと前記可撓性接続部は、接着剤層で封止されており、
前記可撓性接続部は、
前記第1の可撓性チャネルの頂部を画定する頂部層と、
前記第1の可撓性チャネルの底部を画定する底部層と、
前記第1の可撓性チャネルの壁幅およびチャネル幅を画定する中間層と、を備え、
前記チャネル幅に対する前記壁幅の比は、2.5よりも大きい、
可撓性接続モジュール。
【請求項12】
前記可撓性接続部は、第2のチャネル入口経路と、第2のチャネル出口経路と、前記第2のチャネル入口経路及び前記第2のチャネル出口経路の間で流体連通する第2の可撓性チャネルと、を含み、
前記第2のチャネル入口経路は前記フローセルの前記出口ポートと流体連通し、
前記第2のチャネル出口経路は、試薬管理システムの入口ポートに接続し、前記試薬管理システムの入口ポートを通る前記試薬の流れを可能にするように操作可能な流体シールを備える、
請求項11に記載の可撓性接続モジュール。
【請求項13】
前記流体シールは、前記試薬管理システムの出口ポートに着脱可能に接続し、前記試薬管理システムの出口ポートを通る前記試薬の流れを可能にするように操作可能である着脱可能な流体シールである、請求項11に記載の可撓性接続モジュール。
【請求項14】
前記フローセルを取り囲む内側境界を含む支持固定具を備え、前記支持固定具は、前記内側境界内に前記フローセルを収容し、前記フローセルが前記内側境界内の中で横方向および長手方向に移動することを可能にするように操作可能である、請求項11に記載の可撓性接続モジュール。
【請求項15】
前記可撓性接続部に固定的に連結される機械的張力緩和要素を備え、
ここで、例えば、前記機械的張力緩和要素は、エポキシビーズ、トラフ、並びに固体片であり、前記固体片の上に接着される第1の接着剤および第2の接着剤を有する前記固体片、のうちの1つである、
請求項11に記載の可撓性接続モジュール。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願(出願番号第62/671,481号、出願日2018年5月15日、発明の名称「Flow Cell with Flexible Connection」)の非仮出願であり、当該仮出願の出願日の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、オランダ特許出願(出願番号第2021147号、出願日2018年6月18日、発明の名称「Flow Cell with Flexible Connection」)の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体装置を使用する多くの計器は、複数の試薬を選択してフローセルに送ることができる試薬管理システム(RMS)を含んでもよく、RMSとフローセルは、堅固に接続されてもよい(すなわち、RMSとフローセルの位置が互いに対して実質的に固定されて保持されるように接続されてもよい)。例えば、試薬管理システムは、様々な試薬を収容する複数の試薬ウェルを含んでもよく、各試薬ウェルは、回転切換弁(selector valve)に接続されてもよい。回転弁は、試薬のうちのいずれか1つを選択するために、各試薬ウェルと整列する。次いで、共通ラインを利用して、選択される試薬を回転弁からフローセルの入口ポートに送る。
【0003】
DNAセグメント、核酸鎖のような分析物を、流路内に位置決めしてもよい。選択される試薬は、分析物上で様々な制御された化学反応を行うために、フローセルを通って流れてもよい。化学反応は、分析物に関連する特定の検出可能な特性に影響を与え得る。例えば、そのような検出可能な特性の1つは、分析物から放出される光子であり得る。
【0004】
(撮像モジュールのような)検出モジュールを、計器内に位置決めしてもよい。検出モジュールは、検出可能な特性を検出するために、フローセルを走査するように操作可能であってもよい。次いで、計器内の装置回路は、それらの検出される特性から導出されるデータ信号を処理し、送信してもよい。次いで、データ信号を分析して、分析物の特性を明らかにしてもよい。
【0005】
しかしながら、多くの計器内のフローセルは、検出工程中の振動に非常に敏感である。加えて、フローセル内の(分析物からの光子のような)小さな構成を検出するために、検出モジュールを、ミクロン精度(例えば、±100ミクロン以下)でフローセルに対して位置決めする場合が多い。
【0006】
RMSとフローセルは堅固に接続されてもよく、計器内で移動しない場合があるため、フローセル上を走査するときに検出モジュールがフローセルに対して移動してもよい。しかしながら、検出モジュールは、フローセルよりも数桁重く、大きい場合がある。そのため、検出モジュールを正確に位置決めすることが困難になるおそれがある。加えて、検出モジュールの位置決めに必要な比較的大きな取扱設備は、フローセルを不用意に振動させるおそれがある。さらに、検出モジュールと、それに関連する取扱設備とのサイズのために、フローセル全体にわたっていくつかの位置を走査することは、コストがかかり、時間がかかる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、可撓性接続部を有する試薬管理システム(RMS)に流体連通して接続されるフローセルを提供することによって、先行技術に対する利点および代替案を提供する。可撓性接続部は、RMSが基準点に対して固定されている間に、フローセルを計器上の基準点に対して移動させることを可能にする。このように、フローセルは、検出モジュールが基準点に対して定常状態で保持されている間に、計器の検出モジュールに対して移動してもよい。加えて、フローセルはRMSに堅固に連結されないため、フローセルは、RMSまたは検出モジュールのいずれかよりも、計器上の固定基準点に対してより正確に位置決めされてもよい。
【0008】
RMSとフローセルは、計器から着脱可能であるカートリッジに含まれてもよく、フローセルは、カートリッジから着脱可能であってもよいし、そうでなくてもよい。あるいは、フローセルが計器から着脱可能である間、RMSは計器に堅固に取り付けられてもよい。
【0009】
さらに、フローセルと可撓性接続部は、共に組み立てられ、可撓性接続モジュールに含まれてもよい。可撓性接続モジュールは、カートリッジまたは計器に接続されてもよい。モジュールは、カートリッジまたは計器内のRMSに着脱可能に接続するように操作可能であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0010】
フローセルは検出モジュールよりもはるかに軽く、小さいため、フローセルを移動させることは、検出モジュールの移動に関与し得る設備よりも小さく、低コストの取扱設備を含み得る。さらに、検出モジュールではなくフローセルの移動は、フローセル内に位置決めされる分析物に関連する光子の、または他の形態の検出可能な特性の、検出の精度に影響を与えるおそれのある振動を低減する。加えて、フローセルは、検出可能な特性を走査して検出するために検出モジュールを移動させるよりも、迅速に様々な位置に移動させ得る。
【0011】
加えて、検出モジュールが可動式であり、フローセルが計器の基準点に対して固定されている場合であっても、可撓性接続部は、RMSによってフローセルに伝達される振動を有利に低減させ得る。これは、可撓性接続部が、RMSによって生じる振動を、可撓性接続部を介して伝達されるときに減衰させ得るからである。
【0012】
本開示の1つ以上の態様による計器は、計器内に位置決めされるように操作可能な、試薬管理システム(RMS)を含む。RMSは複数の試薬ウェルを含み、各試薬ウェルは、その中に位置決めされる複数の試薬のうち、1つ以上の試薬を収容するように操作可能である。RMSは、複数の試薬のうちの1つから試薬の流れを選択するように操作可能である。可撓性接続部もまた、計器内に位置決めされるように操作可能である。可撓性接続部は、RMSと流体連通する第1の可撓性チャネルを含む。第1の可撓性チャネルは、そこを通る試薬の流れを送るように操作可能である。フローセルはまた、計器内に位置決めされるように操作可能である。フローセルは、第1の可撓性チャネルと流体連通する流路を含む。流路は、流路内に位置決めされる分析物上に試薬の流れを送るように操作可能である。可撓性接続部は、フローセルを計器内の固定基準点に対して計器によって移動させることを可能にする。
【0013】
本開示の1つ以上の態様による計器のカートリッジは、RMSに収容される複数の試薬のうちの1つから試薬の流れを選択するように操作可能な、試薬管理システム(RMS)を含む。可撓性接続部は、カートリッジ内に位置決めされるように操作可能である。可撓性接続部は、RMSと流体連通する第1の可撓性チャネルを含む。第1の可撓性チャネルは、そこを通る試薬の流れを送るように操作可能である。フローセルは、カートリッジ内に位置決めされるように操作可能である。フローセルは、第1の可撓性チャネルと流体連通する流路を含む。流路は、流路内に位置決めされる分析物上に試薬の流れを送るように操作可能である。カートリッジが計器と係合するとき、可撓性接続部は、フローセルを計器内の固定基準点に対して計器によって移動させることを可能にする。
【0014】
本開示の1つ以上の態様による可撓性接続モジュールは、可撓性接続部とフローセルを含む。可撓性接続部は、第1のチャネル入口経路(via)と、第1のチャネル出口経路と、それらの間で流体連通する第1の可撓性チャネルと、を含む。第1のチャネル入口経路は、RMS出口ポートに接続し、そこを通る試薬の流れを可能にするように操作可能な流体シールを含む。フローセルは、入口ポートと、出口ポートと、それらの間で流体連通する流路と、を含む。入口ポートは、可撓性接続部の第1のチャネル出口経路と流体連通している。流路は、流路内に位置決めされる分析物上に試薬の流れを送るように操作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書に開示される態様による、計器の概略ブロック図の例を描写する。
図2】本明細書に開示される態様による、カートリッジを有する計器の概略ブロック図の例を描写する。
図3】本明細書に開示される態様による、図2の計器のより詳細な概略図の例を描写する。
図4】本明細書に開示される態様による、図3の計器の概略ブロック図の例を描写する。
図5A】本明細書に開示される態様による、可撓性接続モジュールおよびモジュールが接続するように操作可能なRMSの一部の簡略化された斜視図の例を描写する。
図5B】本明細書に開示される態様による、図5Aの可撓性接続モジュールの断面側面図の例を描写する。
図6】本明細書に開示される態様による、頂部層と底部層と中間層を有する可撓性接続部の分解図の例を描写する。
図7A】本明細書に開示される態様による、図6の可撓性接続部の斜視図の例を描写する。
図7B】本明細書に開示される態様による、図6の可撓性接続部の正面図の例を描写する。
図8】本明細書に開示される態様による、破裂圧力に対する、チャネル幅対壁幅の比のグラフの例を描写する。
図9図9Aは、副層の中間スタックを有する可撓性接続部の正面図の例を描写し、副層の体積の50%は、本明細書に開示される態様による接着剤である。図9Bは、副層の中間スタックを有する可撓性接続部の正面図の例を描写し、副層の体積の25%は、本明細書に開示される態様による接着剤である。
図10】本明細書に開示される態様による、スリットのない直線状の可撓性接続部とスリットのある直線状の可撓性接続部それぞれに対する、力対変位の対のグラフの例を描写する。
図11】本明細書に開示される態様による、直線状の可撓性接続部とS字曲線状の可撓性接続部それぞれに対する、力対変位の対のグラフの例を描写する。
図12図12Aは、本明細書に開示される態様による、レーザー接合された可撓性接続部と接着剤接着された可撓性接続部それぞれに対する、力対変位の対のグラフの例を描写する。図12Bは、本明細書に開示される態様による、図12Aのレーザー接合される可撓性接続部の分解斜視図を描写する。図12Cは、本明細書に開示される態様による、図12Aの接着剤接着される可撓性接続部の分解斜視図を描写する。
図13A】本明細書に開示される態様による、可撓性接続部に固定的に連結される、エポキシビーズ(epoxy bead)として構成される機械的張力緩和(strain relief)要素の例の上面図を描写する。
図13B】本明細書に開示される態様による、図13Aの機械的張力緩和要素の例の側面図を描写する。
図13C】本明細書に開示される態様による、図13Aの機械的張力緩和要素の例の斜視底面図を描写する。
図14A】本明細書で開示される態様による、可撓性接続部に固定的に連結される、トラフとして構成される機械的張力緩和要素の例の上面図を描写する。
図14B】本明細書に開示される態様による、図14Aの機械的張力緩和要素の例の側面図を描写する。
図14C】本明細書に開示される態様による、図14Aの機械的張力緩和要素の例の斜視図を描写する。
図15A】本明細書に開示される態様による、可撓性接続部に固定的に連結される第1の接着剤と、その上に接着される第2の接着剤と、を有する固体部分として構成される、機械的張力緩和要素の例の上面図を描写する。
図15B】本明細書に開示される態様による、図15Aの機械的張力緩和要素の例の側面図を描写する。
図15C】本明細書に開示される態様による、図15Aの機械的張力緩和要素の例の斜視図を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明から、より完全に理解されるであろう。
【0017】
ここで、本明細書に開示される方法、システム、並びに装置の、構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例を説明する。添付の図面には、1つ以上の例が図示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に図示される方法、システム、および装置は、非限定的な例であり、本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。一例に関連して図示または説明される構成は、他の例の構成と組み合わせることができる。そのような改変および変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0018】
用語「実質的に」、「おおよそ」、「約」、「比較的」、または特許請求の範囲を含む本開示全体を通して使用され得る他のそのような類似の用語を使用して、基準またはパラメータからの、処理の変動に起因するような小さな変動を記述し、説明する。そのような小さな変動には、基準またはパラメータからのゼロ変動も含まれる。例えば、±10%以下、±5%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、±0.05%以下、などを指すことができる。
【0019】
図1を参照すると、本明細書に開示される態様による計器100の概略ブロック図の例が描写されている。計器100は、配列決定計器、またはマイクロ流体装置を利用する他の計器であってもよい。
【0020】
計器100は試薬管理システム(RMS)104と流体連通するフローセル102を含み、RMS104とフローセル102は、可撓性接続部106によって機械的および可撓的に、共に接続される。RMS104は、複数の試薬108、109、110、111、112、114、116、118(ここでは108~118)(図3に最も良く示されている)を選択して、フローセル102に送ることができる。本明細書の目的のために、用語「可撓性」およびその派生語は、機能性を破壊または喪失することなく、回転させる、湾曲させる、またはねじる能力を含む。
【0021】
フローセル102は、流路124(図3に最も良く示されている)によってそれらの間に接続される、入口ポート120と出口ポート122を含む。DNAセグメント、核酸鎖等のような分析物140(図3に最も良く示されている)を、流路124内に位置決めしてもよい。
【0022】
選択される試薬108~118は、試薬108~118の所定の配列を有する分析物に対して様々な制御された化学反応を行うために、フローセル102の流路124を通って流れ、分析物140上を送られてもよい。フローセル内の試薬と分析物との間の化学反応の一例は、試薬が分析物にタグを付けるために使用され得る、(蛍光標識ヌクレオチド分子等のような)識別可能な標識を送達する場合である。その後、励起光は、フローセルの頂部層(またはフローセルの任意の他の部分)を通って分析物に放射してもよく、分析物にタグ付けされる蛍光標識が、放射光子を蛍光発光させる。放射光子は、検出工程中に、計器100の(撮像モジュールのような)検出モジュール126によって走査および/または検出されてもよい。
【0023】
検出工程中、検出モジュール126は、計器100上の固定基準点に対して移動可能であってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、放射光子について流路124を走査するために、検出モジュール126を移動させ、フローセル102を基準点に対して固定して保持してもよい。あるいは、例として、フローセル102の流路124を走査するために、検出モジュール126を固定して保持し、フローセル102を計器の基準点に対して移動させてもよい。
【0024】
次いで、計器100内の装置回路は、それらの検出される光子から導出されるデータ信号を処理し、送信してもよい。次いで、データ信号を分析して、分析物140の特性を明らかにしてもよい。
【0025】
検出モジュール126は、この例では光の光子を検出するために使用される撮像モジュールとして図示されているが、他の形態の検出モジュール126および検出方式を使用して、分析物140に関連する他の形態の検出可能な特性を検出してもよい。例えば、分析物140に関連する検出可能な特性は、光の光子、電荷、磁場、電気化学的特性、pH変化等を含んでもよい。さらに、検出モジュール126は、フローセル102に埋め込まれても、フローセル100の外部の計器100に取り付けられても、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい感知装置を含んでもよいが、これらに限定されない。試薬108~118と分析物140との間の化学反応は、分析物が検出可能な特性に影響を与えるように誘導する。
【0026】
本明細書の目的のために、用語「検出可能な特性に影響を与える」、およびその派生語は、その開始または変化が検出モジュール126によって検出可能であるような方法で、そのような検出可能な特性を開始させ、または変化させることを含む。例えば、検出可能な特性に影響を与えることは、分析物140にタグ付けされる蛍光標識に放射光子を蛍光発光させること、電磁場を変化させ、または開始させること、pHを変化させること等を含んでもよい。
【0027】
検出モジュール126は、影響を受ける検出可能な特性を検出するのに適切な、並びに/または必要な、全てのカメラおよび/もしくはセンサーを備えていてもよい。あるいは、検出モジュール126と通信する、いくつかのセンサーをフローセル自体に埋め込んでもよい。
【0028】
可撓性接続部106は、光の光子または他の形態の検出可能な特性を検出するために、検出モジュール126が基準点128に対して定常状態で保持されている間に、フローセル102が計器100内の固定基準点128に対して移動することを可能にする。あるいは、検出可能な特性を検出するために、基準点128に対して、フローセル102を定常状態に保持し、検出モジュール126を移動させてもよい。いくつかの実施態様では、フローセル102と検出モジュール126の両方を、基準点128に対して移動させることができる。より具体的には、フローセル102の流路124は、検出モジュール126の感知装置および/またはカメラの焦点領域を越えて移動され、検出モジュール126が、分析物140に関連する光の光子、または他の形態の検出可能な特性について流路124を走査することを可能にする。
【0029】
フローセル102は、基準点128に対して、(X、YおよびZの矢印で示すように)3つの方向のいずれかに移動してもよい。加えて、フローセル102は、回転軸線としての軸線(すなわち、X、Y、およびZ)のいずれかまたは任意の組み合わせで回転し得るように移動してもよい。この例では、フローセル102は、3次元空間内で6自由度(すなわち、X、YおよびZ方向における線形移動の任意の組み合わせに加えて、X、Y、Z軸線周りの回転移動の任意の組み合わせ)で移動してもよい。しかしながら、フローセル102がどの方向に移動するかにかかわらず、フローセル102は、正確な公差範囲内、例えば、±100ミクロン以下で、基準点128に対してこれらの3つの方向(すなわち、X方向、Y方向またはZ方向)の各々に位置決めすることができることに留意することが重要である。
【0030】
基準点128は、計器100上の任意の、または任意の数の定常構造物であってもよい。例えば、基準点128は、計器100の全体に位置する1つ以上の機械的位置合わせ穴または突出部であってもよい。さらに、基準点128は、RMS104と、フローセル102と、および/もしくは検出モジュール126と、のうちの1つ以上が整列または位置決めされる、別個のまたは複数の基準点を含んでもよく、これらの別個の基準点128は、共通の基準点に整列させてもよい。
【0031】
本明細書の目的のために、様々な基準点128または基準点128のグループを、1つ以上の位置合わせシステムと呼んでもよい。加えて、フローセル102、RMS104および/または検出モジュール126のような構成要素の、位置合わせシステムへの位置決めまたは整列を、本明細書では、構成要素の位置合わせと呼んでもよい。
【0032】
加えて、フローセル102は、基準点128に間接的に位置決めされてもよい。例えば、検出モジュール126は、基準点128に対して位置決めされてもよく、フローセル102は、検出モジュール126上の固定基準点に対して位置決めされてもよい。あるいは、例として、検出モジュール126は、基準点128に対して位置決めされてもよく、次いで、検出モジュール126を利用して、検出モジュール126に対するフローセル102の相対位置を検出してもよい。
【0033】
フローセル102は、検出モジュール126が、流路124の領域上に位置決めされる分析物140によって影響を受ける光子、または他の形態の検出可能な特性を走査して検出するために、検出モジュール126に対して移動される。有利には、フローセル102は、検出モジュール126よりも少なくとも1桁軽く、かつ小さい。したがって、検出モジュール126に対するフローセル102の正確な位置決めは、フローセル102に対する検出モジュール126のそのような位置決めよりも、より小さな取扱設備で、より安価に、より短時間で行うことができる。加えて、フローセル102の移動は、検出モジュール126の移動よりも、引き起こす振動が少ない可能性がある。
【0034】
加えて、検出モジュール126が可動式であり、フローセル102が計器100の基準点128に対して固定されている場合であっても、可撓性接続部106は、RMS104によってフローセル102に伝達される振動を有利に低減させ得る。これは、可撓性接続部106がRMS104をフローセル102から分離し、したがって、可撓性接続部106を介して伝達され得るRMS104によって生じる、あらゆる振動を減衰させ得るからである。
【0035】
さらに、検出モジュール126が移動可能であるか固定であるかにかかわらず、可撓性接続部106は、有利には、RMS104とフローセル102の独立した位置合わせ(すなわち、位置決め)により位置合わせシステムを分離する(すなわち、基準点を分離する)ことを可能にする。このように、RMS104とフローセル102の両方を、それらの関連する基準点に、より正確に位置合わせすることができる。
【0036】
例えば、基準点128は、RMS104に対する第1の基準点と、フローセル102に対する第2の基準点と、を含んでもよい。このように、RMS104は、第1の基準点に対して位置決めされてもよく、フローセル102は、第2の基準点に対して位置決めされてもよい。ここで、RMS104とフローセル102の、それぞれの第1と第2の基準点への位置決めは、それぞれ、互いに独立であってもよい。
【0037】
図2を参照すると、計器100が本明細書に開示される態様によるカートリッジ130を含む、カートリッジベースの計器の概略ブロック図の例が描写されている。カートリッジ130は、フローセル102と、RMS104と、可撓性接続部106と、を含む。さらに、カートリッジ130は、計器100から着脱可能であってもよい。そしてさらに、フローセル102は、カートリッジ130から着脱可能であってもよいし、そうでなくてもよい。カートリッジ130が計器100に係合し、フローセル102がカートリッジ130に係合するとき、RMS104は、計器100の基準点128に対して固定される一方、フローセル100は、計器100の基準点128に対して移動可能である。
【0038】
カートリッジ130の計器100への係合工程中、RMS104とフローセル102の位置決め要件(すなわち、位置合わせ要件)の公差範囲は、非常に異なっていてもよい。より具体的には、カートリッジ130を計器100と係合させるために、RMS104は、およそ所定の第1の公差範囲内で基準点128に対して位置決めされてもよい。この第1の公差範囲は、±2ミリメートル以下のようなミリメートル範囲であってもよい。一方、検出モジュール126によって走査されるために、フローセル102が検出モジュール126に対して位置合わせされ、および/または計器100内の所定の位置に移動されるとき、フローセルの位置は、およそ第2の所定の公差範囲内で基準点128に対して位置決めされてもよい。その第2の公差範囲は、±100ミクロン以下のようなマイクロメートルの範囲であってもよい。このように、第1の公差範囲は、第2の公差範囲よりも少なくとも10倍大きくてもよい。
【0039】
これは、RMS104が、計器100によって操作されるために、弁と駆動モーターのような特定の機械的構成要素と整列し得るからである。一方、フローセル102は、流路124の表面を光学的に走査するために、検出モジュール126に対してより正確に位置決めされてもよい。
【0040】
RMS104がフローセル102に堅固に接続されている(すなわち、RMS104とフローセル102の位置が互いに対して実質的に固定されて保持されるように接続されている)場合、RMS104とフローセル102の両方は、2つの公差範囲のうちの小さい方の公差範囲(すなわち、フローセル102に対する第2の公差範囲)内に位置決めされなければならない場合がある。しかしながら、可撓性接続部106は、RMS104とフローセル102の位置決め要件を切り離す。したがって分離可能な整列を可能にして、カートリッジ130を計器100に係合させ、フローセル102を検出モジュール126に対して位置決めすることによって、RMS104とフローセル102を、それらの別個の位置決め要件に独立して整列させてもよい。
【0041】
この図2の例は、カートリッジ130内に収容されるRMS104とフローセル102を有するカートリッジベースの計器100を図示するが、他の計器100は、そのようなカートリッジベースのシステムを含まなくてもよい。むしろ、いくつかの計器100では、RMS104の構成要素は、計器100内に一体的に、および堅固に取り付けられてもよく、フローセル102のみが計器100から着脱可能であってもよい。しかしながら、そのような非カートリッジベースの計器100においても、可撓性接続部106は依然として、検出工程中の検出モジュール126に対するフローセル102の正確な位置決めを有利に容易にする。
【0042】
図3を参照すると、その中に係合されるカートリッジ130を有する、図2のカートリッジベースの計器100の、より詳細な概略図の例が描写されている。カートリッジ130は、フローセル102と、それらの間の可撓性接続部106を介して接続されるRMS104と、を含む。
【0043】
RMSは、複数の試薬ウェル132を含む。各試薬ウェル132は、その中に位置決めされる複数の試薬108~118のうち、1つ以上の試薬を収容するように操作可能である。RMS104は、複数の試薬108~118のうちの1つから、試薬の流れ134を選択するように操作可能である。
【0044】
試薬108~118は、フローセルにおいて行われる化学反応のタイプおよび順序に応じて、いくつかのタイプまたは試薬の組み合わせのいずれかであってもよい。例えば、試薬108~118は、以下のタイプのものであってもよい。
・試薬108と109は、蛍光標識ヌクレオチドをDNA鎖に組み込む化学物質の混合物である、取り込み混合物の異なる製剤であってもよい。
・試薬110と111は、検出工程中にDNA鎖を安定化する化学物質の混合物である、走査混合物の異なる製剤であってもよい。
・試薬112は、DNA鎖から蛍光標識ヌクレオチドを酵素的に切断する化学物質の混合物である、切断混合物であってもよい。
・試薬114と116は、フローセルから活性試薬を除去する洗浄試薬の混合物である、洗浄緩衝液の異なる製剤であってもよい。
・試薬118は、空気であってもよい。
【0045】
可撓性接続部106は、RMS出口ポート156を介してRMS104と流体連通する、第1の可撓性チャネル136を含む。第1の可撓性チャネル136は、フローセル102の入口ポート120を通って、試薬の流れ134を流路124に送るように操作可能である。可撓性接続部106はまた、フローセル102の出口ポート122を介して流路124と流体連通する、第2の可撓性チャネル138を含む。第2の可撓性チャネル138は、試薬の流れ134が流路124を通過した後に、試薬の流れ134を、フローセル102からRMS入口ポート158を通ってRMS104に戻るように送るように操作可能である。
【0046】
図3の例は、フローセル102への、およびフローセル102からの試薬を送る第1と第2の可撓性チャネル136、138を有する可撓性接続部106を図示するが、他の構成の、任意の数の可撓性チャネルを有する可撓性接続部も利用してもよい。例えば、可撓性接続部106は、第1と第2の可撓性接続部を含んでもよく、第1の可撓性接続部は、RMS104からフローセル102に向けて試薬の流れを送る単一の可撓性チャネルのみを有し、第2の可撓性接続部は、フローセル102からRMS104に向けて試薬の流れを送る単一の可撓性チャネルのみを有する。また、例として、可撓性接続部106は、試薬の流れをフローセル102に向けて送る複数の可撓性チャネルと、試薬の流れをフローセル102から送る複数の可撓性チャネルと、を含んでもよい。
【0047】
カートリッジ130のフローセル102は、入口ポート120を介して第1の可撓性チャネル136と流体連通し、出口ポート122を介して第2の可撓性チャネル138と流体連通する、流路124を含む。流路124は、複数の試薬108~118からの様々な試薬の流れ134と、流路124内に位置決めされる分析物140との間で様々な化学反応を行うように操作可能である。可撓性接続部106は、フローセル102を計器100内の固定基準点128に対して移動させることを可能にする。
【0048】
図3の例は、単一の入口ポート120と単一の出口ポート122と、を有するフローセル102を図示するが、他の構成のフローセルも利用してもよい。例えば、フローセル102は、可撓性接続部106の複数の可撓性チャネルから試薬の流れを受け取る、複数の入口ポート120を含んでもよい。また、例として、フローセルは、試薬の流れを可撓性接続部106の複数の可撓性チャネルに送る、複数の出口ポート122を含んでもよい。
【0049】
固定基準点128は、本実施形態では、位置合わせ穴である。しかしながら、基準点128は、計器100内の任意の数の固定構造であってもよい。例えば、基準点128は、計器100の固定フレーム上の様々な場所に位置する、複数の位置合わせペグまたは穴であってもよい。
【0050】
カートリッジ130は、この例では、試薬108~118を選択する回転弁142を含む。回転弁142は、内部回転弁本体144を有する。弁本体144は中心ポート146と回転可能なポート148を含み、これらは回転チャネル150によって接続されている。弁本体144は、中心ポート146の周りを旋回して、回転可能なポート148を移動させる。
【0051】
試薬108~118を収容する複数の試薬ウェル132は、回転弁142の周囲に配置されてもよく、またはそうでなければ回転弁142から離れて配置されてもよい。各試薬ウェル132は、対応するウェルチャネル152と流体連通している。各ウェルチャネル152は、任意の所与の試薬ウェル132から試薬の流れ134を受け取るために、回転弁142の回転可能なポート148が整列し得る、ウェルチャネルポート154を含む。
【0052】
回転可能なポート148がウェルチャネルポート154の1つと整列すると、試薬の流れ134の流経路が確立され、試薬の流れ134が、選択されるウェル132から、ウェルチャネル152を通って、回転弁142を通って、共通ライン155を通って、およびRMS出口ポート156に流出することを可能にする。次いで、試薬の流れ134は、第1の可撓性チャネル136を通って、フローセル102の入口ポート120に入り、および流路124を通って続き、ここで、複数の試薬108~118のうちの選択される試薬は、分析物140と反応してもよい。
【0053】
未反応の試薬および/または反応の生成物は、フローセル102の出口ポート122から、第2の可撓性チャネル138を通って流出してもよい。次いで、試薬の流れ134は、RMS入口ポート158を通ってRMS104に再び入ってもよい。
【0054】
RMS104のRMS入口ポート158は、第1のピンチ弁160と流体連通している。第1のピンチ弁160は、第2のピンチ弁162と流体連通している。第1と第2のピンチ弁160、162は、機械的に、または空気圧的に作動し得る弾性中央部分を含み、ピンチ弁160、162を通る試薬の流れ134を挟み込み、または解放する。加えて、この例ではピンチ弁160、162が図示されているが、他のタイプの弁を利用して、同じ機能を実行してもよい。例えば、弁160、162は、回転弁であってもよい。
【0055】
(シリンジポンプ等のような)搭載ポンプ164もまた、RMS104上に配置される。搭載ポンプ164は他のタイプのポンプであってもよいが、本明細書ではシリンジポンプ164と呼ぶ。シリンジポンプ164は、第1と第2のピンチ弁160、162の間にT字状に接続されている。両方のピンチ弁160、162は、計器100によって開閉され、フローセル102および/または廃液タンク170から、シリンジポンプ164を係合または係合解除する。
【0056】
シリンジポンプ164は、シリンダボア170を有するシリンダ168内に配置される往復運動プランジャ166を含む。プランジャ166は、シリンダボア170内に受け入れられ、プランジャシリンダボアシールを形成する。プランジャ166は、計器100によって駆動され、シリンダボア170内で往復運動し、試薬108~118を試薬ウェル132から廃液タンク172にポンプ送りする。
【0057】
計器100はまた、検出モジュール126を含み、検出モジュール126は、試薬108~118によって引き起こされる化学反応が分析物140を誘導して検出可能な特性に影響を与えるとき、光の光子、または他の形態の検出可能なかかる特性を検出するように操作可能である。可撓性接続部106は、検出可能な特性の検出を容易にするために、検出モジュール126が基準点128に対して定常状態で保持されている間に、フローセル102を計器100内の固定基準点128に対して移動させることを可能にする。
【0058】
あるいは、フローセル102が基準点128に対して固定して保持されている間に、検出モジュール126が固定基準点128に対して移動可能であってもよい。このように、可撓性接続部106は、フローセルがRMS104に堅固に接続される場合よりも、フローセル102が基準点128に対してより正確に位置決めされることを可能にし得る。いくつかの実施態様では、検出モジュール126とフローセル102は、両方とも、互いに対して、および/またはRMS104に対して移動可能であってもよい。
【0059】
さらに、RMS104によってフローセル102に伝達される振動もまた、検出モジュール126が移動可能であり、フローセル102が基準点128に対して固定して保持されている場合であっても、有利に低減され得る。これは、可撓性接続部106がRMS104をフローセル102から分離させ、したがって、RMS104によって生じ、可撓性接続部106を介して伝達され得る振動を減衰させ得るからである。
【0060】
加えて、可撓性接続部106がRMS104をフローセル102から切り離すので、可撓性接続部106は、RMS104とフローセル102の独立した位置合わせ(すなわち、位置決め)により位置合わせシステムを分離する(すなわち、基準点を分離する)ことを可能にする。このように、RMS104とフローセル102の両方を、それらの関連する基準点に、より正確に位置合わせすることができる。
【0061】
図3に図示する実施形態は、共通ライン155を通してフローセル102に様々な試薬108~118を送る、回転弁142を利用する計器100の実施形態であるが、他の計器100は、回転弁142を利用しなくてもよい。例えば、各試薬ウェル132からのウェルチャネル152は、複数の別個のRMS出口ポート156のうちの1つに直接延在してもよい。
【0062】
その場合、ウェルチャネル152は、それぞれ、弁(図示せず)を含み、各試薬ウェル132からの試薬の流れ134を制御してもよい。加えて、第1の可撓性チャネル136は、対応するRMS出口ポート156からの試薬の流れ134をそれぞれ受け取る、複数の第1の可撓性チャネルであってもよい。さらに、フローセル102の入口ポート120は、複数の第1の可撓性チャネル136の各々から様々な試薬の流れ134を受け取る、複数の入口ポート120であってもよい。
【0063】
図4を参照すると、図3の計器100の概略ブロック図の例が描写されている。計器100は、ドッキングステーション174を含み、カートリッジ130を受け入れる。計器100内の様々な電気的および機械的組立体は、カートリッジ130と相互作用して、フローセル102内で行われる様々な化学反応のマイクロ流体分析操作中に、カートリッジを操作する。
【0064】
計器100は、とりわけ、マイクロ流体分析操作を実行するために、メモリ178に記憶されるプログラム命令を実行する、1つ以上のプロセッサー176を含んでもよい。プロセッサーは、回転弁駆動組立体180と、シリンジポンプ駆動組立体182と、ピンチ弁駆動組立体184と、検出モジュール126と、可動温度調節組立体206と、電子的に通信している。
【0065】
使用者が計器100の操作を制御し、監視する、ユーザーインターフェース186が提供される。通信インターフェース188は、計器100と遠隔コンピュータ、ネットワーク等との間で、データおよび他の情報を伝達することができる。
【0066】
回転弁駆動組立体180は、回転弁インターフェースブラケット192に機械的に連結される、駆動軸190を含む。回転弁インターフェースブラケット192は、カートリッジ130の回転弁142に、選択的に機械的に連結される。回転弁駆動組立体180は、回転モーター194と、いくつかの実施形態では、並進モーター196と、を含む。並進モーター196は、回転弁142との係合状態と係合解除状態との間で、駆動軸190を並進方向に移動させることができる。回転モーター194は、回転弁142の回転弁本体144の回転を管理する。
【0067】
また、回転弁駆動組立体180は、駆動軸190の位置を監視する位置エンコーダー198を含む。エンコーダー198は、位置データをプロセッサー176に提供する。
【0068】
シリンジポンプ駆動組立体182は、伸縮可能な軸202に連結される、シリンジポンプモーター200を含む。軸202は、シリンジポンプモーター200によって、伸長位置と収縮位置との間で駆動され、シリンジポンプ164上のシリンダ168のシリンダボア170内で、プランジャ166を往復運動させる。
【0069】
ピンチ弁駆動組立体184は、2つの空気圧駆動ピンチ弁駆動モーター204のセットを含む。2つのピンチ弁駆動モーター204は、第1と第2のピンチ弁160、162の対応する1つに機械的に連結される。ピンチ弁駆動モーター204は、空気圧を利用して、第1および/または第2のピンチ弁160、162の弾性中央部分を挟み込み、または解放して、第1および/または第2のピンチ弁160、162を空気圧で開閉してもよい。あるいは、ピンチ弁駆動モーター204は、電気的に駆動されてもよい。
【0070】
検出モジュール126は、フローセル102内の分析物140に関連する放射光子、または他の形態の検出可能な特性の検出を可能にするのに適切なおよび/または必要なカメラおよび/または検出センサーの全てを収容してもよい。次いで、計器100内の装置回路(図示せず)は、それらの検出された放射から導出されるデータ信号を処理し、送信してもよい。次いで、データ信号を分析して、分析物140の特性を明らかにしてもよい。
【0071】
温度調節組立体206(または、他の環境制御装置)もまた、計器100に含まれてもよい。温度調節組立体206を利用して、様々な化学反応中にフローセル102の温度制御を提供してもよい。より具体的には、温度調節組立体206は、フローセル102の加熱および冷却の両方を提供してもよく、それによって、フローセル102の熱サイクルを可能にする。環境制御装置は単なる温度以外のパラメータ(例えば、圧力)を制御または調節してもよい。図5Aおよび5Bにより詳細に見られるように、温度調節組立体206は、基準点128に対して移動可能であってもよく、フローセル102を検出モジュール126に対して移動させるために、フローセル102をその上に位置決めし得るプラットフォームを提供してもよい。
【0072】
図5Aおよび図5Bを参照すると、可撓性接続モジュール300の例が描写されている。より具体的には、図5Aが可撓性接続モジュール300と、モジュール300が接続するように操作可能なRMS104の一部と、の簡略化された斜視図の例を描写する。図5Bは、RMS104の一部分に流体連通して接続される、可撓性接続モジュール300の断面側面図の例を描写し、断面側面図は、可撓性接続部106の第1の可撓性チャネル136に沿って撮られている。
【0073】
可撓性接続モジュール300は、可撓性接続部106と、フローセル102と、支持固定具302と、を含む。可撓性接続部106は、フローセル102と流体連通して組み立てられ、可撓性接続部106とフローセル102との組立体は、支持固定具302によってフレーム化されて支持される。可撓性接続モジュール300は、計器100またはカートリッジ130内のRMS104に接続されてもよい。
【0074】
可撓性接続モジュール300の可撓性接続部106は、第1のチャネル入口経路304と、第1のチャネル出口経路306と、それらの間で流体連通する第1の可撓性チャネル136と、を含む。第1の可撓性チャネル136は、試薬の流れ134を、RMS104のRMS出口ポート156からフローセル102の入口ポート120に送るように操作可能である。
【0075】
また、可撓性接続部106は、第2のチャネル入口経路308と、第2のチャネル出口経路310と、それらの間で流体連通する第2の可撓性チャネル138と、を含む。第2の可撓性チャネル138は、試薬の流れ134を、フローセル102の出口ポート122からRMS104のRMS入口ポート158に送るように操作可能である。
【0076】
第1のチャネル入口経路304と第2のチャネル出口経路310の両方は、流体シール312を含むことができる。第1のチャネル入口経路304の流体シール312は、RMS104のRMS出口ポート156に接続し、試薬の流れ134がRMS104から第1の可撓性チャネル136に通過するように、そこを通る試薬の流れ134を可能にするように操作可能である。第2のチャネル出口経路310の流体シール312は、RMS104のRMS入口ポート158に接続し、試薬の流れ134が第2の可撓性チャネル138からRMS104に戻るように、そこを通る試薬の流れ134を可能にするように操作可能である。
【0077】
図5Aおよび5Bに図示される実施形態における流体シール312は、着脱可能なOリングである。しかしながら、他の形態の着脱可能な流体シール312を利用してもよい。例えば、様々なエラストマーガスケットを使用して、着脱可能な流体シールを提供してもよい。
【0078】
加えて、流体シール312は、カートリッジおよび/または計器のRMS104に着脱可能に接続できなくてもよい。例えば、流体シール312は、RMS104に接着する接着剤の層であってもよく、または、流体シール312は、RMS104に永久結合を形成するレーザー接合によって形成されてもよい。
【0079】
可撓性接続モジュール300のフローセル102は、入口ポート120と、出口ポート122と、それらの間で流体連通する流路124と、を含む。流路124は、流路124内に位置決めされる分析物140上に、試薬の流れ134を送るように操作可能である。
【0080】
第1のチャネル出口経路306は、フローセル102の入口ポート120と流体連通して接続される。加えて、第2のチャネル入口経路308は、フローセル102の出口ポート122と流体連通して接続される。第1のチャネル出口経路306から入口ポート120へ、および第2のチャネル入口経路308から出口ポート122への流体接続は、接着剤層314(図5Bに最も良く示される)と共に封止することができる。接着剤層314は、第1のチャネル出口経路306と入口ポート120との間、および第2のチャネル入口経路308と出口ポート122との間に永久結合を形成する。
【0081】
接着剤層314は、適用温度、適用圧力、および試薬との化学的適合性を含む用途パラメータを取り扱うのに適切な、いくつかの異なる材料から構成されてもよい。例えば、接着剤層314は、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、熱活性化接着剤、圧力活性化接着剤、光活性化接着剤、エポキシ接着剤等、またはそれらの組み合わせから構成されてもよい。
【0082】
あるいは、他の形態の結合を利用して、第1のチャネル出口経路306と入口ポート120との間、および第2のチャネル入口経路308と出口ポート122との間の接続を封止してもよい。例えば、経路とポートは、共にレーザー接合されてもよい。さらに、経路とポートは、Oリングまたはエラストマーガスケットのような、着脱可能な流体シールと着脱可能に接続されてもよい。
【0083】
図5Aおよび5Bに示される実施形態は、第1のチャネル入口経路304と、第1のチャネル出口経路306と、第2のチャネル入口経路308と、第2のチャネル出口経路310と、を有する可撓性接続部106を図示するが、任意の数の入口および/または出口経路を有する、任意の数のチャネルを有する他の構成の可撓性接続部も利用してもよい。例えば、可撓性接続部106は、フローセル102への試薬の流れのみに利用されてもよく、可撓性接続部106は、単一の入口経路からフローセル102への複数の出口経路まで広がる複数の可撓性チャネルを有する、RMS104からの1つの入口経路のみを有してもよい。あるいは、可撓性接続部106は、フローセル102への試薬の流れのみに利用されてもよく、可撓性接続部106は、各可撓性チャネルが、RMS104からの単一の入口経路と、フローセル102への単一の出口経路を有する、複数の可撓性チャネルを有してもよい。あるいは、可撓性接続部106は、フローセル102からRMS104への試薬の流れのみに利用されてもよく、可撓性接続部は、単一の入口経路からRMS104への複数の出口経路まで広がる複数の可撓性チャネルを有する、フローセル102からの1つの入口経路のみを有してもよい。可撓性接続部106は、フローセル102からRMS104への試薬の流れのみに利用されてもよく、可撓性接続部106は、各可撓性チャネルが、フローセル102からの単一の入口経路と、RMS104への単一の出口経路を有する、複数の可撓性チャネルを有してもよい。さらに別の実施形態では、可撓性接続部106は、フローセル102内への試薬の流れと、フローセル102の同じ端部または反対側の端部からの、フローセル102からの試薬の流れと、の両方に利用されてもよい。可撓性接続部106は、そのような実施形態では、単一の入口経路から複数の出口経路まで広がる、複数の可撓性チャネルを有する1つの入口経路のみを含むことができ、または、各可撓性チャネルが、単一の入口経路と単一の出口経路を有する、複数の可撓性チャネルを含んでもよい。さらなる可撓性接続部106の構成は、フローセル102への試薬の流れに対する第1の可撓性接続部と、フローセル102からの試薬の流れに対する第2の可撓性接続部とを含んでもよく、第1と第2の可撓性接続部の両方は、入口経路と、出口経路と、それらの間に接続される可撓性チャネルと、の様々な構成を含んでもよい。
【0084】
可撓性接続モジュール300の支持固定具302は、フローセル102を取り囲む内側境界316を含む。支持固定具302は、内側境界316内にフローセル102を収容するように操作可能である。支持固定具302は、フローセル102が支持固定具302内でY方向における横方向に、およびX方向における長手方向に移動することを可能にしてもよい。加えて、支持固定具302は、支持固定具302に対してフローセル102をZ方向における垂直方向に移動することを可能にしてもよい。
【0085】
支持固定具302が内側境界316内にフローセル102を収容しながら、X、YおよびZ方向におけるそのような移動を提供し得る1つの方法は、支持固定具302の上面320および/または下面322上に配置される、複数の支持指318を有することである。支持指318は、内側境界316から内向きに、並びにフローセル102の頂部および/または底面を部分的に横切って、延在してもよい。上面320上に配置される支持指318については、そのような支持指318が検出工程中に流路124上で検出モジュール126と干渉しないように、フローセル102の流路124上に延在しないようなサイズとしてもよい。支持指318は、可撓性接続モジュール300の輸送中および/または計器100の操作中に、フローセル102と可撓性接続部106が、支持固定具302の内側境界316内から実質的に変位すること、または完全に除去されることを妨げてもよい。
【0086】
加えて、支持指318は、内側境界316内で、フローセル102の横方向(Y方向)および長手方向(X方向)の、両方の移動を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、支持指318は、支持固定具302の底面322上に配置されてもよく、支持指318は、支持固定具302の頂面320上に配置されてもよく、離間して、フローセル102を支持固定具302の内側境界316内に保持しながら、フローセル102の垂直(Z)方向への所定量の移動を可能にしてもよい。
【0087】
図5Aおよび図5Bの実施形態は、フローセル102を保持する支持指318を有する支持固定具302を示すが、他の構成の支持固定具302を利用してもよい。例えば、支持固定具302は、いかなる支持指318も含まないキャリアプレートとして設計されてもよく、フローセル102は、支持固定具302の頂面に結合されてもよい。また、図5Aおよび図5Bにおける実施形態は、フローセル102と可撓性接続部106の結合される全長に沿って延在する支持固定具302を図示するが、支持固定具302の他の構成は、支持固定具302の外周を越えて延在する可撓性接続部106を有していてもよい。
【0088】
操作中、可撓性接続モジュール300は、流体シール312をRMS出口ポート156とRMS入口ポート158に整列させることによって、RMS104(図5Bに最もよく示される)に組み立てられてもよい。その後、流体シール312が支持固定具302とRMS104との間に挟まれるように、支持固定具302をRMS104に挟持してもよい。これは、ボルト締め、またはC型クランプもしくは様々な他の形態の締付け(clamping)装置を使用することのような、任意の数の締付け技術によって達成されてもよい。さらに他の実施態様では、流体シール312と可撓性接続モジュール300は、スナップ式コネクタ等のような他の取り付け構成要素を介して取り付けることができる。そのような取り付け構成要素は、支持固定具302から独立していてもよい。
【0089】
図示の実施形態では、RMS104が可撓性接続モジュール300と流体連通すると、フローセル102は、可動温度調節組立体206(図5Bに最もよく示される)と係合してもよい。いくつかの実装形態では、支持指318は、支持固定具302の下面322上に配置され、フローセル102の底面を部分的に横切ってのみ延在して、フローセル102と可動温度調節組立体206との係合を可能にしてもよい。このように、フローセル102の底面の十分な部分が温度調節組立体206の表面に露出して、フローセル102と係合することができる。そのような係合は、温度調節組立体206と係合している間に、支持固定具302の内側境界316内でのフローセル102の長手方向および横方向の移動を可能にしてもよい。
【0090】
温度調節組立体206は、垂直(すなわち、Z)方向における検出モジュール126の位置に対して、フローセル102を数ミクロン以内に位置決めするように操作可能とすることができる。加えて、温度調節組立体206は、フローセル102をX方向および/またはY方向の一方または両方に移動させて、検出モジュール126が検出工程中にフローセル102の流路124を走査することを可能にしてもよい。
【0091】
あるいは、フローセル102の走査中に、基準点128に対して、検出モジュール126が移動され、フローセル102が固定して保持されるままであっても、温度調節組立体206は、走査を開始する前に、検出モジュール126に対してフローセル102を正確に位置決めできる。これは、可撓性接続部106が、フローセル102のいくらかの移動をRMS104の移動から切り離すためである。このように、走査前の検出モジュール126に対するフローセル102の初期開始位置は、フローセル102を移動させることによって正確に維持し得る。フローセル102が可撓性接続部106に接続せず、RMS104に堅固に接続されている場合、フローセル102および/またはRMS104の一部の両方を移動させなければならない場合があり、検出モジュール126に対するフローセル102のそのような正確な位置決めをより困難にする。
【0092】
加えて、検出モジュール126が基準点に対して移動可能であるか、または固定されているかにかかわらず、可撓性接続部106は、RMS104をフローセル102から切り離す。したがって、可撓性接続部106は、RMS104とフローセル102の独立した位置合わせ(すなわち、位置決め)により位置合わせシステムを分離する(すなわち、基準点を分離する)ことを可能にする。このように、RMS104とフローセル102の両方を、それらの関連する基準点に、より正確に位置合わせすることができる。
【0093】
図6を参照すると、頂部層210と底部層212と中間層214を有する可撓性接続部106の分解図の例が描写されている。頂部層210と底部層212と中間層214は、接着剤216を使用して共に接着され、積層スタックまたは積層体218を形成する。
【0094】
第1と第2の可撓性チャネル136、138は、例えば、レーザー切断処理を使用して中間層214に切断される。したがって、中間層214は、可撓性チャネル136、138の幾何学的形状を画定する。より具体的には、中間層214は、第1と第2の可撓性チャネル136、138の壁幅220およびチャネル幅222(図7Aおよび図7Bに最もよく示される)を画定する。
【0095】
頂部層210は、第1と第2の可撓性チャネル136、138の頂部224(図7Aおよび図7Bに最もよく示される)を画定する。底部層は、第1と第2の可撓性チャネル136、138の底部226(図7Aおよび7Bに最も良く示される)を画定する。
【0096】
第1の経路228と第2の経路230は、可撓性接続部106の底部層212内に位置決めされる。第1と第2の経路228、230は、中間層214内の第1の可撓性チャネル136の第1の近位端部232および第1の遠位端部234と流体連通している。加えて、第3の経路236と第4の経路238が、可撓性接続部106の底部層212に位置決めされる。第3と第4の経路236、238は、中間層214内の第2の可撓性チャネル138の第2の近位端部240および第2の遠位端部242と流体連通している。第1、第2、第3、第4の経路228、230、236、238は、図6では底部層212に配置されているように図示されているが、代わりに、1つ以上の経路を、頂部層210に、および/または頂部層210と底部層212の両方に位置決めしてもよい。より具体的には、第1の経路228と第3の経路236は、底部層212または頂部層210のいずれかに、共に位置決めされてもよい。加えて、第2の経路230と第4の経路240は、底部層212または頂部層210のいずれかに、共に位置決めされてもよい。
【0097】
第1の経路228は、RMS104のRMS出口ポート156に結合されて、試薬の流れ134をRMS104から第1の可撓性チャネル136に送ることができる(したがって、第1の経路228は、第1の可撓性チャネル136の入口経路と考えることができる)。第2の経路230は、フローセル102の入口ポート120に結合されて、試薬の流れ134を第1の可撓性チャネル136から流路124に送ることができる(したがって、第2の経路230は、第1の可撓性チャネル136の出口経路と考えることができる)。第4の経路238は、フローセル102の出口ポート122に結合されて、試薬の流れ134をフローセル102から第2の可撓性チャネル138に送ることができる(したがって、第4の経路238は、第2の可撓性チャネル138の入口経路と考えることができる)。第3の経路236は、RMS104のRMS入口ポート158に結合されて、試薬の流れ134を第2の可撓性チャネル138からRMS104に戻るよう送ることができる(したがって、第3の経路236は、第2の可撓性チャネル138の出口経路と考えることができる)。
【0098】
頂部層210と底部層212と中間層214は、適用温度、適用圧力、および試薬との化学的適合性を含む用途パラメータを取り扱うのに適切な、いくつかの異なる材料から構成されてもよい。例えば、頂部層210と底部層212と中間層214は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリプロピレン等から構成されてもよい。
【0099】
加えて、カーボンブラック添加剤をポリエチレンテレフタレートのような材料に添加して、黒色ポリエチレンテレフタレート等を得てもよい。カーボンブラック添加剤が添加される材料は、比較的低い自動蛍光特性を有していてもよい。さらに、カーボンブラック添加剤は、頂部層210と底部層212と中間層214のレーザー接合を容易にし得る。
【0100】
接着剤216は、適用温度、適用圧力、および試薬との化学的適合性を含む用途パラメータを取り扱うのに適切な、いくつかの異なる材料から構成されてもよい。例えば、接着剤216は、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、熱活性化接着剤、圧力活性化接着剤、光活性化接着剤、エポキシ接着剤等、またはそれらの組み合わせから構成されてもよい。そのような接着剤216を利用して、頂部層210と底部層212と中間層214を共に接着してもよい。
【0101】
頂部層210と底部層212と中間層214が接着剤(216)で共に接着されることに加えて、頂部層210と底部層212と中間層214は、他の方法で共に結合されてもよい。例えば、頂部層210と底部層212と中間層214は、熱(融着)結合またはレーザー接合のような直接結合技術を使用して、共に結合されてもよい。加えて、頂部層210と底部層212と中間層214は、接着剤接着または直接結合技術の任意の組み合わせを利用して、共に結合されてもよい。
【0102】
加えて、接着剤接着または直接結合技術に関して、頂部層210と底部層212と中間層214の表面処理を利用して、様々な結合の強度を高めることができる。そのような表面処理は、例えば、化学的表面処理、プラズマ表面処理等を含んでもよい。
【0103】
可撓性接続部106を構築する1つの簡略化された製造方法は、頂部層210と底部層212と中間層214の各々を、例えば、レーザー切断処理を使用して、所定の仕様に切断することによって開始してもよい。この方法は、頂部層210と底部層212と中間層214を共に整列させ、手動圧力でこれらを結合し、単に層を共に固着させ、積層体218を形成することによって継続してもよい。その後、積層体218をラミネーターに通し、所定の圧力を加えることによって、接着剤216を活性化させてもよい。その後、積層体218を所定の温度(例えば、約50℃超、または約90℃超)に、所定の時間(例えば、約2時間以上)加熱して、可撓性接続部106を完全に形成してもよい。
【0104】
加えて、製造工程は、特定のステップを含み、組み立て中に、頂部層210と底部層212と中間層214との間に捕捉される可能性のあるエアポケットの量を低減することができる。例えば、陽圧(例えば、約100、125、150psi以上)または真空の陰圧(例えば、約-10、-12、-14psi以下)を所定の時間加えて、頂部層210と底部層212と中間層214との間に捕捉される可能性のあるエアポケットの量を低減させてもよい。圧力を加えて捕捉されるエアポケットを低減させるこの工程は、高温(または、例えば、約50℃超または約90℃超)と組み合わせてもよいし、組み合わせなくてもよい。
【0105】
その後、底部層212の接着剤216の上に配置することができる底敷き(図示せず)を除去して、その接着剤216を露出させる。次いで、可撓性接続部106は、可撓性接続部106の底部に配置される接着剤216を活性化するために、可撓性接続部106に適切な力を加えることによって、RMS104とフローセル102に結合される。
【0106】
図7Aおよび7Bを参照すると、図6の可撓性接続部106の斜視図(図7A)および正面側面図(図7B)の例が描写されている。明確にするために、この特定の例では、第1の可撓性チャネル136のみが図示されている。
【0107】
頂部層210と底部層212と中間層214は、共に結合されて積層体218を形成する。頂部層210と底部層212と中間層214は薄く、例えば、場合によっては、それぞれ約10ミクロンから約1000ミクロンである。このように、積層体218は可撓性である。
【0108】
積層高さ(または可撓性接続高さ)244は、例えば、約30ミクロンから約3000ミクロンの範囲であってもよい。チャネル高さ246は、第1の可撓性チャネル136の頂部224と底部226との間の距離である。チャネル高さは、例えば、約10ミクロンから約1000ミクロンの範囲であってもよい。チャネル幅222は、2つの対向する内壁248、250の間の距離である。壁幅220は、設計パラメータに応じて、任意の実用的なサイズとしてもよい。例えば、壁幅220は、約250ミクロンから約650ミクロンの範囲であってもよい。図8でより詳細に議論するように、チャネル幅222に対する壁幅220の比は、約2.5以上に設計することができる。
【0109】
図8を参照すると、破裂圧力256に対する、チャネル幅222対壁幅220の比254のグラフ252の例が描写されている。チャネル幅222対壁幅220の比254は、グラフ252の横軸線上に示されている。破裂圧力256(ポンド/平方インチゲージ(psig))が縦軸線上に示されている。各プロット点258は、所与の比254に対する破裂圧力256の交点を表す。1ポンド/平方インチ(イギリス単位)は、約0.069バール(メートル単位)に等しいことに留意されたい。
【0110】
チャネル幅222対壁幅220の比254は、可撓性接続部106内の可撓性チャネル(例えば、第1または第2の可撓性チャネル136、138)の破裂圧力256に影響を与えるパラメータである。比254が大きいほど、破裂圧力256は高くなる傾向がある。破裂圧力256は、この場合、可撓性チャネル136、138内に漏れが生じる圧力を意味する。
【0111】
用途に対する所望の破裂圧力256は、用途パラメータに応じて変化し得る。しかしながら、第1と第2のチャネル136、138における40psig以上の破裂圧力256は、多くの場合、試薬の流れ134の用途のほとんどの部分に対して適している。グラフ252上のプロット点258から、約2.5以上の比254が、約40psig以上の破裂圧力256をもたらし得ると分かる。
【0112】
図9Aを参照すると、副層の中間スタックを有する可撓性接続部の正面図の例が描写されている。この図9Aでは、副層の体積の50%が接着剤である。
【0113】
図9Bを参照すると、副層の中間スタックを有する可撓性接続部の正面図の例がまた描写されている。この図9Bでは、副層の体積の25%が接着剤である。
【0114】
図9Aおよび図9Bの可撓性接続部106は、いずれも、頂部層210と底部層212と中間層214を含む。しかしながら、中間層214は、接着剤262によって共に接着される、複数の中間副層260である。
【0115】
図9Aでは、接着剤262の体積は、例えば、ポリイミドから構成され得る中間副層260+接着剤262の総体積に対して約50%である。しかしながら、図9Bでは、接着剤262の体積は、同じ材料(例えば、ポリイミド)から構成される中間副層260+接着剤262の総体積に対して、約25%しかない。
【0116】
接着剤262+中間副層260の総体積に対する(感圧接着剤のような)接着剤262の体積割合もまた、破裂圧力に影響を与えるパラメータである。割合が小さいほど、破裂圧力は大きくなる傾向にある。図9Aおよび9Bの特定の場合において、可撓性接続部106の2つの構造間の唯一の違いは、接着剤262と中間副層260の体積の合計に対する接着剤262の割合である。図9Aでは、割合は50%であり、破裂圧力は50psigである。図9Bでは、比は25%であり、破裂圧力は130psigである。
【0117】
図10を参照すると、直線可撓性接続部106A、106Bのそれぞれの対についての、力(ニュートン単位)対変位(ミリメートル単位)の対のグラフ264、266の例が描写されている。グラフ264において、関連する可撓性接続部106Aは、その中に配置される第1と第2の可撓性チャネル136、138のみを含む。グラフ266において、関連する可撓性接続部106Bは、第1と第2の可撓性チャネル136、138を含むが、加えて、可撓性チャネル136、138の間に配置されるスリット268を含む。
【0118】
試薬管理システム(RMS)104をフローセル102から切り離すことは、RMS104とフローセル102の両方に追加の機械的応力を加えるコストがかかる可能性がある。これは、RMS104とフローセル102が、可撓性接続部106の屈曲によって、互いに対して移動する可能性があるからである。しかしながら、この追加の機械的応力を緩和する方法はいくつかある。そのような応力(すなわち、フローセル102および/または可撓性接続部106を移動させる、または変位させるのに関与する力)を低減する、そのような方法の1つは、第1と第2の可撓性チャネル136、138との間にスリット268を位置決めすることである。
【0119】
グラフ264と266の比較に示すように、スリット268は、可撓性接続部106Aを移動させるのに関与する力に対して、可撓性接続部106Bを移動させるのに関与する力を低減させる。より具体的には、可撓性接続部106Aと106Bの第1の遠位端部263が固着され、可撓性接続部106Aと106Bの第2の遠位端部265が、第1の遠位端部263に向かってX方向に所定の距離(例えば、可撓性接続部の全長の約1~20%)だけ移動される。その後、第2の遠位端部265をX方向に垂直な方向(すなわち、Y方向)に移動させ、次いで、Y方向に所与の変位(ミリメートル単位)を移動させるのに必要な力(ニュートン単位)を測定して、グラフ264と266をプロットする。
【0120】
スリット268は、(グラフ264に示すように)スリット268なしで可撓性接続部106Aを移動させるのに関与する力の、少なくとも約2倍の力(グラフ266に示すように)を低減させる。より具体的には、可撓性接続部106A(したがって、フローセル102)を1ミリメートルの距離だけ移動させるために加えられる力は、スリット268なしでは0.2ニュートンよりも大きく(グラフ264参照)、一方、可撓性接続部106Bを移動させるために加えられる力は、スリット268有りでは0.1ニュートン未満に低減される(グラフ266参照)。加えて、可撓性接続部106Aを4ミリメートルの距離だけ移動させるために加えられる力は、スリット268なしでは0.6ニュートンよりも大きく(グラフ264参照)、一方、可撓性接続部106Bを移動させるために加えられる力は、スリット268有りでは0.2ニュートン未満に低減される(グラフ266参照)。
【0121】
図11を参照すると、直線可撓性接続部106C(グラフ270)とS字曲線の可撓性接続部106D(グラフ272)に対する、力対変位の対のグラフ270、272の例が描写されている。可撓性接続部106を介してRMS104をフローセル102から切り離すことによって生じる追加の機械的応力を低減する別の方法は、可撓性接続部106内に波形状を設計することである。この特定の例では、波形状は、グラフ272の可撓性接続部106Dに設計されたS字曲線274である。
【0122】
グラフ270と272との比較に示されるように、S字曲線274は、可撓性接続部106Cを移動させるのに関与する力と比較して、可撓性接続部106Dを動かすのに関与する力を低減させる。より具体的には、可撓性接続部106Cと106Dの第1の遠位端部271が固着され、可撓性接続部106Cと106Dの第2の遠位端部273が、第1の遠位端部271に向かってX方向に、所定の距離(例えば、可撓性接続部の全長の約1~20%)移動される。その後、第2の遠位端部273をX方向に垂直な方向(すなわち、Y方向)に移動させ、次いで、所与の変位(ミリメートル単位)をY方向に移動させるのに必要な力(ニュートン単位)を測定して、グラフ270と272をプロットする。
【0123】
S字曲線274は、(グラフ270に示すように)S字曲線274なしで可撓性接続部106Cを移動させるのに関与する力の、少なくとも約2倍の力(グラフ272に示すように)を低減させる。より具体的には、可撓性接続部106C(したがって、フローセル102)を1ミリメートルの距離だけ移動させるために加えられる力は、S字曲線274なしでは0.2ニュートンよりも大きく(グラフ270参照)、一方、可撓性接続部106Dを移動させるために加えられる力は、S字曲線274有りでは0.1ニュートン未満に低減される(グラフ272参照)。加えて、可撓性接続部106Cを4ミリメートルの距離だけ移動させるために加えられる力は、S字曲線274なしでは0.6ニュートンよりも大きく(グラフ270参照)、一方、可撓性接続部106Dを移動させるために加えられる力は、S曲線有りでは0.1ニュートン未満に低減される(グラフ272参照)。
【0124】
図12A図12Bおよび図12Cを参照すると、レーザー接合された可撓性接続部106E(図12Aおよび図12Bのグラフ276)と、接着剤接着された可撓性接続部106F(図12Aおよび図12Cのグラフ278)についての、力対変位の対のグラフ276、278の例が描写されている。可撓性接続部106Eと106Fの両方は、S字曲線274を含む。
【0125】
可撓性接続部106を介してRMS104をフローセル102から切り離すことによって生じる追加の機械的応力を低減する別の方法は、頂部層210と底部層212と中間層214との間の結合工程の選択である。この特定の例では、各グラフ276、278に対する可撓性接続部106Eと106Fのそれぞれの構造間の唯一の有意差は、結合工程にある。
【0126】
より具体的には、グラフ276の可撓性接続部106Eがレーザー接合されている。したがって、図12Bの分解斜視図に図示するように、可撓性接続部106Eの頂部層210と底部層212と中間層214は互いに直接接触し、それらの間に接着剤216を含まない。対照的に、グラフ278の可撓性接続部106Fは、接着剤接着されている。したがって、図12Cの分解斜視図に図示するように、可撓性接続部106Fの頂部層210と底部層212と中間層214は、頂部層210と底部層212と中間層214との間に、接着剤216の層(たとえば感圧粘着剤)を含む。
【0127】
グラフ276と278の比較に示すように、接着剤接着は、可撓性接続部106Fを移動させるのに関与する力を低減させる。より具体的には、可撓性接続部106Eと106Fの第1の遠位端部275が固着され、可撓性接続部106Eと106Fの第2の遠位端部277が、第1の遠位端部275に向かってX方向に、所定の距離(例えば、可撓性接続部の全長の約1~20パーセント)だけ移動される。その後、第2の遠位端部277をX方向に垂直な方向(すなわち、Y方向)に移動させ、次いで、Y方向に所与の変位(ミリメートル単位)を移動させるのに必要な力(ニュートン単位)を測定して、グラフ276と278をプロットする。
【0128】
接着剤接着は、接着剤接着された可撓性接続部106Fを移動させるのに関与する力と比較して、(グラフ276に示すように)レーザー接合された可撓性接続部106Eを移動させるのに関与する力の、少なくとも約6倍の力(グラフ278に示すように)を低減させる。より具体的には、可撓性接続部106E(したがって、フローセル102)を1ミリメートルの距離だけ移動させるために加えられる力は、レーザー接合されたときには0.6ニュートンよりも大きく(グラフ276参照)、一方、可撓性接続部106Fを移動させるために加えられる力は、接着剤接着されたときには0.1ニュートン未満に低減される(グラフ278参照)。加えて、可撓性接続部106Eを4ミリメートルの距離だけ移動させるために加えられる力は、レーザー接合されたときには0.8ニュートンよりも大きく(グラフ276を参照)、一方、可撓性接続部106Fを移動させるために加えられる力は、接着剤接着されたときには0.1ニュートン未満に低減される(グラフ278を参照)。
【0129】
図13A、13B、および13Cを参照すると、可撓性接続部106に固定的に連結される、機械的張力緩和要素400の上面図(図13A)、側面図(図13B)、および斜視底面図(図13C)の例が描写されている。図13A図13Bおよび図13Cに図示する特定の例では、張力緩和要素400は、エポキシビーズ402として構成される。
【0130】
可撓性接続部106とフローセル102との間の接続は、フローセル102の移動中に可撓性接続部106に課される機械的負荷(または機械的応力)、ならびに温度および圧力の変化による応力に耐えるのに十分堅牢であり得る。そのような応力は、接続が十分に堅牢でない場合、可撓性接続部106とフローセル102との間の接続を剪断させる可能性がある。張力緩和要素400は、そのような応力を緩和するのに役立つことができる。
【0131】
張力緩和要素400のエポキシビーズ402の構成の場合、エポキシビーズ402は、フローセル102の外周406と可撓性接続部106の底面408とが接合する角部404に沿って置かれる、エポキシを主成分とする。張力緩和要素400のこの構成では、可撓性接続部106に加えられる応力の少なくとも一部は、エポキシビーズ402を介してフローセル102の本体内に向け直される。
【0132】
自立ビーズを形成するのに十分な表面張力を有する限り、任意の数のエポキシを使用してもよい。例えば、エポキシビーズ402は、アクリル系またはシリコン系接着剤を含んでもよく、または二液型UV硬化エポキシであってもよい。
【0133】
図14A、14B、および14Cを参照すると、張力緩和要素400がトラフ410として構成される、可撓性接続部106に固定的に連結される機械的張力緩和要素400の例の上面図(図14A)、側面図(図14B)、および斜視図(図14C)が描写されている。トラフ410は、可撓性接続部106と支持固定具302との間に位置決めされる。
【0134】
トラフ410は、図示のように、フローセル102に接触しない。このように、トラフは、応力(例えば、剪断力)の一部をフローセル102と可撓性接続部106との間の接続部から離れて伝達し、応力を張力緩和要素400を介して支持固定具302内に向け直す。他の構成では、トラフ410は、フローセル102に対してトラフ410を整列させるために使用される位置決めアーム(図示せず)を含んでもよい。しかしながら、位置決めアームは、フローセル102に有意な量の力を伝達するように設計されていなくてもよい。
【0135】
トラフ410は、トラフ410の中央部分に位置決めされる、レリーフカット412を含む。レリーフカット412は、頂面416(すなわち、可撓性接続部106に接触する表面)から底面418(すなわち、支持固定具302に接触する表面)まで、トラフ412の全幅414を貫通することができる。レリーフカット412は、可撓性接続部106を支持固定具302に結合するために、型を形成し、レリーフカット412内に堆積されるエポキシを収容し、成形する。
【0136】
レリーフカット412の壁420は、トラフ410の頂面416から底面418に向かって外向きにテーパされている。すなわち、レリーフカット412の断面図は、台形の形状に見え、頂面416におけるレリーフカット412の面積は、底面418におけるレリーフカット412の面積よりも小さい。底面418により大きな面積を設けることによって、壁420が先細りでない場合よりも、エポキシのより大きな面積が支持固定具302に接触する。エポキシのこのより大きな面積は、支持固定具302とトラフ410との間のより強力な結合を提供し得る。
【0137】
図14A、14B、および14Cに図示される例では、外向きにテーパされる壁420を示しているが、他の構成の壁を利用してもよい。例えば、壁420は、内向きにテーパされてもよく、または壁420は、垂直であってもよい。
【0138】
複数の接着剤支持リム422が、レリーフカット412の頂面416の外周の周りに位置決めされている。接着剤支持リム422は、頂面416から上方に突出している。この例では、接着剤支持リム422は、可撓性接続部106の頂面とほぼ同じ高さまで上方に突出している。
【0139】
接着剤支持リム422は、エポキシの頂部がトラフ410の頂面416の上方に延在できるように、エポキシが接着剤支持リム422と表面張力接触することを可能にしてもよい。このように、エポキシは、可撓性接続部106をより容易にカプセル化して、トラフ410内での可撓性接続部106とエポキシとの間のより強力な結合を提供し得る。
【0140】
本実施形態では、接着剤支持リム422は、可撓性接続部106の頂面の高さまで突出しているが、接着剤支持リム422は、あるいは、異なる高さまで突出するように設計されてもよい。これは、エポキシに最適な表面張力接触を提供するために、接着剤支持リム422の高さが、使用されるエポキシのタイプに部分的に起因し得るからである。
【0141】
基点(fiducial)(または貫通孔)424は、自動ピック・アンド・プレイス製造をサポートするために、トラフ410上および/またはトラフ410内に位置決めされる。より具体的には、製造中、3軸線ピック・アンド・プレイス機械がトラフ410を掴み、次いで、カメラを利用して基点424を覗き込んで、トラフ410を支持固定具302上に適切に位置決めしてもよい。
【0142】
トラフ410は、ポリカーボネートのようなプラスチック、または射出成形に適合する任意の他のプラスチックから作られてもよい。トラフ410は、射出成形部品として作られてもよい。
【0143】
図15A、15Bおよび15Cを参照すると、可撓性接続部106に固定的に連結される機械的張力緩和要素400の例の上面図(図15A)、側面図(図15B)、および斜視図(図15C)が描写されており、張力緩和要素400は、感圧接着剤のような第1の接着剤432と、固体部分430がその上に接着される感圧接着剤のような第2の接着剤434と、を有する固体部分430として構成される。固体部分430は、可撓性接続部106と支持固定具302との間に位置決めされる。
【0144】
第1と第2の接着剤432、434を有する固体部分430は、図示されるように、フローセル102に接触しない。このように、固体部分430は、応力(例えば、剪断力)の一部をフローセル102から遠ざけて伝達し、応力を支持固定具302内に向け直す。他の構成では、固体部分430は、フローセル102に対して固体部分430を整列させるために使用される位置決めアーム(図示せず)を含んでもよい。しかしながら、位置決めアームは、フローセル102に有意な量の力を伝達するように設計されていなくてもよい。
【0145】
第1の接着剤432は、固体部分430の頂面436(すなわち、可撓性接続部106に最も近接して位置する表面)と可撓性接続部106との間に置かれる。第2の接着剤434は、固体部分430の底面438(すなわち、支持固定具302に最も近い表面)と支持固定具302との間に置かれる。第1の接着剤432と、第2の接着剤434と、固体部分430とは、可撓性接続部106と支持固定具302の両方に接着する積層構造である、張力緩和要素400の構成を形成する。
【0146】
基点(または貫通孔)440は、自動ピック・アンド・プレイス製造をサポートするために、固体部分430上に位置決めされる。より具体的には、製造中、3軸線ピック・アンド・プレイス機械が固体部分430を掴み、次いで、カメラを利用して基準点440を覗き込んで、固体部分430を支持固定具302上に適切に位置決めしてもよい。
【0147】
固体部分430は、ポリカーボネートのようなプラスチック、または射出成形に適合する任意の他のプラスチックから作られてもよい。固体部分430は、射出成形部品として作られてもよい。
【0148】
本開示の1つ以上の態様による計器の実施形態は、試薬管理システムと、可撓性接続部と、フローセルと、を含む。試薬管理システムは、計器内に位置決めされるように操作可能である。試薬管理システムは、複数の試薬ウェルを含む。各試薬ウェルは、その中に位置決めされる複数の試薬のうち、1つ以上の試薬を収容するように操作可能である。試薬管理システムは、複数の試薬のうちの1つから試薬の流れを選択するように操作可能である。可撓性接続部は、計器内に位置決めされるように操作可能である。可撓性接続部は、試薬管理システムと流体連通する第1の可撓性チャネルを含む。第1の可撓性チャネルは、そこを通る試薬の流れを送るように操作可能である。フローセルは、計器内に位置決めされるように操作可能である。フローセルは、第1の可撓性チャネルと流体連通する流路を含む。流路は、流路内に位置決めされる分析物上に試薬の流れを送るように操作可能である。可撓性接続部は、フローセルを計器内の固定基準点に対して、計器によって移動させることを可能にする。
【0149】
計器の別の実施形態では、可撓性接続部は、計器の検出モジュールが基準点に対して定常状態で保持されている間に、フローセルを計器内の固定基準点に対して移動させることを可能にする。
【0150】
計器の別の実施態様では、計器はカートリッジを含む。カートリッジは、試薬管理システムと、フローセルと、それらの間の可撓性接続部と、を含む。カートリッジが計器と係合し、フローセルがカートリッジと係合するとき、試薬管理システムは、計器の基準点に対して固定される一方、フローセルは、計器の基準点に対して移動可能である。
【0151】
計器の別の実施態様では、試薬管理システムは、およそ所定の第1の公差範囲内で基準点に対して位置決めされる。フローセルは、およそ第2の所定の公差範囲内で基準点に対して位置決めされる。第1の公差範囲は、第2の公差範囲よりも少なくとも10倍大きい。
【0152】
計器の別の実施態様では、可撓性接続部は、フローセルの流路と流体連通する第2の可撓性チャネルを含む。第2の可撓性チャネルは、試薬の流れが流路を通過した後に、試薬の流れをフローセルから試薬管理システムに送るように操作可能である。
【0153】
計器の別の実施形態では、可撓性接続部は、第1と第2の可撓性チャネルとの間に位置決めされるスリットを含み、可撓性接続部を移動させるのに関与する力を低減させる。
【0154】
計器の別の実施形態では、可撓性接続部は、波形状を有し、可撓性接続部を移動させるのに関与する力を低減させる。
【0155】
計器の別の実施態様では、可撓性接続部は、第1の可撓性チャネルの頂部を画定する頂部層と、第1の可撓性チャネルの底部を画定する底部層と、第1の可撓性チャネルの壁幅およびチャネル幅を画定する中間層と、を含む。チャネル幅に対する壁幅の比は、約2.5以上である。
【0156】
計器の別の実施形態では、計器は検出モジュールを含む。試薬の流れが分析物の上を流れると、試薬の流れと分析物との間で化学反応が行われる。化学反応は、分析物を誘導して、分析物に関連する検出可能な特性に影響を与える。検出モジュールは、フローセルが検出モジュールに対して移動するときに、検出可能な特性を検出するように操作可能である。
【0157】
計器の別の実施態様では、中間層は、複数の副層である。
【0158】
計器の別の実施形態では、頂部層と中間層と底部層は、接着剤接着工程、熱結合工程、および直接レーザー接合工程のうちの1つを利用して、共に結合される。
【0159】
本開示の1つ以上の態様によるカートリッジの実施形態は、試薬管理システムと、可撓性接続部と、フローセルと、を含む。試薬管理システムは、試薬管理システムに収容される複数の試薬のうちの1つから、試薬の流れを選択するように操作可能である。可撓性接続部は、カートリッジ内に位置決めされるように操作可能である。可撓性接続部は、試薬管理システムと流体連通する第1の可撓性チャネルを含む。第1の可撓性チャネルは、そこを通る試薬の流れを送るように操作可能である。フローセルは、カートリッジ内に位置決めされるように操作可能である。フローセルは、第1の可撓性チャネルと流体連通する流路を含む。流路は、流路内に位置決めされる分析物上に試薬の流れを送るように操作可能である。カートリッジが計器に係合するとき、可撓性接続部は、フローセルを計器内の固定基準点に対して、計器によって移動させることを可能にする。
【0160】
カートリッジの別の実施形態では、可撓性接続部は、フローセルの流路と流体連通する第2の可撓性チャネルを含む。第2の可撓性チャネルは、試薬の流れが流路を通過した後に、試薬の流れをフローセルから試薬管理システムに送るように操作可能である。
【0161】
カートリッジの別の実施態様では、可撓性接続部は、第1と第2の可撓性チャネルとの間に位置決めされるスリットを含み、可撓性接続部を移動させるのに関与する力を低減させる。
【0162】
カートリッジの別の実施形態では、可撓性接続部は、波形状を有し、可撓性接続部を移動させるのに関与する力を低減させる。
【0163】
カートリッジの別の実施形態では、可撓性接続部は、第1の可撓性チャネルの頂部を画定する頂部層と、第1の可撓性チャネルの底部を画定する底部層と、第1の可撓性チャネルの壁幅およびチャネル幅を画定する中間層と、を含む。チャネル幅に対する壁幅の比は、約2.5以上である。
【0164】
本開示の1つ以上の態様による可撓性接続モジュールの実施形態は、可撓性接続部とフローセルを含む。可撓性接続部は、第1のチャネル入口経路と、第1のチャネル出口経路と、それらの間で流体連通する第1の可撓性チャネルと、を含む。第1のチャネル入口経路は、試薬管理システムの出口ポートに接続し、そこを通る試薬の流れを可能にするように操作可能な、流体シールを含む。フローセルは、入口ポートと、出口ポートと、それらの間で流体連通する流路と、を含む。入口ポートは、可撓性接続部の第1のチャネル出口経路と流体連通している。流路は、流路内に位置決めされる分析物上に試薬の流れを送るように操作可能である。
【0165】
可撓性接続モジュールの別の実施形態では、可撓性接続部は、第2のチャネル入口経路と、第2のチャネル出口経路と、それらの間で流体連通する第2の可撓性チャネルと、を含む。第2のチャネル入口経路は、フローセルの出口ポートと流体連通している。第2のチャネル出口経路は、試薬管理システムの入口ポートに接続し、そこを通る試薬の流れを可能にするように操作可能な、流体シールを含む。
【0166】
可撓性接続モジュールの別の実施形態では、流体シールは、試薬管理システムの出口ポートに着脱可能に接続し、そこを通る試薬の流れを可能にするように操作可能な、着脱可能な流体シールである。
【0167】
可撓性接続モジュールの別の実施形態では、可撓性接続モジュールは、支持固定具を含む。支持固定具は、フローセルを取り囲む内側境界を含む。支持固定具は、境界内にフローセルを収容し、フローセルがその中で横方向および長手方向に移動することを可能にするように操作可能である。
【0168】
前述の概念、および本明細書でより詳細に議論される追加の概念のすべての組合せ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)が、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の末尾に現れる請求される主題の全ての組み合せは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であることが考えられる。
【0169】
前述の開示は、特定の例を参照して説明されているが、記載される発明概念の精神および範囲内で、多数の変更がなされ得ることを理解されたい。したがって、本開示は、記載される例に限定されず、以下の特許請求の範囲の文言によって定義される全範囲を有することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C