(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2020057771
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 良尚
(72)【発明者】
【氏名】早川 敬一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉村 貴克
(72)【発明者】
【氏名】志賀 孝広
(72)【発明者】
【氏名】大社 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】西 智樹
(72)【発明者】
【氏名】大滝 啓介
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G06Q 10/00-10/30、30/00-30/08、
50/00-50/20、50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備える情報処理装置であって、
前記記憶部は、
所定の施設からの移動先として選択され得る場所である移動先候補に関する情報を含む、移動先候補データと、
前記移動先候補データに含まれる移動先候補と、前記所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向と、が関連付けられたユーザモデルであって、前記所定の施設に滞在しているユーザが選択し易い移動先の属性である選択属性が入力された場合に、該選択属性を持つユーザが移動先として選択する尤度を前記移動先候補毎に出力し、前記選択属性と、前記尤度と、を前記移動先候補別に関連付けたユーザモデルと、
を記憶し、
前記制御部は、
前記選択属性に関する情報と、前記所定の施設に滞在しているユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯の平均値、又は、前記所定の施設に滞在しているユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯のうちで最も多い時間帯である移動開始時間帯に関する情報と、を含む第1情報を取得することと、
前記第1情報に基づいて、前記所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報である第2情報を予測することと、
前記第2情報を予測する際に、
前記所定の施設に滞在している各ユーザについて、前記各ユーザの選択属性と前記ユーザモデルとに基づいて、前記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から移動する際の移動先である移動予定先として予測することと、
前記各ユーザについて、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から前記移動予定先への移動を開始する時間帯である移動予定時間帯を予測することと、
前記所定の施設から前記移動予定先へ移動予定のユーザ数を、前記移動予定時間帯別に演算することと、
を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の施設からの距離が小さい移動先候補の尤度は、前記所定の施設からの距離が大きい移動先候補の尤度よりも大きくなるように、前記ユーザモデルが構築される、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設の滞在期間中に既に訪れた移動先候補に関する情報である移動履歴情報を更に記憶し、
前記制御部は、前記移動履歴情報に含まれる移動先候補を除く前記移動先候補のうち、前記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、前記所定の施設に滞在しているユーザの移動予定先として予測する、
請求項
1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の施設における滞在を終了するユーザに関する情報を取得した場合に、交通機関の乗り場のうち、前記所定の施設から最寄りの乗り場を、当該ユーザの移動予定先として予測する、
請求項
1から
3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2情報に基づいて、前記所定の施設に配車すべきタクシーの台数を決定することを、更に実行する、
請求項1から
4の何れか
1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
所定の施設からの移動先として選択され得る場所である移動先候補に関する情報を含む、移動先候補データと、
前記移動先候補データに含まれる移動先候補と、前記所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向と、が関連付けられたユーザモデルであって、前記所定の施設に滞在しているユーザが選択し易い移動先の属性である選択属性が入力された場合に、該選択属性を持つユーザが移動先として選択する尤度を前記移動先候補毎に出力し、前記選択属性と、前記尤度と、を前記移動先候補別に関連付けたユーザモデルと、
を記憶する記憶部を備え、
前記コンピュータは、
前記選択属性に関する情報と、前記所定の施設に滞在しているユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯の平均値、又は、前記所定の施設に滞在しているユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯のうちで最も多い時間帯である移動開始時間帯に関する情報と、を含む第1情報を取得するステップと、
前記第1情報に基づいて、前記所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報である第2情報を予測するステップと、
を実行し、
前記第2情報を予測するステップは、前記コンピュータが、
前記所定の施設に滞在している各ユーザについて、前記各ユーザの選択属性と前記ユーザモデルとに基づいて、前記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から移動する際の移動先である移動予定先として予測する第1ステップと、
前記各ユーザについて、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から前記移動予定先への移動を開始する時間帯である移動予定時間帯を予測する第2ステップと、
前記所定の施設から前記移動予定先へ移動予定のユーザ数を、前記移動予定時間帯別に演算する第3ステップと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項7】
前記記憶部は、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設の滞在期間中に既に訪れた移動先候補に関する情報である移動履歴情報を更に記憶し、
前記第1ステップでは、前記移動履歴情報に含まれる移動先候補を除く前記移動先候補うち、前記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補が、前記所定の施設に滞在しているユーザの移動予定先として予測される、
請求項
6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記所定の施設における滞在を終了するユーザに関する情報を前記コンピュータが取得した場合に、前記第1ステップでは、交通機関の乗り場のうち、前記所定の施設から最寄りの乗り場が、当該ユーザの移動予定先として予測される、
請求項
6又は7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第2情報に基づいて、前記所定の施設に配車すべきタクシーの台数を決定するステップを、コンピュータが更に実行する、
請求項
6から
8の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報を予測するための情報処理装置と、
前記所定の施設に設置され、タクシーの配車を行うための施設端末と、
を備え、
前記情報処理装置は、
記憶部と制御部とを備え、
前記記憶部は、
前記所定の施設からの移動先として選択され得る場所である移動先候補に関する情報を含む、移動先候補データと、
前記移動先候補データに含まれる移動先候補と、前記所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向と、が関連付けられたユーザモデルであって、前記所定の施設に滞在しているユーザが選択し易い移動先の属性である選択属性が入力された場合に、該選択属性を持つユーザが移動先として選択する尤度を前記移動先候補毎に出力し、前記選択属性と、前記尤度と、を前記移動先候補別に関連付けたユーザモデルと、
を記憶し、
前記制御部は、
前記選択属性に関する情報と、前記所定の施設に滞在しているユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯の平均値、又は、前記所定の施設に滞在しているユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯のうちで最も多い時間帯である移動開始時間帯に関する情報と、を含む第1情報を取得することと、
前記第1情報に基づいて、前記所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報である第2情報を予測することと、
前記第2情報を予測する際に、
前記所定の施設に滞在している各ユーザについて、前記各ユーザの選択属性と前記ユーザモデルとに基づいて、前記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から移動する際の移動先である移動予定先
として予測することと、
前記各ユーザについて、前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から前記移動予定先への移動を開始する時間帯である移動予定時間帯を予測することと、
前記所定の施設から前記移動予定先へ移動予定のユーザ数を、
前記移動予定時間帯別に演算することと、
前記演算の結果を、前記施設端末へ送信することと、
を実行し、
前記施設端末は、
前記演算の結果に基づいて、タクシーの配車を行うこと、
を実行する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
天候又は時期等に起因する所定の地域の人口変動を考慮して、当該地域のタクシー需要(乗客数)を予測する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、ユーザの移動需要を正確に予測することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、情報処理装置として捉えることができる。その場合の情報処理装置は、例えば、
所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向に関する情報である第1情報を取得することと、
前記第1情報に基づいて、前記所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報である第2情報を予測することと、
を実行する制御部を備えるようにしてもよい。
【0006】
本開示は、情報処理方法として捉えることができる。その場合の情報処理方法は、例えば、
所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向に関する情報である第1情報を取得するステップと、
前記第1情報に基づいて、前記所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報である第2情報を予測するステップと、
をコンピュータが実行するようにしてもよい。
【0007】
本開示は、所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報を予測するための情報処理装置と、前記所定の施設に設置され、タクシーの配車を行うための施設端末と、を備える情報処理システムとして捉えることもできる。
その場合、情報処理装置は、
前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から移動する際の移動先である移動予定先を予測することと、
前記所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から前記移動予定先への移動を開始する時間帯である移動予定時間帯を予測することと、
前記所定の施設から前記移動予定先へ移動予定のユーザ数を、移動予定時間帯別に演算することと、
前記演算の結果を、前記施設端末へ送信することと、
を実行するようにしてもよい。
そして、施設端末は、前記演算の結果に基づいて、タクシーの配車を行うこと、を実行するようにしてもよい。
【0008】
また、本開示は、上記した情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム、又は該情報処理プログラムを格納する非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの移動需要を正確に予測することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】サーバ装置の構成の一例を概略的に示したブロック図である。
【
図3】候補データ記憶部に記憶されるデータのテーブル構成例を示す図である。
【
図4】ユーザデータ記憶部に記憶されるデータのテーブル構成例を示す図である。
【
図5】実施形態におけるユーザモデルの一例を説明するための図である。
【
図6】サーバ装置で実行される処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、タクシー又はバス等のように、オンデマンドでの旅客輸送を目的とする車両(以下、「タクシー」と総称する場合もある。)の配車を行うサービスにおいて、所定の施設からの移動需要を、より正確に予測することを特徴とする。
【0012】
配車サービスを提供するシステム(以下、「配車システム」と記す場合もある。)では、観光地等に位置するホテル等の滞在施設(所定の施設)からの移動需要に応じた台数又はタイプのタクシーを、所定の施設に配車することが望まれる。
【0013】
これに対し、本開示に係る情報処理装置では、制御部が、所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向に関する情報(第1情報)を取得する。ここでいう「第1情報」は、例えば、ユーザが選択し易い移動先の属性(選択属性)に関する情報と、ユーザが移動先への移動を開始し易い時間帯(移動開始時間帯)に関する情報と、を含んでもよい。選択属性は、ユーザが過去に移動先として実際に選択した移動先(ユーザが過去に実際に訪れた移動先)の属性に基づいて決定される。その際、例えば、ユーザが過去に実際に訪れた移動先の訪問回数を属性別に集計し、訪問回数が最も多い属性を選択属性に決定してもよい。なお、ユーザが過去に実際に訪れた移動先は、ユーザが所定の施設を拠点として訪れた移動先(所定の施設の滞在期間中にユーザが訪れた移動先)に限定されない。つまり、ユーザが過去に実際に訪れた移動先は、ユーザが所定の施設以外の場所(例えば、他の滞在用施設、又は自宅等)を拠点として訪れた移動先も含む。また、移動開始時間帯は、ユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯に基づいて決定される。その際、例えば、ユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯の平均値、又はそれらの時間帯のうちで最も多い時間帯等を移動開始時間帯に決定してもよい。制御部は、上記したような第1情報に基づいて、所定の施設から移動予定のユーザ数に関する情報である第2情報を予測する。これにより、所定の施設から移動予定のユーザ数を、正確に予測することができる。その結果、所定の施設へ配車すべきタクシーの台数又はタイプ(例えば、乗車人数のタイプ、福祉車両のタイプ等)を予測することも可能になる。
【0014】
上記第2情報を予測するにあたり、制御部は、所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設から移動する際の移動先(移動予定先)、及び所定の施設から移動予定先への移動を開始する時間帯(移動予定時間帯)を予測してもよい。そして、制御部は、所定の施設から移動予定先へ移動予定のユーザ数を、移動予定時間帯別に演算してもよい。これにより、各時間帯に所定の施設から移動予定のユーザ数を、移動予定先別に予測することが
できる。その結果、各時間帯に所定の施設へ配車すべきタクシーの台数又はタイプを、移動予定先別に予測することも可能になる。
【0015】
ここで、情報処理装置は、移動先候補データと、ユーザモデルと、を記憶する記憶部を更に備えるようにしてもよい。そして、制御部が、移動先候補データとユーザモデルとに基づいて、所定の施設に滞在しているユーザの移動予定先を予測してもよい。ここでいう「移動先候補データ」は、所定の施設からの移動先として選択され得る場所(移動先候補)に関する情報を含むデータである。「ユーザモデル」は、移動先候補データに含まれる移動先候補と、所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向と、が関連付けられたモデルである。上記した構成によれば、所定の施設に滞在しているユーザの移動傾向に基づいて、該ユーザの移動予定先を予測することができる。
【0016】
上記ユーザモデルは、例えば、所定の施設に滞在しているユーザの選択属性と、該選択属性を持つユーザが移動先として選択する尤度と、を移動先候補別に関連付けたモデルとして構築されてもよい。その際、ユーザモデルは、所定の施設に滞在しているユーザの選択属性を入力した場合に、移動先候補毎の尤度を出力するように構築されてもよい。これにより、特定の選択属性を持つ場所を移動先に選択し易いユーザの尤度を、移動先候補別に求めることができる。その際、尤度が最も高い移動先候補は、特定の選択属性を持つユーザによって選択される見込み度合いが最も大きいと推定される。よって、制御部は、ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、所定の施設に滞在しているユーザの移動予定先として予測してもよい。これにより、所定の施設に滞在しているユーザの移動先を、より正確に予測することができる。
【0017】
なお、上記したユーザモデルは、所定の施設からの距離が小さい移動先候補の尤度が、所定の施設からの距離が大きい移動先候補の尤度よりも大きくなるように、構築されてもよい。これは、ホテル等の施設に滞在しているユーザは、該施設からの距離が大きい場所よりも、該施設からの距離が小さい場所を移動先に選択し易いためである。
【0018】
また、上記記憶部は、所定の施設に滞在しているユーザが該所定の施設の滞在期間中に既に訪れた移動先候補(以下、「訪問済み候補」と記す場合もある。)に関する情報(移動履歴情報)を更に記憶するようにしてもよい。そして、制御部は、移動履歴情報に含まれる訪問済み候補を除いた移動先候補のうち、ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、所定の施設に滞在しているユーザの移動予定先として予測してもよい。これは、複数箇所の移動先候補がある施設においては、該施設の滞在期間中に同じ移動先候補へ何度もユーザが訪れる可能性は低いと推定されるためである。
【0019】
また、制御部は、所定の施設における滞在を終了するユーザに関する情報を取得した場合に、交通機関の乗り場のうち、所定の施設から最寄りの乗り場を、当該ユーザの移動予定先として予測してもよい。これにより、所定の施設における滞在を終了するユーザの移動先を、正確に予測することが可能になる。
【0020】
ここで、情報処理装置の制御部は、第2情報に基づいて、所定の施設に配車すべきタクシーの台数を決定してもよい。これにより、所定の施設から移動予定のユーザ数に見合った台数のタクシーを配車することができる。なお、所定の施設から移動予定のユーザ数が移動予定時間帯別に演算される構成においては、制御部は、所定の施設に配車すべきタクシーの台数を、移動予定時間帯別に決定してもよい。これにより、所定の施設から移動予定のユーザ数に見合った台数のタクシーを、時間帯別に配車することができる。
【0021】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは開示
の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
<実施形態>
本実施形態では、本開示を配車システムに適用する例について述べる。
【0023】
(配車システムの概要)
図1は、ホテル等の滞在施設(所定の施設)へタクシーを配車する配車システムの一構成例を示す図である。
図1に示す例では、配車システムは、複数のタクシー10と、サーバ装置200と、を含んで構成される。
【0024】
タクシー10は、旅客輸送を行うための車両である。本例におけるタクシー10には、乗車可能な人数、又は福祉車両としての設備の有無等に応じた様々なタイプの車両が含まれるものとする。
【0025】
サーバ装置200は、本開示に係る「情報処理装置」に相当する。サーバ装置200は、事前に生成されたユーザモデルと、移動先候補データと、に基づいて、所定の施設から移動するユーザ数を予測する。また、本例におけるサーバ装置200は、予測されたユーザ数に基づいて、当該所定の施設にタクシー10を配車する機能も有する。
【0026】
(サーバ装置の構成)
図2は、サーバ装置200の構成の一例を概略的に示したブロック図である。サーバ装置200は、記憶部201、制御部202、及び通信部203を含んで構成される。なお、サーバ装置200は、プロセッサ及びメモリを有する一般的なコンピュータによって構成される。
【0027】
記憶部201は、所定の施設から移動するユーザ数を予測するために必要なデータを記憶する装置である。記憶部201は、例えば、ROM、RAM、又は非一時的記憶媒体(例えば、磁気ディスク、又はフラッシュメモリ等)を含んで構成される。記憶部201は、移動先候補に関するデータを記憶する候補データ記憶部201Aと、ユーザの移動傾向に関するデータを記憶するユーザデータ記憶部201Bと、を含む。なお、記憶部201には、後述の制御部202によって実行されるプログラム(例えば、オペレーティングシステム、又はユーザモデル等)、及び該プログラムが利用するデータ等も記憶される。
【0028】
候補データ記憶部201Aは、所定の施設からの移動先として選択され得る場所(移動先候補)に関するデータ(移動先候補データ)を記憶するデータベースである。ここでいう「移動先候補」は、例えば、所定の施設の周辺に存在する観光名所等である。斯様な候補データ記憶部201Aは、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(Database Management System :DBMS)のプログラムが、メモリに記憶されるデータを管理することで構築される。本例における候補データ記憶部201Aは、例えば、リレーショナルデータベースである。なお、候補データ記憶部201Aに記憶されるデータは、サーバ装置200から独立した外部の装置で生成され、ネットワーク又は記憶媒体経由で取得されてもよい。ここでいう外部の装置は、例えば、所定の施設を管理するためのサーバ装置、又は所定の施設が位置する地域全体の観光を管理するサーバ装置等である。
【0029】
ここで、候補データ記憶部201Aに記憶される移動先候補データの例を
図3に示す。
図3は、候補データ記憶部201Aに記憶されるデータのテーブル構成を示す図である。候補データ記憶部201Aでは、移動先候補と属性との紐付けが行われている。なお、候補データ記憶部201Aに記憶されるテーブル(以下、「移動先候補情報テーブル」と記す場合もある。)の構成は、
図3に示す例に限定されず、適宜フィールドの追加、変更、又は削除を行うことが可能である。
【0030】
図3に示す移動先候補情報テーブルは、移動先候補と属性との各フィールドを有する。移動先候補フィールドには、各移動先候補を識別するための情報(例えば、移動先候補の名称、又は移動先候補の識別番号等)が登録される。属性フィールドには、各移動先候補の属性を示す情報が登録される。例えば、移動先候補が有形文化財、無形文化財、民族文化財、又は記念物等の文化遺産を鑑賞するための場所である場合は、属性フィールドに「文化遺産」と登録される。移動先候補が神社仏閣又は城跡等の歴史遺産を鑑賞するための場所である場合は、属性フィールドに「歴史遺産」と登録される。移動先候補がショッピングモール等のようにショッピングを楽しむ場所である場合は、属性フィールドに「ショッピング」と登録される。移動先候補がアウトドア体験又は文化体験等のアクティビティを楽しむための場所である場合は、属性フィールドに「アクティビティ」と登録される。移動先候補が自然景観を鑑賞するための場所である場合は、属性フィールドに「景勝地」と登録される。移動先候補が飲食を楽しむための場所である場合は、属性フィールドに「グルメ」と登録される。
【0031】
ユーザデータ記憶部201Bは、所定の施設に滞在しているユーザ(以下、「滞在ユーザ」と記す場合もある。)の移動傾向に関する情報(以下、「移動傾向データ」と記す場合もある。)を記憶するデータベースである。斯様なユーザデータ記憶部201Bは、プロセッサによって実行されるDBMSのプログラムが、メモリに記憶されるデータを管理することで構築される。本例におけるユーザデータ記憶部201Bは、例えば、リレーショナルデータベースである。なお、ユーザデータ記憶部201Bに記憶されるデータは、サーバ装置200から独立した外部装置(例えば、国内に存在するユーザの移動傾向を管理するサーバ装置等)で生成され、ネットワーク又は記憶媒体経由で取得されてもよい。
【0032】
ここで、ユーザデータ記憶部201Bに記憶される移動傾向データの例を
図4に示す。
図4は、ユーザデータ記憶部201Bに記憶されるデータのテーブル構成を示す図である。ユーザデータ記憶部201B部では、滞在ユーザと移動傾向との紐付けが行われている。なお、ユーザデータ記憶部201Bに記憶されるテーブル(以下、「移動傾向情報テーブル」と記す場合もある。)の構成は、
図4に示す例に限定されず、適宜フィールドの追加、変更、又は削除を行うことが可能である。
【0033】
図4に示す移動傾向情報テーブルは、ユーザIDと選択属性と時間帯と移動履歴との各フィールドを有する。ユーザIDフィールドには、滞在ユーザを識別するための情報(ユーザID)が登録される。本例におけるユーザIDは、匿名性を担保しつつ、所定の施設に滞在している他のユーザと区別するための情報である。つまり、ここでいうユーザIDは、特定の個人を特定可能な情報(例えば、氏名、住所、生年月日、生体情報等)を含まないものとする。
【0034】
選択属性フィールドには、滞在ユーザが移動先として選択し易い場所の属性(選択属性)に関する情報が登録される。例えば、自然景観を鑑賞するための場所を移動先に選択し易い傾向を持つ滞在ユーザについては、選択属性フィールドに「景勝地」と登録される。歴史遺産を鑑賞するための場所を移動先に選択し易い傾向を持つ滞在ユーザについては、選択属性フィールドに「歴史遺産」と登録される。文化遺産を鑑賞するための場所を移動先に選択し易い傾向を持つ滞在ユーザについては、選択属性フィールドに「文化遺産」と登録される。アクティビティを楽しむための場所を移動先に選択し易い傾向を持つ滞在ユーザについては、選択属性フィールドに「アクティビティ」と登録される。ショッピングを楽しむための場所を移動先に選択し易い傾向を持つ滞在ユーザについては、選択属性フィールドに「ショッピング」と登録される。飲食を楽しむための場所を移動先に選択し易い傾向を持つ滞在ユーザについては、選択属性フィールドに「グルメ」と登録される。
【0035】
ここで、選択属性フィールドに登録される情報は、滞在ユーザの移動実績に基づいて決定される。例えば、滞在ユーザが過去に実際に訪れた移動先の訪問回数を属性別に集計し、その集計結果が最も多い属性を選択属性フィールドに登録してもよい。斯様な集計の対象となる移動先は、滞在ユーザが所定の場所を拠点にして訪れた移動先(所定の施設の滞在期間中に滞在ユーザが訪れた移動先)に限定されない。つまり、上記した集計の対象となる移動先は、所定の施設以外の場所(例えば、所定の施設以外の滞在用施設、又は自宅等)を拠点にして、滞在ユーザが過去に実際に訪れた移動先も含む。また、滞在ユーザの移動実績は、例えば、ユーザ端末の位置情報に基づいて取得することができる。ユーザ端末は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、又はウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)等のように、ユーザが携帯可能な小型のコンピュータである。斯様なユーザ端末の位置情報としては、例えば、該ユーザ端末のGPS(Global Positioning System)受信機により演算される位置情報を用いることができる。つまり、ユー
ザ端末のGPS受信機によって演算される位置情報を、ネットワークを介して周期的に取得することで、滞在ユーザの移動実績を求めることができる。なお、滞在ユーザの移動実績は、滞在ユーザ以外のユーザも含めた不特定多数のユーザの移動実績を収集するための外部サービスを利用して、取得されてもよい。その際、所定の施設の滞在ユーザを特定する方法としては、例えば、遠方から所定の施設へ移動した移動実績を持つユーザを、滞在ユーザとして特定する方法を用いることができる。別法として、所定の施設のチェックイン手続を行ったユーザを、滞在ユーザとして特定する方法を用いることもできる。
【0036】
時間帯フィールドには、滞在ユーザが移動先への移動を開始し易い時間帯(以下、「移動開始時間帯」と記す場合もある。)に関する情報が登録される。移動開始時間帯は、滞在ユーザの移動実績に基づいて決定される。例えば、各滞在ユーザが過去に移動先への移動を開始した時間帯の平均値、又はそれらの時間帯のうちで最も多い時間帯が、移動開始時間帯に決定される。
【0037】
移動履歴フィールドには、所定の施設からの移動先として選択され得る移動先候補のうち、所定の施設の滞在期間中に滞在ユーザが既に訪れた移動先候補(訪問済み候補)に関する情報(移動履歴情報)が登録される。訪問済み候補は、所定の施設の滞在期間中における滞在ユーザの移動実績に基づいて特定することができる。
【0038】
次に、制御部202は、サーバ装置200が有する機能を司る演算装置である。制御部202は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置を含んで構成される。本例における制御部202は、その機
能モジュールとして、取得部202Aと予測部202Bと配車部202Cとを有する。これらの機能モジュールは、記憶部201に記憶されているプログラムをCPU又はDSPが実行することで実現される。
【0039】
取得部202Aは、滞在ユーザの移動傾向に関する情報(本開示に係る「第1情報」に相当する。)を取得する。具体的には、取得部202Aは、ユーザデータ記憶部201Bの移動傾向情報テーブルへアクセスして、選択属性フィールド、時間帯フィールド、及び移動履歴フィールドに登録されている情報(選択属性、移動開始時間帯、及び訪問済み候補に関する情報)を取得する。取得部202Aにより取得された情報は、予測部202Bに渡される。
【0040】
予測部202Bは、取得部202Aから渡された情報(選択属性、移動開始時間帯、及び訪問済み候補に関する情報)に基づいて、所定の施設から移動予定のユーザ数(以下、「移動予定ユーザ数」と記す場合もある。)を予測する。移動予定ユーザ数は、移動予定先別に予測される。さらに、各移動予定先への移動予定ユーザ数は、移動予定時間帯別に予測される。斯様な予測は、予測対象日の前日に行われる。すなわち、予測部202Bは
、翌日の各移動予定時間帯における移動予定ユーザ数を、移動予定先別に予測する。なお、予測部202Bは、翌日の午前中における移動予定ユーザ数のみを予測し、翌日の午後における移動予定ユーザ数については当日の午前中に予測してもよい。
【0041】
ここで、移動予定ユーザ数を予測するにあたり、予測部202Bは、先ず、滞在ユーザの移動予定先を予測する。移動予定先の予測は、ユーザモデルと、候補データ記憶部201Aに記憶されている移動先候補データと、に基づいて行われる。ユーザモデルは、移動先候補データに含まれる移動先候補と、滞在ユーザの移動傾向と、が関連付けられたモデルであり、前述の記憶部201に格納される。本例では、上記ユーザモデルとして、例えば、
図5に示すように、滞在ユーザの選択属性を入力データとして、移動先候補毎の尤度を出力データとする計算モデルを用いる。その際の計算モデルは、例えば、所定の施設から距離が小さい移動先候補の尤度が、所定の施設からの距離が大きい移動先候補の尤度より大きくなるように構築されてもよい。斯様なユーザモデルは、実績データを教師データとして学習された機械学習モデルである。ここでいう「実績データ」は、例えば、滞在ユーザの選択属性に対して、該ユーザが実際に選択した移動先の属性の選択し易さに関する情報である。上記したような機械学習モデルがユーザモデルとして用いられる場合は、上記したような実績データを用いて、該ユーザモデルの再学習が行われるようにしてもよい。これにより、移動予定先の予測精度を向上させることができる。なお、ユーザモデルは、滞在ユーザの選択属性と、該選択属性を持つ滞在ユーザが移動先として選択する尤度と、を移動先候補別に関連付けたデータベースにより形成されてもよい。
【0042】
予測部202Bは、上記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補を、滞在ユーザの移動予定先として予測する。なお、上記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補が、訪問済み候補である場合も想定される。すなわち、上記ユーザモデルから出力される尤度が最も高い移動先候補が、所定の施設の滞在期間中に滞在ユーザが既に訪れた場所である場合も想定される。斯様な場合、予測部202Bは、上記ユーザモデルから出力される尤度が2番目に高い移動先候補を、滞在ユーザの移動予定先として予測する。また、滞在ユーザが所定の施設における滞在を終了した場合、すなわち、滞在ユーザが所定の施設からチェックアウトした場合は、該滞在ユーザが観光名所等に寄らずに、交通機関の乗り場へ向かう可能性が高い。よって、移動予定ユーザ数の予測対象となる日(翌日)が滞在ユーザのチェックアウト予定日に該当する場合は、予測部202Bは、交通機関の乗り場のうち、所定の施設から最寄りの乗り場を、当該滞在ユーザの移動予定先として予測してもよい。その際、滞在ユーザのチェックアウト予定日に関する情報は、所定の施設から提供されてもよく、又は滞在ユーザのユーザ端末に登録されているスケジュール情報等に基づいて取得されてもよい。
【0043】
滞在ユーザの移動予定先が予測されると、予測部202Bは、滞在ユーザが所定の施設から移動予定先への移動を開始する時間帯(移動予定時間帯)を予測する。斯様な予測は、滞在ユーザの移動開始時間帯と、移動予定先へ入場可能な時間帯(拝観時間帯、入園時間帯、開門時間帯、又は営業時間帯等)と、に基づいて行われる。例えば、移動予定先が入場可能時間帯を規定していない場所である場合は、予測部202Bは、滞在ユーザの移動開始時間帯を、移動予定時間帯として予測する。また、移動予定先が入場可能時間帯を規定している場所である場合は、予測部202Bは、入場可能時間帯内に移動予定先へ到着可能な出発時間帯(所定の施設を出発する時間帯)のうち、滞在ユーザの移動開始時間帯に最も近い出発時間帯を、移動予定時間帯として予測する。例えば、移動予定先の入場可能時間帯が10時から18時であり、且つ該入場可能時間帯に移動予定先に到着可能な出発時間帯が9時から17時である場合に、滞在ユーザの移動開始時間帯が8時から9時であれば、移動予定時間帯が9時から10時までの時間帯であると予測される。なお、移動予定時間帯を予測する方法は、上記した方法に限定されず、過去に所定の施設から移動予定先へ向かって出発したユーザの実績等に基づいて、予測されてもよい。例えば、予測
部202Bは、過去に所定の施設から移動予定先へ向かって出発したユーザ数が最も多かった時間帯を、移動予定時間帯として予測してもよい。
【0044】
所定の施設に滞在中のユーザ全員について、移動予定先、及び移動予定時間帯の予測が完了すると、予測部202Bは、各移動予定時間帯における移動予定ユーザ数を、移動予定先別に集計する。これにより、各移動予定時間帯における移動予定ユーザ数が、移動予定先別に求められる。
【0045】
配車部202Cは、予測部202Bによる予測結果に基づいて、翌日の配車予定(翌日に所定の施設へ配車すべきタクシー10の台数およびまたはタイプ)を決定する。その際、例えば、移動予定ユーザ数の多い移動予定時間帯については、移動予定ユーザ数の少ない予定時間帯に比べ、タクシー10の配車台数が多くされてもよい。また、或る移動予定時間帯において、移動予定ユーザ数が比較的多い移動予定先があれば、当該移動予定時間帯に配車されるタクシー10のうちの少なくとも1台を、乗車可能な人数が多いタイプのタクシー10に決定してもよい。
【0046】
通信部203は、サーバ装置200をネットワークに接続するための装置である。典型的には、通信部203は、LAN(Local Area Network)インターフェースボードを含んで構成される。ネットワークは、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)又はその他の通信網等である。なお、通信部203は、
無線通信を利用してネットワークに接続されてもよい。無線通信は、例えば、5G(5th-generation)又はLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信である。無線通信は、
DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の狭帯域通信、又はWi-Fi(登録商標)等でもよい。サーバ装置200は、通信部203を通じてネットワークに接続することで、外部の装置(例えば、タクシー10に搭載される通信装置、所定の施設に設置される端末、又は前述した種々の外部サービスを提供するための端末等)とデータ通信を行うことができる。
【0047】
(処理の流れ)
ここで、本開示におけるサーバ装置200で行われる処理フローについて、
図6に基づいて説明する。
図6は、翌日に所定の施設へ配車すべきタクシー10の台数およびまたはタイプを決定する際に、サーバ装置200で実行される処理フローを示すフローチャートである。
【0048】
図6では、制御部202の取得部202Aが、滞在ユーザの移動傾向に関する情報を取得する(ステップS101)。具体的には、取得部202Aは、前述したように、ユーザデータ記憶部201Bの移動傾向情報テーブルへアクセスして、選択属性と移動開始時間帯と訪問済み候補との各々に関する情報を取得する。取得部202Aにより取得された情報は、予測部202Bに渡される。
【0049】
予測部202Bは、取得部202Aから渡された情報に基づいて、滞在ユーザの移動予定先を予測する(ステップS102)。具体的には、予測部202Bは、前述したように、滞在ユーザの選択属性を入力データとしてユーザモデルに与えることで、移動先候補毎の尤度を取得する。そして、予測部202Bは、ユーザモデルから出力された尤度が最も高い移動先候補を抽出する。斯様にして抽出された移動先候補が、移動履歴情報の中の訪問済み候補に含まれていなければ、予測部202Bは、該移動先候補を移動予定先として予測する。一方、斯様にして抽出された移動先候補が、移動履歴情報の中の訪問済み候補に含まれていれば、予測部202Bは、ユーザモデルから出力された尤度が2番目に高い移動先候補を、移動予定先として予測する。また、翌日が所定の施設からのチェックアウト予定日に該当する滞在ユーザについては、予測部202Bは、交通機関の乗り場のうち
、所定の施設から最寄りの乗り場を、移動予定先として予測する。
【0050】
また、予測部202Bは、取得部202Aから渡された情報に基づいて、滞在ユーザの移動予定時間帯を予測する(ステップS103)。具体的には、予測部202Bは、前述したように、滞在ユーザの移動開始時間帯と、ステップS102で予測された移動予定先の入場可能時間帯と、に基づいて、移動予定時間帯を予測する。その際、ステップS102で予測された移動予定先が入場可能時間帯を規定していない場所であれば、予測部202Bは、滞在ユーザの移動開始時間帯を、移動予定時間帯として予測する。一方、ステップS102で予測された移動予定先が入場可能時間帯を規定している場所であれば、予測部202Bは、入場可能時間帯内に該移動予定先へ到着可能な出発時間帯のうち、滞在ユーザの移動開始時間帯に最も近い出発時間帯を、移動予定時間帯として予測する。また、翌日が所定の施設からのチェックアウト予定日に該当する滞在ユーザについては、予測部202Bは、所定の施設で規定されているチャックアウト時間の前後を含む時間帯を、当該滞在ユーザの移動予定時間帯として予測する。
【0051】
予測部202Bは、滞在ユーザのうち、移動予定先及び移動予定時間帯の予測が未だ行われていない滞在ユーザ(未処理の滞在ユーザ)が存在するかを判別する(ステップS104)。移動予定先及び移動予定時間帯の予測が行われていない滞在ユーザが存在する場合(ステップS104で肯定判定)、処理フローがステップS101へ戻る。その場合、未処理の滞在ユーザについて、ステップS101からS103の処理が行われる。一方、未処理の滞在ユーザが存在しない場合(ステップS104で否定判定)、処理フローがステップS105へ進む。
【0052】
ステップS105では、予測部202Bが、各移動予定時間帯における移動予定ユーザ数を、移動予定先別に演算する。斯様な演算の結果(予測結果)は、予測部202Bから配車部202Cへ渡される。
【0053】
配車部202Cは、予測部202Bから渡された予測結果に基づいて、翌日の配車予定を決定する(ステップS106)。すなわち、配車部202Cは、上記予測結果に基づいて、翌日に所定の施設へ配車すべきタクシー10の台数およびまたはタイプを決定する。例えば、配車部202Cは、移動予定時間帯毎の移動予定ユーザ数に基づいて、各移動予定時間帯に所定の施設へ配車すべきタクシー10の台数を決定する。その際、或る移動予定時間帯において、移動予定ユーザ数が比較的多い移動予定先があれば、当該移動予定時間帯に配車されるタクシー10のうちの少なくとも1台を、乗車可能な人数が多いタイプのタクシー10に決定する。
【0054】
以上述べた実施形態によれば、滞在ユーザの移動傾向に基づいて、各移動予定時間帯に所定の施設から移動予定のユーザ数を、移動予定先別に予測することができる。すなわち、本実施形態によれば、所定の施設からの移動需要をより正確に予測することができる。これにより、所定の施設からの移動需要に応じた台数およびまたはタイプのタクシー10を、所定の施設に派遣することが可能になる。その結果、移動予定の滞在ユーザがタクシー10を待つ時間を短縮することもできる。また、乗車可能な人数の多いタイプのタクシー10に滞在ユーザを相乗りさせることで、滞在ユーザの一人あたりの運賃を低く抑えることもできる。
【0055】
<変形例>
前述した実施形態では、移動予定ユーザ数の予測処理に加え、タクシー10の配車処理もサーバ装置200で行う例について述べた。これに対し、タクシー10の配車処理は、サーバ装置200から独立した外部の装置で行われてもよい。つまり、前述の配車部202Cにより行われる処理が、外部の装置で行われてもよい。その場合における外部の装置
は、例えば、タクシー10を管理する会社に設置されるサーバ装置、又は所定の施設に設置される配車用の端末(施設端末)等である。その場合、上記したような外部の装置とサーバ装置との組合せが、本開示に係る「情報処理システム」に相当する。
【0056】
<その他>
上記した実施形態及び変形例はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。例えば、上記した実施形態と変形例とは、可能な限り組み合わせて実施することもできる。
【0057】
また、本開示において説明した処理又は手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。さらに、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。若しくは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成で実現するかは柔軟に変更可能である。
【0058】
また、本開示は、上記の各実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラム(情報処理プログラム)をコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよく、又はネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、データ及びプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的な作用によって蓄積する記録媒体であって、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体である。斯様な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、又は光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)等の任意のタイプのディスクである。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、又はSSD(Solid State Drive)等の媒体でもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 タクシー
200 サーバ装置
201 記憶部
201A 候補データ記憶部
201B ユーザデータ記憶部
202 制御部
202A 取得部
202B 予測部
202C 配車部
203 通信部