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特許72950773Dプリント用の非イソシアネートポリウレタンインク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】3Dプリント用の非イソシアネートポリウレタンインク
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20230613BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20230613BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20230613BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230613BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230613BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/264
B29C64/295
B33Y10/00
B33Y70/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166780
(22)【出願日】2020-10-01
(62)【分割の表示】P 2018543593の分割
【原出願日】2017-03-08
(65)【公開番号】P2021003897
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-10-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】62/305,051
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ボー ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー バニング
(72)【発明者】
【氏名】ピンヨン シュィ
【合議体】
【審判長】杉山 輝和
【審判官】井口 猶二
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182427(JP,A)
【文献】特開2000-239309(JP,A)
【文献】特開平10-251405(JP,A)
【文献】特開2012-236925(JP,A)
【文献】特開2014-205619(JP,A)
【文献】特表2017-524565(JP,A)
【文献】国際公開第2015/200179(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64
B33F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元プリントシステムで使用するためのインクであって、
環状カーボネートモノマー;
2つ以上のアミン部分を含むアミンモノマー;および
(メタ)アクリレートを含むエチレン性不飽和モノマー
を含む、インク。
【請求項2】
前記環状カーボネートモノマーが複数の環状カーボネート部分を含む、請求項1に記載のインク。
【請求項3】
前記アミンモノマーは、2つより多くのアミン部分を含む請求項1または2に記載のインク。
【請求項4】
三次元物品をプリントする方法であって、
流体状態のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程であって、前記インクは請求項1~3のいずれか一項に記載のインクを含む、工程;
UV光で(メタ)アクリレートを硬化させる工程;及び
環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを熱硬化させる工程;
を含む、方法。
【請求項5】
三次元物品をプリントする方法であって、
流体状態のインクを容器内に保持する工程;
前記容器内のインクにエネルギーを選択的に印加し、前記インクの第1の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、物品の第1の断面を画成する第1の固化層を形成する工程;
前記第1の固化層を上昇又は降下させて、容器内の流体インクの表面にインクの第2流体層を提供する工程;及び
前記容器内のインクにエネルギーを選択的に印加し、前記インクの第2の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、物品の第2の断面を画成する第2の固化層を形成する工程であって、前記第1の断面と第2の断面とがz方向に互いに結合される工程;
を含み、
前記インクが、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクを含み、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加する工程が、UV放射にインクを選択的に曝すことを含み、それによって、前記インクの(メタ)アクリレートを少なくとも部分的に硬化させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、参照することによってその全体が本願に援用される、2016年3月8日出願の米国仮特許出願第62/305,051号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本出願はインクに関するものであり、より詳細には、三次元(3D)プリントシステムで使用するためのインクに関する。
【背景技術】
【0003】
サウスカロライナ州ロックヒル所在の3D Systems社製のProject(商標)3Dプリンタなどのいくつかの市販の3Dプリンタは、液体としてプリントヘッドを通して噴射されるインク(造形材料としても知られている)を使用して、様々な3D物体、物品又は部品を形成する。他の3Dプリントシステムも、プリントヘッドを通して噴射されるか或いは基体上に分配されるインクを使用する。一部の例では、インクは周囲温度で固体であり、高温の噴射温度で液体に変化する。他の例では、インクは周囲温度で液体である。さらに、一部の例では、インクを基体上に分配及び/又は堆積させた後にインクを硬化させることができる。
【0004】
他の3Dプリンタは、流体インク又は造形材料、或いは粉末インク又は造形材料のリザーバ、バット又は容器から3D物品を形成する。一部の例では、結合剤材料、或いはレーザ、デジタルライトプロセシング(digital light processing)(DLP)、又は他のエネルギー源を使用して、段階的又は層ごとの様式で、インク又は造形材料の層を選択的に固化又は固結させて3D物品を提供する。
【0005】
上記の様式などで、3Dプリントシステム用インクを使用して、様々な用途のための様々な物品を形成することができる。しかしながら、3Dプリントシステム用の一部のインクは、主要な硬化性材料として(メタ)アクリレートを含む。そのようなインクは、高いプリント解像度をもたらしうるが、プリントされた3D物品が限られた強靭性を有するものとなりうる。他のインクは、高解像度と高靱性の両方をもたらしうるが、1つ以上の毒性又は非生体適合性材料の存在に悩まされうる。従って、例えば、プリントされた3D物品の高いプリント解像度、高靱性、低減された毒性、及び低減された皮膚感作性又は刺激性などの所望の特性の組合せを提供できるインクを含む、改善された3Dプリント用インクに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、一部の実施形態では従来のインクを超える1つ以上の利点をもたらしうる、3Dプリンタと共に使用するためのインクを本明細書に記載する。一部の実施形態では、例えば、本明細書に記載のインクは、高いプリント解像度、高靱性、低減された毒性、及び低減された皮膚感作性又は刺激性を有する、プリント3D物品を提供することができる。毒性の低減、及び皮膚感作性又は刺激性の低減は、少なくとも部分的に、イソシアネート及び/又はイソシアネート分解又は反応生成物の排除によって達成することができる。
【0007】
一部の実施形態では、本明細書に記載の3Dプリントシステムで使用するためのインクは、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを含む。そのようなインクは、プリント前に環状カーボネートとアミンモノマーとの間の実質的な反応が生じるには十分でない条件(例えば、時間及び温度条件)下で環状カーボネートとアミンモノマーとが混合される、例えば接触ステレオリソグラフィ(cSLA)プリントシステム又は他のステレオリソグラフィ(SLA)プリントシステムなどの3Dプリントシステム用に特に有用となりうる。
【0008】
或いは、下記でさらに説明するように、第1のインクが環状カーボネートモノマーを含み、第2のインクがアミンモノマーを含む、複数のインクを用いて3Dプリントを実施してもよい。そのようなデュアルインクシステムは、プリント前に環状カーボネートモノマーをアミンモノマーと混合しないことが望ましい、例えばマルチジェットモデリング(MJM)システムなどの3Dプリントシステム用に特に有用となりうる。
【0009】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクの環状カーボネートモノマーは、そのモノマーの環状カーボネート部分以外の1つ以上の追加の硬化性部分をさらに含む。例えば、一部の例では、環状カーボネートモノマーは、1つ以上の(メタ)アクリレート部分などの、1つ以上のエチレン性不飽和部分を含む。一部のそのようなモノマーは、新規な化学種を含んでいてよい。従って、別の態様では、新規な二重官能性重合性種を本明細書に記載する。さらに別の態様では、接着剤及び/又はコーティング用途のためのそのような化学種の使用も本明細書に記載する。
【0010】
さらには、一部の例では、本明細書に記載のインクは、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマー以外の1つ以上の硬化性材料又はモノマーをさらに含む。例えば、一部の実施形態では、インクは、(メタ)アクリレートモノマーなどのエチレン性不飽和モノマーをさらに含む。一部の例では、本明細書に記載のエチレン性不飽和モノマーは、インクの環状カーボネート及びアミンモノマーとは別に重合されうる。例えば、インクの環状カーボネートとアミンモノマーとが互いに反応して第1のポリマー網目構造(polymer network)を形成してよく、さらにインクの(メタ)アクリレートモノマー(又は他の追加の硬化性材料)が互いに反応して第2のポリマー網目構造を形成してよい。そのような場合、第1及び第2のポリマー網目構造は、別個の又は異なるポリマー網目構造であってよい。さらに、一部の実施形態では、第1及び第2のポリマー網目構造は、一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成してもよい。さらには、第1及び第2のポリマー網目構造は、異なる重合プロセスによって形成されてもよい。
【0011】
上述したように、環状カーボネート及びアミンからポリマー又はオリゴマーを形成することができる単一のインクを用いて、或いは、組み合わせた場合に、環状カーボネート及びアミンからポリマー又はオリゴマーを形成することができる異なるインクの組合せを用いて、本開示に従い3Dプリントを行ってよい。従って、別の態様では、3Dプリントシステムで使用するためのキットを本明細書に記載する。一部の実施形態では、そのようなキットは、環状カーボネートモノマーを含む第1のインクと、アミンモノマーを含む第2のインクとを含む。さらには、一部のそのような例において、第1のインクは、(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和モノマーをさらに含む。
【0012】
本明細書に記載のインクは、「単独の」インクであるか、或いはキットの一部としてのインクであるかに関わらず、上述した硬化性材料に加えて、1つ以上の追加成分をさらに含んでいてよいことを理解されたい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、着色剤、禁止剤、安定剤、光開始剤、及び光増感剤からなる群より選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0013】
別の態様では、3Dプリント用組成物の使用を本明細書に記載し、該組成物は、上述したインク又はキットを含む。例えば、一部の例では、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを含有するインクを含む3Dプリント用組成物の使用を本明細書に記載する。
【0014】
さらに別の態様では、3Dプリントシステムを本明細書に記載する。そのような3Dプリントシステムは、上述したインク又はキットを含む組成物などの、上述した3Dプリント用組成物を含んでいてよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の3Dプリントシステムは、少なくとも1つのインクディスペンサ又はインクリザーバを備えた3Dプリンタと、そのインクディスペンサ又はインクリザーバ内に配置された本明細書に記載の組成物とを含む。組成物は、3Dプリントで使用するための本明細書に記載の任意のインクを含んでいてよい。例えば、一部の例では、本明細書に記載の3Dプリントシステムは、インクディスペンサ及びインクリザーバの内の少なくとも1つを備えた3Dプリンタと、そのインクディスペンサ、インクリザーバ、又はその両方内に配置されたインクとを含み、インクは、環状カーボネートモノマーを含む。さらに、一部の例では、そのような3Dプリンタは、第2のインクディスペンサ又はリザーバと、その第2のインクディスペンサ又はリザーバ内に配置された第2のインクとをさらに備え、第2のインクはアミンモノマーを含む。
【0015】
別の態様では、3D物品をプリントする方法を本明細書に記載しており、その方法は、本明細書に記載の1つ以上のインクを用いて実施される。一部の例では、そのような方法は、流体状態のインクの層を基体上に選択的に噴射又は堆積させる工程を含み、前記インクは、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを含む。さらには、一部の例では、3D物品のコンピュータ可読形式の画像に従って、インクの層を層ごとの様式で堆積させる。さらには、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを熱硬化させる工程をさらに含む。そのような硬化は、プリントプロセス中、或いは、物品の全ての層のプリントが完了した後に行われる硬化工程などの「後処理」工程において、層ごとの様式で行ってよい。さらに、プロセス中のいつ硬化が行われても、そのような硬化は、環状カーボネートモノマーをアミンモノマーと反応させてポリウレタンを形成することを含んでいてよい。さらに、一部の例では、本明細書に記載の方法で使用されるインクは、1つ以上の(メタ)アクリレートを含み、その方法は、紫外線(UV)光又は可視光などの電磁放射線で(メタ)アクリレートを硬化させる工程をさらに含む。そのような硬化工程は、(メタ)アクリレートのエチレン性不飽和部分を重合させてポリ(メタ)アクリレートを形成することを含んでいてよい。さらには、一部の例では、本明細書にさらに記載されるように、ポリ(メタ)アクリレートとポリウレタンとが一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成してもよい。
【0016】
上述したように、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、本明細書に記載の1つのインクではなく、複数のインクを用いて実施してもよい。そのような方法は、一部の例では、流体状態の第1のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程、及び流体状態の第2のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程を含み、前記第1のインク及び第2のインクはそれぞれ、本明細書に記載のキットの第1のインク及び第2のインクを含む。特に、第1のインクは環状カーボネートモノマーを含んでいてよく、また第2のインクはアミンモノマーを含んでいてよい。さらには、一部の実施形態では、第1のインクは1つ以上の(メタ)アクリレートを含み、前記方法は、1つ以上の(メタ)アクリレートを、例えばUV光などで光硬化させる工程をさらに含む。そのような硬化工程は、(メタ)アクリレートのエチレン性不飽和部分を重合させてポリ(メタ)アクリレートを形成することを含んでいてよい。本明細書に記載の方法は、第1のインクの環状カーボネートモノマー、及び第2のインクのアミンモノマーを、例えばそれらのモノマーを熱硬化させるなどにより、硬化させる工程をさらに含んでいてよい。この様式での硬化は、環状カーボネートモノマーをアミンモノマーと反応させてポリウレタンを形成することを含んでいてよい。本明細書にさらに記載されるように、ポリ(メタ)アクリレートとポリウレタンとが一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成してもよい。
【0017】
さらに、他の実施形態において、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、3D物品を表すデジタルデータに従い、本明細書に記載のインクを基体上に噴射する又は堆積させる工程を必ずしも含むわけではない。代わりに、一部の例では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、流体状態のインクを容器内に保持する工程、及び前記容器内のインクにエネルギーを選択的に印加し、インクの第1の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、物品の第1の断面を画成する第1の固化層を形成する工程を含む。インクは、上述した任意のインクを含んでいてよい。さらには、そのような方法は、第1の固化層を上昇又は降下させて、容器内の流体インクの表面にインクの第2流体層を提供する工程、及び、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加し、インクの第2の流体層の少なくとも一部を固化させて、物品の第2の断面を画成する第2の固化層を形成する工程をさらに含んでいてよい。第1の断面と第2の断面は、z方向に互いに結合している。
【0018】
別の態様では、プリントされた3D物品を本明細書に記載する。そのような物品は、本明細書に記載の、1つ以上のインクから及び/又は1つ以上の方法を用いて、形成することができる。
【0019】
以下の詳細な説明において、これらの及び他の実施形態をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本明細書に記載の一部の実施形態によるインクで使用するのに適した環状カーボネートモノマーを形成するための反応スキーム
図2】本明細書に記載の一部の実施形態によるインクで使用するのに適した環状カーボネートモノマーを形成するための反応スキーム
図3】本明細書に記載の一部の実施形態によるインクで使用するのに適した環状カーボネートモノマーを形成するための反応スキーム
図4】本明細書に記載の一部の実施形態によるインクで使用するのに適した環状カーボネートモノマーを形成するための反応スキーム
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明、実施例、及び図面を参照することにより、本明細書に記載の実施形態をより容易に理解することができる。しかし、本明細書に記載の要素、装置、及び方法は、詳細な説明、実施例、及び図面に示された特定の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、多くの変更及び適応が当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0022】
さらに、本明細書に開示の全ての範囲は、その中に含まれる全ての部分範囲を包含すると理解されたい。例えば、記述範囲「1.0~10.0」は、1.0以上の最小値で始まり、10.0以下の最大値で終わる任意の全ての部分範囲、例えば、1.0~5.3、又は4.7~10.0、又は3.6~7.9を含むと解釈されたい。
【0023】
また、本明細書に開示の全ての範囲は、特に明記のない限り、その範囲の端点を含むものと考えるべきである。例えば、「5と10の間」又は「5~10」の範囲は、一般に、端点の5及び10を含むと考えるべきである。
【0024】
さらに、「まで」という句が、量又は数量に関連して使用されている場合、その量は、少なくとも検出可能な量又は数量であると理解すべきである。例えば、特定量「までの」量で存在する材料は、検出可能な量から、特定量を含むその特定量までの量で存在しうる。
【0025】
「三次元プリントシステム」、「三次元プリンタ」、「プリント」などの用語は、広く、ステレオリソグラフィ、選択的堆積、噴射、溶融堆積モデリング、マルチジェットモデリング、並びに三次元物体を製造するために造形材料又はインクを使用する当技術分野で現在知られている又は将来知られるであろう他の付加製造技術により、三次元物品又は物体を作製するための様々な固体自由形状製造技術を記述する。
【0026】
I.3Dプリント用のインク及びキット
1つの態様では、3Dプリンタと共に使用するためのインクを本明細書に記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを含む。さらに、一部の例では、本明細書に記載のインクは、(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和モノマーも含む。さらには、本明細書に記載のインクは、一部の例では、分子染料、粒状無機顔料、又は粒状有機着色剤などの着色剤をさらに含む。本明細書に記載のインクは、禁止剤、安定剤、光開始剤、及び光増感剤からなる群より選択される1つ以上の添加剤もさらに含んでいてよい。
【0027】
次に、インクの特定成分について詳細に検討するとして、本明細書に記載のインクは、環状カーボネートモノマーを含む。本明細書での参照目的のために、「モノマー」は、特に重合反応の一部として、互いに反応して1つ以上の共有結合を形成することができる1つ以上の官能基又は部分を有する化学種であることを理解されたい。本開示の目的に矛盾しない任意の環状カーボネートモノマーを使用することができる。例えば、環状カーボネートモノマーは、2つ、3つ、又は4つの環状カーボネート部分などの、複数の環状カーボネート部分を含んでいてよい。一部の例では、環状カーボネートモノマーは、式(A1)、式(A2)、式(A3)、又は式(A4)の構造を有する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。例えば、一部の例では、式(A2)の構造において、Rは(CHであり、かつR及びRはそれぞれCHである。
【0028】
さらに、一部の例において、環状カーボネートモノマーは、式(A5)の構造を有する:
【化5】
式中、nは1~36の整数である。本明細書に記載のインクの環状カーボネートモノマーは、式(A6)の構造を有していてもよい:
【化6】
【0029】
さらに別の実施形態では、環状カーボネートモノマーは、式(A7)、式(A8)、又は式(A9)の構造を有する:
【化7】
【化8】
【化9】
式中、mは1~36の整数であり、Rは、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。一部の実施形態では、例えば、Rは(CHである。
【0030】
一部の例では、環状カーボネートモノマーは、式(A10)、式(A11)、式(A12)、又は式(A13)の構造を有する:
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
式中、R、R、及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり、Rは、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。一部の実施形態では、例えば、Rは(CH1~10(例えば(CHなど)であり、Rは(CH)又は(CHであり、Rは(CH)又は(CHであり、Rは(CH又は(C)-C(Me)-(C)である。
【0031】
前述したような環状カーボネートモノマーは、市販されているものもあり(例えば式(A2)又は式(A6)の構造を有するモノマーの場合のように、例えば、SPECIFIC POLYMERSから)、或いは、ヒドロキシル部分及び環状カーボネート部分を含む第1の化学種を、1つ以上のイソシアネート部分を含む第2の化学種と反応させることによって得ることもできる。この様式では、例えば上記の式(A7)、式(A8)、及び式(A9)の構造のウレタン結合のような1つ以上のウレタン結合の形成を介して、第1の化学種の1つ以上の環状カーボネート部分を第2の化学種に結合させることができる。また、例えば(A10)、式(A11)、及び式(A12)の構造を有するもののような環状カーボネートモノマーは、米国特許第3,072,613号明細書に記載されているように形成してもよい。例えば、R及びRが両方CHである式(A10)の構造を有する環状カーボネートモノマーは、塩基性触媒の使用を含めて、ジグリセロールと炭酸ジエチルとの反応によって形成することができる。同様に、例えばR及びRが両方CHであり、かつRがビスフェノールアルカン残基(例えば、(C)-C(Me)-(C))である式(A2)の構造を有する環状カーボネートモノマーは、二酸化炭素のジグリシジル化合物への付加反応によって形成することができる。
【0032】
さらに、本明細書に記載の一部の実施形態において、環状カーボネートモノマーは、モノマーの環状カーボネート部分に加えて、1つ以上の他の硬化性又は重合性部分を含んでいてよい。例えば、一部の例では、環状カーボネートモノマーは、1つ以上の(メタ)アクリレート部分などの、1つ以上のエチレン性不飽和部分を含む。一部のそのようなモノマーは、新規な化学種であってよい。従って、別の態様では、新規な二重官能性重合性種を本明細書に記載する。
【0033】
一部の例では、環状カーボネートモノマーは、式(A14)の構造を有する:
【化14】
式中、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、H又はCHである。一部の実施形態では、例えば、RはCHCHであり、RはCHであり、かつRはCHである。式(A14)の構造を有するモノマーは、図1に示すスキームに従い、或いはOchiai et al.、J. Polym. Sci.、Part A: Polym. Chem.、2007、45、5781-5789に記載されているように、調製することができる。
【0034】
他の例において、環状カーボネートモノマーは、式(A15)の構造又は式(A16)の構造を有する:
【化15】
【化16】
式中、Rは、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、H又はCHである。例えば、一部の例では、RはCHCHであり、Rは(CHであり、かつRはCHである。式(A15)の構造を有するモノマーは、図2に示すスキームに従い調製することができる。式(A16)の構造を有するモノマーも、図2に示される特定のシクロヘキサン系ジイソシアネート開始材料を他のC2~C36ジイソシアネート(例えば1,6-ヘキサンジイソシアネートなど)で置き換えてよいことを除いて、図2のスキームに従い調製することができる。
【0035】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載のインクの環状カーボネートモノマーは、式(A17)の構造又は式(A18)の構造を有する:
【化17】
【化18】
式中、mは1~36の整数であり;Rは、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、H又はCHである。例えば、一部の例では、mは6であり、RはCHCHであり、かつRはCHである。式(A17)の構造を有するモノマーは、図3に示すスキームに従い調製することができる。図3に示すように、化学量論的表示nは、(統計的生成物により示されるように)2の値をとる。しかしながら、nは通常、0.5と2との間の任意の値をとりうる。nが0.5の場合、式(A18)の構造を有するモノマーが提供される。
【0036】
さらには、一部の例において、環状カーボネートモノマーは式(A19)の構造を有する:
【化19】
式中、Rは、直鎖若しくは分枝鎖C1~C20の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、H又はCHである。例えば、一部の実施形態では、RはCHであり、RはCHである。そのような種は、SPECIFIC POLYMERS(フランス)から市販されており、また米国特許第7,414,127号明細書の記載に従い調製することができる。
【0037】
他の例では、環状カーボネートモノマーは式(A20)の構造を有する:
【化20】
式中、Rは、直鎖若しくは分枝鎖C1~C20の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、H又はCHであり;Rは、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分、或いは(CHCH(R)O)であり;Rは、H又はCHであり;nは1~100の整数である。例えば、一部の実施形態では、RはCHであり、RはCHであり、かつRはCHCHである。式(A20)の構造を有するモノマーは、米国特許第2,979,514号明細書の記載に従い調製することができる。
【0038】
さらに、一部の例では、環状カーボネートモノマーは式(A21)の構造を有する:
【化21】
式中、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;Rは、H又はCHであり;Rは、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分、或いは(CHCH(R)O)であり;Rは、H又はCHであり;nは1~100の整数である。例えば、一部の実施形態では、RはCHであり、RはCHであり、RはCHCHであり、かつRはCHCHである。式(A21)の構造を有するモノマーは、図4に示すスキームに従い調製することができる。
【0039】
他の環状カーボネートモノマーも本明細書に記載のインクにおいて使用してよい。さらに、本明細書に記載のインクの環状カーボネートモノマー成分は、1つのみの化学種を含んでいても、或いは複数の異なる化学種を含んでいてもよいことを理解されたい。例えば、一部の例では、本明細書に記載のインクの環状カーボネートモノマーは、複数の異なる環状カーボネート種を含む。
【0040】
さらに、環状カーボネートモノマー成分は、合計で、本開示の目的に矛盾しない任意の量でインク中に存在していてよい。例えば、一部の例では、本明細書に記載のインクは、インクの総質量に基づき、70質量%まで、60質量%まで、50質量%まで、40質量%まで、又は30質量%までの環状カーボネートモノマーを含む。一部の例では、インクは、インクの総質量に基づき、10~70質量%、10~60質量%、10~50質量%、10~40質量%、10~30質量%、20~60質量%、20~50質量%、30~70質量%、30~60質量%、30~50質量%、40~70質量%、40~60質量%の環状カーボネートモノマーを含む。
【0041】
本明細書に記載のインクは、アミンモノマーも含む。本開示の目的に矛盾しない任意のアミンモノマーを使用してよい。例えば、一部の例では、アミンモノマーは、複数のアミン部分、例えば、2つのアミン部分又は2つより多く(3つ以上)のアミン部分を含む。一部の例では、アミンモノマーは、式(B1)の構造を有するアミンモノマーなどの、α,ω-ジアミンである:
N-R10-NH (B1)
式中、R10は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。
【0042】
本明細書に記載のアミンモノマーは、少なくとも1つの第二級又は第三級アミン部分を含みうる。他のアミンモノマーも本明細書に記載のインクで使用してよい。さらに、本明細書に記載のインクのアミンモノマー成分は、1つのみの化学種を含んでいても、或いは複数の異なる化学種を含んでいてもよいことを理解されたい。例えば、一部の例では、本明細書に記載のインクのアミンモノマーは、複数の異なるアミン種を含む。
【0043】
さらには、アミンモノマー成分は、合計で、本開示の目的に矛盾しない任意の量でインク中に存在していてよい。例えば、一部の例では、本明細書に記載のインクは、インクの総質量に基づき、70質量%まで、60質量%まで、50質量%まで、40質量%まで、又は30質量%までのアミンモノマーを含む。一部の例では、インクは、インクの総質量に基づき、10~70質量%、10~60質量%、10~50質量%、10~40質量%、10~30質量%、20~60質量%、20~50質量%、30~70質量%、30~60質量%、30~50質量%、40~70質量%、又は40~60質量%のアミンモノマーを含む。
【0044】
本明細書に記載のインクは、一部の例では、上記のモノマーの他に、追加の硬化性材料又はモノマーをさらに含む。特に、そのようなモノマーは、アミンモノマー及び環状カーボネートモノマーとは異なる又はそれらに追加的であってよい。さらに、一部の例では、追加の硬化性モノマーは、インクの環状カーボネート及びアミンモノマーとは別に重合されうる。例えば、一部の例では、インクの環状カーボネート及びアミンモノマーは互いに反応して第1のポリマー網目構造を形成することができ、またインクの追加の硬化性モノマーは互いに反応して第2のポリマー網目構造を形成することができる。そのような場合、第1及び第2のポリマー網目構造は、別個の又は異なるポリマー網目構造であってよい。さらに、一部の実施形態では、第1及び第2のポリマー網目構造は一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成してもよい。さらには、第1及び第2のポリマー網目構造は、異なる重合プロセスによって形成されうる。
【0045】
本明細書での参照目的のために、追加の「硬化性材料」は、1つ以上の硬化性又は重合性部分を有する化学種を含む。本明細書での参照目的のために、「重合性成分」は、3Dプリント物品又は物体を提供するために重合又は硬化可能な部分を含む。そのような重合又は硬化は、本開示の目的に矛盾しない任意の様式で実施することができる。一部の実施形態において、例えば、重合又は硬化は、重合又は架橋反応を開始するのに十分なエネルギーを有する電磁放射線を重合性又は硬化性材料に照射することを含む。例えば、一部の例では、UV放射を利用することができる。従って、一部の例では、重合性部分は、UV重合性部分などの、光重合性又は光硬化性部分を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の硬化性材料は、約300nm~約400nm、又は約320nm~約380nmの範囲にわたる波長で光重合性又は光硬化性である。或いは、他の例では、硬化性材料は、例えば450nm~650nmの範囲にわたる波長のような、電磁スペクトルの可視波長において光重合性である。
【0046】
さらに、重合反応は、一部の例では、エチレン性不飽和点を含む、不飽和点間におけるような、フリーラジカル重合反応を含む。他の重合反応を用いてもよい。当業者に理解されるように、本明細書に記載の硬化性材料を重合又は硬化させるのに使用される重合反応は、互いに反応して1つ以上の共有結合を形成できる1つ以上の官能基又は部分を有する複数の「モノマー」又は化学種の反応を含みうる。
【0047】
本明細書に記載の追加の硬化性材料又はモノマーの硬化性又は重合性部分の1つの非限定的な例は、ビニル部分、アリル部分、又は(メタ)アクリレート部分などのエチレン性不飽和部分であり、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレート、或いはその混合物又は組合せを含む。従って、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクの追加の硬化性モノマーは、(メタ)アクリレートを含む。
【0048】
さらに、本明細書に記載の追加の硬化性材料は、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、又はそれ以上の官能性の硬化性材料であってよい。本明細書での参照目的のために、「単官能性」硬化性材料は、1つの硬化性又は重合性部分を含む化学種を含む。同様に、「二官能性」硬化性材料は、2つの硬化性又は重合性部分を含む化学種を含み;「三官能性」硬化性材料は、3つの硬化性又は重合性部分を含む化学種を含み;「四官能性」硬化性材料は、4つの硬化性又は重合性部分を含む化学種を含み;「五官能性」硬化性材料は、5つの硬化性又は重合性部分を含む化学種を含む。従って、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクの追加の単官能性硬化性材料は、モノ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載のインクの二官能性硬化性材料はジ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載のインクの三官能性硬化性材料はトリ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載のインクの四官能性硬化性材料はテトラ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載のインクの五官能性硬化性材料はペンタ(メタ)アクリレートを含む。他の単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、及び五官能性の硬化性材料も使用することができる。
【0049】
さらに、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、及び五官能性の硬化性材料は、一部の例では、比較的低分子量の種又は比較的高分子量の種を含みうる。例えば、硬化性材料は、「モノマー(単量体)」又は分子種(すなわち、それ自体はポリマー又はオリゴマーではない種、比較的低分子量の種、又は比較的低粘度の種)、或いは、例えば本明細書に記載の1つ以上の不飽和点を介するなどしてさらに重合を受けることができる「オリゴマー」種(すなわち、それ自体ポリマー又はオリゴマーである種、比較的高分子量の種、又は比較的高粘度の種)を含む又はそのいずれかであってよい。従って、一部の例では、硬化性材料中の「モノマー」又は分子種の集団は、(例えば、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートの特定の塊(a specified mass)によって示されうるような)その集団を通して一貫した又は明確に定義された分子構造及び/又は式を有しうる。一方、硬化性材料中の「オリゴマー」種の集団は、(例えば、単一性のない分子量分布を有するウレタンアクリレートの特定の塊によって、又は集団内のエチレングリコール単位の分布及び/又はエトキシ単位の分布を有するエトキシル化ポリエチレングリコールの特定の塊によって、示されうるような)その集団を通して変動する分子構造及び/又は式を有しうる。さらに、「オリゴマー」硬化性材料の質量平均分子量は、一般的に、約400~10,000、約600~10,000、又は約500~7,000の範囲内であってよい。一方、「モノマー」硬化性材料の分子量は、一般的に、600未満、500未満、400未満、300未満、200未満、又は100未満であってよい。さらには、一部の実施形態では、「モノマー」硬化性材料は、ASTM規格D2983に準拠して測定した場合に、25℃で500センチポアズ(cP)以下の粘度を有するが、「オリゴマー」硬化性材料は、ASTM規格D2983に準拠して測定した場合に、25℃で1000cP以上の粘度を有する。
【0050】
一般的に、本開示の目的に矛盾しない任意のモノマー硬化性材料を、インクの追加の硬化性モノマーにおいて使用してよい。一部の例では、追加の硬化性モノマーは、例えば1つ以上の単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、三官能性(メタ)アクリレート、四官能性(メタ)アクリレート及び/又は五官能性(メタ)アクリレートといった、1種又は複数種の(メタ)アクリレートを含む。一部の実施形態では、例えば、モノマー硬化性材料は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-又は3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロへキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート,又はそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、モノマー硬化性材料は、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、及びシクロヘキサンジメタノールジアクリレートの内の1つ以上を含む。さらには、一部の例では、モノマー硬化性材料は、例えば、1,3-又は1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン又はビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はビスフェノールSなどの、脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレートエステルを含む。本明細書に記載の硬化性材料はまた、1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、及び/又はビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレートを含んでいてよい。さらに、一部の例では、硬化性材料は、エトキシル化又はプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化又はプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はエトキシル化又はプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートなどの、エトキシル化又はプロポキシル化種を含んでいてよい。
【0051】
本明細書に記載の一部の実施形態で有用である市販のモノマー硬化性材料の追加の非限定的な例として以下のものが挙げられる:SARTOMER社がSR506という商品名で市販している、イソボルニルアクリレート(IBOA);SARTOMER社がSR423Aという商品名で市販している、イソボルニルメタクリレート;SARTOMER社がSR272という商品名で市販している、トリエチレングリコールジアクリレート;SARTOMER社がSR205という商品名で市販している、トリエチレングリコールジメタクリレート;SARTOMER社がSR833Sという商品名で市販している、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;SARTOMER社がSR368という商品名で市販している、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;SARTOMER社がSR339という商品名で市販している、2-フェノキシエチルアクリレート;SARTOMER社がSR349という商品名で市販している、エトキシル化(3モル)ビスフェノールAジアクリレート;及びSARTOMER社がSR399LVという商品名で市販している、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート。他の市販のモノマー硬化性材料も使用できる。
【0052】
さらに、本開示の目的に矛盾しない任意のオリゴマー硬化性材料も本明細書に記載のインクで使用できる。一部の例では、例えば、追加の硬化性材料は、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、又はエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料は、脂肪族ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー及び/又はアミンアクリレートオリゴマー樹脂(例えば、EBECRYL7100など)を含む。一部の例では、本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料は、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含む。一部の実施形態では、オリゴマー硬化性材料は、単官能性脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含む。らに、一部の例では、オリゴマー硬化性材料は、ポリエチレングリコール、エトキシル化又はプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化又はプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はエトキシル化又はプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートなどの、脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレートエステルを含む。
【0053】
本明細書に記載の一部の実施形態で有用である市販のオリゴマー硬化性材料のいくつかの非限定的な例として、以下のものが挙げられる:SARTOMER社がSR611という商品名で市販している、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート;RAHN USA社がGENOMER1122という商品名で市販している、単官能性ウレタンアクリレート;及びALLNEX社がEBECRYL8402という商品名で市販している、脂肪族ウレタンジアクリレート。他の市販のオリゴマー硬化性材料も使用できる。
【0054】
本明細書に記載のインクで使用するのに適したウレタン(メタ)アクリレートは、一部の例では、典型的には、ヒドロキシル末端化ウレタンをアクリル酸又はメタクリル酸と反応させて対応するウレタン(メタ)アクリレートを得るか、又は、イソシアネート末端化プレポリマーをヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートと反応させてウレタン(メタ)アクリレートを得るなどの、公知の方法で調製することができる。適切なプロセスは、とりわけ、欧州特許出願公開第114982号明細書及び同第133908号明細書に開示されている。そのような(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量は、一部の例では、約400~10,000、又は約500~7,000であってよい。ウレタン(メタ)アクリレートはまた、SARTOMER社からCN980、CN981、CN975及びCN2901という製品名で、或いはBOMAR Specialties社からBR-741という製品名で市販されている。本明細書に記載の一部の実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ASTM D2983と一致する様式で測定した場合に、約50℃で約140,000センチポアズ(cP)~約160,000cP、又は、約50℃で約125,000cP~約175,000cPの範囲の粘度を有する。一部の例では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ASTM D2983と一致する様式で測定した場合に、約50℃で約100,000cP~約200,000cP、又は、約50℃で約10,000cP~約300,000cPの範囲の粘度を有する。
【0055】
オリゴマー硬化性材料及びモノマー硬化性材料の両方が、本明細書に記載のインクの追加のモノマーとして含まれる場合、本明細書に記載のインク中のオリゴマー硬化性材料のモノマー硬化性材料に対する比は、圧電プリントヘッドを使用してインクを分配する3Dプリントシステム、又はステレオリソグラフィ3Dプリントシステムなどの、所望の3Dプリントシステムにおける使用に適した粘度を有するインクを提供するように選択されうると理解されたい。
【0056】
さらには、追加の硬化性材料は、本開示の目的と矛盾しない量で本明細書に記載のインク中に存在しうる。一部の例では、追加の硬化性材料は、合計で、インクの総質量に基づき、約80質量%まで、約70質量%まで、約60質量%まで、又は約50質量%まで、約40質量%まで、約30質量%まで、又は約20質量%までの量で存在する。一部の例では、本明細書に記載のインクは、インクの総質量に基づき、約5~70質量%の追加の硬化性材料を含む。一部の実施形態では、インクは、インクの総質量に基づき、約10~60質量%、10~50質量%、10~60質量%、10~50質量%、10~40質量%、15~70質量%、15~50質量%、15~30質量%、20~70質量%、20~50質量%、20~40質量%、又は30~60質量%の追加の硬化性材料を含む。
【0057】
上述したように、3Dプリントは、環状カーボネート及びアミンからポリマー又はオリゴマーを形成できる単一のインクを用いて、或いは(メタ)アクリレートモノマーなどの追加の硬化性材料から追加のポリマー又はオリゴマーも形成することができる単一のインクを用いて、本開示に従い実施することができる。しかしながら、組み合わせたときに、環状カーボネート及びアミンからポリマー又はオリゴマーを形成することができ、また任意選択で(メタ)アクリレートなどの追加の硬化性材料からもポリマー又はオリゴマーを形成することができる、異なるインクの組合せを用いて3Dプリントを実施することも可能である。従って、別の態様では、3Dプリントシステムで使用するためのキットを本明細書に記載する。一部の実施形態では、そのようなキットは、環状カーボネートモノマーを含む第1のインクと、アミンモノマーを含む第2のインクとを含む。さらには、一部の例では、第1のインク及び/又は第2のインクは、エチレン性不飽和モノマーなどの、(環状カーボネート及びアミンモノマー以外の)追加の硬化性材料をさらに含む。一部の例では、エチレン性不飽和モノマーは(メタ)アクリレートを含む。さらに、後述するように、第1のインク及び/又は第2のインクは光開始剤も含んでいてよい。
【0058】
本明細書に記載のキットの環状カーボネートモノマー、アミンモノマー、エチレン性不飽和モノマー(又は他の追加の硬化性材料)、及び光開始剤は、「単一の」インクに関して本明細書に記載の任意の環状カーボネートモノマー、アミンモノマー、エチレン性不飽和モノマー(又は他の追加の硬化性材料)、及び光開始剤を含みうることを理解されたい。さらには、本明細書に記載のキットの第1又は第2のインクは、複数の環状カーボネート種又はその混合物、複数のアミン種又はその混合物、複数のエチレン性不飽和種(若しくは他の追加の硬化性材料)又はその混合物、及び/又は複数の光開始剤又はその混合物を含みうることも理解されたい。一般的に、本明細書に記載の異なる環状カーボネート種、アミン種、エチレン性不飽和種(又は他の追加の硬化性材料)、及び/又は光開始剤の任意の組合せ又は混合物を、本明細書に記載のキットの第1のインク及び/又は第2のインクで使用してよい。しかしながら、一部の例では、本明細書に記載のインクは、第1級又は第2級アミン種と、(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和種の両方は含まない。
【0059】
さらに、本明細書に記載のキットの複数のインクは、3Dプリントプロセスで同時に又は順次に使用されうる。さらには、キットの少なくとも1つのインクが(メタ)アクリレートなどの追加の硬化性材料を含む場合、キットの複数のインクは一緒に、異なるポリマー網目構造を形成する異なる硬化性材料を提供することができる。一部のそのような例では、キットの異なるインクの異なる硬化性材料及び/又はポリマー網目構造は、3D物品の幾何学的形状内において、時間的に分離された様式及び/又は空間的に分離された様式で硬化されうる。例えば、一部の実施形態では、第1の(及び/又は第2の)インクの硬化性材料を3D物品のプリント中に硬化させて、取扱いする及び/又は所望の特徴解像度(feature resolution)を示すのに十分な生強度(green strength)を有するプリント物品を提供することができ、さらに、第2の硬化性材料の熱硬化のためにその物品をオーブン内に置くなどして、第2の(及び/又は第1の)インクの異なる硬化性材料を、プリント後に硬化させることができる。同様に、他の例では、第1のインクの硬化性材料を、プリントされた3D物品の第1の領域内で硬化又は重合させ、また第2のインクの硬化性材料を、プリントされた3D物品の第2の領域内で硬化又は重合させる。
【0060】
さらには、本明細書の記載のキットの2つのインクは、3Dプリント中に3Dプリントシステムの別個のインクディスペンサ又は「チャンネル」において使用することができ、或いは、後述するように、それら2つのインクを組み合わせて3D物品を形成するための単一組成物を形成してもよい。さらに、3Dプリントシステムの「チャンネル」は、プリントヘッドなどのインクディスペンサから単一材料を堆積させるための機構を称しうることを理解されたい。例えば、プリントヘッドのチャンネルは、プリントヘッドの特定材料の吐出オリフィスを、単独で、或いは、任意の材料コンジット、材料収納区画、及び/又はその特定材料の吐出オリフィスに関連する3Dプリントシステムの他のハードウェア又はソフトウェアと組み合わせて、称しうる。チャンネルはまた、単一の特定材料をプリントする専用のプリントヘッド全体を、単独で、或いは、任意の材料コンジット、材料収納区画、及び/又はその単一の特定材料をそのチャンネルからプリントすることに関連する3Dプリントシステムの他のハードウェア又はソフトウェアと組み合わせて、称しうる。
【0061】
再度、本明細書に記載のインクの特定成分に関して、本明細書に記載のインクは、上記のモノマー及び硬化性材料に加えて、1つ以上の成分をさらに含んでいてよい。例えば、本明細書に記載のインクは、分子染料、粒状無機顔料、又は粒状有機着色剤などの着色剤をさらに含んでいてよい。本明細書に記載のインクはまた、禁止剤及び安定剤からなる群より選択される1つ以上の添加剤も含んでいてよい。さらには、本明細書に記載のインクは、1つ以上の光開始剤及び/又は1つ以上の光増感剤を含んでいてよい。さらに、本明細書に記載のあらゆるインクは、インクが本明細書に記載のキットの一部であるか或いは本明細書に記載のキットの一部でないかに関わらず、そのような追加成分を含んでいてよいことを理解されたい。
【0062】
インクは、本開示の目的に矛盾しない任意の着色剤を含みうる。明細書に記載のインクの着色剤は、粒状顔料などの粒状着色剤、又は分子染料などの分子着色剤であってよい。本開示の目的に矛盾しないいかなるそのような粒状又は分子着色剤を使用してもよい。一部の例では、例えば、インクの着色剤は、TiO及び/又はZnOなどの無機顔料を含む。一部の実施形態では、インクの着色剤は、RGB、sRGB、CMY、CMYK、L*a*b*、又はPantone(登録商標)カラー化スキームに使用するための着色剤を含む。一部の例では、本明細書に記載のインクの1つ以上の着色剤は、白色を呈する。他の例では、着色剤は黒色を呈する。本明細書に記載の一部の実施形態での使用に適した着色剤のいくつかの非限定的な例として、SUN UVDJ107、SUN UVDJ150、SUN UVDJ322、SUN UVDJ350、SUN UVDJ354、RJA D3010-FX-Y150、RJA D3410-FX-Y150、RJA D3410-FX-K、PENN COLOR 9B898、及びPENN COLOR 9B989が挙げられる。さらには、一部の例では、本明細書に記載の粒状着色剤は、約5μm未満、又は約1μm未満の平均粒径を有する。一部の例では、本明細書に記載の粒状着色剤は、約500nm未満の平均粒径、例えば、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、又は約150nm未満の平均粒径を有する。一部の例では、粒状着色剤は、約50~5000nm、約50~1000nm、又は約50~500nmの平均粒径を有する。
【0063】
着色剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で本明細書に記載のインク中に存在しうる。一部の例では、着色剤は、インクの総質量に基づき、約2質量%までの量、或いは、約0.005~2質量%、0.01~2質量%、0.01~1.5質量%、0.01~1質量%、0.01~0.5質量%、0.1~2質量%、0.1~1質量%、0.1~0.5質量%、又は0.5~1.5質量%の量で、インク中に存在する。
【0064】
さらに、本明細書に記載のインクは、一部の実施形態では、1つ以上の重合禁止剤及び/又は安定剤をさらに含む。重合禁止剤は、組成物に付加的な熱的安定性をもたらすためにインクに添加されうる。本開示の目的と矛盾しない任意の重合禁止剤を用いてよい。さらには、重合禁止剤は、重合の速度を遅延又は低下させる、及び/又は、重合禁止剤が消費されるまでのある期間又は「誘導時間」の間、重合が生じるのを防ぐことができる。さらには、一部の例では、本明細書に記載の重合禁止剤は、「付加型」の禁止剤である。本明細書に記載の禁止剤はまた、「連鎖移動型」の禁止剤であってもよい。一部の例では、適切な重合禁止剤はメトキシヒドロキノン(MEHQ)を含む。
【0065】
安定剤は、一部の実施形態では、1つ以上の酸化防止剤を含む。安定剤は、本発明の目的に矛盾しない任意の酸化防止剤を含んでいてよい。一部の例では、適切な酸化防止剤として、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などの様々なアリール化合物が挙げられ、それらは、本明細書に記載の一部の実施形態において重合禁止剤としても使用できる。より一般的には、単一種が安定剤と重合禁止剤の両方の役割を果たしうる。一部の例では、複数の禁止剤及び/又は安定剤を使用することも可能であり、その際、異なる禁止剤及び/又は安定剤が、異なる効果をもたらす及び/又は相乗的に機能する。
【0066】
重合禁止剤及び/又は安定剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量でインク中に存在しうる。一部の実施形態では、重合禁止剤は、約0.01質量%~約2質量%、又は約0.05質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。同様に、一部の例では、安定剤は、インクの総質量に基づき、約0.1質量%~約5質量%、約0.5質量%~約4質量%、又は約1質量%~約3質量%の量でインク中に存在する。
【0067】
本明細書に記載のインクは、1つ以上の光開始剤も含みうる。本開示の目的と矛盾しない任意の光開始剤を用いてよい。一部の例では、光開始剤は、フリーラジカルを生成するために、約250nmと約400nmの間、又は約300nmと約385nmの間の光を吸収するように動作可能な、α開裂型(単分子分解プロセス)の光開始剤又は水素引き抜き型の光増感剤-第3級アミン共力剤を含む。α開裂型の光開始剤の例としては、Irgacure 184(CAS 947-19-3)、Irgacure 369(CAS 119313-12-1)、及びIrgacure 819(CAS 162881-26-7)がある。光増感剤-アミンの組合せの例としては、Darocur BP(CAS 119-61-9)のジエチルアミノエチルメタクリレートとの組合せがある。
【0068】
加えて、一部の例では、光開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル及びベンゾイルイソプロピルエーテルなど)、ベンゾインフェニルエーテル及びベンゾインアセテートを含む、ベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシアセトフェノン及び1,1-ジクロロアセトフェノンを含む、アセトフェノン類;ベンジル、ベンジルケタール(例えば、ベンジルジメチルケタール及びベンジルジエチルケタールなど);2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン及び2-アミルアントラキノンを含む、アントラキノン類;トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド(例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO)など);ベンゾフェノン及び4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;チオキサントン及びキサントン;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体又は1-フェニル-1,2-プロパンジオン;2-O-ベンゾイルオキシム;1-アミノフェニルケトン;又は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトン、及び4-イソプロピルフェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンなどの1-ヒドロキシフェニルケトン類が挙げられる。
【0069】
光開始剤は、アセトフェノン、2,2-ジアルコキシベンゾフェノン、及び1-ヒドロキシフェニルケトン(例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン又は2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(=2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン)など)を含む、HeCdレーザ放射線源への使用に機能できる光開始剤も含みうる。加えて、一部の例では、光開始剤は、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール類を含む、Arレーザ放射線源への使用に機能できる光開始剤を含む。一部の実施形態では、光開始剤は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、或いはそれらの混合物を含む。
【0070】
本明細書に記載のインクに含めることができる別のクラスの光開始剤として、化学線を吸収して重合開始のためのフリーラジカルを生成することができる、イオン性染料-対イオン化合物が挙げられる。いくつかのイオン性染料-対イオン化合物、及びその動作モードが、欧州特許出願公開第0223587号明細書、米国特許第4,751,102号明細書、同第4,772,530号明細書、及び同第4,772,541号明細書に開示されている。
【0071】
光開始剤は、本発明の目的に矛盾しない任意の量で、本明細書に記載のインク中に存在しうる。一部の実施形態では、光開始剤は、インクの総質量に基づき、約5質量%までの量でインク中に存在する。一部の例では、光開始剤は、約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で存在する。
【0072】
さらには、一部の実施形態において、本明細書に記載のインクは、1つ以上の光増感剤をさらに含む。一般的に、そのような増感剤は、存在する場合がある1つ以上の光開始剤の有効性を増大させるためにインクに加えることができる。一部の実施形態において、増感剤は、イソプロピルチオキサントン(ITX)又は2-クロロチオキサントン(CTX)を含む。
【0073】
増感剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量でインク中に存在しうる。一部の実施形態では、増感剤は、インクの総重量に基づき、約0.1質量%~約2質量%又は約0.5質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。
【0074】
さらには、一部の例では、本明細書に記載のインクは、インク中に含まれない又は少量でしか含まれない成分によってさらに特徴づけられる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、上記の非硬化性光開始剤を含めて、非硬化性光開始剤を含まない又は実質的に含まない。本明細書で用いられている非硬化性光開始剤を「実質的に」含まない又は非硬化性光開始剤が「実質的に」排除されているインクは、インクの総質量に基づき、約1質量%未満、約0.5質量%未満、約0.1質量%未満、約0.07質量%未満、約0.05質量%未満、又は約0.01質量%未満の非硬化性光開始剤を含んでいてよい。従って、一部の例では、本明細書に記載のインクは、インクの総質量に基づき、0~0.5質量%、0~0.1質量%、0~0.07質量%、0~0.05質量%、又は0~0.01質量%の非硬化性光開始剤を含む。さらに、本明細書で用いられている「非硬化性」光開始剤は、例えばエチレン性不飽和部分などの、インクの硬化性材料と共に重合又は硬化されうる部分を含まない、任意の光開始剤を含みうる。例えば、一部の例では、非硬化性光開始剤は(メタ)アクリレート部分を含まない。
【0075】
本明細書に記載のインクは、様々な所望の特性も示しうる。例えば、本明細書に記載のインクは、本開示の目的と矛盾しない任意の凝固点、融点、及び/又は他の相転移温度を有していてよい。一部の例では、インクは、相変化インクとともに使用するように設計された3Dプリントシステムなどの、一部の3Dプリントシステムにおいて使用される温度と整合する凝固点及び融点を有する。一部の実施形態では、インクの凝固点は約40℃超である。一部の例では、例えば、インクは、約45℃~約55℃又は約50℃~約80℃の範囲の温度を中心とした凝固点を有する。一部の例では、インクは、約40℃未満又は約30℃未満の凝固点を有する。
【0076】
さらには、本明細書に記載の一部の実施形態では、インクは、急な凝固点又は他の相転移を示す。一部の例では、例えば、インクは、約1~10℃、約1~8℃、又は約1~5℃の範囲のような、狭い温度範囲で凝固する。一部の実施形態では、急な凝固点を有するインクは、X±2.5℃の温度範囲で凝固し、ここで、Xは、凝固点の中心となる温度である(例えば、X=65℃)。
【0077】
加えて、本明細書に記載のインクは、一部の例では、一部の3Dプリントシステム内で直面する噴射温度で流体である。さらには、一部の実施形態では、インクは、三次元的にプリントされた物品又は物体の作製中に、表面にひとたび堆積されると固化する。或いは、他の例では、インクは、表面への堆積時には実質的に流体のままである。インクの固化は、一部の実施形態では、インク又はインクの成分の相変化を通じて生じる。相変化は、液体から固体への相変化又は液体から半固体への相変化を含みうる。さらには、一部の例では、インクの固化には、低粘度状態から高粘度状態への粘度の上昇など、インクの粘度の上昇が含まれる。インクの固化は、インクの硬化によって生じてもよい。
【0078】
加えて、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、未硬化のときには、マルチジェットモデリング又はステレオリソグラフィシステムなどの1つ以上の3Dプリントシステムの要件及びパラメータに整合する粘度プロファイルを有する。一部の例では、例えば、本明細書に記載のインクは、ASTM規格D2983に準拠して測定した場合に(例えば、ブルックフィールドモデルDV-II+粘度計を使用)、約80℃の温度などのシステムの噴射温度で、約8.0cP~約14.0cP又は約9.0cP~約14.0cの範囲の動的粘度を有する。一部の実施形態では、インクは、約80℃の温度で、約9.5~12.5cP又は約10.5~12.5cPの動的粘度を有する。一部の例では、インクは、約85~87℃の温度で、約8.0~10.0cPの粘度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、ASTM規格D2983に準拠して測定した場合に、約65℃の温度で、約8.0~19.0cP、約8.0~13.5cP、約11.0~14.0cP、約11.5~13.5cP、又は約12.0~13.0cPの動的粘度を有する。他の例では、本明細書に記載のインクは、未硬化のときには、ASTM D2983に準拠して測定した場合に、30℃において、約200~2000cP、約200~900cP、約300~900cP、約300~800cP、約400~1000cP、約400~900cP、約400~800cP、約400~600cP、約450~550cP、約500~700cP、約500~600cP、又は約500~550cPの動的粘度を示す。一部の例では、本明細書に記載のインクは、未硬化のときには、ASTM D2983に準拠して測定した場合に、約100cP未満、又は約1000cP超の動的粘度を示す。
【0079】
さらには、本明細書に記載のインクは、一部の実施形態において、1つ以上の所望の特徴の組合せを示しうる。一部の例では、例えば、未硬化状態のインクは、以下の特性の1つ以上を有する:
1.約30℃未満、約25℃未満、又は約15℃未満の凝固点;
2.70~95℃において約9~14cP、又は25~35℃において約400~1000cPの粘度;及び
3.室温(25℃)で少なくとも6カ月間の熱的安定性
上述のように、粘度は、ASTM D2983に準拠して測定されうる(例えば、ブルックフィールドモデルDV-II+粘度計を使用)。加えて、本明細書での参照の目的で、「熱的に安定」な材料は、特定温度(例えば室温)で、期間の開始時と終了時において測定した場合に、特定期間(例えば3日間)にわたり、約35パーセントを超える粘度変化を示さない。一部の実施形態では、粘度変化は、より大きい方の粘度値に基づいて、約30パーセント以下、又は約20パーセント以下である。一部の例では、粘度変化は、約10パーセントと約20パーセントの間、又は、約25パーセントと約30パーセントの間である。さらには、一部の実施形態では、粘度変化は粘度の上昇である。
【0080】
本明細書に記載のインクは、硬化状態又は「生」の状態において、上記のものに加えて、様々な所望の特性を示しうる。「硬化」状態のインクは、本明細書で用いられる場合には、少なくとも部分的に重合及び/又は架橋されている、或いは大いに重合及び/又は架橋されている硬化性材料又は重合性成分を含有するインクを含む。例えば、一部の例では、硬化したインクは、少なくとも約51%が重合又は架橋されている、或いは少なくとも約60%が重合又は架橋されている。一部の実施形態では、硬化したインクは、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が、重合又は架橋されている。一部の例では、硬化したインクは、約50%~約99%が重合又は架橋されている。「生」状態のインクは、50%未満、40%未満、30%未満、又は20%未満が重合又は架橋されている.一部の例では、生状態のインクは、5~50%、5~40%、5~30%、10~50%、10~40%、10~30%、20~50%、20~40%、30~50%、又は30~40%が重合又は架橋されている。さらには、当業者に理解されるように、インクの「生」状態は、本明細書に記載の層ごとの3Dプリントプロセスの間又は後であるが後処理硬化工程が実施される前のインクの状態として定義されうる。
【0081】
一部の例では、本明細書に記載のインクは、硬化したとき又は生状態で、ASTM D638に準拠して測定した場合に、約10~400%、10~300%、10~200%、10~100%、10~8~%、10~40%、10~30%、10~20%、15~400%、15~300%、15~100%、15~30%、50~400%、50~300%、50~200%、50~100%、100~400%、100~300%、100~200%、200~400、200~300%、又は300~400%の破断伸びを有する。さらには、本明細書に記載の硬化した又は生のインクは、一部の例では、ASTMD638に準拠して測定した場合に、約3500~7000psi(約24.1MPa~約48.3MPa)、又は約4000~6000psi(約27.6MPa~約41.4MPa)の引張強度を有しうる。加えて、本明細書に記載の硬化した又は生のインクは、一部の実施形態では、ASTMD638に準拠して測定した場合に、約100~400ksi(約689MPa~約2758MPa)又は約150~300ksi(約1034MPa~約2068MPa)の引張弾性率を有しうる。
【0082】
また、本明細書に記載のインクは、硬化状態を含めて、高い生体適合性及び/又は低い細胞毒性も示しうる。例えば、一部の例では、本明細書に記載のインクは、硬化したときに、ANSI/AAMI/ISO 10993-5:2009に準拠して測定して、2未満の細胞毒性評点を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、硬化したときに、ANSI/AAMI/ISO 10993-5:2009に準拠して測定して0又は1の細胞毒性評点を示す。
【0083】
さらには、一部の例では、本明細書に記載のインクは、硬化したときに、複数の上記の特性を示しうる。例えば、一部の実施形態では、インクは、硬化したときに、ASTM D638に準拠して測定した場合に、約4000~6000psi(約27.6MPa~約41.4MPa)の引張強度;ASTM D638に準拠して測定した場合に、約150~300ksi(約1034MPa~約2068MPa)の引張弾性率;ASTM D638に準拠して測定した場合に、約10~400%の破断伸び;及びANSI/AAMI/ISO 10993-5:2009に準拠して測定した場合に0又は1の細胞毒性評点を有する。
【0084】
本明細書に記載のインクは、本開示の目的と矛盾しない任意の様式で製造することができる。一部の実施形態では、例えば、本明細書に記載のインクの調製方法は、インクの成分を混合する工程、混合物を溶融する工程、及び溶融混合物を濾過する工程を含む。混合物を溶融する工程は、一部の例では、約75℃、又は約75℃~約85℃の範囲の温度で行われる。一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、インクの全ての成分を反応容器に入れ、得られた混合物を攪拌しながら、約75℃~約85℃の範囲の温度に加熱することによって製造される。加熱及び攪拌は、混合物が実質的に均質化された溶融状態に達するまで継続される。通常、溶融混合物を流動可能な状態の間に濾過して、噴射又は吐出或いは他のプリントプロセスと干渉しうるあらゆる大きく望ましくない粒子を除去することができる。その後、濾過された混合物を周囲温度まで冷却し、3Dプリントシステムに使用する準備が整うまで保管してよい。他の例では、加熱なしで又は最小限の加熱(例えば、30~45℃の温度まで)で、周囲温度(例えば、20~25℃)でインクの成分を混合する。そのような方法は、得られた液体混合物をろ過する工程をさらに含んでいてよい。
【0085】
II.3Dプリント用組成物の使用
別の態様では、上記のインク又はキットを含む3Dプリント用組成物の使用を本明細書に記載する。例えば、一部の例では、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを含有するインクを含む3Dプリント用組成物の使用を本明細書に記載する。しかしながら、上記のセクションIで記載した任意の1つ又は複数のインクを3Dプリントに使用することができる。
【0086】
III.3Dプリントシステム
さらに別の態様では、3Dプリントシステムを本明細書に記載する。そのような3Dプリントシステムは、上記の1つ又は複数のインク或いはキットを含む組成物などの、上記の3Dプリント用組成物を使用し又は含んでいてよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の3Dプリントシステムは、インクディスペンサ及びインクリザーバの内の少なくとも1つを備えた3Dプリンタと、インクディスペンサ、インクリザーバ、又はその両方内に配置された本明細書に記載のインクとを含む。インクは、上記のセクションIに記載の任意のインクを含む、からなる、又はから本質的になる。さらには、一部の例では、本明細書に記載の3Dプリントシステムは、第1のインクディスペンサ及び第2のインクディスペンサを備えた3Dプリンタ、第1のインクディスペンサ内に配置された第1のインク、及び第2のインクディスペンサ内に配置された第2のインクを含む。第1のインク及び第2のインクはそれぞれ、上記のセクションIに記載の第1のインク及び第2のインクを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0087】
概して、本開示の目的に矛盾しない任意の3Dプリンタは、インクディスペンサ及び/又はリザーバを含めて、本明細書に記載のインクを含有し又は含みうる。一部の実施形態では、例えば、3Dプリンタは、インクジェット又はいわゆるマルチジェットモデリング(MJM)形式の3Dプリンタを含む。他の例では、3Dプリンタは、ステレオリソグラフィ(SLA)形式の3Dプリンタ、デジタルライトプロセシング(DLP)形式の3Dプリンタ、又は接触(contacted)SLA(cSLA)形式のプリンタを含む。他の3Dプリンタも使用できる。
【0088】
IV.3D物品のプリント方法
別の態様では、3D物品又は物体をプリントする方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の3D物品又は物体をプリントする方法は、層ごとの様式で、本明細書に記載のインクの複数の層から3D物品を形成する工程を含みうる。上記セクションIに記載の任意のインクを用いてよい。例えば、一部の例では、インクは、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを含む。本明細書に記載の他のインクも使用できる。さらには、一部の例では、本明細書に記載の方法は、流体状態のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程を含む。
【0089】
さらには、本明細書に記載の方法は、インクの環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーなどの、インクの1つ以上の硬化性材料を硬化又は重合させる工程をさらに含んでいてよい。さらに、インクが複数の異なる硬化性材料を含む場合、その異なる硬化性材料は、異なる時間に及び/又はインクの層の異なる空間領域で行われる別個の硬化又は重合工程において、硬化又は重合されうる。さらに、異なる硬化性材料は、異なる様式で硬化されてよい。
【0090】
例えば、一部の例では、本明細書に記載の方法で使用されるインクは、環状カーボネートモノマー、アミンモノマー、及び1つ以上の追加の(メタ)アクリレートを含む。さらには、一部のそのような例では、環状カーボネートモノマーはそれぞれ、1つ以上の環状カーボネート部分を含むことに加えて、(メタ)アクリレート部分を含む。そのような例において、本明細書に記載の方法は、1つ以上の(メタ)アクリレートのエチレン性不飽和部分(及び、存在する場合は、環状カーボネートの(メタ)アクリレート部分)を硬化又は重合させて、ポリ(メタ)アクリレートを形成する工程を含む。例えば、(メタ)アクリレートは、UV光で硬化又は重合させることができる。さらに、一部の実施形態では、その方法は、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを熱硬化又は重合させる工程をさらに含む。そのような硬化又は重合工程は、環状カーボネートモノマーをアミンモノマーと反応させてポリウレタンを形成することを含みうる。さらには、一部の例では、ポリウレタンとポリ(メタ)アクリレートは、一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成することができる。
【0091】
本明細書に記載の1つ以上の硬化性材料又はモノマーを硬化させる工程は、本開示の目的に矛盾しない任意の様式で実施することができる。例えば、一部の例では、堆積されたインクの層を、別の又は隣接するインクの層の堆積の前に、(少なくとも1つの方法又は硬化機構により)硬化させてよい。一部の例では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、インクを、インクの少なくとも1つの硬化性材料を硬化させるのに十分な波長及び強さの電磁放射線に曝す工程をさらに含み、ここで、硬化は、前記少なくとも1つの硬化性材料の1つ以上の成分の1つ以上の重合性部分又は官能基を重合させることを含みうる。さらには、上述したように、堆積されたインクの1つ以上の層を硬化させる工程は、その1つ以上の層を、例えばUV光又は可視光などの電磁放射線に曝すことにより行われる。
【0092】
同様に、硬化を熱的に行ってもよい。一部の実施形態では、熱硬化は、1つ以上の(メタ)アクリレート又は他のエチレン性不飽和モノマーの光開始重合により放出される熱エネルギーなどの、本明細書に記載の光硬化工程によりもたらされる熱エネルギー又は熱を用いて行われる。熱硬化はまた、オーブンなどの熱エネルギー源を用いてインク(又はインクから形成された物品)を加熱することによっても実施することができる。
【0093】
さらには、堆積されたインク(又はその成分)を、第1の硬化機構に従いインクを硬化させた後、及び/又は3D物品のプリントを完了した後に、第2の硬化機構に従い硬化させてよいことをさらに理解されたい。例えば、一部の例では、1つ以上の堆積されたインクを、物品の層ごとのプリント中に層ごとの様式でUV光によって硬化させ、その後に、層ごとのプリントの完了後に他の様式で硬化させてよい。一部のそのような実施形態では、1つ以上の堆積されたインクを後で硬化させる工程が、その物品を加熱することによって1つ以上のインクを熱硬化させることを含む。一部の例では、オーブン又は高温の他の空間内に既に形成された物品を置くなどにより、「後処理」工程で物品を加熱する。一部のそのような例では、完成3D物品から支持材料を溶かして消失させる又は除去するに用いられうるようなより低い温度で及び/又はより短い時間加熱されるのとは対照的に、物品は、それから物品が形成されるインクの未硬化の硬化性成分を硬化させるのに十分な温度でかつ十分な時間加熱されうる。しかしながら、一部の例では、存在する場合、支持材料を、インクの硬化性成分の熱硬化と同時に、完成3D物品から溶かして除去してもよい。さらには、一部の例では、熱硬化工程は、後処理工程として実施されるのではなく、上記のような物品の層ごとのプリント中に実施される。
【0094】
本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、層ごとの様式で、本明細書に記載の複数のインクの複数の層から3D物品を形成する工程も含んでいてよい。例えば、一部の実施形態では、方法は、第1のインクの複数の層及び第2のインクの複数の層から、3D物品を形成する工程を含む。一部のそのような例では、3D物品をプリントする方法は、流体状態の第1のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程、及び流体状態の第2のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程を含み、第1のインク及び第2のインクはそれぞれ、上記のセクションIに記載される第1のインク及び第2のインクを含む。例えば、第1のインクは環状カーボネートモノマーを含んでいてよく、第2のインクはアミンモノマーを含んでいてよい。
【0095】
「単一の」インクと同様に、複数の異なるインクを用いる本明細書に記載の方法も、異なる時間に及び/又は1つ以上のインクの層の異なる空間領域で行われる別個の硬化工程におけるなど、インクの複数の硬化性材料を硬化させることを含みうる。さらには、本明細書に記載されるように、異なる硬化性材料を異なる様式で硬化させてもよい。例えば、一部の実施形態では、第1のインクは、環状カーボネートモノマーに加えて、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを含み、その方法は、第1のインクのエチレン性不飽和モノマーをUV光で硬化させる工程、及びその後、環状カーボネート及びアミンモノマーを熱硬化させる工程を含む。
【0096】
3D物品のコンピュータ可読形式の画像に従って、インクの層を堆積することができる。一部の実施形態では、予め選択されたコンピュータ支援設計(CAD)パラメータに従って、インクが堆積される。さらに、一部の例では、本明細書に記載のインクの1つ以上の層は、約10μm~約100μm、約10μm~約80μm、約10μm~約50μm、約20μm~約100μm、約20μm~約80μm、又は約20μm~約40μmの厚さを有する。他の厚さも可能である。
【0097】
加えて、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法には、いわゆるマルチジェットモデリング又はステレオリソグラフィの3Dプリント方法が含まれうると解されたい。例えば、一部の例では、3D物品をプリントするマルチジェット法は、3Dプリントシステムの造形パッドなどの基体上に、流体状態の本明細書に記載の1つ以上のインクの層を選択的に堆積する工程を含む。加えて、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のインクの層のうちの少なくとも1つの層を支持材料で支持する工程をさらに含む。本開示の目的と矛盾しない任意の支持材料を使用できる。
【0098】
さらには、一部の実施形態では、事前に選択された量の本明細書に記載のインクを、適切な温度に加熱し、適切なインクジェットプリンタの1つ又は複数のプリントヘッドを通じて噴射させて、プリントチャンバ内のプリントパッド上に層を形成する。一部の例では、インクの各層は、事前に選択されたCADパラメータに従って堆積される。インクを堆積するための適切なプリントヘッドは、一部の実施形態では、圧電プリントヘッドである。本明細書に記載のインク及び支持材料の堆積に適したさらなるプリントヘッドは、様々なインクジェットプリント装置製造業者から市販されている。例えば、Xerox、Hewlett Packard、又はRicohのプリントヘッドが、一部の例で使用されうる。
【0099】
加えて、一部の実施形態では、本明細書に記載のインクは、堆積の際には実質的に流体のままである。或いは、他の例では、インクは、堆積の際に相変化を示す、及び/又は、堆積の際に固化する。さらには、一部の例では、プリント環境の温度は、インクの噴射された液滴が受容面と接触した際に固化するように制御されうる。他の実施形態では、インクの噴射された液滴は、受容面との接触の際には固化せず、実質的に流体状態のままである。加えて、一部の例では、各層が堆積された後、堆積された材料は、次の層の堆積前に、電磁(例えば、UV)放射を用いて平坦化及び硬化される。任意選択で、平坦化及び硬化の前に、いくつかの層を堆積させてもよく、或いは、多数の層を堆積及び硬化させた後に、1つ以上の層を堆積させ、次いで硬化させずに平坦化してもよい。平坦化により、分配された材料を平らにして過剰な材料を除去し、プリンタの支持プラットフォーム上に均一に滑らかな露出した面又は平坦な上向きの面を作り出すことによって、材料の硬化前に1つ以上の層の厚さを補正する。一部の実施形態では、平坦化は、1つ以上のプリント方向において逆回転しうるが、1つ以上の他のプリント方向においては逆回転しないローラなどの、ワイパ装置を用いて達成される。一部の例では、ワイパ装置は、ローラと、ローラから過剰の材料を除去するワイパとを備える。さらには、一部の例では、ワイパ装置は加熱される。硬化前の本明細書に記載の噴射されたインクの粘稠度は、一部の実施形態では、その形状を保持するのに十分であり、かつ平坦化装置からの過剰な粘性抵抗に曝されないことが望ましいことに留意されたい。
【0100】
さらには、支持材料は、使用する場合には、インクについて上述した様式に準拠する様式で堆積されうる。支持材料は、例えば、支持材料がインクの1つ以上の層に隣接又は連続するように、事前に選択されたCADパラメータに従って堆積されうる。支持材料の噴射された液滴は、一部の実施形態では、受容面との接触の際に固化又は凝固する。一部の例では、堆積された支持材料もまた平坦化を受ける。
【0101】
インク及び支持材料の層状の堆積を、3D物品が形成されるまで繰り返してよい。一部の実施形態では、3D物品をプリントする方法は、インクから支持材料を除去する工程をさらに含む。
【0102】
ステレオリソグラフィ(SLA)、接触SLA(cSLA)、又はデジタルライトプロセシング(DLP)の3Dプリンタを使用して、本明細書に記載のインクから3D物品を形成することも可能である。例えば、一部の例では、3D物品をプリントする方法は、流体状態の本明細書に記載の1つ以上のインクを容器内に保持する工程、及び、容器内の1つ以上のインクにエネルギーを選択的に印加して、インクの流体層の少なくとも一部を固化し、それによって、3D物品の断面を画成する固化層を形成する工程を含む。加えて、本明細書に記載の方法は、インクの固化層を上昇又は降下させて、容器内の流体インクの表面に未固化インクの新しい又は第2の流体層を提供し、続いて、容器内のインクにエネルギーを再び選択的に印加し、インクの新しい又は第2の流体層の少なくとも一部を固化して、3D物品の第2の断面を画成する第2の固化層を形成する工程をさらに含みうる。さらには、3D物品の第1及び第2の断面は、インクを固化するためにエネルギーを印加することによって、z方向(又は、上記の上昇又は降下方向に対応する造形方向)に互いに結合又は接着されうる。さらには、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加する工程は、インクを硬化させるのに十分なエネルギーを有する、UV放射又は可視放射などの電磁放射を印加することを含みうる。一部の例では、UV光は、320~380nm、340~370nm、又は350~360nmの平均波長を有する。一部の例では、硬化放射は、コンピュータ制御されたレーザ光線、又はDLP光源又はプロジェクタによって提供される。加えて、一部の例では、インクの固化層を上昇又は降下させる工程は、流体インクの容器内に配置された昇降プラットフォームを使用して行われる。本明細書に記載の方法はまた、昇降プラットフォームを上昇又は降下させることによってもたらされる流体インクの新しい層を平坦化する工程も含みうる。このような平坦化は、一部の例では、ワイパ又はローラによって行われうる。
【0103】
前述のプロセスは、3D物品を提供するために、所望の回数だけ繰り返してよいことを解されたい。例えば、一部の例では、このプロセスを「n」回繰り返すことができ、ここで、nは、約100,000まで、約50,000まで、約10,000まで、約5000まで、約1000まで、又は約500までであってよい。従って、一部の実施形態では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加して、インクのn番目の流体層の少なくとも一部を固化し、それによって、3D物品のn番目の断面を画成するn番目の固化層を形成する工程、インクのn番目の固化層を上昇又は降下させて、容器内の流体インクの表面に、未固化インクの(n+1)番目の層を提供する工程、容器内のインクの(n+1)番目の層にエネルギーを選択的に印加して、インクの(n+1)番目の層の少なくとも一部を固化して、3D物品の(n+1)番目の断面を画成する(n+1)番目の固化層を形成する工程、インクの(n+1)番目の固化層を上昇又は降下させて、容器内の流体インクの表面に、未固化インクの(n+2)番目の層を提供する工程、及び、前述の工程の繰返しを続けて3D物品を形成する工程を含みうる。さらには、インクの層にエネルギーを選択的に印加する工程など、本明細書に記載の方法の1つ以上の工程は、コンピュータ可読フォーマットにある3D物品の画像に従って行われうることを理解されたい。ステレオリソグラフィを使用する3Dプリントの一般的な方法は、特に、米国特許第5,904,889号及び同第6,558,606号の各明細書にさらに記載されている。
【0104】
上述のプリントプロセスを行うことにより、高い特徴解像度を有する本明細書に記載のインクからプリントされた3D物品を提供することができる。本明細書での参照目的のために、物品の「特徴解像度」とは、物品の制御可能な物理的特徴の最小寸法でありうる。物品の特徴解像度は、マイクロメートル(μm)などの距離の単位、又は、1インチ当たりのドット数(dpi)を単位として記載されうる。当業者に理解されるように、より高い特徴解像度は、より高いdpi値に相当し、また、μmでのより短い距離に相当する。一部の例では、本明細書に記載のインクを堆積又は固化させることによって形成される物品は、高温での解像度を含めて、約500μm以下、約200μm以下、約100μm以下、又は約50μm以下の特徴解像度を有しうる。一部の実施形態では、物品は、約50μmと約500μmの間、約50μmと約200μmの間、約50μmと約100μmの間、又は約100μmと約200μmの間の特徴解像度を有する。それに対応して、一部の例では、本明細書に記載の物品の特徴解像度は、少なくとも約100dpi、少なくとも約200dpi、少なくとも約250dpi、少なくとも約400dpi、又は少なくとも約500dpiである。一部の例では、物品の特徴解像度は、約100dpiと約600dpiの間、約100dpiと約250dpiの間、又は約200dpiと約600dpiの間である。
【0105】
V.プリントされた3D物品
別の態様では、プリントされた3D物品を本明細書に記載する。一部の実施形態では、プリントされた3D物品は、本明細書に記載の1つ以上のインクから形成される。本明細書の上記セクションIに記載の任意のインクを使用してよい。例えば、一部の例では、3D物品は、環状カーボネートモノマー、アミンモノマー、及び1つ以上の追加の(メタ)アクリレートなどの1つ以上の追加のエチレン性不飽和モノマーを含むインクなどの、本明細書に記載の単一のインクから形成される。さらには、環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーは、硬化されたときに、一緒にポリウレタンを形成しうる。同様に、1つ以上の(メタ)アクリレートは、硬化されたときに、ポリ(メタ)アクリレートを形成しうる。一部のそのような例において、ポリウレタンとポリ(メタ)アクリレートは、一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成する。
【0106】
本明細書に記載のプリントされた3D物品は、複数の異なるインクから形成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、プリントされた3D物品は、上記のセクションIに記載される第1のインク及び第2のインクから形成される。一部のそのような例では、第1のインクは環状カーボネートモノマーを含み、第2のインクはアミンモノマーを含む。第1及び/又は第2のインクは、環状カーボネート及び/又はアミンモノマーに加えて、第2の硬化性材料も含んでいてよい。第1のインクのそのような第2の硬化性材料は、一部の例では、1つ以上の(メタ)アクリレート又は他のエチレン性不飽和モノマーを含む。さらには、上記のとおり、第1又は第2のインクのそのような第2の硬化性材料は、環状カーボネートとアミンモノマーとから形成されるポリマー網目構造(例えば、ポリウレタン)とは異なるポリマー網目構造(例えば、ポリ(メタ)アクリレート)を形成しうる。
【0107】
VI.接着剤及びコーティング
インク、キット、システム、及び3Dプリントの方法を本明細書に記載している。しかしながら、別の態様では、3Dプリント以外の用途のための組成物も本明細書に記載する。特に、接着剤及び/又はコーティング用途のための組成物を本明細書に記載する。
【0108】
特に、一部の実施形態では、1つ以上の環状カーボネート部分及び1つ以上のエチレン性不飽和部分を有する環状カーボネートなどの、上記の環状カーボネートモノマーを含む接着剤を本明細書に記載する。一部の例では、1つ以上のエチレン性不飽和部分は、(メタ)アクリレート部分を含む。例えば、一部の例では、環状カーボネートは、式(A15)、式(A16)、式(A17)、又は式(A18)の構造を有する。さらには、本明細書に記載の接着剤又は接着剤組成物は、一部の実施形態では、環状カーボネート種に加えて、1つ以上の成分を含む。一部の例では、接着剤又は接着剤組成物は、例えば極性又は非極性の、疎水性又は親水性の、水性又は有機の溶媒などの、溶媒をさらに含む。
【0109】
別の態様では、コーティング、及び被覆された基体又は装置を本明細書に記載する。一部のそのような実施形態では、例えば、装置は、基体と、基体上又は基体にわたり設けられたコーティングとを備え、コーティングは上記の組成物を含む。特に、一部の例では、コーティングは、1つ以上の環状カーボネート部分及び1つ以上のエチレン性不飽和部分を有する環状カーボネートなどの、本明細書に記載の環状カーボネート種を含む又はから形成される。一部の実施形態では、1つ以上のエチレン性不飽和部分は、(メタ)アクリレート部分を含む。一部の例では、環状カーボネートは、式(A15)、式(A16)、式(A17)、又は式(A18)の構造を有する。さらには、そのような被覆された装置の基体は、本開示の目的に矛盾しない任意の材料から形成されうる。一部の例では、例えば、基体は、熱可塑性材料又は別の有機ポリマー材料などの有機材料を含む又はから形成される。他の例では、基体は、金属、金属酸化物又はガラスなどの無機材料を含む又はから形成される。本明細書に記載の被覆された基体は、例えばガラス繊維材料などの、有機-無機複合材料などの、複合材料を含む又はから形成されていてもよい。
【0110】
本明細書に記載の一部の実施形態を、以下の非限定的な実施例でさらに説明する。
【実施例
【0111】
実施例1
環状カーボネートモノマー
が(CHである式(A11)の構造を有する環状カーボネートモノマーを以下のように調製した。大型のテフロン(登録商標)被覆フットボール型撹拌磁石、定圧滴下漏斗、及びコンデンサを備えた500mLの三口丸底フラスコに、12.0gのセバコイルクロリド(SebCl)、10.4gのトリエチルアミン、及び80gのメチルテトラヒドロフラン(mTHF)溶媒を添加した。このフラスコを、氷水を満たしたPyrex(登録商標)の結晶皿(190x100、2.5L)の中に置き、約30分間撹拌/冷却した。150mLの定圧滴下漏斗に、11.8gの炭酸グリセロール及び20gのmTHFを添加し、次いで、固体の炭酸グリセロールが溶解するまで穏やかに撹拌した。30分間にわたり、炭酸グリセロール溶液を、冷却したセバコイルクロリド溶液に滴下した。撹拌を円滑にするためにその後の反応中に追加のmTHFを添加した。ほぼ2日間撹拌し続けた。真空フラスコ、及びシリカゲルを装備したブフナー漏斗を用いて濾過を行うことにより、最終混合物を作り上げた。真空フラスコ中に透明な液体を回収し、ロータリーエバポレーションにかけて、透明な粘性生成物を得た。
【0112】
実施例2
環状カーボネートモノマー
が(CHであり、RがCHであり、かつRがCH又はHのいずれかである式(A14)の構造を有する環状カーボネートモノマーを以下のように調製した。R=CHの化合物に関して、大型のテフロン(登録商標)被覆フットボール型撹拌磁石を備えた2000mLのビーカーに、620.6gのイソシアネートエチルメタクリレート(Synasia社、南通市、中国、から入手)を添加した。次に、その溶液を60℃のシリコーン油浴中で撹拌及び加熱した。476.7gの炭酸グリセロール(Huntsman Chemical社から入手)と0.16gのジラウリン酸ジブチルすず(Sigmal Aldrich社から入手)との混合物を、反応温度を50℃と80℃の間に維持しながら、加熱したイソシアネートエチルメタクリレートに徐々に添加した。混合物の全てを添加した後、0.48gのBHT(Sigma-Aldrich社から入手)を添加し、得られた溶液を70~80℃でさらに16時間撹拌した。得られた生成物は、透明な粘性液であり、FT-IRでイソシアネートのピークを全く示さなかった。R=Hの化合物に関して、同様の手順を用いたが、イソシアネートエチルメタクリレートを、化学量子論的に等価量のイソシアネートエチルアクリレート(Synasia社、南通市、中国、から入手)で置き換えた。
【0113】
実施例3
環状カーボネートモノマー
式(A15)の構造を有する環状カーボネートモノマーを以下のように調製した。大型のテフロン(登録商標)被覆フットボール型撹拌磁石を備えた500mLのビーカーに、55.57gのイソホロンジイソシアネート(Sima-Aldrich社から入手)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA、Evonik Industries社から入手)、及び0.02gのジラウリン酸ジブチルすず(Sigma Aldrich社から入手)を添加した。その溶液を55~60℃のシリコーン油浴中で撹拌及び加熱した。次に、29.5gの炭酸グリセロール(Huntsman Chemical社から入手)を、反応温度を50℃と80℃の間に維持しながら、30分間にわたり徐々に添加した。全ての炭酸グリセロールを添加した後、0.04gのBHT(Sigma-Aldrich社から入手)を添加し、得られた溶液を60~70℃でさらに1時間撹拌した。その後、32.53gのヒドロキシルエチルメタクリレート(Sigma-Aldrich社から入手)を0.2時間にわたり徐々に添加し、得られた溶液を60~70℃でさらに16時間撹拌した。生成物は、透明な粘性液であり、FT-IRでイソシアネートのピークを全く示さなかった。
【0114】
実施例4
環状カーボネートモノマー
及びRがそれぞれ(CHである式(A13)の構造を有する環状カーボネートモノマーを以下のように調製した。1000mLのガラスビーカーに、大型のテフロン(登録商標)被覆フットボール型撹拌磁石、47.2gの炭酸グリセロール(GC)、41.5gのトリエチルアミン、及び135gのテトラヒドロフラン(THF)溶媒を添加した。そのビーカーを時計皿で覆い、氷水を満たしたPyrex(登録商標)の結晶皿(190x100、2.5L)の中に置いて、約30分間撹拌/冷却した。別の250mLのビーカーに、テフロン(登録商標)被覆撹拌磁石、46.2gのジエチレングリコールビスクロロホルメート(DEGBCF)、及び70gのエチルアルコール溶媒を添加した。この混合物を、DEGBCが溶解するまで撹拌した。使い捨てピペットによる、DEGBCF溶液の冷却炭酸グリセロール溶液への滴下を、45分間にわたり行った。数mLのDEGBCF溶液を添加した後、沈殿(トリエチルアミンの塩酸塩)の形成が観察され、添加の間中ずっと形成し続けた。沈殿はビーカー中で非常に濃くなったため、後半のDEGBCF添加の間、大きな撹拌棒を用いて撹拌し続けなければならなかった。混合物を、覆ったまま、室温で約2日間、セット/撹拌した。300gのシリカゲルを装備した600mLの粗フリットブフナー型漏斗及び2Lの真空フラスコを用いて濾過することにより、生成物を単離した。新鮮なTHFを添加してシリカを湿らせ、シリカ充填ブフナー漏斗を通して、THFを重力で付属の2L真空フラスコに溶出させた。次に、形成された塩を含む最終生成物の混合物を、わずかな減圧で引きながら、THFで湿らせたシリカを含むフリット漏斗に注いだ。溶媒がほぼ完全にシリカを通過すると、減圧を除き、約0.5リットルの新鮮なTHFを上記の1000mLのガラスビーカーに添加し、旋回させ、フリット漏斗にゆっくり添加し、さらにそれを通して溶出させた。この洗浄プロセスを2回繰り返した。2Lの真空フラスコ中に回収された透明な液体をロータリーエバポレーション又は他のエバポレーション技術にかけて、溶媒を除去し、透明な粘性生成物をもたらした。
【0115】
実施例5
環状カーボネートモノマー
が(CHである式(A12)の構造を有する環状カーボネートモノマーを以下のように調製した。1000mLのガラスビーカーに、大型のテフロン(登録商標)被覆フットボール型撹拌磁石、47.2gの炭酸グリセロール、41.0gのトリエチルアミン、及び180gのテトラヒドロフラン(THF)溶媒を添加した。そのビーカーを時計皿で覆い、氷水を満たしたPyrex(登録商標)の結晶皿(190x100、2.5L)の中に置いて、約30分間撹拌/冷却した。別の250mLのビーカーに、テフロン(登録商標)被覆撹拌磁石、47.2gのヘキサメチレンジクロロホルメート(HMDCF)、及び50gのTHF溶媒を添加した。この混合物を、HMDCFが溶解するまで撹拌した。使い捨てピペットによる、HMDCF溶液の冷却炭酸グリセロール溶液への滴下を、45分間にわたり行った。数mLのHMDCF溶液を添加した後、沈殿(トリエチルアミンの塩酸塩)の形成が観察された。沈殿は添加の間中ずっと形成し続けた。混合物を、覆ったまま、室温で約2日間、セット/撹拌した。ワークアップは、2Lの真空フラスコの上に配置した600mLの粗フリットブフナー型漏斗に約300gのシリカゲルを添加することを伴った。新鮮なTHFを添加してシリカを湿らせ、シリカ充填ブフナー漏斗を通して、THFを重力で付属の2L真空フラスコに溶出させた。次に、形成された塩を含む最終生成物の混合物を、わずかな減圧で引きながら、THFで湿らせたシリカを含むフリット漏斗に注いだ。溶媒がほぼ完全にシリカを通過すると、減圧を除き、約0.5リットルの新鮮なTHFを上記の1000mLのガラスビーカーに添加し、旋回させ、フリット漏斗にゆっくり添加し、さらにそれを通して溶出させた。この洗浄プロセスを2回繰り返した。2Lの真空フラスコ中に回収された透明な液体をロータリーエバポレーション又は他のエバポレーション技術にかけて、溶媒を除去し、透明な粘性生成物をもたらした。
【0116】
実施例6
3Dプリント用インク
本明細書に記載の一部の実施形態によるインクを以下のように調製した。具体的には、本実施例では、SLA、cSLA、又はDLPの3Dプリントなどの、「1成分」インクプリントプロセスで使用するためのインクを調製した。一般的に、まず、上記の1つ以上の光開始剤を、撹拌によって上記の低粘度のUV硬化性モノマー(IBOMA、SR272、及び/又はSR205など)に溶解させた。一部の例では、撹拌しながら加熱も行った。次に、上記のウレタンアクリレートオリゴマー(BR-371又はBR-571 MBなど)、及び上記の環状カーボネートモノマーを添加し、ミキサー(Thinky Corporationから入手)を用いて混合した。その後、上記の1つ以上のアミン成分を添加し、ミキサーを用いて混合し、キャスティング用、或いはSLA、cSLA、又はDLPなどの3Dプリントプロセス用の「1成分」インクを得た。
【0117】
実施例7
3Dプリント用インク
本明細書に記載の一部の実施形態によるインクを以下のように調製した。具体的には、本実施例では、第1のインク及び第2のインクを調製した。第1のインク及び第2のインクは、本明細書に記載のキットで使用されうる。或いは、後述するように、第1のインク及び第2のインクを互いに組み合せて、1つ以上の他のインクの使用と共に又は他のインクの使用なしに、3Dプリントシステム又は3Dプリント方法で使用されうる単一のインクを形成してもよい。
【0118】
一般的に、第1のインク(「パーツA」とも称される)は、上記のセクションIに記載するように、複数の環状カーボネート部分を有する環状カーボネートモノマーを含んでいた。第1のインクは、追加の(メタ)アクリレートモノマーからなる第2の硬化性材料も含んでいた。さらには、第1のインクは光開始剤を含んでいた。第2のインク(「パーツB」とも称される)は、複数の第一級又は第二級アミン部分を有するアミンモノマーを含んでいた。第1及び第2のインクの具体的な成分を以下に記載する。
【0119】
第1のインク(「パーツA」)は、7.24gのTMPトリカーボネート(CAS No.147876-32-2、SPECIFIC POLYMERSから入手)(環状カーボネートモノマー);27.93gのトリエチレングリコールジアクリレート(SR272、SARTOMERから入手)(追加の硬化性材料);及び0.84gの2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO)(光開始剤)を含んでいた。
【0120】
第2のインク(「パーツB」)は、7.14gのJeffamine T-403(トリアミン、HUNTSMAN CHEMICALから入手)(アミンモノマー)を含んでいた。
【0121】
各インクを作製するために、各インクの個々の成分を組み合せて混合する。その混合物を撹拌しながら約20~25℃の温度に加熱した。混合物が実質的に均質な液体状態に達するまで加熱及び撹拌を続けた。その後、液体混合物を濾過した。
【0122】
MJM 3Dプリントで使用するために、パーツA及びパーツBを2つの別個のチャンネル/インクディスペンサに供給し、その後、2つのインクを、基体上の隣接する又は近くの位置に、或いは隣接する又は近くのボクセルに噴射することによって混合する。そのようなインクを混合する方法は、「デジタルミキシング」とも称されうる。噴射された材料はその後、UV硬化のためにUV放射に曝される。特に、UV硬化工程は、パーツAの(メタ)アクリレートモノマーを硬化させる。この工程中に、パーツAの環状カーボネートモノマーとパーツBのアミンモノマーとの間の反応の一部も生じうる。しかしながら、反応の程度は限られうる。この様式でプリントされた3D物品(環状カーボネートとアミンモノマーとの実質的な反応はない)は、物品の損傷又は物品のプリント解像度の損失をもたらすことなく物品を取り扱うことを可能にするのに十分な生強度を有することができる。環状カーボネートとアミンモノマーとの間の反応を完了させるために、プリントされた物品をオーブン内に置いて環状カーボネート及びアミンモノマーを硬化させてよい。さらには、支持材料(ワックス支持材料など)を用いる場合、この第2の「又は「後」」硬化工程は、プリントされた物品からワックス支持材料を溶かして除去することもできる。オーブン内での後硬化は、80~100℃の温度で2~4時間の期間生じうる。一部の例では、物品は、最初に80℃で2時間オーブン内で加熱され、その後、100℃でさらに2時間オーブン内で加熱される。
【0123】
SLA、cSLA、又はDLPの3Dプリントで使用するために、パーツA及びパーツBを使用前に混合する。次に、その混合物を、3Dプリントのために、バット、リザーバ、又はインクカートリッジに供給する。SLA、cSLA、又はDLPプロセス中に生じる光硬化は、パーツAの(メタ)アクリレートモノマーを重合させ、再度、損傷又はプリント解像度の損失をもたらすことなく、プリントプロセス後に物品を取り扱うことを可能にするのに十分な生強度を物品にもたらす。プリント後、物品をバット又はリザーバから取り出し、任意選択で洗浄し、その後、上記のように環状カーボネートとアミンモノマーとの間の反応を完了させるためにオーブン内に置いてよい。
【0124】
実施例8
3Dプリント用インク
本明細書に記載の一部の実施形態によるインクを以下のように調製した。具体的には、本実施例では、第1のインク及び第2のインクを調製した。第1のインク及び第2のインクは、本明細書に記載のキットで使用されうる。或いは、後述するように、第1のインク及び第2のインクを互いに組み合せて、1つ以上の他のインクの使用と共に又は他のインクの使用なしに、3Dプリントシステム又は3Dプリント方法で使用されうる単一のインクを形成してもよい。
【0125】
第1のインク(「パーツA」とも称される)は、環状カーボネート部分及び(メタ)アクリレート部分を有する環状カーボネートモノマーを含んでいた。具体的には、第1の硬化性材料は、RがCHCHであり、RがCHであり、かつRがCHである上記の式(A9)の構造を有していた。第1のインクは、追加の(メタ)アクリレートモノマーからなる追加の硬化性材料も含んでいた。さらには、第1のインクは光開始剤を含んでいた。第2のインク(「パーツB」とも称される)は、複数の第一級又は第二級アミン部分を有するアミンモノマーを含んでいた。第1及び第2のインクの具体的な成分を以下に記載する。
【0126】
第1のインク(「パーツA」)は、20.5gの式(A9)(環状カーボネート部分);31.2gのトリエチレングリコールジメタクリレート(SR205、SARTOMERから入手)(追加の硬化性材料);及び0.94gの2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO)(光開始剤)を含んでいた。
【0127】
第2のインク(「パーツB」)は、10.7gのJeffamine XTJ566(トリアミン、HUNTSMANCHEMICALから入手)(アミンモノマー)を含んでいた。モノマーの量は、環状カーボネート部分(パーツA中)のアミン部分(パーツB中)に対する所望のモル比に基づき選択された。通常、その比は、0.5:1(環状カーボネート:アミン)~2:1、又は0.8:1~1.7:1の範囲で変動しうる。さらには、そのカーボネートとアミンモノマーとの合計の、追加の(メタ)アクリレート希釈剤の量に対する質量比は、1:5~1:0(カルボネート+アミンモノマー:(メタ)アクリレート希釈剤)の範囲であってよい。
【0128】
各インクを作製するために、各インクの個々の成分を組み合せて混合する。その混合物を撹拌しながら約20~25℃の温度に加熱した。混合物が実質的に均質な液体状態に達するまで加熱及び撹拌を続けた。その後、液体混合物を濾過した。
【0129】
MJM3Dプリントで使用するために、パーツA及びパーツBを2つの別個のチャンネル/インクディスペンサに供給し、その後、2つのインクを、基体上の隣接する又は近くの位置に、或いは隣接する又は近くのボクセルに噴射することによって混合する(デジタルミキシング)。噴射された材料はその後、UV硬化のためにUV放射に曝される。特に、UV硬化工程は、パーツAの(メタ)アクリレートモノマー、及び環状カーボネートモノマーの(メタ)アクリレート部分を硬化させる。この工程中に、パーツAの環状カーボネートモノマーの環状カーボネート部分とパーツBのアミンモノマーのアミン部分との間の反応の一部も生じうる。しかしながら、反応の程度は限られうる。この様式でプリントされた3D物品(環状カーボネート部分とアミン部分との実質的な反応はない)は、物品の損傷又は物品のプリント解像度の損失をもたらすことなく物品を取り扱うことを可能にするのに十分な生強度を有することができる。環状カーボネートとアミンモノマーとの間の反応を完了させるために、プリントされた物品をオーブン内に置いて環状カーボネート及びアミンモノマーを硬化させてよい。さらには、支持材料(ワックス支持材料など)を用いる場合、この第2の「又は「後」」硬化工程は、プリントされた物品からワックス支持材料を溶かして除去することもできる。オーブン内での後硬化は、80~100℃の温度で2~4時間の期間生じうる。一部の例では、物品は、最初に80℃で2時間オーブン内で加熱され、その後、100℃でさらに2時間オーブン内で加熱される。
【0130】
SLA、cSLA、又はDLPの3Dプリントで使用するために、パーツA及びパーツBを使用前に混合する。次に、その混合物を、3Dプリントのために、バット、リザーバ、又はインクカートリッジに供給する。SLA、cSLA、又はDLPプロセス中に生じる光硬化は、パーツAの(メタ)アクリレートモノマー及び式(A9)の(メタ)アクリレート部分を重合させ、再度、損傷又はプリント解像度の損失をもたらすことなく、プリントプロセス後に物品を取り扱うことを可能にするのに十分な生強度を物品にもたらす。プリント後、物品をバット又はリザーバから取り出し、任意選択で洗浄し、その後、上記のように環状カーボネートとアミンモノマーとの間の反応を完了させるためにオーブン内に置いてよい。
【0131】
実施例9
3Dプリント用インク
本明細書に記載の一部の実施形態によるインクを以下のように調製した。具体的には、本実施例では、第1のインク及び第2のインクを調製した。第1のインク及び第2のインクは、本明細書に記載のキットで使用されうる。或いは、後述するように、第1のインク及び第2のインクを互いに組み合せて、1つ以上の他のインクの使用と共に又は他のインクの使用なしに、3Dプリントシステム又は3Dプリント方法で使用されうる単一のインクを形成してもよい。
【0132】
第1のインク(「パーツA」とも称される)は、環状カーボネート部分及び(メタ)アクリレート部分を有する環状カーボネートモノマーを含んでいた。第1のインクは、追加の(メタ)アクリレートモノマーからなる追加の硬化性材料も含んでいた。さらには、第1のインクは光開始剤を含んでいた。第2のインク(「パーツB」とも称される)は、複数の第一級又は第二級アミン部分を有するアミンモノマーを含んでいた。第1及び第2のインクの具体的な成分を以下に記載する。
【0133】
第1のインク(「パーツA」)は、20gの炭酸グリセロールメタクリレート(環状カーボネートモノマー);35gのトリエチレングリコールジメタクリレート(SR205、SARTOMERから入手)(追加の硬化性材料);及び1.0gの2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO)(光開始剤)を含んでいた。
【0134】
第2のインク(「パーツB」)は、15gのJeffamine XTJ566(トリアミン、HUNTSMAN CHEMICALから入手)(アミンモノマー)を含んでいた。様々なモノマー及び硬化性材料の量は、環状カーボネート部分(パーツA中)のアミン部分(パーツB中)に対する所望のモル比に基づき選択された。通常、その比は、0.5:1(環状カーボネート:アミン)~2:1、又は0.8:1~1.7:1の範囲で変動しうる。さらには、カーボネートとアミンモノマーとの合計の、追加の(メタ)アクリレート希釈剤の総量に対する質量比は、1:5~1:0(カルボネート+アミンモノマー:(メタ)アクリレート希釈剤)の範囲であってよい。
【0135】
各インクを作製するために、各インクの個々の成分を組み合せて混合する。その混合物を撹拌しながら約75~85℃の温度に加熱した。混合物が実質的に均質な液体状態に達するまで加熱及び撹拌を続けた。その後、溶融混合物を濾過した。
【0136】
MJM3Dプリントで使用するために、パーツA及びパーツBを2つの別個のチャンネル/インクディスペンサに供給し、その後、2つのインクを、基体上の隣接する又は近くの位置に、或いは隣接する又は近くのボクセルに噴射することによって混合する(デジタルミキシング)。噴射された材料はその後、UV硬化のためにUV放射に曝される。特に、UV硬化工程は、パーツAの(メタ)アクリレートモノマー、及び環状カーボネートモノマーの(メタ)アクリレート部分を硬化させる。この工程中に、パーツAの環状カーボネートモノマーの環状カーボネート部分とパーツBのアミンモノマーのアミン部分との間の反応の一部も生じうる。しかしながら、反応の程度は限られうる。この様式でプリントされた3D物品(環状カーボネート部分とアミン部分との実質的な反応はない)は、物品の損傷又は物品のプリント解像度の損失をもたらすことなく物品を取り扱うことを可能にするのに十分な生強度を有することができる。環状カーボネート部分とアミン部分との間の反応を完了させるために、プリントされた物品をオーブン内に置いて環状カーボネート及びアミンモノマーを硬化させてよい。さらには、支持材料(ワックス支持材料など)を用いる場合、この第2の「又は「後」」硬化工程は、プリントされた物品からワックス支持材料を溶かして除去することもできる。オーブン内での後硬化は、80~100℃の温度で2~4時間の期間生じうる。一部の例では、物品は、最初に80℃で2時間オーブン内で加熱され、その後、100℃でさらに2時間オーブン内で加熱される。
【0137】
SLA、cSLA、又はDLPの3Dプリントで使用するために、パーツA及びパーツBを使用前に混合する。次に、その混合物を、3Dプリントのために、バット、リザーバ、又はインクカートリッジに供給する。SLA、cSLA、又はDLPプロセス中に生じる光硬化は、パーツAの(メタ)アクリレートモノマー(追加の硬化性材料)及び環状カーボネートモノマーの(メタ)アクリレート部分を重合させ、再度、損傷又はプリント解像度の損失をもたらすことなく、プリントプロセス後に物品を取り扱うことを可能にするのに十分な生強度を物品にもたらす。プリント後、物品をバット又はリザーバから取り出し、任意選択で洗浄し、その後、上記のように環状カーボネートとアミンモノマーとの間の反応を完了させるためにオーブン内に置いてよい。
【0138】
本明細書において言及された全ての特許文献は、その全体が参照することによって本明細書に取り込まれる。本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的を実現するために記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを理解されたい。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、多くの変更及び適応が当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0139】
他の実施形態
1.三次元プリントシステムで使用するためのインクであって、
環状カーボネートモノマー;及び
アミンモノマー
を含む、インク。
【0140】
2.前記環状カーボネートモノマーは、2つの環状カーボネート部分を含む、実施形態1に記載のインク。
【0141】
3.前記環状カーボネートモノマーは、3つ又は4つの環状カーボネート部分を含む、実施形態1又は2に記載のインク。
【0142】
4.前記環状カーボネートモノマーは、式(A1)、式(A2)、式(A3)、又は式(A4)の構造を有する、実施形態1又は2に記載のインク:
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。
【0143】
5.前記環状カーボネートモノマーは、式(A5)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化26】
式中、nは1~36の整数である。
【0144】
6.前記環状カーボネートモノマーは、式(A6)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク。
【化27】
【0145】
7.前記環状カーボネートモノマーは、式(A8)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化28】
式中、Rは、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。
【0146】
8.前記環状カーボネートモノマーは、式(A9)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化29】
式中、mは1~36の整数である。
【0147】
9.前記環状カーボネートモノマーは、式(A10)、式(A11)、式(A12)、又は式(A13)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
式中、R、R、及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり、及びRは、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。
【0148】
10.前記環状カーボネートモノマーは、1つ以上のエチレン性不飽和部分を含む、上記実施形態のいずれかに記載のインク。
【0149】
11.前記環状カーボネートモノマーは、1つ以上の(メタ)アクリレート部分を含む、実施形態10に記載のインク。
【0150】
12.前記環状カーボネートモノマーは、式(A14)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化34】
式中、
及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0151】
13.前記環状カーボネートモノマーは、式(A15)又は式(A16)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化35】
【化36】
式中、
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;
は、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0152】
14.前記環状カーボネートモノマーは、式(A17)又は式(A18)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化37】
【化38】
式中、
mは1~36の整数であり;
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0153】
15.前記環状カーボネートモノマーは、式(A19)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化39】
式中、
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C20の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0154】
16.前記環状カーボネートモノマーは、式(A20)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化40】
式中、
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C20の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;
は、H又はCHであり;
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分、或いは(CHCH(R)O)であり;
は、H又はCHであり;及び
nは1~100の整数である。
【0155】
17.前記環状カーボネートモノマーは、式(A21)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
【化41】
式中、
及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;
は、H又はCHであり;
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分、或いは(CHCH(R)O)であり;
は、H又はCHであり;及び
nは1~100の整数である。
【0156】
18.前記アミンモノマーは、2つのアミン部分を含む、上記実施形態のいずれかに記載のインク。
【0157】
19.前記アミンモノマーは、2つより多くのアミン部分を含む、上記実施形態のいずれかに記載のインク。
【0158】
20.前記アミンモノマーは、式(B1)の構造を有する、上記実施形態のいずれかに記載のインク:
N-R10-NH (B1)
式中、R10は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分である。
【0159】
21.前記アミンモノマーは、少なくとも1つの第二級又は第三級アミン部分を含む、上記実施形態のいずれかに記載のインク。
【0160】
22.エチレン性不飽和モノマーをさらに含む、上記実施形態のいずれかに記載のインク。
【0161】
23.
前記エチレン性不飽和モノマーが(メタ)アクリレートを含む、実施形態22に記載のインク。
【0162】
24.三次元プリントシステムで使用するためのキットであって、
環状カーボネートモノマーを含む第1のインク;及び
アミンモノマーを含む第2のインク
を含む、キット。
【0163】
25.前記第1のインクが、エチレン性不飽和モノマーをさらに含む、実施形態24に記載のキット。
【0164】
26.前記エチレン性不飽和モノマーが(メタ)アクリレートを含む、実施形態25に記載のキット。
【0165】
27.前記第1のインク及び/又は第2のインクが、光開始剤をさらに含む、実施形態25又は26に記載のキット。
【0166】
28.三次元プリントシステムであって、
インクディスペンサ及びインクリザーバの内の少なくとも1つを備えた三次元プリンタ;及び
前記インクディスペンサ、インクリザーバ又はその両方内に配置されたインク;
を有してなり、
前記インクが環状カーボネートモノマーを含む、三次元プリントシステム。
【0167】
29.前記インクがアミンモノマーをさらに含む、実施形態28に記載のシステム。
【0168】
30.前記インクがエチレン性不飽和モノマーをさらに含む、実施形態29に記載のシステム。
【0169】
31.第2のインクディスペンサ、及び該第2のインクディスペンサ内に配置された第2のインクをさらに有してなり、前記第2のインクがアミンモノマーを含む、実施形態28に記載のシステム。
【0170】
32.三次元物品をプリントする方法であって、
流体状態のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程を含み、
前記インクが、実施形態1~23のいずれかに記載のインクを含む、方法。
【0171】
33.前記インクの層が、三次元物品のコンピュータ可読形式の画像に従って堆積される、実施形態32に記載の方法。
【0172】
34.前記インクが1つ以上の(メタ)アクリレートを含み、該方法が、UV光で(メタ)アクリレートを硬化させる工程をさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0173】
35.環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーを熱硬化させる工程をさらに含む、実施形態34に記載の方法。
【0174】
36.三次元物品をプリントする方法であって、
流体状態の第1のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程;及び
流体状態の第2のインクの層を基体上に選択的に堆積させる工程;
を含み、
前記第1のインク及び第2のインクがそれぞれ、実施形態24~27のいずれかに記載の第1のインク及び第2のインクを含む、方法。
【0175】
37.前記第1のインクが1つ以上の(メタ)アクリレートを含み、該方法が、UV光で(メタ)アクリレートを硬化させる工程をさらに含む、実施形態36に記載の方法。
【0176】
38.前記第1のインクの環状カーボネートモノマー及び前記第2のインクのアミンモノマーを熱硬化させる工程をさらに含む、実施形態37に記載の方法。
【0177】
39.三次元物品をプリントする方法であって、
流体状態のインクを容器内に保持する工程;
前記容器内のインクにエネルギーを選択的に印加し、前記インクの第1の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、物品の第1の断面を画成する第1の固化層を形成する工程;
前記第1の固化層を上昇又は降下させて、容器内の流体インクの表面にインクの第2流体層を提供する工程;及び
前記容器内のインクにエネルギーを選択的に印加し、前記インクの第2の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、物品の第2の断面を画成する第2の固化層を形成する工程であって、前記第1の断面と第2の断面とがz方向に互いに結合される工程;
を含み、
前記インクが、実施形態1~23のいずれかに記載のインクを含む、方法。
【0178】
40.前記上昇又は降下させる工程、及びその後のエネルギーを選択的に印加する工程を、n回繰り返して三次元物品を形成することを含み、nは100,000までの整数である、実施形態39に記載の方法。
【0179】
41.プリントの後、形成された三次元物品を熱硬化させる工程をさらに含む、実施形態40に記載の方法。
【0180】
42.形成された三次元物品を熱硬化させる工程が、環状カーボネートモノマーとアミンモノマーとを反応させることを含む、実施形態41に記載の方法。
【0181】
43.前記インクが、1つ以上の(メタ)アクリレートをさらに含み、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加する工程が、UV放射にインクを選択的に曝すことを含む、実施形態42に記載の方法。
【0182】
44.UV放射にインクを曝すことにより、前記インクの(メタ)アクリレートを少なくとも部分的に硬化させる、実施形態43に記載の方法。
【0183】
45.実施形態1~23のいずれかに記載のインクから形成された、プリントされた三次元物品。
【0184】
46.環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーが、硬化されたときに、一緒にポリウレタンを形成し;
前記インクが1つ以上の(メタ)アクリレートを含み;
前記1つ以上の(メタ)アクリレートが、硬化されたときに、ポリ(メタ)アクリレートを形成し;及び
前記ポリウレタン及びポリ(メタ)アクリレートが、一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成する、実施形態45に記載の物品。
【0185】
47.実施形態24~27のいずれかに記載の第1のインク及び第2のインクから形成された、プリントされた三次元物品。
【0186】
48.環状カーボネートモノマー及びアミンモノマーが、硬化されたときに、一緒にポリウレタンを形成し;
前記第1のインクが1つ以上の(メタ)アクリレートをさらに含み;
前記1つ以上の(メタ)アクリレートが、硬化されたときに、ポリ(メタ)アクリレートを形成し;及び
前記ポリウレタン及びポリ(メタ)アクリレートが、一緒に相互貫入ポリマー網目構造を形成する、実施形態47に記載の物品。
【0187】
49.式(A15)の構造を有する環状カーボネートを含む組成物:
【化42】
式中、
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0188】
50.式(A16)の構造を有する環状カーボネートを含む組成物:
【化43】
式中、
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;
は、直鎖若しくは分枝鎖C2~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0189】
51.式(A17)又は式(A18)の構造を有する環状カーボネートを含む組成物:
【化44】
【化45】
式中、
mは1~36の整数であり;
は、直鎖若しくは分枝鎖C1~C36の、アルキル若しくはアルキレン、アルケニル若しくはアルケニレン、アリール若しくはアリーレン、又はヘテロアリール若しくはヘテロアリーレン部分であり;及び
は、H又はCHである。
【0190】
52.実施形態49~51のいずれかに記載の組成物を含む接着剤。
【0191】
53.基体;及び
前記基体上に設けられたコーティング
を備えた装置であって、
前記コーティングは、実施形態49~51のいずれかに記載の組成物を含む、装置。
図1
図2
図3
図4