(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】物理量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
G01L19/14
(21)【出願番号】P 2020176653
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020056211
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 信亮
(72)【発明者】
【氏名】簀河原 悠里
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-3271(JP,A)
【文献】特開2015-184259(JP,A)
【文献】特開2000-121474(JP,A)
【文献】特表2010-519524(JP,A)
【文献】特開2010-25934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面部に貫通孔が設けられた筒状ケースと、
前記筒状ケースに収容され、物理量を検出するセンサモジュールと、
前記センサモジュールが取り付けられ、前記筒状ケースの一方の開口を覆うように配置される継手と、
前記筒状ケースの他方の開口を覆うように配置される蓋部材と、
前記センサモジュールで検出された信号を受信する電子回路部および前記電子回路部を調整する電子調整部を有し、前記筒状ケースに収容される回路基板と、
前記貫通孔を覆うように取り付けられるキャップ部材と、
前記貫通孔と前記キャップ部材との間を封止する封止部材と、を備え、
前記電子調整部は、前記貫通孔に対応する位置に配置される被操作部を有し、
前記蓋部材は、前記回路基板を支持する回路基板支持部と、前記キャップ部材が着脱可能に取り付けられる被取付部とを有し、
前記キャップ部材は、前記筒状ケースの外側に配置され前記貫通孔を覆うキャップ部材本体部と、前記キャップ部材本体部の底面から延設されたキャップ部材軸部と、前記キャップ部材軸部の先端から前記キャップ部材軸部の径方向に延設されたキャップ部材係合部と、を有し、
前記封止部材は、環状に設けられ前記キャップ部材軸部を囲うように配置される封止部材本体部と、前記封止部材本体部から延設された線状部材と、前記線状部材の先端に設けられた封止部材係合部と、を有し、
前記被取付部には、前記キャップ部材軸部が挿通可能に構成された軸部挿通孔と、前記キャップ部材係合部が挿通可能に構成され前記軸部挿通孔と連続する係合部挿通孔と、前記線状部材が配置され前記軸部挿通孔と連続する溝部とが設けられ、
前記キャップ部材は、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能に前記被取付部に軸支され、前記第1姿勢において前記キャップ部材係合部が前記係合部挿通孔と挿通可能とされ、前記第2姿勢において前記キャップ部材係合部が前記被取付部と係合し、
前記第1姿勢において、前記線状部材は、前記キャップ部材係合部よりも、前記キャップ部材軸部の方向から見て前記第1姿勢から前記第2姿勢へと回転する回転方向側に配置されている
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項2】
周面部に貫通孔が設けられた筒状ケースと、
前記筒状ケースに収容され、物理量を検出するセンサモジュールと、
前記センサモジュールが取り付けられ、前記筒状ケースの一方の開口を覆うように配置される継手と、
前記筒状ケースの他方の開口を覆うように配置される蓋部材と、
前記センサモジュールで検出された信号を受信する電子回路部および前記電子回路部を調整する電子調整部を有し、前記筒状ケースに収容される回路基板と、
前記貫通孔を覆うように取り付けられるキャップ部材と、
前記貫通孔と前記キャップ部材との間を封止する封止部材と、を備え、
前記電子調整部は、前記貫通孔に対応する位置に配置される被操作部を有し、
前記蓋部材は、前記回路基板を支持する回路基板支持部と、前記キャップ部材が着脱可能に取り付けられる被取付部とを有し、
前記キャップ部材は、前記筒状ケースの外側に配置され前記貫通孔を覆うキャップ部材本体部と、前記キャップ部材本体部の底面から延設されたキャップ部材軸部と、前記キャップ部材軸部の先端から前記キャップ部材軸部の径方向に延設されたキャップ部材係合部と、を有し、
前記封止部材は、環状に設けられ前記キャップ部材軸部を囲うように配置される封止部材本体部と、前記封止部材本体部から延設された線状部材と、前記線状部材の先端に設けられ前記線状部材と交差する方向に沿って配置された封止部材係合軸部と、を有し、
前記被取付部には、前記キャップ部材軸部が挿通可能に構成された軸部挿通孔と、前記キャップ部材係合部が挿通可能に構成され前記軸部挿通孔と連続する係合部挿通孔と、前記線状部材が配置され前記封止部材係合軸部が挿通可能な係合軸部挿通孔とが設けられ、
前記キャップ部材は、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能に前記被取付部に軸支され、前記第1姿勢において前記キャップ部材係合部が前記係合部挿通孔と挿通可能とされ、前記第2姿勢において前記キャップ部材係合部が前記被取付部と係合する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の物理量測定装置において、
前記封止部材係合軸部の一方の端部には、先端に向かうにしたがって径が小さくなる突出部が形成され、
前記封止部材係合軸部の他方の端部には、軸方向に沿って凹部が形成されている
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
前記被取付部には、前記貫通孔に向かって突出し、前記貫通孔と係合する係合凸部が設けられる
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
前記キャップ部材係合部は、第1係合部と、前記キャップ部材軸部を挟んで前記第1係合部とは反対側に設けられ前記第1係合部と大きさが異なる第2係合部とを有し、
前記係合部挿通孔は、前記第1係合部に対応する第1係合部挿通孔と、前記軸部挿通孔を挟んで前記第1係合部挿通孔とは反対側に設けられ前記第2係合部に対応する第2係合部挿通孔と、を有する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
前記キャップ部材本体部は五角形状に形成される
ことを特徴とする物理量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に設けられた電子回路部を調整する電子調整部が内蔵された物理量測定装置が知られている(例えば、特許文献1など)。
特許文献1では、筒状のケースの開口端に取り付けられた蓋部材に、電子調整部を調整する際に使用される操作孔を設けることで、ケースから蓋部材を取り外さなくても、電子調整部の操作を可能にしている。
【0003】
また、特許文献1では、操作孔を通して水などがケース内に浸入してしまうことを防ぐために、操作孔を閉塞するキャップ部材が着脱可能に取りけられている。そして、このようなキャップ部材を紛失してしまうことを防止するために、キャップ部材には紛失防止部材の一端が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、紛失防止部材の一端をキャップ部材に接続させ、他端を蓋部材に係合させてから、蓋部材をケースに取り付ける必要がある。そうすると、ケースに蓋部材を取り付けた状態で、紛失防止部材の一端が接続されたキャップ部材を取り付けることができない。そのため、ケースを組み立てた後に紛失防止部材が損傷した場合に、ケースを分解しないと紛失防止部材を交換できないので、補修作業が煩雑になるといった問題があった。
【0006】
本発明は、補修作業を容易にすることができる物理量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物理量測定装置は、周面部に貫通孔が設けられた筒状ケースと、前記筒状ケースに収容され、物理量を検出するセンサモジュールと、前記センサモジュールが取り付けられ、前記筒状ケースの一方の開口を覆うように配置される継手と、前記筒状ケースの他方の開口を覆うように配置される蓋部材と、前記センサモジュールで検出された信号を受信する電子回路部および前記電子回路部を調整する電子調整部を有し、前記筒状ケースに収容される回路基板と、前記貫通孔を覆うように取り付けられるキャップ部材と、前記貫通孔と前記キャップ部材との間を封止する封止部材と、を備え、前記電子調整部は、前記貫通孔に対応する位置に配置される被操作部を有し、前記蓋部材は、前記回路基板を支持する回路基板支持部と、前記キャップ部材が着脱可能に取り付けられる被取付部とを有し、前記キャップ部材は、前記筒状ケースの外側に配置され前記貫通孔を覆うキャップ部材本体部と、前記キャップ部材本体部の底面から延設されたキャップ部材軸部と、前記キャップ部材軸部の先端から前記キャップ部材軸部の径方向に延設されたキャップ部材係合部と、を有し、前記封止部材は、環状に設けられ前記キャップ部材軸部を囲うように配置される封止部材本体部と、前記封止部材本体部から延設された線状部材と、前記線状部材の先端に設けられた封止部材係合部と、を有し、前記被取付部には、前記キャップ部材軸部が挿通可能に構成された軸部挿通孔と、前記キャップ部材係合部が挿通可能に構成され前記軸部挿通孔と連続する係合部挿通孔と、前記線状部材が配置され前記軸部挿通孔と連続する溝部とが設けられ、前記キャップ部材は、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能に前記被取付部に軸支され、前記第1姿勢において前記キャップ部材係合部が前記係合部挿通孔と挿通可能とされ、前記第2姿勢において前記キャップ部材係合部が前記被取付部と係合し、前記第1姿勢において、前記線状部材は、前記キャップ部材係合部よりも、前記キャップ部材軸部の方向から見て前記第1姿勢から前記第2姿勢へと回転する回転方向側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、キャップ部材は、筒状ケースの外側に配置され貫通孔を覆うキャップ部材本体部と、キャップ部材本体部の底面から延設されたキャップ部材軸部と、キャップ部材軸部の先端からキャップ部材軸部の径方向に延設されたキャップ部材係合部と、を有する。また、封止部材は、環状に設けられキャップ部材軸部を囲うように配置される封止部材本体部と、封止部材本体部から延設された線状部材と、線状部材の先端に設けられた封止部材係合部と、を有する。そして、キャップ部材が着脱可能に取り付けられる被取付部には、キャップ部材軸部が挿通可能に構成された軸部挿通孔と、キャップ部材係合部が挿通可能に構成され前記軸部挿通孔と連続する係合部挿通孔と、線状部材が配置される溝部とが設けられる。これにより、キャップ部材は、第1姿勢においてキャップ部材係合部が係合部挿通孔と挿通可能とされ、第2姿勢においてキャップ部材係合部が被取付部と係合するので、被取付部に着脱可能に取り付けられる。
ここで、第1姿勢において、線状部材は、キャップ部材係合部よりも、キャップ部材軸部の軸方向から見て第1姿勢から第2姿勢へと回転する回転方向側に配置されている。そのため、キャップ部材を第1姿勢にした状態で、キャップ部材軸部と線状部材とを軸部挿通孔に挿通させ、その後、キャップ部材を第1姿勢から第2姿勢へと回転させると、線状部材はキャップ部材係合部に付勢されて、キャップ部材と同じ方向に回転する。そうすると、線状部材は回転方向に移動しながら被取付部の溝部に導かれるので、線状部材を溝部に配置することができる。そのため、筒状ケースを組み立ててから、キャップ部材を取り付ける場合にも、キャップ部材の紛失を防止する線状部材を、筒状ケース内に配置される被取付部に取り付けることができる。したがって、仮に、筒状ケースを組み立てた後に、線状部材が損傷してしまったとしても、線状部材を有する封止部材を容易に交換することができる。
【0009】
本発明の物理量測定装置は、周面部に貫通孔が設けられた筒状ケースと、前記筒状ケースに収容され、物理量を検出するセンサモジュールと、前記センサモジュールが取り付けられ、前記筒状ケースの一方の開口を覆うように配置される継手と、前記筒状ケースの他方の開口を覆うように配置される蓋部材と、前記センサモジュールで検出された信号を受信する電子回路部および前記電子回路部を調整する電子調整部を有し、前記筒状ケースに収容される回路基板と、前記貫通孔を覆うように取り付けられるキャップ部材と、前記貫通孔と前記キャップ部材との間を封止する封止部材と、を備え、前記電子調整部は、前記貫通孔に対応する位置に配置される被操作部を有し、前記蓋部材は、前記回路基板を支持する回路基板支持部と、前記キャップ部材が着脱可能に取り付けられる被取付部とを有し、前記キャップ部材は、前記筒状ケースの外側に配置され前記貫通孔を覆うキャップ部材本体部と、前記キャップ部材本体部の底面から延設されたキャップ部材軸部と、前記キャップ部材軸部の先端から前記キャップ部材軸部の径方向に延設されたキャップ部材係合部と、を有し、前記封止部材は、環状に設けられ前記キャップ部材軸部を囲うように配置される封止部材本体部と、前記封止部材本体部から延設された線状部材と、前記線状部材の先端に設けられ前記線状部材と交差する方向に沿って配置された封止部材係合軸部と、を有し、前記被取付部には、前記キャップ部材軸部が挿通可能に構成された軸部挿通孔と、前記キャップ部材係合部が挿通可能に構成され前記軸部挿通孔と連続する係合部挿通孔と、前記線状部材が配置され前記封止部材係合軸部が挿通可能な係合軸部挿通孔とが設けられ、前記キャップ部材は、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能に前記被取付部に軸支され、前記第1姿勢において前記キャップ部材係合部が前記係合部挿通孔と挿通可能とされ、前記第2姿勢において前記キャップ部材係合部が前記被取付部と係合することを特徴とする。
【0010】
本発明では、キャップ部材は、筒状ケースの外側に配置され貫通孔を覆うキャップ部材本体部と、キャップ部材本体部の底面から延設されたキャップ部材軸部と、キャップ部材軸部の先端からキャップ部材軸部の径方向に延設されたキャップ部材係合部と、を有する。また、封止部材は、環状に設けられキャップ部材軸部を囲うように配置される封止部材本体部と、封止部材本体部から延設された線状部材と、線状部材の先端に設けられ線状部材と交差する方向に沿って配置された封止部材係合軸部と、を有する。そして、キャップ部材が着脱可能に取り付けられる被取付部には、キャップ部材軸部が挿通可能に構成された軸部挿通孔と、キャップ部材係合部が挿通可能に構成され軸部挿通孔と連続する係合部挿通孔と、線状部材が配置され封止部材係合軸部が挿通可能な係合軸部挿通孔とが設けられる。これにより、キャップ部材は、第1姿勢においてキャップ部材係合部が係合部挿通孔と挿通可能とされ、第2姿勢においてキャップ部材係合部が被取付部と係合するので、被取付部に着脱可能に取り付けられる。
【0011】
ここで、被取付部には、封止部材係合軸部が挿通可能な係合軸部挿通孔が設けられている。そのため、先ず、封止部材係合軸部を係合軸部挿通孔に挿通させ、その後、線状部材を係合軸部挿通孔に配置するようにすれば、封止部材を被取付部に取り付けることができる。この際、線状部材と封止部材係合軸部とは交差しているので、線状部材を係合軸部挿通孔に配置した後は、封止部材係合軸部と被取付部とは係合する。すなわち、封止部材を取り外す方向に線状部材を引っ張っても、被取付部から封止部材係合軸部は簡単に抜けない。そのため、キャップ部材を取り付けた状態で、封止部材を上記の手順で被取付部に取り付ければ、キャップ部材の紛失を防止することができる。
すなわち、筒状ケースを組み立ててから、キャップ部材を取り付ける場合にも、キャップ部材の紛失を防止する線状部材を、筒状ケース内に配置される被取付部に取り付けることができる。したがって、仮に、筒状ケースを組み立てた後に、線状部材が損傷してしまったとしても、線状部材を有する封止部材を容易に交換することができる。
【0012】
本発明の物理量測定装置において、前記封止部材係合軸部の一方の端部には、先端に向かうにしたがって径が小さくなる突出部が形成され、前記封止部材係合軸部の他方の端部には、軸方向に沿って凹部が形成されていることが望ましい。
この構成では、封止部材係合軸部の凹部にドライバー等の工具を挿入させ、その状態で、封止部材係合軸部の突出部を係合軸部挿通孔に挿通させることができる。そのため、封止部材係合軸部を係合軸部挿通孔に挿通させる作業を容易にすることができる。
【0013】
本発明の物理量測定装置において、前記被取付部には、前記貫通孔に向かって突出し、前記貫通孔と係合する係合凸部が設けられることが好ましい。
この構成では、被取付部の係合凸部を貫通孔に係合させることができるので、貫通孔に対して被取付部を容易に位置決めすることができる。そのため、物理量測定装置の組立を容易にすることができる。
【0014】
本発明の物理量測定装置において、前記キャップ部材係合部は、第1係合部と、前記キャップ部材軸部を挟んで前記第1係合部とは反対側に設けられ前記第1係合部と大きさが異なる第2係合部とを有し、前記係合部挿通孔は、前記第1係合部に対応する第1係合部挿通孔と、前記軸部挿通孔を挟んで前記第1係合部挿通孔とは反対側に設けられ前記第2係合部に対応する第2係合部挿通孔と、を有することが好ましい。
この構成では、キャップ部材係合部は、第1係合部および第2係合部を有するので、第2姿勢において被取付部に確実に係合させることができる。そのため、第2姿勢において、キャップ部材が被取付部から脱落してしまうことを抑制することができる。
【0015】
本発明の物理量測定装置において、前記キャップ部材本体部は五角形状に形成されることが好ましい。
この構成では、キャップ部材本体部は五角形状なので、ユーザーは、キャップ部材が第1姿勢であるか、または、第2姿勢であるかを容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る物理量測定装置の概略を示す斜視図。
【
図2】前記実施形態の物理量測定装置の概略を示す分解斜視図。
【
図4】キャップ部材および封止部材の概略を示す斜視図。
【
図5】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【
図6】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【
図7】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【
図10】第2実施形態の封止部材の概略を示す斜視図。
【
図11】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【
図12】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【
図13】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【
図14】キャップ部材および封止部材の取付工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の物理量測定装置1の概略を示す斜視図であり、
図2は、物理量測定装置1の概略を示す分解斜視図である。なお、本実施形態の物理量測定装置1は、被測定流体の圧力を測定可能に構成されている。
図1、
図2に示すように、物理量測定装置1は、筒状ケース2と、継手3と、センサモジュール4と、蓋部材5と、回路基板6と、信号伝達部材7と、保持部材8と、キャップ部材9と、封止部材10とを備えている。
【0018】
[筒状ケース2]
筒状ケース2は、円筒状に形成された金属製の部材であり、中心軸Rに沿った方向の一方に第1開口21が形成され、他方に第2開口22が形成されている。
また、筒状ケース2の周面には、筒状ケース2の一部が窪んで形成された凹部23が設けられている。そして、筒状ケース2の凹部23の底面に貫通孔24が形成されている。すなわち、貫通孔24は、筒状ケース2の周面部に設けられている。
さらに、第2開口22側には、蓋部材5を嵌合するための嵌合リング25が設けられている。そして、嵌合リング25の内側には、段差部26が形成されている。
【0019】
[継手3]
継手3は、金属製の部材であり、筒状ケース2の第1開口21を覆うように配置される。本実施形態では、継手3は、筒状ケース2の第1開口21側の端部に溶接されて接合されている。なお、継手3と筒状ケース2とは溶接により接合されることに限定されず、例えば、継手3は筒状ケース2に螺合されて取り付けられていてもよい。
継手3には、被測定流体を導入する導入孔(図示略)が形成されている。また、継手3の一端部は、中心から径方向に延びて形成されスパナ等の工具と係合する工具係合部31とされ、他端部は、図示略の被取付箇所に螺合される雄ねじ部32とされている。なお、継手3の他端部は雄ねじ部32とされることに限られず、例えば、雌ねじ部とされていてもよい。さらに、継手3の他端部は、被取付箇所に溶接により取り付けられるように構成されていてもよい。
【0020】
[センサモジュール4]
センサモジュール4は、継手3の一端部側に取り付けられる筒体部41と、当該筒体部41の一端側に一体に形成されるダイアフラム42とを有する。
ダイアフラム42には図示しない歪みゲージが形成されており、この歪みゲージによって、導入孔から導入された被測定流体の圧力を検出するようにされている。そして、センサモジュール4は、検出した圧力に応じて、検出信号を後述する電子回路部62に出力するように構成されている。
なお、センサモジュール4はダイアフラム42を有するものに限定されるわけではなく、例えば、所謂MEMS(Micro Electro Mechanical System)センサであってもよく、被測定流体の圧力を検出可能に構成されていればよい。
【0021】
[蓋部材5]
図3は、蓋部材5の概略を示す正面図である。
図1~
図3に示すように、蓋部材5は、樹脂製の所謂コネクタタイプの部材であり、蓋本体51と、筒状部52と、回路基板支持部53と、被取付部54とを備える。
【0022】
蓋本体51は円板状に形成されており、前述の嵌合リング25がかしめられることで、筒状ケース2に取り付けられている。また、蓋本体51の底面には、筒状部52と連通する図示略の連通孔が設けられている。
筒状部52は、内周面が信号伝達部材7を収容する取付孔521とされている。また、筒状部52の外周面は雄ねじ部とされている。
【0023】
回路基板支持部53は、回路基板6を支持する部材であり、蓋本体51から突出して設けられている。本実施形態では、回路基板支持部53は、一対の第1支持部531および第2支持部532を有する。そして、回路基板支持部53は、第1支持部531と第2支持部532により、回路基板6を挟持することで、回路基板6を支持している。
【0024】
被取付部54は、キャップ部材9が着脱可能に取り付けられる部材である。本実施形態では、被取付部54は、被取付部本体541と、連結部542と、係合凸部543とを有する。
被取付部本体541は、平板状に設けられており、連結部542により第1支持部531および第2支持部532に連結されて支持されている。そして、被取付部本体541には、軸部挿通孔541Aと、第1係合部挿通孔541Bと、第2係合部挿通孔541Cと、溝部541Dと、被係合部541E(
図5参照)とが形成されている。
係合凸部543は、被取付部本体541から筒状ケース2の貫通孔24に向かって突出して設けられている。そして、本実施形態では、係合凸部543は、貫通孔24に挿入されて係合している。これにより、蓋部材5が筒状ケース2に対して位置決めされている。
【0025】
軸部挿通孔541Aは、後述するキャップ部材9のキャップ部材軸部92が挿通可能とされている。
第1係合部挿通孔541Bは、軸部挿通孔541Aと連続して設けられている。そして、第1係合部挿通孔541Bは、後述するキャップ部材9の第1係合部931に対応した形状に形成されており、第1係合部931が挿通可能とされている。
第2係合部挿通孔541Cは、軸部挿通孔541Aを挟んで第1係合部挿通孔541Bとは反対側に、軸部挿通孔541Aと連続して設けられている。そして、第2係合部挿通孔541Cは、後述するキャップ部材9の第2係合部932に対応した形状に形成されており、第2係合部932が挿通可能とされている。なお、第1係合部挿通孔541Bおよび第2係合部挿通孔541Cは、軸部挿通孔541Aと連続する本開示の係合部挿通孔を構成する。
【0026】
溝部541Dは、軸部挿通孔541Aに連続して設けられている。本実施形態では、溝部541Dは、軸部挿通孔541Aの第1係合部挿通孔541Bよりの位置と連通するように形成されている。そして、溝部541Dには、後述する封止部材10の線状部材102が配置される。
被係合部541E(
図5参照)は、第1係合部931と係合可能に形成されている。被係合部541Eの詳細については、後述する。
なお、被取付部54に対するキャップ部材9および封止部材10の取付方法の詳細については、後述する。
【0027】
[回路基板6]
回路基板6は、基板本体61と、電子回路部62と、電子調整部63とを有する。
基板本体61は、筒状ケース2の中心軸Rに沿った方向が長手方向とされる平面矩形状の板部材であり、その正面には図示しない配線パターンが形成されている。本実施形態では、基板本体61は、互いに平行に配置された第1基板611と第2基板612とを備え、これらの第1基板611と第2基板612との間は連結体613で連結されている。そして、第1基板611および第2基板612は、前述した蓋部材5の回路基板支持部53に挟持されることにより、蓋部材5に支持されている。
また、本実施形態では、第2基板612に係止孔612Aが2箇所に形成されている。そして、当該係止孔612Aに後述する保持部材8の係止片部82が挿入されることにより、回路基板6は保持部材8によって保持されている。
なお、基板本体61は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、基板本体61は1枚の基板から構成されていてもよく、あるいは、3枚以上の基板から構成されていてもよい。
【0028】
電子回路部62は、センサモジュール4からの検出信号を受信するものであり、第1基板611に設けられている。そして、センサモジュール4の歪みゲージと電子回路部62とは図示しない電線等で電気的に接続されている。
【0029】
電子調整部63は、電子回路部62を調整するものであり、筒状ケース2の周面に対向するように第1基板611に設けられている。
本実施形態では、電子調整部63は、トリマとして機能する被操作部631を有する。そして、被操作部631は、筒状ケース2の貫通孔24に対応する位置に設けられている。これにより、キャップ部材9を取り外して貫通孔24を露出させれば、貫通孔24からドライバー等を挿入して被操作部631を操作することができる。
【0030】
[信号伝達部材7]
信号伝達部材7は、円筒部材71と、円筒部材71に設けられた複数のターミナル端子72とを有する。ターミナル端子72は図示しない電線等によって回路基板6に電気的に接続されている。
【0031】
[保持部材8]
保持部材8は、回路基板6を保持するための金属製の部材である。本実施形態では、保持部材8は、平面部81と、係止片部82とを有する。そして、平面部81は、第1板部81Aと、第2板部81Bとを有する。
【0032】
第1板部81Aは、筒状ケース2の段差部26と蓋部材5の蓋本体51との間に挟持されるものであり、その外形形状は嵌合リング25の内周面に対応する。
第1板部81Aの円弧を構成する外面とは反対側の直線部は、回路基板支持部53の側面に当接する。これにより、保持部材8が蓋部材5に対して位置決めされる。
【0033】
第2板部81Bは、第1板部81Aに一体に形成され、一対の第1支持部531および第2支持部532の間で、かつ、蓋本体51と回路基板6との間に挿通される。そして、第2板部81Bには、窓部81Cが形成されている。窓部81Cは、ターミナル端子72と回路基板6とを電気的に接続するための電線等を挿通するためのスペースである。
【0034】
係止片部82は、第1板部81Aに一体に形成されている。本実施形態では、係止片部82は2個設けられている。そして、前述したように、係止片部82は、回路基板6の係止孔612Aにそれぞれ挿入されており、係止片部82と係止孔612Aとは、図示略の半田により固定されている。これにより、保持部材8は回路基板6を保持している。
【0035】
[キャップ部材9]
図4は、キャップ部材9および封止部材10の概略を示す斜視図である。
図1~
図4に示すように、キャップ部材9は、樹脂製であり、貫通孔24を覆うように取り付けられている。本実施形態では、キャップ部材9は、前述したように、蓋部材5の被取付部54に着脱自在に取り付けられている。また、キャップ部材9は、キャップ部材本体部91と、キャップ部材軸部92と、キャップ部材係合部93とを有する。
【0036】
キャップ部材本体部91は、筒状ケース2の貫通孔24を覆うように、筒状ケース2の外側に配置されている。より具体的には、キャップ部材本体部91は、筒状ケース2の凹部23に配置されている。
また、本実施形態では、キャップ部材本体部91は、頂点91Aを有する五角形状に形成され、筒状ケース2に対向する底面91Bと、底面91Bとは反対側に設けられた表面91Cとを有している。
【0037】
キャップ部材軸部92は、キャップ部材本体部91の底面91Bから、キャップ部材本体部91と一体に延設されている。そして、キャップ部材軸部92は、前述したように、被取付部54の軸部挿通孔541Aに挿通可能に構成されている。
【0038】
キャップ部材係合部93は、キャップ部材軸部92の先端からキャップ部材軸部92の径方向に延設されている。本実施形態では、キャップ部材係合部93は、第1係合部931と、第2係合部932とを有する。
第1係合部931は、キャップ部材軸部92から四角柱状に延設されており、前述した第1係合部挿通孔541Bに挿通可能とされている。すなわち、第1係合部931は、第1係合部挿通孔541Bよりも、やや小さく形成されている。
【0039】
第2係合部932は、キャップ部材軸部92を挟んで第1係合部931とは反対側に設けられている。そして、本実施形態では、第2係合部932は、キャップ部材軸部92から四角柱状に延設され、前述した第2係合部挿通孔541Cに挿通可能とされている。すなわち、第2係合部932は、第2係合部挿通孔541Cよりも、やや小さく形成されている。
また、本実施形態では、第2係合部932は、第1係合部931よりも一回り大きくなるように形成されている。すなわち、第1係合部931と第2係合部932とは、大きさが異なっている。
【0040】
ここで、本実施形態では、キャップ部材本体部91の頂点91Aが上向きに突出する場合、つまり、鉛直方向に突出する場合、第1係合部931および第2係合部932は、キャップ部材軸部92に対して水平方向に延びて、第1係合部挿通孔541Bおよび第2係合部挿通孔541Cにそれぞれ挿通可能とされる。すなわち、キャップ部材本体部91の頂点91Aが鉛直方向に突出する場合、キャップ部材9を蓋部材5の被取付部54に取り付けたり、キャップ部材9を蓋部材5の被取付部54から取り外したりすることができる。
また、キャップ部材本体部91の頂点91Aが横向きに突出する場合、つまり、水平方向に突出する場合、第1係合部931および第2係合部932は、キャップ部材軸部92に対して鉛直方向に延びて、蓋部材5の被取付部54に係合する。すなわち、キャップ部材本体部91の頂点91Aが水平方向に突出する場合、キャップ部材9を蓋部材5の被取付部54から取り外すことができない。
なお、頂点91Aが鉛直方向に突出するキャップ部材9の姿勢は本発明の第1姿勢の一例であり、頂点91Aが水平方向に突出するキャップ部材9の姿勢は本発明の第2姿勢の一例である。
【0041】
[封止部材10]
封止部材10は、筒状ケース2の貫通孔24と、キャップ部材9のキャップ部材本体部91との間を封止する部材である。また、封止部材10は、ゴムや弾性を有する合成樹脂にて形成されており、キャップ部材9に取り付けられている。本実施形態では、封止部材10は、封止部材本体部101と、線状部材102と、封止部材係合部103とを有する。
【0042】
封止部材本体部101は、円環状に設けられ、キャップ部材軸部92を囲うように配置されている。そして、本実施形態では、封止部材本体部101には、筒状ケース2に向かって突出する突出部101Aが縁部に沿って形成されている。封止部材本体部101は、キャップ部材本体部91と筒状ケース2との間に配置された際に、当該突出部101Aが弾性変形することで、キャップ部材本体部91と貫通孔24との間を封止する。
【0043】
線状部材102は、キャップ部材本体部91から筒状ケース2側に棒状に延設されている。そして、線状部材102は、前述した被取付部本体541の溝部541Dに挿通される。
封止部材係合部103は、線状部材102の先端に設けられている。本実施形態では、封止部材係合部103は、略半球状に形成されている。
【0044】
[キャップ部材9および封止部材10の取付方法]
次に、キャップ部材9および封止部材10の取付方法について説明する。
図5~
図7は、キャップ部材9および封止部材10の取付工程を示す図である。なお、
図5~
図7では、分かりやすくするために、筒状ケース2や回路基板6等を省略して示している。また、
図5~
図7では、
図3とは反対側の方向から蓋部材5を見ている。
【0045】
先ず、筒状ケース2を組み立てる。つまり、キャップ部材9および封止部材10を除いて、物理量測定装置1を組み立てる。そして、
図5に示すように、キャップ部材本体部91を頂点91Aが鉛直方向に突出するように向け、この状態で、キャップ部材軸部92、第1係合部931、第2係合部932を、それぞれ軸部挿通孔541A、第1係合部挿通孔541B、第2係合部挿通孔541Cに挿通させる。
さらに、線状部材102および封止部材係合部103を軸部挿通孔541Aに挿通させる。すなわち、キャップ部材軸部92の軸方向から見て、線状部材102および封止部材係合部103が第2係合部932よりも反時計回り方向側に位置するように、封止部材10をキャップ部材9に取り付けておく。
【0046】
次に、
図6に示すように、キャップ部材軸部92を回転中心にして、キャップ部材9を反時計回り方向に回転させる。そうすると、線状部材102および封止部材係合部103は、第2係合部932に付勢されて、反時計回り方向に移動する。なお、反時計回り方向は、本発明の回転方向の一例である。
【0047】
そして、
図7に示すように、キャップ部材9をさらに反時計回り方向に回転させると、キャップ部材本体部91の頂点91Aが水平方向に向いた状態で、第1係合部931が被係合部541Eに係合する。これにより、キャップ部材9の反時計回り方向の回転が規制される。そして、前述したように、この状態において、第1係合部931および第2係合部932は被取付部54に係合する。そのため、この状態では、キャップ部材9は、被取付部54から脱落することはない。すなわち、キャップ部材9は、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢と水平方向に突出する姿勢とに回動可能に被取付部54に軸支される。
【0048】
また、
図7に示すように、第1係合部931が被係合部541Eに係合するまでキャップ部材9を反時計回り方向に回転させると、線状部材102は第2係合部932に付勢されて溝部541Dに配置される。これにより、封止部材10が被取付部54に取り付けられる。このように、本実施形態では、筒状ケース2が組み立てられた状態で、キャップ部材9および封止部材10を取り付けることができる。
そして、この状態でキャップ部材9を時計回り方向に回転させても、線状部材102は溝部541Dに配置されており、第1係合部931および第2係合部932によって付勢されることはない。つまり、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢と水平方向に突出する姿勢とにキャップ部材9を回動させても、封止部材10が被取付部54から外れてしまうことはない。
【0049】
図8は、封止部材10の取付状態を示す図である。
図8に示すように、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢にキャップ部材9を回転させると、第1係合部931および第2係合部932を被取付部54から取り外すことができる。この状態において、線状部材102は溝部541Dに配置されているので、封止部材係合部103は被取付部54に係合する。これにより、キャップ部材9を被取付部54から取り外した状態でも、封止部材10が被取付部54から外れることはない。そのため、キャップ部材9を取り外した際に、封止部材10が取り付けられているキャップ部材9を紛失してしまうことを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、キャップ部材本体部91は頂点91Aを有する五角形状に形成されることから、第1係合部931および第2係合部932の向きを容易に認識することができる。すなわち、ユーザーは、キャップ部材本体部91の向きを確認することにより、キャップ部材9が着脱可能であるか否かを容易に認識することができる。
【0050】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、キャップ部材9は、筒状ケース2の外側に配置され貫通孔24を覆うキャップ部材本体部91と、キャップ部材本体部91の底面91Bから延設されたキャップ部材軸部92と、キャップ部材軸部92の先端からキャップ部材軸部92の径方向に延設された第1係合部931および第2係合部932とを有する。また、封止部材10は、円環状に設けられキャップ部材軸部92を囲うように配置される封止部材本体部101と、封止部材本体部101から延設された線状部材102と、線状部材102の先端に設けられた封止部材係合部103と、を有する。そして、キャップ部材9が着脱可能に取り付けられる被取付部54には、キャップ部材軸部92が挿通可能に構成された軸部挿通孔541Aと、第1係合部931が挿通可能に構成され軸部挿通孔541Aと連続する第1係合部挿通孔541Bと、第2係合部932が挿通可能に構成され軸部挿通孔541Aと連続する第2係合部挿通孔541Cと、線状部材102が配置される溝部541Dとが設けられる。これにより、キャップ部材9は、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢において、第1係合部931および第2係合部932が、それぞれ第1係合部挿通孔541Bおよび第2係合部挿通孔541Cと挿通可能とされる。さらに、キャップ部材9は、頂点91Aが水平方向に突出する姿勢、つまり、第2姿勢において第1係合部931および第2係合部932が被取付部54と係合する。そのため、キャップ部材9は、被取付部54に着脱可能に取り付けられる。
ここで、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢、つまり、第1姿勢において、線状部材102は、第2係合部932よりも、キャップ部材軸部92の軸方向から見て、反時計回り方向側に配置されている。そのため、キャップ部材9を頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢にした状態で、キャップ部材軸部92と線状部材102とを軸部挿通孔541Aに挿通させ、その後、キャップ部材9を反時計回り方向に回転させると、線状部材102は第2係合部932に付勢されて、反時計回り方向に回転する。そうすると、線状部材102は反時計回り方向に移動しながら被取付部54の溝部541Dに導かれるので、線状部材102を溝部541Dに配置することができる。そのため、筒状ケース2を組み立ててから、キャップ部材9を取り付ける場合にも、キャップ部材9の紛失を防止する線状部材102を、筒状ケース2内に配置される被取付部54に取り付けることができる。したがって、仮に、筒状ケース2を組み立てた後に、線状部材102が損傷してしまったとしても、線状部材102を有する封止部材10を容易に交換することができる。
【0051】
(2)本実施形態では、被取付部54の係合凸部543を貫通孔24に係合させることができるので、貫通孔24に対して被取付部54を容易に位置決めすることができる。そのため、物理量測定装置1の組立を容易にすることができる。
【0052】
(3)本実施形態では、キャップ部材係合部93は、第1係合部931および第2係合部932を有するので、被取付部54に確実に係合させることができる。そのため、キャップ部材9が被取付部54から脱落してしまうことを抑制することができる。
【0053】
(4)本実施形態では、キャップ部材本体部91は五角形状なので、ユーザーは、キャップ部材9が第1姿勢であるか、または、第2姿勢であるかを容易に認識することができる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、封止部材10Aは、線状部材106Aの先端に設けられ線状部材106Aと交差する方向に沿って配置された封止部材係合軸部107Aを有し、被取付部54Aには、当該封止部材係合軸部107Aを挿通可能な係合軸部挿通孔541Jが形成される点で第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付して、説明を省略する。
【0055】
[蓋部材5A]
図9は、本実施形態の蓋部材5Aの概略を示す正面図である。
図9に示すように、蓋部材5Aは、前述した第1実施形態の蓋部材5と同様に樹脂製の所謂コネクタタイプの部材であり、蓋本体51Aと、筒状部52Aと、回路基板支持部53Aと、被取付部54Aとを備える。
なお、蓋本体51Aと、筒状部52Aと、回路基板支持部53Aとは、前述した第1実施形態の蓋本体51と、筒状部52と、回路基板支持部53と同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0056】
被取付部54Aは、前述した第1実施形態の被取付部54と同様に、キャップ部材9が着脱可能に取り付けられる部材である。本実施形態では、被取付部54Aは、被取付部本体541Fと、連結部542Aと、係合凸部543Aとを有する。連結部542Aおよび係合凸部543Aは、前述した第1実施形態の連結部542および係合凸部543と同様であるため、詳細な説明は割愛する。
被取付部本体541Fは、平板状に設けられており、連結部542Aにより第1支持部531Aおよび第2支持部532Aに連結されて支持されている。そして、被取付部本体541Fには、軸部挿通孔541Gと、第1係合部挿通孔541Hと、第2係合部挿通孔541Iと、係合軸部挿通孔541Jとが形成されている。なお、前述した第1実施形態と同様に、被取付部本体541Fには、前述した第1実施形態と同様に、被係合部541E(
図13参照)が形成されている。
【0057】
軸部挿通孔541Gは、前述した第1実施形態と同様に、キャップ部材9のキャップ部材軸部92が挿通可能とされている。
第1係合部挿通孔541Hは、軸部挿通孔541Gと連続して設けられている。そして、第1係合部挿通孔541Hは、キャップ部材9の第1係合部931に対応した形状に形成されており、第1係合部931が挿通可能とされている。
第2係合部挿通孔541Iは、軸部挿通孔541Gを挟んで第1係合部挿通孔541Hとは反対側に、軸部挿通孔541Gと連続して設けられている。そして、第2係合部挿通孔541Iは、キャップ部材9の第2係合部932に対応した形状に形成されており、第2係合部932が挿通可能とされている。なお、第1係合部挿通孔541Hおよび第2係合部挿通孔541Iは、軸部挿通孔541Gと連続する本開示の係合部挿通孔を構成する。
【0058】
係合軸部挿通孔541Jは、軸部挿通孔541Gとは独立して、すなわち、軸部挿通孔541Gと連続しないように設けられている。そして、係合軸部挿通孔541Jは、後述する封止部材10Aの線状部材106Aが配置可能とされ、封止部材係合軸部107Aが挿通可能とされている。
なお、被取付部54Aに対するキャップ部材9および封止部材10Aの取付方法の詳細については、後述する。
【0059】
[封止部材10A]
図10は、本実施形態の封止部材10Aの概略を示す正面図である。
図10に示すように、封止部材10Aは、前述した第1実施形態の封止部材10と同様に、筒状ケース2の貫通孔24と、キャップ部材9のキャップ部材本体部91との間を封止する部材である。また、封止部材10Aは、ゴムや弾性を有する合成樹脂にて形成されており、キャップ部材9に取り付けられている。本実施形態では、封止部材10Aは、封止部材本体部104Aと、線状部材106Aと、封止部材係合軸部107Aとを有する。
【0060】
封止部材本体部104Aは、円環状に設けられ、キャップ部材軸部92を囲うように配置されている。そして、本実施形態では、封止部材本体部104Aには、筒状ケース2に向かって突出する突出部105Aが縁部に沿って形成されている。封止部材本体部104Aは、キャップ部材本体部91と筒状ケース2との間に配置された際に、当該突出部105Aが弾性変形することで、キャップ部材本体部91と貫通孔24との間を封止する。
【0061】
線状部材106Aは、キャップ部材本体部91から筒状ケース2側に棒状に延設されている。そして、線状部材106Aは、前述した被取付部本体541Fの係合軸部挿通孔541Jに配置される。
封止部材係合軸部107Aは、線状部材106Aの先端に設けられ、線状部材106Aと直交する方向に延設されている。すなわち、線状部材106Aと封止部材係合軸部107Aとで、T字状とされている。本実施形態では、封止部材係合軸部107Aには、突出部108Aと、凹部109Aとが形成されている。
【0062】
突出部108Aは、封止部材係合軸部107Aの一方の端部に設けられており、先端に向かうにしたがって径が小さくなるように形成されている。すなわち、突出部108Aは、円錐状とされている。
凹部109Aは、封止部材係合軸部107Aの他方の端部において、封止部材係合軸部107Aの軸方向に沿って形成されている。そして、凹部109Aは、ドライバー等の工具を挿入可能とされている。
【0063】
[キャップ部材9および封止部材10Aの取付方法]
次に、キャップ部材9および封止部材10Aの取付方法について説明する。
図11~
図14は、キャップ部材9および封止部材10Aの取付工程を示す図である。なお、
図11~
図14では、分かりやすくするために、筒状ケース2や回路基板6等を省略して示している。また、
図13、
図14では、
図9とは反対側の方向から蓋部材5Aを見ている。
【0064】
先ず、前述した第1実施形態と同様に、筒状ケース2を組み立てる。そして、
図11に示すように、キャップ部材本体部91を頂点91Aが鉛直方向に突出するように向け、この状態で、封止部材係合軸部107Aの突出部108Aを、係合軸部挿通孔541Jに対応する位置に配置する。
【0065】
次に、
図12に示すように、突出部108Aを先頭にして、封止部材係合軸部107Aを係合軸部挿通孔541Jに挿通させる。この際、封止部材係合軸部107Aの凹部109Aにドライバー等の工具を挿入させ、その状態で、突出部108Aを係合軸部挿通孔541Jに挿通させる。これにより、封止部材係合軸部107Aを係合軸部挿通孔541Jに容易に挿通させることができる。
【0066】
次に
図13に示すように、キャップ部材軸部92、第1係合部931、第2係合部932を、それぞれ軸部挿通孔541G、第1係合部挿通孔541H、第2係合部挿通孔541Iに挿通させる。
【0067】
次に、
図14に示すように、キャップ部材軸部92を回転中心にして、キャップ部材9を反時計回り方向に回転させる。そうすると、キャップ部材本体部91の頂点91Aが水平方向に向いた状態で、第1係合部931が被係合部541Eに係合する。これにより、キャップ部材9の反時計回り方向の回転が規制される。そして、前述した第1実施形態と同様に、この状態において、第1係合部931および第2係合部932は被取付部54Aに係合する。そのため、この状態では、キャップ部材9は、被取付部54Aから脱落することはない。すなわち、キャップ部材9は、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢と水平方向に突出する姿勢とに回動可能に被取付部54Aに軸支される。
このように、本実施形態では、筒状ケース2が組み立てられた状態で、キャップ部材9および封止部材10Aを取り付けることができる。
【0068】
図15は、封止部材10Aの取付状態を示す図である。
図15に示すように、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢にキャップ部材9を回転させると、第1係合部931および第2係合部932を被取付部54Aから取り外すことができる。この状態において、線状部材106Aは係合軸部挿通孔541Jに配置されているので、封止部材係合軸部107Aは被取付部54Aに係合する。これにより、キャップ部材9を被取付部54Aから取り外した状態でも、封止部材10Aが被取付部54Aから外れることはない。そのため、キャップ部材9を取り外した際に、封止部材10Aが取り付けられているキャップ部材9を紛失してしまうことを防ぐことができる。
【0069】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(5)本実施形態では、キャップ部材9は、筒状ケース2の外側に配置され貫通孔24を覆うキャップ部材本体部91と、キャップ部材本体部91の底面91Bから延設されたキャップ部材軸部92と、キャップ部材軸部92の先端からキャップ部材軸部92の径方向に延設された第1係合部931および第2係合部932とを有する。また、封止部材10Aは、環状に設けられキャップ部材軸部92を囲うように配置される封止部材本体部104Aと、封止部材本体部104Aから延設された線状部材106Aと、線状部材106Aの先端に設けられ線状部材106Aと直交する方向に沿って配置された封止部材係合軸部107Aと、を有する。そして、キャップ部材9が着脱可能に取り付けられる被取付部54Aには、キャップ部材軸部92が挿通可能に構成された軸部挿通孔541Gと、第1係合部931が挿通可能に構成され軸部挿通孔541Gと連続する第1係合部挿通孔541Hと、第2係合部932が挿通可能に構成され軸部挿通孔541Gと連続する第2係合部挿通孔541Iと、線状部材106Aが配置され封止部材係合軸部107Aが挿通可能な係合軸部挿通孔541Jとが設けられる。これにより、キャップ部材9は、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢、つまり、第1姿勢においてキャップ部材係合部93が軸部挿通孔541Gと挿通可能とされる。さらに、キャップ部材9は、頂点91Aが水平方向に突出する姿勢、つまり、第2姿勢において第1係合部931および第2係合部932が被取付部54Aと係合する。すなわち、キャップ部材9は、被取付部54Aに着脱可能に取り付けられる。
ここで、被取付部54Aには、封止部材係合軸部107Aが挿通可能な係合軸部挿通孔541Jが設けられている。そのため、先ず、封止部材係合軸部107Aを係合軸部挿通孔541Jに挿通させ、その後、線状部材106Aを係合軸部挿通孔541Jに配置するようにすれば、封止部材10Aを被取付部54Aに取り付けることができる。この際、線状部材106Aと封止部材係合軸部107Aとは直交しているので、線状部材106Aを係合軸部挿通孔541Jに配置した後は、封止部材係合軸部107Aと被取付部54Aとは係合する。すなわち、封止部材10Aを取り外す方向に線状部材106Aを引っ張っても、被取付部54Aから封止部材係合軸部107Aは簡単に抜けない。そのため、キャップ部材9を取り付けた状態で、封止部材10Aを上記の手順で被取付部54Aに取り付ければ、キャップ部材9の紛失を防止することができる。
すなわち、筒状ケース2を組み立ててから、キャップ部材9を取り付ける場合にも、キャップ部材9の紛失を防止する線状部材106Aを、筒状ケース2内に配置される被取付部54Aに取り付けることができる。したがって、仮に、筒状ケース2を組み立てた後に、線状部材106Aが損傷してしまったとしても、線状部材106Aを有する封止部材10Aを容易に交換することができる。
【0070】
(6)本実施形態では、封止部材係合軸部107Aの凹部109Aにドライバー等の工具を挿入させ、その状態で、封止部材係合軸部107Aの突出部108Aを係合軸部挿通孔541Jに挿通させることができる。そのため、封止部材係合軸部107Aを係合軸部挿通孔541Jに挿通させる作業を容易にすることができる。
【0071】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、筒状ケース2は円筒状に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、筒状ケースは、多角筒状に形成されていてもよい。
【0072】
前記各実施形態では、筒状ケース2、継手3、保持部材8は金属製であったが、これに限定されるものではなく、例えば、これらは樹脂から形成されていてもよい。
【0073】
前記各実施形態では、キャップ部材9は、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢から、頂点91Aが水平方向に突出する姿勢に、キャップ部材軸部92の軸方向から見て反時計回り方向に回転可能に構成されていたが、これに限定されない。例えば、キャップ部材9は、頂点91Aが鉛直方向に突出する姿勢から、頂点91Aが水平方向に突出する姿勢に、キャップ部材軸部92の軸方向から見て時計回り方向に回転可能に構成されていればよい。
【0074】
前記各実施形態では、キャップ部材本体部91は、頂点91Aを有する五角形状に形成されていたが、これに限定されない。例えば、キャップ部材本体部は、四角形状や三角形状に形成されていてもよい。さらに、キャップ部材本体部に、第1係合部および第2係合部の向きが分かる目印が付されていても良い。
【0075】
前記各実施形態では、第1係合部931と第2係合部932とは異なる大きさとされていたが、これに限定されない。例えば、第1係合部と第2係合部とは同じ大きさとされていてもよい。
【0076】
前記各実施形態では、被取付部54,54Aには、貫通孔24に向かって突出し、貫通孔24と係合する係合凸部543,543Aが設けられていたが、これに限定されない。例えば、被取付部に係合凸部が設けられない場合も、本発明に含まれる。
【0077】
前記第1実施形態では、封止部材係合部103は、略半球状に形成されていたが、これに限定されない。例えば、封止部材係合部は、板状に形成されていてもよく、被取付部と係合可能に形成されていればよい。
【0078】
前記第2実施形態では、封止部材係合軸部107Aは、線状部材106Aの先端において、線状部材106Aと直交する方向に沿って設けられていたが、これに限定されない。封止部材係合軸部は、線状部材と交差する方向に沿って設けられていればよく、線状部材を係合軸部挿通孔に配置した際に、被取付部と係合可能に構成されていればよい。
【0079】
前記実施形態では、物理量測定装置1は被測定流体の圧力を測定可能に構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、差圧や温度を測定可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…物理量測定装置、2…筒状ケース、3…継手、4…センサモジュール、5,5A…蓋部材、6…回路基板、7…信号伝達部材、8…保持部材、9…キャップ部材、10,10A…封止部材、21…第1開口、22…第2開口、23…凹部、24…貫通孔、25…嵌合リング、26…段差部、31…工具係合部、32…雄ねじ部、41…筒体部、42…ダイアフラム、51,51A…蓋本体、52,52A…筒状部、53,53A…回路基板支持部、54,54A…被取付部、61…基板本体、62…電子回路部、63…電子調整部、71…円筒部材、72…ターミナル端子、81…平面部、81A…第1板部、81B…第2板部、81C…窓部、82…係止片部、91…キャップ部材本体部、91A…頂点、91B…底面、91C…表面、92…キャップ部材軸部、93…キャップ部材係合部、101,104A…封止部材本体部、101A,105A…突出部、102,106A…線状部材、103…封止部材係合部、107A…封止部材係合軸部、108A…突出部、109A…凹部、521…取付孔、531,531A…第1支持部、532,532A…第2支持部、541,541F…被取付部本体、541A,541G…軸部挿通孔、541B,541H…第1係合部挿通孔、541C,541I…第2係合部挿通孔、541D…溝部、541E…被係合部、541J…係合軸部挿通孔、542,542A…連結部、543,543A…係合凸部、611…第1基板、612…第2基板、612A…係止孔、631…被操作部、931…第1係合部、932…第2係合部。