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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/519 20210101AFI20230613BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230613BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20230613BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20230613BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20230613BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H01M50/519
H01M50/204 301
H01M50/284
H01M50/213
H01M50/569
H01M10/44 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020516199
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2019015581
(87)【国際公開番号】W WO2019208218
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2018084554
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 秀実
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-317460(JP,A)
【文献】特開2011-249251(JP,A)
【文献】特開2008-287991(JP,A)
【文献】特開2011-216366(JP,A)
【文献】特開2014-154553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルをホルダーで定位置に配置して、前記電池セルをリード板で接続してなる複数の電池ブロックと、
前記電池ブロックを固定してなる回路基板と、
を備える電池パックであって、
各々の前記電池ブロックは、前記回路基板に接続される端子部を同一位置に配置しており、
前記回路基板は、各々の前記電池ブロックの前記端子部に接続される接続部を有し、
各々の前記電池ブロックの前記端子部が前記回路基板の前記接続部に連結されて、各々の前記電池ブロックが前記回路基板を介して直列又は並列に接続されると共に、各々の前記電池ブロックが前記回路基板を介して連結されており、
前記端子部は、前記リード板に設けられると共に、前記電池ブロックの出力端子と、前記電池セルの電圧を検出する電圧検出端子を含み、
前記リード板は、
金属板を折曲して構成され、所定の前記電池セルの電極に溶接される溶接部と前記出力端子である前記端子部とを有するリード板と、
金属板を折曲して構成され、所定の前記電池セルの電極に溶接される溶接部と前記電圧検出端子である前記端子部とを有するリード板とを含み、
前記電池ブロックは、前記ホルダーの両側に前記端子部を有し、折曲された前記リード板を介して前記ホルダーの一方の片側に前記出力端子である前記端子部を配置し、折曲された前記リード板を介して他方の片側に前記電圧検出端子である前記端子部を配置しており、
前記回路基板の片側に前記出力端子である前記端子部を連結し、前記回路基板の他の片側に前記電圧検出端子である前記端子部を連結してなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記回路基板に連結してなる各々の前記電池ブロックが、同じ外形の前記電池セルが同一形状の前記ホルダーで定位置に配置され、かつ同一形状の前記リード板で前記電池セルを接続してなることを特徴とする請求項1に記載する電池パック。
【請求項3】
前記電池ブロックの前記端子部がハンダ付けして前記回路基板の前記接続部に連結されてなることを特徴とする請求項1または2に記載する電池パック。
【請求項4】
前記ホルダーが、両端の端子面を同一平面に配置して複数の電池セルを平行姿勢に配置しており、
前記回路基板が、前記電池セルの長手方向に細長い方形状であって、複数の前記電池ブロックが前記回路基板の長手方向に並べて配置されてなることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載する電池パック。
【請求項5】
前記電池ブロックが、前記電池セルを前記回路基板の長手方向に配置してなることを特徴とする請求項に記載される電池パック。
【請求項6】
前記電池ブロックが、前記回路基板に対向する固定面から突出する前記端子部を有し、
前記回路基板の接続部には、前記端子部を挿入する貫通穴が設けられ、
前記端子部が前記貫通穴に挿入されて前記接続部に連結されてなることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載する電池パック。
【請求項7】
前記貫通穴が、前記回路基板の長手方向に開口されたスリット孔であることを特徴とする請求項6に記載する電池パック。
【請求項8】
前記電池ブロックが、折曲された前記リード板を前記ホルダーの表面に沿って配置して、前記リード板の端部に設けた前記出力端子である前記端子部と前記電圧検出端子である前記端子部とを前記ホルダーの定位置に配置して、前記電池ブロックの前記固定面から突出させてなることを特徴とする請求項6または7に記載する電池パック。
【請求項9】
前記ホルダーが前記回路基板の係止フックを一体的に成形して設けており、
前記端子部が前記回路基板に設けてなる前記貫通穴に挿入される状態で、
前記係止フックが前記回路基板を係止して定位置に配置してなることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載する電池パック。
【請求項10】
各々の前記電池ブロックが、前記端子部として、正負の前記出力端子と少なくとの1つの前記電圧検出端子とを備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載する電池パック。
【請求項11】
前記ホルダーが、前記回路基板と対向する固定面に嵌合凸部を有し、
前記回路基板が前記嵌合凸部を案内する嵌合凹部を有し、
前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に案内されて、前記電池ブロックが前記回路基板の定位置に連結されてなることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載する電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の電池セルを内蔵する電池パックに関し、とくに、複数の電池セルをホルダーで定位置に配置して電池ブロックとし、さらに複数の電池ブロックを直列や並列に接続して高容量化している電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器やコードレス機器の電源として、複数の電池セルをケースに収納した電池パックが使用される。この電池パックは、複数の電池セルを直列や並列に接続して、容量を大きくしている。特に近年は電池パックの高容量化が求められる一方で、電池パックの携行性等の観点から、小型、軽量化も要求されている。
【0003】
電池パックの高容量化は、多数の電池セルを直列や並列に接続して実現できる。多数の電池セルを内蔵する電池パックは、複数の電池セルをホルダーで定位置に配置して電池ブロックとし、さらに複数の電池ブロックを接続することで多数の電池セルを直列や並列に接続できる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-218210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電池ブロックを備える電池パックは、隣接する電池パックを電池セルの電極端子に接続しているリード板で電気接続して、各々の電池ブロックを直列や並列に接続している。さらに、この電池パックは、各々の電池ブロックに回路基板を接続している。回路基板は、各々の電池ブロックの電池セルの保護回路を実装している。回路基板の保護回路は、各々の電池セルの充放電電流を制御して、電池セルを保護し、また電池パックの安全性を確保する。保護回路は、電池セルの温度、残容量、電圧等を検出して電流をコントロールする。
【0006】
複数の電池ブロックからなる電池パックは、各々に組み立てられた電池ブロックを連結して製造でき、また電池ブロックの個数で全体の充放電容量を調整できるので、多種多様に用途に使用される電池パックを能率よく多量生産できる。ただ、従来の電池パックは、隣の電池ブロックを、リード板で直列や並列に接続して連結するので、電池ブロックを共通化して安価に多量生産できない欠点があった。
【0007】
本発明は以上の欠点を解消することを目的として開発されたもので、その目的の一は、複数の電池セルを定位置に配置してなる電池ブロックを安価に多量生産して、種々の用途に最適な容量を実現できる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の電池ブロックは、複数の電池セル1をホルダー2で定位置に配置して、電池セル1をリード板3で接続してなる複数の電池ブロック10と、電池ブロック10を固定してなる回路基板4とを備える電池ブロックであって、各々の電池ブロック10は、回路基板4に接続される端子部5を同一位置に配置しており、回路基板4は、各々の電池ブロック10の端子部5に接続される接続部41を有しており、各々の電池ブロック10の端子部5が回路基板4の接続部41に連結されて、各々の電池ブロック10が回路基板4を介して直列又は並列に接続されると共に、各々の電池ブロック10が回路基板4を介して連結されている。端子部は、リード板に設けられると共に、電池ブロックの出力端子と、電池セルの電圧を検出する電圧検出端子を含んでいる。リード板は、金属板を折曲して構成され、所定の電池セルの電極に溶接される溶接部と出力端子である端子部とを有するリード板と、金属板を折曲して構成され、所定の電池セルの電極に溶接される溶接部と電圧検出端子である端子部とを有するリード板とを含んでいる。電池ブロックは、ホルダーの両側に端子部を有し、折曲されたリード板を介してホルダーの一方の片側に出力端子である端子部を配置し、折曲されたリード板を介して他方の片側に電圧検出端子である端子部を配置しており、回路基板の片側に出力端子である端子部を連結し、回路基板の他の片側に電圧検出端子である端子部を連結している。
【0009】
以上の電池パックは、共通化した電池ブロックを安価に多量生産して、種々の用途に最適な容量や形状としながら製造コストを低減できる特徴がある。それは、本発明の電池パックが、複数の電池ブロックを回路基板で電気接続して連結する構造としており、各電池ブロックは、複数の電池セルをホルダーで定位置に配置して、電池セルをリード板で接続すると共に、回路基板に接続される端子部を同一位置に配置して共通化し、さらに、回路基板には、電池ブロックの端子部を接続する接続部を設けているからである。この電池パックは、電池ブロックを共通化することで安価に多量生産しながら、複数の電池ブロックの端子部を回路基板の接続部に接続し、回路基板を介して直列又は並列に接続することで、製造コストを低減しながら種々の用途に最適な容量や形状を簡単に実現できる。
【0010】
また、本発明の電池パックは、各々の電池ブロック10を共通化するために、同じ外形の電池セル1を同一形状のホルダー2で定位置に配置して、同一形状のリード板3で接続することができる。この電池パックは、電池ブロックの全てのパーツを同一形状として共通化するので、電池ブロックを極めて安価に多量生産できる特徴がある。
【0011】
さらに、本発明の電池パックは、端子部5をリード板3に設け、この端子部5を回路基板4に連結して、各々の電池ブロック10を回路基板4に電気接続して連結できる。この電池パックは、電池セルに連結しているリード板を介して電池ブロックを回路基板に連結するので、確実に強固に連結できる特徴がある。
【0012】
さらに、本発明の電池パックは、端子部5をハンダ付けして電池ブロック10を回路基板4の接続部41に連結することができ、この構造によって、電池ブロックを確実に安定して電気接続しながら連結できる。
【0013】
さらに、本発明の電池パックは、電池ブロック10の端子部5に、電池ブロック10の出力端子5xと、電池セル1の電圧を検出する電圧検出端子5yとを設けて、出力端子5xと電圧検出端子5yとを回路基板4に連結して、各々の電池ブロック10を回路基板4に電気接続して連結できる。この電池パックは、出力端子と電圧検出端子を回路基板に連結するので、多数の端子部で電池ブロックを強固に回路基板に連結できる。
【0014】
さらに、本発明の電池パックは、電池ブロック10のホルダー2に、両端の端子面を同一平面に配置して複数の電池セル1を平行姿勢に配置して、回路基板4を電池セル1の長手方向に細長い方形状として、複数の電池ブロック10を回路基板4の長手方向に並べて配置することができる。この電池パックは、共通化された複数の電池ブロックを長手方向に並べて配置するので、細くて充放電容量を大きくできる。
【0015】
さらに、本発明の電池パックは、電池セル1を回路基板4の長手方向に配置してなる電池ブロック10として、電池ブロック10を細長い回路基板4に長手方向に並べて配置できる。この電池パックは、細い電池ブロックを長手方向に並べて配置することで、全体を相当に細くして充放電容量を大きくできる。
【0016】
さらに、本発明の電池パックは、電池ブロック10に、回路基板4に対向する固定面2Xから突出するように端子部5を設け、回路基板4の接続部41には、端子部5を挿入する貫通穴42を設けて、端子部5を貫通穴42に挿入して接続部41に連結することができる。この電池パックは、突出する端子部5を回路基板に挿入して、電池ブロックを回路基板に確実に連結できる。
【0017】
さらに、本発明の電池パックは、電池ブロック10を、ホルダー2の両側に端子部5のある形状として、両側の端子部5を回路基板4に連結して電池ブロック10を回路基板4に連結できる。この電池パックは、電池ブロックの両側を回路基板に連結することで、各々の電池ブロックを確実に回路基板に連結できる。
【0018】
さらに、本発明の電池パックは、電池ブロック10が、ホルダー2の両側に端子部5を設けて、一方の片側の端子部5を出力端子5x、他方の片側の端子部5を電圧検出端子5yとすることができる。この電池パックは、出力端子と電圧検出端子とを反対側に設けるので、回路基板の片側に大電流の出力端子を、他の片側には微少電流の電圧検出端子を設けることで、電圧検出端子が大電流の出力端子から受ける誘導ノイズなどの弊害を少なくできる。
【0019】
さらに、本発明の電池パックは、電池ブロック10のホルダー2の回路基板4と対向する固定面2Xに嵌合凸部29を設け、回路基板4には嵌合凸部29を案内する嵌合凹部43を設け、嵌合凸部29を嵌合凹部43に案内して、電池ブロック10を回路基板4の定位置に連結することができる。この電池パックは、嵌合凸部と嵌合凹部とで電池ブロックを回路基板の正確な位置に連結できる。
【0020】
さらにまた、本発明の電池パックは、電池ブロック10のホルダー2に、回路基板4に係止する係止フック30を一体的に成形して設けて、端子部5を回路基板4の貫通穴42に挿入する状態で、係止フック30を回路基板4に係止することで、電池ブロック10を回路基板4に簡単に連結しながら、定位置に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態にかかる電池パックの斜視図である。
図2図1に示す電池パックのII-II線断面図である。
図3図1に示す電池パックの分解斜視図である。
図4】2個の電池ブロックと回路基板が連結されたコアパックの斜視図である。
図5図4に示すコアパックの平面図である。
図6】電池ブロックの斜視図である。
図7図6に示す電池ブロックの分解斜視図である。
図8】電池セルとリード板の接続状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0023】
以下の図に示す電池パックは、複数の電池ブロックを回路基板で電気接続して物理的に連結している。電池ブロックは、複数の電池セルをホルダーで定位置に配置して、電池セルをリード板で接続している。各々の電池ブロックは、回路基板に接続される端子部を同一位置に配置して共通化している。回路基板は、各々の電池ブロックの端子部を接続して連結する接続部を設けている。電池パックは、各々の電池ブロックの端子部を回路基板の接続部に連結して、複数の電池ブロックを直列又は並列に接続している。
【0024】
本発明の一実施形態にかかる電池パックを図1図7に示す。図1は、電池パックの斜視図を、図2は電池パックの垂直横断面図を、図3は電池パックの分解斜視図をそれぞれ示している。また、図4図5は電池パックに内蔵される電池ブロックと回路基板を連結したコアパックの斜視図及び平面図を、図6図7は電池ブロックの斜視図及び分解斜視図をそれぞれ示している。
【0025】
電池パック100は、複数の電池ブロック10と回路基板4とを備える。図3の電池パックは2組の電池ブロック10を回路基板4に連結している。本発明の電池パックは、電池ブロック10を2組に特定するものでなく、図示しないが3組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結することもできる。電池ブロック10は、複数の電池セル1と、電池セル1を平行姿勢に配置しているホルダー2とを備える。さらに、図3の電池パックは、2組の電池ブロック10を回路基板4に連結して外装ケース9に収納している。
【0026】
電池パック100は、たとえば、掃除機等の携帯機器の電源として使用されるが、本発明は電池パックの用途となる携帯機器を特定せず、他の携帯機器、例えば電動工具、アシスト自転車等とすることもできる。図の電池パックは、携帯機器に脱着自在に連結される構造としているが、本発明の電池パックは、脱着できない状態で携帯機器に組み込まれて使用されることもできる。
【0027】
(外装ケース9)
電池パック100は、図1図3に示すように四角筒状の箱形に形成している。図の外装ケース9は、ケース本体9Aと蓋部9Bに二分割されている。外装ケース9は、電池パック100で電力を供給する携帯機器と接続するためのコネクタ19を外部に引き出している。外装ケース9は、絶縁性と断熱性に優れた材質、例えば、ポリカーボネート等の樹脂製とする。
【0028】
外装ケース9の内部には、図3に示すように、2組の電池ブロック10と、電池ブロック10の間に配置している絶縁プレート11と、電池ブロック10を連結している回路基板4とを収納している。電池ブロック10は、図6図7に示すように、複数の電池セル1をホルダー2で平行姿勢に配置している。図の電池ブロック10は、4本の電池セル1をホルダー2で2列2段に配置している。電池セル1は、外装缶を円筒状とする円筒形電池を用いている。図の電池ブロック10は、4本の電池セル1を2列2段に配置して、各々の電池セル1をリード板3で直列に接続している。図の電池ブロック10は、4本の電池セル1を2列2段に配置して直列に接続しているが、電池セル1の本数や接続形態は自由に変更することができる。
【0029】
電池セル1は、リチウムイオン二次電池である。ただ、リチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池とすることができ、また円筒形電池セルは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの充放電可能な二次電池、特に使用状態で高温に発熱する電池を使用できる。
【0030】
(絶縁プレート11)
また、外装ケース9内には、図3に示すように、電池ブロック10の間に絶縁プレート11を配置している。絶縁プレート11は、外装ケース9の長手方向に並べて配置している電池ブロック10の間に配置される。この絶縁プレート11は、絶縁性と断熱性に優れた材質、例えば、マイカプレートなどの無機プレートを使用する。
【0031】
(電池ブロック10)
電池ブロック10は、プラスチック製のホルダー2に4本の電池セル1を定位置に配置して、電池セル1をリード板3で直列に接続している。図6図7に示す電池ブロック10は、リード板3で各々の電池セル1を直列に接続して出力電圧を高くしているが、電池ブロック10は、リード板3で電池セル1を並列に接続することもでき、また直列と並列に接続することもできる。回路基板4には複数の電池ブロック10を連結しているが、各々の電池ブロック10は、同じ外形の電池セル1、たとえば同じ寸法の円筒形電池を同一形状のホルダー2で定位置に配置して、同一形状のリード板3で電池セル1を接続して共通化できる。全ての部品を共通化している電池ブロック10は、とくに安価に多量生産できる。
【0032】
電池ブロック10は、回路基板4に連結するための端子部5を突出して設けている。電池ブロック10は、端子部5を同じ位置に配置して共通化している。図4図7の電池ブロック10は、正負の出力端子5xと、3組の電圧検出端子5yからなる5個の端子部5を設けている。5個の端子部5を回路基板4の接続部41に連結して、1組の電池ブロック10は回路基板4に連結される。この回路基板4は、図5に示すように、5箇所に設けた接続部41を1組の接続部ユニット40として、1組の接続部ユニット40に1組の電池ブロック10を連結する。図の電池パックは、2組の電池ブロック10を回路基板4に連結するので、回路基板4には2組の接続部ユニット40、すなわち5箇所の接続部41を1組の接続部ユニット40として、2組で10箇所の接続部41を設けている。各組の接続部ユニット40は、同じ位置に複数の接続部41を配置して、各々の電池ブロック10の端子部5を連結する。図の電池パックは2組の電池ブロック10を連結するので、2組の電池ブロック10の端子部5を連結する、2組の接続部ユニット40を回路基板4に設けている。電池パックは、3組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結することもできる。3組以上の電池ブロック10は、回路基板4を介して直列に接続され、あるいは並列に接続され、あるいは4組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結して直列と並列に接続することもできる。
【0033】
図に示す回路基板4は、端子部5を挿入する貫通孔42を開口しており、この貫通孔42の開口縁部を端子部5の接続部41としている。回路基板4は、この貫通穴に端子部5が挿入され、ハンダ付けして端子部5が接続部41に連結される。貫通穴42に挿入され、ハンダ付けして接続部41に連結される端子部5は、回路基板4に理想的な状態で電気接続されて物理的に連結される。
【0034】
(ホルダー2)
図6図7のホルダー2は、複数の電池セル1を、両端の端子面を同一平面に配置して平行姿勢に配置している。ホルダー2は、複数の電池セル1を多段多列に配置している。図のホルダー2は、4個の電池セル1を定位置に配置する保持筒22のある形状にプラスチックを成形している。このホルダー2は、4組の保持筒22を平行姿勢で2列2段に連結する形状であって、保持筒22の内側を電池セル1外形にほぼ等しくして保持部21としている。
【0035】
図6の斜視図に示すホルダー2は、回路基板4と対向する固定面2X(図にあって上面)に嵌合凸部29を突出して設けている。嵌合凸部29は、固定面2Xの四隅部に上向きに垂直姿勢に突出する中空柱状のボスで、ホルダー2のプラスチックと一体的に成形して設けられる。嵌合凸部29は上窄みテーパー状に成形され、図4に示すように、回路基板4に設けた嵌合凹部43を案内して、回路基板4を定位置に配置する。さらに、図6に示すホルダー2は、固定面2Xの複数カ所に、回路基板4を上に載せて上下位置を特定するための載せリブ31を一体的に成形して設けている。載せリブ31は、ホルダー2の固定面2Xの両側の複数カ所に設けられて、回路基板4を上に載せて定位置に配置する。さらに、図6の電池ブロック10は、ホルダー2の固定面2Xに、回路基板4の係止フック30を一体的に成形して設けている。係止フック30は、図4に示すように、定位置にセットされた回路基板4を係止して定位置に配置する。回路基板4は、電池ブロック10の端子部5を回路基板4の貫通穴42に挿入し、ホルダー2の嵌合凸部29を嵌合凹部43に案内し、さらに底面を載せリブ31に載せて定位置に配置され、係止フック30に係止されて定位置に配置される。回路基板4は、係止フック30で定位置にセットされた状態で、電池ブロック10の端子部5を回路基板4の接続部41にハンダ付けして、電池ブロック10を連結する。
【0036】
図7の電池ブロック10は、ホルダー2を電池セル1の長手方向に第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bに分割している。このホルダー2は、細長い電池セル1をスムーズに挿入できる。第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは、プラスチックを成形して別々に製作されて、電池セル1を挿入して互いに連結される。第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは、円筒形の電池セル1を挿入して定位置に配置するために、円柱状の保持筒22を設けている。保持筒22の内形は、電池セル1の外形にほぼ等しく、正確には電池セル1をスムーズに挿入して定位置に配置できるように僅かに大きくしている。この構造の第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは、円筒形の電池セル1の両端部を挿入する状態で、電池セル1を介して互いに定位置に連結される。第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは、対向面を嵌合構造としてより正確に連結でき、また、後述する非溶融プレートを介して定位置に連結される。電池セル1を介して連結された第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは、回路基板4に連結されて互いに連結状態に保持される。
【0037】
図2図7に示す電池ブロック10は、隣接する電池セル1の間に配置される保持筒22を区画壁23として、区画壁23の内部にマイカプレートなどの非溶融プレート13を配置している。図のホルダー2は、電池セル1を2列2段に配置するので、上下左右に配置している4組の電池セル1の間に、十字状の区画壁23を設けている。区画壁23は、内部の非溶融プレート13を挿入する挿入隙間25を設けている。区画壁23は、この挿入隙間25にマイカプレートなどの非溶融プレート13を挿入している。この電池ブロック10は、何れかの電池セル1が熱暴走して異常発熱する状態で、隣の電池セル1に熱暴走が誘発されるのを防止できる。
【0038】
(リード板3)
電池ブロック10の電池セル1は、リード板3で電気的に直列に接続される。リード板3は導電性に優れた金属板を折曲して構成される。リード板3は、電池セル1の端面に設けた電極に溶接して固定される。図8は、ひとつの電池ブロック10において、リード板3が電池セル1を接続する状態を示している。この図は、リード板3の接続状態を分かりやすくするために、リード板3を電池セル1から分離した状態であって、ホルダー2を取り除いた図を示している。この図はひとつの電池ブロック10を示すが、回路基板4に連結される各々の電池ブロック10は、同じ形状のリード板3で電池セル1を同じ状態に接続している。
【0039】
図8に示すように、電池ブロック10は、5枚のリード板3で4個の電池セル1を直列に接続して、リード板3で出力端子5xを設けている。5枚のリード板3は電池セル1の電極に溶接部3aを設けている。溶接部3aは、スポット溶接の無効電流を少なくするために、スリットの両側に溶接スポットを設けている。溶接スポットは突出して、電池セル1の電極にスポット溶接して固定される。電池ブロック10は、第1~第5のリード板3を備えている。第1のリード板3Aと第2のリード板3Bは、一端を溶接部3aとして他端を電池ブロック10の出力端子5xとしている。第3のリード板3C、第4のリード板3D、及び第5のリード板3Eは、一対の溶接部3aと、電圧検出端子5yとを設けている。一対の溶接部3aは隣接する電池セル1の電極に接続されて、隣接する電池セル1同士を直列に接続する。リード板3の端部に設けた出力端子5xと電圧検出端子5yは、ホルダー2の定位置に配置して、溶接部3aを電池セル1の電極に固定する状態で、電池ブロック10の固定面2Xから突出する。
【0040】
図6図8に示す電池ブロック10は、リード板3の端部に端子部5を設けている。電池ブロック10は、リード板3の端部に設けている端子部5を回路基板4にハンダ付けして回路基板4に連結される。図6の電池ブロック10は、電池ブロック10の出力端子5xをホルダー2の片側に配置して、他の片側に電池セル1の電圧を検出する電圧検出端子5yを配置している。電池ブロック10は、図4及び図5に示すように、出力端子5xと電圧検出端子5yからなる端子部5を回路基板4に連結して、回路基板4に物理的に連結される。両側の端子部5を回路基板4に連結する電池ブロック10は、安定して回路基板4に連結される。
【0041】
(回路基板4)
回路基板4は、複数の電池ブロック10を連結して、各々の電池ブロック10を電気接続し、さらに物理的に連結する。図3の分解斜視図に示す電池パック100は、回路基板4を貫通する止ネジ18で回路基板4を2組の電池ブロック10にネジ止めして、さらに強固に複数の電池ブロック10を連結している。電池ブロック10は、止ネジ18をねじ込む固定ボス28をホルダー2の固定面2Xに設けている。各々の電池ブロック10の出力端子5xは、回路基板4を介して接続され、さらにコネクタ19に接続される。回路基板4は、表面に銅箔などの導電層(図示せず)を設けている。導電層は、出力端子5xの接続部41を電気接続して電池ブロック10を直列に接続し、また、出力端子5xをコネクタ19のリード線16に接続する。さらに、導電層は、電圧検出端子5yの接続部41を回路基板4の保護回路に接続する。回路基板4は電池セル1を充放電する保護回路を実装し、各々の電池セル1を保護回路に接続する。保護回路は、各々の電池セル1の電圧や電流を検出して、充放電する電流をコントロールして電池を保護しながら充放電する。
【0042】
以上の電池パック100は以下の工程で組み立てられる。
(1)第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bの定位置に電池セル1と非溶融プレート13を配置して連結する。第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは、各保持部21に電池セル1を挿入し、区画壁23の各挿入隙間25に非溶融プレート13に挿入した状態で連結される。第1のホルダー2Aと第2のホルダー2Bは係止構造により連結され、また、内蔵される電池セル1と非溶融プレート13を介して定位置に連結される。
(2)ホルダー2の両端面から表出する電池セル1の端面電極にリード板3を接続して、ホルダー2に収納された全ての電池セル1を直列に接続する。リード板3は、電池セル1の端面電極に、溶接により電気接続されて固定される。
以上の工程で電池ブロック10が製造される。
【0043】
(3)2組の電池ブロック10を、間に絶縁プレート11を挟着する状態で連結する。2組の電池ブロック10は、電池セル1の軸方向に並べて配置されて、間に介在される絶縁プレート11により絶縁される。
(4)2組の電池ブロック10に回路基板4を連結する。図3図6に示すホルダー2は、上面に嵌合凸部29を備えており、この嵌合凸部29を回路基板4の外周縁に設けた嵌合凹部43に案内して回路基板4を定位置に配置する。さらに、図に示すホルダー2は、上面から突出する係止フック30を回路基板4に係止して、係止構造で定位置に連結される。さらに、回路基板4は、これを貫通する止ネジ18がホルダー2の上面に設けた固定ボス28にねじ込まれてホルダー2に固定される。
(5)電池ブロック10に連結された回路基板4に、リード板3から引き出された端子部5を電気接続する。端子部5は、電池ブロック10の上面であるホルダー2の固定面2Xから突出する状態で配置されており、回路基板4に設けた貫通穴42に挿入されて定位置に配置されると共に、ハンダ付けにより接続部41に電気接続されて、かつ回路基板4に物理的に連結される。
以上の状態で、図6に示すように、2個の電池ブロック10に回路基板4が連結された電池のコアパック20が製造される。
【0044】
(6)電池のコアパック20を外装ケース9に収納する。図に示す回路基板4は、出力用のコネクタ19が接続されている。外装ケース9は、このコネクタ19をケース本体9Aに開口された開口窓9aに通過させる状態で電池のコアパック20をケース本体9Aに収納した後、ケース本体9Aを蓋部9Bで閉塞する。その後、ケース本体9Aの開口窓9aを閉塞蓋17で閉塞する。
【0045】
以上の電池パック100は、リード板3で電池ブロック10の電池セル1を直列に接続して電池ブロック10の出力電圧を高くしているが、電池ブロック10は、リード板3で電池セル1を並列に接続し、あるいは直列と並列に接続することもできる。また、以上の電池パックは、電池ブロック10を直列に接続して出力電圧を高くしているが、電池ブロック10は並列に接続して、電流容量を大きくし、さらに3組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結して、各々の電池ブロック10を直列に接続や並列に接続し、また、4組以上の電池ブロック10を連結して、電池ブロック10を直列と並列に接続することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の電池パックは、掃除機、電動工具、アシスト自転車等の携帯機器の電源として好適に使用される。
【符号の説明】
【0047】
100…電池パック
1…電池セル
2…ホルダー
2A…第1のホルダー
2B…第2のホルダー
2X…固定面
3…リード板
3A…第1のリード板
3B…第2のリード板
3C…第3のリード板
3D…第4のリード板
3E…第5のリード板
3a…溶接部
4…回路基板
5…端子部
5x…出力端子
5y…電圧検出端子
9…外装ケース
9A…ケース本体
9a…開口窓
9B…蓋部
10…電池ブロック
11…絶縁プレート
13…非溶融プレート
16…リード線
17…閉塞蓋
18…止ネジ
19…コネクタ
20…コアパック
21…保持部
22…保持筒
23…区画壁
25…挿入隙間
28…固定ボス
29…嵌合凸部
30…係止フック
31…載せリブ
40…接続部ユニット
41…接続部
42…貫通穴
43…嵌合凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8