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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】被覆方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20230613BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20230613BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20230613BHJP
   B01J 2/12 20060101ALI20230613BHJP
   B01J 2/16 20060101ALI20230613BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230613BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230613BHJP
   B05D 1/22 20060101ALI20230613BHJP
   A61P 11/06 20060101ALN20230613BHJP
   A61K 31/569 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K9/72
B01J2/00 B
B01J2/12
B01J2/16
B05D7/00 K
B05D3/00 B
B05D1/22
B05D3/00 D
A61P11/06
A61K31/569
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020523045
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2018068816
(87)【国際公開番号】W WO2019011998
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】1711233.5
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520011902
【氏名又は名称】アストン パーティクル テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アフザル・ウル・ラーマン モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ジャスディップ・シン コーナー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ワイアット
(72)【発明者】
【氏名】エマン ダーマッシュ
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/066462(WO,A1)
【文献】特開2003-275281(JP,A)
【文献】特表2002-507471(JP,A)
【文献】特表2012-515798(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047650(WO,A1)
【文献】特表2016-523823(JP,A)
【文献】米国特許第06197369(US,B1)
【文献】特開2004-017020(JP,A)
【文献】Drug Delivery System,2006年,Vol.21, No.4, pp.417-425
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
B01J 2/00- 2/30
B05D 1/00- 7/26
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲスト粒子で担体粒子を被覆する方法であって、
前記ゲスト粒子及び前記担体粒子を受容するチャンバーを規定する非貫通壁を有する円筒状処理管と、前記円筒状処理管の回転の軸線に少なくとも部分的に沿って前記チャンバー内に延びる中空シャフトであって、気体入口に接続した気体流路を規定し、且つ前記気体流路と前記チャンバーの間の流体連通を可能にする1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を有する、前記中空シャフトとを備える装置を提供することと、
前記チャンバーに前記ゲスト粒子及び前記担体粒子を加えることと、
前記気体入口から、前記中空シャフト中の前記気体流路に沿って、前記1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または前記1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を通って、前記チャンバー中へ気体を流動させながら、80~200gの間の遠心(G)力を前記ゲスト粒子及び前記担体粒子に与えるように、軸線の周りで前記円筒状処理管を回転させること
を含み、
前記ゲスト粒子が吸入可能な薬物を含み、
前記吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径(体積基準で測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した値)が0.2~38マイクロメートルの間であ
前記気体が前記気体入口から流入する際の前記気体の流量が1~75L/分であり、デアグロメレーションを生じさせ、担体粒子上にゲスト粒子を付着させる
方法。
【請求項2】
100~200gの間の遠心(G)力を与えるように、軸線の周りで前記円筒状処理管を回転させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
800~4000rpmの間の速度で前記円筒状処理管を回転させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記円筒状処理管を180分間まで回転させることを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径が、(体積基準で測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)1~6マイクロメートルの間である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲスト粒子の平均粒径が、(体積基準で測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)50ナノメートルを越える、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記担体粒子の均粒径が前記吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径の5倍以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記担体粒子の均粒径が5マイクロメートル以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記担体粒子の均粒径が60マイクロメートル以上である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記吸入可能な薬物ゲスト粒子の濃度が製剤の0.1~70%w/wの間である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法に関する。特に、本発明は、吸入可能な薬物ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法に関する。さらに、本発明は、可溶性/溶解性及び/または溶解速度を制御するために、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
担体及び/またはゲスト粒子の物理的または化学的特性を改変するために、微細なゲスト粒子で担体(コア/ホスト)粒子を被覆することが知られている。
【0003】
粒子に対して高いせん断力、機械力及び圧縮力をもたらすデバイスの使用によって、担体粒子の表面に吸着される程度まで、担体粒子への微細なゲスト粒子の接着を増大させることが可能である。こうしたデバイスは、最初に、微細なゲスト粒子と粗い担体粒子をデアグロメレートし、次いで、ゲスト粒子と担体粒子を混合し、最後に、高いせん断力、機械力及び圧縮力を使用して、ゲスト粒子を担体粒子に接着させなければならない。
【0004】
初期のデバイス(例えば、メカノフュージョン高せん断ミル(Mechanofusion high shear mill)及びハイブリダイザードライインパクター(Hybridizer dry impactor))は必要な高い力をもたらすことができたが、担体粒子の磨滅またはさらには破砕さえも引き起こすことが多かった。さらに、これらは熱を発生させ、それにより、医薬品グレードの材料及び熱不安定性粒子とともに使用するのに適さなかった。
【0005】
米国特許6197369号明細書は、内部ドラムの内壁の方へ粒子を押しやるように回転する、粒子を含む内部ドラムを有する、回転式流動床反応器を開示している。内部ドラムは、空気入口を有するケーシング内に含まれる。空気は、内部ドラム壁内の溝を通ってケーシングから内部ドラム中に半径方向内向きに流動し、遠心力が空気流と釣り合う場合に、粒子は流動化される。粒子は内部ドラム壁中の溝を通過する(または、溝の上のメッシュを通過する)ほど小さくてはならないので、粒径は制限される。
【0006】
国際公開WO2016/066462は、粒子を受容するためのチャンバーを規定する固体壁を有し、その軸線の周りで回転可能な円筒状処理管を有する装置を使用して、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法を開示している。中空シャフトは、円筒状処理管の軸線に少なくとも部分的に沿ってチャンバー内に延び、気体入口に接続した気体流路を規定する。中空シャフトは、気体流路とチャンバーの間の流体連通を可能にする、1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を備える。粒子(例えば、ポリマー性担体粒子及び薬物ゲスト粒子)をチャンバーに加えた後に、円筒状処理チャンバーをその軸線の周りで回転させ、気体入口から、中空シャフト中の気体流路に沿って、1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を通って、チャンバー中へ気体を通過させる。
【0007】
使用時、(遠心力の結果としての)処理管の固体壁の内面に対する粒子の衝突及び粒子の流体化が任意の凝集したゲスト粒子の崩壊を生じさせ、次いで、担体粒子へのゲスト粒子の露出及び接着が可能になる。1つまたは複数の軸線方向に延びる溝/開口部の列を有する軸線方向に延びる中空シャフトを備えることにより、気体が半径方向外方向に発散するのが可能になる。半径方向外向きに方向づけられた気体流は遠心力と一致し、それにより遠心力を増強する(その結果、衝突力を増大させ、次にこれが、デアグロメレーション、露出及び接着を増大させる)。溝または開口部の列が軸線方向に延びるので、半径方向外向きの空気流が少なくとも1つの軸線方向に延びる気体のシートまたは「ブレード」を形成し、これが、いかなる著しい熱発生もなく、且ついかなる汚染リスクもなく、粒子のせん断力を増大させる。
【0008】
国際公開WO2016/066462は、イブプロフェン(非ステロイド性抗炎症薬)及びテオフィリン(経口投与される呼吸器用薬物)の経口投与製剤の製剤化のための装置の使用を開示している。これらの経口投与製剤については、薬物と担体の間の強い接着が望ましい。
【0009】
局部的及び全身的疾患の治療のために患者の肺に直接的に薬物を送達することは、経口投与製剤と比較して、以下のものを含めたいくつかの利点を提供する。すなわち、薄い拡散層を有する肺の大きな表面積、循環へ近接していること、及び肝臓の初回通過効果をバイパスする能力である。さらに、より低い用量が典型的には使用され、これにより、費用対効果が向上し、副作用が低減する。
【0010】
肺への薬物送達は、送達される薬物のエアロゾル化によって達成される。標的にされるサイズ範囲内のミクロンサイズの粒子または小滴が、肺への送達ために設計されている。乾燥粉末吸入器(DPI)は、粉末状の薬物を直接肺へ送達するように設計されている。DPIでは、流動特性及び含量均一性を向上させるために、1~5μmの範囲のサイズの薬物粒子が、適切なより大きな担体、典型的にはラクトースと混合される/ブレンドされる。製剤は、バルク供給(多回用量)であるか、または単位用量送達システムに定量化された送達システム、例えば、硬質ゼラチンカプセルまたはブリスターパック中に入れられる。両方の場合で、製剤の再現性が重要である。製剤は含量の均一性を示さなければならず、一貫性があり且つ再現性のある様式で呼吸器系の下部に微粒子を送達するように設計されなければならない。
【0011】
上述したように、国際公開WO2016/066462に記載されている装置は、APIと担体粒子の間に強い接着をもたらすために使用される。したがって、国際公開WO2016/066462に記載されている方法は、吸入可能な薬物製剤を製剤化するのには適さない。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様では、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法であって、
粒子を受容するためのチャンバーを規定する固体壁を有する処理管と、円筒状処理管の回転の軸線に少なくとも部分的に沿ってチャンバー内に延びる中空シャフトであって、気体入口に接続した気体流路を規定し、且つ気体流路とチャンバーの間の流体連通を可能にする1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を有する、中空シャフトとを備える装置を提供することと、
チャンバーに粒子を加えることと、
気体入口から、中空シャフト中の気体流路に沿って、1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を通って、チャンバー中へ気体を流動させながら、10~2100gの間の遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させること
を含み、
ゲスト粒子が吸入可能な薬物を含む、方法が提供される。
【0013】
本発明者らは、担体粒子と吸入可能な薬物を含むゲスト粒子とを10~2100gの間の遠心力にかけることが、担体粒子及びゲスト粒子の必要とされる初期の脱集魂、それに続く、輸送、貯蔵及びDPI製剤中へ組み込むための操作の間、担体/薬物粒子が結合したままであるのに十分な力による、担体粒子への薬物粒子の接着をもたらすことを発見した。本発明者らは、この方法が、吸入可能な薬物微粒子が呼吸器系の下部へ入ることができるように担体粒子から薬物粒子を解離させるための、患者がDPIを使用している間の呼吸のための力を可能にする、吸入可能な薬物と担体粒子の間の接着レベルをもたらすこと、すなわち、この方法は、呼吸器系の下部への薬物粒子の効果的な送達を提供する最大化された微粒子画分(FPF)を有する製剤をもたらすことをさらに発見した。この方法は、費用効率の高い、単一ステップの、高収率の生成方法を提供する。さらに、本発明者らは、得られた粒子は、非常に均質であり、厳格な含量均一性(5%未満、典型的には約2%の相対標準偏差(RSD))を有することを発見した。
【0014】
本発明の随意の特徴をこれから述べる。これらは、単独で、または本発明の任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0015】
G力は以下に示すように計算する。
G力(g)=1.12×10-5×R×(RPM)
(式中、Rは回転の半径(センチメートル)であり、RPMは毎分回転数である)。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、10~1000gの間の、例えば、12~1000gの間、または40~1000gの間、または20~800gの間、または80~800gの間、または100~200gの間の遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させることを含む。
【0017】
ホスト担体粒子へのゲスト薬物粒子の接着レベル、したがって製剤のFPFは、使用する遠心力を制御することによって制御することができる。本発明者らは、FPFとG力の間に非線形の二次関係が存在し、(G力)の増加はFPFの減少をもたらすことを発見した。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、10~4000rpmの間、例えば、100~4000rpmまたは800~4000rpmの間の速度で円筒状処理管を回転させることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、回転の半径(R)、すなわち円筒状処理管の半径は4~50cmの間、例えば4~20cmの間である。
【0020】
いくつかの実施形態では、結合物(しかし、まだ凝集したゲスト/ホスト粒子ではない)の面積/質量比は2~20g/cmの間であり、及び/または体積/質量比は15~30ml/gである。これらの実施形態では、G力は10~800gの間、例えば80~800gの間でもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)1~6マイクロメートルの間である。
【0022】
吸入可能な薬物ゲスト粒子は、グルココルチコステロイド、例えば、フルチカゾンプロピオネート、ブデソニド、ベクロメタゾンジプロピオネート及びモメタゾンフロエートを含むことができる。これは、短時間作用型ベータ-2アゴニスト、例えば、サルブタモール、硫酸テルブタリンまたはイプラトロピウム臭化物を損なうことができる。これは、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えば、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウムまたはシクレソニドを含むことができる。これは、長時間作用型ベータ-2アゴニスト(LABA)、例えば、フマル酸ホルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、インダカテロールマレイン酸塩、オロダテロール塩酸塩またはビランテロールトリフェニル酢酸塩を含むことができる。これは、抗ムスカリン剤、例えば、ウメクリジニウム臭化物、アクリジニウム臭化物、アディジニウム臭化物(adidinium bromide)、グリコピロニウム臭化物(グリコピロレート)またはチオトロピウム臭化物も含むこともできる。これは、粘液溶解剤、例えば、マンニトール及びドルナーゼアルファを含むことができる。抗感染剤、インスリンまたは抗がん剤は、吸入可能な薬物ゲスト粒子に対する、さらなる可能な選択肢である。一般に、吸入可能な薬物ゲスト粒子は、局部的または全身的作用のために気道に直接送達されることが意図される任意の薬物を含むことができる。
【0023】
さらに、吸入可能な薬物ゲスト粒子は生物学的薬剤(biologic)、例えば、モノクローナル抗体を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、担体粒径は吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径の10倍以上である。これは、得られた製剤の良好な流動性を確実にするのに役立つ。
【0025】
担体粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)60マイクロメートル以上、例えば、60~190マイクロメートルの間、例えば、60~150マイクロメートルの間でもよい。担体粒径は90マイクロメートル以上でもよい。好ましくは、これは、狭い(例えば、最大35または50ミクロン)粒径分布を有する。
【0026】
担体粒子は、ラクトース(例えば、還元糖としてのα-ラクトース一水和物)、D-マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、α,α-トレハロース二水和物、デキストロース、グルコース一水和物、マルチトール、マルトース、キシリトールヒドロキシアパタイト、D-ラフィノース無水物またはラフィノース五水和物を含むことができる。担体粒子は、界面活性剤、またはポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA))、アミノ酸(例えば、ロイシン)、ステアリン酸マグネシウムまたはシクロデキストリンを含むこともできる。
【0027】
ゲスト材料/吸入可能な薬物の濃度は、全製剤組成物の0.1~70%w/wの間でもよい。
【0028】
ゲスト/担体の重量比は、典型的には、1:500(0.2%)または1:200(0.5%)から1:4(25%)の間で変動する。
【0029】
いくつかの実施形態では、中空シャフトは、溝/開口部が円筒状処理管の軸線から0~92%の間の相対距離に位置するような半径を有する。これは、脱集魂を増大させるのに役立つ。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、随意に、100psiまで、例えば、20~40psiの間の圧力で、気体入口から、中空シャフト中の気体流路に沿って、1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を通って、チャンバー中へ気体(例えば、窒素)を流動させることを含む。気体の流速は、1~100L/分の間、例えば、75L/分まで、例えば、5または10から50L/分の間でもよい。窒素の使用は、粒子との気体の任意の相互作用または酸化を回避する。気体(例えば、窒素)は、気体流路に沿ってそれが流動する前に加熱されてもよい。気体流は、凝集体を分解するのを補助し、担体粒子上への薬物粒子の付着の程度を加減する。空気流の速度は、好ましくは、加えられるG力に逆相関する。
【0031】
装置はWO2016/066462に記載されている通りでもよい。
【0032】
処理時間は、5~120分の間、好ましくは7.5~40分の間、最も好ましくは10~20分の間でもよい。処理時間はG力及び管の回転速度に逆相関する。例えば、G力が150gを越える場合は、処理時間は5~15分の間でもよく、G力が100g未満の場合は、処理時間は10~40分または10~30分でもよい。同様に、いくつかの実施形態(例えば、担体が、95~125μmの平均粒径及び160~190μmのD90(D90は、粉末の90%の粒径である)を有するRespitose SV010である場合)では、1400rpmを越える回転速度が使用される場合、処理時間は7分未満でもよいが、より低い回転速度については、処理時間は10分を超えてもよい。
【0033】
バッチサイズは、5g~3000gの間、例えば、5g~2000gの間、または20g~3000gの間でもよく、あるいは20g~2000gの間、例えば、400g~3000gの間、または400g~2000gの間でもよい。
【0034】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法に従って生成される薬物製剤を提供する。
【0035】
薬物製剤は、乾燥粉末吸入器で使用するためのものである。
【0036】
いくつかの実施形態では、薬物製剤のFPFは5~100%の間、例えば、5~80%の間である。
【0037】
第3の態様では、本発明は、担体粒子に接着したゲスト粒子を含む薬物製剤であって、ゲスト粒子が吸入可能な薬物である、薬物製剤を提供する。
【0038】
薬物製剤は、乾燥粉末吸入器で使用するためのものである。
【0039】
いくつかの実施形態では、吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径は1~6マイクロメートルの間である。
【0040】
吸入可能な薬物ゲスト粒子は、グルココルチコステロイド、例えば、フルチカゾンプロピオネート、ブデソニド、ベクロメタゾンジプロピオネート及びモメタゾンフロエートを含むことができる。これは、短時間作用型ベータ-2アゴニスト、例えば、サルブタモール、硫酸テルブタリンまたはイプラトロピウム臭化物を損なうことができる。これは、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えば、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウムまたはシクレソニドを含むことができる。これは、長時間作用型ベータ-2アゴニスト(LABA)、例えば、フマル酸ホルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、インダカテロールマレイン酸塩、オロダテロール塩酸塩またはビランテロールトリフェニル酢酸塩を含むことができる。これは、抗ムスカリン剤、例えば、ウメクリジニウム臭化物、アクリジニウム臭化物、アディジニウム臭化物(adidinium bromide)、グリコピロニウム臭化物(グリコピロレート)またはチオトロピウム臭化物も含むこともできる。これは、粘液溶解剤、例えば、マンニトール及びドルナーゼアルファを含むことができる。抗感染剤、インスリンまたは抗がん剤は、吸入可能な薬物ゲスト粒子に対する、さらなる可能な選択肢である。一般に、吸入可能な薬物ゲスト粒子は、局部的または全身的作用のために気道に直接送達されることが意図される任意の薬物を含むことができる。
【0041】
さらに、吸入可能な薬物ゲスト粒子は生物学的薬剤(biologic)、例えば、モノクローナル抗体を含むことができる。
【0042】
吸入可能な薬物は、微粒子化された粒子、凝集したリポソームまたは凝集したナノ粒子を含むことができる。
【0043】
吸入可能な薬物は、熱不安定性である、及び/または水分感受性である、及び/または破砕感受性である、及び/または汚染を受けやすい可能性がある。
【0044】
いくつかの実施形態では、担体粒径は吸入可能な薬物ゲスト粒子の平均粒径の10倍以上である。これは、得られた製剤の良好な流動性を確実にするのに役立つ。
【0045】
担体粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)60マイクロメートル以上、例えば、60~190マイクロメートルの間、例えば、60~150マイクロメートルの間でもよい。担体粒径は90マイクロメートル以上でもよい。好ましくは、これは、狭い(例えば、最大35または50ミクロン)粒径分布を有する。
【0046】
担体粒子は、ラクトース(例えば、還元糖としてのα-ラクトース一水和物)、D-マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、α,α-トレハロース二水和物、デキストロース、グルコース一水和物、マルチトール、マルトース、キシリトールヒドロキシアパタイト、D-ラフィノース無水物またはラフィノース五水和物を含むことができる。担体粒子は、界面活性剤、またはポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA))、アミノ酸(例えば、ロイシン)、ステアリン酸マグネシウムまたはシクロデキストリンを含むこともできる。
【0047】
担体粒子は、熱不安定性である、及び/または水分感受性である、及び/または破砕感受性である、及び/または汚染を受けやすい可能性がある。
【0048】
いくつかの実施形態では、薬物製剤のFPFは5~100%の間、例えば、5~80%の間である。
【0049】
いくつかの実施形態では、薬物製剤は95~105%(RSD 0~3%)の含量均一性を有する。
【0050】
第4の態様では、本発明は、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法であって、
粒子を受容するためのチャンバーを規定する固体壁を有する処理管を備える装置を提供することと、
チャンバーに粒子を加えることと、
遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させること
を含み、
担体粒子とゲスト粒子のうちの一方が可溶性/溶解性を有する材料を含み、他方が可溶性/溶解性制御剤を含む、方法を提供する。
【0051】
可溶性/溶解性を有する材料は、以下を包含する、可溶性/溶解性が低減した材料でもよい。すなわち、1gの材料が、(周囲温度及び周囲圧力で)溶解するのに30~100mlの溶質を必要とする、少々可溶性の材料、1gの材料が、(周囲温度及び周囲圧力で)溶解するのに100~1000mlの溶質を必要とする、わずかに可溶性の材料、1gの材料が、(周囲温度及び周囲圧力で)溶解するのに1000~10000mlの溶質を必要とし得る、非常にわずかに可溶性の材料、1gの材料が、(周囲温度及び周囲圧力で)溶解するのに10000mlより多くの溶質を必要とし得る、不溶性材料である。この場合、可溶性/溶解性制御剤は、可溶性/溶解性促進剤でもよい。
【0052】
他の実施形態では、可溶性/溶解性を有する材料は、1gの材料が<30mlの溶質に溶解する可溶性材料でもよい。
【0053】
第5の態様では、本発明は、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための方法であって、
粒子を受容するためのチャンバーを規定する固体壁を有する処理管を備える装置を提供することと、
チャンバーに粒子を加えることと、
遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させること
を含み、
担体粒子とゲスト粒子のうちの一方が薬物を含み、他方が可溶性/溶解性制御剤を含む方法を提供する。
【0054】
本発明者らは、可溶性/溶解性制御剤及び材料/薬物を含む、ゲスト粒子及び担体粒子を遠心力にかけることが、担体粒子及びゲスト粒子の必要とされる初期の脱集魂、それに続く、担体粒子へのゲスト粒子の接着をもたらすことを発見した。本発明者らは、この方法が、材料/薬物の可溶性/溶解性(したがって、溶解速度)の制御を可能にするハイブリッド粒子をもたらすことをさらに発見した。
【0055】
本発明の随意の特徴をこれから述べる。これらは、単独で、または本発明の任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法は、100~1000gの間、例えば、40~1000gの間、または80~800gの間、または100~200gの間の遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させることを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、ゲスト粒子の平均粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)0.2~38マイクロメートルの間である。
【0058】
いくつかの実施形態では、ゲスト粒子は材料/薬物を含み、担体粒子は可溶性/溶解性制御剤を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、担体粒子は材料/薬物を含み、ゲスト粒子は可溶性/溶解性制御剤を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、担体粒径はゲスト粒子の平均粒径の5倍以上である。これは、担体粒子の表面へのゲスト粒子の良好な誘引及び得られた製剤の良好な流動性を確実にするのに役立つ。
【0061】
担体粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)50マイクロメートル以上、例えば、50~1000マイクロメートルの間または50~350マイクロメートルの間でもよい。担体粒径は90マイクロメートル以上でもよい。好ましくは、これは、狭い(例えば、最大35または50ミクロン)粒径分布を有する。
【0062】
可溶性/溶解性制御剤は、以下のものを含むことができる。すなわち、陰イオン性界面活性剤、例えば、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基もしくはカルボン酸基を含むもの(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム);陽イオン性界面活性剤;非イオン性界面活性剤(例えば、プルロニック(登録商標)、ポリソルベート、セトマクロゴール、セトステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、ポロキサマー、ステアロイルマクロゴールグリセリドもしくはソルビタンアルキルエステル(Span));双性イオン性(両性)界面活性剤;アミノ酸、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンもしくはリジン;糖、例えば、D-マンニトール、ソルビトール、デンプンもしくはラクトース;水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(エチレン)オキシド、メチルセルロース;崩壊剤、例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムもしくはデンプングリコール酸ナトリウム;シクロデキストリン;ビタミンE TPGS;エチルセルロース;または材料/薬物の湿潤化/制御された可溶化及び溶解を容易にするのに使用することができる任意の材料/材料の組み合わせ、である。
【0063】
薬物は、経口薬物送達について使用される生物薬剤学分類(BCS)クラスI、II、IIIまたはクラスIVに分類される、任意の薬物を含むことができる。BCSクラスI薬物の例としては、アセトアミノフェン(パラセタモール)、クロロキン、ジルチアゼム、メトプロロール、ピロキシカム、塩酸プロプラノロール、テオフィリン及びベラパミルが挙げられる。BCSクラスII薬物の例としては、アミオダロン、アトルバスタチン、アジスロマイシン、カルバマゼピン、カルベジロール、クロルプロマジン、シプロフロキサシン、シクロスポリン、ダナゾール、ダプソン、ジクロフェナク、ジゴキシン、エリスロマイシン、フルルビプロフェン、グリピジド、グリセオフルビン、イブプロフェン、インジナビル、インドメタシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ランソプラゾール、メベンダゾール、ナプロキセン、オフロキサシン、フェニトイン、ピロキシカム、ラロキシフェン、リトナビル、サキナビル、スピロノラクトン、タクロリムス及びタモキシフェンが挙げられる。BCSクラスIII薬物の例としては、アシクロビル、アテノロール、カプトプリル、シメチジン、メトホルミン、ネオマイシンB及びラニチジンが挙げられる。BCSクラスIV薬物の例としては、アセタゾラミド、水酸化アルミニウム、アムホテリシンB、アプレピタント、アザチオプリン、クロロチアジド、クロルタリドン、ドセタキセル、エトラビリン、ファモチジン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インジナビル、ロピナビル、メベンダゾール、メトトレキサート、ネルフィナビル、ネオマイシン、パクリタキセル及びリトナビルが挙げられる。
【0064】
さらに、薬物は、生物学的薬剤、例えば、モノクローナル抗体を含むことができる。
【0065】
ゲスト粒子の濃度は、0.5~70wt%、例えば、0.5~40wt%の間で変動し得る。
【0066】
担体粒子及び/またはゲスト粒子は、熱不安定性である、及び/または水分感受性である、及び/または破砕感受性である、及び/または汚染を受けやすい可能性がある。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法は、10~2100gの間(例えば、12~2100gの間)の遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させることを含む。
【0068】
G力は以下に示すように計算する。
G力(g)=1.12×10-5×R×(RPM)
(式中、Rは回転の半径(センチメートル)であり、RPMは毎分回転数である)。
【0069】
いくつかの実施形態では、方法は、10~2000g、例えば、40~1000gの間、80~800gの間、または100~200gの間の遠心(G)力を粒子に与えるように、軸線の周りで円筒状処理管を回転させることを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、方法は、250~4000rpmの間、例えば、100~4000rpmの間、または800~4000rpmの間の速度で、円筒状処理管を回転させることを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、回転の半径(R)、すなわち円筒状処理管の半径は、4~50cmの間、例えば4~20cmの間である。
【0072】
いくつかの実施形態では、面積/質量比は2~20g/cmの間であり、及び/または体積/質量比は15~30ml/gである。これらの実施形態では、G力は80~800gの間でもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、装置は、円筒状処理管の回転の軸線に少なくとも部分的に沿ってチャンバー内に延びる中空シャフトであって、気体入口に接続した気体流路を規定し、且つ気体流路とチャンバーの間の流体連通を可能にする1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を有する、中空シャフトをさらに含み、方法は、気体入口から、中空シャフト中の気体流路に沿って、1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を通って、チャンバー中へ気体を流動させることをさらに含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、中空シャフトは、溝/開口部が円筒状処理管の軸線から0~92%の間の相対距離に位置するような半径を有する。これは、脱集魂を増大させるのに役立つ。
【0075】
いくつかの実施形態では、方法は、随意に、100psiまで、例えば、20~40psiの間の圧力で、気体入口から、中空シャフト中の気体流路に沿って、1つもしくは複数の軸線方向に延びる溝または1つもしくは複数の軸線方向に延びる開口部の列を通って、チャンバー中へ気体(例えば、窒素)を流動させることを含む。気体の流速は、1~100L/分の間、例えば、75L/分まで、例えば、5または10から50L/分の間でもよい。窒素の使用は、粒子との気体の任意の相互作用または酸化を回避する。気体(例えば、窒素)は、気体流路に沿ってそれが流動する前に加熱されてもよい。気体流は、凝集体を分解するのを補助し、担体粒子上への薬物粒子の付着の程度を加減する。空気流の速度は、好ましくは、加えられるG力に逆相関する。
【0076】
装置はWO2016/066462に記載されている通りでもよい。
【0077】
可溶性/溶解性速度を制御するように設計された粉末の最適な性能のために、処理時間はG力に逆相関し、粉末は中程度から強程度の付着を必要とする。G力が高いほど、処理時間が短くなる。好ましい処理時間は、10~120分、例えば10~60分の範囲である。大きなバッチサイズ(2または3kg)で、またはG力が100g未満というより低い範囲設定される場合は、より長い処理時間(例えば、120分まで)を使用してもよい。
【0078】
装置は国際公開WO2016/066462に記載されている通りでもよい。
【0079】
第6の態様では、本発明は、第4の態様の方法に従って生成される薬物製剤を提供する。
【0080】
薬物製剤は経口投与のためのものでもよい。あるいは、これは、吸入可能製剤、注射可能製剤または局所製剤でもよい。
【0081】
第7の態様では、本発明は、担体粒子に接着したゲスト粒子を含む薬物製剤であって、担体粒子とゲスト粒子のうちの1つが薬物であり、もう1つが可溶性/溶解性制御剤である、薬物製剤を提供する。
【0082】
薬物製剤は経口投与のためのものでもよい。あるいは、これは、吸入可能製剤、注射可能製剤または局所製剤でもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、ゲスト粒子の平均粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)0.2~38マイクロメートルの間である。
【0084】
いくつかの実施形態では、担体粒径は、可溶性/溶解性ゲスト粒子の平均粒径の5倍以上である。これは、担体粒子の表面への微細なゲスト粒子の良好な誘引及び得られた製剤の良好な流動性を確実にするのに役立つ。
【0085】
担体粒径は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した際に)50マイクロメートル以上、例えば、50~1000マイクロメートルの間または50~350マイクロメートルの間でもよい。担体粒径は90マイクロメートル以上でもよい。好ましくは、これは、狭い(例えば、最大35または50ミクロン)粒径分布を有する。
【0086】
可溶性/溶解性制御剤は、以下のものを含むことができる。すなわち、陰イオン性界面活性剤、例えば、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基もしくはカルボン酸基を含むもの(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム);陽イオン性界面活性剤;非イオン性界面活性剤(例えば、プルロニック(登録商標)、ポリソルベート、セトマクロゴール、セトステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、ポロキサマー、ステアロイルマクロゴールグリセリドもしくはソルビタンアルキルエステル(Span));双性イオン性(両性)界面活性剤;アミノ酸、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンもしくはリジン;糖、例えば、D-マンニトール、ソルビトール、デンプンもしくはラクトース;水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(エチレン)オキシド、メチルセルロース;崩壊剤、例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムもしくはデンプングリコール酸ナトリウム;シクロデキストリン;ビタミンE TPGS;エチルセルロース;または材料/薬物の湿潤化/制御された可溶化を容易にするのに使用することができる任意の材料/材料の組み合わせ。
【0087】
いくつかの実施形態では、可溶性/溶解性制御剤が微粒子化され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、薬物が微粒子化され得る。
【0089】
薬物は、経口薬物送達について使用される生物薬剤学分類(BCS)クラスI、II、IIIまたはクラスIVに分類される、任意の薬物を含むことができる。BCSクラスI薬物の例としては、アセトアミノフェン(パラセタモール)、クロロキン、ジルチアゼム、メトプロロール、ピロキシカム、塩酸プロプラノロール、テオフィリン及びベラパミルが挙げられる。BCSクラスII薬物の例としては、アミオダロン、アトルバスタチン、アジスロマイシン、カルバマゼピン、カルベジロール、クロルプロマジン、シプロフロキサシン、シクロスポリン、ダナゾール、ダプソン、ジクロフェナク、ジゴキシン、エリスロマイシン、フルルビプロフェン、グリピジド、グリセオフルビン、イブプロフェン、インジナビル、インドメタシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ランソプラゾール、メベンダゾール、ナプロキセン、オフロキサシン、フェニトイン、ピロキシカム、ラロキシフェン、リトナビル、サキナビル、スピロノラクトン、タクロリムス及びタモキシフェンが挙げられる。BCSクラスIII薬物の例としては、アシクロビル、アテノロール、カプトプリル、シメチジン、メトホルミン、ネオマイシンB及びラニチジンが挙げられる。BCSクラスIV薬物の例としては、アセタゾラミド、水酸化アルミニウム、アムホテリシンB、アプレピタント、アザチオプリン、クロロチアジド、クロルタリドン、ドセタキセル、エトラビリン、ファモチジン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インジナビル、ロピナビル、メベンダゾール、メトトレキサート、ネルフィナビル、ネオマイシン、パクリタキセル及びリトナビルが挙げられる。
【0090】
さらに、薬物は、生物学的薬剤、例えば、モノクローナル抗体を含むことができる。
【0091】
ゲスト粒子含量は、0.5~70wt%、例えば、0.5~40wt%の間で変動し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、ゲスト粒子は薬物を含み、担体粒子は可溶性/溶解性制御剤を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、担体粒子は薬物を含み、ゲスト粒子は可溶性/溶解性制御剤を含む。
【0094】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態をこれから例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】WO2016/066462に記載されている装置の概略図である。
図2】フルチカゾンプロピオネート/ラクトース製剤の含量均一性及びRSDを示す図である。
図3】フルチカゾンプロピオネート/ラクトース製剤について、収集された呼吸域微粒子の量及び放出用量パーセンテージを示す図である。
図4】さらなるフルチカゾンプロピオネート/ラクトース製剤の含量均一性及びRSDを示す図である。
図5】さらなるフルチカゾンプロピオネート/ラクトース製剤について、収集された呼吸域微粒子の量及び放出用量パーセンテージを示す図である。
図6】フルチカゾンプロピオネート及び試料製剤のSEM画像を示す図である。
図7】対照に対する、乾燥被覆されたカルバマゼピン製剤の溶解/時間プロファイルを示す図である。これは、乾燥被覆後の薬物の溶解の向上を強調する。
図8】対照に対する、ピロキシカム/PVP製剤の溶解/時間プロファイルを示す図である。これは、乾燥被覆後の薬物の溶解の向上を強調する。
図9】対照に対する、フェニトイン/PVP製剤の溶解/時間プロファイルを示す図である。これは、乾燥被覆後の薬物の溶解の向上を強調する。
図10】対照に対する、カルバマゼピン/SLS製剤の溶解/時間プロファイルを示す図である。これは、乾燥被覆後の薬物の溶解の向上を強調する。
図11】薬物溶解の速度を制御するために使用される異なるポリマーを有するカルバマゼピンの溶解時間プロファイルを示す図である。
図12】薬物溶解の速度を調整するために2つの速度制御ポリマーの様々な組み合わせを有するカルバマゼピンの溶解時間プロファイルを示す図である。
図13】薬物溶解の速度を制御するために異なる速度制御ポリマーを有するフルクロキサシリンナトリウムの溶解/時間プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
図1は、国際公開WO2016/066462に記載されている、ゲスト粒子で担体粒子を被覆するための装置1である。この装置は、アクリルまたはステンレス鋼(GMPグレード)から形成され、滑らかな内壁を有する、円筒状処理管2を備える。管2はその軸線の周りで回転可能であり、約500cmの体積を有するチャンバー3を規定する固体壁を有する。ステンレス鋼から形成される中空シャフト4は、管2の軸線に沿ってチャンバー3内に延びる。中空シャフトは、管2の一方の軸端6に位置する気体入口5に接続し、管2の反対側の軸端8の気体出口7に接続している、気体流路を規定する。
【0097】
中空シャフト4は、シャフトの周りに円周方向に一定の間隔で置かれた、軸線方向に整列した4列の開口部9を備える。開口部9は、中空シャフト4内の気体流路からチャンバー3中へ延びる。
【0098】
開口部の列は、処理中に1、2、または3列を遮断することができるように、選択的に遮断可能である。
【0099】
開口部9は、チャンバー3中に気体流を集中させるように調整可能な直径を有し、中空シャフト4の軸端へ向かう開口部9’は、それぞれの流動配向器(非表示)を含み、これは、チャンバー3の軸端の方へ気体流を曲げる。
【0100】
装置1は、管2の回転を駆動するための駆動モーター10をさらに備える。駆動モーター10は、ベルト12を介して、気体入口5に隣接する管2の軸端6に付けられたハブ11に連結している。中空シャフト4は、ハブ11の軸心を通り抜ける。
【0101】
駆動モーター10は、4000rpmまでの速度でベルト12を介して管2及びハブ11を回転させるように適合される。駆動モーターは、中空シャフト4の回転速度を監視し、維持するための回転センサー(非表示)を含む。
【0102】
装置1は、チャンバーの外部に据え付けられた、チャンバー内の温度を監視するための赤外線温度センサー13をさらに備える。
【0103】
装置1は、チャンバー3ー内の圧力の増大がないことを確実にするようにチャンバー内の圧力を調節するための圧力調節システム14をさらに備える。
【0104】
回転センサー、温度センサー13及び圧力調節システム14は、LabVIEWソフトウェアまたは同等のソフトウェアを実行するコンピューターシステム(非表示)にフィードバックを提供する。
【0105】
装置1は、気体入口5に接続した窒素源15をさらに備える。気体源15は、80psiまで、例えば、20~80psiの間の圧力で窒素を気体入口5に供給するように適合される。
【0106】
装置1を使用するために、担体粒子及びゲスト粒子が管2のチャンバー3内に入れられる。これらは、中空シャフトが(ステンレス鋼ガスケットを使用して)チャンバーに適合され、密閉される前に、チャンバーのどちらかの端に導入される。
【0107】
担体粒子は、(粒子体積を測定するレーザー回折粒径分析器を使用して測定した場合に)ゲスト粒子の粒径の少なくとも5倍の粒径を有する。
【0108】
気体入口5は、窒素気体供給源15に接続している。
【0109】
管2は、管2の軸端6に付けられたハブ11を回転させる駆動モーター10及びベルト12によって、4000rpmまでの速度で回転させられる。
【0110】
管2が回転すると、粒子は、管2の壁の滑らかな内面の方へ粒子を押しやる遠心力にかけられる。
【0111】
窒素源15からの窒素は、気体入口5に流動し、気体流路に沿って中空シャフト4を通って流動する。残りの気体は、4列の開口部9を通ってチャンバー3中に進む。
【0112】
開口部9を通過する気体は半径方向外方向に発散し、これは、遠心力と一致し、それにより、管の固体壁の内面に対する粒子の衝突力を増大させる。これは、次に、ゲスト粒子が担体粒子に吸着する力を増大させ、それにより、2つの粒子間の接着を増大させる。
【0113】
開口部9が、中空シャフト4に沿って軸線方向に延びる列をなしているので、中空シャフト4から出る空気は、軸線方向に延びる「空気ブレード」を形成し、これは、粒子に加えられるせん断力を増大させ、それにより、粒子間の接着をさらに増大させる。
【0114】
以下に述べるように、フルチカゾンプロピオネート及びラクトース一水和物を使用する実験を行なった。
【0115】
実施例1-フルチカゾンプロピオネート/ラクトース一水和物に関する研究
フルチカゾンプロピオネートは、抗炎症作用を有する強力なグルココルチコステロイドである。これは、気道内の炎症を抑制するために、喘息患者の治療のための吸入可能な薬物製剤で使用される。吸入により呼吸器系を介して送達される場合は、これは低用量しか必要とせず、体循環中にほんの少しのフルチカゾンしか吸収されず、それ故、任意の副作用を低減させる。
【0116】
ラクトース一水和物は、乾燥粉末吸入器製剤で最も一般に使用される担体賦形剤である。これは、その安全性、安定性及び毒性について非常に調べられているという利点がある。これは、複数の薬物に適合し、比較的価格が低い。
【0117】
0.5%DPI製剤に対する含量均一性
WO2016/066462に記載されている被覆装置を使用して、フルチカゾンプロピオネート/ラクトース一水和物粒子を生成した。円筒状処理管は4.125cmの半径を有していた。
【0118】
製剤APT-1~APT-4は、10mgの全用量から50μgのフルチカゾンプロピオネートを送達するように設計した。
【0119】
ラクトース一水和物担体粒子は、以下の2つの商業ブランドから選択した。すなわち、95~125μmの平均粒径及び160~190μmのD90(D90は粉末の90%の粒径である)を有するRespitose SV010;ならびに60μmの平均粒径及び90μmのD90を有するRespitose SV003、である。
【0120】
1~6μmの平均粒径を有する微粉の形態のゲスト粒子として、フルチカゾンプロピオネートを用いた。
【0121】
担体粒子及びゲスト粒子を処理管に加えた。調製した3つのバッチの処理条件を表1に示す。
【表1】
【0122】
図2に示すように、4つのバッチのフルチカゾンプロピオネートの含量均一性は、低い相対標準偏差(RSD)で、97%を超えた。
【0123】
すべての実施例にわたって均一性が観察されたが、RSDから明らかなように、より長い処理時間及び/またはより高いG力が、より高いレベルの均質性をもたらすことが分かった。平均粒径がより大きいRespitose SV010は、ゲストフルチカゾン粒子とより大きな担体粒子の間のより高い誘引力のために、Respitose SV003と比較して、より高いレベルの均質性を示した。
【0124】
0.5%DPI製剤の空気力学的性能
次に、Copley Scientificの新世代インパクター(NGI)装置を使用する4つの製剤の空気力学的性能を、1~5μmの間の空気力学的粒子直径のカットオフポイントを用いて、検討した。
【0125】
10mgの個々の試料を6つのゼラチンカプセル(サイズ3)中に充填し、次いで、Aerolizer(商標)DPIデバイスを使用してNGI中に排出した。
【0126】
ヒトの吸入プロセス中の4Lの吸入空気を模倣するために、空気流量を60L/分で4秒間設定した。放出割合は、口金、導入チューブ、プレセパレーター及びステージ1~8から回収され、HPLC分析されたフルチカゾンのパーセンテージに基づいて計算した。
【0127】
呼吸域微粒子の量は、カットオフ空気力学的直径内の回収された用量の合計であるが、微粒子割合(FPF)は、理論的用量に対する、1~5μmのカットオフ空気力学的直径内の回収された用量のパーセンテージである。図3に結果を示す。
【0128】
この結果は、設計されたプロセスパラメーター(G力)及び入力パラメーター(担体粒径)が、調整されたFPF(6~27%w/w)及び放出用量に相当する3~13μgの範囲にわたる様々な量の呼吸域微粒子を送達する能力を示す。
【0129】
生成された製剤は、粉末の優れた流動性のために、高度な放出用量を示した。方法の最適化は、含量均一性及びブレンド均質性を脅かすことなく、標的にされるFPF%をもたらすことができることに留意されたい。
【0130】
実施例2-0.71%DPI製剤に対する含量均一性
WO2016/066462の装置を使用して、14mgの全用量から100μg(0.71%)を送達するために、より高い濃度のフルチカゾンプロピオネートを使用して、実験を行った。
【0131】
処理パラメーターを以下の表2に列挙する。
【表2】
【0132】
図4に示すように、含量均一性は、APT-5~APT-12のすべてのバッチについて低いRSDで、すべての製剤について高かった。
【0133】
0.71%DPI製剤の空気力学的性能
100μgフルチカゾンのDPI製剤の結果は図5で見ることができ、これは設計される方法が、含量均一性に対する厳しい制御を維持しながら、接着/脱離の程度によって生じる様々なパーセンテージのFPF及び放出用量を送達する能力を示す。
【0134】
結果は、40%ものFPFを達成することができたことを示す。放出用量は、製剤APT-8の場合のように、100%に達することができた。
【0135】
選択された製剤の走査型電子顕微鏡(SEM)画像
図6は、(A)1~5μmの範囲の平均粒径を有するフルチカゾンプロピオネート粒子の表面のSEM画像を示す。1000×及び5000×の拡大率の画像は、微粒子が凝集していることを示す。図6B図6Dは、本明細書に記載の方法を使用して処理した後のラクトース一水和物担体の表面上のフルチカゾンプロピオネートの分布を示す。フルチカゾンプロピオネートの分布及びデアグロメレーションの程度は、FPFの低減とともに増大することに留意されたい(B製剤は約6%のFPFをもたらす高度な均質性及び分布を有し、C製剤は22.6%のFPFを有しており、その一方で、D製剤は29.1%のFPFを有していた)。
【0136】
実施例3-ポリビニルピロリドン担体粒子上の微粒子化されたカルバマゼピンゲスト粒子
国際公開WO2016/066462の装置を使用して、カルバマゼピン/ポリビニルピロリドン乾燥被覆機能化粒子を生成した。
【0137】
カルバマゼピン及びポリビニルピロリドン(PVP)(コリドンK25)の様々な製剤を製造した。PVPは、およそ59μmの平均粒径及び102μmのD90を有する担体粒子として使用した。カルバマゼピンは、ゲスト粒子として働くための、微粒子化された状態のモデル難溶性薬物として用い、これは、5μmの平均粒径及び11.16μmのD90を有していた。混合条件は、190.4g、0.38バールの気体圧力で固定し、混合時間は30~60分で変動させた。
【0138】
溶解速度は、バスケットアセンブリー溶解容器を使用する標準的なUSP II溶解装置を使用して解析した。患者用量を模倣するために、標準的な200mg用量の粉末を調べ、溶解条件は37℃で維持し、バスケット装置は、蒸留水中で50rpmで回転させた。粉末をバスケットに入れ、溶解装置中に浸し、4時間作動させた。所定の時間間隔で試料を取得し、各試料量を同量の新鮮な溶解媒質と置き換えて、シンク条件を維持した。各時点で、試料を適切に濾過し、HPLC装置を使用して薬物含量を解析した。すべての結果は3連で取得し、図7に示す。
【0139】
結果は、既製のカルバマゼピン及び微粒子化されたカルバマゼピンと比較した場合に、処理された粉末について溶解速度の増強及び最大溶解の増強を示した。すべての乾燥被覆された粉末は、可溶性/溶解性制御ポリマー(PVP)の様々な濃度及び様々な処理時間で、溶解挙動の向上を示した。60分間混合した50:50製剤は、4時間の期間にわたって難溶性薬物のほぼ90%の薬物放出がある、最も有利な挙動をもたらし、これは、既製の薬物と比較した場合に、薬物溶解速度の130%の向上を強調するものである。すべての他の製剤も薬物溶解の同様の高い向上を示し、これは、低可溶性薬物の溶解速度を制御し増強する、本技術の能力を強調するものである。
【0140】
微粒子化されたカルバマゼピンは、粒子の凝集が原因で、極めて乏しい放出を示し、湿潤性のための表面積を減少させた。本発明の方法は、>98%の含量の均一性を有する担体を通じて薬物の均一な分布を可能にし、これにより、薬物粒子の完全な湿潤化及び溶解速度の増大が可能になった。本方法は、いかなる熱も発生せず、またはいかなる溶媒も使用しないので、不安定な薬物に理想的であり、新しい化学物質の70%が難溶性であるために、可溶性/溶解性の制御/増強のためのこの処理方法は、薬物溶解速度を向上させるための理想的な解決法を提供する。
【0141】
実施例4-ポリビニルピロリドン担体粒子上の微粒子化されたピロキシカムゲスト粒子
国際公開WO2016/066462の装置を使用して、ピロキシカム/PVP乾燥被覆機能化粒子を生成した。
【0142】
ピロキシカム及びPVP(コリドンK25)の様々な製剤を製造した。PVPは、およそ59μmの平均粒径及び102μmのD90を有する担体粒子として使用した。ピロキシカムは、ゲスト粒子として働くための、微粒子化された状態のモデル難溶性薬物として用い、これは、3.36μmの平均粒径及び6.98μmのD90を有していた。混合条件は、190.4g、0.38バールの気体圧力及び30分の混合時間で固定した。
【0143】
溶解速度は、バスケットアセンブリー溶解容器を使用する標準的なUSP II溶解装置を使用して解析した。患者用量を模倣するために、標準的な20mg用量の粉末を調べ、溶解条件は37℃で維持し、バスケット装置は、0.1N塩酸中で50rpmで回転させた。粉末をバスケットに入れ、溶解装置中に浸し、4時間作動させた。所定の時間間隔で試料を取得し、各試料量を同量の新鮮な溶解媒質と置き換えて、シンク条件を維持した。各時点で、試料を適切に濾過し、HPLC装置を使用して薬物含量を解析した。すべての結果は3連で取得し、図8に示す。
【0144】
結果は、対照のピロキシカム単独と比較して、4時間の間隔の終わりに、溶解速度の増強及び最大溶解の大きな向上を示した。速度制御ポリマー(PVP)の両方の濃度は溶解挙動の向上を強調し、70%のPVPが最も有利な性能を示した。この製剤は、29.7%の放出を示す対照製剤と比較して、88.5%の薬物放出を示し、これは、全体の溶解の197%の増大になった。80%PVP製剤で同様の挙動が観察され、これは、本技術が、その有利な処理条件を介して、溶解挙動を制御する及び向上させる能力を与えることを強調するものである。
【0145】
実施例5-ポリビニルピロリドン担体粒子上の微粒子化フェニトインゲスト粒子
国際公開WO2016/066462の装置を使用して、フェニトイン/PVP乾燥被覆機能化粒子を生成した。
【0146】
フェニトイン及びPVP(コリドンK25)/微粒子化ラウリル硫酸ナトリウムの様々な製剤を製造した。PVPは、およそ59μmの平均粒径及び102μmのD90を有する担体粒子として使用した。ピロキシカムは、ゲスト粒子として働くための、微粒子化された状態のモデル難溶性薬物として用い、これは、11.44μmの平均粒径及び19.05μmのD90を有していた。混合条件は、190.4g、0.38バールの気体圧力及び30分の混合時間で固定した。
【0147】
溶解速度は、バスケットアセンブリー溶解容器を使用する標準的なUSP II溶解装置を使用して解析した。患者用量を模倣するために、標準的な200mg用量の粉末を調べ、溶解条件は37℃で維持し、バスケット装置は、蒸留水中で50rpmで回転させた。粉末をバスケットに入れ、溶解装置中に浸し、4時間作動させた。所定の時間間隔で試料を取得し、各試料量を同量の新鮮な溶解媒質と置き換えて、シンク条件を維持した。各時点で、試料を適切に濾過し、HPLC装置を使用して薬物含量を解析した。すべての結果は3連で取得し、図9に示す。
【0148】
3つの処理製剤の結果は、対照のフェニトイン製剤よりも高い最大溶解とともに、溶解速度の向上を強調した。50:50PVP/フェニトイン製剤は、フェニトイン単独の4.7%の放出と比較して、14%の放出をともなう最も向上した溶解挙動を示した。これは、最大溶解のおよそ197%の増大になった。ラウリル硫酸ナトリウム/PVPの組み合わせで同様の増大が観察され、これは、薬物の放出を向上させるため、及び調整するために、本方法が賦形剤及び処理パラメーターで調整され得て、薬物溶解プロファイルの制御を提供することができることを強調するものである。
【0149】
実施例6-カルバマゼピン担体粒子上の微粒子化されたラウリル硫酸ナトリウムゲスト粒子
国際公開WO2016/066462の装置を使用して、カルバマゼピン/ラウリル硫酸ナトリウム機能化粒子を生成した。
【0150】
最初の製剤は、75wt%カルバマゼピンとともに25wt%ラウリル硫酸ナトリウムを含んでいたが、第2の製剤は、12.5wt%ラウリル硫酸ナトリウム及び87.5%カルバマゼピンを使用して生成した。
【0151】
既製のカルバマゼピンを使用し、これは、およそ91μmの平均粒径及び156μmのD90を有していた。ラウリル硫酸ナトリウムは、ゲスト粒子として微粒子化された状態で用い、これは、8μmの平均粒径及び15.6μmのD90を有していた。
【0152】
混合条件は、190.4gのG力、0.38バールの気体(窒素)圧力及び30分の混合時間で固定した。
【0153】
結果は、微粒子化されたラウリル硫酸ナトリウムでの乾燥被覆カルバマゼピンは、カルバマゼピン対照と比較した場合、カルバマゼピンの溶解速度及び最大溶解を増強することを示した。
【0154】
図10で分かるように、約38%の薬物放出を示した既製のカルバマゼピン(CBZ)と比較して、APT製剤2は、モデル不溶性薬物カルバマゼピンの約54%の薬物放出を示し、APT製剤3は、約48%の薬物放出を示し、これは、それぞれAPT製剤2及び3について、薬物溶解速度の42%及び25%の向上を強調するものである。
【0155】
この方法は溶解速度の向上をもたらし、含量の均一性が>98%である担体を介して薬物の均一な分布を可能にし、これにより、薬物粒子の完全な湿潤化及び溶解速度の増大が可能になった。
【0156】
この方法は薬物粒子の微粒子化を必要とせず、それによって、物理的不安定性を有する薬物に理想的なものになる。この方法に熱発生がないこと、及び溶媒がないことによって、この方法が不安定な薬物に理想的なものになる。
【0157】
実施例7-カルバマゼピン担体粒子上の微粒子化された溶解速度制御ゲストポリマー
国際公開WO2016/066462の装置を使用して、カルバマゼピン/溶解速度制御ゲストポリマーを処理した。
【0158】
図11に示すように、薬物の溶解速度を調整/制御すると思われる被覆を生成するために、薬物と溶解速度制御ゲストポリマーの二成分混合物を様々な濃度で製造した。これは、薬物放出を所望のレベルに変えるために様々な材料を使用することに対する、この方法の柔軟性を示した。既製のカルバマゼピンを3種の異なる速度制御ポリマー;高粘性のポリ(エチレン)オキシド(賦形剤1)、低粘性のポリ(エチレン)(賦形剤2)及びエチルセルロース(賦形剤3)と混合した。
【0159】
混合条件は、190.4gのG力、0.38バールの気体(窒素)圧力及び60分の混合時間で固定した。
【0160】
結果は、速度制御ポリマーの選択によって、賦形剤2で観察されるように、薬物それ自体の放出と調和するように薬物の放出を調整することができること、あるいは薬物の放出を60分の時間間隔にわたって非常に低レベルまで遅延させる/阻害することができる(賦形剤1は4%の放出を示し、賦形剤3は1.9%の放出を示す)ことを示した。低レベルの薬物放出は、薬物の臭気/味をマスクすることなどの適用に有用であると考えられ得、これは、低い薬物放出が薬物と味蕾の接触を阻害し、その結果、製剤の嗜好性を高めると思われるからである。
【0161】
図12は、所望の薬物放出を達成するように放出プロファイルを調整するために、これらの溶解速度制御ポリマーのうちの2つとカルバマゼピンとの組み合わせを使用する。賦形剤1及び2を選択し、これは、これらが異なる粘性グレードのポリ(エチレン)オキシドであり、これらが反対の溶解プロファイルを与えたからである。図12から分かるように、2つの速度制御ポリマーの組み合わせを変えることにより、60分の期間後に異なる放出を達成するように放出プロファイルを調整することが可能になった。50:50の組み合わせは薬物単独と同様の全放出を示したが、最初の10分において薬物の放出は抑えられ、これは、味がマスクされた製剤にとって理想的なプロファイルであると思われ、これによって、放出が最初の5~10分において最小であるはずであり、次いで、薬物単独と同様に増大するはずである。高粘性のポリ(エチレン)オキシドの濃度を増大させた場合は、溶解プロファイルがさらに抑えられ、これは、本技術及びポリマーの様々な組み合わせを使用して溶解を調整することができることを示唆する。
【0162】
実施例8-フルクロキサシリンナトリウム担体粒子上の微粒子化された溶解速度制御ゲストポリマー
国際公開WO2016/066462の装置を使用して、フルクロキサシリンナトリウム/溶解速度制御ゲストポリマーを処理した。
【0163】
図13に示すように、薬物の溶解速度を調整/制御すると思われる被覆を生成するために、薬物と溶解速度制御ゲストポリマーの二成分混合物を様々な濃度で製造した。これは、カルバマゼピンなどの低可溶性薬物とともにフルクロキサシリンナトリウムなどの非常に可溶性の薬物を使用することに対する、この方法の柔軟性を示すためであった。既製のフルクロキサシリンナトリウムを3種の異なる速度制御ポリマー;高粘性のポリ(エチレン)オキシド(賦形剤5)、低粘性のポリ(エチレン)(賦形剤3)及びエチルセルロース(賦形剤6)と混合した。
【0164】
溶解速度は、バスケットアセンブリー溶解容器を使用する標準的なUSP II溶解装置を使用して解析した。患者用量を模倣するために、標準的な250mg用量の粉末を調べ、溶解条件は37℃で維持し、バスケット装置は、pH6.8のリン酸緩衝液中で50rpmで回転させた。粉末をバスケットに入れ、溶解装置中に浸し、60分にわたって作動させた。所定の時間間隔で試料を取得し、各試料量を同量の新鮮な溶解媒質と置き換えて、シンク条件を維持した。各時点で、試料を適切に濾過し、HPLC装置を使用して薬物含量を解析した。すべての結果は3連で取得した。
【0165】
混合条件は、190.4gのG力、0.38バールの気体(窒素)圧力及び60分の混合時間で固定した。
【0166】
図13は、異なる溶解速度制御ポリマーで被覆されたフルクロキサシリンナトリウム二成分混合物の結果を強調する。再度、異なる速度制御ポリマーが、その放出を遅延させる/阻害する薬物の放出プロファイルを変えることができることが分かる。この場合、フルクロキサシリンナトリウムは非常に可溶性であり、単独で評価した場合は、1分以内に完全な放出を示す。ここに提示するデータは、すべての溶解速度制御ポリマーが、様々なレベルで薬物の放出を遅延させることを示す。さらに、データは、様々な濃度の賦形剤4を提示し、フルクロキサシリンナトリウムの表面上のゲスト賦形剤の量を増大させると、より著しい被覆が達成されるために、薬物の放出がさらに遅延することを提示した。
【0167】
上記の代表的な実施形態とともに本発明を記載してきたが、本開示を考慮すれば、多くの均等な修正及び変形が当業者には明白になるであろう。したがって、上記の本発明の代表的な実施形態は、例示的であり、限定的ではないと見なされる。特許請求の範囲で定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に対する様々な変更を行なうことができる。
【0168】
上記で言及されるすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図6(D)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13