IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トゥーエイ テクノロジーズ プライベート リミテッドの特許一覧

特許7295102多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法
<>
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図1A
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図1B
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図2A
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図2B
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図2C
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図3
  • 特許-多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】多結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/04 20060101AFI20230613BHJP
   C30B 25/18 20060101ALI20230613BHJP
   C23C 16/27 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C30B29/04 A
C30B25/18
C23C16/27
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020524189
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 SG2018000006
(87)【国際公開番号】W WO2019088916
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】10201709086Q
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】514260446
【氏名又は名称】トゥーエイ テクノロジーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ミスラ デヴィ シャンカー
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-096643(JP,A)
【文献】特表2007-500439(JP,A)
【文献】特開2006-335637(JP,A)
【文献】ロシア国特許出願公開第02489532(RU,C1)
【文献】特開平08-208387(JP,A)
【文献】中国実用新案第2520225(CN,Y)
【文献】特開2008-179498(JP,A)
【文献】国際公開第2012/152661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法であって、
単結晶ダイヤモンドを該単結晶ダイヤモンドよりも大きい非ダイヤモンド基板上に配置する段階と、
マスキング材料を使用して前記単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階であって、前記単結晶ダイヤモンドの前記上面部分を隠す前記段階は、成長から保護可能である周囲区域に接触しているフレーム構造を前記単結晶ダイヤモンドの前記上面部分上に配置する段階と、多結晶ダイヤモンド材料の成長を阻止する阻止構造を前記フレーム構造の上に配置する段階と、を更に含む、前記単結晶ダイヤモンドの前記上面部分を隠す前記段階と、
化学蒸着(CVD)成長チャンバを使用して、前記単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンド材料に接合するために該単結晶ダイヤモンドを取り囲んで該多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造から前記マスキング材料及び前記非ダイヤモンド基板をエッチングする段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造に埋め込まれた前記単結晶ダイヤモンドの厚みを更に低減する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非ダイヤモンド基板は、シリコン基板であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
成長する前記多結晶ダイヤモンド材料は、前記単結晶ダイヤモンドと類似の純度を有していることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造の平坦面を研磨する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記非ダイヤモンド基板の厚みが、1ミリメートル(mm)よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記単結晶ダイヤモンドは、前記非ダイヤモンド基板上に配置された複数の単結晶ダイヤモンドのうちの1つであり、
前記単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドを通して互いに接合される、
ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記単結晶ダイヤモンドは、2μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
単結晶ダイヤモンドと、
前記単結晶ダイヤモンドの少なくとも1つの縁部を取り囲む多結晶ダイヤモンドであって、多結晶ダイヤモンドの厚みが前記単結晶ダイヤモンドの厚みより大きく、前記単結晶ダイヤモンドと前記多結晶ダイヤモンドの境界が、2cm -1 から2.5cm -1 のラマン半値全幅(FWHM)を有する前記多結晶ダイヤモンドと、
を含むことを特徴とする埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【請求項11】
前記単結晶ダイヤモンドは、2μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項10に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【請求項12】
前記単結晶ダイヤモンドは、20μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項10に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【請求項13】
前記単結晶ダイヤモンドは、10ミクロン(μm)よりも小さい厚みを有していることを特徴とする請求項10に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【請求項14】
前記単結晶ダイヤモンドは、1.0(mm)×1.0mm又はそれよりも大きい面積を有していることを特徴とする請求項13に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【請求項15】
多結晶ダイヤモンドの前記厚みは、3mmよりも大きい厚みを有していることを特徴とする請求項14に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【請求項16】
前記単結晶ダイヤモンド及び前記多結晶ダイヤモンドは、同一純度を有していることを特徴とする請求項15に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶ダイヤモンドに埋め込まれた単結晶ダイヤモンド及びそれを成長させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、その比類なき物理的、光学的、及び電気的特性に関して公知である。化学蒸着(CVD)及び高圧及び高温(HPHT)のようなダイヤモンド成長技術での進歩は、望ましい制御可能かつ再現可能な特性を有するダイヤモンドの獲得を可能にしている。
【0003】
一般的に、上述の成長技術を使用して成長したダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンド(すなわち、単一結晶のダイヤモンド)又は多結晶ダイヤモンド(すなわち、多粒子ダイヤモンド)とすることができる。ほとんどの事例では、単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドよりも有意により良好な特性を有する。しかし、全ての推測される用途で単結晶ダイヤモンドに対して完全に採用することは、2つの問題、すなわち、産業拡張性及び処理実行可能性によって主として抑制されている。従って、そのような場合に、多結晶ダイヤモンド及び/又は他の代替材料は、支配的であり、かつ継続して好まれているように見える。
【0004】
例えば、裸の/未処理のウェーハに対する材料選択を考える。単結晶ダイヤモンドの優れた品質は、電子回路をそこに形成することができるウェーハに対してそれを常に好ましい選択材料にすると考えられる。しかし、今日まで、ダイヤモンド成長産業は、実行可能な産業オプションで他の一般的に使用される材料(例えば、シリコン)を置換させるための十分に大きい単結晶ダイヤモンドを形成することができていない。
【0005】
別の例は、薄膜単結晶ダイヤモンドの処理実行可能性である。薄膜単結晶ダイヤモンドの優れた特性は、特に癌のような病気と闘うために開発されている放射線療法処置のための放射線検出器において高く認められている。放射線検出器は、選択された区域(例えば、身体上のターゲット細胞など)に陽子を伝達するのに利用される。そのような精度は、陽子軌道を減衰させる又はそれに影響を与えることのない陽子のための伝達チャネルとしての単結晶ダイヤモンドの優れた特性によってのみ可能にされる。しかし、薄膜単結晶ダイヤモンドは、通常は脆く、かつ処理されている時はいつでも容易に劈開する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、単結晶ダイヤモンドが直面する上述の課題を解決することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示するある一定の実施形態の要約を以下に列挙する。これらの態様は、これらのある一定の実施形態の概要を読者に単に提供するように提示されること、及びこれらの態様は、本発明の開示の範囲を制限するように意図していないことを理解しなければならない。実際に、本発明の開示は、以下に列挙しない場合がある様々な態様を包含することができる。
【0008】
一実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法を提供する。本方法は、非ダイヤモンド基板上に単結晶ダイヤモンドを配置する段階を含み、非ダイヤモンド基板は、単結晶ダイヤモンドよりも大きい。本方法は、マスキング材料を使用して単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階を更に含む。最後に、本方法は、化学蒸着(CVD)成長方法を使用して単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンドに接合するために単結晶ダイヤモンドを取り囲んで多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階を含む。
【0009】
別の実施形態では、上述の実施形態に示す方法は、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させることができる。埋め込み単結晶ダイヤモンド構造は、単結晶ダイヤモンド及び多結晶ダイヤモンドを含む。多結晶ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドを取り囲み、単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドとの間で懸架されるような方式で配置される。
【0010】
上述の特徴の様々な改良が、本発明の開示の様々な態様に関連して存在する場合がある。更に別の特徴は、これらの様々な態様にも同じく組み込むことができる。これらの改良及び追加の特徴は、個々に又はあらゆる組合せで存在することができる。例えば、例示的実施形態の1又は2以上に関連して以下で議論する様々な特徴は、本発明の上述の態様のいずれかの中に単独で又はあらゆる組合せで組み込むことができる。ここでもまた、上記に提示した概要は、本発明の開示の実施形態のある一定の態様及びコンテキストを特許請求する主題に対する限定なしで読者に習熟させるように単に意図している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の開示の様々な態様は、以下の詳細説明を読み、かつ図面を参照するとより良く理解することができる。
【0012】
図1A】本発明の一実施形態による例示的埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を示す図である。
図1B】本発明の一実施形態による例示的埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を示す図である。
図2A】本発明の一実施形態による図1A及び1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド構造の異なる例示的形成段を示す図である。
図2B】本発明の一実施形態による図1A及び1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド構造の異なる例示的形成段を示す図である。
図2C】本発明の一実施形態による図1A及び1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド構造の異なる例示的形成段を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による多結晶フレーム内の例示的単結晶ダイヤモンドアレイを示す図である。
図4】本発明の一実施形態による埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1又は2以上の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施の全ての特徴が本明細書に説明されるわけではない。いずれのそのような実際の実施の展開でも、ダイヤモンド成長の特定の目標を達成するために多数の実施特定の判断を行う必要があり、これは実施によって異なる場合があることを認めなければならない。更に、そのような努力は、複雑で時間がかかる場合があるが、それにも関わらず、本発明の開示から利益を受ける当業者の日常的な業務であると考えられることを認めなければならない。
【0014】
以下で更に詳細に議論するように、本発明の開示の実施形態は、一般的に多結晶ダイヤモンドフレームに埋め込まれた単結晶ダイヤモンドに関する。実際に、そのような埋め込まれた単結晶ダイヤモンドは、摩耗雰囲気内の観察窓、切断、及び損耗用途のような機械的用途、エタロン、レーザ窓、光反射器、回折光学素子、アンビルなどのような光学用途、検出器、熱拡散器、発電所での高電力スイッチ、高周波電界効果トランジスタ、及び発光ダイオードなどのような電子用途、窓ジャイロトロン、マイクロ波構成要素、アンテナのようなマイクロ波用途、表面音響波(SAW)フィルタのような音響用途、宝石用原石のような審美的用途、及び多くの他の用途のような複数の用途に利用することができる。
【0015】
例示であって限定ではないことを意味する図1A及び1Bは、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を示している。図1A及び1Bは、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130のそれぞれ上面図及び側面図である。
【0016】
埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130は、単結晶ダイヤモンド110及び多結晶ダイヤモンド材料120を含む。図1Aに示すように、多結晶ダイヤモンド材料120は、単結晶ダイヤモンド110の側縁を完全に取り囲む。
【0017】
埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130は、様々な用途に使用することができる。具体的には、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130は、提供した上述のリストに従って光学、検出器、半導体、及び/又は電子分野に使用することができる。
【0018】
それに加えて、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130は、一実施形態では背景技術に説明した課題を克服することもできる。しかし、本発明の一般的発明概念から逸脱することなく、特許請求する発明の全ての変形が背景技術に説明した問題を克服することができるわけではないことを認めなければならない。
【0019】
一実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130は、単結晶ダイヤモンド110が、20ミクロンよりも小さい厚みを有する薄膜単結晶ダイヤモンドである時でさえも劈開しない場合がある。装置/機械(例えば、放射性治療用途での検出器)は、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130(すなわち、多結晶ダイヤモンド材料120)の厚い部分の上に保持され、従って、処理実行可能性問題を克服することができる。
【0020】
一実施形態では、単結晶ダイヤモンド110は、天然ダイヤモンド又は成長ダイヤモンドとすることができる。成長ダイヤモンドは、化学蒸着(CVD)成長工程又は高圧高温(HPHT)成長工程を使用して成長させることができる。CVD成長工程は、一貫して純粋なダイヤモンドを得るのに好ましい。
【0021】
更に、単結晶ダイヤモンド110は、半導体を形成することもできる。一例示的実施形態では、単結晶ダイヤモンド110は、特定のタイプのドーパント(例えば、ホウ素など)を移植することによって半導体に形成される。ドープされると、単結晶ダイヤモンド110は、ドープ単結晶ダイヤモンド110(例えば、ホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド)と呼ばれる場合もあることを認めなければならない。特定のタイプのドーパントで単結晶ダイヤモンド110をドープすることは、負のタイプ(Nタイプ)、正のタイプ(Pタイプ)、及び/又はN+Pタイプのような半導体材料を形成することができる。それに加えて、単結晶ダイヤモンド110は、同位体的に純粋なダイヤモンド又は同位体的に濃縮されたダイヤモンドである可能性もある。一実施形態では、単結晶ダイヤモンド110は、13C又は12Cのいずれかを有する同位体的に濃縮した又は純粋なダイヤモンドである場合がある。
【0022】
尚も図1Aを参照すると、単結晶ダイヤモンド110は、X1及びY1の寸法を有するその2つの直交長さを有することができる。一実施形態では、X1及びY1の値は、それぞれ1ミリメートル(mm)及び1mmとすることができる。そのような実施形態では、単結晶ダイヤモンド110の面によって包含される面積は1mm2である。別の実施形態では、X1及びY1の値は、それぞれ2mm及び2mmとすることができる。そのような実施形態では、単結晶ダイヤモンド110の面によって包含される面積は4mm2である。一般的に、面積のサイズは、単結晶ダイヤモンド110が利用されることになる用途に高度に依存可能である。例えば、放射線療法用途装置は、少なくとも1mm2のサイズを有する単結晶ダイヤモンド110を必要とすると考えられる。別の例では、半導体用途は、少なくとも4mm2のサイズを有する単結晶ダイヤモンド110を必要とすると考えられる。
【0023】
ここで図1Bを参照すると、単結晶ダイヤモンド110の厚みは、寸法Z1によって表される。当業者は、単結晶ダイヤモンド110の厚みが埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130の用途によって変わる場合があることを認める。一例示的実施形態では、Z1の値は、20ミクロン(μm)とすることができる。薄膜単結晶ダイヤモンドが望ましい上述のような放射線療法用途では、Z1の値は、2μm又はそれよりも小さいとすることができる。別の例示的実施形態では、厚い単結晶ダイヤモンドが好ましい用途において、Z1の値は、数ミリメートルの単位である(例えば、0.2mmよりも大きい)。
【0024】
単結晶ダイヤモンド110は、比較的純粋なダイヤモンドである場合がある。一実施形態では、そのような純粋な単結晶ダイヤモンド110は、以下に列挙する特性:
a)単一置換窒素(Ns)<1 10億分の1(ppb)
b)300Kで熱伝導率>1500ワット毎メートル毎ケルビン(Wm-1-1
c)アルファ及びベータソースを使用して測定された時に完全捕集>0.1ボルト毎各ミクロン(V/μm)を有する電荷捕集距離
d)電荷捕集効率が、100%>0.1V/μm
e)300Kでの電子に対する電荷担体寿命が、>21.4±5.5ナノ秒(ns)
f)300Kでの正孔に対する電荷担体寿命が、>25.65±1.3ns
g)Δn<1×10-4よりも小さい複屈折
h)10.6μmでの70%から72%の間の光透過、及び/又は
i)>7μRadのロッキング曲線幅
のうちの1又は2以上を有することができる:
【0025】
単結晶ダイヤモンド110の必要な特性は、その用途に依存することを認めなければならない。例えば、半導体用途では、上述の特性のほとんど全て(すなわち、特性(a)~(i))を有することが好ましい。これに代えて、光学用途では、上述の特性の一部分(例えば、特性(g)~(h))を少なくとも有することが好ましい。
【0026】
単結晶ダイヤモンド110は、プレートの形態にある場合がある。プレートは、平行辺プレートとすることができる。一実施形態では、プレートは、6つの面を有することができる。そのような実施形態では、単結晶ダイヤモンド110の上面及び底面は、結晶方位(100)のものであり、単結晶ダイヤモンド110の側面は、結晶方位(110)のものである。別の例示的実施形態では、プレートは、6つの面を有することもできるが、全ての面が、結晶方位(100)を有することになる。別の例示的実施形態では、プレートは、6つの面を有することもできるが、上面及び底面が結晶方位(111)を有し、側面は、いずれかの他の結晶方位(111、110、100など)を有することになる。
【0027】
尚も図1A及び1Bを参照すると、多結晶ダイヤモンド材料120は、単結晶ダイヤモンド110の側縁全体を取り囲む。単結晶ダイヤモンド110の縁部から形成された多結晶ダイヤモンド材料120の寸法は、X2及びY2によって表すことができる。一実施形態では、X2の値は0.5mmよりも大きいとすることができる。X2及びY2の値は、用途に応じて増加する可能性がある。例えば、処理を容易にするのに多結晶のより大きい面を必要とする用途は、大きいX2及びY2値を有することになる。単結晶ダイヤモンド110がごく小さい面積(例えば、それぞれ10μm及び10μm又はそれよりも小さいX1及びY1の寸法)を単に有する実施形態では、X2及びY2の値は、それぞれ0.5mm及び0.5mm又はそれよりも大きいものに依然として留まる場合があることに注意しなければならない。X2及びY2値を維持する目的は、十分に処理を容易にすることを提供することである。
【0028】
図1A及び1Bに説明する実施形態にも関わらず、多結晶ダイヤモンド材料120は、単結晶ダイヤモンド110の選択された周縁の一部分のみを取り囲むように形成することもできる。換言すると、多結晶ダイヤモンド材料120は、単結晶ダイヤモンド110の側縁全体を取り囲まない場合がある。単結晶ダイヤモンド110の選択された周縁の周りを多結晶ダイヤモンド材料120が取り囲む目的は、必要最小限のことを行い、同時に十分な構造的保持支持体及び処理区域を提供することである。
【0029】
図1Bは、多結晶ダイヤモンド材料120の厚みを示している。図1Bに示すように、単結晶ダイヤモンド110の厚みは、一実施形態では、単結晶ダイヤモンド110に最も近い側面を除いて多結晶ダイヤモンド材料120(すなわち、Z1)に類似している。多結晶ダイヤモンド材料120の側面がバルク多結晶ダイヤモンド材料120と厚みが異なる理由に関する更なる詳細は、図2A~2Cを通して以下に提供する。それにも関わらず、一実施形態では、多結晶ダイヤモンド材料120に沿ったそのような不均一な厚みは、追加の研磨工程及び/又はエッチング工程を使用して回避することができる。
【0030】
多結晶ダイヤモンド材料120の厚みは、固定することができるが、単結晶ダイヤモンド110の厚みは、用途に依存することを認めなければならない。例えば、単結晶ダイヤモンド110及び多結晶ダイヤモンド材料120の厚みは、単結晶ダイヤモンド110が200μmよりも大きい厚みを有する時に類似する場合がある。しかし、単結晶ダイヤモンド110の厚みが比較的小さい実施形態では(例えば、2μmの厚みを有する薄膜単結晶ダイヤモンドの場合は)、多結晶ダイヤモンド材料120と単結晶ダイヤモンド110の厚みは異なることになる。そのような実施形態では、多結晶ダイヤモンド材料120の厚みは、200μmよりも大きいものに依然として留まることになる。そのような状況では、埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造130は、不均一な面を有する場合がある。一実施形態では、そのような不均一な面は、「谷状」面に類似する場合があり、それにより、薄膜単結晶ダイヤモンド110は谷のベースを形成する。別の実施形態では、単結晶ダイヤモンド110は、多結晶ダイヤモンド材料120の厚みを通じて途中で懸架され、「ダンベル」構造に類似した構造を形成することができる。多結晶ダイヤモンド材料120の厚みは、そのような薄膜単結晶ダイヤモンド110の容易な処理を可能にするために同じままである。
【0031】
一実施形態では、多結晶ダイヤモンド材料120の純度レベルは、単結晶ダイヤモンド110に類似する場合がある。単結晶ダイヤモンド110が最高純度レベルの単結晶ダイヤモンドを有する(すなわち、上述の特性(a)~(i)の全て有する)実施形態では、多結晶ダイヤモンド材料120の純度レベルも、単結晶ダイヤモンド110の純度レベルにほぼ近くなければならない。単結晶ダイヤモンド110及び多結晶ダイヤモンド材料120の類似の純度レベルは、2つの異なる材料の間の特性に不整合がないことを保証し、これは、一般的に後処理段階において限定的な役割を果すものである。一実施形態では、純度レベルの類似性は、埋め込まれた単結晶ダイヤモンド130の上面又は底面全体の機械研磨を可能にすることができる。代替実施形態では、類似の純度レベルはまた、単結晶ダイヤモンド110と多結晶ダイヤモンド材料120の間の大きい特性不整合なしに他の構造の更に別の形成を可能にすることができる。
【0032】
一実施形態では、多結晶ダイヤモンド材料120の特性は、光学用途に使用する多結晶ダイヤモンドに類似する場合がある。この特性は、少なくとも70%の10.6μmでのフーリエ変換赤外線分光(FTIR)値を含むことができる。
【0033】
単結晶ダイヤモンド110と多結晶ダイヤモンド材料120の境界での接合は、シームレスであってほとんど見えない。更に、単結晶ダイヤモンド110と多結晶ダイヤモンド材料120の境界は、通気性もない。ラマンFWHMは、シームレスでほとんど見えない境界に沿って514ナノメートル(nm)レーザを使用して室温で測定された。一実施形態では、境界の近くの単結晶ダイヤモンド110に対するラマンFWHMは、2cm-1であり、多結晶ダイヤモンド材料に対しては、2.5cm-1である。これらの値の各々は、単結晶ダイヤモンド110と多結晶ダイヤモンド120の間の十分に定められたシームレスかつほとんど目に見えない遷移を示している。すなわち、そのような完全遷移は、あらゆる真空同等用途(例えば、検出器に対する光学窓)での埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130の使用を可能にすることができる。
【0034】
多結晶ダイヤモンド材料は、ランダム配列結晶で構成され、大角粒界、双晶境界、又はその両方を含有するダイヤモンド材料の形態として説明することができることを認めなければならない。対照的に、単結晶ダイヤモンド材料は、ダイヤモンドの結晶格子が粒界のないそのサンプルの縁部まで連続的で途切れない材料である。
【0035】
一実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法を提供する。本方法は、非ダイヤモンド基板上に単結晶ダイヤモンドを配置する段階を含み、非ダイヤモンド基板は、単結晶ダイヤモンドよりも大きい。本方法は、マスキング材料を使用して単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階を更に含む。最後に、本方法は、化学蒸着(CVD)成長方法を使用して単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンドに接合するために単結晶ダイヤモンドを取り囲んで多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階を含む。
【0036】
例示であって限定ではない図2A~2Cは、本発明の一実施形態により埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる時のそれぞれ形成段200A、200B、及び200Cを示している。図2A~2C内の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造は、一実施形態では、図1A及び1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130に類似する場合がある。
【0037】
例示であって限定ではない図2Aは、本発明の一実施形態による埋め込み単結晶ダイヤモンド構造の初期形成段を示している。初期形成段200Aは、非ダイヤモンド基板220、単結晶ダイヤモンド230、フレーム構造240、及びマスキング材料250から作られた積み重ね構造を含む。この構造は、CVD成長チャンバの基板ホルダ210上に更に置かれる。
【0038】
図2Aに示すように、単結晶ダイヤモンド230は、非ダイヤモンド基板220の上に配置される。一実施形態では、非ダイヤモンド基板220は、シリコン、炭化珪素(SiC)、タングステン、及び/又はあらゆる他の適切な材料とすることができる。非ダイヤモンド基板220は、多結晶ダイヤモンドの成長のためのベースとして使用される。一実施形態では、非ダイヤモンド基板220に対する単結晶ダイヤモンド230位置は、処理問題及び/又はアレイ形成問題に対処するようなものであると考えられる。図2Aは、単結晶ダイヤモンド230が非ダイヤモンド基板220の実質的に中心に置かれることを示している。中心配置は、単結晶ダイヤモンド230を取り囲む多結晶ダイヤモンド材料の成長を可能にすることができる。これに代えて、単結晶ダイヤモンド230は、非ダイヤモンド基板220の縁部に置かれる。そのような配置は、図1A及び1Bで上述のように、単結晶ダイヤモンド230の1又は2以上の縁部上の多結晶ダイヤモンド材料の成長を可能にすることになる。
【0039】
単結晶ダイヤモンド230は、プレートの形態にすることができる。プレートは平行辺プレートとすることができる。これらのプレートの各々は、6つの面を有することができる。一実施形態では、単結晶ダイヤモンド230の上面及び底面は、(100)結晶方位のものであり、単結晶ダイヤモンド230の側面は、(110)結晶方位を有する。
【0040】
尚も図2Aを参照すると、フレーム構造240は、単結晶ダイヤモンド230の側縁を取り囲む。フレーム構造240は、単結晶ダイヤモンド230上のあらゆる多結晶成長を防止するのに利用することができる。
【0041】
別の実施形態では、フレーム構造240は、いずれの多結晶ダイヤモンド成長も控えるべき単結晶ダイヤモンドの区域の一部分のみを取り囲むことができる。そのような実施形態では、フレーム構造240の外側にある単結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンドを成長させることになるが、フレーム構造240内にある単結晶ダイヤモンド230は成長しないことになる。フレーム構造240は、ダイヤモンド材料又はシリコン材料から構成することができる。フレーム構造240は壁構造に類似する場合があるが、図2A~2Bでは、フレーム構造240は2つの独立型支柱のように見えることを認めなければならない。
【0042】
フレーム構造240の上方に配置されるのは、マスキング材料250である。図2Aに示すように、マスキング材料250は、単結晶ダイヤモンド230の上面を完全に覆っている。マスキング材料250は、その名の通り、単結晶ダイヤモンド230上の区域をいずれの成長からも隔離するのに使用される。マスキング材料250は、ガス又はプラズマが単結晶ダイヤモンド230の面に達するのを無効にすることによって成長を阻止する。すなわち、フレーム構造240によって取り囲まれ、マスキング材料によって阻止された区域でのあらゆる成長がなくなる。一実施形態では、マスキング材料250は、炭化珪素から構成することができる。
【0043】
上述のように、初期形成段200Aでの構造は、基板ホルダ210の上方に配置される。基板ホルダ210は、一般的にCVD成長工程に使用する基板である。一実施形態では、基板ホルダ210は、モリブデン(Mo)であり、かつ多結晶ダイヤモンド材料の成長を可能にするダイヤモンド種又はダイヤモンド核形成部位のいずれの意図的配置も含まない。
【0044】
例示であって限定ではない図2Bは、本発明の一実施形態による成長状態の直後の成長後形成段200Bを示している。一実施形態では、図2Aの初期形成段200Aと図2Bの成長後形成段200Bの間の唯1つの違いは、多結晶ダイヤモンド260の層である。多結晶ダイヤモンド260は、多結晶ダイヤモンドの成長工程を使用して成長する。多結晶ダイヤモンド260が、非ダイヤモンド基板220と、単結晶ダイヤモンド230と、フレーム構造230と、マスキング材料250とのプラズマに露出された区域のすぐ上に配置されることは図2からはきり見える。一実施形態では、成長工程は、少なくとも1~2mmの厚みを有する多結晶ダイヤモンド260を成長させるほど十分に長い工程とすることができる。
【0045】
一実施形態では、CVD方法を使用する多結晶ダイヤモンドの成長工程は、水素中に少なくとも0.5%~10%のメタン(CH4)を有するガスのCVD成長チャンバへの供給を含むことができる。成長条件は、少なくとも摂氏750度~摂氏1250度の範囲にあることになる。圧力条件は、100キロパスカル(KPA)~300KPaの範囲にある。
【0046】
例示であって限定ではない図2Cは、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を形成する最終形成段を示している。一実施形態では、最終形成段200Cは、図1A及び1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130に類似する場合がある。最終形成段200Cは、非ダイヤモンド基板を単結晶ダイヤモンド230の底部から除去することにより、及びフレーム構造240及びマスキング材料250を除去することによって達成することができる。非ダイヤモンド基板、フレーム構造240、及びマスキング材料250は、これらが多結晶ダイヤモンド材料260の成長後に単に脱離されるので簡単に除去することができることを認めなければならない。
【0047】
図2Cに示すように、単結晶ダイヤモンド230に近い多結晶ダイヤモンド材料260の側の厚みは、多結晶ダイヤモンド材料260の残余の厚みとは異なる。多結晶ダイヤモンド材料260の不均一な厚みは、フレーム構造230がCVD成長工程に対して置かれる方式のために生じる。成長後形成段200Bは、多結晶ダイヤモンド材料の成長が単結晶ダイヤモンド230の縁部内のフレーム構造230の輪郭に続くことを示している。すなわち、フレーム構造240及びマスキング材料250を除去すると、単結晶ダイヤモンド230の近くの多結晶ダイヤモンド材料260の側は比較的厚くなる。
【0048】
それにも関わらず、多結晶ダイヤモンド材料260の不均一な厚みは、一実施形態では、埋め込まれた単結晶ダイヤモンド材料が比較的厚い場合に、研磨(すなわち、機械研磨)の方法によって均一にすることができる。これに代えて、多結晶ダイヤモンド材料260の不均一な厚みは、単結晶ダイヤモンド230が比較的薄い場合に、エッチング(すなわち、反応性イオンエッチング(RIE))によって均一にすることができる。一実施形態では、多結晶ダイヤモンド材料260及び単結晶ダイヤモンド230の残りの面積に直接的又は間接的に影響を与えることなく多結晶ダイヤモンド材料260の不均一な厚みを除去する範囲でのみ均一化工程が行われる時に、ここで均一にされた部分内の多結晶ダイヤモンド材料260の上面の面粗度は、多結晶ダイヤモンド材料260の残りの面積とは異なる場合がある。
【0049】
例示であって限定ではない図3は、本発明の一実施形態による多結晶ダイヤモンドフレーム内の単結晶ダイヤモンドアレイを示している。単結晶ダイヤモンドアレイ300は、多結晶フレーム310に固定された6つの単結晶ダイヤモンド320A~320Fを含む。一実施形態では、単結晶ダイヤモンドアレイ300は、少なくとも1よりも多い単結晶ダイヤモンドを含むことができる。単結晶ダイヤモンド320A~320Fの品質は、一実施形態では類似する場合がある。これに代えてかつ用途に応じて、単結晶ダイヤモンド320A~320Fの品質(例えば、サイズ、厚み、起源(例えば、採掘又は成長)、タイプ(例えば、Ia、Ib、IIa、又はIIb)、純度、色、材料、ドーパント)は異なる場合がある。
【0050】
単結晶ダイヤモンドアレイ300を形成する方法は、図1A及び図1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド130、並びに図2A~2Cに示すような埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を形成する方法に類似する。唯1つの違いは、多結晶310の成長前の単結晶ダイヤモンド320A~320Fのタイル形成であると考えられる。一実施形態では、単結晶ダイヤモンド320A~320Fは、非ダイヤモンド基板上の正確な位置に配置され、接続すべきこれらの単結晶ダイヤモンドが接続するように成長させることができる。
【0051】
一実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130は、単結晶ダイヤモンドのアレイの形成を可能にする。そのような配置の多くの用途があることを認めなければならない。一実施形態では、単結晶ダイヤモンドアレイは、工程ストリームを個々に受ける各個々の基板ではなく、単一工程ストリームを受ける電子回路に形成することができる個々の基板として使用することができる。更に、単結晶ダイヤモンドアレイのアレイも、検出器において冗長性を形成することを支援する。すなわち、そのような冗長性により、単結晶ダイヤモンドが幾分損傷している場合に、別の単結晶で切り換えて、損傷した単結晶ダイヤモンドを置換することができる。
【0052】
例示であって限定ではない図4は、本発明の一実施形態による埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法の流れ図である。埋め込み単結晶ダイヤモンド構造は、図1A及び1Bの埋め込み単結晶ダイヤモンド構造130、又は図2Cの最終形成段200Cによって示す埋め込み単結晶ダイヤモンド構造に類似する場合がある。
【0053】
段階410では、単結晶ダイヤモンドが、非ダイヤモンド基板上に配置される。一実施形態では、単結晶ダイヤモンド及び非ダイヤモンド基板は、図2A~2Cの単結晶ダイヤモンド230及び非ダイヤモンド基板220に類似する場合がある。
【0054】
段階420では、単結晶ダイヤモンドの上面部分が、マスキング材料を使用して隠される。一実施形態では、マスキング材料は、図2A及び2Bのフレーム構造240及びマスキング材料250に類似する場合がある。マスキング材料は、単結晶ダイヤモンドの選択区域のみに与えることができる。段階420後の構成は、図2Aに示すような初期形成段200Aに類似する場合がある。
【0055】
段階430では、多結晶ダイヤモンド材料が、単結晶ダイヤモンドを取り囲んで成長する。多結晶ダイヤモンド材料のそのような成長は、単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンドに接合する。成長の工程は、図2Bの実施形態に提供するようなCVD成長方法を使用する場合がある。更に、段階430の直後の結果は、図2Bの成長後形成段200Bに類似する場合がある。
【0056】
段階440では、マスキング材料及び非ダイヤモンド基板が、埋め込み単結晶ダイヤモンドから離れてエッチングされる。一例示的実施形態では、段階440の直後の結果は、図2Cの最終形成段200Cに類似する場合がある。
【0057】
任意的に、段階450では、埋め込み単結晶ダイヤモンド内に埋め込まれた単結晶ダイヤモンドは、その厚みを低減するようにエッチングすることができる。エッチングは、一実施形態では、RIEを使用して行うことができる。薄くする機能は、20μmよりも小さい厚みで薄膜ダイヤモンドを形成する目的に不可欠であり、かつ同時に処理するのに実行可能である。一実施形態では、薄層化の後の最終構造は、「谷状」面又はダンベル状構造に類似する場合がある。
【0058】
多くの修正、代替、及び変形を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく上述の本発明の好ましい実施形態に対して行うことができることは当業者には明らかである。従って、含まれる特許請求の範囲に該当する全てそのような修正、代替、及び変形を包含することを意図している。
【0059】
本明細書での従来技術へのあらゆる言及は、この従来技術が共通一般知識の一部を形成するという示唆のいずれの形態での受容としても取るべきではない。
【0060】
多くの修正を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく上述の本発明の好ましい実施形態に対して行うことができる。
【0061】
本明細書及び特許請求の範囲に使用するような用語「comprises」又はその文法上の変形は、用語「includes」と同等であり、他の特徴又は要素の存在を除外するとして取るべきではないことは理解されるであろう。
【0062】
一実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法は、単結晶ダイヤモンドを単結晶ダイヤモンドよりも大きい非ダイヤモンド基板上に配置する段階と、マスキング材料を使用して単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階と、化学蒸着(CVD)成長チャンバを使用して単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンド材料に接合するために単結晶ダイヤモンドを取り囲んで多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階とを含む。
【0063】
上述の方法は、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造からマスキング材料及び非ダイヤモンド基板をエッチングする段階を更に含む。
【0064】
上述の方法は、埋め込みダイヤモンド単結晶構造に埋め込まれた単結晶ダイヤモンドの厚みを更に低減する段階を更に含む。上述の方法では、非ダイヤモンド基板は、シリコン基板である。
【0065】
上述の方法では、単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階は、単結晶ダイヤモンドの上面部分上に成長から保護可能な周囲区域に接触しているフレーム構造を配置する段階と、フレーム構造の上に多結晶ダイヤモンド材料の成長を阻止する阻止構造を配置する段階とを更に含む。
【0066】
上述の方法では、成長している多結晶ダイヤモンド材料は、単結晶ダイヤモンドと類似の純度を有する。
【0067】
上述の方法は、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造の平坦面を研磨する段階を更に含む。上述の方法では、非ダイヤモンド基板の厚みは、1ミリメートル(mm)よりも大きい。
【0068】
上述の方法では、単結晶ダイヤモンドは、非ダイヤモンド基板上に配置された複数の単結晶ダイヤモンドのうちの1つであり、単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドを通じて互いに接合される。
【0069】
上述の方法では、単結晶ダイヤモンドは、薄膜単結晶ダイヤモンドである。
【0070】
別の実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造は、
a.単結晶ダイヤモンド、及び
b.単結晶ダイヤモンドの少なくとも1つの縁部を取り囲む多結晶ダイヤモンド、を含み、単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドの厚みの間で懸架される。
【0071】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンドは、薄膜単結晶ダイヤモンドである。
【0072】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンドは、化学蒸着(CVD)ダイヤモンドである。
【0073】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造では、単結晶ダイヤモンドは、10ミクロン(μm)よりも小さい厚みを有する。
【0074】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造では、単結晶ダイヤモンドは、1.0ミリメートル2(mm2)×1.0mm又はそれよりも大きい面積を有する。
【0075】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造では、多結晶ダイヤモンドの厚みは、3mmよりも大きい厚みを有する。
【0076】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造では、単結晶ダイヤモンド及び多結晶ダイヤモンドは同一純度を有する。
【0077】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造では、単結晶ダイヤモンドは、複数の単結晶ダイヤモンド内の1つであり、複数の単結晶ダイヤモンドの全ては、多結晶ダイヤモンドを使用して構造的に互いに保持される。
【0078】
一実施形態では、埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法を提供する。本方法は、非ダイヤモンド基板上に単結晶ダイヤモンドを配置する段階を含み、非ダイヤモンド基板は、単結晶ダイヤモンドよりも大きい。本方法は、マスキング材料を使用して単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階を更に含む。最後に、本方法は、化学蒸着(CVD)成長方法を使用して単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンドに接合するために単結晶ダイヤモンドを取り囲んで多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階を含む。本方法は、単結晶ダイヤモンド及び多結晶ダイヤモンドを含む埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を形成する。多結晶ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドを取り囲み、単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドの間に懸架される。
【0079】
上述の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造では、単結晶ダイヤモンドは、複数の単結晶ダイヤモンド内の1つであり、複数の単結晶ダイヤモンドの全ては、多結晶ダイヤモンドを使用して構造的に互いに保持される。
【0080】
一部の実施形態では、埋め込みダイヤモンド構造を成長させる方法を提供する。本方法は、非ダイヤモンド基板上に少なくとも1つの単結晶ダイヤモンドを配置する段階を含み、非ダイヤモンド基板は、単結晶ダイヤモンドよりも大きい。本方法は、マスキング材料を使用して単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階を更に含む。最後に、本方法は、化学蒸着(CVD)成長方法を使用して単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンドに接合するために単結晶ダイヤモンドを取り囲んで多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階を含む。本方法は、単結晶ダイヤモンド及び多結晶ダイヤモンドを含む埋め込み単結晶ダイヤモンド構造を形成する。多結晶ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドを取り囲み、単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドの間に懸架される。
以下の本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造を成長させる方法であって、
単結晶ダイヤモンドを該単結晶ダイヤモンドよりも大きい非ダイヤモンド基板上に配置する段階と、
マスキング材料を使用して前記単結晶ダイヤモンドの上面部分を隠す段階と、
化学蒸着(CVD)成長チャンバを使用して、前記単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンド材料に接合するために該単結晶ダイヤモンドを取り囲んで該多結晶ダイヤモンド材料を成長させる段階と、を含むことを特徴とする方法。
(実施態様2)前記埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造から前記マスキング材料及び前記非ダイヤモンド基板をエッチングする段階、を更に含むことを特徴とする実施態様1に記載の方法。
(実施態様3)前記埋め込みダイヤモンド単結晶構造に埋め込まれた前記単結晶ダイヤモンドの厚みを更に低減する段階、を更に含むことを特徴とする実施態様1又は2に記載の方法。
(実施態様4)前記非ダイヤモンド基板は、シリコン基板であることを特徴とする実施態様1から3の何れか1項に記載の方法。
(実施態様5)前記単結晶ダイヤモンドの前記上面部分を隠す前記段階は、
成長から保護可能である周囲区域に接触しているフレーム構造を前記単結晶ダイヤモンドの前記上面部分上に配置する段階と、
多結晶ダイヤモンド材料の成長を阻止する阻止構造を前記フレーム構造の上に配置する段階と、を更に含むことを特徴とする実施態様1から4の何れか1項に記載の方法。
(実施態様6)成長する前記多結晶ダイヤモンド材料は、前記単結晶ダイヤモンドと類似の純度を有していることを特徴とする実施態様1から5の何れか1項に記載の方法。
(実施態様7)前記埋め込まれた単結晶ダイヤモンド構造の平坦面を研磨する段階、
を更に含むことを特徴とする実施態様1から6の何れか1項に記載の方法。
(実施態様8)前記非ダイヤモンド基板の厚みが、1ミリメートル(mm)よりも大きいことを特徴とする実施態様1から7の何れか1項に記載の方法。
(実施態様9)前記単結晶ダイヤモンドは、前記非ダイヤモンド基板上に配置された複数の単結晶ダイヤモンドのうちの1つであり、
前記単結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドを通して互いに接合される、ことを特徴とする実施態様1から8の何れか1項に記載の方法。
(実施態様10)前記単結晶ダイヤモンドは、薄膜単結晶ダイヤモンドであることを特徴とする実施態様1から9の何れか1項に記載の方法。
(実施態様11)単結晶ダイヤモンドと、
前記単結晶ダイヤモンドの少なくとも1つの縁部を取り囲む多結晶ダイヤモンドであって、該単結晶ダイヤモンドが該多結晶ダイヤモンドの厚みの間で懸架される前記多結晶ダイヤモンドと、を含むことを特徴とする埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
(実施態様12)前記埋め込み単結晶ダイヤモンド構造が薄膜単結晶ダイヤモンドであることを特徴とする実施態様11に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
(実施態様13)前記埋め込み単結晶ダイヤモンド構造が化学蒸着(CVD)ダイヤモンドであることを特徴とする実施態様11に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
(実施態様14)前記単結晶ダイヤモンドは、10ミクロン(μm)よりも小さい厚みを有していることを特徴とする実施態様11に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
(実施態様15)前記単結晶ダイヤモンドは、1.0ミリメートル 2 (mm 2 )×1.0mm又はそれよりも大きい面積を有していることを特徴とする実施態様14に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
(実施態様16)多結晶ダイヤモンドの前記厚みは、3mmよりも大きい厚みを有していることを特徴とする実施態様15に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
(実施態様17)前記単結晶ダイヤモンド及び前記多結晶ダイヤモンドは、同一純度を有していることを特徴とする実施態様16に記載の埋め込み単結晶ダイヤモンド構造。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4