(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ベンゾフラン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/84 20060101AFI20230613BHJP
C07D 407/12 20060101ALI20230613BHJP
C07C 63/70 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C07D307/84
C07D407/12 CSP
C07C63/70
(21)【出願番号】P 2020525952
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2018114798
(87)【国際公開番号】W WO2019091450
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】201711104888.3
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519352757
【氏名又は名称】江▲蘇▼恒瑞医▲薬▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI PHARMA CEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.7 KUNLUNSHAN ROAD, ECONOMIC AND TECHNOLOGICAL DEVELOPMENT ZONE, LIANYUNGANG, JIANGSU 222047, CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハオユー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,クィユン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,フェン
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/084494(WO,A1)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry,1999年,Vol.7,pp.1131-1139
【文献】CHINESE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,2016年,Vol.36, No.10,pp.2426-2436
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IVaの化合物の調製する方法であって、式VI
aの化合物と式V
aの化合物とを反応させ
て式IVaの化合物を形成することを含む、方法。
【化1】
【請求項2】
前記式VI
aの化合物と
前記式V
aの化合物との反応が、少なくとも一つの金属触媒および/または少なくとも一つのアルカリ性物質の作用下で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属触媒が、金属パラジウム触媒、金属亜鉛触媒、金属銅触媒、および金属ニッケル触媒から選択さ
れる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ
性物質が、KHCO
3、NaHCO
3、Na
2CO
3、Ba(OH)
2、K
3PO
4、Cs
2CO
3、K
2CO
3、KF、CsF、KCN、NaCN、NaOH、KOH、Et
3N、DIPEA、DABCO、NaOMe、NaOEt、
tBuOK、
tBuONa、NaH、DBU、TMG、LHMDS、NaHMDS、n-BuLi、ナトリウムtert-ペントキシド、ジエチルアミン、およびジシクロヘキシルアミンか
らなる群から選択される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
反応の溶剤が、ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、および水からなる群から選択される1種以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
窒素、アルゴンおよびヘリウムから選択される不活性ガ
スの保護下で反応が実施される請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式VIIa
の化合物を、臭素化剤および少なくとも1種の酸の作用下で
反応させることによって、前記式VIaの化合物を調製することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【化2】
【請求項8】
前記臭素化剤が、HBr、Br
2、NBS、DBDMH、HOBr、AcOBr、CF
3COOBr、NH
4Br、TBBDA、PBBS、およびトリブロモイソシアヌレート
からなる群から選択さ
れる、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、AlCl
3、SbCl
5、FeCl
3、FeBr
3、SnCl
4、TiCl
4、ZnCl
2、BF
3、酢酸、硫酸、塩酸、およびトリフルオロ酢酸からなる群から選択さ
れる、請求項
7または
8に記載の方法。
【請求項10】
式VIIIaの化合物を、Pd
2(dba)
3、Pd(dba)
2、Pd(OAc)
2、Pd(tfa)
2、Pd(Piv)
2、Pd(OTf)
2、Pd(PPh
3)
4、PdCl
2、Pd(PPh
3)
2Cl
2、およびPd(dppf)Cl
2からなる群から選択される少なくとも1種以上のパラジウム触媒と、NIS、I(Py)
2BF
4、IOAC、KI、KIO
3、NaI、およびIBrからなる群から選択される1種以上のヨウ素化試薬との作用下
で反応させることによっ
て、式VIIaの化合物を調製することをさらに含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【化3】
【請求項11】
式VIaで表される化合物。
【化4】
【請求項12】
式IVaで表される化合物。
【化5】
【請求項13】
式IIIaで表される化合物。
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年11月10日に出願された中国特許出願第201711104888.3号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ベンゾフラン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リンパ腫はリンパ系造血系を原発とする悪性腫瘍である。腫瘍細胞の違いにより非ホジキンリンパ腫(NHL)とホジキンリンパ腫(HL)との二つに分けられる。アジアの患者の90%はNHLであり、病理学的には様々な程度の分化を伴うリンパ球、組織球、または網状赤血球が主である。NHLの自然史によれば、このカテゴリーは三つの主要な臨床型:高浸潤性リンパ腫、浸潤性リンパ腫および緩慢性リンパ腫に分類できる。異なるリンパ球の起源によって、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、およびナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫に分けることができる。ここで、B細胞の主な機能は、体が様々な侵襲に抵抗するのを助けるために様々な抗体を分泌することである。
【0004】
EZH2遺伝子にコードされるヒストンメチルトランスフェラーゼは、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)の触媒成分である。正常組織と比較して、癌組織ではEZH2の発現量が異常に上昇しているが、進行癌や癌の予後不良ではEZH2の発現量が最も高い。一部の癌種では、EZH2の過剰発現がEZH2をコードする遺伝子の増幅と同時に起こる。多数のsi/shRNA実験により、腫瘍細胞株におけるEZH2の発現を低下させることにより、腫瘍細胞の増殖、遊走、および、浸潤または血管新生を阻害し、アポトーシスを導くことができることがわかっている。
【0005】
現在、臨床開発の段階に入ったEZH2阻害薬がある。以下はその簡単なリストである。エーザイが開発した非ホジキンB細胞性リンパ腫の治療薬タゼメトスタット(EPZ-6438)は、現在臨床試験の第2フェーズにある。B細胞性リンパ腫の治療のためにConstellation社が開発したCPI-1205は、現在、臨床試験の第1フェーズにある。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫および濾胞性リンパ腫の治療のためにGlaxoSmithKline社が開発したGSK-2816126は、現在、臨床試験の第1フェーズにある。
【化1】
【0006】
国際公開第2017/084494号(特許文献1)は、以下の構造を有するEZH2阻害剤を提供する。
【化2】
【0007】
この出願はまた、化合物Iaを調製するための方法を開示しているが、この出願に開示されている方法は(スキーム1に示されているように)14ものステップを必要とし、スキーム中における硝化、臭素化、およびジアゾニウム塩加水分解の第4ステップには潜在的な安全上の危険があり、2ステップ反応は位置選択的であり、異性体は分離および精製するのが容易ではなく、調製プロセスの多くのステップはカラムクロマトグラフィーを必要とし、工業生産には適していない。したがって、物質の合成の単純化および対応する反応工程の短縮は、依然として研究価値のあるものである。
【化3】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2017/084494号
【文献】国際公開第2012/142513号
【文献】国際公開第2013/039988号
【文献】国際公開第2015/141616号
【文献】国際公開第2011/014025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ベンゾフラン誘導体を調製するための新規の方法を提供する。本発明によって提供される方法は、ベンゾフラン誘導体を調製するための工程を著しく短縮することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式IVで表される化合物を式Vで表される化合物と反応させることによって式IVで表される化合物を調製する、式IVで表されるベンゾフラン誘導体の調製方法を提供する。
【化4】
【0011】
式中、XおよびYは、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-OS(O)2アルキル、および-OS(O)2アリールから、好ましくはヨウ素および臭素から、選択される。
【0012】
R1、R2、R3は、それぞれ同一または異なっており、水素原子、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR4、-C(O)R4、-C(O)OR4、-OS(O)2アルキル、-OS(O)2アリール、-S(O)mR4、-S(O)mNR5R6、および-(CH2)xRaからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここでアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立かつ任意に、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択された一つ以上の置換によって置換される。
【0013】
Eは、水素原子、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR4、-C(O)R4、-C(O)OR4、-OS(O)2アルキル、-OS(O)2アリール、-S(O)mR4、-S(O)mNR5R6、および-(CH2)xRaからなる群から選択され、アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールはそれぞれ独立かつ任意に、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される任意の一つまたは複数の置換基によって置換されている。
【0014】
Raは、ハロゲン、シクロアルキル、ヘテロシクリル、および-NR5R6からなる群から選択され、ここで、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは独立かつ任意に、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される一つ以上の置換基によって置換されている。
【0015】
R4は、水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される。
【0016】
R5およびR6は、それぞれ同一または異なり、水素原子、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシレート、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、アルキル、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシレート、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される一つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0017】
Mは、カルボキシル、水素、およびシリチルから選択され、好ましくは水素である。
【0018】
mは、0、1、または2である。
【0019】
xは、0、1、2、または3である。
【0020】
本発明は、式VIで表される化合物と式Vで表される化合物との反応が少なくとも1種の金属触媒および/または少なくとも1種のアルカリ性物質の作用下で行われる、式IVで表される化合物の製造方法を提供する。
【0021】
本発明は、金属触媒が、金属パラジウム触媒、金属亜鉛触媒、金属銅触媒、および金属ニッケル触媒から選択され、好ましくは金属銅触媒であり、より好ましくは一価金属銅触媒である、式IVで表される化合物の製造方法を提供する。前記触媒としては、Pd2(dba)3、Pd(dba)2,Pd(PPh3)4、(Ph3P)2PdCl2、Pd(OAc)2、Pd(tfa)2、Pd(Piv)2、Pd(OTf)2、CuCl、Cu2O、ZnCl2、好ましくはCuIが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明は、アルカリ性物質が、KHCO3、NaHCO3、Na2CO3、Ba(OH)2、K3PO4、Cs2CO3、K2CO3、KF、CsF、KCN、NaCN、NaOH、KOH、Et3N、DIPEA、DABCO、NaOMe、NaOEt、tBuOK、tBuONa、NaH、DBU、TMG、LHMDS、NaHMDS、n-BuLi、ナトリウムtert-ペントキシド、ジエチルアミン、およびジシクロヘキシルアミンから、好ましくはtBuOKおよびtBuONaからなる群から選択される、式IVで表される化合物の調製法を提供する。
【0023】
本発明は、式IVで表される化合物の製造方法であって、前記溶剤が、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、および水からなる群から選択される1種以上である製造方法を提供する。
【0024】
本発明は、反応が、窒素、アルゴン、およびヘリウムから選択される不活性ガス、好ましくはアルゴンの保護下で実施される、式IVで表される化合物を調製するための方法を提供する。
【0025】
本発明は、式VIaで表される化合物と式Vaで表される化合物とを反応させて、式IVaで表される化合物を得る、式VIaで表される化合物の方法を提供する。
【化5】
【0026】
また本発明は、式VIIaで表される化合物を、臭素化剤および少なくとも1種の酸の作用下で、式VIIaで表される化合物を用いて与える工程を含む、式VIaで表される化合物の製造方法を提供する。
【化6】
【0027】
本発明は、臭素化剤が、HBr、Br2、NBS、DBDMH、HOBr、AcOBr、CF3COOBr、NH4Br、TBBDA、PBBS、およびトリブロモイソシアヌレートから選択され、好ましくはNBSまたはDBDMHである、式IVaで表される化合物の調製法を提供する。
【0028】
本発明は、酸が、AlCl3、SbCl5、FeCl3、FeBr3、SnCl4、TiCl4、ZnCl2、BF3、酢酸、硫酸、塩酸、およびトリフルオロ酢酸からなる群から選択され、好ましくは硫酸またはトリフルオロ酢酸である、式IVaで表される化合物の製造方法を提供する。
【0029】
本発明は、式IVaで表される化合物の調製方法を提供し、任意に、本発明による式VIaで表される化合物の調製方法を含む。
【0030】
本発明は、反応が、窒素、アルゴン、およびヘリウムから選択される不活性ガス、好ましくはアルゴンの保護下で実施される、式IVで表される化合物を調製するための方法を提供する。
【0031】
本発明は、また、式VIIaで表される化合物の製造方法を提供し、ここで、式VIIaで表される化合物は、Pd
2(dba)
3、Pd(dba)
2、Pd(OAc)
2、Pd(tfa)
2、Pd(Piv)
2、Pd(OTf)
2、Pd(PPh
3)
4、PdCl
2、Pd(PPh
3)
2Cl
2、およびPd(dppf)Cl
2からなる群から選択される少なくとも一つ以上のパラジウム触媒と、NIS、I(Py)
2BF
4、IOAC、KI、KIO
3、NaI、およびIBrからなる群から選択される一つ以上のヨウ素試薬との作用下で、式VIIIaで表される化合物を反応させることによって調製され、パラジウム触媒は、好ましくはPd(OAc)
2であり、ヨウ素試薬は、好ましくはNISである。
【化7】
【0032】
本発明は、反応が窒素、アルゴン、およびヘリウムから選択される不活性ガス、好ましくはアルゴンの保護下で実施される、式VIIaで表される化合物を調製するための方法を提供する。
【0033】
本発明は、触媒の使用量が式VIIIaで表される化合物の0.01%~20%、好ましくは0.1%~10%、最も好ましくは1%~5%である、式VIIaで表される化合物を調製するための方法を提供する。
【0034】
本発明は、式VIIaで表される化合物の製造方法を提供し、ここで、反応溶媒は特に限定されるものではなく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムからなる群から選ばれるものであってもよい。
【0035】
本発明により提供される式VIaで表される化合物の製造方法は、本発明により提供される式VIIaで表される化合物を製造する工程を任意に含む。
【0036】
本発明はまた、式IIIaで表される化合物を、式IVaで表される化合物をテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミンと反応させることによって調製する、式IIIaで表される化合物の調製方法を提供する。
【化8】
【0037】
本発明により提供される式IIIaで表される化合物の製造方法は、DPE-Phos、ナトリウムtert-ブトキシドおよびパラジウム触媒の作用下で行うことができる。
【0038】
本発明が提供する式IIIaで表される化合物の製造方法は、任意に、本発明が提供する式IVaで表される化合物、式VIaで表される化合物および式VIIaで表される化合物の製造方法を含む。
【0039】
また本発明は、式IIaで表される化合物の製造方法であって、式IIIaで表される化合物がN-エチル化を受けて式IIaで表される化合物を与えることを特徴とする製造方法を提供する。
【化9】
【0040】
本発明によって提供される式IIaによって表される化合物の調製方法は、任意に、本発明によって提供される、式IIIaによって表される化合物、式IVaによって表される化合物、式VIaによって表される化合物、および式VIIaによって表される化合物を含む。
【0041】
本発明はまた、式Iaで表される化合物の製造方法であって、式IIaで表される化合物を、3-(アミノメチル)-4,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オン塩酸塩と反応させて式Iaを得る工程を含み、さらに、特許請求の範囲および本発明による式IIaで表される化合物び製造方法を含む製造方法を提供する。
【化10】
【0042】
本発明により提供される式Iaで表される化合物の製造方法は、必要に応じて、本発明により提供される式IIIaで表される化合物の製造方法をさらに含む。
【0043】
本発明により提供される式Iaで表される化合物の製造方法は、任意に、本発明により提供される式IVaで表される化合物の製造方法をさらに含む。
【0044】
本発明はまた、式IVで表される化合物を提供する
【化11】
ここで、E、R
1、R
2、R
3は、上記で定義されたとおりである。
【0045】
また、本発明は、式VIで表される化合物を提供する。
【化12】
ここで、X、Y、R
1、R
2、R
3は、上記で定義されたとおりである。
【0046】
また、本発明は、式VIaで表される化合物を提供する。
【化13】
【0047】
また、本発明は、式IVaで表される化合物を提供する。
【化14】
【0048】
また、本発明は、式IIIaで表される化合物を提供する。
【化15】
【0049】
本発明により提供される式IIIaで表される化合物を用いる式IIaで表される化合物の製造方法は、特許文献1の実施例1に開示されている同様の調製方法を特に参照することができる。
【化16】
【0050】
本発明によって提供される式IIaによって表される化合物を使用して式Iaによって表される化合物の製造方法は特に、特許文献1、国際公開第2012/142513号(特許文献2)、国際公開第2013/039988号(特許文献3)、国際公開第2015/141616号(特許文献4)、および国際公開第2011/014025号(特許文献5)に開示されるアミドを調製する方法を参照できる。
【化17】
【0051】
本発明が提供する式Iaで表される化合物は、具体的には以下の経路を用いて製造することができ、反応条件は、上述した各特定の工程で規定される条件から選択することができる。
【化18】
【発明を実施するための形態】
【0052】
そうでないと述べられない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語は、以下の意味を有する。
【0053】
「アルキル」の用語は、飽和脂肪族炭化水素基を指し、これは、1~20個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐鎖状の基であり、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキルであり、より好ましくは1~6個の炭素原子を含有するアルキルである。非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、およびその種々の分岐鎖異性体が挙げられる。より好ましいものは、1~6個の炭素原子を含む低級アルキルであり、非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられる。アルキルは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基は、任意の利用可能な結合点で置換されうる。置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、オキソ、カルボキシル、またはカルボキシレートからなる以下の群から独立して選択される1個以上の置換基である。
【0054】
「アルキレン」の用語は、アルキルの水素原子のさらなる置換を指し、例えば、「メチレン」は-CH2-、「エチリデン」は-(CH2)2-、「プロピリデン」は-(CH2)3-、「ブチリデン」は-(CH2)4-などを指す。
【0055】
「アルケニル」の用語は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の炭素-炭素二重結合(たとえばビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-、2-または3-ブテニルなど)からなる、上で定義したようなアルキルを指す。アルケニルは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基は、好ましくは以下のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオからなる群から独立して選択される1個以上の置換基である。
【0056】
「スピロシクロアルキル」の用語は、5~20員、好ましくは6~14員、さらに好ましくは7~10員の単環状基の複数が、一つの炭素原子(スピロ原子と呼ばれる。)を共有する多環状基をいい、一つ以上の二重結合を含みうるが、どの環も完全に共役したπ電子系を有さない。環の間で共有されるスピロアルキル原子の数によれば、スピロシクロアルキルは、モノスピロシクロアルキル、ビススピロシクロアルキル、またはポリスピロシクロアルキル、好ましくはモノスピロシクロアルキルおよびビスピロシクロアルキル、より好ましくは4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または5員/6員モノスピロシクロアルキル、からなる。スピロシクロアルキルの非限定的な例には、以下のものが含まれる。
【化19】
【0057】
「縮合シクロアルキル」の用語は、5~20員、好ましくは6~14員、より好ましくは7~10員の全炭素多環式基を指し、ここで、系中の各環は系中の他の環と隣接する炭素原子の対を共有し、一つ以上の環は一つ以上の二重結合を含みうるが、環のいずれも完全に共役したπ電子系を有さない。環の数に応じて、縮合シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式、または多環式縮合シクロアルキル、好ましくは二環式または三環式、より好ましくは5員/5員または5員/6員の二環式アルキルからなる。縮合シクロアルキルの非限定的な例には、葉が含まれる。
【化20】
【0058】
「架橋シクロアルキル」の用語は、任意の二つの環が直接連結されていない二つの炭素原子を共有し、一つ以上の二重結合を含みうるが、環のいずれも完全に共役したπ電子系を有さない、5~20員、好ましくは6~14員、より好ましくは7~10員全炭素多環式基を指す。環の数に応じて、架橋シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式または多環式の架橋シクロアルキル、好ましくは二環式、三環式または四環式、より好ましくは二環式または三環式の架橋シクロアルキルからなる。架橋シクロアルキルの非限定的な例には、以下のものが含まれる。
【化21】
【0059】
シクロアルキル環は、親構造に連結された輪がシクロアルキルであるようなアリル、ヘテロアリル、またはヘテロシクロアルキル環に縮合されることがあり、また、非制限的な例としては、インダニル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプチルなどがある。シクロアルキルは、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、オキソ、カルボキシル、およびカルボキシレートからなる以下の群から独立して選択される1個以上の置換基であることが好ましい。
【0060】
「シクロアルキル」の用語は、飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式炭化水素置換基を指す。シクロアルキル環は、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~12、より好ましくは炭素数3~6である。単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルなどが含まれ、多環式シクロアルキルには、スピロ、縮合、および架橋シクロアルキルが含まれる。
【0061】
「スピロヘテロシクリル」の用語は、1個の原子(スピロ原子と呼ばれる)を共有する5~20員、好ましくは6~14員、より好ましくは7~10員の多環式ヘテロシクリルを指し、1個以上の環原子は、窒素、酸素、またはS(O)
m(mは0~2の整数を表す。)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。それは一つ以上の二重結合を含みうるが、完全に共役したπ電子系を有する環はない。環において共有されるスピロ原子の数によれば、スピロヘテロシクリルは、モノスピロヘテロシクリル、ビススピロヘテロシクリル、またはポリスピロヘテロシクリル、好ましくはモノスピロヘテロシクリルおよびビスピロヘテロシクリル、より好ましくは4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員または5員/6員モノスピロシクロアルキル、からなる。スピロヘテロシクリルの非限定的な例には、以下のものが含まれる。
【化22】
【0062】
「縮合ヘテロシクリル」の用語は、5~20員、好ましくは6~14員、より好ましくは7~10員の多環式ヘテロシクリルを指し、ここで、系中の各環は、系中の他の環と一対の隣接する原子を共有する。一つ以上の環は一つ以上の二重結合を含みうるが、環のいずれも、完全に共役したπ電子系を有さず、ここで、一つ以上の環原子は窒素、酸素、またはS(O)
m(ここで、mは0~2の整数である。)から選択されるヘテロ原子であり、そして残りの環原子は炭素である。環の数に応じて、縮合ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式、または多環式縮合ヘテロシクリル、好ましくは二環式または三環式、より多い5員/5員、または5員/6員の二環式縮合ヘテロシクリルからなる。縮合ヘテロシクリルの非限定的な例には、以下のものが含まれる。
【化23】
【0063】
「架橋ヘテロシクリル」の用語は、5~14員、好ましくは6~14員、より好ましくは7~10員の多環式ヘテロシクリルを指し、ここで、任意の二つの環は直接的に連結されていない二つの原子を共有し、これらは一つ以上の二重結合を含みうるが、これらの環のいずれもが完全に共役したπ電子系を有さず、一つ以上の環原子は、窒素、酸素、またはS(O)
m(ここで、mは0~2の整数である。)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。環の数に応じて、架橋ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式、または多環式の架橋ヘテロシクリル、好ましくは二環式、三環式または四環式、より好ましくは二環式または三環式からなる。架橋ヘテロシクリルの非限定的な例には、以下のものが含まれる。
【化24】
【0064】
ヘテロシクリル環は、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキル環に縮合されてよく、ここで、親構造に連結された環はヘテロシクリルであり、そして非限定的な例は以下を含む。
【化25】
【0065】
ヘテロシクリルは置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、オキソ、カルボキシル、およびカルボキシレートからなる以下の群から独立して選択される1個以上の置換基であることが好ましい。
【0066】
「ヘテロシクリル」の用語は、3~20個の環原子を含有する飽和または部分不飽和の単環または多環炭化水素置換基を指し、ここで、1個以上の環原子は、窒素、酸素、またはS(O)
m(式中、mは0~2の整数である。)から選択されるヘテロ原子であるが、-O-O-、-O-S-,または-S-S-の環部分を含まず、残りの環原子は炭素である。好ましくは、3~12個の環原子を含有し、そのうちの1~4個がヘテロ原子であり、最も好ましくは3~8個の環原子を含有し、そのうちの1~3個がヘテロ原子であり、最も好ましくは3~6個の環原子を含有し、そのうちの1~2個がヘテロ原子である。単環式ヘテロシクリルの非限定的な例には、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルフォリニル、ホモピペラジニル、ピラニルなど、好ましくは、ピペリジニル、ピロリジニル、ピラニル、モルホリニル、または以下の構造が含まれる。
【化26】
多環式ヘテロシクリルには、スピロ、縮合、および架橋ヘテロシクリルが含まれる。
【0067】
「アリール」の用語は、ベンゼンおよびナフチル、より好ましくはフェニルなどの完全に共役したπ電子系を有する6~14員、好ましくは6~10員の全炭素単環式または縮合多環式(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基を指す。アリール環はヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル環に縮合されてよく、ここで、親構造に連結された環はアリール環であり、そしてその非限定的な例は以下を含む。
【化27】
【0068】
アリールは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、カルボキシル、およびカルボキシレートからなる以下の群から独立して選択される1個以上の置換基である。
【0069】
用語「ヘテロアリール」の用語は、1~4個のヘテロ原子、5~14個の環原子を含有するヘ芳香族系をいい、ここで、ヘテロ原子は、酸素、硫黄および窒素から選択される。ヘテロアリールは好ましくは、1~3個のヘテロ原子を含有する5~10員、より好ましくは1~2個のヘテロ原子を含有する5~6員、好ましくは、たとえば、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ピロリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾール、ピラジニルなど、好ましくは、イミダゾリル、テトラゾリル、チエニル、ピラゾリル、またはピリミジル、チアゾリル、より好ましくはピラゾリルまたはチアゾリルである。ヘテロアリール環は、アリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル環に縮合されてよく、ここで、親構造に連結された環はヘテロアリール環であり、そして非限定的な例は以下を含む。
【化28】
【0070】
ヘテロアリールは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、カルボキシル、およびカルボキシレートからなる以下の群から独立して選択される1個以上の置換基である。
【0071】
「アルコキシ」の用語は、-O-(アルキル)および-O-(非置換シクロアルキル)を指し、ここでアルキルは上で定義した通りである。アルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが挙げられる。アルコキシは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、メルカプト、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、カルボキシル、およびカルボキシレートからなる以下の群から独立して選択される1個以上の置換基である。
【0072】
「ハロアルキル」の用語は、一つ以上のハロゲンで置換されたアルキルを指し、ここでアルキルは上記で定義されたとおりである。
【0073】
「ハロアルコキシ」の用語は、一つ以上のハロゲンで置換されたアルコキシ基を指し、ここでアルコキシは上記で定義されたとおりである。
【0074】
「ヒドロキシアルキル」の用語は、ヒドロキシで置換されたアルキルを指し、ここでアルキルは、上記で定義した通りである。
【0075】
「ヒドロキシル」の用語は、-OHを指す。
【0076】
「ハロゲン」の用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0077】
「アミノ」の用語は、-NH2を指す。
【0078】
「シアノ」の用語は、-CNを指す。
【0079】
「ニトロ」の用語は、-NO2を指す。
【0080】
「オキソ」の用語は、=Oを指す。
【0081】
「カルボニル」の用語は、C=Oを指す。
【0082】
「カルボキシ」の用語は、-C(O)OHを指す。
【0083】
「イソシアネート」の用語は、-NCOを指す。
【0084】
「オキシム」の用語は、=N-OHを指す。
【0085】
「カルボキシレート」の用語は、-C(O)O(アルキル)または-C(O)O(シクロアルキル)を指し、ここで、アルキルおよびシクロアルキルは、上記で定義した通りである。
【0086】
「任意」または「任意に」の記載は、後に説明する事項または環境が発生する可能性があるが、必要ではないことを意味し、説明には、事項または環境が発生する状況または発生しない状況が含まれる。たとえば、「アルキルで任意に置換されたヘテロシクリル」は、アルキルが存在してもよいが、存在する必要はないことを意味し、この説明はヘテロシクリルがアルキルで置換されている場合およびヘテロ環基がアルキルで置換されていない場合を含む。
【0087】
「置換された」とは、基中の、1個以上、好ましくは5個まで、より好ましくは1~3個の水素原子が、それぞれ独立して、対応する数の置換基で置換されていることを指す。言うまでもなく、置換基はそれらの可能な化学的位置にのみ存在し、当業者は、過度の努力なしに(実験または理論によって)可能なまたは不可能な置換を決定することができる。たとえば、遊離水素を有するアミノまたはヒドロキシルは不飽和結合(たとえば、オレフィン結合)を有する炭素原子と組み合わされた場合、不安定でありうる。
【0088】
そうでないと述べられない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される英語の略語は、以下の意味を有する。
【表1】
【実施例】
【0089】
本発明は特定の実施例を参照して以下に詳細に説明される。当業者は、本発明を完全に理解するための以下の実施例が、本発明の技術的解決策を説明するためにのみ使用され、いかなる方法においても本発明を限定することを意図しないことを理解することができるだろう。
【0090】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)または質量分析(MS)によって決定される。NMRは、Bruker AVANCE-400核磁気共鳴装置を用いて測定した。測定溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl3)、および重水素化メタノール(CD3OD)であった。内標準物質はテトラメチルシラン(TMS)であり、化学シフトは10-6(ppm)の単位で与えられる。
【0091】
MSは、FINNIGAN LCQAd(ESI)質量分析計(製造者:Thermo、モデル:Finnigan LCQ advantage MAX)を用いて測定した。
【0092】
HPLCは、WATER e2695-2489高速液体クロマトグラフを用いて測定した。
【0093】
本発明の公知の出発物質は、当技術分野で公知の方法によって、またはそれに従って合成することができ、あるいはBEPHARMなどの会社から購入することができる。
【0094】
〔実施例1〕
工程1:2-エチル-6-ヨード安息香酸
【化29】
【0095】
VIIIa(100g、667mmol)を、1000mLのN、N-ジメチルホルムアミドに溶解し、撹拌して溶解し、NIS(165g、733mmol)およびPd(OAc)2(3g、13.4mmol)を順に添加し、混合物をアルゴンで2回脱気した。反応混合物を100℃で撹拌し、薄層クロマトグラフィーによって反応を追跡した。物質VIIIaの完全な変換が完了したのちに、反応を停止した。
【0096】
後処理:反応溶液を2Lの水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合わせ、濃縮して酢酸エチルの大部分を除去した。続いて、抽出物を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、次いで有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、粗生成物184gを得た。
m/z [M-H]-=275.1
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) ppm: 11.85 (br. s., 1 H), 7.72 (d, 1 H), 7.28 (d, 1 H), 7.07 - 7.14 (m, 1 H), 2.78 (q, 2 H), 1.29 (t, 3 H)
生成物は、精製することなく次の反応に供された。
【0097】
工程2:3,5-ジブロモ-2-エチル-6-ヨード安息香酸
【化30】
【0098】
VIIa(27.6g、83mmol)を138mLの濃硫酸(5mL/g)に溶解し、温度を0~5℃に下げ、N-ブロモスクシンイミド(19.6g、110mmol)のトリフルオロ酢酸溶液を滴下した。この反応溶液に、上述したN-ブロモスクシンイミドのトリフルオロ酢酸溶液をゆっくりと添加した。添加後、室温まで自然昇温し、一定時間反応させた後、40℃まで昇温を続け、N-ブロモスクシンイミド(14.2g、80mmol)のトリフルオロ酢酸溶液を滴下した。VIIa<2%を検出した後、反応を停止させた。
【0099】
後処理:反応溶液を4倍量の氷水に注ぎ、固体を沈殿させ、濾過した。固体を酢酸エチルに溶解し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチルで再結晶し、次いで真空中で乾燥させて、29.5gの白色固体を得た。生成物の収率は82%であり、純度は95.0%である。
m/z[M-H]=432.8
【0100】
工程3:6-ブロモ-5-エチル-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸
【化31】
【0101】
VIa(100g、230.4mmol)、炭酸セシウム(187.6g、576mmol)、ヨウ化第一銅(13.16g、69.12mmol)および脱イオン水(16.6g、921.6mmol)を800mLのDMSOに溶解し、Va(34.04g、276.5mmol)を加え、混合物をアルゴンで3回脱気し、反応混合物を110℃に加熱した。反応物を5時間撹拌し、薄層クロマトグラフィーで反応を追跡した。出発物質VIaが消失したのちに、反応を停止した。
【0102】
後処理:反応溶液を熱いうちに濾過し、フィルターケーキを少量のDMSOですすぎ、濾液を塩化ナトリウム溶液にゆっくり注いだ。氷浴中のHCl溶液でpHを5.5に調整し、固体を沈殿させた。連続的に撹拌し、濾過し、真空乾燥した後、純度97.3%の標題生成物48.8g(オフホワイトの固体)を、イソプロパノールを用いて再結晶した。
m/z[M,M+2]=366, 368
【0103】
工程4:5-エチル-2-(ピペリジン-1-イルメチル)-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸
【化32】
【0104】
化合物IVa(200mg、0.546mmol)、DPE-Phos(ビス(2-ジフェニルホスフィンフェニル)エーテル)(47.1mg、0.087mmol)、Pd2(dba)3(10mg、0.011mmol)、t-BuONa(262.5mg、2.73mmol)およびトルエン2mlを加えた。テトラヒドロ‐2H‐ピラン‐4‐アミン(110.4mg,1.09mmol)を添加し、混合物をアルゴンで3回脱気し、反応混合物を油浴下105~108℃に加熱した。反応物を撹拌し、薄層クロマトグラフィーで反応を追跡した。出発物質IVaが消失したのちに、反応を停止した。
【0105】
後処理:反応溶液を室温に冷却し、10mLの水に注いだ。希塩酸でpHを7~8に調整し、水相を分離し、水相のpHを希塩酸で等電点に近い約6に調整した。ジクロロメタンとメタノールとの混合溶液を3回抽出に用い、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した後、溶離液(ジクロロメタン:メタノール=20:1)を用いてカラムクロマトグラフィーを行い、120mgの生成物IIIa(褐色固体)を得た。
m/z [M+H]+=387.4
【0106】
工程5:5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸
【化33】
【0107】
化合物IIIa(120mg、0.31mmol)を25mLの三つ口フラスコに入れ、3mLのDCMを加えた。アセトアルデヒド(69mg、1.55mmol)および酢酸(94mg、1.55mmol)を氷浴下でフラスコに加え、反応物を0.5時間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(198mg、0.93mmol)を氷浴下で少しずつ添加し、反応物を室温に加温した。反応を撹拌しながら実施し、化合物IIIaの消失が薄層クロマトグラフィーによって検出されたのちに、反応を終了させた。
【0108】
後処理:反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液50mLを加え、0.5時間撹拌した。層を分離し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、減圧下で濃縮して、94mgの生成物を得た。
m/z [M+H]+=415.5
【0109】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) ppm 7.55 (s, 1 H) 6.76 (s, 1 H) 3.82 (d, 2 H) 3.65 (s, 2 H) 3.22 (t, 2 H) 3.05 (q, 4 H) 2.95 (t, 1 H) 2.46 (br. s., 4 H) 1.66 (br. s., 2 H) 1.44 - 1.56 (m, 6 H) 1.37 (br. s., 2 H) 1.03 - 1.14 (m, 3 H) 0.81 (t, 3 H)
【0110】
工程6:N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミド
【化34】
【0111】
25mLの三口フラスコ中で、化合物IIa(50mg、0.12mmol)、1-エチル-3(3-ジメチルプロピルアミン)カルボジイミド(34.5mg、0.18mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(23.67mg、0.18mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(77.89mg、0.6mmol)を混合し、3mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、よく撹拌し、3-(アミノメチル)-4,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オン塩酸塩(24.9mg、0.13mmol)を加え、撹拌しながら室温で反応を行い、出発点IIaの消失を薄層クロマトグラフィーで検出したのちに終了した。反応液に過剰の水を加え、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒で抽出した。有機相を合わせ、水、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した後、残った残渣をジクロロメタン-メタノール溶離液系で精製し、白色固体30.1mgを収率47.0%で得た。
【0112】
m/z [M+H]+=549.6
【0113】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) ppm: 11.51 (s, 1 H) 8.17 (t, 1 H) 7.39 (s, 1 H) 6.47 (s, 1 H) 5.86 (s, 1 H) 4.32 (d, 2 H) 3.83 (d, 2 H) 3.53 (s, 2 H) 3.21 (t, 2 H) 3.04 (d, 2 H) 2.94 (br. s., 1 H) 2.79 (d, 2 H) 2.38 (br. s., 4 H) 2.23 (s, 3 H) 2.08 - 2.14 (m, 3 H) 1.65 (d, 2 H) 1.44 - 1.56 (m, 6 H) 1.36 (d, 2 H) 1.02 (t, 3 H) 0.81 (t, 3 H)