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特許7295113補強層、セメント質ボード、およびセメント質ボードの形成方法
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  • 特許-補強層、セメント質ボード、およびセメント質ボードの形成方法 図1
  • 特許-補強層、セメント質ボード、およびセメント質ボードの形成方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】補強層、セメント質ボード、およびセメント質ボードの形成方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/12 20060101AFI20230613BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20230613BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20230613BHJP
   E04C 2/284 20060101ALI20230613BHJP
   E04C 2/288 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B32B27/12
B28B1/30
E04C2/26 R
E04C2/26 Q
E04C2/284
E04C2/288
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020533833
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018066203
(87)【国際公開番号】W WO2019126149
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/607,794
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504125241
【氏名又は名称】サン-ゴバン アドフォース カナダ,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ナンシー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドホーク、マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】リ、チェンペン
(72)【発明者】
【氏名】ロスレル、オリバー
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504377(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0109869(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272404(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0295360(US,A1)
【文献】特開平06-170820(JP,A)
【文献】特開平04-166544(JP,A)
【文献】特表2016-520443(JP,A)
【文献】特開2008-207516(JP,A)
【文献】特開昭54-033523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B28B 1/30
E04C 2/00-2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む、セメント質ボード用の補強層であって、前記非多孔質膜は、ポリマーフィルムを含み、前記ポリマーフィルムは、前記ポリマーフィルムの総重量に基づいて0重量%から5重量%未満のフィラー含有量を有し、前記耐アルカリ性生地はガラス繊維を含み、前記耐アルカリ性生地が、スクリム、織布、編組生地、編物、又はそれらの組み合わせを含み、前記スクリム、織布、編組生地、編物、又はそれらの組み合わせは、前記ガラス繊維で形成されている、補強層。
【請求項2】
前記非多孔質膜が少なくとも1つの連続ポリマーフィルムを含む、請求項1に記載の補強層。
【請求項3】
前記少なくとも1つの連続ポリマーフィルムがポリオレフィンを含む、請求項2に記載の補強層。
【請求項4】
前記非多孔質膜が、ASTM E96方法Eによって測定した時に、0.5パーム未満の水蒸気透過性を有する、請求項1に記載の補強層。
【請求項5】
前記補強層が少なくとも1つの不織マットをさらに含み、前記少なくとも1つの不織マットが前記耐アルカリ性生地に隣接している、請求項1に記載の補強層。
【請求項6】
前記不織マットがポリマー繊維を含む、請求項5に記載の補強層。
【請求項7】
前記非多孔質膜が、少なくとも1つの不織マットに直接接触している、請求項5に記載の補強層。
【請求項8】
前記非多孔質膜が少なくとも3ミル(0.08mm)の厚さを有する、請求項1に記載の補強層。
【請求項9】
前記耐アルカリ性生地が前記非多孔質膜と直接接触している、請求項1に記載の補強層。
【請求項10】
前記耐アルカリ性生地と直接接触する不織マットをさらに含む、請求項1に記載の補強層。
【請求項11】
前記耐アルカリ性生地が、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、またはそれらの組み合わせを含む繊維をさらに含む、請求項1に記載の補強層。
【請求項12】
前記補強層が、セメント質コアの少なくとも1つの面上に配置される、請求項1に記載の補強層。
【請求項13】
(a)セメント質コア;及び
(b)前記セメント質コアの少なくとも1つの面上に配置された請求項1から12のいずれか一項に記載の前記補強層:
を含む、セメント質ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この開示は、一般に、セメント質ボード用の補強層に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
建設業界で有用なセメント質ボードには、改質セメントや石膏などの無機の水硬性材料が含まれていることが知られている。いったん硬化した石膏とセメントは、引張強度が非常に低く、通常は引張りおよび曲げ荷重に対する耐性を向上させる外装材で補強される。これは、従来の石膏ウォールボードの表面に紙を使用したり、セメント質ボード中にグラスファイバースクリムを使用したりするための基礎となっている。
【0003】
ガラス繊維メッシュは、より優れた機械的特性を提供するため、セメント質ボードのフェーシングシートとして人気がある。現在のガラススクリム補強には、通常、PVCプラスチゾルのコーティングが含まれている。セメントボード中に配置すると、ガラススクリム補強がセメント質ボード中に埋め込まれ、強度を提供し、セメントのもろさを相殺する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、セメント質ボード用の改良された強化複合材が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
特定の実施形態では、セメント質ボード用の補強層は、耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む。
【0006】
別の例示的な実施形態では、セメント質ボードは、(a)セメント質コア;及び(b)セメント質コアの少なくとも1つの面上に配置された補強層であって、耐アルカリ性生地と非多孔質膜を含む補強層、を含む。
【0007】
別の実施形態では、セメント質ボードを製造する方法は、(a)耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む補強層を提供すること;(b)補強層上にセメント質スラリーを堆積させること;及び(c)セメント質スラリーおよび補強層をセメント質ボードに形成(成形)すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
添付の図面を参照することにより、本開示をよりよく理解することができ、その多数の特徴および利点を当業者に明らかにすることができる。
【0009】
図1図1は、例示的な補強複合材の側面断面図を含む。
図2図2は、埋設補強複合材を示す例示的なセメント質ボードの側面断面図を含む。
【0010】
異なる図面での同じ参照記号の使用は、同様のまたは同一のアイテムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の詳細な説明
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのを助けるために提供される。以下の説明では、特定の実装と教示の実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示の説明を支援するために提供されており、教示の範囲または適用性に対する制限として解釈されるべきではない。しかし、本出願では他の教示も確実に使用できる。
【0012】
以下に説明される実施形態の詳細に取り組む前に、いくつかの用語が定義または明確化される。用語「分解」は、ポリマーベースおよび/またはガラスベースの製品などの製品の1つまたは複数の特性が、熱、光、または化学物質への暴露など1つまたは複数の環境要因の影響下で分解されるプロセスまたは技法を意味することを意図している。「ASTM」という用語は、the American Society for Testing and Materials (ASTM) Standardを指すことを目的としている。「psi」という用語は、ポンド/平方インチの測定単位を指すことを意図している。
【0013】
本明細書で使用される場合、「含む」、「を含む」、「含める」、「を含める」、「有する」、「を有する」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を含むことを意図する。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的にリストされていないか又はそのような方法、物品、または装置に固有の他の特徴を含み得る。さらに、反対に明確に述べられていない限り、「または」は、包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指すのではない。たとえば、条件AまたはBは、次のいずれかによって満たされる:Aは真(または存在)でBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)でBは真(または存在)、および、AとBの両方が真(または存在)。
【0014】
また、「1つ」または「1つの」の使用は、本明細書で説明される要素およびコンポーネント(成分)を説明するために使用される。これは、単に便宜上、および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、それが他の意味であることが明らかでない限り、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は複数形も含む。例えば、本明細書で単一のアイテムが説明されている場合、単一のアイテムの代わりに複数のアイテムを使用することができる。同様に、複数のアイテムが本明細書で説明される場合、単一のアイテムがその複数のアイテムの代わりに使用されてもよい。
【0015】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、構造技術および対応する製造技術内の参考書および他の出典に記載されている場合がある。
【0016】
補強層、セメント質ボード、および、補強層を有するセメント質ボードの製造方法が、提供される。補強層は、耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む。特定の実施形態では、非多孔質膜は、ASTM E49方法Eによって測定した時に、約0.5パーム(perm)未満の水蒸気透過性を有する。非多孔質膜と組み合わせた耐アルカリ性生地は、特にセメント質ボード中で使用される場合に、望ましい物理的特性を備えた補強層を提供する。特に、耐アルカリ性生地との非多孔質膜の使用は、セメント質ボードにおける補強層の望ましい配置、および得られるセメント質ボードに対する改善された望ましい物理的特性を、提供する。
【0017】
補強層の非多孔質膜は、ASTM E49方法Eによって測定した時に、0.5パーム未満の水蒸気透過性を有する任意の合理的な材料であり得る。一実施形態では、非多孔質膜は防水特性を提供する。特定の実施形態では、非多孔質膜は、少なくとも1つの連続ポリマーフィルムを含む。本明細書で使用される「連続フィルム」とは、厚さが実質的に均一であり、強化複合材の全幅および長さにわたって延びる長さと幅とを有するフィルムを指す。本明細書で使用される「実質的に均一」とは、連続フィルムの長さおよび幅全体にわたって2%を超えて変化しない厚さを指す。連続ポリマーフィルムの任意の厚さが想定される。一実施形態では、連続ポリマーフィルムの厚さは、選択されたポリマーに依存し得る。一例では、少なくとも1つの連続ポリマーフィルムの厚さは、例えば、1ミルを超え、例えば3ミルを超え、例えば約3ミルから約15ミル、例えば約3ミルから約10ミル、例えば約3ミルから約5ミルなどであり得る。一実施形態では、ポリマーフィルムは最小厚さを有する。任意の最小厚さが想定される。一実施形態では、最小厚さは少なくとも約3ミルの厚さである。別の実施形態では、ポリマーフィルムがANSI 118.10基準を満たすという条件で、最小厚さは3ミル未満の厚さであってもよい。実施形態では、少なくとも1つの連続ポリマーフィルムは、ANSI 118.10基準を満たす膜破壊強度および水蒸気透過性を提供する。菌および微生物耐性についてANSI 118.10に従ってテストした時、膜はカビの成長をサポートしない。
【0018】
ある実施形態では、いかなるポリマーも、記載されているようにポリマーが水蒸気透過性を提供することを条件として、少なくとも1つの連続ポリマーフィルムについて想定される。一実施形態では、ポリマーは熱可塑性または熱硬化性材料である。特定の実施形態では、ポリマーは、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、またはそれらの組み合わせなどのポリオレフィンを含む。より特定の実施形態では、少なくとも1つの連続ポリマーフィルムは、高密度ポリエチレンである。特定の実施形態では、非多孔質膜は、ASTM D751によって測定した時に、170psiを超える破壊強度を有する。
【0019】
一実施形態では、ポリマーフィルムは、低いフィラー含有量を有する。本明細書で使用される「低フィラー」は、ポリマーフィルムの総重量に基づいて、約5重量%未満、例えば約3重量%未満、またはさらには約2重量%未満を指す。特定の実施形態では、ポリマーフィルムは実質的にフィラーを含まない。本明細書で使用される「実質的にフィラーを含まない」とは、ポリマーフィルムの総重量に基づいて、約1.0重量%未満、または約0.1重量%未満のフィラーを指す。特定の実施形態では、フィラーが低い(少ない)かまたはフィラーを実質的に含まないポリマーフィルムは、ポリマーフィルムの総重量に基づいてフィラー含有量が10重量%を超えるポリマーフィルムと比較して、補強層の性能が向上することが見出された。例えば、フィラーが少ないまたはフィラーを実質的に含まないポリマーフィルムは、同じフィルム厚さのポリマーフィルムの総重量に基づいてフィラー含有量が10重量%を超えるポリマーフィルムと比較して強い。たとえば、フィラーが少ないまたはフィラーを実質的に含まないポリマーフィルムは、ASTM D751手順Bによって測定して、フィラーの含有量がポリマーフィルムの総重量に基づいて10重量%を超えるポリマーフィルム(破断強度420psi)よりも、少なくとも2倍大きい破壊強度(破断強度980psi)を持っている。
【0020】
実施形態では、補強層は、少なくとも1層の耐アルカリ性生地をさらに含む。いかなる妥当な耐アルカリ性生地が想定される。本明細書で使用される「耐アルカリ性生地」は、補強層を実質的に劣化させることなく、アルカリ環境に対する耐性を提供する材料を含む。耐アルカリ性生地用の例示的な耐アルカリ性材料には、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、耐アルカリ性ガラス、非耐アルカリ性ガラス、またはそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、耐アルカリ性材料は、例えば耐アルカリ性コーティングを含むEガラスなどの非耐アルカリ性ガラスを含む。
【0021】
耐アルカリ性生地は繊維を含む。本明細書で使用される「繊維」という用語は、フィラメント状材料を指す。多くの場合、「繊維」は「フィラメント」と同義語として使用される。「フィラメント」という用語は、任意の適切な長さの細長い構造または繊維を意味することを意図している。フィラメントは通常、その直径の少なくとも100倍の有限の長さを持っていると一般に認められている。フィラメントの集まりは、「糸」としても知られている。一実施形態では、繊維は、想定される任意の長さで提供される。特定の実施形態では、繊維は、天然または製造された撚りフィラメント、繊維、またはストランドの集合体として一般に説明され得る糸に組み立てられ、生地への織り込みまたは相互織り込みでの使用に適した連続長を形成する。別の実施形態では、繊維、糸などは、想定される任意の長さで及び任意の集合体で、提供される。
【0022】
耐アルカリ性材料の耐アルカリ性生地への任意の組み立てが想定される。実施形態では、耐アルカリ性材料は、スクリム、織物、編組生地、編物、またはそれらの組み合わせの形態で、耐アルカリ性生地に形成することができる。「編物(編まれた布)」は、典型的には、フィラメント、ロービング、または糸の鎖を織り交ぜることによって製造される布を含む。「スクリム」という用語は、メッシュを含むがこれに限定されない、2つの異なる方向に配向された少なくとも2つのフィラメントを含む生地を一般的に意味することを意図している。スクリムは、「レイドスクリム」としても知られることがあり、縦糸と横糸とを持つ不織布を記述する。縦糸とは、縦に長くほぼ平行に走る糸、繊維、またはロービングを指す。横糸は、縦糸を横切る糸を指す。特定の実施形態では、横糸は、縦糸に対して垂直に走り、フィル、フィリング、ヤーンまたは横糸(woof)とも呼ばれる。「レイドスクリム」という用語は、スクリムを作成するために少なくとも1つのフィラメントが少なくとも1つの他のフィラメントの上に重なるスクリムを意味することを意図している。特定の実施形態では、耐アルカリ性生地はスクリムの形態である。「織布」は、交点で絡み合っている縦糸と横糸とを持つ布を記述する。耐アルカリ性材料は、織機などの従来の製織作業または非製織作業によって布形態に変換することができる。
【0023】
耐アルカリ性生地については、他のいかなる構造も想定することができる。実施形態では、構造は、ステッチボンディングまたは縦編みを含む。任意の従来の手段は、平織り、綾織りまたはサテン織り、一方向の織り、編み(ニット)またはステッチボンディングを含む。一実施形態では、形成操作からの糸の細繊維ストランドを、形成管上で空気乾燥して、撚り(ねじれ)操作を受けるのに十分な完全性を提供することができる。ねじれは、製織プロセスにかけられる前の糸に追加の完全性を提供する。どんなねじれも想定される。典型的なねじれには、最大約0.7回転/インチから約1.0回転/インチが含まれる。多くの場合、より重い糸が製織作業に使用されることがある。これは、2つ以上のシングルストランドを撚り合わせ、その後にプライ(撚り合わせ)操作を行うことによって、通常行われる。プライは通常、元の撚りとは反対方向に、撚ったストランドを撚り直すことを含む。いかなるタイプのねじれ(撚り)が想定される。通常使用される2種類のねじれは、SおよびZとして知られており、ねじれが行われる方向を示す。通常、Sねじれと一緒に撚られた2本以上のストランドは、バランスの取れたヤーン(糸)を与えるために、Zねじれと撚り合わされる。したがって、強度、束の直径、および降伏などの糸の特性は、撚りおよび撚り合わせ操作によって操作することができる。ゼロ撚糸も使用できる。このインプットは、細いフィラメント糸のカバレッジで(ねじれのない)ロービングの広がりを容易にし得る。
【0024】
耐アルカリ性生地のニットまたは織りの実施形態の主な特徴は、そのスタイルまたは織りパターン、生地カウント、および縦糸および横糸の構造を含む。ここで使用する「生地カウント」は、1インチあたりの縦糸と横糸の数を示す。これらの主要な特性が組み合わさって、最終的なボードの引張強度、ドレープ性、パフォーマンスなどの生地の特性に貢献する。
【0025】
耐アルカリ性生地は、望ましい面積重量を持っている。例えば、面積重量は、約125グラム/m~約450グラム/mなど、約100グラム/m~約500グラム/mである。一実施形態では、耐アルカリ性生地は、コーティング前の厚さが、約5ミル~約22ミル、例えば約10ミル~約15ミルである。耐アルカリ性生地の繊維の線密度は、典型的には、糸が使用される約50テックスから、ロービングが使用される約2,500テックスである。一実施形態では、耐アルカリ性生地はまた、機械方向および機械横断方向に、少なくとも約50ポンド/インチ(lbs/in)、例えば少なくとも約85ポンド/インチ~約95ポンド/インチ、例えば少なくとも約100ポンド/インチから約130ポンド/インチ、またはさらに大きい、ASTM D309引張強度を有してもよい。
【0026】
耐アルカリ性生地は、耐アルカリ性生地を形成する繊維を接着する結合剤を、さらに含む。いかなる妥当な結合剤が想定される。例えば、結合剤はポリマーを含むことができる。例示的なポリマー結合剤には、セメント質モルタルへの望ましい接着を提供するために、アクリル、スチレンブタジエンゴム、ポリ塩化ビニルなど、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、結合剤はポリ塩化ビニルを含むことができる。結合剤は、耐アルカリ性生地を結合する量で存在する。任意の合理的な量のポリマーは、結合剤組成物の総重量に基づいて、例えば少なくとも約1.0重量%、例えば少なくとも約5.0重量%、例えば少なくとも10.0重量%、またはさらに多く、結合剤中に存在する。特定の実施形態では、ポリマーは、可塑剤の溶液中のポリ塩化ビニルであり、例えば、ポリ塩化ビニルは、全結合剤溶液の50重量%を超える。一実施形態では、結合剤は、繊維、フィラメント、または糸の個々のストランド上にコーティングすることができる。一実施形態では、結合剤は、耐アルカリ性生地の前面、背面、またはそれらの組み合わせをコーティングする。一実施形態において、結合剤は、耐アルカリ性生地の前面及び背面の両方の組み合わせをコーティングする。特定の実施形態では、耐アルカリ性材料は、耐アルカリ性材料の露出した表面なしで、結合剤でコーティングされる。より特定の実施形態では、結合剤は、耐アルカリ性材料の露出した表面なしに、耐アルカリ性生地上に均質な連続コーティングを提供する。例えば、結合剤は、耐アルカリ性生地の総重量の約30重量%~250重量%、例えば耐アルカリ性生地の総重量の約40重量%~約70重量%の量で存在する。典型的には、結合剤は、耐アルカリ性生地上に任意の合理的な厚さでコーティングされる。実施形態では、結合剤コーティングを有する耐アルカリ性生地の厚さは、約0.008インチ~0.018インチ、例えば約0.010インチ~約0.012インチである。
【0027】
さらに、結合剤には、任意の合理的な添加剤を提供することができる。例示的な添加剤は、粘度調整剤、改良された耐熱性のための添加剤、脱泡、再湿潤剤、カビ防止剤、難燃剤、着色剤などを、含む。一実施形態では、添加剤は、例えば、溶媒、可塑剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。添加剤のいかなる合理的な量が想定される。一実施形態では、結合剤への添加剤は、例えば、固めた石膏または改質されたセメントベースのモルタルへのより大きな親和性を促進することができる。実施形態では、結合剤は、添加剤を実質的に含まない。本明細書で使用される「実質的に含まない」は、結合剤組成物の総重量の約0.01重量%未満を指す。
【0028】
結合剤は、いかなる合理的な方法で耐アルカリ性生地に塗布できる。耐アルカリ性材料は、耐アルカリ性生地の形成前に(すなわち耐アルカリ性繊維、フィラメント、または糸をコーティングすることによって)、又は、耐アルカリ性生地の形成と同時にインラインで、又は、耐アルカリ性生地の形成後にオフラインコーティングで、結合剤がコーティングされてもよい。一実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの層または少なくとも1つのパスで適用することができる。結合剤の層又はパスの数は、耐アルカリ性生地のために選択される材料ならびにその構築に、典型的に依存する。結合剤の適用回数は、強化布を提供するための所望のコーティング量に依存し得る。さらに、結合剤の適用回数は、最終の耐アルカリ性生地のための所望の最終的な特性に依存し得る。典型的には、セメント質ボード中への耐アルカリ性生地の埋め込みを助けるために、高い気孔率が望まれる場合がある。本明細書で使用される「気孔率」は、糸の間隔の間の開口部を可能にするための糸の交差に依存し得るのであり、ならびに糸に適用される結合剤の量に依存し得る。例えば、糸の間の間隔が小さいと、糸の間の間隔が大きい場合と比較して、気孔率が低くなる。
【0029】
実施形態では、耐アルカリ性生地は、耐アルカリ性生地にさらに特性を付与するために、場合によるコーティングを有してもよい。特定の実施形態では、場合によるコーティングは、例えば、気孔率の低下、セメント質材料への付着の増加、スラリー浸透に対する抵抗、腐食の減少、強度または耐火性の向上、耐水性の低下、表面の「ぼやけ」の低下、またはそれらの任意の組み合わせを提供し得る。場合によるコーティングは、耐アルカリ性材料を一緒に結合するために使用される結合剤とは区別されるが、同じまたは異なる組成であってもよい。場合によるコーティングのためのあらゆる妥当な組成物が想定される。一実施形態では、場合によるコーティングは、1つまたは複数の樹脂を含有する樹脂混合物であってよい。例えば、樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であってもよい。特定の実施形態では、場合によるコーティングは、UV安定剤、防カビ剤、耐アルカリ性製剤、撥水剤、難燃剤、分散剤、触媒、充填剤など、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0030】
一実施形態では、非多孔質膜は、耐アルカリ性生地に隣接し、特定の実施形態では、耐アルカリ性生地に直接接触している。特定の実施形態では、非多孔質膜は、合理的な方法で耐アルカリ性生地と直接接触して配置されてもよく、典型的には、非多孔質膜および耐アルカリ性生地用に選択された材料に依存する。より特定の実施形態では、非多孔質膜は、耐アルカリ性生地に積層される。例えば、非多孔質膜は、ポリマー樹脂、例えば、ポリ塩化ビニルを結合剤として使用して、耐アルカリ性生地に積層される。別の実施形態では、非多孔質膜は、熱活性化接着剤などのいかなる合理的な接着剤で耐アルカリ性生地に接着される。
【0031】
一実施形態では、補強層は、少なくとも1つの不織マットをさらに含むことができる。一実施形態では、「不織マット」は、ランダムに配向されたまたは特定の構成で配向されたフィラメント、繊維、または渦巻き状の連続フィラメントを有することができる。一実施形態では、不織マット用の繊維は耐アルカリ性である。任意の耐アルカリ性繊維が想定される。特定の実施形態では、不織マット用の繊維は、ポリマー繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む。一例では、不織マット用の繊維は、ポリオレフィンなどのポリマー繊維である。一実施形態では、ポリマー繊維はポリプロピレンである。特定の実施形態では、不織マットは非多孔質膜に隣接している。より特定の実施形態では、不織マットは、非多孔質膜の少なくとも1つの表面と直接接触している。存在する場合、不織マットは、補強層およびセメント質ボードに望まれる最終特性に応じて、非多孔質膜に対してどのような構成であってもよい。実施形態では、セメント質ボードの内側に面した不織マットは、不織マットの気孔率に起因してセメント質スラリー中に補強層のアンカー(固定)を提供するために、使用することができる。実施形態では、不織マットは、セメント質ボードの外面に向かい合って及び補強層とともに存在してもよい。例示的な例では、不織マットは、モルタルによるタイルの固定を提供する。例えば、不織マットは、(タイルをセメント質ボードから剪断する)剪断試験の間に失敗する界面を提供することがある。
【0032】
特定の実施形態では、非多孔質膜は、少なくとも1つの不織マットと直接接触している少なくとも1つの連続ポリマーフィルムを含む。一実施形態では、連続ポリマーフィルムは、2つの不織マットの間に構成される。任意の数のフィルムおよび不織マットが補強層として想定される。複数のフィルムが使用される場合、それらは、補強層に望まれる最終的な特性に応じて、同じまたは異なる材料であり得る。複数の不織マットが使用される時、それらは、補強層の所望の最終特性に応じて、同じまたは異なる材料であってもよい。一実施形態では、補強層は、例えば、8ミルから約35ミル、例えば約10から約35ミルなど、想定される任意の総厚さを有する。
【0033】
一実施形態では、補強層は、非多孔質膜と耐アルカリ性生地との間に配置された不織マットを含む。理論に拘束されるわけではないが、非多孔質膜と耐アルカリ性生地との間の不織マットは、セメント質スラリーの浸透を可能にする望ましい気孔率を有し、その後、セメント質ボード内の補強層の配置が改善される。一実施形態では、不織マットは耐アルカリ性生地上に配置され、続いて非多孔質膜が不織マット上に配置される。別の実施形態では、不織マットが非多孔質膜上に配置され、続いて耐アルカリ性生地が不織マット上に配置される。熱、圧力などの任意の合理的な条件を使用して、耐アルカリ性生地と非多孔質膜との間に不織マットを配置することができる。耐アルカリ性生地と非多孔質膜との間にあるように記載されているが、非多孔質膜及び耐アルカリ性生地に隣接する不織マットの任意の合理的な構成が想定される。
【0034】
補強層は、セメント質ボードの少なくとも一方の面上のセメント質層内に部分的に埋め込まれていてもよい外装材料である。特定の実施形態では、非多孔質膜と一緒に補強層は、セメント質ボードの少なくとも一方の面上に、補強層の望ましい配置を提供する。例えば、配置は、セメント質ボードの外面から約0.006インチから約0.1インチ、例えば約0.006インチから0.03インチ、例えば約0.006インチから約0.02インチ、さらには0.008インチから0.01インチの範囲内などの、正確で目標とする深度に設定できる。特定の実施形態では、補強層は、セメント質ボード内に一貫した均一な埋め込み深度を有する。特に、非多孔質膜は、セメント質ボードの外面を提供する。理論によって拘束されるべきではないが、非多孔質膜は、多孔質ではなく、非多孔質膜の外面へのセメント質スラリーの浸透を許さず、続いて、セメント質ボード内に補強層の改善された配置を提供する。特に、非多孔質膜を含む補強層は、セメント質ボードの表面に補強層を正確かつ一貫して配置するのに役立ち、曲げモードで中立軸までのその距離を最大化する。それは、ボードの取り扱い時に補強層の最大効率を確保し、セメント質ボードの機械的性能の一貫性を向上させる。他の実施形態では、セメント質層は、非多孔質膜上に設けられてもよく、そこでは、セメント質層は、セメント質ボードの外側表面を提供する。
【0035】
セメント質ボード用には、いかなるセメント質材料が想定される。セメント質ボードは、通常、セメントペースト、モルタル又はコンクリートなどのセメント質マトリックス材料を含む。実施形態では、セメント質材料には、石膏及びジオポリマー(無機樹脂)などの他の種類の材料が挙げられる。一実施形態では、セメント質材料は石膏を含む。石膏が使用される場合、焼き石膏としても知られる硫酸カルシウム半水和物(CaSO・1/2HO)又は粉末状の無水硫酸カルシウムと水を混合して、スラリーを形成し、その後、スラリーを、比較的硬い材料である硫酸カルシウム二水和物(CaSO2HO)に固めることによって、材料は形成されることができる。セメント質ボードのセメント質材料は、一般に、セメント質材料の総重量%に基づいて、少なくとも約85重量%の固化セメントを含む。一実施形態では、セメント質材料は、石膏を実質的に含まない。本明細書で使用される「実質的に石膏を含まない」とは、石膏の1重量%未満を指す。
【0036】
一実施形態では、セメント質材料は、得られるセメント質ボードの性能を改善する少なくとも1つの添加剤をさらに含む。添加剤には、セメント全体に分散した細断繊維が含まれる。一実施形態では、細断繊維(チョップドファイバー)は、ARガラス繊維であるだけでなく、例えば、ガラス繊維、アラミド、ポリオレフィン、カーボン、グラファイト、ポリエステル、PVA、ポリプロピレン、天然繊維、セルロース繊維、レーヨン、藁、紙およびそれらのハイブリッドなどの他の種類を含んでいてもよい。セメント質材料は、下記のような他の成分又は添加剤を含んでいてもよい;例えば、フライアッシュ、ラテックス、スラグ及びメタカオリン、樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニルなど、酸化ケイ素、酸化チタン、シリコン亜硝酸塩を含むセラミックス、硬化促進剤、水及び/又は耐火性添加剤、例えばシロキサン、ホウ砂、フィラー、硬化抑制剤、分散剤、染料および着色剤、光安定剤および熱安定剤、収縮低減混和剤、空気同伴剤、硬化促進剤、消泡剤、またはそれらの組み合わせ。一実施形態では、セメント質材料は硬化剤を含んでもよい。一実施形態では、セメント質製品の耐水性を改善する材料も含まれる。
【0037】
図1を参照すると、例示的な補強層100が提供される。当該補強複合材料は耐アルカリ性生地102と非多孔質膜104を含む。非多孔質膜104は、連続ポリマーフィルムを含む。例示的な実施形態では、非多孔質膜104は、第1層の不織マット106及び第2層の不織マット108に直接隣接している。不織マット106及び108の二つの層が示されているが、補強層100は、1層だけの不織マット又は2層を超える不織マットを含むことができる。図示されているように、非多孔質膜104および耐アルカリ性生地102は、耐アルカリ性生地102および非多孔質膜104と直接接触している不織マット108に、隣接している。別の実施形態では、不織マットは補強層100中に含まれない。さらに、補強層100として、紙、接着剤、剥離ライナーなどの他の層を想定することができる。別の実施形態では、補強層100は、紙などの他の層を含まない。
【0038】
図2において、セメント質コア202、補強層100、及び別個の補強層120を含むセメント質ボード200が提供される。セメント質コア202の外側表面204は、一つ以上の補強層100と別個の補強層120に面している。補強層100と別個の補強層120の任意の数の層が想定される。図示していないが、セメント質ボード200の全周を補強する単一の補強層100も用いることができる。
【0039】
補強層100と別個の補強層120は、同じ又は異なる材料であってもよい。一実施形態では、補強層100は、側面Aに示されるように、セメント質ボード200の外面204を提供する。特に、補強層100は、セメント質ボード200の外面204に正確かつ一貫して配置される埋め込みの深さを有する。例えば、補強層100の非多孔質膜104は、当該非多孔質膜の外側表面へのセメント質スラリーの浸透を可能にしない。一実施形態では、例えば、薄いセメント質の層206が補強層120の上に配置される時は、側面Bに示されるように、薄いセメント質の層206は、セメント質ボード200の外面204上にある。特定の実施形態では、補強層100の非多孔質膜104は、セメント質コア202に近い耐アルカリ性生地102とセメント質ボードの外側表面204に面している。セメント質コア202は、セメント質コア202のスラリー前駆体に添加されることができる性能添加剤208を、さらに含むことができる。
【0040】
成形、押出、および半連続プロセスを含む、セメント質ボード200を製造する任意の方法が想定される。典型的には、過剰の水を含有する水性セメント質スラリーを形成し、補強層100などの対向材料上にセメント質スラリーを配置することによって、セメント質ボード200は、製造することができる。補強層100は、セメント質コア202の最終的な固化の前に、セメント質ボード200の周囲に折りたたむ(折り曲げる)ことができる。折り曲げは、補強層100をボード200の内部に埋め込むローラー及びガイドフランジの組み合わせなどの任意の合理的な方法で、達成できる。特定の実施形態では、補強層100は、セメント質ボード200中に所望の深さの範囲内に正確に配置されてもよい。さらに、セメント質コア202の最終固化前に、別個の補強層120を、水性セメント質スラリー内に配置することができる。
【0041】
補強層は、望ましい耐水性、寸法安定性、耐アルカリ性、および破壊係数などの有利な特性を、ボード製品に提供する。一実施形態では、補強層は、望ましい寸法安定性を提供する。一実施形態では、非多孔質膜は、ASTM D1204で測定したとき、寸法安定性が0.7%未満である。一実施形態では、破壊係数および破壊たわみは、非多孔質膜を含まない補強スクリムと比較して、補強層を備えたセメント質ボードの場合に増加する。一実施形態では、初期および経年破壊係数(MOR)は、補強層を有するセメント質ボードについてASTM C947によって測定した時に750psiより大きい。理論に束縛されることはないが、セメント質ボード内の非多孔質膜と一緒の補強層の有利な配置は、得られるセメント質ボードの有益な曲げ性能を提供する。さらに、補強複合材は、補強層が、製造中にセメントボードなどの補強されるべき製品の縁の周囲で湾曲するように形状記憶が不足してドレープ可能なほど十分に柔軟であるようなガーレー剛性測定値を有する。一実施形態では、補強層は、望ましい耐摩耗性および耐UV性も有するセメント質ボードを提供する。特定の実施形態では、補強層はまた、例えば、規制情報、製造者情報などを追加するためにマーク可能でなければならない。これは、補強層が製造されるとき、またはセメント質ボードが作られるときに、行うことができる。
【0042】
補強層の用途は数多くある。補強層は、例えば、セメントボード、石膏ボード、屋根材用途、ポリマーマトリックスの補強、及びスタンドアロンコーティング布などの多くの最終用途の補強用途で使用することができる。特定の実施形態において、本発明の補強層とセメント質ボードは、あらゆる種類の建設用途に有用である。補強層は、想定される任意のセメントボード最終製品に使用することができる。一実施形態では、補強層をテープとして使用することができる。特定の実施形態では、テープは自己粘着テープである。一実施形態では、テープを使用して、2つの隣接する表面間の継ぎ目をカバーし、損傷した表面をカバーまたは修復し、ファスナヘッドおよびボード上の他の貫通設備をカバーすることができる。補強層の任意の構成が想定される。例えば、補強層は連続的であってもダイカットであってもよい。
【0043】
特定の実施形態では、補強層は、水分および水が問題となる場所、すなわち水分が豊富な環境に存在し得る。非多孔質膜の水蒸気透過性及び耐水性に起因して、たとえばバスルーム、キッチンなどの水分が豊富な環境では、補強層が特に望ましい。特に、本発明の補強層及びセメント質ボードは、セラミックタイルおよびモルタル、石またはレンガのベニヤなどと共に使用することができる。一実施形態では、非多孔質膜は、ASTM D4068によって測定した時に2インチの水柱で48時間保持される防水性を有する。さらに、補強層及び得られるセメント質ボードは、ASTM C482で測定して、水に浸す前と後で、セラミックタイルとモルタルに対するせん断強度が50psiを超える。さらに、補強層は、ANSI 118.10によって試験した時、カビの成長がなく、真菌や微生物に耐性のあるセメント質ボードを提供する。一実施形態では、非多孔質膜と耐アルカリ性生地との間のラミネート接着およびZプル接着が有利である。さらに、補強層は望ましい水蒸気透過性および防水性を提供するので、補強層を備えたセメント質ボードの設置は、従来のセメント質ボードの設置とその後の別個の防水製品の設置よりも、速い。例えば、インストーラは、補強層を持つセメント質ボードに隣接する任意の表面を防水にする別個の余分の工程を必要としない。
【0044】
本発明の補強層及びセメント質ボードは、少なくとも約20ポンドのネジ強度を有し、従来の密度および組成物のセメント質コアにとって、強い。いくつかの例としては、エレベータと階段のシャフトウォールアセンブリ、防火扉と防火壁、屋根とサイディングの下地、断熱材の有無にかかわらず、外部漆喰システム、タイルバッカーボードなどがある。本発明の最も望ましく有用な用途のいくつかは、タイルバッカーボードである。
【0045】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかは、本明細書で説明されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が単なる例示であり、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つまたは複数に従うことができる。
【0046】
実施形態1.耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む、セメント質ボード用の補強層。
実施形態2.以下を含むセメント質ボード:
(a)セメント質コア;及び
(b)セメント質コアの少なくとも1つの面上に配置された補強層であって、耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む補強層。
実施形態3.セメント質ボードの製造方法であって、
(a)耐アルカリ性生地および非多孔質膜を含む補強層を提供すること;
(b)補強層上にセメント質スラリーを堆積させること;及び
(C)セメント質スラリー及び補強層を、セメント質ボードに成形すること、
を含む、前記の方法。
実施形態4.非多孔質膜が少なくとも1つの連続ポリマーフィルムを含む、前記実施形態のいずれか1つの補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態5.少なくとも1つの連続ポリマーフィルムがポリオレフィンを含む、実施形態4の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態6.非多孔質膜が、ASTM E49方法Eによって測定した時に、約0.5パーム未満の水蒸気透過性を有する、実施形態1の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態7.補強層が少なくとも1つの不織マットをさらに含む、実施形態1の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態8.不織マットがポリマー繊維を含む、実施形態7の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態9.ポリマー繊維がポリオレフィンを含む、実施形態8の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態10.少なくとも1つの連続ポリマーフィルムが、少なくとも1つの不織マットと直接接触している、実施形態7の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
【0047】
実施形態11.非多孔質膜が約3ミル~約5ミルの厚さを有する、前記実施形態のいずれか1つの補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態12.耐アルカリ性生地が非多孔質膜に隣接している、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態13.耐アルカリ性生地と直接接触する不織マットをさらに含む、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態14.耐アルカリ性生地が、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、耐アルカリ性ガラス、またはそれらの組み合わせを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態15.耐アルカリ性生地が、スクリム、織布、編組生地、編物、またはそれらの組み合わせを含む、前記実施形態のいずれか1つの補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態16.耐アルカリ性生地がスクリムを含む、実施形態15の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態17.耐アルカリ性生地が結合剤をさらに含む、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態18.結合剤がポリ塩化ビニルを含む、実施形態17の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態19.耐アルカリ性生地が約100グラム/mから約500グラム/mの面積重量を有する、前記実施形態のいずれかの補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態20.非多孔質膜が、ASTM D751によって測定した時に、170psiを超える破壊強度を有する、前記実施形態のいずれか1つの補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
【0048】
実施形態21.非多孔質膜が、ASTM D4068によって測定した時に、2インチの水柱で48時間保持される防水性を有する、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態22.セメント質ボードが、ASTM C482によって測定した時に、水浸の前後で、セラミックタイルおよびモルタルに対して50psiより高い剪断強度を有する、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態23.非多孔質膜が、ASTM D1204により測定して、0.7%未満の寸法安定性を有する、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態24.セメント質ボードが、ASTM C947により測定して、750psiを超える初期および経時破壊係数(MOR)を有する、前記実施形態のいずれか1つに記載の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態25.補強層が、セメント質コアの少なくとも一方の面上に配置される、実施形態1および4~24の補強層。
実施形態26.補強層が、セメント質ボードの外面を提供する、前記実施形態のいずれか1つの補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態27.補強層が、セメント質ボードの外面から、約0.006インチから約0.1インチの範囲内、例えば0.006インチから0.03インチ、例えば0.006インチから0.02インチ、さらには0.008インチから0.01インチの範囲内にある、実施形態26の補強層、セメント質ボード、またはセメント質ボードの製造方法。
実施形態28.セメント質コアがセメントマトリックスを含む、実施形態2~27のいずれか1つのセメント質ボードまたはセメント質ボードの製造方法。
実施形態29.セメント質スラリーを加熱して硬化セメントを提供することをさらに含む、実施形態3~28のいずれか1つのセメント質ボードを製造する方法。
【0049】
一般的な説明または例で上記に説明したすべてのアクティビティが必要なわけではなく、特定のアクティビティの一部が必要でない場合もあり、説明したアクティビティに加えて1つ以上のアクティビティが実行される場合もあることに、注意されたい。さらに、アクティビティがリストされている順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0050】
前述の明細書では、特定の実施形態を参照して概念を説明した。しかしながら、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的なものと見なされるべきであり、そのような修正はすべて、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0051】
特定の実施形態に関して、利益、他の利点、および問題の解決策を上で説明した。しかし、いかなる利益、利点、または解決策を発生させるか又はより顕著にさせる可能性がある利益、利点、問題の解決策は、いずれかまたはすべての請求項の重要で必須の又は不可欠な特徴として解釈されるべきではない。
【0052】
明細書を読んだ後、当業者は、明確にするために、別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴が、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことを理解するであろう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供することもできる。さらに、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
図1
図2