(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】抽出飲料を製造する装置および方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20230613BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A47J31/36 126
A47J31/36 120
A47J31/44 510
(21)【出願番号】P 2020546412
(86)(22)【出願日】2019-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2019052737
(87)【国際公開番号】W WO2019170337
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】102018105213.8
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517010507
【氏名又は名称】メリッタ シングル ポーションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Single Portions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Marienstrasse 88, D-32425 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン パーンケ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524461(JP,A)
【文献】特表2013-542815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出飲料を製造する装置(1)であって、熱湯用の流入部(13)および流出部(22)を有する抽出室(6)を備えており、前記流出部(22)には、該流出部(22)を開閉可能な閉鎖部材(23)が設けられており、前記抽出室(6)は、側方の開口(20)を有しており、該開口(20)には、抽出材料を含むカプセル(15)が密着可能であり、これにより、カプセルの内室と前記抽出室の内室との間に流体接続が生じるようになっている、装置(1)において、
前記側方の開口(20)の縁部が、鉛直線に対して傾けられて方向付けられた平面を形成していることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記平面は、前記鉛直線に対して5°~45
°の角度αに向けられている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記側方の開口(20)に前記カプセル(15)を送るためのシャフト(7)が設けられており、該シャフト(7)は、前記鉛直線に対して傾けられて方向付けられている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記シャフト(7)は実質的に、前記側方の開口(20)の前記平面と同じ傾きを有している、請求項3記載の装置。
【請求項5】
抽出位置において、前記側方の開口(20)の周りの縁部の下部領域が敷居として形成されており、該敷居から一方の側に向かって前記抽出室(6)が傾斜して形成されており、前記敷居から反対の側に向かって前記カプセル(15)の壁が傾斜して配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記カプセル(15)は鉢状に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記カプセル(15)の底部には、読取り装置を介して検出可能なコードが設けられており、これにより、異なる形式のカプセル(15)を識別することができるようになっている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記カプセル(15)は、前記抽出位置において、前記側方の開口(20)の下部よりも低く配置された下側部分を有している、請求項
5、及び請求項5を引用する請求項6または7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記カプセル(15)は、前記抽出室(6)の前記内室を前記カプセル(15)の前記内室から隔てる、液体透過性のフィルタ(31)またはスクリーンを有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
抽出飲料を製造する方法であって、以下のステップ:
カプセル(15)を、抽出室(6)の側方の開口(20)に位置決めし、このとき前記側方の開口(20)の縁部が、鉛直線に対して傾けられて方向付けられた平面を形成し、前記カプセル(15)の内室と前記抽出室(6)との間に流体接続を形成するステップと、
前記抽出室(6)内に熱湯を導入するステップと、
飲料を抽出するステップと、
流出部(22)に設けられた閉鎖部材(23)を開くステップと、
抽出飲料を放出するステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
前記抽出飲料の放出後に、前記カプセル(15)内に残留液体を残留させ、前記カプセル(15)を重力により集合タンク内へ放出する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記残留液体の体積は1ml~10m
lである、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出飲料を製造する装置であって、熱湯用の流入部および流出部を有する抽出室を備えており、流出部には、流出部を開閉可能な閉鎖部材が設けられており、抽出室は、側方の開口を有しており、開口には、カプセルの内室と抽出室の内室との間に流体接続を生じさせるために、抽出材料を含むカプセルが密着することができるようになっている装置ならびに抽出飲料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2159167号明細書に開示された、抽出飲料を製造する装置では、カプセルが、抽出室の側方の鉛直方向の開口に位置決めされる。カプセルは、抽出過程用に底部を穿孔され、熱湯が注射針を介してカプセル内に導入され、次いで抽出室内に導入される。抽出飲料を製造するために液位が注射針の上側に配置されていると、穿孔領域にシール問題が生じる恐れがある。さらに、抽出過程後に放出機構を介してカプセルを側方の開口から取り外す必要があり、これには比較的手間がかかる。
【0003】
よって、独国特許出願公開第102014109760号明細書では、抽出室の上側に熱湯導入用の入口を設けることが提案された。抽出位置において、カプセルは抽出室の鉛直方向の開口に配置されており、抽出飲料の放出時に、液体がカプセルから抽出室の下部領域へ、流出部に向かって流れるようになっている。抽出材料は、抽出飲料の放出中もより長く液体で濡らされているため、放出過程の終わりには、放出開始時に比べ多量の苦み成分が抽出飲料中に流入する恐れがある。なぜなら、抽出材料が、時間的に遅れて流出部に案内される残留液体によって比較的長時間濡らされているからである。これは風味を損なう恐れがある。さらに、抽出材料を含むカプセルは小さな自重を有しており、これは、カプセルを抽出位置から除去する際に問題を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、抽出材料の抽出時間の正確な調節を可能にすると共に、抽出位置からカプセルを除去する際の簡単な取扱いを保証する、抽出飲料を製造する装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1記載の特徴を有する装置ならびに請求項10記載の特徴を有する方法によって解決される。
【0006】
本発明による装置では、抽出位置において、カプセルの内室と抽出室との間に流体接続を生じさせるために、カプセルが抽出室の側方の開口に密着させられるようになっており、このとき、側方の開口の縁部は、鉛直線に対して傾けられて方向付けられた平面を形成している。これにより、カプセルからの残留液体の時間的に遅れた後流が減少または回避されることで、抽出過程の終了時および抽出飲料の放出時に抽出時間を正確に調節することができるようになっている。さらに、側方の開口に当て付けられる縁部に関してカプセルを傾斜させることにより、残留液体によるカプセルの重み付けを保つことができ、これにより、抽出過程後のカプセルの放出および集合タンクに対するカプセルの送りが容易になる。これは、処理の確実性を高めると共に、手間のかかる放出機構の設置を回避する。
【0007】
側方の開口の縁部の平面は、好適には鉛直線に対して5°~45°、特に10°~30°の角度に向けられている。この場合、側方の開口にカプセルを送るためのシャフトも同様に、鉛直線に対して傾けられて方向付けられていてよく、好適にはシャフトの傾きは、側方の開口の平面と類似のまたは同一の角度に向けられている。この場合、開口および任意にはシャフトの傾きは、シャフトおよび開口が上方に向かって抽出室の中心点から側方に離れるように、つまり、鉛直線とシャフトの長手方向線とが上向きに拡開して配置されているように方向付けられている。
【0008】
1つの好適な構成では、抽出位置において、側方の開口の縁部の下部領域が敷居として形成されており、敷居から一方の側に向かって抽出室が傾斜して形成されており、敷居から他方の側に向かってカプセルの壁が傾斜して配置されている。これにより、抽出飲料の放出時にカプセル内に所定量の残留液体を集めることができるようになっており、残留液体は、カプセルの下側の壁の傾きに基づき最早時間的に遅れて流出部に送られることはなく、カプセル内に残留することになる。残留液体に基づき、カプセルを抽出位置から除去する際にカプセルの重量が例えば1g~10g増えるため、重力による放出が最適化され、かつカプセルの付着またはひっかかりを回避することができる。
【0009】
カプセルは、好適には鉢状に形成されており、上側に、側方の開口に設けられた縁部に密着可能な縁部を有している。このために、抽出室の側方の開口の縁部には、相応するシールが設けられていてよい。さらに、好適にはカプセルにはフィルタ部材、例えばスクリーンが設けられており、フィルタ部材は確かに、カプセルの内室と抽出室の内室との間に流体接続を生じさせるが、抽出材料はカプセルの内部に保持する。カプセルの底部には、好適には読取り装置を介して検出可能または読取り可能なコードが設けられており、これにより、異なる形式のカプセルを識別することができ、ひいては例えば抽出時間または水温を制御することができるようになっている。
【0010】
本発明による方法では、カプセルを、抽出室の側方の開口に位置決めし、このとき側方の開口の縁部は、鉛直線に対して例えば5°~45°、特に10°~30°の角度に傾けられて方向付けられた平面を形成しており、カプセルの内室と抽出室の内室との間に流体接続を形成する。次いで、熱湯を抽出室内に導入して飲料を抽出し、例えば1分~5分間の抽出時間の後に抽出室から流出部へ流出させ、抽出飲料を放出する。カプセルの適切な配置に基づき、飲料放出時に時間的に遅れた後流を減らすまたは回避することができ、さらに、抽出位置からのカプセル除去を簡単にするために、カプセル内の残留液体を利用することができる。抽出過程の放出後の残留液体量は、好適には1ml~10ml、特に2ml~6mlである。
【0011】
以下に、添付の図面を参照して本発明を1つの実施例に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による抽出飲料調製装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した装置をケーシング無しで示す断面図である。
【
図3】抽出位置において抽出室をカプセルと共に示す詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
抽出飲料調製装置1は、取出し可能な集合タンク2を有しており、集合タンク2は、ケーシング50内に配置されている。集合タンク2は、好適には2つの部分、つまりカプセル捕集用の透水性の床と、その下に位置する集水タンクとから成る。集合タンク2には、容器4を設置するための開口を備えた台3が配置されている。台3の下側には、集合タンク2を引き出すための把持部5が設けられている。
【0014】
抽出飲料調製装置1はさらに、カプセル投入用のシャフト7の隣に設けられた抽出室6を有している。
【0015】
図2に示すように、カプセル用のシャフト7は、抽出室6と駆動装置8との間に位置している。駆動装置8を介して、抽出室6をシャフト7に対して移動させることができる。このために電動モータ80が設けられており、電動モータ80は伝動装置を介して、スピンドルナット82が相対回動不能に支持されたスピンドル81を駆動する。スピンドル81の回転により、スピンドルナット82と結合された複数のアーム83が直線移動する。アーム83はそれぞれ反対の側で抽出室6の周面に係合し、直線状に案内されるようになっている。これにより抽出室6は、ケーシング50に対して直線状に、または曲線ガイドに沿って可動である。このとき、別の複数の駆動装置が使用されてもよい。
【0016】
抽出飲料調製装置1はさらに、取外し可能に形成されていてよい清水用のタンク9(概略的に図示)を有している。タンク9はポンプ10に接続されており、ポンプ10を介して、ボイラの形態の加熱装置11に供給する。加熱装置11からは導管12(
図2では部分的にのみ図示)が、抽出室6の上側の入口導管13に通じている。入口導管13とタンク9との間には、任意にはフィルタが設けられていてもよい。
【0017】
図3には装置1が概略断面図で示されている。シャフト7の上側にはカプセル15が設けられており、カプセル15は鉢状に形成されており、かつ片側に、スクリーン31またはフィルタによって閉鎖された開口を有している。この場合、スクリーン31は、非対称に形成されており、かつ片側に把持領域として突出部17を有する縁部16に固定されている。カプセル15の側壁に設けられたやはり非対称の案内手段を介して、カプセル15は所定の位置および向きでシャフト7に投入されて案内されるようになっており、シャフト7は、カプセル15を位置決めするための相応する案内手段を有している。この場合、シャフト7は鉛直線に対して傾けられて方向付けられており、かつ抽出室6に向かって下向きに延在している。
【0018】
カプセル15は、開口とは反対の側に底部18を有しており、底部18には、カプセル15の識別用のマークまたはコードが配置されている。このようなマークは、カラーコード、光学コード、電磁コードとして、または他の形式で形成されていてよく、これにより、所定の位置で特定のカプセル形式を識別することができるようになっている。装置においてカプセル15のコードを読み取ることにより、制御装置を介して抽出室6用の熱湯充填量、温度および/または滞留時間を調節することができる。コードを介した別のパラメータの制御も可能である。
【0019】
抽出過程に関して、最初にカプセル15が上方からシャフト7に挿入される。カプセル15は、このカプセル15が投入位置にある抽出室6の側方の開口20に配置されるまで、下方に向かって滑動する。このために、抽出室6の外面には、カプセル15が開口20のところの抽出位置を越えて下方に向かって滑落することを防ぐ、複数のホルダ19が設けられている。次いで、抽出室6が抽出位置にもたらされ、このとき抽出室は開口20の周りのシールでもってカプセル15の縁部16に向かって移動され、これにより封止が行われる。つまり、カプセル15と抽出室6の内室21とが1つの通流可能なユニットを形成しており、この場合、カプセル15は抽出室の外側に配置されており、抽出室6の内室21とカプセル15の内部とは、スクリーン31によって互いに隔離されている。この場合、抽出室6の内室21は、カプセル15の内室より何倍も、例えば4倍よりも大きくなっているため、抽出飲料は主に抽出室6内に位置することになり、カプセル15内には比較的小さな部分のみが位置している。
【0020】
抽出位置では、流入部としての入口導管13を介して熱湯が加熱装置11から抽出室6に導入され、このために入口導管13の端部にはノズル14が設けられており、ノズル14は噴出器と共に抽出室6の内室21内に突入しており、抽出過程または洗浄過程用の熱湯を導入する。このために、ノズル14は、全周にわたり配分された複数の開口を有しており、これらの開口を通じて熱湯を抽出室6内に噴出することができる。これにより、抽出室6の側壁に液体膜が形成され、液体膜は、一方では洗浄用に、他方では抽出過程用に利用することができる。さらに、ノズル14には下向きの少なくとも1つの開口が設けられており、例えば抽出過程中に熱湯を後充填しようとする場合には、この開口を通じて熱湯を噴出させることができるようになっている。1つの別の実施形態では、
図3に示すように、ノズルの追加的な開口が、抽出位置におけるカプセルに向かって斜めに形成されている。この場合、各開口は、任意には弁を介して切替え可能に形成されていてよい。
【0021】
抽出室6は下端部に、導管24を介して弁23に接続された流出部22または出口を有している。弁23を閉じることにより、導入された熱湯は抽出室6内に集められ、流出部22を超えて上昇し、これにより、カプセル15内に含まれる、飲料、特にお茶の抽出材料に到達することになる。読取り装置35によりカプセル15のコードを事前に読み取ることで、制御装置を介して抽出飲料の調製を個別に適合させることができ、例えば緑茶を、紅茶、フルーツティーまたはその他の抽出飲料または煎じ飲料とは異なるように調製することができる。さらに、コードの読取りを介して洗浄プログラムまたはサービスプログラムを始動させることもできる。
【0022】
抽出過程の後に弁23を開くことができ、これにより抽出飲料は抽出室6から流出部22、導管24を介して出口接続管片25内へ流入し、そこから抽出飲料は容器4内へ導入される。抽出位置では、出口接続管片25と容器4との間に貫通路26または開口が位置しているため、熱い飲料は支障無く容器4内に流入することができる。抽出飲料の放出後に弁23は再び閉じられてよい。
【0023】
飲料の放出後に抽出室6は駆動装置8を介してカプセル15から離反するように移動されてよく、その結果、カプセル15は抽出室6の側方の開口20に隣接する停止位置から除去される。この場合、カプセル15は最初はまだ、抽出室に設けられたホルダによって保持されるが、抽出室6の、シャフト7に対する移動が増大するにつれて傾き、最終的には制御されて再現可能に下方に落下する。この場合、カプセル15は集合タンク2内の、集合パンの上側に配置されたスクリーンまたは格子上に落下する。抽出室6の移動により、同時に弁、導管24および出口接続管片25も移動することになり、出口接続管片25は今や、最早貫通路26の上ではなく、ガイド部材27の上に配置されている。加熱装置11からノズル14を介して抽出室6内に熱湯が噴出されることによって抽出室6を洗浄することができ、熱湯が抽出過程の残滓を除去することができるようになっている。この場合、熱湯は部分的に、開口20を介して集合タンク2内へ直接に導入することができ、さもなければ流出部22および導管24を介して出口接続管片25内へ導入される。そこから洗浄水は、傾斜した床として容器4の上側に形成されたガイド部材27に達する。ガイド部材27を介して洗浄水は集合タンク2の集合パン28内に流入する。ガイド部材27は、傾斜した床として形成される代わりに、通路または溝として形成されていてもよい。
【0024】
容器4の取出し後に少量の液体が貫通路26を介して導入されると、この液体は第2の集合パンまたは滴下皿内に集められてよい。集合タンク2はユニットとして、装置1のケーシング50から取り出すことができるので、集合タンク2に設けられた2つの集合パンを空にすることができるようになっている。
【0025】
抽出室6は、実質的に球形に形成されており、かつ上部領域に、ノズル14が設けられたパラボラ形の部分を有している。
【0026】
抽出室6は、一度に調製しようとする抽出飲料のポーションの数に応じて0.1~1.0l、特に0.15l~0.7lの体積を収容することができる。
【0027】
電気駆動装置8により、抽出過程後にカプセル15を自動的に放出することができる。これにより、各抽出過程の後に洗浄過程を導入することができるようになっており、その結果、抽出室6、流出部22および導管24の表面が汚れることが防止される。洗浄は、ユーザが洗浄過程を発動させる必要無しに、抽出過程の直後に自動的に実施することができる。
【0028】
カプセル15は、スクリーン31または格子によって閉鎖された内室を有している。カプセルの内容物の香りをより長く保つために、スクリーン31または格子はカバーフィルムによって閉鎖されていてよく、カバーフィルムは縁部16に固定されていて、シャフト7に投入する前に全体的または部分的に除去される。反対側に配置された底部18には、光学識別システムに使用される、少なくとも1つの光変向装置ならびに少なくとも1つの出射面が設けられていてよい。底部18には光導体も設けられていてよく、これにより、少なくとも1つの光検出器を介して、カプセル15の底部18への光の放出を検出することができるようになっている。
【0029】
図示の実施例では、抽出室6は例えばプラスチック、金属またはガラスからシングルウォール式に形成されている。しかしまた、耐熱性を向上させるために、例えば断熱材から成るカバーまたはダブルウォール式の構成により、抽出室6を断熱することも可能である。この場合、抽出飲料を、例えば5分超の長い抽出時間でも、十分に温度調整して放出することができる。
【0030】
図3では、カプセル15は傾けられて配置されたシャフト7を通って抽出位置に移動されている。カプセルの縁部16は、側方の開口20の縁部に密着しており、この場合、開口20の側縁部は鉛直線に対し、例えば10°~30°、特に15°~25°の角度αに傾けられて方向付けられている。
【0031】
抽出過程に関して、流入部としての入口導管13を介して熱湯が抽出室6の内室21内に導入され、このときカプセル15に設けられたフィルタを通り、熱湯はカプセル15の内室にも流入する。カプセル15内の抽出材料は、所望の時間、例えば1分~8分間抽出されてよく、次いで抽出飲料が流出部22および導管24を介して容器4内に供給される。この場合、側方の開口20に設けられた下縁部が、カプセル15の下側の壁および抽出室6の下部領域よりも高く配置された敷居を形成している。これにより、カプセル15の重量を増やす所定量の、例えば1ml~10mlの残留液体がカプセル15内に残留することになるため、抽出過程終了後にカプセル15は重力によって比較的容易に除去され、集合タンク2内へ放出されることができる。場合により、例えばカプセル15の縁部に生じ得る付着力は、抽出過程後のカプセル15の重量に基づき克服され、抽出位置からのカプセル15の確実な落下が生じる。さらに、使用済みの抽出材料が、時間的に遅れて残留液体を抽出室6に導出し、これにより抽出飲料中の苦み成分の濃度が高まる可能性が回避される。
【符号の説明】
【0032】
1 装置
2 集合タンク
3 台
4 容器
5 把持部
6 抽出室
7 シャフト
8 駆動装置
9 タンク
10 ポンプ
11 加熱装置
12 導管
13 入口導管
14 ノズル
15 カプセル
16 縁部
17 突出部
18 底部
19 ホルダ
20 開口
21 内室
22 流出部
23 弁
24 導管
25 出口接続管片
26 貫通路
27 ガイド部材
28 集合パン
31 スクリーン
50 ケーシング
80 電動モータ
81 スピンドル
82 スピンドルナット
83 アーム
α 角度