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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】押出しレインスクリーン
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
E04B1/70 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020557008
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 IB2019050124
(87)【国際公開番号】W WO2019135206
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】62/614,795
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519395259
【氏名又は名称】ロウ アンド ボナー インク.
【氏名又は名称原語表記】Low & Bonar Inc.
【住所又は居所原語表記】1301 Sand Hill Road, Enka, NC 28728, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】520244865
【氏名又は名称】イー. アイ. デュ ポン ド ヌムール アンド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E. I. du Pont de Nemours and Company
【住所又は居所原語表記】974 Centre Road, Wilmington, DE 19805, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローリ シー. ハッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ イー. マティス
(72)【発明者】
【氏名】ダヴリュ. アラン ウィングフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ワジール ノッビー
(72)【発明者】
【氏名】ルパ キッビ
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0045242(US,A1)
【文献】国際公開第2009/105464(WO,A2)
【文献】特開2011-080250(JP,A)
【文献】特開2006-169951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70,1/80
E04C 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水構成要素であって、
上面と下面とを有するランダムに入り組んだポリマーフィラメントの連続押出しマットを備え、
前記マットは、複数のパターン化された3次元構造体を備え、各構造体は、すべての隣接する構造体から離間され、
前記複数のパターン化された3次元構造体は、第一方向において複数の線状の行または列で設けられるが、前記第一方向における線状の行または列のうちの隣接する行または列の3次元構造体は、前記第一方向に対して垂直な第二方向において互いにオフセットされている、排水構成要素。
【請求項2】
前記マットの前記下面および前記上面の少なくとも一方に接着された布地さらに含む、請求項1記載の排水構成要素。
【請求項3】
前記複数のパターン化された3次元構造体のそれぞれは、該パターン化された3次元構造体の各々の実質的に中央部分に圧痕を有し、該圧痕は、前記マットの前記上面から前記マットの前記下面に向かって突き出ている、請求項1または2記載の排水構成要素。
【請求項4】
前記ランダムに入り組んだポリマーフィラメントは、ランダムな交点において自己結合または自己融合しており、かつ、複数のパターン化された3次元構造体に成形されており、各前記複数のパターン化された3次元構造体は、すべての隣接するパターン化された3次元構造体から離間されており、これにより、前記複数のパターン化された3次元構造体の前記ランダムに入り組んだポリマーフィラメントのネットワークの密度とは異なる密度のランダムに入り組んだポリマーフィラメントのネットワークを含む前記マットのスペーサ部分が、各前記複数のパターン化された3次元構造体のすべての側面において露出している、
請求項1記載の排水構成要素。
【請求項5】
前記複数のパターン化された3次元構造体のそれぞれは、6つの側面を有している、請求項1記載の排水構成要素。
【請求項6】
前記パターン化された3次元構造体のうちの隣接し合う構造体の間のスペースは、前記パターン化された3次元構造体を構成するポリマーフィラメントよりも高い密度を有するポリマーフィラメントのネットワークを含む、請求項1記載の排水構成要素。
【請求項7】
前記布地は、前記マットに前記各圧痕で結合されている、請求項2を引用する請求項3記載の排水構成要素。
【請求項8】
前記布地は、前記マットに前記各圧痕でのみ結合されている、請求項記載の排水構成要素。
【請求項9】
建築構造物であって、
部材と、
排水構成要素と、
構成物と
を備え、
前記排水構成要素は、上面と下面とを有するランダムに入り組んだポリマーフィラメントの連続押出しマットを備え、前記マットは、複数のパターン化された3次元構造体を備え、各構造体は、すべての隣接する構造体から離間され、前記複数のパターン化された3次元構造体は、第一方向において複数の線状の行または列で設けられるが、前記第一方向における線状の行または列のうちの隣接する行または列の3次元構造体は、前記第一方向に対して垂直な第二方向において互いにオフセットされている、建築構造物。
【請求項10】
前記排水構成要素は、前記マットの前記下面および前記上面の少なくとも一方に接着された布地さらに含む、請求項記載の建築構造物。
【請求項11】
前記排水構成要素は、壁と前記構成物との間に設けられている、請求項記載の建築構造物。
【請求項12】
前記構成物はセメントを含む、請求項記載の建築構造物。
【請求項13】
前記排水構成要素は、前記布地前記構成物に接触しかつ前記マットが前記部材に接触するように配向されている、請求項10記載の建築構造物。
【請求項14】
前記部材は、建築物の側壁の内側被覆部材である、請求項記載の建築構造物。
【請求項15】
前記ランダムに入り組んだポリマーフィラメントは、ランダムな交点において自己結合または自己融合しており、かつ、複数のパターン化された3次元構造体に成形されており、各前記複数のパターン化された3次元構造体は、すべての隣接するパターン化された3次元構造体から離間されており、これにより、前記複数のパターン化された3次元構造体の前記ランダムに入り組んだポリマーフィラメントのネットワークの密度とは異なる密度のランダムに入り組んだポリマーフィラメントのネットワークを含む前記マットのスペーサ部分が、各前記複数のパターン化された3次元構造体のすべての側面において露出している、
請求項9記載の建築構造物。
【請求項16】
前記複数のパターン化された3次元構造体のそれぞれは、該パターン化された3次元構造体の各々の実質的に中央部分に圧痕を有し、該圧痕は、前記マットの前記上面から前記マットの前記下面に向かって突き出ている、請求項記載の建築構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
建築構造物における懸念事項は、特定領域内の水分の蓄積である。例えば、建築物の外壁の中または近くに溜まる水分は、構造物の早期劣化を引き起こす可能性がある。建築構造物の内側被覆部材と外側建築材料との間に換気通路または排水通路を提供するための特定の装置および方法が知られている。
【0002】
米国特許第6,594,965号明細書において論じられているように、一つのタイプの建築用製品には、鉛直に配置されていて、妨害のない連続的な排水通路を提供するために、壁または屋根構造内に使用可能な細長いウェブ材料で作られたロール状スペーサが含まれている。しかしながら、そのような構成は、特定の用途では十分な圧縮能力があるとは云えず、また、構成要素を任意の方向に設置できかつ排水を相変わらず提供できるような形式では実現できず、さらに、住宅および商業タイプの建築物の両方に適用できない場合がある。
【0003】
概要
本願は、改善された排水能力および換気能力を有することができる排水構成要素および建築構造物システムを提供することができる。いくつかの実施形態では、排水構成要素は、任意の向きでの設置を可能にすることができ、排水構成要素の縦方向、それに交差する(垂直)方向、さらに1つ以上の対角線方向または傾斜方向に沿ってさえ、排水能力を有することができる。
【0004】
本明細書には、上面と下面とを有する連続押出しマットを備える排水構成要素が開示されている。排水構成要素は、複数のパターン化された3次元構造体を備え、各構造体は、すべての隣接する構造体から離間される。複数の構造体は、第一方向において複数の線状の行または列で設けられるが、第一方向における線状の行または列のうちの隣接する行または列の3次元構造体は、第一方向に対して垂直な第二方向において互いにオフセットされている。
【0005】
また、本明細書には、部材と、排水構成要素と、セメントを含む構成物とを備える建築構造物も開示されている。排水構成要素は、上面と下面とを有する連続押出しマットを備える。マットは、複数のパターン化された3次元構造体を備え、各構造体は、すべての隣接する構造体から離間される。複数のパターン化された3次元構造体は、第一方向において複数の線状の行または列で設けられるが、第一方向における線状の行または列のうちの隣接する行または列の3次元構造体は、第一方向に対して垂直な第二方向において互いにオフセットされている。
【0006】
また、本明細書には、上面と下面とを有する連続押出しマットを備える排水構成要素も開示されている。排水構成要素は、複数のパターン化された3次元構造体を備え、各構造体は、すべての隣接する構造体から離間される。複数の構造体は、複数の線状の行または列で設けられ、複数のパターン化された3次元構造体のそれぞれは、6つの側面を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】いくつかの実施形態による排水構成要素の上面の一部の正面図である。
図2】いくつかの実施形態による排水構成要素のロールの斜視図である。
図3】いくつかの実施形態による排水構成要素を含む建築構造物の図である。
【0008】
実施形態の詳細な説明
以下の説明では、多くの詳細は本開示の理解を提供するために記述されている。しかしながら、これらの詳細なしに本開示の方法が実施され得ること、また、記載された実施形態からの多数の変形または修正が可能であり得ることは、当業者には明らかであろう。
【0009】
最初に、任意のこのような実際の実施形態の開発において、多数の実装固有の決定が、システム関連およびビジネス関連の制約への適合性など、実装毎に変わる開発者固有の目標を達成するために行われる場合があることに留意されたい。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず本開示の利益を有する当業者にとっては日常的な仕事であることは理解されるであろう。その上、本明細書に記載されている装置および方法は、引用されたもの以外のいくつかの構成要素を含むこともできる。発明の概要およびこの詳細な説明において、各数値は、「約」という用語で修飾されているものとして一度読み取るべきであり(明確な修飾がなされていない限り)、次に文脈で別段示されていない限り、このように修飾されないと再度読み取るべきである。また、発明の概要およびこの詳細な説明において、有用である、適切である、などとして記載または説明されている範囲は、少なくとも、終点を含む範囲内のすべての点が記述されたと見なされるため、範囲内のあらゆる考えられる部分的な範囲へのサポートを含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10の範囲」は、約1と約10との間の連続に沿ったそれぞれの可能な数を示すものとして理解すべきである。さらに、本明細書に例示的に開示されたこの出願の主題は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素がなくても適切に実施され得る。
【0010】
以下の定義は、当業者が詳細な説明を理解するのを助けるために提供されている。
【0011】
本明細書で使用される場合、「レインスクリーン」という用語は、壁または他の建築構造物の内部、上または近くに設けられ、毛管状の切れ目を形成し、かつ/または水分および/または水蒸気の排水と蒸発とを可能にする排水構成要素を指す。当業者はまた、壁の排水路および壁の通気路に相当するレインスクリーンを考慮してもよい。
【0012】
図1を参照すると、マット1を有する排水構成要素が提供されている。マット1は、例えば、建築構造物の内側被覆部材(例えば、壁などの部材)と外側建築材料との間に配置されることによって、建築構造物の側壁内に配置されるように適合され得る。
【0013】
論じられている実施形態は、レインスクリーンとして使用されるマットに関しかつそれを建築物の壁に関して説明しているが、本明細書に説明されたマットは、屋根構成要素、または空調ユニットなどの換気および/または水分流出の制御が望まれるような任意の構成要素などの他の構成にも適用可能である。
【0014】
マット1は、ランダムに入り組んだポリマーフィラメントの細長くて不定長の透かしマット(またはウェブ)で形成されてもよい。マットのランダムに入り組んだポリマーフィラメントは、任意の熱可塑性材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は、65℃以上~約100℃の温度に耐えることができる。熱可塑性材料は、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、またはナイロンであってもよい。熱可塑性材料に用いる例示的な材料には、ポリプロピレン、ナイロン6(またはポリアミド6)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ベクトラン、高密度ポリエチレン、およびそれらのブレンドまたはコポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、マットの組成物は、難燃性、耐UV性、および水分管理の特性を改善することで顧客または規制の要件を達成するかまたは上回ることができる1種類以上の添加剤を含み得る。
【0015】
フィラメントは、互いに交差し、以下でさらに説明される3次元構造体の改善された圧縮抵抗を提供するような方法で提供されてもよい。
【0016】
マット1は、複数のパターン化された3次元構造体10で形成されてもよく、これらの3次元構造体10は、フィラメントの3次元マトリックスを形成するために協働する。マトリックスは、フィラメントおよびフィラメントのポリマーが改善された強度を有しかつ改善された圧縮も可能にするような方法で提供されてもよい。
【0017】
マット1は、上面と下面とを有するマットを形成する複数のパターン化された3次元構造体を含み、各構造体は、すべての隣接する構造体から離間されている。複数の構造体は、第一方向において複数の線状の行または列で設けられるが、第一方向における隣接する線状の行または列で設けられる構造体は、第一方向に対して垂直な第二方向にいて互いにオフセットされている。つまり、排水構成要素を2次元で表示すると、3次元構造体は、一連の行で鉛直または水平(第一方向)に整列されているが、第一方向に対して垂直な方向(例えば、水平または鉛直、第二方向)では互い違いに配置されている(整列されていない)。
【0018】
3次元構造体10は、それぞれ多角形構造体であってもよく、本質的に6つの側面を有していてもよい。いくつかの実施形態は、構造体が、第一方向に沿っては行に整列されているが、垂直な第二方向に沿っては互い違いに配置されているという条件を充足すれば、丸みを帯びた構造体、正方形または長方形の構造体、またはさらに8つ以上の側面を有する構造体を想定し得る。いくつかの実施形態は、構造体が、第一方向に沿っては行に整列されているが、垂直な第二方向に沿っては互い違いに配置されているという条件を再び充足すれば、3つの側面を有する構造体または5つの側面を有する構造体を含む6つ未満の側面を有する構造体、またはさらに少ない側面を有する構造体を備え得る。
【0019】
3次元構造体10は、特に6つの側面を有する多角形構造体として設計された場合、マット1の強化特性の改善を可能にすることができる。一例として、構造体10の成形は、各3次元構造体10と、隣接し合う構造体とを含むフィラメントにおける強化された結合点を可能にすることができ、それによって、負荷がかかった時にマット1自体の崩壊を防ぐのを助ける。
【0020】
3次元構造体10が上記のように設けられている場合、排水を可能にする開放領域を依然として有しながら、マット1の強度を最終的に向上させることができる改善された表面壁領域があり得る。
【0021】
3次元構造体10のうちの隣接し合う構造体の間のスペース20は、3次元構造体を構成するポリマーフィラメントと実質的に同じ組成を有するポリマーフィラメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、スペース20は、3次元構造体10を構成するマット1の部分よりも高密度なマット1の関連部分を提供する配向でポリマーフィラメントを含む。しかしながら、スペース20におけるポリマーフィラメントのマットはまた、3次元構造体10を構成する密度と相対的に同じ密度またはより低い密度で提供されてもよい。スペースにおけるポリマーフィラメントのマットはまた、製造中にプレスされて、3次元構造体10の間に排水通路または溝を形成することができる。また、隣接し合う構造体の間にポリマーフィラメントがない場合もあり、したがって、スペース20は追加の材料を完全に含まなくてもよい。そのような場合、以下でより詳細に説明するように、構造体を布地に結合することにより、マットを連続的に設けることが可能になる。
【0022】
スペースは、裏地(例えば、以下でさらに説明するような布地)への接着力を改善するように、フィラメントを溶融またはプレス溶融することによって形成されることが望ましい。
【0023】
構造を含む型が、図1に示された複数の3次元構造体を形成するために使用されてもよい。3次元構造体の間のスペース20は、型の隆起部分で型から形成することができ、隆起部分はハニカムタイプのパターンを形成している。
【0024】
図1を再び参照すると、3次元構造体10はまた、各構造体の中心にまたは実質的に各構造体の中心の近くに圧痕11を有していてもよい。圧痕は、少なくとも部分的に突き出ていてもよいし、3次元構造体10の厚さを完全に貫いていてもよい。つまり、圧痕は、マットの上面からマット1の下面に向かって少なくとも部分的に突き出ていてもよいし、場合によってはマットの下面にまで突き出ていてもよい。圧痕は、構造体間の間隔と同じ方法で形成されてもよく、また型を使用することで形成されてもよい。圧痕は、型を使用してプレス溶融することによって形成することもできる。
【0025】
マット1の厚さ(例えば、マットの最下面から3次元構造体10の最上面まで)は、約1mm~約20mm、または約3mm~約10mm、または約3mm、約6mm、もしくは約10mmであってもよい。
【0026】
3次元構造体10の直径(または、構造体が球状でない場合は、一方の端から反対側の端までの最長距離)は、約2mm~約60mm、または約10mm~約20mmであってもよい。
【0027】
コア(マット)の重量は、平方ヤードあたり約11オンスを含めて、平方ヤードあたり約5~約25オンスであり得る。
【0028】
マットは、上記の構成を考慮して、建築物の被覆材からの雨水通路の閉塞がない品質を有することができる。さらに、マットは、圧縮抵抗と空気の流れとが必要とされる、商業用途と住宅用途との両方の様々な建築用途に使用することができる。
【0029】
マットは、任意の向きでの設置を有利に可能にするように構成することができ、排水構成要素の縦方向、それに交差する(垂直)方向、さらに1つ以上の対角線方向または傾斜方向に沿ってさえ、排水能力を有することができる。
【0030】
また、マット1は、壁および壁の角隅などの周りに容易に設置できるように柔軟性を有し得る。マット1を利用する構造体は、一般に、建築構造物および角隅の周りに、改善された適合性を有し得る。さらに、マット1および関連する構造体は、使用中に平らに置くことができる品質を有し得る。
【0031】
熱可塑性材料を、材料の融点より高い温度で、パターン化された構成を有する構造体または型に押し出すことによって、3次元構造体10、そして最終的にはマット1が形成され得る。そのような型は、最終的に製造されるマットと同じまたは実質的に同様のパターン化された構成を有することができる。
【0032】
例として、マットを製造するための考えられるプロセスは、連続溶融紡糸熱可塑性モノフィラメントが、あらゆる結合剤や補強インサートを使用せずに、ランダムな交点において自己結合または自己融合する不規則なループの重なり合った列で、異形成形されたサポート構造体または型に押し出される方法を利用することである。しかしながら、結合剤またはインサートが使用される場合もある。
【0033】
3次元構造体10のパターンは、特に、成形された型へフィラメントを押し出して冷却することによって作製することができる。3次元構造体10の間の間隔は、特定のパターンを有する加熱された型を用いた押出しによって作製されてもよい。加熱された型のプレスは、行われてもよいし、行われなくてもよい。
【0034】
図2を参照すると、マット1は、製造、輸送、保管、および設置に役立てることができるスパイラルロールで設けられてもよい。マットは、マット1の後面(または下面)が内側被覆部材および/または膜に面するように、内側被覆部材上に横方向で広げることができる。またマット1は、シート状で設けられてもよい。
【0035】
図1を再び参照すると、いくつかの実施形態では、マット1は、それに取り付けられる布地2を任意選択で含むことができる。布地は、任意の実現可能な布地であってもよく、代わりにフリースまたは不織布と考えられてもよく、またデュポン社によって製造されたタイベック(登録商標)のようなウェザーバリアを構成すると当技術分野で理解されている任意の構成要素であってもよい。布地2は、不必要な量の水分および/またはスタッコまたはモルタルなどの材料からマット1を保護する品質を有することができ、壁構造体内で複合構成要素を一緒に接続するのに役立つグラブ層として機能することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、布地2は濾布である。布地2は、ロールまたはシートの形で提供することができ、圧入、接着剤またはフィラメントとの溶融結合のいずれかによる結合、またはマット1の上面または下面への接着などのあらゆる既知の方法によって、パターン化された3次元構造に接続することができる。いくつかの実施形態では、マット1の下面に布地2を提供することが望ましい。他の実施形態では、布地2がマット1の上面に接着され、第二布地がマット1の下面に接着され、したがって2つの布地の間にマット1を挟むことが考えられている。
【0037】
布地2は濾布シートであってもよく、この濾布シートは、織布、スパンボンド不織布シート、スパンレース不織布シート、スパンボンドメルトブロー不織布シート、スパンボンドメルトブロースパンボンド不織布シート、およびパーフォレーション孔付きフィルムからなる群から選択され、多孔質で液体透過性かつ湿潤性のシートを含み、150mm未満の静水頭を有する。濾布の静水頭または耐水性は、例えばAATCC-127などの既知の規格によって測定されてもよい。
【0038】
濾布シートは、親水性ポリマー添加剤を含んでもよいし、湿潤性を付与するのに十分な量の界面活性剤を有するコーティングを含んでもよいし、プラズマ処理されてもよい。
【0039】
布地2は、マットの3次元構造体10の圧痕11でマット1に接着されてもよい。いくつかの実施形態では、布地2は、そのような圧痕11でのみマット1に結合されている。接着は、上記のように、圧入、接着剤またはフィラメントとの溶融結合のいずれかによる結合などの任意の既知の方法によって行われてもよい。
【0040】
布地2は、スパンボンド不織布であってもよい。すなわち、フィラメントは、各それぞれのフィラメントに沿った1つ以上の点で互いに交差してもよく、交点で互いに結合される。
【0041】
布地2は、機械加工の間、およびマット1をスパイラルロールに巻く前に、マット1に接着されてもよい。布地2はまた、マット1を建築構造物に設置する直前または設置中にマット1に接着されてもよい。
【0042】
布地2は、約30g/m~約200g/m、または約50g/m~約200g/m、もしくは約60g/m~約100g/mの重量を有することができる。
【0043】
布地2はまた、紫外線成分または親水性成分を有する布地を含んでもよく、またはその代わりに紫外線成分または親水性成分を有する布地であってもよい。
【0044】
マット1および布地2は、いくつかの実施形態では、レインスクリーンと見なされ得る複合材を一緒に形成し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、布地2は含まれず、マット1自体がレインスクリーンを形成する。
【0045】
複合材は、設置中に実質的に平らに置くことができるという有利な特性を有することができる。例えば、3次元構造体10などの配向は、設置時のピローイング現象を回避でき、したがって、空気が下に閉じ込められるのを回避することができ、材料にしわが寄らないようになっている。
【0046】
布地2は、フラップ部分を有するように機械加工されてもよく、フラップ部分は、マット1に接着された時に少なくとも一方向にマット1の長さを越えて延びるように設けられている部分である。布地2のフラップは、設置中に複数の複合材を一緒に接続するのを助けるために使用されてもよい。フラップは均等な被覆を可能にし、マット1によって設けられた排水スペースのあらゆる損傷を回避することができる。さらに、フラップは、マット1の排水スペースに対する追加の保護層として機能することができる。
【0047】
上記の説明は、濾布および/またはウェザーバリアなどの布地2に関するが、代わりにまたは追加的に、断熱、放射バリアを提供するまたは空気濾過品質を有する布地の使用も考えられる。例えば、布地2は、代わりに、透過性放射バリアの形態であってもよい。透過性放射バリアは、織り繊維もしくは織りテープのシートなどの織布、またはフラッシュ紡糸プレキシフィラメントシート、スパンボンド不織布シート、スパンボンドメルトブロー不織布シート、スパンボンドメルトブロースパンボンド不織布シートなどの不織布と、不織布または織布もしくはスクリム層、および微孔性フィルム、マイクロ穿孔フィルムまたは水蒸気透過性モノリシックフィルムなどの水蒸気透過性フィルム層を有するラミネートとを備える多孔質シートを含んでよい。透過性放射バリアの出発シート層は、従来のコーティング方法を使用してコーティングされた水蒸気透過性シートを含むことができる。例えば、建設業界で現在使用されているシートには、ポリマーフィルム層でコーティングされ、かつマイクロパーフォレーション孔付き織りテープのシートが含まれる。シート層は、様々なポリマー組成物から形成され得る。例えば、建設業界で使用されているシートは、通常、ポリプロピレンまたは高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、またはポリアミドから形成されている。
【0048】
透過性放射バリアは、デュポン・ド・ヌムール社(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能なタイベック(登録商標)のフラッシュ紡糸高密度ポリエチレンのようなフラッシュ紡糸プレキシフィラメントポリオレフィンシートであってもよい。適切なフラッシュ紡糸プレキシフィラメントフィルム-フィブリル材料はまた、ポリプロピレンから作製され得る。水蒸気透過性シートは、フラッシュ紡糸プレキシフィラメントシートとメルトスパンスパンボンドシートとを含むラミネートなどの1つ以上の追加層を有するフラッシュ紡糸プレキシフィラメントシートのラミネートであり得る。プレキシフィラメントフィルム-フィブリルストランド材料のウェブ層を形成するためのフラッシュ紡糸プロセスは、米国特許第3,081,519号明細書(Blades他)、米国特許第3,169,899号明細書(Steuber)、米国特許第3,227,784号明細書(Blades他)、米国特許第3,851,023号明細書(Brethauer他)に開示され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
透過性放射バリアは、代替的または追加的に、布地2の片面または両面に金属反射コーティングを含んでよい。
【0050】
例えば、図3に示されるように、マット1は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって、壁20に取り付けられて、強化壁構造体100を形成することができる。構造体100は、例えば、布地2と、3次元構造体10を有するマット1との複合材を含むことができる。構造体は、部材30をさらに含むことができる。
【0051】
部材30は、建築物の側壁などの壁の部材であってもよい。いくつかの実施形態では、部材30は、壁の内側被覆部材であってもよく、部材は、支柱に取り付けられる。内側被覆部材は、合板、ボード、断熱コンクリート、複合ボード、または現地の建築基準法で許可されているその他の材料で作られる場合もある。部材30は、例えば側壁の内部の別の構成要素であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、3次元構造体10を有するマット1は、部材30に面するかつ/または直接接触するように配向され、複合材の反対側は布地2を含む。布地2は、構成物40に面してもよいかつ/または直接接触してもよい。このような配向は、例えば、構成物40がマット1と接触することで生じる損傷からマットを保護することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、構成物40は、セメントを含んでもよく、モルタル、スタッコ、またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、構成物は、木材/杉、繊維セメント、および非セメント質金属を含む金属を含み得る。部材30は、建築物の側壁の一部および/または建築物の側壁内の一部であってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、複合材は、マット1が部材30に面する代わりに、布地2が部材30に面しかつ/または直接接触し、代わりに、マット1が反対方向を向くように配向されてもよい。そのような状況において、構成物40は、マット1が構成物40に面しかつ/または直接接触する(すなわち、マット1と構成物40との間に布地2は存在しない)ことで相変わらず含まれてもよい。構成物40が存在しない他の用途を使用してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、構成物40はセメントを含み、布地2は構成物40とマット1との間に設けられる。マット1は、マット1の構造体10が部材30に面するように配向されてもよい。いくつかの実施形態では、構成物40はセメントを含まず、構成物40とマット1との間に布壁2が存在してもよいし、存在しなくてもよい。この場合、マット1は、構造体10が部材30に面するか、または構造体10が部材30とは反対側に面するように配向されてもよい。
【0056】
さらに、前述の説明は、特定の手段、材料、および実施形態に関して本明細書で説明されているが、本明細書に開示された詳細に限定されることを意図するものではなく、むしろ、それは、添付の特許請求の範囲内にある機能的に同等のすべての構造、方法、および使用にまで及ぶ。
図1
図2
図3