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特許7295139可撓性手術器械および可撓性手術器械システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】可撓性手術器械および可撓性手術器械システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20230613BHJP
   B25J 18/06 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J18/06
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020557372
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2019070890
(87)【国際公開番号】W WO2019137380
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】201810023059.0
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810022341.7
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519069305
【氏名又は名称】北京術鋭機器人股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 106,Building 2,Tiandilinfeng,1 Yong Tai Zhuang North Road,Haidian Beijing China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(72)【発明者】
【氏名】徐 凱
(72)【発明者】
【氏名】趙 江然
(72)【発明者】
【氏名】張 樹▲あん▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 兢
(72)【発明者】
【氏名】任 義唐
(72)【発明者】
【氏名】牛 林輝
(72)【発明者】
【氏名】董 天来
(72)【発明者】
【氏名】盧 景曦
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106361432(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106308934(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
B25J 18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端固定ディスク、複数の可撓性構造部材からなる近位端構造部構造物及び複数の可撓性構造部材からなる駆動構造物を含む可撓性連続体構造の近位端構造と、
第1の遠位端固定ディスク及び複数の可撓性構造部材からなる第1の遠位端構造部構造物を有する第1の遠位端構造部と、第2の遠位端固定ディスク及び複数の可撓性構造部材からなる第2の遠位端構造部構造物を有する第2の遠位端構造部であって、前記近位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材が前記第2の遠位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材に一対一で締付けて接続され又は前記第2の遠位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材と同一の可撓性構造部材から構成される第2の遠位端構造部とを有する遠位端構造と、
回動運動入力を直線運動出力に変換するように動作する複数の直線運動機構を備える伝達駆動ユニットと、
を備え、
前記複数の直線運動機構は、前記第1の遠位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材のそれぞれに接続されて各可撓性構造部材を押したり引っ張りすることにより前記第1の遠位端構造部を湾曲運動させる複数の第1の直線運動機構と、前記駆動構造物における各々の可撓性構造部材のそれぞれに接続されて各可撓性構造部材を押したり引っ張りすることにより前記近位端構造を湾曲運動させる複数の第2の直線運動機構と、を有する
ことを特徴とする可撓性手術器械。
【請求項2】
前記直線運動機構は、ねじと、前記ねじと配合接続されるねじスライダーとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項3】
前記直線運動機構は、
駆動スクリューと、
前記駆動スクリューに同軸に接続される第1のプーリと、
前記第1のプーリによって駆動される第2のプーリと、
前記第2のプーリに同軸に接続される受動スクリューと、
前記駆動スクリューと配合接続される第1のねじスライダーと、
前記受動スクリューと配合接続される第2のねじスライダーと、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項4】
前記近位端構造部構造物の近位端は、前記近位端固定ディスクに締付けて接続され、
前記駆動構造物の近位端は、前記近位端固定ディスクに締付けて接続され、
前記第1の遠位端構造部構造物の遠位端は、前記第1の遠位端固定ディスクに締付けて接続され、
前記第2の遠位端構造部構造物の遠位端は、前記第2の遠位端固定ディスクに締付けて接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項5】
前記第2の遠位端構造部構造物が前記第1の遠位端構造部を貫通し、前記第2の遠位端構造部構造物の遠位端が前記第2の遠位端固定ディスクに締付けて接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項6】
前記近位端構造は、前記近位端構造部構造物が貫通する近位端スペーサーディスクをさらに含み、
前記第1の遠位端構造部は、前記第1の遠位端構造部構造物が貫通する第1の遠位端スペーサーディスクをさらに含み、
前記第2の遠位端構造部は、前記第2の遠位端構造部構造物が貫通する第2の遠位端スペーサーディスクをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項7】
第1の接続体をさらに備え、
前記第1の接続体は、
前記近位端構造の遠位端に接続される近位端構造固定板と、
前記第1の遠位端構造部又は前記第2の遠位端構造部に近接する遠位端固定板と、
前記近位端構造固定板と前記遠位端固定板との間に配置されている複数の第1のガイドチャネルと、
を備え、
前記第2の遠位端構造部構造物は、前記第1のガイドチャネルを貫通する
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項8】
第2の接続体をさらに備え、
前記第2の接続体は、
前記近位端構造固定板と前記遠位端固定板との間に配置されているチャネル接続板と、
前記チャネル接続板と前記遠位端固定板との間に配置されている複数の第2のガイドチャネルと、
を備え、
前記第1の遠位端構造部構造物は、前記第2のガイドチャネルを貫通する
ことを特徴とする請求項に記載の可撓性手術器械。
【請求項9】
弾性接続機構をさらに備え、
前記弾性接続機構は、
前記第1の直線運動機構又は前記第2の直線運動機構に摺動可能に接続される第1の接続コネクタ端を有する接続コネクタと、
前記接続コネクタの第2の接続コネクタ端に接続される第1の端を含むカップリングと、
前記接続コネクタが摺動可能に接続される接続コネクタ支持板と、
前記カップリングが前記接続コネクタ支持板に摺動可能かつ回転可能に設置されているカップリング支持板と、
前記カップリングに差し込まれ、第1の端が前記接続コネクタ支持板に接続され、第2の端が前記カップリングに接続されるバネと、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性手術器械。
【請求項10】
前記第2の遠位端構造部の遠位端に配置されている機能的アクチュエータをさらに備える
ことを特徴とする請求項に記載の可撓性手術器械。
【請求項11】
前記機能的アクチュエータは、手術アクチュエータを含み、
前記可撓性手術器械は、
出力端が手術アクチュエータ制御線を介して前記手術アクチュエータに接続されるアクチュエータ駆動機構をさらに備え、又は、
前記機能的アクチュエータは、視覚照明モジュールを含み、
前記可撓性手術器械は、
視覚処理ユニットと、
照明制御ユニットと、
をさらに備え、
前記視覚処理ユニット及び前記照明制御ユニットは、複合導線を介して前記視覚照明モジュールに接続される
ことを特徴とする請求項10に記載の可撓性手術器械。
【請求項12】
可撓性手術器械とモータセットユニットとを備え、
前記可撓性手術器械は、
近位端固定ディスク、複数の可撓性構造部材からなる近位端構造部構造物及び複数の可撓性構造部材からなる駆動構造物を含む近位端構造と、
第1の遠位端固定ディスク及び複数の可撓性構造部材からなる第1の遠位端構造部構造物を有する第1の遠位端構造部と、第2の遠位端固定ディスク及び複数の可撓性構造部材からなる第2の遠位端構造部構造物を有する第2の遠位端構造部であって、前記近位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材が前記第2の遠位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材一対一で締付けて接続され又は前記第2の遠位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材と同一の可撓性構造部材から構成される第2の遠位端構造部と、を含む遠位端構造と、
回動運動入力を直線運動出力に変換するように動作する複数の直線運動機構を備える伝達駆動ユニットと、
を備え、
前記複数の直線運動機構は、前記第1の遠位端構造部構造物における各々の可撓性構造部材のそれぞれに接続されて各可撓性構造部材を押したり引っ張りすることにより前記第1の遠位端構造部を湾曲運動させる複数の第1の直線運動機構と、前記駆動構造物における各々の可撓性構造部材のそれぞれに接続されて各可撓性構造部材を押したり引っ張りすることにより前記近位端構造を湾曲運動させる複数の第2の直線運動機構と、を備え、
前記モータセットユニットは、前記伝達駆動ユニットを駆動するように動作する
ことを特徴とする可撓性手術器械システム。
【請求項13】
前記可撓性手術器械に接続される第1の端と、前記モータセットユニットに接続される第2の端とを有する無菌障壁をさらに備える
ことを特徴とする請求項12に記載の可撓性手術器械システム。
【請求項14】
前記モータセットユニットは、
モータ固定板と、
前記モータ固定板に締付けて設置されている第1のモータと、
第1の端が前記第1のモータの出力シャフトに接続される第1のカップリングと、
を備え、
前記無菌障壁は、
無菌障壁支持板と、
前記無菌障壁支持板に回転可能に配置され、第1の端が前記第1のカップリングの第2の端に接続され、第2の端が前記第1の直線運動機構又は前記第2の直線運動機構に接続される第2のカップリングと、
を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の可撓性手術器械システム。
【請求項15】
前記可撓性手術器械は、弾性接続機構をさらに備え、
前記弾性接続機構は、
前記第1の直線運動機構又は前記第2の直線運動機構に摺動可能に接続される第1の接続コネクタ端を含む接続コネクタと、
前記接続コネクタの第2の接続コネクタ端に接続される第1の端を含む第3のカップリングと、
前記接続コネクタが摺動可能に接続される接続コネクタ支持板と、
前記第3のカップリングが前記接続コネクタ支持板に摺動可能かつ回転可能に設置されているカップリング支持板と、
前記第3のカップリングに差し込まれ、第1の端が前記接続コネクタ支持板に接続され、第2の端が前記第3のカップリングに接続されるバネと、
を備える
ことを特徴とする請求項14に記載の可撓性手術器械システム。
【請求項16】
前記カップリング支持板に配置される位置付けピンと、
前記無菌障壁支持板に配置される位置付けピン孔と、
を備え、
前記位置付けピンが前記位置付けピン孔と整列する場合、前記第3のカップリングの第2の端は、前記第2のカップリングの第2の端と周方向に整列する
ことを特徴とする請求項15に記載の可撓性手術器械システム。
【請求項17】
前記無菌障壁は、
前記無菌障壁支持板に回転可能に接続され、第1の端が薄肉構造であり、第2の端に孔が軸方向に設けられる鎖止本体と、前記薄肉構造の内壁に沿って周方向に配置される複数の鎖止ピンとを含む鎖止機構と、
前記カップリング支持板に配置されるネジ特徴であって、前記鎖止本体が回動して前記鎖止ピンを前記ネジ特徴で移動させるように駆動する場合、前記カップリング支持板が、前記無菌障壁支持板から引かれ、若しくは押されるネジ特徴と、
を備える
ことを特徴とする請求項16に記載の可撓性手術器械システム。
【請求項18】
前記モータセットユニットは、
前記モータ固定板に締付けて接続される接続ブロックと、
前記モータ固定板に設置され、出力シャフトが前記接続ブロックに締付けて接続される第2のモータと、
をさらに備える
ことを特徴とする請求項17に記載の可撓性手術器械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年1月10日付け提出した、出願番号が2018100230590であり、発明名称が「多用途の可撓性手術器械システム」である中国特許出願及び2018年1月10日に提出した、出願番号が2018100223417であり、発明名称が「ハイブリッド駆動可能な遠位端構造体の可撓性手術器械システム」である中国特許出願の優先権を主張し、当該出願の全文は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、医療機器分野に属するもので、具体的に多用途の可撓性手術器械システムに関わるものである。
【背景技術】
【0003】
マルチポート腹腔鏡による低侵襲手術は、傷口が小さく術後回復が速いことから、外科手術において非常に重要である。現在、Intuitive Surgical社(米国の直感外科カンパニー)は、マルチポート腹腔鏡による低侵襲手術において、da Vinci(ダ・ヴィンチ)手術ロボットによる医師への支援を実現したことにより、ビジネスでの大成功を遂げた。
【0004】
低侵襲手術手法に関しては、マルチポート腹腔鏡手術に続いて、シングルポート腹腔鏡手術や自然開口部越経管腔的非侵襲手術が進められている。これらの手術手法は、患者への創傷がより小さく、術後のメリットがより高い。シングルポート腹腔鏡手術や自然開口部越経管腔的非侵襲手術において、視覚照明モジュールや手術アームを含む全ての手術器械が一つのチャンネルにより手術部まで到達することは、手術器械の製造にとって極めて過酷な条件である。既存手術器械の遠位端構造は、主にマルチロッドによる直列ヒンジ接続であり、ワイヤの引張力による駆動方式により、ヒンジ接続のジョイントで手術器械を湾曲させる。ワイヤは滑車によりテンション状態が継続的に保たれている必要とするので、このような駆動方式では、手術器械の更なる小型化が図りにくく、器械の運動性能の更なる向上も図りにくい。
【0005】
最近、Intuitive Surgical社が投入したda Vinci Single-Site(SS型ダ・ヴィンチ)手術ロボットは、従来の剛性手術器械を半剛性手術器械に改造し、予曲げソケットを追加したことにより、手術器械の運動性能がある程度向上している。
【発明の概要】
【0006】
本願には、可撓性手術器械を備え、前記可撓性手術器械は、第一遠位端構造部及び第二遠位端構造部を有する遠位端構造体、近位端構造体、及び接続体を備える可撓性連続体構造と、伝動駆動ユニットと、を具備し、前記伝動駆動ユニットは、第一遠位端構造部に関連し、前記第一遠位端構造部を湾曲運動させ、前記第二遠位端構造部は、前記接続体を介して前記近位端構造体に関連し、前記伝動駆動ユニットは、更に、前記近位端構造体に関連し、前記近位端構造体を湾曲運動させるように駆動させ、前記第二遠位端構造部を湾曲運動させるように間接に駆動させる多用途の可撓性手術システムが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に関わる可撓性手術器械の全体構造の模式図である。
図2】本発明の一実施例に関わる可撓性手術器械のケースが省略された構造模式図である。
図3】本発明の一実施例に関わる遠位端構造体の構造模式図である。
図4】本発明の一実施例に関わる近端構造体の構造模式図である。
図5】本発明の一実施例に関わる伝動駆動ユニットの構造模式図である。
図6】本発明の一実施例に関わる接続体(第二ガイドチャンネルが図示されなく)の構造模式図である。
図7】本発明の一実施例に関わる可撓性手術器械にケース、被覆及びシースが取り付けられた構造模式図である。
図8】本発明の一実施例に関わる可撓性シースの構造模式図である。
図9】本発明の他の実施例に関わる伝動駆動ユニットの構造模式図である。
図10】本発明の他の実施例に関わる遠位端構造体の端末と視覚照明モジュールとを接続する場合の構造模式図である。
図11】本発明の他の実施例に関わるリニアモジュールと、モータセットユニットとの接続関係の模式図である。
図12】本発明の他の実施例に関わるモータセットユニットには蓋板が省略される場合の構造模式図である。
図13】本発明の他の実施例に関わる無菌バリアの構造模式図である。
図14】本発明の他の実施例に関わる無菌バリアを別の角度から見た構造模式図である。
図15】本発明の他の実施例に関わる可撓性手術器械の後端の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本願の実施例の図面を組み合わせて、本願の実施例の技術案の全体を、明確に説明する。勿論、説明される実施例は、本願の実施例の一部に過ぎなく、実施例の全体ではない。本願の実施例に基づいて、当業者は、創造的な労力を付かない場合に達成する他の実施例が、いずれも本願の保護範囲にある。
【0009】
図1乃至図4に示すように、本発明は、可撓性手術器械10、無菌バリア50、モータセットユニット60及びリニアモジュール70を備える。可撓性手術器械10は、可撓性連続体構造及び伝動駆動ユニット20を備える。可撓性連続体構造は、遠位端構造体11、近位端構造体12及び接続体13を備える。遠位端構造体11は、第一遠位端構造部14及び第二遠位端構造部15を備える。伝動駆動ユニット20は、第一遠位端構造部14に関連し、第一遠位端14を駆動して湾曲運動させる。第二遠位端構造部15は、接続体13を介して近位端構造体12に関連する。伝動駆動ユニット20は、更に、近位端構造体12に関連し、近位端構造体12を駆動して湾曲運動させ、第二遠位端構造部15を湾曲運動させるように間接に駆動させる。モータセットユニット60は、無菌バリア50を介して可撓性手術器械10に接続されることにより、伝動駆動ユニット20に駆動力を提供する。リニアモジュール70の出力端がモータセットユニット60に接続されることにより、モータセットユニット60及び可撓性手術器械10を駆動してリニアフィード運動させる。
【0010】
さらに、第一遠位端構造部14は、第一遠位端スペーサーディスク141と、第一遠位端固定ディスク142と、第一遠位端構造物143と、を備える。第一遠位端構造物143は、一方端が伝動駆動ユニット20に接続され、他方端が接続体13及び第一遠位端スペーサーディスク141を順次に貫通して第一遠位端固定ディスク142に締め付けて接続される。第二遠位端構造部15は、第二遠位端スペーサーディスク151と、第二遠位端固定ディスク152と、第二遠位端構造物153と、を備える。近位端構造体12は、近位端スペーサーディスク121と、近位端固定ディスク122と、近位端構造物123と、を備える。第二遠位端構造物153と、近位端構造物123とは、一対一で締め付けて接続され、又は同一構造物であり、その構造物は、一方端が近位端固定ディスク122に締め付けて接続され、他方端が近位端スペーサーディス121、接続体13、第一遠位端スペーサーディスク141、第一遠位端固定ディスク142、及び第二遠位端スペーサーディスク151を順次に貫通してから第二遠位端固定ディスク152に締め付けて接続される。
【0011】
伝動駆動ユニット20は、ベースフレーム21と、当該ベースフレーム21に設けられ、回転運動を入力して直線運動に変換して出力するための直線運動機構22と、を備える。直線運動機構22は、複数であってもよい。そのうち、一部の直線運動機構22は、出力端が第一遠位端構造物143に接続され、残った部分の直線運動機構22は、出力端が駆動構造物124の一方端に接続される。駆動構造物124は、他方端が近位端スペーサーディスク121を順次に貫通してから近位端固定ディスク122に締め付けて接続される。
【0012】
図5に示すように、ベースフレーム21は、隙間を空けて配置される第一支持板211と、第二支持板212と、を備える。直線運動機構22は、第一支持板211及び第二支持板212に回転可能に接続される両頭ねじ221を備える。両頭ねじ221の二つのねじ段のそれぞれには、一つのねじスライダー222が配合して接続される。ねじスライダー222は、第一支持板221と第二支持板212との間に固定するように設けられるガイドバー223に摺動して接続される。このようにすると、ねじスライダー222は、直線運動機構22の出力端を構成する。両頭ねじ221の二つのねじ段には、ねじの回転方向が反対する。これによって、両頭ねじ221が回転する場合に、両頭ねじ221に位置付けられる二つのねじスライダー222は、同じ速度で反対方向に直線運動する。これによって、二つのねじスライダー222は、それぞれ第一遠位端構造物143及び駆動構造物124をガイドバー223に沿って同じ速度で反対方向に直線運動させることにより、第一遠位端構造物143及び駆動構造物124が押され、若しくは引かれ、第一遠位端構造部14及び近位端構造体12を任意方向へ湾曲させることができる。
【0013】
図9に示すように、本発明の他の実施例は、直線運動機構22をさらに提供する。具体的に、当該直線運動機構22は、第一支持板211と第二支持板212との間に回転可能に接続される駆動スクリュー221a及び受動スクリュー221bを備える。駆動スクリュー221a及び受動スクリュー221bのそれぞれには、ねじ配合によって、一つのねじスライダー222が接続される。ねじスライダー222は、第一支持板211と第二支持板212との間に固定するように設けられるガイドバー223に摺動して接続される。駆動スクリュー221a及び受動スクリュー221bのそれぞれには、一つの同期プーリ231が差込まれる。二つの同期プーリ231は、同期ベルト232を介して接続される。駆動スクリュー221aと、受動スクリュー221bとは、ねじ回転方向が反対する。駆動スクリュー221aが回転する場合に、駆動スクリュー221aに位置付けされるねじスライダー222と、受動スクリューボルト221bに位置付けされるねじスライダー222とは、同じ速度で反対方向に直線運動する。
【0014】
一つの好ましい実施例において、二つの直線運動機構22の出力端が第一遠位端構造物143に接続されることにより、第一遠位端構造部14の両方向における湾曲自由度を達成でき、また、その他の二つの直線運動機構22の出力端が駆動構造物124に接続されることにより、近位端構造体12の両方向における湾曲自由度を達成できる。近位端構造体12がある方向に湾曲する場合、第二遠位端構造部15が一定の比率関係(近位端構造物123と第二遠位端構造物153の配置半径とによって決まる)で反対方向に湾曲する。
【0015】
さらに、第一支持板211と第二支持板212とは、支持バーにより固定するように接続される。第一支持板211と第二支持板212との間には、接続板213が設置され、接続板213も、支持バーにより固定するように接続される。支持バーには、接続板213、第一支持板211及び第二支持板212を位置付けるように位置付けスリーブ214が差込まれる。両頭ねじ221は、接続板213を貫通して接続板213との間に隙間を空け、接続板213は、両頭ねじ221の二つのねじ段を間隔する。
【0016】
他の実施例において、第一支持板211及び第二支持板212は、ねじ付け支持バーによって固定するように接続されてもよい。この場合、支持バーに配合して接続される位置付けナットをロックするにより、第一支持板211、第二支持板212及び接続板213の位置付けを達成でき、つまり、位置付けスリーブ214の代わりに位置付けナットを用いる。
【0017】
さらに、図5、6に示すように、接続体13は、チャンネル接続板131と、チャンネル支持板132と、遠位端固定板133と、近位端構造体固定板134と、第一ガイドチャンネル135と、第二ガイドチャンネル136と、を備える。チャンネル接続板131は、第一支持板211に締め付けて接続される。チャンネル支持板132は、第二支持板212に締め付けて接続される。近位端構造体固定板134は、接続柱137を介してチャンネル支持板132に締め付けて接続される。第一ガイドチャンネル135は、一方端が近位端構造体固定板134に締め付けて接続され、他方端がチャンネル支持板132、チャンネル接続板131を順次に貫通してから遠位端固定板133に締め付けて接続され、第二遠位端構造物153と近位端構造物123は、第一ガイドチャンネル135を貫通する。第二ガイドチャンネル136は、遠位端固定板133とチャンネル接続板131との間に設けられ、第一遠位端構造物143は、第二ガイドチャンネル136を貫通する。この代わりとしての方案において、チャンネル支持板132及び接続柱137を省略してもよく、この場合、近位端構造体固定板134を第二支持板212に直接に締め付けて接続してもよい。
【0018】
さらに、図3に示すように、第二遠位端構造部15の端末には、手術アクチュエータ30が設けられる。ベースフレーム21には、アクチュエータ駆動機構が設けられる。アクチュエータ駆動機構の出力端は、手術アクチュエータ制御線301を介して手術アクチュエータ30に接続される。図5に示すように、アクチュエータ駆動機構は、ベースフレーウ21に回転可能に設けられるスクリュー303を備える。スクリュー303には、一つのスライダー304が配合して接続され、スライダー304は、ベースフレーム21に固定するように設けられるガイドバー305に摺動して接続される。スライダー304は、アクチュエータ駆動機構の出力端として手術アクチュエータ制御線301に締め付けて接続される。スクリュー303が異なる方向に回転する場合、スクリュー303におけるスライダー304がガイドバー305に沿って上下直線運動でき、さらに、手術アクチュエータ制御線301を押し、若しくは引いて、手術アクチュエータ30の開閉駆動を達成できる。
【0019】
図3に示すように第二遠位端構造部15の端末に位置する手術アクチュエータ30は、他の機能実行端、例えば、図10に示すような視覚照明モジュール90に変更してもよい。この場合、ベースフレーム21には、視覚処理ユニット及び照明制御ユニットが設けられてもよく、視覚処理ユニット及び照明制御ユニットと、視覚照明モジュール90とは、複合導線を介して接続されてもよい。遠位端構造体11の駆動で、視覚照明モジュール90の姿態を調整して作動部位視野のリアルタイム図面を得ることができる。
【0020】
さらに、図5に示すように、本発明の可撓性手術器械10は、弾性接続機構40をさらに備える。弾性接続機構40は、接続コネクタ401、カップリングオスコネクタ402と、第三支持板403と、第四支持板404と、バネ405と、を備える。第三支持板403は、支持バー406によって第二支持板212に固定するように接続される。第四支持板404は、支持バー407によって第三支持板403に固定するように接続される。接続コネクタ401は、第三支持板403に摺動して接続される。図5に示す直線運動機構22を採用する場合、両頭ねじ221やスクリュー303は、接続コネクタ401の一方端に摺働可能かつ回転不能に接続される。図9に示すような直線運動機構22を採用する場合、駆動スクリュー221a又はスクリュー303は、接続コネクタ401の一方端に摺動可能かつ回転不能に接続される。接続コネクタ401は、他方端がカップリングオスコネクタ402の一方端に接続される。カップリングオスコネクタ402は、第四支持板404に摺動可能かつ回転可能に取付けされる。バネ405は、カップリングオスコネクタ402に差込まれる。バネ405は、一方端が第三支持板403に当接し、他方端がカップリングオスコネクタ402に固定するように接続される。カップリングオスコネクタ402とカップリングメスコネクタ503(以下に詳細に記載のように、当該カップリングメスコネクタ503が駆動モータの回転軸に固定するように接続される)とが軸方向に沿って近接するが位置合わせない場合、カップリングメスコネクタ503は、カップリングオスコネクタ402を押して軸方向運動させ、バネ405を圧縮させる。この場合、カップリングメスコネクタ503が軸方向に回転してカップリングオスコネクタ402と位置合わせると、バネ405は、カップリングオスコネクタ402を跳ね返し復原させ、カップリングオスコネクタとカップリングメスコネクタの接続を達成でき、回転運動をスクリュー303及び両頭ねじ221または駆動スクリュー221aに伝達できる。
【0021】
さらに、伝動駆動ユニット20及び弾性接続機構40の外部には、ケース230が設けられる。第一支持板211と、第二支持板212とは、いずれもケース230に締め付けて接続される。遠位端構造体11の外部に被覆119を設けることにより、遠位端構造体11が人体自然開口部又は手術開口への侵入順調性を改善する。被覆119の外部には、外スリーブ120とシース125とがさらに設けられてもよい。図7に示すように、ある適用において、シース125は、腹腔の単一開口に固定される。遠位端構造体11、被覆119及び手術アクチュエータ30は、一緒にシース125における手術器械が通過させるためのスルホールを自由に貫通して手術部に到達する。図8に示すように、シース125は可撓性シースであってもよく、可撓性シースは、人体の各自然開口部に容易に侵入するとともに、開口部の形状に合わせて外形を自在に変更することができる。可撓性シースの一端が開口部の入口に固定され、同様に、遠位端構造体11、被覆119及び手術アクチュエータ30は、一緒に可撓性シースにおける手術器械が通過させるためのスルホールを自由に貫通して手術部に到達する。
【0022】
さらに、図11乃至図15に示すように、モータセットユニット60は、モータセットハウジング601を備える。モータセットハウジング601の先端には、モータ固定板602が回転可能に接続される。モータ固定板602の前側には、蓋板603が締め付けて接続される。モータ固定板602の後側には、複数の第一モータ605、一つの第二モータ606及び一つの第三モータ607が締め付けて接続される。第一モータ605の出力軸は、蓋板603を貫通して第二カップリングオスコネクタ609に締め付けて接続される。第二モータ606の出力軸は、蓋板603を貫通して接続ブロック610に締め付けてされる。第三モータ607の出力軸には、歯車612が締め付けて接続される。歯車612は、一つのインターリングギヤ613と噛み合う。インターリングギヤ613は、モータセットハウジング601に締め付けて接続される。
【0023】
無菌バリア50は、無菌バリアカバー501と、無菌バリア支持板502と、カップリングメスコネクタ503と、を備える。カップリングメスコネクタ503は、無菌バリア支持板502に回転可能に設けられ、カップリングオスコネクタ402と第二カップリングオスコネクタ609とを接続するためのものである。無菌バリアカバー501は、無菌バリア支持板502の外周に回転可能に接続される。無菌バリア支持板502の前側には、位置付けピン孔505が設けられる。可撓性手術器械10の第四支持板404の後側には、位置付けピン穴505に配合して接続されるための位置付けピン本体411が設けられる。無菌バリア支持板502の後側には、接続ピンボス508が設けられる。モータセットユニット60の蓋板603の前側には、接続ピンボス508に接続されるための第二接続ピンボス(図示せず)が設けられる。無菌バリア支持板502には、クイック鎖止機構が設けられる。クイック鎖止機構は、クイック鎖止本体521と鎖止ピン552と、を備える。クイック鎖止本体521は、無菌バリア支持板502に回転可能に接続される。クイック鎖止本体521は、一方端が薄肉構造であり、他方端に二つの円形孔523が軸方向に設けられる。円形孔523は、接続ブロック610に突出するように設けられるピン(図示せず)に接続されて回転動力を伝達するためのものである。鎖止ピン522は、薄肉構造の内壁の周方向に配置される。第四支持板404の後側には、ねじ特徴415が設けられ、一実施例において、ねじ特徴415は、第四支持板404後側中部の円柱体の周方向における120°の隙間を空ける三つの側方向楔形突起である。クイック鎖止本体521が回転してねじ特徴415に鎖止ピン522を運動させる場合、無菌バリア支持板502は、第四支持板404から引かれ、若しくは押される。位置付けピン孔505が位置付けピン本体411と位置合わせて接続されると、可撓性手術器械10におけるカップリングオスコネクタ402と無菌バリア50のカップリングメスコネクタ503とは、円周における位置が完全に対応する。位置付けピン孔505及び位置付けピン本体411には、無菌バリア50と可撓性手術器械10とが鎖止するように接続されるかを検出するための接点が設けられる。クイック鎖止機構は、可撓性手術器械10と無菌バリア50とのクイック鎖止接続を達成するためのものである。可撓性手術器械10が無菌バリア50に接続される場合、可撓性手術器械10の位置付けピン本体411と無菌バリア50における位置付けピン孔505とを位置合わせて接続し、可撓性手術器械10のカップリングオスコネクタ402と無菌バリア50のカップリングメスコネクタ503とを位置合わせることを保証する。
【0024】
第二モータ606を起動し、パワーが接続ブロック610を介してクイック鎖止本体521に伝達されてそれを回転させ、クイック鎖止本体521の内壁に嵌まる鎖止ピン522は、可撓性手術器械10のねじ特徴415に沿って運動する。このようにすると、クイック鎖止本体521の回転によって可撓性手術器械10と無菌バリア50とを軸方向における対向引き向かい運動させ、位置付けピン本体411における接点と位置付けピン孔505における接点とを漸次的に近接させる。位置付けピン本体411の接点が位置付けピン孔505の接点に点接触する場合、可撓性手術器械10と無菌バリア50とのクイック鎖止接続を達成し、第二モータ606の回転を停止する。第一モータ605を起動し、可撓性手術器械10のカップリングオスコネクタ402と位置合わせるまでに、無菌バリア50のカップリングメスコネクタ503を回転駆動させる。カップリングメスコネクタ503がカップリングオスコネクタ402に位置合わせると、弾性接続機構40は、カップリングオスコネクタ402を跳ね出し、カップリングオスコネクタ402とカップリングメスコネクタ503との接続を達成する。無菌バリアカバー501には、無菌膜(図示せず)が接続され、無菌膜は、無菌バリア50の前の消毒済み部分に位置する可撓性手術器械10などと、無菌バリア50の後の消毒ない部分に位置するモータセットユニット60及びリニアモジュール70とを隔離することにより、臨床手術の実施可能性を保証する。第三モータ607を起動した後、その出力軸が回転して歯車612を回転させる。歯車612が、インターリングギヤ613の周方向に回転して進行することにより、モータセットユニット60におけるモータセットハウジング601及びインターリングギヤ613の他の部分を自身軸線周りに全体に回転させ、可撓性手術器械10を自身軸線周りに回転させ、最終に手術アクチュエータ30の横転角度に対する制御が達成される。
【0025】
さらに、リニアモジュール70には、滑り溝を付けるブラケット体701が備えられる。ブラケット体701にはガイドスクリュー702が回転可能に設けられる。ガイドスクリュー702には、リニアモジュール70の出力端として、スライダー703が差込まれる。ブラケット体701の一方端には、第四モータ705が設けられる。第四モータ705の出力端と、ガイドスクリュー702とは、カップリング706によって締め付けて接続される。モータセットハウジング601と、スライダー703とは、締め付けて接続される。第四モータ705の出力軸が回転する場合、スライダー703は、モータセットハウジング601を滑り溝に沿ってリニア運動させ、可撓性手術器械10のリニアフィード運動を達成する。
【0026】
本発明は単に上記実施例で説明されたが、各部品の構造、設置位置、及び接続が変更できる。本発明の技術案を基に、本発明のメカニズムによる個別部品への改善又は同等変換は、本発明の保護範囲に属される。
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