(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】栽培設備、及び栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20230613BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A01G9/24 A
A01G7/00 601Z
(21)【出願番号】P 2021100971
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】596163770
【氏名又は名称】株式会社RYODEN
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】新田 貴正
(72)【発明者】
【氏名】北山 孝章
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高志
(72)【発明者】
【氏名】石川 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】豊田 清也
(72)【発明者】
【氏名】神戸 亨太
(72)【発明者】
【氏名】西槙 郁弥
(72)【発明者】
【氏名】明石 和樹
(72)【発明者】
【氏名】鍬先 孝博
(72)【発明者】
【氏名】三上 祐志郎
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-304819(JP,A)
【文献】特許第5764272(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内において植物を栽培するために利用される栽培設備であって、
前記建物内において互いに仕切られた第1部屋及び第2部屋の各部屋に配置され、植物に光を照射する複数の光源と、
前記植物の栽培期間中に含まれる第1期間及び第2期間において、前記各部屋における前記複数の光源を制御する制御装置と、
前記第1期間及び前記第2期間において、前記第1部屋及び前記第2部屋のうち、一方の部屋の空気を他方の部屋内に送る送風設備と、を備え、
前記制御装置は、前記第1期間には、前記第1部屋における前記複数の光源からの光の照射量が前記第2部屋における前記照射量よりも小さくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御し、前記第2期間には、前記第2部屋における前記照射量が前記第1部屋における前記照射量よりも小さくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御し、
前記送風設備は、前記第1期間中、前記第1部屋の空気を前記第2部屋に送風し、前記第2期間中、前記第2部屋の空気を前記第1部屋に送風する、栽培設備。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1期間には、前記第1部屋における光源の稼働台数が前記第2部屋における前記稼働台数よりも少なくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御し、前記第2期間には、前記第2部屋における前記稼働台数が前記第1部屋における前記稼働台数よりも少なくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御する、請求項1に記載の栽培設備。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1期間には、前記第1部屋における前記複数の光源の台数に対する稼働台数の割合が前記第2部屋における前記割合よりも小さくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御し、前記第2期間には、前記第2部屋における前記割合が前記第1部屋における前記割合よりも小さくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御する、請求項1又は2に記載の栽培設備。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1期間には、前記各部屋における前記複数の光源を制御して前記第1部屋における前記割合を0%とし、且つ前記第2部屋における前記割合を100%とし、前記第2期間には、前記各部屋における前記複数の光源を制御して前記第2部屋における前記割合を0%とし、前記第1部屋における前記割合を100%とする、請求項3に記載の栽培設備。
【請求項5】
前記栽培期間中、前記第1期間と前記第2期間とが交互に繰り返される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項6】
前記第1期間と前記第2期間とが同じ長さの時間に設定されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項7】
前記第1期間及び前記第2期間が、それぞれ12時間である、請求項6に記載の栽培設備。
【請求項8】
前記第1部屋及び前記第2部屋では、同じ種類の植物を栽培する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項9】
前記建物内には、前記第1部屋及び前記第2部屋の組み合わせが複数設けられており、
それぞれの前記組み合わせにおいて前記第1部屋と前記第2部屋とが区画壁を挟んで隣り合っている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項10】
前記送風設備は、前記第1部屋の空気を前記第2部屋内に送風する2台以上の送風機と、前記第2部屋の空気を前記第1部屋内に送風する2台以上の送風機とを備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項11】
前記第1部屋及び前記第2部屋の各部屋に対して個別に設けられた空調装置をさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項12】
前記第1部屋及び前記第2部屋の各部屋に対して個別に設けられた除湿装置をさらに備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の栽培設備。
【請求項13】
建物内において植物を栽培する栽培方法であって、
前記建物内において互いに仕切られた第1部屋及び第2部屋の各部屋に配置された複数の光源から、前記各部屋にて栽培される植物に光を照射し、
前記植物の栽培期間中に含まれる第1期間及び第2期間において、前記各部屋における前記複数の光源を制御装置によって制御し、
前記第1期間及び前記第2期間において、送風設備により、前記第1部屋及び前記第2部屋のうち、一方の部屋の空気を他方の部屋内に送り、
前記第1期間には、前記第1部屋における前記複数の光源からの光の照射量が前記第2部屋における前記照射量よりも小さくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御し、前記第2期間には、前記第2部屋における前記照射量が前記第1部屋における前記照射量よりも小さくなるように前記各部屋における前記複数の光源を制御し、
前記送風
設備が、前記第1期間中、前記第1部屋の空気を前記第2部屋に送風し、前記第2期間中、前記第2部屋の空気を前記第1部屋に送風する、栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内において植物を栽培するために利用される栽培設備、及び、建物内において植物を栽培する栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培では、温度及び湿度等のような栽培環境の条件を適切に調整することが重要となる。そのため、植物工場等の建物内で植物を栽培する場合において、栽培空間となる部屋では、通常、植物の生育に適した空調を行うために空調装置が利用される(例えば、特許文献1参照)。その際、空調装置の運転条件は、部屋内で光合成用の人工光を植物に向けて照射する光源の発熱を考慮して設定される。
【0003】
また、植物の活動周期(概日リズム)を考慮して、栽培期間中に明期と暗期を設けることがある(例えば、特許文献2参照)。明期には、光源の稼働台数を増やして植物への光の照射量を多くし、反対に、暗期には、稼働台数を減らして照射量を少なくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-193605号公報
【文献】特開2018-046774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、栽培される植物の品質は、栽培期間中の温度変化の影響を受ける可能性がある。その点を考慮して、栽培期間中の各時期での温度を調整し、明期と暗期との間の温度差、すなわち寒暖差を積極的に設け、これによって植物の品質を改善する効果が得られることがある。
【0006】
建物の部屋内にて植物を栽培する状況で上記の効果を得るには、栽培期間中の各時期における部屋の温度を調整し、具体的には、栽培期間中において明期と暗期との温度差を確保する必要がある。その場合、明期と暗期とが切り替わるタイミングで各部屋の室内温度を変更することになるが、その際には、室内温度を設定温度にスムーズに到達させることが求められる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、建物の部屋において栽培される植物の品質を向上させ、そのために部屋の温度を円滑に調整することが可能な栽培設備及び栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の栽培設備は、建物内において植物を栽培するために利用される栽培設備であって、建物内において互いに仕切られた第1部屋及び第2部屋の各部屋に配置され、植物に光を照射する複数の光源と、植物の栽培期間中に含まれる第1期間及び第2期間において、各部屋における複数の光源を制御する制御装置と、第1期間及び第2期間において、第1部屋及び第2部屋のうち、一方の部屋の空気を他方の部屋内に送る送風設備と、を備え、制御装置は、第1期間には、第1部屋における複数の光源からの光の照射量が第2部屋における照射量よりも小さくなるように各部屋における複数の光源を制御し、第2期間には、第2部屋における照射量が第1部屋における照射量よりも小さくなるように各部屋における複数の光源を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の栽培設備によれば、栽培期間中、第1部屋及び第2部屋の各部屋では、部屋内に設置された複数の光源から照射される光の照射量が時期に応じて変化する。ここで、照射量が多い時期(明期)は、光源の稼働による発熱量がより大きくなり、反対に、照射量が少ない時期(暗期)は、発熱量が小さくなる。そのため、明期と暗期とで各部屋の室温に差(寒暖差)が生じる。この寒暖差を植物栽培に利用することで、植物に好適な刺激を与え、結果として、植物の品質を向上させることができる。
また、本発明の栽培設備では、送風設備が設けられ、第1部屋及び第2部屋のうち、一方の部屋の空気を他方の部屋内に送ることができる。そして、一方の部屋において暗期から明期に切り替わり、他方の部屋において明期から暗期に切り替わる際に、切り替え直後には室温が低い部屋の空気を、切り替え直後には室温が高い部屋に送る。これにより、暗期に切り替わった部屋の室温を効率よく下げることができるため、各部屋の室温がスムーズに変更される。この結果、各部屋において明期/暗期が切り替わる際に寒暖差を適切に確保することができる。
【0010】
また、本発明の栽培設備において、制御装置は、第1期間には、第1部屋における光源の稼働台数が第2部屋における稼働台数よりも少なくなるように各部屋における複数の光源を制御し、第2期間には、第2部屋における稼働台数が第1部屋における稼働台数よりも少なくなるように各部屋における複数の光源を制御してもよい。
さらに、上記の構成に関して、制御装置は、第1期間には、第1部屋における複数の光源の台数に対する稼働台数の割合が第2部屋における割合よりも小さくなるように各部屋における複数の光源を制御し、第2期間には、第2部屋における割合が第1部屋における割合よりも小さくなるように各部屋における複数の光源を制御すると、より好適である。
さらにまた、上記の構成において、制御装置は、第1期間には、各部屋における複数の光源を制御して第1部屋における割合を0%とし、且つ第2部屋における割合を100%とし、第2期間には、各部屋における複数の光源を制御して第2部屋における割合を0%とし、第1部屋における割合を100%とすると、より一層好適である。
【0011】
また、本発明の栽培設備において、栽培期間中、第1期間と第2期間とが交互に繰り返されてもよい。
また、上記の構成において、第1期間と第2期間とが同じ長さの時間に設定されていると、より好適である。
さらに、上記の構成において、第1期間及び第2期間が、それぞれ12時間であると、より一層好適である。
【0012】
また、本発明の栽培設備において、第1部屋及び第2部屋では、同じ種類の植物を栽培してもよい。
【0013】
また、本発明の栽培設備において、建物内には、第1部屋及び第2部屋の組み合わせが複数設けられており、それぞれの組み合わせにおいて第1部屋と第2部屋とが区画壁を挟んで隣り合ってもよい。
【0014】
また、本発明の栽培設備において、送風設備は、第1部屋の空気を第2部屋内に送風する2台以上の送風機と、第2部屋の空気を第1部屋内に送風する2台以上の送風機とを備えてもよい。
【0015】
また、本発明の栽培設備において、第1部屋及び第2部屋の各部屋に対して個別に設けられた空調装置をさらに備えてもよい。
また、本発明の栽培設備において、第1部屋及び第2部屋の各部屋に対して個別に設けられた除湿装置をさらに備えてもよい。
【0016】
また、本発明の栽培設備において、送風設備の送風量が、各部屋の環境に関する計測データ、及び、各部屋における植物の栽培状況に関するデータのうち、少なくとも一つのデータに基づいて制御されてもよい。
【0017】
また、前述の課題を解決するため、本発明の栽培方法は、建物内において植物を栽培する栽培方法であって、建物内において互いに仕切られた第1部屋及び第2部屋の各部屋に配置された複数の光源から、各部屋にて栽培される植物に光を照射し、植物の栽培期間中に含まれる第1期間及び第2期間において、各部屋における複数の光源を制御装置によって制御し、第1期間及び第2期間において、送風設備により、第1部屋及び第2部屋のうち、一方の部屋の空気を他方の部屋内に送り、第1期間には、第1部屋における複数の光源からの光の照射量が第2部屋における照射量よりも小さくなるように各部屋における複数の光源を制御し、第2期間には、第2部屋における照射量が第1部屋における照射量よりも小さくなるように各部屋における複数の光源を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建物の各部屋において、明期と暗期を設け、明期の部屋と暗期の部屋との間の温度差を利用して植物を栽培することで、植物の品質を向上させることができる。また、送風設備により、明期(又は暗期)の部屋の空気を、暗期(又は明期)の部屋に送ることで、各部屋において明期/暗期が切り替わる際に、各部屋の室温をスムーズに変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る栽培設備の模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る栽培設備にて用いられる栽培棚の構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る栽培設備の構成についての説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る栽培設備のうち、送風設備、並びに各部屋の空調装置及び除湿装置を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る栽培設備のうち、送風設備、並びに各部屋の空調装置及び除湿装置を示す側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る栽培設備のうち、送風設備、並びに各部屋の空調装置及び除湿装置を示す立面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る栽培方法についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係る栽培設備及び栽培方法について、添付の図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、本実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0021】
また、添付の図面は、図示の都合上、各機器を簡略化して図示しており、また、図示した各機器の寸法、機器間のサイズ比等の比率、及び機器の設置台数等は、実際の値とは異なっている。
【0022】
<<本実施形態の栽培設備の構成>>
本実施形態の栽培設備(以下、栽培設備S)は、
図1に示すように、建物B内において植物を栽培するために利用される。建物Bは、その内部において植物を大規模に栽培する目的で建設された建築物であり、いわゆる植物工場である。建物B内にて栽培される植物(
図2中、符号Pで表記)は、光合成を行う植物であり、可食用の植物(野菜類又は果実類)でもよく、観賞用の植物(花卉類)でもよく、あるいは、これらの両方であってもよい。
【0023】
栽培設備Sは、
図1~6に示すように、照明機器付きの栽培棚10と、送風設備30、空調装置50、除湿装置60、二酸化炭素供給設備65、センシング機構70、及び制御装置80を主たる構成機器として有する。
以下、建物B、及び栽培設備Sの構成機器のそれぞれについて説明する。
【0024】
(建物について)
建物Bは、長方形状に広がった床面を有し、鉛直方向に十分な天井高さを有する。以下、建物Bの横幅方向及び奥行方向のうち、一方をX方向とし、他方をY方向とする。X方向は、東西方向でもよく、南北方向でもよく、あるいは、これらの中間の方向でもよい。
【0025】
建物Bの内部空間は、閉鎖空間であり、
図2に示すように、区画壁110によって複数の部屋と、複数の部屋の上部に位置する一つの屋根裏空間(以下、天井空間105という)とに分かれている。建物Bの外壁及び区画壁110は、断熱及び結露防止等の観点から、断熱パネル又は断熱パネルによって構成されるのが好ましい。
【0026】
複数の部屋は、
図2に示すように、植物栽培用に用いられる2以上の部屋101,102(以下、栽培部屋という)と、資材置き場等のような汎用的な用途で用いられる部屋104(以下、汎用部屋という)とを含む。2以上の栽培部屋101,102の各々は、閉じた空間であり、区画壁110によって四方及び上方が仕切られている。
【0027】
また、2以上の栽培部屋101,102には、区画壁110を挟んでX方向に隣り合う第1部屋101及び第2部屋102が含まれる。第1部屋101及び第2部屋102は、ほぼ同じ床面積を有し、且つほぼ同じ天井高さを有する。ただし、これに限定されず、第1部屋101及び第2部屋102の間で、床面積及び天井高さのうちのいずれか一方、あるいは両方が異なってもよい。
【0028】
第1部屋101及び第2部屋102は、区画壁110によって互いに仕切られており、第1部屋101及び第2部屋102の一方から他方への光の漏れ込み及び熱の流入は、区画壁110によってほぼ完全に遮断されている。
【0029】
本実施形態において、第1部屋101及び第2部屋102を含む2以上の栽培部屋の各々では、同じ品種(種類)の植物が栽培され、具体的には、ホウレンソウ等の葉菜類が栽培される。ただし、これに限定されず、第1部屋101にて栽培される植物と、第2部屋102にて栽培される植物とが、互いに異なる品種(種類)であってもよい。
【0030】
第1部屋101及び第2部屋102の組み合わせ(以下、部屋群103という)は、建物B内に1組以上設けられ、本実施形態では、
図2に示すようにN組(Nは2以上の自然数)の部屋群103がY方向に並べて設けられている。
【0031】
N組の部屋群103の各々における第1部屋101と第2部屋102の位置関係は、特に限定されないが、
図2に示すように、各部屋群103において第1部屋101から見て第2部屋102が同じ側に配置されてもよい。あるいは、各部屋群103において第1部屋101から見たときの第2部屋102の位置が、Y方向一端側の部屋群103から他端側の部屋群103に向かって交互に入れ替わってもよい。
【0032】
汎用部屋104は、Y方向において栽培部屋の間、詳しくは部屋群103の間に設けられている。ただし、これに限定されず、Y方向において部屋群の間に汎用部屋104が設けられなくてもよく、汎用部屋104の代わりに通常の通路が設けられてもよい。あるいは、Y方向において部屋群103の間には区画壁110のみが配置され、栽培部屋同士がY方向において区画壁110を隔てて隣り合ってもよい。
【0033】
天井空間105は、
図1に示すように、栽培部屋の上方に位置する区画壁によって栽培部屋とは仕切られた空間である。天井空間105は、一つの連続した空間であり、つまり、第1部屋101の上方に位置する空間と、第2部屋102の上方に位置する空間とは、互いに連続している。また、天井空間105には、
図6及び7に示すように送風設備30(具体的には、送風機40,42及び送風用のダクト等)が設置される。
【0034】
ちなみに、
図1に示す建物Bは、1階建ての建物であるが、これに限定されず、複数階建ての建物でもよい。その場合には、階毎にN組の部屋群103、汎用部屋104及び天井空間105が設けられてもよい。
【0035】
(照明付き栽培棚)
建物B内の各栽培部屋101,102では、人工光を利用して植物Pを栽培する。具体的に説明すると、
図1及び5に示すように、各栽培部屋101,102には、照明付き栽培棚(以下、単に栽培棚10という)が複数台設置されている。栽培棚10は、各段がX方向に長く延びた多段式の棚であり、Y方向において一定間隔で配置されている。
なお、栽培部屋における栽培棚の設置数及び配置方式(並べ方)は、特に制限されず、各栽培棚の長手方向がY方向に沿うように複数の栽培棚10を配置してもよい。また、栽培棚同士の間隔(棚間ピッチ)は、一定でもよく、規則的又は不規則に変化してもよい。また、栽培棚の段数についても任意に設定してもよい。
【0036】
栽培棚10の各段の上では、水耕栽培方式にて植物が栽培される。
図3に示すように、植物の苗を保持する培地(不図示)が容器12に支持されており、容器12内には、植物栽培用の養液が溜められている。容器12は、栽培棚の長手方向、つまりX方向に沿って長く延びている。培地は、ロックウール等の多孔質体からなり、複数の培地が、X方向において一定間隔で並べられ、容器12内の養液に浸った状態で容器12に支持される。容器12内の養液は、定期的に交換してもよく、あるいは不図示の循環設備によって養分を補給しながら循環させてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、栽培棚10の各段上で植物が水耕栽培方式にて栽培されることとしたが、これに限定されず、各段上で土耕栽培方式にて植物が栽培されてもよい。
【0038】
また、
図3に示すように、各栽培棚における各段の上方には、照明機器20が設置されている。照明機器20は、光源21及び反射板22を有する。光源21は、栽培棚10の長手方向であるX方向に沿って一定間隔に並べて複数配置されて列(光源列)をなしている。光源列は、段ごとに設けられており、段ごとに設けられた光源列が複数の光源に相当する。照明機器20は、光源21が発射した光(人工光)を反射板22にて反射させて、その下方に位置する植物の苗に向けて光を照射する。各段上の植物は、その光を吸収して光合成を行うことで成長する。なお、反射板22の設置角度は、固定されてもよく、光の照射方向が調整できるように可変であってもよい。
【0039】
なお、光源21は、電力を利用して発光するものであれば制限なく利用可能であり、一例としては、LED(Light Emitted Diode)、エレクトロルミネッセンス素子、又は半導体レーザ用素子、白色灯、ハロゲンランプ、及び水銀灯等が挙げられる。
【0040】
(送風設備)
送風設備30は、第1部屋101と第2部屋102との間で送風するために設けられ、具体的には、第1部屋101及び第2部屋102のうち、一方の部屋の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を他方の部屋に送る。送風設備30は、吸引ライン31と、排出ライン35と、送風機40,42とを有する。吸引ライン31、排出ライン35及び送風機40,42は、
図5~7に示すように、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに対して設けられている。
【0041】
吸引ライン31及び排出ライン35は、公知の送風ダクトからなり、形状及び口径等については、特に限定されるものではない。なお、各ラインを構成するダクトは、結露防止の目的から高断熱材によって構成されるのが好ましい。また、吸引ライン31及び排出ライン35のそれぞれ途中位置には、送風量を調整するための弁又はダンパ等が設けられてもよい。
【0042】
吸引ライン31は、送風機40,42の吸気部(サクション部)に繋ぎ込まれ、途中位置にて複数の分岐部分32に分岐し、各分岐部分32の末端が吸込み口33をなしている。なお、結露防止の観点から、吸込み口33に取り付けられる器具には、結露防止ユニットが用いられると、より好ましい。
【0043】
第1部屋101に対して設けられた吸引ライン31の各分岐部分32は、
図5に示すように、第1部屋101のX方向中央部に敷設されている。詳しくは、各分岐部分32は、その末端に設けられた吸込み口33が第1部屋101のX方向中央部において栽培棚10の直上に位置するように敷設されている。同様に、第2部屋102に対して設けられた吸引ライン31の各分岐部分32は、
図5に示すように、吸込み口33が第2部屋102のX方向中央部において栽培棚10の直上に位置するように敷設されている。
【0044】
排出ライン35は、送風機40,42の吐出部(デリバリ部)に繋ぎ込まれ、
図5に示すように、途中位置にて複数の2つの分流ライン36に分岐している。2つの分流ライン36の各々は、さらに複数の分岐部分37に分岐し、各分岐部分37の末端が吹出し口38をなしている。なお、結露防止の観点から、吹出し口38に取り付けられる器具には、結露防止ユニットが用いられると、より好ましい。
【0045】
第1部屋に対して設けられた排出ライン35は、2つの分流ライン36に分かれ、そのうちの一方が第1部屋101のX方向一端部に向かうように敷設され、他方が第1部屋101のX方向他端部に向かうように敷設されている。各分流ライン36は、第1部屋101のX方向端部にて複数の分岐部分37に分岐する。各分岐部分37は、
図6及び7に示すように、天井空間105から第1部屋101内に入り込み、第1部屋101のX方向端部に配置された側壁に沿って垂下している。また、各分岐部分37の末端に位置する吹出し口38は、第1部屋101の床面から数十cmほど上方に配置されている。つまり、
図5に示すように、第1部屋101に対して設けられた排出ライン35の吹出し口38は、第1部屋101を上方から見て、X方向において栽培棚10よりも外側に位置している。
【0046】
同様に、第2部屋102に対して設けられた排出ライン35も2つの分流ライン36に分かれ、各分流ライン36は、第2部屋102のX方向端部に向けて敷設され、第2部屋102のX方向端部にて複数の分岐部分37にさらに分岐している。各分岐部分37は、天井空間105から第2部屋102内に入り込み、第2部屋102のX方向端部に配置された側壁に沿って垂下している。各分岐部分37の末端に位置する吹出し口38は、第2部屋102の床面から数十cmほど上方に配置されている。つまり、
図5に示すように、第2部屋102に対して設けられた排出ライン35の吹出し口38は、第2部屋102を上方から見て、X方向において栽培棚10よりも外側に位置している。
【0047】
なお、各部屋に対して設けられた吸引ライン31及び排出ライン35の敷設経路は、特に限定されず、ダクト設置スペースの制限及び送風時の圧力損失等を考慮して好適なレイアウトとなるように設定するとよい。
【0048】
送風機40,42は、公知の送風ファン、例えば斜流ファンからなり、
図5に示すように天井空間105に設置されている。送風機40,42は、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに対して設けられている。
【0049】
第1部屋101に対して設けられた送風機40,42は、
図6に示すように第1部屋101の上方に位置する空間に配置されている。送風機40,42のサクション部には、第1部屋101内の吸込み口33から延びた吸引ライン31が接続され、デリバリー部には、第2部屋102内の吹出し口38に向けて延びた排出ライン35が接続されている。これにより、第1部屋101の空気を第2部屋102内に送風することができる。
【0050】
第2部屋102に対して設けられた送風機40,42は、
図6に示すように第2部屋102の上方に位置する空間に配置されている。この送風機40,42のサクション部には、第2部屋102内の吸込み口33から延びた吸引ライン31が接続され、デリバリー部には、第1部屋101内の吹出し口38に向けて延びた排出ライン35が接続されている。これにより、第2部屋102の空気を第1部屋101内に送風することができる。
【0051】
本実施形態では、
図5に示すように、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに対して、2台以上(
図5に示すケースでは2台)の送風機40,42が設けられている。吸引ライン31及び排出ライン35の各々は、分岐して各送風機40,42に接続されている。
【0052】
本実施形態では、通常の場合、2台以上の送風機40,42が1台ずつ交互に運転する。また、同時に運転させる送風機の台数(稼働台数)を増やすことにより、送風量を増やすことができる。また、それぞれの送風機40,42に備わる電動機の出力(回転数)は、インバータにより制御され、回転数制御によって送風量を調整することができる。
なお、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに対して設けられる送風機の台数は、2台以上に限定されず、1台のみでもよい。
【0053】
(空調装置)
空調装置50は、
図5~7に示すように、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに個別に設けられており、各部屋専用の装置である。空調装置50は、例えば、天井吊型のエアコンディショナーであり、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋内に複数台設けられている。具体的に説明すると、空調装置50は、
図5に示すように、各部屋の室内空間におけるX方向一端部及び他端部のそれぞれに複数台設置されており、各空調装置50は、各部屋のX方向内側に向けて冷風を送るように据え付けられている。
なお、空調装置50は、床置き型の装置に限定されず、他の形式(例えば、ダクト型、天井埋込みカセット型、床置き型又は壁掛型等)の装置でもよい。また、各部屋内に設けられる空調装置50の台数は、特に限定されず、例えば、各部屋において大型の空調装置が1台のみ設置されてもよい。
【0054】
(除湿装置)
除湿装置60は、
図5~7に示すように、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに個別に設けられており、各部屋専用の産業用除湿装置である。除湿装置60は、公知の除湿方式を採用した機器、例えばコンプレッサー式、デシカント式、又はハイブリッド式の除湿器であり、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋内に複数台設けられている。具体的に説明すると、除湿装置60は、
図5に示すように、各部屋の室内空間におけるX方向一端部及び他端部のそれぞれに複数台設置されている。
なお、各部屋内に設けられる除湿装置60の台数は、特に限定されず、例えば、各部屋において大型の除湿装置が1台のみ設置されてもよい。
【0055】
(二酸化炭素供給設備)
二酸化炭素供給設備65は、第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれに、植物の成長促進のために二酸化炭素ガスを供給する。二酸化炭素供給設備65は、二酸化炭素ガスの供給源、及び、供給源から各部屋に向けて敷設された供給ライン(供給源及び供給ラインともに不図示)を有する。供給源は、二酸化炭素ガスが封入されたボンベ若しくは圧力容器、又は二酸化炭素ガスの発生装置によって構成されるとよい。二酸化炭素ガスの供給ラインは、供給源から延び、第1部屋101及び第2部屋102に向かって分岐している。各分岐ラインには流量調整用の電磁弁が設置されている。
【0056】
(センシング機構)
建物B内には、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋における環境及び植物の栽培状況を監視するためのセンシング機構70が設けられている(
図4参照)。具体的には、各部屋の室温、湿度及び二酸化炭素濃度等を計測するセンサ71が各部屋の所定箇所に設置されている。センサ71による環境計測は、1日の中で一定時間毎に実施される。その計測データは、制御コンピュータ81に送られる。
【0057】
また、植物の栽培状況を計測するための機器として、ドローンのようなカメラを搭載した撮像機能付き移動体(以下、単に移動体72という)が各部屋内で利用される。移動体72は、各部屋内を移動しながら、複数の栽培棚10の各々、あるいは代表的な栽培棚10について、各段にて栽培される植物の画像を撮影する。なお、画像取得用の機器は、移動体72に限定されず、各部屋の所定位置に固定された定点カメラであってもよい。撮影された画像データは、制御コンピュータ81に送られる。制御コンピュータ81は、画像データに対して所定の画像処理を施し、処理後の画像データから植物の栽培状況(具体的には、現時点の苗のサイズ等)を特定する。
【0058】
植物の栽培状況については、上記以外のデータを取得してもよく、例えば、作業員等が植物の苗を容器から取り出して苗の重量を測定し、その測定結果を不図示の入力デバイスを通じて入力し、入力された重量データを制御コンピュータ81に向けて送信してもよい。
【0059】
(制御装置)
制御装置80は、第1部屋101及び第2部屋102に対して設けられた各種の電気機器、具体的には、複数の栽培棚10に取り付けられた照明機器20の光源21(複数の光源に相当)、送風機40,42、空調装置50及び除湿装置60等の運転を制御する。制御装置80は、
図4に示すように、制御コンピュータ81と、各電気機器に内蔵された制御回路82と、制御コンピュータ81と制御回路82とを接続する通信回線83とによって構成される。
【0060】
制御コンピュータ81は、汎用コンピュータと同様、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信用インタフェース、入力デバイス、出力デバイス、及びストレージ等を有する。なお、制御装置80を構成するハードウェアのプロセッサは、CPUに限定されず、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)又はその他のIC(Integrated Circuit)でもよく、あるいは、これらを組み合わせたものでもよい。また、プロセッサは、SoC(System on Chip)等に代表されるように、制御装置80全体の機能を発揮する一つのIC(Integrated Circuit)チップでもよい。また、制御装置80を構成するハードウェアのプロセッサは、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)であってもよい。
【0061】
本実施形態において、制御装置80は、複数の光源21のオン/オフを制御する。なお、複数の光源21が出力調整可能な機器である場合には、制御装置80は、オンオフ制御の代わりに、複数の光源21の各々の出力(光の強度)を制御してもよい。
【0062】
また、制御装置80は、送風機40,42のオン/オフを制御する。また、制御装置80は、送風機40,42の稼働台数(同時運転させる台数)、及び、送風機40,42の出力(回転数)を制御することができる。
また、制御装置80は、空調装置50及び除湿装置60の各々のオン/オフを制御する。また、制御装置80は、空調装置50及び除湿装置60の各々の出力(例えば、設定温度及び設定湿度等)、並びに稼働台数を制御することができる。
【0063】
また、制御装置80は、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋での二酸化炭素の濃度が設定値に維持されるように、二酸化炭素供給設備65が有する流量調整用の電磁弁の開度を制御する。電磁弁は、オンオフ弁でもよく、任意の開度に調整可能な弁でもよい。本実施形態では、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋に対して電磁弁(不図示)が個別に設けられており、制御装置80は、電磁弁の開度を部屋毎に制御する。
【0064】
制御装置80による制御方式に関しては、制御対象となる電気機器を部屋単位で一括して制御する(例えば、各部屋の電気機器をまとめて制御する)一括制御方式であってもよい。あるいは、制御対象となる電気機器を機器毎に個別制御する(例えば、各部屋の電気機器を一台ずつ制御する)個別制御方式であってもよい。
【0065】
(給電設備)
建物Bには分電盤、変圧器(トランス)、給電用配線等の給電設備が設けられており、これらの機器により、建物B内で利用される電気機器に商用電源からの電力を供給することができる。また、建物Bには、分散電源として、再生可能なエネルギーにより発電可能な発電装置、例えば、太陽光パネルが設置されもよい。発電装置により発電された電力は、パワーコンディショナーを経由して建物内の電気機器に供給される。なお、商用電源と分散電源(発電装置)とを併用するケースに限られず、単一の電源、例えば商用電源のみを利用するケースでもよい。
【0066】
<<本実施形態の栽培設備を用いた栽培方法>>
次に、上述した栽培設備Sの利用方法、すなわち栽培設備Sを用いた植物の栽培方法について、
図8を参照しながら説明する。
【0067】
建物B内において植物を栽培する期間(以下、栽培期間という)中、N組の部屋群103のそれぞれでは、複数の栽培棚10にて植物を栽培する。ここで、同じ部屋群103に含まれる第1部屋101及び第2部屋102では、同一の成長段階にある植物を栽培する。成長段階とは、発芽後の経過日数、又は苗移植後の経過日数を意味する。ただし、これに限定されず、同じ部屋群103に含まれる第1部屋101及び第2部屋102のそれぞれで、成長段階が異なる植物を栽培してもよい。
【0068】
また、栽培期間中、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋では空調装置50及び除湿装置60を稼働させる。このとき、制御装置80が、各部屋における空調装置50及び除湿装置60の各々について、稼働/停止の切り替え、稼働中の装置の出力及び稼働台数を適宜制御する。
【0069】
さらに、制御装置80は、栽培期間中において第1期間と第2期間が交互に繰り返されるように、各部屋における複数の光源21を制御する。第1期間は、
図8に示すように第1部屋101を暗室とし、且つ第2部屋102を明室とする期間である。第2期間は、第2部屋102を暗室とし、且つ第1部屋101を明室とする期間である。暗室となる部屋では、複数の光源21が発する光の照射量が、明室となる部屋よりも小さくなる。ここで、光の照射量とは、各部屋において複数の光源21から単位時間当たりに照射される光の量(光量)であり、例えば、単位時間における照度の積算値である。
【0070】
制御装置80は、栽培期間中の第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、各部屋における複数の光源21を制御する。具体的に説明すると、制御装置80は、第1期間には、第1部屋101における光の照射量が第2部屋102における照射量よりも小さくなるように各部屋における複数の光源21を制御する。他方、制御装置80は、第2期間には、第2部屋102における照射量が第1部屋101における照射量よりも小さくなるように各部屋における複数の光源21を制御する。
【0071】
より詳しく説明すると、本実施形態では、第1部屋101及び第2部屋102に同数の栽培棚10が設置されており、各栽培棚10には、同数の光源21が取り付けられている。すなわち、各部屋には同数の光源21が設けられている。そして、制御装置80は、暗室における光源21の稼働台数(点灯している光源数)が明室における稼働台数よりも少なくなるように、各部屋における複数の光源21を制御する。換言すると、制御装置80は、暗室における光源稼働率が明室における光源稼働率よりも低くなるように、各部屋における複数の光源21を制御する。「光源稼働率」は、各部屋に設けられた複数の光源21の台数に対する稼働台数(点灯している光源数)の割合である。
【0072】
特に、本実施形態では、明室における光源稼働率が100%に設定され、暗室における光源稼働率が0%に設定される。つまり、
図7に示すように、第1期間には、制御装置80により、第1部屋101の光源稼働率が0%に制御され、第2部屋102の光源稼働率が100%に制御される。他方、第2期間には、制御装置80により、第2部屋102の光源稼働率が0%に制御され、第1部屋101の光源稼働率が100%に制御される。
【0073】
なお、明室及び暗室の各々における光源稼働率は、上記の値に限定されるものではなく、暗室の光源稼働率が明室の光源稼働率よりも低くなっていればよい。つまり、暗室の光源稼働率をHa(%)とし、明室の光源稼働率をHb(%)としたとき、下記の式1を満たせばよい。
0≦Ha<Hb≦100 (式1)
【0074】
また、栽培期間中において第1期間と第2期間が交互に繰り返されるケースとしては、下記の(C1)~(C3)のケースを含めてもよい。
(C1)第1期間の終了時に第2期間に直ちに切り替わり、第2期間の終了時に第1期間に直ちに切り替わるケース
(C2)第1期間と第2期間との間に遷移期間を設け、遷移期間中には各部屋が明期から暗期へ(あるいは暗期から明期へ)徐々に移行するケース、
(C3)第1期間と第2期間との間に第3期間を設け、第3期間では各部屋における光源稼働率が同じ値(例えば、100%等)に制御されるケース
【0075】
また、本実施形態では、第1期間と第2期間とが同じ長さの時間に設定されており、特に、栽培期間中の各日において第1期間及び第2期間が1回ずつ到来する。すなわち、本実施形態では、第1期間及び第2期間が、それぞれ12時間である。ただし、これに限定されず、第1期間と第2期間とを異なる長さの時間に設定してもよい。また、第1期間及び第2期間が12時間以外の時間(例えば、6時間、8時間、10時間、14時間又は16時間等)であってもよい。
【0076】
以上のような制御装置80による光源21の制御によって、各栽培部屋は、栽培期間中の各日において明室及び暗室に交互に入れ替わる。つまり、各栽培部屋にて栽培される植物は、1日の中で、明室にて栽培される時期(明期)と暗室にて栽培される時期(暗期)を交互に迎えることになる。
なお、本実施形態では、栽培期間中の各日において第1期間と第2期間とが交互に繰り返されるが、これに限定されず、各日において第1期間及び第2期間が、それぞれ一回以上含まれればよい。
【0077】
ところで、明室では、暗室よりも光源稼働率が高いので、光源21の発熱量がより大きくなり、その分、明室の室温が暗室の室温よりも高くなる。換言すると、暗室では光源21の発熱量がより小さく、特に、本実施形態では、暗室の光源稼働率が0%であるため、光源21の発熱量による室温の上昇がなく、この結果、暗室の室温が明室の室温に比べて格段に低くなる。したがって、明室となる時期(明期)と暗室となる時期(暗期)との間では室温の差、すなわち寒暖差が生じる。この寒暖差は、植物に対して好適な刺激(良好なストレス)となり、植物の品質、例えば収穫物の糖度又は食感等に影響を及ぼす。
【0078】
より詳しく説明すると、野菜又は果実は、明期には光合成を行って糖を生成し、暗期には主に呼吸を行って糖を消費する。ここで、暗期において栽培環境の温度が低くなるほど、糖の消費が抑えられる結果、収穫時期における糖度が高くなる。また、ホウレンソウのような葉菜類の植物については、明期と暗期との間で寒暖差が設けられることで、葉肉が厚くなり栄養価も高くなる。
【0079】
本実施形態では、上述した植物の性質(生理現象)に着目し、第1部屋101及び第2部屋102の各部屋において、明期と暗期とが交互に切り替わることで寒暖差を生じさせ、この寒暖差を利用して植物を栽培する。これにより、上述した寒暖差が植物に好適な影響を及ぼし、もって各部屋にて栽培する植物の品質を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記の寒暖差を各部屋の温度調整にも利用する。具体的に説明すると、第1期間では、制御装置80が、第1部屋101に対して設けられた送風機40,42を起動し、起動した送風機40,42が、暗室である第1部屋101の空気を吸引し、明室である第2部屋102内に送風する。他方、第2期間では、制御装置80が、第2部屋102に対して設けられた送風機40,42を起動し、起動した送風機40,42が、暗室である第2部屋102の空気を吸引し、明室である第1部屋101内に送風する。
【0081】
これにより、各部屋において明期と暗期とが切り替わる際に、各部屋の室温をスムーズに変更させ、切り替え後の設定温度に効率よく到達させることができる。
具体例に挙げて説明すると、第1期間から第2期間に移行する場合、第1部屋101が暗室から明室に切り替わり、第2部屋102が明室から暗室に切り替わる。ただし、切り替わり直後は、まだ第1部屋101の室温の方が第2部屋102の室温よりも低い。そのため、第2部屋102の温かい空気を第1部屋101内に送風することにより、第1部屋101の室温を明室の設定温度までスムーズに上昇させることができる。また、第2部屋102では、温かい空気が排気されるため、室温を暗室の設定温度までスムーズに下げることができる。この結果、各部屋において明期/暗期が切り替わる際に寒暖差を適切に確保することができる。
【0082】
さらに、第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、送風機40,42を稼働させることにより、明室の空調負荷を軽減することができる。つまり、暗室の空気を明室内に送風することで明室の室温を下げることができるので、明室にて運転する空調装置50の運転負荷(出力)を下げ、空調装置50の稼働台数を減らすことができる。これにより、明室での消費電力を削減することができ、建物Bでの電力消費を抑えることができる。
【0083】
また、暗室に該当する部屋では、光源稼働率0%であるので、光源21の発熱による室温上昇がほぼないため、暗室である期間中、空調装置50の稼働率又は運転負荷(つまり、出力)を下げることができる。これにより、建物Bにおける電力消費をより一層抑えることができる。特に、本実施形態では、明期での光源稼働率が100%であるのに対し、暗暗期での光源稼働率が0%であるため、1日における各部屋での平均光源稼働率が50%となる。この値は、従来の植物工場での一般的な平均光源稼働率(例えば、70%前後)よりも低い。そのため、本実施形態では、各部屋における光源21の発熱による室温上昇が従来の植物工場と比べて小さくなり、その分、空調に要する消費電力を下げることができる。
【0084】
以上により、本実施形態では、植物栽培に要するランニングコスト(電気料金)を削減することができる。また、各部屋での空調負荷が格段に低下するので、各部屋に設置する空調装置50の台数を減らすことができ、この結果、イニシャルコストを削減することができる。また、空調負荷の低下により各日でのピークカット電力が小さくなるため、商用電源の契約電力を下げることができ、商用電源使用に掛かる契約料金をより安価な額に設定することができる。そして、上述した省エネ効果によるコスト低減により、植物をより安価に供給することが可能となる。
【0085】
なお、第1期間及び第2期間の各期間中、制御装置80は、第1部屋101に対して設けられた送風機40,42と、第2部屋102に対して設けられた送風機40,42とを両方稼働させてもよい。つまり、第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、暗室の空気を明室内に送風しつつ、明室の空気を暗室に送風してもよい。このような制御によれば、暗室の空気を利用して明室の温度を下げるとともに、明室の空気を暗室側に送り込んで暗室内で冷却することができる。その際の冷却負荷は、明室の空気を明室内で冷却する場合の負荷に比べて小さくなるので、各部屋の温度調整に要する消費電力を一段と削減することができる。
【0086】
また、暗室では、植物が主として呼吸を行うため、明室に比べて室内の二酸化炭素濃度が高くなる。これにより、二酸化炭素濃度がより高い暗室の空気を明室内に送風することで、暗室で発生した二酸化炭素を、明室での植物の光合成に利用することができる。この結果、二酸化炭素供給設備65によって明室に供給される二酸化炭素の供給量を削減することができ、植物栽培に要するランニングコストを尚一層削減することができる。なお、暗室の空気を明室内に送風する際には、それと同時に、二酸化炭素濃度がより低い明室の空気を暗室内に送風してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、
図5に示すように、各部屋において吸込み口33が部屋のX方向中央部に配置され、吹出し口38が部屋のX方向端部に配置されている。このような配置レイアウトによれば、各部屋内の空気を吸引し、また、各部屋に他の部屋の空気を送風する際に、各部屋内に気流が生じて部屋内の空気が撹拌される。これにより、各部屋の室温を効率よく均一化することができる。
【0088】
なお、各部屋における吸込み口33及び吹出し口38の配置位置は、上記の位置に限定されず、任意の位置に決めてもよい。例えば、吹出し口38は、各部屋において栽培棚10の設置位置付近、具体的には、栽培棚10の脇位置にあり栽培棚10と隣り合うように設けられてもよい。この場合、暗室から送られてくる低温の空気を、栽培棚10で栽培している植物周辺で排出させることができるので、植物周辺の温度を集中的に、つまり局所的に下げることができる。このように植物周辺温度を局所的に制御すれば、植物の品質(例えば、糖度等)を効果的に改質/向上させる効果が期待され得る。
また、
図5~7に図示された吸込み口33の位置及び吹出し口38の位置が、互いに入れ替えた位置となるように吸引ライン31及び排出ライン35を敷設してもよい。
【0089】
送風設備30(厳密には、送風機40,42)の送風量は、制御装置80によって制御可能であり、具体的には、送風機40,42の稼働台数を変更したり、電動機の回転数をインバータ制御したりする。これにより、送風量を細やかに且つ比較的広い調整範囲で変えることができる。
【0090】
また、制御装置80は、送風量を制御する際に、各部屋の環境、及び、各部屋における植物の栽培状況のいずれか、または両方に応じて制御してもよい。詳しくは、制御装置80は、各部屋に設置されたセンサ71による計測データ(各部屋の環境に関する計測データに相当)、及び、移動体72によって撮影された植物の画像データ(植物の栽培状況に関するデータに相当)のうち、少なくとも一方を取得する。そして、制御装置80は、取得したデータを解析し、その解析結果に応じた設定値を決定し、その設定値になるように送風量を制御する。これにより、植物の育成に適した量となるように送風量を制御することができる。
【0091】
また、制御装置80が上記の取得データに基づいて送風機40,42及び空調装置50を制御することにより、各部屋の温度が幅広い調整範囲内で調整可能となる。さらに、制御装置80の制御により、各部屋での明期/暗期の切り替えによって生じる寒暖差の大きさを能動的に調整することができる。
【0092】
また、本実施形態では、区画壁110を隔てて隣り合う第1部屋101と第2部屋102のうち、一方の室内空気を他方の室内に送ることとした。ただし、これに限定されず、建物Bが複数の階を有する場合には、互いに異なる階に存在する第1部屋101及び第2部屋102のうち、一方の室内空気を他方の室内に送風してもよい。
【0093】
<<栽培期間中のエネルギー消費量に関するシミュレーション>>
次に、建物内での植物栽培に要するエネルギー消費量に関するシミュレーションの結果について説明する。シミュレーションでは、本発明を適用した場合(以下、実施例1,2)、及び、従来の植物工場を想定した場合(以下、比較例)のそれぞれについて、栽培期間中の1日における消費電力量、特に、光源及び空調装置の稼働に伴う消費電力量を試算した。
なお、実施例1,2及び比較例では、建物内に同じサイズの第1部屋及び第2部屋を2組(計4部屋)配置し、各部屋に多段型の栽培棚を複数台設置し、それぞれの部屋で同じ品種の植物(野菜)を栽培することを前提条件とした。また、実施例1,2及び比較例では、各部屋に設置される光源(LED)の台数を同じ台数に設定した。
【0094】
(比較例)
比較例では、各部屋において、栽培棚の一段を制御単位とし、各段に設置された光源のオンオフを制御し、各段での光源の点灯時間を1日あたり約16時間に設定した。この場合、各部屋での平均光源稼働率は、約70%となる。
【0095】
(実施例1)
実施例1では、1日の中で第1期間及び第2期間を1回ずつ含め、第1期間及び第2期間をそれぞれ12時間とした。また、第1期間には、第1部屋での光源稼働率を0%とし、第2部屋の光源稼働率を100%とした。第2期間には、第2部屋での光源稼働率を0%とし、第1部屋の光源稼働率を100%とした。これにより、各部屋での平均光源稼働率は、50%となる。
また、第1期間には、送風設備により、第1部屋の空気を第2部屋内に送風し、第2期間には、送風設備により、第2部屋の空気を第1部屋内に送風することとした。
【0096】
(実施例2)
実施例2では、第1期間を8時間とし、第2期間を8時間とし、第1期間と第2期間との間に第3期間を8時間設けた。第3期間では、第1部屋及び第2部屋のいずれにおいても光源稼働率を100%とした。この場合、各部屋での平均光源稼働率は、比較例とほぼ同じ値となる。それ以外の設定内容については、実施例2と実施例1との間で共通していることとした。
【0097】
(計算結果)
実施例1,2及び比較例の計算結果を表1に示す。
表1には、実施例1,2の計算結果について、比較例の計算結果からの削減率(%)を示している。
【0098】
【0099】
まず、実施例1では、各部屋の平均光源稼働率が比較例より小さくなるため、各部屋での光源使用に要する1日分の消費電力量が削減され、削減率が25%となった。また、光源使用による1日分の消費電力量から求めたピークカット電力(1時間あたりの平準化電力)についても、実施例1の方が比較例より小さくなり、削減率が29%となった。
他方、実施例2では、各部屋での平均光源稼働率が比較例と同じであるため、光源使用に要する1日分の消費電力量、及びピークカット電力は、比較例と等しく、すなわち削減率が0%となった。
【0100】
また、実施例1では、各部屋における空調装置の設置台数が比較例での設置台数より少なくなり、削減率がそれぞれ31%となった。これは、実施例1では、各部屋での平均光源稼働率が比較例よりも小さくなり、それに伴って空調負荷が減少し、負荷の減少に相当する台数だけ、空調装置の設置台数を減らすことができたためである。すなわち、実施例1では、空調装置の設置に掛かるイニシャルコストを、比較例に比べて、上記の削減率に相当する分だけ下げることができる。
なお、実施例2では、各部屋での平均光源稼働率が比較例と同じであるものの、各部屋における空調装置の稼働率を上げることにより、空調装置の設置台数を、比較例の台数から減らし、実施例1での設置台数と同じ数に設定した。
【0101】
実施例1では、送風設備により暗室の低温の空気を明室に送風することで、空調負荷が更に減少するために空調装置の稼働率を削減することができ、削減率が24%となった。これにより、実施例1では、上述した空調装置の設置台数の削減と相俟って、各部屋での空調装置の使用に要する1日分の消費電力量が、比較例に比べて格段に削減され、削減率が48%となった。また、空調装置使用による1日分の消費電力量から求めたピークカット電力についても、実施例1では比較例に比べて小さくなり、削減率が48%となった。
他方、実施例2では、空調負荷、空調装置の1日分の消費電力及びピークカット電力が、いずれも比較例と同じ値(すなわち、削減率0%)となり、空調装置の稼働率については、比較例より高くなり、削減率がマイナスの値(-44%)となった。これは、実施例2では、第1部屋及び第2部屋の両方を明室とする第3期間が設けられ、第3期間を設けた分、空調装置の稼働率が比較例よりも高くなったためである。
【0102】
以上の結果、実施例1では、光源及び空調装置の消費電力量の合算値が比較例よりも小さくなり、削減率が36%となった。つまり、実施例1では、比較例での消費電力量を基準としたとき、上記の削減率に相当する省エネ効果が得られる。他方、実施例2では、上記の省エネ効果が得られず、比較例に対する消費電力量の削減率が0%であった。
【0103】
また、光源及び空調装置の消費電力量の合算値から求めたピークカット電力(以下、ピークカット電力X)についても、実施例1では比較例に比べて小さくなり、削減率が37%となった。このようにピークカット電力Xが低減されることで、実施例1では、建物内に必要なトランスの台数を減らすことができ、その分、トランス設置に掛かるイニシャルコストを下げることができる。
【0104】
また、実施例1では、第1部屋及び第2部屋を含む建物全体における1時間あたりの消費電力量(以下、全体消費電力量Y)が削減され、削減率が10%となった。ここで、実施例1と比較例とのピークカット電力Xの差分を比較例の全体消費電力量Yで除して求められるピークカット割合は、17%となった。このようにピークカット割合が下がることで、実施例1では、上記のピークカット割合に応じて商用電源の使用料金(基本契約料)をより安価な額に設定することができる。
【0105】
また、実施例1,2及び比較例について、1日分の植物の生産量(収穫量)を算出した。ここで、植物の生産量が栽培棚の各棚での光照射時間に応じて決まると仮定すると、光照射時間が12時間である実施例1での生産量は、光照射時間が16時間である生産量の0.75(=12/16)倍となる。
そして、算出された生産量と、光源及び空調装置の消費電力量の合算値とに基づいて、単位重量の植物生産に必要な消費電力量を求めると、実施例1では比較例よりも14%低い値となった。換言すると、実施例1では、比較例に比べて生産効率が上記の比率に相当する分だけ向上させることができる。
【0106】
以上のシミュレーション結果より、本発明において、第1期間及び第2期間の長さ、並びにそれぞれの期間での光源稼働率を好適な値に設定することで、建物内での植物栽培に要するコスト(ランニングコスト及びイニシャルコスト)を削減できることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0107】
10 栽培棚
12 容器
20 照明機器
21 光源
22 反射板
30 送風設備
31 吸引ライン
32,37 分岐部分
33 吸込み口
35 排出ライン
36 分流ライン
38 吹出し口
40,42 送風機
50 空調装置
60 除湿装置
65 二酸化炭素供給設備
70 センシング機構
71 センサ
72 移動体
80 制御装置
81 制御コンピュータ
82 制御回路
83 通信回線
101 第1部屋
102 第2部屋
103 部屋群
104 汎用部屋
105 天井空間
110 区画壁
B 建物
S 栽培設備