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特許7295174自動車の室内の人および/または物体を捕捉するための方法および自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】自動車の室内の人および/または物体を捕捉するための方法および自動車
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20230613BHJP
   G01S 11/06 20060101ALI20230613BHJP
   G01S 13/42 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S11/06
G01S13/42
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021124412
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2022027637
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】10 2020 209 650.3
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベルント エッテ
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-026996(JP,A)
【文献】特開2020-112416(JP,A)
【文献】特開2019-168439(JP,A)
【文献】特開2012-225825(JP,A)
【文献】特開2007-249722(JP,A)
【文献】特開2019-183487(JP,A)
【文献】特開2020-052058(JP,A)
【文献】特開2011-123060(JP,A)
【文献】特開2017-68787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0166611(US,A1)
【文献】荒川 俊也 他,第1節 超広帯域無線による非接触生体情報モニタリングと見守りセンサへの応用,生体情報センシングとヘルスケアへの最新応用,第1版,日本,株式会社技術情報協会,2017年06月30日,Pages: 255-267,ISBN: 978-4-86104-661-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00 - 3/789
5/00 - 5/16
7/00 - 7/51
11/00 - 13/95
17/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(50)の室内(52)の人(20)および/または物体を捕捉するための方法であって、
前記自動車(50)の前記室内の人(20)および/または物体が、それぞれ前記自動車(50)の異なるドア(51)の内部または上部に配置された、少なくとも1つのID発信器(10)との通信ならびに/または少なくとも前記ドア(51)のロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられる少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を用いて捕捉され、
前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を用いて捕捉された信号は、制御装置(2)を用いて評価され、評価結果(3)が提供され
前記捕捉の際に前記自動車(50)のさらに異なるドア(51)に配置されたさらなるUWBアンテナ(1-x)が使用され、アクティブ動作モードおよび/またはパッシブ動作モードにおいて捕捉された信号が断層撮影法で評価される、
方法。
【請求項2】
自動車(50)の室内(52)の人(20)および/または物体を捕捉するための方法であって、
前記自動車(50)の前記室内の人(20)および/または物体が、それぞれ前記自動車(50)の異なるドア(51)の内部または上部に配置された、少なくとも1つのID発信器(10)との通信ならびに/または少なくとも前記ドア(51)のロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられる少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を用いて捕捉され、
前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を用いて捕捉された信号は、制御装置(2)を用いて評価され、評価結果(3)が提供され、
前記評価は、捕捉された人(20)の姿勢および/または少なくとも1つの生理学的変数の決定、ならびに/または捕捉された物体のサイズおよび/または寸法の決定を含む、
方法。
【請求項3】
前記捕捉は、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)のアクティブ動作モードでもパッシブ動作モードでも行われる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
パッシブ動作モードにおいて、一方のUWBアンテナ(1-x)によって送信された信号は、他方のUWBアンテナ(1-x)によっても捕捉され、前記他方のUWBアンテナ(1-x)がそれぞれ捕捉した信号も評価される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記評価は、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)の捕捉された信号からの、前記自動車(50)の前記室内(52)で捕捉された人(20)および/または捕捉された物体の位置および/または位置変化の決定を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記評価は、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)の捕捉された信号からの前記自動車(50)の前記室内(52)の3次元マッピングの計算を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)のアクティブ動作モードにおいて、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)間の少なくとも1つの距離(54)が決定され、前記決定された少なくとも1つの距離(54)は、少なくとも1つの予め定められた距離値と比較され、比較結果により、前記決定された距離(54)が前記少なくとも1つの予め定められた距離値(55)に対応することが示された場合に、前記自動車(50)の前記室内(52)の人(20)および/または物体の捕捉が開始される、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
捕捉された人(20)および/または捕捉された物体の識別コード(21)が捕捉または受信され、前記捕捉または受信された識別コード(21)は、前記自動車(50)の前記室内(52)の人(20)の特定の位置および/または物体の特定の位置に結合され、少なくとも1つのサーバー(30)に伝送される、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
自動車(50)であって、
前記自動車(50)は、
少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を含み、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)は、それぞれ前記自動車(50)の異なるドア(51)の内部または上部に配置され、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)は、少なくとも1つのID発信器(10)との通信ならびに/または少なくとも前記ドアのロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられ、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)は、前記自動車(50)の室内(52)の人(20)および/または物体を捕捉するように構成されており、さらに、
前記自動車(50)は、制御装置(2)を含み、前記制御装置(2)は、少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を用いて捕捉された信号を評価し、評価結果(3)を提供するように構成されており、
前記自動車(50)は、さらに異なるドア(51)に配置されたさらなるUWBアンテナ(1-x)を含み、前記制御装置(2)は、前記捕捉の際に、当該さらなるUWBアンテナ(1-x)を使用して、アクティブ動作モードおよび/またはパッシブ動作モードにおいて捕捉された信号を断層撮影法で評価する、
自動車(50)。
【請求項10】
自動車(50)であって、
前記自動車(50)は、
少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を含み、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)は、それぞれ前記自動車(50)の異なるドア(51)の内部または上部に配置され、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)は、少なくとも1つのID発信器(10)との通信ならびに/または少なくとも前記ドアのロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられ、前記少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)は、前記自動車(50)の室内(52)の人(20)および/または物体を捕捉するように構成されており、さらに、
前記自動車(50)は、制御装置(2)を含み、前記制御装置(2)は、少なくとも2つのUWBアンテナ(1-x)を用いて捕捉された信号を評価し、評価結果(3)を提供するように構成されており、
前記評価は、捕捉された人(20)の姿勢および/または少なくとも1つの生理学的変数の決定、ならびに/または捕捉された物体のサイズおよび/または寸法の決定を含む、
自動車(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内の人および/または物体を捕捉するための方法、および自動車に関する。
【0002】
自動車の室内の人の存在や状態をセンサを用いて捕捉することは公知である。超音波センサまたはレーダーセンサを使用する解決手段も公知である。カメラを用いた捕捉も公知である。
【0003】
欧州特許出願公開第2157665号明細書からは、搬送手段のためのUWBアンテナが公知である。UWBアンテナは、金属スクリーンと、誘電体基板と、矩形状の印刷された金属パッチとを含んでいる。誘電体基板は、印刷された金属パッチ上に配置されている。印刷された金属パッチは、誘電体基板上に配置され、水平トレンチギャップと2つの垂直トレンチギャップとを有する。水平トレンチギャップは、矩形状の印刷された金属パッチの長辺に対して平行に延びており、垂直トレンチギャップは、それぞれ、2つの共振輪郭を形成するために、すなわち、U字型スロット用のトレンチギャップを形成するために、水平トレンチギャップの各端部から上方に延在している。
【0004】
本発明が基礎とする課題は、自動車の室内の人および/または物体を捕捉するための方法および自動車を改善することである。
【0005】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する方法および請求項10の特徴を有する自動車によって解決される。本発明の好適な改善例は、従属請求項から得られる。
【0006】
特に、自動車の室内の人および/または物体を捕捉するための方法が提供され、ここで、自動車の室内の人および/または物体は、それぞれ自動車の異なるドアの内部または上部に配置された、少なくとも1つのID発信器との通信ならびに/または少なくともドアのロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられる少なくとも2つのUWBアンテナを用いて捕捉され、ここで、少なくとも2つのUWBアンテナを用いて捕捉された信号は、制御装置を用いて評価され、評価結果が提供される。
【0007】
さらに、特に、自動車が創作され、該自動車は、少なくとも2つのUWBアンテナを含み、ここで、少なくとも2つのUWBアンテナは、それぞれ自動車の異なるドアの内部または上部に配置され、ここで、少なくとも2つのUWBアンテナは、少なくとも1つのID発信器との通信ならびに/または少なくともドアのロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられ、ここで、少なくとも2つのUWBアンテナは、自動車の室内の人および/または物体を捕捉するように構成されており、さらに、当該自動車は、制御装置を含み、ここで、制御装置は、少なくとも2つのUWBアンテナを用いて捕捉された信号を評価し、評価結果を提供するように構成されている。
【0008】
本方法および本自動車は、自動車の室内の人および/または物体の捕捉を、特に労力および自動車の製造コストに関して改善することを可能にする。このことは、遠隔操作されたロックおよびロック解除を提供するために自動車の異なるドアの内部または上部で使用されるUWBアンテナが、付加的に、自動車の室内の人および/または物体を捕捉するためにも使用されることで行われる。ID発信器および/または遠隔操作装置との通信に使用される、自動車のドアに設置されたUWBアンテナは、例えば、自動車の外部環境に配向された例えば160°の送受信角度範囲を有する。同時に、UWBアンテナは、室内に配向された例えば同様に160°の送受信角度範囲を有する。それゆえ、UWBアンテナは、特に、自動車の外部への用途のためにも付加的に自動車の室内への用途のためにも使用することができる。UWBアンテナは、異なるドアの上部または内部に配置されているので、内方へ送信された信号は自動車の室内を通過し、少なくとも2つのUWBアンテナのうちの他方のアンテナ、例えば反対側のドアに配置されたUWBアンテナによっても捕捉が可能である。これらのUWBアンテナは、特に、これらの外側が金属で覆われないように配置されており、例えば、UWBアンテナは、車両のドアのガラス板の真下の領域の内部または上部に配置されてもよい。例えば、そこには、古い車両ではロックボタンが配置されていた。さらに、UWBアンテナは、一方のUWBアンテナと他方のUWBアンテナとの間で通信が行われるアクティブ動作モードで動作させることができる。さらに、UWBアンテナは、パルス信号が送信され、人または物体によって反射されたビームが同じUWBアンテナによって捕捉されるパッシブ動作モードで動作することもできる。パッシブ動作モードは、レーダー動作モードとも称される。異なるUWBアンテナによって捕捉された信号は、制御装置によって評価され、評価結果が提供される。ここでは、特に、例えば、このようにして自動車の室内の人および/または物体に関する情報を導出するために、複数のUWBアンテナの捕捉された信号を相互に融合および/または相関させ、ならびに/またはそれらを基準測定値と比較することによって、伝搬時間、方向に依存する信号減少(信号減衰)、および/またはパッシブ動作モードで捕捉された人および/または物体からの反射波を評価することができる。最も簡単なケースでは、評価結果には、例えば、人または物体が室内に存在するかどうかに関する情報が含まれる。
【0009】
本方法および本自動車の利点は、いずれにせよID発信器との通信のために、かつ/または自動車のドアのロックおよびロック解除のための遠隔操作に使用されるUWBアンテナを使用するため、自動車の室内の付加的センサシステム用のコストを節約することができることである。
【0010】
超広帯域(UWB)アンテナは、特に、超広帯域信号を送受信するためのアンテナおよびトランシーバを含む。さらに、UWBアンテナは、例えばマイクロコントローラの形態のコントローラも含むことができる。UWBアンテナは、特に、約3GHz~約10GHzの周波数範囲で動作するように構成されている。
【0011】
制御装置は、個別に、またはハードウェアと例えばマイクロコントローラもしくはマイクロプロセッサ上で実行されるプログラムコードのようなソフトウェアとの組み合わせとして統合的に構成されてよい。ただし、部品を個別に、または特定用途向け集積回路(ASIC)として統合的に構成することが想定されてもよい。
【0012】
評価は、基本的に機械学習方法の使用を含めることができる。例えば、(トレーニングされた)機械学習方法を、UWBアンテナによって捕捉された信号の評価のために、例えば、自動車の室内の座席占有状態および/またはその他の変数もしくはパラメータを推定するために使用することが想定されてよい。
【0013】
一実施形態では、捕捉は、少なくとも2つのUWBアンテナのアクティブ動作モードでもパッシブ動作モードでも行われることが想定されている。アクティブ動作モードでは、UWBアンテナは、それぞれ対で相互に通信する。そのような通信では、特に、受信電力を決定することができる。人や物体なしの自動車の室内に対する基準値測定が実施されていた場合には、捕捉された電力もしくは信号減少のための基準値が使用可能であり、実際に捕捉もしくは決定された値と比較することができる。これにより、例えば、2つのUWBアンテナ間の信号パス内に人または物体が配置されているかどうかを確定することができる。自動車の室内の人または物体の位置の変化も、例えば受信電力もしくは信号減少などの捕捉された値の変化の評価を介して決定することができる。
【0014】
一実施形態では、パッシブ動作モードにおいて、一方のUWBアンテナによって送信された信号は、他方のUWBアンテナによっても捕捉され、ここで、他方のUWBアンテナがそれぞれ捕捉した信号も評価されることが想定されている。換言すれば、UWBアンテナのうちの一方は、パッシブ動作モードにおいて、特にパルスを送信し、これらのパルス(もしくはそれらの反射波)は、送信するUWBアンテナのみでなく他のUWBアンテナによっても捕捉される。評価は、特に、室内の人および/または物体の存在および/または状態を推論するために、伝搬時間および/または信号強度の決定を含むことができる。捕捉された信号は、自動車の室内を通って、室内の人および/または物体による影響を受けるそれぞれ異なった信号パスを通過しているため、これによって、室内のより詳細なマッピングを決定することができる。
【0015】
一実施形態では、評価は、少なくとも2つのUWBアンテナの捕捉された信号からの、自動車の室内で捕捉された人および/または捕捉された物体の位置および/または位置変化の決定を含むことが想定されている。決定された位置および/または決定された位置変化を介して、例えば、自動車の個々の座席の座席占有状態を決定することができる。位置は、特に、パッシブ動作モードにおける反射波から決定することができる。位置変化は、反射波もしくは位置の変化から決定することができる。
【0016】
一実施形態では、評価は、少なくとも2つのUWBアンテナの捕捉された信号からの自動車の室内の3次元マッピングの計算を含むことが想定されている。計算された三次元マッピングは、例えば、自動車の支援または監視機能の入力データとして供給することができる。
【0017】
一実施形態では、少なくとも2つのUWBアンテナのアクティブ動作モードにおいて、少なくとも2つのUWBアンテナ間の少なくとも1つの距離が決定され、ここで、決定された少なくとも1つの距離は、少なくとも1つの予め定められた距離値と比較され、ここで、比較結果により、決定された距離が少なくとも1つの予め定められた距離値に対応することが示された場合に、自動車の室内の人および/または物体の捕捉が開始されることが想定されている。これにより、本方法は、特に、ドアが閉じられている場合にはいつでも開始することができる。これにより、本方法は、より効率的に、特により的を絞ってエネルギー節約的に使用することができる。ドアが閉じている場合のUWBアンテナ間の距離は既知であるので、比較によって、ドアの閉じている状態を推論することができる。
【0018】
一実施形態では、捕捉された人および/または捕捉された物体の識別コードが捕捉または受信され、ここで、捕捉または受信された識別コードは、自動車の室内の人の特定の位置および/または物体の特定の位置に結合され、少なくとも1つのサーバーに伝送されることが想定されている。これにより、例えばタクシーやミニバスなどの自動車の座席の占有状態が捕捉され、一義的に人に割り当てることができる。それゆえ、人(または物体)がいつ自動車内のどの位置に搬送されたかを確定することができる。これにより、例えば、精算を自動化したり、エピデミック保護の範囲内で人々の可能な接触経路を捕捉および記録したりすることができる。識別コードは、例えば、人(または物体)の一義的な識別コードであってよく、例えば、人のスマートフォンまたは無線周波数識別(RFID)タグを介してスマートフォンまたは人(または物体)において捕捉でき、もしくは制御装置に伝送できる。特に、識別コードおよび位置の他に、少なくとも1つの時間指定、例えば時刻または時間間隔もサーバーに伝送され、ここで、時間指定は、人または物体がいつおよび/またはどのくらいの間、自動車の室内の特定の位置にとどまったかを示す。
【0019】
基本的に、本方法は、鉄道車両、船舶、航空機などの他の車両においても相応に配置されたUWBアンテナを用いて実施できることが想定されてよい。
【0020】
一実施形態では、捕捉の際に自動車のさらに異なるドアに配置されたさらなるUWBアンテナが使用され、ここで、アクティブ動作モードおよび/またはパッシブ動作モードにおいて捕捉された信号が断層撮影法で評価される(tomographisch ausgewertet werden)ことが想定されている。適切な断層撮影評価法は、基本的に公知である。
【0021】
一実施形態では、評価は、捕捉された人の姿勢の決定および/または少なくとも1つの生理学的変数(physiologischen Groesse)の決定、ならびに/または捕捉された物体のサイズおよび/または寸法の決定を含むことが想定されている。これにより、自動車の支援機能のための入力データを生成し、提供することができる。例えば、生理学的変数として、人の少なくとも1つのバイタルパラメータ、例えば呼吸や心拍数などを決定することができる。この決定は、例えば、人または物体について捕捉された信号から導出された人または物体の外輪郭の評価によって行われる。決定の際には機械学習方法も使用できる。
【0022】
以下では、本発明を、好適な実施例に基づき図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(UWBアンテナのアクティブ動作モードが概略的に示される)自動車の一実施形態の概略図である。
図2】(UWBアンテナのパッシブ動作モードが概略的に示される)自動車の一実施形態の概略図である。
【0024】
図1には、自動車50の一実施形態の概略図が示されている。この自動車50は、各ドア51にUWBアンテナ1-xを含む。さらにこの自動車50は、制御装置2を含み、この制御装置2は、例えば自動車50のCANバスを介して、UWBアンテナ1-xと信号技術的に接続されている。
【0025】
UWBアンテナ1-xは、それぞれアンテナ(図示せず)およびトランシーバ(図示せず)を含み、それぞれ自動車50の異なるドア51の内部または上部に配置されている。これらのUWBアンテナ1-xは、少なくとも1つのID発信器10との通信ならびに/または少なくともドア51のロックおよびロック解除のための遠隔操作に用いられる。ただし、これらのUWBアンテナ1-xは、付加的に、自動車50の室内52の人20および/または物体を捕捉するように構成されている。
【0026】
制御装置2は、UWBアンテナ1-xを用いて捕捉された信号を評価し、評価結果3を提供するように構成されている。この提供は、例えば、評価結果3を、例えばデジタルデータパケットの形態で出力することを含むことができる。評価結果3は、例えば、車両コントローラ53に伝送され、そこで支援または監視機能のための入力データとして用いることができる。
【0027】
以下では、自動車50によって実行される、自動車50の室内52の人および/または物体を捕捉するための方法の一実施形態を説明する。
【0028】
1つの手段では、UWBアンテナ1-xのうちの2つが常に対で相互に通信するアクティブ動作モードにおいて、個々のUWBアンテナ1-xの電界強度測定が行われる。ここでは、特に、UWBアンテナ1-xのすべての可能な組み合わせと送/受信方向とが巡回置換される。評価の際に自動車50の室内52について人20または物体がその中にいない状態で捕捉された基準値との比較を介して、人20または物体がUWBアンテナ1-x間のもしくは自動車50の室内52の個々の信号パス内に存在するかどうかを確定することができる。なぜなら、信号パス内の人20および物体は、減衰や信号減少に結び付くからである。評価の際に、例えば、捕捉された信号の組み合わせから物体の位置および/またはタイプを求めるためにも、それ自体公知の機械学習方法を使用することが想定されてよい。
【0029】
付加的または代替的に、UWBアンテナ1-xは、パッシブ動作モードで動作させることもできる。この動作モードは、図2に概略的に示されている。ここでは、UWBアンテナ1-x間に通信リンクが形成されるのではなく、むしろUWBアンテナ1-xはレーダーモードで動作し、このレーダーモードでは、個々のUWBアンテナ1-xのトランシーバがパルスを送信し、このパルスの人20または物体によって引き起こされる反射波が捕捉される。それぞれ異なるUWBアンテナ1-xを用いて異なる位置で、異なる方向から捕捉された、それぞれ各UWBアンテナ1-xのすぐ周囲の3次元マッピングを表す反射波からは、自動車50の室内52の人および/または物体の存在を推論することができる。UWBアンテナ1-xの捕捉された信号は、この場合、相互に融合することができる。
【0030】
捕捉が相互に影響を与えないようにするために、特に、捕捉が順番に行われ、ここで、UWBアンテナ1-xのうちの一方のUWBアンテナ1-xのみが常に同じ時点で送信されることが想定されている。
【0031】
制御装置2は、それぞれ捕捉された信号および/または融合された信号を評価し、ここから、例えば、捕捉された信号の相関を介して、または既知の機械学習方法を用いて、人20または物体が室内52に存在するかどうかに関する情報を決定する。
【0032】
この捕捉は、UWBアンテナ1-xのアクティブ動作モード(図1)においても、パッシブ動作モード(図2)においても行うことが想定されてよい。それぞれ2つの動作モードについて捕捉された信号は、相互に融合して、融合された信号として評価することもできる。
【0033】
基本的に、捕捉された信号を、自動車50の室内52に設置された他のセンサのセンサデータと融合することも可能である。
【0034】
パッシブ動作モードでは、一方のUWBアンテナ1-xによって送信された信号は、他方のUWBアンテナ1-xによっても捕捉され、ここで、他方のUWBアンテナ1-xがそれぞれ捕捉した信号も評価されることが想定されてよい。これにより、データベースを拡大することができ、ひいては、室内52のより詳細なマッピングを捕捉することができる。これにより、特に、観察されるUWBアンテナ1-xがパッシブ動作モードにおいてパルスを送信する時間の間、それぞれ他方のUWBアンテナ1-x自体はパルスを送信するのではなく、むしろ送信側アンテナ1-xから送信されたパルスおよびその反射波のみを捕捉することが想定されている。
【0035】
評価は、UWBアンテナ1-xの捕捉された信号からの、自動車50の室内52で捕捉された人20および/または捕捉された物体の位置および/または位置変化の決定を含むことが想定されてよい。
【0036】
評価は、UWBアンテナ1-xの捕捉された信号からの自動車50の室内52の3次元マッピングの計算を含むことが想定されてもよい。ここでは、例えば、室内52の人20および/または物体を識別しマッピングするために、捕捉された信号の相関を実施することができる。代替的または付加的に、室内の人20および/または物体を識別しマッピングするために、それ自体公知の機械学習方法を使用することもできる。
【0037】
UWBアンテナ1-xのアクティブ動作モードにおいて、少なくとも2つのUWBアンテナ1-x間の少なくとも1つの距離54が決定され、決定された少なくとも1つの距離54は、少なくとも1つの予め定められた距離値55と比較され、比較結果により、決定された距離54が少なくとも1つの予め定められた距離値55に対応することが示された場合に、自動車50の室内52内の人20および/または物体の捕捉が開始されることが想定されてよい。これにより、本方法は、自動車50のドア51が閉じられている場合にはいつでも開始される。予め定められた少なくとも1つの距離値55は、特に、ドア51が閉じられた場合のそれぞれ観察されるUWBアンテナ1-x間の距離に対応する。発生する測定誤差は、比較中に考慮される。特に、本方法は、決定されたすべての距離54がそれぞれ予め定められた距離値55に対応することが確定される場合、すなわち、自動車50のすべてのドア51が閉じられていることが確定される場合にはいつでも開始することができる。
【0038】
捕捉された人20および/または捕捉された物体の識別コード21が捕捉または受信され、ここで、捕捉または受信された識別コード21は、自動車50の室内52の人20の特定の位置および/または物体の特定の位置に結合され、制御装置2を用いて、例えば自動車の通信インタフェース(図示せず)を介して、少なくとも1つのサーバー30に伝送されることが想定されてもよい。
【0039】
アクティブ動作モードおよび/またはパッシブ動作モードにおいて捕捉された信号が、制御装置2を用いて断層撮影法で評価されることが想定されてもよい。ここでは、既知の断層撮影評価方法が使用される。評価は、捕捉された人20の姿勢および/または少なくとも1つの生理学的変数の決定、ならびに/または捕捉された物体のサイズおよび/または寸法の決定を含むことが想定されてもよい。ここでは、制御装置2は、特に、複数の時間ステップにわたって捕捉された信号の変化も評価する。このようにして、例えば、捕捉された人20の胸部の上げ下げを介して呼吸数を決定することなどができる。
【符号の説明】
【0040】
1-x UWBアンテナ
2 制御装置
3 評価結果
10 ID発信器
20 人
21 識別コード
30 サーバー
50 自動車
51 ドア
52 室内
53 車両コントローラ
54 距離
55 予め定められた距離値
図1
図2